(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-02
(45)【発行日】2024-04-10
(54)【発明の名称】巻き取り可能な表示モジュール及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
G09F9/00 312
G09F9/00 351
G09F9/00 342
(21)【出願番号】P 2023535051
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2021134607
(87)【国際公開番号】W WO2022156377
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】202110077084.9
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515179325
【氏名又は名称】昆山国顕光電有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN GO-VISIONOX OPTO-ELECTRONICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 4, No. 1, Longteng Road, Development Zone Kunshan, Jiangsu, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】劉佳
(72)【発明者】
【氏名】丁立薇
(72)【発明者】
【氏名】廖富
(72)【発明者】
【氏名】李崢
(72)【発明者】
【氏名】李学斌
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111862822(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0043383(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111862824(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0146557(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0302851(US,A1)
【文献】特開2020-144383(JP,A)
【文献】中国実用新案第212256772(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第112150930(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
G06F 1/00
G06F 1/16-1/18
G09F 9/00-9/46
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層されて設置された複数の膜層及び前記複数の膜層の間に位置する少なくとも1つの接続層群を含む巻き取り可能な表示モジュールであって、
積層方向において、前記少なくとも1つの接続層群は隣接する膜層と接触
され、前記複数の膜層は2つの第1膜層を含み、前記少なくとも1つの接続層群は前記2つの第1膜層の間に設置され、前記少なくとも1つの接続層群のそれぞれは相互に接触した1対の接続層を含み、各前記接続層は対向して設置された第1表面および第2表面を含み、前記1対の接続層の前記第1表面はそれぞれ隣接する前記第1膜層に固定的に接続され、前記1対の接続層の前記第2表面は互いに接触され、
前記表示モジュールが巻き取りまたは展開過程にあるとき、
前記1対の接続層の前記第2表面の間に第1接続力を有し、前記表示モジュールが表示過程にあるとき、少なくとも表示領域における
前記1対の接続層の前記第2表面の間に第2接続力を有し、前記第1接続力は前記第2接続力より小さ
く、
前記巻き取り可能な表示モジュールはさらに前記接続層を分離する少なくとも1つの分離領域と、前記分離領域内に充填された接着層を含み、前記接着層によって前記積層方向において前記膜層が固定的に接続され、前記表示モジュールの展開方向において、前記接続層は間隔をあけて設置された複数のサブ接続層を含み、前記接着層は隣接する前記サブ接続層の間に設置されることを特徴とする巻き取り可能な表示モジュール。
【請求項2】
前記第1接続力は0であることを特徴とする請求項1に記載の巻き取り可能な表示モジュール。
【請求項3】
前記1対の接続層は2つの導電膜層を含み、通電時に前記2つの導電膜層はそれぞれ正電荷及び負電荷を運び、通電時における2つの前記導電膜層は異なる電荷を有することにより互いに吸引され、2つの前記導電膜層の間に前記第2接続力を有することで、前記1対の接続層にそれぞれ接続された前記2つの第1膜層は互いに緊密に接合され、前記接続層はさらに前記導電膜層と積層された緩衝膜層を含み、前記第2表面は前記緩衝膜層の
表面の内、前記導電膜層と反対側
の表面であり、前記1対の接続層における2つの前記緩衝膜層は相互に接触し、2つの前記緩衝膜層の対向する2つの表面間の摩擦力が閾値未満であることを特徴とする請求項
1に記載の巻き取り可能な表示モジュール。
【請求項4】
前記接続層は粘性部材を含み、前記粘性部材の粘性は温度変化により変化し、前記接続層は、吸着能力を有する熱膨張部材を含み、且つ前記1対の接続層における2つの前記熱膨張部材間の間隔は変化可能であることを特徴とする請求項
1に記載の巻き取り可能な表示モジュール。
【請求項5】
前記表示モジュールの展開方向において、前記サブ接続層の
長さは前記接着層の
長さの10倍以上であることを特徴とする請求項
1に記載の巻き取り可能な表示モジュール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの接続層群を1つとし、前記2つの第1膜層は偏光層及び表示層であり、前記接続層群は前記偏光層と前記表示層との間に設置され、または、
前記2つの第1膜層は前記表示層及び支持層であり、前記接続層群は前記表示層と前記支持層との間に設置され、または、
前記少なくとも1つの接続層群を1つとし、前記2つの第1膜層は偏光層及び層間絶縁層であり、前記複数の膜層は、前記層間絶縁層の前記偏光層と反対側に位置する表示層をさらに含み、前記1対の接続層はそれぞれ導電膜層を含み、前記層間絶縁層は前記表示層と隣接する前記導電膜層との間に位置することを特徴とする請求項
1に記載の巻き取り可能な表示モジュール。
【請求項7】
前記少なくとも1つの接続層群を2つとし、前記複数の膜層はさらに前記2つの第1膜層と積層された一つの第2膜層を含み、前記2つの第1膜層および前記1つの第2膜層はそれぞれ偏光層、表示層および支持層であり、前記偏光層、前記表示層および前記支持層は順次積層され、且つ前記2つの接続層群はそれぞれ前記偏光層、前記表示層および前記支持層の中の2つの間に位置することを特徴とする請求項
1に記載の巻き取り可能な表示モジュール。
【請求項8】
前記接続層の厚さは20ミクロン以上であることを特徴とする請求項
1に記載の巻き取り可能な表示モジュール。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1つに記載の巻き取り可能な表示モジュールと、巻き取り制御機構と、接続力制御機構と、を含む表示装置であって、
前記巻き取り制御機構は前記巻き取り可能な表示モジュールを巻き取りまたは展開するように駆動するために使用され、
前記接続力制御機構は前記表示モジュールの巻き取りまたは展開過程中に、前記少なくとも1つの接続層群に隣接する膜層の間に第1接続力を有するように制御し、及び前記表示モジュールの表示過程中に、少なくとも表示領域における前記少なくとも1つの接続層群に隣接する膜層の間に第2接続力を有するように制御するために使用されることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
前記複数の膜層は2つの第1膜層を含み、前記少なくとも1つの接続層群は前記2つの第1膜層の間に設置され、前記少なくとも1つの接続層群のそれぞれは相互に接触した1対の接続層を含み、各前記接続層は対向して設置された第1表面および第2表面を含み、前記1対の接続層の前記第1表面はそれぞれ前記第1膜層に固定的に接続され、前記1対の接続層の前記第2表面は互いに接触し、前記第2表面の間に前記第1接続力または前記第2接続力を有し、前記表示モジュールの展開方向において、前記接続層は間隔をあけて設置された複数のサブ接続層を含み、各前記サブ接続層は前記接続力制御機構にそれぞれ電気的に接続され、前記接続力制御機構は
前記表示モジュールが完全に展開されない時の
前記表示領域を含む前記サブ接続層の第2表面の間に第2接続力を有するように制御するために使用されることを特徴とする請求項
9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記表示装置はさらにプロセッサを含み、前記プロセッサは、前記巻き取り制御機構および前記接続力制御機構と結合され、前記プロセッサは巻き取りコマンドまたは展開コマンドを前記巻き取り制御機構に送信し、及び第1接続力制御コマンドを前記接続力制御機構に送信するために使用され、及び前記巻き取り制御機構からフィードバックされた展開完了コマンドを受信した後、前記接続力制御機構に第2接続力制御コマンドを送信するために使用されることを特徴とする請求項
10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記接続層は導電膜層を含み、前記接続力制御機構は電荷発生装置を含み、
または、前記接続層は粘性部材または熱膨張部材を含み、前記接続力制御機構は加熱装置を含むことを特徴とする請求項
10に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願はディスプレイ技術分野に属し、具体的には巻き取り可能な表示モジュール及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル表示モジュールの性能が絶えず向上し及びそのサイズが拡大するにつれて、フレキシブル表示モジュールの形態も折り畳みから巻き取りまで発展する。そのうち、巻き取り可能な表示モジュールは将来の発展傾向になり、巻き取り又は展開過程において表示モジュールへの損傷をどのように低減させるかは重要な問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本出願は巻き取り可能な表示モジュール及び表示装置を提供し、それにより表示モジュールの巻き取り又は展開過程における損傷の確率を低下させる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術的問題を解決するために、本発明が採用する一つの技術案は以下のとおりである。巻き取り可能な表示モジュールを提供し、巻き取り可能な表示モジュールは積層されて設置された複数の膜層及び前記複数の膜層の間に位置する少なくとも一つの接続層群を含み、積層方向において、前記少なくとも1つの接続層群は隣接する膜層と接触することで、前記少なくとも1つの接続層群に隣接する膜層の間に可変の接続力を有し、前記表示モジュールが巻き取りまたは展開過程にあるとき、前記少なくとも1つの接続層群に隣接する膜層の間に第1接続力を有し、表示モジュールが表示過程にあるとき、少なくとも表示領域における前記少なくとも1つの接続層群に隣接する膜層の間に第2接続力を有し、第1接続力は第2接続力より小さい。
【0005】
さらに、前記複数の膜層は2つの第1膜層を含み、前記少なくとも1つの接続層群は前記2つの第1膜層の間に設置され、前記少なくとも1つの接続層群のそれぞれは、相互に接触した1対の接続層を含み、各前記接続層は対向して設置された第1表面及び第2表面を含み、前記1対の接続層の前記第1表面はそれぞれ前記第1膜層に固定的に接続され、前記1対の接続層の前記第2表面は相互に接触し、且つ前記第2表面の間に第1接続力または第2接続力を有する。
【0006】
上記技術的問題を解決するために、本発明が採用する別の技術案は以下のとおりである。表示装置を提供して、前記表示装置は上記実施形態のいずれか1つに記載の表示モジュールと、巻き取り制御機構と、接続力制御機構と、を含み、前記巻き取り制御機構は表示モジュールを巻き取りまたは展開するように駆動するために使用され、前記接続力制御機構は前記表示モジュールの巻き取りまたは展開過程中に、前記少なくとも1つの接続層群に隣接する膜層の間に第1接続力を有するように制御し、及び表示モジュールの表示過程中に、少なくとも表示領域における前記少なくとも1つの接続層群に隣接する膜層の間に第2接続力を有するように制御するために使用される。
【発明の効果】
【0007】
本出願の有益な効果は以下のとおりである。本出願が提供する巻き取り可能な表示モジュールは積層されて設置される複数の膜層を含み、且つ複数の膜層は2つの第1膜層と、少なくとも1つの接続層群と、を含み、少なくとも1つの接続層群のそれぞれは、互いに接触し且つ2つの第1膜層の間に配置された1対の接続層を含み、積層方向において、各接続層は対向して設置された第1表面および第2表面を含み、且つ1対の接続層の第1表面はそれぞれ第1膜層と固定的に接続され、1対の接続層の第2表面は互いに接触され、且つ1対の接続層の第2表面の間に可変な接続力が存在する。例えば、表示モジュールが巻き取り及び展開過程にあるとき、2つの第2表面の間に比較的小さい第1接続力が存在する。この設計方式は、巻き取り及び展開過程に各膜層の間に受けた引張応力を低減し、巻き取り及び展開過程に各膜層への損傷の可能性を低減することができる。表示モジュールが表示過程にあるとき、少なくとも表示領域における第2表面の間により高い第2接続力が存在する。この設計方式は、通常の表示中に少なくとも表示領域における表示モジュールの各膜層が緊密に貼合されることを保証でき、これにより、表示効果を保証できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本出願の一つの実施形態に係る巻き取り可能な表示モジュールの構造模式図である。
【
図2】本出願の別の実施形態に係る巻き取り可能な表示モジュールの構造模式図である。
【
図3】本出願の別の実施形態に係る巻き取り可能な表示モジュールの構造模式図である。
【
図4】本出願の別の実施形態に係る巻き取り可能な表示モジュールの構造模式図である。
【
図5】本出願の別の実施形態に係る巻き取り可能な表示モジュールの構造模式図である。
【
図6】本出願の一つの実施形態に係る表示装置の構造模式図である。
【
図7】
図6のケーシングにおける実施形態のフレーム構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本出願の実施形態の図面を参照しながら本出願の実施形態の技術方案を明確且つ完全に説明する。理解されるように、記載された実施形態は、本出願の実施形態の一部にすぎず、それらのすべてではない。本出願の実施形態に基づいて、当業者が進歩性のある労働を必要とせずに取得するすべての他の実施形態は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0010】
図1を参照すると、本出願の巻き取り可能な表示モジュール10は積層されて設置された複数の膜層を含み、複数の膜層は少なくとも1つの接続層100を含む。積層方向(
図1に破線矢印で示す)に、接続層100は対向する第1表面1000及び第2表面1002を含む。第1表面1000は隣接する膜層と固定的に接続される。例えば、接着剤を介して直接第1表面1000に隣接する膜層を形成する方式により、第1表面1000と隣接する膜層との固定接続を実現することができる。
【0011】
前記第1表面1000及び隣接する膜層は表示モジュール10に巻き付けられた状態または展開された状態でいずれも緊密に貼合され、第1表面1000と隣接する膜層との間の接続力が安定している。第2表面1002と隣接する膜層との間の接続力は変化できる。例えば、表示モジュール10が巻き取り又は展開過程にある時、第2表面1002と隣接する膜層との間に第1接続力が存在する。これにより、表示モジュール10が巻き取り又は展開過程にある時、各膜層の間に受けた引張応力を低下させ、各膜層の巻き取り又は展開過程における損傷の確率を低下させることができる。
【0012】
表示モジュール10が表示過程にある場合、少なくとも表示領域における接続層100の第2表面1002と隣接する膜層との間に第2接続力が存在する。該設計方式は正常の表示時に表示モジュール10における各膜層が緊密に貼合されることを保証でき、それにより表示効果を保証できる。選択的に、表示モジュール10が表示過程にある場合、表示領域のみにおける接続層100の第2表面1002と隣接する膜層との間に第2接続力が存在し、残りの非表示領域の接続層100の第2表面1002と隣接する膜層との間に依然として第1接続力が存在する。又は、表示モジュール10が表示過程にある時、表示領域と非表示領域との接続層100の第2表面1002と隣接する膜層との間にいずれも第2接続力が存在することができる。
【0013】
この実施形態では、引き続き
図1を参照すると、表示モジュール10は、積層されて設置された複数の膜層を含む。複数の膜層は、2つの第1膜層22および少なくとも1つの接続層群20を含む。少なくとも1つの接続層群
20のそれぞれは、互いに接触され、且つ2つの第1膜層22の間に設置された1対の接続層100を含む。積層方向において、各接続層100は、対向して設置された第1表面1000および第2表面1002を含む。1対の接続層100の第1表面1000はそれぞれ第1膜層22と固定的に接続され、1対の接続層100の第2表面1002は相互に接触され、その間に可変の接続力が存在する。すなわち、接続層群20における2つの接続層100の第1表面1000は互いに離れて設置され、2つの接続層100の第1表面1000はそれぞれ隣接する第1膜層22に固定的に接続される。接続層群20における2つの接続層100の第2表面1002は互いに接近して且つ接触して設置され、且つ2つの接触する第2表面1002の間における接続力は変化できる。表示モジュール10が巻き取り又は展開過程にあるとき、同じ接続層群20の2つの第2表面1002の間に低い第1接続力が存在する。この設計方式は、巻き取り又は展開過程に、各膜層の間に受けた引張応力を減らすことができ、巻き取り又は展開過程に、各膜層への損傷の確率を低減できる。表示モジュール10が表示過程にあるとき、少なくとも表示領域における第2表面1002の間に比較的高い第2接続力が存在する。この設計方式は、正常の表示時に少なくとも表示領域における表示モジュール10の各膜層が緊密に貼合されることを保証でき、それにより表示効果を保証する。
【0014】
本実施例では、上記第1接続力は0である。該設計方式は表示モジュール10が巻き取り又は展開過程において、表示モジュール10における接続層100の第2表面1002と隣接する膜層とが分離され、各膜層間に受ける引張応力を最大限に低減させることができる。なお、本実施形態では、接続層100の第2表面1002と隣接する膜層とが緊密に貼合される限り、上記第1接続力より大きい第2接続力の具体的な数値は制限されない。
【0015】
選択的に、接続層100は導電膜層1004を含む。接続層群20の1対の接続層100は、通電時に正電荷と負電荷をそれぞれ運ぶ2つの導電膜層1004を含む。通電時に2つの導電膜層1004は異なる電荷を有することにより互いに吸引され、2つの導電膜層1004の間に第2接続力が存在する。その結果、1対の接続層100にそれぞれ接続された2つの第1膜層22が互いに緊密に貼合される。さらに、接続層群20における2つの導電膜層1004は、非通電時に電荷を運ばないので、接続層群20における2つの接続層100は互いに分離されて第1接続力が存在する。本実施形態では、導電膜層1004は、金属膜系、酸化膜系、ポリマー膜系、複合膜系など(例えば、TiAlTi複合膜、インジウムスズ酸化物ITOなど)であってもよい。上記の接続層100の設置方式及び構造が比較的簡単であり、可変の接続力を容易に実現することができる。
【0016】
さらに、巻き取又は展開過程における導電膜層1004の損傷および破断の確率を低下するために、
図1に示されるように、接続層100はまた、導電膜層1004と積層された緩衝膜層1006を含むことができる。このとき、緩衝膜層1006の導電膜層1004との反対側は第2表面1002であり、導電膜層1004の緩衝膜層1006との反対側は第1表面1000である。また、上記接続層群20の1対の接続層100における2つの緩衝膜層1006は互いに接触され、2つの緩衝膜層1006の対向して設置された2つの表面の間に固定接続部品は存在しない。2つの緩衝膜層1006の対向して設置された2つの表面の間における摩擦力は閾値未満である。上述の緩衝膜層1006を設置することは、巻き取り又は展開過程中の表示モジュール10の各膜層の間に受ける摩擦応力を低減し、表面摩耗を低減し、表示効果を保証することができる。選択的に、前述の緩衝膜層1006は、コーティングなどの手段によって導電膜層1004の表面に形成することができる。緩衝膜層1006は、良好な絶縁性、滑らかな表面、小さな摩擦係数及び優れた耐摩耗性を備えたいくつかの材料から選択することができる。たとえば、その材料は有機物(たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、変性ナイロン、ポリエチレンなど)であってもよい。
【0017】
また、通電時の導電膜層1004の吸着能力及び緩衝効果を確保するために、上記接続層100の厚さは20ミクロン以上であり、例えば、30ミクロン、40ミクロンなどであっってもよい。ここで、導電膜層1004および緩衝膜層1006の厚さはそれぞれ10ミクロン以上であり、例えば、15ミクロン、20ミクロンなどである。
【0018】
他の実施形態では、接続層100の構造設計も他のものとすることができる。例えば、前記接続層100は粘性部材を含むことができる。粘性部材の粘着力は温度の変化によって変化する。粘性部材は、エポキシ樹脂接着剤、ポリウレタン接着剤及び感圧接着剤のうち少なくとも1つを含むことができる。これらの材料からなる粘性部材の粘性は、温度の変化に伴って大きく変化することができる。
【0019】
例えば、上記接続層100は吸着能力を有する熱膨張部材を含むことができ、且つ2つの接続層100の熱膨張部材の間隔が変化することができ、それにより、熱膨張部材を接触させるか(すなわち、第2接続力)または分離させる(すなわち、第1の接続力)ことができる。負熱膨張部材を例に取ると、負熱膨張部材は弾性本体及び弾性本体にドープされた負熱膨張材料で形成されてもよい。該ドープされた負熱膨張材料は粒子状、ストリップ状等であってもよい。該弾性本体は変形しやすく且つ吸着能力を有する弾性体等であってもよい。該負熱膨張材料はランタニド鉄ーシリカLa(Fe、Si)13化合物(lanthanide iron-silica La(Fe,Si)13 compound)、反ペロブスカイト化合物Mn3AN(A=Zn、Ga、Cu)(anti-perovskite compound Mn3AN (A=Zn, Ga, Cu))、ジルコニウムタングステンオクタオキシドZrW2O8(zirconium tungsten octaoxide ZrW2O8)、ハフニウム タングステン八酸化物HfW2O8(hafnium tungsten octaoxide HfW2O8)のうちの少なくとも1つから作られてもよい。
【0020】
さらに別の実施形態において、
図2を参照すると、
図2は本出願の巻き取り可能な表示モジュールの別の実施形態の構造模式図である。該接続層100は接続層100を分離する少なくとも1つの分離領域を含む。分離領域に接着層104で満たされ、分離領域は積層方向に2つの第1膜層22と固定的に接続される。ある場合には、表示モジュール10の長さが比較的長く、長さが長い表示モジュール10の巻き取りまたは展開過程中に、第1接続力を有する膜層の間に位置ずれ及び皺が発生する確率を低下させるために、上記接着層104が設置される。
【0021】
好ましくは、
図2に示すように、表示モジュール10の展開方向(
図2に破線矢印で示す)において、接続層100は複数の間隔をあけて設置されたサブ接続層1008を含み、隣接するサブ接続層1008の間に接着層104が設置される。すなわち、上記展開方向に垂直する方向に、分離領域の幅は接続層100の幅と同じである。接続層100は分離領域によって複数の独立したサブ接続層1008に分割される。一方では、該設計方式は表示モジュール10が巻き取り又は展開過程において第1接続力を有する膜層の間に位置ずれ及び皺が発生する確率を低下させることができる。他方では、該設計方式は後続の各サブ接続層1008がそれぞれ対応する回路を介して接続力制御機構に接続され、それにより、各サブ接続層1008の接続力を単独で制御することができ、柔軟性が高い。
【0022】
さらに、表示モジュール10の展開方向において、サブ接続層1008のサイズ(すなわち長さ)は接着層104のサイズ(すなわち長さ)の10倍以上である。例えば、サブ接続層1008の長さは接着層104の長さの15倍または20倍等である。上記設計方式におけるサブ接続層1008の長さは接着層104の長さより遥かに長く、これにより、表示モジュール10をロール紙の形態に類似して設計することができる。該設計方式は各膜層間に受ける引張応力を大幅に低減することができると同時に、さらに表示モジュール10の巻き取り又は展開過程中に、第1接続力を有する膜層の間に位置ずれ及び皺が発生する確率を低下させる。
【0023】
もちろん、他の実施例において、展開方向に垂直な方向に、分離領域の幅は接続層100の幅より小さくてもよく、接続層100は単一の一体部品である。
【0024】
引き続き
図2を参照すると、本出願に提供される表示モジュール10における膜層はさらに積層されて設置された偏光層106、表示層102及び支持層108を含むことができる。表示モジュール10の厚さを減少させるために、該偏光層106は偏光機能を有するカバープレートであってもよい。表示層102は積層されて設置された発光層、アレイ層及び支持膜を含むことができる。発光層はアレイ層に対して偏光層106に近接して設置される。該支持膜は発光層及びアレイ層自体の反りの確率を低下させることに用いることができる。支持層108は鋼板等であってもよく、表示層102を支持することに用いられ、表示層102の摩耗確率を低下させる。
【0025】
図1または
図2に示すように、上記の少なくとも1つの接続層群20は1つの接続層群20からなる。上記の2つの第1膜層22はそれぞれ偏光層106および表示層102である。接続層群20は偏光層106と表示層102との間に設置される。接続層100の構造が導電膜層1004の設置方式を採用する場合、
図2に示すように、表示層102と偏光層106との間には、2つの接続層100からなる接続層群20が設置される。接続層群20の一方の接続層100の導電膜層1004は、表示層102に固定的に接続される。接続層群20の他方の接続層100の導電膜層1004は、偏光層106に固定的に接続される。接続層100の構造が熱膨張部材または粘性が変化できる粘性部材を採用する場合、偏光層106と表示層102との間に2つの接続層100が設置され、且つ接続層100の一方の表面は偏光層106あるいは表示層102に固定的に接続されることができ、2つの接続層100の対向して設置された表面の間における接続力が可変である。あるいは、接続層100の構造が熱膨張性部材または粘性が変化できる粘性部材を採用する場合、偏光層106と表示層102との間に1層の接続層100のみが設置されることができ、接続層100の一方の側表面は、偏光層106および表示層102中の一つと固定的に接続されることができ、接続層100の他方の側表面と偏光層106および表示層102中の他方との間における接続力は可変である。
【0026】
あるいは、
図3に示すように、上記少なくとも1つの接続層群20は1つの接続層群20からなる。上記2つの第1膜層22はそれぞれ表示層102及び支持層108である。表示層102と支持層108との間に接続層群20が設置される。接続層100の構造が導電膜層1004の設置方式を採用する場合、
図3に示すように、表示層102と支持層108との間には、2つの接続層100からなる接続層群20が設置される。接続層群20の一方の接続層100の導電膜層1004は、表示層102に固定的に接続される。接続層群20の他方の接続層100の導電膜層1004は、支持層108に固定的に接続される。
【0027】
あるいは、
図4に示すように、上記少なくとも1つの接続層群20は2つの接続層群20からなる。上記複数の膜層は、2つの第1膜層22に積層された一つの第2膜層24も含む。上記の2つの第1膜層22および一つの第2膜層24は、それぞれ偏光層106、表示層102および支持層108である。偏光層106、表示層102および支持層108は、順番に積層され、且つ2つの接続層群20が偏光層106、表示層102および支持層108中の2つの間に位置される。すなわち、偏光層106と表示層102との間に一つの接続層群20が設置され、表示層102と支持層108との間に別の接続層群20が設置される。表示効果に影響を与えないために、表示モジュール10における表示層102の出光面側に位置する接続層100(例えば、偏光層106と表示層102との間の接続層100)は、光透過率の高い材料(例えば透明な酸化インジウムスズ膜など)を採用し、表示層102の非出光面側に位置する接続層100(例えば、表示層102と支持層108の間の接続層100)は、光透過率の高い材料を採用することができ、光透過率の低い材料を採用することができる。
【0028】
また、製造プロセスの難度を低下させるために、
図2に示すように、上記偏光層106、表示層102及び支持層108は全体の層状構造を呈する設計であってもよい。即ち、接続層100の分離領域は対応する偏光層106、表示層102および支持層108の位置に延伸しない。
【0029】
また、
図5を参照すると、少なくとも1つの接続層群20が1つの接続層群20からなる。2つの第1膜層22は偏光層106及び層間絶縁層101である。複数の膜層は層間絶縁層101の偏光層106と反対側に位置する表示層102を含む。1対の接続層100はそれぞれ導電膜層1004を含む。層間絶縁層101は表示層102と表示層102の隣接する導電膜層1004との間に位置される。すなわち、偏光層106と層間絶縁層101との間に一つの接続層群20が設置され、表示層102は隣接する導電膜層1004と直接に接触されない。前記層間絶縁層101を設置するにより、静電気の発生確率を低減することができる。必要に応じて、層間絶縁層101の材料は、無機または有機であってもよい。
【0030】
図6~
図7を参照すると、表示装置は一般にケーシング12を含む。ケーシング12は、上述の実施形態のいずれかで言及された表示モジュール10を収容することに用いられる。また、ケーシング12には、巻き取り制御機構14及び接続力制御機構16も収納されることができる。
【0031】
ここで、巻き取り制御機構14は、表示モジュール10を駆動して巻き又は展開するために用いられる。巻き取り制御機構14はモーターを含むことができる。モーターの出力端は表示モジュール10の一端に接続されることができる。モーターの出力端の回転速度を制御することにより、表示モジュール10の巻き取り又は展開の速度を制御することができ、モーターの出力端の回転方向を制御することにより、表示モジュール10の巻き取り又は展開を制御することができる。例えば、モーターの出力端が時計回りに回転すると、表示モジュール10が巻き取られる。モーターの出力端が反時計回りに回転すると、表示モジュール10が展開される。
【0032】
接続力制御機構16は、表示モジュール10の巻き取りまたは展開過程中に接続層100の第2表面1002の間に存在する第1接続力を制御することに用いられ、及び表示モジュール10の表示過程中に少なくとも表示領域における第2表面1002の間に存在する第2接続力を制御することに用いられる。例えば、接続層100の構造が導電膜層1004の設置方式を採用する場合、接続力制御機構16は電荷発生装置であってもよい。電荷発生装置は接続層群20の2つの導電膜層1004とそれぞれ接続され、表示過程中に少なくとも表示領域における接続層群20の2つの導電膜層1004がそれぞれ正電荷及び負電荷を有することを制御することに用いられる。これにより、接続層群20における2つの接続層100が緊密に貼合される。別の例として、接続層100の構造が熱膨張部材または粘性部材を採用する場合、接続力制御機構16は加熱装置であってもよい。加熱装置は熱膨張部材または粘性部材の温度を制御する。
【0033】
表示装置の動作効率および自動化レベルを向上するために、本出願によって提供される表示装置はプロセッサ18を含むこともできる。プロセッサ18は、ケーシング12の内部に収容される。プロセッサ18は巻き取り制御機構14および接続力制御機構16と結合され、巻き取り制御機構14に巻き取りコマンドまたは展開コマンドを送信して、接続力制御機構16に第1接続力制御コマンドを送信するために用いられ、巻き取り制御機構14からフィードバックされる展開完了コマンドを受信し、第2接続力制御コマンドを接続力制御機構16に送信するために用いられる。
【0034】
場合によっては、表示モジュール10が展開されるときに完全に展開されない。すなわち、その有効表示面積が100%ではなく、これにより、表示装置全体の消費電力を低減できる。
図2に示すように、表示モジュール
10の展開方向において、接続層
100は、間隔をあけて設置された複数のサブ接続層1008を含む。各サブ接続層1008は、接続力制御機構16に電気的に接続される。接続力制御機構16は、現在の表示領域を含むサブ接続層1008と隣接する膜層との間に存在する第2接続力を制御するために使用される。例えば、
図2に示すように、現在の表示領域の長さはL1であり、現在の表示領域を覆うサブ接続層1008と隣接する膜層との間に存在する第2接続力を制御することができる。第2接続力が存在するサブ接続層1008の長さL2はL1以上である。他の残りのサブ接続層1008については、接続力制御機構16は、それらが第1接続力を有するように制御することができる。
【0035】
さらに、表示装置全体の消費電力をさらに低減するために、表示装置は、プロセッサ18に結合された表示制御機構11をさらに含むことができる。表示制御機構11は表示モジュール10が展開完了した後、表示モジュール10の現在の実際の表示領域を検出し且つ獲得し、且つ該実際の表示領域をプロセッサ18に送信することに用いられる。それにより、プロセッサ18が現在の実際の表示領域に画像を表示し、他の非実際の表示領域に画像を表示しないことを制御する。
【0036】
具体的な応用シナリオでは、上記の表示装置のワークフローは以下のとおりである。
【0037】
プロセッサ18は、展開トリガコマンドを受信すると、展開コマンドを巻き取り制御機構14に送信し、及び第1接続力制御コマンドを接続力制御機構16に送信する。それにより、巻き取り制御機構14が表示モジュール10を駆動して展開させ、且つ接続力制御機構16は表示モジュール10の同じ接続層群20における2つの接続層100の第2表面1002が相互に分離するように制御する。
【0038】
プロセッサ18は、展開完了コマンドを受信すると、接続力制御機構16に第2接続力制御コマンドを送信し、それにより接続力制御機構16が表示モジュール10の少なくとも表示領域にある同じ接続層群20における2つの接続層100の第2表面1002の間に緊密に貼合されること制御し、プロセッサ18は、現在の表示領域に画像を表示するように制御する。
【0039】
プロセッサ18は巻き取りトリガコマンドを受信すると、プロセッサ18は現在の表示領域への画像の表示を停止するように制御し、及び巻き取り制御機構14に巻き取りコマンドを送信し、接続力制御機構16に第1接続力制御コマンドを送信し、これにより巻き取り制御機構14が表示モジュール10を巻き取るように駆動し、接続力制御機構16は表示モジュール10の同じ接続層群20における2つの接続層100の第2表面1002が相互に分離するように制御する。
【0040】
以上は本出願の実施形態に過ぎず、それによって本出願の特許範囲を制限するものではなく、本出願の明細書及び図面の内容を利用して行われる等価構造又は等価プロセス変換、又は他の関連する技術分野に直接又は間接的に適用されるものは、いずれも同様に本出願の特許請求の範囲内に含まれる。