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  • 特許-介入弁内弁のためのステント 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】介入弁内弁のためのステント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20240403BHJP
   A61F 2/90 20130101ALI20240403BHJP
【FI】
A61F2/24
A61F2/90
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021556607
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 CN2020083086
(87)【国際公開番号】W WO2020207330
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-09-17
(31)【優先権主張番号】201910274453.6
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508007949
【氏名又は名称】北京佰仁医療科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】金 磊
(72)【発明者】
【氏名】範 志豪
(72)【発明者】
【氏名】慕 宏
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/109779(WO,A1)
【文献】特表2013-543406(JP,A)
【文献】国際公開第2012/048035(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
A61F 2/90
A61F 2/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属メッシュチューブであり、横方向に延びる4行の円周ストラットと、前記円周ストラットの間に設けられる複数列の軸方向ストラットとを有し、各行の軸方向ストラット同士は千鳥状に設けられ、ただし、下側の1行目と2行目の円周ストラットはステントの流入端を画定し、3行目と4行目の円周ストラットは前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは角度をなす複数セットのストラットの連結からなり、前記円周ストラットを構成するV字形の内角は0~90度の範囲内で変形する介入弁内弁のための前記ステントであって、前記軸方向ストラットと、それに連結する前記円周ストラットとが連結して千鳥配列されるハニカム状格子を形成し、前記ハニカム状格子が形成する開口の面積に関して、前記流入端のハニカム状格子と中間行のハニカム状格子との面積の差が10%を超えず、流出端のハニカム状格子は、他の2行のハニカム状格子よりも面積が10%~20%大きく、
前記ステントの軸方向の高さは13~25mmであり、前記ステントの内径は18~30mmであり、前記軸方向ストラット前記円周ストラットの円周方向の肉厚は0.35mm~0.65mmであり、
前記各行における複数セットの軸方向ストラットの軸方向の長さは各行毎に全て同一であり、前記流入端と中間行のハニカム状格子とは、軸方向ストラットの軸方向の長さが略同一であり、前記流出端ハニカム状格子の軸方向ストラットの軸方向の長さは、他の2行のハニカム状格子の軸方向ストラットの軸方向の長さよりも大きい
ことを特徴とする介入弁内弁のためのステント。
【請求項2】
金属メッシュチューブであり、横方向に延びる5行の円周ストラットと、前記円周ストラットの間に設けられる複数列の軸方向ストラットとを有し、各行の軸方向ストラット同士は千鳥状に設けられ、ただし、下側の1行目と2行目の円周ストラットはステントの流入端を画定し、4行目、5行目の円周ストラットは前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは角度をなす複数セットのストラットの連結からなり、前記円周ストラットを構成するV字形の内角は0~90度の範囲内で変形する介入弁内弁のための前記ステントであって、前記軸方向ストラットと、それに連結する前記円周ストラットとが連結して千鳥配列されるハニカム状格子を形成し、前記ハニカム状格子が形成する開口の面積に関して、流入端のハニカム状格子と中間行のハニカム状格子との面積の差が10%を超えず、流出端のハニカム状格子は、他の3行のハニカム状格子よりも面積が10%~20%大きく、
前記ステントの軸方向の高さは13~25mmであり、前記ステントの内径は18~30mmであり、前記軸方向ストラット前記円周ストラットの円周方向の肉厚は0.35mm~0.65mmであり、
前記各行における複数セットの軸方向ストラット軸方向の長さは各行毎に全て同一であり、前記流入端と中間行のハニカム状格子とは、軸方向ストラットの軸方向の長さが略同一であり、前記流出端のハニカム状格子の軸方向ストラットの軸方向の長さは、他の3行のハニカム状格子の軸方向ストラットの軸方向の長さよりも大きい
ことを特徴とする介入弁内弁のためのステント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の技術分野に関し、具体的には、介入弁内弁又は介入肺動脈弁のためのステントと弁尖との連結構造、当該連結構造を適用した介入弁内弁及び介入肺動脈弁に関する。
【背景技術】
【0002】
中国の経済水準の継続的な成長に伴い、心臓弁膜症の高齢患者における生体弁への置換は年々増加しており、生体弁の適用割合も先進国に近づき続けていく。2017年、AHC/ACCによって発行されたガイドラインでは、生体弁を外科的植え込む患者の年齢を50歳まで下げ、抗凝固療法が禁忌であるか、抗凝固療法が適切ではないか、又は抗凝固療法を希望しないあらゆる年齢の患者に、生体弁膜の使用を推奨する。また、近年、中国国内で経カテーテル介入生体弁の適用も年々増加している。様々な植え込み(介入)型人工生体弁は、依然として耐久性の不確実性に直面しているということを考慮すると、一部の患者に術後の生体弁の損傷又は石灰化による機能喪失が発生することは避けられない。そのため、介入弁内弁はそのような患者に再介入治療を提供する。
【0003】
大腿動脈又は経胸低侵襲介入手術により、介入型人工生体心臓弁膜を以前に植え込まれた様々な劣化した人工生体弁に置いて、元の弁膜機能を置き換えることは、首尾よく臨床的適用される。そのような臨床的適用の症例の増加に伴い、再介入された生体弁と元の機能喪失弁膜との間の弁周囲逆流が一般的な合併症の1つであることが見出された。これに対して、植え込まれた人工生体弁が機能喪失になった後に弁内弁の再介入のために用いられることが望まれる。本発明は、介入弁内弁を開発するためのステントを提供することを意図する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に鑑みて、本発明が解決しようとする技術的問題は、3行又は4行のハニカム状格子を有する介入弁内弁のためのステントを提供することであり、これにより、迅速拡張且つ同期化を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的問題を解決するために、本発明によって採用される第1種類の技術的解決手段は、次のようである。金属メッシュチューブであり、横方向に延びる4行の円周ストラットと、前記円周ストラットの間に設けられる複数列の軸方向ストラットとを有し、各行の軸方向ストラット同士は千鳥状に設けられ、ただし、下側の1行目と2行目の円周ストラットは前記ステントの流入端を画定し、3行目と4行目の円周ストラットは前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは角度をなす複数セットのストラットの連結からなり、前記各セットのストラットは、0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字形を呈する介入弁内弁のためのステントであって、前記軸方向ストラットと、それに連結する横方向ストラットとが連結して千鳥配列されるハニカム状格子を形成し、流入端のハニカム状格子と中間行のハニカム状格子とは面積が基本的に同じであり、流出端のハニカム状格子は、他の2行のハニカム状格子よりも面積がやや大きい。
【0006】
さらに、流出端のハニカム状格子は、他の2行のハニカム状格子よりも面積が10%~20%大きい。
【0007】
さらに、前記流入端のハニカム状格子と中間行のハニカム状格子との面積の差が10%を超えない。
【0008】
さらに、前記ステントの高さは13~25mmであり、前記ステントの内径は18~30mmであり、前記ステントの肉厚は0.35mm~0.65mmである。
【0009】
さらに、前記複数セットの軸方向ストラットは同一寸法であり、前記流入端と中間行のハニカム状格子とは、軸方向ストラットの寸法が近接し、前記流出端及びハニカム状格子の軸方向ストラットの寸法は、他の2行のハニカム状格子の軸方向ストラットの寸法よりもやや大きい。
【0010】
本発明によって採用される第2種類の技術的解決手段は、次のようである。金属メッシュチューブであり、横方向に延びる5行の円周ストラットと、前記円周ストラットの間に設けられる複数列の軸方向ストラットとを有し、各行の軸方向ストラット同士は千鳥状に設けられ、ただし、下側の1行目と2行目の円周ストラットは前記ステントの流入端を画定し、4行目、5行目の円周ストラットは前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは角度をなす複数セットのストラットの連結からなり、前記各セットのストラットは、0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字形を呈する介入弁内弁のためのステントであって、前記軸方向ストラットと、それに連結する横方向のストラットとが連結して千鳥配列されるハニカム状格子を形成し、流入端のハニカム状格子と中間行のハニカム状格子とは面積が基本的に同じであり、流出端のハニカム状格子は、他の3行のハニカム状格子よりも面積がやや大きい。
【0011】
さらに、流出端のハニカム状格子は、他の3行のハニカム状格子よりも面積が10%~20%大きい。
【0012】
さらに、前記流入端のハニカム状格子と中間行のハニカム状格子との面積の差が10%を超えない。
【0013】
さらに、前記ステントの高さは13~25mmであり、前記ステントの内径は18~30mmであり、前記ステントの肉厚は0.35mm~0.65mmである。
【0014】
さらに、前記複数セットの軸方向ストラットは同一寸法であり、前記流入端と中間行のハニカム状格子とは、軸方向ストラットの寸法が近接し、前記流出端及びハニカム状格子の軸方向ストラットの寸法は、他の3行のハニカム状格子の軸方向ストラットの寸法よりもやや大きい。
【発明の効果】
【0015】
本発明で達成できる有益な効果は次のとおりである。1、介入弁内弁は、より良い迅速で均一で一致する拡張特性を有し、前の機能喪失生体弁内に正確にアンカー固定しやすい。2、構造の対称性により、介入大動脈弁の機能喪失生体弁への介入に比べ、介入弁内弁によりよい密着性を付与して、弁周囲逆流の発生を回避するように、元の機能喪失弁膜との間の密接を実現する。3、当該構造は、弁尖間の連結と弁尖のステントへの固定とをより合理的で、より強固になるように設計され、当社の外科用生体弁と同様の耐久性を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】既存技術の介入弁ステントの概略構造図である。
図2】本発明の実施例による介入弁内弁のためのステントの概略構造図である。
図3】本発明の実施例による介入弁内弁のためのステントの拡張平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、具体的な実施例で具体的な実施形態を説明し、ここで説明した具体的な実施例は、本発明を解釈するためのものにすぎず、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0018】
介入弁内弁は、通常、以前に外科的に植え込まれたか又は介入された機能喪失人工生体心臓弁膜内(4種類の弁位置に移植又は介入された人工生体弁を含む)に用いられて、心臓弁膜の再介入治療が実現される。従来の介入弁内弁のステント構造は、図1に示すとおりである。
【0019】
図2及び図3に示すように、介入弁内弁のためのステント1であって、前記ステントは金属メッシュチューブであり、前記ステント1は、横方向に延びる4行の円周ストラット2、3、4、5を有し、各行の円周ストラット間に、いずれにも複数本の軸方向ストラット6、7、8が設けられ、各行の軸方向ストラット同士は千鳥状に設けられ、ただし、下側の1行目と2行目の円周ストラット2、3は、前記ステントの流入端9を画定し、3行目と4行目の円周ストラット4、5は前記ステントの流出端10を画定し、各行の円周ストラットは、角度をなす複数セットのストラットEEの連結からなり、前記各セットのストラットEEは変形可能なV字形を呈し、前記変形する角度は0~90度の範囲内にあり、前記軸方向ストラットと、それに連結する横方向のストラットとが連結して千鳥配列されるハニカム状に近似する格子を形成し、流入端のハニカム状格子11と中間行のハニカム状格子12とは面積が同じであるか、又は若干異なり、両者の面積差は10%以下であり、流出端のハニカム状格子13は、他の2行のハニカム状格子よりも面積がやや大きく、一般的に約10%~20%大きい。通常、軸方向ストラットの高さが異なることにより、異なるハニカム状格子の面積が実現される。
【0020】
場合によっては、より良い介入弁内弁を必要とする場合、ステントにハニカム状格子を1行増加してもよい。一般に、ステントの高さは13~25mmであり、前記ステントの内径は18~30mmであり、前記ステントの肉厚は0.35mm~0.65mmである。
【0021】
本実施例において、介入弁内弁の他の構造、例えば弁尖に連結する連結柱構造には既存技術と同じであるか又は類似の構造が採用されてもよい。
【0022】
最後に、以上の各実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためのものにすぎず、それを限定するものではないことに留意されたい。前述の実施例を参照しながら本発明について詳細に説明したが、当業者であれば、前述の実施例に記載の技術的解決手段を依然として修正できること、又はその特徴の一部又は全部に対して同価置換を行うことができ、該当の技術的解決手段の本質がこれらの修正や置換により本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱しないことを理解すべきである。
図1
図2
図3