(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】アイソレータ
(51)【国際特許分類】
H04B 5/75 20240101AFI20240403BHJP
【FI】
H04B5/75
(21)【出願番号】P 2022169144
(22)【出願日】2022-10-21
(62)【分割の表示】P 2020049484の分割
【原出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】石黒 陽
(72)【発明者】
【氏名】根賀 亮平
(72)【発明者】
【氏名】藤 慶彦
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-078169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 5/00 - 5/79
H01P 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられる第1絶縁部と、
前記第1絶縁部の上に設けられる第2電極と、
前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に垂直な第1面に沿って前記第2電極の周りに設けられ、前記第2電極に接する第2絶縁部と、
前記第2電極の上および前記第2絶縁部の上に設けられる第1誘電体部と、
前記第1絶縁部と前記第2絶縁部との間に設けられ、前記第2電極に接する第2誘電体部と、
を備え、
前記第2電極は、前記第1絶縁部に対向する底面と、前記第1誘電体部に対向する上面と、前記上面および前記底面につながった側面と、を有し、
前記第2誘電体部は、第1誘電体層と、第2誘電体層と、を含み、
前記第1誘電体層は、前記第1絶縁部に接し、前記第2誘電体層は、前記第1誘電体層と前記第2絶縁部との間に設けられ、
前記第1誘電体層の比誘電率は、前記第2誘電体層の比誘電率、前記第1絶縁部の比誘電率および前記第2絶縁部の比誘電率よりも大きく、
前記第2誘電体部は、前記第2誘電体層と前記第2絶縁部との間に設けられる第3誘電体層をさらに含み、
前記第3誘電体層の比誘電率は、前記第2絶縁部の前記比誘電率よりも大きく、
前記第1誘電体層は、前記第1絶縁部と前記第2電極との間に延在し、
前記第3誘電体層は、前記第2電極と前記第1誘電体層の間に延在し、前記第2電極の底面および前記第1誘電体層に接する、アイソレータ。
【請求項2】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられる第1絶縁部と、
前記第1絶縁部の上に設けられる第2電極と、
前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に垂直な第1面に沿って前記第2電極の周りに設けられ、前記第2電極に接する第2絶縁部と、
前記第2電極の上および前記第2絶縁部の上に設けられる第1誘電体部と、
前記第1絶縁部と前記第2絶縁部との間に設けられ、前記第2電極に接する第2誘電体部と、
を備え、
前記第2電極は、前記第1絶縁部に対向する底面と、前記第1誘電体部に対向する上面と、前記上面および前記底面につながった側面と、を有し、
前記第2誘電体部は、第1誘電体層と、第2誘電体層と、を含み、
前記第1誘電体層は、前記第1絶縁部に接し、前記第2誘電体層は、前記第1誘電体層と前記第2絶縁部との間に設けられ、
前記第1誘電体層の比誘電率は、前記第2誘電体層の比誘電率、前記第1絶縁部の比誘電率および前記第2絶縁部の比誘電率よりも大きく、
前記第2誘電体部は、前記第2誘電体層と前記第2絶縁部との間に設けられる第3誘電体層をさらに含み、
前記第3誘電体層の比誘電率は、前記第2絶縁部の前記比誘電率よりも大きく、
前記第2電極の底面は、前記第1絶縁部に接する、アイソレータ。
【請求項3】
前記第2誘電体層は、前記第2電極の前記側面に接する、請求項2記載のアイソレータ。
【請求項4】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられる第1絶縁部と、
前記第1絶縁部の上に設けられる第2電極と、
前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に垂直な第1面に沿って前記第2電極の周りに設けられ、前記第2電極に接する第2絶縁部と、
前記第2電極の上および前記第2絶縁部の上に設けられる第1誘電体部と、
前記第1絶縁部と前記第2絶縁部との間に設けられ、前記第2電極に接する第2誘電体部と、
を備え、
前記第2電極は、前記第1絶縁部に対向する底面と、前記第1誘電体部に対向する上面と、前記上面および前記底面につながった側面と、を有し、
前記第2誘電体部は、第1誘電体層と、第2誘電体層と、を含み、
前記第1誘電体層は、前記第1絶縁部に接し、前記第2誘電体層は、前記第1誘電体層と前記第2絶縁部との間に設けられ、
前記第1誘電体層の比誘電率は、前記第2誘電体層の比誘電率、前記第1絶縁部の比誘電率および前記第2絶縁部の比誘電率よりも大きく、
前記第2電極の底面は、前記第1絶縁部に接する、アイソレータ。
【請求項5】
前記第1誘電体層および前記第2誘電体層は、前記第2電極の前記側面に接する、請求項4記載のアイソレータ。
【請求項6】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられる第1絶縁部と、
前記第1絶縁部の上に設けられる第2電極と、
前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に垂直な第1面に沿って前記第2電極の周りに設けられ、前記第2電極に接する第2絶縁部と、
前記第2電極の上および前記第2絶縁部の上に設けられる第1誘電体部と、
前記第1絶縁部と前記第2絶縁部との間に設けられ、前記第2電極に接する第2誘電体部と、
を備え、
前記第2電極は、前記第1絶縁部に対向する底面と、前記第1誘電体部に対向する上面と、前記上面および前記底面につながった側面と、を有し、
前記第2電極の前記底面は、前記第1絶縁部に接し、
前記第2誘電体部は、第1誘電体層を含み、
前記第1誘電体層は、前記第1絶縁部および前記第2電極の前記側面に接し、
前記第1誘電体層の比誘電率は、前記第1絶縁部の比誘電率および前記第2絶縁部の比誘電率よりも大きい、アイソレータ。
【請求項7】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられる第1絶縁部と、
前記第1絶縁部の上に設けられる第2電極と、
前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に垂直な第1面に沿って前記第2電極の周りに設けられ、前記第2電極に接する第2絶縁部と、
前記第2電極の上および前記第2絶縁部の上に設けられる第1誘電体部と、
前記第1絶縁部と前記第2絶縁部との間に設けられ、前記第2電極に接する第2誘電体部と、
を備え、
前記第2電極は、前記第1絶縁部に対向する底面と、前記第1誘電体部に対向する上面と、前記上面および前記底面につながった側面と、を有し、
前記第2誘電体部は、第1誘電体層と、第2誘電体層と、を含み、
前記第1誘電体層は、前記第1絶縁部に接し、前記第2誘電体層は、前記第1誘電体層と前記第2絶縁部との間に設けられ、
前記第1誘電体層の比誘電率は、前記第2誘電体層の比誘電率、前記第1絶縁部の比誘電率および前記第2絶縁部の比誘電率よりも大きく、
前記第1誘電体層の底面および前記第2電極の底面は、前記第1絶縁部上においてつながり、前記第1面に平行な平面上に並ぶ、アイソレータ。
【請求項8】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられる第1絶縁部と、
前記第1絶縁部の上に設けられる第2電極と、
前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に垂直な第1面に沿って前記第2電極の周りに設けられ、前記第2電極に接する第2絶縁部と、
前記第2電極の上および前記第2絶縁部の上に設けられる第1誘電体部と、
前記第1絶縁部と前記第2絶縁部との間に設けられ、前記第2電極に接する第2誘電体部と、
を備え、
前記第2電極は、前記第1絶縁部に対向する底面と、前記第1誘電体部に対向する上面と、前記上面および前記底面につながった側面と、を有し、
前記第2誘電体部は、第1誘電体層と、第2誘電体層と、を含み、
前記第1誘電体層は、前記第1絶縁部に接し、前記第2誘電体層は、前記第1誘電体層と前記第2絶縁部との間に設けられ、
前記第1誘電体層の比誘電率は、前記第2誘電体層の比誘電率、前記第1絶縁部の比誘電率および前記第2絶縁部の比誘電率よりも大きく、
前記第1面に沿った第2方向において、前記第2電極の前記上面は、前記第2電極の前記底面よりも広い、アイソレータ。
【請求項9】
前記第1誘電体層の底面および前記第2電極の底面は、前記第1絶縁部上においてつながり、前記第1面に平行な平面上に並ぶ、請求項2乃至6のいずれか1つに記載のアイソレータ。
【請求項10】
前記第1面に沿った第2方向において、前記第2電極の前記上面は、前記第2電極の前記底面よりも広い、請求項1乃至6のいずれか1つに記載のアイソレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アイソレータに関する。
【背景技術】
【0002】
アイソレータは、電流を遮断した状態で、磁界又は電界の変化を利用して信号を伝達する。このアイソレータについては、破壊が生じ難いことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2018/0286802号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、破壊が生じる可能性を低減可能なアイソレータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るアイソレータは、第1電極と、前記第1電極の上に設けられる第1絶縁部と、前記第1絶縁部の上に設けられる第2電極と、前記第1電極から前記第2電極に向かう第1方向に垂直な第1面に沿って前記第2電極の周りに設けられ、前記第2電極に接する第2絶縁部と、前記第2電極の上および前記第2絶縁部の上に設けられる第1誘電体部と、前記第1絶縁部と前記第2絶縁部との間に設けられ、前記第2電極に接する第2誘電体部と、を備える。前記第2電極は、前記第1絶縁部に対向する底面と、前記第1誘電体部に対向する上面と、前記上面および前記底面につながった側面と、を有する。前記第2誘電体部は、第1誘電体層と、第2誘電体層と、を含み、前記第1誘電体層は、前記第1絶縁部に接し、前記第2誘電体層は、前記第1誘電体層と前記第2絶縁部との間に設けられる。前記第1誘電体層の比誘電率は、前記第2誘電体層の比誘電率、前記第1絶縁部の比誘電率および前記第2絶縁部の比誘電率よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係るアイソレータを表す平面図である。
【
図4】第1実施形態に係るアイソレータの製造方法を表す断面図である。
【
図5】第1実施形態に係るアイソレータの製造方法を表す断面図である。
【
図6】第1実施形態に係るアイソレータの製造方法を表す断面図である。
【
図7】第1実施形態に係るコイルの製造方法を表す断面図である。
【
図8】第1実施形態に係るコイルの製造方法を表す断面図である。
【
図9】第1実施形態に係るコイルの製造方法を表す断面図である。
【
図10】第1実施形態の変形例に係るコイルの製造方法を表す断面図である。
【
図11】第1実施形態に係るアイソレータの特性を表す断面図である。
【
図12】第1実施形態の変形例に係るアイソレータを表す断面図である。
【
図13】第1実施形態の変形例に係るアイソレータを表す断面図である。
【
図14】第1実施形態の変形例に係るアイソレータを表す断面図である。
【
図15】第1実施形態の変形例に係るコイルの製造方法を表す模式断面図である。
【
図16】第2実施形態の変形例に係るアイソレータを表す断面図である。
【
図17】第3実施形態に係るアイソレータを表す平面図である。
【
図18】第3実施形態に係るアイソレータの断面構造を表す模式図である。
【
図19】第3実施形態の第1変形例に係るアイソレータを表す平面図である。
【
図22】第3実施形態の第1変形例に係るアイソレータの断面構造を表す模式図である。
【
図23】第3実施形態の第2変形例に係るアイソレータを表す平面図である。
【
図24】第3実施形態の第2変形例に係るアイソレータの断面構造を表す模式図である。
【
図25】第3実施形態の第3変形例に係るアイソレータを表す模式図である。
【
図26】第4実施形態に係るパッケージを表す斜視図である。
【
図27】第4実施形態に係るパッケージの断面構造を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0008】
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0009】
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るアイソレータを表す平面図である。
図2は、
図1のA1-A2断面図である。
【0010】
第1実施形態は、例えば、デジタルアイソレータ、ガルバニックアイソレータ、ガルバニック絶縁素子と呼ばれるデバイスに関する。
図1及び
図2に表したように、第1実施形態に係るアイソレータ100は、第1回路1、第2回路2、基板5、第1電極11、第2電極12、第1絶縁部21、第2絶縁部22、絶縁部28、絶縁部29、誘電体部31、誘電体部41、誘電体部42、及び導電体50を含む。
図1では、絶縁部28及び29が省略されている。
【0011】
実施形態の説明では、XYZ直交座標系を用いる。第1電極11から第2電極12に向かう方向をZ方向(第1方向)とする。Z方向に対して垂直であり、相互に直交する2方向をX方向(第2方向)及びY方向(第3方向)とする。また、説明のために、第1電極11から第2電極12に向かう方向を「上」と言い、その反対方向を「下」と言う。これらの方向は、第1電極11と第2電極12との相対的な位置関係に基づき、重力の方向とは無関係である。
【0012】
図2に表したように、絶縁部20は、基板5の上に設けられている。第1電極11は、絶縁部20中に設けられている。第1絶縁部21は、第1電極11及び絶縁部20の上に設けられている。第2電極12は、第1絶縁部21の上に設けられている。第2絶縁部22は、Z方向に垂直なX-Y面(第1面)に沿って、第2電極12の周りに設けられている。第2絶縁部22は、第2電極12に接している。
【0013】
図1及び
図2に表した例では、第1電極11及び第2電極12は、X-Y面に沿って螺旋状に設けられたコイルである。第1電極11及び第2電極12は、Z方向において互いに対向している。第2電極12の少なくとも一部は、Z方向において、第1電極11の少なくとも一部と並ぶ。
【0014】
誘電体部31は、Z方向において、第1絶縁部21と第2絶縁部22との間に設けられている。誘電体部31の少なくとも一部は、X-Y面に沿って第2電極12の周りに位置している。誘電体部31は、第2電極12に接している。
【0015】
誘電体部31は、例えば、第1誘電体層31pと、第2誘電体層31qと、第3誘電体層31rと、を含む。第2誘電体層31qは、第1誘電体層31pと第3誘電体層31rとの間に設けられる。例えば、第2誘電体層31qは、第1誘電体層31pおよび第3誘電体層31rとは異なる組成を有する。また、一例として、第1誘電体層31pおよび第3誘電体層31rに用いられる材料の比誘電率は、第2誘電体層31qに用いられる材料の比誘電率よりも高い。また、第1誘電体層31pおよび第3誘電体層31rは、第1絶縁部21とは異なる組成を有する。また、一例として、第1誘電体層31pおよび第3誘電体層31rに用いられる材料の比誘電率は、第1絶縁部21に用いられる材料の比誘電率よりも高い。
【0016】
誘電体部41は、第2電極12および第2絶縁部22の上に設けられている。例えば、誘電体部41は、第2電極12および第2絶縁部22に接している。
【0017】
導電体50は、第1面に沿って第1電極11及び第2電極12の周りに設けられている。具体的には、導電体50は、第1導電部51、第2導電部52、及び第3導電部53を含む。第1導電部51は、X-Y面に沿って第1電極11の周りに設けられている。第2導電部52は、第1導電部51の一部の上に設けられている。第2導電部52は、第1導電部51に沿って複数設けられている。第3導電部53は、複数の第2導電部52の上に設けられている。第3導電部53は、X-Y面に沿って第2電極12の周りに位置する。
【0018】
図1に表した例では、第1電極11の一端(コイルの一端)は、配線60を介して第1回路1と電気的に接続されている。第1電極11の他端(コイルの他端)は、配線61を介して導電体50と電気的に接続されている。
【0019】
第2電極12の一端(コイルの一端)は、金属層62及び配線63を介して第2回路2と電気的に接続されている。第2電極12の他端(コイルの他端)は、金属層64及び配線65を介して第2回路2と電気的に接続されている。例えば、金属層62は、第2電極12の一端の上に設けられている。金属層64は、第2電極12の他端の上に設けられている。金属層62のZ方向における位置及び金属層64のZ方向における位置は、第2電極12のZ方向における位置と同じでも良い。金属層62及び64は、第2電極12と一体に形成されても良い。
【0020】
図2に表したように、導電体50の上には、金属層66が設けられている。導電体50は、金属層66及び配線67を介して、不図示の導電部材と電気的に接続される。例えば、導電体50及び基板5は、基準電位に接続される。基準電位は、例えば接地電位である。導電体50が基準電位に接続され、導電体50が浮遊電位となることを防止できる。これにより、導電体50の電位の変動により、導電体50と各電極との間において、予期せぬ絶縁破壊が生じる可能性を低減できる。
【0021】
また、基板5には、第1電極11と電気的に接続される回路が設けられても良い。第1回路1は、例えば、基板5上に設けられた回路の一部である。この場合、導電体50が基板5の上に設けられ、回路が基板5と導電体50の間に設けられることで、基板5及び導電体50の外部から基板5に向けた電磁波に対して、基板5の回路が導電体50により遮蔽される。この結果、回路の動作をより安定化させることができる。
【0022】
金属層62及び66の周りには、X-Y面に沿って絶縁部28が設けられている。絶縁部29は、絶縁部28の上に設けられている。
【0023】
第1回路1及び第2回路2の一方は、送信回路として用いられる。第1回路1及び第2回路2の他方は、受信回路として用いられる。ここでは、第1回路1が送信回路であり、第2回路2が受信回路である場合について説明する。
【0024】
第1回路1は、第1電極11へ、伝達に適した波形の信号(電流)を送る。電流が第1電極11を流れると、螺旋状の第1電極11の内側を通る磁界が発生する。第1電極11の少なくとも一部は、Z方向において、第2電極12の少なくとも一部と並ぶ。発生した磁力線の一部は、第2電極12の内側を通る。第2電極12の内側における磁界の変化により、第2電極12に誘導起電力が生じ、第2電極12を電流が流れる。第2回路2は、第2電極12を流れる電流を検出し、検出結果に応じた信号を生成する。これにより、第1電極11と第2電極12との間で、電流を遮断(絶縁)した状態で、信号が伝達される。
【0025】
アイソレータ100の各構成要素の材料の一例を説明する。
第1電極11、第2電極12、及び導電体50は、例えば金属を含む。第1電極11、第2電極12、及び導電体50は、例えば、銅及びアルミニウムからなる群より選択された少なくとも1つの金属を含む。信号を伝達する際の第1電極11及び第2電極12における発熱を抑制するために、これらの電極の電気抵抗は、低いことが好ましい。電気抵抗の低減の観点から、第1電極11及び第2電極12は、銅を含むことが好ましい。
【0026】
絶縁部20、第1絶縁部21、第2絶縁部22、及び絶縁部28は、シリコン及び酸素を含む。例えば、絶縁部20、第1絶縁部21、第2絶縁部22、及び絶縁部28は、酸化シリコンを含む。絶縁部20、第1絶縁部21、第2絶縁部22、及び絶縁部28は、さらに窒素を含んでも良い。
【0027】
絶縁部29は、ポリイミド、ポリアミドなどの絶縁性樹脂を含む。
誘電体部41及び42は、シリコン及び窒素を含む。例えば、誘電体部41及び42は、窒化シリコンを含む。
【0028】
基板5は、シリコン及び不純物を含む。不純物は、ボロン、リン、ヒ素、及びアンチモンからなる群より選択された少なくとも1つである。
【0029】
誘電体部31は、シリコンと窒素を含む第1材料、アルミニウムと酸素を含む第2材料、タンタルと酸素を含む第3材料、ハフニウムと酸素を含む第4材料、ジルコニウムと酸素を含む第5材料、ストロンチウムとチタンと酸素を含む第6材料、ビスマスと鉄と酸素とを含む第7材料、及びバリウムとチタンと酸素を含む第8材料からなる群より選択された少なくとも1つを含む。
【0030】
誘電体部31の第1誘電体層31pは、例えば、窒化シリコンを含む。第2誘電体層31qは、例えば、酸化シリコンを含む。第3誘電体層31rは、例えば、窒化シリコンを含む。第3誘電体層31rの材料は、第1誘電体層31pの材料と異なっても良い。
【0031】
例えば、第1誘電体層31pおよび第3誘電体層31rはシリコン及び窒素を含み、第1絶縁部21及び第2絶縁部22はシリコン、酸素、及び窒素を含む。この場合、第1誘電体層31pおよび第3誘電体層31rにおける窒素濃度は、第1絶縁部21における窒素濃度よりも高く、且つ第2絶縁部22における窒素濃度よりも高い。
【0032】
第2電極12は、第1金属層12a及び第2金属層12bを含んでも良い。第2金属層12bは、第1金属層12aと第1絶縁部21との間、第1金属層12aと誘電体部31との間、及び第1金属層12aと第2絶縁部22との間に設けられている。第1電極11は、第3金属層11c及び第4金属層11dを含んでも良い。第4金属層11dは、第3金属層11cと絶縁部20との間に設けられている。第1金属層12a及び第3金属層11cは、銅を含む。第2金属層12b及び第4金属層11dは、タンタルを含む。第2金属層12b及び第4金属層11dは、タンタルと、窒化タンタルと、の積層膜を含んでも良い。第2金属層12b及び第4金属層11dが設けられることで、第1金属層12a及び第3金属層11cに含まれる金属材料の各絶縁部への拡散を抑制できる。
【0033】
第1導電部51は、金属層51a及び51bを含んでも良い。金属層51bは、金属層51aと絶縁部20との間に設けられている。第2導電部52は、金属層52a及び52bを含んでも良い。金属層52bは、金属層52aと第1絶縁部21との間、及び金属層52aと第1導電部51との間に設けられている。第3導電部53は、金属層53a及び53bを含んでも良い。金属層53bは、金属層53aと第2絶縁部22との間、金属層53aと誘電体部31との間、及び金属層53aと第2導電部52との間に設けられている。金属層51a~53aは、銅を含む。金属層51b~53bは、タンタルを含む。金属層51b~53bは、タンタルと、窒化タンタルと、の積層膜を含んでも良い。金属層51b~53bが設けられることで、金属層51a~53aに含まれる金属材料の各絶縁部への拡散を抑制できる。
【0034】
図3は、
図2の一部を拡大した断面図である。
図3に表したように、第2電極12は、誘電体部31と誘電体部41との間に設けられる。誘電体部31は、第1誘電体層31pと、第2誘電体層31qと、第3誘電体層31rと、を含む。
【0035】
第2誘電体層31qは、第1誘電体層31pと第3誘電体層31rとの間に設けられる。第1誘電体層31pは、第1絶縁部21と第2誘電体層31qとの間に位置する。第3誘電体層31rは、第2誘電体層31qと第2絶縁部22の間に位置する。
【0036】
第2誘電体層31qは、第2電極12が設けられない部分に設けられる。第2電極12と第1絶縁部21との間には、第1誘電体層31pの一部と第3誘電体層31rの一部とが配置される。
【0037】
第2電極12は、例えば、螺旋の中心を通るX-Z平面に沿った断面において、2段のテーパ形状を有する。言い換えれば、第2電極12は、第1絶縁部21に対向する底面と側面との間の角を面取りされた形状を有する。
【0038】
例えば、誘電体部31に接する底面BSのX方向の幅は、誘電体部41に接する上面TSのX方向の幅よりも狭い。また、第2電極12は、第1側面SS1と第2側面SS2とを含む。第1側面は、底面BSおよび第2側面SS2につながる。第2側面SS2は、第1側面SS1および上面TSにつながる。第1側面SS1は、底面BSに対して上方に傾斜する。第1側面SS1の底面BSに対する傾斜角θ1は、第2側面SS2の底面BSに対する傾斜角θ2よりも小さい。第2電極12の底面BSおよび第1側面SS1は、第3誘電体層31rに接する。また、第2側面SS2は、第2絶縁部22に接する。
【0039】
図4~
図6は、第1実施形態に係るアイソレータの製造方法を表す断面図である。
図4~
図6を参照して、第1実施形態に係るアイソレータの製造方法の一例を説明する。
図4~
図6は、
図1のA1-A2線で示す位置における製造工程を表している。なお、以下の断面図では、第1電極11の外縁を明確に表すために、導電体50と第1電極11をつなぐ配線61の記載を省略している。
【0040】
基板5の上に、化学気相堆積(CVD)により絶縁部20を形成する。絶縁部20の上面に、反応性イオンエッチング(RIE)により、開口OP1及びOP2を形成する。開口OP1は、第1電極11に対応する位置に形成される。開口OP2は、第1導電部51に対応する位置に形成される。
図4(a)に表したように、開口OP1及びOP2が形成された絶縁部20の上面に沿って、スパッタリングにより金属層ML1を形成する。
【0041】
金属層ML1の上に、開口OP1及びOP2を埋め込む別の金属層を形成する。別の金属層は、スパッタリングによるシード層の形成、及びめっきによるシード層上へのめっき層の形成によって形成される。続いて、絶縁部20の上面が露出するまで、化学機械研磨(CMP)を行う。
図4(b)に表したように、金属層ML1及び別の金属層を含む第1電極11及び第1導電部51が形成される。
【0042】
第1電極11及び第1導電部51の上に、CVDにより誘電体部42を形成する。誘電体部42の上に、CVDにより第1絶縁部21を形成する。第1絶縁部21及び誘電体部42を貫通し、第1導電部51に達する開口OP3をRIEにより形成する。
図4(c)に表したように、第1絶縁部21の上面及び開口OP3の内面に沿って、スパッタリングにより金属層ML2を形成する。
【0043】
金属層ML2の上に、スパッタリング及びめっきにより、開口OP3を埋め込む別の金属層を形成する。第1絶縁部21の上面が露出するまで、CMPを行う。これにより、第2導電部52が形成される。
図5(a)に表したように、第1絶縁部21及び第2導電部52の上に、誘電体部DL1を形成する。誘電体部DL1の形成方法の詳細は後述する。
【0044】
誘電体部DL1の上に、CVDにより第2絶縁部22を形成する。RIEにより、第2絶縁部22を貫通する開口OP4及びOP5を形成する。開口OP4は、第2電極12に対応する位置に形成され、第1電極11の上に位置する。開口OP5は、第3導電部53に対応する位置に形成され、第2導電部52の上に位置する。また、誘電体部DL1を選択的に除去し、開口OP5の底面に第2導電部52を露出させる。
図5(b)に表したように、開口OP4の内面、開口OP5の内面、及び第2絶縁部22の上面に沿って、スパッタリングにより金属層ML3を形成する。
【0045】
金属層ML3の上に、スパッタリング及びめっきにより、開口OP4及びOP5を埋め込む別の金属層を形成する。続いて、第2絶縁部22の上面が露出するまで、CMPを行う。これにより、金属層ML3及び別の金属層を含む第2電極12及び第3導電部53が形成される。誘電体部DL1は、誘電体部31に対応する。
図6(a)に表したように、第2電極12及び第3導電部53の上に、CVDにより誘電体部41を形成する。
【0046】
図6(b)に表したように、誘電体部41の上に、第2電極12及び第3導電部53とそれぞれ電気的に接続された金属層62、金属層66、金属層64(
図1参照)、絶縁部28および29を形成し、アイソレータ100を完成させる。絶縁部28は、誘電体部41を覆い、金属層62、64および66と誘電体部41の間に位置する部分を含む第1絶縁層と、第1絶縁層上に設けられる第2絶縁層を含む。ここでは、第1絶縁層と第2絶縁層の境界を明示していない。
【0047】
例えば、誘電体部41上に第1絶縁層を形成した後、金属層62、64および66を形成する。金属層62および64は、第1絶縁膜および誘電体部41に設けられたコンタクトホールを介して、第2電極12に電気的に接続されるように形成される。金属層66は、第3導電部53に電気的に接続されるように形成される。金属層62、66および64は、例えば、スパッタリングを用いて形成され、選択メッキ法を用いて所定の厚さに形成される。
【0048】
さらに、金属層62、64および66を覆う第2絶縁層および絶縁部29を形成した後、例えば、フォトリソグラフィを用いて、金属層62、64および66の上方に位置する開口を絶縁部29に形成する。その後、絶縁部29の開口を介して、第2絶縁層を選択的に除去し、金属層62、64および66を露出させる。絶縁部28は、例えば、CVDにより形成されるシリコン酸化層である。絶縁部29は、例えば、ポリイミドなどの感光性の樹脂である。
【0049】
最後に、金属層62、64および66に配線63、配線65(
図1参照)および配線67をそれぞれ接続する。
【0050】
図7~
図9は、第1実施形態に係るコイル(第2電極12)の製造方法を表す模式断面図である。
図7~
図9は、
図5(a)~
図6(a)に記載の製造方法の詳細を表す模式断面図である。
【0051】
図7(a)に示すように、第1絶縁部21の上に、第1誘電体層31pと、第2誘電体層31qと、を形成する。第1誘電体層31pおよび第2誘電体層31qは、例えば、CVDもしくはスパッタリングを用いて形成される。
【0052】
さらに、第2誘電体層31qの上にエッチングマスクEM1を形成する。エッチングマスクEM1は、例えば、フォトリソグラフィを用いてパターニングされたレジスト層である。エッチングマスクEM1は、第2電極12が形成される領域に対応する開口MO1を有する。
【0053】
図7(b)に示すように、開口MO1に面した側面が傾斜するように、エッチングマスクEM1を変形させる。エッチングマスクEM1は、例えば、その軟化点よりも高い温度において熱処理される。
【0054】
図7(c)に示すように、第2誘電体層31qをエッチングマスクEM1と共にエッチングすることにより、第2誘電体層31qにエッチングマスクEM1の形状を転写する。第2誘電体層31qおよびエッチングマスクEM1は、例えば、ドライエッチングされる。第2誘電体層31qは、例えば、第1誘電体層31pがエッチングストッパとして機能する条件下でエッチングされる。第2誘電体層31qは、開口MO1に面した側面31qsが傾斜するようにエッチングされる。
【0055】
図7(d)に示すように、エッチングマスクEM1を除去した後、第1誘電体層31pおよび第2誘電体層31qを覆うように、第3誘電体層31rを形成する。第3誘電体層31rは、例えば、CVDを用いて形成される。
【0056】
第3誘電体層31rは、開口MO1に対応する位置に凹部を有するように形成される。第3誘電体層31rは、第2誘電体層31qの側面31qsに対応する斜面31rsを有する。第1誘電体層31p、第2誘電体層31qおよび第3誘電体層31rは、
図5(a)に示す誘電体部DL1を構成する。
【0057】
図8(a)に示すように、第3誘電体層31rの上に第2絶縁部22を形成する。第2絶縁部22は、誘電体部DL1の凹部を埋め込み、その上面が平坦となるように形成される。第2絶縁部22のZ方向の厚さは、第2電極12のZ方向の厚さと略同一である。
【0058】
図8(b)に示すように、第2絶縁部22の上にエッチングマスクEM2を形成する。エッチングマスクEM2は、例えば、フォトリソグラフィを用いてパターニングされたレジスト層である。エッチングマスクEM2は、第2絶縁部22の第2電極12が形成される領域の上に開口MO2を有する。
【0059】
図8(c)に示すように、エッチングマスクEM2を用いて、第2絶縁部22を選択的に除去し、第2絶縁部22に開口OP4を形成する。第2絶縁部22は、例えば、ドライエッチングを用いて除去される。第2絶縁部22は、例えば、第3誘電体層31rがエッチングストッパとして機能する条件下でエッチングされる。
【0060】
図9(a)に示すように、開口OP4が形成された第2絶縁部22の上面に沿って金属層ML3を形成する(
図5(b)参照)。金属層ML3は、開口OP4の内面を覆うように形成される。
【0061】
図9(b)に示すように、金属層ML3の上に、例えば、スパッタリング及びめっきにより、開口OP4を埋め込む金属層ML4を形成する。
【0062】
図9(c)に示すように、第2絶縁部22の上面が露出するまでCMPを行い、開口OP4を埋め込んだ部分を残して、金属層ML4および金属層ML3を除去する。これにより、金属層ML3及び金属層ML4を含む第2電極12が形成される(
図6(a)参照)。
【0063】
金属層ML4の一部は、第2電極12の第1金属層12aとなり、金属層ML3の一部は、第2金属層12bとなる。第2電極12は、その底面BSが第3誘電体層31rに接するように形成される。また、第2電極12の第1側面SS1は、第3誘電体層31rを介して、第2誘電体層31qの傾斜した側面に向き合うように形成される。第2側面SS2は、開口OP4の内壁に露出された第2絶縁部22に接する。
【0064】
図10(a)~
図10(d)は、第1実施形態の変形例に係るコイル(第2電極12)の製造方法を表す模式断面図である。
図10(a)~
図10(d)は、
図7(a)~
図7(d)に示す製造方法に代わる製造方法を表している。
【0065】
図10(a)に示すように、第1絶縁部21の上に、第1誘電体層31pと、第2誘電体層31qと、金属層31fと、を形成する。第1誘電体層31pおよび第2誘電体層31qは、例えば、CVDを用いて形成される。金属層31fは、例えば、スパッタリングを用いて、第2誘電体層31qの上に形成される。金属層31fは、例えば、ニッケル層である。
【0066】
さらに、第2誘電体層31qの上にエッチングマスクEM3を形成する。エッチングマスクEM3は、例えば、フォトリソグラフィを用いてパターニングされたレジスト層である。エッチングマスクEM3は、第2電極12が形成される領域に開口MO3を有する。
【0067】
図10(b)に示すように、開口MO3を介して金属層31fを選択的にエッチングする。金属層31fは、エッチングマスクEM3の側面よりも内側に後退するようにエッチングされる。すなわち、エッチングマスクEM3の外縁に沿って、第2誘電体層31qとエッチングマスクEM3との間にスペースが形成されるようにエッチングされる。
【0068】
図10(c)に示すように、エッチングマスクEM3を用いて、第2誘電体層31qを選択的にエッチングする。第2誘電体層31qは、例えば、ウェットエッチングされ、第1誘電体層31pがエッチングストッパとして機能する条件下でエッチングされる。この際、金属層31fをエッチングマスクEM3の外縁から後退させたことにより、第2誘電体層31qの横方向(例えば、X方向)へのエッチングが進む。これにより、第2誘電体層31qの開口MO3に面した側面31qsは、傾斜して形成される。
【0069】
図10(d)に示すように、エッチングマスクEM3および金属層31fを除去した後、第1誘電体層31pおよび第2誘電体層31qを覆うように、第3誘電体層31rを形成する。第3誘電体層31rは、開口MO3に対応する位置に凹部を有するように形成される。第3誘電体層31rは、第2誘電体層31qの側面31qsに対応する斜面31rsを有する。第1誘電体層31p、第2誘電体層31qおよび第3誘電体層31rは、
図5(a)に示す誘電体部DL1を構成する。
【0070】
続いて、
図8(a)~
図9(c)に示す工程を通して、第2電極12を第2絶縁部22中に形成する。
【0071】
図11(a)および(b)は、第1実施形態に係るアイソレータ100の特性を示す模式図である。
図11(a)は、
図3に示す第2電極12の断面を拡大した模式断面図である。
図11(b)は、第2電極12の下端LEにおける電界強度と、第1側面SS1の傾斜角θ1と、の関係を示す模式図である。
【0072】
アイソレータ100では、第1電極11と第2電極12との間で信号が伝達される際、第1電極11に対して正の電圧が第2電極12に印加される。これにより、第1電極11と第2電極12との間、及び導電体50と第2電極12との間に、電位差が生じる。この時、第2電極12の下端LE近傍に、電界集中が発生する。下端LE近傍の電界強度が高いと、絶縁破壊が生じ、アイソレータ100は破壊される。このため、下端LE近傍の電界強度は、低いことが望ましい。
【0073】
図11(a)に示すように、アイソレータ100の第2電極12は、底面BSに対する傾斜が異なる第1側面SS1および第2側面SS2を有する。第1側面SS1は、底面BSと第2側面SS2との間に設けられ、底面BSおよび第2側面SS2につながる。第1側面SS1の底面BSに対する傾斜角θ1は、第2側面SS2の底面BSに対する傾斜角θ2(
図3参照)よりも小さい。このため、第2電極12の下端LEにおける底面BSと第1側面SS1との間の内角IAを、第2側面SS2を底面BSに直接つなげる場合に比べて大きくすることが可能となる。これにより、第2電極12の下端LEにおける電界集中を緩和できる。
【0074】
発明者らは、第2電極12の下端LE近傍の電界強度をシミュレーションにより計算した。
図11(b)にその結果を示す。
図11(b)の縦軸は、下端LEにおける電界強度である。横軸は、第1側面SS1の底面BSに対する傾斜角θ1である。
【0075】
図11(b)に示すように、下端LEにおける電界強度は、傾斜角θ1を45度とした場合に最小となる。傾斜角θ1を45度から大きくするにしたがって、電界強度は上昇する。また、傾斜角θ1を45度から小さくするにしたがって、電界強度は上昇する。
【0076】
第1実施形態によれば、第2電極12の第1絶縁部21に対向する端を面取りされたように形成し、第1側面SS1を設けることにより、下端LE近傍の電界集中を緩和しつつ、リーク電流に起因する絶縁破壊の可能性を低減できる。
【0077】
さらに、本実施形態に係るアイソレータ100の製造方法によれば、第1側面SS1を再現性良く、安定して形成できる。例えば、誘電体部DL1を用いることなく、ウェットエッチングにより第2絶縁部22を選択的に除去する場合でも、第2電極12の第1絶縁部21に対向する端を丸めた形状にすることができる。これにより、第2電極12の下端における電界集中を緩和することも可能である。しかしながら、第2電極12のウェットエッチングのみによる形状制御は、再現性に乏しく、安定した特性を得ることが難しい。
【0078】
また、実施形態では、第2電極12を第1側面SS1および第2側面SS2を有する形状に設けることにより、開口OP4の内面を金属層ML3により隙間なく覆うことが容易になる(
図9(a)参照)。これにより、金属層ML3を薄層化し、クラック等の発生を抑制することができる。さらに、開口OP4の内部を金属層ML4により埋め込む場合に(
図9(b)参照)、ボイド等の埋め込み不良の発生を抑制することもできる。
【0079】
図12~
図14は、第1実施形態の変形例に係るアイソレータ110、120および130をそれぞれ表す模式断面図である。
【0080】
図12に示すアイソレータ110では、第2電極12は、その底面BSが第1絶縁部21に接するように設けられる。第1側面SS1は、第1誘電体層31pおよび第2誘電体層31qに接するように設けられる。第3誘電体層31rは、Z方向において、第1側面SS1と第2側面SS2とがつながるレベルに位置する。
【0081】
アイソレータ110は、例えば、
図8(c)に示す工程において、開口OP4の底面に露出される第3誘電体層31rおよび第1誘電体層31pを順にエッチングし、第1絶縁部21を露出させることにより形成される。この際、第1誘電体層31pおよび第3誘電体層31rは、第1誘電体層31p、第2誘電体層31qおよび第3誘電体層31rのそれぞれのエッチング速度が略同一になる条件下でエッチングされる。
【0082】
アイソレータ110においても、第2電極12は、第1側面SS1および第2側面SS2を有する形状に設けられ、その下端LEにおける電界集中を緩和することができる。
【0083】
図13に示すアイソレータ120では、第2電極12は、X-Y面に沿って螺旋状に設けられた第2電極12の最外周において、第1側面SS1および第2側面SS2を有するように設けられる。第2電極12の最外周の内側に位置する部分は、例えば、第2側面SS2が底面BSに直接つながった形状を有する。また、第2電極12の最外周よりも内側に位置する部分において、第2絶縁部22と第1絶縁部21との間には、第2誘電体層31rが設けられず、第1誘電体層31pと第3誘電体層31rとが接した構造となる。
【0084】
例えば、第1電極11と第2電極12との間の電位差に起因した電界集中は、最外周に位置する部分の下端LEにおいて生じる。この例では、最外周に位置する部分に第1側面SS1を設けることにより、この電界集中を緩和し、破壊耐量を向上させることができる。
【0085】
図14は、アイソレータ130の第1電極11の断面を示す模式図である。この例では、第1電極11の第1絶縁部21に対向する上端が面取りされ、第3側面SS3と第4側面SS4とを含む形状となっている。
【0086】
第1電極11は、上面TSと底面BSとをさらに有する。第3側面SS3は、上面TSと第4側面SS4との間に位置し、上面TSおよび第4側面SS4につながるように設けられる。第4側面SS4は、第3側面SS3と底面BSとの間に位置し、第3側面SS3および底面BSにつながるように設けられる。
【0087】
第3側面SS3は、上面TSに対して、下方に傾斜するように設けられる。これにより、第1電極11の上端UEにおける電界集中を緩和することができる。
【0088】
図15(a)~
図15(c)は、実施形態の変形例に係るコイル(第1電極11)の製造方法を表す模式断面図である。
図15(a)~
図15(c)に表された製造過程は、
図4(b)に示す工程に対応する。
【0089】
図15(a)に示すように、開口OP1の内面を含む絶縁部20の表面は、金属層ML1Aにより覆われ(
図4(a)参照)、開口OP1を埋め込んだ金属層ML1Bが設けられる。金属層ML1Bの上面には、エッチングマスクEM4が設けられる。
【0090】
エッチングマスクEM4は、例えば、フォトリソグラフィを用いてパターンニングされたレジスト層である。エッチングマスクEM4は、金属層ML1Bの開口OP1に埋め込まれた部分を覆うように形成される。
【0091】
図15(b)に示すように、熱処理によりエッチングマスクEM4を変形させる。エッチングマスクEM4は、例えば、その軟化点よりも高い温度で熱処理される。これにより、エッチングマスクEM4は、側面が傾斜した形状に変形される。
【0092】
図15(c)に示すように、金属層ML1Bおよび金属層ML1AをエッチングマスクEM4と共にエッチングし、開口OP1を埋め込んだ部分の上にエッチングマスクEM4の形状を転写する。金属層ML1AおよびML1BおよびエッチングマスクEM4は、例えば、それぞれのエッチング速度が略同一となる条件下で、ドライエッチングもしくはイオンミリングを用いてエッチングされる。これにより、上面TSに対して下方に傾斜した第3側面SS3を形成することができる。
【0093】
図14に示す第1電極11は、例えば、
図3、
図12および
図13に示す第2電極12と組み合わせることができる。これにより、アイソレータ100、110および120の破壊耐量をさらに向上させることができる。
【0094】
(第2実施形態)
図16は、第2実施形態に係るアイソレータ200を示す模式断面図である。アイソレータ200では、第1電極11および第2電極12は、それぞれ平板状に設けられ、対向して配置される。アイソレータ200をZ方向に見た時、第1電極11および第2電極12は、例えば、円形、楕円形もしくは多角形の形状に設けられる。例えば、第1電極11と第2電極12は、第1電極11の上面と第2電極12の下面が平行となるように設けられる。
【0095】
アイソレータ200は、磁界の変化に代えて、電界の変化を利用して信号を伝達する。具体的には、第2回路2が第2電極12へ電圧を印加すると、第1電極11と第2電極12との間に電界が発生する。第1回路1は、このときの電極間容量を検出し、検出結果に基づいて信号を生成する。これにより、第1電極11と第2電極12との間で、電流を遮断した状態で信号が伝達される。
【0096】
この例でも、第2電極12は、第1側面SS1と第2側面SS2とを含む。これにより下端LE近傍の電界強度を低減し、第2電極12への電圧の印加時に、アイソレータの破壊が生じる可能性を低減できる。
【0097】
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態に係るアイソレータを表す平面図である。
図18は、第3実施形態に係るアイソレータの断面構造を表す模式図である。
【0098】
第3実施形態に係るアイソレータ300では、
図17に表したように、配線61を介して、第1電極11の外周部の一端が導電体50と電気的に接続されている。第1電極11の他端は、配線60を介して第1回路1と電気的に接続されている。
【0099】
図18に表したように、第1回路1は、基板5中に設けられている。第2回路2は、基板5から離れた基板6中に設けられている。金属層62は、配線63を介して、基板6の上に設けられた金属層69と電気的に接続されている。金属層64は、配線65を介して、基板6の上に設けられた金属層68と電気的に接続されている。第2回路2は、金属層68及び69と電気的に接続されている。
【0100】
アイソレータ300において、基板5より上側の構造には、既に説明した各実施形態に係る構造を適用可能である。これにより、第2電極12の端面の下端近傍における電界強度を低減できる。
【0101】
図19は、第3実施形態の第1変形例に係るアイソレータを表す平面図である。
図20は、
図19のA1-A2断面図である。
図21は、
図19のB1-B2断面図である。
図22は、第3実施形態の第1変形例に係るアイソレータの断面構造を表す模式図である。
【0102】
第1変形例に係るアイソレータ310は、
図19に表したように、第1構造体10-1及び第2構造体10-2を含む。
【0103】
第1構造体10-1は、
図19、
図20、及び
図22に表したように、電極11-1、電極12-1、絶縁部21-1、絶縁部22-1、誘電体部31a、誘電体部41a、誘電体部42a、導電体50a、金属層62a、金属層64a、及び金属層66aを含む。
【0104】
電極11-1、電極12-1、絶縁部21-1、絶縁部22-1、誘電体部31a、誘電体部41a、誘電体部42a、導電体50a、金属層62a、金属層64a、及び金属層66aの構造は、例えば、
図2に表した第1電極11、第2電極12、第1絶縁部21、第2絶縁部22、誘電体部31、誘電体部41、誘電体部42、導電体50、金属層62、金属層64、及び金属層66の構造とそれぞれ同様である。
【0105】
第2構造体10-2は、
図19、
図21、及び
図22に表したように、電極11-2、電極12-2、絶縁部21-2、絶縁部22-2、誘電体部31b、誘電体部41b、誘電体部42b、導電体50b、金属層62b、金属層64b、及び金属層66bを含む。
【0106】
電極11-2、電極12-2、絶縁部21-2、絶縁部22-2、誘電体部31b、誘電体部41b、誘電体部42b、導電体50b、金属層62b、金属層64b、及び金属層66bの構造は、例えば、
図2に表した第1電極11、第2電極12、第1絶縁部21、第2絶縁部22、誘電体部31、誘電体部41、誘電体部42、導電体50、金属層62、金属層64、及び金属層66の構造とそれぞれ同様である。
【0107】
図19に表したように、金属層62aは、配線63によって金属層62bと電気的に接続されている。金属層64aは、配線65によって金属層64bと電気的に接続されている。
【0108】
金属層66aは、配線67aによって別の導電部材と電気的に接続されている。金属層66bは、配線67bによって別の導電部材と電気的に接続されている。
【0109】
図22に表したように、第1回路1は、基板5中に設けられている。第1構造体10-1は、基板5の上に設けられている。第2回路2は、基板6中に設けられている。第2構造体10-2は、基板6の上に設けられている。電極11-1の一端は導電体50aと電気的に接続されている。電極11-1の他端は第1回路1と電気的に接続されている。電極11-2の一端は導電体50bと電気的に接続されている。電極11-2の他端は第2回路2と電気的に接続されている。
【0110】
アイソレータ310において、基板5より上側の構造及び基板6より上側の構造には、既に説明した各実施形態に係る構造を適用可能である。これにより、電極12-1の端面の下端近傍における電界強度を低減できる。また、電極12-2の端面の下端近傍における電界強度を低減できる。
図19~
図22に表したアイソレータ310では、一対の電極11-1及び電極12-1が、一対の電極11-2及び電極12-2と直列に接続されている。換言すると、第1回路1と第2回路2との間は、直列に接続された二対の電極によって、二重に絶縁されている。アイソレータ310によれば、一対の電極によって一重に絶縁された構造に比べて、絶縁信頼性を向上できる。
【0111】
図23は、第3実施形態の第2変形例に係るアイソレータを表す平面図である。
図24は、第3実施形態の第2変形例に係るアイソレータの断面構造を表す模式図である。
【0112】
第3実施形態の第2変形例に係るアイソレータ320は、
図23及び
図24に表したように、第1電極11の両端が第1回路1と電気的に接続されている点で、アイソレータ300と異なる。導電体50は、第1回路1及び第1電極11とは電気的に分離されている。導電体50が基準電位に設定されれば、第1回路1、第1電極11、及び導電体50の間の電気的な接続関係は、適宜変更可能である。
【0113】
図25は、第3実施形態の第3変形例に係るアイソレータを表す模式図である。
第3変形例に係るアイソレータ330は、第1構造体10-1、第2構造体10-2、第3構造体10-3、第4構造体10-4を含む。第1構造体10-1は、電極11-1及び電極12-1を含む。第2構造体10-2は、電極11-2及び電極12-2を含む。第3構造体10-3は、電極11-3及び電極12-3を含む。第4構造体10-4は、電極11-4及び電極12-4を含む。それぞれの電極は、コイルである。第1回路1は、差動ドライバ回路1a、容量C1、及び容量C2を含む。第2回路2は、差動受信回路2a、容量C3、及び容量C4を含む。
【0114】
例えば、差動ドライバ回路1a、容量C1、容量C2、電極11-1、電極11-2、電極12-1、及び電極12-2は、不図示の第1基板の上に形成される。電極11-1の一端は、第1の定電位に接続される。電極11-1の他端は、容量C1に接続される。電極11-2の一端は、第2の定電位に接続される。電極11-2の他端は、容量C2に接続される。
【0115】
差動ドライバ回路1aの一方の出力は、容量C1に接続される。差動ドライバ回路1aの他方の出力は、容量C2に接続される。容量C1は、差動ドライバ回路1aと電極11-1との間に接続される。容量C2は、差動ドライバ回路1aと電極11-2との間に接続される。
【0116】
絶縁部を挟んで電極11-1と電極12-1が積層される。別の絶縁部を挟んで電極11-2と電極12-2が積層される。電極12-1の一端は、電極12-2の一端と接続されている。
【0117】
例えば、差動受信回路2a、容量C3、容量C4、電極11-3、電極11-4、電極12-3、及び電極12-4は、不図示の第2基板の上に形成される。電極11-3の一端は、第3の定電位に接続される。電極11-3の他端は、容量C3に接続される。電極11-4の一端は、第4の定電位に接続される。電極11-4の他端は、容量C4に接続される。
【0118】
差動受信回路2aの一方の入力は、容量C3に接続される。差動受信回路2aの他方の入力は、容量C4に接続される。絶縁部を挟んで電極11-3と電極12-3が積層される。別の絶縁部を挟んで、電極11-4と電極12-4が積層される。電極12-3の一端は、電極12-4の一端と接続されている。電極12-3の他端は、電極12-1の他端と接続される。電極12-4の他端は、電極12-2の他端と接続される。
【0119】
動作について説明する。アイソレータでは、変調された信号が伝送される。
図25では、Vinが変調された信号を表す。信号の変調には、例えば、エッジトリガ方式、又はOn-Off Keying方式が用いられる。いずれの方法においても、Vinは、元の信号を高周波帯にシフトさせた信号である。
【0120】
差動ドライバ回路1aは、Vinに応じて電極11-1及び電極11-2に互いに逆方向の電流i0を流す。電極11-1及び11-2は、互いに逆向きの磁界(H1)を発生する。電極11-1の巻数が電極11-2の巻数と同じときは、発生する磁界の大きさが互いに等しくなる。
【0121】
磁界H1によって電極12-1に生じる誘導電圧は、磁界H1によって電極12-2に生じる誘導電圧と加算される。電極12-1及び12-2に、電流i1が流れる。電極12-1及び12-2は、電極12-3及び電極12-4とそれぞれボンディングワイヤで接続されている。ボンディングワイヤは、例えば金を含む。ボンディングワイヤの直径は、例えば30μmである。
【0122】
電極12-1及び12-2で加算された誘導電圧は、電極12-3及び12-4に印加される。電極12-3及び12-4には、電極12-1および電極12-2に流れる電流i1と同じ値の電流i2が流れる。電極12-3及び12-4は、互いに逆向きの磁界(H2)を発生する。電極12-3の巻数が電極12-4の巻数と同じときは、発生する磁界の大きさが互いに等しくなる。
【0123】
磁界H2によって電極11-3に生じる誘導電圧の方向は、磁界H2によって電極11-4に生じる誘導電圧の方向と逆である。電極11-3及び11-4に電流i3が流れる。また、電極11-3に生じる誘導電圧の大きさは、電極11-4に生じる誘導電圧の大きさと同じである。差動受信回路2aには、電極11-3及び11-4がそれぞれ発生させる誘導電圧の加算が印加され、変調された信号が伝送される。
【0124】
図26は、第4実施形態に係るパッケージを表す斜視図である。
図27は、第4実施形態に係るパッケージの断面構造を表す模式図である。
【0125】
第4実施形態に係るパッケージ400は、
図26に表したように、金属部材81a~81f、金属部材82a~82f、金属層83a~83f、金属層84a~84f、封止部90、及び複数のアイソレータ330を含む。
【0126】
図示した例では、パッケージ400は、4つのアイソレータ330を含む。すなわち、
図25に表した第1構造体10-1~第4構造体10-4の組が、4つ設けられている。
【0127】
複数の第1構造体10-1および第2構造体10-2は、金属部材81aの一部の上に設けられている。例えば、複数の第1構造体10-1および第2構造体10-2は、1つの基板5の上に設けられている。基板5は、金属部材81aと電気的に接続されている。基板5中には、それぞれの第1構造体10-1および第2構造体10-2に対応する複数の第1回路1が設けられている。
【0128】
複数の第3構造体10-3および第4構造体10-4は、金属部材82aの一部の上に設けられている。複数の第3構造体10-3および第4構造体10-4は、1つの基板6の上に設けられている。基板6は、金属部材82aと電気的に接続されている。基板6中には、それぞれの第3構造体10-3および第4構造体10-4に対応する複数の第2回路2が設けられている。
【0129】
金属部材81aは、さらに金属層83aと電気的に接続されている。金属層83aは、各第1構造体10-1および第2構造体10-2の導電体50aと電気的に接続されている。金属部材82aは、さらに金属層84aと電気的に接続されている。金属層84aは、各第3構造体10-3および第4構造体10-4の導電体50bと電気的に接続されている。
【0130】
金属部材81b~81eは、金属層83b~83eとそれぞれ電気的に接続されている。金属層83b~83eは、複数の第1回路1とそれぞれ電気的に接続されている。金属部材81fは、金属層83fと電気的に接続されている。金属層83fは、複数の第1回路1と電気的に接続されている。
【0131】
金属部材82b~82eは、金属層84b~84eとそれぞれ電気的に接続されている。金属層84b~84eは、複数の第2回路2とそれぞれ電気的に接続されている。金属部材82fは、金属層84fと電気的に接続されている。金属層84fは、複数の第2回路2と電気的に接続されている。
【0132】
封止部90は、金属部材81a~81f及び82a~82fのそれぞれの一部、金属層83a~83f、金属層84a~84f、及び複数のアイソレータ330を覆っている。
【0133】
金属部材81a~81fは、端子T1a~T1fをそれぞれ有する。金属部材82a~82fは、端子T2a~T2fをそれぞれ有する。端子T1a~T1f及びT2a~T2fは、封止部90に覆われておらず、外部に露出している。
【0134】
例えば、端子T1a及びT2aは、基準電位に接続される。端子T1b~T1eには、それぞれの第1回路1への信号が入力される。端子T2b~T2eには、それぞれの第2回路2からの信号が出力される。端子T1fは、複数の第1回路1を駆動させるための電源と接続される。端子T2fは、複数の第2回路2を駆動させるための電源と接続される。
【0135】
第4実施形態によれば、パッケージ400においてアイソレータの破壊が生じる可能性を低減できる。ここでは、4つのアイソレータ330が設けられた例を説明したが、パッケージ400には、1つ以上の他のアイソレータが設けられても良い。
【0136】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0137】
1…第1回路、 1a…差動ドライバ回路、 2…第2回路、 2a…差動受信回路、 5、6…基板、 10-1、10-2、10-3、10-4…構造体、 11…第1電極、 12…第2電極、 11c、11d、12a、12b、31f、51a、51b、52a、52b、53a、53b、62、62a、62b、64、64a、64b、66、66a、66b、68、69、83a、83b、83f、84a、84b、84f…金属層、 20、28、29…絶縁部、 21…第1絶縁部、 22…第2絶縁部、 31、31a、31b、41、41a、41b、42、42a、42b…誘電体部、 31p…第1誘電体層、 31q…第2誘電体層、 31r…第3誘電体層、 31qs…側面、 31rs…斜面、 50、50a、50b…導電体、 51…第1導電部、 52…第2導電部、 53…第3導電部、 60、61、63、65、67、67a、67b…配線、 81a、81b、81f、82a、82b、82f…金属部材、 90…封止部、 θ1、θ2…傾斜角、 100、110、120、130、200、300、310、320、330…アイソレータ、 400…パッケージ、 BS…底面、 DL1…誘電体部、 EM1、EM2、EM3、EM4…エッチングマスク、 H1、H2…磁界、 IA…内角、 LE…下端、 ML1、ML1A、ML1B、ML2、ML3、ML4…金属層、 MO1、MO2、MO3、OP1、OP2、OP3、OP4、OP5…開口、 SS1…第1側面、 SS2…第2側面、 SS3…第3側面、 SS4…第4側面、 T1a~T1f、T2a~T2f…端子、 TS…上面、 UE…上端、 i0、i1、i2、i3…電流