(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置及び作業車両
(51)【国際特許分類】
B60P 1/48 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
B60P1/48 A
(21)【出願番号】P 2023100198
(22)【出願日】2023-06-19
(62)【分割の表示】P 2023002586の分割
【原出願日】2019-04-26
【審査請求日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】P 2018087255
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】池上 慎也
(72)【発明者】
【氏名】金澤 謙二
(72)【発明者】
【氏名】山本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 典明
(72)【発明者】
【氏名】永幡 史暁
(72)【発明者】
【氏名】三浦 智裕
(72)【発明者】
【氏名】古川 威
(72)【発明者】
【氏名】松崎 良彦
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-246986(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0279667(US,A1)
【文献】特表2006-528122(JP,A)
【文献】特開2012-006455(JP,A)
【文献】特開2003-104119(JP,A)
【文献】特開2012-020634(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/00- 1/64
B60P 3/00- 9/00
B62B 3/02, 3/06
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に架装され、荷台床面と地面との間で昇降して荷物の積み降ろしに利用される荷受台昇降装置であって、
前記車両が停車状態のときに略水平姿勢で昇降する荷受台と、前記荷受台を昇降させる駆動アクチュエータと、前記駆動アクチュエータを制御する制御部とを備え、
前記荷受台が昇降可能な状態において、一の領域を照射するように設けられた照射部により前記停車状態の車両後方の前記荷受台の接地予定領域を照射するように構成され、
前記一の領域が前記荷受台の接地予定領域に設定されていることで、前記荷受台が下降する際、前記停車状態の車両の近傍で前記荷受台の前記接地予定領域が照射されることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷受台昇降装置において、
前記荷受台の前記荷台床面高さまでの上昇位置に前記荷受台が上昇したことのセンサによる検知の際に、報知部による報知を行うように構成されていることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項3】
請求項1に記載の荷受台昇降装置において、
下降した前記荷受台に対して、前記照射部により前記荷受台の所定領域が照射されることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の荷受台昇降装置において、
前記荷受台が上昇する際、前記照射部により前記荷受台上の所定領域が照射されることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の荷受台昇降装置において、
前記荷受台の昇降動作の前に前記照射部による照射が行われることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の荷受台昇降装置において、
前記照射部は、レーザ光によって照射を行うことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1つに記載の荷受台昇降装置において、
前記照射部は、LED光によって照射を行うことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の荷受台昇降装置において、
前記照射部による照射に基づいて、車両後方の所定領域内で物体が検出されたか否かを判定することを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1つに記載の荷受台昇降装置を備えたことを特徴とする作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷受台昇降装置及び作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両の一例として、従来、車台と、車台に設けられた架装物としての荷役装置とを備え、当該荷役装置によって荷役対象物を車台に積み降ろし可能に構成された荷役車両が知られている。この種の荷役車両としては、例えば特許文献1に記載されたようなコンテナ荷役車両がある。
【0003】
特許文献1に記載のコンテナ荷役車両では、荷役対象物であるコンテナが、荷役装置によって車台上と地上との間で積み降ろしされるようになっている。荷役装置は、ダンプフレーム、荷役アーム、リフトシリンダ、スライドシリンダ、油圧回路などで構成されており、ダンプフレーム及び荷役アームが、リフトシリンダ及びスライドシリンダの伸縮にともなって動作するようになっている。荷役アームは、L形アームと、L形アームの先端に設けられたフックとを有しており、荷役アームの動作により、フックがコンテナの前壁に設けられた被係合部に対し係脱可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようなコンテナ荷役車両では、コンテナの積込作業を1人行う場合、まず、コンテナに対して積込可能な位置(適切後退位置)にまで車両を後退させて接近させる必要があるが、どこまで後退させたら良いかを経験に頼るケースが多く、不慣れな初心者にとって難しいという問題があった。その後、作業者は、荷役アームのフック及びコンテナの被係合部の位置を確認しながら、車両の運転操作や、リフトシリンダ、スライドシリンダの伸縮操作を行う必要がある。このため、車両後方の安全確認が不十分になる可能性があり、例えば車両とコンテナとの間に、障害物(人や物など)が存在していたとしても、作業者が見落とす場合がある。同様に、コンテナの降ろし作業を1人で行う場合にも、荷役対象物降ろし予定領域内に、障害物が存在していたとしても、作業者が見落とす場合がある。また、上述のような問題点は、コンテナ荷役車両以外の荷役車両(例えば、荷受台昇降装置を備えた作業車両)において、荷役対象物の積み降ろし作業(積込作業、降ろし作業)を1人で行う場合にも、同様に懸念される。
【0006】
また、従来の荷役車両では、荷役対象物の積み降ろしの際、安全のためにリモコンのボタン操作を継続している間のみ荷役装置が動作するようになっていたが、作業者にとって安全を確認しつつボタン操作をし続けることは緊張状態を長く強いられることになり、煩わしいという問題があった。
【0007】
さらに、従来の荷役車両では、例えばコンテナ荷役車両の荷役アームのフックをコンテナの被係合部の高さ位置に持っていくとき等、荷役装置を適正な位置に動作させる場合に初心者にとって難しいという問題があった。
【0008】
本発明は、上述したような実情を考慮してなされたものであって、作業者の車両後方等の安全確認や操作の負担を軽減することが可能な荷受台昇降装置及び作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、車台と、前記車台に設けられた架装物とを備え、前記架装物により荷役対象物を前記車台に対して積み込み及び/又は降ろし可能な作業車両であって、前記架装物は、周囲の物体の物体像及び当該物体像までの距離のデータを取得する物体像取得部と、前記物体像取得部の取得結果に基づいて、前記架装物の駆動アクチュエータを制御する制御部と、を備えることを特徴としている。より具体的には、前記制御部は、前記物体像取得部から前記物体に照射されて前記物体により反射された計測光に基づいて、及び/又は、前記物体像取得部により前記物体を撮影した画像に基づいて、前記物体の3次元位置情報を算出し、当該3次元位置情報に基づいて、前記駆動アクチュエータを制御することを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、物体像取得部から車両の周囲の物体に照射されて物体により反射された計測光に基づいて、及び/又は物体像取得部から車両の周囲の物体を撮影した画像に基づいて、制御部が、車両の周囲の物体(荷役対象物及び障害物を含む)の3次元形状と、車両からその物体までの距離とを認識することができる。これにより、制御部が、車両と、荷役対象物との間に存在する障害物の存在を認識することができるので、従来では作業者が行っていた後方等の安全確認を架装物が自律的に行うことができる。また、従来では作業者にとって煩わしかった安全を確認しつつボタン操作をし続ける必要がなくなる。その結果、作業者の車両後方等の安全確認と架装物の操作の負担を軽減することができる。
【0011】
本発明において、前記架装物は、荷役装置を備え、前記荷役装置は、車幅方向の回動軸の回りに回動自在となるように前記車台に設けられるとともに前記荷役対象物の被係合部に係脱自在なフックを先端に有して、前記荷役対象物を前記車台と地上との間で積み降ろしする荷役アームと、前記車台と前記荷役アームとの間に設けられ、前記荷役アームを前記車台に対して前後に回動させるように配設された前記駆動アクチュエータとを備え、前記制御部は、前記物体像取得部から前記物体に照射されて前記物体により反射された計測光に基づいて、又は前記物体像取得部により前記物体を撮影した画像に基づいて、前記荷役対象物の前記被係合部の位置を算出し、算出された前記被係合部の位置に基づいて、前記駆動アクチュエータを制御して、前記荷役アームの前記フックを前記荷役対象物の前記被係合部に係合させる積込動作を行うことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、車両の停止位置が荷役対象物の積込みに適した位置に対して多少位置ずれしていたとしても、制御部が荷役アームを自律的に動作させて荷役アームのフックを荷役対象物の被係合部に確実に係合させることができる。従来では、このような荷役アームの操作は、車両を後進させながら荷役アームのフックを荷役対象物の被係合部の手前に位置付ける操作になるため、熟練の運転者であっても容易なことではなかった。しかし、上記構成によれば、荷役対象物の積込作業を初心者が1人行う場合であっても、容易且つ確実に荷役アームのフックを荷役対象物の被係合部に係合させることができる。また、荷役アームを自律的に動作させることができるので、自動走行可能な車台に本発明の荷役装置を適用することによって積み降ろし作業の省人化を図ることもできる。
【0013】
本発明において、前記制御部は、前記物体像取得部から前記物体に照射されて前記物体により反射された計測光に基づいて、又は前記物体像取得部により前記物体を撮影した画像に基づいて、車両上方の障害物を検出し、検出された障害物の高さが、前記積込動作を行う際の前記フック又は前記荷役対象物の最大高さよりも高いか否かを判定することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、積込動作を行う際、荷役アーム又は荷役対象物に干渉する可能性がある障害物が車両上方にあるかどうかを容易に確認することができる。
【0015】
本発明において、前記車台の側部に、車両後方を撮影可能なサイドカメラが設けられており、前記制御部は、前記積込動作の際、前記サイドカメラによって撮影された画像に基づいて、前記荷役対象物が前記車台の所定位置に載ったか否かを判定することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、荷役アームの積込動作の際、荷役対象物を車台の所定位置に確実に載せることができ、積込作業の効率化が図れる。
【0017】
本発明において、車両後退時又は積込作業時、前記物体像取得部から前記物体に照射されて前記物体により反射された計測光に基づいて、又は前記物体像取得部により前記物体を撮影した画像に基づいて、車両とその後方の前記荷役対象物との間に車両後方視で一定面積以上の障害物が検出されたか否かを判定することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、車両後退時、車両と荷役対象物との間に車両後方視で一定面積以上の障害物が検出された場合には、制御部が車両の後退を一旦停止させるための信号を出すことができる。例えば、作業者が車両を運転している場合には、制御部が警報により作業者に報知する。また、車両が自動走行車の場合には、制御部が自律的に車両の後退を停止させる。その際、制御部の障害物の検出は一定面積以上に限定されるので、実質的に障害とならないような小さな障害物に対しては制御部が反応しないようにすることができる。その結果、車両が実質的な障害物に衝突することを回避することができ、車両後退時の安全性を高めることができる。
【0019】
また、荷役対象物の積込作業時、車両と荷役対象物との間に車両後方視で一定面積以上の障害物が検出された場合には、制御部が架装物(荷役装置)の作動を一旦停止させるための信号を出すことができる。例えば、作業者が荷役装置を操作している場合には、制御部が警報により作業者に報知する。また、荷役装置の積込作業を自動で行う場合には、制御部が自律的に荷役装置の作動を停止させる。その際、制御部の障害物の検出は一定面積以上に限定されるので、実質的に障害とならないような小さな障害物に対しては制御部が反応しないようにすることができる。その結果、荷役装置が実質的な障害物に衝突することを回避することができ、荷役対象物の積込作業の安全性を高めることができる。
【0020】
本発明において、前記制御部は、車両後退時又は積込作業時、前記物体像取得部から前記物体に照射されて前記物体により反射された計測光に基づいて、又は前記物体像取得部により前記物体を撮影した画像に基づいて、前記荷役対象物の前面に対し、車両の傾きが所定値以上であるか否か、及び前記荷役対象物の前面中央に対し、車両の左右位置ズレが所定値以上であるか否かを判定することが好ましい。また、前記制御部は、車両後退時、前記物体像取得部から前記物体に照射されて前記物体により反射された計測光に基づいて、又は前記物体像取得部により前記物体を撮影した画像に基づいて、前記荷役対象物の前面までの距離を検出し、前記荷役対象物の積み込みに適した位置まで車両が後退したか否かを判定することが好ましい。
【0021】
これらの構成によれば、物体像取得部から車両の周囲の物体に照射されて物体により反射された計測光に基づいて、又は物体像取得部から車両の周囲の物体を撮影した画像に基づいて、車両の後退ガイドを行うので、架装物(荷役装置)への荷役対象物の積込みに適した位置まで車両の移動を容易に行うことができる。
【0022】
本発明において、前記制御部は、降ろし作業時、前記物体像取得部から前記物体に照射されて前記物体により反射された計測光に基づいて、又は前記物体像取得部により前記物体を撮影した画像に基づいて、車両後方の荷役対象物降ろし予定領域内に車両後方視で一定面積以上の障害物が検出されたか否かを判定することが好ましい。
【0023】
この構成によれば、荷役対象物の降ろし作業時、車両後方の荷役対象物降ろし予定領域内に車両後方視で一定面積以上の障害物が検出された場合には、制御部が架装物(荷役装置)の作動を一旦停止させるための信号を出すことができる。例えば、作業者が荷役装置を操作している場合には、制御部が警報により作業者に報知する。また、荷役装置の降ろし作業を自動で行う場合には、制御部が自律的に荷役装置の作動を停止させる。その際、制御部の障害物の検出は一定面積以上に限定されるので、実質的に障害とならないような小さな障害物に対しては制御部が反応しないようにすることができる。その結果、荷役装置が実質的な障害物に衝突することを回避することができ、荷役対象物の降ろし作業の安全性を高めることができる。
【0024】
本発明において、前記車台の側部に、車両後方を撮影可能なサイドカメラが設けられており、前記制御部は、前記車台上に搭載された前記荷役対象物の降ろし動作を行う際、
前記物体像取得部から前記物体に照射されて前記物体により反射された計測光及び前記サイドカメラによって撮影された画像に基づいて、又は、前記物体像取得部により前記物体を撮影した画像及び前記サイドカメラによって撮影された画像に基づいて、前記荷役対象物降ろし予定領域に接近する物体があるか否かを判定することが好ましい。
【0025】
この構成によれば、架装物(荷役装置)による荷役対象物の降ろし動作中、荷役対象物に接近する物体があれば直ちに荷役対象物の降ろし動作を停止することができ、荷役対象物の降ろし動作中の安全性を確保することができる。
【0026】
また、本発明は、車台と、前記車台に設けられた架装物とを備え、前記架装物により荷役対象物を前記車台に対して積み込み及び/又は降ろし可能な作業車両であって、前記架装物は、当該架装物の形態変化する一部分の物体像及び当該物体像までの距離のデータを取得する物体像取得部と、前記物体像取得部の取得結果に基づいて、前記架装物の駆動アクチュエータを制御する制御部と、を備えることを特徴としている。
【0027】
上記構成によれば、物体像取得部が、架装物の形態変化する一部分の物体像及び当該物体像までの距離のデータを取得することにより、制御部が、当該一部分の3次元形状と、車両から当該一部分までの距離とを認識することができる。これにより、制御部が、架装物の形態変化を認識して駆動アクチュエータを動作させることができるので、従来では作業者が行っていた架装物の安全確認と操作とを、当該一部分の形態変化に基づいて架装物が自律的に行うことができる。その結果、作業者の安全確認と架装物の操作の負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の荷受台昇降装置及び作業車両によれば、従来では作業者が行っていた後方等の安全確認を架装物が自律的に行うことができ、また、従来では作業者にとって煩わしかった安全を確認しつつボタン操作をし続ける必要がなくなるので、作業者の車両後方等の安全確認と架装物の操作の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施形態に係るコンテナ荷役車両の概略構成を示す側面図である。
【
図3】コンテナ荷役車両の荷役装置を示す斜視図である。
【
図4】コンテナ荷役車両の荷役装置を示す平面図である。
【
図5】コンテナ荷役車両の制御系の概略構成を示す図である。
【
図6】コンテナ荷役車両に設けられたセンサヘッド及びサイドカメラの設置位置を示す斜視図である。
【
図7】
図6のセンサヘッド及びその周辺を示す斜視図である。
【
図8】
図6のサイドカメラ及びその周辺を示す斜視図である。
【
図9】
図6のセンサヘッドの照射領域の切り替えを説明するための図である。
【
図10】コンテナの積込時の制御を示すフローチャートである。
【
図11】後退時のコンテナ前壁の認識処理を示すフローチャートである。
【
図12】引上げ時の障害物の認識処理を示すフローチャートである。
【
図13】上方障害物の認識処理を示すフローチャートである。
【
図14】キャッチング時のコンテナ前壁の認識処理を示すフローチャートである。
【
図15】引上げ時のコンテナ前壁の認識処理を示すフローチャートである。
【
図16】荷役アームが着床状態にあるときを示す荷役装置等のスケルトン図である。
【
図17】荷役アームが後方回動状態にあるときを示す荷役装置等のスケルトン図である。
【
図18】コンテナの降ろし制御を示すフローチャートである。
【
図19】降ろし予定領域内の障害物の認識処理を示すフローチャートである。
【
図20】サイドカメラによる障害物の認識処理を示すフローチャートである。
【
図21】センサヘッドによって検出された車両後方の計測点の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図25】障害物がある状態での車両後方の計測点の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図26】コンテナが斜めの状態での車両後方の計測点の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図27】コンテナが斜めの状態及びコンテナが左右にずれた状態を模式的に示す平面図である。
【
図28】コンテナ降ろし予定領域及び車両上方のレーザ照射領域を示す平面図である。
【
図29】サイドカメラによって撮影された画像の一例を示す図である。
【
図30】センサヘッドから見た車両後方の一例を示す図である。
【
図31】センサヘッドから見た車両後方の一例を示す図である。
【
図32】センサヘッドから見た車両後方の一例を示す図である。
【
図33】変形例に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の概略構成を示す後方斜視図である。
【
図34】荷受台昇降装置の作動状態を示す側面図である。
【
図35】荷受台昇降装置に備えられた制御装置および油圧装置の回路図である。
【
図36】荷受台昇降装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図37】荷受台のキャスタストッパを示す要部斜視図及びそのX1-X1線断面図である。
【
図38】荷受台昇降装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図39】変形例に係る飼料運搬車の概略構成を示す側面図である。
【
図41】飼料運搬車によってサイロに飼料を投入する様子を示す背面図である。
【
図42】ディスチャージ部の首振り動作を示す平面図である。
【
図43】飼料運搬車の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明をコンテナ荷役車両に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。
【0031】
まず、
図1~
図4を参照して、コンテナ荷役車両1の基本構成について説明する。コンテナ荷役車両1は、車台と、車台に設けられると共に荷役アーム34を有する架装物としての荷役装置3とを備え、荷役アーム34を車台上と車台後方との間で移動させて荷役対象物であるコンテナ2を車台に積み降ろし可能に構成されている。詳細には、コンテナ荷役車両1は、それぞれ車両前後方向に延びる一対の車台フレーム11,11(車台)の前端部上にキャブ12を備えている。キャブ12の後方の各車台フレーム11上には、この車台フレーム11に沿って車両前後方向に延びるサブシャーシ13が設けられている。左右一対のサブシャーシ13,13の前端部と後端部は、それぞれ、前クロスメンバ15、後クロスメンバ17にて連結されている。
【0032】
車台フレーム11,11上には、コンテナ2がサブシャーシ13,13を介して搭載される。また、車台フレーム11,11の後端部には、地上に向かって張り出し可能なジャッキ14が設けられている。
図1の2点鎖線で示すように、荷役装置3によるコンテナ2の積み降ろし時の車両後方への重心移動に対し、ジャッキ14を張り出しておくことによって、コンテナ荷役車両1の安定性が高められるようになっている。
図1では、コンテナ2が荷役装置3によって車台と地上との間で積み降ろしされる途中の状態を1点鎖線で示し、コンテナ2が荷役装置3によって地上に降ろされた後の状態(地上から積込まれる前の状態)を2点鎖線で示している。
【0033】
コンテナ2は、上側が開放された略直方体状となっており、その底部に略矩形状の底壁2aを有し、この底壁2aの周囲を略矩形状の前後両壁2b、2c及び略矩形状の左右両側壁2d、2dが囲んで形成されている。コンテナ2の底壁2aの下面には、車両前後方向へ延びる左右一対の主桁21,21が設けられている。また、底壁2aの下面前端部には、下方突出状で左右一対の脚2f,2fが設けられ、底壁2aの下面後端部には、左右一対の車輪2e,2eが設けられている。この車輪2e,2eは、車幅方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられている。
図2にも示すように、コンテナ2の前壁2bの車幅方向中央の上部には、荷役装置3のフック38cを係合可能な丸棒(被係合部)22が設けられている。この丸棒22は、車幅方向に延びる棒状の部材であって、前壁2bに対して前方に突出するように設けられている。コンテナ2の後壁2cは、その上端が、左右両側壁2d,2dの後端上部位置において車幅方向に延びる軸23回りに支持されており、後方へ下開き可能となっている。なお、コンテナ2の後壁2cは、図示しない後壁固縛装置により後方への開放が規制可能となっている。
【0034】
荷役装置3は、
図3、
図4に示すように、左右一対のダンプフレーム32,32、荷役アーム34、左右一対のリフトシリンダ35,36、スライドシリンダ39、左右一対の案内ローラ16,16、後述する油圧回路(
図5参照)などを備えている。
【0035】
ダンプフレーム32は、その後端部がサブシャーシ13の後端位置において車幅方向に配置された第1回動軸31回りに回動自在に連結され、これにより、サブシャーシ13に対し傾動自在となっている。荷役アーム34は、回動フレーム37と、回動フレーム37に取り付けられるフックフレーム38とを備えている。回動フレーム37は、管状に形成され、基端部がダンプフレーム32の前端部に対し第1回動軸31と平行な第2回動軸33を介して取り付けられ、ダンプフレーム32に対して回動自在となっている。回動フレーム37の基端部には、第2回動軸33から前方側に延びる傾斜された上端面37bが形成されている。
【0036】
フックフレーム38は、側面視L形に形成され、インナーフレーム部38aと、起立フレーム部38bと、フック38cとから構成されている。インナーフレーム部38aは、管状に形成されており、その基端側が回動フレーム37の先端の開口から前後方向にスライド自在に挿入されている。起立フレーム部38bは、インナーフレーム部38aの先端部から上方に屈曲して延びるようにインナーフレーム部38aと一体形成されている。この起立フレーム部38bの先端には、コンテナ2の丸棒22に対し係脱可能な略C字状に形成されたフック38cが設けられている。
【0037】
スライドシリンダ39は、油圧シリンダで構成されており、回動フレーム37及びインナーフレーム部38aの管状部分に挿入されて、これらに連結されている。このスライドシリンダ39が伸縮作動することにより、回動フレーム37に対してインナーフレーム部38aが前後にスライドして、荷役アーム34が伸縮するようになっている。
【0038】
回動フレーム37とダンプフレーム32との間には、当該回動フレーム37がダンプフレーム32に対し、側面視略一直線状となるように保持して第2回動軸33回りの相対回動を規制する固縛装置40が備え付けられている。この固縛装置40は、スライドシリンダ39が伸長状態のときダンプフレーム32に対し荷役アーム34を相対回動不能に固縛し、スライドシリンダ39が収縮状態のときその固縛を解除するように構成されている。
【0039】
リフトシリンダ35,36は、油圧シリンダで構成されており、回動フレーム37の左右両側部と前クロスメンバ15との間に連結されている。固縛装置40による固縛を解除した状態で、リフトシリンダ35,36を伸縮させることにより回動フレーム37(荷役アーム34)を第2回動軸33を回動軸にして前後方向に回動させることができる。一方、固縛装置40により固縛した状態で、リフトシリンダ35,36を伸縮させることにより、回動フレーム37及びダンプフレーム32を一体として第1回動軸31を回動軸にして前後方向に回動させることができる。なお、リフトシリンダ35,36に代えて電動もしくは油圧モータを第2回動軸33部分に設け、このモータにより回動フレーム37(荷役アーム34)を前後方向に回動させるようにしてもよい。
【0040】
案内ローラ16,16は、ダンプフレーム32,32の後端に、車幅方向に延びる軸を中心に回動自在に設けられている。案内ローラ16,16は、コンテナ2を積み降ろしする際にコンテナ2の主桁21が載置され、コンテナ2を前後方向へ円滑に案内するために設けられている。
【0041】
次に、コンテナ荷役車両1の制御系について、
図5を参照して説明する。この制御系は、コンテナ荷役車両1の荷役装置3を作動させるための油圧回路と、この油圧回路に設けられた切替弁48,49の切替動作を制御するための制御部70とを備えている。
【0042】
図5に示す油圧回路において、油圧供給源である油圧ポンプ43は、図示しないエンジンの動力で駆動されるようになっており、吸込み管43aを通じてオイルタンク44内の作動油を汲み上げ、吐出口より圧油を供給する。油圧ポンプ43の吐出口は、バルブユニット4のプレッシャポートPPを介してメイン油路45の上流端に接続されている。このメイン油路45には、リフトシリンダ35,36の伸縮動作を切り替えるリフトシリンダ用切替弁48、及びスライドシリンダ39の伸縮動作を切り替えるスライドシリンダ用切替弁49が上流側から順に直列に設置されている。
【0043】
メイン油路45の下流端は、バルブユニット4のタンクポートTに接続されており、このタンクポートTに排油管50が接続されている。排油管50の途中位置には、フィルタ51が設置されている。各切替弁48,49は、それぞれ6ポート3位置電磁パイロット切替弁からなり、その全てが中立位置(非励磁状態;
図5に示す位置)にあるときは、油圧ポンプ43により供給される圧油の全量がメイン油路45、排油管50を介してオイルタンク44に還流される。
【0044】
メイン油路45には、油圧ポンプ43と切替弁48との間に第1~第3分岐油路53~55の一端が接続されている。第1分岐油路53の他端は、メイン油路45の下流端近傍に接続されており、その第1分岐油路53の途中には、リリーフ弁56が設けられている。第2分岐油路54の他端には、減圧弁57が設けられており、所定のパイロット圧まで減圧された圧油がパイロット油路58に供給されるようになっている。このパイロット油路58を通じて各切替弁48,49にパイロット圧が供される。第3分岐油路55の他端は、出力プレッシャポートPP’を通じて図示しない圧力センサに接続されている。また、メイン油路45には、シーケンス弁60が設置されており、油圧ポンプ43の駆動後すぐにパイロット圧を立てるために設けられている。各切替弁48,49の各ポートは、バルブユニット4のアクチュエータ用油圧ポートA1,A2,B1,B2やメイン油路45と接続されている。
【0045】
各々のリフトシリンダ35,36のボトム側ポートは、油圧ポートA1を介して切替弁48の所定ポートに接続されている。各々のリフトシリンダ35,36のロッド側ポートは、油圧ポートB1を介して切替弁48の所定ポートに接続されている。また、各々のリフトシリンダ35,36の背圧を維持するために、リフトシリンダ35,36と各油圧ポートA1、B1を接続する油路上には、カウンタバランス弁61が設けられている。
【0046】
スライドシリンダ39のボトム側ポートは、油圧ポートA2を介してスライドシリンダ用切替弁49の所定ポートに接続されている。スライドシリンダ39のロッド側ポートは、油圧ポートB2を介してスライドシリンダ用切替弁49の所定ポートに接続されている。また、スライドシリンダ39のボトム側ポートと油圧ポートA2を接続する油路上には、パイロットチェック弁65が設けられている。
【0047】
上記構成の油圧回路における切替弁48,49の切替動作は、制御部70によって制御される。制御部70には、リフトシリンダ36のストローク量(固縛装置40による固縛を解除した状態での荷役アーム34の回動位置)を検出するリフトシリンダ用ストロークセンサ72、スライドシリンダ39のストローク量(荷役アーム34のスライド位置)を検出するスライドシリンダ用ストロークセンサ73が接続されている。
【0048】
図5に示すように、リモートコントローラ74には、脱着スイッチ74b、チルトスイッチ74e、自動積込ボタン74f、及び自動降ろしボタン74gが設けられている。リモートコントローラ74は、キャブ12内の運転席周辺に配置されており、作業者が運転席に座った状態で荷役装置3の操作を行うことができる。脱着スイッチ74bは、一方側(
図5では上側)の部分74cを押操作すると、その操作をしている間、予め設定されたシーケンス制御に従ってコンテナ2の引き上げ動作が行われ、他方側(
図5では下側)の部分74dを押操作すると、その操作をしている間、シーケンス制御に従ってコンテナ2の降ろし動作が行われる。チルトスイッチ74eは、固縛装置40により固縛した状態でリフトシリンダ35,36を伸縮させて、コンテナ2をチルトさせるためのスイッチである。自動積込ボタン74f及び自動降ろしボタン74gについては後述する。なお、
図5には図示しないが、エンジンの駆動力を走行側に出力する状態と、油圧ポンプ43側に出力する状態との切り換えを行うPTOスイッチが、キャブ12内に設けられている。
【0049】
ストロークセンサ72,73としては、例えば、ワイヤー式ストロークセンサが用いられるが、シリンダ内蔵式のストロークセンサであってもよい。ワイヤー式ストロークセンサとしては、例えば、回転ドラム、及び回転ドラムの回転量を電気信号に変換して制御部70に入力するエンコーダを収容した本体部721,731と、回転ドラムに繰り出し自在に巻き付けられたワイヤー722,732とを有するものを用いることができる。本体部721,731は、リフトシリンダ36及びスライドシリンダ39のチューブ側にそれぞれ固定され、ワイヤー722,732の先端部は、リフトシリンダ36及びスライドシリンダ39の先端部に固定される。なお、回転ドラムはワイヤー722,732に適度の張力を与えるために一方に回転付勢される。
【0050】
このように構成されるコンテナ荷役車両1において、キャブ12内の作業者がコンテナ2の積み降ろし操作をする場合、車両後方の状況を直接目視で確認しづらいという問題がある。そこで、本発明を適用したコンテナ荷役車両1では、架装物である荷役装置3が、物体像取得部としてのセンサヘッド8、サイドカメラ9L,9R、センサヘッド8を制御するレーザ制御部8a、及びカメラ9L,9Rにより取得された画像データを処理する画像処理部9aを備えている。
【0051】
センサヘッド8は、
図6、
図7に示すように、コンテナ荷役車両1の後端部、詳細には、車台フレーム11,11の後端部に連結されたクロスフレーム11aの後面の車幅方向中央部分に固定されている。センサヘッド8は、車両周囲の物体の物体像及び当該物体像までの距離のデータを取得するものである。センサヘッド8は、車両後方又は車両上方の所定の領域に向けて、計測光としてのレーザ光を照射するとともに、物体によって反射されたレーザ光(反射光)を受光するように構成されている。センサヘッド8によって検出された車両後方の計測点の一例を、
図21~
図26に示している。なお、センサヘッド8は、物体の接触やごみ等の付着から保護するために、レーザ光の照射に支障とならないようにカバー部材(図示せず)で覆われる構成が好ましい。また、センサヘッド8は、物体接触時の衝撃を吸収可能な緩衝部材を介してクロスフレーム11aに取り付けられる構成が好ましい。
【0052】
センサヘッド8は、
図5に示すように、レーザ光源81、コリメートレンズ82、ポリゴンミラー83、揺動ミラー84、集光レンズ85、受光器86、主走査モータ87、副走査モータ88、主走査モータドライバ89、及び副走査モータドライバ90を備えている。また、センサヘッド8は、
図7に示すように、車幅方向に沿って延びる軸8cの回りに、電動モータ8bによって回動可能に設けられており、レーザ光の照射角度(向き)を変更可能になっている。センサヘッド8は、車両後方のレーザ照射領域W1(
図9(a)参照)に向けてレーザ光を照射する第1位置と、車両上方のレーザ照射領域W2(
図9(b)参照)に向けてレーザ光を照射する第2位置との間で変更可能になっている。センサヘッド8及び電動モータ8bは、レーザ制御部8aに接続されている。
【0053】
センサヘッド8は、レーザ制御部8aによる制御に従って、パルス状のレーザ光(レーザパルス)をレーザ照射領域W1,W2に向かって照射する。センサヘッド8は、車両後方のレーザ照射領域W1に向けてレーザ光を照射する場合、レーザ照射領域W1に設定された主走査方向、及び副走査方向に沿ってレーザパルスを計測光として照射する。センサヘッド8は、主走査方向に沿ってレーザパルスを1ライン分、照射した後に、レーザパルスの照射位置を主走査方向に直交する副走査方向に沿って一定のピッチだけ移動させて、再び主走査方向に沿ってレーザパルスを1ライン分照射するという動作を繰り返すことにより、レーザ照射領域W1の全域に亘ってレーザパルスを照射する。また、センサヘッド8は、レーザ照射領域W1の物体から戻ってくるレーザパルスの反射光を順次受光し、その反射光の受光強度を示す受光信号をレーザ制御部8aに出力する。
【0054】
一方、車両上方のレーザ照射領域W2に向けてレーザ光を照射する場合、センサヘッド8は、レーザ照射領域W2に設定された主走査方向、及び副走査方向に沿ってレーザパルスを計測光として照射する。センサヘッド8は、主走査方向に沿ってレーザパルスを1ライン分、照射した後に、レーザパルスの照射位置を主走査方向に直交する副走査方向に沿って一定のピッチだけ移動させて、再び主走査方向に沿ってレーザパルスを1ライン分照射するという動作を繰り返すことにより、レーザ照射領域W2の全域に亘ってレーザパルスを照射する。また、センサヘッド8は、レーザ照射領域W2の物体から戻ってくるレーザパルスの反射光を順次受光し、その反射光の受光強度を示す受光信号をレーザ制御部8aに出力する。
【0055】
レーザ光源81は、レーザ制御部8aによる制御に従って、一定波長を有するレーザパルスをコリメートレンズ82へ出射するとともに、レーザパルスの繰り返しタイミングを示すタイミング信号をレーザ制御部8aへ出力する。コリメートレンズ82は、レーザ光源81から入射されるレーザパルスを平行光に変換してポリゴンミラー83へ出射する。ポリゴンミラー83は、レーザパルスを反射するための複数(例えば3つ)の鏡面を有する多面体である。ポリゴンミラー83の回転軸は、主走査モータ87の回転軸と結合されている。主走査モータ87の回転によって、ポリゴンミラー83は、
図5中の矢印で示す方向に回転する。ポリゴンミラー83の回転により、コリメートレンズ82からポリゴンミラー83に入射したレーザパルスは、揺動ミラー84へ向かって反射されるとともに、主走査方向に沿って走査される。
【0056】
揺動ミラー84は、ポリゴンミラー83の回転軸に直交する軸回りに揺動可能に設置された平板状ミラーである。揺動ミラー84の回転軸は、副走査モータ88の回転軸と結合されている。副走査モータ88の回転によって、揺動ミラー84は、
図4中の矢印で示す方向に揺動する。揺動ミラー84の揺動により、ポリゴンミラー83から揺動ミラー84に入射したレーザパルスは、センサヘッド8の外部(つまり、レーザ照射領域W1,W2)へ向かって反射(出射)されるとともに、副走査方向に沿って走査される。
【0057】
すなわち、センサヘッド8からレーザ照射領域W1,W2に照射されるレーザパルスの水平角β(レーザ照射領域W1,W2を平面視した場合における、主走査方向とレーザパルスの照射方向との間の角度;
図4参照)は、ポリゴンミラー83の回転によって制御される。また、センサヘッド8からレーザ照射領域W1,W2に照射されるレーザパルスの垂直角α(レーザ照射領域W1,W2を側面視した場合における、副走査方向とレーザパルスの照射方向との間の角度;
図9(a)、(b)参照)は、揺動ミラー84の揺動によって制御される。
【0058】
上述のような水平角β、及び垂直角αの制御によって、レーザパルスは、主走査方向、及び副走査方向に沿って走査され、その結果、レーザ照射領域W1,W2の全域に亘ってレーザパルスが照射される。そして、反射されて戻ってくるレーザパルスの反射光は、揺動ミラー84、及びポリゴンミラー83を介して集光レンズ85に入射する。集光レンズ85は、レーザパルスの反射光を受光器86の受光面に集光させる。受光器86は、集光レンズ85によって集光されたレーザパルスの反射光の光電変換を行い、その反射光の受光を示す受光信号をレーザ制御部8aへ出力する。
【0059】
主走査モータ87は、主走査モータドライバ89から入力される駆動信号に応じて回転するモータである。主走査モータドライバ89は、レーザ制御部8aによる制御に従って、主走査モータ87を一定速度で回転させるための駆動信号を生成して主走査モータ87へ出力する。上述のように、主走査モータ87の回転により、ポリゴンミラー83は回転する。副走査モータ88は、副走査モータドライバ90から入力される駆動信号に応じて回転するモータである。副走査モータドライバ90は、レーザ制御部8aによる制御に従って、揺動ミラー84を所定角、及び所定タイミングで揺動させるための駆動信号を生成して副走査モータ88へ出力する。上述のように、副走査モータ88の回転により、揺動ミラー84は揺動する。
【0060】
ここで、センサヘッド8から車両後方に向けてレーザ光を照射する場合(
図9(a)参照)、センサヘッド8から照射されるレーザ光(レーザパルス)のレーザ照射領域W1は、上述した垂直角α(
図9(a)参照)が、例えば60°~135°の範囲になっており、上述した水平角β(
図4参照)が、例えば0°~180°の範囲になっている。具体的には、主走査方向に沿って、水平角βが0°~180°の範囲で、一定のピッチ(例えば、0.3°~2°)でレーザパルスが照射される。レーザパルスが主走査方向に沿って、1ライン分(水平角βが0°~180°の範囲)、照射された後、レーザパルスの照射位置を副走査方向に沿って、一定のピッチ(例えば、1.5°~3°)だけ移動する。このように、レーザパルスを主走査方向に沿って1ライン分照射した後に、レーザパルスの照射位置を副走査方向に沿って移動させる動作が繰り返されることによって、レーザ照射領域W1の全域に亘ってレーザパルスが照射される。本実施形態では、副走査方向のレーザパルスの照射が、垂直角αが60°~135°の範囲において、1.5°ごとのピッチで行われる。このように、レーザ制御部8aは、レーザ光源81、主走査モータドライバ89、及び副走査モータドライバ90を制御することにより、センサヘッド8の動作(つまり、レーザパルスの垂直角α及び水平角β)を制御する。なお、上述した水平角βの範囲やピッチ、垂直角αの範囲やピッチは一例であって、センシング精度や、動作速度、センサヘッド8の設置箇所等に応じて適宜変更可能である。
【0061】
同様に、センサヘッド8から車両上方に向けてレーザ光を照射する場合(
図9(b)参照)、センサヘッド8から照射されるレーザ光のレーザ照射領域W2は、上述した垂直角α(
図9(b)参照)が、例えば135°~210°の範囲になっており、上述した水平角β(
図4参照)が、例えば0°~180°の範囲になっている。具体的には、主走査方向に沿って、水平角βが0°~180°の範囲で、一定のピッチ(例えば、0.3°~2°)でレーザパルスが照射される。レーザパルスが主走査方向に沿って、1ライン分(水平角βが0°~180°の範囲)、照射された後、レーザパルスの照射位置を副走査方向に沿って、一定のピッチ(例えば、1.5°~3°)だけ移動する。このように、レーザパルスを主走査方向に沿って1ライン分照射した後に、レーザパルスの照射位置を副走査方向に沿って移動させる動作が繰り返されることによって、レーザ照射領域W2の全域に亘ってレーザパルスが照射される。本実施形態では、副走査方向のレーザパルスの照射が、垂直角αが60°~135°の範囲において、1.5°ごとのピッチで行われる。
【0062】
センサヘッド8から出射されたレーザパルスによって、車両後方のエリアが走査されると、レーザ照射領域W1に物体(例えば
図9(a)のコンテナ2)が存在すれば、その物体によってレーザパルスが反射される。このレーザパルスの反射光がセンサヘッド8に入射されると、受光器86によってレーザパルスの反射光の光電変換が行われ、レーザ制御部8aへ受光信号が出力される。レーザ制御部8aは、レーザ光源81から入力されるタイミング信号と、受光器86から入力される受光信号との時間差(遅延時間)に基づいて、センサヘッド8と物体における計測点P(レーザパルスの反射位置)との間の距離Dを演算する。そして、レーザ制御部8aは、距離Dに加えて、物体における計測点Pにレーザパルスを照射したときのレーザパルスの垂直角α及び水平角βを計測点Pの位置情報である3次元極座標データ(距離D,垂直角α,水平角β)として取得する。このように、レーザ照射領域W1の全域へのレーザパルスの照射によって、レーザパルスの反射光の受光信号がレーザ制御部8aへ入力された全ての計測点Pに対して、各計測点Pの3次元極座標データが取得される。
【0063】
また、レーザ制御部8aは、取得した各計測点Pの3次元極座標データをXYZ直交座標データ(3次元直交座標データ)に変換する。このとき、XYZ直交座標データのX座標Pxは、[D・sinα・cosβ]となり、Y座標Pyは、[D・sinα・sinβ]となり、Z座標Pzは、[Z0-D・cosα]となる(Z0は、センサヘッド8の地面からの高さであって、例えば、500mm~600mmに設定される)。このようにして得られたXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)は、物体の表面においてレーザパルスが照射(反射)された位置に対応する。この場合、各計測点PのXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)は、センサヘッド8直下の地面の座標を原点(0,0,0)として算出される。このような座標変換が、各計測点Pの3次元極座標データに対してそれぞれ行われる。そして、各計測点Pの位置情報であるXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)は、レーザ制御部8aから制御部70へ出力される。
【0064】
サイドカメラ9L,9Rは、
図6、
図8に示すように、各サブシャーシ13,13の外側の側面に取り付けられた支持部材91,91に固定されている。サイドカメラ9L,9Rの撮像レンズ92,92の光軸は、水平方向に沿って後方に振り向けられている。一方のサイドカメラ9Lは、車両の左後方の所定範囲を撮影し(
図29参照)、他方のサイドカメラ9Rは、車両の右後方の所定範囲を撮影するように取り付けられている。より詳細には、サイドカメラ9Lは、コンテナ2の左側の主桁21、左側の案内ローラ16、及びコンテナ2(コンテナ荷役車両1)の左方領域を撮像可能であり、一方、サイドカメラ9Rは、コンテナ2の右側の主桁21、右側の案内ローラ16、及びコンテナ2(コンテナ荷役車両1)の右方領域を撮像可能である。画像処理部9aは、サイドカメラ9L,9Rによって取得された画像信号に公知の画像処理を行い、その処理後の画像信号を制御部70に出力する。
【0065】
制御部70は、リモートコントローラ74、レーザ制御部8a、画像処理部9a、及び上記各センサ72,73の出力信号に基づいて、コンテナ2を積み降ろしするための各切替弁48,49の切替制御やブザー74aの作動制御を行う。また、制御部70はメモリ70aを有しており、このメモリ70aに、自動積込ボタン74fの操作に基づいて行われる自動積込制御に用いられる各種データ(特徴データ、判定閾値など)、及び自動降ろしボタン74gの操作に基づいて行われる自動降ろし制御に用いられる各種データが記憶されている。
【0066】
次に、コンテナ荷役車両1の動作について説明する。コンテナ荷役車両1は、荷役装置3を用いたコンテナ2の積込動作、積込んだコンテナ2の降ろし動作、及び積込んだコンテナ2のチルト動作が可能である。積込動作は、まずコンテナ2の前壁に向けて車両を後退させて適正後退位置で停車させ、次に荷役アーム34を後方に回動させてフック38cを丸棒22に引っ掛け、その後に荷役アーム34を前方に回動させてコンテナ2を積込む動作である。降ろし動作は、積込んだコンテナ2(荷役アーム34)を後方にスライドさせた後、後方に回動させることで地上に降ろす動作である。チルト動作は、リフトシリンダ35,36により、積込んだコンテナ2をダンプフレーム32及び荷役アーム34とともに傾斜させて、コンテナ2内の積載物を排出する動作である。
【0067】
積込動作は、脱着スイッチ74bの操作(手動積込)、もしくは自動積込みボタン74fの操作(自動積込)により行われる。降ろし動作は、脱着スイッチ74bの操作(手動降ろし)、もしくは自動降ろしボタン74gの操作(自動降ろし)により行われる。チルト動作は、チルトスイッチ74eの操作により行われる。本発明を適用したコンテナ荷役車両1は、自動積込及び自動降ろしの制御に特徴を有しおり、これらの制御について説明する。
【0068】
図10~15を参照して、自動積込時の制御について説明する。
図10が自動積込全体のフロー(ステップS1~S40)を示すもので、
図11がステップS5の詳細フロー、
図12がステップS8、S25、S32の詳細フロー、
図13がステップS18の詳細フロー、
図14がステップS21の詳細フロー、
図15がステップS31の詳細フローを示している。
【0069】
図10のフローチャートのうち、ステップS1~S14が、車両後退時の安全確認及び後退ガイドの制御であり、ステップS15~S40が、コンテナ2の自動積込制御になっている。ステップS1~S14の車両後退時の安全確認及び後退ガイドの制御は、ステップS15~S40のコンテナ2の自動積込制御の準備段階の制御として行われる。なお、便宜上、これらの制御は一連の制御として説明するが、ステップS1~S14の車両後退時の安全確認及び後退ガイドの制御と、ステップS15~S40のコンテナ2の自動積込制御とを別々に行ってもよい。
【0070】
まず、ステップS1において、ACC電源がオンになるまで、言い換えれば、ACC電源のオンに対応する電力が制御部70へ入力されるまで待機状態となっている。そして、電力の入力が有った場合、ステップS2において、制御部70とレーザ制御部8aと画像処理部9aが初期化処理を行った後、制御部70がセンサヘッド8を後ろに(レーザ照射領域W1にレーザパルスを照射する向きに)回転させて、ステップS3へ進む。
【0071】
ステップS3において、制御部70は、コンテナ荷役車両1の運転操作に基づく後退信号が制御部70へ入力されたか否かを判定する。そして、後退信号の入力が有った場合、ステップS4へ進み、後退信号の入力が無かった場合、後退信号が入力されるまで待機する。そして、ステップS4において、センサヘッド8の走査が開始された後、ステップS5へ進む。なお、車両の後退は、センサヘッド8から照射されたレーザパルスが荷役アーム34で反射されることを防止するために、荷役アーム34を積込完了位置(
図6参照)に回動した状態で行うことが好ましい。
【0072】
ステップS5におけるコンテナ2の前壁2bの認識処理について、
図11を参照して説明する。まず、ステップS5aにおいて、レーザ制御部8aによりセンサヘッド8が駆動され、車両後方のレーザ照射領域W1へレーザパルスが照射される。そして、レーザ照射領域W1の全ての計測点Pに対して、各計測点Pの3次元位置情報である3次元極座標データ(D,α,β)が、レーザ制御部8aにより取得される。ステップS5bにおいて、各計測点Pの3次元極座標データが、XYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)に変換される。変換後の各計測点PのXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)は、制御部70へ送られる。
【0073】
そして、ステップS5cにおいて、制御部70は、ステップS5bで得られたXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)のうち、X座標Pxが所定の水平探索範囲内に入っているデータを認識対象データとして抽出する。車両の前後長さの2倍程度の距離をおいた位置から、コンテナ2に向けて車両を後退させる場合が多いことから、水平探索範囲は、例えば適切後退位置から前壁2bまでの距離に、車両の前後長さの2倍の長さを加えた値に設定することが可能である。仮に水平探索範囲として大きすぎる値を設定すると、コンテナ2の後方にある物体(車両の後退に支障とならない物体)も抽出される一方、水平探索範囲として小さすぎる値を設定すると、コンテナ2の前壁2bが抽出されないため、上述のように設定することが好ましい。
【0074】
ステップS5cで抽出される認識対象データは、車両とコンテナ2との間に障害物がない場合、例えば
図21~
図24に示すようなものになり、車両とコンテナ2との間に障害物がある場合、例えば
図25に示すようなものになる。また、コンテナ2が斜めの状態では、例えば
図26に示すようなものになる。
図21~
図26では、抽出された各計測点Pを、「+」印で示しており、
図22~
図24では、抽出された各計測点Pのみを示している。
図22~
図26に示すような各計測点P(計測点群)の形状が、制御部70で認識される物体の形状になっている。なお、
図21、
図25、
図26では、車両後方がどのように見えるかを分かりやすく示すために、車両後方に仮想的に壁101を配置している(
図29参照)。
【0075】
次に、ステップS5dにおいて、ステップS5cで得られた認識対象データのうち、隣り合う計測点の一つの集合をYZ平面及びXY平面に正射影し、それぞれ2次元の物体像A及び物体像A´として抽出する。物体像A及び物体像A´を抽出した後、ステップS5eへ進む。詳細には、各計測点P(計測点群)のXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)のうち、Y座標Py及びZ座標Pzがともに隣り合っている計測点群のデータを抽出し、抽出した全ての計測点群のデータを基準平面としてのYZ平面上に投影(正射影)する(抽出した計測点群の全てのX座標Pxを0にする)。そして、YZ平面上に投影された計測点群のデータを、2次元形状の物体像Aとして抽出する。同様に、各計測点P(計測点群)のXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)のうち、X座標Px及びY座標Pyがともに隣り合っている計測点群のデータを抽出し、抽出した全ての計測点群のデータを基準平面としてのXY平面上に投影(正射影)する(抽出した計測点群の全てのZ座標Pzを0にする)。そして、XY平面上に投影された計測点群のデータを、2次元形状の物体像A´として抽出する。
【0076】
ステップS5eにおいて、物体像Aの全体面積A1を前壁判定閾値A2と比較し、全体面積A1が前壁判定閾値A2以上の場合(A1≧A2)、ステップS5fへ進む。一方、全体面積A1が前壁判定閾値A2未満の場合(A1<A2)、ステップS5gへ進む。物体像Aの全体面積A1は、例えば
図22に示される「+」印の数に応じて算出することが可能である。例えば、物体像Aに含まれる「+」印の数が、100個である場合、物体像Aの全体面積A1が、100として算出される。前壁判定閾値A2は、YZ平面における前壁2bの面積に対応する値であって、制御部70のメモリ70aに保存されている。
【0077】
ステップS5fにおいて、物体像Aを前壁特徴データと比較することで、両者間の特徴部分の一致度合いを分析する。前壁特徴データは、予め前壁2bの形状や大きさの特徴を抽出することによって作成されたデータであって、制御部70のメモリ70aに保存されている。前壁特徴データとしては、例えば、略矩形で下部の両隅が斜めにカットされた前壁2bの形状や、車幅方向中央の上部に丸棒22を備えた前壁2bの形状等のデータを用いることが可能である。
【0078】
ステップS5hにおいて、ステップS5fの分析結果に基づいて物体像Aと前壁特徴データとの特徴部分の一致度合いが大きく物体像Aが前壁2bの特徴部分を有すると判定された場合、ステップS5iへ進む。一方、物体像Aと前壁特徴データとの特徴部分の一致度合いが小さく特徴部分を有さないと判定された場合、ステップS5gへ進む。
【0079】
そして、ステップS5iにおいて、物体像Aは前壁2bであると認識されて、次のステップS5jへ進む。一方、ステップS5gにおいて、物体像Aは前壁2bではないと認識されて、次のステップS5jへ進む。
【0080】
ステップS5jにおいて、ステップS5dで抽出した物体像A´を用いてこの物体(隣り合う計測点の集合)のY軸に対する平均の傾き(左右方向の傾きγ1)を算出し、ステップS5kへ進む。物体像A´の左右方向の傾きγ1は、例えば
図27(a)に示すように、コンテナ2の前壁2bの左右両端を結ぶ直線L1のY軸に対する角度として算出される。このステップS5jの算出結果は、後述するステップS9において、車両に対する前壁2bの左右方向の傾きγを判定する際に利用される。
【0081】
そして、ステップS5kにおいて、全ての集合(物体像A,A´)について分析(前壁2bに該当するかの分析)が済んだか否かを判定し、分析済みの場合には、このステップS5を終了して、
図10のステップS6へ進む。一方、分析済みではない場合には、ステップS5eに戻り、分析済みと判定されるまで繰り返される。
【0082】
図10のステップS6において、
図11のステップS5iでの前壁2bの認識履歴を確認し、認識履歴有りの場合にはステップS7へ進む。一方、認識履歴無しの場合にはステップ5に戻り、認識履歴有りと判定されるまで繰り返される。そして、ステップS7において、制御部70は、ブザー74aに作動信号を出力して、コンテナ2の検出を報知する音声を発生させ、その後、ステップS8へ進む。
【0083】
ステップS8における障害物の認識処理について、
図12を参照して説明する。まず、ステップS8aは
図11のステップS5aと同様であり、ステップS8bは
図11のステップS5bと同様であるため、ここでの説明を省略する。ステップS8cにおいて、ステップS8bで得られたXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)のうち、X座標が前壁2bよりも小さい(車両側に近い)データを抽出して認識対象データとし、ステップS8dへ進む。
【0084】
次に、ステップS8dにおいて、
図11のステップS5dと同様にして、ステップS8cで得られた認識対象データのうち、隣り合う計測点の集合をYZ平面に正射影し、2次元の物体像Bとして抽出する(例えば
図25参照)。物体像Bを抽出した後、ステップS8eへ進む。
【0085】
ステップS8eにおいて、物体像Bの全体面積B1を障害物判定閾値B2と比較し、全体面積B1が障害物判定閾値B2以上の場合(B1≧B2)、ステップS8fへ進む。一方、全体面積B1が障害物判定閾値B2未満の場合(B1<B2)、ステップS8gへ進む。物体像Bの全体面積B1は、
図11のステップS5eと同様にして、例えば
図25に示される「+」印の数に応じて算出することが可能である。障害物判定閾値B2は、車両に接触しても障害にならない小さな物体(例えば、枯れ葉等)を排除可能な値に設定されており、制御部70のメモリ70aに保存されている。
【0086】
そして、ステップS8fにおいて、物体像Bは障害物であると認識されて、次のステップS8hへ進む。一方、ステップS8gにおいて、物体像Bは障害物ではないと認識されて、次のステップS8hへ進む。ステップS8hにおいて、全ての集合(物体像B)について分析(障害物か否かの分析)が済んだか否かを判定し、分析済みの場合には、このステップS8を終了する。一方、分析済みではない場合には、ステップS8eに戻り、分析済みと判定されるまで繰り返される。
【0087】
図12のステップS8fにおいて、障害物がない(車両とコンテナ2との間に一定面積以上の障害物がない)と判定された場合には、
図10のステップS8からステップS9へ進む。一方、障害物があると判定された場合には、
図10のステップS8からステップS12へ進む。ステップS8からステップS12に進むのは、そのまま車両を後退させると障害物に接触する虞があるためである。このステップS12において、車両の後退を一旦停止させる後退警報をブザー74aから発生させて作業者に後退停止を促す。なお、ステップS12で後退警報を発生させた後、ステップ8に戻って再度障害物の有無を判定する。
【0088】
ステップS9において、
図11のステップS5jの算出結果、具体的には、車両に対する前壁2bの左右方向の傾きγ1(
図27(a)参照)を、コンテナ2を積込可能な傾きの上限値γ2と比較し、ステップS5jで算出された傾きγ1が上限値γ2以上の場合(γ1≧γ2)、ステップS12へ進む。一方、ステップS5jで算出された傾きγ1が上限値γ2未満の場合(γ1<γ2)、ステップS10へ進む。ステップS9からステップS12に進むのは、車両に対する前壁2bの左右方向の傾きγ1が大きく、この状態で車両を後退させてもコンテナ2の積込みが難しいためである。この場合、ステップS12において、後退警報をブザー74aから発生させて作業者に傾きの修正を促す。
【0089】
ステップS10において、車両とコンテナ2との車幅方向の位置ズレδ(
図27(b)参照)を判定する。これは、上述した車両に対する前壁2bの左右方向の傾きγ1が小さい場合(ステップS9)であっても、車幅方向の位置ズレδが大きいと、丸棒22にフック38cを掛けることが困難になるためである。ステップS10では、例えば
図27(b)に示すように、Y座標に関して車両(センサヘッド8の位置)を原点として、前壁2bのY方向の中点位置δ1を算出する。この中点位置δ1をメモリ70aに保存された許容ズレ量δ2と比較し、前壁2bのY方向の中点位置δ1が許容ズレ量δ2以上の場合(|δ1|≧δ2)、ステップS12へ進む。一方、前壁2bのY方向の中点位置δ1が許容ズレ量δ2未満の場合(|δ1|<δ2)、ステップS11へ進む。
【0090】
ステップS11において、前壁2bのXY平面像についてY方向の中点位置ε1のX座標εxを求め、メモリ70aに保存された積込適正範囲ε2と比較する。フック38cを丸棒22の下方に移動させて引っ掛ける際、コンテナ2(前壁2b)に対して車両がX方向に離れ過ぎていると丸棒22にフック38cが引っ掛からず、反対に、X方向に接近し過ぎていると荷役アーム34が前壁2bに干渉して、丸棒22の下方にフック38cを移動させることが困難になる。そこで、荷役アーム34の寸法等を基に積込適正範囲ε2を予め設定し、メモリ70aに保存している。
【0091】
そして、前壁2bのY方向の中点位置ε1のX座標εxが積込適正範囲ε2よりも大きい場合(εx>ε2)、すなわち、適正後退位置まで到達していない場合には、ステップS5に戻る。一方、前壁2bのY方向の中点位置ε1のX座標εxが積込適正範囲ε2以下の場合(εx≦ε2)、すなわち、適正後退位置に到達した場合には、ステップS12aへ進む。ステップS12aにおいて、後退警報を発生中の場合、その解除を行うとともに、適正後退位置にまで後退したことをブザー74aにより報知させて、その位置で停車させるように作業者に促す。その後、ステップS13へ進む。
【0092】
ステップS13において、コンテナ荷役車両1の運転操作に基づくニュートラル信号が制御部70へ入力されたか否かが判定される。ニュートラル信号の入力が有った場合、ステップS14へ進む。一方、ニュートラル信号の入力が無かった場合、この信号が入力されるまで待機する。このステップS13は、後退状態から停車させる際に、一旦ニュートラルギアにシフトチェンジされることを利用して、停車させたか否かの判定を行うためのステップである。
【0093】
ステップS14において、車両後退時の安全確認及び後退ガイドのためのセンサヘッド8の走査を終了する。続いて、丸棒22にフック38cを引っ掛けてコンテナ2の積込動作を行うが、コンテナ2を自動で積込む場合、作業者は、キャブ12内のPTOスイッチをオン操作するとともに、リモートコントローラ74の自動積込ボタン74fをオン操作する。
【0094】
ステップS15において、PTOスイッチのオン操作信号、及び自動積込ボタン74fのオン操作信号が制御部70へ入力されたか否かが判定される。これらのオン操作信号の入力が有った場合、ステップS16へ進み、これらのオン操作信号の入力が無かった場合はこれらの信号が入力されるまで待機する。
【0095】
ステップS16において、上述のステップS4と同様にしてセンサヘッド8の走査が開始された後、ステップS17へ進む。ステップS17において、電動モータ8bを駆動させて、車両上方のレーザ照射領域W2(
図9(b)参照)にレーザパルスを照射するようにセンサヘッド8の向きを変更する。このようにセンサヘッド8を上向きに回転させて、ステップS18へ進む。
【0096】
ステップS18における上方の障害物の認識処理について、
図13を参照して説明する。まず、ステップS18aは
図11のステップS5aと同様であり、ステップS18bは
図11のステップS5bと同様であるため、ここでの説明を省略する。ステップS18cにおいて、ステップS18bで得られたXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)のうち、X座標及びY座標が、荷役アーム34を前後に回動させる際に荷役アーム34及びコンテナ2が通過する通過領域R1(
図28参照)内のデータであって、且つZ座標が、荷役アーム34を回動させたときのフック38cの最高高さ以下のデータを抽出して認識対象データとし、ステップS18dへ進む。荷役アーム34を前後に回動させる際、この回動中心である第2回動軸33の上方近傍をフック38cが通過するときに最高高さに到達するため、荷役アーム34及びコンテナ2の寸法を基にしてデータの抽出範囲を設定可能である。
【0097】
次に、ステップS18dにおいて、
図11のステップS5dと同様にして、ステップS18cで得られた認識対象データのうち、隣り合う計測点の一つの集合をXY平面に正射影し、2次元の物体像Cとして抽出する。物体像Cを抽出した後、ステップS18eへ進む。
【0098】
ステップS18eにおいて、物体像Cの全体面積C1を上述の障害物判定閾値B2(
図12のステップS8e参照)と比較し、全体面積C1が障害物判定閾値B2以上の場合(C1≧B2)、ステップS18fへ進む。一方、全体面積C1が障害物判定閾値B2未満の場合(C1<B2)、ステップS18gへ進む。物体像Cの全体面積C1は、
図11のステップS5eと同様にして算出することが可能である。
【0099】
そして、ステップS18fにおいて、物体像Cは上方障害物であると認識されて、次のステップS18hへ進む。一方、ステップS18gにおいて、物体像Cは上方障害物ではないと認識されて、次のステップS18hへ進む。ステップS18hにおいて、全ての集合(物体像C)について分析(上方障害物か否かの分析)が済んだか否かを判定し、分析済みの場合には、ステップS18iへ進む。一方、分析済みではない場合には、ステップS18eに戻り、分析済みと判定されるまで繰り返される。
【0100】
ここで、1フレームのみの認識結果に基づいて上方障害物を認識すると、例えば風に舞って一時的に通過領域R1内に入り込むごみ等、積込みの支障とならない物体を障害物として認識する可能性がある。このように一時的に入り込む物体を上方障害物から排除するため、以下のステップS18i、S18j、S18kの処理を行う。
【0101】
ステップS18iにおいて、2フレーム目(1フレーム目の走査から所定時間後に取得された認識対象データ)について、上方障害物の認識処理が行われたか否かを判定する。初めてステップS18hからS18iに進んだ場合、2フレーム目の認識処理がまだ行われていないため、ステップS18kへ進む。一方、2フレーム目の認識処理を行った後でステップS18iに進んだ場合、ステップS18jへ進む。
【0102】
ステップS18kにおいて、所定時間(例えば約2秒)待機した後、ステップS18aに戻り、2フレーム目の認識対象データの取得及び上方障害物の認識処理を行う。ステップS18jにおいて、1フレーム目で上方障害物と認識された物体像Cと、2フレーム目で上方障害物と認識された物体像Cとの位置を比較する。両者が同じ位置にある場合には、この物体像Cを真の上方障害物(例えば、コンテナ積込みの支障となる低い高さ位置の天井)として抽出し、
図10のステップS19へ進む。一方、これらの位置が異なる場合には、物体像Cは上方障害物ではないと判定し、
図10のステップS19へ進む。
【0103】
次に、ステップS19において、
図13のステップS18jの判定結果に基づいて、上方障害物がない場合には、ステップS20へ進む。一方、上方障害物がある場合には、ステップS28へ進み、ブザー74aに上方障害警報を発生させ、その後、後述するステップS38へ進む。
【0104】
ステップS20において、電動モータ8bを駆動させて、車両後方のレーザ照射領域W1(
図9(a)参照)にレーザパルスを照射するようにセンサヘッド8の向きを変更し、ステップS21へ進む。
【0105】
ステップS21におけるコンテナ2の前壁2b及び丸棒22の認識処理について、
図14を参照して説明する。まず、ステップS21aは
図11のステップS5aと同様であり、ステップS21bは
図11のステップS5bと同様であるため、ここでの説明を省略する。ステップS21cにおいて、ステップS21bで得られたXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)のうち、上述の積込適正範囲ε2(
図10のステップS11参照)を参照して、X座標が適正後退位置近傍のデータを抽出して認識対象データとし、ステップS21dへ進む。
【0106】
ステップS21dにおいて、
図11のステップS5dと同様にして、ステップS21cで得られた認識対象データのうち、隣り合う計測点の集合をYZ平面に正射影し、2次元の物体像Dとして抽出する。物体像Dを抽出した後、ステップS21eへ進む。以下のステップのうち、コンテナ2の前壁2bの認識処理に関するステップは、上述した
図11と同様である。つまり、ステップS21e~S21iは、
図11のステップS5e~S5iと同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0107】
ステップS21jにおいて、ステップS18dで得られた物体像Dを丸棒特徴データと比較して、物体像Dの中から丸棒22に対応するデータを抽出して、ステップS21kへ進む。丸棒特徴データは、予め丸棒22の形状や大きさの特徴を抽出することによって作成されたデータであって、制御部70のメモリ70aに保存されている。丸棒特徴データとして、例えば車幅方向に延びるとともに前方に向けて凸となるように湾曲した棒状部材のデータを用いることが可能である。
【0108】
そして、ステップS21kにおいて、全ての集合(物体像D)について分析(前壁2bか否かの分析)が済んだか否かを判定し、分析済みの場合には、
図10のステップS22へ進む。一方、分析済みではない場合には、ステップS21eに戻り、分析済みと判定されるまで繰り返される。
【0109】
図10のステップS22において、
図14のステップS21jで抽出した丸棒22のデータに基づいて、丸棒22の位置を示すXYZ直交座標データを算出する。
【0110】
次に、ステップS23において、ステップS22で算出された位置のコンテナ2の丸棒22に対し、荷役アーム34のフック38cを係合可能な積込開始位置にフック38cを移動させるため、フック38cを積込開始位置に移動させるのに必要なリフトシリンダ35,36及びスライドシリンダ39のストローク量S1,S2(伸縮方向及び伸縮量)を算出する。ストローク量S1,S2の算出は以下のようにして行われる。ここで、スライドシリンダ39の微小伸長量ΔYとリフトシリンダ35,36の微小伸長量ΔXとの関係について、
図16、
図17を参照して説明する。
【0111】
図16は、水平状態(着床状態)にあるときの荷役アーム34、リフトシリンダ35,36等を示すスケルトン図である。
図16において、P1は荷役アーム34の回動中心点(第2回動軸33(
図1参照)の軸線)、P2はリフトシリンダ35,36の基端側回動中心点、P3はリフトシリンダ35,36と荷役アーム34との連結点を表している。また、同図において、aは回動中心点P1に対するフック38cの係合中心の高さ、b+S1(S1は、スライドシリンダ39のストローク量)は回動中心点P1からフック38cの係合中心までの水平方向距離、Lは回動中心点P1からフック38cの係合中心までの距離、θaは回動中心点P1とフック38cの係合中心とを結ぶ線分に対する、回動中心点P1から荷役アーム34の伸縮方向に延びた線分とのなす角度、e+S2(S2はリフトシリンダ36のストローク量)は回動中心点P2と連結点P3とを結ぶ線分の長さ、dは回動中心点P1と連結点P3を結ぶ線分の長さ、cは回動中心点P1と回動中心点P2を結ぶ線分の長さ、θocは回動中心点P1と連結点P3とを結ぶ線分と、回動中心点P1と回動中心点P2とを結ぶ線分とのなす角度を表している。
【0112】
図17は、リフトシリンダ36が所定のストローク量S2にあるときの荷役アーム34等の状態を示すスケルトン図である。
図17において、WLは回動中心点P1を通過する水平線、θoutは荷役アーム34の着床状態からの回動角度、Hは上記水平線WLに対するフック38cの係合中心の高さ(「キャッチング高さH」とも言う。)、θxは回動中心点P1とフック38cの係合中心とを結ぶ線分が上記水平線WLに対してなす角度(「キャッチング角度θx」とも言う。)をそれぞれ表している。
【0113】
以下では、スライドシリンダ39及びリフトシリンダ35,36が微小伸長量ΔY、微小伸長量ΔXだけ伸長する直前の上記変数H、L、θa、θout、θocをそれぞれ、変数H1、L1、θa1、θout1、θoc1と表し、スライドシリンダ39及びリフトシリンダ35,36が微小伸長量ΔY、微小伸長量ΔXだけ伸長した後の上記変数H、L、θa、θout、θocをそれぞれ、変数H2、L2、θa2、θout2、θoc2と表す。
【0114】
上記のように変数を設定した場合、L1、L2、θa1、θa2、は、次の式1~式4のように表される。
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
ここで、キャッチング高さHは、式5の関係を満たすので、上記式1~4を用いて式6~式9が成立する。
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
また、
図17に示す、c、d、e+S2、θocは余弦定理より式10、式11の関係を満たす。
【0126】
【0127】
【0128】
さらに、荷役アーム34の着床状態からの回動角度θoutは、次の式12のように表すことができる。ただし、θoc0は荷役アーム34が着床状態にあるときの、回動中心点P1と連結点P3とを結ぶ線分と、回動中心点P1と回動中心点P2とを結ぶ線分とのなす角度を表している。
【0129】
【0130】
上記の式10、式11を式12に代入すると次の式13、式14が成立する。
【0131】
【0132】
【0133】
そして、式13を式7に代入し、式14を式9に代入し、さらに、リフトシリンダ35,36及びスライドシリンダ39のストローク量S1,S2を代入することで、ΔXとΔYとの関係式が得られる。制御部70は、上記の関係式に基づいて、リフトシリンダ35,36及びスライドシリンダ39のストローク量S1,S2を設定することによって、リフトシリンダ35,36及びスライドシリンダ39の駆動による荷役アーム34のフック38cの位置を算出することができる。
【0134】
次に、ステップS24において、ステップS23で算出されたストローク量S1,S2よりも小さな所定量だけリフトシリンダ35,36及びスライドシリンダ39が駆動され、荷役アーム34が移動されて、フック38cが地上に置かれたコンテナ2の丸棒22に対して係合可能な積込開始位置に向けて移動される。積込開始位置は、荷役アーム34の前方へ向けての回動によって、フック38cがコンテナ2の丸棒22に係合可能な位置に設定される。
【0135】
ステップS25において、上述したステップS8(
図12のステップS8a~S8h参照)と同様の障害物の認識処理を行って、車両とコンテナ2との間の障害物を認識する。そして、障害物がない(車両とコンテナ2との間に一定面積以上の障害物がない)と判定された場合には、ステップS26へ進む。一方、障害物があると判定された場合には、ステップS29へ進む。ステップS29において、荷役アーム34の駆動を停止させるとともに、ブザー74aからキャッチング警報を発生させて作業者に注意を促す。そして、ステップS26において、ブザー74aからキャッチング警報が発生されている場合、その解除を行って、ステップS27へ進む。
【0136】
ステップS27において、荷役アーム34のフック38cがコンテナ2の丸棒22に係合可能な積込開始位置まで、フック38cが移動したか否かが判定される。この場合、ストロークセンサ72,73の出力値に基づいて、ステップS23で算出されたストローク量S1,S2だけリフトシリンダ35,36及びスライドシリンダ39が駆動されたか否かが判定される。そして、フック38cが積込開始位置まで移動した場合には、ステップS30へ進む。一方、フック38cが積込開始位置まで移動していない場合には、肯定判定が得られるまで(フック38cが積込開始位置まで移動するまで)、上記ステップS24~S26の処理を繰り返し行う。
【0137】
なお、ステップS29において、荷役アーム34の移動が途中で停止されるが、作業者がキャッチング警報の原因となっている障害物を取り除く等すれば、ステップS24~S26の処理が自動で再開されるようになっている。一方、自動で再開される制御に代えて、作業者が車両後方の障害物を取り除く等した後、再度自動積込ボタン74fを操作することによって、ステップS24~S26の処理が再開されるようにしてもよい。
【0138】
ステップS30において、リフトシリンダ35,36及びスライドシリンダ39が駆動されて、荷役アーム34が積込完了位置(
図1の実線で示す位置)に向けて所定距離移動される。この荷役アーム34の移動によって、荷役アーム34のフック38cがコンテナ2の丸棒22に係合され、この状態から荷役アーム34がさらに前方へ向けて回動することによってコンテナ2が地上から引き上げられる。
【0139】
そして、ステップS31において、荷役アーム34を前方へ向けて回動させる際、車両とコンテナ2との間の障害物の有無を判定するために、コンテナ2の前壁2bの認識処理が行われる。このステップS31におけるコンテナ2の前壁2bの認識処理について、
図15を参照して説明する。まず、ステップS31aは
図11のステップS5aと同様であり、ステップS31bは
図11のステップS5bと同様であり、ステップS31cは
図14のステップS21cと同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0140】
ステップS31dにおいて、
図11のステップS5dと同様にして、ステップS31cで得られた認識対象データのうち、隣り合う計測点の集合をYZ平面に正射影し、2次元の物体像Eとして抽出する。物体像Eを抽出した後、ステップS31eへ進む。
【0141】
ステップS31eは、
図11のステップS5eと同様であるため、ここでの説明を省略する。そして、物体像Eの全体面積が所定値以上であり、物体像Eがコンテナ2の前壁2bである可能性がある場合には、ステップS31fへ進む。一方、物体像Eの全体面積が所定値未満である場合には、ステップS31gへ進む。
【0142】
荷役アーム34を前方へ向けて回動させてコンテナ2を引き上げる際、荷役アーム34の回動に応じて前壁2bが傾斜するため、
図14のステップS21fのように基準となる前壁特徴データが一つだけでは、前壁2bを精度よく認識することが難しい。そこで、荷役アーム34の回動位置(リフトシリンダ35,36のストローク量)に対応した複数の前壁特徴データが、メモリ70aに保存されている。
【0143】
ステップS31fにおいて、現在のリフトシリンダ35,36のストローク量を、リフトシリンダ用ストロークセンサ72からの入力信号に基づいて検出する。ステップS31hにおいて、ステップS31fで検出されたストローク量に対応する前壁特徴データを読み出す。そして、読み出した前壁特徴データと、ステップS31dで抽出した物体像Eとを比較することで、両者間の特徴部分の一致度合いを分析する。
【0144】
ステップS31jは、
図11のステップS5hと同様であり、ステップS31gは、
図11のステップS5gと同様であり、ステップS31kは、
図11のステップS5iと同様であるため、ここでの説明を省略する。ステップS31lにおいて、全ての集合(物体像E)について分析(前壁2bに該当するかの分析)が済んだか否かを判定し、分析済みの場合には、
図10のステップS32へ進む。一方、分析済みではない場合には、ステップS31eに戻り、分析済みと判定されるまで繰り返される。
【0145】
図10のステップS32において、上述したステップS8(
図12のステップS8a~S8h参照)と同様の障害物の認識処理を行って、車両とコンテナ2との間の障害物を認識する。そして、障害物がない(車両とコンテナ2との間に一定面積以上の障害物がない)と判定された場合には、ステップS33へ進む。一方、障害物があると判定された場合には、ステップS36へ進む。ステップS36において、荷役アーム34の駆動を停止させるとともに、ブザー74aから引上げ警報を発生させて作業者に注意を促す。そして、ステップS33において、ブザー74aから引上げ警報が発生されている場合、その解除を行って、ステップS34へ進む。
【0146】
ステップS34において、コンテナ2の底壁2aの主桁21が案内ローラ16上に載ったか否かが判定される。コンテナ2の主桁21が案内ローラ16上に載るとは、例えば
図29に示すように、コンテナ2の主桁21の底面のほとんどの部分が、案内ローラ16の外周面に接して案内ローラ16に対して車幅方向外側に外れていない状態を言う。この判定は、サイドカメラ9L,9Rによって撮影された画像データを用いて行われる。
【0147】
具体的には、サイドカメラ9L,9Rから入力される画像データを取得し、取得した入力画像データに対し、二値化処理、ラベリング処理等が行われる。二値化処理は、例えば、入力画像データについて各画素の輝度値が予め設定された閾値以上である場合に最大輝度値とし、閾値未満であれば最小輝度値とする処理である。生成される二値化画像データは、ノイズや光量変化の影響の多くが除去されたものとなる。ラベリング処理は、二値化画像データにおいて互いに近接する各画素を領域化するものであり、例えば同じ輝度値に属するとともに、所定距離内で密接する複数の画素について1つの領域と見なす処理である。ラベリング処理は画像平面全体について行われ、これにより1つの領域とされたものが、それぞれ物体像として認識される。そして、それぞれの物体像について、積込用特徴データを参照し、この積込用特徴データの条件を満たす場合には、コンテナ2の主桁21が案内ローラ16上に載ったと判定され、ステップS35へ進む。積込用特徴データは、予め多くのコンテナ2の主桁21及び案内ローラ16の画像(コンテナ2の主桁21が案内ローラ16上に載っている状態の画像)を撮影して、その大きさや形状などの特徴を抽出したもので、メモリ70aに保存されている。一方、それぞれの物体像について、積込用特徴データの条件を満たさない場合には、コンテナ2の主桁21が案内ローラ16上に載っていないと判定されると、ステップS30に戻って肯定判定が得られるまで(コンテナ2の主桁21が案内ローラ16上に載ったと判定されるまで)、上記ステップS30~S34の処理を繰り返し行う。
【0148】
ステップS36において、リフトシリンダ35,36及びスライドシリンダ39の駆動が停止されて、荷役アーム34の移動が停止されるとともに、ブザー74aにより警報音が発せられ、作業者への報知が行われる。この場合、荷役アーム34の移動が途中で停止されるが、作業者が引き上げ警報の原因となっている障害物を取り除く等すれば、ステップS30~S34の処理が自動で再開されるようになっている。なお、自動で再開される制御に代えて、作業者が車両後方の障害物を取り除く等した後、再度自動積込ボタン74fを操作することによって、ステップS30~S34の処理が再開されるようにしてもよい。
【0149】
ステップS35において、例えば近接センサ(図示せず)により、リフトシリンダ35,36及びスライドシリンダ39が積込完了位置まで伸縮したか否か、つまり、荷役アーム34が積込完了位置まで移動したか否かが判定される。そして、荷役アーム34が積込完了位置まで移動した場合には、ステップS37へ進む。一方、荷役アーム34が積込完了位置まで移動していない場合には、肯定判定が得られるまで上記ステップS30~S35の処理を繰り返し行う。
【0150】
ステップS37において、ブザー74aに積込完了の音声を発生させて、コンテナ2の積込動作が完了したことを作業者に報知し、ステップS38へ進む。ステップS38において、PTOスイッチがオフ操作されたか否かが判定され、オフ操作が確認された後、ステップS39へ進む。ステップS39において、上方障害警報(ステップS28)が発生されている場合、その解除を行って、ステップS40へ進む。ステップS40において、ステップS16で開始した自動積込みのためのセンサヘッド8の走査を終了し、自動積込ボタン74fの操作により行われる自動積込制御のフローを終了する。
【0151】
次に、
図18を参照して、コンテナ荷役車両1における自動降ろし時の制御について説明する。
【0152】
まず、ステップS41において、ACC電源がオンになるまで、言い換えれば、ACC電源のオンに対応する電力が制御部70へ入力されるまで待機状態となっている。そして、電力の入力が有った場合、ステップS42へ進む。ステップS42において、制御部70は、初期化処理を行った後、センサヘッド8を後ろに(レーザ照射領域W1にレーザパルスを照射する向きに)回転させて、ステップS43へ進む。
【0153】
ステップS43において、制御部70は、PTOスイッチのオン操作信号、及び自動降ろしボタン74gのオン操作信号が制御部70へ入力されたか否かを判定する。これらのオン操作信号の入力が有った場合、ステップS43aへ進み、これらのオン操作信号の入力が無かった場合はこれらの信号が入力されるまで待機する。
【0154】
ステップS43aにおいて、サイドカメラ9L,9Rをオンにして車両後方を撮影し、サイドカメラ9L,9Rによって撮影された画像データを背景基準画像データとして設定し、メモリ70aに保存する。
【0155】
そして、ステップS44において、荷役アーム34によるコンテナ2の降ろし動作中、コンテナ降ろし予定領域R2内の障害物の認識処理が行われる。コンテナ降ろし予定領域R2は、
図28に示すように、コンテナ2が降ろされる可能性がある領域を予め設定したものであって、メモリ70aに保存されている。コンテナ降ろし予定領域R2は、例えば後方限界位置近傍に回動させた状態での荷役アーム34の前後寸法、及びコンテナ2の平面寸法を基にして設定可能である。
【0156】
ステップS44におけるコンテナ降ろし予定領域R2内の障害物の認識処理について、
図19を参照して説明する。まず、ステップS44aは
図11のステップS5aと同様であり、ステップS44bは
図11のステップS5bと同様であるため、ここでの説明を省略する。ステップS44cにおいて、ステップS44bで得られたXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)のうち、X座標及びY座標が、コンテナ降ろし予定領域R2内のデータを抽出して第1認識対象データとし、ステップS44dへ進む。
【0157】
ステップS44dにおいて、現在のリフトシリンダ35,36のストローク量を、リフトシリンダ用ストロークセンサ72からの入力信号に基づいて検出する。ステップS44eにおいて、ステップS44dで検出されたストローク量に対応する認識規制Z座標を読み出す。荷役アーム34を後方へ向けて回動させてコンテナ2を降ろす際、
図30~
図32に示すように、荷役アーム34の回動に応じてセンサヘッド8から見た車両後方の視野が、コンテナ2に遮られて徐々に狭くなっていく。そこで、ステップS44cで抽出した第1認識対象データからコンテナ2に対応するデータを除外するために、現在のリフトシリンダ35,36のストローク量に応じた認識規制Z座標を設定している。荷役アーム34の回動位置(リフトシリンダ35,36のストローク量)に対応した複数の認識規制Z座標が、メモリ70aに保存されている。例えば
図30、
図31に1点鎖線で示すように、認識規制Z座標は、コンテナ2の下端(ここでは、左右一対の車輪2e,2e)よりも若干低い位置に設定することが可能である。
【0158】
そして、ステップS44fにおいて、ステップS44cで抽出した第1認識対象データのうち、Z座標が、ステップS44eで読み出した認識規制Z座標以下であるデータを抽出して第2認識対象データとし、ステップS44gへ進む。
【0159】
ステップS44gにおいて、
図11のステップS5dと同様にして、ステップS44fで得られた第2認識対象データのうち、隣り合う計測点の集合をYZ平面に正射影し、2次元の物体像Fとして抽出する。物体像Fを抽出した後、ステップS44hへ進む。
【0160】
ステップS44hにおいて、物体像Fの全体面積F1を上述の障害物判定閾値B2(
図12のステップS8e参照)と比較し、物体像Fの全体面積F1が障害物判定閾値B2以上の場合(F1≧B2)、ステップS44iへ進む。一方、全体面積F1が障害物判定閾値B2未満の場合(F1<B2)、ステップS44jへ進む。物体像Fの全体面積F1は、
図11のステップS5eと同様にして算出することが可能である。
【0161】
そして、ステップS44iにおいて、コンテナ降ろし予定領域R2に障害物が有ると認識されて、次のステップS44kへ進む。一方、ステップS44jにおいて、コンテナ降ろし予定領域R2に障害物が無いと認識されて、次のステップS44kへ進む。ステップS44kにおいて、全ての集合(物体像F)について分析(コンテナ降ろし予定領域R2の障害物か否かの分析)が済んだか否かを判定し、分析済みの場合には、
図18のステップS45へ進む。一方、分析済みではない場合には、ステップS44hに戻り、分析済みと判定されるまで繰り返される。
【0162】
図18のステップS45において、ステップS44の認識処理に基づいて、コンテナ降ろし予定領域R2に障害物が無い場合には、ステップS46へ進む。一方、コンテナ降ろし予定領域R2に障害物が有る場合には、ステップS49へ進む。
【0163】
ステップS46において、荷役アーム34によるコンテナ2の降ろし動作中、コンテナ2(コンテナ降ろし予定領域R2)に接近する障害物の有無を判定するために、サイドカメラ9L,9Rによる障害物の認識処理が行われる。上述したように、荷役アーム34を後方へ向けて回動させてコンテナ2を降ろす際、荷役アーム34の回動に応じてセンサヘッド8から見た車両後方の視野が、コンテナ2に遮られて徐々に狭くなっていく。そこで、サイドカメラ9L,9Rによって撮影された画像データを用いて、荷役アーム34によるコンテナ2の降ろし動作中、コンテナ2に接近する障害物の有無を判定している。
【0164】
ステップS46におけるサイドカメラ9L,9Rによる障害物の認識処理について、
図20を参照して説明する。まず、ステップS46aにおいて、制御部70は、サイドカメラ9L,9Rによって撮影された画像データを取得する。次に、ステップS46bにおいて、制御部70は、
図18のステップS43aで取得した背景基準画像データを読み出し、サイドカメラ9L,9Rによって撮影された画像データと、背景基準画像データとを比較し、両者間の差分処理を行う。この差分処理によって、サイドカメラ9L,9Rによって撮影された画像データのうち、背景基準画像データと異なる部材の画像データが抽出される
ステップS46c~S46eにおいて、ステップS46bの差分処理によって抽出された画像データに対し、
図10のステップS34と同様にして、二値化処理及びラベリング処理が行われ、ラベリング処理によって1つの領域とされたものが物体像Gとして抽出される。
【0165】
ステップS46fにおいて、物体像Gの全体面積G1を上述の障害物判定閾値B2(
図12のステップS8e参照)と比較し、物体像Gの全体面積G1が障害物判定閾値B2以上の場合(G1≧B2)、ステップS46gへ進む。一方、全体面積F1が障害物判定閾値B2未満の場合(G1<B2)、ステップS44hへ進む。物体像Gの全体面積G1は、物体像Gの画素数に基づいて算出することが可能である。
【0166】
ステップS46gにおいて、物体像Gが危険エリアR3内に含まれているか否かが判定される。危険エリアR3は、例えば
図29に示すように、コンテナ2の近傍で側方に設定された車両後方視で略矩形の領域である。
図29ではコンテナ2の左方に設定された危険エリアR3のみを示しているが、コンテナ2の右方にも同様の危険エリアR3が設定される。そして、危険エリアR3内に物体像Gが一部でも入っている場合には、ステップS46iへ進み、危険エリアR3内に物体像Gが入っていない場合には、ステップS46hへ進む。
【0167】
そして、ステップS46iにおいて、コンテナ2(コンテナ降ろし予定領域R2)に近づく障害物が有ると認識されて、次のステップS46jへ進む。一方、ステップS46hにおいて、コンテナ2(コンテナ降ろし予定領域R2)に近づく障害物が無いと認識されて、次のステップS46jへ進む。ステップS46jにおいて、全ての集合(物体像G)について分析(コンテナ2に近づく障害物の分析)が済んだか否かを判定し、分析済みの場合には、
図18のステップS47へ進む。一方、分析済みではない場合には、ステップS46fに戻り、分析済みと判定されるまで繰り返される。
【0168】
図18のステップS47において、ステップS46の認識処理に基づいて、コンテナ2(コンテナ降ろし予定領域R2)に近づく障害物が無い場合には、ステップS48へ進む。一方、コンテナ2(コンテナ降ろし予定領域R2)に近づく障害物が有る場合には、ステップS49へ進む。
【0169】
ステップS48において、リフトシリンダ35,36及びスライドシリンダ39が駆動されて、荷役アーム34(フック38c)が降ろし完了位置に向けて所定距離移動される。ステップS50において、例えば近接センサ(図示せず)により、リフトシリンダ35,36及びスライドシリンダ39が降ろし完了位置まで伸縮したか否か、つまり、荷役アーム34が降ろし完了位置まで移動したか否かが判定される。そして、荷役アーム34が降ろし完了位置まで移動した場合には、ステップS51へ進む。一方、荷役アーム34が積込完了位置まで移動していない場合には、肯定判定が得られるまで上記ステップS44~S48の処理を繰り返し行う。
【0170】
ステップS49において、リフトシリンダ35,36及びスライドシリンダ39の駆動が停止されて、荷役アーム34の移動が停止されるとともに、ブザー74aにより警報音が発せられ、作業者への報知が行われる。この場合、荷役アーム34の移動が途中で停止されるが、作業者が警報の原因となっている障害物を取り除く等すれば、ステップS44~S50の処理が自動で再開され、荷役アーム34の移動が再開されるようになっている。なお、自動で再開される制御に代えて、作業者が障害物を取り除く等した後、再度自動降ろしボタン74gを操作することによって、ステップS44~S50の処理が再開されるようにしてもよい。
【0171】
ステップS51において、ブザー74aに降ろし完了の音声を発生させて、コンテナ2の降ろし動作が完了したことを作業者に報知し、ステップS52へ進む。ステップS52において、PTOスイッチがオフ操作されたか否かが判定され、オフ操作が確認された後、ステップS53へ進む。ステップS53において、自動降ろしのためのセンサヘッド8の走査を終了するとともに、サイドカメラ9L,9Rをオフにして、自動降ろし制御のフローを終了する。
【0172】
本実施形態によれば、センサヘッド8からレーザ光を照射して物体から反射された反射光を用いて、荷役装置3の制御部70が、車両後方に存在する物体(コンテナ2及び障害物を含む)の3次元形状と、車両からその物体までの距離とを認識することができる。これにより、制御部70が、車両とコンテナ2との間に存在する障害物を認識することができるので、従来では作業者が行っていた後方の安全確認を荷役装置3が自律的に行うことができる。また、従来では作業者にとって煩わしかった安全を確認しつつボタン操作をし続ける必要がなくなる。その結果、コンテナ2の積み降ろし作業の際、作業者の車両後方の安全確認と荷役装置3の操作の負担を軽減することができる。
【0173】
また、本実施形態では、制御部70は、車両後退時又は積込作業時、取得した計測点Pの位置情報に基づいて、車両とその後方のコンテナ2との間に車両後方視で一定面積以上の障害物が検出されたか否かを判定している。これにより、車両後退時、車両とコンテナ2との間に車両後方視で一定面積以上の障害物が検出された場合には、制御部70が車両の後退を一旦停止させるための信号を出すことができる。例えば、作業者が車両を運転している場合には、制御部70が警報により作業者に報知する。なお、車両が自動走行車の場合には、制御部70が自律的に車両の後退を停止させる。その際、制御部70の障害物の検出は一定面積以上に限定されるので、実質的に障害とならないような小さな障害物に対しては制御部70が反応しないようにすることができる。その結果、車両が実質的な障害物に衝突することを回避することができ、車両後退時の安全性を高めることができる。
【0174】
また、コンテナ2の積込作業時、車両とコンテナ2との間に車両後方視で一定面積以上の障害物が検出された場合には、制御部70が荷役装置3の作動を一旦停止させるための信号を出すことができる。例えば、作業者が荷役装置3を操作している場合には、制御部70が警報により作業者に報知する。また、荷役装置3の積込作業を自動で行う場合には、制御部70が自律的に荷役装置3の作動を停止させる。その際、制御部70の障害物の検出は一定面積以上に限定されるので、実質的に障害とならないような小さな障害物に対しては制御部70が反応しないようにすることができる。その結果、荷役装置3が実質的な障害物に衝突することを回避することができ、コンテナ2の積込作業の安全性を高めることができる。
【0175】
また、本実施形態では、制御部70は、車両後退時、取得した計測点Pの位置情報に基づいて、コンテナ2の前壁2bに対し、車両の左右傾きが所定値以上であるか否か、及びコンテナ2の前壁2bの中央に対し、車両の左右位置ズレが所定値以上であるか否かを判定している。また、制御部70は、車両後退時、取得した計測点Pの位置情報に基づいて、コンテナ2の前壁2bまでの距離を検出し、荷役装置3へのコンテナ2の積込みに適した位置まで車両が後退したか否かを判定している。このように、計測光を照射して物体から反射された反射光を用いて車両の後退ガイドを行うので、荷役装置3へのコンテナ2の積込みに適した位置まで車両の移動を容易に行うことができる。
【0176】
また、本実施形態では、制御部70は、取得した計測点Pの位置情報に基づいて、コンテナ2の丸棒22の位置を算出し、算出された丸棒22の位置に基づいて、駆動アクチュエータの作動量(リフトシリンダ35,36及びスライドシリンダ39のストローク量S1,S2)を制御して、荷役アーム34のフック38cをコンテナ2の丸棒22に係合させる積込動作を行っている。これにより、車両の停止位置がコンテナ2の積込みに適した位置に対して多少位置ずれしていたとしても、制御部70が荷役アーム34を自律的に動作させて荷役アーム34のフック38cをコンテナ2の丸棒22に確実に係合させることができる。従来では、このような荷役アーム34の操作は、車両を後進させながら荷役アーム34のフック38cをコンテナ2の丸棒22の手前に位置付ける操作になるため、熟練の運転者であっても容易なことではなかった。しかし、本実施形態によれば、コンテナ2の積込作業を初心者が1人行う場合であっても、容易且つ確実に荷役アーム34のフック38cをコンテナ2の丸棒22に係合させることができる。また、荷役アーム34を自律的に動作させることができるので、自動走行可能な車台に本発明の荷役装置3を適用することによって積み降ろし作業の省人化を図ることもできる。
【0177】
また、本実施形態では、センサヘッド8は、車両上方に向けても計測光を照射可能に設けられており、制御部70は、取得した計測点Pの位置情報に基づいて、車両上方の障害物を検出し、検出された障害物の高さが、積込動作を行う際の荷役アーム34のフック38cの最大高さよりも高いか否かを判定している。これにより、積込動作を行う際、荷役アーム34に干渉する可能性がある障害物が車両上方にあるかどうかを容易に確認することができる。
【0178】
また、本実施形態では、制御部70は、積込動作の際、サイドカメラ9L,9Rによって撮影された画像に基づいて、コンテナ2が車台の所定位置(案内ローラ16)に載ったか否かを判定している。これにより、積込動作の際、コンテナ2を車台の所定位置に確実に載せることができ、積込作業の効率化が図れる。
【0179】
また、本実施形態では、制御部70は、降ろし作業時、取得した計測点Pの位置情報に基づいて、車両後方のコンテナ降ろし予定領域R2内に車両後方視で一定面積以上の障害物が検出されたか否かを判定している。これにより、コンテナ2の降ろし作業時、車両後方のコンテナ降ろし予定領域R2内に車両後方視で一定面積以上の障害物が検出された場合には、制御部70が荷役装置3の作動を一旦停止させるための信号を出すことができる。例えば、作業者が荷役装置3を操作している場合には、制御部70が警報により作業者に報知する。また、荷役装置3の降ろし作業を自動で行う場合には、制御部70が自律的に荷役装置3の作動を停止させる。その際、制御部70の障害物の検出は一定面積以上に限定されるので、実質的に障害とならないような小さな障害物に対しては制御部70が反応しないようにすることができる。その結果、荷役装置3が実質的な障害物に衝突することを回避することができ、コンテナ2の降ろし作業の安全性を高めることができる。
【0180】
また、本実施形態では、制御部70は、荷役装置3によって車台上に搭載されたコンテナ2の降ろし動作を行う際、取得した計測点Pの位置情報、及びサイドカメラ9L,9Rによって撮影された画像に基づいて、コンテナ降ろし予定領域R2に接近する物体があるか否かを判定している。これにより、荷役アーム34によるコンテナ2の降ろし動作中、コンテナ2に接近する物体があれば直ちにコンテナ2の降ろし動作を停止することができ、コンテナ2の降ろし動作中の安全性を確保することができる。
【0181】
-その他の実施形態-
今回、開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、前記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【0182】
上記実施形態では、センサヘッド8を、レーザ光源(照射部)81と受光器(受光部)86とが一体的に設けられた構成とした。しかし、これに限らず、車両後方に向けてレーザ光を照射可能であれば、レーザ光源81と受光器86とを別々の場所に設置してもよい。また、上記実施形態では、物体の3次元位置情報を取得するためのセンサとして、レーザ光源81、ポリゴンミラー83、揺動ミラー84、主走査モータ87、副走査モータ88等を備えるとともに、レーザ照射領域W1,W2へレーザパルスを照射するセンサヘッド8を挙げたが、これに限らず、例えば、距離画像センサなどを用いて物体の3次元位置情報を取得してもよい。また、上記実施形態では、センサヘッド8が照射する計測光としてレーザ光を使用したが、これに限らず、計測光としてLED光を使用してもよい。
【0183】
また、車両の周囲の物体の物体像のデータ及び当該物体像までの距離を取得する物体像取得部として、ステレオカメラを用いてもよい。つまり、上述したセンサヘッド8では、車両の周囲の物体に照射されて物体により反射された計測光に基づいて、車両の周囲の物体の3次元位置情報を算出したが、ステレオカメラによって車両の周囲の物体を撮影した画像に基づいて、車両の周囲の物体の3次元位置情報を算出してもよい。ステレオカメラは、2つのカメラ(2眼のカメラ)により車両の周囲の物体を複数の異なる方向から同時に撮影することによって、カメラの画素の位置情報を算出することができ、これにより、車両の周囲の物体(荷役対象物及び障害物を含む)の3次元形状と、車両からその物体までの距離とを認識することができる。
【0184】
したがって、物体像取得部としてステレオカメラを用いた場合にも、上述したセンサヘッド8を用いた場合と同様に、制御部が、車両と、荷役対象物との間に存在する障害物の存在を認識することができるので、従来では作業者が行っていた後方等の安全確認を架装物が自律的に行うことができる。また、従来では作業者にとって煩わしかった安全を確認しつつボタン操作をし続ける必要がなくなる。その結果、作業者の車両後方等の安全確認と架装物の操作の負担を軽減することができる。なお、車両の周囲の物体の物体像のデータ及び当該物体像までの距離を取得する物体像取得部として、上述したセンサヘッド8と撮像カメラ(単眼カメラやステレオカメラ等)とを併用してもよい。
【0185】
また、上記実施形態では、センサヘッド8を車両後端部の1箇所に設け、サイドカメラ9L,9Rを車両側部の2箇所に設けたが、これに限らず、サイドカメラ9L,9Rの代わりに車両側部の2箇所にセンサヘッド8をそれぞれ設けてもよい。あるいは、センサヘッドを車両側部の1箇所に設け、バックドカメラを車両後端部の1箇所に設けてもよい。
【0186】
上記実施形態では、3次元極座標データ(L,θ,φ)をXYZ直交座標データ(Px,Py,Pz)に変換し、このXYZ直交座標データに基づいて、コンテナ2等の認識処理を行ったが、座標変換を行わずに直接、3次元極座標データに基づいて、コンテナ2等の認識処理を行ってもよい。
【0187】
上記実施形態では、スライドシリンダ39を用いてフック38c(フックフレーム38)を前後方向にスライドさせる構成のコンテナ荷役車両1に、本発明を適用した例を説明した。本発明はこれに限らず、シリンダを用いてフック38cを前後方向にスイング(揺動)させる構成のコンテナ荷役車両にも、適用可能である。さらには、例えば特公昭63-036973号公報に開示されるような、コンテナを水平に維持したまま積降可能に構成された荷役車両にも、本発明を適用可能である。
【0188】
以上では、本発明をコンテナ荷役車両に適用した場合について説明したが、本発明の適用対象は、車台に架装物を備えた作業車両であって、架装物により荷役対象物を車台に積み降ろし可能な作業車両、又は架装物により運搬対象物を車台に積載可能な作業車両であれば特に限定されない。要するに、本発明の作業車両は、架装物により荷役対象物を車台に対して積み込み及び/又は降ろし可能な作業車両であれば特に限定されない。例えば特開2016-5928号公報に開示されるような車両運搬車にも、本発明を適用可能である。運搬対象車両を積載する荷台の前後寸法を基にして適正後退位置を設定可能であり、このように設定すれば、前後方向に積み降ろしスペースを確保しにくい現場において、運搬対象車両に向けて車両を後退させる作業が行いやすくなる。
【0189】
また、例えば特開2000-108769号公報に開示されるような、運搬対象車両を積載する荷台が着脱可能に構成され、荷台に荷役アームを係合させて車両に積み降ろしするタイプの車両運搬車にも、本発明を適用可能である。この車両の場合、荷台側の被係合部を認識して荷役アームを自動で移動させたり、荷台積み降ろし時の障害物検知(安全確認)が可能になる。
【0190】
さらには、例えば特開2010-149638号公報に開示されるような、生コンを撹拌しながら建設現場に運搬するミキサ車にも、本発明を適用可能である。一般的にミキサ車は、建設現場に到着後、コンクリートポンプ車に向けて後退させ、シュートを後方に向けて生コンをコンクリートポンプ車に供給する使用形態が多い。そこで、シュートの寸法を基にして適正後退位置を設定すれば、コンクリートポンプ車に向けて後退させる作業は行いやすくなる。
【0191】
一方で、例えば特開2006-240380号公報に開示されるような荷受台昇降装置にも、本発明を適用可能である。センサヘッドを荷受台の上方、荷受台のアーム部分もしくは荷受台上に配置すれば、荷受台上の物体に対応するデータを抽出し、平面視において荷受台外側にはみ出る物体像の有無を判定でき、荷受台を上昇させる際に車台と荷受台との間に物体を挟み込むことを未然に防止できる。特に、荷受台の上昇前に判定できれば、上昇途中で停止させる場合と比較して、台車に積み上げられた複数の荷物が崩れることなどを防止できる点で好ましい。また、センサヘッドを荷受台のアーム部分に取り付けて、荷受台の下方領域の障害物(降下時に障害となる物体)を認識できるようにすれば、障害物ありの判定に基づいて降下を停止させることで荷受台降下時の安全性を高めることができる。さらに、例えば特開2007-203906号公報に開示されるような、垂直に設けたポストに沿って荷受台が昇降するタイプの荷受台昇降装置にも適用可能であり、この場合、センサヘッドをポストに取り付けることで、物体の挟み込みを未然に防止可能である。
【0192】
ここで、架装物の一部としての荷受台昇降装置に本発明を適用する場合、次のような形態としてもよい。この場合、物体像取得部が、架装物の形態変化する一部分の物体像及び当該物体像までの距離のデータを取得することにより、制御部が、当該一部分の3次元形状と、車両から当該一部分までの距離とを認識するようにしている。そして、制御部が、架装物の形態変化を認識して駆動アクチュエータを動作させるようにしている。この変形例について、
図33~
図36を参照して説明する。
図33は、荷受台昇降装置200を搭載した車両の概略構成を示す後方斜視図である。
図34は、荷受台昇降装置200の作動状態を示す側面図である。
図35は、荷受台昇降装置200に備えられた制御装置および油圧装置の回路図である。
図36は、荷受台昇降装置200の動作の一例を示すフローチャートである。
【0193】
図33、
図34に示すように、荷受台昇降装置200は、車両のメインフレーム等からなる車台枠の後部に対し支持部材201を介して取り付けられており、荷受台202と、それぞれ左右一対のチルトリンク203、リフトアーム204、チルトシリンダ205、リフトシリンダ206と、荷受台の回動角度を検知するセンサ208とを備えている。荷受台202を使用しない走行状態では、車台枠に搭載された架装物の一部としての荷箱209の後面に荷受台202が対向した起立状態になっている。荷箱209の下方には、3つに分割されたバンパ210(210C,210L,210R)が設けられている。
【0194】
支持部材201は、車台枠の後端部下方を車幅方向に延びるフレーム材211と、車台枠の後端部に対してフレーム材211を固設する左右一対の固定ブラケット212と、フレーム材211の左右両端部に設けられた支持ブラケット213とを有する。チルトリンク203は、車両後方に開口する断面略コ字状に形成されて上下方向に延びており、その上部が支持ブラケット213の上部にピン231を介して回動自在に連結され、下部が車両前後方に揺動するように形成されている。リフトアーム204は、基端がチルトリンク203の上部にピン241を介して回動自在に連結されている。リフトアーム204の先端は、荷受台202の上端部にピン242を介して回動自在に連結されている。
【0195】
チルトシリンダ205は、荷受台昇降装置200の駆動アクチュエータであって、荷受台202の回動用の油圧シリンダとしての機能を有し、リフトアーム204の下方に配置されている。チルトシリンダ205の基端は、支持ブラケット213と、この支持ブラケット213に対して外側から対向するブラケット214との間にピン251を介して回動自在に連結されている。チルトシリンダ205の先端は、荷受台202の下端部にピン252を介して回動自在に連結されている。
【0196】
リフトシリンダ206は、荷受台昇降装置200の駆動アクチュエータであって、荷受台202の昇降用の油圧シリンダとしての機能を有し、チルトシリンダ205の下方に配置されている。リフトシリンダ206の基端は、チルトリンク203の下部にピン261を介して回動自在に連結されている。リフトシリンダ206の先端は、リフトアーム204の中間部にピン262を介して回動自在に連結されている。
【0197】
荷受台202の回動角度を検知するセンサ208には、既知の近接センサが用いられており、リフトアーム204の先端及び荷受台202の連結に用いられているピン242に設けられた検知片281と、検知片281を検知すると共に荷受台202に設けられた検知部282とで構成されている。検知片281は、荷受台202の回動中心となるピン242に回動自在に設けられ、荷受台202の回動作動に連動して回動するように図示しない連結部材などにより荷受台202に連結されている。
【0198】
このような構成を有する荷受台昇降装置200は、車両走行時には荷受台202が、
図33、
図34(a)に示すように起立した状態とされる。この起立状態では、チルトシリンダ205及びリフトシリンダ206は伸長した状態となっている。
【0199】
一方、車両停止後に荷物の積み降ろし作業を行うために、起立状態の荷受台202は、
図34(b)の実線で示すように、荷台床面207の高さ位置と略同等の高さ位置で、略水平状態とされる。このとき、リフトシリンダ206は変わらず伸長状態であるが、チルトシリンダ205は収縮した状態であり、チルトシリンダ205の収縮作動によって、荷受台202が回動作動されている。
【0200】
また、地面と荷台床面207との間で荷物の積み降ろしを行う際、水平状態の荷受台202は、
図34(b)の一点鎖線で示すように接地状態となるまで下降される。このとき、チルトシリンダ205は変わらず収縮した状態であり、リフトシリンダ206も収縮した状態となっている。この状態でチルトシリンダ205を収縮動作させると、荷受台202の先端部が接地するまで傾斜させることができる。なお、チルトシリンダ205及びリフトシリンダ206の伸縮操作を行うための操作装置(不図示)は、車両後方の側方部に設けられており、作業者が荷受台202の作動状況を目視確認できるようになっている。
【0201】
また、
図33に示すように、荷箱209の後面の上部には、センサヘッド220が設けられている。センサヘッド220は、上記実施形態のセンサヘッド8と略同様の構成になっている。センサヘッド220は、荷箱209の後方の所定の領域に向けて、計測光としてのレーザ光を照射するとともに、物体によって反射されたレーザ光(反射光)を受光するように構成されている(
図5等参照)。センサヘッド220から出射されたレーザパルスによって、荷箱209の後方のエリアが走査されることによって、物体における計測点Pにレーザパルスを照射したときのレーザパルスの垂直角α及び水平角βを計測点Pの位置情報である3次元極座標データ(距離D,垂直角α,水平角β)が取得される。
【0202】
センサヘッド220は、
図35(a)に示すように、制御部230に接続されており、センサヘッド220によって取得された計測点Pの位置情報である3次元極座標データ(距離D,垂直角α,水平角β)が制御部230に入力される。また、上述したセンサ208が制御部230に接続されており、センサ208による検知信号(オン信号)が制御部230に入力される。制御部230は、上記実施形態のレーザ制御部8aと略同様の機能も有している。
【0203】
また、制御部230には、サイドカメラ221L,221Rが接続されている。サイドカメラ221L,221Rは、上記実施形態のサイドカメラ9L,9Rと略同様であって、サイドカメラ221L,221Rの撮像レンズの光軸が、水平方向に沿って後方に振り向けられている。一方のサイドカメラ221Lは、車両の左後方の所定範囲を撮影し、他方のサイドカメラ221Rは、車両の右後方の所定範囲を撮影するように取り付けられている。制御部230は、上記実施形態の画像処理部9aと略同様の機能も有している。
【0204】
制御部230には、操作手段230aに設けられて、荷受台202を起立状態から水平状態に姿勢変更(開動作)又は水平状態から起立状態に姿勢変更(閉動作)させるための開閉スイッチ232と、荷受台202を水平状態で上昇させるための上げスイッチ233と、荷受台202を水平状態で下降させるための下げスイッチ234も接続されている。また、制御部230には、開閉スイッチ232及び下げスイッチ234のオン操作によって励磁されてチルトシリンダ205を収縮させる開ソレノイド238と、開閉スイッチ232及び上げスイッチ233のオン操作によって励磁されてチルトシリンダ205を伸長させる閉ソレノイド237と、下げスイッチ234のみのオン操作によって励磁されてリフトシリンダ206を収縮させる下げソレノイド236とが接続されている。さらに、制御部230には、ブザー239が接続されている。
【0205】
また、制御部230には、開閉スイッチ232のオン操作によって閉じられるリレーCT1が接続されており、当該リレーCT1によってバッテリに接続されるモータM1への接続回路の開閉が制御されている。なお、当該モータM1によってチルトシリンダ205及びリフトシリンダ206の収縮動作を行う作動油を給排する油圧ポンプP1が駆動される。
【0206】
上記の各ソレノイド236~238は車両側部の所定の位置に配設されるパワーユニット240内で、
図35(b)のように配置されている。パワーユニット240は、モータM1、油圧ポンプP1が作動油の供給路等を介してチルトシリンダ205又はリフトシリンダ206に接続されてなる構成を有している。
【0207】
図35(b)に示すように、油圧ポンプP1は、その吸込側がオイルタンクT1に連通され、吐出側が第1供給路243aにより各リフトシリンダ206のボトム側に連通されている。第1供給路243aには、閉ソレノイド237を備えた第2供給路243bの一端が接続されており、その他端はチルトシリンダ205のボトム側に連通されている。第1供給路243aにおいて、第2供給路243bとの接続部よりもリフトシリンダ206側には下げソレノイド236を備えた第1排出路244aが接続されている。また、第2供給路243bにおいて、閉ソレノイド237よりもチルトシリンダ205側には、開ソレノイド238を備えた第2排出路244bが接続されている。第1及び第2排出路244a,244bはいずれもオイルタンクT1に連通されている。なお、第1排出路244aにおいて下げソレノイド236の下流側には第1排出路244aを流れる作動油の最大流量を制限する絞り弁245が配置されており、油圧ポンプP1の吐出圧の最大値を規定するためのリリーフ弁246を備えている。
【0208】
本変形例では、チルトシリンダ205の伸長動作による荷受台202の閉じ動作中の障害物の認識処理を行うようにしている。そして、荷受台202の閉じ予定領域に障害物がある場合や、荷受台202の閉じ予定領域に接近する障害物がある場合には、荷受台202の閉じ動作を停止するようにしている。一方、荷受台202の閉じ予定領域に障害物がなく、荷受台202の閉じ予定領域に接近する障害物がない場合には、荷受台202の閉じ動作を行うようにしている。この点について、
図36のフローチャートを参照して説明する。
【0209】
まず、ステップT11において、ACC電源がオンになるまで、言い換えれば、ACC電源のオンに対応する電力が制御部230へ入力されるまで待機状態となっている。そして、電力の入力が有った場合、ステップT12へ進む。ステップT12において、制御部230は初期化処理を行い、ステップT13へ進む。
【0210】
ステップT13において、制御部230は、パワーユニット240のオン操作信号、及び開閉スイッチ232のオン操作信号が制御部230へ入力されたか否かを判定する。これらのオン操作信号の入力が有った場合、ステップT14へ進み、これらのオン操作信号の入力が無かった場合はこれらの信号が入力されるまで待機する。
【0211】
ステップT14において、サイドカメラ221L,221Rをオンにして車両後方を撮影し、サイドカメラ221L,221Rによって撮影された画像データを背景基準画像データとして設定し、制御部230のメモリに保存する。
【0212】
そして、ステップT15において、荷受台202の閉じ動作中、センサヘッド220による走査が行われ、閉じ予定領域内の障害物の認識処理が行われる。荷受台202の閉じ予定領域は、荷受台202が水平状態と起立状態との間で開閉動作するときに荷受台202が通過する領域を予め設定したものであって、メモリに保存されている。この認識処理は、上記実施形態のコンテナ降ろし予定領域R2内の障害物の認識処理(
図18のステップS44)と略同様であり、ここでの説明を省略する。
【0213】
ステップT16において、ステップT15の認識処理に基づいて荷受台202の閉じ予定領域に障害物が有るか否かが判定され、荷受台202の閉じ予定領域に障害物が無い場合には、ステップT17へ進む。一方、荷受台202の閉じ予定領域に障害物が有る場合には、ステップT20へ進む。
【0214】
ステップT17において、荷受台202の閉じ動作中、荷受台202(荷受台202の閉じ予定領域)に接近する障害物の有無を判定するために、サイドカメラ221L,221Rによる障害物の認識処理が行われる。つまり、サイドカメラ221L,221Rによって撮影された画像データを用いて、荷受台202の閉じ動作中、荷受台202に接近する障害物の有無を判定している。このサイドカメラ221L,221Rによる障害物の認識処理は、上記実施形態のおけるサイドカメラ9L,9Rによる障害物の認識処理(
図18のステップS46)と略同様であり、ここでの説明を省略する。
【0215】
ステップT18において、ステップT17の認識処理に基づいて、荷受台202(荷受台202の閉じ予定領域)に近づく障害物が無い場合には、ステップT19へ進む。一方、荷受台202(荷受台202の閉じ予定領域)に近づく障害物が有る場合には、ステップT20へ進む。
【0216】
ステップT19において、チルトシリンダ205が最伸長位置に向けて所定距離移動され、荷受台202が起立状態に向けて回動される。この場合、リフトシリンダ206は伸長状態を維持する。ステップT21において、センサ208の検知の有無により、制御部230は、チルトシリンダ205が最伸長位置まで移動したか否か、つまり、荷受台202が起立位置まで移動したか否かを判定する。そして、チルトシリンダ205が最伸長位置まで移動した場合には、ステップT22へ進む。一方、チルトシリンダ205が最伸長位置まで移動していない場合には、肯定判定が得られるまで上記ステップT15~T21の処理を繰り返し行う。
【0217】
ステップT20において、チルトシリンダ205の駆動が停止されて、荷受台202の移動が停止されるとともに、ブザー239により警報音が発せられ、作業者への報知が行われる。この場合、荷受台202の移動が途中で停止されるが、作業者が警報の原因となっている障害物を取り除く等すれば、ステップT15~T21の処理が自動で再開され、荷受台202の移動が再開されるようになっている。なお、自動で再開される制御に代えて、作業者が障害物を取り除く等した後、ボタン等を操作することによって、ステップT15~T21の処理が再開されるようにしてもよい。
【0218】
ステップT22において、ブザー239によって、チルトシリンダ205が最伸長位置まで移動完了したことを作業者に報知し、ステップT23へ進む。ステップT23において、パワーユニット240がオフ操作されたか否かが判定され、オフ操作が確認された後、ステップT24へ進む。ステップT24において、センサヘッド220の走査を終了するとともに、サイドカメラ221L,221Rをオフにして、フローを終了する。
【0219】
また、架装物の一部としての荷受台昇降装置に本発明を適用する場合、次のような形態としてもよい。この変形例について、
図33~
図35、
図37、
図38を参照して説明する。
図37は、荷受台202のキャスタストッパ270を示す要部斜視図及びそのX1-X1線断面図である。
図38は、荷受台昇降装置200の動作の一例を示すフローチャートである。
【0220】
本変形例では、荷箱209の後面の上部に設けられた
図33のセンサヘッド220(物体像取得部)が、荷受台昇降装置200の形態変化する一部分の物体像及び当該物体像までの距離のデータを取得し、センサヘッド220の取得結果に基づいて、制御部230が、荷受台昇降装置200の駆動アクチュエータ(チルトシリンダ205、リフトシリンダ206)を制御するようにしている。具体的には、本変形例において、荷受台昇降装置200の形態変化する一部分とは、荷物又は荷物を運び出す台車の落下防止用のキャスタストッパ270を指している。このキャスタストッパ270は、
図37に示すように、上述した変形例の荷受台昇降装置200の荷受台202(
図33~
図35)の先端部に設けられている。キャスタストッパ270は、荷受台202の荷物載置面を形成する荷受台本体部202aに設けられており、起立状態と倒伏状態との間で移動可能になっている。
【0221】
詳細には、荷受台本体部202aは、車両幅方向を長手方向として中空部を有するブロック状部材が連結されてなり、キャスタストッパ270が、上方が開口している中空部202bを開閉するように荷受台本体部202aに対して回動自在に取り付けられている。キャスタストッパ270は、ピン270bに軸支されており、その先端部270aが屈曲された形状になっている。
【0222】
キャスタストッパ270の倒伏状態の保持(固縛)又は解除は、荷受台本体部202aの側部に設けられたレバー271を介して行われる。レバー271は、
図37(a)に示すように、止め具272の一方の切欠き部272aに配されたときにはキャスタストッパ270の固縛を解除し、他方の切欠き部272bに配されたときには固縛するように構成されている。固縛手段の図示は省略するが、レバー271は、サイドモール202cに挿通されるロッドの一端に連結され、当該ロッドの他端に連結されたフックと、キャスタストッパ270の車両前後方側端部に設けられた被係合部とを係合又は非係合の状態にすることでキャスタストッパ270の固縛又は固縛解除を行うことができるように構成されている。
【0223】
本変形例では、リフトシリンダ206の伸縮動作により荷受台202の昇降動作を行う際に、制御部230が荷受台202のキャスタストッパ270の認識処理を行って、キャスタストッパ270の状態(起立状態又は倒伏状態)を確認するようにしている。そして、キャスタストッパ270の起立状態の場合には、荷受台202上に荷物や台車等があると推定されることから、荷受台202上の荷物の有無を確認して荷受台202を昇降するようにしている。一方、キャスタストッパ270の倒伏状態の場合には、荷受台202上に荷物や台車等がないと推定されることから、荷受台202の昇降動作を停止するようにしている。この点について、
図38のフローチャートを参照して説明する。なお、リフトシリンダ206の伸長動作によって荷受台202の上昇動作を行う場合について説明するが、リフトシリンダ206の収縮動作によって荷受台202の下降動作を行う場合についても同様である。
【0224】
まず、ステップT31において、ACC電源がオンになるまで、言い換えれば、ACC電源のオンに対応する電力が制御部230へ入力されるまで待機状態となっている。そして、電力の入力が有った場合、ステップT32へ進む。ステップT32において、制御部230は初期化処理を行い、ステップT33へ進む。
【0225】
ステップT33において、制御部230は、パワーユニット240のオン操作信号が制御部230へ入力されたか否かを判定する。このオン操作信号の入力が有った場合、ステップT34へ進み、このオン操作信号の入力が無かった場合はこれらの信号が入力されるまで待機する。
【0226】
ステップT34において、センサヘッド220による走査が行われ、キャスタストッパ270の起立状態の認識処理(起立状態又は倒伏状態の認識)が行われる。この認識処理は、上述した変形例のステップT15(
図36)と略同様であり、ここでの説明を省略する。
【0227】
ステップT35において、ステップT34の認識処理に基づいてキャスタストッパ270が起立状態であるか否かが判定され、キャスタストッパ270が起立状態である場合には、荷受台202上に荷物や台車等があると推定され、ステップT36へ進む。一方、キャスタストッパ270が倒伏状態である場合には、荷受台202上に荷物や台車等がないと推定され、ステップT39へ進む。
【0228】
ステップT36において、センサヘッド220による走査が行われ、荷受台202上の物体の有無が確認される。この認識処理は、上述した変形例のステップT15(
図36)と略同様であり、ここでの説明を省略する。ステップT37において、ステップT36の認識処理に基づいて荷受台202上に荷物がないか否かが制御部230により判定される。つまり、荷受台202上に物体が確認されなかった場合、荷受台202上に荷物が載置されていないと推定され、ステップT39へ進む。一方、荷受台202上に物体が確認された場合、荷受台202上に荷物が載置されていると推定され、ステップT38へ進む。
【0229】
ステップT38において、制御部230によりリフトシリンダ206が最伸長位置に向けて所定距離伸長され、荷受台202が上昇される。ステップT40において、センサ208の検知の有無により、制御部230は、リフトシリンダ206が最伸長位置まで移動したか否か、つまり、荷受台202が上昇位置(
図34の実線で示す位置)まで移動したか否かを判定する。そして、リフトシリンダ206が最伸長位置まで移動した場合には、ステップT41へ進む。一方、リフトシリンダ206が最伸長位置まで移動していない場合には、肯定判定が得られるまで上記ステップT34~T40の処理を繰り返し行う。
【0230】
ステップT39において、リフトシリンダ206の駆動が停止されて、荷受台202の移動が停止されるとともに、ブザー239により警報音が発せられ、作業者への報知が行われる。この場合、荷受台202の移動が途中で停止されるが、作業者が警報の原因を解消すれば、ステップT34~T40の処理が自動で再開され、荷受台202の移動が再開されるようになっている。なお、自動で再開される制御に代えて、ボタン等を操作することによって、ステップT34~T40の処理が再開されるようにしてもよい。
【0231】
ステップT41において、ブザー239によって、リフトシリンダ206が最伸長位置まで移動完了したことを作業者に報知し、ステップT42へ進む。ステップT42において、パワーユニット240がオフ操作されたか否かが制御部230により判定され、オフ操作が確認された後、ステップT43へ進む。ステップT43において、制御部230は、センサヘッド220の走査を終了して、フローを終了する。
【0232】
また、例えば特開2018-088898号公報に開示されるような飼料運搬車にも、本発明を適用可能である。飼料運搬車に本発明を適用する場合、次のような形態としてもよい。この変形例について、
図39~
図43を参照して説明する。
図39は、飼料運搬車300を示す側面図である。
図40は、飼料運搬車300を示す背面図である。
図41は、飼料運搬車300によってサイロ350に飼料を投入する様子を示す背面図である。
図42は、ディスチャージ部311の首振り動作を示す平面図である。
図43は、飼料運搬車300の動作の一例を示すフローチャートである。
【0233】
図39、
図40に示すように、飼料運搬車300は、走行可能な車台301と運転室302とを有し、この車台301には、サブフレーム303を介し、飼料収容タンク304が搭載されている。飼料収容タンク304は、前後方向に長く、例えば、内部が前後で4つの内部空間に分割されており、それぞれの内部空間に合わせて開閉可能な投入口カバー305が設けられている。飼料収容タンク304の内部空間には、例えば木の実、麦、牧草、トウモロコシ、マイロなどを混合した飼料が収容されている。
【0234】
飼料収容タンク304の底部には、ボトムスクリュー306が前後に延びる状態で回転可能に設けられており、飼料収容タンク304の飼料を選択して後方へ搬送することができるようになっている。ボトムスクリュー306は、例えば油圧モータ306a等の駆動アクチュエータにより所定の速度で回転させられ、飼料収容タンク304に貯留された飼料を撹拌しながら後方に搬送するようになっている。すなわち、ボトムスクリュー306は、螺旋状に延びる螺旋羽根306bを有しており、一方向に回せば飼料が後方に搬送されるようになっている。
【0235】
飼料収容タンク304の後方には、垂直搬送部309が略垂直に延びるように設けられており、この垂直搬送部309の内部には、ボトムスクリュー306により搬送されてきた飼料を垂直に上昇させるバーティカルスクリュー310が内蔵されている。バーティカルスクリュー310は、例えば油圧モータ310a等の駆動アクチュエータにより所定の速度で回転させられる。
【0236】
また、ボトムスクリュー306の後端部は、飼料収容タンク304の後面から後方に突出しており、ボトムスクリュー306の後端部が円筒部313で囲まれている。この円筒部313の垂直搬送部309と連結する部分には、円筒部313から水平方向に膨出した合流部314が設けられている。この合流部314において、ボトムスクリュー306が搬送してきた飼料がバーティカルスクリュー310へ送り出されるようになっている。また、円筒部313には、飼料に添加する添加物を添加するスクリューフィーダ部319の先端が接続されている。スクリューフィーダ部319の基端側には、添加物を投入する添加物ホッパ部320が設けられている。
【0237】
垂直搬送部309の上部には、内部にディスチャージスクリュー312を内蔵するディスチャージ部311が上下方向に回動可能に接続されている。例えば、ディスチャージスクリュー312は、例えば油圧モータ312a等の駆動アクチュエータにより所定の速度で回転させられる。また、ディスチャージ部311は、例えば油圧シリンダで構成される起伏シリンダ311aによって起伏されるようになっている。この起伏動作によって、ディスチャージ部311の先端部に設けられた排出口311bの高さを調整することが可能になっている。ディスチャージスクリュー312により、バーティカルスクリュー310により搬送されてきた飼料がディスチャージ部311の先端にまで搬送される。そして、ディスチャージ部311の先端部の排出口311bから、例えば
図41に示すように、酪農家が所有するサイロ350などの投入口351へ飼料が投入(供給)されるようになっている。
【0238】
また、垂直搬送部309は、例えば電動モータで構成される旋回モータ309aを駆動することで、垂直搬送部309が車台301に対して旋回可能になっている。旋回モータ309aを駆動して垂直搬送部309を車台301に対して旋回させることによって、例えば
図42に示すように、ディスチャージ部311の左右方向への首振り動作が可能になっている。この首振り動作によって、ディスチャージ部311の排出口311bの水平方向の位置を調整することが可能になっている。
【0239】
また、
図39に示すように、ディスチャージ部311の排出口311bの近傍には、センサヘッド330が設けられている。センサヘッド330は、上記実施形態のセンサヘッド8と略同様の構成になっている。センサヘッド330は、ディスチャージ部311の排出口311bの下方の所定の領域に向けて、計測光としてのレーザ光を照射するとともに、物体によって反射されたレーザ光(反射光)を受光するように構成されている(
図5等参照)。センサヘッド330から出射されたレーザパルスによって、ディスチャージ部311の排出口311bの下方のエリアが走査されることによって、物体における計測点Pにレーザパルスを照射したときのレーザパルスの垂直角α及び水平角βを計測点Pの位置情報である3次元極座標データ(距離D,垂直角α,水平角β)が取得される。
【0240】
センサヘッド330は、制御部340に接続されており、センサヘッド330によって取得された計測点Pの位置情報である3次元極座標データ(距離D,垂直角α,水平角β)が制御部340に入力される。制御部340は、上記実施形態のレーザ制御部8aと略同様の機能も有している。また、制御部340は、上述したボトムスクリュー306の油圧モータ306a、バーティカルスクリュー310の油圧モータ310a、及びディスチャージスクリュー312の油圧モータ312aに接続されている。また、制御部340は、旋回モータ309a及び起伏シリンダ311aに接続されている。さらに、制御部340は、ブザー341に接続されている。
【0241】
本変形例では、起伏シリンダ311aの伸縮方向及び伸縮量と、旋回モータ309aの回転方向及び回転量とを制御することによって、例えば
図42に示すように、ディスチャージ部311の排出口311bをサイロ350の投入口351の上方に確実に位置させるようにしている。この点について、
図43のフローチャートを参照して説明する。
【0242】
まず、ステップU11において、ACC電源がオンになるまで、言い換えれば、ACC電源のオンに対応する電力が制御部340へ入力されるまで待機状態になっている。そして、電力の入力が有った場合、ステップU12へ進む。
【0243】
次に、ステップU12において、制御部340は、センサヘッド330による走査を行ってサイロ350とその投入口351の認識処理を行う。この認識処理の前提として、排出口311bがおおよそ投入口351の上方に位置するように(センサヘッド330が投入口351の上方に位置するように)、作業者が手動でディスチャージ部311を起伏および旋回させる。その後に、上記実施形態のコンテナ2の前壁2b及び丸棒22の認識処理(
図10のステップS21)と略同様にして、制御部340が投入口351の認識処理を行う。そして、ステップU13において、ステップU12で抽出した投入口351のデータに基づいて、投入口351の位置を示すXYZ直交座標データを算出する。
【0244】
次に、ステップU14において、制御部340は、ステップU13で算出された位置のサイロ350の投入口351の上方に、ディスチャージ部311の排出口311bを移動させるのに必要な起伏シリンダ311aの伸縮方向及び伸縮量と、旋回モータ309aの回転方向及び回転量とを算出する。
【0245】
ステップU15において、制御部340によって、ステップU14で算出された伸縮量及び回転量よりも小さな所定量だけ起伏シリンダ311a及び旋回モータ309aが駆動され、ディスチャージ部311が移動されて、排出口311bがサイロ350の投入口351に対して飼料を投入可能な投入開始位置に向けて移動される。投入開始位置は、サイロ350の投入口351の上方に設定される。
【0246】
次に、ステップU16において、制御部340は、ディスチャージ部311とサイロ350との間の障害物の認識処理を行う。この認識処理は、上記実施形態の車両とコンテナ2との間の障害物の認識処理(
図10のステップS25)と略同様であり、ここでの説明を省略する。そして、障害物がある(ディスチャージ部311とサイロ350との間に一定面積以上の障害物がある)と判定された場合には、ステップU17へ進む。一方、障害物がないと判定された場合には、ステップU18へ進む。ステップU17において、制御部340は、起伏シリンダ311a及び旋回モータ309aが駆動を停止してディスチャージ部311の移動を停止させるとともに、ブザー341から警報を発生させて作業者に注意を促す。そして、ステップU18において、ブザー341から警報が発生されている場合、その解除を行って、ステップU19へ進む。
【0247】
ステップU19において、制御部340によって、ディスチャージ部311の排出口311bがサイロ350の投入口351に飼料を投入可能な投入開始位置まで移動したか否かが判定される。この場合、図示しないセンサの出力値に基づいて、ステップU14で算出された伸縮量及び回転量だけ起伏シリンダ311a及び旋回モータ309aが駆動されたか否かが判定される。そして、排出口311bが投入開始位置まで移動した場合には、ステップU20へ進む。一方、排出口311bが投入開始位置まで移動していない場合には、肯定判定が得られるまで(排出口311bが投入開始位置まで移動するまで)、上記ステップU15~U19の処理を繰り返し行う。
【0248】
なお、ステップU17において、ディスチャージ部311の移動が途中で停止されるが、作業者が警報の原因となっている障害物を取り除く等すれば、ステップU15~U19の処理が自動で再開されるようになっている。一方、自動で再開される制御に代えて、作業者が障害物を取り除く等した後、ボタン等を操作することによって、ステップU15~U19の処理が再開されるようにしてもよい。
【0249】
ステップU20において、油圧モータ306a,310a,312aが駆動されて、ボトムスクリュー306、バーティカルスクリュー310、及びディスチャージスクリュー312が駆動される。これにより、飼料収容タンク304の飼料が、ボトムスクリュー306、バーティカルスクリュー310、及びディスチャージスクリュー312によって搬送され、ディスチャージ部311の排出口311bからサイロ350の投入口351に向けて飼料が投入される。
【0250】
次に、ステップU21において、サイロ350内に投入された飼料の表面352をセンサヘッド330により検出し、制御部340によって、サイロ350内の飼料に偏りがあるか否かが判定される。この場合、サイロ350内に投入された飼料の表面352の3次元形状が認識されるため、認識された飼料の表面352の3次元形状(特に高さ方向の距離のばらつき)に基づいて、サイロ350内の飼料の表面352が略水平であるか否かが判定される。そして、サイロ350内の飼料の表面352が略水平である場合には、サイロ350内の飼料に偏りがないとして、ステップU23へ進む。一方、サイロ350内の飼料の表面352が略水平ではなく傾斜がある場合には、サイロ350内の飼料に偏りがあるとして、ステップU22へ進む。
【0251】
ステップU22において、制御部340によって旋回モータ309aが駆動され、ディスチャージ部311の左右方向への首振り動作が行われる。つまり、旋回モータ309aを駆動して垂直搬送部309を車台301に対して旋回させることによって、ディスチャージ部311を所定量だけ旋回させる。このディスチャージ部311の首振り動作によって、サイロ350内の飼料の表面352の傾斜が緩やかになりサイロ350内の飼料の表面352が略水平に近づいていく。そして、ステップU21で肯定判定が得られるまで、ディスチャージ部311の首振り動作を行って、サイロ350内の飼料の表面352を略水平に近づけていく。
【0252】
次に、ステップU23において、サイロ350内に投入された飼料の表面352をセンサヘッド330により検出し、制御部340によって、サイロ350内に投入された飼料の充填率が所定値以上であるか否かが判定される。例えば、サイロ350上端までの距離と、サイロ350内の飼料の表面352までの距離との差が閾値未満になると、充填率が所定値以上と判定される。そして、サイロ350内の飼料の充填率が所定値以上である場合には、ステップU24へ進む。一方、サイロ350内の飼料の充填率が所定値未満である場合には、肯定判定が得られるまで、上記ステップU21~U23の処理を繰り返し行う。
【0253】
ステップU24において、制御部340によって、油圧モータ306a,310a,312aが停止されて、ボトムスクリュー306、バーティカルスクリュー310、及びディスチャージスクリュー312が停止され、フローを終了する。
【産業上の利用可能性】
【0254】
本発明は、架装物の駆動アクチュエータの動作により荷役対象物を車台に積み降ろし可能な作業車両や、架装物の駆動アクチュエータの動作により運搬対象物を車台に積載可能な作業車両等に利用可能である。
【符号の説明】
【0255】
1 コンテナ荷役車両(作業車両)
2 コンテナ(荷役対象物)
3 荷役装置(架装物)
8 センサヘッド(物体像取得部)
35,36 リフトシリンダ(駆動アクチュエータ)
39 スライドシリンダ(駆動アクチュエータ)
70 制御部