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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】横取り装置用検知器
(51)【国際特許分類】
   B61L 5/10 20060101AFI20240403BHJP
   E01B 31/00 20060101ALI20240403BHJP
   E01B 5/00 20060101ALI20240403BHJP
   B61L 23/06 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B61L5/10 Z
E01B31/00
E01B5/00
B61L23/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023179661
(22)【出願日】2023-10-18
【審査請求日】2023-11-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日:令和5年9月7日,8日、集会名、開催場所:JR東日本「技術開発成果発表会2023」、JR東日本研究開発センター(埼玉県さいたま市北区日進町2丁目479番地)、公開者:東日本旅客鉄道株式会社(東京都渋谷区代々木二丁目2番2号)、公開された発明の内容:東日本旅客鉄道株式会社が、JR東日本「技術開発成果発表会2023」にて、鈴木裕也、山口智大、辻貴仁、堀雄一郎、栗原巧、及び酒井秀一が発明した横取り装置用検知器の改良開発について公開した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000144348
【氏名又は名称】株式会社三工社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 裕也
(72)【発明者】
【氏名】山口 智大
(72)【発明者】
【氏名】辻 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】堀 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】栗原 巧
(72)【発明者】
【氏名】酒井 秀一
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-116272(JP,A)
【文献】特開2021-080638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 5/10
E01B 31/00
E01B 5/00
B61L 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本線と引込み線との間に設置される横取り装置に使用される検知器であって、
取付台と、
前記取付台上に設けられる筐体と、
鎖錠された横取り部材によって下方へ押し込まれる検知部材と、
前記検知部材が取り付けられる取付部材と、
前記筐体によって前後方向へ摺動可能に支持され、前端部が前記筐体の前面から突出する検知軸と、
前記検知部材の運動を前記検知軸の前後方向への直線運動に変換するリンク機構部と、を備え、
前記リンク機構部は、
前端部に前記取付部材が取り付けられ、後端部が前記筐体の前面に設けられた第1ヒンジ部に連結される第1リンク部材と、
前端部が第2ヒンジ部を介して前記第1リンク部材に連結され、後端部が第3ヒンジ部を介して前記検知軸の前端部に連結される第2リンク部材と、を有し、
前記取付部材の前記第1リンク部材に対する取付高さを調整するための調整機構部を有する、ことを特徴とする横取り装置用検知器。
【請求項2】
請求項1に記載の横取り装置用検知器であって、
前記調整機構部は、
前記取付部材に形成され、前記取付部材を前記第1リンク部材に固定するためのボルトが挿通される第1取付孔と、
前記第1リンク部材に形成され、前記第1取付孔に挿通されるボルトが挿通される第2取付孔と、を有し、
前記第1リンク部材には、前記第1取付孔の数よりも多い数の第2取付孔が、上下方向に間隔をあけて配置される、ことを特徴とする横取り装置用検知器。
【請求項3】
請求項1に記載の横取り装置用検知器であって、
前記調整機構部は、
前記取付部材に形成され、前記取付部材を前記第1リンク部材に固定するためのボルトが挿通される第1取付孔と、
前記第1リンク部材に形成され、前記第1取付孔に挿通されるボルトが挿通される第2取付孔と、を有し、
前記第2取付孔は、上下方向へ延びる長円形に形成される、ことを特徴とする横取り装置用検知器。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の横取り装置用検知器であって、
前記取付部材は、上下方向へ延び、前記第1取付孔が形成される固定部と、前記固定部の上端部又は下端部から前方へ延び、前端部に前記検知部材が固定されるアーム部と、を有する、ことを特徴とする横取り装置用検知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本線と引込み線との間に設置する横取り装置に使用される検知器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本線レールと引込み線レールとの間を開通させる横取り装置に使用される検知器(特許文献1の「図4」参照)が開示されている。特許文献1に記載の横取り装置用検知器(以下「従来の検知器」と称する)は、一定角度をなす第1の腕5aと第2の腕5bとを有する検知レバー5が、回転軸5cを中心としてブラケット5dに転回可能に支承されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-116272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の検知器では、可動レール鎖錠高さ(まくらぎから収納状態の可動レールの下端位置までの高さ)が既定高さ(例えば「113mm」)を超えている場合、検知器とまくらぎとの間に1枚又は複数枚のスペーサ(プレート)を挿入する必要があり、部品点数が増える原因になっていた。
【0005】
また、従来の検知器では、設置時に調整部が2箇所あり、工具を用いた調整作業が煩雑であった。なお、第1の調整は、取付面(スペーサが不要の場合「まくらぎ上面」)から第1の腕5aに取り付けられた調整ボルトの上端位置までの高さの調整であり、第2の調整は、検知軸の突出長さの調整である。
【0006】
従来の検知器では、前述した検知軸の突出長さの調整は、検知部の後端部(検知軸が突出されている側に対して反対側の端部)に装着されたのぞき栓を取り外して行われるため、ケーブルを検知部の側部(右側部又は左側部)から引き出す必要がある。このため、ケーブルの引き出し方向を変更する際に、検知部を取付台から取り外して再度組み付ける必要があり、設置作業が煩雑化する原因になっていた。
【0007】
さらに、従来の検知器では、検知部が取付台に片持ち支持されていたので、列車の振動によって、検知部と取付台との間に介装された歯付き座金が破損したり、検知部の筐体内部に収容されたリミットスイッチの取付ブラケットが破損する虞があった。また、従来の検知器では、検知部に雨水が浸入して摺動部の固着や電気接点の接触不良等の不具合が発生する虞があった。
【0008】
本発明は、設置が容易な横取り装置用検知器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の横取り装置用検知器は、本線と引込み線との間に設置される横取り装置に使用される検知器であって、取付台と、前記取付台上に設けられる筐体と、鎖錠された横取り部材によって下方へ押し込まれる検知部材と、前記検知部材が取り付けられる取付部材と、前記筐体によって前後方向へ摺動可能に支持され、前端部が前記筐体の前面から突出する検知軸と、前記検知部材の運動を前記検知軸の前後方向への直線運動に変換するリンク機構部と、を備え、前記リンク機構部は、前端部に前記取付部材が取り付けられ、後端部が前記筐体の前面に設けられた第1ヒンジ部に連結される第1リンク部材と、前端部が第2ヒンジ部を介して前記第1リンク部材に連結され、後端部が第3ヒンジ部を介して前記検知軸の前端部に連結される第2リンク部材と、を有し、前記取付部材の前記第1リンク部材に対する取付高さを調整するための調整機構部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設置が容易な横取り装置用検知器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る横取り装置用検知器の左側面図である。
図2】本実施形態に係る横取り装置用検知器の平面図である。
図3】本実施形態の説明図であって、可動レールによって調整ボルトが押し下げられた状態を示す図である。
図4】本実施形態の説明図であって、非鎖錠状態における、検知軸の中心線を含む鉛直面による断面図である。
図5】本実施形態の説明図であって、鎖錠状態における、検知軸の中心線を含む鉛直面による断面図である。
図6】本実施形態の説明図であって、筐体が取付台に4つのボルトによって固定された状態を示す図である。
図7】調整機構部の説明図であって、アーム高さが最も高い状態を示す図である。
図8】調整機構部の説明図であって、アーム高さが2番目に高い状態を示す図である。
図9】調整機構部の説明図であって、アーム高さが3番目に高い状態を示す図である。
図10】調整機構部の説明図であって、アーム高さが4番目に高い状態を示す図である。
図11】調整機構部の説明図であって、アーム高さが5番目に高い状態を示す図である。
図12】調整機構部の説明図であって、アーム高さが最も低い状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。
ここで、横取り装置は、本線レールと引込み線レールとの間を開通させる装置であり、本線レールと引込み線レールとが交差する3箇所に設置される3組の可動レール(横取りレール)を備えている。本実施形態では、可動レール2が鎖錠(収納)された状態(図3参照、以下「鎖錠状態」と称する)を検知する横取り装置用検知器1(以下「検知器1」と称する)を説明する。便宜上、図1及び図2における「左側」及び「右側」を「前側」及び「後側」、図1における「上側」及び「下側」を「上側」及び「下側」、並びに図2における「下側」及び「上側」を「左側」及び「右側」と定める。
【0013】
図1又は図2に示されるように、検知器1は、まくらぎ(図示省略)の上面にボルト(例えば「コーチボルト」、図示省略)を用いて固定される取付台3と、4つのボルト6(本実施形態では「六角穴付き皿ボルト」)を用いて取付台3の上面4に固定される筐体11とを有する。図6に示されるように、ボルト6の頭部は、取付台3の下面5に形成されたザグリ部7に収容される。取付台3は、まくらぎに固定するためのボルトを挿通させるための複数のボルト挿通孔8(本実施形態では4つの円形の孔及び2つの長円形の孔)を有する。なお、取付台3の取付対象は、まくらぎに限定されない。
【0014】
図1又は図2示されるように、検知器1は、鎖錠された可動レール2(図3参照)によって下方へ押し込まる調整ボルト21(検知部材)と、調整ボルト21が取り付けられる取付ブロック23(取付部材)とを有する。取付ブロック23は、L形に形成され、先端部に調整ボルト21を挿通させる孔(符号省略)が形成されたアーム部24と、後述する第1リンク部材61に固定される固定部25とを有する。固定部25は、水平面による断面がU形に形成され、上下方向へ延びて後方に向かって開口する溝部26を有する。固定部25は、上下方向に間隔A(図3参照)をあけて配置され、取付ブロック23を第1リンク部材61に固定するためのボルト27が挿通される2つの取付孔28,29(第1取付孔)を有する。
【0015】
図4に示されるように、検知器1は、筐体11の下部に形成された軸孔32に挿通される検知軸31を有する。軸孔32は、前後方向へ延び、前端が筐体11の前面13に開口する。検知軸31は、前後方向に間隔をあけて軸孔32に嵌着された一対の軸受33,33(ブッシュ)によって摺動可能に支持される摺動部34を有する。摺動部34は、軸孔32の前端部に装着されたリング形のパッキン35に摺接される。
【0016】
軸孔32は、検知軸31の摺動部34に塗布するグリスが充填される環状溝36を有する。環状溝36は、軸孔32の一対の軸受33,33間に形成され、筐体11の内部に設けられたグリスニップル37から注入されたグリスが供給される。検知軸31は、摺動部34の後端に形成されたセンサドグ部38を有する。センサドグ部38は、円柱形の大径部39と、大径部39の後端に接続されて後方に向かって縮径される縮径部40と、縮径部40の後端に接続される小径部41とを有する。
【0017】
検知軸31は、センサドグ部38(小径部41)の後端周縁に形成されたフランジ部42を有する。フランジ部42は、検知軸31を前方に向かって付勢する圧縮コイルばね43の前端を受ける。検知軸31の後端中央には、圧縮コイルばね43の前端を径方向に位置決めする凸部44が形成される。圧縮コイルばね43の後端は、筐体11の後面14の下部に装着されたばね受部45によって受けられる。検知軸31は、大径部39の前側の端面46が軸孔32の後端周縁に形成された環状凹部の底面47に突き当てられることにより、前後方向(軸方向)に位置決めされる。
【0018】
筐体11の内部には、リミットスイッチ51が収容される。リミットスイッチ51は、前後方向両端部がボルト56,56によって筐体11に固定されたセンサベース55に固定される。リミットスイッチ51は、アーム52と、ローラ53とを有する。リミットスイッチ51は、非鎖錠状態(図4参照)において、ローラ53がセンサドグ部38の縮径部40に当接され、スイッチがOFFになる。リミットスイッチ51は、鎖錠状態(図5参照)、すなわち、可動レール2によって調整ボルト21が押し込まれて検知軸31が後方へ移動すると、ローラ53がセンサドグ部38の大径部39に当接する過程でアーム52が回動し、スイッチがONになる。
【0019】
検知軸31は、非鎖錠状態(図4参照)、すなわち、大径部39の端面46が筐体11に形成された環状凹部の底面47に突き当てられた状態で、筐体11の前面13から一定の距離の位置に形成された環状の調整目標線48を有する。図5に示されるように、検知器1は、鎖錠状態(図5参照)、すなわち、調整ボルト21が可動レール2によって押し込まれた状態(図3参照)で、検知軸31の調整目標線48が筐体11の前面13を含む鉛直面に一致するように構成されている。
【0020】
図1又は図2に示されるように、検知器1は、調整ボルト21の、支点P1(図3参照)を中心とする回転(回動)運動を、検知軸31の、前後方向(軸方向)への直線運動に変換するリンク機構部60を有する。リンク機構部60は、取付ブロック23(取付部材)の固定部25が固定される第1リンク部材61を有する。第1リンク部材61は、後端部63が、筐体11の前面13の上部に設けられた第1ヒンジ部67に連結される。第1ヒンジ部67は、平面視(図2参照)でU形に形成され、溝部68に挿入された第1リンク部材61の後端部63を左右方向(図2における「上下方向」)へ貫通する連結ピン69(本実施形態では「ストリッパボルト」)の両端部を支持する。
【0021】
リンク機構部60は、前端部に形成されたヒンジ部74(第2ヒンジ部)に第1リンク部材61が連結される第2リンク部材73を有する。第2リンク部材73の後端部には、検知軸31の前端部(筐体11の前面13から突出された部分)に形成された二面幅部49が連結されるヒンジ部77(第3ヒンジ部)が形成される。ヒンジ部74は、平面視でU形に形成され、溝部75に挿入された第1リンク部材61を左右方向へ貫通する連結ピン76(本実施形態では「ストリッパボルト」)の両端部を支持する。ヒンジ部77は、平面視でU形に形成され、溝部78に挿入された検知軸31の二面幅部49を左右方向へ貫通する連結ピン79(本実施形態では「ストリッパボルト」)の両端部を支持する。なお、3つの連結ピン69,76,79は、検知軸31の中心線に直交する水平線に対して平行を成し、側面視(図1参照)で三角形を成すように配置される。
【0022】
図1又は図2に示されるように、第1リンク部材60の前端部62は、取付ブロック23の固定部25に形成された溝部26に挿入される。第1リンク部材60の前端部62には、上下方向に一定の間隔をあけて配置された複数(本実施形態では「5つ」)の取付孔64(第2取付孔)が形成される。複数の取付孔64のうち、選択された2つの取付孔64,64(図1では上から1番目に位置する取付孔64、及び上から3番目に位置する取付孔64)には、取付ブロック23の固定部25に形成された取付孔28,29(第1取付孔)に挿通されるボルト27,27が挿通される。複数の取付孔64の、隣接する取付孔64,64間の間隔B(図3参照)は、取付孔28,29間の間隔Aの1/2に設定される。
【0023】
検知器1は、取付台3の下面5から取付ブロック23(取付部材)のアーム部24の上側を向いた面までの高さH3(図7及び図10参照、以下「アーム高さH3」と称する)を調節するための調整機構部、延いては、取付台3の下面5から調整ボルト21(検知部材)の初期高さH0(図7参照)を調節するための調整機構部を有する。本実施形態における調整機構部は、L形に形成された取付ブロック23(取付部材)、取付ブロック23の固定部25に形成された2つの取付孔28,29(第1取付孔)、第1リンク部材61に形成された5つの取付孔64-64(第2取付孔)、及び取付孔28,29と選択された取付孔64,64とに挿入される2つのボルト27,27を含む。
【0024】
図1に示されるように、筐体11の後壁部15の上部には、エルボ型のケーブルグランド16が取り付けられる。ケーブルグランド16には、リミットスイッチ51から延びるケーブル54が挿通される。ケーブル54は、リミットスイッチ51の本体から、筐体11の内部に取り付けられたケーブルグランド17(図4参照)、及びケーブルグランド16を経由して筐体11の外部へ延ばされる。なお、ケーブルグランド16,17は、防水性を有するものが適用されている。
【0025】
次に、前述した検知器1の設置手順を説明する。
まず、可動レール鎖錠高さH1(図3参照)を測定し、検知器1の設置場所を選定する。次に、測定された可動レール鎖錠高さH1に応じて、検知器1のアーム高さH3(図7及び図10参照)を調節する。本実施形態では、図7乃至図12に示されるように、アーム高さH3を、取付台3(取付部材)とまくらぎとの間に挿入するスペーサを使用することなく6段階に調節することができる。
【0026】
ここで、図7乃至図9に示される態様では、アーム部24が固定部25の上端部から前方へ延びるように、取付ブロック23が第1リンク部材61の前端部62に取り付けられる。他方、図10乃至図12に示される態様では、アーム部24が固定部25の下端部から前方へ延びるように、取付ブロック23が第1リンク部材61の前端部62に取り付けられる。換言すれば、図7乃至図9に示される取付ブロック23の向きと、図10乃至図12に示される取付ブロック23の向きとは、上下に反転されている。
【0027】
図7に示される態様では、取付ブロック23の上側の取付孔28(第1取付孔)と第1リンク部材61の上から1番目の取付孔64(第2取付孔)とに一方のボルト27が挿通されるとともに、取付ブロック23の下側の取付孔29(第1取付孔)と第1リンク部材61の上から3番目の取付孔64(第2取付孔)とに他方のボルト27が挿通される。図7に示される態様では、アーム高さH3が最も高い高さに調節される。
【0028】
図8に示される態様では、取付ブロック23の上側の取付孔28と第1リンク部材61の上から2番目の取付孔64とに一方のボルト27が挿通されるとともに、取付ブロック23の下側の取付孔29と第1リンク部材61の上から4番目の取付孔64とに他方のボルト27が挿通される。図9に示される態様では、取付ブロック23の上側の取付孔28と第1リンク部材61の上から3番目の取付孔64とに一方のボルト27が挿通されるとともに、取付ブロック23の下側の取付孔29と第1リンク部材61の上から5番目の取付孔64とに他方のボルト27が挿通される。
【0029】
図10に示される態様では、取付ブロック23の上側の取付孔29と第1リンク部材61の上から1番目の取付孔64とに一方のボルト27が挿通されるとともに、取付ブロック23の下側の取付孔28と第1リンク部材61の上から3番目の取付孔64とに他方のボルト27が挿通される。図11に示される態様では、取付ブロック23の上側の取付孔29と第1リンク部材61の上から2番目の取付孔64とに一方のボルト27が挿通されるとともに、取付ブロック23の下側の取付孔28と第1リンク部材61の上から4番目の取付孔64とに他方のボルト27が挿通される。
【0030】
図12に示される態様では、取付ブロック23の上側の取付孔29と第1リンク部材61の上から3番目の取付孔64とに一方のボルト27が挿通されるとともに、取付ブロック23の下側の取付孔28と第1リンク部材61の上から5番目の取付孔64とに他方のボルト27が挿通される。図12に示される態様では、アーム高さH3が最も低い高さに調節される。
【0031】
次に、鎖錠状態、すなわち、調整ボルト21が可動レール2によって押し込まれた状態(図3参照)で、検知軸31の調整目標線48が筐体11の前面13に一致するように、調整ボルト21の、アーム部24の上側を向いた面からの突出高さを調整する。次に、取付台3を、4つのボルト(例えば「コーチボルト」、図示省略)によってまくらぎに固定する。次に、敷設したケーブルを制御ユニット(図示省略)に接続する。
【0032】
前述した実施形態は、以下の効果を奏する。
従来の検知器では、可動レール鎖錠高さが予め設定された高さを超えている場合、検知器とまくらぎとの間に1枚又は複数枚のスペーサを挿入する必要があり、部品点数が増える原因になっていた。また、挿入するスペーサの枚数に対応するため異なる長さのコーチボルトを用意する必要があり、設置作業を煩雑化させる原因になっていた。
【0033】
これに対し、本実施形態では、L形に形成された取付ブロック23(取付部材)、取付ブロック23の固定部25に形成された2つの取付孔28,29(第1取付孔)、第1リンク部材61に形成された5つの取付孔64-64(第2取付孔)、及び取付孔28,29と選択された取付孔64,64とに挿入される2つのボルト27,27を含む調整機構部を備える。
【0034】
本実施形態によれば、第1リンク部材61に対する取付ブロック23の取付の向き、すなわち、アーム部24を、固定部25の上端部から前方へ延ばすか、固定部25の下端部から前方へ延ばすかを選択し、さらに、ボルト27,27を挿通する一対の取付孔64,64を選択することにより、アーム高さH3を6段階に調節することができる。本実施形態では、取付台3(取付部材)とまくらぎとの間に挿入するスペーサが不要になり、部品点数を削減することができるとともにスペーサを含めた重量を削減することができる。また、スペーサが不要になることで、準備するコーチボルトの長さが予め決まるので、設置作業を容易にすることができる。
【0035】
また、従来の検知器では、検知軸の突出長さを定規等で測定しながら、工具を使用して決められた突出長さに調整する必要があり、調整作業が煩雑であった。
【0036】
これに対し、本実施形態では、検知軸31の大径部39の端面46を軸孔32に形成された環状凹部の底面47に突き当てることで、検知軸31の筐体11からの突出長さを一定にするように構成したので、調整箇所は、調整ボルト21の、アーム部24の上側を向いた面からの突出高さのみである。また、調整ボルト21の突出長さは、鎖錠状態、すなわち、調整ボルト21が可動レール2によって押し込まれた状態で、検知軸31に形成された調整目標線48が筐体11の前面13に一致するように調整すればよいので、調整が容易で、調整作業を能率化することができる。
【0037】
また、従来の検知器では、検知軸の突出長さの調整は、のぞき栓を取り外した後、マイナスドライバ等の工具を使用して検知軸を回転させて行うため、設置作業を煩雑化させる一因になっていた。また、のぞき栓は、検知部の後端部中央に装着されていたので、ケーブルを検知部の側部から引き出す必要があった。このため、ケーブルの引き出し方向を変更する場合、検知部を取付台から取り外し、ケーブルの引き出し方向を変更後、再度検知部を取付台に組み付ける必要があり、設置作業が煩雑化する原因になっていた。
【0038】
これに対し、本実施形態では、前述したように検知軸31の突出長さを一定にしたので、検知軸31の突出長さの調整作業を廃止することができる。また、本実施形態では、検知軸31の突出長さを調整するときに取り外すのぞき栓が不要であるため、ケーブル54を筐体11の後面14から引き出すことができる。さらに、ケーブル54の、筐体11外部への引き出しに、エルボ型のケーブルグランド16を使用したので、ケーブル54の引き出し方向の変更が容易である。
【0039】
また、従来の検知器では、検知部が取付台に片持ち支持されていたので、列車の振動によって、検知部と取付台との間に介装された歯付き座金が破損したり、検知部の筐体内部に収容されたリミットスイッチの取付ブラケット(ベース)が破損する虞があった。
【0040】
これに対し、本実施形態では、筐体11を、4つのボルト6(六角穴付き皿ボルト)によって取付台3に強固に固定したので、歯付き座金の使用を廃止することができる。また、本実施形態では、薄板をL形に曲げて製造されていたリミットスイッチの取付ブラケットを廃止し、比較的厚い平板からなるセンサベース55にリミットスイッチ51を取り付けたので、列車の振動によってリミットスイッチ55のベースが破損することを回避することが可能であり、検知器1の信頼性を向上させることができる。
【0041】
また、従来の検知器では、検知部に雨水が浸入して摺動部の固着や電気接点の接触不良等の不具合が発生する虞があった。
【0042】
これに対し、本実施形態では、筐体11の後壁部15の外側に設けたケーブルグランド16及び内側に設けたケーブルグランド17によって筐体11の外部から内部へ浸入する雨水を二重に阻止する構造としたので、筐体11とケーブルとの間のシール性を大幅に向上させることが可能であり、電気接点の接触不良等の不具合を回避することができる。また、本実施形態では、検知軸31と軸孔32との間をパッキン35でシールするとともに、検知軸31の摺動部34にグリスを供給するための環状溝36を、筐体11の軸孔32に形成したので、雨水の浸入による摺動部34の固着を抑止することが可能であり、検知器1の動作の信頼性を確保することができる。
【0043】
なお、実施形態は、前述した形態に限定されるものではなく、例えば、次のように構成することができる。
第1リンク部材61に形成された複数(本実施形態では「5個」)の第2取付孔64-64は、上下方向へ延びる一連の長円形の孔64とすることができる。このようにした場合、アーム高さH3を孔64の上端から下端までの範囲で無段階に調節することが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1 検知器、3 取付台、11 筐体、13 (筐体の)前面、21 調整ボルト(検知部材)、23 取付ブロック(取付部材)、60 リンク機構部、61 第1リンク部材、67 第1ヒンジ部、73 第2リンク部材、74 ヒンジ部(第2ヒンジ部)、77 ヒンジ部(第3ヒンジ部)
【要約】
【課題】設置が容易な横取り装置用検知器を提供する。
【解決手段】L形に形成された取付ブロック23(取付部材)、取付ブロック23の固定部25に形成された2つの取付孔28,29(第1取付孔)、第1リンク部材61に形成された5つの取付孔64-64(第2取付孔)、及び取付孔28,29と選択された取付孔64,64とに挿入される2つのボルト27,27を含む調整機構部を備える。これにより、スペーサを使用することなくアーム高さを6段階に調節することが可能であり、設置作業を容易にすることができる。
【選択図】図1
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