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特許7465420携帯型電気化学顕微鏡装置、携帯型電気化学顕微鏡装置を含むキット、及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】携帯型電気化学顕微鏡装置、携帯型電気化学顕微鏡装置を含むキット、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/416 20060101AFI20240404BHJP
   G01N 27/30 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G01N27/416 302Z
G01N27/30 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021500939
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 FR2019051681
(87)【国際公開番号】W WO2020012097
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】1856295
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518131632
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(73)【特許権者】
【識別番号】518048101
【氏名又は名称】サントレ ナティオナル ド ラ ルシェルシェ シアンティフィク
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャリエ, ガエル
(72)【発明者】
【氏名】ダブレット, オーレリアン
(72)【発明者】
【氏名】ドウニョー, ギュイ
(72)【発明者】
【氏名】クールニュ, ルノー
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-261923(JP,A)
【文献】特開2016-151575(JP,A)
【文献】特表2008-514927(JP,A)
【文献】特表2013-525760(JP,A)
【文献】特表平10-511184(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0314093(US,A1)
【文献】国際公開第2014/024187(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/49
G01Q 60/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型電気化学顕微鏡装置であって、
・ユーザのための把持面(21A,31A,41A)、及び、分析対象の基板の表面上に支持され得る座面(21B,31B,41B)を有する本体(21,31,41)と、
・前記本体内に形成された、電解質を受け入れるように構成された電解チャンバ(22,32,42)であって、前記座面に通じる開口部を含む電解チャンバ(22,32,42)と、
・前記電解チャンバ内に配置された、遠位端(232,432)を有する作業プローブ(23,43)であって、前記座面(21B,31B,41B)を通過する平面から予め決められた距離に前記遠位端(232,432)が位置するように配置されている作業プローブと、を備えた携帯型電気化学顕微鏡装置。
【請求項2】
前記作業プローブ(23,43)が前記本体(21,31,41)に、前記作業プローブの前記遠位端が前記座面(21B,31B,41B)を通過する面に対して固定されるように取り付けられている、請求項1に記載の携帯型電気化学顕微鏡装置
【請求項3】
さらに、前記座面(41B)に対する前記作業プローブ(43)の移動を可能にするように構成された位置決め装置(44)を備えた、請求項1に記載の携帯型電気化学顕微鏡装置
【請求項4】
前記位置決め装置(44)が、可動部材(441)及び駆動機構(442)を含み、前記可動部材が、作業プローブ(43)を支持するように、且つ、前記本体(41)に対して並進移動軸に沿って並進移動されることが可能であるように構成されており、前記駆動機構(442)が前記可動部材(441)を前記本体(41)に対して移動させるように構成されている、請求項3に記載の携帯型電気化学顕微鏡装置
【請求項5】
前記携帯型装置の前記本体(41)がガイドハウジング(411)を含み、当該ガイドハウジングと前記可動部材(441)とが、前記可動部材が前記本体に対して並進ガイドされるように構成されている、請求項4に記載の携帯型電気化学顕微鏡装置
【請求項6】
前記駆動機構が、基準面(442A)及び可動面(442B)を有するマイクロメトリックねじ(442)を含み、当該マイクロメトリックねじが、前記可動面から前記基準面までの離間距離の修正を可能にするように構成され、照面が、前記本体(41)に堅固に接続されるように構成され、且つ、前記可動面が、前記可動部材(441)に堅固に接続されるように配置されている、請求項4または請求項5に記載の携帯型電気化学顕微鏡装置
【請求項7】
前記可動部材(441)が、前記作業プローブ(43)を受け入れるためのハウジング(4412)、及び取り付け部材(4413)を含み、前記受け入れハウジングが、前記作業プローブ(43)の近位端(431)を受け入れるように構成され、且つ、前記取り付け部材(4413)が、前記作業プローブ(43)を前記可動部材(441)に取り付けるように構成されている、請求項4~6のいずれか一項に記載の携帯型電気化学顕微鏡装置
【請求項8】
前記位置決め装置(44)が、前記可動部材(441)を前記駆動機構(442)に可逆的に接続するように構成された一時的な接続機構(4415)をさらに含む、請求項4~7のいずれか一項に記載の携帯型電気化学顕微鏡装置
【請求項9】
少なくとも1つの追加の作業プローブをさらに含み、当該追加の作業プローブの各々が、前記電解チャンバ(42)内に配置された遠位端を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の携帯型電気化学顕微鏡装置
【請求項10】
前記本体(31)が円筒状セクション(311)及びテーパーセクション(312)を含み、前記円筒状セクションが、回転シリンダを形成している外面を有し、前記テーパーセクションが、錐台を形成している外面を有し、前記錐台が、前記円筒状セクションに堅固に接続された第1ベースと、前記座面(31B)を形成している第2ベースとの間でフレア状に拡がっている、請求項1~9のいずれか一項に記載の携帯型電気化学顕微鏡装置
【請求項11】
前記本体(41)が、前記本体の外面(41A)と前記電解チャンバ(42)との間に延在している電解質注入オリフィス(414)を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の携帯型電気化学顕微鏡装置
【請求項12】
電解質が充填された、請求項1~11のいずれか一項に記載の携帯型電気化学顕微鏡装置(20,30,40)と取扱説明書とを備えた電気化学顕微鏡キット。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の携帯型電気化学顕微鏡装置(20,30,40)と、電解質を収容している容器と、取扱説明書とを備えた電気化学顕微鏡キット。
【請求項14】
前記電解質がゲル化剤を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の携帯型電気化学顕微鏡装置、又は請求項12または請求項13に記載のキット。
【請求項15】
表面を分析、特性評価、及び/又は局所的に修正するための、請求項1~11のいずれか一項に記載の携帯型電気化学顕微鏡装置又は請求項12または請求項13に記載のキットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学による表面の分析、特性評価、及び局所的修正の分野に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、携帯型(又はハンドヘルド型)電気化学顕微鏡装置に関し、この装置は、先行技術の走査型電気化学顕微鏡(SECM)装置と同一の性能を提供し、尚且つ、これらの先行技術装置により(具体的には、装置の電気化学セルの限られた寸法により、並びに、走査を実行及び制御するためにこれらの装置内に設置される電気的素子及び/又は機械的要素の寸法により)もたらされる制約を回避することを可能にする。
【0003】
本発明はまた、このような携帯型装置を含むキット、並びに、この装置及びこれらのキットの使用に関する。
【0004】
本発明は、SECMを使用する分野の全てに適用可能である。しかし、この技術を使用して、大きいサイズ又は複雑な形状の部品の表面を調査及び/又は局所的に修正しようとする場合、非常に特別な利点を有する。これらは、例えば、
-これらの部品に含まれるコーティング(絶縁体、半導体、又は導体)の製造上の欠陥、例えば不均一性を検出すること、
-部品の表面又は表面に含まれるコーティングの局所的多孔性を検出すること、
-腐食から自然に保護されている(チタン若しくはスチール部品のように、薄い不動態化酸化物層を形成する)か、又は、劣化し得る耐食コーティングを施されている部品の局所的な腐食を検出すること、或いは、
-部品の表面を、例えば、金属若しくはポリマーの局所的堆積により、又はこの表面の局所的エッチングにより微細構造化することである。
【背景技術】
【0005】
SECMは、局所プローブ顕微鏡技術であり、この技術によりサンプルの表面を、電気化学により検査し、イメージングするだけでなく、局所的に修飾することが可能であり、これは、超微小電極(又はUME)と称される小型電極であるプローブを使用してこの表面を走査することにより行われる。
【0006】
アレン・J・バード(Allen J Bard)教授と彼のチームにより1980年代後半に発明されたこの技術は、一方では電極の小型化、他方では、非常に弱い電流を測定できることによる、電気化学における重要な進歩である。
【0007】
この技術は科学界で特に注目されてきた。なぜなら、この技術は非常に有効なツールであり、生物細胞の特性を明らかにするための生物学、複雑な反応メカニズムを解明するための分子電気化学、或いは新しい触媒の開発のための材料科学における、又は実際に材料の劣化若しくは腐食を研究するための迅速な反応速度の研究などの様々な分野で適用されると見なされているからである。
【0008】
現在、SECMは、典型的な例が図1に概略的に示されている装置で使用されている。この図が示しているように、この装置(参照番号1)は、以下を含む。すなわち、
-電解液15が充填されるとみなされる電気化学セル10であって、良好な導電性を可能にする塩(無機又は有機)及び/若しくは電気活性(電気酸化又は電気還元)種、又はレドックスメディエータを任意選択的に含み、動作状態下で、この電気化学セル10内に、分析対象のサンプル11、UME12、対電極13、及び任意選択な参照電極14が浸漬される電気化学セル10と、
-動作状態下で電位がUME12にのみ印加されることが意図されている場合のポテンシオスタット、又は、図1に示されているように動作状態下で電位がサンプル11及びUME12の両方に印加されることが意図されている場合のバイポテンシオスタット16と、
-分析対象のサンプル11に対してUME12を位置決めし、且つこの位置決めを制御するための位置決めシステムと、
-データの取得及び処理のためのコンピュータシステム17と、であり、すなわち、UME12でサンプル11の表面をスキャンしている間に電流が測定され、この電流は、具体的には、サンプル11の表面からUME12を離隔する距離、及び、この表面の特性に依存する。
【0009】
UME12と分析対象のサンプル11との相対的位置決めのために、2種類のシステムが存在する。すなわち、
図1に示されているシステムであり、電気化学セル10が、x方向及びy方向に移動できる可動プレート18上にあり、且つ、UME12が、z方向、すなわち、サンプル11の表面に対して垂直方向の、電動アーム19を使用した運動をするように設定されているシステムと、
-電気化学セル10が固定され、且つ、UME12が、これもまた電動アームによる3方向、すなわちx方向、y方向及びz方向の運動をするように設定されているシステムである。
【0010】
従って、SECM装置には2つの制約がある。第1は、これらの装置の作業に適しているのは、電気化学セルの寸法に合った寸法のサンプル上でのみであるという制約であり、これにより、SECMを使用して大きい寸法又は複雑な形状の部品の表面を調査することは不可能であり、可能にするには、これらの部品を破壊してサンプルを取り出すか、或いは、比較対照サンプル(これらの部品自体ではなく、これらの部品を代表するものと推定される)で作業しなければならない。第2は、UMEをサンプルに対して位置決めし、この位置決めを制御するためのシステムのサイズに関する制約である。
【0011】
SECMが現在も学術研究所又は産業調査研究機関の技術のままであるのは、このような理由による。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明者らは、先行技術のSECM装置と同一の適用可能性を提供し、且つ同一の電気化学的情報を提供しつつ、これらの装置により課される制約を回避することを可能にする電気化学顕微鏡装置を提供するという目的を設定した。
【0013】
具体的には、本発明者らは、携帯可能な電気化学顕微鏡装置であって、部品の表面を、部品の製造場所又は部品の使用場所で調査又は修正することを可能にする電気化学顕微鏡装置を提供するという目的を設定した。本発明のさらなる目的は、設計、製造、及びメンテナンスのコストが産業規模での使用に適合する携帯型電気化学顕微鏡装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの様々な目的は、スタイラスの形態の電気化学セルの適合に基づく本発明により達成され、電解質が、分析対象の基板の表面に局所的に当てられ、これは、前記スタイラスの一端を前記分析対象の基板の前記表面に接触させることにより行われる。従って、前記基板の全体を電解液に浸漬させる必要は、もはやない。作業プローブと前記分析対象の基板の前記表面との間の媒体として使用される前記電解質は、この表面の高さにて局所的に供給される。このように形成された装置が、前記基板の前記表面上の複数のポイントを分析することを、当該装置がこれらのポイントのそれぞれの上に移動されることにより、依然として可能にする。
【0015】
より具体的には、本発明は、まず第1に、以下を含む携帯型電気化学顕微鏡装置に関する。すなわち、
・ユーザのための把持面、及び、分析対象の基板の面上に支持されることができる座面を有する本体と、
・前記本体内に形成された、電解質を受け入れるように構成された電解チャンバであって、前記座面に通じる開口部を含む電解チャンバと、
・前記電解チャンバ内に配置された、遠位端を有する作業プローブと、である。
【0016】
前記本体上に設けられている前記把持面は、好ましくは、ユーザが取り扱い得るように構成されている。前記把持面は、例えば、円形の断面を有する円筒状の面の形で提供される。前記装置の直径は、前記装置を片手で(例えばスタイラスのように)保持できるように、0.5cm(センチメートル)~10cmであり得る。また、前記把持面を、円筒状の又は非円筒状の(例えば正方形又は六角形などの多角形の断面を有する)面の形態で提供してもよい。さらに、前記把持面を、ハンドルを形成するような輪郭にしてもよい。
【0017】
前記本体上に設けられた前記座面は、好ましくは、分析対象の前記基板の表面に適応できるように構成される。前記座面は湾曲していても、又は平坦であってもよい。前記座面は0.2cm(平方センチメートル)~100cmの表面積を有して前記本体に内接(inscribe)され得る。
【0018】
前記電解チャンバは、好ましくは、測定中又は一連の測定の間、前記電解質を収容できるように構成される。こうして、前記電解チャンバは、有利なことに、前記電解質を透過させない壁を有する。前記電解チャンバの容積は、例えば0.04cm(立方センチメートル)~400cmであり、有利には、0.5cm~2cmである。
【0019】
原則として、前記携帯型装置は、好ましくは、以下のように構成される。すなわち、使用中に前記座面が前記基板に接触し、前記電解質は、一方では前記電解チャンバにより他方では前記基板により区切られた容積に収容され、前記基板及び前記作業プローブの遠位端の両方に接触する。
【0020】
前記作業プローブは、典型的に、ガラス毛細管を含む電極と、当該毛細管に密封された導線とにより構成される。前記導線は、例えば、金、白金、又は炭素繊維から作られる。前記作業プローブは円筒形状であり得る。好ましくは、前記作業プローブは、その長手方向軸が前記本体の座面を通過する平面に垂直になるように構成される。湾曲した座面の場合、この座面を通過する平面は、前記座面の少なくとも1つの点を通過する平面として定義される。前記作業プローブの直径は、10μm(マイクロメートル)~100μmであり得、好ましくは、20μm~50μmである。一般的に、前記プローブの直径は、要求される測定分解能に従って決定される。さらに、前記作業プローブは、有利には、その遠位端が、前記本体の前記座面を通過する平面から予め決められた距離に配置されるように構成される。当該予め決められた距離は、例えば0μm~200μm、5μm~200μm、又は、5μm~150μmである。
【0021】
第1の代替実施形態によれば、前記作業プローブは、前記本体に、前記作業プローブの遠位端が前記座面を通過する平面に対して固定されるように取り付けられる。その場合、前記基板と前記作業プローブの遠位端とを隔てる距離は一定である。
【0022】
第2の代替実施形態によれば、前記携帯型装置は、前記座面に対する作業プローブの移動を可能にするように構成された位置決め装置をさらに含む。有利には、当該位置決め装置は、前記座面を通過する平面に垂直な並進軸に沿った移動を可能にするように構成される。こうして、前記位置決め装置は、前記作業プローブを前記基板から所望の距離に配置することを可能にする。前記作業プローブと前記基板との間の距離は、前記作業プローブと前記本体の前記座面を通過する前記平面との間の距離に実質的に対応している。
【0023】
前記位置決め装置は、詳細には、可動部材及び駆動機構を含み得る。前記可動部材は、前記作業プローブを支持し、且つ前記本体に対して移動できるように構成されている。前記可動部材は、特に、前記本体に対して並進軸に沿って並進移動できるように構成され得る。前記駆動機構は、前記可動部材を前記本体に対して移動させるように構成される。
【0024】
特定の実施形態によれば、前記携帯型装置の前記本体はガイドハウジングを含み、当該ガイドハウジング及び前記可動部材は、前記可動部材が前記本体に対して並進ガイドされるように構成されている。前記ガイドハウジング及び前記可動部材は、例えば、相補的な円筒状を有する。
【0025】
前記駆動機構は、詳細には、電気機械式アクチュエータ、例えば圧電モータ又はステップモータを含み得る。このようなアクチュエータは、比較的小さい振幅の運動を誘発し、前記作業プローブの約数μmの分解能での位置決めを可能にする。
【0026】
また、前記駆動機構が手動アクチュエータを含んでもよい。具体的には、前記駆動機構はマイクロメトリックねじを含み得る。当該マイクロメータねじは、基準面及び可動面を有し、且つ、当該基準面と当該モバイル面とを隔てる距離を変更できるように構成される。前記基準面は前記本体に堅固に接続されるように構成され、前記可動面は前記可動部材に堅固に接続されるように構成される。
【0027】
特定の実施形態において、前記可動部材は、前記作業プローブを受け入れるためのハウジングと、取り付け部材とを含む。当該受け入れハウジングは、前記作業プローブの近位端を受け入れるように構成され、当該取り付け部材は、前記作業プローブを前記可動部材に取り付けるように構成される。詳細には、前記可動部材は、前記作業プローブをその近位端の高さにて取り付けるように構成され得る。第1の実施形態の例において、前記受け入れハウジングは、前記作業プローブの直径よりも大きい直径を有する回転円筒状オリフィスを含み、前記取り付け部材は、前記作業プローブを前記円筒状オリフィスの面に押し付けることができるように構成されたねじを含む。第2の実施形態の例においては、前記受け入れハウジングは、前記近位端が隆起部を有する前記作業プローブに適合されており、第1回転円筒状オリフィス及び第2回転円筒状オリフィスを含む。これらの2つのオリフィスは同心円状である。前記第1オリフィスは、一方では前記電解チャンバに、他方では前記第2オリフィスに開口している。前記第1オリフィスの直径は、前記作業プローブ本体の直径よりも大きく、且つ前記隆起部の直径よりも小さい。前記第2オリフィスは開口部であり、前記隆起部の直径よりも大きい直径を有する。こうして、前記第2オリフィスは、前記隆起部を受け入れるための凹部を形成している。そして、前記取り付け部材は、エラストマー材料製のプラグから成っていてよく、当該プラグの寸法は、前記第2オリフィスを塞ぎ、且つ前記作業プローブの脱離を防止できるように構成されている。
【0028】
前記位置決め装置は、前記可動部材を前記駆動機構に可逆的に接続するための一時的な接続機構をさらに含み得る。第1の実施形態の例において、この一時的な接続機構は永久磁石を含み、当該永久磁石は前記可動部材又は前記駆動機構に堅固に接続されており、且つ、前記機構又は前記可動部材に堅固に接続された金属要素に接続できるように構成されている。前記接続機構は複数の永久磁石を含み得る。第2実施形態の例において、前記一時的な接続機構は、弾性変形により接続可能な1組の雄-雌部品を含み、当該部品の一方が前記可動部材に堅固に接続され、当該部品の他方が前記駆動機構に堅固に接続されている。
【0029】
特定の実施形態によれば、前記携帯型装置は、少なくとも1つの追加の作業プローブをさらに含み、当該追加の作業プローブは、各々、前記電解チャンバ内に配置された遠位端を有する。前記携帯型装置は、具体的には、2つ、3つ、若しくは4つの追加の作業プローブ、又は、3つ、4つ、若しくは5つの作業プローブを含み得る。当該作業プローブは上述の作業プローブと同一のタイプであり得る。それらは特に、互いに同一であり得る。前記プローブは、それらの遠位端の全てが、前記座面を通過する平面に対して同一距離に配置されるように構成され得る。こうして、前記プローブは、前記携帯型装置を動かすことなく測定ポイントを増倍できる。前記プローブは、円形状又は星形状を形成するように、軸に沿って位置合わせされるように構成され得る。代替実施形態において、少なくとも2つの作業プローブが、前記座面を通過する平面に対して当該作業プローブの遠位端が別々の距離に配置されるように構成され得る。前記携帯型装置が、駆動機構により移動され得る可動部材を含む場合、前記追加の作業プローブは、有利には、前記作業プローブの全てが同一の運動に従うように前記可動部材に取り付けられる。
【0030】
前記実施形態と互換性のあるさらなる特定の実施形態によれば、前記携帯型装置は、さらに、いわゆる標準化プローブを含む。前記作業プローブ(複数可)と同一タイプであるこのプローブは、その遠位端が、前記座面を通過する平面から無限の距離に位置するように構成される。この距離は、例えば、前記毛細管内に密閉された導線の高さの7倍以上の場合、無限と見なされる。前記標準化プローブは、無限の電流(すなわち、前記作業プローブが前記基板から無限の距離にあるときに作業プローブを通過する電流)を測定することを可能にする。前記標準化プローブは、前記携帯型装置の前記本体に対して固定されることができる。
【0031】
前記携帯型装置は、さらに、対電極、及び、任意選択的な参照電極を含み得る。これらの電極は、その遠位端が前記電解チャンバ内に配置されるように構成されている。第1の代替実施形態によれば、前記対電極(及び、該当する場合、前記参照電極)は前記本体に対して固定され、それにより、前記電極の遠位端は、前記本体の座面を通過する平面に対して固定されている。第2の代替実施形態によれば、前記対電極(及び、該当する場合、前記参照電極)は、前記座面に対して前記作業プローブと共に移動する。これらの電極は、例えば、前記位置決め装置の前記可動部材に取り付けられる。
【0032】
第1の実施形態において、前記携帯型装置の本体の外面は、回転シリンダを形成している。そして、前記把持面は前記本体の外面全体により形成され、前記本体はスタイラスの形態で提供される。
【0033】
第2の実施形態において、前記本体は、円筒状セクション及びテーパーセクションを含む。前記円筒状セクションは、回転シリンダを形成している外面を有し、前記テーパーセクションは、錐台を形成している外面を有し、この錐台は、前記円筒状セクションに堅固に接続された第1ベースと、前記座面を形成している第2ベースとの間にフレア状に拡がっている。前記第1ベースは、好ましくは、前記円筒状セクションの直径と等しい直径を有する。この実施形態において、前記把持面は、前記円筒状セクションの前記外面及び/又は前記テーパーセクションの前記外面により形成され得る。この実施形態の利点は、前記装置の把持面の寸法をユーザが取り扱い易いように維持したまま、前記装置のより良好な安定性のために比較的大きな座面を有し得ることである。
【0034】
特定の実施形態によれば、前記本体は、前記本体の外面と前記電解チャンバとの間に延在する電解質注入オリフィスを含む。この電解質注入オリフィスは、前記携帯型装置が動作位置にあり且つ前記座面が基板に接触しているときに、前記測定に必要な前記電解質を供給することを可能にする。前記本体は、前記電解質注入オリフィスに配置された逆止弁又はこのオリフィスを塞ぐことができるプラグを含み得る。
【0035】
さらに、前記本体は、1以上の接続ワイヤが前記作業プローブと前記本体の外部との間を通過できるように構成されたワイヤ通路開口部を含み得る。特に、前記携帯型装置の前記本体が前記可動部材の並進ガイドを可能にするガイドハウジングを含む場合、前記ワイヤ通路開口部を前記本体の外面と前記ガイドハウジングとの間に配置できる。
【0036】
また、本発明は、上述のような携帯型装置を含むキットに関する。
【0037】
第1の実施形態において、前記キットは、電解質が充填された前記装置、及び使用説明書を含む。
【0038】
さらなる実施形態において、前記キットは、前記装置と、電解質を収容する容器(例えば、密閉されたボトルタイプ)と、取扱説明書とを含む。
【0039】
本発明によれば、前記電解質は、液体形態又はゲル形態で提供され得る。
【0040】
前記電解質が液体形態で提供される場合、当該液体形態の電解質は、有利には、溶液中でイオン化可能な少なくとも1つの化合物、例えば無機塩若しくは有機塩、及び、任意選択に少なくとも1つのレドックスメディエータを含む水溶液又は有機溶液、或いは、少なくとも1つのレドックスメディエータを任意選択的に含むイオン液から成る。
【0041】
前記電解質がゲル形態で提供される場合、当該ゲル形態の電解質は、有利には、ゲル化剤(例えば、ゼラチン、ペクチン、寒天、アルギン酸塩、アラビアゴム、キサンタンガム、カラギーナンなど)を、上記に定義した水溶液若しくは有機溶液に、又は上記に定義したイオン液に添加することにより得られるゲルから成る。
【0042】
前記塩は、具体的には金属塩、詳細には、アルカリ金属、例えば、塩化ナトリウム又は塩化カリウムであり得る。
【0043】
レドックスメディエータに関し、レドックスメディエータは、SECMでの使用が提案されている全ての電気活性種から、前記SECM装置の意図される目的に応じて選択され得る。従って、レドックスメディエータは、無機性(例えば、ルテニウムヘキサアミン[Ru(NH3+/2+)又は、フェリ/フェロシアニド[Fe(CN))]3-/4-)であっても、有機金属性(例えば、フェロセン[FcCp+/0、及び、デカメチルフェロセンMe10[FcCp+/0)であっても、有機性(例えば、ドーパミン、若しくは、1,2-ナフトキノン)であってもよい。
【0044】
本発明は、さらに、表面を分析、特徴評価、及び/又は局所的に修正するための、上記に定義した装置、例えばキットの使用に関する。
【0045】
本発明のさらなる利点及び特徴は、以下の補足的な説明を読むことで明らかになろう。この説明は添付図面に言及し、また、本発明による装置の実施形態の例、並びにこの携帯型装置を検証する実験的テストに言及している。
【0046】
これらの例が、単に本発明の主題の例示として与えられ、この主題の限定を決して示すものではないことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】上記でコメントした先行技術によるSECM装置の典型的な例の概略図である。
図2】本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置の第1の実施形態例の長手方向断面図である。
図3】本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置の第2の実施形態例の斜視図である。
図4A】本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置の第3の実施形態例の長手方向断面図である。
図4B図4Aの携帯型装置の本体の斜視図である。
図4C図4Aの携帯型装置の本体の長手方向断面図である。
図4D図4Aの携帯型装置の可動部材の斜視図である。
図4E図4Aの携帯型装置のマイクロメータねじの正面図である。
図5】本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置(液体電解質を含む)にサイクリックボルタンメトリーテストを、いずれの基板からも遠ざけて行うことにより得られたボルタモグラムを示しており、この図において、縦軸は、装置のUMEで測定された電流の強度に対応し、記号Iが付されてnA(ナノアンペア)で表され、一方、横軸は、参照電極の電位に対してこのUMEに印加される電位に対応し、記号Eが付されてV(ボルト)で表されている。
図6】携帯型電気化学顕微鏡装置(液体電解質を含む)のUMEの先端を絶縁基板から無限遠(∞)に配置し、次にこの基板の表面に接触させるという動作の連続的な繰り返しから成るテストにより得られた、標準電流(standardized current)(記号I)の、時間の関数(記号tを付し、s(秒)で表されている)としての変化を示している。
図7】本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置(液体電解質を含む)のUMEの先端を最初に絶縁基板から無限遠(∞)に配置し、この先端を基板の表面から10μmの位置に来るまで40秒間にわたって徐々に基板に接近させることから成るテストで得られた接近曲線を示しており、この図において、縦軸は、標準電流(記号I)に対応し、一方、横軸は、時間(記号tを付し、s(秒)で表す)に対応している。
図8】本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置(液体電解質を含む)のUMEの先端を、最初に絶縁基板の表面から10μmの位置に配置し、この先端が基板から無限遠(∞)に位置するまで40秒間にわたって徐々に遠ざけることから成るテストで得られた距離曲線を示しており、この図において、縦軸は、標準電流(記号I)に対応し、一方、横軸は、時間(記号tを付し、s(秒)で表す)に対応している。
図9】本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置(液体電解質を含む)のUMEの先端を、最初に絶縁基板から無限遠(∞)に配置し、そしてこの基板の表面に、この先端が基板の表面から10μmの位置に来るまで10μmごとの連続ステップで近づけ、その後、UMEの先端を基板の表面から10μmごとの連続ステップで、この先端が基板から無限遠(∞)に位置するまで移動させることから成るテストで得られた接近曲線(左側の曲線)及び距離曲線(右側の曲線)を示しており、この図において、縦軸は、標準電流(記号I)に対応し、一方、横軸は、時間(記号tを付し、s(秒)で表す)に対応している。
図10】本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置(液体電解質を含む)のUMEの先端を、この装置が基板の表面に当てられたときにこの表面からこの先端が予め決められた距離(記号D)、すなわち、10μm、30μm、40μm、50μm、60μm又は100μmに位置するよう配置することから成るテストで得られた、時間(記号tを付し、s(秒)で表す)の関数としての標準電流の値(記号I)を示しており、この図において、三角形(△)は、基板の表面の第1のポイントに対する鉛直方向で得られた値に対応し、バツ(×)は、基板の表面の第2のポイントに対する鉛直方向で得られた値に対応し、円(〇)は、基板の表面の第3のポイントに対する鉛直方向で得られた値に対応している。
図11】本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置(液体電解質を含む)のUMEの先端を、絶縁基板の表面から50μmの距離に、この装置がこの表面に当てられたときにこの先端が位置するように予めセットすることから成るテストで得られた標準電流の値(記号I)を示しており、この図において、バツ(×)は、基板の表面の5つの異なるポイント(Pで表す)に対する鉛直方向で得られた値に対応している
図12図6と類似であるが、導電性基板に関する図である。
図13】本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置(液体電解質を含む)のUMEの、最初に導電性基板から無限遠(∞)に配置されている先端を、10μmごとの連続ステップで、この先端が基板の表面から10μmの位置に来るまで基板に近づけることから成るテストで得られた接近曲線を示し、この図において、縦軸は、標準電流(記号I)に対応し、一方、横軸は、時間(記号tを付し、s(秒)で表す)に対応している。
図14図5と類似であるが、電解ゲルを含む、本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置に関する図である。
図15図6と類似であるが、電解ゲルを含む、本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置に関する図である。
図16図12と類似であるが、電解ゲルを含む、本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置に関する図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
上記及び以下において、用語「絶縁性」(“insulating”)は「電気絶縁体」(“electrical insulator”)を意味し、用語「導電性」(“conductive”)は「導電体」(“electrical conductor”)を意味する。
【0049】
I-本発明による装置
図2は、本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置の第1の実施形態の例を長手方向縦断面図で示している。携帯型装置20は、本体21、本体21内に形成された電解チャンバ22、及び作業プローブ23を含む。本体21は、回転シリンダを形成している外面を有する。この外面はユーザのための把持面21Aを形成している。本体21の外径は0.5cm~10cmであり得、例えば2cm程度である。本体21の長さは3cm~20cmであり得、例えば6cm程度である。電解チャンバ22は本体21内に形成され、本体21の長手方向端部の一方(下端と称する)の面に開口している。この端部の残りの面が、携帯型装置20の座面21Bを形成している。電解チャンバ22は、例えば回転シリンダを形成し、回転シリンダの長手方向軸は本体21の長手方向軸と合体している。そして座面21Bは環状である。電解チャンバ22は、例えば、直径が1cm程度で、高さが0.5cm程度である。本体21は、さらに、作業プローブを受け入れるためのハウジング211、及び、ワイヤ通路開口部212を含む。受け入れハウジング211は、一方では電解チャンバ22に、他方ではワイヤ通路開口部212に開口している。受け入れハウジング211は作業プローブ23を受け入れるために設けられている。受け入れハウジング211の寸法は作業プローブ23の寸法に適合されている。これらの寸法は、例えば、クリアランスフィット(隙間嵌め)を可能にする。ワイヤ通路開口部212は、本体21内に、本体21の上端、すなわち、電解チャンバ22が形成されている端部の反対側の長手方向端部の面に開口するように形成されている。ワイヤ通路開口部212は、接続ワイヤ24が作業プローブの近位端231から本体21の外部に通過できるように構成されている。作業プローブ23は、その遠位端232が電解チャンバ22内に配置されるように構成されている。さらに、作業プローブ23は、その遠位端232が、座面21Bを通過する平面から予め決められた距離に配置されるように構成されている。作業距離と称されるこの距離は、例えば0μm~200μmである。作業プローブ23は、典型的に、回転シリンダの形状を有する。作業プローブ23の遠位端232は、平坦であっても、又は尖端を形成してもよい。作業プローブ23は本体21に対して固定されている。取り付けは、例えばボンディングにより行われる。プローブ23は、例えば、ガラス毛細管を含む電極と、毛細管に挿入された導線とから成る。このタイプの電極は、一般的に「超微小電極」(“ultramicroelectrode”)又は「UME」と称される。
【0050】
携帯型装置20は、以下のように使用されるのに適している。電解質が電解チャンバ22内に配置される。電解質は、液体形態又はゲル形態で提供され得る。ゲル形態は、電解チャンバ22内により容易に保持されるという利点を有する。そして、本体21は、本体21の把持面21Aを介してユーザにより取り扱われ、本体21の座面21Bが、分析対象の基板の表面に接触されるように操作される。そして、電解チャンバ22内に存在する電解質は、プローブの遠位端232及び基板の両方に接触する。この構成で、電気化学的顕微鏡測定を慣用的に実行できる。具体的には、一連の測定を、携帯型装置20を基板の表面上で手動で移動させることにより実行できる。従来のSECMとの違いは、分析対象の基板のサンプルが電解質浴に完全には浸漬されないことである。
【0051】
図3は、本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置の第2の実施形態の例を斜視図で示している。携帯型装置30は、図2を参照して説明した携帯型装置20と同様に、本体31、本体31内に形成された電解チャンバ32、及び、作業プローブ(図示せず)を含む。携帯型装置30は、本体31が円筒状セクション311及びテーパーセクション312を含むという点で上記の携帯型装置20とは異なる。円筒状セクション311は、回転シリンダを形成している外面を有し、テーパーセクション312は、錐台を形成している外面を有する。これらの2つのセクションの外面が把持面31Aを形成している。錐台は、円筒状セクション311の長手方向軸に沿って、円筒状セクション311に堅固に接続された第1ベースと、座面31Bを形成している第2ベースとの間でフレア状に拡がっている。電解チャンバ32はテーパーセクション312内に形成され、座面31Bの高さにて開放されている。作業プローブを受け入れるためのハウジング313がテーパーセクション312内に形成され、ワイヤ通路開口部314が円筒状セクション311内に形成されている。さらなる実施形態の例において、電解チャンバ32、及び、作業プローブを受け入れるためのハウジング313が、部分的に円筒状セクション311内に形成され得る。同様に、ワイヤ通路開口部314が、部分的にテーパーセクション312内に形成され得る。
【0052】
図2及び図3の実施形態の例において、作業プローブは装置の本体に対して、座面により形成された面から(従って基板から)作業プローブの遠位端が一定の距離に配置されるように取り付けられている。しかし、携帯型電気化学顕微鏡装置を、作業プローブの遠位端と座面により形成された面との間の距離を変更できるように構成することもできる。
【0053】
図4A図4B図4C図4D及び図4Eは、本発明による携帯型電気化学顕微鏡装置の第3の実施形態の例を長手方向断面図で示している。図4Aは、携帯型装置の要素を長手方向断面図で示し、図4B及び図4Cは、それぞれ、携帯型装置の本体を斜視図及び長手方向断面図で示し、図4Dは、携帯型装置の可動部材を斜視図で示し、図4Eは、マイクロメトリックねじを正面図で示している。携帯型装置40は、本体41、本体41内に形成された電解チャンバ42、作業プローブ43、及び位置決め装置44を含む。作業プローブ43は、近位端431、遠位端432、及び、近位端431と遠位端432との間に延在するプローブ本体433を含む。隆起部が、近位端431の高さに形成されている。位置決め装置44は、可動部材441及びマイクロメトリックねじ442を含む。マイクロメトリックねじ442は、ねじ本体4421、刻み付き調整ホイール4422、及びプッシャ4423を含む。ねじ本体4421は、詳細には、いわゆる基準面442Aを有し、プッシャ4423は、いわゆる測定面442Bを有する。既知の方法で、刻み付き調整ホイール4422の、ねじ本体4421に対する回転が、プッシャ4423をねじ本体4421に対して並進移動させる。ねじ本体4421と刻み付き調整ホイール4422との境界に配置された目盛スケール4424が、基準面442Aと測定面442Bとの間の距離の変化を測定することを可能にしている。携帯型装置40の本体41は外面を有し、この外面は、回転シリンダを形成し、且つ、ユーザのための把持面41Aを形成している。本体41は、長手方向第1端(上端と称する)に形成されたガイドハウジング411を含み、ガイドハウジング411は、可動部材441を受け入れるように、そして、可動部材441の、ガイドハウジング411の長手方向軸に沿った並進移動をガイドするように構成されている。ガイドハウジング411は全体的に回転円筒形状であり、本体41の長手方向軸に沿って延在するタブ4111を含む。可動部材441はガイドハウジング411と相補的な形状を有する。具体的には、可動部材441は溝4411を含み、この溝4411内に溝4111を挿入できる。こうして、可動部材441は、ガイドハウジング411内のスライドリンクに取り付けられる。本体41は、さらにプローブ通過オリフィス412を含み、プローブ通過オリフィス412は、作業プローブがガイドハウジング411と電解チャンバ42との間を通過すること可能にするように構成されている。電解チャンバ42は、本体41の長手方向第2端部(下端と称する)に形成されている。この下端は、携帯型装置40の座面41Bを形成する環状面を画成している。本体41は、さらに、マイクロメトリックねじ442の基準面442Aに接触するように構成された内側ショルダ413、電解質注入オリフィス414、及び、ワイヤ通路開口部415を含む。電解質注入オリフィス414は、本体の外面41Aと電解チャンバ42との間に延在している。これが、電解チャンバ42に電解質を、例えばシリンジを使用して注入することを可能にしている。ワイヤ通路開口部415は、ガイドハウジング411と外面41Aとの間の本体41の壁を通る溝を形成している。この溝は、作業プローブ43に接続された接続ワイヤの通過を可能にする。可動部材441は、作業プローブ43を受け入れるように構成された受け入れハウジング4412を含む。受け入れハウジング4412は、近位端431上に形成された隆起部を受け入れるように構成された第1オリフィス44121と、プローブ本体433の通過を可能にするように構成された第2オリフィス44122とにより形成されている。可動部材441は、さらに、図4Aに見られるプラグ4413を含み、プラグ4413は、好ましくはエラストマー材料から作られ、第1オリフィス44111内にぴったりと嵌り込んで作業プローブ43を可動部材441内の適切な位置に保持するように構成されている。可動部材441は、マイクロメトリックねじ442の測定面442Bに接触するように構成された内側ショルダ4414をさらに含む。磁石4415が内側ショルダ4414上に取り付けられて、マイクロメトリックねじ442と可動部材441と一時的な接続を可能にしている。可動部材441は、さらに、受け入れハウジング4412の第1オリフィス44121と可動部材441の外面との間に延在する溝を形成しているワイヤ通路開口部4416を含む。ワイヤ通路開口部4416は、本体41のワイヤ通路開口部415に合致するように、また、作業プローブ43に接続された接続ワイヤの通過を可能にするように構成されている。
【0054】
携帯型装置40は、以下のように使用するのに適している。すなわち、本体41は、その把持面41Aを介してユーザにより取り扱われ、且つ、本体41の座面41Bが、分析対象の基板の面上で支持されるように操作される。この構造において、電解質を、電解質注入オリフィス414を介して電解チャンバ42に注入できる。そして、電解質は、プローブの遠位端432と基板との間の媒体として機能する。こうして、電気化学顕微鏡測定を慣用的に実行できる。携帯型装置40が、液体形態及びゲル形態の両方の電解質と共に使用するように適合されていることに留意されたい。
【0055】
上記の携帯型電気化学顕微鏡装置の様々な実施形態の例において、携帯型装置の本体は、回転シリンダと、錐台(任意選択的)とを形成する外面を有する。本発明がこれらの実施形態の例に限定されず、本体が、ユーザのための、特にはこのユーザの手のための把持面を形成できる任意の面を有し得ることが明らかである。
【0056】
本発明による携帯型装置を完全にハンドヘルド型にすることを目的として、この装置を、携帯型ポテンシオスタット(例えば、ユニスキャン・インスツルメンツ社(Uniscan Instruments)製のPG580Rバイポテンシオスタット、バイオロジック・サイエンス社(BioLogic Science)製のPG581ポテンシオスタット-ガルバノスタット、又は、メトローム社(Metrohm)製のマイクロスタット200、若しくはマルチチャンネルドロップセンスマイクロスタット8000バイポテンシオスタット)に関連付けることが有利である。
【0057】
II -本発明による装置の実験的検証
図2図3、及び図4A図4Eに示した装置の、電気化学顕微鏡による表面の分析及び特性評価を可能にする性能を、一連の実験テストにより検証した。これらのテストは、一方では液体電解質を用いて、また一方では電解ゲルを用いて、絶縁基板上及び導電性基板上で実施された。
【0058】
これらのテストにおいて、使用した装置は、高さが8.5cm、直径が2cmであり、以下のものを含む。すなわち、
-ガラス毛細管内の長さ12cmで直径50μmの白金線から成るUMEと、
-参照電極及び対電極としての2本の金線と、である。
【0059】
この装置を、ユニスキャン・インスツルメンツ社製のPG580Rバイポテンシオスタットに接続し、PG580Rバイポテンシオスタットを、データ取得ユニット(ユニスキャン・インスツルメンツ社製のLEIS M370(登録商標)ソフトウェア)、及び、処理ユニット(オリジン(Origin)(登録商標))に接続した。
【0060】
さらに、
-装置のUMEの先端は、この先端が、毛細管内に密封された導線の高さの少なくとも7倍に等しい距離にある場合、基板から無限遠にあると見なされ、また、
-標準電流(記号Iで表す、単位なし)が、実験テストの時間tにおける、装置のUMEを用いて測定された電流と、装置のUMEの先端が基板から無限遠にあるときの、装置のUMEを用いて測定された電流との比に相当する。
【0061】
II.1-液体電解質を使用したテスト
以下の要素を使用した。すなわち、
-100mmol(ミリモル)/Lの塩化カリウム(KCl)、及び、レドックスメディエータとしての50mmol/Lのフェロシアン化カリウムイオン[Fe(CN)4-(液体電解質としてフェロシアン化カリウムK[Fe(CN)]の形態で供給)を含む水溶液と、
-絶縁基板としてのガラス基板と、
-導電性基板としての金基板と、である。
【0062】
装置内に存在する液体電解質の量は0.8mLである。
【0063】
装置にサイクリックボルタンメトリを行った。これは、UMEに連続的な電位変動(Au(任意単位)に対し0V~0.5V)を0.05V/s(ボルト/秒)で印加して、UMEを通過する電流を測定することにより行われた。UMEは、いずれの基板からも所定の距離を有して配置された。
【0064】
図5に示されている、得られたボルタモグラムから、以下のことを確認できる。すなわち、電解質中に存在するレドックスメディエータが、装置のUMEに印加された電位の変化の影響により、実際に還元状態から酸化状態に、及びその逆方向に変化し得ること、そして、このUMEが実際にこれらの状態の変化を測定可能な電流の変化に変換できること、である。また、このボルタモグラムにより、以下のSECMテストでレドックスメディエータの酸化を確実にするためにUMEに印加されるべき電位(すなわち、Auに対して0.5V)を決定できた。
【0065】
次いで、装置に一連のSECMテスト(以下のテスト1~テスト8)を行い、従って、このテストにおいてUMEに印加した電位は、Auに対して0.5Vであり、一方、基板はOCP(“Open Circuit Potential”)(「開路電位」)のままにし、すなわち、基板には電位を印加しなかった。
【0066】
テスト1
このテストは、装置の下端をガラス基板の表面に当て、この装置のUMEの先端をこの基板から無限遠に遠ざけ、次いでこの基板の表面に接触させる動作をマイクロメータねじを用いて連続的に行い、その間に装置のUMEで電流を測定することから成る。
【0067】
結果が図6に示されており、装置の先端がガラス基板の表面に接触したときに得られる標準電流Iの大幅な低減を示している。
【0068】
これらの結果は、レドックスメディエータと絶縁表面との間に反応がない場合に観察される負のフィードバックの特徴であり、先行技術によるSECM装置を用いた同一の動作条件下で得られるであろう結果に一致している。
【0069】
テスト2
このテストは、装置の下端をガラス基板の表面に当て、最初にこの装置のUMEの先端を基板から無限遠に配置し、そしてこの基板の表面に、この上部がこの表面から10μmの位置になるまでマイクロメータねじを使用して40秒間にわたって徐々に近づけ、その間に装置のUMEで電流を測定することから成る。
【0070】
結果が図7に、接近曲線として知られている形状で示されている。この曲線は、UMEの先端がガラス基板の表面に近づくにつれて標準電流Iが徐々に減少し、次いでこの電流が、UMEの先端が基板の表面から10μmの位置にあるときに安定することを示している。
【0071】
このテストでも、これらの結果は、先行技術によるSECM装置を用いた同一の動作条件下で得られるであろう結果に一致している。
【0072】
テスト3
このテストは上記のテスト2の逆方向のテストであり、ガラス基板の表面から、装置のUMEの先端(テスト2の後、この先端はガラス基板表面から10μmの位置にある)を、マイクロメータねじを使用して40秒間にわたり、この先端が基板から無限遠に位置するまで徐々に遠ざけ、その間に装置のUMEで電流を測定することから成る。
【0073】
結果が図8に、距離曲線として知られている形状で示されている。この曲線は、UMEの先端が基板から遠ざかるにつれて標準電流Iが徐々に増大し、そして、UMEの先端が基板から無限遠になったときにこの電流が安定することを示している。
【0074】
このテストでも、これらの結果は、先行技術によるSECM装置を用いた同一の動作条件下で得られるであろう結果に一致している。
【0075】
テスト4
このテストは、装置の下端をガラス基板の表面に当て、この装置のUMEの先端(最初は基板から無限遠の位置にある)を、マイクロメータねじを使用して、10μmごとの連続ステップで、この先端がガラス基板の表面から10μmの位置に来るまで基板に近づけ、その後、またマイクロメータねじを使用して、UMEの先端を基板の表面から10μmごとの連続ステップで、この先端が基板から無限遠に位置するまで移動させ、その間に装置のUMEで電流を測定することから成る。
【0076】
こうして、図9に示されている接近曲線及び距離曲線が得られる。これらの曲線は、各ステップに関し(すなわち、UMEの先端を基板の表面から分離する同一距離に関し)、UMEの先端が基板に接近したときに得られる標準電流の値が、この先端を基板の表面から遠ざけたときに得られる値とほぼ同一であることを示している。
【0077】
テスト5
このテストは、本発明によるこの装置のUMEの先端を、この先端が基板の表面から10μm、30μm、40μm、50μm、60μm又は100μmの距離に位置するようにマイクロメータねじを用いて予めセットした後に、装置の下端をガラス基板の表面に当て、これらと同時に装置のUMEで電流を測定することから成る。
【0078】
このテストは、基板の表面の3つの異なるポイントに対して鉛直方向に実行される。
【0079】
結果が図10に示されており、UMEの先端を基板の表面から隔てた距離のそれぞれに関し、得られた標準電流値Iが、基板の3つの異なるポイントに関して同一又は準同一であることを示している。
【0080】
これらは、一方では、均一な表面上で装置を使用して行った測定の再現性を示し、他方では、この装置のUMEを基板から予め決められた距離に、完全に制御して配置できることを示している。
【0081】
テスト6
このテストは、テスト5と同様に、本発明によるこの装置のUMEの先端を、この先端が基板の表面から50μmの距離に位置するようにマイクロメータねじを用いて予めセットした後に、装置の下端をガラス基板の表面に当て、これと同時に装置のUMEで電流を測定することから成る。
【0082】
このテストは、基板の表面の5つの異なるポイントに対して鉛直に実行される。
【0083】
結果が図11に示されており、これにより、均一な表面上で装置を使用して行われた測定の再現性が確認される。また、この結果は、基板の表面の均一性又は不均一性が、装置のUMEの先端の位置を予め設定しておくこと、及び、この装置を基板の表面上で単純に手動で動かすことにより検証できることを示している。
【0084】
テスト7
結果が図12に示されているこのテストは、テスト1と同様のテストであるが、金基板に対して行ったテストである。
【0085】
予測されたように、そして、先行技術によるSECM装置を使用して得られるであろう結果に違わずに、図12は、装置のUMEの先端が基板の表面と接触したときに得られる標準電流Iの大幅な増大、すなわち、レドックスメディエータが導電性表面に反応したときに観察される正のフィードバックの特徴を示している。
【0086】
テスト8
このテストは、装置の下端を金基板の表面に当て、この装置のUMEの先端(最初は基板から無限遠の位置にある)をこの基板の表面に、マイクロメータねじを使用して、10μmごとの連続ステップで、この先端が表面から10μmの位置に来るまで近づけ、その間に装置のUMEで電流を測定することから成る。
【0087】
これにより、図13に示されている接近曲線が得られ、これは、先行技術によるSECMを使用して得られるであろう接近曲線に一致する。
【0088】
II.2-電解ゲルを使用したテスト
以下、次のものを使用する。すなわち、
-100mmolL(ミリモル)/Lの塩化カリウム(KCl)を含む水溶液50mLに、キサンタンガム(200mg)を添加し、そしてレドックスメディエータとして、100mmol/Lのフェロシアン化カリウムイオン[Fe(CN)4-(電解質としてフェロシアン化カリウムK[Fe(CN)]の形態)を供給して得られる水性ゲルと、
-絶縁基板としてのガラス基板と、
-導電基板としての金基板と、である。
【0089】
装置内に存在する電解ゲルの容量は0.8mLである。
【0090】
装置にサイクリックボルタンメトリを行った。これは、UMEに0.05V/s(ボルト/秒)で連続的な電位変動(すなわち、Auに対し0V~0.6V)を印加して、UMEを通過する電流を測定することにより行われた。UMEは、いずれの基板からも所定の距離に配置されていた。
【0091】
このテストにおいても、図14に示されている、得られたボルタモグラムから、以下のことを確認できる。すなわち、電解質中に存在するレドックスメディエータが、装置のUMEに印加された電位の変化の影響により、実際に還元状態から酸化状態に、及びその逆方向に変化し得ること、そして、このUMEが実際にこれらの状態の変化を測定可能な電流の変化に変換できること、である。また、このボルタモグラムにより、以下のSECMテストでレドックスメディエータの酸化を確実にするためにUMEに印加されるべき電位、すなわち、Auに対して0.5Vを決定した。
【0092】
そして、装置に、一連のSECMテスト(以下のテスト9及びテスト10)を行い、従って、このテストにおいて、UMEに印加した電位は、Auに対して0.5Vであり、一方、基板は、OCPのままにしておいた。
【0093】
テスト9
このテストは、上記のテスト1と類似のテストである。
【0094】
図15に示されている結果は、図6と同様に、UMEの先端がガラス基板の表面に接触したときに得られる標準電流Iの大幅な低減、すなわち負のフィードバックの特徴を示している。
【0095】
テスト10
このテストは、上述のテスト7と同様のテストである。
【0096】
結果が図16に示されており、これは、図12と同様に、UMEの先端が金基板の表面に接触したときに得られる標準電流Iの大幅な増大、すなわち正のフィードバックの特徴を示している。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16