IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

特許7465311光電変換装置、光電変換システムおよび移動体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】光電変換装置、光電変換システムおよび移動体
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/78 20230101AFI20240403BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240403BHJP
   H04N 25/704 20230101ALI20240403BHJP
   H04N 25/705 20230101ALI20240403BHJP
   H04N 25/706 20230101ALI20240403BHJP
【FI】
H04N25/78
H04N25/70
H04N25/704
H04N25/705
H04N25/706
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022125851
(22)【出願日】2022-08-05
(65)【公開番号】P2023061885
(43)【公開日】2023-05-02
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2021171902
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀央
(72)【発明者】
【氏名】三ヶ尻 悟
(72)【発明者】
【氏名】武藤 裕之
(72)【発明者】
【氏名】中島 雄二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 大介
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-205248(JP,A)
【文献】特開2012-085309(JP,A)
【文献】特開2015-082738(JP,A)
【文献】国際公開第2016/009943(WO,A1)
【文献】特開2002-152029(JP,A)
【文献】国際公開第2017/217113(WO,A1)
【文献】特許第6315875(JP,B1)
【文献】特開2021-072520(JP,A)
【文献】特開2011-129902(JP,A)
【文献】国際公開第2012/026457(WO,A1)
【文献】特開2014-217016(JP,A)
【文献】特開2008-220479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30 - 5/33
H04N 23/11
H04N 23/20 -23/30
H04N 25/00
H04N 25/20 -25/61
H04N 25/615-25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する画素アレイと、
前記画素アレイから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部を含む信号処理部と、
前記信号処理部から出力される信号に基づいて、3以上の振幅値から選択される振幅値を有する振幅変調信号を出力する出力部と、
前記信号処理部のための第1電源電位パッドと、
前記出力部のための第2電源電位パッドと、
を備え、
前記第1電源電位パッドと前記第2電源電位パッドとが別個に設けられている、
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記複数の画素のうち2つの画素について前記信号処理部から出力される2つのデジタル信号の同一ビットの信号の値に基づいて、前記振幅変調信号を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記出力部によって駆動されるように半導体チップに配置された複数の出力パッドを更に備え、
前記複数の出力パッドは、前記半導体チップの少なくとも1つの辺に沿って配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記信号処理部のための第1接地電位パッドを更に備え、
前記第1電源電位パッドおよび前記第1接地電位パッドの少なくとも1つと、前記複数の出力パッドとが、前記少なくとも1つの辺に沿って配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの辺は、前記半導体チップの長辺である、
ことを特徴とする請求項3に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記信号処理部は、第1信号処理部グループと、第2信号処理部グループとを含み、
前記出力部は、前記第1信号処理部グループに対して設けられた第1出力部と、前記第2信号処理部グループに対して設けられた第2出力部とを含み、
前記複数の出力パッドは、前記第1出力部に対して設けられた第1出力パッドグループと、前記第2出力部に対して設けられた第2出力パッドグループとを含み、
前記第1出力パッドグループおよび第2出力パッドグループは、前記少なくとも1つの辺に沿って配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記出力部によって駆動されるように半導体チップに配置された複数の出力パッドを更に備え、
前記複数の出力パッドは、前記半導体チップの2つの対辺に沿って分散して配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記信号処理部のために、前記第1電源電位パッドを含む複数の電源電位パッド、および複数の接地電位パッドが設けられ、
前記信号処理部のための前記複数の電源電位パッドおよび前記複数の接地電位パッドの少なくとも1つと、前記複数の出力パッドの少なくとも1つとが、前記2つの対辺のそれぞれに沿って配置されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記2つの対辺は、前記半導体チップの長辺である、
ことを特徴とする請求項7に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記信号処理部は、第1信号処理部グループと、第2信号処理部グループとを含み、
前記出力部は、前記第1信号処理部グループに対して設けられた第1出力部と、前記第2信号処理部グループに対して設けられた第2出力部とを含み、
前記複数の出力パッドは、前記第1出力部に対して設けられた第1出力パッドグループと、前記第2出力部に対して設けられた第2出力パッドグループとを含み、
前記第1出力パッドグループは、前記2つの対辺の一方に沿って配置され、前記第2出力パッドグループは、前記2つの対辺の他方に沿って配置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の光電変換装置。
【請求項11】
記信号処理部ための第1接地電位パッドと、
記出力部のための第2接地電位パッドと、を更に備え、
前記第1接地電位パッドと前記第2接地電位パッドとが別個に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記信号処理部からパラレル信号が出力され、
前記出力部は、前記信号処理部から出力される前記パラレル信号をシリアル信号に変換するパラレルシリアル変換器と、前記パラレルシリアル変換器から出力される前記シリアル信号に基づいて前記振幅変調信号を生成するトランスミッタと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記出力部は、分圧比を変更可能な分圧回路を含み、前記分圧回路の前記分圧比の変更によって前記振幅変調信号を生成する、
ことを特徴とする請求項12に記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記出力部は、前記シリアル信号に基づいて、前記分圧回路を制御する信号を生成するデコーダを更に含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の光電変換装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置が出力する信号を処理する信号処理部と、
を備えることを特徴とする光電変換システム。
【請求項16】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置からの信号に基づく測距情報から、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、を有する移動体であって、
前記距離情報に基づいて前記移動体を制御する制御手段をさらに有することを特徴とする移動体。
【請求項17】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置の前記出力部から出力される画像信号を受けて処理する信号処理チップと、を備え、
前記光電変換装置および前記信号処理チップが1つの基板に搭載されていることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光電変換装置が搭載された第1基板と、
前記第1基板に搭載された前記光電変換装置の前記出力部から出力される画像信号を受けて処理する信号処理チップが搭載された第2基板と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置の前記出力部から出力される画像信号を受けて処理する複数の信号処理チップと、を備え、
前記光電変換装置および前記複数の信号処理チップが1つの基板に搭載されていることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置の前記出力部から出力される画像信号を受けて処理する前処理チップと、
前記前処理チップから出力される信号を処理する信号処理チップと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項21】
前記出力部から出力される前記振幅変調信号が有しうる振幅値の数よりも、前記前処理チップから出力される振幅変調信号が有しうる振幅値の数が少ない、
ことを特徴とする請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記信号処理部から出力される信号に基づいて信号を出力する第2出力部を更に備え、
前記出力部から出力される前記振幅変調信号が有しうる振幅値の数よりも、前記第2出力部が出力する信号が有しうる振幅値の数が少ない、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項23】
前記出力部は、
第1動作モードでは、3以上の振幅値から選択される振幅値を有する前記振幅変調信号を出力し、
第2動作モードでは、前記第1動作モードで前記出力部から出力される前記振幅変調信号が有しうる振幅値の数よりも少ない数の振幅値を有しうる振幅変調信号を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置光電変換システムおよび移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画素アレイ部、画素アレイ部を駆動する駆動部、信号処理部と、メモリ部、データ処理部、および、制御部を有する固体撮像装置が開示されている。信号処理部は、画素アレイ部から読み出される信号に対して、デジタル化(AD変換)を含む信号処理を行う。メモリ部は、信号処理部で信号処理が施された画像データを格納する。データ処理部は、メモリ部に格納された画素データを所定の順番に読み出して、チップ外に出力する処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第WO2014-007004号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、光電変換装置または発光装置等の半導体装置と他の装置とを含むシステムにおいて、半導体装置と他の装置との間での信号の転送速度がシステム全体の性能を制限しうることが問題となりつつある。
【0005】
本発明の1つの側面は、光電変換装置から他の装置への信号の転送速度を向上させるために有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの側面は、光電変換装置に係り、前記光電変換装置は、複数の画素を有する画素アレイと、前記画素アレイから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換部を含む信号処理部と、前記信号処理部から出力される信号に基づいて、3以上の振幅値から選択される振幅値を有する振幅変調信号を出力する出力部と、前記信号処理部のための第1電源電位パッドと、前記出力部のための第2電源電位パッドと、を備え、前記第1電源電位パッドと前記第2電源電位パッドとが別個に設けられている
【発明の効果】
【0009】
本発明の1つの側面によれば、光電変換装置から他の装置への信号の転送速度を向上させるために有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る光電変換装置の構成例を示す図。
図2】光電変換装置の画素の構成例を示す図。
図3】光電変換装置の出力部の構成例を示す図。
図4】出力部のトランスミッタの構成例を示す図。
図5】デコーダの動作例を示す図。
図6】トランスミッタの動作例を説明する図。
図7】トランスミッタの動作例を説明する図。
図8】トランスミッタの動作例を説明する図。
図9】トランスミッタの動作例を説明する図。
図10】トランスミッタの動作例を説明する図。
図11】光電変換装置のレイアウト例を示す図。
図12】出力部、信号処理部およびパッド群の配置例を示す図。
図13】トランスミッタの第1変形例を示す図。
図14】トランスミッタの第2変形例を示す図。
図15】トランスミッタの第3変形例を示す図。
図16】第2実施形態の発光装置の構成例を示す図。
図17】発光部の構成例を示す図。
図18】光電変換システムの構成例を示す図。
図19】光電変換システムおよび移動体の構成例を示す図。
図20】光電変換システムの動作例を示す図。
図21】光電変換装置を含むシステムの第1例を示す図。
図22】光電変換装置を含むシステムの第2例を示す図。
図23】光電変換装置を含むシステムの第3例を示す図。
図24】光電変換装置を含むシステムの第4例を示す図。
図25】光電変換装置を含むシステムの第4例に適用されうるトランスミッタ(第2出力部)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
以下、第1実施形態に係る光電変換装置PECについて説明する。光電変換装置PECは、例えば、撮像装置として構成されうるが、光電変換装置PECは、例えば、測距装置または測光装置等の他の装置として構成されてもよい。測距装置は、例えば、焦点検出装置、又は、TOF(Time Of Flight)測距装置として構成されうる。測光装置は、例えば、カメラの視野内における光強度分布を測定するように構成されうる。
【0014】
図1には、光電変換装置PECの構成が模式的に示されている。光電変換装置PECは、半導体チップの形式で構成されうる。該半導体チップは、複数の基板の積層構造を含んでもよい。光電変換装置PECは、例えば、画素アレイ20と、信号処理部SPと、行選択回路(垂直走査回路)110を備えうる。信号処理部SPは、複数の列回路CCを含みうる。画素アレイ20は、複数の画素10と、複数の垂直信号線とを含みうる。複数の画素10は、複数の行および複数の列を構成するように配置されうる。行選択回路110は、画素アレイ20において複数の画素10の配列で構成される複数の行を所定の順に選択するように構成されうる。
【0015】
図1の例では、画素アレイ20の複数の垂直信号線は、奇数列の垂直信号線30と、偶数列の垂直信号線31とを含むが、これは発明を限定することを意図したものではない。また、図1の例では、奇数列の垂直信号線30を通して出力される信号を処理する列回路(図1の複数の列回路CC)と偶数列の垂直信号線31を通して出力される信号を処理する列回路(不図示)とが互いに離隔して設けられうる。しかし、これは発明を限定することを意図したものではない。以下では、奇数列の信号を処理する列回路CCについて説明するが、偶数列の信号を処理する列回路も、奇数列の信号を処理する列回路CCと同様の構成を有しうる。
【0016】
列回路CCは、例えば、複数の垂直信号線30のうちその列回路CCに対応する垂直信号線30に電流を流す電流供給回路40を含みうる。列回路CCは、それに対応する垂直信号線30から与えられる信号の値とランプ信号生成回路50から供給されるランプ信号の値とを比較する比較器60を含んでもよい。列回路CCは、比較器60の出力の反転に応じて、カウンタ90から供給されるカウント値を保持する第1メモリ70を含んでもよい。カウンタ90は、複数の垂直信号線30に対して共通に設けられてもよいし、複数の垂直信号線30の各々に対して個別に設けられてもよい。比較器60および第1メモリ70は、垂直信号線30から与えられる信号(アナログ信号)に対応するデジタル信号を生成するAD変換器ADCを構成しうる。列回路CCは、第1メモリ70によって保持された信号(デジタル信号)を取り込む第2メモリ80を含んでもよい。信号処理部SPあるいは列回路CCは、他の回路(例えば、アナログ増幅回路、CDS回路)を含んでもよい
信号処理部SPは、複数の第2メモリ80あるいは列回路CCから供給される信号を処理する処理回路(例えば、デジタル処理回路)95を含みうる。処理回路95は、複数の列回路CCからそれぞれ出力される信号を所定の順に選択して出力する列選択回路(水平走査回路を)含んでもよい。光電変換装置PECは、処理回路95による処理によって生成された信号を出力する出力部100を備えうる。処理回路95は、複数の画素10を使って生成された画像信号を出力するように構成されてもよいし、複数の画素10を使って生成された画像信号を処理して得られる信号を出力するように構成されてもよい。
【0017】
図2には、各画素10の構成例が示されている。画素10は、少なくとも光電変換素子400を含む。光電変換素子400は、例えば、フォトダイオードでありうる。画素10はまた、フローティングディフュージョン420と、光電変換素子400で生成された電荷をフローティングディフュージョン420に転送する転送トランジスタ410とを含みうる。転送トランジスタ410のゲートは、行選択回路110によって駆動される転送制御線TXに接続されうる。転送トランジスタ410は、転送制御線TXの電圧がアクティブレベルに駆動されることによって、光電変換素子400で生成された電荷をフローティングディフュージョン420に転送しうる。フローティングディフュージョン420は、転送トランジスタ410によって光電変換素子400から転送された電荷を電圧(電位)に変換する電荷電圧変換部として機能しうる。
【0018】
画素10はまた、フローティングディフュージョン420の電圧(電位)をリセットするリセットトランジスタ455を含みうる。リセットトランジスタ455のゲートは、行選択回路110によって駆動されるリセット制御線RESに接続されうる。リセットトランジスタ455は、リセット制御線RESの電圧がアクティブレベルに駆動されることによって、フローティングディフュージョン420の電圧(電位)をリセットしうる。画素10はまた、フローティングディフュージョン420の電圧(電位)に応じた信号を垂直信号線30に出力する増幅トランジスタ430を含みうる。増幅トランジスタ430と前述の電流供給回路40とは、ソースフォロワ増幅回路を構成しうる。画素10はまた、当該画素10を選択状態または非選択状態にするための選択トランジスタ440を含んでもよい。選択トランジスタ440のゲートは、行選択回路110によって駆動される選択制御線SELに接続されうる。選択トランジスタ440は、選択制御線SELの電圧がアクティブレベルに駆動されることによって画素10を選択状態とし、選択制御線SELの電圧がインアクティブレベルに駆動されることによって画素10を非選択状態とする。
【0019】
画素10は、上記の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、画素10は、フローティングディフュージョン420の容量値を変更可能な機能、換言すると、感度を変更可能な機能を有してもよい。画素10は、複数の光電変換素子400がフローティングディフュージョン420を共用するように構成されてもよい。画素10は、そのような複数の光電変換素子400を1つのマイクロレンズに割り当てて位相差を検出可能な画素とされてもよい。
【0020】
図3には、出力部100の構成例が示されている。出力部100には、処理回路95から複数ビットで構成されるパラレル信号が供給されうる。1つのパラレル信号は、1つの画素10の信号(例えば、画素10から出力されAD変換器ADCでAD変換された後、処理回路95で処理された信号)でありうる。図3の例では、それぞれが14ビットで構成された2組のパラレル信号が処理回路95から出力部100に供給される。光電変換装置PECは、半導体チップとして構成され、出力パッド250、251を備えうる。出力パッド250、251は、半導体チップの外に設けられうる終端抵抗260によって相互に接続されうる。
【0021】
出力部100は、例えば、パラレルシリアル変換器200、201、および、トランスミッタ210を含みうる。一例において、パラレルシリアル変換器200には、処理回路95から1つの画素10の信号がパラレル信号(パラレルデータ)として、同時に、あるいは並行して供給されうる。また、パラレルシリアル変換器201には、処理回路95から他の1つの画素10の信号がパラレル信号(パラレルデータ)として、同時に、あるいは並行して供給されうる。パラレルシリアル変換器200、201の各々は、供給されたパラレル信号をシリアル信号に変換してトランスミッタ210に供給しうる。図3の例では、パラレルシリアル変換器200は、供給されたパラレル信号をシリアル信号に変換してシリアル信号in<0>としてトランスミッタ210に供給する。また、パラレルシリアル変換器201は、供給されたパラレル信号をシリアル信号に変換してシリアル信号in<1>としてトランスミッタ210に供給しうる。
【0022】
図3の例では、トランスミッタ210は、2ビット分の情報を有する振幅変調信号を1回に出力する構成を有する。換言すると、トランスミッタ210は、4つの振幅値から選択される振幅値を有する振幅変調信号を出力する構成を有する。ただし、トランスミッタ210は、3以上の任意数(例えば、4、6、8等)の振幅値から選択される振幅値を有する振幅変調信号を出力する構成を有しうる。図3の例では、トランスミッタ210は、デコーダ270と、1ビットのトランスミッタ220、221と、抵抗230、231と、スイッチS9とを含む。
【0023】
一例として、あるタイミングにおいて、シリアル信号in<0>として、1つの画素10の14ビットのパラレル信号におけるLSB値がパラレルシリアル変換器200からトランスミッタ210(デコーダ270)に供給される。また、それと同時に、シリアル信号in<1>として、他の1つの画素10の14ビットのパラレル信号におけるLSB値がパラレルシリアル変換器201からトランスミッタ210(デコーダ270)に供給される。トランスミッタ210は、該2つの入力に応じて4つの振幅から選択される振幅値を有する振幅変調信号を出力パッド250、251間(終端抵抗260の両端間)に差動出力電圧outとして出力する。つまり、トランスミッタ210が出力パッド250、251間(終端抵抗260の両端間)に出力する振幅変調信号あるいは差動出力電圧outは、2つのシリアル信号in<1>、in<0>の値に応じて、4通りの振幅値をとりうる。このようにして、出力部100は、出力パッド250、251から一度に2ビット分の情報を有する信号を出力する。
【0024】
これにより、光電変換装置PECから他の装置への信号の転送速度を向上させることができる。また、他の観点において、光電変換装置PECによれば、画素アレイ20の信号の出力のために要する出力パッドの増加を抑えつつ光電変換装置PECから他の装置への信号の転送速度を向上させることができる。これは、画素アレイ20、比較器60(AD変換器)、第1メモリ70、第2メモリ80等のための電源電位パッドおよび接地電位パッドの個数を増加させ、画質の劣化を抑制するために有用である。
【0025】
図4には、トランスミッタ210を構成する1ビットのトランスミッタ220、221の構成例が示されている。1ビットのトランスミッタ220は、例えば、抵抗300、スイッチS1、S2、S5、S6、および、抵抗350を含みうる。同様に、1ビットのトランスミッタ221は、例えば、抵抗301、スイッチS3、S4、S7、S8、および、抵抗351を有する。図4の例では、1ビットのトランスミッタ220の抵抗300、350が50Ωであり、1ビットのトランスミッタ221の抵抗301、351が100Ωであり、互いに異なる値となっている。トランスミッタ210は、更に、抵抗230、231およびスイッチS9を有する。
【0026】
図5には、デコーダ270の動作が例示されている。デコーダ270は、シリアル信号in<1>、i<0>をそれぞれ受信する入力端子と、スイッチ制御信号SC1~SC9をそれぞれ出力する出力端子とを有しうる。スイッチ制御信号SC1~SC9は、それぞれスイッチS1~S9に供給される。この例では、スイッチ制御信号SC1~SC9の値が1であるときに、スイッチS1~S9がオン状態(導通状態)となり、スイッチ制御信号SC1~SC9の値が0であるときに、スイッチS1~S9がオフ状態(非導通状態)となる。
【0027】
図6には、シリアル信号in<1>、in<0>が0、0である場合のトランスミッタ210内のスイッチS1~S9の動作状態が示されている。図6に示すように、スイッチS2、S4、S5、S7がオン状態となり、他のスイッチS1、S3、S6、S8、S9がオフ状態となっている。スイッチS2、S4がオン状態となることにより、電源電位と出力パッド250との間には抵抗300、301が並列で接続され、それらの合成抵抗は約33Ωとなる。また、スイッチS5、S7がオン状態となることにより、接地電位と出力パッド251との間には抵抗350、351が並列で接続され、それらの合成抵抗は約33Ωとなる。例えば、電源電位が0.5Vであった場合、出力パッド250の電位は400mV、出力パッド251の電位は100mVとなり、差動出力電圧outは-300mVとなる。
【0028】
図7には、シリアル信号in<1>、in<0>が1、1である場合のトランスミッタ210内のスイッチS1~S9の動作状態が示されている。図7に示すように、スイッチS1、S3、S6、S8がオン状態となり、他のスイッチS2、S4、S5、S7がオフ状態となっている。スイッチS1、S3がオン状態となることにより、電源伝にと出力パッド251との間には抵抗300、301が並列で接続され、それらの合成抵抗は約33Ωとなる。また、スイッチS6、S8がオン状態となることにより、接地電位と出力パッド250との間には抵抗350、351が並列で接続され、それらの合成抵抗は約33Ωとなる。例えば、電源電位が0.5Vであった場合、出力パッド251の電位は400mV、出力パッド250の電位は100mVとなり、差動出力電圧outは+300mVとなる。
【0029】
図8には、シリアル信号in<1>、in<0>が0、1である場合のトランスミッタ210内のスイッチS1~S9の動作状態が示されている。図8に示すように、スイッチS4、S7、S9がオン状態となり、他のスイッチS1、S2、S3、S5、S6、S8がオフ状態となっている。スイッチS4がオン状態となることにより、電源電位と出力パッド250との間には抵抗301が接続され、その抵抗は100Ωとなる。また、スイッチS7がオン状態となることにより、接地電位と出力パッド251との間には抵抗351が接続され、その抵抗は100Ωとなる。また、スイッチS9がオン状態となることにより、出力パッド250と出力パッド251との間には、終端抵抗260に加えて抵抗230、231が接続され、それらの合成抵抗は50Ωとなる。よって、例えば、電源電位が0.5Vであった場合、出力パッド250の電位は300mV、出力パッド251の電位は200mVとなり、差動出力電圧outは-100mVとなる。
【0030】
図9には、図3のin<1>、in<0>が1、0である場合のトランスミッタ210内のスイッチS1~S9の動作状態が示されている。図9に示すように、スイッチS3、S8、S9がオン状態となり、他のスイッチS1、S2、S4、S5、S6、S7がオフ状態となっている。スイッチS3がオン状態となることにより、電源電位と出力パッド251との間には抵抗301が接続され、その抵抗は100Ωとなる。また、スイッチS8がオン状態となることにより、接地電位と出力パッド250との間には抵抗351が接続され、その抵抗は100Ωとなる。また、スイッチS9がオン状態となることにより、出力パッド250と出力パッド251との間には、終端抵抗260に加えて抵抗230、231が接続され、それらの合成抵抗は50Ωとなる。よって、例えば、電源電位が0.5Vであった場合、出力パッド251の電位は300mV、出力パッド250の電位は200mVとなり、差動出力電圧outは+100mVとなる。
【0031】
以上より、図4に示された例では、出力部100は、分圧比を変更可能な分圧回路を含み、該分圧回路の該分圧比の変更によって出力部100の出力信号、即ち、振幅変調信号が生成される。該分圧比は、シリアル信号in<1>、in<0>に基づいてスイッチ制御信号SC1~SC9を生成するデコーダ270によって制御される。
【0032】
図10には、シリアル信号in<1>、in<0>の4通りの入力値に対応する出力部100の差動出力信号outの4つの振幅値が示されている。図4図10を参照して説明された例では、出力部100あるいはトランスミッタ210は、4つの振幅値から選択される振幅値を有する振幅変調信号を出力する。
【0033】
なお、図3の例では、画素10の信号が14ビットであるが、これは例示に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。画素10の信号は、例えば、10、12、16ビット等のように任意のビット数に量子化されうる。
【0034】
また、図3の例では、ある1つの画素10のデジタル信号のあるビット(例えばLSB)の値と、他の1つの画素10のデジタル信号の同一ビット(例えばLSB)の値が同時にトランスミッタ210に供給される。この場合、例えば、1つの画素10のデジタル信号のLSB値と他の1つの画素10のデジタル信号のLSB値とによって振幅変調された振幅変調信号が出力部100から出力される。そして、次に、2画素の第2ビットの値によって振幅変調された振幅変調信号が出力部100から出力される。以降は、3ビット目以降の各ビットの値によって振幅変調された振幅変調信号が出力部100から順次に出力され、最後に、2画素のそれぞれのデジタル信号のMSB値に振幅変調された振幅変調信号が出力部100から出力される。
【0035】
このような構成は、光電変換装置PECの出力部100から出力された振幅変調信号を受信する外部装置(例えば、プロセッサ)の信号処理部の構成を、2値出力を受信する構成と共通化しやすいというメリットがある。具体的には、2値出力の場合は、1つの画素のデジタル信号のLSB、第2ビット、・・・、MSBの順に信号を出力するものとすると、4値出力の場合に2画素分のLSB、第2ビット、・・・、MSBの順に信号を出力すればよい。よって、最初に2画素分の信号を分離(デコード)した後は、2値出力の場合と全く同じ信号処理を行うことができる。ただし、例えば、同一画素のLSB値とMSB値を同時に出力する構成などのように他の構成が採用されてもよい。
【0036】
上記の説明における抵抗300、301、350、351、230、231の抵抗値は一例に過ぎない。これらの抵抗値は、出力信号の振幅および出力抵抗を調整するために調整されうる。例えば、抵抗300、350を50Ωより大きい60Ωや70Ωとしても構わない。この時、出力信号の振幅は、図10の±300mVから絶対値が小さい方向に調整されることになる。
【0037】
図11(a)、図11(b)には、光電変換装置PECのレイアウトが例示されている。ここで、図11(a)には画素基板600が模式的に示され、図11(b)には回路基板610が模式的に示されている。光電変換装置PECは、画素基板600と回路基板610とを積層した構造を含む半導体チップSCPとして構成されうる。画素基板600には画素アレイ20が配置される。回路基板610には、信号処理部620、621が配置されうる。回路基板610の左半分の領域(信号処理部620)と右半分の領域(信号処理回路621)とは、共通のマスクセットを用いて2回に分けて基板を露光することによって製造されうる。この場合、信号処理部620、621は略同一の構成となる。ただし、上層メタルのみ一括露光とすることで、信号処理部620、621内の結線状態を互いに異ならせることができる。
【0038】
回路基板610は、行選択回路(垂直走査回路)630~633を有しうる。行選択回路(垂直走査回路)630~633は、前述の行選択回路110を構成しうる。また、回路基板610は、複数の信号処理部650a~650dを有しうる。複数の信号処理部650a~650dは、前述の信号処理部SPを構成する。複数の信号処理部650a~650dは、同一の構成を有しうる。複数の信号処理部650a~650dの各々は、前述の複数の列回路CCを含みうる。回路基板610は、複数の出力部100a~100bを含みうる。複数の出力部100a~100bは、前述の出力部100と同様の構成を有しうる。画素アレイ20の複数の行のうち行選択回路630~633によって選択される行の画素10の信号は、不図示の基板間接合を介して、回路基板610の複数の信号処理部650a~650dによって読み出されうる。図11の例では、複数の出力部100a~100dは、4つの領域に分散して配置されている。これにより、更に、画素アレイ20および複数の信号処理部650a~650dにおいて電源電位ラインおよび接地電位ラインの抵抗が局所的に増加することを抑制し、局所的なシェーディングおよびクロストーク等による画質劣の化を抑制することができる。
【0039】
図12には、出力部100(100は100a~100dを代表する)と、信号処理部650(650は650a~650dを代表する)と、それらに接続されるパッド群PG(PGはPGa~PGdを代表する)の配置が例示されている。パッド群PGは、画素アレイ20(画素10)のための電源電位パッド500、510、画素アレイ20(画素10)のための接地電位パッド501、511を含みうる。電源電位パッド500、510および接地電位パッド501、511は、不図示の基板間接合を介して画素アレイ20の電源電位ラインおよび接地電位ラインにそれぞれ電気的に接続される。パッド群PGはまた、信号処理部650のための電源電位パッド502、512、および、信号処理部650のための接地電位パッド503、513を含みうる。この例では、信号処理部650の電源電位ラインおよび接地電位ラインが1種類であるが、2種類以上の電源電位ラインおよび接地電位ラインが設けられてもよい。これにより、例えば、電流供給回路40、比較器60および第1メモリ70に対して、互いに異なる電源電位ラインおよび接地電位ラインが割り当てられてもよい。
【0040】
パッド群PGはまた、出力部100のための電源電位パッド504、出力部100のための接地電位パッド505を含みうる。パッド群PGはまた、一対の出力パッド506、507、および、他の一対の出力パッド508、509を含みうる。この例のように出力部100に対して2対の出力パッドが設けられる場合、出力部100内に2つのトランスミッタ210が設けられる。出力部100a~100bの各々が2つのトランスミッタ210を有する場合、合計で8対の出力パッドが設けられる。なお、これは例示に過ぎず、例えば、12対、16対、20対のように任意の数の出力パッドが設けられうる。
【0041】
図11図12の例では、出力部100a~100bによって駆動されるように半導体チップに配置された複数の出力パッド500~512を備え、複数の出力パッド500~512は、半導体チップの少なくとも1つの辺に沿って配置されている。また、信号処理部650a~650dのための電源電位パッド502、512および接地電位パッド503、513の少なくとも1つと、複数の出力パッド506、507、508、509とが、半導体チップの少なくとも1つの辺に沿って配置されている。ここで、少なくとも1つの辺は、半導体チップの長辺でありうる。
【0042】
図11図12の例では、信号処理部650a~650bは、第1信号処理部グループを構成する信号処理部(例えば、信号処理部650a)と、第2信号処理部グループを構成する信号処理部(例えば、信号処理部650d)とを含む。また、出力部100a~100dは、第1信号処理部グループに対して設けられた第1出力部(例えば、出力部100a)と、第2信号処理部グループに対して設けられた第2出力部(例えば、出力部100d)とを含む。半導体チップSCPに設けられた複数の出力パッドは、第1出力部に対して設けられた第1出力パッドグループ(例えば、PGa)と、第2出力部に対して設けられた第2出力パッドグループ(例えば、PGd)とを含む。第1出力パッドグループおよび第2出力パッドグループは、半導体チップSCPの少なくとも1つの辺に沿って配置されている。
【0043】
図11図12の例では、出力部100a、100dのためのパッド群PGa、PGd(複数の出力パッド)と、出力部100b、100cのためのパッド群PGb、PGc(複数の出力パッド)とは、半導体チップの2つの対辺に沿って分散して配置されている。信号処理部650a、650dのための電源電位パッド502、512および接地電位パッド503、513の少なくとも1つと、複数の出力パッド506、507、508、509とは、半導体チップの2つの対辺のうちの1つの辺に沿って配置されている。信号処理部650c、650bのための電源電位パッド502、512および接地電位パッド503、513の少なくとも1つと、複数の出力パッド506、507、508、509とは、半導体チップの2つの対辺のうちの他の1つの辺に沿って配置されている。ここで、これらの2つの対辺は、半導体チップの長辺でありうる。
【0044】
図11図12の例では、信号処理部650a~650dは、第1信号処理部グループを構成する信号処理部(例えば、信号処理部650a)と、第2信号処理部グループを構成する信号処理部(例えば、信号処理部650b)とを含む。また、出力部100a~100dは、第1信号処理部グループに対して設けられた第1出力部(例えば、出力部100a)と、第2信号処理部グループに対して設けられた第2出力部(例えば、出力部100b)とを含む。半導体チップSCPに設けられた複数の出力パッドは、第1出力部に対して設けられた第1出力パッドグループ(例えば、PGa)と、第2出力回路グループに対して設けられた第2出力パッドグループ(例えば、PGb)とを含む。第1出力パッドグループは、半導体チップの2つの対辺の一方に沿って配置され、第2出力パッドグループは、該2つの対辺の他方に沿って配置されている。
【0045】
図11図12の例では、画素アレイ20および信号処理部650a~650dの少なくとも一方のための電源電位パッド502、512および接地電位パッド503、513が設けられている。また、図11図12の例では、出力部100~103のための電源電位パッド504および接地電位パッド505が設けられている。電源電位パッド504は、電源電位パッド502、512とは独立して設けられうる。接地電位パッド505は、接地電位パッド503、513とは独立して設けられうる。
【0046】
第1実施形態では、4値の振幅値を出力することが可能な出力部100~103を備えることによって出力パッドの総数を減らすことに加えて、出力部100~103を複数の領域に分散して配置することにより、1つの領域当たりの出力パッド数を減らしている。例えば、分散しない場合は1つの領域に8対の出力パッドを設けることになるが、図12の例では、1つの領域当たりの出力パッド506~509を2対に減らすことができる。これにより、画素アレイ20および信号処理部(例えば、AD変換部)650a~650dのための電源電位パッドおよび接地電位パッドを配置できない領域を縮小することができる。これは、画素アレイ20および信号処理部650a~650dにおいて、局所的に電源電位ラインまたは接地電位ラインの抵抗が増加することを抑制し、局所的なシェーディングおよびクロストーク等による画質の劣化を抑制するために有利である。
【0047】
また、第1実施形態では、出力部100のための電源電位パッドおよび接地電位パッド、および、信号処理部650のための電源電位パッドおよび接地電位パッドが別個に配置されている。図6図9を参照して説明したように、図6図7の動作状態では電源電位と接地電位との間の抵抗は166Ω、図8図9の動作状態では電源電位と接地電位との間の抵抗が250Ωとなる。つまり、シリアル信号in<1>、in<0>の組み合わせに応じて消費電流が変化する。図11の例では、信号処理部650のための電源電位パッドおよび接地電位パッドが別個に配置されているので、出力部100の電流変動によって信号処理部650の電源電位および接地電位が変動することによる画質の劣化が抑制される。
【0048】
図13には、第1実施形態の光電変換装置PECにおけるトランスミッタ210の第1変形例が記載されている。第1変形例では、トランスミッタ210は、上記の構成に加えて、電源電位ラインと接地電位ラインとの間に直列に配置されたスイッチ360、380及び抵抗370を含みうる。図6図7に示される動作状態、即ち、in<1>=0、in<0>=0またはin<1>=1、in<0>=1のときは、スイッチ360、380はオフ状態とされる。一方、図8図9の動作状態、即ち、in<1>=0、in<0>=1またはin<1>=1、in<0>=0のときは、スイッチ360、380はオン状態とされる。これにより、シリアル信号in<1>、in<0>の値の込み合わせの変化に応じたトランスミッタ210の消費電流の変化が抑制される。したがって、トランスミッタ210の電源電位および接地電位の変動を抑制し、トランスミッタ210を安定して動作させることができる。トランスミッタ210の消費電流の変化が信号処理部650に与える影響を低減し、画質の低下が抑制されうる。
【0049】
図14には、第1実施形態の光電変換装置PECにおけるトランスミッタ210の第2変形例が記載されている。第2変形例では、第1実施形態のトランスミッタ210における抵抗300、301、350、351が電流源700、701、710、711で置き換えられている。この構成により、シリアル信号in<1>、in<0>の値の込み合わせの変化に応じたトランスミッタ210の消費電流の変化が抑制される。ただし、電流源を用いる際には、電流源の両端電圧を一定以上に保つ必要があるため、低電圧化、低電力化の観点では図13の構成が好ましい。
【0050】
図15には、第1実施形態の光電変換装置PECにおけるトランスミッタ210の第3変形例が記載されている。第3変形例では、出力部100a、100bが半導体チップの短辺に沿って配置されて、パッド群PGa、PGbも半導体チップの短辺に沿って配置されている。図11に示された例では、出力部100a~100dが半導体チップの長辺に沿って配置されていて、これにより、画素アレイ20内の複数の画素10の特性が長辺方向に変化することが抑制される。また、図11に示された例では、信号処理部650a~650dの各々を構成する複数の電流供給回路40および複数の比較器60の特性が長辺方向に変化することが抑制される。一方、図15に例示された第3変形例では、画素アレイ20内の複数の画素10の特性が短辺方向に変化することが抑制され、また、行選択回路630、633の特性が短辺方向に変化することが抑制される。
【0051】
以下、更に他の変形例を説明する。上記の例では、各画素列に1つの第1垂直信号線が割り当てられているが、各画素例に対して複数の第1垂直信号線を割り当てて、複数の行の画素の信号を同時に読み出せる構成が採用されてもよい。比較器60は、オートゼロ動作用の容量やスイッチを有する構成でもよい。
【0052】
光電変換装置PECは、3枚以上の基板を積層して構成されてもよいし、1枚の基板によって構成されてもよい。また、光電変換装置PECは、表面照射型でもよいし、裏面照射型でもよい。
【0053】
光電変換装置は、図21に例示されるように、信号処理チップと同一のプリント基板上に実装されて、これによりシステムが構成されてもよい。図21に示された例において、光電変換装置PECは、信号処理チップ1010とともに、プリント基板1020に搭載されている。光電変換装置PECのトランスミッタ210から出力パッド250、251を介して出力される画像信号は、プリント基板1020中の内層配線を介して信号処理チップ1010に伝送され、信号処理チップ1010によって処理されうる。本実施形態においては、トランスミッタ210が4つの振幅値をとりうる構成を有することにより、伝送線路の数を削減することができる。これは、例えば、プリント基板1020の小型化、および、信号伝送に伴う放射ノイズの削減に有利である。
【0054】
伝送線路の特性インピーダンスは、トランスミッタ210の出力インピーダンスと極力一致していることが望ましい。図6の大振幅の出力状態の場合において、出力パッド251からトランスミッタ210を見た場合、抵抗350と抵抗351とが出力パッド251と接地電位との間に並列に接続されるため、合成抵抗は約33Ωとなる。出力パッド250からトランスミッタ210を見た場合も、同様に、抵抗300と抵抗301が並列接続となり、合成抵抗は約33Ωとなる。このように大振幅出力の状態においてはトランスミッタ210の出力インピーダンスは約33Ωとなる。
【0055】
一方、図8の小振幅の出力状態の場合、出力パッド250からトランスミッタ210を見た場合、出力パッド250と電源電位との間に抵抗301が接続されており、出力パッド250と接地電位との間には抵抗230、231、351が直列に接続される。これは、抵抗301の100Ωと抵抗230、231、351の合計である200Ωの並列抵抗となり、合成抵抗は約66Ωとなる。出力パッド251からトランスミッタ210を見た場合も同様に合成抵抗は約66Ωとなる。
【0056】
よって、プリント基板1020の伝送線路のインピーダンスを33~66Ωの間とすることが望ましい。すなわち、プリント基板1020の伝送線路のインピーダンスをトランスミッタ210の大振幅の出力状態の際の出力抵抗と小振幅の出力状態の際の出力抵抗の間とするのが望ましい。一例としては、該インピーダンスは、33Ωと66Ωとのちょうど中間である48Ωとされうる。つまり、当該例では、トランスミッタ210の出力抵抗が33Ωないし66Ωであり、内層配線のインピーダンスが48Ωである。トランスミッタ210の出力抵抗は、抵抗素子の抵抗値を調整することにより調整可能であり、例えば、大振幅の際に40Ωで、小振幅の際に60Ωというように調整されうる。それにあわせて、伝送線路のインピーダンスは、それらの中間値である50Ωに調整されうる。
【0057】
光電変換装置PECに複数のトランスミッタ210および複数組の出力パッド250、251を設け、プリント基板1020に複数組の伝送線路を設けてもよい。
【0058】
光電変換装置PECは、図22に例示されるように、信号処理チップが搭載されたプリント基板とは別のプリント基板に搭載されてもよい。図22に示された例において、光電変換装置PECがセンサ用プリント基板1030に搭載され、信号処理チップ1010が信号処理用プリント基板1050に搭載されている。センサ用プリント基板1030と信号処理用プリント基板1050とは、フレキシブル基板(フレキ)1040によって接続され、これによってシステムが構成されうる。光電変換装置PECのトランスミッタ210から出力パッド250、251を介して出力される画像信号は、センサ用プリント基板1030中の伝送線路、フレキ1040、信号処理チップ用プリント基板1050中の伝送線路を介して信号処理チップ1010に伝送される。本実施形態においては、トランスミッタ210が4つの振幅値をとりうる構成を有することにより、伝送線路の数に加え、フレキ1040に含まれる配線の数も削減することができる。これは、フレキの小型化、および、フレキ中の信号伝送に伴う放射ノイズの削減に有利である。フレキ1040は接続部の一例に過ぎず、代わりに例えば同軸ケーブル等を用いても構わない。
【0059】
光電変換装置PECは、図23に例示されるように、複数の信号処理チップへ画像信号を出力してもよい。図23に示された例において、光電変換装置PECは、信号処理チップ1010、1011とともに、プリント基板1020に搭載されて、これによってシステムが構成されうる。複数の信号処理チップ1010、1011で並行して処理を行うことにより、高速に信号処理を行うことができる。
【0060】
他のシステムにおいて、光電変換装置PECは、前処理チップへ画像信号を出力し、前処理チップから信号処理チップへ画像信号を出力してもよい。そのような構成において、前処理チップから信号処理チップへの信号の伝送は、2つのみの振幅値による伝送であってもよいし、3以上の振幅値による伝送であってもよい。図24、25に一例を示す。図24において、前処理チップ1060および信号処理チップ1010が信号処理用プリント基板1050に搭載されている。センサ用プリント基板1030と信号処理用プリント基板1050とは、フレキシブル基板1040によって接続されうる。前処理チップ1060は、光電変換装置PECからフレキシブル基板1040を介して伝送された画像信号を受けた後に、信号処理チップ1010へと画像信号を出力する。前処理チップ1060は、信号処理チップ1010へと画像信号を出力するために、例えば、図25に例示されるような、2つの振幅値による伝送を行うトランスミッタ(第2出力部)を有しうる。図25に例示されたトランスミッタは、抵抗1100、1150、スイッチ1110、1120、1130、1140、出力パッド1160、1170を含みうる。信号処理チップ1010は、出力パッド1160、1170を接続する抵抗1180を含みうる。スイッチ1120、1130をオン、スイッチ1110、1140をオフとした場合に正の出力振幅が得られ、スイッチ1120、1130をオフ、スイッチ1110、1140をオンとした場合に負の出力振幅が得られる。つまり、図25に例示されたトランスミッタは、2つの振幅値による伝送を行う構成を有する。このように、光電変換装置PECから前処理チップ1060への信号伝送を3以上の振幅値、前処理チップ1060から信号処理チップ1010への信号伝送を2つのみの振幅値で行う構成をとることにより、以下に述べるようなメリットがある。まず、上述のように、フレキシブル基板の小型化や、フレキシブル基板中の信号伝送に伴う放射ノイズの削減が可能である。加えて、信号処理チップ1010への信号出力を2つのみの振幅値で行うことにより、信号処理チップ1010の選定をより幅広いチップ群の中から選定することができる。前処理チップ1060において、データの並び変え等の処理を行ってもよい。これも、信号処理チップ1010の選定をより幅広いチップ群の中から行うことができる。前処理チップ1060は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されうる。
【0061】
光電変換装置PECは、3以上の振幅値から選択される振幅値を出力するトランスミッタに加えて、それよりも少ない数の振幅値をとりうるトランスミッタ(第2出力部)を有してもよい。光電変換装置PECは、例えば、図25に例示されるような2つの振幅値をとりうるトランスミッタも有しうる。そして、例えば、そのトランスミッタから光電変換装置PECの動作の基準となっているクロックが出力されてもよい。画像データに加えて、クロックを光電変換装置PECから信号処理チップ1010へ伝送することにより、信号処理チップ1010は、画像データの基準となっているタイミングを知ることができるため、データの取得が容易となる。また、クロックの出力に図25に例示されるトランスミッタを用いることにより、図3図8で説明したトランスミッタを用いるよりも、素子数や消費電力を低減することが可能となる。
【0062】
また、光電変換装置PECは、3以上の振幅値から選択される振幅値を出力するトランスミッタをそれよりも少ない数の振幅値をとりうる動作モードで動作させても構わない。例えば、図3図8では、4つの振幅値をとりうるトランスミッタを例にとって説明したが、図3において、パラレルシリアル変換器200と1ビットのトランスミッタ220を常時、非動作状態とし、パラレルシリアル変換器201と1ビットのトランスミッタ221を用いて2つの振幅値をとりうる出力動作を行ってもよい。これにより、例えば、出力するデータのレートが低いモードでは、動作時の電力を低減させることができる。
【0063】
図16には、第2実施形態の発光装置IEAの構成が模式的に示されている。発光装置IEAは、例えば、表示装置、照明装置または光源として構成されうる。図16に示された例では、発光装置IEAは、表示装置として構成されている。発光装置IEAは、受信部960と、変換部950と、発光部アレイ(画素アレイ)910とを備えうる。受信部960は、3以上(例えば、4、6、8・・・)の振幅値から選択される振幅値を有する振幅変調信号を受信しうる。変換部950は、受信部960が受信した振幅変調信号をデジタル信号(2値信号)に変換しうる。これは、外部装置から発光装置IEAへの信号の転送を広角化するために有利である。
【0064】
発光部アレイ910は、変換部950によって変換されたデジタル信号に基づいてそれぞれ発光が制御される複数の発光部(画素)911を有しうる。発光部アレイ910の複数の発光部911は、複数行および複数列を構成するように配列されうる。
【0065】
発光装置IEAは、その他、垂直走査回路920、制御回路930、信号出力部940を備えうる。垂直走査回路920は、発光部アレイ910の複数の行を所定の順で選択するように構成されうる。この選択は、複数の行に設けられた複数の走査線921をアクティブレベルにすることによってなされうる。制御回路930は、垂直走査回路920、制御回路930、信号出力部940、変換部950および受信部960を制御しうる。信号出力部940は、列ドライバ回路941、列DAC回路942および水平走査回路943を含みうる。列DAC回路942は、複数の列DAC(DA変換器)を含み、それぞれ、変換部950から供給されるデジタル信号を水平走査回路943からの制御信号に従って取り込んでアナログ信号に変換する。列ドライバ回路941は、複数の列DACに対応する複数の列ドライバを含み、各列トライバは、対応する列DACから供給されるアナログ信号に従って列信号線912を駆動し、垂直走査回路920によって選択された行の発光部911に提供する。
【0066】
図17には、発光部(画素)911の構成例が示されている。発光部911は、発光素子(例えば、有機発光素子)971、駆動トランジスタ972、書き込みトランジスタ9783、発光制御トランジスタ974、第1容量素子975及び第2容量素子976を含みうる。なお、トランジスタおよび容量素子の総数や、トランジスタの導電型の組み合わせには、一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。以下において、素子Aと素子Bとの間にトランジスタが接続されるという説明、素子Aと素子Bの一方にトランジスタのソースまたはドレインの一方が接続され、素子Aと素子Bの他方にトランジスタのソースまたはドレインの他方が接続された形態を意味しうる。
【0067】
駆動トランジスタ972のソース及びドレインの一方は、発光素子971の第1電極に接続されうる。第1電極は、例えばアノードである。発光素子971の第2電極は、第1電源電位977(以下、Vss)に接続されうる。第2電極は、例えばカソードである。書き込みトランジスタ973のソース及びドレインの一方は、駆動トランジスタ972のゲートに接続され、書き込みトランジスタ973のソース及びドレインの他方は、列信号線912に接続されうる。書き込みトランジスタ973のゲートは、第1走査線921aに接続されうる。また、発光制御トランジスタ974のソース及びドレインの一方は駆動トランジスタ972のソース及びドレインの他方に接続されうる。発光制御トランジスタ974の他方は、第2電源電位977(以下、Vdd)に接続されうる。発光制御トランジスタ974のゲートは、第2走査線921bに接続されうる。
【0068】
なお、図2の例では、P型トランジスタにより発光部911が構成され、駆動トランジスタ972のドレインが発光素子971のアノードに接続され、発光制御トランジスタ974のドレインが駆動トランジスタ972のソースに接続されている。また、発光素子971のカソードはVssに接続されている。
【0069】
ここで、いずれのトランジスタにおいても、バックゲートにはVdd978が与えられている。第1容量素子205は、駆動トランジスタ972ゲートとソースとの間に接続されうる。第2容量素子206は、駆動トランジスタ972のソースとVdd978との間に接続されうる。
【0070】
駆動トランジスタ972は、Vdd978から発光制御トランジスタ974を介して発光素子971に電流を供給し、発光素子971を発光させる。より具体的には、駆動トランジスタ972は、第1容量素子975に保持された信号電圧に応じた電流をVdd978から発光素子971に供給する。これにより、発光素子971を電流駆動によって発光させることができる。
【0071】
書き込みトランジスタ973は、垂直走査回路920から第1走査線921aを通してゲートに印加される書き込み信号に応答して導通状態となる。これにより、書き込みトランジスタ973は、列信号線912を介して信号出力部940から供給される輝度信号または基準信号に応じた、映像信号の信号電圧または基準電圧をサンプリングして発光部911に書き込む。この書き込まれた信号電圧または基準電圧は、駆動トランジスタ972のゲートに印加されるとともに第1容量素子975に保持される。
【0072】
発光制御トランジスタ974は、垂直走査回路920から第2走査線921bを介してゲートに印加される発光制御信号に応答して導通、非導通状態になることで、Vdd978から駆動トランジスタ972への電流の供給を制御できる。これにより、上述したように、駆動トランジスタ972による発光素子971の発光が可能になる。すなわち、発光制御トランジスタ974は、発光素子971の発光/非発光を制御するトランジスタとしての機能を持っている。
【0073】
このようにして、発光制御トランジスタ974のスイッチング動作により、発光素子971が非発光状態となる期間(非発光期間)を設け、発光素子971の発光期間と非発光期間との割合を制御することができる(いわゆる、デューティ制御)。このデューティ制御により、1フレーム期間に亘って発光素子971が発光することに伴う残像を低減でき、特に動画の画品位をより優れたものとすることができる。
【0074】
発光装置IEAは、発光素子971である有機EL(Organic Electroluminescent)素子の発光時には、駆動トランジスタ972に流れる電流量を映像信号の輝度に応じて変化させる。そのために、発光素子971の第1電極と第2電極間の容量を所定電位まで充電し、その電位差に応じた電流を流す。これによって、発光素子971が所定の輝度の発光を行う。
【0075】
以下、第1実施形態の光電変換装置PECを用いた光電変換システムの実施形態を説明する。
【0076】
図18は、本実施形態に係る光電変換システム1200の構成を示すブロック図である。本実施形態の光電変換システム1200は、光電変換装置1215を含む。ここで、光電変換装置1215は、第1実施形態で述べた光電変換装置PECでありうる。光電変換システム1200は例えば、撮像システムとして用いることができる。撮像システムの具体例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダー、監視カメラ等が挙げられる。図18では、光電変換システム1200としてデジタルスチルカメラの例を示している。
【0077】
図18に示す光電変換システム1200は、光電変換装置1215、被写体の光学像を光電変換装置1215に結像させるレンズ1213、レンズ1213を通過する光量を可変にするための絞り1214、レンズ1213の保護のためのバリア1212を有する。レンズ1213および絞り1214は、光電変換装置1215に光を集光する光学系である。
【0078】
光電変換システム1200は、光電変換装置1215から出力される出力信号の処理を行う信号処理部1216を有する。信号処理部1216は、必要に応じて入力信号に対して各種の補正、圧縮を行って出力する信号処理の動作を行う。光電変換システム1200は、更に、画像データを一時的に記憶するためのバッファメモリ部1206、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)1209を有する。更に光電変換システム1200は、撮像データの記録または読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体1211、記録媒体1211に記録または読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)1210を有する。記録媒体1211は、光電変換システム1200に内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。また、記録媒体制御I/F部1210から記録媒体1211との通信や外部I/F部1209からの通信は無線によってなされてもよい。
【0079】
更に光電変換システム1200は、各種演算を行うとともにデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部1208、光電変換装置1215と信号処理部1216に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部1217を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、光電変換システム1200は、少なくとも光電変換装置1215と、光電変換装置1215から出力された出力信号を処理する信号処理部1216とを有すればよい。第4の実施形態にて説明したようにタイミング発生部1217は光電変換装置に搭載されていてもよい。全体制御・演算部1208およびタイミング発生部1217は、光電変換装置1215の制御機能の一部または全部を実施するように構成してもよい。
【0080】
光電変換装置1215は、画像用信号を信号処理部1216に出力する。信号処理部1216は、光電変換装置1215から出力される画像用信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。また、信号処理部1216は、画像用信号を用いて、画像を生成する。また、信号処理部1216は、光電変換装置1215から出力される信号に対して測距演算を行ってもよい。なお、信号処理部1216やタイミング発生部1217は、光電変換装置に搭載されていてもよい。つまり、信号処理部1216やタイミング発生部1217は、画素が配された基板に設けられていてもよいし、別の基板に設けられている構成であってもよい。上述した各実施形態の光電変換装置を用いて撮像システムを構成することにより、より良質の画像が取得可能な撮像システムを実現することができる。
【0081】
以下、本実施形態の光電変換システムおよび移動体について、図19及び図20を用いて説明する。図19は、本実施形態による光電変換システムおよび移動体の構成例を示す概略図である。図20は、本実施形態による光電変換システムの動作を示すフロー図である。本実施形態では、光電変換システムとして、車載カメラの一例を示す。
【0082】
図19は、車両システムとこれに搭載される撮像を行う光電変換システムの一例を示したものである。光電変換システム1301は、光電変換装置1302、画像前処理部1315、集積回路1303、光学系1314を含む。光学系1314は、光電変換装置1302に被写体の光学像を結像する。光電変換装置1302は、光学系1314により結像された被写体の光学像を電気信号に変換する。光電変換装置1302は、上述の各実施形態のいずれかの光電変換装置である。画像前処理部1315は、光電変換装置1302から出力された信号に対して所定の信号処理を行う。画像前処理部1315の機能は、光電変換装置1302内に組み込まれていてもよい。光電変換システム1301には、光学系1314、光電変換装置1302および画像前処理部1315が、少なくとも2組設けられており、各組の画像前処理部1315からの出力が集積回路1303に入力されるようになっている。
【0083】
集積回路1303は、撮像システム用途向けの集積回路であり、メモリ1305を含む画像処理部1304、光学測距部1306、測距演算部1307、物体認知部1308、異常検出部1309を含む。画像処理部1304は、画像前処理部1315の出力信号に対して、現像処理や欠陥補正等の画像処理を行う。メモリ1305は、撮像画像の一次記憶、撮像画素の欠陥位置を格納する。光学測距部1306は、被写体の合焦や、測距を行う。測距演算部1307は、複数の光電変換装置1302により取得された複数の画像データから測距情報の算出を行う。物体認知部1308は、車、道、標識、人等の被写体の認知を行う。異常検出部1309は、光電変換装置1302の異常を検出すると、主制御部1313に異常を発報する。
【0084】
集積回路1303は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0085】
主制御部1313は、光電変換システム1301、車両センサ1310、制御ユニット1320等の動作を統括・制御する。主制御部1313を持たず、光電変換システム1301、車両センサ1310、制御ユニット1320が個別に通信インターフェースを有して、それぞれが通信ネットワークを介して制御信号の送受を行う(例えばCAN規格)方法も取り得る。
【0086】
集積回路1303は、主制御部1313からの制御信号を受け或いは自身の制御部によって、光電変換装置1302へ制御信号や設定値を送信する機能を有する。
【0087】
光電変換システム1301は、車両センサ1310に接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの自車両走行状態および自車外環境や他車・障害物の状態を検出することができる。車両センサ1310は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段でもある。また、光電変換システム1301は、自動操舵、自動巡行、衝突防止機能等の種々の運転支援を行う運転支援制御部1311に接続されている。特に、衝突判定機能に関しては、光電変換システム1301や車両センサ1310の検出結果を基に他車・障害物との衝突推定・衝突有無を判定する。これにより、衝突が推定される場合の回避制御、衝突時の安全装置起動を行う。
【0088】
また、光電変換システム1301は、衝突判定部での判定結果に基づいて、ドライバに警報を発する警報装置1312にも接続されている。例えば、衝突判定部の判定結果として衝突可能性が高い場合、主制御部1313は、ブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして、衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置1312は、音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムやメーターパネルなどの表示部画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0089】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0090】
20:画素アレイ、CC:列回路(AD変換部を含む回路)、100:出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25