(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】内部組織/器官上に低エネルギーの超音波(US)を印加するUS装置
(51)【国際特許分類】
A61N 7/02 20060101AFI20240403BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20240403BHJP
A61B 17/42 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61N7/02
A61N1/36
A61B17/42
(21)【出願番号】P 2020521638
(86)(22)【出願日】2018-07-04
(86)【国際出願番号】 IL2018050727
(87)【国際公開番号】W WO2019008582
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-07-01
(32)【優先日】2017-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520004971
【氏名又は名称】ビー.アール.エイチ. メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェファーバーグ、イラン
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0289416(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0050019(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0262135(US,A1)
【文献】特開2010-005370(JP,A)
【文献】国際公開第2010/076869(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 7/00
A61N 1/00
A61B 17/00-18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体の反応に応答して内部組織/器官上に低エネルギーの超音波(US)を印加するUS装置であって、前記US装置は、
(a)前記内部組織/器官にわたる治療部位上に、US周波数及びUS強度で低エネルギーのUSエネルギーを印加するよう動作可能な、非侵襲的な外部US器具と、
(b)前記内部組織/器官の近傍にある前記治療部位の皮膚上に交差する構成で配置するよう構成され、前記USエネルギーの印加と同時に、2対の電極のうちの一方を介して第1の電気周波数及び第1の電気強度で第1の電流を、また前記電極の対のもう一方を介して第2の電気周波数及び第2の電気強度で第2の電流を印加し、それにより前記治療部位内の干渉周波数で周期的に起こる共鳴波の干渉パターンを画定することで干渉電気刺激を引き起こすよう動作可能な、前記2対の電極を具備する電気刺激装置と、
(c)前記治療部位内の身体組織のインピーダンスを連続的に監視する、インピーダンス監視装置と、
(d)前記電気刺激装置及び前記US器具のパラメータを制御するためのコントローラであって、前記コントローラは、所定のインピーダンス範囲内に前記インピーダンスを維持するために、前記監視装置による前記インピーダンス監視に応答して、前記パラメー
タのうちの1つのパラメータを変化させるインピーダンス制御スキームを
繰り返し動的に実施するよう動作可能である、コントローラと
を備え、前記パラメータは、(i)前記干渉周波数、(ii)前記干渉パターン、(iii)前記US周波数、及び(iv)前記US強度からなる、電気刺激パラメータ及び超音波パラメータの群から選択され、
前記インピーダンス制御スキームは、
(a)前記インピーダンスが前記インピーダンス範囲を超えていると監視される場合、以下の、
(1)インピーダンスを低減することであって、以下の、
(i)前記第1の電気強度又は前記第2の電気強度のうちの少なくとも一方を増大させることと、
(ii)前記干渉周波数を低くすることのうちの少なくとも1つにより、インピーダンスを低減すること、及び
(2)USの浸透深さを増加させることであって、以下の
(i)前記US周波数を下げることと、
(ii)前記US強度を上げることのうちの少なくとも1つにより、USの浸透深さを増加させることのうちの少なくともいずれか1つを行うこと、並びに
(b)前記インピーダンスが前記インピーダンス範囲を下回っていると監視される場合、以下の、
(1)インピーダンスを増加させることであって、以下の
(i)前記第1の電気強度及び前記第2の電気強度のうちの少なくとも一方を低減することと、
(ii)前記干渉周波数を高くすることのうちの少なくとも1つにより、インピーダンスを増加させること、及び
(2)USの浸透深さを低減させることであって、以下の
(i)前記US周波数を上げることと、
(ii)前記US強度を下げることのうちの少なくとも1つにより、USの浸透深さを低減させる
ことのうちの少なくともいずれか1つを行うようになっている、US装置。
【請求項2】
前記インピーダンス監視装置は、以下の、
・電気的インピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ
・機械的インピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ
・体温を測定するトランスデューサ/センサ
・電気刺激電極間のインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ
・特定のトランスデューサ/センサ間のインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ
・前記電極と前記特定のトランスデューサ/センサとの間のインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ
・US診断によってインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ
・画像化装置によってインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ、及び
・上記の任意の組合せ
からなるリストから選択される、インピーダンスを測定するトランスデューサ/センサを備える、請求項1に記載のUS装置。
【請求項3】
前記インピーダンス制御スキームは、以下の、
・1回のUSの強度又は周波数の変更につき3~30秒の期間
・US電力を0.1W/cm
2だけ加える/減らす
・US周波数を0.7MHzから3.5MHzまで上げる/下げる
・US周波数を3分間一定に保ちながらUS電力を変更する場合は、3~30秒ごと
・US電力を3分間一定に保ちながらUS周波数を変更する場合は、3~30秒ごと
からなるリストから選択される少なくとも1つによって前記超音波の送信を変更することを含む、請求項1に記載のUS装置。
【請求項4】
前記インピーダンス制御スキームは、以下の、
・4つの電極のうちの2つの対向するペア間の、1対の電極の波を周期的に交互に変える
・2つの一定周波数の波間の、位相シフトを徐々に変更する
からなるリストから選択される少なくとも1つによって前記パラメータを変更することを含む、請求項1に記載のUS装置。
【請求項5】
前記内部組織/器官にわたって治療されるべき前記部位を決定する、US診断又は画像化機器をさらに備える、請求項1に記載のUS装置。
【請求項6】
前記US診断機器は、前記超音波(US)器具と組み合わされる、請求項5に記載のUS装置。
【請求項7】
前記干渉電気刺激装置は、1~70mAの電気刺激範囲の強度で電気刺激を与える、請求項1に記載のUS装置。
【請求項8】
前記US器具は、0.7MHz~3.5MHzの超音波周波数範囲で2.1ワット/cm
2未満の強度で超音波を送信する、請求項1に記載のUS装置。
【請求項9】
(d)前記干渉電気刺激を与え、前記超音波を送信するのと同時に、前記治療部位をマッサージする、マッサージ機器
をさらに備える、請求項1に記載のUS装置。
【請求項10】
(e)前記超音波を送信する前に、前記治療部位の皮膚上に塗布するゲル
をさらに備える、請求項1に記載のUS装置。
【請求項11】
前記内部組織/器官は、女性の生殖器官、潰瘍、閉鎖創、内傷、炎症、又は神経を含む、請求項1に記載のUS装置。
【請求項12】
前記女性の生殖器官は、以下の、
・卵胞
・子宮(胎内)の血管
・卵巣
・子宮内膜
・卵管
のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のUS装置。
【請求項13】
前記USエネルギーは、以下の、
・月経での出血を強めること
・不規則な月経を規則正しくすること
・月経を回復させること
・子宮内膜を厚くすること
・前記(女性の)器官への/近傍の血流を増やすこと
・卵巣の寸法を増やすこと
・卵胞の寸法を増やすこと
・ホルモンの状態を変えること
・癒着を取り除くこと
・ホルモン濃度を増やすこと
・潰瘍、閉鎖創、内傷、炎症、又は神経を治療すること
のうちの少なくとも1つを成し遂げる/活力を与えるために、前記治療部位内の身体組織の前記インピーダンスを前記インピーダンス範囲内に維持しながら印加される、請求項1に記載のUS装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技法は、超音波(US:ultrasound)エネルギーによる、ヒト及び哺乳動物の身体の内部組織及び器官の生体内治療を施すシステム及び方法に関し、詳細には、特に糖尿病が背景にある内部閉鎖創、潰瘍、傷害、又は炎症の治療、及び女性の受胎能力を高めることに関する。
【背景技術】
【0002】
身体組織の厚い層で覆われた患者の体内の内部器官の非侵襲的超音波(US)治療は、表面器官及び組織(たとえば、皮膚、皮下脂肪)のUS治療と比較して治療が困難である。なぜなら、USエネルギーは、その間にあって内部器官をUS生成ヘッドから隔てているすべての組織層を通って、外部のUS生成装置から内部器官へ直接伝達される必要があるためである。USエネルギーは隔てている組織層を通って即時に消散し、その効果的な治療のための、内部器官に到達するのに必要なUSエネルギーの正確な強度の事前計算及び測定は、USヘッドに集中しても非常に複雑である。副作用として、USエネルギーの大部分を吸収する、隔てている組織は、そのプロセスで深刻な損傷を受ける可能性がある。女性の生殖器官は繊細な内部器官であり、通常、大きな組織層に囲まれており、これが、大きな隔てている層を危険にさらすことのない効果的な生殖器官の非侵襲的US治療を妨げる。これは、閉鎖創、内傷、炎症、及び内部潰瘍のような、どんな内部組織を治療する場合でも当てはまる。糖尿病は、通常は末梢器官内の閉鎖した内部創傷及び潰瘍を伴うことが多く、糖尿病性潰瘍の進行と相関して生じさせる可能性がある神経細胞への損傷をしばしば併発する。
【0003】
(本発明者の)米国特許出願公開第2013/289416A1号は、身体の治療部位上の糖尿病性潰瘍などの皮膚潰瘍を治療するシステム及び方法を開示している。干渉電気刺激は、超音波エネルギーと同時に与えられる。干渉電気刺激の動作パラメータは、身体が与えられた電気刺激に順応するのを防ぐために、任意のやり方で、又は所定のパターンにしたがって変更することができる。
【0004】
Diederich等の米国特許出願公開第2007/0255267号、名称「Method of Thermal Treatment of Myolysis and Destruction of Benign Uterine Tumors」は、子宮類線維腫又は子宮筋腫の低侵襲的温熱治療のための高出力超音波加熱アプリケータについて開示している。高強度の間質内超音波(interstitial ultrasound)は、低侵襲的腹腔鏡又は子宮鏡の処置で使用され、大手術の代わりに子宮筋層内の類線維腫を効果的に治療するのに使用される。アプリケータは、ボリュームの大きい類線維腫組織を短い治療時間(3~20分)で治療するために、高出力機能及び熱浸透性を有するよう構成され、一方、照射野を熱的に破壊するために、エネルギー照射の3次元制御を維持する。
【0005】
Eliの米国特許出願公開第2009/0171138号、名称「Ultrasonic Device for Fertility Control and Management and Navigation」は、超音波を含む音響エネルギーの使用による受胎能力の制御及び管理用デバイスについて開示している。受胎能力の管理及び制御は、受胎能力を低下若しくは向上させ、且つ/又はさもなければ、妊娠する能力の改善を含む受胎能力及び妊娠の1つ又は複数の側面を制御するのに適用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2013/289416A1号
【文献】米国特許出願公開第2007/0255267号、Diederich等、名称「Method of Thermal Treatment of Myolysis and Destruction of Benign Uterine Tumors」
【文献】米国特許出願公開第2009/0171138号、Eli、名称「Ultrasonic Device for Fertility Control and Management and Navigation」
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示する技法の一態様にしたがって、低エネルギーの超音波(US)エネルギーを、非侵襲的な外部US源から体内組織/器官に印加する方法を提供し、この方法は以下の手順を含む。
(a)内部組織/器官にわたる治療部位を決定する。
(b)内部組織/器官近傍の治療部位の皮膚上に、干渉電気刺激を引き起こすよう動作可能な電気刺激装置の、交差する構成での2対の電極を配置する。
(c)2対の電極のうちの一方を介して第1の電気周波数及び第1の電気強度で第1の電流を、またもう一方の電極の対を介して第2の電気周波数及び第2の電気強度で第2の電流を印加し、それにより治療部位内で、干渉周波数で周期的に起こる共鳴波の干渉パターンを画定することで、電極を介して干渉電気刺激を治療部位に与える。
(d)干渉電気刺激を与えるのと同時に、超音波(US)をUS周波数及びUS強度で治療部位に送信する。
(e)治療部位内で追跡されるインピーダンスを連続的に監視する。
(f)治療部位内の身体組織のインピーダンスを所定のインピーダンス範囲内に維持するために、監視されるインピーダンスに応答して、電気刺激及び超音波のうちの少なくとも1つのパラメータを動的に変更する。ここでパラメータは、以下のうちの1つを含む。(i)干渉周波数、(ii)干渉パターン、(iii)US周波数、(iv)US強度。
【0008】
インピーダンスを連続的に監視する手順(e)は、電気的インピーダンスの監視、機械的インピーダンスの監視、体温の監視、電気刺激の電極間のインピーダンスの監視、特定のトランスデューサ/センサ間のインピーダンスの監視、前記電極と特定のトランスデューサ/センサとの間のインピーダンスの監視、US診断によるインピーダンスの監視、画像化装置によるインピーダンスの監視、及び上記の任意の組合せによるインピーダンスの監視を特徴とすることができる。
【0009】
動的に変更する手順には、以下が含まれ得る。
(a)インピーダンスがインピーダンス範囲を超えていると監視される場合、以下の少なくとも1つを行う。
(1)以下の少なくとも1つにより、インピーダンスを低減する。
(i)第1の電気強度及び第2の電気強度のうちの少なくとも一方を増大させる。
(ii)第1の電気周波数と第2の電気周波数との間の周波数の差異を大きくすることにより、干渉周波数を低くする。
(2)以下の少なくとも1つにより、USの浸透深さを増加させる。
(i)US周波数を下げる。
(ii)US強度を上げる。
(b)電気的インピーダンスがインピーダンス範囲を下回っていると監視される場合、以下の少なくとも1つを行う。
(1)以下の少なくとも1つにより、インピーダンスを増加させる。
(i)第1の電気強度及び第2の電気強度のうちの少なくとも一方を低減する。
(ii)第1の電気周波数と第2の電気周波数の間の周波数の差異を小さくすることにより、干渉周波数を高くする。
(2)以下の少なくとも1つにより、USの浸透深さを低減させる。
(i)US周波数を上げる。
(ii)US強度を下げる。
【0010】
この方法は、以下の手順をさらに含み得る。
(g)少なくとも1つのパラメータが変更される第1のペースよりも遅い第2のペースで、前記少なくとも1つのパラメータのうちの別のパラメータを動的に変更し、ここで超音波の強度及び周波数は超音波範囲内に維持され、その結果共鳴超音波のうちの少なくとも1つのパターンが、内部組織/器官に瞬間的に到達するように実行される。
【0011】
内部組織/器官にわたって治療されるべき部位を決定する手順は、決定のためにUS診断/画像化を使用することを含み得る。診断/画像化は、超音波(US)治療装置と組み合わせることができる。
【0012】
干渉電気刺激を与える手順は、1~70mAの電気刺激範囲の強度で、電気刺激を与えることを含み得る。超音波を送信する手順は、0.7MHz~3.5MHzの超音波範囲内で0~2.1ワット/cm2の強度で、超音波を送信することを含み得る。
【0013】
この方法は、干渉電気刺激を与え超音波を送信する手順と同時に治療部位をマッサージする手順、超音波を送信する手順の前に治療部位の皮膚上にゲルを塗布する手順、又はこの方法を1回のセッション中に数回繰り返す手順をさらに含み得る。
【0014】
内部組織/器官は、卵胞、子宮(胎内)の血管、卵巣、子宮内膜、又は卵管などの女性の生殖器官、潰瘍、炎症、閉鎖創、内傷、及び神経であり得る。この方法は、月経での出血を強めること、不規則な月経を規則正しくすること、月経を回復させること、子宮内膜を厚くすること、女性の器官/内部組織への/その近傍の血流を増やすこと、卵巣の寸法を増やすこと、卵胞の寸法を増やすこと、ホルモンの状態を変えること、癒着を取り除くこと、ホルモン濃度を増やすこと、並びに潰瘍、閉鎖創、内傷、炎症、及び/又は神経を治療することを成し遂げるか又は活力を与えることに向けられ得る。
【0015】
本技法の別の態様にしたがって、内部組織/器官上に低エネルギーのUSを印加する超音波(US)装置を提供する。US装置は、内部組織/器官にわたる治療部位上に、US周波数及びUS強度で低エネルギーのUSエネルギーを印加するよう動作可能な、非侵襲的な外部US器具を備える。
【0016】
US装置は、内部組織/器官の近傍にある治療部位の皮膚上に、交差する構成で配置するよう構成される2対の電極を具備する電気刺激装置をさらに備え、2対の電極は、USエネルギーを印加するのと同時に、2対の電極のうちの一方を介して第1の電気周波数及び第1の電気強度で第1の電流を、また電極の対のうちのもう一方を介して第2の電気周波数及び第2の電気強度で第2の電流を印加し、それにより治療部位内の干渉周波数で周期的に起こる共鳴波の干渉パターンを画定することで、干渉電気刺激を引き起こすよう動作可能である。
【0017】
US装置は、治療部位内の身体組織のインピーダンスを連続的に追跡及び監視する、インピーダンス監視装置をさらに備える。
【0018】
US装置は、電気刺激装置及びUS器具のパラメータを制御するコントローラをさらに備え、このコントローラは、所定のインピーダンス範囲内にインピーダンスを維持するために、前記監視装置によって監視されるインピーダンスに応答して、パラメータのうちの少なくとも1つを動的に変更するよう動作可能であり、ここでパラメータは、以下からなる電気刺激パラメータ及び超音波パラメータの群から選択される。(i)干渉周波数、(ii)干渉パターン、(iii)US周波数、(iv)US強度。
【0019】
インピーダンス監視装置は、電気的インピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ、機械的インピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ、体温を測定するトランスデューサ/センサ、電気刺激の電極間のインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ、特定のトランスデューサ/センサ間のインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ、電極と特定のトランスデューサ/センサとの間のインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ、US診断によってインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ、画像化装置によってインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ、及びその任意の組合せを含む、インピーダンスを測定するトランスデューサ/センサを特徴とすることができる。
【0020】
コントローラは、以下によって、少なくとも1つのパラメータを動的に変更することができる。
(a)インピーダンスがインピーダンス範囲を超えていると監視される場合、以下の少なくとも1つを行う。
(1)以下の少なくとも1つにより、インピーダンスを低減する。
(i)第1の電気強度及び第2の電気強度のうちの少なくとも一方を増大させる。
(ii)第1の電気周波数と第2の電気周波数との間の周波数の差異を大きくすることにより、干渉周波数を低くする(低い方の周波数を小さくする、且つ/又は高い方の周波数を大きくすることによって)。
(2)以下の少なくとも1つにより、USの浸透深さを増加させる。
(i)US周波数を下げる。
(ii)US強度を上げる。
(b)インピーダンスがインピーダンス範囲を下回っていると監視される場合、以下の少なくとも1つを行う。
(1)以下の少なくとも1つにより、インピーダンスを増加させる。
(i)第1の電気強度及び第2の電気強度のうちの少なくとも一方を低減する。
(ii)第1の電気周波数と第2の電気周波数の間の周波数の差異を小さくすることにより、干渉周波数を大きくする。
(2)以下の少なくとも1つにより、USの浸透深さを低減させる。
(i)US周波数を上げる。
(ii)US強度を下げる。
【0021】
コントローラは、パラメータが動的に変更される第1のペースよりも遅い第2のペースで、少なくとも1つのパラメータのうちの別のパラメータを動的に変更することができ、ここで超音波の強度及び周波数は超音波範囲内に維持され、その結果共鳴超音波のうちの少なくとも1つのパターンが、内部器官に瞬間的に到達するように実行される。
【0022】
コントローラは、1回の変更につき3~30秒だけ超音波送信を変更して、0.1W/cm2だけ電力を加え/減らし、周波数を0.7MHzから3.5MHzまで上げる/下げることによって、又は周波数/電力を3分間一定に保ちながら電力/周波数を変更する場合は3~30秒ごとに、そして逆の場合も同様に、パラメータを動的に変更することができる。コントローラは、パラメータを1回のセッション中に数回繰り返し動的に変更するか、或いは4つの電極の対向する2つのペア間で一対の電極の波を周期的に交互に変えることにより、又は同等か若しくはわずかにずれた周波数を有する2つの一定周波数の波間の位相シフトを徐々に変更することにより、パラメータを動的に変更するよう構成され得る。
【0023】
US装置は、内部組織/器官にわたって治療されるべき部位を決定するためのUS診断及び/又は画像化機器をさらに備えることができる。US診断機器は、超音波(US)器具と組み合わせることができる。
【0024】
干渉電気刺激装置は、1~70mAの電気刺激範囲の強度で電気刺激を与えることができる。US器具は、0.7MHz~3.5MHzの超音波範囲内で0~2.1ワット/cm2の強度で、超音波を送信することができる。
【0025】
US装置は、干渉電気刺激を与え、且つ超音波を送信するのと同時に、治療部位をマッサージするマッサージ機器、及び超音波を送信する前に、治療部位の皮膚上に塗布するゲルをさらに備えることができる。
【0026】
開示する技法は、以下の図面と併せて解釈される以下の詳細な説明から、より完全に理解及び認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】開示する技法の一実施例にしたがって構成され動作する、身体組織の持続的な機械的インピーダンス及び電気的インピーダンスを誘導して、治療される内部組織又は器官への低エネルギーの超音波エネルギーを円滑に効果的に送達するシステムのブロック図である。
【
図2】開示する技法の一実施例による、
図6を参照して説明するインピーダンス監視装置がない、患者の身体部位を治療する
図1のシステムの概略図である。
【
図3】開示する技法を適用する際に生じる、物理的且つ生物学的プロセスの概略図である。
【
図4A】開示する技法の一実施例による、時間の関数としての超音波周波数の第1の例示的な変化を示すグラフである。
【
図4B】開示する技法の一実施例による、時間の関数としての超音波周波数の第2の例示的な変化を示すグラフである。
【
図5A】開示する技法の一実施例による、治療部位に与えられる干渉電気刺激と超音波との間の相乗効果から生じる、組織の山型のモーフィングを描写する3次元グラフィックの図である。
【
図5B】開示する技法の一実施例による、治療部位に与えられる干渉電気刺激と超音波との間の相乗効果から生じる、組織の山型のモーフィングを描写する3次元グラフィックの図である。
【
図6】本発明の一実施例にしたがって構築され動作する、身体組織の持続的な機械的インピーダンス及び電気的インピーダンスを誘導して、治療される内部組織又は器官への低エネルギーの超音波エネルギーを円滑に効果的に送達するシステム600を示す図である。
【
図7】本発明の一実施例にしたがって動作する、身体組織の持続的な機械的インピーダンス及び電気的インピーダンスを誘導して、治療される内部組織又は器官への低エネルギーの超音波エネルギーを円滑に効果的に送達する方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
開示する技法は、治療される内部組織又は器官へ低エネルギーの超音波エネルギーを円滑に効果的に送達するために、身体組織の持続的な機械的インピーダンス及び電気的インピーダンスを誘導する新規システム及び方法を提供することにより、従来技術の欠点を克服する。具体的には、この新規のシステム及び方法は、女性の器官の受胎能力を高め、潰瘍、閉鎖創、内傷、炎症、及び神経を治療するよう動作可能である。このシステムは、特定の周波数範囲及び強度範囲で超音波を治療部位に向けて送信するよう構成された、超音波装置を備える。超音波を送信することで、下層組織内の体液及び老廃物の放出、並びに、それに続く循環系からの除去を引き起こし、血流を増加させ、治療部位での微小循環を改善する。このシステムは、超音波の送信と同時に、干渉電気刺激を治療部位に与えるための電気刺激装置をさらに備える。干渉電気刺激は、治療部位で筋肉組織の断続的な収縮を引き起こし、女性の生殖器官、潰瘍の悪影響を受けた組織、及び神経より下から下層組織及び関連する血管構造に対して繰り返し圧力を加え、血流を促し、循環を改善する。マッサージ用デバイスの使用又は手技などにより、外部マッサージを治療部位に施して、さらに血流を促し、部位内の循環及びリンパの働きを改善することもできる。治療部位に対して揉む、又は超音波トランスデューサを押し付けることで、さらなる圧力をかけることができる。
【0029】
本明細書で使用する「女性の受胎能力」という用語、及びそのどんな変形も、女性の身体の部位内にある、受精、妊娠、受胎、精子侵入、及び妊娠期間を完遂するすべてのプロセスに首尾よく関与すべき、任意のタイプの女性の器官及びその見込みを指す。したがって、開示する技法は、任意の種類又は重症度の、任意のタイプ又は形態の女性の受胎能力の治療に適用可能である。
【0030】
本明細書で使用する「女性の生殖器官」という用語、及びそのどんな変形も、卵胞、子宮(胎内)の血管、卵巣、子宮内膜、及び卵管などの器官を含むがこれらに限定されない、女性の生殖プロセスに関与する器官を指す。
【0031】
本明細書で使用する「内部器官」又は「内部組織」という用語、及びそのどんな変形も、神経、潰瘍の悪影響を受けた組織、閉鎖創、炎症、及び内傷を含む任意の器官、任意の内部組織を指す。
【0032】
本明細書で使用する「同時の」という用語、及びそのどんな変形も、考察中の持続時間の前の時間及び後の時間も包含する。したがって、第2の手順と「同時に」実行されていると説明される第1の手順は、たとえば、第2の手順の直前、直後、及び/又は間に実行され得る。
【0033】
開示する技法は、その最も広い態様において、低エネルギー超音波を、超音波で治療されるべき内部器官、内部組織、炎症、及び神経へ円滑に効果的に送達するために、身体組織のインピーダンスをインピーダンス範囲内に維持するように誘導しながら、低エネルギーUSを印加する装置及び方法に関する。
【0034】
(本発明者の)米国特許出願公開第2013/289416A1号は、身体の治療部位の糖尿病性潰瘍などの皮膚潰瘍を治療するシステム及び方法を開示している。この開示は、超音波エネルギーと同時に干渉電気刺激を与えることを教示している。強度、周波数、及びパルス持続時間などの干渉電気刺激の動作パラメータは、痛み又は不快感の兆候などの患者からの臨床的フィードバックに応答して、治療セッションの過程にわたって数分ごとに変更することができ、与えられる電気刺激に身体が順応するのを防ぐために、任意のやり方で、又は所定のパターンにしたがって、電気刺激のパラメータはさらに1段階切り替えられる(hopped)か、又は徐々に変更され得る。しかし、患者からの臨床的フィードバックは、治療がどのように有効であるか、また有効性を高めるためにどのパラメータをどのように変更すべきかを示していない。任意のやり方又は所定のパターンでのパラメータの変更は、リアルタイムで身体の実際の反応に追従する傾向がなく、ランダム又は予想される反応のモデルに基づいており、したがって必ずしも身体の順応を防ぐのに必要で不可欠な変更を実現しているわけではない。公開第2013/289416A1号は、皮膚の潰瘍に関するもので、超音波及び電気エネルギー源の近傍にある局所組織の治療を含み、一方、より深くにある健康な組織は、エネルギーのほんの一部しか受けず、したがって望ましからざる影響にはほぼ晒されない。本出願は、エネルギーの一部を吸収する健康な組織を通る強いエネルギーの好ましからざる浸透が避けられず、吸収されなかったエネルギーだけが治療されるべき内部組織に到達する、内部組織及び器官の治療を対象とする。本発明は、エネルギー伝搬経路で身体組織を通る内部器官への超音波エネルギーの通過を阻害し、最適な強度の超音波エネルギーでの有効な治療を妨げ、伝播経路内の局所及び中間干渉組織にしばしば損傷を与える、超音波強度の望ましからざる増加が必要となる、機械的インピーダンスの増加をもたらす、身体の順応を考慮する。局所及び中間組織に損傷を負わせるにはほど遠いレベルまで治療エネルギーを低減させることで、局所及び中間組織による減衰のために、有効性のないエネルギーレベルになってしまう可能性がある。この望ましくない効果は、特に糖尿病を背景とする内部閉鎖創、内部潰瘍、内傷、又は炎症などの内部器官の治療、及び女性の受胎能力を高めるための内部女性生殖器官の治療において顕著である。通常、電気的「インピーダンス」には「抵抗」及び「リアクタンス」が含まれ、その測定はいくつかの方法で実現できる。機械的インピーダンスは直接検出できるが、このインピーダンスは電気的インピーダンスと相関があるので、代わりに電気的インピーダンスを検出することが実用的であり得る。本発明は、治療セッションの過程にしたがってこのインピーダンスを検出、測定、及び監視し、それに応答して、電気刺激及び/又は超音波エネルギーのパラメータを連続的に変更することを追求し、それによって監視されたインピーダンスは、所望の範囲内のインピーダンスを維持するために、どんな誤差も連続的に矯正されることになる。インピーダンスを可能な限り低く保つのではなく、インピーダンスを所望の範囲内に保つことは、身体が常に、且つ連続的に効果的な治療に適応するので、また必ずしも効果的ではない治療エネルギーで低インピーダンスが実現し得るので、実用的な目的である。下記の実験において、50Hz(電気刺激のファラデー電流)で、100cm2の皮膚面積のインピーダンスは約3000Ωであることが判明した。4000Hz(中間周波数)では、同じ面積の皮膚インピーダンスは約50Ωに低下した。効果的な治療のためには、たとえば500Ωの皮膚インピーダンスが許容でき、動作範囲インピーダンスはその辺りに選択することができる。
【0035】
皮膚インピーダンスが低いことにより、より小さい超音波(及び電気刺激)エネルギーを印加して、外側の組織層を通り、治療される内部組織又は内部器官に到達することができる。ただし、この中間周波数は、0.1Hzから250Hzの、通常の生物学的に応答する周波数範囲を大きく外れて存在する。治療パラメータの変更は、変更がランダム、任意、又は所定のパターンで適用される初期較正の治療後、インピーダンスの変化に応答して治療セッションの過程にしたがって選択及び適用することができ、所望の範囲外のインピーダンスの増加又は減少をもたらす身体の反応が検出されたとき、そうしたパラメータの変更は、所望のインピーダンス範囲からのどんな乖離も矯正するように、身体反応を逆戻りさせることが判明した。
【0036】
US装置は、内部器官又は組織にわたる治療部位で使用する非侵襲的US器具、及び同時に干渉電気刺激を引き起こす電気刺激装置を備える。コントローラは、電気刺激装置及びUS器具のパラメータを制御し、治療部位内の身体組織のインピーダンスをインピーダンス範囲内に維持するように、パラメータのうちの少なくとも1つを動的に変更する。US装置は、治療部位内の電気的インピーダンスを連続的に検出、測定、及び監視するためのインピーダンス・モニタを備え、コントローラは、所定の範囲内にインピーダンスを維持するために、監視する電気的インピーダンスに応答してパラメータのうちの少なくとも1つを動的に変更することが好ましい。インピーダンス・モニタは、身体にわたる、治療区域内又は治療区域近傍に配置された電気的インピーダンス・センサ、又は治療区域を見渡す熱センサなどの間接的なセンサを特徴とすることができる。機械的インピーダンスの直接的な測定は、たとえば、超音波診断に使用されるものと類似の超音波センサを使って(送信、エコー、消散、又は分散された超音波エネルギーを計算することにより)実行することができる。電気的インピーダンスを検出し、動的に追跡する別の手段では、身体内の送信、消散、及び分散の検出を可能にする、他の電磁範囲(たとえば、RF)を適用する必要があるかもしれない。
【0037】
体脂肪の評価に使用されるいくつかの現代的技法は、本発明の目的に使用されるべきインピーダンスの評価及び追跡を実現することができる。これは、局所の層のみのインピーダンスを検出することを追求し、したがってさらに簡単に適用される。利用可能な技法には、たとえば、生体電気インピーダンス分析(BIA:Bioelectrical Impedance Analysis)、生体インピーダンス分光法(BIS:Bio-impedance Spectroscopy)、及び電気インピーダンス・ミオグラフィ(EIM:Electrical Impedance Myography)が含まれ、選択された技法は、治療部位内又はその近傍の小さい身体部位内に電流を導入することによって、適用される。
【0038】
内部器官又は組織は、外部器官の治療と同様の、又は同様に超音波ヘッドに近接したやり方では、非侵襲的な超音波処置によって効果的に治療することはできない(たとえば、皮膚、皮下組織、皮下組織のすぐ後ろに置かれた部位、晒された組織、身体内部を内側へ貫通する侵襲的超音波ヘッドに近接する組織)。超音波ヘッドと治療されるべき内部器官/内部組織との間を隔てている大きな組織は、超音波を吸収して消散させ、それによって治療を妨げる。最終的に十分なエネルギーの波が内部器官又は組織に到達するように高エネルギーの超音波を印加することにより、超音波のパワーを増加させると、隔てている組織に深刻な損傷が生じるという結果になるであろう。
【0039】
本発明は、閉鎖創、内傷、内部炎症、及び潰瘍などの、どんな内部組織の治療にも適用可能である。
【0040】
糖尿病は、末梢毛細血管の鬱血のため、典型的にはつま先、指、及び手足などの末梢器官内に、閉鎖した内部創傷、炎症、及び潰瘍を伴うことが多く、末梢毛細血管の遮断は、血液の供給及び影響を受けた組織に不可欠な栄養摂取を妨げることに留意されたい。かかる創傷は通常、神経細胞の損傷に関係し、時に潰瘍の進行も示す段階で発生する。末梢神経障害性疼痛は、潰瘍の前兆として発生することが多い。神経へのさらなる損傷の後に、組織及び神経の損傷を伴う神経障害性且つ侵害受容性の疼痛が続くことが多い。通常、さらなる組織損傷は、しびれ又は知覚麻痺を伴い、さらなる損傷は、糖尿病性潰瘍をもたらし、時には内部閉鎖創として現れ、さらに開放創、細菌感染に発展する場合があり、最終的には救命措置としての末梢器官の切断を引き起こす可能性がある。
【0041】
したがって、神経の損傷は特に追跡に値する。神経は、細胞体に囲まれた中心核、分岐した樹状突起、ミエリン鞘に包まれ末梢に突出した軸索、及びさらに末梢に延出する軸索末端を有するニューロン(又は神経細胞)を有する。核への損傷は回復不能であるが、軸索、軸索末端、樹状突起、及びおそらくミエリン鞘の損傷は、少なくともある程度まで回復することができる。典型的な神経への糖尿病性損傷は、神経障害性疼痛によって引き起こされる軸索末端への損傷から始まる。ミエリン鞘のさらなる損傷は、吐き気の痛みによって引き起こされる、鞘に覆われた軸索の損傷をもたらす。軸索へのさらなる損傷、及び樹状突起への損傷は、しびれをもたらし、軸索及び樹状突起へのさらなる損傷ばかりでなく核の損傷も、知覚麻痺をもたらす。
【0042】
本発明は、特に糖尿病を背景とし、糖尿病の影響を受け、自力回復させる価値があり、その状態が糖尿病性潰瘍の進行及び退縮も示す神経を治療することを含む、発生している潰瘍を治療することを対象とする。神経の治療は、主に軸索末端の回復に向けられるが、軸索、ミエリン、及び樹状突起の治療にも広げることができる。
【0043】
さらに、慢性的な炎症の下では、細胞は、プロスタグランジン、及び走化性として知られるプロセスによって神経受容体に遊走する他の化学物質を分泌する。これらの化学物質は、神経を活性化して痛みを引き起こす。炎症を軽減すると、これらの化学物質の放出が妨げられ、その結果痛みは回避される。
【0044】
隔てている組織に吸収されるエネルギー量を決定する1つの主な要因は、隔てている組織の機械的インピーダンスである。身体組織の機械的インピーダンスは、身体組織の電気的インピーダンスと相関関係があり、これは操作できる。身体組織は、電気刺激にさらされると順応し、徐々に抵抗を増加させる傾向があり、その結果、機械的インピーダンスが増加する(且つ、電気的インピーダンスが増加する)。この新規の方法は、治療部位へ電気刺激を動的に変化するよう操作して与えることにより、絶え間なく身体組織の機械的インピーダンスを誘導し、身体組織が受ける電気刺激に対する身体組織の自然な順応に打ち勝つ。
【0045】
たとえば、皮膚インピーダンスの順化を克服するために、電気刺激電圧を増加させて所望の刺激電流を実現させることができるが、患者は通常、より快適性の低い治療を受けることになる。かかる電流が浸透する深さは、不十分かもしれず、少なくとも部分的に、患者の不快感で制限される場合がある。
【0046】
50Hzの刺激周波数で実行した実験測定では、100cm2の皮膚に対して約3000オーム(Ω)のインピーダンスという結果になった。4000Hz(中間周波数)では、同じ面積の皮膚インピーダンスは約50オームであった。
【0047】
これらの測定は、はるかに低い刺激電圧を使用して所望の刺激電流を生成でき、一方で、皮膚の感度は一層低下し、患者にとってより快適な治療体験が得られることを示唆している。ただし、この中間周波数は、身体又は皮膚組織が効果的に反応する通常の生物学的に有効な周波数範囲(0.1~250Hz)をはるかに超えている。
【0048】
必要な刺激を生成するために、2つの中間周波数を使用する。たとえば4000Hzの一定周波数を電極の1つの対に使用し、たとえば3900Hzのわずかに異なる周波数を他の対に使用する。これらの2つの周波数は「干渉」して、組織内で振幅変調された中間周波数(ビート周波数)を生成する。組織は、電流強度の周期的な上昇及び下降に応答して反応する。通常の生物学的に有効な周波数範囲内にあるのは振幅変調周波数(AMF:amplitude modulation frequency)であり、中間周波数(キャリア)ではない。
【0049】
それにもかかわらず、特定の超音波だけが有効であるか、又は器官を損傷しない、つまり、最小有効閾値を上回り、損傷閾値を下回るエネルギーの範囲内にある、内部器官を効果的に治療する正しい「共鳴」を有している。そのため、超音波は、動的に変化するパターンで印加されるよう操作され、適切で効果的な波が、最終的に治療される内部器官又は組織に確実に与えられる。
【0050】
ここで、
図1及び
図2を参照する。
図1は、開示する技法の一実施例にしたがって構成され動作する、内部組織、炎症を治療する、又は女性の器官の受胎能力を高める、全体として100で参照されるシステムの実施例のブロック図である。
図2は、開示する技法の一実施例による、患者の身体部位を治療する
図1のシステムの概略図である。システム100は、プロセッサ102、超音波装置112、電気刺激装置108、インピーダンス監視装置150、診断/画像化機器160、及びマッサージ用デバイス110を備える。プロセッサ102は、電気刺激装置108、インピーダンス追跡及び監視装置150、診断/画像化機器160、マッサージ用デバイス110、及び超音波装置112と結合される。電気刺激装置108は、電極208を備える。超音波装置112は、典型的には、信号発生器ユニット(図示せず)及び超音波トランスデューサ212を備える。インピーダンス監視装置150は、
図6の電極611、トランスデューサ/センサ651、652、656、662及びモニタ654などの要素を参照してさらに詳述するように、インピーダンス・トランスデューサ/センサ及び/又は熱センサを備える。プロセッサ102は、電気刺激装置108、マッサージ用デバイス110、及び超音波装置112の動作を制御及び管理するよう動作する。プロセッサ102は、任意の形態のハードウェア、ソフトウェア、又はその組合せによって部分的又は完全に具現化されてもよく、電気刺激装置108、マッサージ用デバイス110、及び超音波装置112のいずれか1つと統合されたハードウェア又はソフトウェア構成要素によって、少なくとも部分的に具現化されてもよい。
【0051】
図2を参照すると、システム100は、患者の身体上の治療部位230に適用され、治療部位230は、治療を必要とする内部組織/器官240の上に位置する。内部組織/器官240は、女性の生殖器官(たとえば、卵胞、子宮(胎内)の血管、卵巣、子宮内膜、及び/又は卵管)、或いは、内部潰瘍、閉鎖創、内傷、神経、又は炎症を含む、その任意の部分及び内部に配置された他の任意の生体組織を含む、他のどんな内部器官、組織でもあり得る。治療部位230は、皮膚組織層213(すなわち、表皮、真皮、及び下皮)、脂肪組織層220(すなわち、皮下脂肪)、及び筋肉組織層216を含む。内部組織/器官240は、皮膚組織層213、脂肪組織層220、及び筋肉組織層216内の下深くに配置される。
【0052】
電極208は、患者の上に、内部組織/器官240近傍の治療部位230に配置される。刺激装置108は、電極208を介して治療部位230に干渉電気刺激を与える。電気刺激は筋肉組織216に到達し、内部組織/器官240の上に刺激作用を生じさせ、その区域の血液循環を刺激する。電極208は、治療中に電極208が静止状態で保持されるように、皮膚層213上に直接接着又はその他の方法で固定的に配置することができる。別法として、1つ又は複数の電極208を超音波トランスデューサ212の接触部となるヘッドと一体化されてもよく、それにより電極208は、操作者が治療部位230の上を移動させるトランスデューサ212の接触部となるヘッド内で、電極に連動して動作する。
【0053】
超音波トランスデューサ212は、治療部位230に向かって超音波を送信する。以下で詳述するように、超音波をより一層浸透させるために、場合によってはゲル209が治療部位に塗布される。送信された超音波は、皮膚組織層213及び脂肪組織層220を浸透する。送信される超音波の強度及び/又は周波数は、超音波が、層213、220、及び216を通って伝播する間に減衰されるように選択され得る。特に、超音波は筋肉組織層216内に浸透する。開示する技法による効果的な超音波の浸透の、典型的な断面を、点線222で表す。一般に、送信された超音波は、治療部位130の組織層内の血液循環を十分に刺激し、それにより内部組織/器官240の治癒を促進するよう機能する。超音波トランスデューサ212は、好ましくは、超音波装置112の動作中に、治療部位230の皮膚に対して揉むか又は押し付けるように操作することが好ましい。マッサージ用デバイス110は、電気刺激及び超音波送信と同時に治療部位230をマッサージすることが好ましい。
【0054】
ここで、開示する技法を適用する際に生じる、物理的且つ生物学的プロセスの概略図である
図3を参照する。超音波トランスデューサ212は、治療部位230に向かって超音波302を送信する。超音波は、波がそれを通って伝播する媒体の密度及び圧力の変化を生み出す、非常に高い周波数の(つまり、約20KHzを超える)音波である。超音波は、高圧領域(「圧縮」)及び低圧領域(「希薄化」)で構成される縦波である。超音波が材料に当たると、その材料の粒子が振動し始め、徐々に熱を発生させる。したがって、超音波からの運動エネルギーは、衝撃を受けた材料内で熱エネルギーに変換される。
【0055】
超音波を送信する1つの効果は、治療部位内の微小循環(すなわち、組織内の血液分配を担当する微小血管ネットワークを通る血液循環)を改善することである。超音波302が皮膚組織層213及び脂肪組織層220を通って伝播することで、結果として生じる組織の振動及び軟化が熱及び圧力を生成し、それが組織内に蓄積された体液及び老廃物を放出させ、その後に除去させながら、部位内の血流及び循環もより良くする。
【0056】
開示する技法による超音波トランスデューサ212は、約1~4MHzの間、好ましくは0.7MHzから3.5MHzまでの周波数で、約0~2.5W/cm2の間、好ましくは0.5~2.1W/cm2の間、より一層好ましくは1~2.1W/cm2の間、さらにより一層好ましくは約1.8~2.1W/cm2で強度が変化する超音波302を放出する。こうした動作範囲で、筋肉など、USヘッドからの経路上にある健康な組織は無傷の状態で保持されながらも、内部器官/組織240近傍の組織内で微小循環の改善が行われると推測される。超音波の動作周波数又は動作強度は、治療セッションの過程にわたって変更することができる。動作周波数を変えることにより、治療部位230内の異なる深さを標的とすることができる。具体的には、より高い周波数を使用するほど、一層浅い組織層にしか到達できず、一方、より低い周波数を使用するほど、一層深い組織層に到達することができる。標的となっている部位の深さに関連して周波数を変える場合、1番目の深さが最初に完全に治療され、その後に2番目の深さが治療されることが好ましい。超音波強度は、超音波周波数とは無関係に変更することができる。超音波トランスデューサ212の動作周波数は、0.7~3.5MHzの間に収まり、超音波トランスデューサ212の動作強度は、0~2.1W/cm2の間に収まることが好ましい。所望の効果を生み出し、且つ/又は治療部位の所望の深さに浸透させるために、様々な周波数/強度の組合せ(たとえば、高周波数及び高強度、低周波数及び低強度、高周波数及び低強度、低周波数及び高強度)を使用することができる。
【0057】
治療提供者は、治療が行われている間の患者からのフィードバックを利用し、必要に応じて治療の調整を続けることが好ましい。たとえば、送信される超音波は、患者が痛みを感じるまで、又はもはや痛みに耐えられなくなるまで、特定の強度で印加される。患者が痛み又は不快に感じていることを示した場合、治療提供者は、超音波の強度を下げ、治療部位の異なる部分上に超音波トランスデューサを再配置し、且つ/又は治療部位の異なる深さに到達させるために超音波周波数を変更することができる。
図6の実施例を参照すると、上述の調整は、
図6の実施例で実行される、超音波のパラメータ又は刺激パラメータの連続的な変更に加えて、好ましくは自動的に、インピーダンスを所望の範囲に保つことを目的に、身体インピーダンスの追跡された変化に応答して実行される。
【0058】
ここで、
図4A及び
図4Bを参照する。
図4Aは、開示する技法の一実施例による、時間の関数としての超音波周波数の第1の例示的な変化を示すグラフである。
図4Bは、開示する技法の一実施例による、時間の関数としての超音波周波数の第2の例示的な変化を示すグラフである。
図4Aを参照して、周波数は、治療の過程にわたって200KHzの増分で5秒継続し、周期的に、0.7MHzから3.5MHzへ変更され再び1MHzに戻され得る。別法として増分は、たとえば3秒又は10秒の、より短い又はより長い時間であってもよく、或いは、たとえば100KHz又は500KHzの、より高い又はより低い周波数であってもよい。
図4Bを参照して、周波数は、周期的に、0.7MHzと3.5MHzとの間で階段的に急峻に変更され、再び0.7MHzに戻ることもでき、ここで個々の周波数は、5分間印加される。別法として、印加される周波数の持続時間は、より短い又はより長い時間、たとえば3分、10分、又は20分であってもよい。
【0059】
図1及び
図2に戻って参照すると、刺激装置108は、干渉電気刺激を治療部位230に与え、筋肉組織層216を断続的に収縮させる。電極208は、接着パッチなどの取付手段を用いて皮膚組織層213に、治療部位230を横切る筋肉繊維の開始位置及び終了位置に取り付けられる。典型的には、以下でさらに論じるように、干渉ビート周波数を生成するために、少なくとも2対の電極208を使用する。干渉電流は、電極208を介して、筋肉組織の断続的な収縮を刺激する、結果として生じるビート周波数である、5~150Hzの範囲にわたる周波数で治療部位230に印加される。こうした収縮は、内部組織/器官240の周りの脂肪組織層220及び皮膚組織層213に対して、筋肉の緊張した成層(tense bedding)を生み出し、治療される表面組織に対する反対の力をもたらす。筋肉の急速な収縮-弛緩の動き(
図3の圧力の矢印309で表される)は、皮膚組織213、脂肪組織220、及び関連する血管構造に対して繰り返し圧力を加え、内部組織/器官240近傍の血流を促し、循環を改善する。干渉電気刺激は、超音波装置112による超音波の送信と同時に与えられ、それにより、超音波によって引き起こされる循環の改善度をさらに高める。生体器官の組織の持続性に関して、特に積極的な治療に力が伴う状況において、一定の圧力を加えるより、緩和のための中断を交互に繰り返す圧力パルスの周期的な印加が好ましいと考えられる。したがって、開示する技法によって、干渉電気刺激は、強力な超音波治療後、少なくとも半時間有効であることが判明した。
【0060】
干渉電気刺激の動作パラメータ(たとえば強度、周波数、パルス持続時間)は、患者からの臨床的フィードバック(たとえば痛み又は不快感の兆候)に応じるなど、治療セッションの過程にわたって変更することができる。電気刺激の動作強度は、1~70mAの間であることが好ましい。干渉電気刺激は、干渉アイソプレーナ(4極)及び干渉ベクトル(4極)刺激技法、又はその組合せを使用して実行される。干渉技法は、それぞれわずかに異なる搬送周波数の相異なるチャネルで発生する2つの交流を使用する。電流は、治療部位230で合い、干渉(強め合う、又は弱め合う)を生み出し、その結果、電極のそれぞれの対によって供給される実際の周波数間の差に等しいビート周波数を生成する。たとえば、100Hzの周波数は、一方の電極対の3,900Hz、他方の電極対の4,000Hzによって得られる。したがって、結果として得られる波は、100Hzの振幅包絡線の周波数で変調された、3,900~4,000Hzの搬送波である。支配的な搬送周波数は、電極の幾何学的位置によって変わる。干渉刺激は、4つの独立したパッドが所望の効果を実現させるような手法で配置される4極法を使用して、ほぼ専用に送出される。通常、2対の電極が治療部位の周囲に配置され、各対が他方の対に対して直角になる。事前変調技法では、有効周波数を有する信号を、連続送信される搬送波、たとえば100Hzの振幅包絡線の周波数で変調された4000Hzの搬送波上へ重畳する必要がある。開示する技法にしたがって、複数の電気刺激技法を、様々な組合せで、様々な順序で、様々な中断時間で(相異なる電気刺激技法間で)使用できることに留意されたい。たとえば、電気刺激には、最初に10分間干渉技法を適用し、次いでさらに5分間事前変調技法に切り替え、次いでもう一度10分間干渉技法に切り替えて戻し、次いで再度このプロセスを通して繰り返すことが含まれ得る。それぞれの干渉電気刺激の技法が適用されている間、搬送波周波数は少なくとも1回変えられる(1段階切り替えられる)ことが好ましく、それによって、身体が与えられる電気刺激に順応する(そしてその結果、断続的な筋肉収縮に反応しなくなる)のを防ぎ、動作強度を高める必要がなくなる。たとえば、各干渉電気刺激技法が適用されている間、搬送波は、4,000Hzの搬送波から2,400~2,500Hzの搬送波に、1段階切り替えられ得る。同様に、包絡線周波数、すなわちビート周波数(該当する場合)は徐々に変更されるか、選択された周波数間で1段階切り替えられる。
【0061】
初期治療セッションの間、約1~5mAの範囲の小さい電流強度を使用することが好ましい。なぜなら、電流強度が大きいほど、経験の浅い患者を動揺させる、又は不安を感じさせる可能性があるからである。より高度な治療では、約1~70mAの範囲の、より効果的なより大きい電流強度を印加することができる。治療提供者は、必要に応じて、患者のフィードバックを利用して動作強度を適応させることができる。有効周波数は、約5~150Hzの間である。所定のレベルを超える(たとえば、約250Hz)動作周波数で干渉電気刺激を与える場合、断続的な筋肉の収縮が生じない場合があることに留意されたい。より高い周波数では、震えが非常に頻繁に起こるので、筋肉は常に緊張したままになり得る。一方、より低い周波数では、震えはより遅くなるがはるかに強くなる。筋肉は特定の周波数に適応するので、治療セッションの継続時間全体を通して、また特定の刺激技法の適用中であっても、電気刺激の動作周波数を変更するのが望ましい。動作周波数は、任意のやり方で、又は以下のような所定のパターンにしたがって変更することができる。(1)第2の周波数に切り替える前に、一定の時間、第1の周波数を印加する。(2)5Hzから150Hzへ切り替える、また切り替えて戻すなど、周波数を第1の周波数から第2の周波数に徐々に変化させる(たとえば、正弦波サイクルで)。(3)パターン(2)と類似しているが、極端なレベルでより長い時間(1秒など)保持する。(4)極端な周波数だけを断続的に印加する。動作周波数を変更する他のパターンも、使用可能である。
図6を参照して、インピーダンスを所望の範囲に保つことを目的に、
図6の実施例の身体インピーダンス監視手段によって追跡される身体インピーダンスの変化に応答して、好ましくは自動的に、言及されたありとあらゆる変更動作が実行され得る。
【0062】
再び
図1から
図4を参照すると、周波数、振幅変調周波数、スペクトル、交替、放射、及び一時停止パラメータなどの、干渉電気刺激の様々な動作パラメータが調整可能である。「周波数」パラメータにより、動作周波数を交流電流ごとに、2つの利用可能な値(たとえば、2500Hz又は4800Hz)の間に設定することができる。干渉電流は、電流の周波数が高いほど、一層容易に浸透するので、周波数値の選択は重要である。「振幅変調周波数(AMF)」は、必要に応じて低周波の変調の基本値を設定できるよう選択することができる。たとえば、AMFパラメータは100Hzに設定できるが、1Hzから100Hzまで、1Hzのステップ間隔で調整できる。「スペクトル」パラメータを使用して、AMF値を調整することができ、0から100Hzまで、1Hzのステップ間隔で調整できる。たとえば、100HzのAMF、及び50Hzのスペクトルの設定では、AMFは組織内で100Hzから150Hzに増加し、再び100Hzに戻ることになる。スペクトルのパラメータは、馴化(assuefaction)の症状を回避するために使用される。干渉ベクトル技法では、4極の干渉電流が使用されるが、刺激の方向は2極の技法と同じである。したがって、特定の瞬間に、電流は2つの対角にある電極のみによって起動する。それによって、組織への刺激は、電極間で自動的に交替する。「交替」パラメータを使用して、ベクトルの交替速度を手動で調整できる。通常、交替パラメータには、1と100との間の任意の値が割り当てられる。「放射」パラメータにより、刺激の長さを調整できる。「一時停止」パラメータにより、必要に応じて刺激を一時停止できる。
【0063】
干渉電気刺激の周波数又は強度が急激に変更される場合、超音波の送信周波数はゆっくり変更されることが好ましい。逆に、干渉電気刺激の周波数又は強度がゆっくり変更される場合、超音波の送信周波数は急激に変更されることが好ましい。言い換えれば、干渉電気刺激に関連するパラメータを変更する速度を、超音波送信に関連するパラメータを変更する速度に反比例させることを提案する。
【0064】
ここで
図5A及び
図5Bを参照すると、これらは、治療部位に与えられる干渉電気刺激と超音波との間の相乗効果から生じる、組織の山型のモーフィングを描写する3次元グラフィックの図である。
図5A及び
図5Bの図は、影響を受ける身体組織がその間を遷移する、2つの定常状態の実例として提供する。これらの形態及び遷移は、変化する干渉電気刺激と送信される超音波との間の相乗効果によって起こる、強度差の勾配から生じる。この相乗効果が治療部位の下及びその周囲に与えられると、それが女性の生殖器官の近傍で微小循環の改善を伴う物理的且つ熱的刺激をもたらし、それによって女性の生殖器官、潰瘍、傷害、創傷、炎症、及び/又は神経であり得る内部組織/器官の治癒において身体をかなり補助する。
【0065】
図1及び
図2に戻って参照すると、開示する技法による治療セッションの際、治療提供者は、超音波トランスデューサ212を治療部位230の上でゆっくり、徐々に、優しく動かしながら、トランスデューサ212による小さな円形マッサージ運動を優しく実行することが好ましい。治療提供者の動作は、ロボット又は機械を使用するなどして自動化できることに留意されたい。超音波トランスデューサ212は、治療部位230に力強くしかし注意深く使用され、かなりの圧力を発生させる。治療部位230は非常に敏感な可能性があるので、患者が経験するどんな痛み又は不快感にも優しく、且つ注意を払うのが重要であることに留意されたい。治療提供者は、患者の痛みを和らげるために、場合によっては、局所鎮静剤又は全身鎮静剤を与えてもよい。超音波トランスデューサ212は、強力なマッサージ作用と、治療部位230の下にある組織内への超音波302の浸透との両方を可能にするよう設計されることが好ましい。超音波トランスデューサ212を使って治療部位230に加えられるマッサージ作用及び強い圧力には、周期的な中断を散りばめて変化を付けることが好ましい。超音波トランスデューサ212は、マッサージの過程にわたって様々な方向(たとえば、左、右、前、及び後)に傾けられてもよい。これは、手首を、たとえば、左-右-左、前-後-前、及び左-前-右-後ろ(つまり、腕を使用した円運動ではなく、手首を使用した円運動)のように、様々な方向に繰り返し傾け動かすことで実現する。このようにして、皮膚と接触している超音波トランスデューサ212のヘッドの表面積が傾斜のためにより小さくなるので、超音波302は、治療部位230内に一層深く浸透する。この捏ねる動きは、トランスデューサ210のヘッドによって治療部位230に加えられる圧力と共に、下にある組織内の血管構造を押して圧迫する。たとえば、小さな円形のマッサージ運動に、左-右-左の傾斜マッサージ運動、又は上記のマッサージ技法の任意の組合せ、或いは当技術分野で知られている他のマッサージ技法を散りばめて変化を付けることができる。開示する技法による、超音波トランスデューサの捏ねる動作又は圧力を働かせることは、医療用途向けの超音波送信の一般的な行為から乖離し、超音波トランスデューサと皮膚との間のどんな力強い接触も妨げることに留意されたい。
【0066】
治療部位に圧力をかけるためのさらなる手段は、マッサージ用デバイス110を使用することなどによる、手での、且つ/又は機械的な外部マッサージによるものである。実用的で簡単な種類のマッサージは、治療する人の素手による単なるマッサージである。しかし、様々な種類のマッサージ用ツール又は機器も使用することができる。
図3を参照すると、マッサージは、治療部位230に対して圧力(矢印314で表される)を加え、それにより皮膚表面を圧迫し、その領域への血流を促し、循環及びリンパネットワークを改善する。マッサージ動作は、超音波を送信するのと同時に、超音波320が向けられる治療部位230の正確な区域に施されることが好ましい。マッサージは、超音波の送信中又はその後しばらくの間、効果的に施すことができる。
【0067】
開示する技法の別の態様によれば、ゲル209は、超音波送信前に、治療部位230の皮膚層213上に擦り付けられる。ゲル209は、水ベースで、超音波伝導性媒体に適合することが好ましい。ゲルは、ヒドロキシル酸、植物抽出物、小麦タンパク質、マカダミア油、カモミール、亜鉛、サリチル酸、及びカフェインなどの成分を含み得ることが好ましい。ゲル209には、いくつかの目的がある。第1に、ゲル209は、超音波トランスデューサ212と治療部位230の組織との間で、超音波302を効果的に伝導する。ゲル209は、下層組織への超音波302の円滑な浸透を可能にするようにも設計されている。加えて、ゲル209は皮膚を滑らかにし、特に超音波トランスデューサ212のヘッドが治療部位330に対して力強く押し付けられるか、又は捏ねられる状況で、皮膚への摩擦及び擦り傷を防ぐ。また薬物、有効成分、及び消毒剤は、ゲル209に追加された場合、超音波302、加熱された体液及び組織材料、並びに治療部位230の裂け目又は亀裂がある外形のために、より効果的に、(皮膚組織213の)表皮層内に吸収され、且つ/又は表皮層を消毒する。この吸収は、超音波トランスデューサ212のヘッドがゲル209を皮膚に強く擦り付けることでさらに促進される。吸収される薬物又は有効成分は、血流及び循環を促し、皮膚組織に様々な有益なミネラル及び栄養素を供給することができる。治療セッションの過程全体にわたって、皮膚上へゲル209を擦り付けることに関係するマッサージ作用は、治療部位230でのリンパ系の循環及び働きを改善するのに役立つ。
【0068】
上記で詳述した圧力を強める手段のいずれか(すなわち、超音波送信、超音波トランスデューサで捏ねること、干渉電気刺激、及び外部マッサージ)のうちの1つ又は任意の組合せを適用することで、両方向から(たとえば、患者が仰向けの姿勢の場合、治療部位の上下から)治療部位230に十分且つ好適な圧力をかけることができ、これは効果的な治療に貢献する。適用される、圧力を強める手段が多いほど(そして、好ましくはすべて)、実質的且つ反論の余地がないほどに、血流及び循環が一層改善されることが判明した。超音波トランスデューサで捏ねること、干渉電気刺激、及び外部マッサージは、超音波送信と同時に適用されることが好ましい。
【0069】
開示する技法の治療に起因する血流の改善は、一般に、治療部位における循環系及び代謝プロセスも改善することを理解されたい。組織の軟化により、こうした組織内の動脈と毛細血管が広がる(すなわち、血管拡張)。次いで、循環が加速され、組織は、より多くの酸素及び栄養素を受け取る。その結果、循環器系及びリンパ系は、より健康な状態に達する。
【0070】
超音波装置112及び電気刺激装置108は、携帯型であってもよく、超音波装置112及び電気刺激装置108を治療する身体の部位上にぴったり又はしっかり取付けることができるように、バンドなどの様々な付属品を備えてもよい。携帯型超音波装置及び刺激装置108は、治療部位230と超音波装置112との間に入れられるゲルを使用できることに留意されたい。
【0071】
開示する技法のシステムは、別の人の治療を受けるために診療所又はオフィスを訪問する必要なしに、自宅又は任意の便利な場所などでの、個人専用の使用法に適合することができる。開示する技法による治療セッションの継続時間は、一般に約15から45分まで変化する。
【0072】
ここで
図6を参照すると、
図6は、身体組織の持続的な機械的インピーダンス及び電気的インピーダンスを誘導して、治療される内部組織又は器官への低エネルギーの超音波エネルギーを円滑に効果的に送達するシステム600を示し、本発明の一実施例にしたがって構築され動作する。システム600は、
図2のシステム100に類似しており、
図1のインピーダンス監視装置150の構成要素をさらに備える。システム600は、内部組織/器官640(内部器官/組織240と同様)上に低エネルギーUSを印加する超音波(US)装置又は器具612を備える。器具612は、非侵襲的な外部USヘッド614を備える。システム600は、電気刺激装置608と、電気刺激装置608及びUS機器612のパラメータを制御するプロセッサ又はコントローラ602とをさらに備える。電気刺激装置608、超音波器具612、及びコントローラ602などの、システム600の同等の構成要素の配置及び動作は、システム100の対応する構成要素(たとえば、ES装置108、US装置112、プロセッサ102)に相当するので、繰返しを避け、システム600に関連する特定の態様について以下に説明する。システム600は、コントローラ602に接続されたインピーダンス監視(追跡)装置650(装置150に相当)をさらに備える。インピーダンス監視装置150は、インピーダンス・トランスデューサ/センサを備え、これは、電極608、及び/又はUSヘッド614内に配置された、選定された電極/センサ654を単に具備することができ、治療される身体、並びに/又は熱センサ652、選定されたインピーダンス・トランスデューサ/センサ651及び656、遠隔送信機/トランスデューサ/センサ662、及びモニタ654とインタフェースをとる。
【0073】
インピーダンス監視装置650は、電極611で、及びオプションで、(超音波トランスデューサ612のインタフェース・ヘッド614内に配置された)電極654の形態のトランスデューサ/センサ654ばかりでなく、さらに、読取能力を高め、且つ/又は主に電気刺激を引き起こすために使用される電極611を読取タスクから解放するために、特定のセンサ656によっても受信され得る、電流読取値に依拠し得る。電極611、654、及びセンサ656による身体の電気的インピーダンスの測定は、通常、身体インピーダンスの測定では特に選択されない、電気刺激に利用される電流及び周波数に限定されることになる。したがって、測定は、かかる測定により適するよう選択され得る、特定の周波数で選定された電流(又は交流の代わりに直流)を使って実行することができる。この目的にかなうように、特定のトランスデューサ/センサ651を、治療部位230の上又はその近傍ばかりでなく、治療する内部器官640が配置される身体部分全体の他の位置(たとえば反対側)にも配置することができる。
【0074】
センサ(たとえば、電極)651などの選定されたインピーダンス・センサ/電極が、センサ654、656に加えて、又はその代わりに使用されてもよく、特定のインピーダンス測定電流、すなわち、インピーダンス測定により適する特定の周波数で電流が印加される。センサ651は、部位630又はその周辺にわたって分散され得るが、部位630の外側にも置かれるか、部位630の外側の皮膚の上を移動されるか、又は治療が行われる器官640を含む身体部分の反対側など、身体の完全に異なる位置に配置され得る。インピーダンスを測定するためのさらなる、代替又は追加の手段は、治療部位630を監視する熱センサ652によって、皮膚及び身体のインピーダンスに相関する、皮膚温度又は治療部位630の温度をマッピングすることによる。いずれかのセンサの測定値は、治療部位630のインピーダンス値を計算するモニタ650に、断続的又は連続的に供給される。トランスデューサ/センサ651、656は、非侵襲的であることが好ましく、読取値の精度を高める皮膚穿刺要素も備えることができる。さらにオプションで、外部に配置された熱センサ652を使用して、インピーダンスの変化を間接的に追跡するために、身体インピーダンスとの相関を示す皮膚温度を追跡することができる。
【0075】
上記のような既知の利用可能な技法(たとえば、生体電気インピーダンス分析(BIA)、生体インピーダンス分光法(BIS)、及び電気インピーダンス・ミオグラフィ(EIM))は、トランスデューサ/センサ651、654を使用して適用することができ、ここで選択された技術は、(センサ、送信機、又はその両方として機能する)トランスデューサ/センサ651、654、並びに/或いは電極611(及び/又はセンサ656)の一部又はすべてを介して電流を注入することにより適用することができる。
【0076】
診断目的で現在使用されている超音波の読取値は、本発明に関しては、機械的インピーダンスを直接測定するためにも使用することができる。したがって、インピーダンス監視装置650は、USヘッド614で(すなわち、トランスデューサ/センサ654により)、又は(USセンサとして設計され、ここでUS送信機はヘッド614であるが、検知素子と送信素子との間の役割交換を、好適な機器を使用して実施することもできる)特定のトランスデューサ/センサ651による、具体的には以下に説明するUS診断658を使用することによる、受信されるUSの読取値に依拠し得る。
【0077】
要約すると、インピーダンス監視装置650は、以下の様々なオプションから選択された、インピーダンスを測定するトランスデューサ/センサを備えることができる。
・電気的インピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ(たとえば電極)
・機械的インピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ
・体温を測定するトランスデューサ/センサ
・前記電極間のインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ
・特定のトランスデューサ/センサ間のインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ
・前記電極と特定のトランスデューサ/センサとの間のインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ
・US診断によってインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ
・画像化装置によってインピーダンスを測定するトランスデューサ/センサ、及び
上記の任意の組合せ。
【0078】
本明細書で論じるトランスデューサ/センサの任意の組合せ(たとえば、電極、特定のトランスデューサ/センサ、又はUS診断の一部として構成され得る、トランスデューサ/センサ611、651、656、662及び654)は、並行して、同時に、又は断続的に取り付けられて使用されてもよく、それらの別個の測定結果を比較、平均化、重み付け、又は操作して、身体インピーダンスの測定、追跡、及び監視の全体的な精度を高めることができる。
【0079】
非侵襲的な外部US装置612は、内部組織/器官640にわたる治療部位630上に、US周波数及びUS強度で低エネルギーのUSエネルギーを印加するよう動作可能である。電気刺激(ES:electrical stimulation)装置608は、電極611の2つの対611A及び611Bとして配置された電極611を備える。ES装置608は、内部組織/器官640近傍の治療部位630の皮膚上に交差する構成で配置するよう構成された電極611を使って、干渉電気刺激を引き起こすように動作可能である。干渉電気刺激は、US器具612によってUSエネルギーを印加するのと同時に、ES装置608によって与えられる。装置1008は、2対の電極の一方、すなわち対611Aを介して第1の電気周波数及び第1の電気強度で第1の電流を、また電極のもう一方の対、すなわち、対611Bを介して第2の電気周波数及び第2の電気強度で第2の電流を印加する。それにより、治療部位630内の干渉周波数で周期的に起こる共鳴波の干渉パターンが、装置608によって生成される。
【0080】
電気刺激装置608及びUS器具612のパラメータを制御するコントローラ602は、電気刺激装置及びUS機器のパラメータ(それぞれ、ESパラメータ又はUSパラメータ)のうちの少なくとも1つを動的に変更するためのそれらの制御に加えて、治療部位630内の身体組織のインピーダンスをインピーダンス範囲内に維持するように動作可能である。パラメータは、以下を含む電気刺激パラメータ及び超音波パラメータの群から選択される。
(i)干渉周波数。この周波数は、第1の電気周波数、又は第2の電気周波数、又は両方の周波数を動的に変更することにより変更され得る。
(ii)干渉パターン。このパターンは、第1の電気強度、又は第2の電気強度、又は両方の強度を動的に変更することにより変更され得る。
(iii)US周波数。
(iv)US強度。
【0081】
インピーダンス監視装置650は、電気刺激装置608の一部であるか、又はそれと統合されてもよく、インピーダンス・モニタ652で代表され、治療部位630の電気的インピーダンス、たとえば電極611間、特に各対611A、611Bの2つの電極間、任意の2つの電極611間、電極611の任意の電極と器具612のUSヘッド614にあるセンサ654との間、又はさらなる特定のトランスデューサ/センサ651、654、656間を、連続的に測定及び監視するよう動作可能である(他の電磁画像化技法を使用する場合、遠隔熱センサ652及び/又は遠隔トランスデューサ/センサ662も使用できる)。部位630内又はその近傍に配置される、かかるセンサ及び/又は電極のすべては、適切な回路を使って、コントローラ602及びモニタ652に接続又はリンクされる。電極611は、ES刺激を与えることに加えて測定電極として使用する場合、ヘッド614内のセンサ654、センサ651、652、662及びセンサ656をモニタ650に(有線又は無線通信で)接続し、それによってインピーダンスを、好ましくは連続的に、モニタ650又はコントローラ602の適切なインピーダンス測定回路又はソフトウェアを使って測定する。モニタ650は、測定されたインピーダンス値をコントローラ602に、好ましくは連続的に供給する。次いでコントローラ602は、インピーダンスを所定の範囲内に維持するために、モニタ650によって監視される電気的インピーダンスに応答して、少なくとも1つのパラメータを動的に変更することができる。
【0082】
インピーダンスをこの範囲内に維持するために、コントローラ602は、以下の少なくとも1つによって、少なくとも1つのパラメータを動的に変更することができる。
(a)電気的インピーダンスがインピーダンス範囲を超えていると監視される場合、以下の少なくとも1つを行う。
(1)以下の少なくとも1つにより、インピーダンスを低減する。
(i)第1の電気強度及び第2の電気強度のうちの少なくとも一方を増大させる。
(ii)第1の電気周波数と第2の電気周波数との間の周波数の差異を大きくすることにより、干渉周波数を低くする。これは、低い方の周波数を下げるか、高い方の周波数を上げるか、又は両方の動作によって実現できる。
(2)以下の少なくとも1つにより、USの浸透深さを増加させる。
(i)US周波数を下げる。
(ii)US強度を上げる。
(b)電気的インピーダンスがインピーダンス範囲を下回っていると監視される場合、以下の少なくとも1つを行う。
(1)以下の少なくとも1つにより、インピーダンスを増加させる。
(i)第1の電気強度及び第2の電気強度のうちの少なくとも一方を低減する。
(ii)第1の電気周波数と第2の電気周波数の間の周波数の差異を小さくすることにより、干渉周波数を高くする。これは、低い方の周波数を上げるか、高い方の周波数を下げるか、又は両方の動作によって実現できる。
(2)以下の少なくとも1つにより、USの浸透深さを低減させる。
(i)US周波数を上げる。
(ii)US強度を下げる。
【0083】
コントローラ602は、第1のパラメータが変更される第1のペースよりも遅い第2のペースでパラメータの別の1つを動的に変更することができ、ここで超音波の強度及び周波数は超音波範囲内に維持され、その結果共鳴超音波のうちの少なくとも1つのパターンが、浸透する深み222を通って内部組織/器官640に瞬間的に到達するように実行される。
【0084】
したがって、USエネルギーは内部組織/器官640に印加され、治療部位630内の身体組織のインピーダンスは、以下のいずれかを成し遂げるか又は活力を与えるために、インピーダンス範囲内に維持される。
・月経での出血を強める。
・不規則な月経を規則正しくする。
・月経を回復させる。
・子宮内膜を厚くする。
・(女性の)器官への/近傍の血流を増やす。
・卵巣の寸法を増やす。
・卵胞の寸法を増やす。
・ホルモンの状態を変える(卵胞治療の結果を変える)。
・USの機械的振動の力そのものによる、癒着を取り除く。
・振動する脂肪がホルモンを放出するので、ホルモン濃度を増やす。
・潰瘍、閉鎖創、内傷、炎症、及び/又は神経を治療する。
【0085】
US装置600は、内部組織/器官640の位置を識別及びマッピングすることにより、内部組織/器官640にわたる治療されるべき部位630を決定するために、US診断658又は要素662(又はUS器具のヘッド614内に配置され得る、かかる機器のセンサなどの放射/検知要素)に代表される画像化機器などの診断/画像化装置660(装置160と同様)をさらに備えることができる。US診断658は、その測定結果を供給するためにコントローラ602と結合されるか、或いは冗長な機器を節約するためばかりでなく、診断及び治療用に同時に、又は交互にまったく同じUSヘッド614を使用するために、USヘッド614と統合されるか、又はUSヘッドと結合される(たとえば、トランスデューサ/センサ654はUSの要素であり得る)、別個の選定された機器を特徴とすることができる。画像化機器660は、通常、外部要素ばかりでなく、最終的にその読取値をコントローラ602に供給するUSヘッド614又は電極611と一体化又は結合される要素を備えるであろう。装置600は、内部組織/器官640の効果的な治療のために、部位630を探し出すべき、又は部位の境界を決定すべき場所、電極611の位置を特定すべき場所、及びヘッド614を配置すべき場所にユーザを導く助けとなる、ディスプレイ603又は他のインタフェース手段を備える。診断658は、一般的な診断目的に加えて、又はその代わりに、インピーダンスの、また単なるUSセンサの場合は、身体の機械的インピーダンスの測定に使用することができ、インピーダンスを所望の範囲内に維持するために、治療パラメータの動的な変更をトリガするように、インピーダンス監視装置650に連続的に読取値を供給する。
【0086】
典型的には、干渉電気刺激装置608は、1~70mAの電気刺激範囲の強度で電気刺激を与えるよう構成される。US器具612は、0~2.1ワット/cm2の超音波範囲の強度、及び0.7MHzから3.5MHzのUS周波数範囲で超音波を送信するよう構成される。
【0087】
コントローラ602は、たとえば以下のいずれかにより超音波送信を変更することによって、少なくとも1つのパラメータを動的に変更するよう構成され得る。
・3~30秒ごとにUSの変更を行う(強度及び/又は周波数)。
・その時点で0.1W/cm2ステップだけUS電力を加える又は減らす。
・US周波数を0.7MHzから3.5MHzに増やす又は減らす(減らす、増やす、又は増減させる)。
・US周波数を3分間一定に保ちながら、US強度を3~30秒ごとに変更する。
・US強度を3分間一定に保ちながら、US周波数を3~30秒ごとに変更する。
【0088】
US装置600は、干渉電気刺激を与え、超音波を送信するのと同時に治療部位630をマッサージし、US作用の効果を高め、電気刺激及びUSエネルギーに対する身体の順応、及びその結果である、かかる順応に起因するインピーダンスの変化の減少を防止する助けとなるように、アイコン610によって象徴的に示すマッサージ機器をさらに備えることができる。
【0089】
US装置600の適用は、超音波を送信する前に、治療部位630の皮膚上にゲル609を塗布することをさらに含み得る。
【0090】
コントローラ602は、1回のセッション中に数回、少なくとも1つのパラメータを繰り返し動的に変更するよう構成され得る。典型的なセッションの持続時間は、約40分であり得る。
【0091】
コントローラ110は、以下のうちの1つ又は複数によって、少なくとも1つのパラメータを動的に変更することができる。
・4つの電極611のうちの2つの対向する電極611A又は611B間で、電極611A又は611Bのうちの1対の波を周期的に交互に変える。
・同等か、又はわずかにずれた周波数を有する2つの一定周波数(電気シミュレーション)の波間の、位相シフトを徐々に変更する(ここでは、対611Aの波の位相が、対611Bの波の位相に対してわずかにずらされる)。
【0092】
ここで
図7を参照すると、
図7は、身体組織の持続的な機械的インピーダンス及び電気的インピーダンスを誘導して、治療される内部組織又は器官への低エネルギーの超音波エネルギーを円滑に効果的に送達する方法400のブロック図であり、本発明の一実施例にしたがって動作する。方法400は、非侵襲的な外部US源から内部身体組織/器官へ、低エネルギーの超音波(US)エネルギーを円滑に効果的に送達する。方法400は、手順402~418を含む。手順402では、内部組織/器官にわたって治療されるべき治療部位が決定される。
図6を参照すると、治療部位630は、内部組織/器官640にわたって治療されることが決定される。
【0093】
方法400の手順404では、電気刺激装置の電極は、内部器官近傍の治療部位の皮膚上に配置される。干渉電気刺激を引き起こすように動作可能である電気刺激装置の2対の電極は、交差する構成で配置される。
図6を参照すると、電気刺激装置608の電極611は、内部組織/器官640近傍の治療部位630の皮膚上に配置される。干渉電気刺激を引き起こすように動作可能である電気刺激装置608の2対の電極611A、611Bは、交差する構成で配置される。
【0094】
手順406では、2対の電極のうち一方を介して第1の電気周波数及び第1の電気強度で第1の電流を、またもう一方の電極の対を介して第2の電気周波数及び第2の電気強度で第2の電流を印加し、それにより治療部位内の干渉周波数で周期的に起こる共鳴波の干渉パターンを画定することで、電極を介して干渉電気刺激が治療部位に与えられる。
図6を参照すると、2対の電極のうち一方、611Aを介して第1の電気周波数及び第1の電気強度で第1の電流を、またもう一方の電極の対、611Bを介して第2の電気周波数及び第2の電気強度で第2の電流を印加し、それにより治療部位630内の干渉周波数で周期的に起こる共鳴波の干渉パターンを画定することで、電極611を介して干渉電気刺激が治療部位630に与えられる。
【0095】
手順408では、干渉電気刺激を与えるのと同時に、超音波(US)がUS周波数及びUS強度で治療部位に送信される。
図6を参照すると、干渉電気刺激を与えるのと同時に、超音波(US)がUS周波数及びUS強度で治療部位630に送信される。
【0096】
手順410において、電気刺激及び超音波のうちの少なくとも1つのパラメータは、治療部位内の身体組織のインピーダンスをインピーダンス範囲内に維持するために動的に変更される。パラメータは、以下のうちの1つであり得る。(i)第1の電気周波数及び第2の電気周波数のうちの少なくとも一方を変更することにより変更可能な、干渉周波数、(ii)たとえば、第1の電気強度及び第2の電気強度のうちの少なくとも一方を変更することによる、干渉パターン、(iii)US周波数、(iv)US強度。
【0097】
方法400は、治療部位内の、たとえば電極、USヘッド、及び/又は配置されたセンサの間の電気的インピーダンスを連続的に監視する手順412をさらに含む。手順412は、治療部位内のインピーダンスの示度を連続的に測定する、より一般化された手順411の実例である。手順411によれば、インピーダンスは、以下を含む1つ又は複数の検知及び追跡手段によって検出され得る。
・電気的インピーダンスの監視
・機械的インピーダンスの監視
・体温の監視
・電気刺激の電極間のインピーダンスの監視
・特定のトランスデューサ/センサ間のインピーダンスの監視
・前記電極と前記特定のトランスデューサ/センサとの間のインピーダンスの監視
・US診断によるインピーダンスの監視
・画像化装置によるインピーダンスの監視
・上記の任意の組合せによるインピーダンスの監視
【0098】
図6を参照すると、かかるトランスデューサ/センサの実例には、(電極、特定のトランスデューサ/センサとして、又はUS診断として)トランスデューサ/センサ611、651、656、662、及び654が含まれる。
【0099】
動的に変更する手順410は、インピーダンスを所定の範囲内に維持するために、手順412で監視される電気的インピーダンス又は手順411で監視されるインピーダンスに応答して(動的に)作動する。
図6を参照すると、治療部位630内で、たとえば、電極611、USヘッド614内のセンサ654、配置されたセンサ656、並びに/又はトランスデューサ/センサ651、652、及び662間の電気的インピーダンスが連続的に監視される。かかる動的な変更は、インピーダンスを所定の範囲内に維持するために、モニタ652によって監視される電気的インピーダンスに応答して(動的に)作動する。
【0100】
動的に変更する手順410には、以下が含まれ得る。
(a)電気的インピーダンスがインピーダンス範囲を超えていると監視される場合、以下の少なくとも1つを行う。
(1)以下の少なくとも1つにより、インピーダンスを低減する。
(i)第1の電気強度及び第2の電気強度のうちの少なくとも一方を増大させる。
(ii)第1の電気周波数と第2の電気周波数との間の周波数の差異を大きくすることにより、干渉周波数を低くする(低い方の周波数を小さくする、且つ/又は高い方の周波数を大きくすることにより)。
(2)以下の少なくとも1つにより、USの浸透深さを増加させる。
(i)US周波数を下げる。
(ii)US強度を上げる。
(b)電気的インピーダンスがインピーダンス範囲を下回っていると監視される場合、以下の少なくとも1つを行う。
(1)以下の少なくとも1つにより、インピーダンスを増加させる。
(i)第1の電気強度及び第2の電気強度のうちの少なくとも一方を低減する。
(ii)第1の電気周波数と第2の電気周波数との間の周波数の差異を小さくすることにより、干渉周波数を高くする(低い方の周波数を大きくする、且つ/又は高い方の周波数を小さくすることにより)。
(2)以下の少なくとも1つにより、USの浸透深さを低減させる。
(i)US周波数を上げる。
(ii)US強度を下げる。
【0101】
方法400は、少なくとも1つのパラメータのうちの1つが変更される第1のペースよりも遅い第2のペースで、少なくとも1つのパラメータのうちの別のパラメータを動的に変更する手順414をさらに含むことができ、ここで超音波の強度及び周波数は超音波範囲内に維持され、その結果共鳴超音波のうちの少なくとも1つのパターンが、浸透する深み222を通って内部組織/器官640に瞬間的に到達するように実行される。
図6を参照すると、コントローラ602は、第1のパラメータが変更される第1のペースよりも遅い第2のペースで、パラメータの別の1つを動的に変更し、ここで超音波の強度及び周波数は超音波範囲内に維持され、その結果共鳴超音波のうちの少なくとも1つのパターンが、浸透する深み222を通って内部組織/器官640に瞬間的に到達するように実行される。
【0102】
内部組織/器官には、卵胞、子宮(胎内)の血管、卵巣、子宮内膜、及び/又は卵管を含む女性の生殖器官、或いは、内部潰瘍、閉鎖創、内傷、炎症、又は神経などの任意の他の組織/器官が含まれ得る。方法400は、以下のうちの少なくとも1つを成し遂げるか又は活力を与えることに向けられ得る。
・月経での出血を強める。
・不規則な月経を規則正しくする。
・月経を回復させる。
・子宮内膜を厚くする。
・(女性の)器官への/近傍の血流を増やす。
・卵巣の寸法を増やす。
・卵胞の寸法を増やす。
・ホルモンの状態(卵胞治療に起因する)を変える。
・癒着(機械的振動の力による)を取り除く。
・ホルモン濃度(振動する脂肪がホルモンを放出する)を増やす。
・潰瘍、閉鎖創、内傷、炎症、及び/又は神経を治療する。
【0103】
内部器官にわたる治療されるべき部位を決定する手順404は、決定のためにUS診断又は画像化を使用することを含み得る。診断又は画像化は、超音波(US)治療装置と組み合わせることができる。
図6を参照すると、US診断658又は画像化装置660を使用して、内部組織/器官640にわたって治療されるべき部位630が決定される。診断658又は画像化装置660は、超音波(US)器具612又はそのヘッド614と組み合わせることができる。
【0104】
干渉電気刺激を与える手順406は、1~70mAの電気刺激範囲の強度で、電気刺激を与えることを含み得る。
【0105】
超音波を送信する手順408は、0~2.1ワット/cm2のUS範囲の強度、及び0.7MHz~3.5MHzの超音波周波数範囲で超音波を送信することを含み得る。
【0106】
動的に変更する手順410は、以下からなるリストから選択された少なくとも1つによって超音波送信を変更することを含み得る。
・3~30秒ごとにUSの変更を行う(強度及び/又は周波数)。
・その時点で0.1W/cm2ステップだけUS電力を加える又は減らす。
・US周波数を0.7MHzから3.5MHzに増やす又は減らす(減らす、増やす、又は増減させる)。
・US周波数を3分間一定に保ちながら、US強度を3~30秒ごとに変更する。
・US強度を3分間一定に保ちながら、US周波数を3~30秒ごとに変更する。
【0107】
方法400は、干渉電気刺激を与え超音波を送信する手順406、408と同時に、治療部位をマッサージする手順416をさらに含み得る。
【0108】
方法400は、超音波を送信する手順の前に、
図6のゲル609などのゲルを治療部位630の皮膚上に塗布する手順418をさらに含み得る。
【0109】
手順410は、1回のセッション中に変更を数回繰り返すことを含み得る。セッションは、約40分持続し得る。
図6を参照して説明したように、動的に変更する手順410は、以下からなるリストから選択された少なくとも1つを含み得る。
・4つの電極のうちの2つの対向する対間の、電極の1対の波を周期的に交互に変える。
・同等か、又はわずかにずれた周波数を有する2つの一定周波数の波間の、位相シフトを徐々に変更する。
【0110】
当分野の技術者であれば、本技法が、上記で特に示し、説明してきたものに限定されないことを理解されよう。