(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】舌評価方法、舌評価システム及び舌評価プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20240403BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240403BHJP
G06V 10/70 20220101ALI20240403BHJP
【FI】
A61B10/00 E
G06T7/00 660A
G06T7/00 350B
G06T7/00 614
G06V10/70
(21)【出願番号】P 2023126585
(22)【出願日】2023-08-02
【審査請求日】2023-08-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517255566
【氏名又は名称】株式会社エクサウィザーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110004093
【氏名又は名称】弁理士法人アクセル特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和也
(72)【発明者】
【氏名】佐野 碧
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-049604(JP,A)
【文献】国際公開第2015/068495(WO,A1)
【文献】特開2005-137756(JP,A)
【文献】特開2015-226599(JP,A)
【文献】再公表特許第2019/225230(JP,A1)
【文献】再公表特許第2015/060070(JP,A1)
【文献】中川 量晴,Oral Health Assessment Tool(OHAT)日本語版説明用資料,2015年05月23日,1-3頁,http://dentistryfujita-hu.jp/content/files/OHAT_%E8%AA%AC%E6%98%8E%E7%94%A8_20150520.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
G06T 7/00
G06V 10/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舌評価システムが実行する舌評価方法であって、
舌を出した顔を撮影した顔画像を取得する取得ステップと、
舌検出モデルを利用して、前記顔画像から前記舌を検出する舌検出ステップと、
前記舌の検出結果に基づいて、前記顔画像から前記舌を含む部分画像をトリミングするトリミングステップと、
舌のむくみ度合いをアノテーションされた顔画像又は部分画像を教師データとして学習したニューラルネットワークである舌評価モデルを利用して、前記部分画像から前記舌のむくみ度合いを評価する評価ステップと、
を含む舌評価方法。
【請求項2】
前記評価ステップは、前記舌評価モデルを利用して、前記部分画像から前記舌の乾燥度合いを評価する
請求項1に記載の舌評価方法。
【請求項3】
前記評価ステップは、前記舌評価モデルを利用して、前記部分画像から前記舌の舌苔の色を評価する
請求項1に記載の舌評価方法。
【請求項4】
前記舌評価モデルは、前記部分画像を入力されると前記舌の状態の評価結果を出力するように学習された機械学習モデルである
請求項1に記載の舌評価方法。
【請求項5】
舌苔検出モデルを利用して、前記部分画像から前記舌の舌苔を検出する舌苔検出ステップを更に含む
請求項1に記載の舌評価方法。
【請求項6】
前記評価ステップは、前記舌の前記むくみ度合い、乾燥度合い、舌苔の色及び舌苔の検出結果の少なくとも1つに基づいて、前記舌の状態を評価する
請求項1に記載の舌評価方法。
【請求項7】
舌を出した顔を撮影した顔画像を取得する取得部と、
舌検出モデルを利用して、前記顔画像から前記舌を検出する舌検出部と、
前記舌の検出結果に基づいて、前記顔画像から前記舌を含む部分画像をトリミングするトリミング部と、
舌のむくみ度合いをアノテーションされた顔画像又は部分画像を教師データとして学習したニューラルネットワークである舌評価モデルを利用して、前記部分画像から前記舌のむくみ度合いを評価する評価部と、
を備える舌評価システム。
【請求項8】
舌評価システムが実行する舌評価方法であって、
舌を出した顔を撮影した顔画像を取得する取得ステップと、
舌検出モデルを利用して、前記顔画像から前記舌を検出する舌検出ステップと、
前記舌の検出結果に基づいて、前記顔画像から前記舌を含む部分画像をトリミングするトリミングステップと、
舌のむくみ度合いをアノテーションされた顔画像又は部分画像を教師データとして学習したニューラルネットワークである舌評価モデルを利用して、前記部分画像から前記舌のむくみ度合いを評価する評価ステップと、
を含む舌評価方法をコンピュータに実行させるための舌評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舌評価方法、舌評価システム及び舌評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、舌に付着した舌苔の量から、舌の状態の推定することが行われている。例えば、引用文献1には、口腔が写された口腔画像から舌を含む範囲の画像である舌範囲画像を識別する識別手段と、前記舌範囲画像を分割して得られる複数の区画のうち、前記舌を表す舌区画毎に舌苔の付着度を調べるための舌苔特徴量を算出し、算出した前記舌苔特徴量に基づいて前記舌区画毎に前記舌苔の付着度の推定値を算出する舌苔推定手段と、を備える、舌状態推定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、舌苔の量のみが評価されており、舌の状態の評価精度の向上の観点で課題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、舌の状態を精度良く評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る舌評価方法は、舌評価システムが実行する舌評価方法であって、舌を出した顔を撮影した顔画像を取得する取得ステップと、舌検出モデルを利用して、前記顔画像から前記舌を検出する舌検出ステップと、前記舌の検出結果に基づいて、前記顔画像から前記舌を含む部分画像をトリミングするトリミングステップと、舌評価モデルを利用して、前記部分画像から前記舌のむくみ度合いを評価する評価ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態によれば、舌の状態を精度良く評価することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】舌評価システム1000の構成の一例を示す図である。
【
図2】舌評価装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】ユーザ端末2のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】舌評価装置1の機能構成の一例を示す図である。
【
図9】ユーザ端末2の機能構成の一例を示す図である。
【
図10】舌評価システム1000が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0010】
<システム構成>
まず、本実施形態に係る舌評価システム1000の概要について説明する。舌評価システム1000は、対象者が舌を出した顔を撮影した顔画像に基づいて、対象者の舌の状態を評価する情報処理システムである。対象者は、舌の状態を評価される者である。対象者は、例えば、高齢者であるが、これに限られない。
【0011】
図1は、舌評価システム1000の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、舌評価システム1000は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続された、舌評価装置1と、ユーザ端末2と、を備える。ネットワークNは、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、インターネット、公衆回線網、モバイルデータ通信網、又はこれらの組み合わせである。
図1の例では、舌評価システム1000は、舌評価装置1及びユーザ端末2をそれぞれ1つずつ備えるが、それぞれ複数備えてもよい。
【0012】
舌評価装置1は、顔画像に基づいて、対象者の舌の状態を評価する情報処理装置である。舌評価装置1は、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、サーバ装置、又はマイクロコンピューであるが、これに限られない。
【0013】
ユーザ端末2は、舌評価システム1000のユーザが利用する情報処理装置である。ユーザ端末2は、舌評価装置1に顔画像を送信し、舌評価装置1が評価した対象者の舌の状態の評価結果を表示する。ユーザ端末2は、例えば、PC、スマートフォン又はタブレット端末であるが、これに限られない。
【0014】
以下では、ユーザは、顔画像を撮影する撮影者であり、ユーザ端末2により顔画像を撮影する場合を例に説明する。しかしながら、ユーザは、撮影者でなくてもよい。この場合、ユーザ端末2は、予め撮影された顔画像を、ネットワークNを介して外部装置から取得すればよい。
【0015】
<舌評価装置1のハードウェア構成>
次に、舌評価装置1のハードウェア構成について説明する。
図2は、舌評価装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、舌評価装置1は、バスB1を介して相互に接続された、プロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信I/F104と、入力装置105と、出力装置106と、ドライブ装置107と、を備える。
【0016】
プロセッサ101は、ストレージ103に記憶されたOS(Operating System)及び舌評価プログラムを含む各種のプログラムをメモリ102に展開して実行することにより、舌評価装置1の各構成を制御し、舌評価装置1の機能を実現する。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はDSP(Digital Signal Processor)であるが、これに限られない。
【0017】
メモリ102は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はこれらの組み合わせである。ROMは、例えば、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、又はこれらの組み合わせである。RAMは、例えば、DRAM(Dynamic RAM)又はSRAM(Static RAM)であるが、これに限られない。
【0018】
ストレージ103は、OS及び舌評価プログラムを含む各種のプログラム及びデータを記憶する。ストレージ103は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はSCM(Storage Class Memories)であるが、これに限られない。
【0019】
通信I/F104は、舌評価装置1を、ネットワークNを介して外部装置に接続し、通信を制御するためのインタフェースである。通信I/F104は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)又はEthernet(登録商標)であるが、これに限られない。
【0020】
入力装置105は、舌評価装置1に情報を入力するための装置である。入力装置105は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、マイク、スキャナ、撮影装置(カメラ)、各種センサ又は操作ボタンであるが、これに限られない。
【0021】
出力装置106は、舌評価装置1から情報を出力するための装置である。出力装置106は、例えば、表示装置(ディスプレイ)、プロジェクタ、プリンタ、スピーカ又はバイブレータであるが、これに限られない。
【0022】
ドライブ装置107は、記録メディア108のデータを読み書きする装置である。ドライブ装置107は、例えば、磁気ディスクドライブ、光学ディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ又はSDカードリーダであるが、これに限られない。記録メディア108は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、FD(Floppy Disk)、MO(Magneto-Optical disk)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、USB(登録商標)メモリ又はSDカードであるが、これに限られない。
【0023】
なお、本実施形態において、舌評価プログラムは、舌評価装置1の製造段階でメモリ102又はストレージ103に書き込まれてもよいし、ネットワークNを介して舌評価装置1に提供されてもよいし、記録メディア108などの非一時的でコンピュータ読み取り可能な記録媒体を介して舌評価装置1に提供されてもよい。
【0024】
<ユーザ端末2のハードウェア構成>
次に、ユーザ端末2のハードウェア構成について説明する。
図3は、ユーザ端末2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示すように、ユーザ端末2は、バスB2を介して相互に接続された、プロセッサ201と、メモリ202と、ストレージ203と、通信I/F204と、入力装置205と、出力装置206と、を備える。
【0025】
プロセッサ201は、ストレージ203に記憶されたOS及び舌評価プログラムを含む各種のプログラムをメモリ202に展開して実行することにより、ユーザ端末2の各構成を制御し、ユーザ端末2の機能を実現する。プロセッサ201は、例えば、CPU、MPU、GPU、ASIC又はDSPであるが、これに限られない。
【0026】
メモリ202は、例えば、ROM、RAM、又はこれらの組み合わせである。ROMは、例えば、PROM、EPROM、EEPROM、又はこれらの組み合わせである。RAMは、例えば、DRAM又はSRAMであるが、これに限られない。
【0027】
ストレージ203は、OS及び舌評価プログラムを含む各種のプログラム及びデータを記憶する。ストレージ203は、例えば、フラッシュメモリ、HDD、SSD又はSCMであるが、これに限られない。
【0028】
通信I/F204は、ユーザ端末2を、ネットワークNを介して外部装置に接続し、通信を制御するためのインタフェースである。通信I/F204は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)又はEthernet(登録商標)であるが、これに限られない。
【0029】
入力装置205は、ユーザ端末2に情報を入力するための装置である。入力装置205は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、マイク、スキャナ、撮影装置(カメラ)、各種センサ又は操作ボタンであるが、これに限られない。ユーザ端末2は、入力装置205として、撮影装置205Cを備える。
【0030】
出力装置206は、ユーザ端末2から情報を出力するための装置である。出力装置206は、例えば、表示装置(ディスプレイ)、プロジェクタ、プリンタ、スピーカ又はバイブレータであるが、これに限られない。ユーザ端末2は、出力装置206として、表示装置206Dを備える。
【0031】
ドライブ装置207は、記録メディア208のデータを読み書きする装置である。ドライブ装置207は、例えば、磁気ディスクドライブ、光学ディスクドライブ、光磁気ディスクドライブ又はSDカードリーダであるが、これに限られない。記録メディア208は、例えば、CD、DVD、FD、MO、BD、USB(登録商標)メモリ又はSDカードであるが、これに限られない。
【0032】
なお、本実施形態において、舌評価プログラムは、ユーザ端末2の製造段階でメモリ202又はストレージ203に書き込まれてもよいし、ネットワークNを介してユーザ端末2に提供されてもよいし、記録メディア208などの非一時的でコンピュータ読み取り可能な記録媒体を介してユーザ端末2に提供されてもよい。
【0033】
<舌評価装置1の機能構成>
次に、舌評価装置1の機能構成について説明する。
図4は、舌評価装置1の機能構成の一例を示す図である。
図4に示すように、舌評価装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。
【0034】
通信部11は、通信I/F104により実現される。通信部11は、ネットワークNを介して、ユーザ端末2との間で情報の送受信を行う。通信部11は、ユーザ端末2から顔画像を受信し、ユーザ端末2に対象者の舌の状態の評価結果を送信する。
【0035】
記憶部12は、メモリ102及びストレージ103により実現される。記憶部12は、顔画像121と、舌検出モデル122と、部分画像123と、舌評価モデル124と、舌苔検出モデル125と、評価結果126と、を記憶する。
【0036】
顔画像121は、対象者が舌を出した顔を撮影した画像である。顔画像121は、対象者の顔及び舌の画像を含む。顔画像121には、対象者の口腔や歯が写っている場合もある。
【0037】
図5は、顔画像121の一例を示す図である。
図5の例では、ドット部分が舌苔であり、対象者の舌の奥の方に舌苔が付着しており、特に舌の中央部に多くの舌苔が付着している。
【0038】
舌検出モデル122は、顔画像121から舌を検出(セグメンテーション)する機械学習モデルである。舌検出モデル122は、顔画像121を入力されると、顔画像121に含まれる舌の位置(座標)を出力する。舌検出モデル122は、例えば、教師データとして舌をアノテーションされた顔画像を学習したニューラルネットワークであるが、これに限られない。舌検出モデル122として、顔画像121から舌を検出可能な任意の機械学習モデルが利用できる。
【0039】
部分画像123は、顔画像121から舌を含む一部をトリミングした(切り出した)画像である。
【0040】
図6は、部分画像123の一例を示す図である。
図6の部分画像123は、
図5の顔画像121からトリミングしたものであり、対象者の舌を含む矩形の画像となっている。なお、部分画像123の形状は任意に設計可能である。
【0041】
舌評価モデル124は、部分画像123から舌のむくみ度合い、乾燥度合い及び舌苔の色の少なくとも1つを評価する機械学習モデルである。舌評価モデル124は、部分画像123を入力されると、舌のむくみ度合い、乾燥度合い及び舌苔の色の少なくとも1つを出力する。舌評価モデル124は、例えば、教師データとして舌のむくみ度合い、乾燥度合い及び舌苔の色の少なくとも1つをアノテーションされた顔画像又は部分画像を学習したニューラルネットワークであるが、これに限られない。舌評価モデル124として、部分画像124から舌のむくみ度合い、乾燥度合い及び舌苔の色の少なくとも1つを評価可能な任意の機械学習モデルが利用できる。なお、舌評価モデル124は、1つのモデルで舌のむくみ度合い、乾燥度合い及び舌苔の色の2つ以上を評価可能であってもよい。また、むくみ度合い、乾燥度合い及び舌苔の色をそれぞれ評価する3つの舌評価モデル124が用意されてもよい。
【0042】
舌苔検出モデル125は、部分画像123から舌苔を検出(セグメンテーション)する機械学習モデルである。舌苔検出モデル125は、部分画像123を入力されると、部分画像123に含まれる舌に付着した舌苔の位置(座標)及び量を出力する。舌苔の位置及び量は、部分画像123のピクセルごとに検出されてもよいし、舌の上に予め設定された領域(例えば、舌の上に設定されたA行B列の方眼のマス目)ごとに検出されてもよい。舌苔検出モデル125は、例えば、教師データとして舌苔の位置及び量をアノテーションされた顔画像又は部分画像を学習したニューラルネットワークであるが、これに限られない。舌苔検出モデル125として、部分画像123から舌苔を検出可能な任意の機械学習モデルが利用できる。
【0043】
評価結果126は、対象者の舌の状態の評価結果である。評価結果126は、対象者の舌のむくみ度合い、乾燥度合い、舌苔の色、舌苔の位置及び量、並びに総評の少なくとも1つを含む。
【0044】
制御部13は、プロセッサ101がメモリ102からプログラムを読み出して実行し、他のハードウェア構成と協働することにより実現される。制御部13は、舌評価装置1の動作全体を制御する。制御部13は、取得部131と、舌検出部132と、トリミング部133と、舌苔検出部134と、評価部135と、を備える。
【0045】
取得部131は、ユーザ端末2から顔画像121を取得し、記憶部12に保存する。
【0046】
舌検出部132は、舌検出モデル122を利用して、顔画像121から対象者の舌を検出する。具体的には、舌検出部132は、舌検出モデル122に顔画像121を入力し、舌検出モデル122が出力した検出結果を取得する。
【0047】
図7は、舌の検出結果の一例を示す図である。
図7は、
図5の顔画像121に対する舌の検出結果であり、舌の部分が斜線で示されている。
図7に示すように、舌検出部132により、顔画像121から舌がセグメンテーションされる。
【0048】
トリミング部133は、顔画像121から部分画像123をトリミングする。具体的には、トリミング部133は、舌検出部132による舌の検出結果に基づいて、顔画像121から舌を含む一部をトリミングし、部分画像123として記憶部12に保存する。トリミング部133は、例えば、舌から所定の余白をとるように部分画像123をトリミングしてもよいし、部分画像123が所定の形状となるように部分画像123をトリミングしてもよい。部分画像123のトリミング方法は、任意に設計できる。
【0049】
舌苔検出部134は、舌苔検出モデル125を利用して、部分画像123から対象者の舌に付着した舌苔を検出する。具体的には、舌苔検出モデル134は、舌苔検出モデル125に部分画像123を入力し、舌苔検出モデル125が出力した舌苔の位置及び量を検出結果として取得する。
【0050】
図8は、舌苔の検出結果の一例を示す図である。
図8は、
図6の部分画像123に対する舌苔の検出結果であり、舌の上に設定された8行8列の方眼のマス目ごとに、舌苔の量が3段階で示されている。無色のマス目は舌苔が無い、薄い縦線のマス目は舌苔が少ない、濃い縦線のマス目は舌苔が多いことを示している。
図8に示すように、
図7の部分画像123では、舌の奥の方で少ない舌苔が、中央部で多くの舌苔が検出される。
【0051】
評価部135は、舌評価モデル124を利用して、対象者の舌の状態を評価する。具体的には、評価部135は、舌評価モデル124に部分画像123を入力し、舌評価モデル124が出力した舌のむくみ度合い、乾燥度合い及び舌苔の色の少なくとも1つを評価結果として取得し、記憶部12に保存する。また、評価部135は、舌苔検出部134による検出結果を取得し、評価結果126として記憶部12に保存する。また、評価部135は、舌のむくみ度合い、乾燥度合い、舌苔の色、舌苔の位置及び量の少なくとも1つに基づいて、総評として舌の状態を評価し、評価結果126として記憶部12に保存する。
【0052】
なお、舌評価装置1の機能構成は、上記の例に限られない。例えば、舌評価装置1は、上記の機能構成の一部を備え、残りをユーザ端末2が備えてもよい。また、舌評価装置1は、上記以外の機能構成を備えてもよい。また、舌評価装置1の各機能構成は、上記の通り、ソフトウェアにより実現されてもよいし、ICチップ、SoC(System on Chip)、LSI(Large Scale Integration)、マイクロコンピュータ等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0053】
<ユーザ端末2の機能構成>
次に、ユーザ端末2の機能構成について説明する。
図9は、ユーザ端末2の機能構成の一例を示す図である。
図9に示すように、ユーザ端末2は、通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備える。
【0054】
通信部21は、通信I/F204により実現される。通信部21は、ネットワークNを介して、ユーザ端末2との間で情報の送受信を行う。通信部21は、舌評価装置1に顔画像221を送信し、舌評価装置1から評価結果222を受信する。
【0055】
記憶部22は、メモリ202及びストレージ203により実現される。記憶部22は、顔画像221と、評価結果222と、を記憶する。
【0056】
顔画像221は、対象者が舌を出した顔を撮影した画像である。顔画像221は、対象者の顔及び舌の画像を含む。顔画像221には、対象者の口腔や歯が写っている場合もある。以下では、ユーザ端末2により顔画像221を撮影する場合を例に説明する。しかしながら、ユーザ端末2は、予め撮影された顔画像221を、ネットワークNを介して外部装置から取得してもよい。
【0057】
評価結果222は、対象者の舌の状態の評価結果である。評価結果222は、対象者の舌のむくみ度合い、乾燥度合い、舌苔の色、舌苔の位置及び量、並びに総評の少なくとも1つを含む。
【0058】
制御部23は、プロセッサ201がメモリ202からプログラムを読み出して実行し、他のハードウェア構成と協働することにより実現される。制御部23は、ユーザ端末2の動作全体を制御する。制御部23は、撮影部231と、取得部232と、表示部233と、を備える。
【0059】
撮影部231は、ユーザの操作に応じて撮影装置205Cを制御し、対象者の顔画像221を撮影し、記憶部22に保存する。
【0060】
取得部232は、舌評価装置1から評価結果126を取得し、評価結果222として記憶部22に保存する。
【0061】
表示部233は、評価結果222を表示装置206Dに表示する。
【0062】
なお、ユーザ端末2の機能構成は、上記の例に限られない。例えば、ユーザ端末2は、上記以外の機能構成を備えてもよい。また、ユーザ端末2の各機能構成は、上記の通り、ソフトウェアにより実現されてもよいし、ICチップ、SoC、LSI、マイクロコンピュータ等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0063】
<舌評価システム1000が実行する処理>
次に、舌評価システム1000が実行する処理(舌評価方法)について説明する。
図10は、舌評価システム1000が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0064】
(ステップS101)
ユーザ端末2の撮影部231は、ユーザの操作に応じて撮影装置205Cを制御し、対象者の顔画像221を撮影し、記憶部22に保存する(ステップS101)。
【0065】
(ステップS102)
ユーザ端末2の通信部21は、記憶部22に保存された顔画像221を舌評価装置1に送信する(ステップS102)。
【0066】
(ステップS103)
舌評価装置1の取得部131は、通信部11が受信した顔画像221(
図5参照)を取得し、顔画像121として記憶部12に保存する(ステップS103)。
【0067】
(ステップS104)
舌検出部132は、舌検出モデル122を利用して、顔画像121から対象者の舌を検出する(
図7参照)(ステップS104)。これにより、顔画像121から対象者の舌がセグメンテーションされる。
【0068】
(ステップS105)
トリミング部133は、ステップS104で検出された舌の検出結果に基づいて、顔画像121から部分画像123(
図6参照)をトリミングし、記憶部12に保存する(ステップS105)。
【0069】
(ステップS106)
評価部135は、舌評価モデル124を利用して、部分画像123から対象者の舌のむくみ度合いを評価し、評価結果126として記憶部12に保存する(ステップS106)。具体的には、評価部135は、舌評価モデル124に部分画像123を入力し、舌評価モデル124が出力したむくみ度合いの評価結果を取得する。むくみ度合いは、例えば、得点又はランクで評価されるが、これに限られない。
【0070】
部分画像123は、顔画像121より評価対象(舌)以外の部分(ノイズ)が少ない。このため、部分画像123に基づいてむくみ度合いを評価することにより、顔画像121に基づいてむくみ度合いを評価する場合に比べて、舌のむくみ度合いを精度良く評価することができる。
【0071】
また、舌だけの画像に基づいてむくみ度合いを評価した場合、撮影環境(明るさなど)によってむくみ度合いの評価が大きく変化する。これに対して、部分画像123は、舌だけの画像とは異なり、舌の周辺(歯、口腔、唇など)の画像を含むため、部分画像123に基づいてむくみ度合いを評価した場合、舌とその周辺の関係を加味してむくみ度合いが評価される。したがって、部分画像123に基づいてむくみ度合いを評価することにより、舌だけの画像に基づいてむくみ度合いを評価する場合に比べて、撮影環境の影響を抑制し、舌のむくみ度合いを精度良く評価することができる。
【0072】
(ステップS107)
評価部135は、舌評価モデル124を利用して、部分画像123から対象者の舌の乾燥度合いを評価し、評価結果126として記憶部12に保存する(ステップS107)。具体的には、評価部135は、舌評価モデル124に部分画像123を入力し、舌評価モデル124が出力した乾燥度合いの評価結果を取得する。乾燥度合いは、例えば、得点又はランクで評価されるが、これに限られない。
【0073】
部分画像123は、顔画像121より評価対象(舌)以外の部分(ノイズ)が少ない。このため、部分画像123に基づいて乾燥度合いを評価することにより、顔画像121に基づいて乾燥度合いを評価する場合に比べて、舌の乾燥度合いを精度良く評価することができる。
【0074】
また、舌だけの画像に基づいて乾燥度合いを評価した場合、撮影環境(明るさなど)によって乾燥度合いの評価が大きく変化する。これに対して、部分画像123は、舌だけの画像とは異なり、舌の周辺(歯、口腔、唇など)の画像を含むため、部分画像123に基づいて乾燥度合いを評価した場合、舌とその周辺の関係を加味して乾燥度合いが評価される。したがって、部分画像123に基づいて乾燥度合いを評価することにより、舌だけの画像に基づいて乾燥度合いを評価する場合に比べて、撮影環境の影響を抑制し、舌の乾燥度合いを精度良く評価することができる。
【0075】
(ステップS108)
評価部135は、舌評価モデル124を利用して、部分画像123から対象者の舌の舌苔の色を評価し、評価結果126として記憶部12に保存する(ステップS108)。具体的には、評価部135は、舌評価モデル124に部分画像123を入力し、舌評価モデル124が出力した舌苔の色の評価結果を取得する。舌苔の色は、例えば、4色(赤、白、黄、黒)で評価されるが、これに限られない。
【0076】
部分画像123は、顔画像121より評価対象(舌)以外の部分(ノイズ)が少ない。このため、部分画像123に基づいて舌苔の色を評価することにより、顔画像121に基づいて舌苔の色を評価する場合に比べて、舌苔の色を精度良く評価することができる。
【0077】
また、舌だけの画像に基づいて舌苔の色を評価した場合、撮影環境(明るさなど)によって舌苔の色の評価が大きく変化する。これに対して、部分画像123は、舌だけの画像とは異なり、舌の周辺(歯、口腔、唇など)の画像を含むため、部分画像123に基づいて乾燥度合いを評価した場合、舌とその周辺の関係を加味して舌苔の色が評価される。したがって、部分画像123に基づいて舌苔の色を評価することにより、舌だけの画像に基づいて舌苔の色を評価する場合に比べて、撮影環境の影響を抑制し、舌苔の色を精度良く評価することができる。
【0078】
(ステップS109)
舌苔検出部134は、舌苔検出モデル125を利用して、部分画像123から舌苔を検出し(
図8参照)、評価結果126として記憶部12に保存する(ステップS109)。
【0079】
(ステップS110)
評価部135は、舌のむくみ度合い、乾燥度合い、舌苔の色及び舌苔の検出結果(位置及び量)に基づいて、舌の状態を評価(総評)し、評価結果126として記憶部12に保存する(ステップS110)。総評は、例えば、舌の状態を総合評価した点数又はランクであってもよいし、舌の状態を説明するコメントでもよい。
【0080】
評価部135は、例えば、記憶部12に予め記憶された、舌のむくみ度合い、乾燥度合い、舌苔の色及び舌苔の検出結果(位置及び量)と、総評と、の関係を示すテーブルを参照して舌の状態を評価することができる。また、評価部135は、LLM(Large Language Models)などの機械学習モデルに舌のむくみ度合い、乾燥度合い、舌苔の色及び舌苔の検出結果(位置及び量)を入力してコメントを生成してもよい。また、評価部135は、上記のテーブルと機械学習モデルを併用して総評を生成してもよい。
【0081】
(ステップS111)
評価装置1の通信部11は、記憶部12に保存された評価結果126をユーザ端末2に送信する(ステップS111)。通信部11は、評価結果126と共に部分画像123をユーザ端末2に送信してもよい。
【0082】
(ステップS112)
ユーザ端末2の取得部232は、通信部21が受信した評価結果126を取得し、評価結果222としてとして記憶部22に保存する(ステップS112)。
【0083】
(ステップS113)
表示部233は、評価結果222を表示装置206Dに表示する(ステップS113)。評価結果222は、例えば、評価結果画面SCに表示される。
【0084】
図11は、評価結果画面SCの一例を示す図である。
図11の評価結果画面SCには、顔画像221と、評価結果222と、が表示されている。評価結果222として、むくみ度合い(むくみ)、乾燥度合い(乾燥)、舌苔の量及び総評(総合)を示す得点と、舌苔の色と、部分画像123に重畳して表示された舌苔の検出結果と、コメント(総評)と、が表示されている。このように、ユーザ端末2に評価結果222を表示することにより、ユーザは、評価結果222を容易に把握することができる。
【0085】
<まとめ>
以上説明した通り、本実施形態によれば、舌評価システム1000が実行する舌評価方法であって、舌を出した顔を撮影した顔画像121を取得する取得ステップと、舌検出モデル122を利用して、顔画像121から舌を検出する舌検出ステップと、舌の検出結果に基づいて、顔画像121から舌を含む部分画像123をトリミングするトリミングステップと、舌評価モデル124を利用して、部分画像123から舌のむくみ度合いを評価する評価ステップと、を含む舌評価方法が実現される。これにより、従来評価されなかった舌のむくみ度合いが評価可能となるため、舌の状態をより精度良く評価することができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、舌評価モデル124を利用して、部分画像123から舌の乾燥度合いが評価される。これにより、従来評価されなかった舌の乾燥度合いが評価可能となるため、舌の状態をより精度良く評価することができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、舌評価モデル124を利用して、部分画像123から舌苔の色が評価される。これにより、従来評価されなかった舌苔の色が評価可能となるため、舌の状態をより精度良く評価することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、舌のむくみ度合い、乾燥度合い、舌苔の色及び舌苔の検出結果の少なくとも1つに基づいて、舌の状態が評価される。これにより、従来評価されなかった複数の舌の状態に基づいて舌の状態を評価可能となるため、舌の状態をより精度良く評価することができる。
【0089】
<付記>
本実施形態は、以下の開示を含む。
【0090】
(付記1)
舌評価システムが実行する舌評価方法であって、
舌を出した顔を撮影した顔画像を取得する取得ステップと、
舌検出モデルを利用して、前記顔画像から前記舌を検出する舌検出ステップと、
前記舌の検出結果に基づいて、前記顔画像から前記舌を含む部分画像をトリミングするトリミングステップと、
舌評価モデルを利用して、前記部分画像から前記舌のむくみ度合いを評価する評価ステップと、
を含む舌評価方法。
【0091】
(付記2)
前記評価ステップは、前記舌評価モデルを利用して、前記部分画像から前記舌の乾燥度合いを評価する
付記1に記載の舌評価方法。
【0092】
(付記3)
前記評価ステップは、前記舌評価モデルを利用して、前記部分画像から前記舌の舌苔の色を評価する
付記1に記載の舌評価方法。
【0093】
(付記4)
前記舌評価モデルは、前記部分画像を入力されると前記舌の評価結果を出力するように学習された機械学習モデルである
付記1に記載の舌評価方法。
【0094】
(付記5)
舌苔検出モデルを利用して、前記部分画像から前記舌の舌苔を検出する舌苔検出ステップを更に含む
付記1に記載の舌評価方法。
【0095】
(付記6)
前記評価ステップは、前記舌の前記むくみ度合い、乾燥度合い、舌苔の色及び舌苔の検出結果の少なくとも1つに基づいて、前記舌の状態を評価する
付記1に記載の舌評価方法。
【0096】
(付記7)
舌を出した顔を撮影した顔画像を取得する取得部と、
舌検出モデルを利用して、前記顔画像から前記舌を検出する舌検出部と、
前記舌の検出結果に基づいて、前記顔画像から前記舌を含む部分画像をトリミングするトリミング部と、
舌評価モデルを利用して、前記部分画像から前記舌のむくみ度合いを評価する評価部と、
を備える舌評価システム。
【0097】
(付記8)
舌評価システムが実行する舌評価方法であって、
舌を出した顔を撮影した顔画像を取得する取得ステップと、
舌検出モデルを利用して、前記顔画像から前記舌を検出する舌検出ステップと、
前記舌の検出結果に基づいて、前記顔画像から前記舌を含む部分画像をトリミングするトリミングステップと、
舌評価モデルを利用して、前記部分画像から前記舌のむくみ度合いを評価する評価ステップと、
を含む舌評価方法をコンピュータに実行させるための舌評価プログラム。
【0098】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1:舌評価装置
2:ユーザ端末
121:顔画像
122:舌検出モデル
123:部分画像
124:舌評価モデル
125:舌苔検出モデル
126:評価結果
131:取得部
132:舌検出部
133:トリミング部
134:舌苔検出部
135:評価部
【要約】
【課題】 舌の状態を精度良く評価する。
【解決手段】
一実施形態に係る舌評価方法は、舌評価システムが実行する舌評価方法であって、舌を出した顔を撮影した顔画像を取得する取得ステップと、舌検出モデルを利用して、前記顔画像から前記舌を検出する舌検出ステップと、前記舌の検出結果に基づいて、前記顔画像から前記舌を含む部分画像をトリミングするトリミングステップと、舌評価モデルを利用して、前記部分画像から前記舌のむくみ度合いを評価する評価ステップと、を含む。
【選択図】
図11