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特許7465365銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルムおよびこれを含む低誘電銅箔積層板(CCL)
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  • 特許-銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルムおよびこれを含む低誘電銅箔積層板(CCL) 図1
  • 特許-銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルムおよびこれを含む低誘電銅箔積層板(CCL) 図2
  • 特許-銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルムおよびこれを含む低誘電銅箔積層板(CCL) 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルムおよびこれを含む低誘電銅箔積層板(CCL)
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/03 20060101AFI20240403BHJP
   H01B 3/30 20060101ALI20240403BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20240403BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H05K1/03 610N
H01B3/30 Q
B32B15/08 Q
C08G73/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022553115
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 KR2020016692
(87)【国際公開番号】W WO2022055028
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0115972
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513229923
【氏名又は名称】サン―ア フロンテック カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジホン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ ウヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ウォンス
(72)【発明者】
【氏名】キム ドゥヨン
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-283694(JP,A)
【文献】特開2011-051203(JP,A)
【文献】特開2017-024265(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0038730(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/03
H01B 3/30
B32B 15/08
C08G 73/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張型ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含み、多数個の気孔を具備する多孔性基材および、ポリイミド系化合物を含んで形成され、前記多孔性基材の気孔に充填されるポリイミド系マトリックスを具備するコア層を含
前記コア層は前記多孔性基材の上面および下面のうちいずれか一面以上に備えられ、前記ポリイミド系マトリックスから由来したポリイミド系層をさらに含み、
前記コア層全体重量に対して、前記多孔性基材が20~85重量%であり、
前記コア層全体体積に対して、前記多孔性基材が15~80体積%であり、
前記コア層全体体積に対して、前記ポリイミド系層が8~40体積%であり、
前記ポリイミド系マトリックスは下記の測定方法1により測定したイミド化率が90%以上である、銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルム
[測定方法1]
380℃で60分の間イミド化させた基準試料のイミド化率を100%と想定し、前記ポリイミド系マトリックスに対して赤外線分光器を通じて波長1,700cm -1 および1,615cm -1 のピークの大きさを測定した後、下記の数学式1によりPI indexを計算した後、下記の数学式2によりイミド化率を計算する。
【数1】
【数2】
【請求項2】
前記多孔性基材は、
MD方向の引張強度およびTD方向の引張強度の比が1:0.4~2.5である、請求項1に記載の銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルム。
【請求項3】
前記ポリイミド系層の総厚さと前記多孔性基材の厚さは厚さ比が1:0.2~12である、請求項に記載の銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルム。
【請求項4】
前記コア層は前記多孔性基材の上面および下面にそれぞれ第1ポリイミド系層および第2ポリイミド系層を含み、
前記第1ポリイミド系層と第2ポリイミド系層は厚さ比が1:0.5~1.5である、請求項に記載の銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルム。
【請求項5】
前記コア層の一面または両面に接着層をさらに含む、請求項1に記載の銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルム。
【請求項6】
前記ポリイミド系マトリックスは、
BPDA(3,3’,4,4’-Biphenyltetracarboxylic dianhydride)、PMDA(Pyromellitic dianhydride)、ODPA(4,4’-oxydiphthalic anhydride)、BTDA(3,3’,4,4’-benzophenone tetracarboxylic dianhydride)、BPADA(2,2-Bis[4-(3,4-Dicarboxyphenoxy)Phenyl]Propane Dianhydride)、TAHQ(Ditricarboxylic anhydride hydroquinone ester)、6FDA(2,2-bis(3,4-anhydrodicarboxyphenyl)hexafluoropropane)、CBDA(cyclobutane-1,2,3,4-tetracarboxylic dianhydride)およびCHDA(1,2,4,5-Cyclohexanetetracarboxylic Dianhydride)からなる群から選択された1種以上を含むジアンハイドライドおよび、
pPDA(paraphenylene diamine)、ODA(4,4’-Oxydianiline)、TPE-R(1,3-Bis(4-aminophenoxy)benzene)、TPE-Q(1,4-Bis(4-aminophenoxy)benzene)、BAPP(2,2-Bis[4-(4-aminophenoxy)Phenyl]Propane)、M-Tolidine(2,2’-Dimethyl-4,4’-diaminobiphenyl)、O-Tolidine(3,3’-Dimethyl-4,4’-diaminobiphenyl)、TFDB(2,2’-bis(trifluoromethyl)-[1,1’-biphenyl]-4,4’-diamine)およびHFBAPP(2,2-Bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl] hexafluoropropane)からなる群から選択された1種以上を含むジアミンの重合を通じて形成されたポリアミック酸がイミド化されて形成されている、請求項1に記載の銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルム。
【請求項7】
前記コア層および接着層全体体積に対して、前記接着層が2~40体積%である、請求項に記載の銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルム。
【請求項8】
前記ポリイミド系マトリックスはフッ素系粒子およびセラミック粒子のうちいずれか一つ以上を含む、請求項に記載の銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルム。
【請求項9】
前記フッ素系粒子は、
フルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ共重合体(PFA、MFA、perfluoroalkoxy copolymer)、フッ素化エチレンプロピレン共重合体(FEP、fluorinated ethylene propylene copolymer)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE、ethylene tetrafluoroethylene copolymer)およびエチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE、ethylene chlorotrifluoroethylene copolymer)からなる群から選択された1種以上を含む、請求項に記載の銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルム。
【請求項10】
前記セラミック粒子は、
B、Na、Mg、Al、Si、P、K、CaおよびTiからなる群から選択された1種以上の元素を含むセラミック粒子である、請求項に記載の銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルム。
【請求項11】
前記セラミック粒子は中空型セラミック粒子および非中空型セラミック粒子のうちいずれか一つ以上を含む、請求項に記載の銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルム。
【請求項12】
拡張型ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含み、多数個の気孔を具備する多孔性基材および、ポリイミド系化合物を含んで形成され、前記多孔性基材の気孔に充填されるポリイミド系マトリックスを具備するコア層と、
前記コア層の一面または両面に備えられる銅箔と、
前記コア層と銅箔の間に介在される接着層とを含
前記コア層は前記多孔性基材の上面および下面のうちいずれか一面以上に備えられ、前記ポリイミド系マトリックスから由来したポリイミド系層をさらに含み、
前記コア層全体重量に対して、前記多孔性基材が20~85重量%であり、
前記コア層全体体積に対して、前記多孔性基材が15~80体積%であり、
前記コア層全体体積に対して、前記ポリイミド系層が8~40体積%であり、
前記ポリイミド系マトリックスは下記の測定方法1により測定したイミド化率が90%以上である、低誘電銅箔積層板(CCL)
[測定方法1]
380℃で60分の間イミド化させた基準試料のイミド化率を100%と想定し、前記ポリイミド系マトリックスに対して赤外線分光器を通じて波長1,700cm -1 および1,615cm -1 のピークの大きさを測定した後、下記の数学式1によりPI indexを計算した後、下記の数学式2によりイミド化率を計算する。
【数3】
【数4】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルムに関し、さらに詳細には、誘電率と誘電損失が顕著に低く、機械的物性が優秀であるとともに熱膨張係数が顕著に低い効果を発現する、銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルムおよびこれを含む低誘電銅箔積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
1GBを10秒内にダウンロードする時代すなわち、5世代移動通信(5G Networks)時代が開かれている。国際消費者家電見本市2017(CES 2017)でインテルは5Gモデムを世界初に発表しながら、ギガビット級の速度に基づいて自律走行車両と事物インターネット、無線広域帯などの多様な分野で革新が起きるであろうと予告したように、移動通信業者はすでに5世代移動通信に移りつつある。国際電気通信連合(ITU)は2015年10月電波通信総会を開き、5Gの公式の技術名称を「IMT(International Mobile Telecommunication)-2020」と定めた。5Gは「5th generation mobile communications」の略語である。
【0003】
国際電気通信連合(ITU)が定義したところによると、5Gは最大ダウンロード速度が20Gbps、最低ダウンロード速度は100Mbpsである移動通信技術である。また、1km半径内の100万個の機器に事物インターネット(IoT)サービスが提供でき、時速500kmの高速列車においても自由な通信が可能でなければならない。5Gのダウンロード速度は現在の移動通信速度である300Mbpsに比べて70倍以上速く、一般のLTEに比べては280倍速い水準である。1GB映画一本を10秒内にダウンロードできる速度である。5Gは伝送速度だけに気を配っているのではない。伝送速度に負けない程度に応答速度も目立って向上した。データ伝送速度が一度にどれだけ多くのデータが通れるかを知らせる指標であるとすれば、応答速度は大きさの小さいデータが行き来するのにかかる時間に拘る。4Gで応答速度は10~50ms(ミリセカンド、1千分の1秒)まで速くなった。5Gではこの応答速度が約10倍さらに速くなる。このため、多量のデータを中央サーバーと切れることなくやりとりしなければならない自律走行車、事物インターネット(IoT)分野で5Gが活発に導入されるであろう。
【0004】
一方、2GHz以下の周波数を使用する4Gとは異なり、5Gは28GHzの超高帯域周波数を使用する。移動通信システムで送受信される信号は電波であるが、最近ネットワーク構築を進行中である5Gは3.5GHz、28GHzの高周波数帯域を利用し、4Gに比べて顕著に高い高周波数帯域を使うことによって4Gより回折性が低く(直進性が強い)、電波到達距離が短い通信特性により4Gよりさらに多くの基地局や中継機の設置が要求されているのが実情である。
【0005】
電気信号は周波数が高くなるだけ、伝送損失が大きくなる特性がある。従来の低誘電フィルムおよび銅箔積層板の場合、目的とする水準に低い誘電率と誘電損失を達成できなかったため、高周波数帯域の信号妨害を最小化または防止することができず、所定の低い誘電率を発現しても機械的物性が低下したり、熱膨張係数が高いという問題点があった。
【0006】
したがって、誘電率と誘電損失が顕著に低く、機械的物性が優秀であるとともに熱膨張係数が顕著に低い効果を発現する素材に対する開発が急がれているのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記のような点を勘案して案出したもので、誘電率と誘電損失が顕著に低く、機械的物性が優秀であるとともに熱膨張係数が顕著に低い効果を発現する、銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルムおよびこれを含む低誘電銅箔積層板を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するために、本発明は拡張型ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含み、多数個の気孔を具備する多孔性基材および、ポリイミド系化合物を含んで形成され、前記多孔性基材の気孔に充填されるポリイミド系マトリックスを具備するコア層を含む銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルムを提供する。
【0009】
本発明の一実施例によると、前記コア層全体重量に対して、前記多孔性基材が20~85重量%であり得る。
【0010】
また、前記コア層全体体積に対して、前記多孔性基材が15~80体積%であり得る。
【0011】
また、前記コア層は前記多孔性基材の上面および下面のうちいずれか一面以上に備えられ、前記ポリイミド系マトリックスから由来したポリイミド系層をさらに含むことができる。
【0012】
また、前記コア層全体体積に対して、前記ポリイミド系層が8~80体積%であり得る。
【0013】
また、前記多孔性基材は、MD方向の引張強度およびTD方向の引張強度の比が1:0.4~2.5であり得る。
【0014】
また、前記ポリイミド系層の総厚さと前記多孔性基材の厚さは厚さ比が1:0.2~12であり得る。
【0015】
また、前記コア層は前記多孔性基材の上面および下面にそれぞれ第1ポリイミド系層および第2ポリイミド系層を含むことができ、前記第1ポリイミド系層と第2ポリイミド系層は厚さ比が1:0.5~1.5であり得る。
【0016】
また、前記ポリイミド系マトリックスは下記の測定方法1により測定したイミド化率が90%以上であり得る。
【0017】
[測定方法1]
380℃で60分の間イミド化させた基準試料のイミド化率を100%と想定し、ポリイミド系マトリックスに対して赤外線分光器を通じて波長1,700cm-1および1,615cm-1のピークの大きさを測定した後、下記の数学式1によりPI indexを計算した後、下記の数学式2によりイミド化率を計算する。
【0018】
【数1】
【0019】
【数2】
【0020】
また、前記コア層の一面または両面に接着層をさらに含むことができる。
【0021】
また、前記ポリイミド系マトリックスは、BPDA(3,3’,4,4’-Biphenyltetracarboxylic dianhydride)、PMDA(Pyromellitic dianhydride)、ODPA(4,4’-oxydiphthalic anhydride)、BTDA(3,3’,4,4’-benzophenone tetracarboxylic dianhydride)、BPADA(2,2-Bis[4-(3,4-Dicarboxyphenoxy)Phenyl]Propane Dianhydride)、TAHQ(Ditricarboxylic anhydride hydroquinone ester)、6FDA(2,2-bis(3,4-anhydrodicarboxyphenyl)hexafluoropropane)、CBDA(cyclobutane-1,2,3,4-tetracarboxylic dianhydride)およびCHDA(1,2,4,5-Cyclohexanetetracarboxylic Dianhydride)からなる群から選択された1種以上を含むジアンハイドライドおよび、pPDA(paraphenylene diamine)、ODA(4,4’-Oxydianiline)、TPE-R(1,3-Bis(4-aminophenoxy)benzene)、TPE-Q(1,4-Bis(4-aminophenoxy)benzene)、BAPP(2,2-Bis[4-(4-aminophenoxy)Phenyl]Propane)、M-Tolidine(2,2’-Dimethyl-4,4’-diaminobiphenyl)、O-Tolidine(3,3’-Dimethyl-4,4’-diaminobiphenyl)、TFDB(2,2’-bis(trifluoromethyl)-[1,1’-biphenyl]-4,4’-diamine)およびHFBAPP(2,2-Bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]hexafluoropropane)からなる群から選択された1種以上を含むジアミンの重合を通じて形成されたポリアミック酸がイミド化されて形成され得る。
【0022】
また、前記コア層および接着層全体体積に対して、前記接着層が2~40体積%であり得る。
【0023】
また、前記ポリイミド系マトリックスはフッ素系粒子およびセラミック粒子のうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0024】
また、前記フッ素系粒子は、フルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ共重合体(PFA、MFA、perfluoroalkoxy copolymer)、フッ素化エチレンプロピレン共重合体(FEP、fluorinated ethylene propylene copolymer)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE、ethylene tetrafluoroethylene copolymer)およびエチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE、ethylene chlorotrifluoroethylene copolymer)からなる群から選択された1種以上を含むことができる。
【0025】
また、前記セラミック粒子は、B、Na、Mg、Al、Si、P、K、CaおよびTiからなる群から選択された1種以上の元素を含むセラミック粒子であり得る。
【0026】
また、前記セラミック粒子は中空型セラミック粒子および非中空型セラミック粒子のうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0027】
また、本発明は拡張型ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含み、多数個の気孔を具備する多孔性基材および、ポリイミド系化合物を含んで形成され、前記多孔性基材の気孔に充填されるポリイミド系マトリックスを具備するコア層と、前記コア層の一面または両面に備えられる銅箔と、前記コア層と銅箔の間に介在される接着層とを含む低誘電銅箔積層板(CCL)を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルムおよびこれを含む低誘電銅箔積層板は、誘電率と誘電損失が顕著に低く、機械的物性が優秀であるとともに熱膨張係数が顕著に低い効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施例に係る銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルムの断面図である。
図2】本発明の他の一実施例に係る銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルムの断面図である。
図3】本発明の一実施例に係る銅箔積層板(CCL)用低誘電銅箔積層板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は多様な異なる形態で具現され得、ここで説明する実施例に限定されない。図面で本発明を明確に説明するために説明にかかわらない部分は省略し、明細書全体を通じて同一または類似する構成要素に対しては同一の参照符号を付加する。
【0031】
図1および図2に図示された通り、本発明に係る低誘電複合フィルム1000、1001は、多数個の気孔を含む多孔性基材10および前記多孔性基材の気孔に充填されるポリイミド系マトリックスを含むコア層100を具備して具現される。
【0032】
前記多孔性基材は低誘電複合フィルムの支持機能を遂行し、低誘電特性を発現する機能を遂行するもので、拡張型ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)を含む。
【0033】
前記多孔性基材は、MD方向の引張強度およびTD方向の引張強度の比が1:0.4~2.5であり得、好ましくはMD方向の引張強度およびTD方向の引張強度の比が1:0.8~1.7であり得る。万一MD方向の引張強度およびTD方向の引張強度の比が1:0.4未満であるか、1:2.5を超過すると、各方向に対する収縮および応力差によって低誘電複合フィルムに変形が発生する可能性がある。
【0034】
また、前記ポリイミド系マトリックスは低誘電特性を発現し、熱膨張係数を低下させる機能を遂行する。
【0035】
前記ポリイミド系マトリックスは前述した通り、前記多孔性基材10の多数個の気孔を一部又はすべて閉塞し、好ましくは前記多孔性基材10の多数個の気孔をすべて閉塞することができる。
【0036】
一方、前記ポリイミド系マトリックスは、BPDA(3,3’,4,4’-Biphenyltetracarboxylic dianhydride)、PMDA(Pyromellitic dianhydride)、ODPA(4,4’-oxydiphthalic anhydride)、BTDA(3,3’,4,4’-benzophenone tetracarboxylic dianhydride)、BPADA(2,2-Bis[4-(3,4-Dicarboxyphenoxy)Phenyl]Propane Dianhydride)、TAHQ(Ditricarboxylic anhydride hydroquinone ester)、6FDA(2,2-bis(3,4-anhydrodicarboxyphenyl)hexafluoropropane)、CBDA(cyclobutane-1,2,3,4-tetracarboxylic dianhydride)およびCHDA(1,2,4,5-Cyclohexanetetracarboxylic Dianhydride)からなる群から選択された1種以上を含むジアンハイドライドおよび、pPDA(paraphenylene diamine)、ODA(4,4’-Oxydianiline)、TPE-R(1,3-Bis(4-aminophenoxy)benzene)、TPE-Q(1,4-Bis(4-aminophenoxy)benzene)、BAPP(2,2-Bis[4-(4-aminophenoxy)Phenyl]Propane)、M-Tolidine(2,2’-Dimethyl-4,4’-diaminobiphenyl)、O-Tolidine(3,3’-Dimethyl-4,4’-diaminobiphenyl)、TFDB(2,2’-bis(trifluoromethyl)-[1,1’-biphenyl]-4,4’-diamine)およびHFBAPP(2,2-Bis[4-(4-aminophenoxy)phenyl]hexafluoropropane)からなる群から選択された1種以上を含むジアミンの重合を通じて形成されたポリアミック酸がイミド化されて形成されたものであり得、好ましくはBPDA(3,3’,4,4’-Biphenyltetracarboxylic dianhydride)、PMDA(Pyromellitic dianhydride)、ODPA(4,4’-oxydiphthalic anhydride)、BTDA(3,3’,4,4’-benzophenone tetracarboxylic dianhydride)および6FDA(2,2-bis(3,4-anhydrodicarboxyphenyl)hexafluoropropane)からなる群から選択された1種以上を含むジアンハイドライドおよび、pPDA(paraphenylene diamine)、ODA(4,4’-Oxydianiline)およびTFDB(2,2’-bis(trifluoromethyl)-[1,1’-biphenyl]-4,4’-diamine)からなる群から選択された1種以上を含むジアミンの重合を通じて形成されたポリアミック酸がイミド化されて形成されたものであり得る。
【0037】
一方、前記重合は、DMF(N,N-dimethylformamide)、DMAc(N,N-dimethylacetamide)、NMP(1-methyl-2-pyrrolidone)、NEP(N-ethyl-2-pyrrolidone)GBL(γ-butyrolactone)、GVL(γ-valerolactone)、DVL(δ-valerolactone)、炭酸エチレン(Ethylene carbonate)、炭酸プロピレン(Propylene carbonate)、m-クレゾール(m-cresol)、p-クレゾール(p-cresol)、アセトフェノン(Acetophenone)、THF(TetraHydroFuran)、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエンおよびクロロベンゼンからなる群から選択された1種以上を含む溶媒下で遂行され得る。
【0038】
具体的には、前記ポリイミド系マトリックスは後述する方法を通じて形成され得る。この時、後述する方法は前記ジアンハイドライドとしてBPDAおよびPMDAを使い、ジアミンとしてpPDAおよびODAを使う場合について例を挙げて説明することにする。
【0039】
まず、一般的なポリイミド重合に使われる極性非プロトン性溶媒に窒素雰囲気下でpPDAおよびODAを常温で完全に溶解させ、酸二無水物2種のうち、BPDAを15~45分かけて投入する。前記溶液を5~15分の間撹拌した後、PMDAを15~45分かけて投入する。その後、反応温度を0℃~60℃で8~24時間の間反応させてポリアミック酸溶液を製造した。この時、前記ポリアミック酸溶液は固形分含量が5~25重量%であり得、好ましくは固形分含量が10~20重量%であり得、前記ポリアミック酸溶液は25℃で粘度が2000~5000cpsであり得、好ましくは粘度が2500~4500cpsであり得る。所定のフィルタで前記ポリアミック酸溶液をフィルタリングし、含浸溶液を製造する。以後、多孔性基材の内部の多数個の気孔を含浸溶液がすべて閉塞するように含浸溶液に前記多孔性基材を含浸させた後、65~95℃で1~10分の間1次乾燥し、100~140℃で5~15分の間2次乾燥して溶媒を除去することによって、多孔性基材および前記多孔性基材の気孔と両面にポリアミック酸が備えられた複合フィルムを製造する。最後に170~260℃で1次熱処理および240~360℃で2次熱処理を遂行してポリアミック酸をイミド化させることによって、多孔性基材10とポリイミド系マトリックスを含む低誘電複合フィルム1000、1001を製造することができる。この時、フィルムの構築とカール(curl)の発生を最小化するためにテンター(ロール延伸機)設備を通じて横方向(TD)延伸条件で熱処理を遂行できる。
【0040】
一方、前記コア層100全体重量に対して、前記多孔性基材10が20~85重量%であり得、好ましくは60~80重量%であり得る。万一、前記コア層全体重量に対して、前記多孔性基材が20重量%未満であると低誘電複合フィルムおよび低誘電銅箔積層板の誘電率と誘電損失が増加して5G高周波数基板素材として使うのが難しい問題が発生し得、85重量%を超過すると機械的強度が低下する問題が発生し得る。
【0041】
また、前記コア層100全体体積に対して、前記多孔性基材10が15~80体積%であり得、好ましくは50~75体積%であり得る。万一、前記コア層全体体積に対して、前記多孔性基材が15体積%未満であると誘電率と誘電損失が増加する問題が発生し得、80体積%を超過すると機械的強度が低下する問題が発生し得る。
【0042】
一方、前記コア層100は前記多孔性基材10の上面および下面のうちいずれか一面以上に備えられ、前記ポリイミド系マトリックスから由来したポリイミド系層20a、20bをさらに含むことができる。
【0043】
この時、前記ポリイミド系層は前記ポリイミド系マトリックスから由来したものであるため、前述したポリイミド系マトリックスのポリイミド系化合物と同一の化合物を含んで形成され得る。
【0044】
一方、前記コア層100全体体積に対して、前記ポリイミド系層20a、20bが8~80体積%であり得、好ましくは10~40体積%であり得る。万一、前記多孔性基材およびポリイミド系マトリックス全体体積に対して、前記ポリイミド系層が8体積%未満であると機械的強度が低下する問題が発生し得、80体積%を超過すると誘電率と誘電損失が増加する問題が発生し得る。
【0045】
また、前記ポリイミド系層20a、20bの総厚さと前記多孔性基材10の厚さは厚さ比が1:0.2~12であり得、好ましくは厚さ比が1:4~11.5であり得る。万一、前記ポリイミド系層の総厚さと前記多孔性基材の厚さの厚さ比が1:0.2未満であると誘電率と誘電損失が増加する問題が発生し得、厚さ比が1:12を超過すると機械的強度が低下する問題が発生し得る。
【0046】
一方、前記コア層100は図1および図2に図示された通り、前記多孔性基材10の上面および下面にそれぞれ第1ポリイミド系層20aおよび第2ポリイミド系層20bを含むことができる。具体的には、前記多孔性基材10の上面に前記第1ポリイミド系層20aを含むことができ、前記多孔性基材20の下面に前記第2ポリイミド系層20bを含むことができる。
【0047】
この時、前記第1ポリイミド系層20aと第2ポリイミド系層20bは厚さ比が1:0.5~1.5であり得、好ましくは厚さ比が1:0.7~1.3であり得る。万一、厚さ比が前記範囲を外れると層間応力不均一が発生して複合フィルムおよび/または銅箔積層板にカール(curl)が発生し得、過度な内部応力により変形が発生する問題が発生し得る。
【0048】
一方、前記ポリイミド系マトリックスは下記の測定方法1により測定したイミド化率が90%以上であり得、好ましくは下記の測定方法1により測定したイミド化率が95%以上であり得る。
【0049】
[測定方法1]
380℃で60分の間イミド化させた基準試料のイミド化率を100%と想定し、ポリイミド系マトリックスに対して赤外線分光器を通じて波長1,700cm-1および1,615cm-1のピークの大きさを測定した後、下記の数学式1によりPI indexを計算した後、下記の数学式2によりイミド化率を計算する。
【0050】
【数3】
【0051】
【数4】
【0052】
万一、前記測定方法1により測定したイミド化率が90%未満であると誘電率および誘電損失が増加し、熱膨張係数が増加する問題が発生し得る。
【0053】
この時、前記PI indexは下記の数学式3により計算してもよいが、これに制限されるものではない。
【0054】
【数5】
【0055】
一方、図2に図示された通り、本発明の一実施例に係る低誘電複合フィルム1001は前記コア層100の一面または両面に接着層200をさらに含むことができる。
【0056】
前記接着層200は後述する銅箔積層板に備えられる銅箔を低誘電複合フィルムに固定させる機能を遂行する。前記接着層は当業界で通常的に使用できる接着層物質で形成された接着層であれば制限なく適用することができ、好ましくはエポキシ系接着層、熱可塑性ポリイミド系接着層、シリコン系接着層およびアクリル系接着層からなる群から選択された1種以上の接着層であり得る。
【0057】
一方、前記コア層100および接着層200全体体積に対して、前記接着層200が2~40体積%であり得、好ましくは4~30体積%であり得る。万一、前記コア層100および接着層200全体体積に対して、前記接着層が2体積%未満であると銅箔とポリイミド系マトリックスの間の接着力が充分でないため低誘電銅箔積層板内の層間剥離現象が発生し得、機械的物性が低下し得、接着層が40体積%を超過すると誘電率および誘電損失が増加する問題が発生し得る。
【0058】
一方、本発明の他の一実施例によると、前記ポリイミド系マトリックスはフッ素系粒子およびセラミック粒子のうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0059】
前記フッ素系粒子は当業界で通常的に使用できるフッ素系粒子であれば制限なく使うことができ、好ましくはフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ共重合体(PFA、MFA、perfluoroalkoxy copolymer)、フッ素化エチレンプロピレン共重合体(FEP、fluorinated ethylene propylene copolymer)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE、ethylene tetrafluoroethylene copolymer)およびエチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE、ethylene chlorotrifluoroethylene copolymer)からなる群から選択された1種以上を含むことができる。
【0060】
また、前記セラミック粒子は当業界で通常的に使用できるセラミック粒子であれば制限なく使うことができ、好ましくはB、Na、Mg、Al、Si、P、K、CaおよびTiからなる群から選択された1種以上の元素を含むことができる。この場合、前記セラミック粒子の組成が前述した元素を含んでもよく、前述した元素が表面にドーピングされて形成されるなど、目的によって前述した元素を具備する方法が変わり得るため、本発明ではこれを特に限定しない。
【0061】
そして、前記セラミック粒子は中空部を含む中空型セラミック粒子および非中空型である粒状のセラミック粒子のうちいずれか一つ以上を含むことができる。
【0062】
一方、前述したフッ素系粒子および/またはセラミック粒子の大きさにより、前記多孔性基材の内部に備えられるポリイミド系マトリックスには前述した粒子が備えられず、ポリイミド層にのみ前述した粒子が備えられてもよいが、これに制限されるものではない。
【0063】
図3に図示された通り、本発明に係る低誘電銅箔積層板2000は、多数個の気孔を含む多孔性基材10、前記多孔性基材の気孔に充填されるポリイミド系マトリックスを具備するコア層100、前記コア層100の一面または両面に備えられる銅箔300および前記コア層と銅箔の間に介在される接着層200を含んで具現される。
【0064】
前記銅箔300は当業界で通常的に使用できる公知になっているスペックを有する銅箔であり得、このため、本発明ではこれを特に限定しない。
【0065】
下記の実施例を通じて本発明をさらに具体的に説明することにするが、下記の実施例が本発明の範囲を制限するものではなく、これは本発明の理解を助けるためのものと解釈されるべきである。
【実施例
【0066】
<実施例1:銅箔積層板(CCL)用低誘電複合フィルムの製造>
まず、重合溶媒であるDMAcに窒素雰囲気下でpPDAおよびODAを投入した後、常温で完全に溶解させ、BPDAを30分かけて投入する。前記溶液を10分の間撹拌した後、PMDAを30分かけて投入する。その後20℃以下の温度で16時間の間反応させてポリアミック酸溶液を製造した。これを通じて固形分含量が15重量%で、25℃で粘度が3500cpsであるポリアミック酸溶液を収得した後、チョンステクノピルのMINIFLOWフィルタで(CTS-CAP10 A grade)フィルタリングし、最終的に固形分含量が15重量%である含浸溶液を製造した。
【0067】
そして、厚さ40μmの拡張型ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)の多数個の気孔を含む多孔性基材を前記製造した含浸溶液に含侵して多孔性基材の多数個の気孔をすべて閉塞させた後、溶媒を除去するために温度80℃で5分の間1次乾燥および温度120℃で10分の間2次乾燥を遂行した。この時、前記多孔性基材のMD方向の引張強度は30MPaおよびTD方向の引張強度は25MPaであり、MD方向の引張強度およびTD方向の引張強度の比は1:0.8であった。
【0068】
以後、温度250℃で10分の間1次熱処理および温度350℃で5分の間2次熱処理を遂行してポリアミック酸をイミド化させることによって、図1に図示されたような多孔性基材とポリイミド系マトリックスを含む低誘電複合フィルムを製造した。この時、フィルムの構築とカール(curl)の発生を最小化するためにテンター(ロール延伸機)設備を通じて横方向(TD)延伸条件で熱処理を遂行した。
【0069】
製造された低誘電複合フィルムで第1ポリイミド系層および第2ポリイミド系層の厚さはそれぞれ5μmであり、製造された低誘電複合フィルム全体重量に対して多孔性基材が73重量%であり、製造された低誘電複合フィルム全体体積に対して多孔性基材が64体積%およびポリイミド系層が25体積%であった。また、製造された低誘電複合フィルムで下記の測定方法1により測定したポリイミド系マトリックスのイミド化率は98%であった。
【0070】
[測定方法1]
イミド化率はフーリエ変換赤外線分光器(FT-IR)を使って分析し、380℃で60分の間イミド化させた基準試料のイミド化率を100%と想定し、ポリイミド系マトリックスに対して赤外線分光器を通じて波長1,700cm-1および1,615cm-1のピークの大きさを測定した後、下記の数学式1によりPI indexを計算し、下記の数学式2によりイミド化率を計算した。
【0071】
【数6】
【0072】
【数7】
【0073】
<実施例2~13および比較例1~2>
実施例1と同様に実施して製造するものの、多孔性基材の重量%、体積%、ポリイミド系層の体積%、ポリイミド系層の総厚さと多孔性基材の厚さの厚さ比、ポリイミド系マトリックスのイミド化率、多孔性基材を含むか否かおよびポリイミド系マトリックスを含むか否かなどを変更して表1~表3のような低誘電複合フィルムを製造した。
【0074】
<実験例1>
実施例および比較例により製造したそれぞれの低誘電複合フィルムに対して、下記の物性を評価して表1~表3に示した。
【0075】
1.誘電率および誘電損失測定
それぞれの低誘電複合フィルムに対してネットワークアナライザー(E8364A(45MHz~50GHz)、Agilent Technologies社)を使って共振空胴(Resonant cavity)を通じてフィルム形態のサンプルをギガヘルツ(GHz)領域で誘電率および誘電損失を測定した。
【0076】
2.機械的物性評価
それぞれの低誘電複合フィルムに対して万能材料試験機(Universal Testing Machine、UTM)を使ってASTM-D882規格に基づいて引張強度を測定した。
【0077】
3.熱膨張係数測定
それぞれの低誘電複合フィルムに対して熱機械的分析装置(Pyris Diamond TMA、Perkin Elmer instrument)を通じて熱膨張係数を測定した。窒素気流下で昇温条件10℃/minで30~400℃範囲で測定した後、50~250℃間での平均値を算出した。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
前記表1~表3で分かるように、本発明に係る多孔性基材の重量%、体積%、ポリイミド系層の体積%、ポリイミド系層の総厚さと多孔性基材の厚さの厚さ比、ポリイミド系マトリックスのイミド化率、多孔性基材を含むか否かおよびポリイミド系マトリックスを含むか否かなどをすべて満足する実施例1、3、4、8、11および12が、この中で一つでも抜けている実施例2、5、6、7、9、10、13および比較例1~2に比べて誘電率および誘電損失が顕著に低く、機械的物性が優秀であるとともに熱膨張係数が低い効果をすべて同時に発現することが分かった。
【0082】
一方、比較例2は熱膨張係数が過度に高いため測定が不可であった。
【0083】
<実施例14~19>
実施例1と同様に実施して製造するものの、実施例1のジアンハイドライドであるBPDAとPMDAを、BPDAとODPA(実施例14)、BPDAとBTDA(実施例15)、BPDAと6FDA(実施例16)、PMDAとODPA(実施例17)、PMDAとBTDA(実施例18)、PMDAと6FDA(実施例19)に変更して低誘電複合フィルムを製造した。
【0084】
<実施例20~21>
実施例1と同様に実施して製造するものの、実施例1のジアミンであるpPDAとODAを、pPDAとTFDB(実施例20)および、ODAとTFDB(実施例21)に変更して低誘電複合フィルムを製造した。
【0085】
<実施例22~24>
実施例1と同様に実施して製造するものの、実施例1のジアンハイドライドであるBPDAとPMDAを、6FDA(実施例22)および、ODPA(実施例23)、BTDA(実施例24)に変更してそれぞれ単独で適用されたポリアミック酸を製造して低誘電複合フィルムを製造した。
【0086】
<実施例25~26>
実施例1と同様に実施して製造するものの、実施例1のジアミンであるpPDAとODAを、TFDB(実施例25)および、BAPP(実施例26)に変更してそれぞれ単独で適用されたポリアミック酸を製造して低誘電複合フィルムを製造した。
【0087】
<実験例2>
実施例14~26により製造したそれぞれの低誘電複合フィルムに対して、下記の物性を評価して表4および表5に示した。
【0088】
1.誘電率および誘電損失測定
それぞれの低誘電複合フィルムに対してネットワークアナライザー(E8364A(45MHz~50GHz)、Agilent Technologies社)を使って共振空胴(Resonant cavity)を通じてフィルム形態のサンプルをギガヘルツ(GHz)領域で誘電率および誘電損失を測定した。
【0089】
2.機械的物性評価
それぞれの低誘電複合フィルムに対して万能材料試験機(Universal Testing Machine、UTM)を使ってASTM-D882規格に基づいて引張強度を測定した。
【0090】
3.熱膨張係数測定
それぞれの低誘電複合フィルムに対して熱機械的分析装置(Pyris Diamond TMA、Perkin Elmer instrument)を通じて熱膨張係数を測定した。窒素気流下で昇温条件10℃/minで30~400℃範囲で測定した後、50~250℃間での平均値を算出した。
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【0093】
前記表4および表5で分かるように、本発明に係るジアンハイドライドおよびジアミンの種類を満足する実施例14~21が、これを満足しない実施例22~26に比べて誘電率および誘電損失が顕著に低く、機械的物性が優秀であるとともに熱膨張係数が低い効果をすべて同時に発現することが分かった。
【0094】
<製造例1>
実施例1により製造した低誘電複合フィルムの上部面に、潜在性硬化剤およびアクリル樹脂が含まれた1液型のエポキシ溶液をコーティングした後、温度100℃で乾燥して厚さが6μmである接着層を具備する低誘電複合フィルムを製造した。ここで1液型エポキシ100重量部に対して潜在性硬化剤であるDICY(dicyandiamide)およびアクリル樹脂10重量部を含む。この時、製造された低誘電複合フィルム全体体積に対して接着層が6体積%であった。
【0095】
<製造例2~6>
製造例1と同様に実施して製造するものの、低誘電複合フィルム全体体積に対する接着層の体積%を変更して下記の表6のような低誘電複合フィルムを製造した。
【0096】
<実験例3>
前記製造例1~6により製造した低誘電複合フィルムに対して下記の物性を評価して下記の表6に示した。
【0097】
1.誘電率および誘電損失測定
それぞれの低誘電複合フィルムに対してネットワークアナライザー(E8364A(45MHz~50GHz)、Agilent Technologies社)を使って共振空胴(Resonant cavity)を通じてフィルム形態のサンプルをギガヘルツ(GHz)領域で誘電率および誘電損失を測定した。
【0098】
2.接着強度測定
製造例に係るそれぞれの低誘電複合フィルムに対してIPC-TM-650 2.4.9.1の評価規格に基づいて90度方向で引き上げて銅層が剥離される時点を測定して評価した。
【0099】
【表6】
【0100】
前記表6で分かるように、本発明に係る接着層の体積%、ポリイミド系層の体積%を満足する製造例1、3および4が、これを満足しない製造例2および製造例6に比べて誘電率および誘電損失が顕著に低く、接着強度が優秀な効果をすべて同時に発現することが分かった。
【0101】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明の思想は本明細書に提示される実施例に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同一思想の範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、追加などによって他の実施例を容易に提案できるであろうが、これも本発明の思想範囲内に含まれると言える。
図1
図2
図3