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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】弁体駆動機構
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
F16K31/04 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023181506
(22)【出願日】2023-10-21
【審査請求日】2023-10-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398075426
【氏名又は名称】沖マイクロ技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095717
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 博文
(72)【発明者】
【氏名】石川 敏之
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-190455(JP,A)
【文献】特開2012-172839(JP,A)
【文献】特開平11-030356(JP,A)
【文献】特開2022-093414(JP,A)
【文献】実開昭57-092569(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータの回転出力を直動変換して、弁体を直線進退移動させることによってガス流通口を閉塞及び開放する弁体駆動装置であって、
前記電動モータの出力軸と直接トルク伝達可能に連結した樹脂製のリードスクリューと、
該リードスクリューのスクリュー部の一部と係合して出力軸線に沿って直線移動させる直動送り部と、該直動送り部から前記出力軸線に沿って前記弁体方向へ延設した平行一対の腕部と、から成るキャリッジと、
該キャリッジの腕部の挿通を許容する挿通口を有するとともに、該キャリッジに対して出力軸線上を相対移動する軸支受部を備えた軸支ガイドと、
前記弁体を保持するとともに前記キャリッジと結合して一体移動する弁ガイドと、
該弁ガイドと前記軸支ガイドとの間に拡張付勢力をもって配置したバネ手段と、からなり、
前記リードスクリューの先端部は、球体を介して、又は前記出力軸線上で回転摩擦抵抗を低減させる狭小面積をもって、前記軸支受部に当接して回転自在に支持されていることを特徴とする弁体駆動機構。
【請求項2】
前記該リードスクリューのスクリュー部の一部と係合して前記キャリッジを出力軸線上に沿って直線移動させる直動送り部が、
前記リードスクリューと前記キャリッジとの螺合であることを特徴とする請求項1記載の弁体駆動機構。
【請求項3】
前記該リードスクリューのスクリュー部の一部と係合して前記キャリッジを出力軸線上を直線移動させる直動送り部が、
前記スクリュー部の螺旋溝を倣い移動する凸状部を前記キャリッジの内側に形成したことを特徴とする請求項1記載の弁体駆動機構。
【請求項4】
前記電動モータの出力軸と直接トルク伝達可能な連結が、
一端側を非円形断面形に形成した前記リードスクリューの軸支ロッドの、前記出力軸への嵌入であることを特徴とする請求項1記載の弁体駆動機構。
【請求項5】
前記リードスクリューの先端部の前記軸支受部における支持において、
いずれか一方の面、または両方の面に、切頭円錐台状、切頭多角錐台状、半球状、または漸次縮径の山形状に形成して行うことを特徴とする請求項1記載の弁体駆動機構。
【請求項6】
前記リードスクリューの構成において、
前記電動モータの出力軸からリードスクリューの先端部を非貫通の状態で、金属製シャフトを出力軸線上に内在させたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の弁体駆動機構。
【請求項7】
請求項6記載のリードスクリューの電動モータ出力軸への結合が、
スクリュー部の出力軸側の端部に一体形成した外嵌部の前記出力軸への嵌合であることを特徴とする弁体駆動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータの回転出力を直動変換して、弁体を直線方向に進退移動させる弁体駆動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、必要時にガス流通口を塞いで、ガス流通を遮断する弁体駆動機構は、電動モータの出力軸からの回転動力を直動変換機構によって、弁体を直線方向に進退移動させてガス流通口を閉塞及び開放する直動機構が知られている。
かかる弁体駆動機構としては、例えば、特許文献1として開示された発明がある。
【0003】
この開示発明は、直動送り部の摩擦負荷を低減するため、金属材を用いて寸法精度を高く設定したリードスクリューを用いている。また、金属製リードスクリューの回転軸の軸芯を維持するとともに、軸方向の荷重による摩擦負荷を低減するために高価なボールベアリングを用いる必要があった。
一方、上記難点に鑑みてボールベアリングを廃止するとともに、リードスクリューの外周側を樹脂材で形成した発明が、特許文献2として開示されている。
【0004】
これは金属製の丸棒をシャフトとして用い、その外周側に樹脂材でスクリュー部を配設する構成を採っている。その外周側の樹脂層を含めて、またはシャフトのみをロータ軸に貫通させて回転力(トルク)を伝達するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-233203
【文献】特開2014-190455
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の開示発明の構成では、リードスクリューを高精度の寸法で加工するとともに摩擦抵抗は低いが高価な金属製のものが使用されている。
【0007】
加えて、リードスクリューの軸受部の摩擦損失を低減するため、可能な限り摩擦係数の低い部材が使用されている。特に、弁体の動作時には、回転軸方向にも負荷が掛かるため、弁体側の軸受はスラスト荷重(回転軸方向の荷重)による摩擦も低減する必要がある。そのため、従来例ではボールベアリングが使用されていた。精度の高い金属製リードスクリューや高価なボールベアリングを用いる必要があるため、製造コストの低減に課題があった。
【0008】
一方、特許文献2の開示発明は、ボールベアリングを廃止して樹脂製のリードスクリューを使用したものであるが、樹脂材で形成した場合は、回転軸の芯振れを無くするため、金属製より大径で太く成形する必要があった。また、樹脂材であるため金属材に比べて摩擦係数が大きいため、螺合により摩擦負荷が大きくなるという課題があった。
【0009】
そこで、本願にかかる発明(以下「本発明」)は、これらの課題に着目しその解決を目的とするものであり、リードスクリューを樹脂製として価格低減を図るとともに、リードスクリューを両端部で軸支して、摩擦負荷の低減を確保しつつ回転軸芯の維持を可能とした弁体駆動装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
該リードスクリューのスクリュー部の一部と係合して出力軸線に沿って直線移動させる直動送り部と、該直動送り部から前記出力軸線に沿って前記弁体方向へ延設した平行一対の腕部と、から成るキャリッジと、
該キャリッジの腕部の挿通を許容する挿通口を有するとともに、該キャリッジに対して出力軸線上を相対移動する軸支受部を備えた軸支ガイドと、
前記弁体を保持するとともに前記キャリッジと結合して一体移動する弁ガイドと、
該弁ガイドと前記軸支ガイドとの間に拡張付勢力をもって配置したバネ手段と、からなり、
前記リードスクリューの先端部は、球体を介して、又は前記出力軸線上で回転摩擦抵抗を低減させる狭小面積をもって、前記軸支受部に当接して回転自在に支持されていることを特徴としている。
前記該リードスクリューのスクリュー部の一部と係合して前記キャリッジを出力軸線上に沿って直線移動させる直動送り部の構成としては、
前記リードスクリューと前記キャリッジとの螺合構成、または前記スクリュー部の螺旋溝を倣い移動する凸状部を前記キャリッジの内側に形成する構成を採ってもよい。
【0011】
該リードスクリューのスクリュー部の一部と係合して出力軸線に沿って直線移動させる直動送り部と、該直動送り部から前記出力軸線に沿って前記弁体方向へ延設した平行一対の腕部と、から成るキャリッジと、
該キャリッジの腕部の挿通を許容する挿通口を有するとともに、該キャリッジに対して出力軸線上を相対移動する軸支受部を備えた軸支ガイドと、
前記弁体を保持するとともに前記キャリッジと結合して一体移動する弁ガイドと、
該弁ガイドと前記軸支ガイドとの間に拡張付勢力をもって配置したバネ手段と、からなり、
前記リードスクリューの先端部は、前記出力軸線上で可能な限り小さい面積をもって前記軸支ガイドの軸支受部と当接してなることを特徴としている。
前記該リードスクリューのスクリュー部の一部と係合して前記キャリッジを出力軸線上に沿って直線移動させる直動送り部の構成としては、
前記リードスクリューと前記キャリッジとの螺合構成、または前記スクリュー部の螺旋溝を倣い移動する凸状部を前記キャリッジの内側に形成する構成を採ってもよい。
【0012】
ここで、前記リードスクリューの電動モータの出力軸への結合の具体例としては、一端側を非円形断面形に形成したリードスクリューの軸支ロッドを、前記出力軸に嵌入する構成としてもよい。
【0013】
加えて、前記リードスクリューの先端部と前記軸支受部との当接においては、球体を介在させて行うことが好ましい。これより球体の自転と相俟って、リードスクリューと軸支受部との回転摩擦を低減することができる。
【0014】
なお、上記球体の介在の他に、前記リードスクリューの先端部の端面及び前記軸支受部の面のいずれか一方、または両方に切頭円錐台状、半球状、または漸次縮形状の山型状のいずれかの形状を形成して当接させてもよい。
【0015】
さらに、必要により前記リードスクリュー内の出力軸線上に、金属製シャフトを電動モータの出力軸からリードスクリューの先端部を非貫通の状態で内在(又は挿入)させた構成を採ってもよい。これによりリードスクリューの回転軸(=出力軸)の軸芯維持と強度の向上を図ることができる。
【0016】
上記金属シャフトを内在させたリードスクリューの電動モータ出力軸への結合は、スクリュー部の出力軸側端部に一体形成した外嵌部(樹脂製)を形成して嵌合させる構成を採ってもよい。これにより、リードスクリューへの直接トルク伝達がより適切となる。
【発明の効果】
【0017】
上記構成により、樹脂製リードスクリューを使用しても負荷の上昇が抑えられるため、コスト高となる金属製リードスクリュー及びボールベアリングを使用することなく低電力で駆動でき、低コストの弁体駆動機構を実現することができる。特に、電源を電池とした場合は、電池の容量低減に寄与する。
【0018】
また、リードスクリューをその先端部と、ロータの出力軸の間で掛け渡し状に支持する構成であるため、リードスクリューの芯振れを抑制することができるとともに、樹脂製のリードスクリューであってもスクリュー部のキャリッジとの螺合長さを少なくして摩擦による回転負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明にかかる実施形態例(以下、「本実施例」という。)に係る弁体駆動機構の縦断面である。
図2図1の矢印Aで示した領域の拡大断面図である。
図3】本実施例に係る弁体駆動機構の分解斜視図である。
図4】弁体駆動機構を構成する弁ガイド、軸支ガイド、及びキャリッジの組立状態を示す縦断面図(A)であり、(B)は弁ガイドの断面図、(C)は軸支ガイドの断面図、及び(D)はキャリッジの断面図である。
図5】(A)はリードスクリューの他の実施例を示す断面図、(B)はこれを取り付けた弁体駆動機構の縦断面図である。
図6】リードスクリューの先端部と前記軸支受部との当接状態を示した断面図であって、(A)は前記軸支受部の平坦面と半球体の当接状態、(B)は切頭錘台状どうしの当接状態を示したものである。
図7】本実施例に係る弁体駆動機構の作動を示す断面図であって、(A)はガス流通口への弁体の閉塞過程、(B)はガス流通口からの弁体の開放過程を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本実施例について、図面を基に説明する。
【0021】
なお、本実施例の設置は、上下位置及び水平垂直の設置制限は無いが、説明の便宜のため、出力軸線を水平方向として示した図1を基準として上下左右方向を用いる。
[全体構成]
【0022】
図1に示す弁体駆動装置1は、気密部材11により気密状態を維持してガス流通路に付設されている。電動モータとしてのステッピングモータ2の回転出力を、リードスクリュー3に直接にトルク伝達し、該リードスクリュー3と係合したキャリッジ4を直動させることによって、該キャリッジ4と係合した弁体6を、出力軸線に沿って直線方向に進退移動させて、ガス流通口10を閉塞及び開放する機構である。
[駆動源の構成]
駆動源となるステッピングモータ2は、一般的な公知構成のものである。
【0023】
外周囲にコイル20cを巻回して配置構成したステータ20と、外周囲に永久磁石22mを配置したロータ22を、前記ステータ20とエアーギャップをもって軸回転自在に配置している。該ステッピングモータ2は、気密部材11を介して取付板24に気密状態でガス流路内のガス流通口10に対向して配置される。
【0024】
該ステッピングモータ2は、電池(図示省略。)を電源としているが、これに限定するものではなく外部供給の電源でも良い。ただし、地震等の災害時の停電を考慮すると電池(乾電池や蓄電池)が好ましい。
[出力軸構成]
【0025】
前記ロータ22の出力軸23には、直接的にトルク伝達が可能となるように構成した樹脂製のリードスクリュー3を取り付けている。該リードスクリュー3は、先端部31付近からロータ22方向に形成した所定長さのスクリュー部30と、該スクリュー部30の端部からロータ22側に延設した軸支ロッド32(図面右側)とを一体的に形成している。該軸支ロッド32は、トルク伝達のため断面形を非円形断面形(例えば、矩形断面又はD断面形)の棒状体に形成して、ロータ22の出力軸23に密着嵌入している。なお、この他、軸支ロッド32にキー溝(図示省略。)を形成する構成としてもよい。
【0026】
上記構成により、リードスクリュー3は、ロータ22の出力軸23と一体化して駆動回転する。別言すると、軸支ロッド32は、ロータ22の出力軸上を密着状態で貫通し、そしてロータ22の右側端部から露出してステータ20の内底部に形成された軸受21により、回転自在にして支持されている。
【0027】
これにより、リードスクリュー3は、トルク(回転力)が直接に伝達される、とともにロータ22の出力軸線R上で、軸芯を維持されながら回転することとなる。
【0028】
また、前記構成のリードスクリュー3は、キャリッジ4のロータ22側の一部と係合させている。該キャリッジ4は、ロータ22側のリードスクリュー3のスクリュー部30の一部と係合する直動送り部40と、該直動送り部40から弁体6方向に延設した平行一対の腕部41、41と、からなる。
【0029】
本実施例では、上記直動送り部40における係合は、螺合によるものとしている。ただし、この螺合はリードスクリュー3の軸芯の維持よりも出力軸線Rに沿った直線送り作用を目的としているため、一周回程度の螺旋を形成して螺合するようにしている。
【0030】
また、上記直動送り部40における係合は、上記の螺合に限定するものではなく、キャリッジ4を出力軸線Rに沿って直動させる構成であれば良い。例えば、スクリュー部30の螺旋溝(ねじ溝)に沿って移動する凸状(芯振れをなくするため少なくとも対向2箇所以上が好ましい。)を、キャリッジ4の内側に形成する構成としても良い。
[リードスクリューの他の実施例]
【0031】
本実施例ではリードスクリュー3を、樹脂材のみで成形しているが、この他に、樹脂材で形成したスクリュー部内に、小径線体の金属シャフト301を、出力軸線Rに沿って非貫通状態で先端付近まで挿入して内在させた複合リードスクリュー300を用いてもよい(図5参照)。
【0032】
係る構成の金属シャフト301は、従来例とは異なりロータ22からのトルクを積極的に伝達するものでなく、複合リードスクリュー300の軸芯を維持するための補強材として用いたものである。そのため、スクリュー部30のロータ側の端部には、直接トルク伝達を可能にするため、外嵌部303を一体的に形成して適合して直接外嵌するようにしている。
【0033】
また、上記したように上記金属シャフト301は、トルクの伝達を目的としないため、その軸径は、従来例より小径線材にすることができる。これにより、複合リードスクリュー300も小径にすることができ、回転負荷の低減が図れる。
【0034】
別言すると、同一ピッチの場合、複合リードスクリュー300の径を小さくしたほうが、ねじのリード角が大きくなり、ねじ効率が向上して低トルクで回転させることができる。このことは、回転時の慣性モーメントを低く抑えて加減速時の応答性を良くすることができる。なお、小径線材とすることは、低コスト化にも繋がる。
[直動変換構成]
【0035】
前記キャリッジ4の腕部41の先端側(図面左方向)には、軸支ガイド5を配設している。該軸支ガイド5は、前記キャリッジ4の一対の腕部41、41に案内されて摺動自在に直動する有底の円筒体50を備えている。該円筒体50の底面部51には、前記一対の腕部41がそれぞれ適合して挿通し得る(図面上下に)2箇所の挿通口52、52を形成している。さらに、前記底面部51の中央には、弁体6側に露出させた有底円筒状の軸支受部53を形成している。この軸支受部53は、前記一対の腕部41、41の間を案内されて相対的に摺動する位置関係にある。
【0036】
上記軸支ガイド5とキャリッジ4との構成により、前記キャリッジ4は、平行一対の腕部41、41の前記挿通口52への挿通適合により、リードスクリュー3との螺合摩擦によって生じる従動回転が阻止されて直動する。これにより、リードスクリュー3の回転力がキャリッジ4の直動力に変換されることとなる。
【0037】
また、前記軸支ガイド5の円筒体50の外周囲には、円環状のフランジ54を形成している。該円筒体50は、前記取付板24の開口部25から露出した状態でフランジ54が取付板24のロータ22側の面に当接するとともに、ロータ側には気密部材11を介してロータ22を内包するケース26が取り付けられている。これにより、ガス漏出を防止している。
【0038】
さらに、前記取付板24の開口部25を貫通した状態で配置された軸支ガイド5と弁ガイド61の間には、後述するバネ手段としての拡張付勢力をもったコイルスプリング7が環装させており、その一方側が前記開口部25の縁周囲と当接している。
【0039】
さらにまた、前記軸支ガイド5の底面部51に有底円筒状に形成した軸支受部53には、球体55を回転自在にして配置している。該球体55にはリードスクリュー3の先端部31が当接している。それと共にリードスクリュー3の先端部31の先端外周面33は、軸支受部53の有底円筒状の内周面56と円滑な摺動状態で嵌合している。
【0040】
加えてリードスクリュー3の先端部31の当接を、球体55を介して行うことにより、出力軸線R上の接触面を狭小面積にすることができる。球体55の自転と相俟って先端部31に生じる回転摩擦抵抗を可能な限り小さくすることができる。
【0041】
加えてリードスクリュー3の先端部31の当接を、球体55を介して行うことにより、回転軸芯上の接触面を狭小面積にすることができる。球体55の自転と相俟って先端部31に生じる回転摩擦力を可能な限り小さくすることができる。
【0042】
なお、リードスクリュー3と軸支受部53の当接は、上記球体55に限定するものではなく、その他、軸支受部53の内底面53b、及びリードスクリュー3の先端部31のいずれか一方側を平坦面として、他方側を半球状57、切頭円錐台状58、切頭多角錐台状、または漸次縮径の山形状としてもよい(図6(A)、(B)参照)。
[弁体の構成]
【0043】
弁体6は、弾性部材の弁シート60を保持する弁ガイド61を構成主体としている。該弁ガイド61は、前記出力軸線Rを挟む中央部で平行一対の腕部41、41の先端部41tと係合している。
【0044】
詳述すると、該弁ガイド61は、前記ガス流通口10(通常は、円形開口)を塞ぐ円盤状の弁シート60を保持する略円筒状の基台枠体62を有し、該基台枠体62の中央には、前記一対の腕部41の先端部41tが嵌合する嵌合口63を有している。
この嵌合口63への腕部41の嵌合により、平行に延びる腕部41の平行間隔を維持している。
【0045】
また、前記嵌合口63の外周位置には、キャリッジ4方向に延設し、その先端部を鍵状に加工した係止鍵部64を形成している。この係止鍵部64が、前記キャリッジ4の腕部41の外側に形成した係止突起42と係止するように構成している。
【0046】
さらに、弁ガイド61の基台枠体62と軸支ガイド5の間には、取付板24を挟んで拡張付勢力をもったコイルスプリング7を、弁ガイド61に環装配置している。
【0047】
上記構成により係止突起42と係止鍵部64との係止と、これに対向した前記コイルスプリング7の拡張力との相互作用により、弁ガイド61とキャリッジ4とは一体になって直動することとなる。
【0048】
なお、この弁ガイド61とキャリッジ4との一体化は、腕部41の先端部41tの前記嵌合口63への嵌合によっても行われている。
[作動]
上記構成により本実施例は、次のように作動する。
【0049】
図7(A)に示すようにステッピングモータ2を起動させると、ロータ22に直結したリードスクリュー3が軸回転する(右回転Tr)。これによりスクリュー部30の一部と螺合した直動送り部40に、出力軸線Rに沿った押力が作用する。この時キャリッジ4は、腕部41が前記嵌合口63に嵌合しているため回転が阻止されて、直線移動力のみが作用して左移動(矢印Cl)する。この移動(図面左方向)は、リードスクリュー3の出力軸線Rに沿って行われる。
【0050】
これにより弁ガイド61は、キャリッジ4と一体となって左方向に直動(矢印Bl)する。この移動によって、弁体6の弁シート60は、ガス流通口10に接近移動(矢印C)して閉塞状態となる。さらに、この状態では、前記コイルスプリング7の拡張付勢力が付加されて、ガス流通口10の気密閉塞をより確実なものとしている。
【0051】
次に、この上記閉塞状態からガス流通口10の開放は、図7(B)に示すようにリードスクリュー3を左回転(矢印Tl)させて、キャリッジ4は右移動(矢印Cr)、及び弁ガイド61は右移動(矢印Br)と、それぞれ逆方向に作動させることによって、弁シート60を右方向に移動(矢印O)させることによって行う。
【0052】
上記作動により、本発明はガス流通口の閉塞と、閉塞から復帰を自動または遠隔信号で行うことができる。
【符号の説明】
【0053】
1 弁体駆動装置
2 ステッピングモータ
20 ステータ
21 軸受
22 ロータ

23 出力軸
24 取付板
3 リードスクリュー
30 スクリュー部
31 先端部
32 軸支ロッド
33 先端外周面
300 複合リードスクリュー(他の実施例)
301 金属シャフト
302 樹脂部分
303 外嵌部
4 キャリッジ
40 直動送り部
41 腕部
5 軸支ガイド
50 円筒体
51 底面部
52 挿通口
53 軸支受部
55 球体
56 内周面
6 弁体
60 弁シート
61 弁ガイド
63 嵌合口
7 コイルスプリング

【要約】
【課題】
樹脂製リードスクリューを両端部で軸支して、摩擦負荷の低減と回転軸芯の維持を可能とした弁体駆動装置を提供する。
【解決手段】
ステッピングモータ2の出力軸23と直接トルクを伝達するリードスクリュー3と、リードスクリュー3の一部と係合して出力軸線Rに沿って直線移動させる直動送り部40と、直動送り部40から弁体6方向へ延設した平行一対の腕部41tと、から成るキャリッジ4と、該一対の腕部41tの回転を阻止する挿通口を備えるとともに、該キャリッジ4に対して相対移動する軸支ガイド5と、前記弁体6とキャリッジ4とを一体移動させる弁ガイド61と、該弁ガイド61と軸支ガイド5との間に配置したコイルスプリング7と、からなり、リードスクリュー3の先端部31は、可能な限り小さい面積をもって軸支ガイド5の軸支受部53と当接させている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7