(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】銅端子とアルミ導線との継手及びその磁気誘導溶接方法
(51)【国際特許分類】
H01R 4/62 20060101AFI20240403BHJP
B23K 20/06 20060101ALI20240403BHJP
H01R 43/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H01R4/62 A
B23K20/06
H01R43/02 B
(21)【出願番号】P 2020517251
(86)(22)【出願日】2018-05-31
(86)【国際出願番号】 CN2018089207
(87)【国際公開番号】W WO2018223885
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-04-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】201710415138.1
(32)【優先日】2017-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519428937
【氏名又は名称】吉林省中▲イン▼高科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】JILIN ZHONG YING HIGH TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1801, Unit 1, Building 13, Wanlonglishuiwan (One) Chaofan Street, High-Tech Development Zone, Changchun, Jilin 130000 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王超
【合議体】
【審判長】平城 俊雅
【審判官】小川 恭司
【審判官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-141784(JP,A)
【文献】特開2007-48522(JP,A)
【文献】特開2007-305314(JP,A)
【文献】特開2011-60778(JP,A)
【文献】特開2012-185985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/00 - 4/22
H01R 43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気誘導溶接方法によって得られた銅端子とアルミ導線との継手であって、前記銅端子がコネクタ、及びコネクタに接続される機能部品に分けられ、前記アルミ導線のアルミコアが磁気誘導溶接によって前記銅端子のコネクタに接続され、前記アルミコアが前記機能部品までに延伸しまたは延伸していなく、
前記銅端子とアルミ導線との継手は溶接領域を有し、前記溶接領域の面積が少なくともアルミ導線と銅端子との重畳領域の面積の1%であり、
前記アルミコアと前記銅端子との間には間隔金属層が設けられ、
前記間隔金属層の材質は錫、ニッケルまたは亜鉛のうちの一つまたは複数の組み合せであり、
前記間隔金属層の厚さは3μm~300μmであ
り、
前記間隔金属層は独立して配置されることを特徴とする銅端子とアルミ導線との継手。
【請求項2】
前記溶接領域の面積が少なくともアルミ導線と銅端子との重畳領域の面積の10%であることを特徴とする請求項1に記載の銅端子とアルミ導線との継手。
【請求項3】
前記間隔金属層は電気めっき、プレスめっき、無電解めっき、またはアーク式溶射という方法で銅端子またはアルミコアに付着されることを特徴とする請求項1に記載の銅端子とアルミ導線との継手。
【請求項4】
前記銅端子の材質は銅または銅合金であり、前記コネクタの形状は扁平状、弧状、翼形開口状、円形の閉じ口状、または多角形の閉じ口状であることを特徴とする請求項1に記載の銅端子とアルミ導線との継手。
【請求項5】
前記アルミ導線は中実のアルミ導線または多芯のアルミ導線であり、前記アルミ導線のアルミコアの材質はアルミまたはアルミ合金であることを特徴とする請求項1に記載の銅端子とアルミ導線との継手。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれかの1項に記載の銅端子とアルミ導線との継手を製造する磁気誘導溶接方法であって、前記磁気誘導溶接方法は以下のステップを有し、即ち、
S1:アルミコアを銅端子のコネクタに取り付け、前記アルミコアと前記銅端子のコネクタとの間の距離が0~10mmであり、
S2:前記アルミコアの外面が前記銅端子のコネクタの表面に接続され、前記銅端子とアルミ導線との継手における溶接領域の面積が少なくともアルミ導線と銅端子との重畳領域の面積の1%になるように、磁気誘導溶接の方法で前記アルミコアと前記銅端子のコネクタを溶接し、
前記S1はさらに以下のステップを有し、前記アルミコアと前記銅端子のコネクタとの間にはさらに間隔金属層が追加され、
前記間隔金属層の材質は錫、ニッケルまたは亜鉛のうちの一つまたは複数の組み合せであり、
前記間隔金属層の厚さは3μm~300μmであることを特徴とする銅端子とアルミ導線との継手を製造
し、
前記間隔金属層は独立して配置される磁気誘導溶接方法。
【請求項7】
前記間隔金属層と前記銅端子のコネクタとの距離が0~10mmであり、
前記S2はさらに以下のステップを有し、即ち、前記アルミコアの外面が間隔金属層の内面に接続され、間隔金属層の外面が前記銅端子のコネクタの表面に接続されるように、磁気誘導溶接方法で前記アルミコア、前記銅端子のコネクタ、及び間隔金属層を溶接することを特徴とする請求項
6に記載の銅端子とアルミ導線との継手を製造する磁気誘導溶接方法。
【請求項8】
前記S1の前にさらに以下のステップを有し、即ち、前記アルミコアが多芯アルミコアである場合に、前記多芯アルミコアに対して押出処理を行うことを特徴とする請求項
6に記載の銅端子とアルミ導線との継手を製造する磁気誘導溶接方法。
【請求項9】
前記アルミコアと前記銅端子のコネクタとの間の距離が0~3mmであることを特徴とする請求項
6に記載の銅端子とアルミ導線との継手を製造する磁気誘導溶接方法。
【請求項10】
前記間隔金属層と前記銅端子のコネクタとの距離が0~3mmであることを特徴とする請求項
7に記載の銅端子とアルミ導線との継手を製造する磁気誘導溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハーネス分野、具体的には、銅端子とアルミ導線との継手及びその磁気誘導溶接方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
従来のハーネスの通常の接続技術において、端子と導線との接続方式は主に圧着であり、即ち、導線のコアを端子のコネクタに入れて、端子圧着金型によって、機械方式で端子と導線を圧着する。ただし、銅端子とアルミ導線という組み合せに対して、伝統の圧着方法はアルミ導線と銅端子が時間の経過とともに電気化学反応が生じるという問題を解決し得ないから、銅端子とアルミ導線との継手の力学性能と電気性能との低下を招致する。従って、銅端子とアルミ導線との継手の接続に対して、圧着方法は工業生産に適用されることが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
中国発明特許CN1073478Cは少なくとも二つの金属ワークを電磁接続しまたは溶接する方法を開示しているが、該方案には相変わらず以下のような解決することができない技術問題及び技術缺陷が存在し、即ち、
(1)前記特許方法は他の扁平状または弧状または翼形開口状または円形の閉じ口状、あるいは多角形の閉じ口状の端子の溶接に適用されていなく、筒状構成の端子とケーブルとの接続のみに適用され、銅端子とアルミ導線との継手のハーネス分野における使用に対して、ほとんどは非筒状構成の端子である。従って、該特許方法はハーネス製造の業界における銅端子とアルミ導線との継手に対して、大きい使用制約がある。
【0004】
(2)該技術は直接的に銅端子とアルミ導線との継手の製造に適用されることができない。該技術は類別が限定されていない2種類の金属を溶接するが、該特許に記載の溶接方法は銅とアルミとの溶接、またはハーネス分野において、銅端子とアルミ導線との溶接の特殊性を解決することができない。銅端子とアルミ導線との間の直接接触は、ハーネスの使用環境において、電気化学腐食が生じて、時間の経過とともに、銅端子とアルミ導線との継手の抵抗が向上し、電位降下が高くなり、引抜き力と引裂力が低減するから、該技術は直接的に銅端子とアルミ導線との継手の製造に適用されることはできない。
【0005】
(3)該技術による溶接方法は、銅端子とアルミ導線との継手の工業用グレードの製造要求を満たしていない。なぜならば、該技術は比較的または最も優れた電気性能と力学性能を有する銅端子とアルミ導線との継手を取得するために、如何に銅端子とアルミ導線との間の磁気誘導溶接における距離を制御するかについて研究していなく、銅端子とアルミ導線との継手の溶接領域の面積の、少なくともアルミ導線と銅端子との重畳領域の面積に占める割合を定義していなく、前記パラメータは銅端子とアルミ導線との継手との磁気誘導溶接方法による製造に対して特に重要である。従って、前記技術は銅端子とアルミ導線との継手の、ハーネスで使用される工業用グレードの製造要求を満たしていない。
【0006】
従来技術の不足を克服するために、本発明は、磁気誘導溶接という方式で、銅端子とアルミ導線を接続する方法及び取得された継手構成を提供することを目的として、銅とアルミの間の溶接を実現して、導電性能及び機械性能がよりよくなり、さらに異なる端子接続部の形状の端子とアルミ導線との接続を実現し、さらに、製造の安定、製造効率及び品質の向上を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題を解決するために、本発明は以下のような技術案を採用して、即ち、
銅端子とアルミ導線との継手であって、前記銅端子がコネクタと、コネクタに接続される機能部品に分けられ、前記アルミ導線のアルミコアが前記銅端子のコネクタに接続され、好ましくは、前記アルミコアが前記機能部品までに延伸してまたは延伸していない。
【0008】
前記コネクタは銅端子とアルミ導線を接続するための部材であり、前記機能部品は銅端子と電気装置とが接続された固定領域である。
【0009】
好ましくは、前記銅端子とアルミ導線との継手は溶接領域を有し、前記溶接領域の面積が少なくともアルミ導線と銅端子との重畳領域の面積の1%であり、好ましくは、前記溶接領域の面積が少なくともアルミ導線と銅端子との重畳領域の面積の10%である。
【0010】
説明しようとするのは、前記溶接領域は、銅端子とアルミ導線という両者の表面が最終に接続された領域を指す。前記重畳領域は、銅端子とアルミ導線という両者の投影が重なる領域を指す。
【0011】
複数回の実験を経て、発明人は以下のように発見して、即ち、溶接面積は前記アルミ導線と銅端子との重畳領域の面積に占める比例が大きいほど、相応的な溶接継手の電圧降下の性能及び引抜き力の性能がよく、比例が1%より小さいと、継手の電気性能及び力学性能が明らかに低下し、従って、前記継手の溶接領域の面積は少なくとも前記アルミ導線と銅端子との重畳領域の面積の1%であり、好ましくは、前記継手の溶接領域の面積は少なくとも前記アルミ導線と銅端子との重畳領域の面積の10%である。
【0012】
好ましくは、前記アルミコアと前記銅端子との間には間隔金属層が設けられる。
【0013】
説明しようとするのは、銅とアルミとは異なる元素であり、銅の金属不活性がアルミより大きく、銅とアルミとの電極電位の差が大きいから(銅は+0.337で、アルミが-1.662である)、二つの金属が直接的に接触し、空気と水の作用で、アルミがだんだん電子を喪失し、電気化学反応を形成し、アルミ導線を腐食し、ハーネスの寿命を減少させ、ひどい場合には接触不良のため、ハーネス継手が発火し事故を起す恐れがある(例えば車の炎上)。金属の間の電極電位の差が小さくなるから、電気化学反応のレートが低減する。従って、発明人が本技術案に間隔金属層という方案を導入し、即ち、前記アルミ導線の溶接端と前記銅端子のコネクタとの間に間隔金属層を配置し、該間隔金属層の材質の電極電位が銅とアルミとの間にあり、または安定金属である金あるいは銀であってもよい。溶接した後、銅端子とアルミ導線との間の電気化学反応を減少させ、これによって、ハーネスの寿命を延ばし、事故(例えば車の炎上)の発生を減少させる。
【0014】
さらに好ましくは、前記間隔金属層の材質はニッケル、カドミウム、ジルコニウム、マンガン、アルミ、錫、チタン、亜鉛、コバルト、クロムのうちの一つまたは複数の組み合せであり、好ましくは、間隔金属層の材質は錫、ニッケルまたは亜鉛のうちの一つまたは複数の組み合せである。
【0015】
説明しようとするのは、ニッケルの電極電位が-0.250であり、錫の電極電位が-0.136であり、亜鉛の電極電位が-0.763で、銅とアルミとの間にあり、そして、ニッケル、錫及び亜鉛の取得が簡単で、大量で工業生産に適用される。
【0016】
好ましくは、間隔金属層の材質はさらに金または銀のうちの一つ、あるいはそれらの組み合せであってもよい。金または銀の化学性能が安定で、且つ導電性が優れるから、間隔金属層として使用される。
【0017】
さらに好ましくは、前記間隔金属層の厚さは3μm~5000μmであり、好ましくは、前記間隔金属層の厚さは5μm~1000μmである。
【0018】
さらに好ましくは、前記間隔金属層は独立して配置される。
【0019】
さらに好ましくは、前記間隔金属層は電気めっきまたはプレスめっきまたは無電解めっきまたはアーク式溶射という方法で銅端子またはアルミコアに付着される。
【0020】
説明しようとするのは、間隔金属層の厚さは3μmより小さいと、磁気誘導溶接する場合に、銅端子とアルミ導線とが原子レベルの衝突を形成し、間隔金属層が銅端子とアルミ導線によって破壊される恐れがあるため、銅とアルミとが接触することで、間隔金属層が二つの金属を間隔するという作用を果たすことができない。間隔金属層の厚さが5000μmより大きいと、ほとんどの間隔金属層の材質の導電性が銅金属とアルミ金属より劣るから、厚さが大きいと、溶接継手の電位降下が高くなることに繋がて、また、間隔金属層の使用量が大きくなり、コストが増加するが、性能が明らかに向上していない。一般的には、電気めっき、無電解めっきまたはアーク式溶射という方式で間隔金属層を固定する場合に、間隔金属層の厚さが3μm~1000μmに達して、プレスめっきまたは磁気誘導溶接という方式を採用する場合に、間隔金属層の厚さが1000μm~5000μmに達して、従って、本発明の間隔金属層が3μm~5000μmである厚さの範囲内に配置される。
【0021】
好ましくは、前記銅端子の材質は銅または銅合金であり、好ましくは、前記コネクタの形状は扁平状、または弧状、または翼形開口状、または円形の閉じ口状、または多角形の閉じ口状である。
【0022】
説明しようとするのは、前記銅端子材質は銅または銅合金であり、機能部品が電気装置に接続され、コネクタがアルミ導線に接続され、電流を導通させ、ハーネスを固定するという機能を果たし、銅端子のコネクタが扁平、弧形、翼形開口、円形の閉じ口構成または多角形の閉じ口構成であり、
説明しようとするのは、銅の導電性がアルミより優れて、且つ硬さがアルミより高いから、電気装置に接続される場合に、端子の材質として銅または銅合金を選択し、機能部品の形状が電気装置に取り付けられる形状に応じて設計され、コネクタは電流の大きさ、装着位置の空間サイズ、溶接後の引抜き力に対する要求に応じて、適当な形状として設計される。
【0023】
好ましくは、前記アルミ導線は中実のアルミ導線または多芯のアルミ導線であり、前記アルミ導線のアルミコアの材質はアルミまたはアルミ合金である。
【0024】
その同時に、本発明はさらに本発明の技術目的を果たすための以下の技術案を提供し、即ち、
前記銅端子とアルミ導線との継手を製造する磁気誘導溶接方法であって、以下のステップを有し、即ち、
S1:アルミコアを銅端子のコネクタに取り付け、前記アルミコアと前記銅端子のコネクタとの間の距離が0~10mmであり、好ましくは、前記アルミコアと前記銅端子のコネクタとの間の距離が0~3mmであり、
S2:前記アルミコアの外面が前記銅端子のコネクタの表面に接続されるように、磁気誘導溶接の方法で前記アルミコアと前記銅端子のコネクタを溶接する。
【0025】
好ましくは、前記S1はさらに以下のステップを有し、即ち、前記アルミコアと前記銅端子のコネクタとの間にはさらに独立して配置された間隔金属層が追加され、好ましくは、前記間隔金属層と前記銅端子のコネクタとの距離が0~10mmであり、好ましくは、前記間隔金属層と前記銅端子のコネクタとの距離が0~3mmであり、
さらに好ましくは、前記S2はさらに以下のステップを有し、即ち、前記アルミコアの外面が間隔金属層の内面に接続され、間隔金属層の外面が前記銅端子のコネクタの表面に接続されるように、磁気誘導溶接の方法で、前記アルミコア、前記銅端子のコネクタ、及び間隔金属層を溶接する。
【0026】
説明しようとするのは、本発明に適用される磁気誘導溶接機器はさらに充電電源、コンデンサ、磁気誘導コイル、端子とアルミ導線に適する治具を含む。
【0027】
前記に言及されるように、前記アルミ導線の溶接端と前記銅端子のコネクタとの距離は0~10mmであり、好ましくは、アルミ導線の溶接端と前記銅端子のコネクタとの距離が0~3mmであり、
複数回の実験を経て、発明人は以下のように発見して、即ち、前記距離である場合に、溶接の効果がより優れる。実際距離が前記距離より大きいと、アルミ導線の溶接端と前記銅端子のコネクタとの間の距離が遠くなり、アルミ導線と銅端子とが衝突する場合に、放電が既に終了し、接触際の瞬間の衝突速度の不足は、結合力の不足を招致するから、アルミ導線の溶接端と前記銅端子のコネクタとの距離が0~10mmである場合に、アルミ導線と銅端子が有効な力の作用及び十分な速度で衝突すること、及び両者の間の結合運動量を保証し、好ましくは、アルミ導線の溶接端と前記銅端子のコネクタとの距離が0~3mmであることは、結合効果をよりよくする。
【0028】
指摘しようとするのは、前記言及された距離は、電磁溶接する場合に、銅端子とアルミ導線との溶接対象である部分の各表面の間の距離を指す。さらに、複数の距離が存在する場合に、この場合に、銅端子とアルミ導線との間の各溶接面の間の距離が等しく、この際、該距離値が前記範囲内にあれば、本特許の保護範囲以内に属して、場合によって、銅端子とアルミ導線との間の各溶接面の間の距離が等しくなく、この際、全ての距離値のうちの最小値が前記範囲内にあれば、本特許の保護範囲以内に属している。
【0029】
さらに好ましくは、前記S1の前に、さらに以下のステップを有し、即ち、前記アルミコアが多芯アルミコアである場合に、前記多芯アルミコアに対して押出成形処理を行う。
【0030】
説明しようとするのは、ある特定の使用環境で、アルミ導線が振動環境にあり、この場合、アルミ導線のコアに対してマルチストランドアルミ線のアルミコアを選択し、なぜならば、マルチストランドアルミ線のアルミコアにおける毎本の単糸が振動による応力を分散することで、アルミ導線の振動環境における寿命を延ばす。ただし、このようなマルチストランドアルミ線のアルミコアを採用することは、自身の構成の缺陷があり、即マルチストランドアルミ線のアルミコアの内部には隙間が存在し、これらの隙間によって、マルチストランドアルミ線のアルミコアの内部に一部の水及び空気が残る。該問題を解決するために、発明人はS1の前に一つの工程を追加し、即ち、まず前記マルチストランドアルミ線のアルミコアに対して押出成形処理を行うことで、アルミ線の間には隙間がなくなり、水と空気との進入を除去し、さらに銅とアルミとの間には水と空気の原因で電気化学反応が生じて、銅端子とアルミ導線との間には腐食が発生して寿命を低減させることを避ける。
【0031】
前記押出成形処理工程の他の有益な効果は以下の通り、即ち、押出成形の過程において、同時にアルミ線の表面の酸化層を破壊し、銅端子とアルミ導線との間には不純物がなくなり、これによって、溶接効果をより理想にする。
【0032】
さらに好ましくは、S2ステップが完成すると、銅端子とアルミ導線との継手の溶接領域の面積が少なくともアルミ導線と銅端子との重畳領域の面積の1%になり、好ましくは、継手の溶接領域の面積が少なくともアルミ導線と銅端子との重畳領域の面積の10%になる。
【0033】
従来技術に比べると、本発明の有益な効果は以下の通り、即ち、:
1、本発明の発明人は初めて磁気誘導溶接という技術を効果的に銅端子とアルミ導線との接続に応用して、工業用グレードの、磁気誘導溶接という技術で銅端子とアルミ導線との継手を製造する方法を初めて与える。
【0034】
2、発明人は複数回の進歩性の実験を経て以下の結論を取得し、即ち、アルミ導線と銅端子のコネクタとの距離または間隔金属層と銅端子コネクタとの距離、及び銅端子とアルミ導線との継手の溶接領域の面積とアルミ導線と銅端子との重畳領域の面積との割合関係を制御することで、溶接結果に対して異なる影響を発生させる。発明人は実験結果に応じて、前記パラメータの制御範囲を与えて、磁気誘導溶接技術を介して、工業用グレードで銅端子とアルミ導線との継手を製造する方法を初めて与える。前記部材がローレンツ力という作用で高速に衝突し、原子エネルギーレベルでの接続に達して、接触箇所の接続を非常に緊密し、スリットをなくして、接続構成がより安定になる。本発明の銅端子とアルミ導線との磁気誘導溶接方法において、磁気誘導溶接技術による成形された溶接箇所が完全に貼り合わせ、空気と水との介入を効果的に減少させるから、銅端子とアルミ導線との継手の寿命を延ばす。そして、磁気誘導溶接は溶接継目に金属化合物が生じていないから、ハーネスの電気性能及び機械性能を保証し、本方法による製造される銅端子とアルミ導線との継手は、ハーネス業界で使用される電気性能及び力学性能という要求を満たしている。
【0035】
3、本発明の銅端子とアルミ導線との磁気誘導溶接方法において、磁気誘導溶接は銅端子とアルミ導線を加熱する必要がないから、製造コストを節約するという効果を果たして、その同時に、溶接過程で半田、フラックス、不活性保護ガスを必要とせず、加工が完成してから、再処理を必要としないから、大幅に材料と時間コストを節約し、製造効率を向上させ、通常の方法に比べると、溶接コストが30%低減し、また、磁気誘導溶接の過程で塩水噴霧、ダスト及び有害ガスが生じていないため、環境に優しい一方で、作業者に対する被害を防止する。
【0036】
4、本発明の銅端子とアルミ導線との磁気誘導溶接方法において、前記アルミ導線の溶接端と前記銅端子のコネクタとの間には新規的に間隔金属層が追加され、該間隔金属層の材質の電極電位が銅とアルミとの間にあり、または安定金属である金あるいは銀であってもよい。溶接後、銅端子とアルミ導線との間の電気化学反応を効果的に遅らせ、銅端子とアルミ導線との継手の寿命を延ばし、ハーネス分野において、銅端子とアルミ導線との継手による事故の発生率を効果的に低減させる。
【0037】
5、本発明は一連の進歩性的な実験を介して、異なる間隔金属層の厚さの、銅端子とアルミ導線との継手の電気性能及び力学性能に対する影響を研究した。一連の厳密な試験結果に応じて、間隔金属層の厚さ範囲を与えて、使用要求を規範にして、本発明の方法によって、工業用グレードで銅端子とアルミ導線との継手を製造する使用効果をさらに向上させる。
【0038】
6、本発明の銅端子とアルミ導線との磁気誘導溶接方法において、前記銅端子のコネクタは扁平状、弧状、翼形の開口状、円形の閉じ口状、多角形の閉じ口状の構成であってもよく、ハーネス分野において、銅端子とアルミ導線との継手の使用形状に対する全ての要求をカバーして、従来技術に比べると、銅端子とアルミ導線との継手の使用範囲を大幅に広げる。
【0039】
7、本発明の銅端子とアルミ導線との磁気誘導溶接方法において、マルチストランドアルミ線コアを選択する場合に、まず前記マルチストランドアルミ線コアに対して押出成形処理を行うことで、アルミ線の間には隙間がなくなり、銅とアルミの間の、水と空気による電気化学反応を効果的に軽減しまたは避けて、銅端子とアルミ導線との継手の寿命をさらに向上させる。
【0040】
前記説明は本発明の技術案の概要のみであり、より明らかに本発明の技術手段を了解するために、明細書の内容に応じて実施すばよく、且つ本発明の前記及び他の目的、特徴及び利点がより明らかで、わかりやすくなるために、以下は好適な実施例を挙げて、図面を結合して、以下のように詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の銅端子とアルミ導線との継手の好適な実施形態の構成模式図である。
【
図2】本発明の銅端子とアルミ導線との継手の他の好適な実施形態の構成模式図である。
【
図4】マルチストランドアルミ線コアを利用した、
図1の銅端子において磁気誘導溶接の過程のある段階を経ている端子の横断面の構成模式図である。
【
図5】中実アルミコアを利用した、
図4と同一段階にある端子の横断面の構成模式図である。
【
図6a】銅端子とアルミ導線との間の距離の模式模式図である。
【
図6b】銅端子とアルミ導線との間の距離の模式模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
発明の予期目的を果たすための、本発明が採集した技術手段及び効能をさらに説明するために、以下は図面及び好適な実施例を結合し、本発明による具体的な実施形態、構成、特徴及びその効能を以下のように詳しく説明する。
【0043】
実施例1
本実施例は本発明の銅端子とアルミ導線との継手の一つの好適な実施形態である。
図1に示すように、前記銅端子はコネクタ12、及びコネクタに接続される機能部品11に分けられ、前記アルミ導線21のアルミコアが前記銅端子のコネクタに接続され、好ましくは、前記アルミコアは前記機能部品までに延伸しまたは延伸していない。
【0044】
好ましくは、前記銅端子の材質は銅または銅合金であり、好ましくは、前記アルミ導線のアルミコアの材質はアルミまたはアルミ合金である。
【0045】
本実施例において、前記アルミ導線は多芯アルミ導線であり、他の実施形態において、
図2に示すように、前記アルミ導線は中実アルミ導線であってもよい。
【0046】
一つの好適な実施形態において、前記コネクタの形状は扁平状、あるいは弧状または翼形開口状、または円形の閉じ口状または多角形の閉じ口状であり、ある特定の装着配置において、銅端子とアルミ導線が干渉位置を回避する必要が有るから、ケーブルの装着を便利にして、ケーブルが他の部材に干渉することを避けるように、ケーブル装着の特殊状況に応じて、端子のコネクタの形状を設計する。
【0047】
好適な実施形態において、前記銅端子とアルミ導線との継手は溶接領域を有し、前記溶接領域の面積が少なくともアルミ導線と銅端子との重畳領域の面積の1%であり、好ましくは、前記溶接領域の面積が少なくともアルミ導線と銅端子との重畳領域の面積の10%である。
【0048】
前記好適な実施形態の有益な効果を証明するために、発明人は以下の実験を提供し、即ち、120セットの同一材質及び構成である銅端子とアルミ導線を採用し、12組に分けて、各組ごとに10セットがあり、同じ磁気誘導溶接機器と治具、及び同じ間隔金属Sn、同じ間隔金属の厚さを利用して、同じアルミ導線と銅端子との重畳領域の面積において、異なる溶接領域の面積で溶接され、異なる溶接面積の、前記アルミ導線と銅端子との重畳領域の面積に占める比例の、磁気誘導溶接の継手の電気及び力学性能に対する影響を対比する。
【0049】
以下のテーブル1のデータから分かるように、溶接面積は前記アルミ導線と銅端子との重畳領域の面積に占める比例が大きいほど、相応的な溶接継手の電圧降下の性能及び引抜き力の性能がよく、比例が1%より小さいと、継手の電気性能及び力学性能が明らかに低下するから、前記継手の溶接領域の面積は少なくとも前記アルミ導線と銅端子との重畳領域の面積の1%であり、好ましくは、前記継手の溶接領域の面積は少なくとも前記アルミ導線と銅端子との重畳領域の面積の10%である。
【表1】
【0050】
一つの好適な実施形態において、前記アルミコアと前記銅端子との間には間隔金属層が設けられる。
【0051】
好ましくは、前記間隔金属層の材質はニッケル、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、アルミ、錫、チタン、亜鉛、クロムのうちの一つまたは複数の組み合せであり、好ましくは、間隔金属層の材質は錫、ニッケルまたは亜鉛のうちの一つまたは複数の組み合せであり、好ましくは、間隔金属層の材質は金または銀のうちの一つ、あるいはそれらの組み合せである。
【0052】
さらに好ましくは、前記間隔金属層の厚さは3μm~5000μmであり、好ましくは、前記間隔金属層の厚さは5μm~1000μmである。本技術特徴の実施効果を説明するために、以下のテーブル2及びテーブル3に示すように、発明人は相応的なデータ支持を提供する。
【表2】
【表3】
【0053】
以上のテーブルから分かるように、間隔金属層の厚さが3μmより小さいまたは5000μmより大きいと、コネクタの引抜き力及び電圧降下の性能が明らかに低下するから、間隔金属層の厚さが3μm~5000μmに設定され、好ましくは、前記間隔金属層の厚さは5μm~1000μmであり、溶接継手の性能がより優れる。
【0054】
前記間隔金属層の配置及びその作用を実現するために、前記間隔金属層は独立して配置され、または前記間隔金属層は電気めっきまたはプレスめっきまたは無電解めっきまたはアーク式溶射という方法で銅端子またはアルミコアに付着される。
【0055】
実施例2
本実施例は本発明の銅端子とアルミ導線との磁気誘導溶接方法の一つの好適な実施形態であり、以下のステップを含み、即ち、
S1:アルミコアを銅端子のコネクタに取り付け、前記アルミコアと前記銅端子のコネクタとの距離が0~10mmであり、好ましくは、前記アルミコアと前記銅端子のコネクタとの距離が0~3mmであり、
S2:前記アルミコアの外面が前記銅端子のコネクタの表面に接続されるように、磁気誘導溶接方法で前記アルミコアと前記銅端子のコネクタを溶接する。
【0056】
S1の前に、端子のコネクタのサイズに応じて、アルミ導線から絶縁層を去除し、そして、絶縁層が剥離されたアルミ導線を銅端子の接続部分に取り付ける。
図3に示すように、銅端子の構成模式図であり、開口構成の機能部品11とコネクタ12を含む。コネクタは開口構成として配置されることは、加工が簡単で、より容易に自動化機器で生産される。そして
図4、
図5に示すように、絶縁層が剥離されたアルミ導線21の溶接端を銅端子のコネクタ12に取り付け、絶縁層の剥離サイズは前記銅端子のコネクタのサイズに応じて配置される。
【0057】
前記アルミ導線のアルミコアと前記銅端子のコネクタとの間の距離は0~10mmであり、好ましくは、アルミ導線の溶接端と前記銅端子のコネクタとの間の距離は0~3mmである。
【0058】
次は、絶縁層が去除されたアルミ導線と銅端子を治具に入れて、磁気誘導溶接機器の起動ボタンを押して、充電電源からコンデンサに充電し、所定の容量に応じて充電を完了させると、高電圧コンデンサが瞬間に放電し、高電圧電流が磁気誘導コイルを介して、加工領域で高圧電磁界を形成し、電磁界における導電金属がローレンツ力の作用で、30~100μsである時間内、300~700m/sという速度で衝突し、原子エネルギーレベルの状態で融合を発生させることで、端子とアルミ導線との接続を実現する。
【0059】
発明人は、溶接過程において、アルミ導線のアルミコアと銅端子のコネクタとの間の距離及び溶接効果に対して、複数回の実験を行ったところ、前記距離の異なりが、溶接効果に対して異なる影響が生じると発見した。具体的な実験データは以下の通り、
【表4】
【0060】
以上のテーブルから分かるように、発明人は以下のように発見して、即ち、アルミ導線の溶接端と前記銅端子のコネクタとの距離が0~10mmである場合に、引抜き力が高く、その同時に、電位降下が低く、溶接の効果が銅端子とアルミ導線との継手の、力学及び電気性能に対する要求を満たす。
【0061】
さらに、前記アルミ導線の溶接端と前記銅端子のコネクタとの間の距離は0~3mmである場合に、引抜き力と電位降下の性能がよく、溶接の効果がより優れる。
【0062】
前記言及された距離は、銅端子のコネクタが非扁平状である場合に、複数の距離値が存在する状況を有する可能性があり、それらの距離値の間がいずれも等しくまたは等しくない。以下はこの二つの状況をさらに記載し説明する。
図6aに示すように、前記アルミ導線が銅端子のコネクタの内部にあり、各々溶接された表面の間の距離が等しいである状況であり、即ちa=b=c=1mmであり、この場合、aが前記0~10mmという範囲にあれば、本特許の保護範囲を満たして、
図6bに示すように、前記アルミ導線が銅端子のコネクタの内部にあり、各々溶接された表面の間の距離が等しくない状況であり、即ち、例えばa≠b≠cである場合であり、この時、a=1mm、b=4mm、c=12mmのうちの最小値が前記0~10mmという範囲にあれば、本特許の保護範囲を満たす。
【0063】
一つの実施形態において、前記アルミコア21はマルチストランドアルミ線コアである。このようなマルチストランドアルミ線コアを選択する作用は、振動使用の環境で、マルチストランドアルミ線コアにおける毎本の単糸が振動による応力を分散し、アルミ導線の振動環境における寿命を延ばす。
【0064】
さらに好ましくは、前記S1の前に、さらに以下のステップが含まれ、即ち、前記アルミコアがマルチストランドアルミ線のアルミコアである場合に、前記マルチストランドアルミ線のアルミコアに対して押出成形処理を行う。
【0065】
説明しようとするのは、このようなマルチストランドアルミ線コアを採用すれば、自身の構成欠陥があり、即ち、マルチストランドアルミ線コアの内部には隙間が存在し、これらの隙間のため、マルチストランドアルミ線コアの内部には一部の水と空気が残る。該問題を解決するために、発明人はS1の前に一つの工程を追加し、即ち、まず前記マルチストランドアルミ線コアに対して押出成形処理を行うことで、アルミ線の間には隙間がなくなり、水と空気の進入を除去し、さらに銅とアルミの間の、水と空気による電気化学反応のため、銅端子とアルミ導線との間には腐食が発生して寿命を低減させることを避ける。
【0066】
前記押出成形処理工程の他の有益な効果は以下の通り、即ち、押出成形の過程において、同時にアルミ線の表面の酸化層を破壊し、アルミ導線の導電性能がよくなり、溶接効果をより理想にする。
【0067】
他の好適な実施形態において、前記アルミコア21は中実であってもよく、非振動の環境で、中実のアルミ導線を採用してもよく、加工コストがアルミ撚線より遥かに低く、且つ中実のアルミ導線は直接的に銅端子のコネクタに溶接され、マルチストランドアルミ線コアには、芯線が溶接されていない面の不良が存在していない。また、内部は中実のアルミ線であり、マルチストランドアルミ線コアの単糸表面の酸化膜が存在していなく、導電性能がよくなる技術効果を果たす。
【0068】
実施例3
本実施例は本発明の銅端子とアルミ導線との磁気誘導溶接方法及び形成された継手構成の他の好適な実施形態であり、本実施例と前記実施例との相違点は以下の通り、即ち、
前記S1はさらに以下のステップを有し、前記アルミ導線の溶接端と前記銅端子のコネクタとの間に間隔金属層を配置する。銅とアルミとは異なる元素であり、銅の金属不活性がアルミより大きく、銅とアルミとの電極電位の差が大きいから(銅は+0.337で、アルミが-1.662である)、二つの金属が直接的に接触し、空気と水の作用で、アルミがだんだん電子を喪失し、電気化学反応を形成し、アルミ導線を腐食し、ハーネスの寿命を減少させ、ひどい場合には接触不良のため、ハーネス継手が発火し事故を起す恐れがある(例えば車の炎上)。金属の間の電極電位の差が小さいほど、電気化学反応が明らかではない。従って、発明人が本技術案に間隔金属層という方案を導入し、即ち、前記アルミコアと前記銅端子のコネクタとの間に間隔金属層を追加し、該間隔金属層の材質の電極電位が銅とアルミとの間にあり、溶接した後、銅端子とアルミ導線との間の電気化学反応を減少させ、ハーネスの寿命を延ばし、事故(例えば車の炎上)の発生を減少させる。
【0069】
前記間隔金属層の材質はニッケル、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、アルミ、錫、チタン、亜鉛、コバルト、クロムのうちの一つ、またはその組み合せである。
【0070】
好ましくは、間隔金属層の材質に対して錫、ニッケルまたは亜鉛のうちの一つ、またはその組み合せを選択する。
【0071】
ニッケルの電極電位が-0.250であり、錫の電極電位が-0.136であり、亜鉛の電極電位が-0.763で、銅とアルミとの間にあり、そして、ニッケル、錫または亜鉛の取得が簡単であるため、大量で工業生産に適用されることができる。
【0072】
好ましくは、間隔金属層の材質はさらに金または銀のうちの一つ、あるいはそれらの組み合せであってもよい。金または銀の化学性能が安定で、且つ導電性が優れるから、間隔金属層として使用される。
【0073】
前記間隔金属層の形状はシート状、弧形、環状、翼形または多角形の構成である。
【0074】
前記間隔金属層は独立し、または電気めっき、プレスめっき、無電解めっきあるいはアーク式溶射という方法で銅端子またはアルミ導線の線芯に付着されてもよく、
前記言及されるように、前記間隔金属層は電気めっきまたはプレスめっき、あるいは無電解めっきまたはアーク式溶射という方法で、銅端子またはアルミコアに付着されてもよく、具体的な方法は以下の通り、即ち、
前記電気めっきの方法のステップは以下の通り、つまり、1、めっき層金属が陽極にあり、2、めっき対象である物質が陰極にあり、3、陰極陽極がめっきされた金属の陽イオンからなる電解液に接続され、4、直流電の電源が入ると、陽極の金属が酸化され(電子を喪失する)、溶液中における陽イオンが陰極で(電子を得る)原子に還元され、陰極の表層に蓄積される。
【0075】
前記プレスめっきの方法のステップは以下の通り、つまり、1、圧接対象である二つの金属を積み上げ、2、めっき対象である表面を十分に拡散させ、原子間の結合を実現するように、圧力を付与し、3、金属の異なり、及び圧力源の異なりに応じて、温度を増える方法で溶接効果を向上させ、溶接時間を短くする。
【0076】
前記無電解めっきの方法は、電流が印加されていない状態で、適当な還元剤を介して、めっき液における金属イオンを金属に還元させ、部品の表面に堆積させるめっき方法である。
【0077】
前記アーク式溶射の方法は、間隔金属層をアーク領域に搬送して霧化し、圧縮ガスの作用で、高速でワークの表面に溶射し、アーク式溶射層を形成する。
【0078】
間隔金属層の磁気誘導溶接に対する有益性を証明するために、発明人はめっき層による保護がある銅端子の溶接部品、及びめっき層による保護のない銅端子の溶接部品を製造し、二つのサンプルの力学性能及び電気性能を対比し、及び48時間の塩水噴霧の実験を経た後、サンプルの力学及び電気性能を対比する。
【表5】
【0079】
以上のテーブルから分かるように、発明人は以下のように発見して、即ち、前記銅端子にNi層をめっきした後、引抜き力が向上し、電圧降下が低下し、即ち、溶接後の力学及び電気性能はNiめっき層のない性能より優れる。
【0080】
さらに、前記銅端子にNi層をめっきし、48時間の塩水噴霧による腐食された後、引抜き力と電圧降下の性能の低減の幅は明らかにNiめっき層のない継手より小さい。つまり、間隔金属の存在は、磁気誘導溶接で銅端子とアルミ導線との継手を製造することに対してより有益で、銅端子とアルミ導線との継手の力学性能及び電気性能を向上させる。アルミコアと前記銅端子のコネクタとの間には間隔金属層が追加され、好ましくは、前記間隔金属層と前記銅端子のコネクタとの間の距離が0~10mmであり、好ましくは、前記間隔金属層と前記銅端子のコネクタとの間の距離が0~3mmである。以下は実験で該技術案の有効性を証明し、
【表6】
【0081】
以上のテーブルから分かるように、発明人は以下のように発見して、即ち、間隔金属層と前記銅端子のコネクタとの間の距離が0~10mmである場合に、引抜き力が高く、その同時に電位降下が低く、溶接の効果は力学性能及び電気性能に対する要求を満たす。間隔金属層と前記銅端子のコネクタとの間の距離が0~3mmである場合に、テーブルに示すように、前記効果がより著しくなる。
【0082】
指摘しようとするのは、以上の段落に言及された距離についての内容は、前記発明内容、実施例2及び
図6a、
図6bの記載を参照すればよく、ここで贅言していない。
【0083】
他の実施形態は前記実施例と同様であるから、ここで贅言していない。
【0084】
以上の実施形態は本発明の保護範囲を限定していなく、本発明の好適な実施形態のみであり、当業者は本発明の基礎でなされたいかなる非実質性の変化及び差し替えはいずれも本発明の保護範囲に該当している。