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特許7465191磁気ヘッドの評価方法及び磁気ヘッドの評価装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】磁気ヘッドの評価方法及び磁気ヘッドの評価装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/31 20060101AFI20240403BHJP
   G11B 5/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G11B5/31 A
G11B5/31 E
G11B5/31 Z
G11B5/02 R
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020175804
(22)【出願日】2020-10-20
(65)【公開番号】P2022067214
(43)【公開日】2022-05-06
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】首藤 浩文
(72)【発明者】
【氏名】永澤 鶴美
(72)【発明者】
【氏名】高岸 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】成田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】前田 知幸
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-120190(JP,A)
【文献】特開2019-057338(JP,A)
【文献】特開2020-030871(JP,A)
【文献】特開2016-081550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31
G11B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁極と、第2磁極と、磁気素子と、コイルと、を含む磁気ヘッドの前記コイルに第1交流電流を供給し前記磁気素子に第2電流を供給したときに前記磁気素子から得られる電気信号を取得し、前記磁気素子は、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、第1磁性層を含み、
前記電気信号に基づいて、前記第1交流電流の極性が反転する時刻を基準にした、前記磁気素子の電気抵抗の変化に要する時間を検出し、
前記第1交流電流は、第1周波数を有し、
前記電気信号は、前記第1周波数の2倍の第2周波数を有する、磁気ヘッドの評価方法。
【請求項2】
前記変化に要する前記時間の前記検出は、
前記第1交流電流に同期して、前記電気信号を積算することと、
前記積算された前記電気信号の前記第2周波数の成分を取り出すことと、
を含む、請求項1に記載の磁気ヘッドの評価方法。
【請求項3】
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1磁極側非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁極側非磁性層と、
をさらに含む、請求項1または2に記載の磁気ヘッドの評価方法。
【請求項4】
前記第1磁極側非磁性層が第1材料を含み前記第2磁極側非磁性層が第2材料を含む場合、前記第2電流が前記第1磁極から前記第2磁極への第1向きを有し、前記第1材料は、Ta、Pt、W、Ir、Mo、Cr、Tb、Mn及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、前記第2材料は、Cu、Ag、Au、Cr及びRuよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第1磁極側非磁性層が前記第2材料を含み前記第2磁極側非磁性層が前記第1材料を含む場合、前記第2電流が前記第2磁極から前記第1磁極への第2向きを有する、請求項3に記載の磁気ヘッドの評価方法。
【請求項5】
第1磁極と、第2磁極と、磁気素子と、コイルと、を含む磁気ヘッドの前記コイルに、第1交流電流を供給可能な第1回路であって、前記磁気素子は、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、第1磁性層を含む、前記第1回路と、
前記コイルに前記第1交流電流が供給されたときに前記磁気素子に第2電流を供給可能な第2回路と、
前記コイルに前記第1交流電流が供給され前記磁気素子に前記第2電流が供給されたときに前記磁気素子から得られる電気信号を取得し、前記電気信号に基づいて、前記第1交流電流の極性が反転する時刻を基準にした、前記磁気素子の電気抵抗の変化に要する時間を検出可能な第3回路と、
を備え
前記第1交流電流は、第1周波数を有し、
前記電気信号は、前記第1周波数の2倍の第2周波数を有する、磁気ヘッドの評価装置。
【請求項6】
前記第3回路は、積算部を含み、
前記積算部は、前記第1交流電流に同期して、前記電気信号を積算し、前記積算された前記電気信号の前記第2周波数の成分を取り出すことが可能である、請求項5に記載の磁気ヘッドの評価装置。
【請求項7】
前記第3回路は、積算部を含み、
前記積算部は、前記第1交流電流に同期して、前記電気信号を積算する、請求項に記載の磁気ヘッドの評価装置。
【請求項8】
第1磁極と、第2磁極と、磁気素子と、コイルと、を含む磁気ヘッドの前記コイルに、第1交流電流を供給可能な第1回路であって、前記磁気素子は、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、第1磁性層を含む、前記第1回路と、
前記コイルに前記第1交流電流が供給されたときに前記磁気素子に第2電流を供給可能な第2回路と、
前記コイルに前記第1交流電流が供給され前記磁気素子に前記第2電流が供給されたときに前記磁気素子から得られる電気信号を取得し、前記電気信号に基づいて、前記第1交流電流の極性が反転する時刻を基準にした、前記磁気素子の電気抵抗の変化に要する時間を検出可能な第3回路と、
を備え
前記第3回路は、積算部を含み、
前記積算部は、前記第1交流電流に同期して、前記電気信号を積算する、磁気ヘッドの評価装置。
【請求項9】
前記第3回路は、直流交流重畳回路を含み、
前記直流交流重畳回路は、
前記磁気素子と電気的に接続された直流交流ポートと、
前記第2回路と電気的に接続された直流ポートと、
前記積算部に向けて前記電気信号の高周波成分を出力可能な交流ポートと、
を含む、請求項7または8に記載の磁気ヘッドの評価装置。
【請求項10】
前記第3回路は、増幅器を含み、
前記増幅器は、前記交流ポートから前記高周波成分を取得して、
前記高周波成分を増幅した信号を前記積算部に出力可能である、請求項9に記載の磁気ヘッドの評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気ヘッドの評価方法及び磁気ヘッドの評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドを用いて、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記媒体に情報が記録される。磁気ヘッドの特性を評価する方法及び装置が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-147540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、磁気ヘッドの特性を評価可能な磁気ヘッドの評価方法及び磁気ヘッドの評価装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、磁気ヘッドの評価方法は、第1磁極と、第2磁極と、磁気素子と、コイルと、を含む磁気ヘッドの前記コイルに第1交流電流を供給し前記磁気素子に第2電流を供給したときに前記磁気素子から得られる電気信号を取得することを含む。前記磁気素子は、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、第1磁性層を含む。前記評価方法は、前記電気信号に基づいて、前記第1交流電流の極性が反転する時刻を基準にした、前記磁気素子の電気抵抗の変化に要する時間を検出することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る磁気ヘッドの評価装置で評価される磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る磁気ヘッドの評価装置を例示する模式図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドの評価装置における特性例示するグラフ図である。
図4図4は、第2実施形態に係る磁気ヘッドの評価方法を例示するフローチャート図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、磁気ヘッドの評価装置または評価方法により評価される磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図6図6は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図7図7は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図8図8は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
第1実施形態は、磁気ヘッドの評価装置に係る。
図1は、第1実施形態に係る磁気ヘッドの評価装置で評価される磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図1に示すように、磁気ヘッド110は、第1磁極31、第2磁極32、磁気素子20及びコイル30cを含む。この例では、シールド33がさらに設けられている。第1磁極31、第2磁極32、磁気素子20、コイル30c及びシールド33は、記録部60に含まれる。後述するように、磁気ヘッド110に再生部が設けられても良い。磁気ヘッド110は、磁気記録装置210に含まれる。
【0009】
シールド33と第2磁極32との間に、第1磁極31が設けられる。例えば、コイル30cの少なくとも一部は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。この例では、コイル30cの一部は、シールド33と第1磁極31との間に設けられる。
【0010】
コイル30cに記録用電気回路30Dが電気的に接続される。記録用電気回路30Dからコイル30cに記録電流Iwが供給される。第1磁極31から記録電流Iwに応じた磁界(記録磁界)が生じる。記録磁界が磁気記録媒体80に加わり、磁気記録媒体80に情報が記録される。このように、記録用電気回路30Dは、記録される情報に対応した電流(記録電流Iw)をコイル30cに供給可能である。例えば、磁気記録媒体80は、垂直磁気記録媒体である。
【0011】
図1に示すように、第1コイル端子C1及び第2コイル端子C2が設けられても良い。これらの端子は、コイル30cと電気的に接続される。例えば、記録用電気回路30Dは、これらの端子を介して、コイル30cに記録電流Iwを供給する。
【0012】
図1に示すように、磁気素子20は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。磁気素子20は、第1磁性層21を含む。
【0013】
図1に示すように、例えば、第1磁極31、第2磁極32、シールド33、コイル30c、及び、磁気素子20の周りに、絶縁部30iが設けられる。
【0014】
第1磁極31は、例えば、主磁極である。第1磁極31の端部に、磁極面30Fが設けられる。磁極面30Fは、例えば、磁気ヘッド110のABS(Air Bearing Surface)に沿う。磁極面30Fが、磁気記録媒体80に対向する。
【0015】
磁極面30Fに対して垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0016】
Z軸方向は、例えば、ハイト方向である。X軸方向は、例えば、ダウントラック方向である。Y軸方向は、クロストラック方向である。
【0017】
例えば、磁極面30Fの近傍において、第2磁極32は、X軸方向に沿って、第1磁極31から離れる。X軸方向に実質的に沿って、磁気ヘッド110と磁気記録媒体80とが、相対的に移動する。これにより、磁気記録媒体80の任意の位置に、情報が記録される。
【0018】
第2磁極32は、例えば、「trailing shield」に対応する。シールド33は、例えば、「leading shield」に対応する。第2磁極32は、例えば、補助磁極である。第2磁極32は、第1磁極31とともに、磁気コアを形成可能である。例えば、サイドシールド(図示しない)などの追加のシールドが設けられても良い。
【0019】
図1に示すように、素子電流Idが、磁気素子20に流れる。図1に示す例においては、素子電流Idは、第1磁極31から第2磁極32への向きを有する。
【0020】
例えば、磁気素子20は、第1磁極31及び第2磁極32と電気的に接続されても良い。この場合、第1磁極31及び第2磁極32を介して、素子電流Idが磁気素子20に供給されても良い。
【0021】
図1に示すように、第1配線W1及び第2配線W2が設けられても良い。第1配線W1は、第1磁極31と電気的に接続される。第2配線W2は、第2磁極32と電気的に接続される。第1端子T1及び第2端子T2が設けられても良い。第1端子T1は、第1配線W1を介して、第1磁極31と電気的に接続される。第2端子T2は、第2配線W2を介して第2磁極32と電気的に接続される。
【0022】
上記の素子電流Idは、例えば、素子用電気回路20Dから供給される。例えば、第1端子T1、第1配線W1、第2配線W2及び第2端子T2を介して、素子用電気回路20Dから素子電流Idが、第1磁極31及び第2磁極32に供給可能である。
【0023】
実施形態においては、磁気素子20に素子電流Idが流れることで、第1磁極31から出る磁界を磁気記録媒体80に効率良く向かわせることができる。これは、素子電流Idにより、第1磁性層21の磁化の向きが、第1磁極31から出る磁界に対して反転し、その結果、第1磁極31から出る磁界が第1磁性層21を通り難くなり、磁気記録媒体80に向かい易くなるためであると考えられる。このような動作により、記録密度を向上できる。
【0024】
後述するように、磁気素子20は、第2磁性層を含んでも良い。この場合、素子電流Idが磁気素子20に供給されることで、例えば、磁気素子20が発振する。磁気素子20は、STO(Spin Torque Oscillator)として機能する。発振に伴い、磁気素子20から交流磁界(例えば高周波磁界)が発生する。磁気素子20で発生した交流磁界が磁気記録媒体80に印加され、磁気記録媒体80への記録がアシストされる。例えば、MAMR(Microwave Assisted Magnetic Recording)が実施可能である。この場合も、記録密度を向上できる。
【0025】
このような磁気ヘッド110において、磁気素子20の動作の立ち上がり特性を評価することが望まれる。例えば、磁性層の磁化が高速で反転することで、より効果的な記録が実施できる。例えば、発振状態に高速で移行できることで、より効果的な記録が実施できる。これより、記録密度をより効果的に向上できる。
【0026】
例えば、磁気素子20において、第1磁性層21の磁化が反転すると、磁気素子20の電気抵抗は、磁化が反転する前の磁気素子20の電気抵抗よりも高くなる。例えば、磁気素子20が発振すると、磁気素子20の電気抵抗は、磁気素子20が発振する前の電気抵抗とは異なる値となる。このような電気抵抗の変化に要する時間が、磁気素子20の動作(磁化の反転、または発振)の立ち上がり時間に対応する。
【0027】
実施形態は、磁気ヘッド110の評価装置を提供する。実施形態においては、例えば、コイル30cに供給される電流の極性反転を基準にした、磁気素子20の動作の立ち上がり時間を評価できる。動作の立ち上がり時間は、磁気素子20の電気抵抗の変化の時間に対応する。
【0028】
図2は、第1実施形態に係る磁気ヘッドの評価装置を例示する模式図である。
図2に示すように、実施形態に係る評価装置310は、第1回路51、第2回路52及び第3回路53を含む。第1回路51は、磁気ヘッド110のコイル30cに、第1交流電流I1を供給可能である。既に説明したように、磁気ヘッド110は、第1磁極31、第2磁極32、磁気素子20及びコイル30cを含む。既に説明したように、磁気素子20は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。磁気素子20は、第1磁性層21を含む。
【0029】
第2回路52は、コイル30cに第1交流電流I1が供給されたときに磁気素子20に第2電流I2を供給可能である。第2回路52は、磁気素子20と電気的に接続される。例えば、第2回路52は、第1端子T1及び第2端子T2を介して、磁気素子20と電気的に接続される。この例では、第2回路52は、後述する第3回路53に含まれる直流交流重畳回路55を介して、磁気素子20と電気的に接続されている。第2回路52は、磁気素子20の電気抵抗の時間的な平均値を検出可能でも良い。
【0030】
第3回路53は、コイル30cに第1交流電流I1が供給され磁気素子20に第2電流I2が供給されたときに磁気素子20の抵抗変化から得られる電気信号Sig1を取得可能である。第3回路53は、電気信号Sig1に基づいて、第1交流電流I1の極性が反転する時刻を基準にした、磁気素子20の電気抵抗の変化の時間を検出可能である。コイル30cに第1交流電流I1が供給され磁気素子20に第2電流I2が供給されたときに磁気素子20から得られる電気信号Sig1は、磁気素子20の電気抵抗の変化に応じている。電気抵抗の変化は、磁気素子20における磁化の反転、または、磁気素子20における発振状態への移行に対応している。
【0031】
実施形態によれば、例えば、第1交流電流I1の極性が反転する時刻を基準にした、磁気素子20の電気抵抗の変化の遅れを検出できる。例えば、磁化の反転に要する遷移時間を検出できる。例えば、発振状態への移行に要する遷移時間を検出できる。実施形態によれば、磁気ヘッドの特性を評価可能な評価装置が提供できる。
【0032】
この例では、第3回路53は、積算部54を含む。積算部54は、第1交流電流I1に同期して、電気信号Sig1を積算する。例えば、第1回路51からトリガ信号SigTが積算部54に供給される。トリガ信号SigTは、例えば、第1交流電流I1の極性反転の時刻に対応した信号である。トリガ信号SigTが積算部54に供給されることで、積算部54は、第1交流電流I1に同期して、電気信号Sig1を積算する。積算部54は、例えばオシロスコープでも良い。積算部54は、例えばデジタル積算器でも良い。
【0033】
この例では、第3回路53は、直流交流重畳回路55を含む。直流交流重畳回路55は、直流交流ポート55DRと、直流交流ポート55DSと、直流ポート55DCと、交流ポート55RFと、を含む。直流交流ポート55DRは、磁気素子20の一端(例えば第1端子T1)と電気的に接続される。直流交流ポート55DSは、磁気素子20の他端(例えば第2端子T2)と電気的に接続される。直流ポート55DCは、第2回路52と電気的に接続される。交流ポート55RFは、積算部54に向けて、電気信号Sig1の高周波成分を出力可能である。
【0034】
この例では、第3回路53は、増幅器56を含む。増幅器56は、交流ポート55RFから電気信号Sig1の高周波成分を取得する。増幅器56は、高周波成分を増幅した信号を積算部54に出力可能である。増幅器56は、例えば、高周波増幅器である。
【0035】
図2に示すように、制御部58が設けられても良い。制御部58は、第1回路53、第2回路52及び第3回路53の動作を制御可能である。
【0036】
以下、第1交流電流I1及び電気信号Sig1の例について説明する。
図3(a)及び図3(b)は、第1実施形態に係る磁気ヘッドの評価装置における特性例示するグラフ図である。
これらの図の横軸は、時間tmである。時間tmの単位は、「ns」などで良い。図3(a)の縦軸は、第1交流電流I1である。図3(b)の縦軸は、磁気素子20から得られる電気信号Sig1を積算して得られる積算信号Rxである。積算信号Rxは、第3回路53の出力である。積算信号Rxの変化は、磁気素子20の電気抵抗の変化に応じている。この例では、第1磁性層21の磁化が反転する動作が行われる。
【0037】
図3(a)に示すように、第1交流電流I1は、第1周波数f1を有する。第1交流電流I1の第1周期t1は、1/f1である。
【0038】
図3(b)に示すように、積算信号Rxは、第1周波数f1の2倍の第2周波数を有する。積算信号Rxの第2周期t2は、1/(2×f1)である。積算信号Rxが第1周波数f1の2倍であり、このとき、積算される前の電気信号Sig1も第1周波数f1の2倍の第2周波数を有する。例えば、第1交流電流I1の極性の負から正への反転において、磁気素子20の磁化の反転が生じ、第1交流電流I1の極性の正から負への反転において、磁気素子20の磁化の反転が生じる。このため、磁気素子20から得られる電気信号Sig1の変化の周波数は、第1交流電流I1の周波数の2倍となる。
【0039】
この例では、図3(b)に示すように、積算信号Rxは、第1交流電流I1の極性反転の後、短い時間のピーク(ノイズに相当)を経て、低い値を経て、高い値に変化する。積算信号Rxの低い値の状態は、第1磁性層21の磁化が反転する前の状態に対応する。積算信号Rxが高い値の状態は、第1磁性層21の磁化が反転した後の状態に対応する。例えば、積算信号Rxについて、高い値に対応する第1値SL1と、低い値に対応する第2値SL2と、が設定されても良い。例えば、第1交流電流I1の反転の時刻を規準にして、積算信号Rxが第2値SL2から第1値SL1に向けて上昇して、積算信号Rxが第1値SL1に到達するまでの時間を立ち上がり時間trとする。実施形態においては、立ち上がり時間trを検出可能である。
【0040】
このように、実施形態においては、第3回路53は、電気信号Sig1に基づいて、立ち上がり時間trを検出可能である。立ち上がり時間trは、第1交流電流I1の極性が反転する時刻を基準にした、磁気素子20の電気抵抗の変化に要する時間に対応する。
【0041】
例えば、磁気ヘッド110における磁気素子20の構成が変わると、立ち上がり時間trが変化する。例えば、磁気素子20に供給する第2電流I2の大きさまたはタイミングを変化させると、立ち上がり時間trが変化する。実施形態に係る評価装置310により、磁気ヘッド110の特性を評価することで、磁気ヘッド110における適切な条件を効率的に設定できる。
【0042】
実施形態において、例えば、第3回路53の積算部54は、第1交流電流I1に同期して、電気信号Sig1を積算し、積算された電気信号Sig1(すなわち積算信号Rx)の上記の第2周波数の成分を取り出すことが可能でも良い。第1交流電流I1の第1周波数f1の2倍の第2周波数の成分を取り出すことで、積算信号Rxから立ち上がり時間trを効率的に導出できる。
【0043】
実施形態において、第1周波数f1は、100MHz以上5GHz以下であることが好ましい。第1周波数f1は、磁気ヘッド110の動作条件における「1T」に対応する周波数よりも低くても良い。「1T」に対応する周波数とは異なる第1周波数f1を用いても、磁気ヘッド110における特性を評価できる。第1周波数f1が100MHz以上5GHz以下であることで、例えば、記録動作において重要な、ナノ秒またはサブナノ秒の立ち上がり時間の見積もりが容易になる。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態は、磁気ヘッドの評価方法に係る。
図4は、第2実施形態に係る磁気ヘッドの評価方法を例示するフローチャート図である。
図4に示すように、実施形態に係る磁気ヘッドの評価方法においては、磁気素子20から得られる電気信号Sig1を取得する(ステップS110)。既に説明したように、磁気ヘッド110は、1磁極31と、第2磁極32と、磁気素子20と、コイル30cと、を含む(図1参照)。ステップS110では、コイル20cに第1交流電流I1を供給し磁気素子20に第2電流I2を供給したときに磁気素子20から得られる電気信号Sig1を取得する(図2参照)。既に説明したように、磁気素子20は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。磁気素子20は、第1磁性層21を含む。
【0045】
図4に示すように、評価方法においては、電気信号Sig1に基づいて、第1交流電流I1の極性が反転する時刻を基準にした、磁気素子20の電気抵抗の変化に要する時間(立ち上がり時間tr:図3(b)参照))を検出する(ステップS120)。実施形態によれば、磁気ヘッド110の動作特性の評価可能である。
【0046】
既に説明したように、第1交流電流I1は、第1周波数f1を有する。電気信号Sig1(または積算信号Rx)は、第1周波数f1の2倍の第2周波数を有する。例えば、上記の変化に要する時間の検出(ステップS120)は、第1交流電流I1に同期して、電気信号Sig1を積算することを含んでも良い。ステップS120は、積算された電気信号Sig1(すなわち、積算信号Rx)の上記の第2周波数の成分を取り出すことを含んでも良い。第1周波数f1は、例えば、1MHz以上5GHz以下である。例えば、上記の変化に要する時間の検出(ステップS120)は、第1交流電流I1に同期して電気信号Sig1を積算することを含んでも良い。
【0047】
以下、実施形態に係る磁気ヘッドの評価装置310または評価方法で評価される磁気ヘッド110の例について説明する。
【0048】
図5(a)及び図5(b)は、磁気ヘッドの評価装置または評価方法により評価される磁気ヘッドを例示する模式的断面図である。
図5(a)に示すように、磁気ヘッド110において、磁気素子20は、第1磁性層21に加えて、第1磁極側非磁性層25a及び第2磁極側非磁性層25bを含んでも良い。第1磁極側非磁性層25aは、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられる。第2磁極側非磁性層25bは、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられる。
【0049】
1つの例において、第1磁極側非磁性層25aは第1材料を含み、第2磁極側非磁性層25bは第2材料を含む。第1材料は、例えば、Ta、Pt、W、Ir、Mo、Cr、Tb、Mn及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2材料は、例えば、Cu、Ag、Au、Cr及びRuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。この場合、第2電流I2は、第1磁極31から第2磁極32への第1向きを有する。適切な磁化反転が得られる。
【0050】
別の例において、第1磁極側非磁性層25aが上記の第2材料を含み、第2磁極側非磁性層25bが上記の第1材料を含んでも良い。この場合、第2電流I2は、第2磁極32から第1磁極31への第2向きを有する。適切な磁化反転が得られる。
【0051】
図5(b)に示すように、磁気ヘッド111において、磁気素子20は、第1磁性層21に加えて、第2磁性層22と、第1非磁性層25nと、をさらに含む。第2磁性層22は、第1磁性層21と第1磁極31との間に設けられる。第1非磁性層25nは、第1磁性層21と第2磁性層22との間に設けられる。この場合、磁気素子20は、例えば、STO素子として機能する。
【0052】
図5(b)に示すように、磁気ヘッド111において、磁気素子20は、第1磁極側非磁性層25a及び第2磁極側非磁性層25bをさらに含んでも良い。第1磁極側非磁性層25aは、第1磁極31と第2磁性層22との間に設けられる。第2磁極側非磁性層25bは、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられる。
【0053】
磁気ヘッド111において、1つの例において、第1磁極側非磁性層25a及び第2磁極側非磁性層25bは第1材料を含み、第1非磁性層25nは第2材料を含む。第1材料は、例えば、Ta、Pt、W、Ir、Mo、Cr、Tb、Mn及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2材料は、例えば、Cu、Ag、Au、Cr及びRuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。この場合、第2電流I2の向きは、第1磁極31から第2磁極32への第1向き、及び、第2磁極32から第1磁極31への第2向きのいずれでも良い。適切な磁化発振が得られる。
【0054】
磁気ヘッド111における別に例において、第1磁極側非磁性層25aは上記の第2材料を含み、第2磁極側非磁性層25bは、上記の第1材料を含む。この場合、第2電流I2は、第2磁極32から第1磁極31への第2向きを有する。
【0055】
図5(a)及び図5(b)に示すように、第1磁極31から第2磁極32への方向D1は、X軸方向に対して傾斜しても良い。方向D1は、磁気素子20の積層方向に対応する。X軸方向は、第1磁極31の磁極面30Fに沿う。方向D1と磁極面30Fとの間の角度を角度θ1とする。角度θ1は、例えば、15度以上30度以下である。角度θ1は、0度でも良い。
【0056】
実施形態に係る評価装置310または評価方法により評価される磁気ヘッド(磁気ヘッド110または磁気ヘッド111)は、磁気記録装置210に含まれてよい。磁気記録装置は、上記の磁気ヘッドと、磁気記録媒体80(例えば、後述する記録用媒体ディスク180)と、素子用電気回路20D(図1参照)と、記録用電気回路30Dと、を含む。
【0057】
図6は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図6に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド(例えば、磁気ヘッド110)は、磁気記録媒体80と共に用いられる。この例では、磁気ヘッド110は、記録部60及び再生部70を含む。磁気ヘッド110の記録部60により、磁気記録媒体80に情報が記録される。再生部70により、磁気記録媒体80に記録された情報が再生される。
【0058】
磁気記録媒体80は、例えば、媒体基板82と、媒体基板82の上に設けられた磁気記録層81と、を含む。磁気記録層81の磁化83が記録部60により制御される。
【0059】
再生部70は、例えば、第1再生磁気シールド72a、第2再生磁気シールド72b、及び磁気再生素子71を含む。磁気再生素子71は、第1再生磁気シールド72aと第2再生磁気シールド72bとの間に設けられる。磁気再生素子71は、磁気記録層81の磁化83に応じた信号を出力可能である。
【0060】
図6に示すように、磁気記録媒体80は、媒体移動方向85の方向に、磁気ヘッド110に対して相対的に移動する。磁気ヘッド110により、任意の位置において、磁気記録層81の磁化83に対応する情報が制御される。磁気ヘッド110により、任意の位置において、磁気記録層81の磁化83に対応する情報が再生される。
【0061】
以下、本実施形態に係る磁気記録装置の例について説明する。
図7は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図7は、ヘッドスライダを例示している。
磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159に設けられる。ヘッドスライダ159は、例えばAl/TiCなどを含む。ヘッドスライダ159は、磁気記録媒体の上を、浮上または接触しながら、磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0062】
ヘッドスライダ159は、例えば、空気流入側159A及び空気流出側159Bを含む。磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159の空気流出側159Bの側面などに配置される。これにより、磁気ヘッド110は、磁気記録媒体の上を浮上または接触しながら磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0063】
図8は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図8に示すように、実施形態に係る磁気記録装置150においては、ロータリーアクチュエータが用いられる。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mに設けられる。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mにより矢印ARの方向に回転する。スピンドルモータ180Mは、駆動装置制御部からの制御信号に応答する。本実施形態に係る磁気記録装置150は、複数の記録用媒体ディスク180を含んでも良い。磁気記録装置150は、記録媒体181を含んでもよい。記録媒体181は、例えば、SSD(Solid State Drive)である。記録媒体181には、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが用いられる。例えば、磁気記録装置150は、ハイブリッドHDD(Hard Disk Drive)でも良い。
【0064】
ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180に記録する情報の、記録及び再生を行う。ヘッドスライダ159は、薄膜状のサスペンション154の先端に設けられる。ヘッドスライダ159の先端付近に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0065】
記録用媒体ディスク180が回転すると、サスペンション154による押し付け圧力と、ヘッドスライダ159の媒体対向面(ABS)で発生する圧力と、がバランスする。ヘッドスライダ159の媒体対向面と、記録用媒体ディスク180の表面と、の間の距離が、所定の浮上量となる。実施形態において、ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180と接触しても良い。例えば、接触走行型が適用されても良い。
【0066】
サスペンション154は、アーム155(例えばアクチュエータアーム)の一端に接続されている。アーム155は、例えば、ボビン部などを含む。ボビン部は、駆動コイルを保持する。アーム155の他端には、ボイスコイルモータ156が設けられる。ボイスコイルモータ156は、リニアモータの一種である。ボイスコイルモータ156は、例えば、駆動コイル及び磁気回路を含む。駆動コイルは、アーム155のボビン部に巻かれる。磁気回路は、永久磁石及び対向ヨークを含む。永久磁石と対向ヨークとの間に、駆動コイルが設けられる。サスペンション154は、一端と他端とを含む。磁気ヘッドは、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端に接続される。
【0067】
アーム155は、ボールベアリングによって保持される。ボールベアリングは、軸受部157の上下の2箇所に設けられる。アーム155は、ボイスコイルモータ156により回転及びスライドが可能である。磁気ヘッドは、記録用媒体ディスク180の任意の位置に移動可能である。
【0068】
図9(a)及び図9(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図9(a)は、磁気記録装置の一部の構成を例示しており、ヘッドスタックアセンブリ160の拡大斜視図である。図9(b)は、ヘッドスタックアセンブリ160の一部となる磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ:HGA)158を例示する斜視図である。
【0069】
図9(a)に示すように、ヘッドスタックアセンブリ160は、軸受部157と、ヘッドジンバルアセンブリ158と、支持フレーム161と、を含む。ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びる。支持フレーム161は、軸受部157から延びる。支持フレーム161の延びる方向は、ヘッドジンバルアセンブリ158の延びる方向とは逆である。支持フレーム161は、ボイスコイルモータ156のコイル162を支持する。
【0070】
図9(b)に示すように、ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びたアーム155と、アーム155から延びたサスペンション154と、を含む。
【0071】
サスペンション154の先端には、ヘッドスライダ159が設けられる。ヘッドスライダ159に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0072】
実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ)158は、実施形態に係る磁気ヘッドと、磁気ヘッドが設けられたヘッドスライダ159と、サスペンション154と、アーム155と、を含む。ヘッドスライダ159は、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端と接続される。
【0073】
サスペンション154は、例えば、信号の記録及び再生用のリード線(図示しない)を含む。サスペンション154は、例えば、浮上量調整のためのヒーター用のリード線(図示しない)を含んでも良い。サスペンション154は、例えばスピントルク発振子用などのためのリード線(図示しない)を含んでも良い。これらのリード線と、磁気ヘッドに設けられた複数の電極と、が電気的に接続される。
【0074】
磁気記録装置150において、信号処理部190が設けられる。信号処理部190は、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。信号処理部190は、信号処理部190の入出力線は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158の電極パッドに接続され、磁気ヘッドと電気的に接続される。
【0075】
本実施形態に係る磁気記録装置150は、磁気記録媒体と、実施形態に係る磁気ヘッドと、可動部と、位置制御部と、信号処理部と、を含む。可動部は、磁気記録媒体と磁気ヘッドとを離間させ、または、接触させた状態で相対的に移動可能とする。位置制御部は、磁気ヘッドを磁気記録媒体の所定記録位置に位置合わせする。信号処理部は、磁気ヘッドを用いた磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。
【0076】
例えば、上記の磁気記録媒体として、記録用媒体ディスク180が用いられる。上記の可動部は、例えば、ヘッドスライダ159を含む。上記の位置制御部は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158を含む。
【0077】
本実施形態に係る磁気記録装置150は、磁気記録媒体と、実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリと、磁気ヘッドアセンブリに設けられた磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う信号処理部と、を含む。
【0078】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んで良い。
(構成1)
第1磁極と、第2磁極と、磁気素子と、コイルと、を含む磁気ヘッドの前記コイルに第1交流電流を供給し前記磁気素子に第2電流を供給したときに前記磁気素子から得られる電気信号を取得し、前記磁気素子は、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、第1磁性層を含み、
前記電気信号に基づいて、前記第1交流電流の極性が反転する時刻を基準にした、前記磁気素子の電気抵抗の変化に要する時間を検出する、磁気ヘッドの評価方法。
【0079】
(構成2)
前記第1交流電流は、第1周波数を有し、
前記電気信号は、前記第1周波数の2倍の第2周波数を有する、構成1記載の磁気ヘッドの評価方法。
【0080】
(構成3)
前記変化に要する前記時間の前記検出は、
前記第1交流電流に同期して、前記電気信号を積算することと、
前記積算された前記電気信号の前記第2周波数の成分を取り出すことと、
を含む、構成2記載の磁気ヘッドの評価方法。
【0081】
(構成4)
前記第1周波数は、1MHz以上5GHz以下である、構成2または3に記載の磁気ヘッドの評価方法。
【0082】
(構成5)
前記変化に要する前記時間の前記検出は、前記第1交流電流に同期して前記電気信号を積算することを含む、構成1記載の磁気ヘッドの評価方法。
【0083】
(構成6)
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1磁極側非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁極側非磁性層と、
をさらに含む、構成1~5のいずれか1つに記載の磁気ヘッドの評価方法。
【0084】
(構成7)
前記第1磁極側非磁性層が第1材料を含み前記第2磁極側非磁性層が第2材料を含む場合、前記第2電流が前記第1磁極から前記第2磁極への第1向きを有し、前記第1材料は、Ta、Pt、W、Ir、Mo、Cr、Tb、Mn及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、前記第2材料は、Cu、Ag、Au、Cr及びRuよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第1磁極側非磁性層が前記第2材料を含み前記第2磁極側非磁性層が前記第1材料を含む場合、前記第2電流が前記第2磁極から前記第1磁極への第2向きを有する、構成6記載の磁気ヘッドの評価方法。
【0085】
(構成8)
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第1磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
を含む、構成1~5のいずれか1つに記載の磁気ヘッドの評価方法。
【0086】
(構成9)
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第2磁性層との間に設けられた第1磁極側非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁極側非磁性層と、
をさらに含む、構成8記載の磁気ヘッドの評価方法。
【0087】
(構成10)
前記第1磁極側非磁性層及び前記第2磁極側非磁性層は、第1材料を含み、
前記第1非磁性層は、第2材料を含み、
前記第1材料は、Ta、Pt、W、Ir、Mo、Cr、Tb、Mn及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2材料は、Cu、Ag、Au、Cr及びRuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成9記載の磁気ヘッドの評価方法。
【0088】
(構成11)
第1磁極と、第2磁極と、磁気素子と、コイルと、を含む磁気ヘッドの前記コイルに、第1交流電流を供給可能な第1回路であって、前記磁気素子は、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられ、第1磁性層を含む、前記第1回路と、
前記コイルに前記第1交流電流が供給されたときに前記磁気素子に第2電流を供給可能な第2回路と、
前記コイルに前記第1交流電流が供給され前記磁気素子に前記第2電流が供給されたときに前記磁気素子から得られる電気信号を取得し、前記電気信号に基づいて、前記第1交流電流の極性が反転する時刻を基準にした、前記磁気素子の電気抵抗の変化に要する時間を検出可能な第3回路と、
を備えた磁気ヘッドの評価装置。
【0089】
(構成12)
前記第1交流電流は、第1周波数を有し、
前記電気信号は、前記第1周波数の2倍の第2周波数を有する、構成11記載の磁気ヘッドの評価装置。
【0090】
(構成13)
前記第3回路は、積算部を含み、
前記積算部は、前記第1交流電流に同期して、前記電気信号を積算し、前記積算された前記電気信号の前記第2周波数の成分を取り出すことが可能である、構成12記載の磁気ヘッドの評価装置。
【0091】
(構成14)
前記第1周波数は、100MHz以上5GHz以下である、構成12または13に記載の磁気ヘッドの評価装置。
【0092】
(構成15)
前記第3回路は、積算部を含み、
前記積算部は、前記第1交流電流に同期して、前記電気信号を積算する、構成11~14のいずれか1つに記載の磁気ヘッドの評価装置。
【0093】
(構成16)
前記第3回路は、直流交流重畳回路を含み、
前記直流交流重畳回路は、
前記磁気素子と電気的に接続された直流交流ポートと、
前記第2回路と電気的に接続された直流ポートと、
前記積算部に向けて前記電気信号の高周波成分を出力可能な交流ポートと、
を含む、構成15記載の磁気ヘッドの評価装置。
【0094】
(構成17)
前記第3回路は、増幅器を含み、
前記増幅器は、前記交流ポートから前記高周波成分を取得して、
前記高周波成分を増幅した信号を前記積算部に出力可能である、構成16記載の磁気ヘッドの評価装置。
【0095】
(構成18)
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1磁極側非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁極側非磁性層と、
をさらに含む、構成11~17のいずれか1つに記載の磁気ヘッドの評価装置。
【0096】
(構成19)
前記第1磁極側非磁性層が第1材料を含み前記第2磁極側非磁性層が第2材料を含む場合、前記第2電流が前記第1磁極から前記第2磁極への第1向きを有し、前記第1材料は、Ta、Pt、W、Ir、Mo、Cr、Tb、Mn及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、前記第2材料は、Cu、Ag、Au、Cr及びRuよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第1磁極側非磁性層が前記第2材料を含み前記第2磁極側非磁性層が前記第1材料を含む場合、前記第2電流が前記第2磁極から前記第1磁極への第2向きを有する、構成18記載の磁気ヘッドの評価装置。
【0097】
(構成20)
前記磁気素子は、
前記第1磁性層と前記第1磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
を含む、構成11~17のいずれか1つに記載の磁気ヘッドの評価装置。
【0098】
(構成21)
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第2磁性層との間に設けられた第1磁極側非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁極側非磁性層と、
をさらに含む、構成20記載の磁気ヘッドの評価装置。
【0099】
(構成22)
前記第1磁極側非磁性層及び前記第2磁極側非磁性層は、第1材料を含み、
前記第1非磁性層は、第2材料を含み、
前記第1材料は、Ta、Pt、W、Ir、Mo、Cr、Tb、Mn及びNiよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2材料は、Cu、Ag、Au、Cr及びRuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成21記載の磁気ヘッドの評価装置。
【0100】
実施形態によれば、磁気ヘッドの特性を評価可能な磁気ヘッドの評価方法及び磁気ヘッドの評価装置が提供できる。
【0101】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0102】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気ヘッドの評価装置に含まれる回路、積算部、増幅器及び制御部、並びに、磁気ヘッドに含まれる磁極、シールド、磁気素子、磁性層、非磁性層及び配線などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0103】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0104】
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気ヘッドの評価方法及び磁気ヘッドの評価装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気ヘッドの評価方法及び磁気ヘッドの評価装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0105】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
20…磁気素子、 20D…素子用電気回路、 21、22…第1、第2磁性層、 25a…第1磁極側非磁性層、 25b…第2磁極側非磁性層、 25n…第1非磁性層、 30D…記録用電気回路、 30F…磁極面、 30c…コイル、 30i…絶縁部、 31…第1磁極、 32…第2磁極、 33…シールド、 51~53…第1~第3回路、 54…積算部、 55…直流交流重畳回路、 55DC…直流ポート、 55DR、55DS…直流交流ポート、 55RF…交流ポート、 55a…キャパシタ、 55b…インダクタ、 56…増幅器、 58…制御部、 60…記録部、 70…再生部、 71…磁気再生素子、 72a、72b…第1、第2再生磁気シールド、 80…磁気記録媒体、 81…磁気記録層、 82…媒体基板、 83…磁化、 85…媒体移動方向、 θ1…角度、 110、111…磁気ヘッド、 150…磁気記録装置、 154…サスペンション、 155…アーム、 156…ボイスコイルモータ、 157…軸受部、 158…ヘッドジンバルアセンブリ、 159…ヘッドスライダ、 159A…空気流入側、 159B…空気流出側、 160…ヘッドスタックアセンブリ、 161…支持フレーム、 162…コイル、 180…記録用媒体ディスク、 180M…スピンドルモータ、 181…記録媒体、 190…信号処理部、 210…磁気記録装置、 310…評価装置、 AR…矢印、 C1、C2…第1、第2コイル端子、 D1…方向、 I1…第1交流電流、 I2…第2電流、 Id…素子電流、 Iw…記録電流、 Rx…積算信号、 SL1、SL2…第1、第2値、 Sig1…電気信号、 SigT…トリガ信号、 T1、T2…第1、第2端子、 W1、W2…第1、第2配線、 f1…第1周波数、 t1、t2…第1、第2周期、 tm…時間、 tr…立ち上がり時間
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図9