(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】エレベーター用コンテンツ提供システムおよびエレベーター用コンテンツ提供方法
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20240403BHJP
B66B 1/14 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B66B3/00 G
B66B3/00 Z
B66B1/14 L
(21)【出願番号】P 2020200671
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 泰
(72)【発明者】
【氏名】土井 裕介
(72)【発明者】
【氏名】井元 涼大郎
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-240818(JP,A)
【文献】特開2005-179006(JP,A)
【文献】特開2003-312947(JP,A)
【文献】特開2019-001554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
B66B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者を特定して、前記利用者に応じたコンテンツを乗りかご内の出力装置に提供するエレベーター用コンテンツ提供システムにおいて、
呼び登録が前記利用者の携帯端末から行われるものであって、
前記乗りかご内に複数の前記利用者が乗り合わせた場合に、前記利用者によって予め登録されたコンテンツ設定情報
の他に、前記利用者が乗降する区間、または、前記利用者が呼び登録を行った順番に基づいて、前記出力装置に出力する前記コンテンツの順番を決めるエレベーター用コンテンツ提供システム。
【請求項2】
請求項
1に記載のエレベーター用コンテンツ提供システムにおいて、
前記利用者の携帯端末によって予め登録された前記コンテンツのうち、前記コンテンツが短いもの、または、前記コンテンツの重複度合いの高いものを優先し、前記出力装置に出力するエレベーター用コンテンツ提供システム。
【請求項3】
請求項
2に記載のエレベーター用コンテンツ提供システムにおいて、
エレベーターと通信接続された管理サーバを備え、前記管理サーバは、
乗場階、行先階、エレベーター特定情報および利用者特定情報を含む呼び登録情報を前記利用者の携帯端末から受信し、前記エレベーター特定情報に基づいて特定されたエレベーターに対して、前記乗場階および前記行先階の登録指令を送信する呼び制御部と、
前記利用者特定情報に基づいて特定された利用者の前記コンテンツ設定情報を抽出し、前記コンテンツ設定情報に基づいて前記コンテンツを特定し、前記コンテンツを前記エレベーターへ送信するコンテンツ制御部と、を有し、
前記コンテンツ制御部は、前記乗りかご内に複数の前記利用者が乗り合わせた場合に、前記利用者の前記乗場階および前記行先階に基づき、各前記利用者ごとに特定された前記コンテンツの優先度を計算するエレベーター用コンテンツ提供システム。
【請求項4】
請求項
3に記載のエレベーター用コンテンツ提供システムにおいて、
前記携帯端末および前記管理サーバと通信接続されたWebサーバをさらに備え、前記Webサーバは、
前記コンテンツ設定情報を前記携帯端末から受信して推奨コンテンツ情報を前記携帯端末へ送信するコンテンツ処理部と、
前記呼び登録情報を前記携帯端末から受信して前記管理サーバへ送信する呼び処理部と、を有するエレベーター用コンテンツ提供システム。
【請求項5】
利用者を特定して、前記利用者に応じたコンテンツを乗りかご内の出力装置に提供するエレベーター用コンテンツ提供方法において、
呼び登録が前記利用者の携帯端末から行われるものであって、
前記乗りかご内に複数の前記利用者が乗り合わせた場合に、前記利用者によって予め登録されたコンテンツ設定情報
の他に、前記利用者が乗降する区間、または、前記利用者が呼び登録を行った順番に基づいて、前記出力装置に出力する前記コンテンツの順番を決めるエレベーター用コンテンツ提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター用コンテンツ提供システムおよびエレベーター用コンテンツ提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者がエレベーターに乗り込んだ際、乗りかご内の出力装置よりコンテンツを提供するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、コンテンツ管理サーバは、エレベータ制御装置から利用者の属性情報および乗りかごの次着床時間を取得し、取得した利用者の属性情報に対応し、且つ、取得した次着床時間よりも短い表示時間長を有するコンテンツ情報を選択してエレベータ制御装置に送信する、と記載されている(特許文献1の要約欄)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術では、乗りかご内に複数の利用者が乗り合わせた場合が考慮されておらず、このような場合に各利用者にとって好ましいコンテンツが出力できない可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、乗りかご内に複数の利用者が乗り合わせた場合に、各利用者にとって好ましいコンテンツが出力できるエレベーター用コンテンツ提供システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、利用者を特定して、前記利用者に応じたコンテンツを乗りかご内の出力装置に提供するエレベーター用コンテンツ提供システムにおいて、呼び登録が前記利用者の携帯端末から行われるものであって、前記乗りかご内に複数の前記利用者が乗り合わせた場合に、前記利用者によって予め登録されたコンテンツ設定情報の他に、前記利用者が乗降する区間、または、前記利用者が呼び登録を行った順番に基づいて、前記出力装置に出力する前記コンテンツの順番を決める。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乗りかご内に複数の利用者が乗り合わせた場合に、各利用者にとって好ましいコンテンツが出力できるエレベーター用コンテンツ提供システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るエレベーター用コンテンツ提供システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】コンテンツの設定処理を示すフローチャートである。
【
図3】推奨コンテンツの計算処理を示すフローチャートである。
【
図4】推奨コンテンツテーブルの一例を示す図である。
【
図5】コンテンツの設定画面の一例を示す図である。
【
図6】エレベーターの呼び登録からコンテンツの提供までの処理を示すフローチャートである。
【
図7】呼び登録のあった利用者ごとのスコアを示す表である。
【
図8】各利用者の乗降区間と出力されるコンテンツの順番を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るエレベーター用コンテンツ提供システムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態のエレベーター用コンテンツ提供システムは、建屋に設けられたエレベーター1と、このエレベーター1と通信回線を介して接続された管理サーバ2と、エレベーター1の利用者が所持する携帯端末3と、利用者がエレベーター1の呼び登録をしたり視聴したいコンテンツの設定をしたりする際に利用するWebサーバ4と、各利用者のコンテンツの設定情報や推奨情報を管理するコンテンツサーバ5と、推奨コンテンツを計算する学習エンジンの作成などを行う学習サーバ6と、で構成されている。以下、各構成要素に関して個々に説明する。
【0011】
まず、エレベーター1は、図示していないが、建屋の昇降路内に設けられた乗りかごと、一旦が乗りかごに取り付けられた主ロープと、この主ロープの他端が取り付けられ昇降路内に吊り下げられた釣合い錘と、昇降路の上部の機械室などに回転可能に設置され主ロープが巻き掛けられた巻上機と、を備えている。また、エレベーター1には、呼びや行先階の登録を行うボダン等で構成される呼び登録装置7と、乗りかごの昇降速度やドアの開閉動作を制御する制御装置8と、この制御装置8および管理サーバ2と接続されてエレベーター1に異常が発生した場合に管理サーバ2へ通知する監視装置9と、乗りかご内の操作盤の上にある液晶インジケータなどの出力装置10と、が設けられている。なお、出力装置10は、乗りかご内の利用者に対してコンテンツを出力できるものであれば、液晶インジケータ以外の装置であっても良い。
【0012】
次に、管理サーバ2は、エレベーターが設けられた建屋とは別の場所にある監視センター等に置かれ、通信回線を介して監視装置9などと接続されており、呼び制御部11と、コンテンツ制御部12と、を備えている。
【0013】
呼び制御部11は、乗場階、行先階、エレベーター特定情報および利用者特定情報を含む呼び登録情報を利用者の携帯端末3から受信すると、エレベーター特定情報に基づいて特定されたエレベーター1に対して、乗場階および行先階の登録指令を送信する。また、呼び制御部11は、エレベーター1の呼び登録装置7を用いて呼びが登録される場合でも、図示しない利用者特定手段により得られた利用者特定情報を、エレベーター特定情報などと共に監視装置9を介して受信できるようになっている。なお、利用者特定手段の具体例としては、顔認証装置やカード読み取り装置などの非接触式のものが挙げられる。
【0014】
コンテンツ制御部12は、利用者特定情報に基づいて特定された利用者のコンテンツ設定情報を抽出するとともに、コンテンツ設定情報に基づいて出力するコンテンツを特定し、特定したコンテンツをデータベース20から受信してエレベーター1へ送信する。乗りかご内に複数の利用者が乗り合わせた場合、コンテンツ制御部12は、後述の方法にて出力するコンテンツの順番を決めて、優先度の高い順にエレベーター1へ送信する。また、コンテンツ制御部12は、コンテンツの出力が行われる度に利用履歴として、データベース20に格納する。
【0015】
携帯端末3は、Webサーバ4にアクセスし、当該Webサービスの画面上で、エレベーター1の呼び登録をする機能として実行される呼び登録部13と、エレベーター1内で視聴するコンテンツの設定をする機能として実行されるコンテンツ設定部14と、を備えている。
【0016】
Webサーバ4は、携帯端末3を所持する利用者が会員登録しているWebサービスを管理するサーバであり、コンテンツ処理部15と、呼び処理部16と、を備えている。コンテンツ処理部15は、携帯端末3のコンテンツ設定部14から受信したコンテンツ設定情報を、コンテンツサーバ5の設定情報制御部17へ送信したり、コンテンツサーバ5の推奨情報制御部18で計算した推奨コンテンツを特定する推奨コンテンツ情報を、携帯端末3のコンテンツ設定部14へ送信したり、するものである。呼び処理部16は、携帯端末3の呼び登録部13から受信した呼び登録情報を、管理サーバ2の呼び制御部11へ送信するものである。
【0017】
コンテンツサーバ5は、設定情報制御部17と、推奨情報制御部18と、を備えている。設定情報制御部17は、利用者によって登録されたコンテンツ設定情報をWebサーバ4のコンテンツ処理部15から受信するとデータベース20に登録するとともに、推奨情報制御部18で計算した推奨コンテンツを特定する情報をコンテンツ処理部15経由で携帯端末3へ送信するものである。推奨情報制御部18は、データベース20に格納された利用履歴に基づき、利用者の利用日時(曜日や時間帯)および乗降時間(乗場階から行先階までに要する時間)などを算出する。また、推奨情報制御部18は、算出した利用日時および乗降時間などを学習エンジンに入力することによって、当該利用者の利用実態に近い他の利用者が利用しているコンテンツを、推奨コンテンツとして出力する。
【0018】
学習サーバ6は、学習エンジンを作成する学習エンジン作成部19と、コンテンツに関するデータベース20と、を備えている。なお、データベース20には、使用者特定情報およびエレベーター特定情報と対応付ける形で、コンテンツの利用履歴なども格納されている。
【0019】
次に、利用者によって予め行われるコンテンツの設定方法について説明する。
図2は、コンテンツの設定処理を示すフローチャートである。
図2に示すように、利用者が携帯端末3を利用してWebサーバ4にアクセスし、コンテンツ設定画面を起動する(ステップS101)。すると、推奨情報制御部18は、コンテンツ処理部15を介して利用者特定情報を受信し、当該利用者に対する推奨コンテンツを計算する(ステップS102)。
【0020】
ここで、推奨情報制御部18における処理について具体的に説明する。
図3は、推奨コンテンツの計算処理を示すフローチャートである。
図3に示すように、推奨情報制御部18は、まずデータベース20から、利用者が利用した日時や乗降時間、エレベーターの種別(出力装置の種類)や建屋の種別(例えばマンションやオフィス)などを算出する(ステップS121)。その後、推奨情報制御部18は、学習エンジン作成部19で作成された学習エンジンに、建屋種別、エレベーター種別、利用日時、乗降時間などを入力する(ステップS122)。学習エンジンは、推奨コンテンツテーブルに基づき、推奨コンテンツを出力する(ステップS123)。
【0021】
図4は、推奨コンテンツテーブルの一例を示す図である。この推奨コンテンツテーブルには、各エレベーター1および各利用者について、すべての利用履歴が学習データとして格納されている。このため、学習エンジンは、建屋種別や利用日時などの入力に対して、よく利用されているコンテンツを精度良く出力できるようになっている。設定登録をしようとする利用者が、例えば、平日の朝、オフィスで、液晶インジケータ付きのエレベーターを1分間(例えば1階から6階)利用している場合、当該条件下で最も出力されているコンテンツが推奨コンテンツとして特定される。
【0022】
図2に戻り、ステップS12で推奨コンテンツが計算されると、設定情報制御部17がWebサーバ4のコンテンツ処理部15に推奨コンテンツ情報を送信する(ステップS13)。コンテンツ処理部15は、携帯端末3のコンテンツ設定部14に推奨コンテンツ情報を送信し(ステップS14)、コンテンツ設定部14がコンテンツの設定画面に推奨コンテンツ情報を表示する(ステップS15)。
【0023】
図5は、コンテンツの設定画面の一例を示す図である。
図5に示すように、コンテンツの設定画面は、表示情報を管理する表示情報セット領域K1と、表示情報の詳細な設定を行う詳細設定領域K2と、推奨コンテンツを表示する推奨コンテンツ領域K3と、で構成されている。また、詳細設定領域K2は、曜日と時間帯を指定する日時設定欄K4と、乗場階と行先階を指定する乗降区間設定欄K5と、表示したいコンテンツを指定するコンテンツ設定欄K6と、各コンテンツの詳細を指定する個別設定欄K7と、を有している。さらに、推奨コンテンツ領域K3には、推奨情報制御部18で計算した推奨コンテンツの候補が複数表示されており、所定の推奨コンテンツの追加ボタンが操作されると、その情報が表示情報セットに反映されるようになっている。なお、コンテンツの設定は、エレベーター1ごとに行うことが可能である。このように、利用者がコンテンツの設定登録をする場合に、推奨コンテンツを参考とすることができ、使い勝手が向上する。
【0024】
再び
図2に戻り、ステップS15で表示された推奨コンテンツを参考に、利用者がコンテンツ設定情報を登録すると(ステップS16)、コンテンツ設定部14がコンテンツ設定情報をWebサーバ4のコンテンツ処理部15へ送信する(ステップS17)。その後、コンテンツ処理部15がコンテンツ設定情報をコンテンツサーバ5の設定情報制御部17へ送信し(ステップS18)、設定情報制御部17がコンテンツ設定情報をデータベース20に格納する(ステップS19)。
【0025】
次に、エレベーター1の呼び登録からコンテンツの提供までの処理について説明する。
図6は、エレベーター1の呼び登録からコンテンツの提供までの処理を示すフローチャートである。
図6に示すように、まず、利用者が携帯端末3を操作し、呼び登録部13が呼び登録情報をWebサーバ4の呼び処理部16へ送信する(ステップS201)。呼び処理部16は、呼び登録情報を管理サーバ2の呼び制御部11へ送信する(ステップS202)。なお、エレベーター1の呼び登録が、呼び登録装置7を用いて行われる場合には、呼び登録情報が監視装置9を介して呼び制御部11に送信される。
【0026】
呼び制御部11は、呼び登録情報に含まれるエレベーター特定情報に基づき、所定のエレベーター1へ乗場階および行先階の登録指令を送信する(ステップS203)。管理サーバ2のコンテンツ制御部12は、呼び登録情報に含まれる利用者特定情報に基づいて、呼び登録を行った利用者を特定する(ステップS204)。その後、コンテンツ制御部12は、特定された利用者のコンテンツ設定情報をデータベース20から受信する(ステップS205)。
【0027】
ここで、コンテンツ制御部12は、既に出力することが確定しているコンテンツが無いかを判定する(ステップS206)。他の利用者が既に呼び登録を行っており、出力が確定しているコンテンツがある場合には、コンテンツ制御部12が、行先階到着までに当該利用者のコンテンツを出力完了できる余り時間があるか否かを判定する(ステップS207)。余り時間がない場合には、当該利用者のコンテンツは出力されず(ステップS208)、処理が終了となる。
【0028】
一方、余り時間がある場合は、既に出力確定のコンテンツが無い場合と同様に、コンテンツ制御部12が、他の利用者が既に呼び登録を行っているものの出力が確定していないコンテンツが無いかを判定する(ステップS209)。出力未確定のコンテンツがある場合には、コンテンツ制御部12が、当該利用者のコンテンツと異なる種類のものが無いかを判定する(ステップS210)。
【0029】
異なる種類のコンテンツが無い場合、すなわち、他の利用者もすべて同じコンテンツが設定されている場合には、当該コンテンツを出力することが確定する(ステップS211)。その後、コンテンツ制御部12は、データベース20から当該コンテンツを受信し(ステップS212)、所定のエレベーター1へコンテンツを送信する(ステップS213)。すると、エレベーター1の出力装置10が当該コンテンツを出力し(ステップS214)、処理が終了となる。
【0030】
異なる種類のコンテンツがある場合、コンテンツ制御部12は、後述の方法で各コンテンツの優先度を計算する(ステップS215)。その後、コンテンツ制御部12は、優先度の高い順にデータベースからコンテンツを受信し(ステップS216)、優先度の高い順にエレベーター1へコンテンツを送信する(ステップS217)。すると、エレベーター1の出力装置10が優先度の高い順にコンテンツを出力し(ステップS218)、処理が終了となる。
【0031】
次に、利用者ごとのコンテンツの優先度を計算する方法について説明する。
図7は、呼び登録のあった利用者ごとのスコアを示す表であり、
図8は、各利用者の乗降区間と出力されるコンテンツの順番を示す図である。
【0032】
図7に示すように、各利用者が呼び登録を行った順番、他の利用者に対するコンテンツの重複度合い、各利用者が乗降する区間(乗場階と行先階)、設定されたコンテンツの長さ、に基づいて、出力する順番が決められる。具体的には、呼び登録が早い方が高いスコアが付与され、他の利用者とコンテンツが重複している方が高いスコアが付与され、コンテンツの短い方が高いスコアが付与される。乗降区間については、他の利用者と乗降区間が重複するか否かが考慮され、重複する区間では呼び登録の早い順に高いスコアが付与される。また、コンテンツの長さについては、推定乗降時間よりも短ければスコアが付与される。
【0033】
図7の例では、利用者Aの合計スコアが最も高くなるため、利用者Aのコンテンツが優先度1位となる。したがって、
図8に示すように、8階から6階までの区間では、利用者Aが予め設定したコンテンツである天気予報が出力される。同様に、優先度2位の利用者Cのコンテンツである株価が6階から3階まで出力され、優先度3位の利用者Dのコンテンツである天気予報が3階から1階まで出力される。
図7および
図8の例では、優先度の高い3位までが示されているが、乗降時間とコンテンツの長さによっては前後する場合もある。なお、コンテンツの優先度を計算する際に、呼び登録の順番の代わりに、エレベーター1が設置される建屋の管理者によって予め登録された管理者設定情報を考慮し、管理者が出力させたいコンテンツを優先させても良い。
【0034】
以上述べた通り、本実施形態のエレベーター用コンテンツ提供システムによれば、乗りかご内に複数の利用者が乗り合わせた場合でも、各利用者によって予め登録されたコンテンツの長さや他の利用者との重複度合い、各利用者の乗降区間や呼び登録の順番などに基づいて、出力するコンテンツの順番が決定されるため、より多くの利用者が満足してエレベーターを利用することが可能となる。
【符号の説明】
【0035】
1 エレベーター
2 管理サーバ
3 携帯端末
4 Webサーバ
5 コンテンツサーバ
6 学習サーバ
7 呼び登録装置
8 制御装置
9 監視装置
10 出力装置
11 呼び制御部
12 コンテンツ制御部
13 呼び登録部
14 コンテンツ設定部
15 コンテンツ処理部
16 呼び処理部
17 設定情報制御部
18 推奨情報制御部
19 学習エンジン作成部
20 データベース