(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】NFT発行システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240403BHJP
A63F 13/30 20140101ALI20240403BHJP
A63F 13/69 20140101ALI20240403BHJP
A63F 13/71 20140101ALI20240403BHJP
【FI】
G06Q50/10
A63F13/30
A63F13/69
A63F13/71
(21)【出願番号】P 2022005292
(22)【出願日】2022-01-17
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】501147635
【氏名又は名称】株式会社 ソフトウェアコントロール
(74)【代理人】
【識別番号】110004082
【氏名又は名称】弁理士法人北大阪特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100141092
【氏名又は名称】山本 英生
(72)【発明者】
【氏名】安田 隆
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-000765(JP,A)
【文献】特開2018-041426(JP,A)
【文献】特開2017-102886(JP,A)
【文献】Takeshi Hirano,話題の鉄腕アトムNFTを買ってみた,2021年12月28日,https://thebridge.jp/2021/12/i-bought-a-astroboy-NFT
【文献】Eduardo Freitas,How to Unstick Stuck Transactions in MetaMask,2021年10月12日,https://medium.com/kogecoin/how-to-unstick-stuck-transactions-in-metamask-b23228a0a429
【文献】Ethereum Stack Exchange,how to get the status of a transaction which is not mined and pending,2020年06月,https://ethereum.stackexchange.com/questions/52882/how-to-get-the-status-of-a-transaction-which-is-not-mined-and-pending
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A63F 13/30
A63F 13/69
A63F 13/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーに使用されるユーザー機器が接続され、当該ユーザー機器の使用結果に関する情報を含んだNFTをブロックチェーン上で発行するNFT発行部と、
前記使用結果に関する情報を含んだ表示データを生成して前記ユーザー機器に提供する表示データ処理部と、
前記ブロックチェーンのノードの一つであって、トランザクション情報提供インターフェースの機能を有するノード部と、
前記ブロックチェーンにおける前記NFTの承認状況を監視する承認状況監視部と、を備え、
前記承認状況監視部は、前記NFTの発行の際に生成されたトランザクションIDを、前記トランザクション情報提供インターフェースに繰り返し入力することによって、前記承認状況を監視し、
前記表示データ処理部は、前記承認状況を示す情報を前記表示データに含めることを特徴とするNFT発行システム。
【請求項2】
前記承認状況監視部は、前記NFTの承認の回数が所定値に達するまで当該回数を監視し、
前記表示データ処理部は、前記回数に応じた情報を前記表示データに含めることを特徴とする請求項1に記載のNFT発行システム。
【請求項3】
前記表示データ処理部は、
現在の前記回数を表す回数情報を前記表示データに含め、前記回数が増えるたびに、当該回数情報を更新することを特徴とする請求項2に記載のNFT発行システム。
【請求項4】
前記ユーザー機器にゲームアプリを提供し、当該ユーザー機器を操作して所定のゲームをプレイできるようにするゲームサーバー部を備え、
前記NFT発行部は、プレイされた前記ゲームの結果情報を含んだ前記NFTを発行することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のNFT発行システム。
【請求項5】
前記NFT発行部は、
プレイされた前記ゲームの成績および日時を含んだ前記NFTを発行することを特徴とする請求項4に記載のNFT発行システム。
【請求項6】
前記表示データ処理部は、
前記承認状況監視部によって1回目の前記NFTの承認が確認されるまでは、未承認であることを示す情報を前記表示データに含め、
1回目の前記NFTの承認が確認されたとき、当該情報の修正または削除を行うことを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のNFT発行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NFTを発行するNFT発行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブロックチェーン技術の利用が進んでおり、暗号資産だけでなくゲーム等への応用や開発も進んでいる。またブロックチェーンを活用したトークンとして、NFT(Non-fungible Token:非代替性トークン)の利用が広まりつつある。例えば特許文献1には、ゲーム内非代替資産をNFTとしてゲーム内とゲーム外との間で送受信することが可能なゲームシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばゲーム分野におけるNFTの利用形態の一例として、プレイされたゲームの結果情報を含むNFTを発行し、ユーザー(ゲームのプレイヤー)がこれを所有できるようにすることが考えられる。このようにすれば、ゲームの結果情報をブロックチェーンへNFTとして記録することができ、ユーザーは、ゲームの結果やゲームで遊んだ事実を客観的かつ電子的に証明することができる。なおゲームの結果情報は、ユーザーに使用される機器の使用結果に関する情報の一例と見ることができる。
【0005】
ゲームセンター等に設置されるゲーム専用機でゲームをプレイする場合、その専用機が実レシート(紙媒体)を発行する機能を有していれば、ユーザーはゲームの結果情報が印字された実レシートを得ることができるが、例えば、個々のユーザーの端末に提供されるアプリケーションによるゲームの場合、このような実レシートを得ることは難しい。しかし上記のように、ゲームの結果情報をNFTとして記録する手法を採用すれば、このような場合であっても、ユーザーは、実レシートと同様に一点物や記念品としての価値があるゲーム結果の証明手段を得ることができる。
【0006】
ところでNFTのトランザクションは、ブロックチェーンを構成するノード群上に生成された後、マイナーによってマイニングの処理が行われることになる。NFTのトランザクションは、初回のマイニングが行われる前の段階では、まだブロックに取り込まれていない状態(NFTが未承認の状態)であるが、初回のマイニングが行われるとブロックに取り込まれ、そのNFTは1回目の承認がなされた状態となる。
【0007】
その後、マイニングが行われるごとに後続のブロックが繋がっていき、その度にNFTの承認回数も増加することになる。NFTは、このようにしてブロックチェーンでの多くの承認を得るほど改竄が困難となって信頼性が向上し、これに伴い、そのNFTの価値の向上も期待される。
【0008】
しかしながらNFTの承認の状況は、マイナーによってマイニングがいつ実行されるか等により変動し、場合によっては1回目の承認がなされるまでに相当な時間がかかる可能性もある。そのためユーザー(NFTの所有者)にとって、NFTの内容と承認の状況が容易に把握できることが望ましい。
【0009】
本発明は上述した問題点に鑑み、ユーザーに使用される機器の使用結果に関する情報を含んだNFTを発行させつつ、ユーザーがNFTの内容と承認状況を容易に把握することが可能となるNFT発行システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るNFT発行システムは、ユーザーに使用されるユーザー機器が接続され、当該ユーザー機器の使用結果に関する情報を含んだNFTをブロックチェーン上で発行するNFT発行部と、前記使用結果に関する情報を含んだ表示データを生成して前記ユーザー機器に提供する表示データ処理部と、前記ブロックチェーンにおける前記NFTの承認状況を監視する承認状況監視部と、を備え、前記表示データ処理部は、前記承認状況を示す情報を前記表示データに含める構成とする。
【0011】
本構成によれば、ユーザーに使用される機器の使用結果に関する情報を含んだNFTを発行させつつ、ユーザーがNFTの承認状況を容易に把握することが可能となる。なお「NFTの承認状況」は、NFTの承認回数の状況に限られるものではなく、例えば、NFTが1回でも承認されたかどうか等の状況も含む概念である。
【0012】
上記構成としてより具体的には、前記ユーザー機器にゲームアプリを提供し、当該ユーザー機器を操作して所定のゲームをプレイできるようにするゲームサーバー部を備え、前記NFT発行部は、プレイされた前記ゲームの結果情報を含んだ前記NFTを発行する構成としても良い。更に当該構成としてより具体的には、前記NFT発行部は、プレイされた前記ゲームの成績および日時を含んだ前記NFTを発行する構成としても良い。
【0013】
また上記構成としてより具体的には、前記表示データ処理部は、前記承認状況監視部によって1回目の前記承認が確認されるまでは、未承認であることを示す情報を前記表示データに含め、1回目の前記承認が確認されたとき、当該情報の修正または削除を行う構成としても良い。
【0014】
また上記構成としてより具体的には、前記承認状況監視部は、前記承認の回数を監視し、前記表示データ処理部は、前記回数に応じた情報を前記表示データに含める構成としても良い。更に当該構成としてより具体的には、前記承認状況監視部は、前記承認の回数が所定値に達するまで当該回数を監視し、前記表示データ処理部は、現在の前記回数を表す回数情報を前記表示データに含め、前記回数が増えるたびに、当該回数情報を更新する構成としても良い。
【0015】
また上記構成としてより具体的には、前記ブロックチェーンのノードの一つであって、トランザクション情報提供インターフェースの機能を有するノード部を備え、前記承認状況監視部は、前記NFTの発行の際に生成されたトランザクションIDを、前記トランザクション情報提供インターフェースに繰り返し入力することによって、前記承認状況を監視する構成としても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るNFT発行システムによれば、ユーザーに使用される機器の使用結果に関する情報を含んだNFTを発行させつつ、ユーザーがNFTの内容と承認状況を容易に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係るゲームシステム1およびその周辺要素の概略的な構成図である。
【
図2】本実施形態に係るゲームの形態に関する説明図である。
【
図3】ゲームシステム1の主要な動作に関するフローチャートである。
【
図9】ゲーム専用機を設けた場合のゲームシステム1およびその周辺要素の概略的な構成図である。
【
図10】個別対応情報を生成するゲームシステム1およびその周辺要素の概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、各図面を参照しながら以下に説明する。
図1は、本実施形態に係るゲームシステム1(NFT発行システムの一形態)およびその周辺要素の概略的な構成を示している。本図に示すゲームシステム1の周辺要素としては、通信ネットワーク2、ブロックチェーン3、およびユーザー端末5が挙げられる。
【0019】
ゲームシステム1は、ゲーム提供者によって管理されるシステムであり、ユーザーに所定のゲームの利用環境を提供しつつ、そのゲームの結果情報を含んだNFTを発行するように構成されている。ゲームシステム1は、1個のコンピューター(例えばサーバーまたはワークステーション等)により構成されても良く、複数個のコンピューターやその他のハードウェアを繋いで構成しても良い。また、ゲームシステム1を構成する全てのハードウェアがゲーム提供者の所有物である必要はなく、当該ハードウェアの一部または全部は、例えばゲーム提供者が他人から借りたものとしても構わない。
【0020】
通信ネットワーク2は、ゲームシステム1とユーザー端末5との通信を可能とするネットワークである。通信ネットワーク2としては、インターネットを適用することが可能であるが、ゲームシステム1とユーザー端末5の通信に支障のない限り、その他のネットワークが適用されても良い。
【0021】
ブロックチェーン3は、ピアツーピア(Peer to Peer)ネットワークを形成する複数のノード31(ゲームシステム1におけるノード部31aを含む)により構成され、生成したブロックが鎖のように繋がってトランザクションの情報を保管する。ブロックチェーン3においては、NFTが発行されてそのトランザクションが生成された後、マイナーによってマイニングの処理が完了すると、そのトランザクションがブロックに取り込まれる。
【0022】
NFTのトランザクションが生成された直後の時点では、当該NFTはブロックチェーン3において未承認の状態であるが、マイニングを経て当該NFTのトランザクションがブロックに取り込まれると、そのNFTはブロックチェーン3において承認済みの状態(1回承認された状態)となる。その後、更にマイニングが実施されて後続のブロックが繋がる度に、当該NFTの承認回数が増加する。例えば、NFTが承認済み(承認回数1回)となった後に2個のブロックが繋がった時点では、そのNFTの承認回数は3回ということになる。
【0023】
一般的にブロックチェーンにおいては、承認回数が多くなるほどNFTのトランザクションの改竄が困難となって当該NFTの信頼性が向上し、その価値の向上も期待される。なおブロックチェーンやNFTに関する一般的技術は公知であるため、これらに関するその他の詳細な説明は省略する。
【0024】
ユーザー端末5は、ゲームをプレイするユーザーによって使用される通信可能な機器であり、例えば、PC或いはスマートフォン等の携帯型通信機器などが該当する。但しユーザー端末5の種類は特に限定されるものではなく、上記の例の他、例えばVRゴーグル等のウェアラブルデバイスが採用されても良い。ユーザー端末5は、各種情報を表示することができる画面を有するとともに、ユーザーの操作を受け付ける操作スイッチ或いはタッチパネル等を有する。
【0025】
ゲームシステム1は、ゲームサーバー部11、NFT発行部12、表示データ処理部13、承認状況監視部14、およびノード部31aの各機能部を有する。
【0026】
ゲームサーバー部11は、所定のゲームのアプリケーション(以下、「ゲームアプリ」と略記することがある。)を保有し、通信ネットワーク2を介してユーザー端末5にゲームアプリを提供する。これによりユーザーは、そのユーザー端末5を操作して当該ゲームをプレイすることが可能である。
【0027】
本実施形態における上記ゲームの内容は、ペアとなる二人のユーザーが協力して所定のミッションに挑戦し、制限時間内にできるだけ高得点を目指す内容となっている。より具体的に説明すると、ペアのユーザーそれぞれは自分のアバター(ゲーム上での自分を表すキャラクター)を設定することができ、
図2に例示するように、ペアのアバターは同じ仮想空間に登場する。この仮想空間には複数台の仮想ゲーム機が設置されており、ペアのユーザーはアバターを操作して所望の仮想ゲーム機を選んだ上で、協力し合って制限時間内により高得点(良い成績)が得られるように、その仮想ゲーム機から提供されるミッションに挑戦することになる。なお、いずれの仮想ゲーム機においても提供されるミッションは同等である。但し上述したゲームの具体的内容は一例に過ぎず、その他、例えばユーザーが一人でプレイするゲームであっても構わない。
【0028】
NFT発行部12は、ゲームの結果情報を含んだNFTを、ブロックチェーン3上でユーザー(ゲームのプレイヤー)に対して発行する役割を果たす。表示データ処理部13は、ゲームの結果情報を含んだ表示データである仮想レシートを生成して、ユーザー端末に提供する役割を果たす。承認状況監視部14は、ブロックチェーン3におけるNFTの承認状況を監視する役割を果たす。これらの各機能部の動作等は、後述の説明により明らかとなる。
【0029】
ノード部31aは、ブロックチェーン3におけるノード31の一つとしての役割を果たす。ノード部31aには、トランザクション情報提供インターフェースのソフトウェアがインストールされており、当該インターフェースの機能を有している。このインターフェースの機能により、トランザクションの発行時に生成されるトランザクションIDの情報があれば、このトランザクションに関する各情報(ブロックチェーン3での承認回数を含む)を得ることができる。
【0030】
一例として、イーサリアム(Ethereum、登録商標)のブロックチェーンにおけるトランザクション情報提供インターフェース「Etherscan」によれば、特定のトランザクションIDについて、ブロック番号、承認回数、およびトランザクション発行日時などの情報を得ることが可能となっている。但し本実施形態におけるブロックチェーン3は、イーサリアムのブロックチェーンに限られるものではない。
【0031】
次に、ゲームシステム1の主要な動作の流れについて、
図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0032】
ゲームシステム1は、ペアとなる二人(ユーザー)のユーザー端末5の接続を待機する(ステップS0)。このとき二人のユーザーそれぞれは、通信ネットワーク2を介して、自分のユーザー端末5をゲームシステム1に接続させることが可能である。
【0033】
ユーザー端末5の接続が確認されると(ステップS0のYes)、ゲームシステム1は、ユーザーのウォレットアドレスの入力を受け付ける(ステップS1)。この際にゲームシステム1は、ウォレットアドレスの入力を促す情報を接続されたユーザー端末5へ送信し、当該情報がユーザー端末5に表示されるようにしても良い。このとき二人のユーザーそれぞれは、ユーザー端末5を操作してゲームシステム1にウォレットアドレスを入力することが可能である。
【0034】
ウォレットアドレスは、例えば乱数に基づく秘密鍵の変換処理により生成された公開鍵に対し、特定のハッシュ関数をかけて生成されるビット列である。入力されたウォレットアドレスはNFT発行部12に保管され、後述するステップS4の処理の際に利用される。なおユーザー端末5の操作により指定されたウォレットアドレスは、今回行うゲームが終了した後に、ユーザー端末5からゲームシステム1へ送信されるようにしても良い。
【0035】
ウォレットアドレスが入力されると(ステップS1)、ゲームサーバー部11は、接続されたユーザー端末5へゲームアプリを提供する(ステップS2)。すなわちゲームサーバー部11は、ASP(Application Service Provider)の形式によってユーザーにゲームの利用環境を提供し、ユーザー端末5を所持するユーザーは、当該ユーザー端末5に表示されるゲーム画面を見ながら、その操作スイッチ或いはタッチパネル等を操作してゲームをプレイすることができる。
【0036】
ゲームアプリを提供している間、ゲームサーバー部11は、今回のゲームが終了したか否かを監視する(ステップS3)。ゲームが終了すると(ステップS3のYes)、NFT発行部12は、今回のゲームの結果情報を含んだNFTをブロックチェーン3上で発行する(ステップS4)。より具体的に説明すると、NFT発行部12は、今回プレイされたゲームの成績および日時(本実施形態の例では、今回プレイしたゲームの終了時点の日時)を含んだNFTを、ステップS1の処理の実行時に入力されたウォレットアドレス(ペアのユーザーそれぞれのウォレットアドレス)に対して発行する。なお、NFTに含める情報はこれらに限られるものではなく、例えば今回のゲームに用いたアバターの画像等の情報を含めるようにしても構わない。
【0037】
また、NFT発行部12がNFTを発行する際には、このNFTに対応するトランザクションIDが生成される。このトランザクションIDは承認状況監視部14に保管され、当該NFTの承認状況の変動を監視する際に利用される。
【0038】
またゲームが終了したとき、表示データ処理部13は、今回のゲームの結果情報を含んだ表示データである仮想レシートを生成する(ステップS5)。仮想レシートは、例えばゲーム専用機でゲームをプレイした後に発行される紙媒体のレシートに見立てた表示データであり、本実施形態では、
図4に例示する仮想レシートが生成される。仮想レシートは、ペアのユーザーそれぞれに対して別々に生成されても良く、内容が同じとなる場合は、同じゲームを共同でプレイするペアに対して一つのみが生成されるようにしても良い。
【0039】
図4に示す仮想レシートには、仮想レシートごとに固有のレシートナンバー、今回のゲームに用いたアバターの画像、今回プレイされたゲームの成績および日時、当該成績の当時のランク(今回のゲーム終了時点における成績のランク)、今回プレイした仮想ゲーム機のID、および今回プレイしたゲームのバージョンなどの各情報が含まれている。ここでの「プレイされたゲームの成績および日時」の情報は、ステップS4の処理で発行されるNFTに含まれる情報と共通である。ゲームサーバー部11は、過去に行われた当該ゲームの全てのプレイの成績を記憶しており、上記のランクは、この記憶されている全ての成績を対象としたランキングである。
【0040】
また
図4に示す仮想レシートには、ブロックチェーン3におけるNFTの承認状況を示す情報として、未承認であることを示す情報(「NFT:未承認」の表記)も含まれている。後述するようにこの情報は、NFTの承認状況に応じて変化することになる。なお仮想レシートに含める情報はこれらに限られるものではなく、その他種々の情報を含めることが可能である。
【0041】
その後、ゲームシステム1においては、表示データ処理部13がユーザー端末5からの仮想レシートの提供要求を待機するとともに(ステップS6)、承認状況監視部14がブロックチェーン3におけるNFTの承認状況の変動を監視する(ステップS7)。
【0042】
なお、特定のNFTの承認状況(現時点までに何回承認されたかの情報)は、当該NFTのトランザクションIDの情報があれば、ブロックチェーンのノードにおいて確認可能である。そのため、ステップS4の処理で生成されたトランザクションIDを保有する承認状況監視部14は、ブロックチェーン3のノードの一つであるノード部31と連携し、NFTの承認状況の変動を監視することが可能である。
【0043】
より具体的に説明すると、承認状況監視部14は、ノード部31aのトランザクション情報提供インターフェースへ、トランザクションIDを指定された周期(一例として、1秒ごとに1回の周期)で繰り返し入力する。この承認状況監視部14の動作は、予めインストールされているトランザクション情報取得ソフトウェアに基づいて行われるようにしても良い。ノード部31aは、当該入力への応答として、そのトランザクションIDで特定されるトランザクションの情報(NFTの承認回数を含む)を出力する。これにより承認状況監視部14は、NFTの承認状況を監視することが可能である。
【0044】
ゲームの終了後、ユーザーは自分のユーザー端末5において、仮想レシートを表示させるための操作を行うことが可能である。この操作がなされると、ユーザー端末5はゲームシステム1に対して仮想レシートの提供要求を行う。表示データ処理部13は、ユーザー端末5から仮想レシートの提供要求を受けると(ステップS6のYes)、そのユーザー端末5へ仮想レシートを提供する(ステップS8)。
【0045】
この提供を受けたユーザー端末5は、その仮想レシートを画面に表示させる。これによりユーザーは、現時点でゲームシステム1が保有する仮想レシートを閲覧することが可能である。提供された仮想レシートは、ユーザー端末5において画像データ等として保存可能となっていても良い。仮想レシートのユーザー端末5における表示形態としては、現実の世界においてレシートが発行される状況を模して、例えば、仮想ゲーム機から仮想レシートが排出され、これをアバターが受け取るように見せる演出がなされても良い。
【0046】
ユーザーは、ユーザー端末5において、仮想レシートを表示させるための操作を何度でも行うことが可能であり、その度にゲームシステム1内における最新の仮想レシートがユーザー端末5に表示され、これを閲覧することが可能である。これによりユーザーは、所望のタイミングで、NFTの内容(本実施形態の場合は、少なくともプレイされたゲームの成績および日時)と承認状況を、ユーザー端末5を用いて容易に把握することが可能である。なお、ユーザー端末5とゲームシステム1の接続を一旦切り離した後でも、ユーザー端末5をゲームシステム1へ再度接続して、例えばレシートナンバーを入力してユーザー端末5における仮想レシートを表示させるための操作を行うことにより、最新の仮想レシートがユーザー端末5に表示されるようにしても良い。
【0047】
一方、NFTの承認状況に変動が有ったときは(ステップS7のYes)、表示データ処理部13は、その変動を反映させるように仮想レシートの内容を更新する(ステップS9)。より具体的に説明すると、表示データ処理部13は、NFTの最初の(1回目の)承認が確認されたとき、仮想レシートの内容を
図4に例示する内容から
図5に例示する内容へ更新する。
【0048】
すなわち表示データ処理部13は、承認状況監視部14によって1回目の承認が確認されるまでは、未承認であることを示す情報を仮想レシートに含めるが、1回目の承認が確認されたとき、当該情報の修正(
図5の例では「NFT:承認済み」の表記とする修正)を行う。これにより、当該更新がなされた後のタイミングで、ユーザー端末5において仮想レシートを表示させるための操作が行われると、ユーザーは
図5に例示する仮想レシートを閲覧することになり、NFTが既に承認済みとなっていること(つまり、少なくとも1回の承認がなされていること)を知ることができる。なお
図5の例では、更にトランザクションIDの情報も仮想レシートに含めるようにしている。
【0049】
また表示データ処理部13は、
図5に例示する状態へ仮想レシートの内容を更新する代わりに、仮想レシートから「NFT:未承認」の表記を単に削除するようにしても良い。これにより、仮想レシートの表示をできるだけ簡素化しつつ、ユーザーはNFTの未承認の状態が解消されたことを知ることができる。
【0050】
また、承認状況監視部14はNFTの承認の回数を監視するようにし、表示データ処理部13は、この回数に応じた情報を仮想レシートに含めるようにしても良い。具体例として表示データ処理部13は、現在の当該回数を表す回数情報を仮想レシートに含め、当該回数が増えるたびに、この回数情報を更新するようにしても良い。この場合に表示データ処理部13は、1回目の承認がなされた後、仮想レシートの内容を例えば
図6に例示する内容とすれば良い。
図6に例示する仮想レシートには、回数情報として、承認回数が3であることを示す「承認回数:3」の表記が含まれている。このようにすれば、NFTの承認状況がより詳細に仮想レシートにおいて示され、ユーザーは、当該承認状況をより詳しく知ることが可能となる。
【0051】
なお、承認状況監視部14がNFTの承認の回数を監視する場合、承認状況監視部14は、NFTの承認の回数を無制限に監視するのではなく、当該回数が所定値(一例として10回)に達するまで監視することとし、その後は監視を行わないようにすることが好ましい。このようにすれば、NFTの信頼性が十分に高くなるまで(承認回数が所定値に達するまで)の比較的重要な期間だけ監視を行うようにし、その後は監視を行わないようにすることで、ゲームシステム1の処理負担を軽減させることが可能である。
【0052】
また、ゲームシステム1は、承認状況監視部14の監視によってNFTの承認状況の変動が確認された場合に、その旨をユーザー端末5へ自動的に通知するようにしても良い。一例として、ゲームシステム1は、NFTの1回目の承認が確認されたときに、或いは、NFTの承認の回数が増えるごとに、その旨を知らせる簡易的な表示または音声がユーザー端末5から出力されるようにしたり、その時点での最新の仮想レシートをユーザー端末5に表示させたりしても良い。これによりユーザーは、NFTの承認状況に変動があったことをいち早く知ることが可能となる。
【0053】
また表示データ処理部13は、
図6に例示するように、プレイされたゲームの成績の当時のランクに加えて、当該成績の最新のランクの情報も仮想レシートに含めるようにしても良い。この場合、表示データ処理部13は、例えば当該成績の最新のランクが変わるたびに、仮想レシートにおける当該最新のランクの表記を更新させるようにすれば良い。このようにすれば、ユーザーは、仮想レシートを閲覧するたびに、自分が当時プレイしたゲームの成績の最新のランクを知ることができる。
【0054】
更にゲームシステム1は、複数のペアのユーザーがユーザー端末5を同時期に接続することが可能であり、各ペアのユーザーが並行してゲームシステム1を利用することが可能となっている。この場合、複数のペアのアバターが同じ仮想空間に登場する形態をとるようにしても良い。この形態におけるゲームの実施状況の一例を
図7に示す。
図7に示す例では、同じ仮想空間に3組のペアX~Zのアバターが登場しており、ペアXのアバターが仮想ゲーム機Aを選んでプレイし、ペアYのアバターが仮想ゲーム機Bを選んでプレイし、ペアZのアバターが仮想ゲーム機Cを選んでプレイする様子を示している。
【0055】
また、ゲームの形態として仮想空間が複数設けられるようにしても良い。この形態におけるゲームの実施状況の一例を
図8に示す。
図8に示す例では、仮想空間Pに1組のペアXのアバターが登場しており、ペアXのアバターが仮想ゲーム機Aを選んでプレイするとともに、仮想空間Qに2組のペアY,Zが登場しており、ペアYのアバターが仮想ゲーム機Bを選んでプレイし、ペアZのアバターが仮想ゲーム機Cを選んでプレイする様子を示している。
図7や
図8に示す例において、どの仮想ゲーム機でゲームをプレイしても、およびどの仮想空間でゲームをプレイしても、そのゲームの結果情報はブロックチェーン3へNFTとして記録されることになる。
【0056】
またゲームシステム1は、
図9に示すようにゲーム専用機6が接続された形態としてもよい。ゲーム専用機6は、ゲームシステム1が提供するものと同じゲームをプレイする目的に特化したゲーム提供者が管理する機器であり、ゲームセンター等に好適に設置される。このようにすれば、ペアとなるユーザーの一方または両方が、ユーザー端末5の代わりにゲーム専用機6を使ってゲームをプレイ可能とすることもできる。この場合、ユーザー端末5だけでなくゲーム専用機6も本発明に係るユーザー機器に該当し得る。ゲーム専用機6にはレシート発行装置も併設しておき、ゲームが終了した時点で、仮想レシートと同等の内容の実レシート(紙媒体)が発行されるようにしても良い。
【0057】
以上に説明したようにゲームシステム1は、ユーザーに使用されるユーザー機器(ユーザー端末5あるいはゲーム専用機6)が接続され、当該ユーザー機器の使用結果に関する情報を含んだNFTをブロックチェーン3上で発行するNFT発行部12と、前記使用結果に関する情報を含んだ表示データ(仮想レシート)を生成して前記ユーザー機器に提供する表示データ処理部13と、ブロックチェーン3における前記NFTの承認状況を監視する承認状況監視部14と、を備え、表示データ処理部13は、前記承認状況を示す情報を前記表示データに含めるようになっている。
【0058】
そのためゲームシステム1によれば、ユーザーに使用される機器の使用結果に関する情報を含んだNFTを発行させつつ、ユーザーがNFTの内容と承認状況を容易に把握することが可能となっている。なお、本実施形態に係るゲームシステム1は、ゲームの結果情報を含んだNFTを発行する形態となっているが、本発明に係るNFT発行システムはこの形態に限られるものではなく、ユーザーに使用される様々なユーザー機器の使用結果に関する各種の情報を含んだNFTを発行する形態としても良い。
【0059】
一例として、本発明に係るNFT発行システムは、キャッシュレジスター等の決済機器であるユーザー機器(レジ担当者等に使用される機器)が接続されるようにし、当該決済機器の使用結果に関する情報(例えば、決済の金額や日時などの情報)を含んだNFTをブロックチェーン上で発行するシステムとしても良い。更に他の例として、本発明に係るNFT発行システムは、ランニングマシン等の運動器具であるユーザー機器(運動を行うユーザーに使用される機器)が接続されるようにし、当該運動器具の使用結果に関する情報(例えば、運動量や運動した日時などの情報)を含んだNFTをブロックチェーン上で発行するシステムとしても良い。
【0060】
またゲームシステム1は、1回のゲームのプレイが終了するごとに、そのゲームに個別に対応したソフトウェア等の情報(以下、便宜的に「個別対応情報」と称する。)を生成し、この個別対応情報に基づいてステップS5以降の動作(
図3を参照)を行うようにしても良い。このようにした場合のゲームシステム1およびその周辺要素の概略的な構成を、
図10に例示する。
【0061】
図10に示すゲームシステム1は、表示データ処理部13および承認状況監視部14の代わりとなる機能部として、個別対応情報処理部15を有する。個別対応情報処理部15は、1回のゲームのプレイが終了してステップS4の動作が行われた後、そのゲームに対応した個別対応情報Xを生成して記憶するとともに、この個別対応情報Xに含まれるソフトウェアを実行するコンピューターとしての役割を果たす。
【0062】
個別対応情報Xの内容を
図11に概略的に示す。本図に示すように個別対応情報Xは、表示データ処理部13の動作と同等の動作を個別対応情報処理部15に実行させる表示データ処理ソフトウェアSW1と、承認状況監視部14の動作と同等の動作を個別対応情報処理部15に実行させる承認状況監視ソフトウェアSW2を含む。また個別対応情報Xは、仮想レシートに示される各内容のデータD1(対応するゲームの結果情報等)と、ステップS4の処理の実行時に生成されるトランザクションIDのデータD2が含まれる。データD1は表示データ処理ソフトウェアSW1の実行時に適宜使用され、データD2は承認状況監視ソフトウェアSW2の実行時に適宜使用される。表示データ処理ソフトウェアSW1は、仮想レシートを描画する描画ソフトウェアを含んでも良く、承認状況監視ソフトウェアSW2は、トランザクション情報取得ソフトウェアを含んでも良い。
【0063】
図10に示すゲームシステム1において、ステップS5、S6、S8、およびS9の動作は、主に表示データ処理ソフトウェアSW1に基づいて個別対応情報処理部15によって実行され、ステップS7の動作は、主に承認状況監視ソフトウェアSW2に基づいて個別対応情報処理部15によって実行される。
【0064】
表示データ処理ソフトウェアSW1は、仮想レシートを生成する動作、ユーザー端末5からの仮想レシートの提供要求を待機し、当該要求を受けると当該ユーザー端末5へ仮想レシートを提供する動作、および、NFTの承認状況に変動が有ったときに当該変動を反映させるように仮想レシートの内容を更新する動作の各動作を、コンピューターに実行させるソフトウェアと見ることができる。また、承認状況監視ソフトウェアSW2は、ブロックチェーン3におけるNFTの承認状況の変動を監視する動作を、コンピューターに実行させるソフトウェアと見ることができる。なお、複数の個別対応情報Xが生成されていれば、これらに含まれる各ソフトウェアは並行して実行される。
【0065】
上述のようにゲームシステム1によって個別対応情報Xが生成される形態では、仮にゲームサーバーが何らかのトラブルで停止したり、ゲームの提供サービス自体が終了となったりしても、個別対応情報Xさえあれば、これに含まれるソフトウェアが実行されるようにして、ステップS5以降の動作の全部または一部を実現させることが可能である。なお、生成された個別対応情報Xは、これに対応するユーザー端末5へ適宜ダウンロードできるようにしても良い。これによりユーザーは、ダウンロードしておいた個別対応情報Xに含まれるソフトウェアを任意のコンピューターに実行させて、ステップS5以降の動作の全部または一部を実現させることが可能である。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限られず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、NFTを発行するNFT発行システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 ゲームシステム
11 ゲームサーバー部
12 NFT発行部
13 表示データ処理部
14 承認状況監視部
15 個別対応情報処理部
2 通信ネットワーク
3 ブロックチェーン
31 ノード
31a ノード部
5 ユーザー端末
6 ゲーム専用機