(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】部品
(51)【国際特許分類】
H02K 5/20 20060101AFI20240403BHJP
H02K 11/33 20160101ALI20240403BHJP
【FI】
H02K5/20
H02K11/33
(21)【出願番号】P 2023505267
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2022007148
(87)【国際公開番号】W WO2022190849
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2021037139
(32)【優先日】2021-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 和彦
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-260898(JP,A)
【文献】国際公開第2019/159240(WO,A1)
【文献】特開2019-154208(JP,A)
【文献】特開2019-140786(JP,A)
【文献】特開2016-171642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/20
H02K 7/116
H02K 9/19
H02K 11/33
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを収容するモータ収容部と、
前記モータの径方向において前記モータよりも外側に設けられるインバータを収容するインバータ収容部と、
前記モータ収容部と前記インバータ収容部とを連結し前記モータ収容部及び前記インバータ収容部と一体形成される連結部と、
前記モータの軸方向に沿って延在するように前記連結部に形成される潤滑油を供給する油路と、
前記連結部を通過する冷媒流路と、
を備え、
前記油路は、前記冷媒流路に隣接する隣接領域を通過することを特徴とする部品。
【請求項2】
前記隣接領域は、前記冷媒流路の外側に位置する、
請求項1に記載の部品。
【請求項3】
前記モータ収容部は、前記モータの外周側を取り囲む筒部材を有し、
前記筒部材の外周側に設けられるモータ冷媒回路部と、
前記インバータ収容部に設けられるインバータ冷媒回路部と、をさらに備え、
前記モータ冷媒回路部と前記インバータ冷媒回路部とは、前記冷媒流路を介して連通される、
請求項1又は2に記載の部品。
【請求項4】
前記油路は傾斜している、
請求項1から3のいずれか1項に記載の部品。
【請求項5】
前記油路は、傾斜しながら前記冷媒流路の外側に位置する、
請求項1に記載の部品。
【請求項6】
前記モータ収容部に収容されるモータと、
前記インバータ収容部に収容されるインバータと、をさらに備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータと、インバータと、モータを収容するモータハウジングと、インバータを収容するケーシングと、を備えるモータ駆動ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のモータ駆動ユニット(以下、単に駆動ユニットと称する)では、モータの軸方向両端を連通させる油路が設けられていない。そして、連通用の油路をモータハウジングの外周側に設けることは通常考えられる。しかしながら、連通用の油路がモータハウジングの外周側に設けられる場合、駆動ユニットが大型化するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、モータの軸方向両端を連通させる油路を設けるにあたり小型軽量化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、モータを収容するモータ収容部と、インバータを収容するインバータ収容部と、前記モータ収容部と前記インバータ収容部とを連結し前記モータ収容部及び前記インバータ収容部と一体形成される連結部と、前記モータの軸方向に沿って延在するように前記連結部に形成される油路と、を備える部品が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、モータの軸方向両端を連通させる油路を設けるにあたり小型軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る駆動ユニットを示す概略側面図である。
【
図2】
図2は、
図1におけるIIーII線に沿う拡大断面図である。
【
図3】
図3は、変形例に係る駆動ユニットを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、単に本実施形態と称する)について説明する。
【0010】
(駆動ユニットの構成)
まず、
図1を参照しながら本実施形態に係る駆動ユニット1について説明する。なお、本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る駆動ユニット1を示す概略側面図である。
【0012】
本実施形態に係る駆動ユニット1は、車両の駆動輪(図示しない)の駆動に用いられているが、これに限定されるものではなく、例えば、電気製品の駆動に用いられてもよい。
図1に示すように、駆動ユニット1は、モータ2、インバータ3、ギアボックス4及びハウジング部材5を備える。なお、部品は、例えば、ハウジング部材5単体、もしくは、ハウジング部材5を有する車両用部品があるが、これらに限定されるものではない。車両用部品は、例えば、車両を駆動するための駆動装置等があるが、これに限定されるものではない。
【0013】
モータ2は、駆動力(すなわち、回転力)をギアボックス4に出力するための駆動源である。モータ2は、円柱状に設けられる。また、モータ2は、回転するシャフト21が駆動ユニット1の長手方向に沿って延在するように設けられる。すなわち、シャフト21の軸方向と駆動ユニット1の長手方向とは一致する。シャフト21は、一端としての後端及び他端としての前端がそれぞれ後端側ベアリング(図示しない)及び前端側ベアリング(図示しない)によって支持される。
【0014】
インバータ3は、モータ2の駆動を制御するためのコントローラである。インバータ3は、例えば扁平の直方体に設けられる。また、インバータ3は、シャフト21の軸方向に沿ってモータ2と重なり合うように設けられる。本実施形態では、インバータ3は、例えばモータ2の真上に位置する。
【0015】
インバータ3は、長手方向がシャフト21の軸方向と一致し、扁平の高さ方向がモータ2及びインバータ3が配列される配列方向と一致し、例えば幅方向が互いに長手方向及び高さ方向と直交するように設けられる。
【0016】
ギアボックス4は、モータ2から出力される駆動力を車輪の駆動軸(図示しない)に伝達するための駆動力伝達機構である。ギアボックス4は、モータ2とシャフト21の軸方向に沿って配列されるように設けられる。具体的には、ギアボックス4は、シャフト21の後端と隣接するようにモータ2の後端に接続される。
【0017】
ギアボックス4は、シャフト21の回転を車輪の駆動軸に伝達するギア群41と、ギア群41を収容するケーシング42と、ギア群41によって掻き揚げられた油をキャッチするキャッチタンク43と、を有する。
【0018】
ギア群41は、互いに噛合する複数のギア411から構成される。ケーシング42は、例えばボルト締めによってハウジング部材5の後述するモータ収容部51(
図2参照)の後端に連結される。キャッチタンク43は、ギア群41によって掻き揚げられた油をキャッチしやすいように上方に開口する。ケーシング42とハウジング部材5とが連結された状態では、キャッチタンク43は、ハウジング部材5の後述する油路54の一端としての後端と連通する。そして、キャッチタンク43は、キャッチした油を油路54にガイドする。
【0019】
ハウジング部材5は、モータ2及びインバータ3の両方を収容するための収容部材である。なお、ハウジング部材5の詳細については後述する。
【0020】
(ハウジング部材の構成)
次に、
図1及び
図2を参照しながらハウジング部材5について詳細に説明する。
【0021】
図2は、
図1におけるIIーII線に沿う拡大断面図である。
【0022】
図1及び
図2に示すように、ハウジング部材5は、モータ収容部51、インバータ収容部52、連結部53、油路54,インバータ冷媒回路部55、モータ冷媒回路部56及び冷媒流路57(冷媒が流れる流路)を備える。
【0023】
モータ収容部51は、モータ2を収容する収容部である。モータ収容部51は、モータ2の外周側を取り囲む筒部材としての内筒511と、内筒511の外周側を取り囲む外筒512と、を有する。
【0024】
内筒511は、円筒状に設けられる。同様に、外筒512は、円筒状に設けられる。内筒511と外筒512とは、両者の端部において図示しない接続部によって接続される。外筒512は、連結部53と連結する連結領域512aと、連結部53と連結しない非連結領域512bと、を有する。連結領域512a及び非連結領域512bは、正面図にて互いに対応し合う半円状に形成される。
【0025】
内筒511の外周側と外筒512の内周側との間には、円環状のクリアランス513が形成される。
【0026】
本実施形態では、内筒511及び外筒512は、両方が正面視にて完全なる円環状に形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、少なくともいずれか一方が正面視にて一部を切り欠いた円環状に形成されてもよい。この場合に、内筒511及び外筒512の少なくともいずれか一方の内周側とその外周側とは、切り欠きによって連通される。
【0027】
インバータ収容部52は、インバータ3を収容する収容部である。具体的には、インバータ収容部52は、インバータ3の外側が取り囲まれるようにインバータ3を支持する。また、インバータ収容部52は、モータ2の径方向においてモータ収容部51よりも外側に設けられる。インバータ収容部52は、正面視にて凹状に形成され、連結部53と連結する底壁521と、互いに対向するように底壁521に立設される二つの側壁522と、を有する。
【0028】
連結部53は、モータ収容部51とインバータ収容部52とを連結する連結部である。また、連結部53は、正面視にて矩形から半円を抜いたアーチ状に設けられる。そして、連結部53は、モータ2のシャフト21の軸心を通過しつつモータ2とインバータ3とが配列される方向に沿って延在する仮想線Pによって分割される第1連結部531及び第2連結部532を有する。なお、第1連結部531と第2連結部532とは、仮想線Pに対し対称に形成される。
【0029】
また、第1連結部531は、第1連結部531及び一方の側壁522aを通過する冷媒流路57によって、第2連結部532と隣接する冷媒流路57の内側としての内側領域531aと、第2連結部532から離間する冷媒流路57の外側としての外側領域531bと、を有する。なお、内側領域531a及び外側領域531bは、いずれも冷媒流路57に隣接する隣接領域である。
【0030】
モータ収容部51、インバータ収容部52及び連結部53は、一体形成される。このように、モータ2が収容されるモータ収容部51及びインバータ3が収容されるインバータ収容部52を両者を連結する連結部53と共に一体形成することで、ハウジング部材5の小型軽量化を図ることができる。本実施形態では、モータ収容部51、インバータ収容部52及び連結部53は、アルミニウムやマグネシウム合金等を含む材料によって一体鋳造される。
【0031】
油路54は、上流側であるギアボックス4(具体的には、キャッチタンク43)と下流側であるモータ2の前端側とを連通するための油路である。すなわち、油路54は、一端としての後端がキャッチタンク43と連通するとともに他端としての前端がモータ2の前端側に形成される連通油路(図示しない)と連通する。なお、当該連通油路は、油路54の前端と前端側ベアリングとを連通し、油路54からの油を前端側ベアリングに供給する。これにより、前端側ベアリングを油で潤滑させることができる。
【0032】
本実施形態では、油は、油路54から連通油路を介して前端側ベアリングに供給されているが、これに限定されるものではなく、例えば、油路から連通油路を介してモータ2のシャフト21に供給されてもよい。この場合に、シャフト21を油で潤滑することができる。また、シャフト21に供給される油は、ギアボックス4に戻る。
【0033】
油路54は、モータ2の軸方向に沿って延在するように連結部53(具体的には、連結部53の第1連結部531)に形成される。これにより、モータ収容部51とインバータ収容部52とを連結するための連結部53を油路54の油路形成スペースとして有効利用することで、油路が形成されるパイプを別途設ける必要が無くなり、ハウジング部材5の小型軽量化を図るとともにハウジング部材5の簡素化を図ることができる。
【0034】
そして、油路54は、傾斜するように形成される。具体的には、油路54は、後端側から前端側に向かって下るように縦方向(上下方向)に沿って傾斜する。これにより、キャッチタンク43から連結油路への油の流れをスムーズにすることができる。
【0035】
インバータ冷媒回路部55は、インバータ3を冷却するための回路である。駆動ユニット1の作動時に、冷媒としての冷却水をインバータ冷媒回路部55内に流通させることにより、インバータ3を冷却することができる。
【0036】
インバータ冷媒回路部55は、インバータ収容部52における二つの側壁522の先端に設けられる。また、インバータ冷媒回路部55は、ボルト締めによって側壁522の先端に連結されるベースパネル551と、インバータ収容部52の底壁521と対向するベースパネル551の対向面に設けられるインバータ冷媒流路552と、を有する。
【0037】
インバータ冷媒流路552は、ベースパネル551のギアボックス4寄りの後端側からベースパネル551の前端側に向かって蛇行するようにベースパネル551全体に亘って設けられる。また、インバータ冷媒流路552は、一方の側壁522aを貫通するようにベースパネル551の後端側に形成される流入口552aと、冷媒流路57と連通するようにベースパネル551の前端側に形成されるインバータ冷媒流路側連通口552bと、を有する。
【0038】
そして、冷却水を流入口552aから流入させて、蛇行するインバータ冷媒流路552を経由してインバータ冷媒流路側連通口552bから流出させることにより、インバータ3(特にインバータ3の上方領域)を効率よく冷却することができる。
【0039】
本実施形態では、インバータ冷媒回路部55は、インバータ3の上方に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、インバータ3の外周側を取り囲む筒状に設けられてもよい。この場合に、インバータ3全体をインバータ冷媒回路部55で効率よく冷却することができる。くわえて、連結部53をインバータ冷媒回路部55で効率よく冷却することができる。
【0040】
モータ冷媒回路部56は、モータ2を冷却するための回路である。駆動ユニット1の作動時に、冷却水をモータ冷媒回路部56内に流通させることにより、モータ2を冷却することができる。
【0041】
モータ冷媒回路部56は、モータ収容部51の内筒511の外周側に設けられる。具体的には、モータ冷媒回路部56は、内筒511の外周側と外筒512の内周側との間に位置するクリアランス513に設けられる螺旋状のウォータジャケットである。また、モータ冷媒回路部56は、冷媒流路57と連通するようにモータ収容部51の前端側に形成されるモータ冷媒回路部側連通口561と、モータ収容部51の後端側に形成される流出口562と、を有する。
【0042】
そして、冷却水をモータ冷媒回路部側連通口561から流入させて、螺旋状のモータ冷媒回路部56を経由して流出口562から流出させることにより、モータ2全体を効率よく冷却することができる。
【0043】
また、外筒512の連結領域512aの内周側にも、螺旋状のモータ冷媒回路部56の一部が設けられるため、連結領域512a及び連結部53を、モータ冷媒回路部56を流通する冷却水で冷却することができる。この結果、連結部53に形成される油路54及び連結部53と当接するインバータ3の下方領域をシャフト21の軸方向に亘って冷却することができるので、油路54及びインバータ3全体の両方をより効率よく冷却することができる。
【0044】
さらに、流入口552aと流出口562とを連通する連通流路(図示しない)を設けてもよい。この場合に、当該連通流路には、水を冷却するための冷却装置(図示しない)が設けられる。これにより、水を循環させて利用することができるため、駆動ユニット1を効率よく冷却することができる。
【0045】
冷媒流路57は、インバータ冷媒回路部55とモータ冷媒回路部56とを連通するための流路である。具体的には、冷媒流路57は、インバータ収容部52に設けられるインバータ冷媒回路部55(具体的には、インバータ冷媒流路552)のインバータ冷媒流路側連通口552bと、モータ収容部51に設けられるモータ冷媒回路部56のモータ冷媒回路部側連通口561と、を連通するように連結部53及びインバータ収容部52における一方の側壁522aを通過して形成される。
【0046】
このように、冷媒流路57は、インバータ冷媒回路部55とモータ冷媒回路部56とを連通するため、冷却水をインバータ冷媒回路部55のみに供給することで、冷媒流路57を介してモータ冷媒回路部56に流通させることができる。この結果、冷却水をインバータ冷媒回路部55及びモータ冷媒回路部56のそれぞれに供給するシステムを構築する必要がなく、モータ2及びインバータ3の両方を効率よく冷却することができる。
【0047】
また、モータ収容部51とインバータ収容部52とを連結するための連結部53を冷媒流路57の流路形成スペースとして有効利用することで、冷媒流路が形成されるパイプを別途設ける必要が無くなり、ハウジング部材5の小型軽量化を図るとともにハウジング部材5の簡素化を図ることができる。
【0048】
さらに、冷媒流路57は、連結部53を通過するため、同じく連結部53に形成される油路54を冷媒流路57を流通する冷却水で効率よく冷却することができる。
【0049】
上述したように、冷媒流路57は、一方の側壁522aを通過するため、一方の側壁522aは、一方の側壁522aと対向する他方の側壁522bよりも厚くなるように設けられることが好ましい。
【0050】
油路54と冷媒流路57とは、第1連結部531に形成される。すなわち、油路54は、冷媒流路57に隣接する第1連結部531(隣接領域)を通過する。これにより、油路54が第1連結部531及び第2連結部532のうちのいずれか一方に形成されるとともに冷媒流路57が第1連結部531及び第2連結部532のうちのいずれか他方に形成される場合に比べ、油路54をより効率よく冷却することができる。なお、本実施形態では、油路54と冷媒流路57とは、第1連結部531に形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第2連結部532に形成されてもよい。
【0051】
また、連結部53の外側領域531bは、冷媒流路57の外側に位置する。これにより、油路54が内側領域531aに位置する場合に比べ、油路54を比較的に高温であるモータ2及びインバータ3から遠ざけることができるため、油路54をより効率よく冷却することができる。また、ハウジング部材5表面の空冷も利用することができるため、油路54をさらに効率よく冷却することができる。
【0052】
縦方向において、外側領域531bの最小幅d2は、内側領域531aの最大幅d1よりも大きい。そして、縦方向に沿って傾斜する油路54を外側領域531bに位置させることで、油路54が内側領域531aに位置する場合に比べ、油路54の傾斜角度をより大きく設定することができる、この結果、キャッチタンク43から連結油路への油の流れをよりスムーズにすることができる。
【0053】
(作用効果)
次に、本実施形態の主な作用効果について説明する。
【0054】
(1)本実施形態に係るハウジング部材5(部品)は、インバータ3を収容するインバータ収容部52と、モータ収容部51とインバータ収容部52とを連結しモータ収容部51及びインバータ収容部52と一体形成される連結部53と、モータ2の軸方向に沿って延在するように連結部53に形成される油路54と、を備える。
【0055】
この構成によれば、モータ2が収容されるモータ収容部51及びインバータ3が収容されるインバータ収容部52を両者を連結する連結部53と共に一体形成することで、ハウジング部材5の小型軽量化を図ることができる。また、モータ収容部51とインバータ収容部52とを連結するための連結部53を油路54の油路形成スペースとして有効利用することで、油路が形成されるパイプを別途設ける必要が無くなり、ハウジング部材5の小型軽量化を図るとともにハウジング部材5の簡素化を図ることができる。
【0056】
(2)ハウジング部材5(部品)は、連結部53を通過する冷媒流路57をさらに備える。
【0057】
この構成によれば、同じく連結部53に形成される油路54を冷媒流路57を流通する冷却水で効率よく冷却することができる。また、モータ収容部51とインバータ収容部52とを連結するための連結部53を冷媒流路57の流路形成スペースとして有効利用することで、冷媒流路が形成されるパイプを別途設ける必要が無くなり、ハウジング部材5の小型軽量化を図るとともにハウジング部材5の簡素化を図ることができる。
【0058】
(3)油路54は、冷媒流路57に隣接する第1連結部531(隣接領域)を通過する。
【0059】
この構成によれば、油路54が第1連結部531及び第2連結部532のうちのいずれか一方に形成されるとともに冷媒流路57が第1連結部531及び第2連結部532のうちのいずれか他方に形成される場合に比べ、油路54をより効率よく冷却することができる。
【0060】
(4)第1連結部531の外側領域531b(隣接領域)は、冷媒流路57の外側に位置する。
【0061】
この構成によれば、油路54が内側領域531aに位置する場合に比べ、油路54を比較的に高温であるモータ2及びインバータ3から遠ざけることができるため、油路54をより効率よく冷却することができる。また、ハウジング部材5表面の空冷も利用することができるため、油路54をさらに効率よく冷却することができる。
【0062】
(5)モータ収容部51は、モータ2の外周側を取り囲む内筒511(筒部材)を有し、ハウジング部材5(部品)は、内筒511(筒部材)の外周側に設けられるモータ冷媒回路部56と、インバータ収容部に設けられるインバータ冷媒回路部55と、をさらに備え、モータ冷媒回路部56とインバータ冷媒回路部55とは、冷媒流路57を介して連通される。
【0063】
この構成によれば、冷媒流路57は、インバータ冷媒回路部55とモータ冷媒回路部56とを連通するため、冷却水をインバータ冷媒回路部55のみに供給することで、冷媒流路57を介してモータ冷媒回路部56に流通させることができる。この結果、冷却水をインバータ冷媒回路部55及びモータ冷媒回路部56のそれぞれに供給するシステムを構築する必要がなく、モータ2及びインバータ3の両方を効率よく冷却することができる。
【0064】
(6)油路54は傾斜している。
【0065】
この構成によれば、キャッチタンク43から連結油路への油の流れをスムーズにすることができる。
【0066】
(7)ハウジング部材5(部品)は、連結部53を通過する冷媒流路57をさらに備え、油路54は、傾斜しながら外側領域531b(冷媒流路57の外側)に位置する。
【0067】
この構成によれば、同じく連結部53に形成される油路54を冷媒流路57を流通する冷却水で効率よく冷却することができる。また、モータ収容部51とインバータ収容部52とを連結するための連結部53を冷媒流路57の流路形成スペースとして有効利用することで、冷媒流路が形成されるパイプを別途設ける必要が無くなり、ハウジング部材5の小型軽量化を図るとともにハウジング部材5の簡素化を図ることができる。
【0068】
そして、油路54が内側領域531aに位置する場合に比べ、油路54を比較的に高温であるモータ2及びインバータ3から遠ざけることができるため、油路54をより効率よく冷却することができる。
【0069】
さらに、縦方向に沿って傾斜する油路54は、外側領域531bに位置するため、油路54が内側領域531aに位置する場合に比べ、油路54の傾斜角度をより大きく設定することができる、この結果、キャッチタンク43から連結油路への油の流れをよりスムーズにすることができる。
【0070】
(8)本実施形態に係る駆動ユニット1(部品)は、モータ収容部51に収容されるモータ2と、インバータ収容部52に収容されるインバータ3と、をさらに備える。
【0071】
この構成によれば、駆動ユニット1全体の小型軽量化を図ることができる。
【0072】
(変形例)
次に、
図3を参照しながら変形例に係る駆動ユニット1について説明する。なお、本変形例では、上述した実施形態と同様の点については説明を省略し、主に上述した実施形態と相違する点について説明する。
【0073】
図3は、変形例に係る駆動ユニット1を示す概略構成図である。
【0074】
上述した実施形態では、駆動ユニット1は、モータ2とインバータ3とが縦方向に沿って配列されるように設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、
図3に示すようにモータ2とインバータ3とが横方向(左右方向)に沿って配置されるように設けられてもよい。この場合に、油路54及び冷媒流路57は、第1連結部531ではなく、第2連結部532に形成される。
【0075】
また、
図3に示すように、油路54は、冷媒流路57の外側に位置するように形成される。これにより、油路54が冷媒流路57の内側に位置する場合に比べ、油路54を比較的に高温であるモータ2及びインバータ3から遠ざけることができるため、油路54をより効率よく冷却することができる。
【0076】
本変形例では、油路54は、冷媒流路57の外側に位置するように形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、冷媒流路57の内側に位置するように形成されてもよい。この場合に、油路54が冷媒流路57の外側に位置する場合に比べ、油路54の傾斜角度をより大きく設定することができる、この結果、キャッチタンク43から連結油路への油の流れをよりスムーズにすることができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0078】
1 駆動ユニット
2 モータ
3 インバータ
5 ハウジング部材(部品)
51 モータ収容部
52 インバータ収容部
53 連結部
54 油路
55 インバータ冷媒回路部
56 モータ冷媒回路部
57 冷媒流路
511 内筒(筒部材)
531 第1連結部
531a 内側領域(冷媒流路の内側)
531b 外側領域(冷媒流路の外側)
532 第2連結部