(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】血管画像の処理方法、システム、コンピューティングデバイス及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20240403BHJP
A61B 5/026 20060101ALI20240403BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240403BHJP
A61B 1/313 20060101ALI20240403BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240403BHJP
【FI】
G06T1/00 290
A61B5/026 140
A61B1/00 526
A61B1/00 530
A61B1/313 510
G06T7/00 612
(21)【出願番号】P 2022551536
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(86)【国際出願番号】 CN2020087304
(87)【国際公開番号】W WO2021208140
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】202010289747.9
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518198842
【氏名又は名称】上海博動医療科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI PULSE MEDICAL TECHNOLOGY, INC.
【住所又は居所原語表記】A6,Building 1,No.900 Yishan Road,Xuhui District,Shanghai, China
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100122345
【氏名又は名称】高山 繁久
(72)【発明者】
【氏名】塗聖賢
(72)【発明者】
【氏名】李瑩光
(72)【発明者】
【氏名】余▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】呉鵬
(72)【発明者】
【氏名】頼崎▲てい▼
(72)【発明者】
【氏名】陳樹湛
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-057857(JP,A)
【文献】特開2008-168016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
A61B 5/026
A61B 1/00
A61B 1/313
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管画像の処理方法であって、
関心血管セグメントの映像データを取得するステップと、
前記関心血管セグメントの血流パラメータを取得するステップと、
前記関心血管セグメントの映像データを検出して分析することで、前記関心血管セグメントの管腔輪郭パラメータ、及び中膜輪郭パラメータを含む参照情報を得るステップと、
前記中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するステップと、
前記血流パラメータ、前記参照情報及び前記参照管腔情報に基づいて前記関心血管セグメントの血流予備量比値を算出するステップと、を含むことを特徴とする血管画像の処理方法。
【請求項2】
前記中膜輪郭パラメータに基づいて前記参照管腔情報を取得するステップは、
前記中膜輪郭パラメータに基づいて近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを取得し、前記近位端正常フレーム及び前記遠位端正常フレームに基づいて前記参照管腔情報を算出するステップ、
又は、
前記関心血管セグメントの正常内膜の厚さを取得し、前記中膜輪郭パラメータ及び前記正常内膜の厚さに基づいて前記参照管腔情報を得るステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の血管画像の処理方法。
【請求項3】
前記参照情報は前記関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、前記側枝血管セグメントパラメータは前記管腔輪郭パラメータから算出され、
前記中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するステップは、
前記中膜輪郭パラメータに基づいて近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを取得し、前記側枝血管セグメントパラメータ、前記近位端正常フレーム及び前記遠位端正常フレームに基づいて前記参照管腔情報を算出するステップ、
又は、
前記側枝血管セグメントパラメータに基づいて前記関心血管セグメントを複数のサブセグメントに分け、
前記中膜輪郭パラメータに基づいて各前記サブセグメント内の正常フレームを得て、
各前記サブセグメント内の正常フレームに基づいて前記参照管腔情報を得るステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の血管画像の処理方法。
【請求項4】
前記参照管腔情報及び前記側枝血管セグメントパラメータに基づいて各側枝での校正値を計算するステップと、
前記関心血管セグメントのグラフを表示し、前記側枝血管セグメントパラメータに基づいて各前記側枝を前記グラフの対応する位置に表示するステップと、
及び/又は前記側枝の横断面輪郭を表示し、前記校正値を表示するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の血管画像の処理方法。
【請求項5】
前記関心血管セグメントの血管位置を取得するステップと、
前記血管位置に基づいて前記血流予備量比値を修正するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の血管画像の処理方法。
【請求項6】
前記参照情報は前記関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、前記側枝血管セグメントパラメータは前記管腔輪郭パラメータから算出され、
前記血管位置に基づいて前記関心血管セグメントの血管タイプを得るステップと、
前記血管タイプが分岐モデルである場合、
前記側枝血管セグメントパラメータに基づいて前記関心血管セグメントの分岐節点情報
を取得するステップと、
前記関心血管セグメントの縦断面ビューを表示するステップと、
前記分岐節点情報に基づいて、前記縦断面ビューにおいて異なる色で前記関心血管セグメントの本幹及び分枝を表現するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の血管画像の処理方法。
【請求項7】
関心血管セグメントの映像データを取得する前記ステップは、
目標血管の映像データ及び対応する層厚さ及び画素サイズを含む収集パラメータを取得するステップと、
前記目標血管の映像データ及び前記収集パラメータに基づいて前記目標血管の画像を再構成して表示するステップと、
前記画像中の選定された関心血管セグメントの映像データを取得するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の血管画像の処理方法。
【請求項8】
前記目標血管の映像データ及び前記収集パラメータに基づいて前記目標血管の画像を再構成して表示するステップは、
前記目標血管の映像データに対して再サンプリング及び再ソートを行い、
再ソートされた前記目標血管の映像データ及び前記収集パラメータに基づいて前記目標血管の画像を再構成して表示するステップ、
又は、
前記目標血管の映像データ及び前記収集パラメータに基づいて前記目標血管の画像を再構成し、
前記目標血管の画像をレジストレーションすることで、前記目標血管の映像データの収集過程における誤差を校正し、
レジストレーションされた画像を表示するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の血管画像の処理方法。
【請求項9】
前記参照情報はステント情報をさらに含み、
前記関心血管セグメントのステントパラメータを取得するステップと、
前記ステントパラメータに基づい
てステントを検出して前記ステントを再構成し、前記ステントを評価してステント位置及びステント輪郭情報を含む前記ステント情報を得るステップと、
前記関心血管セグメントの縦断面ビューを表示するステップと、
前記ステント情報に基づいて前記縦断面ビューにおいて疑似カラーバーで前記ステントを表現するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の血管画像の処理方法。
【請求項10】
前記参照管腔情報及び前記参照情報に基づいて狭窄率が閾値よりも大きい第1特徴血管セグメントを定量化するステップと、
前記関心血管セグメントのグラフを表示するステップと、
前記グラフにおける前記狭窄率が設定区間にある第1特徴血管セグメントをマークするステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の血管画像の処理方法。
【請求項11】
前記関心血管セグメントが第2特徴を含む場合、前記参照情報は第2特徴情報をさらに含み、
前記参照情報に基づいて前記関心血管セグメント及び前記第2特徴を再構成して表示するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の血管画像の処理方法。
【請求項12】
前記参照情報に基づいて前記関心血管セグメントの縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭を表示するステップと、
前記縦断面輪郭及び/又は前記横断面輪郭を調整するステップと、
調整後の前記縦断面輪郭及び/又は前記横断面輪郭に基づいて前記参照情報、及び/又は前記参照管腔情報、及び前記血流予備量比値を更新するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の血管画像の処理方法。
【請求項13】
疑似カラーの形式で前記血流予備量比値を前記関心血管セグメントのグラフに表示するステップと、
及び/又は前記関心血管セグメントのグラフを表示し、シミュレートされた
引き抜き曲線をオーバーレイ表示するステップと、
及び/又は前記関心血管セグメントを三次元再構成し、三次元再構成後の前記関心血管セグメントを表示するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の血管画像の処理方法。
【請求項14】
血管画像の処理システムであって、
関心血管セグメントの映像データ及び前記関心血管セグメントの血流パラメータを取得するための取得モジュールと、
前記関心血管セグメントの映像データを検出して分析することで、前記関心血管セグメントの管腔輪郭パラメータ、及び中膜輪郭パラメータを含む参照情報を得る、前記参照情報は分析モジュールと、
前記中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するための第1計算ユニット、及び前記血流パラメータ、前記参照情報及び前記参照管腔情報に基づいて前記関心血管セグメントの血流予備量比値を算出するための第2計算ユニットを備える計算モジュールと、を備えることを特徴とする血管画像の処理システム。
【請求項15】
前記第1計算ユニットは、前記中膜輪郭パラメータに基づいて近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを取得するための正常フレーム抽出ユニットと、前記近位端正常フレーム及び前記遠位端正常フレームに基づいて前記参照管腔情報を算出するための参照管腔計算ユニットと、を備えることを特徴とする請求項14に記載の血管画像の処理システム。
【請求項16】
前記取得モジュールはさらに、前記関心血管セグメントの正常内膜の厚さを取得することに用いられ、前記第1計算ユニットは前記中膜輪郭パラメータ及び前記正常内膜の厚さに基づいて前記参照管腔情報を得ることを特徴とする請求項14に記載の血管画像の処理システム。
【請求項17】
前記参照情報は前記関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、前記側枝血管セグメントパラメータは前記分析モジュールによって前記管腔輪郭パラメータに基づいて算出され、前記第1計算ユニットは正常フレーム抽出ユニット及び参照管腔計算ユニットを備え、
前記正常フレーム抽出ユニットは、前記中膜輪郭パラメータに基づいて近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを取得することに用いられ、前記参照管腔計算ユニットは、前記側枝血管セグメントパラメータ、前記近位端正常フレーム及び前記遠位端正常フレームに基づいて前記参照管腔情報を算出することに用いられ、
又は、
前記正常フレーム抽出ユニットは、前記側枝血管セグメントパラメータに基づいて前記関心血管セグメントを複数のサブセグメントに分け、前記中膜輪郭パラメータに基づいて各前記サブセグメント内の正常フレームを得ることに用いられ、前記参照管腔計算ユニットは、各前記サブセグメント内の正常フレームに基づいて前記参照管腔情報を得ることに用いられることを特徴とする請求項14に記載の血管画像の処理システム。
【請求項18】
第1表示モジュールをさらに備え、前記計算モジュールは、前記参照管腔情報及び前記側枝血管セグメントパラメータに基づいて各側枝での校正値を計算するための第3計算ユニットをさらに備え、前記第1表示モジュールは、前記関心血管セグメントのグラフを表示し、前記側枝血管セグメントパラメータに基づいて各前記側枝を前記グラフの対応する位置に表示することに用いられ、及び/又は前記第1表示モジュールはさらに、前記側枝の横断面輪郭を表示し、前記校正値を表示することに用いられることを特徴とする請求項17に記載の血管画像の処理システム。
【請求項19】
修正モジュールをさらに備え、前記取得モジュールはさらに、前記関心血管セグメントの血管位置を取得することに用いられ、前記修正モジュールは、前記血管位置に基づいて前記関心血管セグメントの血流予備量比値を修正することに用いられることを特徴とする請求項14に記載の血管画像の処理システム。
【請求項20】
第2表示モジュールをさらに備え、前記参照情報は前記関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、前記側枝血管セグメントパラメータは前記管腔輪郭パラメータから算出され、前記取得モジュールはさらに、前記血管位置に基づいて前記関心血管セグメントの血管タイプを取得することに用いられ、前記血管タイプが分岐モデルである場合、前記分析モジュールは前記側枝血管セグメントパラメータに基づいて前記関心血管セグメントの分岐節点情報を取得し、前記第2表示モジュールは前記関心血管セグメントの縦断面ビューを表示し、前記分岐節点情報に基づいて、前記縦断面ビューにおいて異なる色で前記関心血管セグメントの本幹及び分枝を表現することを特徴とする請求項19に記載の血管画像の処理システム。
【請求項21】
前記取得モジュールは第1取得ユニット、第2取得ユニット、再構成計算ユニット及び表示ユニットを備え、前記第1取得ユニットは、目標血管の映像データ及び対応する収集パラメータを取得することに用いられ、前記収集パラメータは層厚さ及び画素サイズを含み、前記再構成計算ユニットは、前記目標血管の映像データ及び前記収集パラメータに基づいて再構成計算を行うことに用いられ、前記表示ユニットは、再構成後の前記目標血管の画像を表示することに用いられ、前記第2取得ユニットは、前記画像中の選定された関心血管セグメントの映像データを取得することに用いられることを特徴とする請求項14に記載の血管画像の処理システム。
【請求項22】
前記取得モジュールは、前記第1取得ユニットが取得した目標血管の映像データに対して再サンプリング及び再ソートを行うための再サンプリングユニットをさらに備え、前記再構成計算ユニットは、再ソートされた前記目標血管の映像データ及び前記収集パラメータに基づいて再構成計算を行うことに用いられ、
又は、
前記取得モジュールは、前記目標血管の画像をレジストレーションすること
で、前記目標血管の映像データの収集過程における誤差を校正するためのレジストレーションユニットをさらに備え、前記表示ユニットは、レジストレーションされた画像を表示することに用いられることを特徴とする請求項21に記載の血管画像の処理システム。
【請求項23】
第3表示モジュールをさらに備え、前記参照情報はステント情報をさらに含み、前記取得モジュールはさらに、前記関心血管セグメントのステントパラメータを取得することに用いられ、前記分析モジュールはさらに、前記ステントパラメータに基づい
てステントを検出して前記ステントを再構成し、前記ステントを評価して前記ステント情報を得ることに用いられ、前記ステント情報はステント位置及びステント輪郭情報を含み、前記第3表示モジュールは、前記関心血管セグメントの縦断面ビューを表示し、前記ステント情報に基づいて前記縦断面ビューにおいて疑似カラーバーで前記ステントを表現することに用いられることを特徴とする請求項14に記載の血管画像の処理システム。
【請求項24】
第4表示モジュールをさらに備え、前記計算モジュールは、前記参照管腔情報及び前記参照情報に基づいて狭窄率が閾値よりも大きい第1特徴血管セグメントを定量化するための第4計算ユニットをさらに備え、前記第4表示モジュールは、前記関心血管セグメントのグラフを表示し、前記グラフにおける前記狭窄率が設定区間にある第1特徴血管セグメントをマークすることに用いられることを特徴とする請求項14に記載の血管画像の処理システム。
【請求項25】
第5表示モジュールをさらに備え、前記関心血管セグメントが第2特徴を含む場合、前記参照情報は第2特徴情報をさらに含み、前記分析モジュールはさらに、前記参照情報に基づいて前記関心血管セグメント及び前記第2特徴を再構成することに用いられ、前記第5表示モジュールは、前記関心血管セグメント及び前記第2特徴を表示することに用いられることを特徴とする請求項14に記載の血管画像の処理システム。
【請求項26】
調整モジュールをさらに備え、前記調整モジュールは表示ユニット、調整ユニット及び更新ユニットを備え、前記表示ユニットは、前記参照情報に基づいて前記関心血管セグメントの縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭を表示することに用いられ、前記調整ユニットは、前記縦断面輪郭及び/又は前記横断面輪郭を調整することに用いられ、前記更新ユニットは、調整後の前記縦断面輪郭及び/又は前記横断面輪郭に基づいて前記参照情報、及び/又は前記参照管腔情報、及び前記血流予備量比値を更新することに用いられることを特徴とする請求項14に記載の血管画像の処理システム。
【請求項27】
疑似カラーの形式で前記血流予備量比値を前記関心血管セグメントのグラフに表示し、及び/又は前記関心血管セグメントのグラフを表示し、シミュレートされた
引き抜き曲線をオーバーレイ表示し、及び/又は前記関心血管セグメントを三次元再構成し、三次元再構成後の前記関心血管セグメントを表示するための第6表示モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の血管画像の処理システム。
【請求項28】
コンピューティングデバイスであって、
様々な命令を実現するためのプロセッサと、
前記プロセッサによりロードされて請求項1~13のいずれか1項に記載の血管画像の処理方法を実行するための複数の命令を記憶するためのメモリと、を備えることを特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項29】
記憶媒体であって、プロセッサによりロードされて請求項1~13のいずれか1項に記載の血管画像の処理方法を実行するための複数の命令が記憶されることを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療分野に関し、特に血管画像の処理方法、システム、コンピューティングデバイス及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
血管狭窄は心筋への血流供給に影響を及ぼし、冠動脈造影により、冠動脈狭窄の重症度を示すことはできるが、血管の機能的変化を反映することはできない。血管圧力差とは、関心血管セグメントの近位端終点と遠位端終点との圧力差であり、血管の血液供給機能状態を効果的に反映することができる。
【0003】
しかしながら、血管圧力差の測定は従来から難点とされている。圧力センサによる血管の侵襲的な圧力測定は作業量が大きいだけでなく、血管を損傷するリスクも存在する。三次元又は二次元の定量的冠動脈造影により、冠動脈系の幾何学的モデルを取得することができる。さらに再構成された冠動脈系の幾何学的モデルに対してコンピュータによる流体力学分析を行い、複雑な流体力学方程式を解くには膨大な計算量が必要である。冠動脈狭窄の長さと狭窄率を固定値とする方法もあり、このようにして、計算結果の精度が低下してしまう。
【0004】
従来技術では、CN107115108Aには、血管画像に基づいて血管圧力差を迅速に計算する方法が開示されている。
【発明の概要】
【0005】
出願人は、従来技術では血管画像に基づく血管圧力差の計算が不正確であるという問題があることを見出した。出願人はさらに、従来技術では血管における管腔輪郭パラメータに基づいて参照管腔を計算するため、血管内にいくつかの特徴がある場合、例えば管腔と中膜との間にプラークがある場合、プラークの圧迫により管腔が大きく変形し、これにより取得した参照管腔と理想的な参照管腔との偏差は大きく、特に血管セグメント全体にわたってプラークがある場合、管腔により正確な参照管腔を取得できず、さらに血管圧力差の計算が不正確であることにつながることを見出した。
【0006】
従って、管腔と中膜との間にプラークが発生する場合に従来の管腔の使用に起因する血管圧力差の計算における誤差が生じることをどのように解決するかは、現在新たな課題となっており、早急に解決を要する現実的な問題にもなっている。このため、本出願人は、創造的な実験及びシミュレーションを何度も繰り返したところ、従来の計算方法では中膜輪郭パラメータの概念を導入し、従来技術における管腔パラメータではなく該中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得し、この革新的なパラメータの導入及び計算方法により、精度等が実際の需要を満たす理想的な関心血管セグメントの血流予備量比値を取得したことを見出し(その原因は、血管セグメント全体にわたってプラーク等の病変が存在する場合、従来の計算方法では実際の管腔の適切な位置又は正確な位置を見つけて正確な参照管腔を取得することはできないが、中膜輪郭パラメータを使用して正確な参照管腔を取得することができ、例えば、中膜の輪郭から正常な内膜の厚さを引いたものは参照管腔の対応する輪郭であることにある)、従って、本発明が提出した新たな技術的解決手段は、従来技術における血管圧力差の計算が不正確であるという技術的難題を克服する。
【0007】
本発明は、従来技術における血管圧力差の計算が不正確であるという問題を解決するために、血管画像の処理方法を提供することを目的とする。
【0008】
上記技術課題を解決するために、本発明の実施形態は、関心血管セグメントの映像データを取得するステップと、関心血管セグメントの血流パラメータを取得するステップと、関心血管セグメントの映像データを検出して分析することで、関心血管セグメントの管腔輪郭パラメータ、及び中膜輪郭パラメータを含む参照情報を得るステップと、中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するステップと、血流パラメータ、参照情報及び参照管腔情報に基づいて関心血管セグメントの血流予備量比値を算出するステップと、を含む血管画像の処理方法を開示する。
【0009】
上記技術的解決手段によれば、血管圧力差のより正確な計算を実現することができる。
【0010】
好ましくは、中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するステップは、中膜輪郭パラメータに基づいて近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを取得するステップと、近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームに基づいて参照管腔情報を算出するステップと、を含む。
【0011】
好ましくは、中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するステップは、関心血管セグメントの正常内膜の厚さを取得するステップと、中膜輪郭パラメータ及び正常内膜の厚さに基づいて参照管腔情報を得るステップと、を含む。
【0012】
好ましくは、参照情報は関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、側枝血管セグメントパラメータは管腔輪郭パラメータから算出され、中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するステップは、中膜輪郭パラメータに基づいて近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを取得するステップと、側枝血管セグメントパラメータ、近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームに基づいて参照管腔情報を算出するステップと、を含む。
【0013】
好ましくは、参照情報は関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、側枝血管セグメントパラメータは管腔輪郭パラメータから算出され、中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するステップは、側枝血管セグメントパラメータに基づいて関心血管セグメントを複数のサブセグメントに分けるステップと、中膜輪郭パラメータに基づいて各サブセグメント内の正常フレームを得るステップと、各サブセグメント内の正常フレームに基づいて参照管腔情報を得るステップと、を含む。
【0014】
好ましくは、血管画像の処理方法は、参照管腔情報及び側枝血管セグメントパラメータに基づいて各側枝での校正値を計算するステップと、関心血管セグメントのグラフを表示し、側枝血管セグメントパラメータに基づいて各側枝をグラフの対応する位置に表示するステップと、及び/又は側枝の横断面輪郭を表示し、校正値を表示するステップとをさらに含む。
【0015】
好ましくは、血管画像の処理方法は、関心血管セグメントの血管位置を取得するステップと、血管位置に基づいて血流予備量比値を修正するステップと、をさらに含む。
【0016】
好ましくは、参照情報は関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、側枝血管セグメントパラメータは管腔輪郭パラメータから算出され、血管画像の処理方法は、血管位置に基づいて関心血管セグメントの血管タイプを得るステップと、血管タイプが分岐モデルである場合、側枝血管セグメントパラメータに基づいて関心血管セグメントの分岐節点情報を取得するステップと、関心血管セグメントの縦断面ビューを表示するステップと、分岐節点情報に基づいて、縦断面ビューにおいて異なる色で関心血管セグメントの本幹及び分枝を表現するステップと、をさらに含む。
【0017】
好ましくは、関心血管セグメントの映像データを取得するステップは、目標血管の映像データ及び対応する層厚さ及び画素サイズを含む収集パラメータを取得するステップと、目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて目標血管の画像を再構成して表示するステップと、画像中の選定された関心血管セグメントの映像データを取得するステップと、を含む。
【0018】
好ましくは、目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて目標血管の画像を再構成して表示するステップは、目標血管の映像データに対して再サンプリング及び再ソートを行うステップと、再ソートされた目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて目標血管の画像を再構成して表示するステップと、を含む。
【0019】
好ましくは、目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて目標血管の画像を再構成して表示するステップは、目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて目標血管の画像を再構成するステップと、目標血管の画像をレジストレーションすることで、目標血管の映像データの収集過程における誤差を校正するステップと、レジストレーションされた画像を表示するステップと、を含む。
【0020】
好ましくは、参照情報はステント情報をさらに含み、血管画像の処理方法は、関心血管セグメントのステントパラメータを取得するステップと、ステントパラメータに基づいてステントを検出してステントを再構成し、ステントを評価してステント位置及びステント輪郭情報を含むステント情報を得るステップと、関心血管セグメントの縦断面ビューを表示するステップと、ステント情報に基づいて縦断面ビューにおいて疑似カラーバーでステントを表現するステップと、をさらに含む。
【0021】
好ましくは、血管画像の処理方法は、参照管腔情報及び参照情報に基づいて狭窄率が閾値よりも大きい第1特徴血管セグメントを定量化するステップと、関心血管セグメントのグラフを表示するステップと、グラフにおける狭窄率が設定区間にある第1特徴血管セグメントをマークするステップと、をさらに含む。
【0022】
好ましくは、関心血管セグメントが第2特徴を含む場合、参照情報は第2特徴情報をさらに含み、血管画像の処理方法は、参照情報に基づいて関心血管セグメント及び第2特徴を再構成して表示するステップをさらに含む。
【0023】
好ましくは、血管画像の処理方法は、参照情報に基づいて関心血管セグメントの縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭を表示するステップと、縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭を調整するステップと、調整後の縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭に基づいて、参照情報、及び/又は参照管腔情報、及び血流予備量比値を更新するステップと、をさらに含む。
【0024】
好ましくは、血管画像の処理方法は、疑似カラーの形式で血流予備量比値を関心血管セグメントのグラフに表示するステップと、及び/又は関心血管セグメントのグラフを表示し、シミュレートされた後退曲線をオーバーレイ表示するステップと、及び/又は関心血管セグメントを三次元再構成し、三次元再構成後の関心血管セグメントを表示するステップとをさらに含む。
【0025】
本発明の実施形態は、関心血管セグメントの映像データ及び関心血管セグメントの血流パラメータを取得するための取得モジュールと、関心血管セグメントの映像データを検出して分析することで、関心血管セグメントの管腔輪郭パラメータ、及び中膜輪郭パラメータを含む参照情報を得る、参照情報は分析モジュールと、中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するための第1計算ユニット、及び血流パラメータ、参照情報及び参照管腔情報に基づいて関心血管セグメントの血流予備量比値を算出するための第2計算ユニットを含む計算モジュールと、を備える血管画像の処理システムをさらに開示する。
【0026】
上記技術的解決手段を採用した処理システムは、血管圧力差のより正確な計算を実現することができる。
【0027】
好ましくは、第1計算ユニットは、中膜輪郭パラメータに基づいて近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを取得するための正常フレーム抽出ユニットと、近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームに基づいて参照管腔情報を算出するための参照管腔計算ユニットと、を備える。
【0028】
好ましくは、取得モジュールはさらに、関心血管セグメントの正常内膜の厚さを取得することに用いられ、第1計算ユニットは中膜輪郭パラメータ及び正常内膜の厚さに基づいて参照管腔情報を得る。
【0029】
好ましくは、参照情報は関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、側枝血管セグメントパラメータは分析モジュールによって管腔輪郭パラメータに基づいて算出され、第1計算ユニットは、中膜輪郭パラメータに基づいて近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを取得するための正常フレーム抽出ユニットと、側枝血管セグメントパラメータ、近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームに基づいて参照管腔情報を算出するための参照管腔計算ユニットと、を備える。
【0030】
好ましくは、参照情報は関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、側枝血管セグメントパラメータは分析モジュールによって管腔輪郭パラメータに基づいて算出され、第1計算ユニットは、側枝血管セグメントパラメータに基づいて関心血管セグメントを複数のサブセグメントに分けて、中膜輪郭パラメータに基づいて各サブセグメント内の正常フレームを得るための正常フレーム抽出ユニットと、各サブセグメント内の正常フレームに基づいて参照管腔情報を得るための参照管腔計算ユニットと、を備える。
【0031】
好ましくは、血管画像の処理システムは第1表示モジュールをさらに備え、計算モジュールは、参照管腔情報及び側枝血管セグメントパラメータに基づいて各側枝での校正値を計算するための第3計算ユニットをさらに備え、第1表示モジュールは、関心血管セグメントのグラフを表示し、側枝血管セグメントパラメータに基づいて各側枝をグラフの対応する位置に表示することに用いられ、及び/又は第1表示モジュールはさらに、側枝の横断面輪郭を表示し、校正値を表示することに用いられる。
【0032】
好ましくは、血管画像の処理システムは修正モジュールをさらに備え、取得モジュールはさらに、関心血管セグメントの血管位置を取得することに用いられ、修正モジュールは、血管位置に基づいて関心血管セグメントの血流予備量比値を修正することに用いられる。
【0033】
好ましくは、血管画像の処理システムは第2表示モジュールをさらに備え、参照情報は関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、側枝血管セグメントパラメータは管腔輪郭パラメータから算出され、取得モジュールはさらに、血管位置に基づいて関心血管セグメントの血管タイプを取得することに用いられ、血管タイプが分岐モデルである場合、分析モジュールは、側枝血管セグメントパラメータに基づいて関心血管セグメントの分岐節点情報を取得し、第2表示モジュールは関心血管セグメントの縦断面ビューを表示し、分岐節点情報に基づいて、縦断面ビューにおいて異なる色で関心血管セグメントの本幹及び分枝を表現する。
【0034】
好ましくは、取得モジュールは第1取得ユニット、第2取得ユニット、再構成計算ユニット及び表示ユニットを備え、第1取得ユニットは、目標血管の映像データ及び対応する層厚さ及び画素サイズを含む収集パラメータを取得することに用いられ、再構成計算ユニットは、目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて再構成計算を行うことに用いられ、表示ユニットは、再構成後の目標血管の画像を表示することに用いられ、第2取得ユニットは、画像中の選定された関心血管セグメントの映像データを取得することに用いられる。
【0035】
好ましくは、取得モジュールは、第1取得ユニットが取得した目標血管の映像データに対して再サンプリング及び再ソートを行うための再サンプリングユニットをさらに備え、再構成計算ユニットは再ソートされた目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて再構成計算を行うことに用いられる。
【0036】
好ましくは、取得モジュールは、目標血管の画像をレジストレーションすることで、目標血管の映像データの収集過程における誤差を校正するためのレジストレーションユニットをさらに備え、表示ユニットは、レジストレーション後の画像を表示することに用いられる。
【0037】
好ましくは、血管画像の処理システムは第3表示モジュールをさらに備え、参照情報はステント情報をさらに含み、取得モジュールはさらに、関心血管セグメントのステントパラメータを取得することに用いられ、分析モジュールはさらに、ステントパラメータに基づいてステントを検出してステントを再構成し、ステントを評価してステント情報を得ることに用いられ、ステント情報はステント位置及びステント輪郭情報を含み、第3表示モジュールは、関心血管セグメントの縦断面ビューを表示し、ステント情報に基づいて縦断面ビューにおいて疑似カラーバーでステントを表現することに用いられる。
【0038】
好ましくは、血管画像の処理システムは第4表示モジュールをさらに備え、計算モジュールは第4計算ユニットをさらに備え、第4計算ユニットは、参照管腔情報及び参照情報に基づいて狭窄率が閾値よりも大きい第1特徴血管セグメントを定量化することに用いられ、第4表示モジュールは、関心血管セグメントのグラフを表示し、グラフにおける狭窄率が設定区間にある第1特徴血管セグメントをマークすることに用いられる。
【0039】
好ましくは、血管画像の処理システムは第5表示モジュールをさらに備え、関心血管セグメントが第2特徴を含む場合、参照情報は第2特徴情報をさらに含み、分析モジュールはさらに、参照情報に基づいて関心血管セグメント及び第2特徴を再構成することに用いられ、第5表示モジュールは、関心血管セグメント及び第2特徴を表示することに用いられる。
【0040】
好ましくは、血管画像の処理システムは調整モジュールをさらに備え、調整モジュールは表示ユニット、調整ユニット及び更新ユニットを備え、表示ユニットは、参照情報に基づいて関心血管セグメントの縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭を表示することに用いられ、調整ユニットは、縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭を調整することに用いられ、更新ユニットは、調整後の縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭に基づいて、参照情報、及び/又は参照管腔情報、及び血流予備量比値を更新することに用いられる。
【0041】
好ましくは、血管画像の処理システムは、疑似カラーの形式で血流予備量比値を関心血管セグメントのグラフに表示し、及び/又は関心血管セグメントのグラフを表示し、シミュレートされた後退曲線をオーバーレイ表示し、及び/又は関心血管セグメントを三次元再構成し、三次元再構成後の関心血管セグメントを表示するための第6表示モジュールをさらに備える。
【0042】
本発明の実施形態は、様々な命令を実現するためのプロセッサと、プロセッサによりロードされて前記いずれかの血管画像の処理方法を実行するための複数の命令を記憶するためのメモリと、を備えるコンピューティングデバイスをさらに開示する。
【0043】
上記技術的解決手段を採用したコンピューティングデバイスは、血管圧力差のより正確な計算を実現することができる。
【0044】
本発明の実施形態は、プロセッサによりロードされて前記いずれかの血管画像の処理方法を実行するための複数の命令が記憶される記憶媒体をさらに開示する。
【0045】
上記技術的解決手段を採用した記憶媒体は、血管圧力差のより正確な計算を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の一実施例における血管画像の処理方法のフローチャートを示す。
【
図2】本発明の別の実施例における血管画像の処理方法の一部のフローチャートを示す。
【
図3】本発明のさらに別の実施例における血管画像の処理方法のフローチャートを示す。
【
図4】本発明のさらに別の実施例における血管画像の処理方法の一部のフローチャートを示す。
【
図5】本発明の一実施例における血管画像の処理システムの模式的ブロック図を示す。
【
図6】本発明の一実施例における関心血管セグメントの模式図を示す。
【
図7】本発明の別の実施例における関心血管セグメントの模式図を示す。
【
図8】本発明の一実施例における関心血管セグメントの斜視模式図を示す。
【
図9】本発明の一実施例における関心血管セグメントのグラフ模式図を示す。
【
図10】本発明の一実施例におけるプラークの模式図を示す。
【
図11】本発明の一実施例における側枝の横断面模式図を示す。
【
図12】本発明の一実施例における関心血管セグメントの横断面輪郭の模式図を示す。
【
図13】本発明の一実施例におけるステントの模式図を示す。
【
図14】本発明の別の実施例におけるステントの模式図を示す。
【
図15】本発明の別の実施例における関心血管セグメントのグラフ模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、特定の具体的な実施例で本発明の実施形態を説明し、当業者は本明細書に開示された内容から本発明のほかの利点及び効果を容易に理解できる。本発明の内容は好ましい実施例を挙げて説明するが、これはこの発明の特徴は該実施形態のみに限定されることを表したものではない。まさしく逆であり、実施形態に基づいて発明を説明する目的は、本発明の特許請求の範囲に基づいて拡張可能なほかの選択又は改造をカバーするためである。本発明への深い理解を提供するために、以下の記載には多くの具体的な細部が含まれる。本発明は、これらの細部を使用せずに実施可能である。また、本発明の重点を混乱させ、又は曖昧にさせるのを避けるために、ある具体的な細部は記載において省略される。なお、矛盾のない場合には、本発明の実施例及び実施例の特徴を互いに組み合わせることができる。
【0048】
尚、本明細書では、類似する符号やアルファベットは以下の図面において類似する要素を示し、従って、ある要素が1つの図において定義されると、以降の図においてそれを再び定義及び解釈する必要がない。
【0049】
「第1」、「第2」等の用語は、単に説明を区別するためのものであり、相対的な重要性を指示又は暗示すると理解することができない。
【0050】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、図面を参照しながら本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。
【0051】
図1に示すように、本発明の実施例は血管画像の処理方法を開示し、該処理方法は、関心血管セグメントの映像データを取得するステップと、関心血管セグメントの血流パラメータを取得するステップと、関心血管セグメントの映像データを検出して分析することで、関心血管セグメントの管腔輪郭パラメータ、及び中膜輪郭パラメータを含む参照情報を得るステップと、中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するステップと、血流パラメータ、参照情報及び参照管腔情報に基づいて関心血管セグメントの血流予備量比(FFR)値を算出するステップと、を含む。
【0052】
関心血管セグメントの映像データを取得するステップについて、該映像データは直接取得されたものであってもよく、1セグメントの血管の映像データから選択された関心血管セグメントに対応する映像データであってもよく、本実施例ではこれを限定しない。映像データの出所は直接導入された関連ファイルであってもよく、ほかのリソースライブラリへのリアルタイム接続の配置によってほかのリソースライブラリから取得されたものであってもよく、記憶された映像データベースからユーザーの名前等の情報に基づいて検索してロックした後に取得されたものであってもよく、本実施例ではこれを限定しない。好ましくは、映像データはDICOM(医療におけるデジタル画像と通信)フォーマットであり、DICOMは医用デジタル画像の収集、アーカイブ、通信、表示及び照会等のほぼすべての情報交換のプロトコルをカバーし、オープンで相互接続されたアーキテクチャ及びオブジェクト指向の方法により、様々なタイプの医用診断画像及びその関連する分析、レポート等の情報を含むオブジェクトセットを定義し、情報伝送、交換に用いられるサービスクラス及びコマンドセット、及びメッセージの標準応答を定義し、様々な情報オブジェクトを表現する技術を詳細に説明し、ネットワーク環境(OSI又はTCP/IP)に適用されるサービスサポートを提供し、メーカーの適合性宣言書(Conformance Statement)を構造化定義する。DICOMフォーマットを使用することで、医用映像の情報交換の実現を大幅に簡素化し、ほかの医用アプリケーションシステムHIS、RIS等との相乗効果を促進することができる。好ましくは、映像データは200~4000フレームの画像であり、該フレーム数の範囲内において、血管セグメントの各位置や様々な角度がはっきりカバーされる映像を確保し、計算の正確性を高めることができるだけでなく、演算負荷は増加することがなく、一般的な映像データの収集過程で毎回収集したフレーム数より小さく、取得しやすい。
【0053】
関心血管セグメントの血流パラメータを取得するステップについて、血流パラメータは平均最大血流速度を含んでもよい。理解できるように、関心血管セグメントの平均最大血流速度は関心血管セグメントのFFR値の計算に必要なものであるが、血流パラメータの出所及び取得順序について様々な形式があり、映像データの収集過程で測定してもよいし、該ユーザーがこの前の測定で取得してデータベースに記憶しておき、今回直接取得してもよいし、入力した固定値を取得してもよい。理解できるように、血流パラメータの取得は、映像データを取得する前に行われてもよいし、映像データの取得と同時に行われてもよいし、映像データを取得した後に行われてもよい、FFRを計算する前に行われればよく、本実施例ではこれを限定しない。
【0054】
関心血管セグメントの映像データを検出して分析することで参照情報を得る具体的な方法は様々あってもよく、例えば、公開番号がCN10713395Aの特許における方法を参照することができる。アルゴリズムによって関心血管セグメントの複数の切断角度での縦断面画像の管腔と中膜との境界の輪郭を分割し、縦断面輪郭と併せて各フレームの横断面画像における管腔と中膜との境界の輪郭を分割し、各フレームの横断面画像における管腔と中膜との境界の面積及び直径を定量化し、それにより対応する参照情報、即ち、関心血管セグメントの管腔輪郭パラメータ、及び中膜輪郭パラメータを取得することができ、輪郭パラメータは輪郭に対応する面積、直径等の情報であってもよい。
【0055】
中膜輪郭パラメータによって参照管腔を取得することで、関心血管セグメントには、例えばプラークのようないくつかの特徴があり、管腔輪郭が内へ明らかに圧迫される場合としても、中膜輪郭に対するこれらの特徴の影響が小さく、従って、中膜輪郭パラメータによって取得した参照管腔情報は、理想的な参照管腔により近く、より正確になり、それによりFFRの計算結果はより正確になる。参照管腔情報は参照管腔の境界輪郭、面積、直径等であってもよい。
【0056】
血流パラメータ、参照情報及び参照管腔情報に基づいて関心血管セグメントの血流予備量比(FFR)値を算出するステップでは、具体的な計算方法は様々あり、例えば、公開番号がCN107115108Aの特許における方法を参照すれば、関心血管セグメントに対応する血管圧力差、即ち、関心血管セグメントの血流予備量比(FFR)値を算出することができる。理解できるように、参照情報が中膜輪郭情報及び管腔輪郭情報のみを含む場合、血流パラメータ、管腔輪郭情報及び参照管腔情報を使用してFFRを計算すればよい。参照情報が例えばステント情報、プラーク情報のようなほかの情報をさらに含む場合、これらの情報に基づいてFFRの計算に対応する修正を行うことができる。また、さらに様々な血管位置に応じて、FFRの計算に修正を行うことができる。理解できるように、中膜輪郭パラメータは主に参照管腔情報の計算に用いられ、参照管腔情報は直接FFRの計算に関与する。
【0057】
上記技術的解決手段によれば、本実施例に開示されている血管画像の処理方法はより正確な計算結果を実現でき、ユーザーによるFFR値の後続の使用が容易になる。
【0058】
本発明の別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するステップは、中膜輪郭パラメータに基づいて近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを取得するステップと、近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームに基づいて参照管腔情報を算出するステップと、を含む。中膜輪郭パラメータに基づいて近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを取得するステップでは、関心血管を近位端血管セグメント、中間血管セグメント及び遠位端血管セグメントの3つのセグメントに分けてもよい。好ましくは、具体的なセグメント分割方法については、フレーム数に基づいて三等分してもよい。その後、近位端血管セグメント及び遠位端血管セグメントにおいて、中膜輪郭パラメータに基づいて各横断面における中膜輪郭と隣接する横断面における中膜輪郭の滑らかさの程度をそれぞれ計算し、滑らかさの程度が最も高い横断面に対応するフレームをそれぞれ近位端正常フレーム(PN)及び遠位端正常フレーム(DN)とする。一般的な状態では、即ち、血管セグメントがプラーク等の特徴情報を含まない場合、管腔と中膜との間の厚さが非常に小さく、且つ中膜輪郭がプラーク等の特徴情報による影響をほぼ受けないため、管腔輪郭パラメータの代わりに中膜輪郭パラメータを使用してPN及びDNを決定することができ、これにより取得したPN及びDNはより信頼できる。
【0059】
好ましくは、滑らかさの程度は中膜輪郭により囲まれる領域の面積の平均二乗偏差で表されてもよい。近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームに基づいて参照管腔情報を算出するステップでは、PN及びDNでの中膜の直径又は面積の大きさを参照管腔の直径又は面積の大きさとして、参照管腔の情報を算出してもよい。具体的な計算方法は様々あり、例えば、PN及びDNに基づいて線形補間を行うことによって、関心血管セグメントの各位置での参照管腔の大きさを得ることができ、公開番号がCN108022650Aの特許における管腔モデリング計算方法を参照してもよく、これについて本実施例ではくどくど述べない。
【0060】
本実施例は、管腔輪郭パラメータの代わりに中膜輪郭パラメータを使用して、近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを決定し、さらに対応する参照管腔を算出することで、得た参照管腔情報はより正確になり、プラーク等の特徴情報がある場合、管腔輪郭パラメータからPN及びDNを決定することによる誤差を減らした。
【0061】
図2に示すように、本発明のさらに別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するステップは、関心血管セグメントの正常内膜の厚さを取得するステップと、中膜輪郭パラメータ及び正常内膜の厚さに基づいて参照管腔情報を得るステップと、を含む。理解できるように、関心血管セグメントは、一般的な状態では、即ち、プラーク等の特徴情報を含まない場合、管腔と中膜との間の内膜の厚さ値がほぼ一定であり、本実施例ではこの値は正常内膜の厚さと呼ばれる。従って、中膜輪郭パラメータを使用して参照管腔情報を計算する際に、正常内膜の厚さに基づいて理想的な状態での参照管腔情報を正確に取得することができる。正常内膜の厚さの出所及び取得には様々な方法があり、映像データの収集中に同時測定することで、映像データとともに取得されてもよいし、関心血管セグメントに対応する個体のデータベースから直接取得されてもよいし、入力された数値に基づいて決定されてもよい、本実施例ではこれを限定せず、正常内膜の厚さの取得は参照管腔情報の計算前に行われればよい。
【0062】
参照管腔情報の計算方法について様々あってもよく、例えば中膜の直径から正常内膜の厚さの2倍を引いて参照管腔の直径を取得し、且つ参照管腔の面積を算出できる。中膜の面積を等価直径に変換し、正常内膜の厚さの2倍を引いて参照管腔の直径を取得し、且つ参照管腔の面積等を算出してもよく、本実施例ではこれを限定しない。
【0063】
本実施例は、中膜輪郭パラメータ及び正常内膜の厚さに基づいて対応する参照管腔を算出することで、得た参照管腔情報はより正確になり、内膜の厚さの影響を解消し、対応するFFR値もより正確になる。
【0064】
図3に示すように、本発明の別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、参照情報は関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、側枝血管セグメントパラメータは管腔輪郭パラメータから算出され、中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するステップは、中膜輪郭パラメータに基づいて近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを取得するステップと、側枝血管セグメントパラメータ、近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームに基づいて参照管腔情報を算出するステップと、を含む。本発明は関心血管セグメントの長さを特に限定せず、使用過程において、関心血管セグメントに側枝がある可能性がある。側枝が参照管腔の計算に影響を及ぼすため、本実施例に開示されている血管画像の処理方法では、関心血管セグメントの映像データを検出して分析することで得た参照情報は側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、側枝血管セグメントパラメータは側枝の開口面積、側枝血管セグメントの位置及び側枝の向きのうちの1つ又は複数の情報を含んでもよく、より正確な参照管腔情報を算出するように、必要に応じて側枝血管セグメントのほかの情報を取得してもよい。開口面積を例に挙げて、側枝輪郭を分割し、その後、輪郭内の画素点の数を統計し、画像の解像度に基づいて各側枝の開口面積を算出してもよい。側枝がある場合、参照管腔の具体的な計算、及び側枝血管セグメントの影響を考慮したFFRの計算については、公開番号がCN108022650Aの特許における方法を参照することができる。
【0065】
本発明のさらに別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、参照情報は関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、側枝血管セグメントパラメータは管腔輪郭パラメータから算出され、中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するステップは、側枝血管セグメントパラメータに基づいて関心血管セグメントを複数のサブセグメントに分けるステップと、中膜輪郭パラメータに基づいて各サブセグメント内の正常フレームを得るステップと、各サブセグメント内の正常フレームに基づいて参照管腔情報を得るステップと、を含む。本実施例では、側枝の開口の本幹での位置に基づいて関心血管セグメントを複数のサブセグメントに分けてもよい。例えば、関心血管セグメントに3つの側枝がある場合、3つの側枝の開口の位置に基づいて関心血管セグメントを4つのサブセグメントに分けてもよい。その後、PN及びDNの決定方法を参照して各サブセグメントにおける正常フレームを決定する。続いて、各サブセグメントにおける正常フレームに基づいて参照管腔を再構成し、対応する参照管腔情報を算出し、具体的な方法については、PN及びDNから参照管腔情報を算出する方法を参照することができる。本実施例では、関心血管セグメントに対して側枝に基づいてセグメント分割を行い、複数の正常フレームを取得して参照管腔情報を計算し、サンプリング量、即ち正常フレームの取得数を増加させ、側枝を使用したセグメント分割はより合理的になり、従って、参照管腔情報の計算はより正確になる。
【0066】
本実施例は、中膜輪郭パラメータ及び側枝血管セグメントパラメータから対応する参照管腔情報を算出し、関心血管セグメント内にいくつかの特徴がある場合に管腔輪郭パラメータを使用して参照管腔情報を計算することが不正確であること、及び側枝血管の存在の参照管腔計算への影響を同時に考慮し、それにより取得した参照管腔情報はより正確になり、対応するFFR値もより正確になる。
【0067】
本発明のさらに別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、血管画像の処理方法は、参照管腔情報及び側枝血管セグメントパラメータに基づいて各側枝での校正値を計算するステップと、関心血管セグメントのグラフを表示し、側枝血管セグメントパラメータに基づいて各側枝をグラフの対応する位置に表示するステップと、及び/又は側枝の横断面輪郭を表示し、校正値を表示するステップとをさらに含む。各側枝での校正値の計算では、校正値のタイプは具体的には必要に応じて設定することができる。例えば、校正値はMurrayパラメータ、Finetパラメータ、HKパラメータ、APパラメータのうちの1つ又は複数であってもよい。関心血管セグメントには側枝血管セグメントがある場合、各側枝血管セグメントにおいて、分岐前の本幹の直径をD0と定義し、側枝血管の本幹での開口の直径をD1と定義し、分岐後の本幹の直径をD2と定義し、D0及びD2は参照管腔情報から取得され、D1は側枝血管セグメントパラメータから取得される。Murray’s lawに基づくMurrayパラメータの計算式はMurray=D0
3/(D1
3+D2
3)であり、Finet diameter modelに基づくFinetパラメータの計算式はFinet=D0/[0.678*(D1+D2)]であり、HK diameter modelに基づくHKパラメータの計算式はHK=D0
7/3/(D1
7/3+D2
7/3)であり、area-preservation modelに基づくAPパラメータの計算式はAP=D0
2/(D1
2+D2
2)である。これらのパラメータ値は理想的な状態では1であり、従って、校正値は1に近いほど、理論的には合理的であり、それによりユーザーが各側枝の分割及び参照管腔情報の合理性を判断することを助ける。
【0068】
好ましくは、必要に応じて校正値の閾値範囲を設定してもよい。例えば、校正値の閾値範囲を0.7~1.3に設定してもよく、校正値が該範囲を超える場合、側枝血管セグメントパラメータ及び/又は参照管腔情報の計算結果は正常な生理的範囲から逸脱する可能性があり、ユーザーに映像データの再取得又は映像データの調整を通知し、それによりFFRのより正確な計算結果を確保し、ユーザー体験を向上させた。
【0069】
関心血管セグメントのグラフを表示し、側枝血管セグメントパラメータに基づいて各側枝をグラフの対応する位置に表示するステップでは、関心血管セグメントのグラフ表示形式は様々あってもよく、例えば長軸-短軸で表示されてもよく、等価直径で表示されてもよく、本実施例ではこれを限定せず、ユーザーの習慣及び必要に応じて設定及び選択を行うことができる。側枝血管セグメントパラメータに基づいて、対応する側枝血管セグメントをグラフの対応する位置に表示してもよい。好ましくは、それぞれの側枝の開口の等価直径と同等の幅でグラフの対応する位置に表示してもよい。側枝を関心血管セグメントのグラフに表示することで、ユーザーは関心血管セグメントを直感的かつ全面的に観察し易い。
【0070】
側枝の横断面輪郭を表示し、校正値を表示するステップでは、三次元画像スライスアルゴリズム等の方法によって側枝血管セグメントの横断面及び横断面における該側枝の管腔輪郭を再構成して表示し、算出された校正値によって対応する側枝スナップショット内に表示してもよく、それによりユーザーは校正値及び輪郭を直感的に観察して側枝血管セグメントパラメータ及び本幹に対応する参照管腔情報が誤っているか否かを確定し易い。
【0071】
好ましくは、
図11に示すように、図中の「Branch」は「側枝」に対応し、「MU」は「Murrayパラメータ」に対応し、「3D」は「三次元」に対応し、「ADD SB」は「側枝追加」に対応し、「DELETE SB」は「側枝削除」に対応し、図中の上部は4つの側枝での横断面輪郭を番号付けして表示し、マーク線で各側枝に対応する管腔輪郭を表示し、横断面輪郭の右上には該側枝に対応する校正値を表示し、さらに各側枝の管腔輪郭に対応する管腔面積を表示し、「3D」は三次元再構成後の関心血管セグメントにおける本幹及び/又は側枝血管セグメントを切り替えて表示することに用いられてもよい。図中の下部は、側枝を編集し、即ち、側枝を追加又は削除し、及び側枝の任意の断面ビューを表示することに用いられ、それによりユーザーは直接関心血管の側枝分割状況を明瞭に確認し易く、それにより得た側枝血管セグメントパラメータが誤っているか否かを判断する。
【0072】
本発明のさらに別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、血管画像の処理方法は、関心血管セグメントの血管位置を取得するステップと、血管位置に基づいて関心血管セグメントの血流予備量比(FFR)値を修正するステップと、をさらに含む。使用過程において、関心血管セグメントに対応する血管位置は様々であってもよく、例えば、前下行枝血管、回旋枝血管、右冠状動脈血管、対角枝血管、中隔枝血管、中間枝血管、鈍縁枝血管等であってもよい。異なる位置の血管に対して、映像データに対応する分析及び検出過程に同じアルゴリズムを使用すると、参照情報に一定の偏差をもたらし、さらにFFR値に影響することになる。従って、関心血管セグメントの血管位置を取得し、異なる血管位置に応じて、映像データを検出及び分析するアルゴリズムを調整し、又は血管位置に基づいてFFR値を修正することで、FFR値をより正確にすることができる。
【0073】
本発明の別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、参照情報は関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、側枝血管セグメントパラメータは管腔輪郭パラメータから算出され、血管画像の処理方法は、血管位置に基づいて関心血管セグメントの血管タイプを得るステップと、血管タイプが分岐モデルである場合、側枝血管セグメントパラメータに基づいて関心血管セグメントの分岐節点情報を取得するステップと、関心血管セグメントの縦断面ビューを表示するステップと、分岐節点情報に基づいて、縦断面ビューにおいて異なる色で関心血管セグメントの本幹及び分枝を表現するステップと、をさらに含む。理解できるように、異なる位置の血管に対応するタイプは異なり、従って、血管位置に基づいて関心血管に対応するタイプ、例えば分岐モデルであるか一枝モデルであるかを得ることができる。血管が分岐モデルである場合、分岐はFFRの計算に影響を及ぼすことになる。従って、本実施例では、血管タイプが分岐モデルである場合、側枝血管セグメントパラメータに基づいて分岐節点情報を取得することができる。例えば、通常、最大側枝を分岐節点として設定し、側枝血管セグメントパラメータ中の側枝血管の面積又は直径等の情報によって最大側枝を分岐節点として見つけてもよく、このとき、該側枝に対応する血管セグメントパラメータは分枝に対応する分岐節点情報である。関心血管セグメントの縦断面ビューを表示した後に、さらに分岐節点情報に基づいて、分岐の位置を確定し、縦断面ビューにおいて異なる色で本幹及び分枝を表現することができ、それによりユーザーは関心血管セグメントの分岐状況を観察し易い。また、FFRを計算する際に、分岐節点情報に基づいてFFRに対して対応する修正を行うことで、FFRの計算結果はより正確になる。具体的な計算方法は様々あり、例えば公開番号がCN108022650Aの特許における方法を参照することができる。
【0074】
図4に示すように、本発明の別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、関心血管セグメントの映像データを取得するステップは、目標血管の映像データ及び対応する層厚さ及び画素サイズを含む収集パラメータを取得するステップと、目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて目標血管の画像を再構成して表示するステップと、画像中の選定された関心血管セグメントの映像データを取得するステップと、を含む。本実施例では、1回の映像データ収集に対応する血管セグメントは目標血管と呼ばれる。理解できるように、関心血管セグメントは目標血管であってもよく、目標血管中のある1つのセグメントであってもよい。まず、目標血管の映像データ及び収集パラメータを取得し、収集パラメータは層厚さ及び画素サイズを含む。層厚さとは、隣接するフレームの映像データ間の収集間隔であり、その取得には様々な方法がある。例えば、層厚さの取得について、層厚さ値を直接取得してもよく、後退速度及び収集フレーム周波数を取得した後に算出してもよく、本実施例ではこれを限定しない。画素サイズとは、映像データ中の各画素点に対応する実際のサイズであり、その取得には様々な方法がある。例えば、画素サイズの取得について、各画素点に対応する実際のサイズ値を直接取得してもよく、測定過程におけるカテーテル開口の大きさ及びそれに対応する画素点数から算出してもよく、本実施例ではこれを限定しない。
【0075】
目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて、三次元画像スライスアルゴリズム等の方法で目標血管に対応する画像を再構成して表示し、例えば、再構成後の目標血管の縦断面ビュー及び横断面ビューを表示してもよい。ユーザーは対応する画像に基づいてFFR値計算を必要とする血管セグメント、即ち、関心血管セグメントを選定してもよい。例えば、2本のマーク線の方法で縦断面ビューにおいて選択を行い、2本のマーク線間の部分を関心血管セグメントとして設定してもよい。目標血管の映像データから関心血管セグメントに属する映像データを抽出すると、すなわち関心血管セグメントの映像データを取得した。上記方法によって、関心血管セグメントの映像データの取得はより便利に、直観的になり、操作しやすくなる。
【0076】
本発明のさらに別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて目標血管の画像を再構成して表示するステップは、目標血管の映像データに対して再サンプリング及び再ソートを行うステップと、再ソートされた目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて目標血管の画像を再構成して表示するステップと、を含む。理解できるように、目標血管の映像データは収集方法によって様々な出所があってもよい。例えば、映像データはOCT(光干渉断層撮影)映像であってもよく、IVUS(血管内超音波)映像であってもよい。収集過程で後退速度が遅く、フレーム周波数が高い映像、特にIVUS映像では、隣接するフレームの前後で混乱が生じる可能性がある。従って、映像データに対して再サンプリング及び再ソートを行うことができ、それによりこの影響を解消し、再サンプリング方法は具体的には等間隔サンプリング、重点サンプリング等であってもよく、本実施例ではこれを限定しない。例えば、IVUS映像に対して間隔が5フレームの等間隔でサンプリングを行い、即ち、映像データ中の1番目のフレーム、6番目のフレーム…1+5N番目のフレームをサンプリングして相応にソートすることができる。さらに、再サンプリング及び再ソートされた映像データ及び目標血管の収集パラメータに基づいて目標血管の画像を再構成して表示する。このように、映像に存在する可能性があるフレーム乱れの問題を克服し、後続で取得した参照情報はより正確になるだけでなく、再構成及び表示過程における演算負荷を減らした。
【0077】
本発明の別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて目標血管の画像を再構成して表示するステップは、目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて目標血管の画像を再構成するステップと、目標血管の画像をレジストレーションすることで、目標血管の映像データの収集過程における誤差を校正するステップと、レジストレーションされた画像を表示するステップと、を含む。目標血管の映像データの取得過程では、カテーテルの後退中に径方向に変位が生じる可能性があり、つまり、このとき、映像データの各フレーム画像におけるカテーテルの位置が一定ではない。従って、目標血管の画像をレジストレーションすることで、この変位による偏差を解消することができる。例えば、再構成された目標血管の横断面輪郭において、カテーテルの中心を各フレーム映像の中心として、縦方向に沿って各フレーム映像をレジストレーションしてもよい。画像レジストレーション過程に使用される具体的な方法は様々あってもよく、例えば、ネットワークリンクがhttps://www.onacademic.com/detail/journal_1000039137117910_4183.htmlの対応する文章における方法、及び論文『Image-Based Gating of Intravascular Ultrasound Pullback Sequences』(Sean M. O’Malley、 Student Member、 IEEE、 Juan F. Granada、 St´ephane Carlier、 Morteza Naghavi、and Ioannis A. Kakadiaris、 Member、 IEEE)における方法等を参照することができる。画像レジストレーションによって、映像データ収集過程におけるカテーテルの変位の影響を解消することができ、観察が容易になるとともに、後続の映像データの検出及び分析によって得た参照情報はより正確になる。
【0078】
本発明の別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、参照情報はステント情報をさらに含み、血管画像の処理方法は、関心血管セグメントのステントパラメータを取得するステップと、ステントパラメータに基づいてステントを検出してステントを再構成し、ステントを評価してステント位置及びステント輪郭情報を含むステント情報を得るステップと、関心血管セグメントの縦断面ビューを表示するステップと、ステント情報に基づいて縦断面ビューにおいて疑似カラーバーでステントを示すステップと、をさらに含む。
【0079】
ステントがある関心血管セグメントについては、本実施例に開示されている方法は、関心血管セグメントの映像データを検出及び分析する前に、関心血管セグメントのステントパラメータを取得し、ステントのタイプ、厚さ等を含むようなステントパラメータは必要に応じて設定できる。関心血管セグメントの映像データを検出及び分析する際に、ステントパラメータを参照して映像データを分割し、対応するステントを検出し、ステント位置及びステント輪郭情報を含むステント情報を得る。具体的な検出方法は様々あってもよく、例えば、画像処理方法で分割待ちの映像データに対して前処理及び後処理を行ってもよく、前処理は映像データに対して極座標の変換及び画像標準化を行い、後処理では、映像データに対して元の座標の再構成及び連続性に基づく誤検出除去を行い、深層学習に基づいてステントの検出を行ってもよい。検出後、ステントの再構成を行う。具体的な再構成方法は様々あってもよく、例えば、ボリューム再構成の方法で、ステントを分割した連続二次元mask結果に対して三次元ボリューム再構成を行い、即ち、各フレームの画像におけるステントに原画像のレイヤー間隔の大きさを与えて単一ボクセルを形成し、ボリューム再構成を行うようにしてもよい。さらにステントを評価してもよく、例えば、ステントと血管壁との距離を計算することで、ステントの血管壁への密着及び拡張状況の評価を実現する。具体的な方法について、参照情報の各ステント点の中心位置及び管腔輪郭曲線に基づいて管腔の中心からステントの中心までの半直線を描画し、半直線と管腔との交点を計算し、それによりステントの中心点と管腔との距離を算出し、ステントと管腔との距離、及びステントが血管壁に密着すること、血管壁に密着していないこと又は被覆の定性分析結果を判断してもよい。さらに1フレームの画像における各ステントの位置に基づいてステントの輪郭楕円をフィッティングし、ステントの平均輪郭面積及び最小輪郭面積を算出し、参照管腔情報と比較することでステントの拡張状況を判定してもよい。その後、関心血管セグメントの縦断面ビューにおいて、ステント情報に基づいて縦断面ビューにおいて疑似カラーバーでステントを示してもよく、例えば、
図13に示すように、色の濃さに基づいて異なる血管壁へのステントの密着状況を示してもよく、それによりユーザーはステントの状態を把握し易い。
図12に示すように、ステントの関連パラメータを関心血管セグメントの横断面輪郭ビューに表示してもよく、図中の「Stent」は「ステント」に対応し、「Expansion」は「拡張性」に対応する。
【0080】
本実施例におけるFFRの計算過程では、ステント情報を参照情報の一部としてFFRの計算結果を修正する。ステントがある関心血管セグメントの場合、ステント情報に基づいてその管腔輪郭情報を修正することができる。例えば、関心血管セグメントの映像データを検出して分析する過程では、ステント情報中のステント輪郭情報に基づいて、ステント点それ自体が占める面積を得て、各フレームの画像の管腔面積から該フレームにおけるすべてのステント点の面積を引くと、ステントを配置した後の管腔面積を管腔輪郭パラメータの一部として取得し、後続のFFRの計算を行うことができる。従って、本実施例によれば、ステントを配置した関心血管セグメントのFFR計算の精度を高めることができるとともに、ユーザーはステントの状態を観察及び把握し易い。
【0081】
本発明の別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、血管画像の処理方法は、参照管腔情報及び参照情報に基づいて狭窄率が閾値よりも大きい第1特徴血管セグメントを定量化するステップと、関心血管セグメントのグラフを表示するステップと、グラフにおける狭窄率が設定区間にある第1特徴血管セグメントをマークするステップと、をさらに含む。狭窄率は、血管セグメントの横断面面積又は直径に基づいて定義できる。例えば、狭窄率=(参照管腔直径-実際の管腔直径)/参照管腔直径で設定してもよく、ここでの直径は面積に基づいて計算される等価直径であってもよい。参照管腔の直径情報は参照管腔情報に基づいて取得されてもよく、実際の管腔直径は参照情報中の管腔輪郭パラメータに基づいて取得されてもよく、それにより関心血管セグメントにおける各箇所(各フレームの画像)に対応する狭窄率を算出する。狭窄率の閾値はユーザーの観察及び注目の需要に応じて設定できる。例えば、ユーザーは習慣に従って狭窄率が20%よりも大きい血管セグメントを重点的に注目する必要がある場合、狭窄率の閾値を0.2に設定してもよい。狭窄率が閾値よりも大きい血管セグメントは第1特徴血管セグメントと呼ばれ、本実施例では、関心血管セグメントのグラフを表示したうえで、対応する第1特徴血管セグメントをマークしてもよい。本実施例では、さらにマークする区間を設定してもよく、例えば、狭窄率が最も大きい上位M個の第1特徴血管セグメントのみをマークする場合、グラフ上にマーク線で上位M個の第1特徴血管セグメントを対応してマークし、さらに各セグメントに対応する狭窄率を該第1特徴血管セグメントの下方に注記してもよく、それによりユーザーは関心血管セグメントの狭窄状況を観察し易い。好ましくは、関心血管セグメントのグラフにおいて第1特徴血管セグメント、及び該特徴血管セグメントに対応する血圧降下をさらに表示してもよい。
図9に示すように、2つの第1特徴血管セグメントをマークし、各セグメントに対応する血圧降下はそれぞれ△1=0.23、△2=0.03である。
【0082】
本発明のさらに別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、関心血管セグメントが第2特徴を含む場合、参照情報は第2特徴情報をさらに含み、血管画像の処理方法は、参照情報に基づいて関心血管セグメント及び第2特徴を再構成して表示するステップをさらに含む。第2特徴は必要に応じて設定することができ、例えば、プラーク、血栓、解離等が挙げられ、本実施例ではこれを限定しない。例えば、第2特徴がプラークである場合、本実施例に開示されている方法では、関心血管セグメントの映像データを検出及び分析する際に、映像データ中の複数フレームの画像に対して画像処理を行い、画像グレースケール、エッジ検出又はレベルセット等の方法に基づいて、プラークを検出して分割し、それに対応する第2特徴情報を取得することができ、第2特徴情報は参照情報の一部として、プラークの面積、厚さ、角度等の情報を含んでもよく、画素ごとに面積を累積計算し、画素間距離から厚さを計算し、画素分布から角度等を計算してもよい。さらに参照情報中の管腔輪郭情報、中膜輪郭情報、及び第2特徴情報に基づいて関心血管セグメント及び対応するプラークを再構成して表示し、例えば、プラーク分割結果に基づいて三次元プラーク幾何学的モデルに対してボリューム再構成を行い、ユーザーはプラークの状態を観察し易い。また例えば、
図10に示すように、関心血管セグメントの横断面輪郭、及び対応するプラークを表示することができる。関心血管セグメント内に第2特徴がある場合、FFRの計算に修正係数を追加し、FFRの計算を調整し、FFRの計算結果をより正確にする。具体的な方法は様々あってもよく、例えば、公開番号がCN109064442Aの特許における方法を参照することができる。理解できるように、中膜輪郭パラメータは主に参照管腔情報の計算に用いられるが、第2特徴の検出及び再構成に必須なものではない。
【0083】
好ましくは、関心血管セグメントの縦断面ビューを表示するだけでなく、関心血管セグメントの横断面ビューを表示し、さらに関心血管セグメントの三次元再構成ビューを表示し、それによりユーザーは直観的かつ明瞭に観察し易い。好ましくは、プラークの可能なタイプに応じて表示モード設定を事前に行う。例えば、すべてのタイプのプラークを表示するための全表示モードと、脂質プラーク、線維性被膜及びマクロファージを表示するための不安定プラークモードと、石灰化プラークを表示するための石灰化モードと、を含んでもよい。使用過程では、ユーザーの選択に応じてプラーク表示モードを調整してもよく、それによりユーザーが分類や観察し易い。好ましくは、異なる色で異なるプラークをマークして表示してもよく、ユーザーが観察し易い。好ましくは、プラークに対応する統計パラメータ、例えばプラークに対応する面積等を同時表示し、それによりユーザーによる定量分析が容易になる。
【0084】
本発明の別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、血管画像の処理方法は、参照情報に基づいて関心血管セグメントの縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭を表示するステップと、縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭を調整するステップと、調整後の縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭に基づいて参照情報、及び/又は参照管腔情報、及び血流予備量比(FFR)値を更新するステップと、をさらに含む。本実施例では、関心血管セグメントの輪郭を表示し、輪郭から対応する管腔輪郭及び中膜輪郭の分割状況を観察でき、参照管腔情報の計算、参照管腔情報及び管腔輪郭パラメータに基づくFFRの計算、及び校正値の計算等の複数の過程では、縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭を動的に調整してFFR値を修正することができる。例えば、参照管腔情報を計算する際に、中膜輪郭パラメータを使用してPN及びDNを取得し、さらに参照管腔を算出する場合でも、中膜輪郭パラメータ及び正常内膜の厚さから参照管腔を取得する場合でも、中膜輪郭の分割に明らかな誤差が生じると、参照管腔情報及びFFRの計算に影響を及ぼすことになる。従って、対応する輪郭を表示することによって、ユーザーは分割に明らかな誤りがあるか否かを判断することを助けることができ、明らかな誤りがある場合、ユーザーの操作に基づいて輪郭を調整することができ、例えば、PN、DNにおける中膜輪郭又は管腔輪郭を調整することで、中膜輪郭パラメータ及び管腔輪郭パラメータを変更してもよいし、ほかのフレームをPN及び/又はDNとして直接選定してもよいし、既存のフレームにおいて楕円をPN及び/又はDNとして手動で描いてもよく、それによりFFR計算の正確性を高めた。
【0085】
好ましくは、参照情報を取得した後、参照管腔情報を計算する前に、関心血管セグメントの縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭を表示する。このとき、ユーザーの操作に基づいて輪郭を調整することができ、各フレームにおいて横断面輪郭を直接修正してもよい。各切断角度での縦断面輪郭を修正し、更新後の縦断面輪郭に基づいて対応する横断面輪郭を更新してもよく、それにより中膜輪郭パラメータ及び管腔輪郭パラメータを含める参照管腔情報及び/又は参照情報の正確性を高めた。関心血管セグメントのグラフ、例えば、等価直径のグラフを表示する場合、対応するグラフも更新されることになる。
【0086】
好ましくは、関心血管セグメントの映像データの検出及び分析を完了した後に、
図6に示すように表示してもよい。図中の「Lumen」は「管腔」に対応し、「Media」は「中膜」に対応し、「Plaque」は「プラーク」に対応し、「Min/Max」は「最小/最大直径」に対応し、「Burden」は「負荷」に対応し、「1-Contour」は「1-輪郭」に対応し、「CONFIRM ROI」は「関心血管セグメントの決定」に対応し、「UPDATE CONTOUR」は「輪郭更新」に対応し、「COMPUTE FFR」は「FFRの計算」に対応し、「UPDATE FFR」は「FFR更新」に対応し、「EDIT」は「編集」に対応し、「DONE」は「完了」に対応し、「Equivalent Diam」は「等価直径」に対応し、「Short Diam」は「短軸直径」に対応し、「Lumen Short-Long」は「管腔長軸-短軸」に対応し、「MLA」は「最小管腔面積」に対応し、「Diameter」は「直径」に対応する。
【0087】
該図は輪郭及びFFR計算の調整の2つの部分に分けられてもよく、輪郭は輪郭の表示及び調整を含む。図中の右側は、輪郭の表示に用いられ、関心血管セグメントの横断面輪郭及び縦断面輪郭を含み、横断面輪郭及び縦断面輪郭において異なるマーク線を用いて対応する管腔輪郭及び中膜輪郭をマークし、該横断面における管腔輪郭から算出される面積及び最小直径と最大直径、並びに該横断面における中膜輪郭から算出される面積及び最小直径と最大直径を表示してもよい。血管セグメントにプラークがある場合、該横断面におけるプラークの面積及び対応する負荷率をさらに表示することができる。これに加えて、下部は該血管セグメントのグラフ、例えば、図中の等価直径のグラフを表示してもよく、例えば短軸直径グラフのようなほかのグラフを切り替え表示してもよい。同時に、さらにグラフ内でマークされた輪郭、及び関心血管セグメントの再選定を編集し、更新後の輪郭に基づいて関心血管セグメントの映像データを再検出及び再分析して新たな参照情報を得て、FFRの計算を更新してもよい。
図7に示すように、FFRの計算結果を対応するグラフに表示してもよいし、分枝の横断面ビューとともに表示してもよく、それによりユーザーは断面ビューにおける輪郭又は側枝を調整し易く、FFRの値はより正確になる。
【0088】
好ましくは、関心血管セグメントに側枝がある場合、参照情報に基づいて関心血管セグメントの縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭を表示し、例えば側枝の輪郭、サイズの調整のような側枝の調整に基づいて、側枝血管セグメントパラメータを更新し、それによりFFRの計算結果は更新され、FFRの計算はより正確になる。関心血管セグメントが分岐モデルである場合、分岐節点の調整に基づいて分岐節点情報を更新してもよく、例えば、いずれかの側枝を分岐節点として再選定し、それによりFFRの計算結果は更新され、FFRの計算はより正確になる。校正値の計算結果に基づいて、対応する輪郭調整を行ってもよく、例えば、横断面及び縦断面における各切断線の位置を適切な位置に並進又は回転させることで側枝の切断面を調整し、側枝開口の管腔輪郭を直接再描画してもよい。関心血管セグメントに第1特徴血管セグメントがある場合、第1特徴血管セグメントに対して、例えば、追加、削除又は編集のような調整を行ってもよい。
【0089】
理解できるように、関心血管セグメントの縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭の調整について、対応する画像の中膜輪郭、管腔輪郭、側枝輪郭等を調整する様々な方法によって実現でき、ユーザーは必要に応じて設定及び選択することができ、いずれもFFRの計算結果の動的調整を実現し、FFR値をより正確にする効果を達成させることができる。
【0090】
本発明のさらに別の実施例は血管画像の処理方法を開示し、上記実施例に比べて、血管画像の処理方法は、疑似カラーの形式で血流予備量比(FFR)値を関心血管セグメントのグラフに表示するステップと、及び/又は関心血管セグメントのグラフを表示し、シミュレートされた後退曲線をバーレイ表示するステップと、及び/又は関心血管セグメントを三次元再構成し、三次元再構成後の関心血管セグメントを表示するステップとをさらに含む。
図7及び
図15に示すように、関心血管セグメントのグラフのタイプは具体的には必要に応じて選択することができ、例えば、長軸-短軸で表示できること、等価直径で表示できること等が挙げられる。疑似カラーの形式でFFR値を関心血管セグメントのグラフに表示することで、関心血管セグメントの形態及びFFR値の変化を明瞭かつ直観的に反映することができ、ユーザーによる観察及び分析が容易になる。具体的な表示方法は様々あり、例えば、公開番号がCN109166101Aにおける方法を参照することができる。関心血管セグメントのグラフにシミュレートされた後退曲線をオーバーレイ表示することで、ユーザーがシミュレートされた後退曲線に基づいてFFRの計算結果を判断することを支援することができる。関心血管セグメントを三次元再構成し、三次元再構成後の関心血管セグメントを表示するステップでは、ボリューム再構成によって描画してもよく、光線追跡方法を使用することで、実現しやすく、再構成効果が良好である。好ましくは、三次元再構成後の関心血管セグメントの縦断面画像、斜視図及び横断面画像を表示することで、ユーザーは関心血管セグメントを全面的に観察し易い。例えば、
図8に示すように、三次元再構成後の関心血管セグメントの斜視図を表示している。好ましくは、対応する画像において対応するステント、側枝、プラーク等を表現することができ、それによりユーザーは関心血管セグメントをよりよく観察及び分析し易い。例えば、
図14に示すように、三次元再構成後のステントを示してもよい。好ましくは、
図7に示すように、関心血管セグメントのグラフに、対応するステントを表示してもよい。
【0091】
図5に示すように、本発明の実施例は血管画像の処理システムをさらに開示し、関心血管セグメントの映像データ及び関心血管セグメントの血流パラメータを取得するための取得モジュール1と、関心血管セグメントの映像データを検出して分析することで、関心血管セグメントの管腔輪郭パラメータ、及び中膜輪郭パラメータを含む参照情報を得る分析モジュール2と、中膜輪郭パラメータに基づいて参照管腔情報を取得するための第1計算ユニット31、及び血流パラメータ、参照情報及び参照管腔情報に基づいて関心血管セグメントの血流予備量比(FFR)値を算出するための第2計算ユニット32を備える計算モジュール3と、を備える。
【0092】
上記技術的解決手段を採用した処理システムは、上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、血管圧力差のより正確な計算を実現することができる。
【0093】
好ましくは、第1計算ユニット31は、中膜輪郭パラメータに基づいて近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを取得するための正常フレーム抽出ユニットと、近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームに基づいて参照管腔情報を算出するための参照管腔計算ユニットと、を備える。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、管腔輪郭パラメータの代わりに中膜輪郭パラメータを使用して近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを決定し、さらに対応する参照管腔を算出することで、得た参照管腔情報はより正確になり、プラーク等の特徴情報がある場合、管腔輪郭パラメータからPN及びDNを決定することによる誤差を減らした。
【0094】
好ましくは、取得モジュール1はさらに、関心血管セグメントの正常内膜の厚さを取得することに用いられ、第1計算ユニット31は中膜輪郭パラメータ及び正常内膜の厚さに基づいて参照管腔情報を得る。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、中膜輪郭パラメータ及び正常内膜の厚さから対応する参照管腔を算出することで、得た参照管腔情報はより正確になり、内膜の厚さの影響を解消し、対応するFFR値もより正確になる。
【0095】
好ましくは、参照情報は関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、側枝血管セグメントパラメータは分析モジュール2によって管腔輪郭パラメータに基づいて算出され、第1計算ユニット31は、中膜輪郭パラメータに基づいて近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームを取得するための正常フレーム抽出ユニットと、側枝血管セグメントパラメータ、近位端正常フレーム及び遠位端正常フレームに基づいて参照管腔情報を算出するための参照管腔計算ユニットと、を備える。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、中膜輪郭パラメータ及び側枝血管セグメントパラメータから対応する参照管腔情報を算出することで、取得した参照管腔情報はより正確になり、対応するFFR値もより正確になる。
【0096】
好ましくは、参照情報は関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、側枝血管セグメントパラメータは分析モジュール2によって管腔輪郭パラメータに基づいて算出され、第1計算ユニット31は、側枝血管セグメントパラメータに基づいて関心血管セグメントを複数のサブセグメントに分け、中膜輪郭パラメータに基づいて各サブセグメント内の正常フレームを得るための正常フレーム抽出ユニットと、各サブセグメント内の正常フレームに基づいて参照管腔情報を得るための参照管腔計算ユニットと、を備える。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、複数の正常フレームを取得して参照管腔情報を計算することで、サンプリング量を増加させ、側枝を使用したセグメント分割はより合理的になり、従って、参照管腔情報の計算はより正確になる。
【0097】
好ましくは、第1表示モジュールをさらに備え、計算モジュール3は、参照管腔情報及び側枝血管セグメントパラメータに基づいて各側枝での校正値を計算するための第3計算ユニットをさらに備え、第1表示モジュールは関心血管セグメントのグラフを表示し、側枝血管セグメントパラメータに基づいて各側枝をグラフの対応する位置に表示することに用いられ、及び/又は第1表示モジュールはさらに側枝の横断面輪郭を表示し、校正値を表示することに用いられる。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、ユーザーが各側枝の分割及び参照管腔情報の合理性を判断することに寄与し、ユーザーは関心血管セグメントを直観的かつ全面的に観察し、対応する中膜輪郭及び管腔輪郭に明らかな誤りがあるか否かを観察し易い。
【0098】
好ましくは、血管画像の処理システムは修正モジュールをさらに備え、取得モジュール1はさらに関心血管セグメントの血管位置を取得することに用いられ、修正モジュールは血管位置に基づいて関心血管セグメントの血流予備量比(FFR)値を修正することに用いられる。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、異なる血管位置に応じて、映像データを検出及び分析するアルゴリズムを調整し、又は血管位置に基づいてFFR値を修正することで、FFR値をより正確にすることができる。
【0099】
好ましくは、血管画像の処理システムは第2表示モジュールをさらに備え、参照情報は関心血管セグメントの側枝血管セグメントパラメータをさらに含み、側枝血管セグメントパラメータは管腔輪郭パラメータから算出され、取得モジュール1はさらに、血管位置に基づいて関心血管セグメントの血管タイプを取得することに用いられ、血管タイプが分岐モデルである場合、分析モジュール2は側枝血管セグメントパラメータに基づいて関心血管セグメントの分岐節点情報を取得し、第2表示モジュールは関心血管セグメントの縦断面ビューを表示し、分岐節点情報に基づいて、縦断面ビューにおいて異なる色で関心血管セグメントの本幹及び分枝を表現する。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、ユーザーは関心血管セグメントの分岐状況を観察し易い。同時に、FFRを計算する際に、分岐節点情報に基づいてFFRに対して対応する修正を行うことで、FFRの計算結果はより正確になる。
【0100】
好ましくは、取得モジュール1は第1取得ユニット、第2取得ユニット、再構成計算ユニット及び表示ユニットを備え、第1取得ユニットは、目標血管の映像データ及び対応する収集パラメータを取得することに用いられ、収集パラメータは層厚さ及び画素サイズを含み、再構成計算ユニットは、目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて再構成計算を行うことに用いられ、表示ユニットは、再構成後の目標血管の画像を表示することに用いられ、第2取得ユニットは、画像中の選定された関心血管セグメントの映像データを取得することに用いられる。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、関心血管セグメントの映像データの取得はより便利で、直観的になり、操作しやすくなる。
【0101】
好ましくは、取得モジュール1は第1取得ユニットが取得した目標血管の映像データに対して再サンプリング及び再ソートを行うための再サンプリングユニットをさらに備え、再構成計算ユニットは、再ソートされた目標血管の映像データ及び収集パラメータに基づいて再構成計算を行うことに用いられる。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、映像に存在する可能性があるフレーム乱れの問題を克服し、後続で取得した参照情報はより正確になるだけでなく、再構成及び表示過程における演算負荷を減らした。
【0102】
好ましくは、取得モジュール1は、目標血管の画像をレジストレーションして、目標血管の映像データの収集過程における誤差を校正するためのレジストレーションユニットをさらに備え、表示ユニットは、レジストレーション後の画像を表示することに用いられる。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、画像レジストレーションによって、映像データ収集過程におけるカテーテルの変位の影響を解消することができ、観察が容易になるとともに、後続の映像データの検出及び分析によって得た参照情報はより正確になる。
【0103】
好ましくは、第3表示モジュールをさらに備え、参照情報はステント情報をさらに含み、取得モジュール1はさらに、関心血管セグメントのステントパラメータを取得することに用いられ、分析モジュール2はさらに、ステントパラメータに基づいてステントを検出してステントを再構成し、ステントを評価してステント情報を得ることに用いられ、ステント情報はステント位置及びステント輪郭情報を含み、第3表示モジュールは、関心血管セグメントの縦断面ビューを表示し、ステント情報に基づいて縦断面ビューにおいて疑似カラーバーでステントを示すことに用いられる。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、ステントを配置した関心血管セグメントのFFR計算の精度を引き上げたとともに、ユーザーはステントの状態を観察及び把握し易い。
【0104】
好ましくは、第4表示モジュールをさらに備え、計算モジュール3は、参照管腔情報及び参照情報に基づいて狭窄率が閾値よりも大きい第1特徴血管セグメントを定量化するための第4計算ユニットをさらに備え、第4表示モジュールは、関心血管セグメントのグラフを表示し、グラフにおける狭窄率が設定区間にある第1特徴血管セグメントをマークすることに用いられる。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、ユーザーは関心血管セグメントの狭窄状況を観察し易い。
【0105】
好ましくは、第5表示モジュールをさらに備え、関心血管セグメントが第2特徴を含む場合、参照情報は第2特徴情報をさらに含み、分析モジュール2はさらに、参照情報に基づいて関心血管セグメント及び第2特徴を再構成することに用いられ、第5表示モジュールは、関心血管セグメント及び第2特徴を表示することに用いられる。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、ユーザーは第2特徴、例えばプラークの状態を観察し易く、関心血管セグメント内に第2特徴がある場合、FFRの計算に修正係数を追加し、FFRの計算を調整し、FFRの計算結果をより正確にする。
【0106】
好ましくは、調整モジュールをさらに備え、調整モジュールは表示ユニット、調整ユニット及び更新ユニットを備え、表示ユニットは、参照情報に基づいて関心血管セグメントの縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭を表示することに用いられ、調整ユニットは、縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭を調整することに用いられ、更新ユニットは、調整後の縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭に基づいて参照情報、及び/又は参照管腔情報、及び血流予備量比(FFR)値を更新することに用いられる。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、関心血管セグメントの縦断面輪郭及び/又は横断面輪郭の調整について、対応する画像の中膜輪郭、管腔輪郭、側枝輪郭等を調整する様々な方法によって実現でき、ユーザーは必要に応じて設定及び選択することができ、いずれもFFRの計算結果の動的調整を実現し、FFR値をより正確にする効果を達成することができる。
【0107】
好ましくは、疑似カラーの形式で血流予備量比(FFR)値を関心血管セグメントのグラフに表示し、及び/又は関心血管セグメントのグラフを表示し、シミュレートされた後退曲線をオーバーレイ表示し、及び/又は関心血管セグメントを三次元再構成し、三次元再構成後の関心血管セグメントを表示するための第6表示モジュールをさらに備える。上記実施例における血管画像の処理方法を参照すれば、ユーザーは関心血管セグメントをよりよく観察及び分析し易い。
【0108】
理解できるように、血管画像の処理システムの様々な実施例に出現する表示モジュールについて、これらの表示モジュールは対応する情報及び画像を同時表示するように分離・独立したものであってもよく、交互に表示するように合併されたものであってもよく、例えば、キーによって表示画像及び情報の切り替えを行い、具体的には、ユーザーの必要に応じて設定することができる。
【0109】
本発明の実施例はコンピューティングデバイスをさらに開示し、様々な命令を実現するためのプロセッサと、プロセッサによりロードされて上記実施例のいずれかに記載の血管画像の処理方法を実行するための複数の命令を記憶するためのメモリと、を備える。
【0110】
上記技術的解決手段を採用したコンピューティングデバイスは、血管圧力差のより正確な計算を実現することができる。
【0111】
本発明の実施例は記憶媒体をさらに開示し、記憶媒体には、プロセッサによりロードされて上記実施例に記載のいずれかの血管画像の処理方法を実行するための複数の命令が記憶されている。
【0112】
上記技術的解決手段を採用した記憶媒体は、血管圧力差のより正確な計算を実現することができる。
【0113】
本願に開示されている各実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの実現方法の組合せで実現され得る。本願の実施例は、少なくとも1つのプロセッサ、記憶システム(揮発性及び不揮発性メモリ及び/又は記憶素子を含む)、少なくとも1つの入力デバイス及び少なくとも1つの出力デバイスを備えるプログラマブルシステムで実行されるコンピュータプログラム又はプログラムコードとして実現され得る。プログラムコードを入力命令に適用して本願に記載の各機能を実行し出力情報を生成し得る。既知の方式で出力情報を1つ又は複数の出力デバイスに適用し得る。本願の目的のために、処理システムは例えばデジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)又はマイクロプロセッサのようなプロセッサを有する如何なるシステムを含む。
【0114】
プログラムコードは、処理システムと通信するように、高級手続き型言語又はオブジェクト指向のプログラミング言語で実現され得る。プログラムコードは必要に応じて、アセンブリ言語又は機械言語で実現され得る。事実上、本願に記載のメカニズムはいかなる特定のプログラミング言語の範囲にも限定されない。いずれかの場合、該言語はコンパイル言語又はインタプリタ言語であり得る。
【0115】
場合によっては、開示されている実施形態はハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの如何なる組合せで実現され得る。開示されている実施例はさらに1つ又は複数の一時的又は非一時的機械読み取り可能(例えば、コンピュータ読み取り可能)な記憶媒体に格納又は記憶される命令として実現され得、1つ又は複数のプロセッサにより読み取って実行され得る。例えば、命令はネットワーク又はほかのコンピュータ読み取り可能な媒体を介して配信され得る。従って、機械読み取り可能な媒体は、機械(例えば、コンピュータ)読み取り可能な形式で情報を記憶又は伝送する如何なるメカニズムを含んでもよく、フロッピーディスク、光ディスク、光学ディスク、読み取り専用メモリ(CD-ROMs)、磁気光ディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、磁気カード又は光学カード、フラッシュメモリ、又はインターネットを使用して電気的、光学的、音響的又はほかの形式の伝播信号で情報(例えば、キャリア、赤外線信号やデジタル信号等)を伝送する有形の機械読み取り可能なメモリを含むが、これらに限定されない。従って、機械読み取り可能な媒体は機械(例えば、コンピュータ)読み取り可能な形式で電子命令又は情報を記憶又は伝送することに適する如何なるタイプの機械読み取り可能な媒体を含む。
【0116】
図面において、特定の配置及び/又は順序でいくつかの構造又は方法の特徴を示し得る。しかし、理解できるように、このような特定の配置及び/又はソートは不要であることもある。一方、いくつかの実施例では、これらの特徴は説明的な図面に示される方式及び/又は順序と異なるように配置され得る。また、特定の図に構造又は方法の特徴が含まれることは、すべての実施例にこのような特徴が必要であることを暗示するものではなく、いくつかの実施例では、これらの特徴を含まないか又はほかの特徴と組み合わせてもよい。
【0117】
なお、本願の各デバイスの実施例に言及された各モジュール/ユニットはいずれもロジックモジュール/ユニットであり、物理的には、1つのロジックモジュール/ユニットは1つの物理モジュール/ユニットであってもよく、1つの物理モジュール/ユニットの一部であってもよいし、複数の物理モジュール/ユニットの組合せで実現されてもよく、これらのロジックモジュール/ユニットそれ自体の物理的な実現方式は最も重要なことではなく、これらのロジックモジュール/ユニットにより実現される機能の組合せこそ本願に言及された技術的課題を解決するための鍵である。また、本願の革新的な部分を強調するために、本願の上記各デバイスの実施例は本願に言及された技術的課題の解決に密接に関連しないモジュール/ユニットを導入していないが、上記デバイスの実施例には決してほかのモジュール/ユニットが存在しないことを表明するものではない。
【0118】
本発明のいくつかの好ましい実施形態を参照しながら本発明を図示及び説明したが、当業者であれば、以上は具体的な実施形態を参照して本発明をさらに詳細に説明したが、本発明の具体的実施はこれらの説明に限定されないと理解すべきである。当業者は本発明の趣旨及び範囲から逸脱せず、形式及び細部においていくつかの単純な推論又は置換を行うことを含む種々の変更を行うことができる。