(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】透明な外観、常温保存性、高タンパク質、及び中性pHを有する飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/66 20060101AFI20240403BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240403BHJP
A23L 2/70 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A23L2/66
A23L2/00 F
A23L2/00 K
(21)【出願番号】P 2021521410
(86)(22)【出願日】2019-11-06
(86)【国際出願番号】 EP2019080320
(87)【国際公開番号】W WO2020104192
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-10-19
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ジェミリ, セイフン
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101601487(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0156969(US,A1)
【文献】特開2009-261299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を製造する方法であって、
タンパク質をプロテアーゼで加水分解する工程と、
前記加水分解されたタンパク質を超高温(UHT)処理に供する工程と、
1つ以上の他の原材料を前記加水分解されたタンパク質に添加して、透明な外観、常温保存性、高タンパク質、中性pH、及び前記飲料240mL当たり少なくと
も100kcalのエネルギー含量を有する前記飲料を生成する工程と、
を含
み、
前記プロテアーゼによる前記加水分解に供された前記タンパク質が、ホエイタンパク質を含み、
前記飲料の600nmの波長で測定した吸光度が0.35以下であり、前記飲料が100kcal当たり少なくとも10gのタンパク質を含有し、前記飲料が7.0~7.5のpHを有する、方法。
【請求項2】
前記プロテアーゼが、トリプシン、キモトリプシン、パンクレアチン、パパイン、ブロメライン、及びペプシン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記飲料における前記高タンパク質が、前記飲料100kcal当た
り10g
~25gのタンパク質であり、前記エネルギー含量が、前記飲料240mL当た
り100kcal
~360kcalである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記飲料における前記高タンパク質が、前記飲料100kcal当た
り10g
~25gのタンパク質であり、前記エネルギー含量が、前記飲料240mL当た
り100kcal
~300kcalである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記飲料における前記高タンパク質が、前記飲料100kcal当た
り10g
~20gのタンパク質であり、前記エネルギー含量が、前記飲料240mL当た
り100kcal
~200kcalである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記飲料が、前記プロテアーゼを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記プロテアーゼを不活性化する工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記飲料が、レディ・トゥ・ドリンク(RTD)飲料である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記飲料が、脂肪を含有しない、請求項1~
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の他の原材料が、前記飲料の前記エネルギー含量の最大25%の量の糖を含む、請求項1~
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の他の原材料が、茶を含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも一部が加水分解されたタンパク質により構成される高タンパク質を有する飲料の透明度を高める方法であって、
タンパク質をプロテアーゼで加水分解して、前記加水分解されたタンパク質を生成する工程と、
前記加水分解されたタンパク質を超高温(UHT)処理に供する工程と、
1つ以上の他の原材料を前記加水分解されたタンパク質に添加して高タンパク質を有する前記飲料を生成する工程であって、前記飲料が、透明な外観、常温保存性、中性pH、及び前記飲料240mL当たり少なくと
も100kcalのエネルギー含量をも有
する工程と、
を含
み、
前記プロテアーゼによる前記加水分解に供された前記タンパク質が、ホエイタンパク質を含み、
前記飲料の600nmの波長で測定した吸光度が0.35以下であり、前記飲料が100kcal当たり少なくとも10gのタンパク質を含有し、前記飲料が7.0~7.5のpHを有する、方法。
【請求項13】
タンパク質を迅速に吸収するための飲料を製造する方法であって、
タンパク質をプロテアーゼで加水分解して、加水分解されたタンパク質を生成する工程と、
前記加水分解されたタンパク質を超高温(UHT)処理に供する工程と、
1つ以上の他の原材料を前記加水分解されたタンパク質に添加して、透明な外観、常温保存性、高タンパク質、中性pH、及び前記飲料240mL当たり少なくと
も100kcalのエネルギー含量を有
する飲料を生成する工程と、を含
み、
前記プロテアーゼによる前記加水分解に供された前記タンパク質が、ホエイタンパク質を含み、
前記飲料の600nmの波長で測定した吸光度が0.35以下であり、前記飲料が100kcal当たり少なくとも10gのタンパク質を含有し、前記飲料が7.0~7.5のpHを有する、方法。
【請求項14】
前記高タンパク質が前記加水分解されたタンパク質から実質的に構成される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記飲料における前記高タンパク質が、前記飲料100kcal当た
り10g
~25gのタンパク質であり、前記エネルギー含量が、前記飲料240mL当た
り100kcal
~360kcalである、請求項
12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記飲料における前記高タンパク質が、前記飲料100kcal当た
り10g
~25gのタンパク質であり、前記エネルギー含量が、前記飲料240mL当た
り100kcal
~300kcalである、請求項
12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記飲料における前記高タンパク質が、前記飲料100kcal当た
り10g
~20gのタンパク質であり、前記エネルギー含量が、前記飲料240mL当た
り100kcal
~200kcalである、請求項
12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
飲料を製造する方法であって、前記方法が、1つ以上の他の原材料を加水分解されたタンパク質に添加して、透明な外観、常温保存性、高タンパク質、中性pH、及び前記飲料240mL当たり少なくと
も100kcalのエネルギー含量を有する、前記飲料を生成する工程を含
み、
前記加水分解されたタンパク質を超高温(UHT)処理に供する工程を更に含み、
前記加水分解されたタンパク質が、加水分解されたホエイタンパク質を含み、
前記飲料の600nmの波長で測定した吸光度が0.35以下であり、前記飲料が100kcal当たり少なくとも10gのタンパク質を含有し、前記飲料が7.0~7.5のpHを有する、方法。
【請求項19】
前記飲料における前記高タンパク質が
、前記飲料100kcal当た
り10g
~25gのタンパク質であり、前記エネルギー含量が、前記飲料240mL当た
り100kcal
~360kcalである、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
前記飲料における前記高タンパク質が、前記飲料100kcal当た
り10g
~25gのタンパク質であり、前記エネルギー含量が、前記飲料240mL当た
り100kcal
~300kcalである、請求項
18に記載の方法。
【請求項21】
前記飲料における前記高タンパク質が、前記飲料100kcal当た
り10g
~20gのタンパク質であり、前記エネルギー含量が、前記飲料240mL当た
り100kcal
~200kcalである、請求項
18に記載の方法。
【請求項22】
前記飲料が、レディ・トゥ・ドリンク(RTD)飲料である、請求項
18に記載の方法。
【請求項23】
前記飲料が、脂肪を含有しない、請求項
18に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上の他の原材料が、前記飲料の前記エネルギー含量の最大25%の量の糖を含む、請求項
18に記載の方法。
【請求項25】
前記1つ以上の他の原材料が、茶を含む、請求項
18に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも一部が加水分解されたタンパク質により構成される高タンパク質を有する飲料の透明度を高める方法であって、
1つ以上の他の原材料を前記加水分解されたタンパク質に添加して高タンパク質を有する前記飲料を生成する工程であって、前記飲料が、透明な外観、常温保存性、中性pH、及び前記飲料240mL当たり少なくと
も100kcalのエネルギー含量を有
する、工程を含
み、
前記加水分解されたタンパク質を超高温(UHT)処理に供する工程を更に含み、
前記加水分解されたタンパク質が、加水分解されたホエイタンパク質を含み、
前記飲料の600nmの波長で測定した吸光度が0.35以下であり、前記飲料が100kcal当たり少なくとも10gのタンパク質を含有し、前記飲料が7.0~7.5のpHを有する、方法。
【請求項27】
タンパク質を迅速に吸収するための飲料を製造する方法であって、
1つ以上の他の原材料を加水分解されたタンパク質に添加して、透明な外観、常温保存性、高タンパク質、中性pH、及び前記飲料240mL当たり少なくと
も100kcalのエネルギー含量を有
する前記飲料を生成する工程を含
み、
前記加水分解されたタンパク質を超高温(UHT)処理に供する工程を更に含み、
前記加水分解されたタンパク質が、加水分解されたホエイタンパク質を含み、
前記飲料の600nmの波長で測定した吸光度が0.35以下であり、前記飲料が100kcal当たり少なくとも10gのタンパク質を含有し、前記飲料が7.0~7.5のpHを有する、方法。
【請求項28】
前記高タンパク質が前記加水分解されたタンパク質から実質的に構成される、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記飲料における前記高タンパク質が、前記飲料100kcal当た
り10g
~25gのタンパク質であり、前記エネルギー含量が、前記飲料240mL当た
り100kcal
~360kcalである、請求項
26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記飲料における前記高タンパク質が、前記飲料100kcal当た
り10g
~25gのタンパク質であり、前記エネルギー含量が、前記飲料240mL当た
り100kcal
~300kcalである、請求項
26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記飲料における前記高タンパク質が、前記飲料100kcal当た
り10g
~20gのタンパク質であり、前記エネルギー含量が、前記飲料240mL当た
り100kcal
~200kcalである、請求項
26~28のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]本開示は、概して、飲料及びかかる飲料を製造する方法に関する。より具体的には、本開示は、ホエイタンパク質などの加水分解されたタンパク質をベースとする飲料に関し、本飲料は、透明な外観及び中性pHを有する。
【0002】
[0002]タンパク質は、ヒトの正常な発育に必須である。しかしながら、レディ・トゥ・ドリンク(RTD)飲料に4%以上のタンパク質が含まれていると、概して、中性pHでは濁り又はゲル化のいずれかが生じる。
【0003】
[0003]ホエイタンパク質は、酸性環境下、すなわちpH3.5未満での熱処理に対する安定性が高い。したがって、高タンパク質飲料を安定なものとするためのアプローチの1つは、酸性環境で製品を製造することである。しかしながら、酸性が高いと収斂味が増加する。
【0004】
[0004]結果として、常温保存可能であり、透明な外観で、高タンパク質な飲料の製造方法、すなわち、酸を使用する製造方法は、最終製品の感覚特性に大きな影響がある欠点を有する。
【0005】
[発明の概要]
[0005]本開示は、中性pH条件下で、高タンパク質で、常温保存可能であり、且つ透明な外観の飲料を提供する。本発明者らの知る限り、そのような製品は現在市販されていない。本明細書で後に詳細に記載されるように、本発明者らは、ペプチドを作製するためにプロテアーゼにより加水分解したホエイタンパク質を、UHT熱処理を用いて処理し、次いで配合して、中性pH条件下で、透明な外観で、常温保存可能であり、且つ高タンパク質な飲料を作製することができることを見出した。本発明者らは、驚くべきことに、配合物のカロリー密度を、例えば、炭水化物の量を増加させることにより増加させることで、最終製品の濁度が減少することを見出した。結果として、1回分当たりにより多量のタンパク質が配合物に添加された場合にも、尚も透明な外観を有していた。
【0006】
[0006]中性pHを有する、常温保存可能で透明な高タンパク質レディ・トゥ・ドリンク飲料には、様々な異なる概念を組み込むことができる。例えば、特定の実施形態は脂肪を不含有であり、このことは脂肪の摂取を回避している人にとって特に好都合であり得る。別の例としては、本明細書に開示される飲料における加水分解されたタンパク質は、タンパク質の迅速な吸収を求める消費者にとって好都合であり得る。更に別の実施例として、茶を浸出した(tea-infused)高タンパク質飲料が、本開示によって提供される。
【0007】
[0007]したがって、一般的な実施形態では、本開示は、飲料を製造する方法であって、タンパク質をプロテアーゼで加水分解する工程と、1つ以上の他の原材料を前記加水分解されたタンパク質に添加して、透明な外観、常温保存性、高タンパク質、中性pH、及び飲料240mL当たり少なくとも約100kcalのエネルギー含量を有する、飲料を生成する工程と、を含む方法を提供する。
【0008】
[0008]一実施形態では、プロテアーゼは、動物由来の酵素若しくは植物由来の酵素、又は微生物由来の酵素であり、いくつかの実施形態では、2種類以上の酵素が存在する。
【0009】
[0009]一実施形態では、プロテアーゼは、トリプシン、キモトリプシン、パンクレアチン、パパイン、ブロメライン、及びペプシン、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0010】
[0010]一実施形態では、飲料はプロテアーゼを含む。
【0011】
[0011]一実施形態では、本方法は、プロテアーゼを不活性化する工程を含む。
【0012】
[0012]一実施形態では、本方法は、加水分解されたタンパク質を超高温(UHT)処理に供する工程を含む。
【0013】
[0013]一実施形態では、飲料は、レディ・トゥ・ドリンク(RTD)飲料である。
【0014】
[0014]一実施形態では、飲料は、脂肪を含有しない。
【0015】
[0015]一実施形態では、プロテアーゼによる加水分解に供されるタンパク質は、ホエイタンパク質を含む。
【0016】
[0016]一実施形態では、1つ以上の他の原材料は、飲料のエネルギー含量の最大25%の量の糖を含む。
【0017】
[0017]一実施形態では、1つ以上の他の原材料は、茶を含む。
【0018】
[0018]一実施形態では、飲料における高タンパク質は、飲料100kcal当たり約10g~約25gのタンパク質であり、エネルギー含量は、飲料240mL当たり約100kcal~約360kcalである。
【0019】
[0019]一実施形態では、飲料における高タンパク質は、飲料100kcal当たり約10g~約25gのタンパク質であり、エネルギー含量は、飲料240mL当たり約100kcal~約300kcalである。
【0020】
[0020]一実施形態では、飲料における高タンパク質は、飲料100kcal当たり約10g~約20gのタンパク質であり、エネルギー含量は、飲料240mL当たり約100kcal~約200kcalである。
【0021】
[0021]別の実施形態では、本開示は、本明細書に開示される方法のいずれかによって得られる飲料を提供する。
【0022】
[0022]別の実施形態では、本開示は、透明な外観、常温保存性、高タンパク質、中性pH、及び飲料240mL当たり少なくとも約100kcalのエネルギー含量を有する飲料を提供し、高タンパク質は、加水分解されたタンパク質を含む。飲料は、加水分解されたタンパク質の少なくとも一部を生成したプロテアーゼを含み得る。プロテアーゼは、トリプシン、キモトリプシン、パンクレアチン、パパイン、ブロメライン、ペプシン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0023】
[0023]一実施形態では、高タンパク質は、加水分解されたタンパク質から実質的に構成される。
【0024】
[0024]別の実施形態では、本開示は、少なくとも一部が加水分解されたタンパク質を含む高タンパク質を含有する飲料の透明度を高める方法であって、タンパク質をプロテアーゼで加水分解して加水分解されたタンパク質を生成する工程と、1つ以上の他の原材料を前記加水分解されたタンパク質に添加して、高タンパク質を含有する飲料を生成する工程と、を含み、飲料が、透明な外観、常温保存性、中性pH、及び飲料240mL当たり少なくとも約100kcalのエネルギー含量を有し、任意選択的に高タンパク質が前記加水分解されたタンパク質から実質的に構成される、方法を提供する。
【0025】
[0025]別の実施形態では、本開示は、個体に栄養を提供する方法であって、当該方法が、飲料を個体に投与する工程を含み、当該飲料が、透明な外観、常温保存性、高タンパク質、中性pH、及び飲料240mL当たり少なくとも約100kcalのエネルギー含量を有し、高タンパク質が、加水分解されたタンパク質を含み、任意選択的に高タンパク質が前記加水分解されたタンパク質から実質的に構成される、方法を提供する。
【0026】
[0026]別の実施形態では、本開示は、タンパク質を迅速に吸収するための飲料を製造する方法であって、タンパク質をプロテアーゼで加水分解して加水分解されたタンパク質を生成する工程と、1つ以上の他の原材料を前記加水分解されたタンパク質に添加して、透明な外観、常温保存性、高タンパク質、中性pH、及び飲料240mL当たり少なくとも約100kcalのエネルギー含量を有し、任意選択的に高タンパク質が前記加水分解されたタンパク質から実質的に構成される、飲料を生成する工程と、を含む方法を提供する。
【0027】
[0027]追加の特徴及び利点は、以降の発明の詳細な説明及び図面に記載され、これらにより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
[0028]
【
図1】本明細書で開示する実施例1の実験で試験した、本開示によって提供される実施形態のうち、100kcal当たり10gのタンパク質を含む飲料の写真である。
【
図2】本明細書で開示する実施例1の実験で試験した、本開示によって提供される実施形態のうち、100kcal当たり15gのタンパク質を含む飲料の写真である。
【
図3】本明細書に開示される実施例2の実験で試験した配合物を示す表である。
【
図4】本明細書に開示される実施例2の実験の、濁度対タンパク質(g)及びカロリーの等高線プロットを示すグラフである。
【
図5】本明細書に開示される実施例2の実験の、濁度対時間及び酵素(%)の等高線プロットを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[0033]定義
[0034]以下、いくつかの定義を示す。しかしながら定義が以下の「実施形態」の項にある場合もあり、上記の見出し「定義」は、「実施形態」の項におけるそのような開示が定義ではないことを意味するものではない。
【0030】
[0035]パーセンテージは全て、特に明記しない限り組成物の総重量に対する重量によるものとする。同様に、比は全て、特に明記しない限り重量によるものとする。本明細書で使用するとき、「約」、「およそ」、及び「実質的に」は、数値範囲内、例えば、参照数字の-10%から+10%の範囲内、好ましくは-5%から+5%の範囲内、より好ましくは、参照数字の-1%から+1%の範囲内、最も好ましくは参照数字の-0.1%から+0.1%の範囲内の数を指すものと理解される。
【0031】
[0036]更に、本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数を、全体的に又は部分的に含むものと理解されたい。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートするものと解釈されたい。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲をサポートするものと解釈されたい。
【0032】
[0037]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、別途文脈が明らかに示していない限り、単数形の単語は複数形を含む。したがって、「1つの」、「ある」、及び「当該」」(「a」、「an」及び「the」)の言及には、概してそれぞれの用語の複数形が包含される。例えば、「原材料(an ingredient)」又は「方法(a method)」と言及する際は、複数の、かかる「原材料」又は「方法」が含まれる。「X及び/又はY」という文脈で使用される用語「及び/又は」は、「X」若しくは「Y」又は「X及びY」と解釈されるべきである。同様に、「X又はYのうちの少なくとも1つ」は、「X」若しくは「Y」又は「X及びYの両方」と解釈されるべきである。
【0033】
[0038]同様に、「含む/構成される(comprise)」、「含む/構成される(comprises)」、及び「含む/構成される(comprising)」という用語は、排他的ではなく、包含的に解釈されるべきである。同様にして、用語「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは包括的なものであると解釈される。しかし、本開示により提供される実施形態は、本明細書にて具体的に開示されない任意の要素を含まない場合がある。したがって、用語「含む(comprising)」を用いて規定される実施形態の開示は、開示される構成要素「から実質的に構成される」、及び「から構成される」実施形態の開示でもある。「から実質的になる」とは、実施形態又はその構成成分が、個別に特定された構成成分を50重量%超、好ましくは個別に特定された構成成分を少なくとも75重量%、より好ましくは個別に特定された構成成分を少なくとも85重量%、最も好ましくは個別に特定された構成成分を少なくとも95重量%、例えば、個別に特定された構成成分を少なくとも99重量%含むことを意味する。
【0034】
[0039]本明細書で使用するとき、用語「例(example)」は、特に、後に用語の列挙が続く場合に、単に例示的なものであり、かつ説明のためのものであり、排他的又は包括的なものであるとみなすべきではない。本明細書で開示される全ての実施形態は、特に明示的に示されない限り、本明細書で開示される任意の別の実施形態と組み合わせることができる。
【0035】
[0040]「動物」としては、齧歯類動物、水生哺乳動物、イヌ及びネコなどの飼育動物、ヒツジ、ブタ、ウシ及びウマなどの家畜、並びにヒトを含むがこれらに限定されない哺乳動物が挙げられるが、これらに限定されない。「動物」、「哺乳動物」、又はこれらの複数形が使用される場合、これらの用語はまた、文章の文脈によって示される、又は示すことを目的としている効果について能力を有する任意の動物、例えば、オートファジーが可能な動物にも適用される。用語「個体」は、本明細書ではヒトに関して用いられることが多いが、本開示はヒトに限定されない。したがって、用語「個体」は、本明細書に開示される方法及び組成物から利益を得ることができる任意の動物、哺乳動物、又はヒトを指す。
【0036】
[0041]相対的な用語「改善された」、「増加した」、「増強された」などは、プロテアーゼによって加水分解されたタンパク質を含む組成物(本明細書に開示されるもの)の特性又は効果を、同一の組成を有するものの加水分解されたタンパク質がプロテアーゼにより生成されたものではない配合物のものと比較して指す。
【0037】
[0042]用語「飲料」は液体を意味し、すなわち、ヒトなどの個体による摂取を意図して少なくとも1種の栄養素をかかる個体に提供する、一定体積の自由流動性物質を意味する。本明細書に記載される多くの実施形態を含む、本開示の飲料は、本明細書に開示される要素、並びに本明細書に記載の又は規定食において有用な、任意の追加の若しくは任意選択の、原材料、構成要素、又は制限を含む、これらからなる、又はこれらから実質的に構成されることができる。
【0038】
[0043]「レディ・トゥ・ドリンク」飲料又は「RTD」飲料は、液体を更に追加せずとも摂食することのできる液体形態の飲料である。好ましくは、飲料は無菌である。
【0039】
[0044]「常温保存可能な/常温保存性を有する」飲料は、4℃で少なくとも9ヶ月間、25℃で少なくとも6ヶ月間、30℃で少なくとも3ヶ月間、及び38℃で少なくとも1ヶ月間にわたり、実質的にその粘度を維持し、かつ相分離、例えば、シネレシス、層化、クリーミング、及び/又は沈降などの不安定化を生じない。
【0040】
[0045]「高タンパク質」飲料は、100kcal当たり少なくとも約10.0gのタンパク質、好ましくは100kcal当たり少なくとも約12.0gのタンパク質、より好ましくは100kcal当たり少なくとも約15.0gのタンパク質、最も好ましくは100kcal当たり少なくとも約18.0gのタンパク質、例えば100kcal当たり少なくとも約20gのタンパク質を含有する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される高タンパク質飲料は、100kcal当たり約25.0g以下のタンパク質を有し、例えば、100kcal当たり約22.0g以下のタンパク質を有する。特定の非限定的な例として、高タンパク質飲料は、100kcal当たり約15.0gのタンパク質を含有し得る。
【0041】
[0046]「透明な」飲料は、見た目に水のような透明感があり、アイソトニック飲料のような曇りがなく、又は不透明な果汁のように濁度を有さない。飲料の透明度は、液体の濁度を測定するための既知の手段を使用して定量することができる。例えば、紫外可視分光光度計を使用し600nmの波長で測定した吸光度が0.35以下である飲料は、「透明感がある」又は「透明な」という用語に包含され、好ましくは、このような飲料は、600nmの波長で0.25以下の吸光度を有し、最も好ましくは、600nmの波長で0.15以下の吸光度を有する。
【0042】
[0047]「中性」pHは、約7.0のpHである。本明細書においてpHについて言及されるとき、値は、標準的な装置を使用して25℃で測定したpHに相当する。
【0043】
[0048]超高温(「UHT」)熱処理は、約140℃~約151℃の温度で約2秒間~約15秒間、例えば約140℃~約145℃で約3秒間~約12秒間の熱処理であり、非限定的な具体例では約140℃、約6秒での熱処理である。
【0044】
[0049]実施形態
[0050]本開示の一態様は、常温保存可能で透明な高タンパク質レディ・トゥ・ドリンク飲料、中性pH、及び飲料240mL当たり少なくとも約100kcalのエネルギー含量である。タンパク質の少なくとも一部は、1種以上のプロテアーゼ、例えば、1種以上のトリプシン、キモトリプシン、パンクレアチン、パパイン、ブロメライン、及びペプシンを使用して得られる、加水分解されたタンパク質である。好ましい実施形態では、トリプシン及び/又はトリプシン様酵素が使用される。いくつかの実施形態では、1種以上のプロテアーゼ精製物が使用される。1種以上のプロテアーゼのそれぞれは、動物由来、植物由来、又は微生物由来であり得る。いくつかの実施形態では、加水分解されたタンパク質は、ホエイタンパク質分離物及び/又は血清タンパク質分離物を含む。
【0045】
[0051]飲料の好適な配合の非限定的な例としては、飲料における高タンパク質が、飲料100kcal当たり約10g~約25gのタンパク質であり、エネルギー含量が、飲料240mL当たり約100kcal~約360kcalである実施形態、飲料における高タンパク質が、飲料100kcal当たり約10g~約25gのタンパク質であり、エネルギー含量が、飲料240mL当たり約100kcal~約300kcalである別の実施形態、並びに飲料における高タンパク質が、飲料100kcal当たり約10g~約20gのタンパク質であり、エネルギー含量が、飲料240mL当たり約100kcal~約200kcalである更に別の実施形態、が挙げられる。
【0046】
[0052]特に好ましい非限定的な実施形態は、100kcal当たり約10g~約20gのタンパク質、及び240mL当たり約100kcal~約150kcalのエネルギー含量(より好ましくは、240mL当たり約100kcal~約125kcal)を有する実施形態、並びに100kcal当たり約10g~約15gのタンパク質、及び240mL当たり約100kcal~約200kcalのエネルギー含量(より好ましくは、100kcal当たり約10.0g~約12.5gのタンパク質)を有する別の実施形態、が挙げられる。
【0047】
[0053]常温保存可能で透明な高タンパク質レディ・トゥ・ドリンク飲料は、苦味が少ないことが好ましい。「低苦味」飲料は、0.0700%カフェイン溶液よりも苦味が弱い、好ましくは0.0650%カフェイン溶液よりも苦味が弱い、より好ましくは0.0600%カフェイン溶液よりも苦味が弱い、更により好ましくは0.0550%カフェイン溶液よりも苦味が弱い、最も好ましくは0.0500%カフェイン溶液よりも苦味が弱い、飲料である。
【0048】
[0054]加水分解されたタンパク質は、好ましくは、動物性タンパク質及び/又は植物性タンパク質、例えば、カゼイン、カゼイネート、カゼイン加水分解物、ホエイ、ホエイ加水分解物、ホエイ濃縮物、ホエイ分離物、乳タンパク質濃縮物、又は乳タンパク質分離物のうちの1種以上などといった乳タンパク質の、加水分解によって得られる。更に、乳タンパク質は、例えば、甘性ホエイ、酸性ホエイ、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、ウシ血清アルブミン、酸カゼイン、カゼイネート、α-カゼイン、β-カゼイン、及び/又はγ-カゼインであってもよい。追加的に又は代替的に、加水分解に供されるタンパク質の少なくとも一部は、例えば、大豆タンパク質、米タンパク質、ジャガイモタンパク質、キャノーラタンパク質、エンドウ豆タンパク質、動物性タンパク質(例えば、コラーゲンペプチド)、及びこれらの組み合わせであってもよい。
【0049】
[0055]好ましい実施形態では、飲料におけるタンパク質は、加水分解されたタンパク質から実質的に構成される。いくつかの実施形態では、飲料におけるタンパク質は、加水分解されたタンパク質から構成され、すなわち、飲料における全てのタンパク質が加水分解されたタンパク質である。好ましい実施形態では、飲料中の加水分解されたタンパク質の少なくとも一部は、加水分解されたホエイタンパク質である。好ましくは、飲料は、脂肪分0.5重量%未満、より好ましくは、脂肪分0.1重量%未満であり、最も好ましくは、脂肪を含まない。
【0050】
[0056]飲料の中性pHの少なくとも一部は、塩基性成分によって達成され得る。好適な塩基性成分の非限定例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸カリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
[0057]一実施形態では、飲料は、9~40重量%、例えば12~20重量%、又は14~23重量%の固形分を有し得る。
【0052】
[0058]飲料は、腐敗を防ぐ、又は最小限にするために無菌加工されてよい。飲料の無菌処理は、飲料を例えば約75~85℃に予備加熱した後、飲料に蒸気を注入して、温度を約140~160℃、例えば約150℃に上昇させることによって行われ得る。次いで、飲料を、例えば、フラッシュ冷却によって、約75~85℃の温度に冷却し、再び均質化し、更にほぼ室温まで冷却し、缶又はボトルなどの容器内に充填することができる。飲料の無菌処理に好適な装置は市販されている。安定化システムは、無菌のRTD飲料を保管中に均質な状態に維持することができる。
【0053】
[0059]飲料はまた、食品香料、人工甘味料、天然甘味料、着色剤、又はこれらの組み合わせなどの1つ以上の追加の原材料を含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、飲料は食品香料を含有せず、風味がない。甘味料は、例えば、スクロース、転化シロップ、フルクトースシロップ、様々なDEのグルコースシロップ、様々なDEのマルトデキストリン、及びこれらの組み合わせなどの糖ベースのものであってよい。シュガーレス甘味料としては、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリトリトール、マンニトール、イソマルト及びラクチトールなどの糖アルコール、加水分解水添デンプン、サッカリン、シクラマート、アセトスルファム、L-アスパルチル系甘味料、又はこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0054】
[0060]食品香料、甘味料、及び着色剤の使用量は様々であり、甘味料の強さ、飲料に所望される甘味度、使用される香料のレベル及び種類、並びにコストの考慮などの因子によって異なる。糖及び/又はシュガーレス甘味料の任意の好適な組み合わせを飲料に使用することができる。一実施形態では、飲料は人工甘味料を含有しない。好ましくは、任意の糖は、飲料のエネルギー含量の25%以下の量で存在する。例えば、飲料の一実施形態は、飲料のエネルギー含量の20~25%の量の糖を含む。
【0055】
[0061]飲料は、1種以上のビタミン及び/又はミネラルを更に含むことができる。好適なビタミンの非限定的な例としては、ビタミンC及びビタミンB群が挙げられ、好適なビタミンの他の非限定的な例としては、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ビタミンB1、B2、B6、B12、及びナイアシン(B3)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ビタミンとしてはまた、ビタミンA、D、E及びK、並びに酸ビタミン、例えばパントテン酸、葉酸、及びビオチンを挙げることもできる。ビタミンAは、ビタミンAパルミテートとして存在してもよい。ビタミンD3は、好適な形態のビタミンDの例である。
【0056】
[0062]好適なミネラルの非限定的な例としては、カルシウム、マグネシウム、鉄、又はこれらの組み合わせが挙げられる。カルシウム源としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、他の不溶性カルシウム化合物、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。マグネシウム源としては、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。鉄源としては、リン酸鉄アンモニウム、ピロリン酸第二鉄、リン酸第二鉄、リン酸第一鉄、他の不溶性鉄化合物、アミノ酸、EDTAなどの鉄キレート化合物、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。ミネラルとしてはまた、亜鉛、ヨウ素、銅、リン、マンガン、カリウム、クロム、モリブデン、セレン、ニッケル、スズ、ケイ素、バナジウム、及びホウ素も挙げることができる。
【0057】
[0063]一実施形態では、飲料は、1つ以上の遊離形態のアミノ酸を更に含む。好適な遊離形態のアミノ酸の非限定的な例としては、イソロイシン、アラニン、ロイシン、アスパラギン、リシン、アスパラギン酸、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、グルタミン酸、トレオニン、グルタミン、トリプトファン、グリシン、バリン、プロリン、セリン、チロシン、アルギニン、ヒスチジン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0058】
[0064]別の実施形態では、飲料は、1つ以上のプレバイオティクスを更に含む。好適なプレバイオティクスの非限定的な例としては、フラクトオリゴ糖、イヌリン、ラクツロース、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ラクトスクロース、グルコオリゴ糖、ペクチンオリゴ糖、難消化性デンプン、糖アルコール、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0059】
[0065]いくつかの実施形態では、RTD飲料は茶飲料である。「茶」は、全ての種類の茶葉、例えば、緑茶、黒茶、白茶、烏龍茶、ルイボス茶、チャイ茶、着香茶、香草茶、果実茶、及びこれらの組み合わせなどを包含する。「茶葉」は、淹茶、並びに任意選択で、まるごとの葉、切断された葉、又は切込みを入れられた(chiseled)葉;葉の小片;粉末;微粉;及びこれらの組み合わせなどの任意の形態の他の原材料を指す。茶は、単一種の茶、又は一種以上の茶の混合物を包含し得る。茶にはカフェインが添加されていても、又は脱カフェイン処理されていてもよい。
【0060】
[0066]これらのRTD茶飲料は、例えば、茶葉の熱水抽出などの一般的な方法により得ることのできる茶抽出物を含有することができる。水抽出の温度は、室温から、最高で180℃、又は高圧によりそれ以上に変化させることができる。
【0061】
[0067]任意選択的に、追加の機能性原料を飲料に添加することができる。好適な機能性食品原料の非限定的な例としては、プロバイオティクス、酵素、酸化防止剤、ミネラル塩、ガム、ファイトケミカル、デキストロース、レシチン、微量栄養素、植物抽出物、風味、アロマ、脂肪酸、オート麦β-グルカン、又は別の機能性繊維、クレアチン、カルニチン、重炭酸塩、クエン酸塩、カフェイン、又はこれらの任意の混合物が挙げられる。
【0062】
[0068]特定の実施形態では、飲料は、加水分解されたホエイタンパク質と、水、トウモロコシ由来のグルコースシロップ、糖、又は水酸化カリウムのうちの1種以上と、を含む。別の特定の実施形態では、飲料は、加水分解されたホエイタンパク質と、水、マルトデキストリン、中鎖トリグリセリド、大豆油、スクロース、エンドウ豆繊維、クエン酸カルシウム、アラビアガム、グアーガム、大豆レシチン、クエン酸カリウム、リン酸カリウム、塩化マグネシウム、(マグロ)魚油、塩化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、重酒石酸コリン、ビタミンC(アスコルビン酸ナトリウム)、カラギーナン、塩化カリウム、トウモロコシデンプン、タウリン、イノシトール、酸化マグネシウム、乳酸鉄、L-カルニチン、グルコース、天然風味物質、ビタミンE、ニコチンアミド、硫酸亜鉛、ビタミンB5、硫酸マンガン、グルコン酸銅、ビタミンB6、ビタミンB2、フッ化ナトリウム、ビタミンB1、トコフェロール、ビタミンA、葉酸、ヨウ化カリウム、モリブデン酸ナトリウム、三塩化クロム、ビタミンK1、亜セレン酸ナトリウム、ビオチン、ビタミンD3、クエン酸、又はビタミンB12のうちの1種以上と、を含む。更に別の特定の実施形態では、飲料は、加水分解されたホエイタンパク質と、水、トウモロコシマルトデキストリン、中鎖トリグリセリド、トウモロコシデンプン、精製魚油、オリゴフルクトース、ベニバナ油、大豆油、イヌリン、タウリン、L-カルニチン、大豆レシチン、グアーガム、ジメチルポリシロキサン、β-カロテン、ビタミンAパルミテート、ビタミンD3、DL-αトコフェリルアセテート、ビタミンK1、アスコルビン酸ナトリウム、硝酸チアミン、リボフラビン、ナイアシンアミド、パントテン酸カルシウム、塩酸ピリドキシン、ビオチン、葉酸、シアノコバラミン、塩化コリン、リン酸三カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸鉄、硫酸亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、ヨウ化カリウム、セレン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、又は三塩化クロムのうちの1種以上と、を含む。
【0063】
[0069]これらの実施例は非限定的であり、いくつかの実施形態では、これらの開示される原材料のうちの1種以上を省略する。更に、本明細書に開示される飲料は、任意選択的に、例えば、人工原材料又は合成化学物質を制限又は排除するなどの「クリーン」ラベル又は他の目的のために、任意の従来の成分を任意選択的に省くことができる。飲料は、加水分解に使用した酵素を含有してもよく、及び/又は酵素の少なくとも一部を、例えば熱によって不活性化されてもよい。不活性化の少なくとも一部は、飲料を収容する容器を包装及び密封する前に実施することができ、及び/又は、不活性化の少なくとも一部は、飲料を収容する容器を包装及び密封した後に実施することができる。
【0064】
[0070]本開示の別の態様は、本明細書に開示される中性pHを有する、常温保存可能で透明な高タンパク質レディ・トゥ・ドリンク飲料の実施形態のうちの1つ以上を製造する方法である。例えば、タンパク質は、他の原材料の添加前、添加中、及び/又は添加後に加水分解に供され得る。原材料の混合物は、約70℃で、例えば35~175バールで均質化することができる。均質化した混合物は、UHT熱処理に供することができる。熱処理した混合物は、次いで約70℃で35~175バールの、第2の均質化、好ましくは無菌均質化に供することができる。UHT熱処理に続いて、レディ・トゥ・ドリンク飲料を冷却し、好適な容器内へ無菌充填することができる。
【0065】
[0071]本開示の別の態様は、動物、例えばヒトに栄養を提供する方法である。本方法は、本明細書に開示される中性pHを有する、常温保存可能で透明な高タンパク質レディ・トゥ・ドリンク飲料の実施形態のいずれかを動物に投与する工程を含む。
【0066】
[0072]実施例
[0073]以下の非限定的な実施例は、本開示によって提供される中性pHを有する、常温保存可能で透明な高タンパク質レディ・トゥ・ドリンク飲料の概念を展開及びサポートする科学的データを提示する。
【0067】
[0074]実施例1
[0075]概要
[0076]トリプシン様プロテアーゼを使用して、ホエイタンパク質を加水分解してペプチドを作製し、次いで、UHT熱処理を用いて処理した。次いで、加水分解されたホエイタンパク質を配合して、中性pH条件下で、透明な外観で、常温保存性があり、及び高タンパク質な飲料を作成した。2つの例示的な配合物を以下に掲載する。
配合物1:
88.7%の水
6.1%のグルコースシロップ(DE25、トウモロコシ由来)
4.13%のホエイタンパク質分離物
1.05%の糖
0.012%の微生物トリプシン
0.01%の水酸化カリウム
配合物2:
89.28%の水
6.2%のホエイタンパク質分離物
トウモロコシ由来の3%のDE25グルコースシロップ
1.5%の糖
0.019%の微生物トリプシン
0.01%の水酸化カリウム
【0068】
[0077]いずれの配合物も240mLの1回分サイズに設計した。1回分当たり100カロリーを目標とし、糖に由来するカロリーは20~25%のみとした。1回分当たりに、配合物1は10グラムのタンパク質を供給し、配合物2は15グラムのタンパク質を供給した。
【0069】
[0078]
図1及び2はそれぞれ、1回分当たり10グラムのタンパク質を有する製品、及び1回分当たり15グラムのタンパク質を有する製品の透明な外観を示す。吸光度は、紫外可視分光光度計を使用し600nmの波長で測定したところ、0.15未満であった;具体的には、10gタンパク質配合物は0.133の吸光度を有し、15gタンパク質配合物は0.149の吸光度を有した。
【0070】
[0079]実施例2
[0080]トリプシン様酵素でホエイタンパク質分離物を加水分解して、中性pH条件下で様々なタンパク質量及びカロリー量で熱処理することができるペプチドを作製した。本発明者らは、驚くべきことに、配合物のカロリーの総量を増加させると、同程度のタンパク質量を有する最終製品の透明度が増加したことを見出した。本発明者らはまた、驚くべきことに、カロリー量と併せてタンパク質量を増加させた場合にも、最終製品が同じ透明度を維持できたことを見出した。加えて、より大規模で作製した製品を、加水分解されたホエイタンパク質を含有する市販の高タンパク質飲料と比較して試験し、試作品をその苦味について採点した。実験用の試作品は、市販の加水分解されたホエイタンパク質飲料と比較して、苦味が著しく少ないことが判明した。
【0071】
[0081]具体的には、最終製品(
図3の表の配合物)の、総タンパク質(3通り:10g、15g、及び20g/1回分)、総カロリー(3通り:100kcal、150kcal、及び200kcal/1回分)、酵素対タンパク質比(2通り:0.2%及び0.3%)、並びに加水分解時間(3通り:60分、90分、及び120分)の、濁度及び粘度に対する作用を調査するために、合計54通りのベンチスケールの実験を実施した。1回分は、240mLとして定義される。加水分解時間中、温度は45~55℃に維持し、水酸化カリウム溶液を使用して、pHを7.0~7.5に維持した。加水分解の終わりに固形コーンシシロップ及び糖を添加し、温度を75℃に上昇させ、この温度で5分間保持した。酵素の不活性化後、最終製品を240mLのボトルに移し、ボトルを氷浴中に入れ、製品を冷却した。最後に、冷却した製品を冷蔵温度で一晩保持した。一晩保管した後、製品を室温で、600nmで濁度について試験し、スピンドル1を60rpmで使用して粘度について試験した。
【0072】
[0082]
図4は、濁度対タンパク質及びカロリーの変化についての等高線プロットを示す。この図に見られるように、最終製品の濁度はカロリー含量の増加に伴い減少した。例えば、タンパク質含量を10gに維持すると、濁度は、100kcalで0.20~0.25の範囲から200kcalで0.15未満まで減少した。更に、タンパク質含量及びカロリー含量を併せて増加させた場合、濁度は同じまま保持することができた。例えば、1回分当たり約10~12gのタンパク質含量である場合、濁度範囲は100kcalで0.20~0.25の間であり、14~17gのより高いタンパク質含量である場合、200カロリーでも同じ濁度が見られた。
【0073】
[0083]
図5は、濁度対時間及び酵素(%)についての等高線プロットを示す。この図に見られるように、酵素含量が高くなるほど、より長時間での加水分解時に濁度が低くなるのに対し、酵素含量が低くなるほど、より短時間での加水分解時に濁度が低かった。最終製品の粘度への顕著な作用は見られなかった。平均粘度は6.3cP+/-2.9であった。
【0074】
[0084]より大規模なパイロットプラントでの生産を、総カロリーを100kcalに維持した、タンパク質含量10g及び15gの2つの事例について実施した(すなわち、それぞれ上記の配合物1及び配合物2)。加水分解工程では、酵素:タンパク質比を0.3%に維持し、活性化温度は45~55℃とし、加水分解時間は90~180分間で変化させた。この工程は、直接蒸気注入を用いた超熱処理を使用して完了し、常温保存可能な製品を作製した。保持管出口における製品の温度は150℃であった。保持管での滞留時間は2.15秒とし、動作流速は400リットル/時とした。
【0075】
[0085]本明細書で説明されている現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び改変が、当業者には明らかであろう点を理解されたい。かかる変更及び改変は、本発明の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、行うことができる。それゆえ、そのような変更及び改変は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。