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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】スクリュースピンドルポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/16 20060101AFI20240403BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F04C2/16 A
F04C15/00 C
F04C15/00 G
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021189794
(22)【出願日】2021-11-24
(65)【公開番号】P2022094929
(43)【公開日】2022-06-27
【審査請求日】2021-12-14
(31)【優先権主張番号】10 2020 133 555.5
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515051102
【氏名又は名称】ライストリッツ プムペン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・リヒテル
(72)【発明者】
【氏名】オリバー・トロスマン
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02693762(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102006049663(DE,A1)
【文献】特表2005-515067(JP,A)
【文献】特表2011-521167(JP,A)
【文献】特開平05-001685(JP,A)
【文献】特開2005-344679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの従動スピンドルを備え、ポンプ室(3)を持つハウジング(2)及びその中に収容された駆動スピンドル(7)と、それぞれ2つの末端にある端面を有し、前記駆動スピンドルと噛み合う少なくとも1つの前記従動スピンドル(9)と、を備え、従動スピンドルの流体による軸推力平衡のための装置を持たないスクリュースピンドルポンプにおいて、
ポンプ動作に伴う軸方向力が前記駆動スピンドルに作用しないように前記駆動スピンドルが液圧平衡され、前記ポンプ室(3)が前記駆動スピンドル(7)と前記ハウジング(2)との間を密封するシール要素(15)によって密封され、前記ポンプ室(3)に向いており、媒体で軸方向に加圧される前記シール要素(15)の面が、スピンドルコアから径方向に突出する駆動スピンドルプロファイル(8)の軸方向に加圧される面のサイズに実質的に等しく、前記従動スピンドル(9)の少なくとも1つの端面に軸方向に隣接して当接面(13)が設けられ、前記従動スピンドル(9)が軸方向の遊びを設けて前記当接面(13)に対して垂直方向に変位可能に収容されていることを特徴とする、スクリュースピンドルポンプ。
【請求項2】
前記従動スピンドルの2つの端面に軸方向に隣接して当接面が設けられ、前記従動スピンドル(9)は、軸方向の遊びを設けて前記2つの当接面間に収容されていることを特徴とする、請求項1に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項3】
前記軸方向の遊びが0.3~5.0mm、特に1.0~3.0mmであることを特徴とする、請求項1または2に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項4】
前記当接面が、前記ハウジング上のコーティングによって形成されている、又は前記当接面が当接ディスクによって実現されていることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項5】
前記コーティング、又は前記当接ディスクが、セラミック若しくは炭化物の材料、又は超硬合金、又はセラミック若しくは炭化物の材料を含む複合材料からなることを特徴とする、請求項4に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項6】
前記コーティング、又は前記当接ディスクが、シリコンベースの材料、特にSiC若しくはSiから、WCから、又はCrからなることを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項7】
前記従動スピンドル(9)が、前記駆動スピンドル(7)を収容する駆動スピンドルボアと重なる従動スピンドルボア(11)に収容され、前記従動スピンドルボア(11)が1つ又は2つの軸方向ハウジング肩部(12)により軸方向に画定され、前記1つ又は2つの軸方向ハウジング肩部(12)に前記当接面が形成されているか、又は前記当接ディスク(13)が支持されていることを特徴とする、請求項4~請求項6のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項8】
前記駆動スピンドル及び前記従動スピンドル(7、9)がポンプ室(3)に収容され、前記ポンプ室は、前記駆動スピンドル(7)と前記ハウジング(2)との間を密封するシール要素(15)により前記駆動スピンドル(7)の駆動側に対して密封されていることを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項9】
前記シール要素(15)の軸方向に加圧される面が、前記駆動スピンドル(7)の軸方向に加圧される面に実質的に相当することを特徴とする、請求項8に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項10】
前記シール要素(15)がメカニカルシールであることを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項11】
前記シール要素(15)が前記駆動スピンドル(7)に配置され、前記ハウジング(2)のシール部に対して密封することを特徴とする、請求項8~請求項10のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項12】
前記駆動スピンドル(7)の一部がポンプ室(3)から延出し、前記駆動スピンドル(7)は、前記ハウジング(2)において、前記駆動スピンドル及び前記従動スピンドル(7、9)を有する前記ポンプ室の外側で片側のみ径方向に回転支承されていることを特徴とする、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項13】
前記径方向の回転支承が、殊にただ1つのラジアル軸受(14)により実現されていることを特徴とする、請求項12に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項14】
少なくとも前記従動スピンドルボア(11)が、滑り被覆材(16)で内張りされ、前記従動スピンドル(7)が前記滑り被覆材(16)に対して径方向の遊びを設けて配置されていることを特徴とする、請求項7並びに請求項7を引用する請求項8から13のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項15】
前記滑り被覆材(16)として、プラスチック被覆材が、特に水素化アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロトリフルオロエテン、エチレン-プロピレン-ジエン(モノマー)ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシポリマー、フッ素ゴム、又は過フッ素ゴムからなることを特徴とする、請求項14に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項16】
前記径方向の遊びが0.01~1.0mm、特に0.05~0.5mmであることを特徴とする、請求項14または15に記載のスクリュースピンドルポンプ。
【請求項17】
粘流動性又はペースト状の食品、医薬品、化粧品、又は化学薬品を搬送するための請求項1~請求項16のいずれか1項に記載のスクリュースピンドルポンプ(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング及びその中に収容された駆動スピンドルと、それぞれ2つの末端にある端面を有し、駆動スピンドルと噛み合う少なくとも1つの従動スピンドルと、を備えるスクリュースピンドルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
スクリュースピンドルポンプは、異なった物質、主に流体媒体を搬送するために使用される。既知のように、スクリュースピンドルポンプはスピンドル一式(Spindelpaket)が入ったハウジングを備え、スピンドル一式は、ハウジングから延出した、場合によっては伝動装置を介在させて駆動モータと結合されている駆動スピンドルと、1つ又は複数の従動スピンドルと、を備え、従動スピンドルのスピンドルプロファイルが駆動スピンドルのスピンドルプロファイルと噛み合い、従動スピンドルが駆動スピンドルによって駆動される。スピンドル一式が収容されたハウジングは、外に対して閉ざされもしたポンプハウジングであり得るか、又は外側ハウジング内への挿入物として設計されたハウジングであり得る。
【0003】
通常、1つ又は複数の、大抵の場合は2つ平行に、かつ180°ずらして駆動スピンドルの隣に配置された従動スピンドルは、軸方向に液圧支持され(hydraulisch abgestutzt)、そのために、それぞれの従動スピンドルの端面に隣接してノズルオリフィスを設けることができ、このノズルオリフィスを介して、搬送されるべき流体の引き込まれた部分がスピンドル端面に向かって流れ、これにより軸方向支持圧が発生し、この支持圧によりそれぞれの従動スピンドルが軸方向に支持される。これは、ハウジングが相応に形成されること、及び相応のノズルオリフィスを前提とし、ハウジング内では適切な流路を介して相応の流体供給が提供される必要があり、ノズルオリフィスは、相応の流体圧を生成するために幾何学的にも相応に設計及び指定される必要がある。
【0004】
スクリュースピンドルポンプは、食品分野や医薬品分野での使用が増えつつあり、これはスクリュースピンドルポンプを用いて相応の流動性食品や薬剤が搬送されることを意味する。このような物質を扱う作業は、最高レベルの衛生状態を必要とし、そのため使用されるスクリュースピンドルポンプも相応に短い間隔で洗浄されなければならない。相応の流路などを備える従動スピンドルを軸方向に支持するために、スクリュースピンドルポンプは流体の誘導を考慮して複雑に形成されていることから、すべての領域の洗浄を確保するためには、洗浄のためにスクリュースピンドルポンプを取外し、分解し、洗浄することが必要である。なぜなら、追加の流路、ノズルオリフィスなどが組み込まれることにより、本来の搬送プロセスには関与しないが流体にさらされるかなりの容積が、いわばデッドスペースとして存在するからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、改良されたスクリュースピンドルポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題を解決するために、本発明により、冒頭で述べた種類のスクリュースピンドルポンプにおいて、従動スピンドルの少なくとも1つの端面に軸方向に隣接して当接面(Anlaufflache)が設けられ、従動スピンドルが軸方向の遊びを設けて当接面に対して垂直方向に変位可能に収容されていることが企図される。
【0007】
本発明によるスクリュースピンドルポンプでは、流体による軸推力平衡(hydraulischer axialer Schbausgleich)は企図されない。むしろ、上記の、又は、例えば2つの従動スピンドルが設けられている場合には各従動スピンドルには少なくとも片側に軸方向にそれぞれ1つの当接面が割り当てられ、従動スピンドルは、この当接面に対してわずかな軸方向遊びを設けて収容されている。したがって、この当接面(単数又は複数)は、本来のポンプ室内に入っている。動作中、駆動スピンドルが駆動される。プロファイル係合又は流体圧力にもとづいて、駆動スピンドルとともに1つ又は2つの従動スピンドルも回転し、それによりポンプ室を通じて流体搬送が行われる。駆動スピンドル自体は十分に液圧平衡され(hydraulisch ausgeglichen)、すなわち動作に伴う軸方向力は駆動スピンドルに作用しないか、又は無視できる程度に作用する。これは、駆動スピンドルをハウジングに対して密封するシール要素の加圧される、すなわち圧力下にある面と駆動スピンドルプロファイルの加圧されるプロファイル面とが実質的に同じであることにより達成される。2つの面が異なる方向で軸方向に加圧されるため、それによって力がつり合い、そのことが、駆動スピンドルが液圧平衡されることをもたらす。動作中、従動スピンドルは、ポンプ圧の結果として、当接面又は当接面のうちの1つの方向にごくわずかに軸方向にずれる。ポンプが正逆回転可能(reversierbar)でない場合、従動スピンドルは、動作中に吸込側にわずかに変位するので、当接面は、従動スピンドルの吸込側又は吸込側端部に設けられる。ポンプが正逆回転可能である場合、従動スピンドルごとに2つの当接面が設けられ、それにより搬送方向、したがって従動スピンドルの運動方向に応じて、両側に1つの当接面が設けられる。駆動スピンドルポンプが搬送方向に関して正逆回転可能である場合、このずれ(Versatz)は作動方向に応じて、一方又は他方の当接面に生じる。このずれは、軸方向遊びが小さいことによって可能になり、生じる最大のずれを考慮して軸方向遊びを指定することができる。従動スピンドルのそれぞれの端面は、動作中にそれぞれの軸方向当接ディスク(Anlaufscheibe)に向かって動くことができ、そこでそれぞれの端面は、理想的には薄い流体潤滑膜(hydraulischer Schmierfilm)を介して支承されるか、又はそれぞれの端面が当接面に向かって動く場合には無視できる摩擦しか生じない。これは、当接面に当接するにもかかわらず、上記のように当接面がポンプ室内にあるために、一方で、搬送されるべき流体により相応の支承及び潤滑が生じ、他方で摩耗の心配がないことを意味する。
【0008】
したがって、本発明によるスクリュースピンドルポンプは、一方で、従動スピンドルの相応の軸方向の支持を可能にするが、そのために2つの当接ディスクを組み込む他には特別な措置をなにも企図しない。搬送されるべき流体が流れる唯一の容積はポンプ室であり、ポンプ室はいわばデッドスペース最適化されている。これによってもまた、本発明によるスクリュースピンドルポンプが洗浄時に分解される必要がなくなり、洗浄過程を組付け状態で行うことができ、その後に洗浄液がポンプ室を相応に問題なく洗い流すことができる。これは、本発明によるスクリュースピンドルポンプをもってすれば、いわゆる「Cleaning in Place(CIP)」が可能であることを意味する。
【0009】
すでに述べたように、ポンプが正逆回転可能でない場合、1つの従動スピンドル又は各従動スピンドルの吸込側の端面にのみ当接面を割り当てることができる。ポンプが正逆回転可能である場合、従動スピンドルの2つの端面に軸方向に隣接して当接面を設けることができ、その場合、従動スピンドルは、軸方向の遊びを設けて2つの当接面間に収容される。
【0010】
上記のように、スピンドル一式は液圧的に同期され、すなわちスピンドル一式が動作中に自動的に調整される。特に、駆動スピンドルと従動スピンドルとの間に機械的な力の伝達が生じないか、又は無視できる程度に生じ、その結果、運転中の従動スピンドルの軸方向のずれが最小限になる。したがって、従動スピンドルと軸方向の当接面との間の軸方向の遊びも相応に、当然、スクリュースピンドルポンプの所与のサイズに応じて相応に小さく指定することができる。軸方向の遊びは、小さいサイズのスクリュースピンドルポンプでの0.3mmから、非常に大きいサイズのスクリュースピンドルポンプでの5.0mmであり、好ましくは、遊びは1.0~3.0mmの範囲である。遊びは、従動スピンドルの生じる軸方向のずれを考慮して指定され、上記の値は、それぞれ、それぞれの従動スピンドルが2つの当接ディスク間に有する全遊びである。
【0011】
当接面の実現に関して、様々な可能性が企図される。したがって、上記又は各当接面をハウジング上のコーティングによって形成することができる。ここでは、すなわちハウジング側に1つ又は複数の相応のハウジング肩部が設けられ、これらのハウジング肩部は、ハウジング肩部のコーティングによって実現される当接面のための基部を形成する。あるいは、上記又は各当接面は、当接ディスクによって実現することもできる。この場合、当接面を実現するために、ハウジング内の対応する位置に特殊な当接ディスクが設置される。当接ディスクの厚さにより遊びを非常に正確に調整することができる。
【0012】
当接面として、好ましくは極めて摩耗しにくい面が企図され、すなわち相応に摩耗しにくい材料が使用される。このために、セラミック若しくは炭化物の材料、又はセラミック若しくは炭化物の材料を含む複合材料からなるコーティング又は当接ディスクが適している。これは、基本的に、場合によってはガラス繊維又は炭素繊維で強化され得る工業用セラミックが使用されることを意味する。セラミック材料又はシリコンベースの工業用セラミックが使用されることが目的に合っており、このために、特にSiC若しくはSi、又はWCが適し、この材料を上記のように必要に応じて繊維強化することもできる。Crの使用も考えられる。これに代えて、コーティングを形成するために超硬合金を使用することができ、同様に、当接ディスク(単数又は複数)が超硬合金からなることができるか、又は硬化した表面を有することもできる。硬度は少なくとも1000HVであるべきである。したがって、当接面若しくはコーティング、又は軸方向ディスクは、上述のように理想的には静水圧潤滑膜を介して当接面若しくはコーティング又は当接ディスク上に滑り支承される(gleitgelagert)鋼製の、好ましくはコールスタライジング処理又は冷窒化処理された従動スピンドルと同様に摩耗しにくい。
【0013】
上記又は各従動スピンドルは、駆動スピンドルを収容する駆動スピンドルボアと重なる対応する従動スピンドルボアに収容され、1つ又は2つの従動スピンドルボアは1つ又は2つの軸方向ハウジング肩部により軸方向に画定され、1つ又は2つの軸方向ハウジング肩部にそれぞれの当接面が形成されるか、又は当接ディスクが支持されている。したがって、ハウジング内には定義された肩部が設けられ、これらの肩部はコーティング(単数又は複数)の支持体として、又は当接ディスクのための軸方向の支持箇所として用いられる。すなわちそのようなハウジング肩部にコーティングが直接設けられるか、又はそのようなハウジング肩部に当接ディスクが接触する。その場合、2つのハウジング肩部の軸方向距離を非常に正確に定義及び調整することができ、それにより定義された幾何学的関係が成立し、別個の当接ディスクを使用した場合にそれぞれの従動スピンドルの軸方向の遊びも、相応の当接ディスク厚さを選択することによって相応に正確に調整することができる。
【0014】
上述のように、駆動スピンドルは、駆動スピンドルを一方向に押し動かし、次いで従動スピンドルの変位をもたらすような軸方向力が駆動スピンドルにそれほど作用しないように、液圧平衡されていることが好ましい。いわば軸方向に浮動(fliegend)支持された従動スピンドルは、ポンプハウジング内に発生する圧力だけで、軸方向遊びを利用してわずかに軸方向に動かされ、その限りでプロファイル係合を可能にする。その場合、駆動スピンドル及び従動スピンドルは、駆動スピンドルとハウジングとの間を密封するシール要素、好ましくは単一のシール要素を介して駆動スピンドルの駆動側に対して密封されているポンプ室に収容されている。これは、ポンプ室の片側がただ1つのシール要素で密封されることを意味する。したがって、本発明によれば、このシール要素は、シール要素の軸方向に加圧される面が駆動スピンドル又は駆動スピンドルプロファイルの軸方向に加圧される面に実質的に相当するように、駆動スピンドルの寸法及びジオメトリに関して選択又は指定されている。これにより、軸方向の液圧平衡が行われ、この液圧平衡はスピンドル一式の液圧同期(hydraulische Synchronisierung)、及び動作中に生じる軸方向の従動スピンドルのずれの最小化に関して特に有利であることが明らかになった。駆動スピンドルが貫通する環状シール要素の加圧される面は、つまりは駆動スピンドルの、ポンプ室に向いた軸方向の環状面に相当する。従動スピンドルの2つのスピンドルプロファイルにスピンドルプロファイルが係合する結果として、駆動スピンドルの加圧される面は、スピンドル長手方向視で、既知のようにスピンドルコアから径方向に突出するスピンドルプロファイルの、部分的に鎌形の複数の面区分によって構成される。2つの加圧される面の差異は、最大10%、殊に単に最大5%であり、理想的には当然、ゼロであるべきであり、それにより、生じたとしても、結果としてわずかな軸方向力しか生じず、この軸方向力は、駆動スピンドルの軸方向ずれも、スピンドル支承部へのさほどの荷重ももたらさない。
【0015】
シール要素自体は、好ましくはメカニカルシールであり、これは好ましくは駆動スピンドルに配置され、ハウジングにおける対応するシール部又はシール座に対して密封する。
【0016】
駆動スピンドルの一部がポンプ室から延出し、駆動スピンドル自体は、ハウジングにおいて、作業スピンドル(Arbeitsspindel)及び従動スピンドルを有するポンプ室の外側で片側のみ径方向に回転支承されていることが目的に合っている。このために、ラジアル軸受が使用され、好ましくは唯一のラジアル軸受が使用されることが目的に合っている。このラジアル軸受は、玉軸受、ころ軸受、又は球面ころ軸受などの形式の単列又は複列の軸受、すなわち転がり軸受であり得る。駆動スピンドルの所与の液圧平衡と、駆動スピンドルの隣に180°ずらして配置された2つの従動スピンドルの配置とにもとづいて、動作中、相応の力平衡にもとづいてほぼ負荷がないため、ただ1つの簡単なラジアル軸受を使用することが可能である。
【0017】
本発明の目的に合う一発展形態は、少なくとも上記又は各従動スピンドルボアが滑り被覆材(Gleitbelag)で内張りされ、従動スピンドルは、この滑り被覆材に対して径方向の遊びを設けて配置されている。従動スピンドルボアを滑り被覆材で内張りすることも、生じ得るデッドスペースを低減するために役立つ。通常動作中、従動スピンドルの径方向の運動は行われず、むしろスピンドル外周面と従動スピンドルボア又は滑り被覆材との間にも薄い流体潤滑膜が形成され、この潤滑膜が従動スピンドルを支承する。その場合、これは、滑り被覆材により従動スピンドルの径方向遊びを相応に小さく抑え、これによりデッドスペースを相応に低減することも可能にする。
【0018】
このような滑り被覆材として、特に水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、クロロトリフルオロエテン、エチレン-プロピレン-ジエン(モノマー)ゴム(EPDM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシポリマー、フッ素ゴム(FKM)、又は過フッ素ゴム(FFKM)などのプラスチック被覆材を使用することが目的に合っている。ただし、この列挙はすべてを網羅しているわけではなく、搬送される媒体を考慮して使用するのに適している限り、他の適切なプラスチック材料を使用することもできる。
【0019】
滑り被覆材の厚さは、径方向遊びが0.01~1.00mm、特に0.05~0.5mmになるように調整されることが好ましい。これはまさに動作中にそれほどの径方向の運動が行われないという事情の結果として、この場合、極めて小さい径方向の遊びが生じることを意味する。
【0020】
スクリュースピンドルポンプをデッドスペース最適に指定することと並んで、軸方向遊び及び径方向遊びの最小化に関してスクリュースピンドルポンプを指定することには、さらに、スクリュースピンドルポンプの効率をこれまでの一般的なスクリュースピンドルポンプと比較して格段に、最大で数10%高めることができるという利点がある。それは遊びが最小限であるため、体積流量が広い圧力範囲にわたって一定に保たれ、所与のギャップが最小限であることから、搬送される媒体の逆流がほとんど起こらないことによるものである。これは、スクリュースピンドルポンプの衛生的な観点で極めて有利な形態とともに、格段に効率的な搬送動作が実現され得ることを意味する。
【0021】
上述のように、スクリュースピンドルポンプは特に、加工時に最高レベルの清潔さが必要とされる重要な物質を搬送するために用いられる。したがって、本発明によるスクリュースピンドルポンプは、粘流動性(zahflussig)又はペースト状の食品、医薬品、化粧品又は化学薬品を搬送するために使用される。粘流動性又はペースト状の食品は、例えば、フレッシュチーズ、クリーム、乳脂、凝乳、バター、又はヨーグルトなどの乳製品であり得る。ケチャップ、マヨネーズ、マスタードなど、西洋わさび、プロセスチーズ、植物油、とき卵、生地又は果肉や、ゼラチン、シロップ、ナッツクリーム又はヌガークリーム、チョコレート、蜂蜜、マジパンその他の油脂などのかなり粘性の(viskos)、又はペースト状の食品を搬送することも考えられる。製薬及び化粧品の分野では、搬送可能な媒体として、例えば、液体石鹸、クリーム、ローション又はそれに類するものを挙げることができる。化学分野では、例示的に、液体洗剤、食器用洗剤、洗浄剤だけでなく、塗料又はそれに類するものも挙げられる。この場合も当然、列挙は網羅的なものではないが、搬送できる材料の粘度(Viskositat)が極めて広い範囲に及ぶことを示す。搬送するために本発明によるスクリュースピンドルポンプを使用することができる搬送可能な物質の粘度は、0.5~100万kg・m-1・s-1の範囲である。
【0022】
本発明の他の利点及び詳細は、以下に記載される実施例及び図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、第1実施形態の本発明によるスクリュースピンドルポンプの4分の1断面の原理図である。
図2図2は、第2実施形態の本発明によるスクリュースピンドルポンプの4分の1断面の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、ここでは例示的に4つのハウジング部材2a、2b、2c及び2dからなるハウジング2を備える部分的に切断された本発明によるスクリュースピンドルポンプ1を示す。すなわちハウジングはモジュラ構造である。ハウジング内部には、軸方向の出入口(Zugang)4と径方向の出入口5とを備えたポンプ室3が形成されている。スクリュースピンドルポンプ1の搬送方向は正逆回転可能であり、すなわち搬送方向に応じて出入口4が吸込連結部であり、出入口5が吐出連結部であるか、又はその逆であることを意味する。ここでは、軸方向の出入口5及び径方向の出入口4が示されているが、出入口の構成が違ってもよく、例えばハウジングの長手軸を中心にずらすこともできる2つの径方向の出入口を備えてもよい。
【0025】
ハウジング2は、圧力室(Druckraum)3の他に、以下にさらに説明するように、駆動スピンドルの支承が行われる軸受室6も有する。
【0026】
スクリュースピンドルポンプ1はさらに、駆動スピンドルプロファイル8を有する中心に配置された駆動スピンドル7と、それぞれ1つの従動スピンドルプロファイル10を有し、横に隣接し、互いに180°ずらして配置された2つの従動スピンドル9とを備えるスピンドル一式を備え、駆動スピンドルプロファイル8は、従動スピンドルプロファイル10と噛み合う。この例では、2つの従動スピンドル9が示されるが、これに代えて、ただ1つの従動スピンドル9又は3つの従動スピンドル9を設けることもできる。
【0027】
駆動スピンドル7又は駆動スピンドルプロファイル8は、ハウジング2又はハウジング部材2bにおける、ここに詳しく示されてない相応の駆動スピンドルボアに収容されるのに対して、2つの従動スピンドル9は、ハウジング2又はハウジング部材2bにおける相応の従動スピンドルボア11に収容されている。2つの従動スピンドルボア11は、既知のように駆動スピンドルボア9と重なり、これらのボアは、ポンプ室3の主要部分をなす。
【0028】
2つのハウジング部材2a及び2cは、2つの従動スピンドルボア11の領域に相応のハウジング肩部12を有し、これらのハウジング肩部はそれぞれ1つの当接ディスク13のための支持面として用いられ、当接ディスクは軸方向に互いに離間され、間にそれぞれ1つの従動スピンドル9を有する。各当接ディスク13は、軸方向に隣接する従動スピンドル9の端面のための当接面をなすか、又はそのような当接面を有する。当接ディスクは、両側が平坦面状であり、すなわち対応するハウジング肩部12に平坦面状に接触し、当接ディスクはまた、従動スピンドル9の対応する平坦な端面に対して面平行に延びる。各従動スピンドル9は、スクリュースピンドルポンプのサイズに応じて0.3~5.0mm、特に1.0~3.0mmのわずかな軸方向遊びを設けて2つの当接ディスク13間に収容され、すなわち軸方向にわずかに変位させることができる。最大軸方向遊びは、使用される当接ディスク13の厚さによって調整され、それによりこの最大軸方向遊びを最小化することができ、そこでのデッドスペースを最小化することができる。
【0029】
当接ディスク13は、例えば、セラミック材料から、又はセラミック材料を含む複合材料から、好ましくは工業用セラミックからなるディスクである。好ましくは、シリコンベースの材料、特にSiC又はSiが使用される。あるいは、各当接ディスク13が、例えばWCなどの炭化物材料からなることもできる。超硬合金製の当接ディスク13の使用も考えられる。すなわちこれは極めて摩耗しにくい当接ディスク13であり、例えばコールスタライジング処理された又は冷窒化処理された相応の特殊鋼でできているそれぞれの従動スピンドル9も相応に耐摩耗性である。スピンドルとハウジングは両方とも、特に食品産業、医療、製薬、化学産業での使用に適したステンレス特殊鋼でできている。
【0030】
部分断面図が示すように、駆動スピンドル7は、ポンプ室3から軸受室6に案内され、そこで駆動スピンドルは、ラジアル軸受14、殊に単列又は複列の玉軸受又はころ軸受若しくは球面ころ軸受の形式の転がり軸受を介してハウジング2に支承されている。すなわちこれにより、唯一の軸受平面上で駆動スピンドル7の回転支承が行われる。以下にさらに言及されるが、駆動スピンドル7が軸方向に液圧平衡されているため、このような唯一の軸受平面で十分であり、したがって、すなわちポンプ動作中に軸方向力が駆動スピンドル7に作用しないか、又は無視できる程度しか作用しないが、径方向力も作用しないか、又は無視できる程度しか作用しない。これは2つの従動スピンドル7が両側で対称に配置される結果であり、2つの従動スピンドル自体は、液圧支持されるか、又は摺動膜を介して、厳密には軸方向と径方向とに支承される。これについては以下にさらに言及される。
【0031】
さらに、唯一のシール要素15が設けられ、このシール要素は、好ましくは、駆動スピンドル7に配置され、ハウジング2内の対応するシール座に対して密封するラジアルメカニカルシールである。ポンプ室3全体は、この1つのスピンドル密封又はシール平面を介して、この側に対して、すなわち駆動側に対して密封されている。これは、流体又は媒体が出入口4から出入口5へ、又はその逆にしか流れることができないことを意味し、(対応する端側の従動スピンドル管片16に本来のポンプ駆動装置が連結される)軸受側又は駆動側に流れることは不可能である。
【0032】
上記のように、駆動スピンドル7は軸方向に液圧平衡され、それにより軸方向力が駆動スピンドル7に作用しないか、又は全く無視できる程度しか作用しない。これは、シール要素15が駆動スピンドルプロファイル8に関して相応に指定されることにより達成される。この指定は、媒体で加圧されるシール要素15の面、すなわちいわばポンプ室3に向いた面が、作業スピンドルプロファイル8の軸方向に加圧される面と実質的に同じであるようになっている。既知のように、作業スピンドルプロファイル8が従動スピンドルプロファイル10に噛み合う結果として、作業スピンドルプロファイル8の軸方向に加圧される面は、スピンドル長手方向視で、作業スピンドルプロファイル7の複数の部分的に鎌形の、合わせて1つの総体面となる面区分によってできる。この総体面は、シール要素15の、ポンプ室に向いた、軸方向に加圧される環状の面とほぼ同じ大きさ、又は理想的には完全に同じ大きさになる。面に差異があったとしても最大10%、殊に最大5%である。それぞれの面に作用する圧力は、それぞれ互いに反対方向を向き、それにより2つの面に同じ圧力が加えられるので、理想的にも完全な圧力平衡が生じ、その結果、駆動スピンドル7はいわば圧力がないか、又は液圧平衡され、それにより理想的にも駆動スピンドルに軸方向力が作用しないか、又は無視できる程度しか作用しない。
【0033】
その結果として、さらに、駆動スピンドルは動作中に軸方向に位置固定されているので、2つの従動スピンドルにも駆動スピンドル7からの機械的な力の伝達が行われない。ただ1つだけ、従動スピンドル9の作業圧力にもとづくわずかな軸方向の変位(Verschub)が生じ、このことが、従動スピンドルボア11への従動スピンドル9のわずかな軸方向運動をもたらすとともに、それぞれの従動スピンドル9の対応する端面がそれぞれの当接ディスク13に当接することをもたらす。互いに向かって動く2つの面は、好ましくは搬送されるべき媒体の薄い潤滑膜を介して静水圧で滑り支承され、それによりこの領域に摩耗は生じない。
【0034】
さらに、所与のギャップからの媒体逆流を最小化することの結果として、デッドスペースをさらに最小化し、効率を改善するために、それぞれの従動スピンドルボア11が滑り被覆材16を備え、この滑り被覆材は、好ましくはHNBR、EPDM、PTFE、CTFE、PFA、FKM又はFFKMなどのプラスチックからなる滑り被覆材16である。滑り被覆材16の厚さは、それぞれの従動スピンドル9、すなわちその外周面と滑り被覆材16との間に最小限の径方向遊びしか生じないように選択され、この径方向遊びは0.01~1.0mm、特に0.05~0.5mmであるべきである。これは、この場合も最小限の遊びしかないことを意味し、それにより逆流が生じたとしても最小限に抑えることができ、これは効率の改善と結びついている。この場合も、いわば相応の媒体潤滑膜が生じ、この媒体潤滑膜を介して従動スピンドル9が滑り被覆材16に対していわば滑り支承され、それによりこの場合も摩損が生じない。
【0035】
動作中、駆動スピンドル7は、既知のように、駆動装置により駆動され、駆動スピンドルが回転する。プロファイル係合により、従動スピンドル9も強制的に回転させられ、それに対応して駆動スピンドル7の回転方向に応じて、媒体が出入口4から出入口5へ、又はその逆に、すなわち吸込連結部から吐出連結部へ搬送される。当接時、2つの従動スピンドル9は、上述のように、作業圧力の発生によって、かつプロファイル係合の範囲内の最小の軸方向遊びの結果として、軸方向に最小限変位し、2つの従動スピンドルは、それぞれ当接ディスク13の1つに向かって動き、そこでこれらの2つの従動スピンドルは、好ましくは搬送されるべき媒体から生じる滑り膜を介して滑り支承される。ギャップが最小であるため、極めて少ない逆流しか生じず、そのことが効率の改善をもたらす。
【0036】
図2によるスクリュースピンドルポンプ1の実施例の基本構造は、図1の基本構造に相当する。この場合も、例示的に3つのハウジング部材2a、2b、2c及び2dを備えるモジュラハウジング2が設けられている。ハウジング内部には、軸方向の出入口(Zugang)4と径方向の出入口5とを備えたポンプ室3が形成されている。スクリュースピンドルポンプ1の搬送方向はこの場合も正逆回転可能である。ハウジング2は、圧力室(Druckraum)3の他に、以下にさらに説明するように、駆動スピンドルの支承が行われる軸受室6も有する。
【0037】
この場合も、スクリュースピンドルポンプ1は、駆動スピンドルプロファイル8を有する中心駆動スピンドル7と、それぞれ1つの従動スピンドルプロファイル10を有する、横に隣接し、互いに180°ずらして配置された2つの従動スピンドル9とを備えるスピンドル一式を備え、駆動スピンドルプロファイル8は従動スピンドルプロファイル10と噛み合う。この例では、2つの従動スピンドル9が示されるが、これに代えて、ただ1つの従動スピンドル9又は3つの従動スピンドル9を設けることもできる。
【0038】
駆動スピンドル7は、ハウジング2の対応する駆動スピンドルボアに収容されるのに対して、2つの従動スピンドル9は、ハウジング2の対応する従動スピンドルボア11に収容されている。2つの従動スピンドルボア11は、既知のように駆動スピンドルボア9と重なり、これらのボアもまたポンプ室3の主要部分をなす。
【0039】
2つのハウジング部材2a及び2cは、2つの従動スピンドルボア11の領域に相応のハウジング肩部12を有する。ハウジング肩部12は、互いに軸方向に離間している。ハウジング肩部間にはそれぞれ1つの従動スピンドル9が収容されている。各ハウジング肩部12には、軸方向に隣接する従動スピンドル9の端面のための当接面を形成するコーティング17が設けられている。コーティング17は、例えば、Si、SiC、WC又はCrからなり、それぞれのハウジング肩部12に直接設けられている。従動スピンドル9の端面は平坦面状であり、すなわち、ハウジング肩部12の対応するコーティング17に対して又はコーティングに平坦面状に接触する。各従動スピンドル9は、スクリュースピンドルポンプのサイズに応じて0.3~5.0mm、特に1.0~3.0mmのわずかな軸方向遊びを設けて、2つのハウジング肩部12間、又は摩耗しにくいコーティング17間に収容され、すなわちわずかに軸方向に変位させることができる。動作中、従動スピンドル9は、この場合も当接面又はコーティング17に向かって動き、理想的にはそこで流体潤滑膜を介して支持されるか、又は滑り支承される。いずれの場合も、コーティングは従動スピンドル自体と同様に極めて摩耗しにくく、それにより長期の動作が確保されている。
【0040】
すなわち、この場合、当接面は、コーティング17によってハウジング自体に直接実現される。図1による実施例でのような別個の当接ディスクの配置はここでは必要でない。それにもかかわらず、図1による実施例について説明されたのと同じ利点が達成される。
【0041】
さらに、図2に示されるスクリュースピンドルポンプ1の構造は、図1の例に対応し、すなわち、この場合も駆動スピンドル7を支承するためにラジアル軸受15が設けられ、さらに少なくとも従動スピンドルボア11が滑り被覆材16で覆われている。したがって、図1のポンプに関する記述を参照されたい。その記述は図2によるポンプにも同じように該当する。
【0042】
スクリュースピンドルポンプ1が正逆回転可能でない場合、従動スピンドルボア11ごとに、当接面を形成するただ1つの当接ディスク13又はコーティング17が、厳密には、それぞれの従動スピンドルボアの吸込側の端部に設けられ、それにより従動スピンドル9が動作中に吸込側に向かって最小限に移動する。
【0043】
本発明によるスクリュースピンドルポンプは、食品又は他の衛生的に敏感な媒体を搬送する場合に不利な、従動スピンドル7の流体による推力平衡のための装置なしで済むため、簡単な設計であることがわかる。むしろ、このスクリュースピンドルポンプの形態は、ポンプ室の他には搬送されるべき媒体が入っている可能性のある容積がないため、組立状態で洗浄できることを可能にする。このことは、組付け状態のスクリュースピンドルポンプの簡単な洗い流し、すなわち「Cleaning-in-Place」を可能にする。当接ディスク13を組み込むことにより、従動スピンドル9の許容軸方向遊びを最小化することができ、上記のように、ディスクの直接の当接が行われ、それによりこのポンプ室領域に不利なデッドスペースが生じない。
【0044】
3つのスピンドル、すなわち駆動スピンドル7と2つの従動スピンドル9とを使用することによって、スクリュースピンドルポンプ1が非常に密なプロファイルを有するので、圧縮に対してより強い搬送特性曲線が可能になる。このことは、高い計量精度での使用を可能にする。密なプロファイルにより吸引挙動も向上し、その結果、効率が改善される。さらに、スクリュースピンドルポンプ1又はスピンドル一式は液圧的に同期もされ、すなわち、動作中に自動的に調整され、駆動スピンドル7と従動スピンドル9との間で機械的な力の伝達が行われない。
図1
図2