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特許7465371マルチチャンネルスイッチモード電源及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】マルチチャンネルスイッチモード電源及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022568480
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2021110353
(87)【国際公開番号】W WO2022062681
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】202011043811.1
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】劉斌
(72)【発明者】
【氏名】安斌
(72)【発明者】
【氏名】黄宗偉
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-004550(JP,A)
【文献】特開2014-140266(JP,A)
【文献】特開2010-148231(JP,A)
【文献】特開2015-226438(JP,A)
【文献】特開2020-053593(JP,A)
【文献】特開2002-010632(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0203705(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0093285(US,A1)
【文献】米国特許第06388896(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラと、複数のスイッチ回路と、を含み、
各前記スイッチ回路はそれぞれ前記コントローラに接続され、かつ、隣接して設けられ、
前記コントローラは、少なくとも2つのスイッチ回路の各々の電流ループを逆に維持するように制御するように構成され
前記スイッチ回路は第1スイッチトランジスタと、第2スイッチトランジスタと、を含み、
前記第1スイッチトランジスタ及び/又は前記第2スイッチトランジスタは前記コントローラに接続され、かつ、前記コントローラは同一時刻に前記スイッチ回路の第1スイッチトランジスタ及び第2スイッチトランジスタのうちの1つのみを導通制御し、
前記第1スイッチトランジスタが導通する場合、前記スイッチ回路において作動状態にある第1デバイス間に形成される電流ループが第1方向であり、
前記第2スイッチトランジスタが導通する場合、前記スイッチ回路において作動状態にある第2デバイス間に形成される電流ループが第2方向であり、
前記第1方向と前記第2方向は時計回り方向又は反時計回り方向を含む、マルチチャンネルスイッチモード電源。
【請求項2】
前記少なくとも2つのスイッチ回路は、第1スイッチ回路と、第2スイッチ回路と、を含み、
前記第1スイッチ回路と前記第2スイッチ回路の第1方向が反対するとともに、第2方向が反対する場合、前記コントローラは、前記第1スイッチ回路の第1スイッチトランジスタと前記第2スイッチ回路の第1スイッチトランジスタを制御して同期して導通又は遮断させ、及び/又は、前記第1スイッチ回路の第2スイッチトランジスタと前記第2スイッチ回路の第2スイッチトランジスタを制御して同期して導通又は遮断させるか、又は、
前記第1スイッチ回路と前記第2スイッチ回路の第1方向が同じであるとともに、第2方向が同じである場合、前記コントローラは前記第1スイッチ回路の第1スイッチトランジスタと前記第2スイッチ回路の第2スイッチトランジスタを制御して同期して導通又は遮断させ、及び/又は、前記第1スイッチ回路の第2スイッチトランジスタと前記第2スイッチ回路の第1スイッチトランジスタを制御して同期して導通又は遮断させる、請求項に記載のマルチチャンネルスイッチモード電源。
【請求項3】
前記スイッチ回路は、入力端子、出力端子、インダクタ、第1コンデンサ及び第2コンデンサをさらに含み、
前記インダクタ及び前記第1スイッチトランジスタは前記入力端子と前記出力端子との間に接続され、前記インダクタは、さらに、前記第2スイッチトランジスタと前記第1コンデンサとの間に接続され、前記第2コンデンサは前記入力端子又は前記出力端子に接続される、請求項に記載のマルチチャンネルスイッチモード電源。
【請求項4】
前記第1スイッチトランジスタと前記第2スイッチトランジスタは全体としてスイッチチップ内にパッケージされる、請求項に記載のマルチチャンネルスイッチモード電源。
【請求項5】
前記少なくとも2つのスイッチ回路の各々の電流ループの電流値の差が予め設定された閾値よりも小さい、請求項1~のいずれか1項に記載のマルチチャンネルスイッチモード電源。
【請求項6】
前記マルチチャンネルスイッチモード電源は各前記スイッチ回路に接続される分圧回路をさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載のマルチチャンネルスイッチモード電源。
【請求項7】
前記マルチチャンネルスイッチモード電源は各前記スイッチ回路に接続されるレギュレータ回路をさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載のマルチチャンネルスイッチモード電源。
【請求項8】
前記スイッチ回路は直流変換回路を含む、請求項1~のいずれか1項に記載のマルチチャンネルスイッチモード電源。
【請求項9】
電源回路と、請求項1~のいずれか1項に記載のマルチチャンネルスイッチモード電源と、負荷機器と、を含む電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号が202011043811.1、出願日が2020年9月28日の中国特許出願に基づいて提出されており、当該中国特許出願の優先権を主張しており、当該中国特許出願の全内容は参照として本願に組み込まれている。
【0002】
本願はスイッチモード電源の技術分野に関し、特にマルチチャンネルスイッチモード電源及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
スイッチモード電源(SMPS:Switch Mode Power Supply)は高周波化電気エネルギー変換装置であり、電源供給器の1種であり、さまざまな形態のアーキテクチャを通じて1つのレベルの電圧をユーザー端末に必要な電圧や電流に変換する機能を備え、現在、スイッチモード電源はコンピュータ産業や携帯電話産業など、様々な産業に適用されている。
【0004】
しかし、スイッチモード電源が作動するときに電磁(Electromagnetic Interference,EMI)干渉が外部に与え、スイッチモード電源の近くに敏感型デバイスがある場合、発生した電磁干渉は敏感型デバイスに悪影響を与え、敏感型デバイスの性能を低下させ、さらに敏感型デバイスが正常に作動できなくなってしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上に基づき、本願は、マルチチャンネルスイッチモード電源及び電子機器を提供する。
【0006】
第1態様では、本願は、コントローラと、複数のスイッチ回路と、を含み、各前記スイッチ回路はそれぞれ前記コントローラに接続され、かつ、隣接して設けられ、前記コントローラは、少なくとも2つのスイッチ回路の各々の電流ループを逆に維持するように制御するように構成される、マルチチャンネルスイッチモード電源を提供する。
【0007】
第2態様では、本願は、電源回路と、第1態様に記載のマルチチャンネルスイッチモード電源と、負荷機器と、を含む電子機器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本願の実施例による電子機器の回路構成概略図である。
図2】本願の実施例によるマルチチャンネルスイッチモード電源の回路構成概略図である。
図3】本願の一実施例におけるマルチチャンネルスイッチモード電源の一例の回路構成概略図である。
図4】本願の一実施例におけるマルチチャンネルスイッチモード電源の別の回路構成概略図である。
図5】本願の一実施例における第1デバイスの配設及び配線の一例の形態である。
図6】本願の一実施例における第1デバイスの別の配設及び配線の形態である。
図7】本願の一実施例におけるスイッチ回路の一例の回路構成概略図である。
図8】本願の一実施例におけるスイッチ回路の別の回路構成概略図である。
図9】本願の実施例の一例の適用シナリオの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願の実施例における図面を参照して、本願の実施例における技術案を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明する実施例は本願の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。当業者が本願の実施例に基づいて創造的な努力を必要とせずに得る全ての他の実施例は本願の特許範囲に属する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、本願のいくつかの実施形態について詳細に説明する。矛盾しない限り、下記の実施例及び実施例の特徴は互いに組み合わせられてもよい。
【0011】
スイッチモード電源は、作動するときに電磁干渉を発生させ、この技術的課題を解決するために、本分野における一般的な技術の1つとしては、スイッチモード電源のデバイスの一部、例えばスイッチモード電源のインダクタ、コンデンサ、抵抗などを調整し、例えば、10mHのインダクタを20mHのインダクタに変更し、本分野における別の一般的な技術としては、スイッチトランジスタの作動パラメータ、例えば、スイッチトランジスタの導通・遮断頻度などを調整する。この2つの方式はいずれもスイッチモード電源の元の作動モードを変更し、スイッチモード電源が好適なモードで作動できなくなり、消費電力の上昇をもたらす。
【0012】
以上に鑑み、本願の実施例による電子機器は、図1に示すように、電源回路10と、マルチチャンネルスイッチモード電源20と、負荷機器30と、を含み、これらのうち、電源回路10はマルチチャンネルスイッチモード電源20に接続され、マルチチャンネルスイッチモード電源20は負荷機器30に接続される。
【0013】
いくつかの実施形態では、マルチチャンネルスイッチモード電源20は1つ又は複数の電源回路10に接続されてもよく、マルチチャンネルスイッチモード電源20はまた、1つ又は複数の負荷機器30に接続されてもよく、電源回路10及び負荷機器30の数は実際の状況に応じて合理的に設定されてもよい。いくつかの実施形態では、電源回路10は直流電源及び/又は交流電源を含んでもよく、いくつかの例では、電源回路10はリチウム電池などを含んでもよいし、商用電源などを含んでもよい。いくつかの実施形態では、マルチチャンネルスイッチモード電源20は、電源回路10が出力する直流電源及び/又は交流電源を処理して直流電源とし、負荷機器30に供給するように構成され、負荷機器30はアンテナや他の敏感型デバイスを含んでもよい。
【0014】
本願の実施例によるマルチチャンネルスイッチモード電源20は、図2に示すように、コントローラ201と、複数のスイッチ回路202と、を含み、各スイッチ回路202はそれぞれコントローラ201に接続され、かつ、隣接して設けられる。
【0015】
いくつかの実施形態では、スイッチ回路202は直流変換回路又は交流変換回路を含んでもよく、例えば、スイッチ回路202は、buck回路(降圧チョッパー回路)、boost回路(昇圧チョッパー回路)やbuck-boost回路(降圧チョッパー-昇圧チョッパー回路)などを含む。なお、図2では、3つのスイッチ回路202が例示されており、また、3つのスイッチ回路202が同一平面に隣接して設けられることが例示されているが、隣接して設けられる形態は、実際には、これに限定されるものではない。
【0016】
コントローラ201は、少なくとも2つのスイッチ回路202の各々の電流ループを逆に維持するように制御するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラ201はスイッチ回路202の作動モードを制御してもよく、例えば、コントローラ201はパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)によってスイッチ回路202の作動モードを制御してもよい。
【0017】
スイッチ回路202は、作動するときに磁界を発生させ、この磁界は干渉を外部に与え、つまり、スイッチ回路202は作動するときに電磁干渉を外部に与え、また、外部への干渉強度は磁界の強度と正の相関である。本願の実施例では、マルチチャンネルスイッチモード電源20が作動する際に、少なくとも2つ以上のスイッチ回路202は同時に作動し、かつ、少なくとも2つのスイッチ回路202の各々の電流ループが反対する。アンペアの法則によれば、電流ループが反対すると、発生した磁界の方向が反対し、即ち、少なくとも2つのスイッチ回路202の各々による磁界の方向が反対し、さらに、スイッチ回路202が互いに隣接して設けられるので、少なくとも2つのスイッチ回路202の各々による磁界は互いに低減、相殺され、即ち、マルチチャンネルスイッチモード電源20による磁界が低減され、これにより、マルチチャンネルスイッチモード電源20による電磁干渉が低減される。本分野における一般的な技術に比べて、本願の実施例では、スイッチモード電源のデバイスの調整もスイッチトランジスタの作動パラメータの調整も必要ではなく、スイッチモード電源による電磁干渉を改善するとともに、スイッチモード電源が好適なモードで作動することを可能とする。
【0018】
いくつかの例では、図3に示すように、2つのスイッチ回路202はそれぞれコントローラ201に接続され、かつ、隣接して設けられ、よって、マルチチャンネルスイッチモード電源20が作動する際には、コントローラ201は2つのスイッチ回路202の各々の電流ループを逆に維持するように制御する。例えば、図3に示すように、上方のスイッチ回路202の電流ループは反時計回り方向であり、下方のスイッチ回路202の電流ループは時計回り方向であり、このため、この2つの電流ループによる磁界が互いに低減、相殺され、これによって、マルチチャンネルスイッチモード電源20の作動時に発生させた電磁干渉が改善される。
【0019】
いくつかの例では、図4に示すように、3つのスイッチ回路202はそれぞれコントローラ201に接続され、かつ、隣接して設けられ、よって、マルチチャンネルスイッチモード電源20が作動する際には、コントローラ201は3つのスイッチ回路202の各々の電流ループを逆に維持するように制御する。例えば、図4に示すように、上方及び下方のスイッチ回路202の電流ループは反時計回り方向であり、中間のスイッチ回路202の電流ループは時計回り方向であり、このため、この3つの電流ループによる磁界が互いに低減、相殺され、これによって、マルチチャンネルスイッチモード電源20の作動時に発生させた電磁干渉が改善される。
【0020】
いくつかの実施例では、スイッチ回路202は第1スイッチトランジスタと第2スイッチトランジスタと、を含んでもよく、これらのうち、スイッチ回路202のうち少なくとも1つのスイッチトランジスタはコントローラ201に接続され、即ち、第1スイッチトランジスタ及び/又は第2スイッチトランジスタはコントローラに接続される。例えば、第1スイッチトランジスタはコントローラ201に接続され、第2スイッチトランジスタはコントローラ201に接続されず、又は、例えば、第1スイッチトランジスタと第2スイッチトランジスタの両方はコントローラ201に接続される。また、スイッチ回路202が電圧処理機能を備えるので、コントローラ201は同一時刻に1つのスイッチトランジスタだけを導通状態にし、即ち、第1スイッチトランジスタが導通する場合、第2スイッチトランジスタは遮断され、第1スイッチトランジスタが遮断される場合、第2スイッチトランジスタは導通する。例えば、スイッチ回路202は作動状態にあり、第1スイッチトランジスタが導通する場合、第2スイッチトランジスタは遮断され、所定時間後、第1スイッチトランジスタは遮断され、第2スイッチトランジスタは導通する。ここでは、スイッチトランジスタは、トライオードやダイオードなどを含んでもよいが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、第1スイッチトランジスタと第2スイッチトランジスタは全体としてスイッチチップ内にパッケージされてもよく、例えば、スイッチ回路202の第1スイッチトランジスタと第2スイッチトランジスタは全て、全体として1つのスイッチチップ内にパッケージされてもよい。
【0021】
マルチチャンネルスイッチモード電源20による電磁干渉を効果的に改善するために、スイッチ回路202の電流ループに所定の方向性を有することが必要であり、このため、第1スイッチトランジスタが導通する場合、スイッチ回路202において作動状態にある第1デバイス間に形成される電流ループが第1方向であり、即ち、第1スイッチトランジスタが導通する場合、スイッチ回路202の電流ループが第1方向である一方、第2スイッチトランジスタが導通する場合、スイッチ回路202において作動状態にある第2デバイス間に形成される電流ループが第2方向であり、即ち、第2スイッチトランジスタが導通する場合、スイッチ回路202の電流ループが第2方向であり、ここでは、第1方向と第2方向は時計回り方向又は反時計回り方向を含む。
【0022】
具体的には、スイッチ回路202は、第1スイッチトランジスタと第2スイッチトランジスタに加えて、例えばコンデンサ、インダクタなど、他のデバイスを含む。第1スイッチトランジスタが導通する場合、第1デバイスは作動し、第2デバイスは作動せず、さらに、スイッチ回路202の作動原理によれば、スイッチ回路202における電流の流動方向が一定のものであり、例えば、電流がデバイスAを流れてから、デバイスBを流れ、よって、第1デバイスは、第1デバイス間に形成される電流ループが第1方向であるように、配設及び配線などをしてもよく、第1方向が時計回り方向か反時計回り方向かは第1デバイス間の配設及び配線の形態により決定される。第2スイッチトランジスタが導通する場合も同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0023】
いくつかの例では、図5に示すように、第1スイッチトランジスタが導通する場合、デバイス1、デバイス2及び第1スイッチトランジスタは作動し、即ち、第1デバイスはデバイス1、デバイス2及び第1スイッチトランジスタを含み、さらに、電流の流動方向が、入力端子→デバイス1→第1スイッチトランジスタ→デバイス2→出力端子であり、また、第1デバイスの配設及び配線の形態は図示した通りであり、このため、このときのスイッチ回路202の電流ループは反時計回り方向であり、即ち、第1方向は反時計回り方向である。また、例えば、図6に示すように、図6の第1デバイス及び電流の流動方向のいずれも図5と同様であり、第1デバイスの配設及び配線の形態が図示した通りであるとすれば、この場合、スイッチ回路202の電流ループは時計回り方向であり、即ち、第1方向は時計回り方向である。なお、第1デバイスの配設及び配線の形態はこれに限定されるものではない。
【0024】
いくつかの実施形態では、スイッチ回路202は入力端子、出力端子、インダクタ、第1コンデンサ及び第2コンデンサをさらに含み、インダクタ及び第1スイッチトランジスタは入力端子と出力端子との間に接続され、インダクタはまた、第2スイッチトランジスタと第1コンデンサとの間に接続され、第2コンデンサは入力端子又は出力端子に接続される。
【0025】
ここでは、入力端子は電源回路10に接続されるように構成されてもよく、出力端子は負荷機器30に接続されるように構成されてもよい。なお、異なるスイッチ回路202の入力端子は同一電源回路10に接続されてもよく、異なる電源回路10に接続されてもよく、同様に、異なるスイッチ回路202の出力端子は同一負荷機器30に接続されてもよく、異なる負荷機器30に接続されてもよい。
【0026】
いくつかの例では、図7に示すように、スイッチ回路202は直流変換回路であるbuck回路を含んでもよく、入力端子は電源回路10に接続されるように構成され、出力端子は負荷機器30に接続されるように構成され、インダクタL及び第1スイッチトランジスタQ1は入力端子と出力端子との間に接続され、インダクタLはまた、第2スイッチトランジスタQ2と第1コンデンサC1との間に接続され、第2コンデンサC2は入力端子に接続される。ここで、第1スイッチトランジスタQ1はトライオードを含み、第2スイッチトランジスタQ2はダイオードを含み、また、第1スイッチトランジスタQ1はコントローラ201に接続され、コントローラ201により導通又は遮断制御されてもよく、もちろん、第2スイッチトランジスタQ2はトライオードを含み、コントローラ201に接続され、コントローラ201により導通又は遮断制御されてもよい。よって、buck回路の作動原理を参照すると、第1スイッチトランジスタQ1が導通するとき、このときに作動状態にあるデバイスには第2コンデンサC2、第1スイッチトランジスタQ1及びインダクタLが含まれ、かつ、電流の流動方向が、入力端子→第2コンデンサC2→第1スイッチトランジスタQ1→インダクタL→出力端子であることが分かる。この場合、図7に記載のこれらのデバイスの配設及び配線の形態によれば、このとき、スイッチ回路202の電流ループは反時計回り方向であり、即ち、第1方向は反時計回り方向であることが分かる。第2スイッチトランジスタQ2が導通するとき、このときに作動状態にあるデバイスにはインダクタL、第1コンデンサC1及び第2スイッチトランジスタQ2が含まれ、かつ、電流の流動方向が、インダクタL→第1コンデンサC1→第2スイッチトランジスタQ2→インダクタLであることが分かる。この場合、図7に記載のこの3つのデバイスの配設及び配線の形態によれば、このとき、スイッチ回路202の電流ループは時計回り方向であり、即ち、第2方向は時計回り方向であることが分かる。
【0027】
いくつかの例では、図8に示すように、スイッチ回路202は直流変換回路であるboost回路を含んでもよく、入力端子は電源回路10に接続されるように構成され、出力端子は負荷機器30に接続されるように構成され、インダクタL及び第1スイッチトランジスタQ1は入力端子と出力端子との間に接続され、インダクタLはまた、第2スイッチトランジスタQ2と第1コンデンサC1との間に接続され、第2コンデンサC2は出力端子に接続される。ここでは、第1スイッチトランジスタQ1はダイオードを含み、第2スイッチトランジスタQ2はトライオードを含み、また、第2スイッチトランジスタQ2はコントローラ201に接続され、コントローラ201により導通又は遮断制御されてもよく、もちろん、第1スイッチトランジスタQ1はトライオードを含み、コントローラ201に接続され、コントローラ201により導通又は遮断制御されてもよい。よって、boost回路の作動原理を参照すると、第1スイッチトランジスタQ1が導通するとき、図8におけるインダクタL、第1スイッチトランジスタQ1及び第2コンデンサC2の配設及び配線の形態によれば、このとき、スイッチ回路202の電流ループは反時計回り方向であり、即ち、第1方向は反時計回り方向であることが分かる。第2スイッチトランジスタQ2が導通するとき、図8におけるインダクタL、第2スイッチトランジスタQ2及び第1コンデンサC1の配設及び配線の形態によれば、このとき、スイッチ回路202の電流ループは時計回り方向であり、即ち、第2方向は時計回り方向であることが分かる。なお、boost回路の作動原理が当業者に公知のことであるので、ここでは詳細な推論分析をしない。
【0028】
いくつかの実施例では、上記の少なくとも2つのスイッチ回路202は、第1スイッチ回路と、第2スイッチ回路と、を含み、これらのうち、第1スイッチ回路及び第2スイッチ回路はいずれも1つ又は複数であってもよく、本願の実施例では制限しない。
【0029】
前述の通り、スイッチ回路202では、第1スイッチトランジスタが導通する場合、電流ループは第1方向であり、第2スイッチトランジスタが導通する場合、電流ループは第2方向であり、さらに、スイッチ回路202では、少なくとも1つのスイッチトランジスタはコントローラ201に接続され、コントローラ201により導通又は遮断制御され、このため、コントローラ201はスイッチトランジスタの導通又は遮断を制御することにより、第1スイッチ回路と第2スイッチ回路の各々の回路のループを逆に維持し得る。よって、第1スイッチ回路と第2スイッチ回路の第1方向が反対するとともに、第2方向が反対する場合、コントローラ201は第1スイッチ回路の第1スイッチトランジスタと第2スイッチ回路の第1スイッチトランジスタを制御して同期して導通又は遮断させ、すなわち、同時に導通又は遮断させ、及び/又は、第1スイッチ回路の第2スイッチトランジスタと第2スイッチ回路の第2スイッチトランジスタを制御して同期して導通又は遮断させることができ、このようにして、第1スイッチ回路と第2スイッチ回路の各々の電流ループを逆に維持することを確保し、マルチチャンネルスイッチモード電源20による電磁干渉を改善することができる。また、第1スイッチ回路と第2スイッチ回路の第1方向が同じであるとともに、第2方向が同じである、即ち、第1スイッチ回路の第1方向と第2スイッチ回路の第2方向が反対するとともに、第1スイッチ回路の第2方向と第2スイッチ回路の第1方向が反対する場合、コントローラ201は、第1スイッチ回路の第1スイッチトランジスタと第2スイッチ回路の第2スイッチトランジスタを制御して同期して導通又は遮断させ、及び/又は、第1スイッチ回路の第2スイッチトランジスタと第2スイッチ回路の第1スイッチトランジスタを制御して同期して導通又は遮断させることができ、このようにして、第1スイッチ回路と第2スイッチ回路の各々の電流ループを逆に維持することを確保し、マルチチャンネルスイッチモード電源20による電磁干渉を改善することができる。
【0030】
いくつかの実施例では、少なくとも2つのスイッチ回路の各々の電流ループの電流値の差が予め設定された閾値よりも小さい。アンペアの法則によれば、電流ループによる磁界の強度は電流ループの電流の大きさと正の相関であり、このため、少なくとも2つのスイッチ回路の各々の電流ループの電流値の差が予め設定された閾値よりも小さい場合、マルチチャンネルスイッチモード電源20による電磁干渉を効果的に改善することができる。なお、予め設定された閾値は実際の状況に応じて合理的に設定されてもよく、本願の実施例は電流ループの電流の大きさを取得する方式について限定しない。
【0031】
いくつかの実施例では、マルチチャンネルスイッチモード電源20は、各スイッチ回路に接続される分圧回路をさらに含んでもよく、分圧回路は1つ又は複数であってもよく、例えば、分圧回路は1つであり、各スイッチ回路は全て分圧回路に接続され、また、例えば、分圧回路の数はスイッチ回路の数と一致し、1つの分圧回路は1つのスイッチ回路に接続されるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、分圧回路は分圧抵抗を含んでもよく、分圧抵抗の具体的な抵抗値は実際の状況に応じて合理的に設定されてもよい。
【0032】
いくつかの実施例では、マルチチャンネルスイッチモード電源20は、各スイッチ回路に接続されるレギュレータ回路をさらに含んでもよく、レギュレータ回路は1つ又は複数であってもよく、例えば、レギュレータ回路は1つであり、各スイッチ回路は全てレギュレータ回路に接続され、また、例えば、レギュレータ回路の数はスイッチ回路の数と一致し、1つのレギュレータ回路は1つのスイッチ回路に接続されるようにしてもよい。
【0033】
上記の説明に基づいて、本願の実施例は図9に示すマルチチャンネルスイッチモード電源に適用されてもよく、該マルチチャンネルスイッチモード電源は2つのスイッチ回路を含み、それぞれはスイッチ回路1とスイッチ回路2であり、これらのうち、スイッチ回路1は第1スイッチトランジスタQ1と第2スイッチトランジスタQ2を含み、スイッチ回路2は第1スイッチトランジスタQ3と第2スイッチトランジスタQ4を含み、さらに、この4つのスイッチトランジスタは全体としてスイッチチップ内にパッケージされる。また、スイッチ回路1及びスイッチ回路2は両方共にbuck回路を含んでもよく、スイッチ回路1及びスイッチ回路2に含まれる他のデバイス及び接続関係は具体的には図示した通りであり、ここでは、説明を省略する。buck回路の作動原理及び図におけるデバイスの配設及び配線の形態を参照すると、スイッチトランジスタQ1が導通する場合、スイッチ回路1の電流ループI1は反時計回り方向であり、スイッチトランジスタQ2が導通する場合、スイッチ回路1の電流ループI2は時計回り方向であり、スイッチトランジスタQ3が導通する場合、スイッチ回路2の電流ループI3は時計回り方向であり、スイッチトランジスタQ4が導通する場合、スイッチ回路2の電流ループI4は反時計回り方向であることが分かり、このため、電流ループI1と電流ループI3は反対し、電流ループI2と電流ループI4は反対する。よって、コントローラ(図示せず)は、スイッチトランジスタQ1とスイッチトランジスタQ3を制御して同期して導通又は遮断させ、及び/又は、スイッチトランジスタQ2とスイッチトランジスタQ4を制御して同期して導通又は遮断させてもよく、このようにして、スイッチ回路1とスイッチ回路2の各々の電流ループを逆に維持することを確保し、マルチチャンネルスイッチモード電源による電磁干渉を改善することができる。
【0034】
本願の実施例によるマルチチャンネルスイッチモード電源及び電子機器では、該マルチチャンネルスイッチモード電源はコントローラと、複数のスイッチ回路と、を含み、各スイッチ回路はそれぞれコントローラに接続され、かつ、隣接して設けられ、コントローラは、少なくとも2つのスイッチ回路の各々の電流ループを逆に維持するように制御するように構成される。マルチチャンネルスイッチモード電源が作動する際に、少なくとも2つ以上のスイッチ回路は同時に作動し、かつ、少なくとも2つのスイッチ回路の各々の電流ループが反対する。アンペアの法則によれば、電流ループが反対すると、発生させた磁界の方向が反対し、即ち、少なくとも2つのスイッチ回路の各々による磁界の方向が反対し、さらに、各スイッチ回路が隣接して設けられるので、少なくとも2つのスイッチ回路の各々による磁界は互いに低減、相殺され、即ち、マルチチャンネルスイッチモード電源による磁界が低減され、これによって、マルチチャンネルスイッチモード電源による電磁干渉を改善する。
【0035】
以上は本願の具体的な実施形態に過ぎず、本願の特許範囲はこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本願で開示された技術的範囲でさまざまな等価修正又は置換を行うことができ、これらの修正又は置換は全て本願の特許範囲に含まれるものとする。このため、本願の特許範囲は特許請求の範囲の特許範囲に準じるべきである。

図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9