(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】製氷機
(51)【国際特許分類】
F25C 1/045 20180101AFI20240403BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F25C1/045 A
F16C11/04 G
(21)【出願番号】P 2020151270
(22)【出願日】2020-09-09
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】富永 祐之
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-175494(JP,A)
【文献】特開2010-203705(JP,A)
【文献】実開平1-75620(JP,U)
【文献】特開2020-029976(JP,A)
【文献】特開2019-052788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/045
F16C 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材(20)に軸支されて、製氷部(12)に氷塊を生成する製氷位置と、該製氷部(12)からの氷塊の放出を許容する除氷位置とに傾動する水皿(14)を備え、該水皿(14)は、前記支持部材(20)に設けた支持部(38,40)および水皿(14)に設けた軸支部(44,46)の一方に設けた軸孔(38a,41a)に対し、他方に設けた軸部(50,52)を挿入して軸支されるよう構成された製氷機において、
前記軸支部(46)に支持され、前記軸孔(38a,41a)に対する軸部(50,52)の挿脱方向において、前記支持部(40)に規制部(64)が重なって前記軸孔(38a,41a)からの軸部(50,52)の抜き外しを規制する規制位置と、前記支持部(40)に規制部(64)が重ならずに軸孔(38a,41a)からの軸部(50,52)の抜き外しを許容する解除位置とに移動可能なストッパ(56)を備え、
前記ストッパ(56)を解除位置に位置付けた状態で、前記軸孔(38a,41a)に対する軸部(50,52)の挿脱を行い得るよう構成した
ことを特徴とする製氷機。
【請求項2】
前記軸支部(46)およびストッパ(56)の一方に係合部(60b)が設けられると共に、他方には係合部(60b)が係合可能な被係合部(54b)が設けられ、
前記係合部(60b)および被係合部(54b)は、前記ストッパ(56)を前記規制位置に位置付けた状態で係合可能に構成した請求項1記載の製氷機。
【請求項3】
前記軸支部(46)に形成され、前記規制位置と解除位置とに移動する前記ストッパ(56)を案内可能なガイド孔(54)と、
前記ストッパ(56)に設けたネジ孔(60a)と、
前記ガイド孔(54)に挿通したネジ軸部(58b)を前記ネジ孔(60a)に螺合した状態で、前記軸支部(46)にストッパ(56)をガイド孔(54)に沿って移動可能に取り付けるネジ(58)と、を備え、
前記ガイド孔(54)に沿って移動して規制位置に位置付けたストッパ(56)を、前記ネジ(58)の締め付けによって軸支部(46)に固定するよう構成した請求項1または2記載の製氷機。
【請求項4】
前記ガイド孔(54)は、前記ストッパ(56)の移動方向に延在するスライド部(54a)と、該スライド部(54a)における解除位置側に連通して前記移動方向と交差する方向に延在する位置決め部(54b)と、を備え、
前記ネジ(58)のネジ軸部(58b)が、前記スライド部(54a)から位置決め部(54b)に移動することで、前記ストッパ(56)が前記移動方向と交差する方向に変位するよう構成した請求項3記載の製氷機。
【請求項5】
前記規制部(64)は、前記ストッパ(56)の移動方向と交差する方向に延在し、該規制部(64)における規制位置側の側面は、延在方向の端部に向かうつれて解除位置側に向けて傾斜するよう形成されている請求項1~4の何れか一項に記載の製氷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製氷部に対して水皿を傾動可能に軸支した製氷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多量の氷塊を製造し得る製氷機が、喫茶店やレストラン等の施設その他の厨房において好適に使用されている。製氷機としては、製氷室に設けた製氷小室に対して該製氷小室の開口を閉成した水皿から製氷水を対応的に噴射供給して氷塊を製造し、生成された氷塊を、製氷室に対して離間する方向に水皿を傾動することで落下放出するよう構成した所謂クローズドセルタイプの製氷機構を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示の製氷機は、貯氷室が内部画成された箱体内に、下向きに製氷小室を開口する製氷室が取り付けられる取付枠が設けられ、該取付枠の下面に垂設した前後方向に離間する一対の支持部に、水皿に設けた対応する一対の軸支部を軸支することで、水皿が製氷室(製氷部)に対して上下方向に傾動可能に構成される。具体的には、一対の支持部に、箱体の前後方向に整列して軸孔が夫々設けられ、一方(箱体内の奥側)の軸支部に後側に突出する軸部が固定されると共に、他方(箱体内の手前側)の軸支部には孔部が設けられている。そして、一方の軸支部の軸部を対応する支持部の軸孔に挿入し、他方の軸支部の孔部を対応する支持部の軸孔に前後方向で整列した状態で、軸部の周面から半径方向外側に係止片が突出形成されたシャフトの軸部を軸孔と孔部に挿入することで、水皿が取付枠に傾動可能に軸支される。また、シャフトにおける軸支部の孔部から手前側に突出する軸部に通孔が形成されており、該通孔にスナップピンを挿通して軸部に装着することで、シャフトを抜け止めするよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製氷機の水皿は、製氷水として使用する水道水に含まれる不純物等に起因して経時的に汚れるため、箱体(取付枠)から取り外して清掃等のメンテナンスを随時行う必要がある。特許文献1に開示の製氷機において、シャフトを抜け止めするために用いられるスナップピンは、小さくて取扱い性に劣るため、スナップピンをシャフトに対して着脱する作業中に該スナップピンを誤って落としてしまう恐れがあり、随時行う必要のある水皿のメンテナンスに伴う水皿の取り外しおよび取り付け作業において、スナップピンを落とさないように注意することが必要となる負担の大きな作業を作業者に強いる難点がある。また、箱体の内部における水皿を着脱するための作業スペースは狭く、取扱い性に劣るスナップピンの着脱作業は、作業効率を低下させる要因にもなっている。
【0006】
すなわち本発明は、前述した従来技術に内在する前記課題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、水皿の取り外しおよび取り付け作業が容易で、作業者の負担も軽減できる製氷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1の発明に係る製氷機は、
支持部材に軸支されて、製氷部に氷塊を生成する製氷位置と、該製氷部からの氷塊の放出を許容する除氷位置とに傾動する水皿を備え、該水皿は、前記支持部材に設けた支持部および水皿に設けた軸支部の一方に設けた軸孔に対し、他方に設けた軸部を挿入して軸支されるよう構成された製氷機において、
前記軸支部に支持され、前記軸孔に対する軸部の挿脱方向において、前記支持部に規制部が重なって前記軸孔からの軸部の抜き外しを規制する規制位置と、前記支持部に規制部が重ならずに軸孔からの軸部の抜き外しを許容する解除位置とに移動可能なストッパを備え、
前記ストッパを解除位置に位置付けた状態で、前記軸孔に対する軸部の挿脱を行い得るよう構成したことを要旨とする。
請求項1の発明では、軸支部に支持したストッパを解除位置に移動するだけの簡単な操作で、水皿を支持部材に取り付けたり取り外したりすることができ、水皿の着脱作業の作業効率を向上することができる。また、ストッパを軸支部から取り外す必要はないので、作業中に部品を誤って落としてしまう恐れはなく、作業者の負担を軽減できる。
【0008】
請求項2に係る発明は、
前記軸支部およびストッパの一方に係合部が設けられると共に、他方には係合部が係合可能な被係合部が設けられ、
前記係合部および被係合部は、前記ストッパを前記規制位置に位置付けた状態で係合可能に構成したことを要旨とする。
請求項2の発明では、係合部と被係合部とを係合することで、ストッパを適正な規制位置に簡単に位置決めすることができ、取り付け作業性を向上し得る。
【0009】
請求項3に係る発明は、
前記軸支部に形成され、前記規制位置と解除位置とに移動する前記ストッパを案内可能なガイド孔と、
前記ストッパに設けたネジ孔と、
前記ガイド孔に挿通したネジ軸部を前記ネジ孔に螺合した状態で、前記軸支部にストッパをガイド孔に沿って移動可能に取り付けるネジと、を備え、
前記ガイド孔に沿って移動して規制位置に位置付けたストッパを、前記ネジの締め付けによって軸支部に固定するよう構成したことを要旨とする。
請求項3の発明では、ネジを締め付けたり緩める簡単な作業によって、ストッパを移動したり規制位置に位置決め固定することができ、水皿の着脱作業が容易となる。
【0010】
請求項4に係る発明は、
前記ガイド孔は、前記ストッパの移動方向に延在するスライド部と、該スライド部における解除位置側に連通して前記移動方向と交差する方向に延在する位置決め部と、を備え、
前記ネジのネジ軸部が、前記スライド部から位置決め部に移動することで、前記ストッパが前記移動方向と交差する方向に変位するよう構成したことを要旨とする。
請求項4の発明では、ストッパを解除位置に向けて移動した際に、ネジ軸部が位置決め部に移動してストッパが変位することで、水皿を取り外すことができる状態となったことを作業者に気付かせることができ、狭い作業スペース内でストッパが解除位置に至ったか否か等の確認作業が容易となって作業効率を向上することができる。また、ネジ軸部が位置決め部に位置することで、作業中にストッパが規制位置側に移動するのを規制することができ、作業者がストッパを解除位置に保持しておく手間を省くことができる。
【0011】
請求項5に係る発明は、
前記規制部は、前記ストッパの移動方向と交差する方向に延在し、該規制部における規制位置側の側面は、延在方向の端部に向かうつれて解除位置側に向けて傾斜するよう形成されていることを要旨とする。
請求項5の発明では、規制部における規制位置側の側面を傾斜するよう形成したので、、規制部が支持部と重ならなくなる解除位置までストッパを移動させる量を小さくすることができ、軸支部およびガイド孔におけるストッパの移動方向の長さを短かく抑えることができる。すなわち、狭い作業スペースにおいても、ストッパを他の構成部材に干渉することなく解放位置まで移動することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る製氷機によれば、メンテナンスに伴う水皿の取り外しおよび取り付け作業を容易に行い得ると共に、水皿の着脱作業時における作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例に係る製氷機の製氷機構を示す要部概略側面図である。
【
図2】実施例に係る製氷機において、箱体から天板および上前壁部材を取り外した状態で示す概略斜視図である。
【
図4】実施例に係る取付部材およびストッパを示す概略斜視図である。
【
図5】実施例に係る第2支持部と第2軸支部とによる支持部分を示す概略正面図であって、(a)はストッパを規制位置に位置付けた状態を示し、(b)はストッパを解除位置に位置付けた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る製氷機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、製氷機として、所謂クローズドセルタイプの製氷機構を備えた噴射式自動製氷機を挙げて説明する。また、以下の説明において、
図2に示す製氷機の扉が設けられる側を前側として、前後方向を指称し、左右方向とは、
図2において製氷機を正面から見た左右方向をいう。
【実施例】
【0015】
図1~
図3は、実施例の製氷機を示す概略図である。製氷機は、その本体となる箱体10の内部に貯氷室10aが画成されると共に、箱体10の内部上方には、製氷室(製氷部)12、水皿14および製氷水タンク16等からなる製氷機構18が配設されている。具体的には、箱体10の上部に水平に配置した取付枠(支持部材)20の下方に、下向きに開口する多数の製氷小室(図示せず)を画成した製氷室12が固定支持される。製氷室12の上面には、図示しない冷凍系に連通する蒸発器22が密着的に蛇行配置され、製氷運転時に冷媒を循環させて製氷室12を強制冷却し、除氷運転時に高温冷媒(ホットガス)を循環させて製氷室12を加温するよう構成される。また、製氷室12の直下に水皿14が配設され、この水皿14の下側に、製氷水を貯留する製氷水タンク16が配設されている。
【0016】
前記水皿14は、前記取付枠20の左側に偏った位置に設けられた支持部38,40に対して、水皿14の左側部に設けた軸支部44,46を介して傾動可能に軸支される。また製氷機構18には、水皿14の軸支側と反対側(右側部)に、水皿14を開閉させるためのカム24、アクチュエータモータ26およびコイルばね28等からなる公知の水皿開閉機構30が設けられている。製氷機構18では、製氷運転において水皿14が、
図3に示す如く、水皿開閉機構30によって製氷室12の各製氷小室の下面を塞いだ閉成位置(製氷位置)に保持され、水皿14に配設された製氷水タンク16の製氷水が、製氷水ポンプ32により水皿14から蒸発器22によって冷却された各製氷小室に対して噴射供給されて、該製氷小室(製氷部)に氷塊が生成される。また、製氷機構18では、除氷運転において水皿14が、水皿開閉機構30によって製氷室12から下方へ離間して製氷小室(製氷部)からの氷塊の放出を許容する傾斜姿勢となる開放位置(除氷位置)で保持され、蒸発器22によって加温された製氷小室から離脱した氷塊が水皿14の傾斜した上面に案内されて貯氷室10aに落下するよう構成される。
【0017】
図2に示す如く、前記箱体10の前面には、貯氷室10aの前方に対応して取出口10bを開閉する扉34が開閉可能に設けられ、この扉34を開放することで貯氷室10aに貯留した氷塊を、取出口10bから取り出すことができるよう構成される。また、箱体10の前面には、取出口10bより上側に、前記製氷機構18の前方を覆う上前壁部材36が着脱可能に配設されており、該上前壁部材36を取り外すことで、前記水皿14の着脱作業を製氷機の前方から行い得るよう構成される。なお、箱体10の上部には、図示しない天板が着脱自在に配設される。
【0018】
次に、前記水皿14の支持構造について、詳細に説明する。
図1に示す如く、前記取付枠20には、前後方向(
図1での左右方向)に離間する2つの支持部38,40が、左側に偏って設けられている。ここで、2つの支持部38,40において、箱体内の奥側となる後側に位置する支持部38を第1支持部38と指称し、水皿14の着脱作業に際して作業する側となる手前側となる前側に位置する支持部40を第2支持部40と指称する。第1支持部38は、取付枠20の下面から下方へ延出するように形成された板状部位であって、該第1支持部38には、前後方向に貫通する軸孔38aが形成されている。また、第2支持部40は、前後方向に離間する支え部41および当接部42から構成される。支え部41および当接部42は、取付枠20の下面から下方へ延出するように形成された略矩形状の板状部位であって、板面が互いに対面している。当接部42より前側に位置する支え部41には、前後方向に貫通する軸孔41aが形成されており、該軸孔41aは、第1支持部38の軸孔38aと前後方向に整列している。
【0019】
前記水皿14には、前後方向に離間する2つの軸支部44,46を備えた取付部材48が、左側面(一方の側面)に配設されている。取付部材48は、
図1、
図3、
図4に示す如く、水皿14の左側面に対面して固定される固定部48aと、該固定部48aの前後の縁部から左側方(水皿14から離間する方向)に夫々延出する軸支部44,46とから構成される。すなわち、2つの軸支部44,46は、固定部48aを挟んで前後方向に離間して板面が対面するように形成される。また、2つの軸支部44,46は、水皿14の上面より上側に延出する延出部44a,46aを有している。ここで、2つの軸支部44,46において、箱体内の奥側となる後側に位置する軸支部44を第1軸支部44と指称し、水皿14の着脱作業に際して作業する側となる手前側となる前側に位置する軸支部46を第2軸支部46と指称する。実施例では、取付部材48は、所定厚みの板金における前後部を直角に折曲することで、2つの軸支部44,46を一体で形成してある。
【0020】
図1、
図4に示す如く、前記第1軸支部44の延出部44aに、後方に突出する第1軸部(軸部)50が設けられると共に、前記第2軸支部46の延出部46aに、後方に突出する第2軸部(軸部)52が設けられている。第1軸部50および第2軸部52は、前後方向に軸線を沿わせて軸支部44,46の後面から所定長さで突出しており、前記第1支持部38の軸孔38aに第1軸部50を前側から挿入すると共に、前記第2支持部40における支え部41の軸孔41aに第2軸部52を前側から挿入することで、水皿14が取付枠20に傾動可能に軸支される。なお、第2軸部52の第2軸支部46からの突出寸法は、該第2軸支部46の後面を第2支持部40における支え部41の前面に当接した状態で、該支え部41から後方に突出する第2軸部52が前記当接部42に接触しない長さに設定される。また、実施例では、第2軸部52の第2軸支部46からの突出寸法より、第1軸部50の第1軸支部44からの突出寸法が長く設定されている。
【0021】
図4に示す如く、前記第2軸支部46には、第2軸部52より下側位置に、前後方向に貫通するガイド孔54が設けられ、前記第2支持部40における支え部41の軸孔41aからの第2軸部52の抜け止めを行うストッパ56を、第2軸支部46に対してガイド孔54によって移動可能に案内するよう構成される。ガイド孔54は、左右方向(ストッパ56の移動方向)に所定長さで延在するスライド部54aと、該スライド部54aにおける左端部(ストッパ56の後述する解除位置側)に連通して下側に向けて所定長さで延在(移動方向と交差する方向に延在)する位置決め部(被係合部)54bと、を備える。そして、ストッパ56は、頭部58aからネジ軸部58bが突出する連結手段としてのネジ58によって、第2軸支部46に対して脱落することなく移動可能に取り付けられる。
【0022】
前記ストッパ56は、
図4に示す如く、上下方向(取付枠20に対する第2支持部40の延出方向)に延在し、前記ガイド孔54に挿通したネジ58のネジ軸部58bが螺合されるネジ孔60aが形成された第1面部60と、該第1面部60の上端縁から後方に向けて延在する第2面部62と、該第2面部62の後端縁から上方に向けて延在する規制部64とを備える。ストッパ56は、ガイド孔54に挿通したネジ軸部58bを第1面部60のネジ孔60aに螺合したネジ58を締め付けることで、前記第2軸部52で支え部41に軸支された第2軸支部46における支え部41の下端から延出する後面に第1面部60の前面が当接して、第2軸支部46に位置決め固定される。また、ストッパ56は、ネジ58を緩めることで、ガイド孔54にネジ軸部58bが案内されて、第2軸支部46に対してスライド部54aに沿って左右方向に移動し得ると共に、スライド部54aと位置決め部54bとの間で上下方向に移動し得るよう構成される。規制部64は、ストッパ56を第2軸支部46にネジ58を介して取り付けた状態で、該規制部64が前記第2支持部40における当接部42の後方に臨み得るように、第1面部60の前面からの離間長さが設定されている(
図1参照)。
【0023】
前記ストッパ56は、前記ネジ58によって第2軸支部46に移動可能に取り付けた状態で、前記軸孔38a,41aに対する軸部50,52の挿脱方向である前後方向において、前記当接部42の後方に規制部64が重なる規制位置(
図5(a)参照)と、前記当接部42に規制部64が重ならない解除位置(
図5(b)参照)との間を左右および上下に移動するよう構成される。実施例では、前記ネジ軸部58bをガイド孔54におけるスライド部54aの右端(水皿14に近接する端)まで移動することで、ストッパ56が規制位置に位置付いて、当接部42と規制部64とによって水皿14の前側への移動を阻止して、軸孔38a,41aからの軸部50,52の抜き外しを規制する。また、ネジ軸部58bをスライド部54aの左端(水皿14から離間する端)に連通する位置決め部54bまで移動することで、ストッパ56が解除位置に位置付いて、水皿14の前側への移動を許容して、軸孔38a,41aからの軸部50,52の抜き外しを許容する。すなわち、ストッパ56を解除位置に付けた状態で、軸孔38a,41aに対する軸部50,52の挿脱が可能となり、前記取付枠20(箱体10)に対する水皿14の取り外しおよび取り付けを行い得るよう構成される。
【0024】
前記ストッパ56は、前記第2軸支部46にネジ58によって位置決め固定した状態で、前記規制部64が、第2支持部40における当接部42に当接することなく離間し、第2軸部52が軸孔41aから前側に抜けるのを規制した状態で、軸部50,52を支点とした水皿14の傾動を許容するよう構成される。また、第2軸支部46に対して規制位置でネジ固定したストッパ56の規制部64は、水皿14が開放位置と閉成位置との間を傾動する間(運転変位範囲の間)は常に当接部42の後方に重なって、水皿14(第2軸支部46)の前側への移動を阻止して、前記第2支持部40の軸孔41aから前記第2軸部52が抜けるのを規制するよう構成される。また、ストッパ56を規制位置から左側に移動し、前記ネジ軸部58bが前記スライド部54aから位置決め部54bに移動することで、ストッパ56は移動方向と交差する下側に所定量だけ変位し、該ストッパ56が解除位置に至ったことが分かるよう構成されている。更に、位置決め部54bは、該位置決め部54bにネジ軸部58bが位置することで、ストッパ56の規制位置側への移動を規制する機能を有する。
【0025】
前記ストッパ56の第1面部60には、前記ガイド孔54における位置決め部54bに後側から係合可能な位置決め突部60bが設けられる。この位置決め突部60bの位置は、
図5(a)に示す如く、ストッパ56を前記規制位置に位置付けた状態で位置決め部54bに係合可能な位置に設定されており、位置決め突部60bを位置決め部54bに係合した状態で、ストッパ56を第2軸支部46にネジ固定することで、該ストッパ56を規制位置に位置決め固定し得るよう構成される。なお、第2軸支部46に対してネジ58によって移動可能な状態で取り付けたストッパ56は、位置決め部54bに対して位置決め突部60bを挿脱する量だけ前後方向に移動可能に設定される。
【0026】
ここで、前記ストッパ56の規制部64および該規制部64と協同して前記軸部50,52の抜け止めを行う前記当接部42は、ストッパ56を第2軸支部46に取り付けた状態で、第2面部62および取付枠20に対してストッパ56の移動方向と交差する方向において相反する方向に延出している。そして、規制部64は、
図4、
図5に示す如く、その規制位置側の側面(水皿14に近接する側面)が、第2面部62からの延出方向(延在方向)の端部に向かうつれて解除位置側に向けて傾斜する傾斜面64aとして形成されている。具体的に、規制部64の傾斜面64aは、前記ガイド孔54におけるスライド部54aに対する位置決め部54bの延在方向とは反対の上側に向かうにつれて左側に向けて変位するように傾斜している。このような傾斜面64aを規制部64に形成することで、該規制部64の全体が前記当接部42の後方に重ならない位置に至るまでに必要となるストッパ56の移動量を小さくすることができるようにしてある(
図5(b)参照)。
【0027】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係る製氷機の作用について説明する。前記水皿14を取り付ける場合は、前記第2軸支部46のガイド孔54に前側から挿通した前記ネジ58のネジ軸部58bを、前記ストッパ56のネジ孔60aに緩んだ状態で螺合し、該第2軸支部46に対してストッパ56を移動可能な状態で取り付ける。また、ネジ軸部58bをガイド孔54の位置決め部54bに位置させて、ストッパ56を解除位置に位置付ける。そして、前記第1軸支部44の第1軸部50を、前記取付枠20に設けた第1支持部38の軸孔38aに前側から挿入すると共に、第2軸支部46に取り付けたストッパ56の規制部64が前記第2支持部40の当接部42より後方に位置する状態としたもとで、第2軸支部46の第2軸部52を第2支持部40の軸孔41aに前側から挿入する。これにより、水皿14は、取付枠20に対して傾動可能に軸支される。
【0028】
次に、前記ネジ58のネジ軸部58bを位置決め部54bからスライド部54aに移動するようにストッパ56を持ち上げた後、該ストッパ56を右側(水皿14に近接する方向)に移動すると共に、ストッパ56を第2軸支部46に近接して、前記位置決め突部60bを前記位置決め部54bに係合する。この状態で、前記ネジ58を締め付けることで、該ストッパ56は、前記規制部64が前記当接部42の後方に重なる規制位置に位置決め固定される。第2軸支部46にストッパ56を固定した状態で、該第2軸支部46とストッパ56とは前記第2支持部40(支え部41と当接部42)を前後から挟持しておらず、前記取付枠20に対する水皿14の傾動は許容される。また、第2軸支部46(水皿14)の前側への移動は、規制部64が当接部42に当接することで阻止され、前記第2支持部40の軸孔41aから第2軸部52が抜けるのは規制される。すなわち、水皿14の取り付けは、2つの軸部50,52を前側から対応する軸孔38a,41aに夫々挿入した後、ネジ58を前側から締め付けるだけでよいので、作業性が良好で、作業を行い易い。
【0029】
前記製氷機構18での製氷運転および除氷運転等の運転に際して、前記水皿14は、閉成位置と開放位置との間の運転変位範囲で傾動する。ここで、前記第2軸支部46にネジ固定したストッパ56は、水皿14の傾動につれて前記取付枠20の第2支持部40に対して時計回りまたは反時計回りに回転変位するが、水皿14の運転変位範囲に亘ってストッパ56は、規制部64が前記第2支持部40の当接部42の後方に重なる規制位置に臨んでいるので、水皿14の前側への移動は阻止され、両支持部38,40の軸孔38a,41aから対応する軸部50,52が抜けるのは規制される。
【0030】
前記水皿14を取り外す場合は、
図5(a)に示す如く、該水皿14を開放位置まで傾動変位した状態としたもとで、前記水皿開閉機構30のコイルばね28など、水皿14に連繋されている部品を取り外す。また、前記ネジ58を取り外すことなく緩めて、前記第2軸支部46に対するストッパ56の固定を解除する。そして、第2軸支部46からストッパ56を後側に離間して前記位置決め突部60bを位置決め部54bから抜き外した状態で、該ストッパ56を左側(水皿14から離間する方向)に移動する。
図5(b)に示す如く、前記ネジ58のネジ軸部58bがガイド孔54のスライド部54aに沿って左端まで移動すると、ストッパ56の自重によってネジ軸部58bが前記位置決め部54bに移動することで、ストッパ56は所定量だけ下側に変位する。このとき、ストッパ56は、規制部64が前記当接部42の後方に重ならない解放位置に至り、第2軸支部46の前側への移動が許容される状態となる。この状態で、水皿14を前側に移動することで、両支持部38,40の軸孔38a,41aから対応する軸部50,52が抜けることで、水皿14を取付枠20(箱体10)から取り外すことができる。
【0031】
実施例の製氷機によれば、前記取付枠20における支持部38,40の軸孔38a,41aからの軸部50,52の抜け止めを行うストッパ56を、前記第2軸支部46から取り外すことなく前記水皿14の着脱作業を行うことができる。すなわち、水皿14の着脱作業に際してスナップピン等の小さい部品を取り付けたり取り外したりする作業は必要ないので、部品を落とさないように注意する必要もなく、作業者の負担を低減することができる。また、ストッパ56を左右方向に移動するだけの簡単な操作で、水皿14を取り付けたり取り外したりする作業を行い得るので、狭い作業スペースであっても作業効率を向上することができる。更に、取付枠20に水皿14を取り付ける際に、前記ストッパ56の位置決め突部60bを第2軸支部46の位置決め部54bに係合することで、該ストッパ56を適正な規制位置に簡単に位置決めすることができ、取り付け作業性を向上し得る。更にまた、第2軸支部46に対するストッパ56の固定および固定解除は、前側からネジ58を締め付けたり緩めたりする簡単な作業によって行い得るので、水皿14の着脱作業は容易である。
【0032】
前記ストッパ56を解除位置に向けて移動した際に、前記ネジ58のネジ軸部58bがスライド部54aから位置決め部54bに移動することでストッパ56が所定量だけ下側に変位するので、該ストッパ56が解除位置に至ったことが分かり、作業スペースが狭くて作業部位が前側から見にくい場合であっても、作業者にストッパ56が解除位置に至って水皿14を取り外すことができることを気付かせることができ、ストッパ56が解除位置に至ったか否か等の確認作業が容易となって作業効率を向上することができる。また、水皿14の取り付けや取り外しに際し、ネジ軸部58bを位置決め部54bに位置させておけば、ストッパ56が解除位置から規制位置に移動するのを規制することができるので、ストッパ56が規制位置に移動してしまうのを防ぐために作業者がストッパ56を保持しておく必要はなく、作業性がよい。殊に、実施例のように水皿14の着脱作業に際し、該水皿14を開放位置まで傾動する構成では、作業者がストッパ56を保持していなくても、ストッパ56が勝手に移動して規制位置に戻ってしまうのを防ぐことができる。
【0033】
ここで、前記第2軸部52を第2支持部40の軸孔41aに挿入した第2軸支部46に対し、水皿14を取り外すためには、前記ストッパ56を、規制部64が当接部42の後方に重ならない解除位置まで左側に移動する必要がある。この場合に、実施例の規制部64における右側面は、上側に向かうにつれて解除位置側に向けて傾斜する傾斜面64aとしているので、該規制部64が矩形状の場合に比べてストッパ56を解除位置まで移動させる量を小さくすることができる(
図5(b)参照)。すなわち、第2軸支部46およびガイド孔54におけるストッパ56の移動方向の長さを短かく抑えることができ、狭い作業スペースにおいても、ストッパ56を他の構成部材に干渉することなく解放位置まで移動することができる。更に、ガイド孔54の位置決め部54bにネジ58のネジ軸部58bが移動し、ストッパ56が所定量だけ下側に変位することで規制部64の傾斜面64aは、
図5(b)の二点鎖線位置から実線位置、すなわち当接部42の左端(解除位置側の端)から離間する側に変位するので、ストッパ56を左側に直線的に移動する長さを、より短かく抑えることができる。
【0034】
〔変更例〕
本願は、前述した実施例の構成に限定されるものでなく、その他の構成を適宜に採用することができる。また、以下の各変更例を相互に組み合わせた構成を採用することができる。
(1) 実施例では、取付枠の支持部に軸孔を設けると共に、水皿の軸支部に後方に突出する軸部を設けたが、取付枠の支持部に前方に突出する軸部を設けると共に、水皿の軸支部に軸孔を設け、水皿を箱体内に前側から挿入することで、支持部の軸部が軸支部の軸孔に挿入されて軸支される構成を採用することができる。
(2) 実施例では、ガイド孔は、スライド部と位置決め部とから構成したが、位置決め部を省略し、ネジ軸部がスライド部を左右方向に移動することで、ストッパが規制位置と解除位置とに移動する構成を採用することができる。また、位置決め部を省略した構成において、ストッパに設けた位置決め突部(係合部)が係合可能な孔部や凹部などの被係合部を、ガイド孔とは別に第2軸支部に設ける構成を採用することができる。なお、係合部および被係合部は、ストッパおよび第2軸支部の一方に設けられるものが突部で、他方に設けられるものが孔部や凹部であればよい。
(3) 実施例では、ストッパの規制部は、ストッパの移動方向における水皿に近接する側面を傾斜させた略三角形状としたが、該規制部の形状は、規制位置に位置決め固定した状態で水皿の運転変位範囲において取付枠の第2支持部の後方に重なる形状であればよい。
(4) 実施例では、軸支部を設けた取付部材を水皿に配設する構成としたが、軸支部を水皿に一体形成する構成を採用することができる。
【0035】
(5) 実施例では、第2支持部を、前後方向に離間する支え部と当接部とから構成したが、第2支持部を支え部のみから構成し、ストッパにおける規制部を、第2支持部(支え部)の後方に突出する第2軸部と干渉することなく、該第2支持部(支え部)の後面に当接可能な形状とする構成を採用することができる。また、第2支持部(支え部)の厚みを、第2軸部が後方に突出しない厚みに設定すれば、当接部を設けることなく実施例と同じ形状の規制部によって、第2軸部の抜け止めを行うことができる。
(6) 実施例では、第2軸支部に対してストッパをネジによって移動可能に取り付けるよう構成したが、例えば、ガイド孔のスライド部における延在方向の両端に位置決め部を夫々設け、ガイド孔に挿通した連結部材(連結手段)によって第2軸支部とストッパとを、第2軸支部と規制部とが所定間隔で離間するように連結し、連結部材が一方の位置決め部に位置することでストッパを規制位置に位置付けると共に、連結部材が他方の位置決め部に位置することでストッパを解除位置に位置付ける構成を採用することができる。
(7) 実施例では、水平に配設した製氷室(製氷部)に対して下側に水皿を傾動可能に配置した構成の製氷機を挙げたが、垂直に配設した製氷室(製氷部)に対して側方に水皿を傾動可能に配置した構成の製氷機等、製氷室(製氷部)に対して水皿が傾動可能な構成であれば、公知の各種型式の製氷機であってもよい。
【符号の説明】
【0036】
12 製氷室(製氷部),14 水皿,20 取付枠(支持部材)
38 第1支持部(支持部),38a 軸孔,40 第2支持部(支持部),41a 軸孔
44 第1軸支部(軸支部),46 第2軸支部(軸支部),50 第1軸部(軸部)
52 第2軸部(軸部),54 ガイド孔,54a スライド部
54b 位置決め部(被係合部),56 ストッパ,58 ネジ,58b ネジ軸部
60a ネジ孔,60b 位置決め突部(係合部),64 規制部