(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 1/25 20180101AFI20240403BHJP
F25C 1/147 20180101ALI20240403BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F25C1/25 D
F25C1/147 Z
F25D11/00 102J
(21)【出願番号】P 2020137337
(22)【出願日】2020-08-17
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒井 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】嘉戸 修治
(72)【発明者】
【氏名】水谷 保起
(72)【発明者】
【氏名】大谷 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】田代 秀行
(72)【発明者】
【氏名】傅 強飛
(72)【発明者】
【氏名】山岡 清史
(72)【発明者】
【氏名】越 洋
(72)【発明者】
【氏名】太田 秀治
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-020561(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2120039(KR,B1)
【文献】特開2019-005335(JP,A)
【文献】中国実用新案第205933307(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0206373(US,A1)
【文献】特開2007-245097(JP,A)
【文献】特開2010-194414(JP,A)
【文献】特開平10-174708(JP,A)
【文献】実開昭61-057935(JP,U)
【文献】実用新案登録第2562689(JP,Y2)
【文献】特開2008-203395(JP,A)
【文献】特開2020-020562(JP,A)
【文献】米国特許第05484538(US,A)
【文献】特開2007-003062(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102735652(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0075068(KR,A)
【文献】特開2019-219095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00 - 5/20
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部と、
前記製氷部において製造された氷を貯留するための貯氷部と、
少なくとも前記製氷部に製氷水を給排水するための給排水機構と、
を備えて構成された製氷機であって、
前記製氷部、前記貯氷部、および前記給排水機構の少なくとも1つには、紫外線を照射して殺菌するための紫外線照射装置が備えられているとともに、
前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増減することが可能な制御装置を備
え、
第1の前記紫外線照射装置は、前記給排水機構に備えられるとともに、
前記給排水機構は、
前記製氷部に供給する水を貯めるための貯水タンクと、
外部水源と前記貯水タンクとを繋ぐ給水路に介装され、開閉することで前記外部水源から前記貯水タンクへの給水と断水とを切り替える給水バルブと、
を備えており、
前記制御装置は、
前記給水バルブが開弁しているときは、前記第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させ、
前記給水バルブが閉弁しているときは、前記第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を低減させる構成を備えている、製氷機。
【請求項2】
製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部と、
前記製氷部において製造された氷を貯留するための貯氷部と、
少なくとも前記製氷部に製氷水を給排水するための給排水機構と、
を備えて構成された製氷機であって、
前記製氷部、前記貯氷部、および前記給排水機構の少なくとも1つには、紫外線を照射して殺菌するための紫外線照射装置が備えられているとともに、
第1の前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増減することが可能な制御装置を備え、
第1の前記紫外線照射装置は、前記給排水機構に備えられるとともに、
前記給排水機構は、
前記製氷部に供給する水を貯めるための貯水タンクと、
外部水源と前記貯水タンクとを繋ぐ給水路に介装され、開閉することで前記外部水源から前記貯水タンクへの給水と断水とを切り替える給水バルブと、
を備えており、
前記制御装置は、
前記
第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を低減した状態で駆動させるとともに、
前記給水バルブが開弁状態から閉弁したときは、前記給水バルブが閉弁状態にある間、前記
第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させる構成を備えている
、製氷機。
【請求項3】
前記外部水源は、浄水器を通じた浄水を供給する構成を備えており、
前記制御装置は、
前記浄水器の寿命に達していないときは、前記
第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を減少させ、
前記浄水器の寿命に達したときは、前記
第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させる構成を備えている、
請求項1または請求項2に記載の製氷機。
【請求項4】
前記制御装置は、当該製氷機の設置環境に応じて、前記
第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を減少させたり増大させたりする構成を備えている、請求項1から
請求項3のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項5】
前記制御装置は、前記
第1の紫外線照射装置に供給する電流をPWM制御することにより、前記
第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を減少させたり増大させたりする構成を備えている、請求項1から
請求項4のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記
第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射時間を計測するタイマを備えているとともに、
前記照射時間に応じて前記
第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させる構成を備えている、請求項1から
請求項5のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記
第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射時間を計測するタイマを備えているとともに、
前記
第1の紫外線照射装置が寿命に至る前の所定のタイミングで、前記
第1の紫外線照射装置の寿命が近づいたことを報知する構成を備えている、請求項1から
請求項6のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項8】
前記制御装置は、前記
第1の紫外線照射装置の寿命が近づいたことを報知したのち、所定の期間において前記
第1の紫外線照射装置の寿命が回復されなかったときに、当該製氷機の運転を停止する構成を備えている、
請求項7に記載の製氷機。
【請求項9】
前記給排水機構は、
前記製氷部に供給するための水を貯めるための貯水タンクと、
前記貯水タンクと前記製氷部とを接続し、前記貯水タンクの水を前記製氷部に供給するための製氷給水路と、
前記製氷給水路とは別に設けられ、前記貯水タンクと前記製氷部とを接続し、前記製氷部の水を前記貯水タンクに環流させるための環流路と、
前記環流路に設けられ、前記環流路の水を前記貯水タンクに送る送液ポンプと、
を備え、
前記給排水機構においては、前記貯水タンク、前記製氷給水路、および前記環流路によって循環経路が形成されているとともに、
第2の前記紫外線照射装置は、前記循環経路に備えられており、
前記制御装置は、
前記送液ポンプが駆動しているときに、前記
第2の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させ、
前記送液ポンプが駆動していないときに、前記
第2の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を低減させる構成を備えている、請求項1から
請求項8のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項10】
製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部と、
前記製氷部において製造された氷を貯留するための貯氷部と、
少なくとも前記製氷部に製氷水を給排水するための給排水機構と、
を備えて構成された製氷機であって、
前記製氷部、前記貯氷部、および前記給排水機構の少なくとも1つには、紫外線を照射して殺菌するための紫外線照射装置が備えられているとともに、
第1の前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増減することが可能な制御装置を備え、
前記給排水機構は、前記製氷部に供給するための水を貯めるための貯水タンクを備え、
前記貯水タンクの上面には、
前記貯水タンクに貯留された水の水位を計測することができる水量センサと、
前記貯水タンクに貯留された水に紫外線を照射する前記
第1の紫外線照射装置と、
が備えられており、
前記制御装置は、
前記水量センサによって検知される前記貯水タンクに貯留されている水の水位が相対的に高くなったときに、前記
第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を低減させ、
前記水量センサによって検知される前記貯水タンクに貯留されている水の水位が相対的に低くなったときに、前記
第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させる構成を備えている
、製氷機。
【請求項11】
製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部と、
前記製氷部において製造された氷を貯留するための貯氷部と、
少なくとも前記製氷部に製氷水を給排水するための給排水機構と、
を備えて構成された製氷機であって、
前記製氷部、前記貯氷部、および前記給排水機構の少なくとも1つには、紫外線を照射して殺菌するための紫外線照射装置が備えられているとともに、
第1の前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増減することが可能な制御装置を備え、
前記貯氷部は、前記製氷部に対して上方に配されているとともに、
前記製氷部から送られる氷を撹拌するための撹拌部材と、
前記撹拌部材を駆動させるための駆動部と、
を備えており、
前記紫外線照射装置は、前記貯氷部に備えられており、
前記制御装置は、
前記駆動部が前記撹拌部材を駆動させているときは、前記
第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させ、
前記駆動部が前記撹拌部材を駆動させていないときは、前記
第1の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を低減させる構成を備えている
、製氷機。
【請求項12】
前記製氷部は、氷を成形する製氷ユニットと、前記製氷ユニットを製氷温度に冷却する冷凍ユニットと、を備え、
前記貯氷部と前記製氷ユニットとは、前記製氷ユニットにおいて成形された氷が送られる氷通路によって連通されているとともに、
第2の前記紫外線照射装置は、前記氷通路に備えられており、
前記制御装置は、
前記冷凍ユニットが駆動しているときに、前記
第2の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させ、
前記冷凍ユニットが駆動していないときに、前記
第2の紫外線照射装置からの紫外線の照射量を低減させる構成を備えている、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項13】
少なくとも一つの前記紫外線照射装置は、可視光照射器が電気的に直列に接続されることによって故障検知回路を構成しているとともに、
前記可視光照射器は、当該製氷機を分解することなく視認可能な位置に配されている、請求項1から
請求項10のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項14】
少なくとも一つの前記紫外線照射装置に対し、a接点リレーの一部を構成するコイルと、抵抗値が相対的に低い第1抵抗器と、が電気的に直列に接続されることによって第1回路が構成されているとともに、
前記a接点リレーの他の一部を構成し前記コイルに電気が流れた時に導通する接点部と、抵抗値が相対的に高い第2抵抗器と、可視光照射器と、が電気的に直列に接続されることによって第2回路が構成されており、
前記第1回路に対して前記第2回路が並列に配されていることで、故障検知回路を構成している、請求項1から
請求項13のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項15】
少なくとも一つの前記紫外線照射装置に対し、b接点リレーの一部を構成するコイルが電気的に直列に接続されることによって第1回路が構成されているとともに、
前記b接点リレーの他の一部を構成し前記コイルに電気が流れた時に開放される接点部と、警報器と、が電気的に直列に接続されることによって第2回路が構成されており、
前記第1回路に対して前記第2回路が並列に配されていることで、故障検知回路を構成している、請求項1から
請求項14のいずれか1項に記載の製氷機。
【請求項16】
少なくとも一つの前記紫外線照射装置の温度を計測する温度センサを備え、
前記制御装置は、
前記温度センサによって計測される前記紫外線照射装置に電流を供給し始めたときの初期温度と、
前記温度センサによって計測される前記紫外線照射装置に電流を供給してから所定時間経過後の温度と、の差が所定の温度差に満たない場合、
前記温度センサによって計測される前記紫外線照射装置が正常でない旨を報知する構成を備えている、請求項1から
請求項15のいずれか1項に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される技術は、製氷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製氷機構により製氷した氷を貯氷室に貯留するようにした製氷機が知られている。例えば、特許文献1および2には、紫外線照射装置を備えた製氷機が開示されており、製氷水タンクや貯氷室等に紫外線を照射することで、製氷機とこれにより製造される氷とを清潔に維持できることが記載されている。また、特許文献2には、特定の運転モードで製氷機を運転するときに、紫外線照射装置から紫外線を照射する制御を行うことについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-219095号公報
【文献】特開2020-020562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紫外線照射装置として、近年では水銀ランプやメタルハライドランプ等の放電ランプの他に、紫外線発光ダイオード(UV-LED)を紫外線光源として備えるものが用いられている。殺菌用途で汎用されている紫外線光源の寿命は、放電ランプに比して寿命が長いと言われているUV-LEDであっても、照射時間にして1~2万時間程度であり、製氷機の耐用年数が5~10年程度であることと比べると大幅に短い。ここで、特許文献2に記載のように、特定の運転モードのみで紫外線照射装置から紫外線を照射すると、紫外線照射装置の使用時間が低減できて紫外線照射装置の寿命を長く維持できるものの、紫外線を照射していないときには殺菌効果が得られないという背反がある。
【0005】
ここに開示される技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、紫外線照射装置を効果的に利用して寿命を長大化させながら、製氷機と氷とをより清潔に維持することができる製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、ここに開示される製氷機は、製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部と、前記製氷部において製造された氷を貯留するための貯氷部と、少なくとも前記製氷部に製氷水を給排水するための給排水機構と、を備えて構成される。前記製氷部、前記貯氷部、および前記給排水機構の少なくとも1つには、紫外線を照射して殺菌するための紫外線照射装置が備えられているとともに、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増減することが可能な制御装置を備えている。このような構成によると、紫外線照射装置によって製氷水あるいは製氷された氷をUV殺菌することができるとともに、少なくとも製氷が行われている間は紫外線が照射されているためUV殺菌状態を維持することができる。加えて、紫外線照射装置からの紫外線の照射量が必要に応じて増減されるため、紫外線照射装置の寿命を長大化させることができ、経済的であるとともにメンテナンスの手間を削減することができる。
【0007】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記紫外線照射装置は、前記給排水機構に備えられるとともに、前記給排水機構は、前記製氷部に供給する水を貯めるための貯水タンクと、外部水源と前記貯水タンクとを繋ぐ給水路に介装され、開閉することで前記外部水源から前記貯水タンクへの給水と断水とを切り替える給水バルブと、を備えている。そして前記制御装置は、前記給水バルブが開弁しているときは、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させ、前記給水バルブが閉弁しているときは、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を低減させる構成を備えている。このような構成によると、貯水タンクに供給される水がUV殺菌を要する場合に、紫外線照射装置からの紫外線の照射量を好適に制御することができる。
【0008】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記紫外線照射装置は、前記給排水機構に備えられるとともに、前記給排水機構は、前記製氷部に供給する水を貯めるための貯水タンクと、外部水源と前記貯水タンクとを繋ぐ給水路に介装され、開閉することで前記外部水源から前記貯水タンクへの給水と断水とを切り替える給水バルブと、を備えている。そして、前記制御装置は、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を低減した状態で駆動させるとともに、前記給水バルブが開弁状態から閉弁したときは、前記給水バルブが閉弁状態にある間、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させる構成を備えている。このような構成によると、貯水タンクに供給される水が十分に殺菌されている場合であって、水が貯水タンク内に滞留しているときにUV殺菌を要する場合に、紫外線照射装置からの紫外線の照射量を好適に制御することができる。
【0009】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記外部水源は、浄水器を通じた浄水を供給する構成を備えている。そして前記制御装置は、前記浄水器の寿命に達していないときは、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を減少させ、前記浄水器の寿命に達したときは、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させる構成を備えている。このような構成によると、貯水タンクに供給される水が浄水である場合に、浄水器の寿命を考慮しつつ紫外線照射装置からの紫外線の照射量を好適に制御することができる。
【0010】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記制御装置は、当該製氷機の設置環境に応じて、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を減少させたり増大させたりする構成を備えている。このような構成によると、製氷機が設置される環境を考慮しつつ、紫外線照射装置からの紫外線の照射量を好適に制御することができる。
【0011】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記制御装置は、前記紫外線照射装置に供給する電流をPWM制御することにより、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を減少させたり増大させたりする構成を備えている。このような構成によると、紫外線照射装置に供給する電流量を、電圧を変化させることなく、高速スイッチングによって適切に制御することができる。また、紫外線照射装置の光源がLED(発光ダイオード)である場合は、LEDの発光波長を変化させることなく紫外線の照射量を制御できるために好ましい。
【0012】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記制御装置は、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射時間を計測するタイマを備えているとともに、前記照射時間に応じて前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させる構成を備えている。紫外線照射装置は、一般に、寿命に近づくと同じ電流量であっても紫外線の照射量が低減されるという特徴がある。上記の構成によると、紫外線照射装置の寿命に近づいたときに、寿命による発光量の低減を補うように紫外線照射装置に供給する電流量を増大することができる。これにより、紫外線照射装置の寿命に近づいたときでも、必要な量の紫外線を適切に照射することができる。
【0013】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記制御装置は、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射時間を計測するタイマを備えているとともに、前記紫外線照射装置が寿命に至る前の所定のタイミングで、前記紫外線照射装置の寿命が近づいたことを報知する構成を備えている。上記の構成によると、紫外線照射装置が寿命に達する前に、ユーザに交換等の適切な対応を促すことができる。これにより、紫外線照射装置を寿命によって故障させることなく、良好な衛生状態を維持して、製氷機を運転することができる。
【0014】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記制御装置は、前記紫外線照射装置の寿命が近づいたことを報知したのち、所定の期間において前記紫外線照射装置の寿命が回復されなかったときに、当該製氷機の運転を停止する構成を備えている。上記の構成によると、紫外線照射装置の寿命に合わせて、ユーザにより確実に紫外線照射装置の交換を促すことができる。また、良好な衛生状態が確保できない状態でユーザが製氷機を運転することを防止することができる。
【0015】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記給排水機構は、前記製氷部に供給するための水を貯めるための貯水タンクと、前記貯水タンクと前記製氷部とを接続し、前記貯水タンクの水を前記製氷部に供給するための製氷給水路と、前記製氷給水路とは別に設けられ、前記貯水タンクと前記製氷部とを接続し、前記製氷部の水を前記貯水タンクに環流させるための環流路と、前記環流路に設けられ、前記環流路の水を前記貯水タンクに送る送液ポンプと、を備え、前記給排水機構においては、前記貯水タンク、前記製氷給水路、および前記環流路によって循環経路が形成されているとともに、前記紫外線照射装置は、前記循環経路に備えられている。そして前記制御装置は、前記送液ポンプが駆動しているときに、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させ、前記送液ポンプが駆動していないときに、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を低減させる構成を備えている。上記の構成によると、循環経路に設けられた紫外線照射装置の照射領域に、水が滞留しているときは照射する紫外線の量を相対的に少なくして紫外線照射装置の寿命の長大化を図り、照射領域を多量の水が通過するときは十分な量の紫外線を照射して、循環水に対して効率よくUV殺菌することができる。
【0016】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記給排水機構は、前記製氷部に供給するための水を貯めるための貯水タンクを備え、前記貯水タンクの上面には、前記貯水タンクに貯留された水の水位を計測することができる水量センサと、前記貯水タンクに貯留された水に紫外線を照射する前記紫外線照射装置と、が備えられている。そして前記制御装置は、前記水量センサによって検知される前記貯水タンクに貯留されている水の水位が相対的に高くなったときに、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を低減させ、前記水量センサによって検知される前記貯水タンクに貯留されている水の水位が相対的に低くなったときに、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させる構成を備えている。紫外線の単位面積当たりの照射強度は、例えば光源からの距離の2乗に反比例するため、紫外線照射装置とUV殺菌の対象との距離が広がるほどUV殺菌の効果は著しく低減してしまう。上記の構成によると、貯水タンクに設けられた紫外線照射装置と、貯水タンク内に貯留された水(水面)との距離に応じて紫外線の照射量を変化させることができる。これにより、紫外線照射装置と水面との距離に影響されることなく、貯水タンク内の水を好適にUV殺菌することができる。
【0017】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記貯氷部は、前記製氷部に対して上方に配されているとともに、前記製氷部から送られる氷を撹拌するための撹拌部材と、前記撹拌部材を駆動させるための駆動部と、を備えており、前記紫外線照射装置は、前記貯氷部に備えられている。そして前記制御装置は、前記駆動部が前記撹拌部材を駆動させているときは、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させ、前記駆動部が前記撹拌部材を駆動させていないときは、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を低減させる構成を備えている。上記の構成によると、貯氷部に貯留されている氷に対してUV殺菌を行うことができる。また、撹拌部材を駆動させて氷を撹拌しているときに紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させることで、効果的に氷をUV殺菌することができる。
【0018】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記製氷部は、氷を成形する製氷ユニットと、前記製氷ユニットを製氷温度に冷却する冷凍ユニットと、を備え、前記貯氷部と前記製氷ユニットとは、前記製氷ユニットにおいて成形された氷が送られる氷通路によって連通されているとともに、前記紫外線照射装置は、前記氷通路に備えられている。そして前記制御装置は、前記冷凍ユニットが駆動しているときに、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させ、前記冷凍ユニットが駆動していないときに、前記紫外線照射装置からの紫外線の照射量を低減させる構成を備えている。上記の構成によると、製氷後に貯氷部に送られる途中の氷に対してUV殺菌を行うことができる。また、製氷運転中であって、氷通路を氷が通過しているときに紫外線照射装置からの紫外線の照射量を増大させることで、効果的に氷をUV殺菌することができる。
【0019】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記紫外線照射装置は、可視光照射器が電気的に直列に接続されることによって故障検知回路を構成しているとともに、前記可視光照射器は、当該製氷機を分解することなく視認可能な位置に配されている。上記の構成によると、紫外線照射装置から紫外線が発光されているときには、可視光照射器から可視光が同時に発光される。そして、紫外線照射装置が断線しているときには可視光照射器から可視光が発光されないとともに、紫外線照射装置が短絡しているときには可視光照射器から発光される可視光の発光強度が大幅に強められる。これにより、簡単な構成で、ヒトには視認できない紫外線の発光状態を、可視光線を通じて確認することができる。
【0020】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記紫外線照射装置に対し、a接点リレーの一部を構成するコイルと、抵抗値が相対的に低い第1抵抗器と、が電気的に直列に接続されることによって第1回路が構成されているとともに、前記a接点リレーの他の一部を構成し前記コイルに電気が流れた時に導通する接点部と、抵抗値が相対的に高い第2抵抗器と、可視光照射器と、が電気的に直列に接続されることによって第2回路が構成されており、前記第1回路に対して前記第2回路が並列に配されていることで、故障検知回路を構成している。上記の構成によると、紫外線照射装置に正常に電流が送られて紫外線が発光されているときには、可視光照射器から可視光が同時に発光される。これにより、ヒトには視認できない紫外線の発光状態を、可視光線の発光状態を通じてより確実に確認することができる。
【0021】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記紫外線照射装置に対し、b接点リレーの一部を構成するコイルが電気的に直列に接続されることによって第1回路が構成されているとともに、前記b接点リレーの他の一部を構成し前記コイルに電気が流れた時に開放される接点部と、警報器と、が電気的に直列に接続されることによって第2回路が構成されており、前記第1回路に対して前記第2回路が並列に配されていることで、故障検知回路を構成している。上記の構成によると、紫外線照射装置に正常に電流が送られて紫外線が発光されているときには、警報器には通電されずに警報器は動作しない。そして、紫外線照射装置に電流が送られていないときには、警報器に通電されて警報器が作動する。警報器がブザーである場合には、ブザー音によって紫外線照射装置の異常が報知される。これにより、製氷機を視認できない位置においても、紫外線照射装置の異常を把握することができる。
【0022】
ここに開示される技術の好適な態様において、前記紫外線照射装置の温度を計測する温度センサを備え、前記制御装置は、前記紫外線照射装置に電流を供給し始めたときの初期温度と、前記紫外線照射装置に電流を供給してから所定時間経過後の温度と、の差が所定の温度差に満たない場合、前記紫外線照射装置が正常でない旨を報知する構成を備えている。紫外線照射装置は、所定の時間、正常に電流が送られて紫外線が発光されているときには、ある程度の温度上昇が認められるという特徴がある。上記の構成によると、このような紫外線照射装置の特徴を利用し、簡単な構成によって紫外線照射装置が正常でない旨を判断して、報知することができる。
【発明の効果】
【0023】
ここに開示される技術によれば、紫外線照射装置を効果的に利用して寿命を長大化させながら、製氷機と氷とをより清潔に維持することができる製氷機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】実施形態1に係る製氷機の構成の概略を示す断面図
【
図4】一実施形態に係る製氷機における回路部の構成を示す図
【
図5】製氷機の設置環境における目標電流値の設定例を示す図
【
図6】紫外線照射装置の制御の一例を示すフローチャート
【
図7】紫外線照射装置の制御の一例を示すフローチャート
【
図8】実施形態2に係る製氷機の構成の概略を示す断面図
【
図9】紫外線照射装置の制御の一例を示すフローチャート
【
図10】実施形態3に係る製氷機の構成の概略を示す断面図
【
図11】紫外線照射装置の制御の一例を示すフローチャート
【
図12】紫外線照射装置の制御の一例を示すフローチャート
【
図13】紫外線照射装置の制御の一例を示すフローチャート
【
図14】紫外線照射装置の制御の一例を示すフローチャート
【
図15】実施形態7に係る製氷機の構成の概略を示す断面図
【
図16】紫外線照射装置の制御の一例を示すフローチャート
【
図17】紫外線照射装置の故障検知回路の一例を示す図
【
図18】紫外線照射装置の故障検知回路の一例を示す図
【
図19】紫外線照射装置の故障検知回路の一例を示す図
【
図20】紫外線照射装置の故障検知回路の一例を示す図
【
図21】紫外線照射装置の故障検知の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0025】
≪実施形態1≫
ここに開示される技術について、
図1から
図7を適宜参照しつつ説明する。なお、各図に示した符号F,Rr,L,R,U,Dはそれぞれ、製氷機の前後方向における前方,後方,幅方向における左方,右方,鉛直方向の上方,下方を示している。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0026】
<製氷機>
本実施形態に係る製氷機1は、
図1に示すように、全体として縦長の箱状をなす筐体3内に、
図2に示すように、概して、製氷部5と、貯氷部30と、これらに接続される給排水機構40と、制御装置100(
図3参照)と、が納められている。製氷部5は、冷凍ユニット10と、製氷ユニット20と、を含んで構成されており、製氷ユニット20のシリンダ21を冷凍ユニット10によって外側から冷却することで、シリンダ21の内表面に製氷の場が用意される。そして、給排水機構40によって、このシリンダ21内に製氷水を供給することにより製氷が行われ、製造された氷は貯氷部30へと送られる。また、筐体3の前面には、ユーザが製氷機1の各種動作の指示および設定等を行うための操作パネル150が設けられているとともに、筐体3の上面には冷凍ユニット10における送風を促す通気口4が設けられている。以下、各構成要素について説明する。
【0027】
まず、冷凍ユニット10は、後述する製氷ユニット20のシリンダ21を所定の製氷温度にまで冷却するための要素であり、
図2に示すように、圧縮機11と、凝縮器12と、膨張弁13と、蒸発管14と、冷媒を収容してこれらの間を循環させる冷媒管15と、を備えている。圧縮機11は、冷媒ガスを圧縮して冷媒管15に送る。凝縮器12は、冷媒管15内に送られた圧縮冷媒ガスを、併設されたファン16からの送風によりほぼ等圧で冷却して液化させる。膨張弁13は、液化された圧縮冷媒を減圧して膨張させる。蒸発管14は、膨張弁13よりも下流側の冷媒管15であって、シリンダ21の外表面に隙間なく倦回されている。蒸発管14においては、膨張した液化冷媒が気化することに伴い、シリンダ21の表面から吸熱してシリンダ21を冷却する。蒸発管14にて気化された冷媒ガスは、冷媒管15を通じて再び圧縮機11に送られる。
【0028】
このような冷凍サイクルによって、冷凍ユニット10は、シリンダ21の製氷部分(冷媒管15が巻かれた部分)を製氷温度にまで冷却するように構成されている。なお、冷凍ユニット10は、断熱材18と、図示しないドライヤと、図示しない温度センサと、を備えており、断熱材18は、蒸発管14を外側から覆い、シリンダ21の冷却効果を高める。ドライヤは、凝縮器12の下流側に設けられ、冷凍ユニット10に混入した水分を除去する。温度センサは、蒸発管14の巻き終わりの部分と、凝縮器12の下流側であってドライヤの上流側となる部分と、に設けられており、それぞれの位置における冷媒の温度を検知する。冷凍ユニット10における、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13、ファン16、ドライヤ、および温度センサ等の各部は、制御装置100に電気的に接続されている。
【0029】
製氷ユニット20は、氷を形成する要素であり、
図2に示すように、シリンダ21と、オーガ22と、成形部23と、シール部26と、駆動部27と、を備えている。シリンダ21は、例えばステンレス鋼等の金属によって円筒形状に形成されており、その円筒軸が上下方向に沿うように設置されている。そしてシリンダ21の上下方向の両端部を除く外周面には、上述の冷凍ユニット10の蒸発管14が隙間なく密に倦回されており、上述の製氷部分を構築している。シリンダ21の下方の端部には、その筒壁に、給水口と排水口とが設けられており、後述する給排水機構40と接続されることでシリンダ21内に製氷水を供給したり、シリンダ21から製氷水を排水したりできるようになっている。
【0030】
オーガ22は、円柱状をなす回転軸部22Aの周面に螺旋状の削氷刃22Bを備える切削具であり、回転軸部22Aの回転軸とシリンダ21の中心軸とが同心となるようにシリンダ21内に収容されている。削氷刃22Bは、上下方向で、シリンダ21の製氷部分に対応する範囲において、回転軸部22Aの周面からシリンダ21の内表面に向かって突出するように設けられ、その突出寸法は、シリンダ21に僅かに到達しない程度とされている。オーガ22の下端は駆動部27に接続されている。駆動部27は、具体的には、図示しないギヤードモータと、歯車系と、出力軸と、を備えており、オーガ22の下端は出力軸に機械的に接続されている。シール部26は、オーガ22の下端に外嵌される回転環部材と、出力軸に外嵌され駆動部27に固定される固定環部材と、各部を水密に止水する二次シールと、からなり、回転動力を損なうことなくシリンダ21内部における水の供給領域と駆動部27との間を止水するメカニカルシールとして機能する。そして、駆動部27のギヤードモータが回転駆動すると、歯車系を通じて動力が出力軸に伝達され、オーガ22が回転する。オーガ22が回転することによって、削氷刃22Bがシリンダ21の内表面に形成された氷を順次削り取るとともに、削り取られたシャーベット状の氷を、螺旋状の削氷刃22Bの腹に載せるかたちでシリンダ21の上方に運ぶようになっている。
【0031】
成形部23は、シリンダ21の上端部に収容されて、オーガ22の上端を回転自在に軸承する略筒状体であり、オーガ22によって送られてくる氷をシリンダ21との協働で成形する。成形部23の外周面には、氷成形路となる複数の溝がシリンダ21の軸方向に沿って形成されている。オーガ22によって上方に運ばれたシャーベット状の氷は、シリンダ21の内表面と成形部23の外周面の溝とにより形成される氷成形路に押し込まれて脱水され、柱状に成形される。製氷ユニット20における駆動部27は制御装置100に電気的に接続されている。
【0032】
本実施形態の貯氷部30は、
図2に示すように、製氷ユニット20の上方に配置されており、略円筒形状であって、上方が開口された有底箱型のストッカ31と、このストッカ31の上方の開口を封鎖する蓋体33と、を主体として構成されている。ストッカ31および蓋体33には内部に断熱材が充填され、ストッカ31および蓋体33によって囲まれる貯氷空間に貯留される氷の融解を抑制する断熱性を備えている。この貯氷部30は、ストッカ31の底部において製氷部5のシリンダ21の上端と水密に接続されており、氷成形路を通じて成形された氷がオーガ22によってストッカ31内に送られる。ストッカ31の底部には、排水孔32と、スノコ部37と、が備えられている。排水孔32は底部の周縁部に設けられ、底部は排水孔32に向けてその表面が下傾されている。スノコ部37は、多数の貫通孔を有する円板状をなし、底部に溜まる水と接触しないように氷を底部から上方に離間した位置で支持する。スノコ部37は、シリンダ21の外周から上方に向けてやや立ち上がった後に、底部の勾配に沿って外周側に下降している。
【0033】
ストッカ31内部にはアジテータ36が備えられ、スノコ部37の中心を貫通する形でオーガ22の上端部に同軸に固定されている。アジテータ36は、オーガ22に接続される軸部と、軸部からストッカの壁面に向けて異なる方向に延びる複数の撹拌棒(撹拌部材の一例)と、を備える回転体であり、軸部の下端は所定の位置で拡径されてテーパー面を構成している。成形部23で柱状に成形された氷は、オーガ22によって繰り出されることでアジテータ36のテーパー面に押し当てられ、所定の長さに切断されてスノコ部37上に貯留されるようになっている。またアジテータ36は、オーガ22と連動して回転することで、ストッカ31内に貯留されている氷を撹拌棒で撹拌し、氷同士が溶着して氷塊になるのを防ぐようになっている。
【0034】
ストッカ31の前面側には、氷排出口34Cと電動シャッタ34Bとが設けられるとともに、操作パネル150には氷排出ボタン34Aが備えられている。氷排出ボタン34Aと電動シャッタ34Bとは制御装置100に電気的に接続されており、ユーザが氷排出ボタン34Aを押すことによって制御装置100に氷排出指令が与えられ、制御装置100は、所定の時間、駆動部27を駆動させるとともに電動シャッタ34Bを開放する。これにより、アジテータ36が回転されて、ストッカ31内の氷がスノコ部37の上面を滑りながら氷排出口34Cに移送され、氷排出口34Cから外部に排出される構成となっている。
【0035】
また、蓋体33には、円盤状をなす氷量センサ35が備えられており、氷量センサ35は制御装置100に電気的に接続されている。氷量センサ35は、蓋体33の中央から垂下されストッカ31の上方において上下方向に変位可能とされている。氷量センサ35は、ストッカ31内の貯氷量が増大することによって上方に押し上げられ、貯氷量が満氷状態となる所定のレベルに達したときに図示しないリードスイッチを入力して満氷状態を検知するように構成されている。
【0036】
給排水機構40は、製氷部5に製氷水や洗浄水等の水を給排水する要素であり、
図2に示すように、大まかには、水を貯留するための貯水タンク41と、後述する管状の給水路および排水路と、弁体等とを備えて構成されている。貯水タンク41は、上方が開口されている略直方体形状の容器であるケース42と、このケース42の開口を覆う蓋体43とを備え、ケース42の1つの隅角部には、ケース42内において所定の水位を超える水を排水するオーバーフロー排水口が設けられている。
【0037】
より具体的には、貯水タンク41の蓋体43には給水バルブVsを介して第1給水路S1が接続されており、水道管等の外部水源から第1給水路S1を通じて貯水タンク41に水を供給できるようになっている。また、貯水タンク41は、シリンダ21の上側方に配されるとともに、貯水タンク41の底部に設けられた通水口とシリンダ21の給水口とが、第2給水路S2によって接続されている。これにより、貯水タンク41とシリンダ21とは水頭差が無くなるように通水される構成となっている。
【0038】
一方で、シリンダ21の排水口には第1排水路D1が接続されており、この第1排水路D1は排水バルブVdを介して本排水路D4に連通されている。第1排水路D1内の水は、排水バルブVdを開弁することによって本排水路D4に送られる。また、貯水タンク41のオーバーフロー排水口45には第2排水路D2が接続されており、第2排水路D2はその下流側において本排水路D4に連通している。また、貯氷部30の排水孔32には第3排水路D3が接続されており、第3排水路D3はその下流側において本排水路D4に連通している。本排水路D4には、第1排水路D1、第2排水路D2、および第3排水路D3との連通点よりも下流側において逆止弁Vtを備えており、製氷機1からの排水はこの本排水路D4を通じて外部排水路に排水される。
【0039】
蓋体43には、水量センサ48と、紫外線照射装置50と、が備えられている。本実施形態の水量センサ48は超音波センサであり、貯水タンク41の底部に向けて超音波を発信するとともに超音波を受信することができ、貯水タンク41内に貯留された水の水面において反射される超音波の発信から受信までの時間差に基づいて、貯水タンク41内に貯留されている水の量(嵩高さ)を非接触で検知するようになっている。水量センサ48は、蓋体43の内面から上方に向けてやや離れた位置に設置されており、貯水タンク41の最も高い所定の貯水レベルに対応する水面から反射される超音波であっても精度良く検知できるように構成されている。
【0040】
紫外線照射装置50は、紫外光を発生する要素であり、紫外光の光源として、水銀ランプやメタルハライドランプ等の放電ランプおよび紫外線発光ダイオード(UV-LED)の少なくとも一つを用いることができる。紫外線照射装置50が発生する紫外光としては、例えば殺菌作用を有する波長約200nm以上300nm以下の紫外線(UV)であってよく、典型的には波長約220nm以上280nm以下、さらには高い殺菌作用を示す波長約253nm以上285nm以下の深紫外線をより多く含むことが好ましい。本実施形態における紫外線照射装置50は、光源として深紫外線UV-LEDを備えている。紫外線照射装置50は、下方に向けて広角に紫外線を照射可能であり、貯水タンク41内の広い範囲に紫外線を照射できるようになっている。これにより、貯水タンク41の内部と、貯水タンク41に貯留されている水とに、確実に紫外線を照射できるようになっている。製氷機1のうち、紫外線照射装置50によって紫外線が照射される範囲に配される部材は、アクリル樹脂、ポリカーボネート、塩化ビニル樹脂等の耐候性を備える合成樹脂や、金属材料等によって構成されている。
【0041】
操作パネル150には、例えば、製氷機1の各部のステータス情報や、製氷機1の運転条件等を表示することができる表示部152(
図3参照)と、製氷機1の各種動作の指示および設定を行うための入力部154(
図3参照)などが備えられている。操作パネル150は、例えば、製氷機1から着脱可能に構成されていてもよい。表示部152は、例えば、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等によって構成され、制御装置100からの指示に応じてテキスト、画像等を表示する。表示部は、本技術における報知手段の一例である。入力部154は、例えば、操作ボタン、キーボード、タッチパネル等から構成され、ユーザが制御装置100への指示を入力するために用いられるユーザインターフェイスである。ユーザは、入力部から、製氷機1の設置状態に関する情報や、運転条件、動作指示を入力することができる。氷排出ボタン34Aは、入力部154の一例である。
【0042】
以上の製氷機1においては、制御装置100が製氷部5、貯氷部30、および給排水機構40の各部の動作を制御する。制御装置100の構成は特に限定されず、例えば、
図3に示すように、外部からの各種情報等を送受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(central processing unit:CPU)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、各種の情報を記憶する記憶部Mと、計時機能を有するタイマT等を有するマイクロコンピュータを主体として構成され、有線または無線を介して製氷機1の各部と通信可能に接続されている。制御装置100は、主としてストッカ31の後方に設置された図示しない制御箱内に収容されている。制御装置100は、さらに、製氷運転制御部110、および紫外線照射制御部120を有しており、これらの製氷運転制御部110および紫外線照射制御部120はそれぞれ、一部または全部が、プロセッサや回路等のハードウェアによって構成されていてもよいし、CPUがプログラム等を実行することによって機能的に実現されるものであってもよい。
【0043】
製氷運転制御部110は、製氷機1の各部を制御して、以下の製氷運転を実施する。
まず、冷凍ユニット10を駆動させてシリンダ21の製氷部分を所定の製氷温度にまで冷却させる。次いで、氷量センサ35によってストッカ31内に氷が製氷制限量である満氷状態で貯留されているかどうかを確認し、ストッカ31が満氷状態でない場合には、氷量センサ35によってストッカ31の満氷状態を検知するまで、製氷ユニット20および給排水機構40を駆動して製氷を実行する。具体的には、水量センサ48により貯水タンク41の貯水レベルと、氷量センサ35によりストッカ31の貯氷量とを検知しながら、排水バルブVdを閉鎖した状態で給水バルブVsを開弁して、貯水レベルが所定の製氷最高水位となるまで貯水タンク41に貯水する。貯水が完了すると、給水バルブVsを閉弁して製氷ユニット20(駆動部27)を駆動させる。なおこの間、貯水レベルが所定の製氷最低水位にまで下降すると、給水バルブVsを開弁し、貯水レベルが製氷最高水位にまで上昇すると給水バルブVsを閉弁する、という水位制御を続ける。以上の製氷動作は、氷量センサ35によってストッカ31の満氷状態が検知されるまで続けられる。そして氷量センサ35によってストッカ31の満氷状態が検知されている間は、製氷は待機される。その後、氷が消費されることに伴い、氷量センサ35によってストッカ31の貯氷量が所定の運転再開位置にまで低減したときに、製氷運転が再開されるようになっている。本実施形態の製氷運転制御部110は、例えば製氷運転プログラムに従って、タイマTが計測する時間に基づき開始されるか、あるいは、ユーザが入力部から運転開始の指示を入力することによって開始されるように構成されている。
【0044】
紫外線照射制御部120は、紫外線照射装置50から出射されるUV光の照射量を制御する。紫外線照射装置50は、供給する電流量によって発射する紫外線の光量が変化されることから、紫外線照射制御部120は、紫外線照射装置50に対して高速なパルス電流を供給することで紫外線照射装置50を駆動するとともに、供給パルス電流のパルス幅を変えることにより、紫外線照射装置50が発射する紫外線の光量を制御(調光)する。本実施形態の紫外線照射制御部120は、例えば
図4に示すように、電流制御部121と、電子回路部122(
図4において点線で囲まれた部分)と、を含み、電子回路部122は基板に実装されるなどして紫外線照射装置50の近傍に配されている。紫外線照射装置50は、電子回路部122を介して製氷機1の外部の駆動電源9に電気的に接続される。また、電子回路部122は、電流制御部121と電気的に接続され、電流制御部121から送られる信号に従って駆動するように構成されている。
【0045】
ここで、紫外線照射制御部120に係る電子回路について説明する。駆動電源9から延びる電源ラインは、
図4に示すように、概して、第1電源ラインLB1と、第2電源ラインLB2とを含む。ここで、第2電源ラインLB2を通じて、駆動電源9から、電子回路部122の主要部と、紫外線照射装置50と、に対して電力が供給される。この第2電源ラインLB2には、開閉器123(接点部)が設けられており、開閉器123によって第2電源ラインLB2は開閉される。また、第1電源ラインLB1を通じて、駆動電源9から制御装置100の製氷運転制御部110や、紫外線照射制御部120の電流制御部121、開閉器123の開閉を操作する電磁コイルC、ならびに、製氷機1の他の各部に電力が供給される。第1電源ラインLB1には、機械的操作により開閉するスイッチSW(例えば、主電源スイッチ)が設けられている。スイッチSWがON状態にあることで、制御装置100に電力が供給され、製氷機1の運転が可能な状態となる。
【0046】
電子回路部122のうちのスイッチング素子Q3は、開閉器123と電磁コイルCとにより構成される有接点リレーに対する通電のON/OFFを切り換える負荷スイッチである。本実施形態ではスイッチング素子Q3として、NチャンネルのFET(電界効果トランジスタ)を用いており、スイッチング素子Q3は、電磁コイルCのグランド側に配されている。また、スイッチング素子Q3のドレンは電磁コイルCに接続されているとともに、ソースがグランドに接続され、ゲートは電流制御部121に接続されている。そして、電流制御部121からの制御信号(オン信号)によってスイッチング素子Q3がON状態(導通状態)になると、電磁コイルCが通電状態となって開閉器123が閉じる。これにより、第2電源ラインLB2を通じて、電子回路部122のスイッチング素子Q3以外の部分、および紫外線照射装置50に電力が供給され、紫外線照射装置50からの紫外線の照射が可能な状態となる。また、電流制御部121からの制御信号(オフ信号)を出力してスイッチング素子Q3をOFF状態(遮断状態)にすると、電磁コイルCが非通電状態となって開閉器123が開く。これにより、紫外線照射装置50への電源の供給が止められ、紫外線照射装置50からの紫外線の照射が停止される。
【0047】
本実施形態の電子回路部122は、上述したスイッチング素子Q3の他に、H型混合ブリッジ回路122Aと、PWM制御回路122Bと、電流検出抵抗Rと、アンプAPと、を含んで構成されている。
H型混合ブリッジ回路122Aは、2つのスイッチング素子Q1,Q2と、2つの回生ダイオードDr1,Dr2とを含み、スイッチング素子Q1,Q2はNチャンネルのFET(電界効果トランジスタ)により構成されている。H型混合ブリッジ回路122Aは、第2電源ラインLB2に対して並列に接続されており、第1相の上アームにはスイッチング素子Q1が接続され、第1相の下アームには回生ダイオードDr1が接続され、第2相の上アームには回生ダイオードDr2が接続され、第2相の下アームにはスイッチング素子Q2が接続されている。より具体的には、スイッチング素子Q1のドレンは、第2電源ラインLB2に接続されている。回生ダイオードDr1のカソードはスイッチング素子Q1のソースに接続され、回生ダイオードDr1のアノードはグランドに接続されている(第1相)。また、回生ダイオードDr2のカソードは第2電源ラインLB2に接続されている。スイッチング素子Q2のドレンは回生ダイオードDr2のアノードに接続され、スイッチング素子Q2のソースはグランドに接続されている(第2相)。
【0048】
そして、第1相の上アームと下アームとの中間接続点aと、第2相の上アームと下アームとの中間接続点bと、の間の負荷枝路に、電流検出抵抗Rと紫外線照射装置50とが直列接続されている。アンプAPは差分回路を構成し、電流検出抵抗Rでの電圧降下を検出して、紫外線照射装置50に流れる負荷電流の値を示す電流検出信号をPWM制御回路122Bに出力する。
【0049】
PWM制御回路122Bは、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチをON/OFF駆動するドライバとしての機能を有し、入力端子は電流制御部121に接続されるとともに、2つの出力端子がそれぞれスイッチング素子Q1,Q2のゲートに接続されている。また、PWM制御回路122Bの電源端子は、第2電源ラインLB2に接続されており、開閉器123のスイッチ部が閉じているときに、駆動電源9から電力が供給される。スイッチング素子Q1,Q2は、PWM信号のハイ/ローに応じて、スイッチをON/OFFする。スイッチング素子Q1,Q2がON状態(導通状態)になったときには、駆動電源9→スイッチング素子Q1→電流検出抵抗R→紫外線照射装置50→スイッチング素子Q2→アースという経路に沿って電流が流れる。スイッチング素子Q1,Q2がOFF状態(遮断状態)になったときには、アース→回生ダイオードDr1→電流検出抵抗R→紫外線照射装置50→回生ダイオードDr2→駆動電源9という経路に沿って電流が流れる。
【0050】
ここで、PWM制御回路122Bは、電流制御部121から、製氷機1の状態に応じて紫外線照射装置50に流すべき目標電流の値Iaに関する情報を受け取る。また、PWM制御回路122Bは、アンプAPから送られる電流検出信号が、目標電流の値Iaを実現する目標電流検出信号となるようなPWM信号を、スイッチング素子Q1,Q2に送る。換言すれば、PWM制御回路122Bは、紫外線照射装置50に供給される電力を高速スイッチングし、紫外線照射装置50に流れる電流が目標電流値Iaとなるようにパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)させたPWM信号をスイッチング素子Q1,Q2に送る。具体的には、高速スイッチングは、例えば周期を約0.01μS~100μSとすることが好適例として示される。そして、紫外線照射装置50に流れる負荷電流の値が目標電流値Iaよりも小さくなり、電流検出信号が目標電流検出信号より小さくなったときには、PWM信号のパルス幅を広く(ハイレベル期間を長く)してスイッチング素子Q1,Q2におけるON期間を長くする。逆に負荷電流の値が目標電流値Iaよりも大きくなり、電流検出信号が目標電流検出信号よりも大きくなったときには、PWM信号のパルス幅を短く(ハイレベル期間を短く)してスイッチング素子Q1,Q2でのON期間を短くする。このようにして、紫外線照射装置50に流す負荷電流を所望の電流値に制御することができる。
【0051】
電流制御部121は、上述のように、紫外線照射装置50の駆動に係る開閉器123(スイッチング素子Q3)と、PWM制御回路122Bとを制御する。具体的には、電流制御部121は、製氷機1の状態に応じて、紫外線照射装置50に供給すべき目標電流値Iaに関する情報をPWM制御回路122Bに対して出力する。ここで、必要な紫外線量は、製氷機1の設置環境や運転状態等によって異なり得る。したがって、電流制御部121は、予めユーザが製氷機1に入力した製氷機1の設置環境と、製氷機1の運転状態とに応じて、PWM制御回路122Bに指示する目標電流値Iaを変化させる。
【0052】
例えば、製氷機1が製氷運転を実行しているとき、紫外線照射装置50によって貯水タンク41に貯水された水に紫外線を必要量だけ照射することができれば、製氷水をUV殺菌できるとともに、UV殺菌された製氷水を用いて氷を製氷することができるために望ましい。その一方で、製氷機1が製氷運転を停止(待機を含む)しているときは、既にUV殺菌されている製氷水の更なるUV殺菌はさほど必要ではなく、貯水タンク41に貯水された製氷水が殺菌状態を維持できれば十分であるといえる。したがって、電流制御部121は、製氷機1の製氷状態に応じて、紫外線照射装置50から照射される紫外線量を、相対的に多くする制御(「HIGHモード」制御という)と、相対的に少なくする制御(「LOWモード」制御という)と、の二通りで切り替えるように構成されている。換言すれば、製氷機1の製氷状態に応じて、PWM制御回路122Bに指示する目標電流値IaをHIGHモード(H)とLOWモード(L)とで、それぞれ相対的に高い値と低い値とに異ならせるようにしている。
【0053】
また、製氷機1の設置環境によっては、貯水タンク41に送られる水について、UV殺菌するために必要な紫外線の量が異なり得る。
図5は、製氷機1の製氷水をUV殺菌するために必要な紫外線を紫外線照射装置50に発生させるための目標電流値Iaを、製氷機1が設置された環境A~Cに分けて概略的に示した図である。
<環境A> 例えば、発展途上国など上水道の衛生環境が良くなかったり、使用する水に常に菌が混入するような地域では、水を殺菌するために相対的に多量の紫外線が必要となる。そのため、電流制御部121は、
図5中に環境Aとして示すように、より高い紫外線照射量が確保できる範囲において目標電流値Iaを設定し、製氷運転における給水時と給水停止時とでHIGHモードとLOWモードとを切り替えるようにしている。
<環境B> また、先進国などの上水道の衛生環境が良好な地域では、水を殺菌するために必要な紫外線量は相対的に少なくてよい。そのため、電流制御部121は、環境Bとして示すように、環境Aと比較して、相対的に低い紫外線照射量が確保できる範囲において目標電流値Iaを設定するとともに、製氷運転における給水時と給水停止時とでHIGHモードとLOWモードとを切り替えるようにしている。
【0054】
<環境C> その一方で、例えば日本国内の上水道等のように、衛生環境が高く上水道水が飲用に適する程度に清潔であって、かつ、殺菌用の塩素が適量含まれている環境においては、そもそも貯水タンク41に送られる水に照射する紫外線量は相対的に少なくてよい。そのため、環境Cにおいては、製氷運転を実行しているときに貯水タンク41に供給される水を殺菌するための紫外線量は相対的に少なくてよいといえる。逆に、製氷運転を停止(待機を含む)しているときは、貯水タンク41に水が滞留するために雑菌が繁殖しやすく、相対的に多量の紫外線を照射した方がよい場合があり得る。そのため、電流制御部121は、環境Cとして示すように、環境A,Bと比較して、相対的に低い紫外線照射量が確保できる範囲において目標電流値Iaを設定するとともに、製氷運転における給水停止時と給水時とでHIGHモードとLOWモードとを切り替えるようにしている。
【0055】
<環境D> なお、浄水器を通した浄水を貯水タンク41に送る場合は、浄水器のフィルターを所定のフィルター寿命(寿命通水量)を経過しても使用する場合が起こり得ると考えられる。この場合、浄水器のフィルター寿命等に到達するまでは、浄水を殺菌するために必要な紫外線量は少なくてよいものの、フィルター寿命に到達した後であってフィルターを交換するまでの間は、相対的に多量の紫外線によって貯水タンク41内の水をUV殺菌することが好ましい。したがって、電流制御部121は、環境A~Cのいずれにおいても、浄水器を使用している場合であって、フィルター寿命に達していないときには、それぞれの目標電流値Iaを若干低減(例えば-30~-10%)させてLOWモード制御を行い、フィルター寿命に達したときには、それぞれの目標電流値Iaを若干増大(例えば+10~+30%)させてHIGHモード制御を行う。
【0056】
上述のHIGHモードとLOWモードとにおける目標電流値Iaは、紫外線照射装置50が使用する光源の種類、光源の数、製氷機1の使用水量等によって異なるために一概には言えないが、例えば、環境Bにおいて浄水器を使用していない場合は、HIGHモードでの照射強度が0.1mW/cm2~1000mW/cm2となるように、LOWモードでの照射強度が0.1μW/cm2~1000μW/cm2となるように、目標電流値Iaを設定することが例示される。また、例えば、環境Bにおいて浄水器を使用している場合は、HIGHモードでの照射強度が0.13mW/cm2~1300mW/cm2となるように、LOWモードでの照射強度が0.97μW/cm2~970μW/cm2となるように、目標電流値Iaを設定することが例示される。
【0057】
なお、製氷機1の設置環境(例えば、環境A~Cのいずれかと、浄水器の設置の有無)と、その環境におけるHIGHモードおよびLOWモードの目標電流値Iaとの関係は、例えば対照テーブル等として予め記憶部Mに記憶させておくことができ、電流制御部121は、記憶部Mの対照テーブルを参照することで当該製氷機1の設置環境に応じた目標電流値Iaを設定することができる。このHIGHモードとLOWモードとにおける目標電流値Iaは、ユーザが製氷機1の設置環境情報を変更(入力)した後の最初の製氷運転時に設定すればよく、設置環境情報が変更されていない場合は前回使用した目標電流値Iaを継続して使用するようにしてもよい。
【0058】
<制御例1-1>
電流制御部121による紫外線照射装置50の制御の一例について、
図6を参照しつつ説明する。以下は、環境A,Bにおける制御の例である。
製氷機1の主電源SWが入力されて、制御装置100による制御が開始すると、電流制御部121は、予めユーザが入力した製氷機1の設置環境に基づき、当該製氷機1の設置環境に応じたHIGHモードとLOWモードとにおける目標電流値Iaを、記憶部Mに記憶された対照テーブルを参照して設定する(S01)。
その後、電流制御部121は、スイッチング素子Q3をON状態にして開閉器123を閉じ、紫外線照射装置50から紫外線を照射させる(S02)。このときの目標電流値Iaは相対的に低いLOWモードであり、紫外線照射装置50から発生される紫外線の量は相対的に抑制されているものの、貯水タンク41等を殺菌するに適した量の紫外線が発生される。
【0059】
ステップS02の後、例えば製氷運転制御部110による製氷運転が開始され、冷凍ユニット10が駆動された状態で、給水バルブVsが開弁されると(S03でYes)、電流制御部121は、目標電流値Iaを相対的に高いHIGHモードに切り替える(S04)。これにより、紫外線照射装置50から照射される紫外線の量が増大され、貯水タンク41に供給される水に対して十分な量の紫外線を照射し、UV殺菌を実施する。製氷運転が開始されないとき(S03でNo)は、そのままLOWモードでの紫外線の照射が継続される。
【0060】
HIGHモードでの紫外線照射中に、例えば貯水タンク41の水が製氷最高水位にまで達すると、冷凍ユニット10および製氷ユニットが駆動された状態で、給水バルブVsが閉弁される(S05でYes)。このとき、電流制御部121は、目標電流値Iaを相対的に低いLOWモードに切り替える(S06)。これにより、紫外線照射装置50から照射される紫外線の量が低減され、貯水タンク41に貯水されている水に対してUV殺菌状態を維持するのに十分な程度の量の紫外線を照射し、UV殺菌状態を維持しつつ、紫外線照射装置50(光源)の寿命の長大化を図ることができる。
【0061】
ステップS06の後は、再びステップS03に戻り、例えば製氷運転時の貯水タンク41の水位制御に伴う給水バルブVsの開閉に対応して、ステップS06までのHIGHモードとLOWモードとの切り替え制御が繰り返される。
【0062】
<制御例1-2>
なお、環境Cにおける電流制御部121の制御は、例えば
図7に示すものとなる。すなわち、製氷機1の主電源SWが入力されて、制御装置100による制御が開始すると、電流制御部121は、予めユーザが入力した製氷機1の設置環境に基づき、当該製氷機1の設置環境に応じたHIGHモードとLOWモードとにおける目標電流値Iaを、記憶部Mに記憶された対照テーブルを参照して設定する(S11)。このとき、環境Cに設置される製氷機1における目標電流値Iaは、
図5に示すように、HIGHモードであってもLOWモードであっても、環境A、Bなどと比較して相対的に低い値に設定されることとなる。
【0063】
その後、電流制御部121は、スイッチング素子Q3をON状態にして開閉器123を閉じ、紫外線照射装置50による紫外線の照射をLOWモードで開始する(S12)。そして、環境Cにおける電流制御部121の制御は、ステップS13以降が以下のとおり異なる。すなわち、ステップS12の後、例えば製氷運転制御部110による製氷運転が開始され、給水バルブVsが開弁されて貯水タンク41への給水が始まっても、LOWモードでの紫外線の照射が継続される。そして、貯水タンク41への給水が完了し、給水バルブVsが開弁状態から閉弁されると(S13でYes)、電流制御部121は、目標電流値Iaを相対的に高いHIGHモードに切り替える(S14)。これにより、貯水タンク41に残された水はその場に留まり雑菌が繁殖しやすい状況となり得るものの、紫外線照射装置50からHIGHモードで紫外線が照射されることによって、かかる雑菌の繁殖が抑制される。
【0064】
その後、再び給水バルブVsが開弁されて貯水タンク41への給水が始まると(S15でYes)、貯水タンク41での水の滞留が解消される。そのため、電流制御部121は、目標電流値Iaを相対的に低いLOWモードに切り替える(S16)。これにより、紫外線照射装置50から照射される紫外線の量が低減され、貯水タンク41に貯水されている水に対してUV殺菌状態を維持するのに十分な程度の量の紫外線を照射し、UV殺菌状態を維持しつつ、紫外線照射装置50(光源)の寿命の長大化を図ることができる。
【0065】
以上記載したように、実施形態1に係る製氷機1は、製氷水を凍結させて氷を製造する製氷部5と、製氷部5において製造された氷を貯留するための貯氷部30と、少なくとも製氷部5に製氷水を給排水するための給排水機構40と、を備えて構成され、貯水タンク41(給排水機構40)に、紫外線を照射して殺菌するための紫外線照射装置50が備えられているとともに、少なくとも製氷が行われている間は紫外線照射装置50から紫外線を照射させるとともに、製氷部5の駆動状態に応じて、紫外線照射装置50からの紫外線の照射量を制御する電流制御部121(制御装置100の一例)を備えている。このような構成によると、少なくとも製氷が行われている間(製氷待機時間を含む)は紫外線が照射されているため、製氷の開始から終了に亘って製氷水をUV殺菌できるとともに、UV殺菌状態を維持することができる。そして、紫外線照射装置からの紫外線の照射量が必要に応じて増減されるため、紫外線照射装置の寿命を無駄に消費することなく長大化させることができ、経済的であるとともにメンテナンスの手間を削減することができる。
【0066】
また、電流制御部121は、給水バルブVsが開弁しているときは、紫外線照射装置50からの紫外線の照射量を増大させ、給水バルブVsが閉弁しているときは、紫外線照射装置50からの紫外線の照射量を低減させる構成を備えている。このような構成によると、貯水タンク41に供給される水がUV殺菌を要する場合に、紫外線照射装置50からの紫外線の照射量を好適に制御することができる。また、電流制御部121は、紫外線照射装置50からの紫外線の照射量を低減した状態で駆動させるとともに、給水バルブVsが開弁状態から閉弁したときは、給水バルブVsが閉弁状態にある間、紫外線照射装置50からの紫外線の照射量を増大させる構成を備えている。このような構成によると、貯水タンクに供給される水が十分に殺菌されている場合であって、水が貯水タンク内に滞留しているときにUV殺菌を要する場合に、紫外線照射装置からの紫外線の照射量を好適に制御することができる。
【0067】
以上の多様な制御は、当該製氷機1の設置環境に適したいずれか一方が実行される。すなわち、電流制御部121は、当該製氷機1の設置環境に応じて、紫外線照射装置50からの紫外線の照射量を減少させたり増大させたりする構成を備えている。このような構成によると、製氷機1が設置される環境を考慮しつつ、紫外線照射装置50からの紫外線の照射量を好適に制御することができる。また、電流制御部121は、紫外線照射装置50に供給する電流をPWM制御することにより、紫外線照射装置50からの紫外線の照射量を減少させたり増大させたりする構成を備えている。このような構成によると、紫外線照射装置50に供給する電流量を、電圧を変化させることなく、高速スイッチングによって適切に制御することができる。また、紫外線照射装置50の光源がLEDである場合は、LEDの発光波長を変化させることなく紫外線の照射量を制御できるために好ましい。
【0068】
≪実施形態2≫
実施形態2の製氷機201について、
図8および
図9を参照しつつ説明する。製氷機201は、
図8に示すように、貯水タンク41の蓋体43に備えられる紫外線照射装置50に加えて、貯氷部30の蓋体33にも紫外線照射装置250を備えている。紫外線照射装置250は、実施形態1の紫外線照射装置50と同様の構成であり、制御装置100に電気的に接続されている。また、円盤状の氷量センサ235には、紫外線照射装置250に干渉することなく上下方向に変位できるように、紫外線照射装置250に対応する位置に干渉除け孔部235Bが設けられている。製氷部5、貯氷部30、および給排水機構40のその他の構成については実施形態1の製氷機1と同様であるため、同じ符号を付して説明を省略する(実施形態3以下でも同様である)。
【0069】
本実施形態の紫外線照射制御部120は、
図4に示すように、電流制御部221と、電子回路部122と、をさらに含み、電子回路部122は基板に実装されるなどして紫外線照射装置250の近傍に配されている。電子回路部122の構成および動作は、実施形態1と同様であり、電流制御部221がPWM制御回路122Bに対して出力する目標電流値Iaに関する情報と出力のタイミングが、実施形態1における電流制御部121とは異なっている(実施形態3以下でも同様である)。
【0070】
すなわち、電流制御部221は、製氷機201の貯氷部30内における氷の撹拌状態に応じて、紫外線照射装置250に供給すべき目標電流値Iaに関する情報を、PWM制御回路122Bに対して出力する。具体的には、ストッカ31内において氷が静止してるときは、紫外線照射装置250は、紫外線照射装置250に向かう氷の表面にしか紫外線を照射することができないため、相対的に少ない量の紫外線を照射すれば表面に位置する氷をUV殺菌することができる。しかしながら、ストッカ31内においてアジテータ36が駆動してストッカ内に貯留された氷を撹拌しているときは、紫外線照射装置250に対して露出される氷および氷の表面が様々に入れ替わるため、これらをUV殺菌するには相対的に多量の紫外線を照射することが好ましい。
【0071】
したがって、電流制御部221は、製氷機201が製氷運転(待機を含む)を行っているときであって、駆動部27がアジテータ36を駆動させているときには、PWM制御回路122Bに指示する目標電流値Iaを相対的に高い値とし、紫外線照射装置250をHIGHモードで制御することによって、紫外線照射装置250から照射する紫外線の量を増大させるようにしている。また、電流制御部221は、製氷機201が製氷運転(待機を含む)を行っているときであって、ストッカ31内においてアジテータ36が駆動せずにストッカ内に貯留された氷が静止しているときには、PWM制御回路122Bに指示する目標電流値Iaを相対的に低い値とし、紫外線照射装置250をLOWモードで制御することによって、紫外線照射装置250が照射する紫外線の量を低減させるようにしている。
【0072】
なお、ストッカ31内における氷の状況(撹拌の有無)に対応した上述のHIGHモードとLOWモードとにおける目標電流値Iaは、製氷機201におけるストッカ31の大きさや、氷の撹拌状態(氷の形状およびアジテータの形状等)、紫外線照射装置250が使用する光源の種類、光源の数等によって異なるために一概に定めることはできないが、製氷機201および紫外線照射装置250の構成を勘案して適宜定めることができる。また、HIGHモードとLOWモードとにおける目標電流値Iaは、例えば対照テーブル等として予め記憶部Mに記憶させておくことができ、電流制御部221は、記憶部Mの対照テーブルを参照することで当該製氷機201の構成に応じた目標電流値Iaを設定することができる。
【0073】
<制御例2>
電流制御部221による紫外線照射装置250の制御の一例について、
図9を参照しつつ説明する。
製氷機201の主電源SWが入力されて、制御装置100による制御が開始すると、電流制御部221は、スイッチング素子Q3をON状態にして開閉器123を閉じ、紫外線照射装置250から紫外線を照射させる(S21)。このときの目標電流値Iaは相対的に低いLOWモードであり、紫外線照射装置250から発生される紫外線の量は相対的に抑制されているものの、ストッカ31内を殺菌するに適した量の紫外線が発生される。
【0074】
ステップS21の後、例えば製氷運転制御部110による製氷運転が開始され、冷凍ユニット10により製氷部が製氷温度にまで冷却されて、製氷ユニット20が駆動すると、製氷された氷はオーガ22の回転に伴ってストッカ31に送られる。ここで、この製氷機201においては、駆動部27がオーガ22を回転させることに伴ってアジテータ36が回転駆動されるため(S22でYes)、ストッカ31内に送られた氷は製氷が行われている間(すなわちオーガ22が回転している間)はアジテータ36によって撹拌される。このとき、電流制御部221は、目標電流値Iaを相対的に高いHIGHモードに切り替える(S23)。これにより、紫外線照射装置250から照射される紫外線の量が増大され、ストッカ31に送られるとともにストッカ31内で撹拌されている氷に対して十分な量の紫外線を照射し、UV殺菌を行うことができる。製氷運転が開始されないとき(S22でNo)は、そのままLOWモードでの紫外線の照射が継続される。
【0075】
HIGHモードでの紫外線照射中に、例えば氷量センサ35によってストッカ31内に氷が満氷状態で貯留されていることが検知されると、冷凍ユニット10が駆動された状態で、製氷ユニット20が停止される。換言すれば、冷凍ユニット10が駆動された状態で、アジテータ36の回転駆動が停止される(S24でYes)。このとき、電流制御部221は、目標電流値Iaを相対的に低いLOWモードに切り替える(S25)。これにより、紫外線照射装置250から照射される紫外線の量が低減され、ストッカ31内で静止状態で貯留されている氷に対してUV殺菌状態を維持するのに十分な程度の量の紫外線を照射し、UV殺菌状態を維持しつつ、紫外線照射装置250(光源)の寿命の長大化を図ることができる。
ステップS25の後は、再びステップS22に戻り、ストッカ31内のアジテータ36の駆動に対応して、ステップS25までのHIGHモードとLOWモードとの切り替え制御が繰り返される。
【0076】
上記の構成によると、貯氷部30に氷を撹拌するアジテータ36(撹拌部材)と、氷に向けて紫外線を照射する紫外線照射装置250とが備えられているとともに、アジテータ36による氷の撹拌の有無に応じて、紫外線照射装置250からの紫外線の照射量が増減される。これにより、ストッカ31およびストッカ31内の氷に対してUV殺菌することができる。また、アジテータ36を駆動させて氷を撹拌しているときに紫外線照射装置250からの紫外線の照射量を増大させ、アジテータ36が停止しているときは紫外線の照射量を低減させることで、効率よく氷をUV殺菌することができる。
【0077】
≪実施形態3≫
実施形態3の製氷機301について、
図10および
図11を参照しつつ説明する。製氷機301は、
図10に示すように、実施形態1の製氷機1と比較して給排水機構40の構成がやや異なっている。すなわち、シリンダ21の排水口に接続された第1排水路D1には、排水口のすぐ下流側に送液ポンプPmが介装されている。そして第1排水路D1は、送液ポンプPmよりも下流側において、循環路D11と分岐排水路D12とに分岐されている。循環路D11については、貯水タンク41の蓋体43に設けられた還流水口に接続され、貯水タンク41に繋がっている。一方の分岐排水路D12は、排水バルブVdを介して第2排水路D2に接続されおり、排水バルブVdが開放されることによって、第1排水路D1内の水が分岐排水路D12を通じて第2排水路D2に流れるようになっている。また、排水バルブVdが閉鎖されることで、第1排水路D1は循環路D11にのみ連通され、排水バルブVdを閉弁した状態で送液ポンプPmを駆動させることによって、シリンダ21内の水を貯水タンク41にまで環流させることができ、貯水タンク41、第2給水路S2、シリンダ21、第1排水路D1、循環路D11、および貯水タンク41と繋がる循環経路(環流路)が構築される。ここで、第2給水路S2の途中に、紫外線照射装置350が設けられている。紫外線照射装置350は、実施形態1の紫外線照射装置50と同様の構成であり、制御装置100に電気的に接続されている。
【0078】
本実施形態の制御装置100において、製氷運転制御部110は、製氷機301の各部を制御して、以下の製氷運転を実施する。また、紫外線照射制御部120は、
図4に示すように、電流制御部321と、電子回路部122と、をさらに含み、電子回路部122は基板に実装されるなどして紫外線照射装置350の近傍に配されている。
【0079】
製氷運転制御部110は、実施形態1の製氷運転制御部110と同様に、まず、冷凍ユニット10を駆動させてシリンダ21の製氷部分を所定の製氷温度にまで冷却させたのち、氷量センサ35によってストッカ31内に氷が製氷制限量である満氷状態で貯留されているかどうかを確認しながら、製氷ユニット20および給排水機構40を駆動して製氷を実行する。そして、氷量センサ35によってストッカ31の満氷状態が検知されると、製氷は待機される。また、氷が消費されることに伴い、ストッカ31の貯氷量が所定の運転再開位置にまで低減したことを氷量センサ35が検知すると、製氷運転が再開されるようになっている。
【0080】
また、製氷運転制御部110は、上記の製氷が行われている間、貯水タンク41の貯水レベルが所定の製氷最低水位にまで下降すると、給水バルブVsを開弁し、貯水レベルが製氷最高水位にまで上昇すると給水バルブVsを閉弁する、という水位制御を続ける。そして、製氷運転制御部110は、ストッカ31が満氷状態で製氷が待機されているとき(換言すれば、冷凍ユニット10が駆動しているが駆動部27が停止しているとき)、所定の時間ごとに送液ポンプPmを一定時間駆動させて、循環経路内の水を循環させることで、循環経路内の水の滞留を抑制するように構成されている。
【0081】
電流制御部321は、製氷機301の送液ポンプPmの駆動に応じて、紫外線照射装置350に供給すべき目標電流値Iaに関する情報を、PWM制御回路122Bに対して出力する。換言すれば、電流制御部321は、製氷機301が循環経路内の水を循環させている間は、循環されている製氷水のUV殺菌の必要性がより高い状況であると判断して、紫外線照射装置350からの紫外線の照射量を高めるように制御する。例えば、製氷機301が製氷を実行している間であって、冷凍ユニット10および駆動部27を駆動しているものの送液ポンプPmが停止しているときは、紫外線照射装置350からの紫外線照射領域を通過する製氷水の流速が相対的に遅いため、PWM制御回路122Bに指示する目標電流値Iaを相対的に低い値とし、紫外線照射装置350をLOWモードで制御することによって、紫外線照射装置350からの紫外線の照射量を相対的に低減させる。また、電流制御部321は、製氷機301が製氷を待機しているときであって、冷凍ユニット10は駆動しつつ駆動部27を停止させ、送液ポンプPmを駆動させているときは、紫外線照射装置350からの紫外線照射領域を通過する製氷水の流速が速くなるためPWM制御回路122Bに指示する目標電流値Iaを相対的に高い値とし、紫外線照射装置350をHIGHモードで制御することによって、紫外線照射装置350からの紫外線の照射量を増大させるようにしている。
【0082】
なお、循環経路内の水の循環に伴う上述のHIGHモードとLOWモードとにおける目標電流値Iaは、循環経路内の単位時間あたりの水の流量や、紫外線照射装置350が使用する光源の種類、光源の数等によって異なるために一概に定めることはできないが、製氷機301および紫外線照射装置350の構成を勘案して適宜定めることができる。また、HIGHモードとLOWモードとにおける目標電流値Iaは、例えば対照テーブル等として予め記憶部Mに記憶させておくことができ、電流制御部321は、記憶部Mの対照テーブルを参照することで当該製氷機301の構成に応じた目標電流値Iaを設定することができる。
【0083】
<制御例3>
電流制御部321による紫外線照射装置350の制御の一例について、
図11を参照しつつ以下に説明する。
製氷機301の主電源SWが入力されて、制御装置100による制御が開始すると、電流制御部321は、予めユーザが入力した製氷機1の設置環境に基づき、当該製氷機301の設置環境に応じたHIGHモードとLOWモードとにおける目標電流値Iaを、記憶部Mに記憶された対照テーブルを参照して設定する(S31)。その後、スイッチング素子Q3をON状態にして開閉器123を閉じ、紫外線照射装置350から紫外線を照射させる(S32)。このときの目標電流値Iaは相対的に低いLOWモードであり、紫外線照射装置350から発生される紫外線の量は相対的に抑制されているものの、第2給水路S2およびここを流れる水を殺菌するに適した量の紫外線が発生される。
【0084】
ステップS32の後、例えば製氷運転制御部110による製氷運転が開始される。すなわち、冷凍ユニット10により製氷部分が製氷温度にまで冷却されて、製氷ユニット20が駆動し、製氷された氷はストッカ31に送られる。ここで、氷量センサ35によってストッカ31内の氷が満氷状態であると判断されると、駆動部27の駆動が停止され、所定の時間ごとに送液ポンプPmが一定時間駆動して、循環経路内を水が循環する。このとき、電流制御部321は、送液ポンプPmが駆動すると(S33でYes)、目標電流値Iaを相対的に高いHIGHモードに切り替える(S34)。これにより、紫外線照射装置250から照射される紫外線の量が増大されて、循環経路内を循環する水に対して十分な量の紫外線を照射しすることができる。電流制御部321は、送液ポンプPmが駆動されないとき(S33でNo)は、そのままLOWモードで紫外線の照射を継続する。
【0085】
HIGHモードでの紫外線照射中に、送液ポンプPmが駆動を停止すると(S35でYes)、電流制御部321は、目標電流値Iaを相対的に低いLOWモードに切り替える(S36)。これにより、紫外線照射装置350から照射される紫外線の量が低減され、循環経路内に滞留する水に対して適した量の紫外線を照射しすることができる。ステップS36の後は、再びステップS33に戻り、送液ポンプPmの駆動に対応して、ステップS36までのHIGHモードとLOWモードとの切り替え制御が繰り返される。
【0086】
上記の構成によると、給排水機構40は、貯水タンク41と、第2給水路S2(製氷給水路)と、第2給水路S2とは別に設けられ、貯水タンク41とシリンダ21(製氷部5)とを接続し、シリンダ21の水を貯水タンク41に環流させるための第1排水路D1および循環路D11(環流路)と、第1排水路D1に設けられ第1排水路D1の水を貯水タンク41に送る送液ポンプPmと、を備え、給排水機構40においては、貯水タンク41、第2給水路S2、第1排水路D1および循環路D11によって循環経路が形成されているとともに、紫外線照射装置350はこの循環経路に備えられている。そして、電流制御部321は、送液ポンプPmが駆動しているときに、紫外線照射装置350からの紫外線の照射量を増大させ、送液ポンプPmが駆動していないときに、紫外線照射装置350からの紫外線の照射量を低減させる構成を備えている。これにより、循環経路に設けられた紫外線照射装置350の照射領域の水が滞留しているか、もしくは水の流速が比較的遅いときには、照射する紫外線の量を相対的に少なくして紫外線照射装置350の寿命の長大化を図り、照射領域を多量の水が通過するときには十分な量の紫外線を照射して、循環水に対して効率よくUV殺菌することができる。
【0087】
≪実施形態4≫
実施形態4の製氷機401について、
図12を参照しつつ説明する。製氷機401の製氷部5、貯氷部30、および給排水機構40の構成については、実施形態1の製氷機1と同様の構成である。本実施形態の製氷機401は、電流制御部421(
図4参照)がPWM制御回路122Bに対して出力する目標電流値Iaに関する情報が、実施形態1における電流制御部121とは異なっている。
【0088】
すなわち、実施形態1の製氷機1における電流制御部121は、給水バルブVsの開閉に伴い紫外線照射装置50に送る電流をHIGHモードとLOWモードとで切り替え、PWM制御回路122Bに対して出力する目標電流値Iaに関する情報をHIGHモードとLOWモードとで異ならせていた。ところで、紫外線照射装置50は通電に伴い劣化することから、一般に、紫外線光源からの紫外線の照射量は電流に比例するものの、一定電流下における紫外線の照射量は時間に対して指数関数的に減少するという特徴がある。そこで、本実施形態の電流制御部421は、貯水タンク41に備えられた紫外線照射装置50から、貯水タンク41内の水に対して紫外線を照射するとき、所定の時間ごとに紫外線照射装置50の使用開始からの通算照射時間Ttを算出し、通算照射時間Ttが増大しても紫外線照射装置50から実際に照射される紫外線量が維持されるように、PWM制御回路122Bに対して出力する目標電流値Iaを通算照射時間Ttの増大に合わせて増加させるようにしている。また、電流制御部421は、紫外線照射装置50の通算照射時間Ttが紫外線照射装置50の寿命に達したときに、ユーザに当該紫外線照射装置50が寿命であることを報知するようにしている。通算照射時間Ttの計測に際しては、例えば目標電流値Iaを再計算するたびに、再計算までの時間を積算することで、通算照射時間Ttを得るとよい。再計算時の通算照射時間Ttは記憶部Mに記憶することができる。
【0089】
紫外線照射装置50は、例えば、光束(照度)維持率が70%となる時間を寿命と考えることができる。そこで、一例として、光束(照度)維持率70%時間が通算照射時間として1万時間の紫外線照射装置50であれば、電流制御部421は、紫外線照射装置50の最初の使用時(Tt=0)の目標電流値Iaを定格電流の70%としておき、通算照射時間が1万時間となったときの目標電流値Iaが定格電流の100%となるように、通算照射時間に応じて目標電流値Iaを徐々に増加させるようにしている。ここで例えば、紫外線照射装置50の光源がUV-LEDである場合、所定の電流値Ixにおける紫外線照射量Qxは、通算照射時間Txの関数として下式(1)で表すことができる。なお式中、Cは光源(UV-LED)によって定まる比例定数であり、τは照度低下の時定数である。
Qx=Ix×C×exp(-Tx/τ) …(1)
【0090】
したがって、例えば、初期状態T0において電流I0でUV-LEDから照射される紫外線量を、通算照射時間Txにおいて維持するための紫外線照射装置50の電流値Ixは、次式(2)で表すことができる。
Ix=I0×exp(Tx/τ) …(2)
同様に、UV-LED光源の最大照射時間をTlifeとすると、初期状態T0において電流I0でUV-LEDから照射される紫外線量を、最大照射時間Tlifeにおいて維持したときの紫外線照射装置50の電流Ilifeは、次式(3)で表すことができる。
Ilife=I0×exp(Tlife/τ) …(3)
この式(3)から、光源の寿命末期で所望の照射量Qxの紫外線を照射させるための電流Ilifeが、光源の最大定格電流以下であるような光源を選定した上で、電流制御部421は、通算照射時間Txに応じて所定の照射量Qxの紫外線が照射されるような電流値Ixを、目標電流値Iaとして設定する。紫外線照射装置50についての照度低下の時定数τ、目標電流値Iaの初期値(定格電流の70%)等は、予め記憶部Mに記憶することができる。
【0091】
<制御例4>
電流制御部421による紫外線照射装置50の制御の一例について、
図12を参照しつつ以下に説明する。
製氷機401に最初に主電源SWが入力されて、制御装置100による制御が開始すると、電流制御部421は、使用する紫外線照射装置50に応じた目標電流値Iaの初期値を、記憶部Mに記憶された対照テーブルを参照して設定する(S41)。次いで、電流制御部421は、スイッチング素子Q3をON状態にして開閉器123を閉じ、紫外線照射装置50から紫外線を照射させる(S42)。
【0092】
ステップS42の後、例えば製氷運転制御部110による製氷運転が開始される。電流制御部421は、所定の時間ごとに、紫外線照射装置50の通算照射時間Txを算出し、記憶部Mに記憶する(S43)。また、電流制御部421は、その通算照射時間Txにおいて紫外線照射量Qxを維持するために必要な電流値Ixを算出し、得られた電流値Ixを目標電流値Iaとして再設定するとともに、PWM制御回路122Bに対して出力する(S44)。このような目標電流値Iaの再設定は、通算照射時間Txが紫外線照射装置50のいわゆる寿命(光束維持率70%時間)と判断される(S47でYes)まで繰り返される。ただし、この間、製氷運転制御部110による製氷運転が終了したり、主電源SWが切断されるなどして、紫外線照射装置50がOFF状態となり(S45でYes)、電流が供給されないこともあり得る。その場合は、紫外線照射装置50の通算照射時間Txの計測は中断され、再び紫外線照射装置50がON状態となったときに(S46でYes)、ステップS43に戻って、引き続き紫外線照射装置50の通算照射時間Txの計測が再開される。
【0093】
また、電流制御部421は、通算照射時間Txが紫外線照射装置50の寿命となると(S47でYes)、例えば表示部152において紫外線照射装置50が寿命に至った旨を表示するなどしてユーザに報知する(S48)。上記の構成によると、電流制御部421は、紫外線照射装置50からの紫外線の照射時間を計測するタイマTを備えているとともに、通算照射時間(照射時間)に応じて紫外線照射装置50からの紫外線の照射量を増大させる構成を備えている。これにより、紫外線照射装置50の寿命に近づいたときに、寿命による発光量の低減を補うように紫外線照射装置50に供給する電流量を増大することができる。その結果、紫外線照射装置50の経時劣化にかかわらず、例えば紫外線照射装置50(光源)の寿命に近づいたときでも、必要な量の紫外線を適切に照射することができる。また、紫外線照射装置50が寿命に至ったときは、その旨をユーザに報知することができ、紫外線照射装置50によるUV殺菌が実施されない事態を回避することができる。
【0094】
≪実施形態5≫
実施形態5の製氷機501について、
図13を参照しつつ説明する。実施形態5の製氷機501は、実施形態4の製氷機401における電流制御部421の動作を一部改変したものである。すなわち、実施形態4の電流制御部421は、紫外線照射装置50の通算照射時間TxをタイマTによって計時するとともに、ステップS47において、通算照射時間Txが紫外線照射装置50の寿命となったかどうかを判断していた。これに対し、実施形態5では、電流制御部521(
図4参照)は、通算照射時間Txが紫外線照射装置50の寿命よりも所定時間だけ前の予告時間に至ったかどうかを判断する(S51)。そして通算照射時間Txが予告時間となったとき、電流制御部521は、例えば表示部152において所定のエラーメッセージを表示するなどして、紫外線照射装置50が交換時期に至った旨をユーザに報知する(S52)。その後、電流制御部521は、例えば、通算照射時間Txが寿命に至るまでの間、所定の時間ごとに、紫外線照射装置50が交換されたかどうかを確認する(S53)。ここで、紫外線照射装置50が交換されていれば(S53でYes)、電流制御部521は、通算照射時間TxをゼロにリセットしてステップS41(
図9参照)に戻り、新たな紫外線照射装置50について目標電流値Iaの初期値を記憶部Mに記憶された対照テーブルを参照して設定する(S41)。その一方で、紫外線照射装置50が交換されることなく(S53でNo)、通算照射時間Txが寿命に至ったときは(S55でYes)、電流制御部521は、衛生的な状態で製氷機501を運転することができないと判断し、製氷機501の運転を停止する。
【0095】
上記構成によれば、電流制御部521は、紫外線照射装置50からの紫外線の照射時間を計測するタイマTを備えているとともに、紫外線照射装置50が寿命に至る前の所定のタイミングで、紫外線照射装置50の寿命が近づいたことを報知する構成を備えている。これにより、紫外線照射装置50が寿命に達する前に、ユーザに交換等の適切な対応を促すことができる。その結果、紫外線照射装置50を寿命によって故障させることなく、また、良好な衛生状態を維持して、製氷機501を運転することができる。また、上記構成によれば、電流制御部521は、紫外線照射装置50の寿命が近づいたことを報知したのち、所定の期間において紫外線照射装置50の寿命が回復されなかったときに、当該製氷機501の運転を停止する構成を備えている。これにより、ユーザにより確実に紫外線照射装置50の交換を促すことができる。また、良好な衛生状態が確保できない状態でユーザが製氷機501を運転することを防止することができる。
【0096】
≪実施形態6≫
実施形態6の製氷機601について、
図14を参照しつつ説明する。製氷機601は、製氷部5、貯氷部30、および給排水機構40については、実施形態1の製氷機1と同様の構成である。本実施形態の製氷機601は、電流制御部621(
図4参照)がPWM制御回路122Bに対して出力する目標電流値Iaに関する情報と出力のタイミングが、実施形態1における電流制御部121とは異なっている。
【0097】
すなわち、実施形態1における電流制御部121は、製氷機1の設置環境が環境A,Bのとき、冷凍ユニット10が駆動された状態における給水バルブVsの開閉に伴ってHIGHモードとLOWモードとを切り替え、PWM制御回路122Bに対して出力する目標電流値Iaに関する情報を異ならせていた。換言すれば、貯水タンク41に水が供給されている間、紫外線照射装置50からは、HIGHモードに対応したほぼ一定の照射量の紫外線が発生されていた。しかしながら、紫外線照射装置50において、紫外線の単位面積当たりの照射強度は、紫外線光源からの距離の2乗に反比例するため、紫外線照射装置とUV殺菌の対象との距離が広がるほどUV殺菌の効果は指数関数的に低減するという特徴がある。そこで、本実施形態の電流制御部621は、貯水タンク41に備えられた紫外線照射装置50から、貯水タンク41に供給途中の水に対して紫外線をHIGHモードで照射するとき、紫外線照射装置50の光源と貯水タンク41の水面との距離に応じて、当該距離が遠いときほどより多量の紫外線が発生され、当該距離が近づくにつれて紫外線量が減少されるように、PWM制御回路122Bに対して出力する目標電流値Iaに関する情報を変化させるように構成している。換言すれば、電流制御部621は、水量センサ48によって検知される貯水タンク41の水位が低いときほどより多量の紫外線が発生されるように、PWM制御回路122Bに対して出力する目標電流値Iaに関する情報を変化させる。
【0098】
目標電流値Iaと貯水タンク41の水位との関係は、貯水タンク41の寸法や容量、給水バルブVsを開弁したときの給水速度、紫外線照射装置50が使用する光源の種類や、光源の数等にも依るため、予め、製氷機601ごとに貯水タンク41の水位と目標電流値Iaとの関係を求めておき、例えば対照テーブル等として予め記憶部Mに記憶させておくことができる。そして電流制御部621は、記憶部Mの対照テーブルを参照することで、貯水タンク41の水位が変動するごとに、その水位に適した目標電流値Iaに関する情報をPWM制御回路122Bに対して出力することができる。例えば、電流制御部621は、貯水タンク41の水位を3段階以上に区分し、その水位に応じて段階的に目標電流値Iaを切替えることができ、より好ましくは、電流制御部621は、水量センサ48によって所定のインターバルで貯水タンク41の水位を検知するごとに当該水位に応じて目標電流値Iaを随時制御することができる。
【0099】
<制御例6>
電流制御部621による紫外線照射装置50の制御の一例について、
図14を参照しつつ以下に説明する。以下は、環境A,Bにおける制御の例である。
製氷機601の主電源SWが入力されて、制御装置100による制御が開始すると、電流制御部621は、予めユーザが入力した製氷機1の設置環境に基づき、当該製氷機1の設置環境に応じたLOWモードにおける目標電流値Iaと、HIGHモードにおける目標電流値Iaとの関係を、記憶部Mに記憶された対照テーブルを参照して設定する(S61)。ただし、HIGHモードにおける目標電流値Iaは、貯水タンク41の水位の変化に応じて変化させる。所定の水位に対応するHIGHモード制御時の目標電流値Iaは、後述するステップS64でその時の水位に応じて対照テーブルを参照しながら設定するようにしてもよい。
【0100】
次いで、電流制御部621は、スイッチング素子Q3をON状態にして開閉器123を閉じ、紫外線照射装置50から紫外線を照射させる(S62)。このときの目標電流値Iaは相対的に低いLOWモードであり、紫外線照射装置50から発生される紫外線の量は相対的に抑制されているものの、貯水タンク41等を殺菌するに適した量の紫外線が発生される。
【0101】
ステップS62の後、例えば製氷運転制御部110による製氷運転が開始され、冷凍ユニット10が駆動された状態で、給水バルブVsが開弁されると(S63でYes)、電流制御部621は、目標電流値Iaを相対的に高いHIGHモードに切り替えるとともに、所定の時間ごとに水量センサ48によって検知される貯水タンク41の水位に応じて目標電流値Iaを変化させる(S64)。具体的には、紫外線照射装置50の光源から貯水タンク41内の水面までの距離が大きい場合は、紫外線照射装置50から相対的に多量の紫外線が発生されるように、また、当該距離が小さくなるにつれて相対的に少ない量の紫外線が発生されるように、目標電流値Iaを変化させる。これにより、紫外線照射装置50の光源から貯水タンク41内の水面までの距離を考慮して、所望のUV殺菌効果が得られるように、紫外線照射装置50を制御することができる。製氷運転が開始されないとき(S63でNo)は、そのままLOWモードでの紫外線の照射が継続される。
【0102】
HIGHモードでの上記水位に応じた紫外線の照射は、貯水タンク41の水が製氷最高水位に達するまで継続される。そして貯水タンク41の水が製氷最高水位にまで達すると、冷凍ユニット10および製氷ユニットが駆動された状態で、給水バルブVsが閉弁されるため(S65でYes)、電流制御部621は、目標電流値Iaを相対的に低いLOWモードに切り替える(S66)。これにより、紫外線照射装置50から照射される紫外線の量が低減され、貯水タンク41に貯水されている水に対してUV殺菌状態を維持するのに十分な程度の量の紫外線を照射し、UV殺菌状態を維持しつつ、紫外線照射装置50(光源)の寿命の長大化を図ることができる。ステップS66の後は、再びステップS63に戻り、例えば製氷運転時の貯水タンク41の水位制御に伴う給水バルブVsの開閉と、貯水タンク41の水位とに対応して、ステップS66までのHIGHモードとLOWモードとの切り替え制御が繰り返される。
【0103】
上記の構成によると、電流制御部621は、水量センサ48によって検知される貯水タンク41に貯留されている水の水位が相対的に高くなったときに、紫外線照射装置50からの紫外線の照射量を低減させ、水量センサ48によって検知される貯水タンク41に貯留されている水の水位が相対的に低くなったときに、紫外線照射装置50からの紫外線の照射量を増大させる構成を備えている。これにより、貯水タンク41に設けられた紫外線照射装置50と、貯水タンク41内に貯留された水(水面)との距離に応じて紫外線の照射量を変化させることができる。その結果、紫外線照射装置50と水面との距離に影響されることなく、貯水タンク内の水を好適にUV殺菌することができる。
【0104】
≪実施形態7≫
実施形態7の製氷機701について、
図15および
図16を参照しつつ説明する。製氷機701は、冷凍ユニット10と製氷ユニット20の成形部23より下方の構成は実施形態1の製氷機1と略同じであるが、貯氷部30が製氷ユニット20の下方に配置されており、製氷ユニット20の上端から貯氷部30へ至る氷通路の構成が異なっている。すなわち、製氷ユニット20の成形部23から上方に突出するオーガ22の上端部には、カッタ24が同軸に固定されており、カッタ24がオーガ22と共に回転することで、成形部23から繰出される柱状の氷を所定のピッチでカットする。また、貯氷部30は、略直方体形状の箱型のストッカ31と、このストッカ31の前面に設けられている図示しない氷取出し口を開閉する扉と、を有しており、ストッカ31の上壁には、上下方向に延びる円筒状のシュート25Bの下端が貫通状態で接続されている。そして、製氷ユニット20の上端と、シュート25Bの上端とは、スパウト25Aによって連通されている。スパウト25Aは、カッタ24を覆うように取り付けられており、カッタ24によりカットされた氷はスパウト25A内を水平に移動したのち、シュート25B内を落下して、ストッカ31へと送られる。スパウト25Aおよびシュート25Bは、製氷機701の氷通路を構成している。また、シュート25Bの上下方向の中央付近には、紫外線照射装置750が備えられている。ストッカ31の上壁には、氷量センサ35が備えられている。紫外線照射装置750および氷量センサ35の構成は、実施形態1の紫外線照射装置50および氷量センサ35と同様であり、これらは制御装置100に電気的に接続されている。
【0105】
本実施形態の紫外線照射制御部120は、電流制御部721(
図4参照)がPWM制御回路122Bに対して出力する目標電流値Iaに関する情報と出力のタイミングが、実施形態1における電流制御部121とは異なっている。すなわち、電流制御部721は、製氷機701が製氷を実行することによって製氷された氷が氷通路内を通過しているときに、紫外線照射装置750から照射される紫外線量が相対的に多くなるように、PWM制御回路122Bに出力する目標電流値Iaに関する情報を変化させる(HIGHモード制御)。また、電流制御部721は、製氷機701が製氷を停止していることによって製氷された氷が氷通路を通過しないときには、紫外線照射装置750から照射される紫外線量が相対的に少なくなるように、PWM制御回路122Bに出力する目標電流値Iaに関する情報を変化させる(LOWモード制御)。HIGHモードとLOWモードとにおける目標電流値Iaは、製氷機701の単位時間当たりの製氷量や、紫外線照射装置750が使用する光源の種類、光源の数等によって異なるために一概に定めることはできないが、製氷機701および紫外線照射装置750の構成を勘案して適宜定めることができる。また、HIGHモードとLOWモードとにおける目標電流値Iaは、例えば対照テーブル等として予め記憶部Mに記憶させておくことができ、電流制御部721は、記憶部Mの対照テーブルを参照することで当該製氷機701の構成に応じた目標電流値Iaを設定することができる。
【0106】
<制御例7>
電流制御部721による紫外線照射装置750の制御の一例について、
図16を参照しつつ以下に説明する。
製氷機701の主電源SWが入力されて、制御装置100による制御が開始すると、電流制御部721は、スイッチング素子Q3をON状態にして開閉器123を閉じ、紫外線照射装置750から紫外線を照射させる(S71)。このときの目標電流値Iaは相対的に低いLOWモードであり、紫外線照射装置750から発生される紫外線の量は相対的に抑制されているものの、シュート25B内を殺菌するに適した量の紫外線が発生される。
【0107】
ステップS71の後、例えば製氷運転制御部110による製氷運転が開始され、冷凍ユニット10により製氷部が製氷温度にまで冷却されて、製氷ユニット20が駆動する。すると、製氷された氷はオーガ22の回転に伴ってカッタ24でカットされたのち、スパウト25Aおよびシュート25Bを通じてストッカ31に送られる。電流制御部721は、冷凍ユニット10が駆動した状態で、駆動部27が駆動すると(S72でYes)、製氷された氷がシュート25Bを通過するため、目標電流値Iaを相対的に高いHIGHモードに切り替える(S73)。これにより、紫外線照射装置750から照射される紫外線の量が増大され、シュート25Bを通過する氷に対して十分な量の紫外線を照射し、氷自体をUV殺菌することができる。製氷運転が開始されないとき(S72でNo)は、そのままLOWモードでの紫外線の照射が継続される。
【0108】
HIGHモードでの紫外線照射中に、例えば氷量センサ35によってストッカ31内に氷が満氷状態で貯留されていることが検知されると、冷凍ユニット10が駆動された状態で、駆動部27の駆動が停止される(S74でYes)。このとき、電流制御部721は、目標電流値Iaを相対的に低いLOWモードに切り替える(S75)。これにより、紫外線照射装置750から照射される紫外線の量が低減され、シュート25B内を氷が通過しないときはシュート25Bに対してUV殺菌状態を維持するのに適した量の紫外線を照射し、UV殺菌状態を維持しつつ、紫外線照射装置250(光源)の寿命の長大化を図ることができる。ステップS75の後は、再びステップS72に戻り、駆動部27の駆動に対応して、ステップS75までのHIGHモードとLOWモードとの切り替え制御を繰り返す。
【0109】
上記の構成において、製氷部5は、冷凍ユニット10と製氷ユニット20とを備え、貯氷部30と製氷ユニット20とは、製氷ユニット20において成形された氷が送られる氷通路によって連通されているとともに、紫外線照射装置750は、氷通路(シュート25B)に備えられている。電流制御部721は、冷凍ユニット10が駆動しているときに、紫外線照射装置750からの紫外線の照射量を増大させ、冷凍ユニット10が駆動していないときに、紫外線照射装置750からの紫外線の照射量を低減させる構成を備えている。これにより、製氷後に貯氷部30に送られる途中の氷に対してUV殺菌を行うことができる。また、製氷運転中であって、氷通路を氷が通過しているときに紫外線照射装置750からの紫外線の照射量を増大させることで、効果的に氷をUV殺菌することができる。
【0110】
≪実施形態8≫
実施形態8を、
図17によって説明する。実施形態8の紫外線照射装置850は、上記実施形態1~7のいずれかに開示されたような位置に配されて供給電流の制御が行われているとともに、
図17に示すように、紫外線照射装置850と可視光照射器60とが電気的に直列に接続されることによって故障検知回路FD1を構成している。この故障検知回路FD1は、
図4の電子回路部122の第1相の中間接続点aおよび電流検出抵抗Rから延びる端子a2と、第2相の中間接続点bから延びる端子b2と、の間に接続される。可視光照射器60は、例えば可視光LEDであり(実施形態9以降でも同様である。)、端子a2に接続されている。故障検知回路FD1は、付加的に、分圧抵抗R0がさらに直列に接続されていてもよい。可視光照射器60は、紫外線照射装置850の配置に応じて、この製氷機801を分解することなく筐体3の外側から視認可能な位置(例えば、操作パネル150や、ストッカ31の内部、あるいは、筐体3内のエアフィルタ4の隙間から視認できる位置)に配されている(実施形態9以降でも同様である。)。
【0111】
一般に、紫外線照射装置850から照射される紫外線はヒトの目では視認できず、たとえ紫外線照射装置850が故障していてもユーザは紫外線照射装置850の故障を目視により確認することができない。しかしながら、紫外線照射装置850が上記のとおりの故障検知回路FD1に配されていることで、紫外線照射装置850が断線したときは、可視光照射器60が消灯することによってその断線を視認することができる。また、紫外線照射装置850が短絡したときは、可視光照射器60が著しく明るく点灯することによって、その短絡を視認することができる。これにより、簡単な構成で、ヒトには視認できない紫外線照射装置850の故障を、可視光を通じて目視によって検知することが可能とされる。
【0112】
≪実施形態9≫
実施形態9を、
図18によって説明する。実施形態9の紫外線照射装置950は、上記実施形態1~7のいずれかに開示されたような位置に配されて供給電流の制御が行われている。さらに、紫外線照射装置950は、
図18に示すように、紫外線照射装置950に対し、a接点リレーRL1の一部を構成するコイルC1と、抵抗値が相対的に低い第1抵抗器R11と、が電気的に直列に接続されることによって第1回路が構成されているとともに、a接点リレーRL1の他の一部を構成しコイルC1に電気が流れた時に導通する接点部X1と、抵抗値が相対的に高い第2抵抗器R12と、可視光照射器60と、が電気的に直列に接続されることによって第2回路が構成されており、第1回路に対して第2回路が並列に配されていることで、故障検知回路FD2を構成している。端子a2には、a接点リレーRL1を構成する第1回路のコイルC1と第2回路の接点部X1とが接続されており、端子b2には、第1回路の紫外線照射装置950と第2回路の可視光照射器60とが接続されている。
【0113】
実施形態8においては、紫外線照射装置950と可視光照射器60とを直列に接続することで故障検知回路FD1を構成していたが、現在のところ、UV-LEDは可視光LEDと比較して発光効率が非常に低い。そのため、故障検知回路FD1においてUV-LEDを強く発光させるには、故障検知回路FD1に数100mA程度の比較的高い電流を流す必要があり、これに伴い、UV-LEDとして定格電流値の大きい高価な素子を使用する必要が生じてしまう。これに対し、実施形態9の故障検知回路FD2においては、並列な第1回路と第2回路とにそれぞれ、第1抵抗器R11と第2抵抗器R12とを分圧抵抗として介装している。これにより、紫外線照射装置950を含む第1回路には相対的に大電流(例えば約100~300mA程度)を流し、可視光照射器60を含む第2回路には相対的に小電流(例えば約10~30mA程度)を流すことが可能とされる。また、第1回路と第2回路とは常開接点であるa接点リレーRL1を構築しているため、通常状態において紫外線照射装置950が点灯すれば可視光照射器60も点灯されるため、紫外線照射装置950の点灯を可視光を通じて視認することができる。また、紫外線照射装置950が異常状態に陥って消灯すれば可視光照射器60も消灯されるため、紫外線照射装置950の異常を可視光が見られないことを通じて視認することができる。これにより、ヒトには視認できない紫外線照射装置950の発光状態を、可視光の発光状態を通じてより確実に確認することができる。
【0114】
≪実施形態10≫
実施形態10を、
図19によって説明する。実施形態10の紫外線照射装置1050は、上記実施形態1~7のいずれかに開示されたような位置に配されて供給電流の制御が行われている。さらに、紫外線照射装置1050に対し、b接点リレーRL2の一部を構成するコイルC2が電気的に直列に接続されることによって第1回路が構成されているとともに、b接点リレーRL2の他の一部を構成しコイルC2に電気が流れた時に開放される接点部X2と、警報器Bzと、が電気的に直列に接続されることによって第2回路が構成されており、第1回路に対して第2回路が並列に配されていることで、故障検知回路FD3を構成している。端子a2には、b接点リレーRL2を構成する第1回路のコイルC2と第2回路の接点部X2とが接続されており、端子b2には、第1回路の紫外線照射装置1050と第2回路の警報器Bzとが接続されている。第1回路には、例えばコイルC2と紫外線照射装置1050との間に、付加的に、分圧抵抗R0がさらに直列に接続されていてもよい。
【0115】
製氷機1001の製氷部5、貯氷部30、および給排水機構40のいずれかの場所に紫外線照射装置1050を取り付ける場合、電子回路部122や故障検知回路FD3の可視光照射器60は、製氷機1001の筐体3の外側から視認できる位置に取り付けられない場合も生じ得る。上記の構成によると、紫外線照射装置1050を含む第1回路と警報器Bzを含む第2回路とを並列にするとともに、第1回路と第2回路とで常閉接点であるb接点リレーRL2を構築しているため、通常状態において紫外線照射装置1050に電流が流れて点灯しているときには、b接点リレーRL2が解放されて警報器Bzには電流は流れない。その一方で、異常状態において紫外線照射装置1050に電流が流れなくなったときには、b接点リレーRL2が常閉状態に戻り、警報器Bzに電流が流れる。警報器Bzがブザーである場合には、ブザー音によって紫外線照射装置の異常が報知される。これにより、製氷機1001を視認できない位置においても、ユーザに紫外線照射装置1050の異常を報知することができる。
【0116】
≪実施形態11≫
実施形態11を、
図20および
図21によって説明する。実施形態11の紫外線照射装置1150は、上記実施形態1~7のいずれかに開示されたような位置に配されて供給電流の制御が行われている。さらに、紫外線照射装置1150は、
図20に示すように、紫外線照射装置1150の温度を計測するサーミスタTh(温度センサの一例)を備えることで、故障検知回路FD4を構成している。サーミスタThは、紫外線照射制御部120に電気的に接続されている。一般に、紫外線照射装置1150は、紫外線を発光させるために供給される電流によって発熱することが避けられない。本実施形態の紫外線照射制御部120は、紫外線照射装置1150に電流の供給を開始してから、紫外線照射装置1150がある程度発熱すると予想される所定の時間が経過したときに、紫外線照射装置1150があらかじめ定められた発熱予想温度にまで発熱しているかどうかを判断することで、紫外線照射装置1150が正常に発光しているかどうかの故障検知を行うようにしている。なお、故障検知回路FD4には、例えば紫外線照射装置1150よりも端子a2の側に、付加的に、分圧抵抗R0がさらに直列に接続されていてもよい。
【0117】
すなわち、
図21に示すように、製氷機1101の主電源SWが入力されて、制御装置100による制御が開始すると、紫外線照射制御部120の電流制御部1121がスイッチング素子Q3をON状態にして開閉器123を閉じる。これにより、紫外線照射装置1150に電流が供給されて、紫外線照射装置1150から紫外線が発光される(LOWモード)(S101)。このとき、紫外線照射制御部120は、サーミスタThによって紫外線照射装置1150に電流の供給を開始したときの初期温度Tmp0を検知するとともに(S102)、タイマTによって紫外線照射装置1150が紫外線の発光を開始してからの照射時間を計時する(S103)。そして、電流の供給開始から所定の時間が経過したとき、紫外線照射制御部120は、サーミスタThによって紫外線照射装置1150の温度Temp1を検知し、初期温度からの上昇温度(Tmp1-Tmp0)が所定の閾値以上であるかどうかを判断する(S104)。そして、紫外線照射装置1150の上昇温度(Tmp1-Tmp0)が所定の閾値以上である場合(S104でYes)は、紫外線照射装置1150が正常に動作していると判断して(S105)、故障検知工程を終了する。一方で、紫外線照射装置1150の上昇温度(Tmp1-Tmp0)が所定の閾値Tmp-thに満たない場合(S104でNo)は、紫外線照射装置1150が正常に動作していない(故障)と判断して(S106)、例えば表示部152において所定のエラーメッセージを表示するなどして、紫外線照射装置1150が正常でない旨をユーザに報知する(S107)。
【0118】
上記構成の製氷機1101は、紫外線照射装置1150の温度を計測するサーミスタTh(温度センサ)を備え、紫外線照射制御部120は、紫外線照射装置1150に電流を供給し始めたときの初期温度Tmp0と、紫外線照射装置1150に電流を供給してから所定時間経過後の温度Tmp1と、の差が所定の温度差(閾値)に満たない場合、紫外線照射装置1150が正常でない旨を報知する構成を備えている。これにより、紫外線照射装置1150の特徴を利用し、簡単な構成によって紫外線照射装置1150が正常に動作していない旨を判断して、ユーザに報知することができる。
【0119】
<他の実施形態>
ここに開示される技術は、上記の実施形態に開示されたものに限定されるものではなく、例えば、以下の態様もここに開示される技術範囲に含まれる。また、ここに開示される技術は、その本質から逸脱しない範囲において種々変更された態様で実施することができる。
【0120】
(1)上記実施形態では、制御装置は、紫外線照射装置からの紫外線の照射量を、HIGHモードとLOWモードの2段階で切り替えるようにしていたが、
図5に示されるように、目標電流値Iaは必要な紫外線照射量に応じて任意に設定することができ、制御装置は、紫外線照射装置からの紫外線の照射量を任意の段階で切り替える構成を備えていてもよい。
(2)上記実施形態において、紫外線照射装置は光源として深紫外線UV-LEDを備えていたが、紫外線照射装置の光源は、紫外線の照射量を変化できるものであれば深紫外線UV-LEDに限定されず、他のUV-LEDや、放電式UVランプ等であってよい。
(3)紫外線照射装置からの紫外線の照射量を可変とする制御装置の構成は、上記実施形態に開示される電子回路部によるものに限定されず、他のPWM制御による電子回路や、比較的長い周期(例えば、0.1~100秒)のON/OFFサイクル制御、トランジスタ素子を用いたリニア制御による電子回路、抵抗値可変手段を用いた電子回路等であってよい。
【0121】
(4)上記実施形態において、貯水タンク41の水位を検知する水量センサ48は超音波センサであったが、水量センサ48は貯水タンク41の水位を検知できればこれに限定されず、例えば、フロートスイッチ、赤外線センサ等であってよい。これにより、貯水タンク41の容量や求められる精度とコスト等に適した水量センサを用いることができる。なお、水量センサ48がフロートスイッチである場合、上記の実施形態3における目標電流値Iaの設定に際し、水量センサ48から水面までの距離dは、次の関係を利用してリニアに推定することができる。
水位低下時:d=d1+d2×tc/Tc
水位上昇時:d=d1+d2×ts/Ts
ただし式中、d1は紫外線光源と製氷最高水位との間の距離であり、d2は製氷最高水位と製氷最低水位との間の距離であり、Tcは当該製氷機601について製氷によって製氷最高水位から製氷最低水位に至るまでの給水停止時間(例えば、複数回測定したときの算術平均値)であり、tcは給水停止(給水バルブVsの閉弁)からの経過時間であり、Tsは当該製氷機601について製氷しながらの給水によって製氷最低水位から製氷最高水位に至るまでの給水時間(例えば、複数回測定したときの算術平均値)であり、tsは給水開始(給水バルブVsの開弁)からの経過時間である。
【0122】
(5)製氷機は、上記実施形態で例示した態様を任意に組み合わせたものであってもよい。例えば、実施形態6のように、紫外線照射装置の光源と水面との距離を考慮して紫外線の照射量を設定する構成は、例えば、HIGHモード制御およびLOWモード制御における目標電流値Iaの設定に適用してもよい。
(6)上記実施形態では、オーガ式の製氷機構を備え、氷を吐出可能な製氷機を主体として開示したが、本技術はこのような製氷機に限定されるものではない。本技術は、例えば流下式、セル式、ドラム式、貯水式等の種々の型式の製氷機にも採用することができる。また、本技術は、氷とともに水等の飲料が供給されるアイスディスペンサや、ティーディスペンサ、コーヒーサーバー、スープサーバー等の多様な飲食物を吐出するディスペンサにも採用することができる。
(7)上記実施形態1の<制御例1-2>において、冷凍ユニット10および製氷ユニット20の駆動中は、製氷のために貯水タンク41内の水が消費されて給水が定期的に行われる。そのため、貯水タンク41の容量と製氷ユニット20による製氷速度との関係によっては、貯水タンク41内の水の滞留が短時間(例えば、1~15分間程度)となり得る。そのような場合は、給水バルブVsが閉弁状態であっても、冷凍ユニット10および製氷ユニット20の駆動中は、電流制御部121は紫外線照射の目標電流値をLowモードとしてもよい。
【符号の説明】
【0123】
1,201,301,401,501,601,701,801,1001,1101…製氷機、5…製氷部、10…冷凍ユニット、20…製氷ユニット、25A…スパウト、25B…シュート、30…貯氷部、31…ストッカ、35,235…氷量センサ、36…アジテータ、40…給排水機構、41…貯水タンク、48…水量センサ、50,250,350,450,750,850,950,1050,1150…紫外線照射装置、100…制御装置、110…製氷運転制御部、120…紫外線照射制御部、121,221,321,421,521,621,721,1121…電流制御部、122…電子回路部、S1…第1給水路、S2…第2給水路、D1…第1排水路、D11…循環路、D12…分岐排水路、D2…第2排水路、D3…第3排水路、D4…本排水路