IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベーア−ヘラー サーモコントロール ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許-車両用操作装置 図1
  • 特許-車両用操作装置 図2
  • 特許-車両用操作装置 図3
  • 特許-車両用操作装置 図4
  • 特許-車両用操作装置 図5
  • 特許-車両用操作装置 図6
  • 特許-車両用操作装置 図7
  • 特許-車両用操作装置 図8
  • 特許-車両用操作装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】車両用操作装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/02 20060101AFI20240403BHJP
   H01H 13/14 20060101ALI20240403BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20240403BHJP
【FI】
G05G1/02 B
H01H13/14 A
G05G5/03 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022518753
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2020077225
(87)【国際公開番号】W WO2021063944
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2023-08-16
(31)【優先権主張番号】102019126321.2
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508066083
【氏名又は名称】ベーア-ヘラー サーモコントロール ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】クライネ-ホレンホルスト,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】アーレンス,ミヒャエル
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0044660(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102019115186(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/02
H01H 13/14
G05G 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前壁(14)を有する筐体(12)と、
命令の入力のため又は機能の起動のため静止位置から手動で作動可能な少なくとも1つの操作素子(18)と、
手動作動の際に上記操作素子(18)が作用するスイッチング部材(36)を有し、上記操作素子(18)に割り当てられているスイッチ(32)と、
上記筐体(12)内に上記操作素子(18)と間隔をあけて配置された支持素子(24)とを備え、
上記支持素子(24)が、上記操作素子(18)に対向する上面(42)及び上記上面(42)と離れて対向する下面(44)を有する曲げ梁(40)を有し、
上記操作素子(18)に割り当てられた上記スイッチ(32)が、上記曲げ梁(40)に配置されており、
上記静止位置にある上記操作素子(18)に対する上記曲げ梁(40)の曲げ位置を調節するため、かつ上記操作素子(18)が上記スイッチング部材に作用する際に、上記曲げ梁(40)を調節された上記曲げ位置に保持及び安定させるための、上記曲げ梁(40)に作用する調節部材(46)をさらに備え、
上記調節部材(46)が、雌ねじ(56)を有するねじ付きスリーブ(54)と、セルフタッピンねじとして構成されたねじ軸(50)を有する調節ねじ(48)とを有し、上記ねじ付きスリーブ(54)の上記雌ねじ(56)と、上記調節ねじ(48)の上記ねじ軸(50)の雄ねじ(52)とが、等しい又は略等しいピッチを有する車両用操作装置(10)。
【請求項2】
上記ねじ付きスリーブ(54)が、上記支持素子(24)の上記曲げ梁(40)に相対的に位置する参照素子(30)上及び/又は参照素子(30)内に配置されており、上記セルフタッピン調節ねじ(48)の回転の際、上記ねじ軸(50)の端部が、上記曲げ梁(40)に当接し、上記曲げ梁(40)を曲げるために上記曲げ梁(40)に作用することを特徴とする請求項1に記載の操作装置(10)。
【請求項3】
上記セルフタッピン調節ねじ(48)の端部が、凸状に湾曲して構成されていること及び/又は上記ねじ付きスリーブ(54)が、回転しないように形状結合により保持されていることを特徴とする請求項2に記載の操作装置(10)。
【請求項4】
上記セルフタッピン調節ねじ(48)の上記ねじ軸(50)が、上記支持素子(24)の上記曲げ梁(40)に相対的に位置する参照素子(30)上及び/又は参照素子(30)内に回転可能かつ軸方向に保持されており、上記ねじ付きスリーブ(54)が、上記曲げ梁(40)上及び/又は上記曲げ梁(40)内に配置されており、上記セルフタッピン調節ねじ(48)の回転の際、上記曲げ梁(40)が屈曲可能であることを特徴とする請求項1に記載の操作装置(10)。
【請求項5】
上記スイッチ(32)が、上記操作素子(18)からスイッチング経路に沿ってスイッチトリガー位置まで移動可能なスイッチング部材(36)を有し、上記曲げ梁(40)が、上記セルフタッピン調節ねじ(48)により曲げ位置に移動可能かつこの曲げ位置に固定可能であり、上記曲げ位置において、上記筐体(12)、上記操作素子(18)及び上記スイッチ(32)の組立公差及び/又は製造公差を補償しつつ、上記スイッチング経路があらかじめ設定可能な長さを有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の操作装置(10)。
【請求項6】
上記スイッチ(32)が、スイッチトリガー位置において電気的に接続された少なくとも2つの接点を有すること、又は上記スイッチ(32)が、光学式、容量式、抵抗式又は誘導式の変位センサとして構成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の操作装置(10)。
【請求項7】
上記操作素子(18)が作動される際、上記スイッチ(32)を通る上記スイッチング部材の上記操作素子(18)の移動軸の延長上の位置において、上記セルフタッピン調節ねじ(48)が、上記曲げ梁(40)に作用することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の操作装置(10)。
【請求項8】
上記スイッチ(32)が、上記操作素子(18)に対向する上記曲げ梁(40)の上記上面(42)上に配置されており、上記セルフタッピン調節ねじ(48)が、上記上面(42)と離れて対向する上記曲げ梁(40)の上記下面(44)に、上記スイッチ(32)と整合して当接することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の操作装置(10)。
【請求項9】
上記操作素子(18)の有効な手動作動の触覚フィードバックのため、電気的、電気機械的又は電磁的に機能するフィードバックユニットを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の操作装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用操作装置に関し、特に空調設備、ナビゲーション装置、インフォテインメントシステム等の車両部品用の操作装置に関する。特に、本発明は、車両用のヒューマンマシンインターフーイス(HMI)に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用操作装置は、様々な操作概念に従って構成され、設計されている。操作キーを有する操作装置において、キーストロークを可能な限り小さく保つこと(いわゆるショートストロークキー)が望ましい場合がある。特に、操作装置の製造において、操作キー等の押し下げ可能な操作素子やタッチ機能を有する押し下げ可能なディスプレイに、所定の製造公差にもかかわらず、操作素子に割り当てられたスイッチトリガー位置に到達するまで、所望の、特に同じストロークを進ませることが試みられてきた。これは、特にショートストロークキーの場合に課題が多い。
【0003】
操作素子の押し下げストロークを調節可能な操作装置が、米国特許第6919522号明細書、米国特許出願公開第2008/0316064号明細書及び米国特許出願公開第2012/0044660号明細書に記載されている。米国特許出願公開第2012/0044660号明細書に記載の操作装置において、操作キーに割り当てられたスイッチが、スイッチング経路を調節するため、調節ねじにより操作素子の方向に可動のフレキシブルプリント回路基板上に設けられている。米国特許出願公開第2008/0316064号明細書及び米国特許第6919522号明細書に記載の操作装置において、スイッチング経路を調節するための調節ねじが、操作キーに設けられている。
【0004】
独国実用新案第7825480号明細書は、ストロークを調節可能なショートストロークキーを示している。ここでは、領域面とタングとの間のストローク、ひいては特定の接触距離を、伝達率の選択により設定することができる。
【0005】
欧州特許出願公開第3020896号明細書には、キー素子用の調節装置が記載されている。これにより、キー素子の静止位置の微調整が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6919522号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0316064号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0044660号明細書
【文献】独国実用新案第7825480号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3020896号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、公差を補償するようなスイッチトリガー位置の調整を容易にできる構成の車両用操作装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明により提案されるのは、
前壁を有する筐体と、
命令の入力のため又は機能の起動のため静止位置から手動で作動可能な少なくとも1つの操作素子と、
手動作動の際に上記操作素子が作用するスイッチング部材を有し、上記操作素子に割り当てられているスイッチと、
上記筐体内に上記操作素子と間隔をあけて配置された支持素子とを備え、
上記支持素子が、上記操作素子に対向する上面及び上記上面と離れて対向する下面を有する曲げ梁を有し、
上記操作素子に割り当てられた上記スイッチが、上記曲げ梁に配置されており、
上記静止位置にある上記操作素子に対する上記曲げ梁の曲げ位置を調節するため、かつ上記操作素子が上記スイッチング部材に作用する際に、上記曲げ梁を調節された上記曲げ位置に保持及び安定させるための、上記曲げ梁に作用する調節部材をさらに備え、
上記調節部材が、雌ねじを有するねじ付きスリーブと、セルフタッピンねじとして構成されたねじ軸を有する調節ねじとを有し、上記ねじ付きスリーブの上記雌ねじと、上記調節ねじの上記ねじ軸の雄ねじとが、等しい又は略等しいピッチを有する車両用操作装置である。
【0009】
本発明に係る操作装置において、スイッチの位置は、このスイッチに割り当てられた操作素子に対して、工場出荷時に調整することができる。典型的には、操作素子に割り当てられたスイッチが、プリント回路基板上、一般的には筐体において筐体の前壁の後ろに設けられている支持素子に配置されている。プリント回路基板上には、導電路の他に、さらに別の電気及び電子部品が配置されている。スイッチは、例えば、ショートストロークスイッチ又はプリント回路基板上に敷かれた感圧マットとすることができる。容量式、抵抗式、誘導式又は光学式スイッチも、センサ、特に経路センサの形で用いることができる。
【0010】
ここで、本発明によれば、操作素子に割り当てられたスイッチが、支持素子の曲げ梁上に設けられている。支持素子をプリント回路基板として構成する場合、この曲げ梁を、一方の端部がプリント回路基板に一体に接続されており、他方の端部が自由である3面で切削されたウェブとして構成することができる。曲げ梁は、追加の別部品、例えば、タング等の突起物として、支持素子に配置されていてもよい。曲げ梁に調節部材が作用することで、曲げ梁の位置が変化することができる。操作素子の作動時に、スイッチのスイッチング部材が作用され、これによりスイッチング部材又はスイッチを介して曲げ梁に圧力がかかったときに、調節部材は、曲げ梁の想定曲げ位置を安定させる役割も有する。
【0011】
操作ユニットに作用する振動があった場合でも、調節ねじの回転位置が変化しないことが望ましいため、調節ねじは、回転しないようになっていることが望ましい。これに関し、従来の調節ねじでは、接着剤又は固定ワニスが使用されている。本発明により提案される調節部材は、構造的にセルフロック式である。これは、セルフタッピンねじを、雌ねじが設けられたねじ付きスリーブと組み合わせることにより実現される。セルフタッピンねじは、典型的には、360°のねじピッチに亘って複数のピークを持つねじ山を有する。例えば3つのピークを有するセルフタッピンねじは、ねじ山のトライロビュラー形状と呼ばれる。また、セルフタッピンねじのねじ山の半径の輪郭は、一般的な非ねじ切り式のねじや非セルフタッピンねじのように断面において三角形に構成されているのではなく、例えば、インボリュート形状にすることができる。そのようなねじ自体は、(例えば、鋳抜き孔として形成された)止まり穴等にセルフタッピンねじ山を形成するために用いられる。本発明によれば、セルフタッピンねじのねじ係合のため、雌ねじを有するねじ付きスリーブが用いられる。これにより、調節ねじを調節位置に近づけてセルフロックせずとも、セルフタッピンねじをねじ込む際にかかる回転モーメントが減少する。
【0012】
ねじ付きスリーブの内寸に対して、ピーク(及びその数)並びにねじ山の断面形状により形成されたセルフタッピン調節ねじの(外側への)はみ出し分は、セルフタッピン調節ねじをスリーブにねじ込み自己保持効果を得るために必要な回転モーメントによって決定される。
【0013】
ここで、完成した操作装置において、スイッチが操作素子の方向に前進するように曲げ梁を曲げるために、操作素子が静止位置にある状態で、スイッチもしくは曲げ梁に割り当てられた調節部材を調整することで、所望のスイッチトリガー位置の微細な位置合わせを行うことができる。この工程は、スイッチもしくはスイッチのスイッチング部材が、スイッチトリガー位置に位置するまで続けられる。このとき、調節ねじを回転する際、一定程度の最小回転モーメントを超える必要がある。続く戻りの動き、つまり調節部材を所定量だけ再調整することにより、操作素子に対して所望のトリガー経路に応じた距離を置いてスイッチが位置している曲げ位置に、曲げ梁を移動させることができる。作動中、スイッチング部材がスイッチトリガー位置に達するまで、操作素子はトリガー経路の分だけ押し下げる必要がある。ここで調節ねじが巻き戻されると、かかる最小回転モーメントは、先のねじ締め時よりも小さくなるが、調節ねじのセルフロックには十分大きいままである。よって、調節ねじが意図せず回転することを防ぐため、接着剤又は固定ワニス等による安全対策をとる手間を省くことができる。これにより、組立が容易になり、組立コストが削減される。
【0014】
本発明において用いられるセルフタッピン調節ねじは、タッピンねじと呼ばれることもある。本発明において調節ねじとして好適に用いられるセルフタッピンねじは、例えば、ARNOLD UMFORMTECHNIK社により、TAPTITEという商品名で販売されている。
【0015】
操作素子は、典型的には、複数のボタン及び(容量式、抵抗式、光学式又は誘導式)タッチセンサシステムを有する素子である。つまり、上記1つのスイッチが常に、操作素子のボタンのいずれかに触れることにより入力される命令のトリガーとなる。
【0016】
調節部材は、支持素子及び(静止位置にある)操作素子に対して規定かつ不変の位置を有する参照素子に保持もしくは誘導されていると好ましい。
【0017】
つまり、別言すると、上述のように、本発明によれば、スイッチング部材が、操作素子からスイッチング経路に沿ってスイッチトリガー位置まで移動可能であり、曲げ梁が、調節部材により曲げ位置に移動可能かつこの曲げ位置に固定可能であり、曲げ位置において、例えば、スイッチング部材によりスイッチトリガー位置に達するまで操作素子が移動可能なトリガー経路が、筐体、操作素子及びスイッチの組立公差及び/又は製造公差を補償しつつ、あらかじめ設定可能な長さを有することが好適である。
【0018】
調節ねじの別の利点は、スイッチの微細な位置合わせの際、スイッチング部材がスイッチトリガー位置に到達したときに調節部材が戻る量が、ねじピッチが既知の場合、調節ねじの回転量により規定されており、目標通りに近づけることができる。
【0019】
本発明の一態様において、ねじ付きスリーブが、支持素子の曲げ梁と相対的に位置する参照素子に堅固に接続されている又は一体に構成されていることが好適である。これにより、調節ねじの回転により、ねじ軸端が曲げ梁の方向に前進し、曲げ梁を曲げることができ、曲げ梁がその弾性により曲げ戻る際には、ねじ軸は、調節ねじのねじ軸端の位置に従う。ねじ軸が、ねじの全回転を通じて、可能な限り点接触で一定に定められて曲げ梁に当接するように、曲げ梁に接するねじ軸の端部は、適宜凸状に突出して(つまり「半径頂点」を有して)構成されている。
【0020】
上記態様に代わり、調節ねじが、「緩みねじ」として軸方向に位置して参照素子に保持されていてもよく、この場合、調節ねじのねじ軸が、曲げ梁上及び/又は曲げ梁内に固定/実装/一体化されたねじ付きスリーブにねじ係合しており、曲げ梁を二方向に曲げることができる。
【0021】
曲げ梁の曲げもしくは曲げ戻しによるスイッチの微細な位置合わせの際、曲げ梁におけるレバー伝達比を考慮せずに済むように、操作素子による作動時にスイッチング部材の移動の延長上の位置で、調節部材が曲げ梁に作用すると好適である。片側で曲げ梁に当接する調節部材は、曲げ梁を操作素子の方向に曲げるため、また、曲げ戻りの際に曲げ梁を再び解放するため、調節の際に曲げ梁に多少強く作用するが、本発明の好適な態様によれば、スイッチが、操作素子に対向する曲げ梁の上面上に配置されており、調節ねじが、上面と離れて対向する曲げ梁の下面に、スイッチと整合して当接する。
【0022】
本発明の概念によれば、0.4mm未満までのスイッチング経路での操作素子の短い応答が可能になるように、複数のスイッチシステムを一体に配置することもできる。また、極めて短い作動経路(0.3mm未満)を実現することができる。一体のスイッチシステムの公差は、±0.1mm未満まで小さくすることができる。各部品(キー本体、筐体又はフロントパネル上のキーガイド、スイッチ、スイッチング部材)の公差及びその組立公差を補償することができる。
【0023】
本発明の別の好適な態様において、操作装置に触覚フィードバックが備えられていてもよい。操作素子の有効な操作が検知されたことが使用者に伝わると、操作性が向上する。これは、好適には、特に触覚応答により行われる。このような触覚フィードバックは、例えば、機械的、電気機械的又は電気的に実現できる。機械的な触覚フィードバックは、ディスプレイをアクチュエータにより、パルスで機械的に励起することにより実現できる。また、ディスプレイもしくはディスプレイのカバーガラスに、屈曲波を与えることにより触覚フィードバックを実現することもできる。さらに、触覚フィードバックは、局所的に生成された電界により純粋に電気的に機能するものとして実現することもできる。
【0024】
一般的に言えば、本発明により提案される調節部材により、被検出素子に対する検出器の位置を調節することができ、検出器は、曲げ梁上に配置されている。つまり、本明細書に記載の実施形態においては、スイッチが検出器であり、被検出素子が、広義には、押し下げが検出される操作素子である。検出器は、機械的接触に反応してもよいし、非接触で機能してもよい。
【0025】
以下、実施形態を用い、図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、操作装置の正面(斜視)図である。
図2図2は、図1のII-IIにおける操作装置の断面図である。
図3図3は、図2の領域III-IIIにおける断面図である。
図4-7】図4から図7は、(操作素子に対する)スイッチシステムの微細な位置合わせにおける各段階を示す図である。
図8-9】図8及び図9は、調節ねじのセルフタッピンねじ軸の断面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1から図3に、操作装置10の実施形態の基本構成を示す。本実施形態において、操作装置10は、筐体12を有し、その前壁14に、例えば、ディスプレイ16と、3つの操作パネル20,21,22を有する帯状の操作素子18とが設けられている。筐体12内には、様々な電気及び電子部品用の支持素子24が設けられている。この支持素子24は、典型的にはプリント回路基板26である。筐体12は、本実施形態において参照素子30の機能も兼ねる後壁28をさらに有する。これについては後述する。
【0028】
図2及び図3の断面図によれば、本実施形態において、操作素子18の下方に、スイッチ筐体34及びスイッチング部材36を有する機械的スイッチ32が設けられている。この場合、スイッチング部材36は、例えば、押し下げられたときに、2つの接触フィールドを電気的に接続するための導電性素子を動かすプランジャとして構成されている。操作素子18が作動されると、操作パネル20,21,22のいずれが、手の指等で触れられているかが(例えば、容量式)センサにより検知され、スイッチ32が起動して触れられた操作パネルに応じた命令が実行される。
【0029】
スイッチ32は、支持素子24の例えばU字型の切欠き38を有する領域に設けられている。このようにして、操作素子18に対向する上面42上にスイッチ32が設けられている曲げ梁40が形成される。
【0030】
ねじ軸50及び雄ねじ52を有するセルフタッピン調節ねじ48として、雌ねじ56を有する金属ねじ付きスリーブ54と組み合わされて構成されている調節部材46が、曲げ梁40の下面44に作用する(図4も参照)。調節ねじ48は、例えば、材料として鋼鉄を有し、ねじ付きスリーブ54は、調節ねじ48の材料に対して「より柔らかい」真鍮等の金属からなる。調節ねじ48のねじ軸50が、後壁28に埋め込まれたねじ付きスリーブ54にねじ係合されている。ねじ付きスリーブ54は、典型的には後壁28のプラスチック材料によりオーバーモールドされることで、射出成型技術により後壁28に組み込まれており、その外側で(例えば、ローレット加工により生じる)比較的大きな表面粗さを有するため、プラスチック材料とねじ付きスリーブ54とが噛み合うことで、調節ねじ48を締めたり緩めたりする際にセルフタッピン調節ねじ48とねじ付きスリーブ54との組み合わせにより生じる回転モーメントが高まった場合も、ねじ付きスリーブ54が回転しないように設置又は保持されている。特に、調節ねじ48の凸状に突出するねじ軸端58が、スイッチ32の反対側の曲げ梁40の下面に当接することで作用することが好ましい。
【0031】
図2において、スイッチ32が操作素子18の静止位置に対して所望の位置にあるように、曲げ梁40が操作素子18の方向に曲げられている。この間隔をあけた位置関係により、操作素子18が、所望の距離だけ押し下げられた後、スイッチ32を起動することになる。操作素子18は、ロッキングフック又はスナップフック等の公知の方法により、筐体12から外に出ないようになっている。
【0032】
以下、操作素子18及び関連するスイッチ32からなる本発明に係るスイッチシステムの微細な位置合わせの手順について、図4から図7を用いて簡単に説明する。
【0033】
位置合わせ工程の開始時において、スイッチ32(この場合、スイッチ筐体34)は、静止位置にある操作素子18の下面に対し、所望のトリガー経路a(図7参照)より大きい距離x(図4及び図5参照)だけ離れて置かれている。そして、調節ねじ48により曲げ梁40が操作素子18の方向に曲げられることにより、スイッチ32が操作素子18の下面に向かって移動する。ここで、調節ねじ48は、一定程度の最小回転モーメントを超えながら、ねじ付きスリーブ54にねじ込まれる又は螺合される必要がある。調整もしくは曲げ経路bを進むと、スイッチ32が起動する(図5参照)。スイッチング信号は、例えば、操作装置10の組立終了時に、デバイス試験インターフェースを介して読み込まれ、これにより、例えば自動的に行われる調節ねじ48のさらなる作動が完了する。ここで、スイッチ32がいつ起動するかがわかる。
【0034】
この状況では、スイッチシステムが、オン状態であり、隙間なく操作装置内に配置されている。なお、このとき、スイッチ32が、ブロックされた状態にないことが望ましく、これにより、スイッチ32が機械的に保護される。
【0035】
つまり、別言すると、図5の状況にあるとき、本システムにおけるスイッチ32の(隙間のない)スイッチング点の位置がわかる。
【0036】
逆に言えば、(ねじピッチが既知である)調節ねじ48を意図的に再調節することにより、スイッチシステムの正確なスイッチング経路(トリガー経路)を隙間なく設定できる。このように調節ねじ48を巻き戻して再調節することで、スイッチ32が最終位置に移動する。上記最終位置には、操作素子18が押し下げられる際に、スイッチ32のスイッチング部材36がスイッチトリガー位置まで移動し、それにより操作素子18がトリガー経路aだけ移動している(図7参照)。先のねじ締め時よりも小さいながらも十分に大きい最小回転モーメントを超えながら、調節ねじ48が巻き戻されることで、調節ねじ48の最終設定位置で確実に自動ロックされる。
【0037】
セルフタッピン調節ねじ48の形状の一例を、図8及び図9に示す。図面によれば、調節ねじ48は、その断面に関してトライロビュラー形状を有する。ねじ軸端58は、わずかに先細になっており、必ずしもトライロビュラー形状ではないセンタリングねじ山もしくはガイドねじ山を有する。トライロビュラー形状を有するセルフタッピン調節ねじは、例えば、市販品では、TAPTITE 2000やDUO TAPTITE 2000等が公知である。
【0038】
また、調節部材46が、位置合わせ後の曲げ位置に曲げ梁40を安定させる。
【0039】
上述の方法及び上記操作装置の構成、すなわち操作素子18及びスイッチ32からなるスイッチシステム並びに曲げ梁40により、この機械的「一体システム」の公差チェーンをゼロに減らすことが可能である。部品の公差が大きく、一体の公差チェーンが大きい場合であっても、短いスイッチング経路を補償することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 操作装置
12 筐体
14 前壁
16 ディスプレイ
18 操作素子
20 操作パネル
21 操作パネル
22 操作パネル
24 支持素子
26 プリント回路基板
28 後壁
30 参照素子
32 スイッチ
34 スイッチ筐体
36 スイッチング部材
38 切欠き
40 曲げ梁
42 上面
44 下面
46 調節部材
48 調節ねじ
50 ねじ軸
52 ねじ軸の雄ねじ
54 ねじ付きスリーブ
56 ねじ付きスリーブの雌ねじ
58 ねじ軸端
x 距離
a トリガー経路
b 曲げ経路

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9