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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】エレベータのドア用係合装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/12 20060101AFI20240404BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B66B13/12 F
B66B5/02 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023129171
(22)【出願日】2023-08-08
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 悠児
(72)【発明者】
【氏名】金子 元樹
(72)【発明者】
【氏名】玉置 亜由美
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 功一
(72)【発明者】
【氏名】物部 愛
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-193427(JP,A)
【文献】国際公開第2021/140556(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/12
B66B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごに備えるかごドアに設けられる被係合部と、該被係合部に係合すべく、乗場に備える乗場ドアに設けられる係合部と、を備え、前記かごが前記乗場に着床しているときに、前記被係合部と前記係合部とが係合することによって前記かごドアが開閉する際の動力を前記乗場ドアに伝達可能に構成されたエレベータのドア用係合装置であって、
前記被係合部と前記係合部とが係合するときの前記かごの奥行方向における掛かり代が、所定の掛かり代未満であることを検出する位置ずれ検出手段と、前記位置ずれ検出手段で前記掛かり代が前記所定の掛かり代未満であることが検出されたときに、前記掛かり代が前記所定の掛かり代以上になるように、前記被係合部及び前記係合部のうちの少なくとも一方を前記かごの奥行方向に移動させる移動手段を備えている、エレベータのドア用係合装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記位置ずれ検出手段で前記掛かり代が前記所定の掛かり代未満であることが検出されたときに、前記係合部を前記被係合部に接近するように移動させる、又は、前記被係合部を前記係合部に移動させる伸縮式のアクチュエータから構成される、請求項1に記載のエレベータのドア用係合装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記位置ずれ検出手段で前記掛かり代が前記所定の掛かり代未満であることが検出されたときに、昇降中の前記かごの振動を抑制すべく、該かごに備える制振装置を用いて該かごを前記乗場へ移動させる手段である、請求項1に記載のエレベータのドア用係合装置。
【請求項4】
前記移動手段は、前記位置ずれ検出手段で前記掛かり代が前記所定の掛かり代未満であることが検出されたときに、前記かごの後面を押圧して該かごを前記乗場へ移動させる伸縮式のアクチュエータから構成される、請求項1に記載のエレベータのドア用係合装置。
【請求項5】
前記移動手段は、前記かごが前記乗場に着床しているときに作動する、請求項1~4のうちのいずれか1項に記載のエレベータのドア用係合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各停止階に備える乗場の出入口を開閉する乗場ドア及びかごの出入口を開閉するかごドアのうちのかごドアを開閉する動力を乗場ドアに伝達することによって、かごドアの開閉に連動して乗場ドアを開閉するエレベータのドア用係合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記ドア用係合装置は、例えば特許文献1に示すように、乗籠に備えるかごドアとしてのドアパネルに設けられ、ドアパネルの開閉により一方が他方に対して接近又は離間するように左右方向に間隔を置いて設けられた被係合部としての一対の係合ベーンと、乗場に備える乗場ドアとしてのドアパネルに設けられ、前記一対の係合ベーンに係合する係合部としてのステムと、を備えている。このステムは、乗籠が乗場に着床したときに、前記一対の係合ベーンの間に位置し、その状態で乗籠のドアパネルを開閉することにより、一方の係合ベーンが他方の係合ベーンに接近して両係合ベーンの間に挟み込まれて係合し、該係合により、乗籠のドアパネルの開閉時の動力を乗場のドアパネルに伝達するための部材である。つまり、乗籠のドアパネルの開閉に伴って、一対の係合ベーン間にステムが挟み込まれて係合する。これにより乗籠のドアパネルと乗場のドアパネルとが連動状態となり、乗籠のドアパネルの開閉に連動して乗場のドアパネルが開閉する。
【0003】
ところで、地震発生後、乗籠の残留変位と乗場の残留変位とが異なる場合、乗籠と乗場との間に位置ずれが生じることがある。そうなると、一対の係合ベーンとステムとが係合する乗籠の奥行方向の掛かり代が不足し、乗籠のドアパネル(かごドア)からの動力を乗場のドアパネルに伝達することができず、乗場のドアパネルを開けることができない場合がある。乗場のドアパネル(乗場ドア)を開けることができないと、乗籠内の乗客を乗籠から乗場へ降ろすことができない。さらに、一対の係合ベーン(被係合部)とステム(係合部)とが、乗籠の奥行で完全に外れてしまって係合ができない場合には、復旧させるための時間が多くかかるという不都合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-103780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、地震等の発生により乗かごと乗場との間に位置ずれが生じた場合でも、被係合部と係合部とを確実に係合させて乗場ドアの開閉を行うことができるエレベータのドア用係合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエレベータのドア用係合装置は、かごに備えるかごドアに設けられる被係合部と、該被係合部に係合すべく、乗場に備える乗場ドアに設けられる係合部と、を備え、前記かごが前記乗場に着床しているときに、前記被係合部と前記係合部とが係合することによって前記かごドアが開閉する際の動力を前記乗場ドアに伝達可能に構成されたエレベータのドア用係合装置であって、前記被係合部と前記係合部とが係合するときの前記かごの奥行方向における掛かり代が、所定の掛かり代未満であることを検出する位置ずれ検出手段と、前記位置ずれ検出手段で前記掛かり代が前記所定の掛かり代未満であることが検出されたときに、前記掛かり代が前記所定の掛かり代以上になるように、前記被係合部及び前記係合部のうちの少なくとも一方を前記かごの奥行方向に移動させる移動手段を備えている。
【0007】
本発明によれば、被係合部と係合部とが係合するときのかごの奥行方向における掛かり代が、所定の掛かり代未満であると位置ずれ検出手段で検出されたときに、被係合部及び係合部のうちの少なくとも一方をかごの奥行方向に移動させることによって、被係合部と係合部との掛かり代を予め設定された所定の掛かり代以上にすることができる。これにより、地震等の後であっても、かごドアの開閉時に被係合部と係合部とを確実に係合させて乗場ドアを開閉することができる。
【0008】
また、本発明のエレベータのドア用係合装置において、前記移動手段は、前記位置ずれ検出手段で前記掛かり代が前記所定の掛かり代未満であることが検出されたときに、前記係合部を前記被係合部に接近するように移動させる、又は、前記被係合部を前記係合部に移動させる伸縮式のアクチュエータから構成されてもよい。
【0009】
上記のように、位置ずれ検出手段で被係合部と係合部との掛かり代が所定の掛かり代未満であることが検出されたときに、伸縮式のアクチュエータで係合部を被係合部に接近するように移動させる、又は、被係合部を係合部に接近するように移動させる。これにより、かごドアの開閉時に係合部と被係合部とを確実に係合させて乗場ドアを開閉することができる。
【0010】
また、本発明のエレベータのドア用係合装置において、前記移動手段は、前記位置ずれ検出手段で前記掛かり代が前記所定の掛かり代未満であることが検出されたときに、昇降中の前記かごの振動を抑制すべく、該かごに備える制振装置を用いて該かごを前記乗場へ移動させる手段であってもよい。
【0011】
上記のように、位置ずれ検出手段で被係合部と係合部との掛かり代が所定の掛かり代未満であることが検出されたときに、かごに備える制振装置を用いて該かごを乗場へ移動させる。これにより、かごドアの開閉時に係合部と被係合部とを確実に係合させて乗場ドアを開閉することができる。
【0012】
また、本発明のエレベータのドア用係合装置において、前記移動手段は、前記位置ずれ検出手段で前記掛かり代が前記所定の掛かり代未満であることが検出されたときに、前記かごの後面を押圧して該かごを前記乗場へ移動させる伸縮式のアクチュエータから構成されてもよい。
【0013】
上記のように、位置ずれ検出手段で被係合部と係合部との掛かり代が所定の掛かり代未満であることが検出されたときに、伸縮式のアクチュエータでかごの後面を押圧して該かごを乗場へ移動させる。これにより、かごドアの開閉時に係合部と被係合部とを確実に係合させて乗場ドアを開閉することができる。
【0014】
また、本発明のエレベータのドア用係合装置において、前記移動手段は、前記かごが前記乗場に着床しているときに作動する構成であってもよい。
【0015】
上記のように、移動手段は、かごが乗場に着床しているときに作動するので、かごドアの開閉時に係合部と被係合部とを確実に係合させて乗場ドアを開閉することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、地震等の発生により乗かごと乗場との間に位置ずれが生じた場合でも、被係合部と係合部との掛かり代を予め設定された所定の掛かり代以上にすることによって、被係合部と係合部とを確実に係合させて乗場ドアの開閉を行うことができるエレベータのドア用係合装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のエレベータのドア用係合装置を備えたかごを乗場側から見た一部省略の正面図である。
図2】乗場ドアをかご側から見た一部省略した図である。
図3】かごドアに備える一対のカムとこれに係合する乗場ドアのローラとの関係を示す平面図である。
図4】かごドアに備える回転アームとかごの奥行方向で重複する乗場側ロック機構を省略したかごドアの閉塞時の一対のカムの状態を示す正面図である。
図5】乗場側ロック機構とかごの奥行方向で重複するかごドアに備える回転アームを省略したかごドアの閉塞時の一対のカムの状態を示す正面図である。
図6】かごドアに備える回転アームとかごの奥行方向で重複する乗場側ロック機構を省略したかごドアの開放時の一対のカムの状態を示す正面図である。
図7】乗場側ロック機構とかごの奥行方向で重複するかごドアに備える回転アームを省略したかごドアの開放時の一対のカムの状態を示す正面図である。
図8】かごの下端部に備える制振装置を示すかごの下端部の正面図である。
図9図8の左側の制振装置を右側から見た図である。
図10図9の制振装置を右側から見た図である。
図11】左右の制振装置を上から見た概略図である。
図12】4つの制振装置によりかごを乗場側へ移動させている概略側面図である。
図13】かごをアクチュエータにより乗場側に強制移動させている概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るエレベータのドア用係合装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
前記ドア用係合装置1は、かご2に備える一対のかごドア3,4のうちの一方(図1の左側)のかごドア3に取り付けられる一対の被係合部としてのカム5,6と、一対の乗場ドア7,8のうちの一方(カム5,6を備えるかごドア3と対向する側)の乗場ドア7に取り付けられ、一対のカム5,6に挟み込まれて係合する係合部としてのローラ41(図2参照)と、後述する位置ずれ検出手段44(図3参照)と、後述する3種類の移動手段と、を備えている。図1のかご2が図2の乗場に着床したときに、かご2に備える左右一対のかごドア3,4が開閉されると、ドア用係合装置1によりかごドア3,4と乗場ドア7,8とが連動することで乗場ドア7,8が開閉される。この実施形態では、カム5,6を一方(図1の左側)のかごドア3に取り付けているが、他方(図1の右側)のかごドア4に取り付けてもよい。被係合部及び係合部の具体的構成は、自由に変更することができる。
【0020】
以下において、かご2の間口方向を左右方向とし、かご2の奥行方向手前側を前側とし、かご2の奥行方向奥側を後側とする。尚、図1のかごドア3,4は、乗場側から見た図であり、図2の乗場ドア7,8は、かご側から見た図であるため、図1図2とは左右が逆になっている。したがって、図1のかご2が図2の乗場に着床したときには、図1の左側のかごドア3と図2の右側の乗場ドア7が対向し、図1の右側のかごドア4が図2の左側の乗場ドア8が対向する。
【0021】
図1に示すように、かご2の出入り口2Kの上方には、左右方向に沿って延びる縦向きで板状のフレーム(サポートフレームとも言う)9を備えている。フレーム9の上端部で左右方向一端部(図1の右側端部)には、かごドア3,4の開閉操作用の駆動部としてのモータ10が固定されている。モータ10の駆動軸10Aには、一体回転する駆動プーリ11が取り付けられている。また、フレーム9におけるかご2の出入り口2Kの左右方向両端部には、一対の従動プーリ12,12と、これら従動プーリ12,12に巻回される無端状体としてのベルト13と、が設けられている。右側の従動プーリ12の回転軸には、大径のプーリ14が一体回転するように取り付けられ、モータ10と一体回転する前記駆動プーリ11と前記大径のプーリ14とにわたって無端状体としてのベルト(ロープやチェーン等でもよい)15が巻回されている。
【0022】
フレーム9の下端部には、かご2の出入り口2Kの左右方向に沿って延びるドアレール16が取り付けられている。ドアレール16には、第1のかごドア3及び第2のかごドア4がドアハンガー17,18を介して吊り下げられている。ドアハンガー17,18のそれぞれには、ドアレール16に沿って転動する左右一対のローラ19,19、20,20が設けられている。第1のかごドア3及び第2のかごドア4のそれぞれは、縦長の略長方形状に構成されている。
【0023】
ドアハンガー17,18のうちの一方(図1の左側)のドアハンガー17は、第1連結部材21を介してベルト13の下側部分に連結され、他方(図1の右側)のドアハンガー18は、第2連結部材22を介してベルト13の上側部分に連結されている。
【0024】
従って、モータ10を一方向に駆動回転させてベルト13が一方に回転することにより、図1の全閉位置(閉じ位置)の第1のかごドア3及び第2のかごドア4を互いに離間させて図示していない全開位置(開放位置)へ移動させることができる。また、モータ10を他方向に駆動回転させてベルト13が他方に回転することにより、図示していない全開位置(開放位置)の第1のかごドア3及び第2のかごドア4を互いに接近させて図1の全閉位置(閉じ位置)へ移動させることができる。
【0025】
左側のドアハンガー17の右側寄りには、一対のカム5,6が左右方向に間隔を置いて上下方向に沿う姿勢で設けられている。一対のカム5,6のそれぞれは、上端部及び下端部が端側ほど両者間の隙間が拡がる外拡がり形状になっている(図1参照)。
【0026】
図4及び図5は、かごドア3,4の閉塞時の状態の一対のカム5,6が離間した状態を示し、図6及び図7は、かごドア3,4の開放時の状態の一対のカム5,6が接近した状態を示している。また、図4に示す回転アーム27と図5に示す後述の乗場側ロック機構Hとが上下方向で同一高さ位置にあるため、両方を描いてしまうと、図が煩雑になってわかり難くなる。そのため、図4では、後述の乗場側ロック機構Hを省略し、回転アーム27のみを示した図とし、図5では、回転アーム27を省略し、後述の乗場側ロック機構Hのみを示した図としている。また、図6及び図7図4及び図5と同様に2つの図に分けている。
【0027】
図4図7に示すように、一対のカム5,6のうちの左側の第1カム5は、かごドア3,4の開放時において右側の第2カム6に近づき(図6図7参照)、かごドア3,4の閉塞時において右側の第2カム6から離間するように(図4図5参照)、左側のドアハンガー17(図1参照)に固定の固定部材23に一対のリンク部材24,25を介して連結されている。各リンク部材24又は25は、一端部が前記固定部材23に前後方向に延びる第1軸心X1回りに相対回転可能に連結され、他端部が第1カム5に前後方向に延びる第2軸心X2回りに相対回転可能に連結されている。かごドア3,4の閉塞時には、第1カム5は、図4に示すように、かごに固定されているストライカー26に当接する回転アーム27により第2カム6から離間するように斜め上方へ揺動操作される。また、かごドア3,4の開放時には、第1カム5は、図6に示すように、前記ストライカー26との当接が解除されることにより回転アーム27が第1カム5を押し上げる力がなくなるため、自重で斜め下方へ揺動し、第2カム6に接近した位置まで移動する。
【0028】
回転アーム27は、図4及び図6に示すように、第2カム6に前後方向の第3軸心X3回りに回転自在に取り付けられる略長方形状の第1板部27Aと、第1板部27Aの第3軸心X3とは反対側端部に回転自在に取り付けられ、ストライカー26に当接する第1ローラR1と、第1板部27Aの長手方向中央部から第1板部27Aの幅方向に延びる第2板部27Bと、第2板部27Bの先端部から第2板部27Bの幅方向に延びる第3板部27Cと、該第3板部27Cの遊端部に回転自在に取り付けられ、第1カム5の当接部5Tに当接する第2ローラR2と、を備えている。
【0029】
一対のカム5,6のうちの右側の第2カム6は、左側のドアハンガー17(図1参照)に固定され、モータ10の駆動によりベルト13が回転することにより、かごドア3と共に同一方向に移動する。
【0030】
また、かご2には、かごドア3,4を開放した状態及び閉塞した状態を保持する機械式の保持機構28を備えている。
【0031】
保持機構28は、図1に示すように、ベース28Aと、ローラ28Bと、レバー28Cと、弾性部28Dと、を備えている。ベース28Aは、一方(左側)のドアハンガー17に固定されている。ローラ28Bは、フレーム9に支持されたガイドレール28Eに回動可能に当接され、かごドア3,4の移動に伴ってガイドレール28E上を走行する。レバー28Cは、ベース28Aに設けられる軸28aに軸支されている。弾性部28Dは、軸28aを支点としてレバー28Cの一端(図1では右端)を下方へ引っ張ることで、レバー28Cの他端に設けられるローラ28Bからガイドレール28Eに向かって押圧力が発生する。ガイドレール28Eの両端部には、傾斜部28F,28Gが設けられ、傾斜部28F,28G間には左右方向に延びる平坦部28Hが設けられている。
【0032】
したがって、ローラ28Bが一方の傾斜部28Gに達すると、ローラ28Bの押圧力が水平方向の分力をもつので、それに対するガイドレール28Eからの反作用が、ローラ28Bから、レバー28C、軸28a、ベース28A、ドアハンガー17と伝わり、かごドア3,4が閉塞位置に向けて誘導される。これにより、かごドア3,4を閉塞した状態を保持する。また、ローラ28Bが他方の傾斜部28Fに達したときも前記と同様に、かごドア3,4が開放位置に向けて誘導される。これにより、かごドア3,4を開放した状態を保持する。
【0033】
図2に示すように、乗場29の出入り口29Kの上方には、左右方向に沿って延びる縦向きで板状のヘッダーフレーム30を備えている。ヘッダーフレーム30の上端部の左右方向両端部には、一対の従動プーリ31,31と、これら従動プーリ31,31に巻回される無端状体としてのベルト32と、が設けられている。
【0034】
ヘッダーフレーム30の下端部には、左右方向に沿って延びるレール33が取り付けられている。レール33には、第1の乗場ドア7及び第2の乗場ドア8が乗場側ドアハンガー34,35を介して吊り下げられている。乗場側ドアハンガー34,35のそれぞれには、レール33に沿って転動する左右一対のローラ36,36、37,37が設けられている。第1の乗場ドア7及び第2の乗場ドア8のそれぞれは、縦長の略長方形状に構成されている。
【0035】
乗場側ドアハンガー34,35のうちの一方(図2の右側)の乗場側ドアハンガー34は、乗場側連結部材38を介してベルト32の上側部分に連結され、他方(図3の左側)の乗場側ドアハンガー35は、乗場側連結部材(図示せず)を介してベルト32の下側部分に連結されている。
【0036】
また、乗場29にも、乗場ドア7,8を閉塞した状態を保持する機械式の乗場側保持機構39を備えている。乗場側保持機構39は、図2に示すように、ベース39Aと、ローラ39Bと、レバー39Cと、弾性部39Dと、を備えている。ベース39Aは、一方(左側)の乗場側ドアハンガー35に固定されている。ローラ39Bは、ヘッダーフレーム30に支持されたガイドレール39Eに回動可能に当接され、乗場ドア7,8の移動に伴ってガイドレール39E上を走行する。レバー39Cは、ベース39Aに設けられる軸39aに軸支されている。弾性部39Dは、軸39aを支点としてレバー39Cの一端(図3では下端)を左方へ引っ張ることで、レバー39Cの他端に設けられるローラ39Bからガイドレール39Eに向かって押圧力が発生する。ガイドレール39Eの一端部(右端部)には、傾斜部39Fが設けられ、傾斜部39Fの左側には左右方向に延びる平坦部39Gが設けられている。
【0037】
したがって、ローラ39Bが一端部(右端部)の傾斜部39Fに達すると、ローラ39Bの押圧力が水平方向の分力をもつので、それに対するガイドレール39Eからの反作用が、ローラ39Bから、レバー39C、軸39a、ベース39A、乗場側ドアハンガー35と伝わり、乗場ドア7,8が全閉位置に向けて誘導される。これにより、乗場ドア7,8を閉塞した状態を保持する。
【0038】
前述した乗場ドア7に取り付けられる係合部としてのローラ41は、閉塞した状態の乗場ドア7,8が開く側に移動することを阻止する乗場側ロック機構Hの一部材を構成する。
【0039】
乗場側ロック機構Hは、図2及び図5に示すように、ヘッダーフレーム30の左右方向略中央部の下端部に固定される被係止部42と、被係止部42と係合及び係合解除可能な係止部43と、を備えている。被係止部42は、乗場ドア7の上端近傍から上方に延びる係止片42Aを有している。尚、図5は、乗場側から見た一対のカム5,6の図であり、その図に乗場側から見た乗場側ロック機構Hを図示している。
【0040】
係止部43は、一方の乗場ドア7の乗場側ドアハンガー34に取り付けられている。係止部43は、具体的には、一方の乗場ドア7の乗場側ドアハンガー34の左端部に固定される固定側部材43Aと、固定側部材43Aに回動可能に支持され、被係止部42の係止片42Aに係止するロック部43bを有するロックアーム43Bと、ロックアーム43Bに取り付けられる一対のローラ40,41と、固定側部材43Aとロックアーム43Bとの間に設けられ、該ロックアーム43Bを反時計回りに回転付勢する付勢手段としてのコイルバネ43Cと、を備えている。前記一対のローラ40,41は、図5の状態において、上下方向で離間してロックアーム43Bに配置され、かつ、上側の第1ローラ40を回動可能に支持する支軸40Aが下側の第2ローラ41を回動可能に支持する支軸41Aよりも左右方向右側に寄って配置され、第2ローラ41が第1ローラ40よりも大径なローラに構成されている。また、第2ローラ41の支軸41Aは、ロックアーム43Bを貫通して固定側部材43Aに取り付けられ、ロックアーム43Bを回動させるための回動軸を構成している。また、第1ローラ40は、前記一対のカム5,6のうちの右側のカム6が該第1ローラ40に当接することで、ロックアーム43Bを回動(姿勢変更)させて被係止部42との係止を解除するためのローラである。また、第2ローラ41は、前述したかご2に取り付けられた一対の被係合部としてのカム5,6(図7参照)によって挟み込まれて係合する係合部を構成する。
【0041】
かごドア3,4の開閉に連動して乗場ドア7,8が開閉する動作を乗場側ロック機構H及びドア用係合装置1に基づいて説明する。
【0042】
図4及び図5は、かご2が特定の乗場に着床した状態を示している。このとき、被係止部42の係止片42Aにロックアーム43Bのロック部43bが係止しており(図5参照)、乗場ドア7,8は閉塞した状態を維持する。また、一対のカム5,6の間に第1ローラ40及び第2ローラ41が位置している状態である。この状態から、かごドア3,4がモータ10の駆動力を受けて開放位置へ移動すると、一対のカム5,6がかごドア3と一緒に左側へ移動する。これにより、第2カム6が第1ローラ40に当接してロックアーム43Bを反時計回りに回転させることで、被係止部42との係止(ロック)が解除される。さらに、かごドア3,4を開放位置へ移動させると、回転アーム27がストライカー26から離間することにより、第1カム5が第2カム6に接近する(図7参照)。これにより、第2ローラ41が一対のカム5,6の間に挟み込まれ、かごドア3の開き側の移動力が第2ローラ41を介して乗場ドア7に伝達され、かごドア3の開放位置への移動に連動して乗場ドア7を開放位置へ移動させる。尚、図6及び図7は、かごドア3及び乗場ドア7が開放位置に位置した状態である。また、他方のかごドア4は、ベルト13により移動し、他方の乗場ドア8は、一方の乗場ドア7が移動することにより、ベルト32が回動して移動する。
【0043】
図6及び図7の開放位置のかごドア3を閉塞位置へ移動させる場合には、モータ10を駆動してかごドア3を閉塞位置へ移動させる際にも、回転アーム27の第1ローラR1がストライカー26(図4参照)に当接するまでは、一対のカム5,6が第2ローラ41を挟み込んだ状態である(図6参照)。これにより第2ローラ41を介してかごドア3の閉じ位置への移動力が乗場ドア7に伝達される。よって、かごドア3の移動に乗場ドア7を追従させて閉塞位置へ移動させる。かごドア3が閉塞位置に近づくと、回転アーム27の第1ローラR1がストライカー26に当接し、回転アーム27が時計回りに回転する。これにより、第2カム6に対して第1カム5を離間させる。この離間により、第2ローラ41が一対のカム5,6による挟み込みが解除されることで、ロックアーム43Bがコイルバネ43Cの付勢力により時計回りに回転してロックアーム43Bのロック部43bが被係止部42の係止片42Aに係止し、乗場ドア7を閉塞位置でロックする(図5参照)。
【0044】
ところで、地震発生後、かごの残留変位と乗場の残留変位とが異なる場合、かごと乗場との間に位置ずれが生じることがある。このとき、一対のカム5,6と第2ローラ41とが、かごの奥行で完全に外れてしまって係合ができず乗場ドア7,8を開けることができない場合がある。この場合には、作業員をエレベータ設置場所に派遣しなくてはならないので、復旧させるための時間が多くかかるという不都合がある。また、一対のカム5,6と第2ローラ41との係合が外れた状態でかごドア3,4を開閉すると、乗場ドア7,8を破損してしまう不都合もある。
【0045】
そこで、上記不都合を解消するために、本発明では、図3に示すように、一対の被係合部であるカム5,6と係合部である第2ローラ41とが、左右方向と直交するかごの奥行方向における掛かり代が、予め設定された所定の掛かり代未満であること(両者が位置ずれしたこと)を検出する位置ずれ検出手段44を設けるとともに、位置ずれ検出手段44で位置ずれしたことが検出されたときに、一対のカム5,6と第2ローラ41とが係合するときのかごの奥行方向の両者の掛かり代が予め設定された所定の掛かり代以上になるように、一対のカム5,6及び第2ローラ41のうちの少なくとも一方をかごの奥行方向(両者が近づく方向)に移動させる移動手段を備えている。これにより、かごドア3,4の開閉時に一対のカム5,6と第2ローラ41とを確実に係合させて乗場ドア7,8を開閉することができる。
【0046】
位置ずれ検出手段44は、図3に示すように、一方のかごドア3に設けられ、かごドア3から対向位置する乗場ドア7までの距離を測定する距離センサから構成され、距離センサからの信号が制御部(図示せず)に入力される。制御部は、検出された距離が予め設定された範囲を外れている場合に、奥行方向における一対のカム5,6と第2ローラ41との掛かり代が、予め設定されている所定の掛かり代未満である(位置ずれしている)と判断し、一対のカム5,6及び第2ローラ41のうちの少なくとも一方をかごの奥行方向に移動させるように移動手段を作動させる。距離センサとしては、光電式、超音波式、静電容量式等、どのような方式のものであってもよい。距離センサの距離検出は、かごが乗場に着床する度に行うことが好ましいが、所定時間毎に距離検出を行うようにしてもよい。また、通常時は所定時間毎に距離検出を行い、地震発生時等の異常時には、かごが乗場に着床する度に前記距離検出を行うように切り替えてもよい。
【0047】
前記移動手段の具体的な構成について説明する。移動手段としては、3種類の移動手段が考えられる。第1の移動手段は、第2ローラ41自体を一対のカム5,6側へ移動させる手段である。第2の移動手段は、かごに備える制振装置を用いて、かごを乗場側へ移動させる手段である。また、第3の移動手段は、アクチュエータを用いてかご自体を乗場側へ移動させる手段である。第1~第3の各々は、単独で設ける、又は2種以上を組み合わせて設けることができる。移動手段は、かごが乗場に着床しているときに作動するように構成している。
【0048】
第1の移動手段は、図3に示すように、乗場ドア7の第2ローラ41に対してかごドア3の一対のカム5,6が、かごの奥行方向で予め設定された所定距離以上離間したことを位置ずれ検出手段44が検出したときに、第2ローラ41を一対のカム5,6に近づけるように、つまり実線で示す第2ローラ41を2点鎖線で示す第2ローラ41に位置するように第2ローラ41をかごの奥行方向奥側に移動させるためのアクチュエータとしてのプッシュソレノイド45から構成されている。前記プッシュソレノイド45の他、伸縮式の電動モータや流体圧シリンダ等の各種のアクチュエータで構成することができる。図3では、第2ローラ41を、一対のカム5,6に近づけるように移動させたが、一対のカム5,6を、第2ローラ41に近づけるように移動させる構成であってもよい。第1の移動手段は、小さな部品である第2ローラ41を、一対のカム5,6に近づけるようにかごの奥行方向奥側に小さなアクチュエータで移動させる構成であるため、ドア用係合装置が大型化することを抑制できる。
【0049】
第2の移動手段を構成する制振装置は、図8図11に示すように、昇降中のかごの振動を検出する振動検出手段としての加速度センサ46と、かごが昇降する昇降路内の左右両側に設けられる左右一対のガイドレール47,47に当接されて設けられるガイド装置48と、前記加速度センサ46で検出される振動に基づいてガイド装置48に備えるアクチュエータ49,50の作動を制御する制御部(図示せず)と、を備えている。
【0050】
ガイドレール47は、図11に示すように、前後方向に幅を有する板状の基部47Aと、基部47Aの前後方向略中央部から左右方向内側へ突出する板状の突出部47Bと、を備える平面視略T字形状の部材から構成されている。
【0051】
ガイド装置48は、かごの上端部の左右2か所とかごの下端部の左右2か所の合計4箇所設けられている。図8には、かごの下端部の左右2か所に設けられたガイド装置48を示している。各ガイド装置48は、図11に示すように、ガイドレール47の突出部47Bの先端面47bに当接される第1ガイドローラ51と、ガイドレール47の突出部47Bの前後方向両側面47c,47dに当接される第2ガイドローラ52及び第3ガイドローラ53と、第1ガイドローラ51をガイドレール47の突出部47Bの先端面47bへの押し付け力を調整するための第1アクチュエータ49と第3ガイドローラ53をガイドレール47の突出部47Bの後側面47dへの押し付け力を調整するための第2アクチュエータ50と、を備えている。
【0052】
したがって、加速度センサ46で検出される振動に基づいて第1アクチュエータ49及び第2アクチュエータ50を伸縮作動させることにより昇降中のかごの振動を抑制することができるようにしている。
【0053】
図9及び図10に示すように、第1アクチュエータ49は、伸縮式に構成され、基部がかごの下端に固定されている支持プレート54に連結され、伸縮するロッド49Aの先端部が縦長の柱状部材55の上下中間部から左右方向に延びる一対の延出部55A,55Aの延出端に連結されている。柱状部材55が、支持プレート54の下端に取り付けられた支持台56に前後方向の軸心Y1回りで揺動可能に取り付けられている。柱状部材55の下端部には、第1ガイドローラ51が回転自在にボルト57により取り付けられている。したがって、図10の短縮状態のロッド49Aが伸長することにより、図10に示す柱状部材55が軸心Y1を中心に反時計回りに揺動されて、第1ガイドローラ51のガイドレール47の突出部47Bの先端面47b(図11参照)への押し付け力が強くなる。伸長させたロッド49Aを短縮させることにより、第1ガイドローラ51のガイドレール47の突出部47Bの先端面47b(図11参照)への押し付け力が弱くなる。
【0054】
第2アクチュエータ50は、図9及び図10に示すように、第1アクチュエータ49と同様に、伸縮式に構成され、基部がかごの下端に固定されている支持プレート54に連結され、伸縮するロッド50Aの先端部が縦長の柱状部材58の上下中間部から左右方向に延びる一対の延出部58A,58Aの延出端に連結されている。柱状部材58が、支持プレート54の下端に取り付けられた支持台56に左右方向の軸心Y2回りで揺動可能に取り付けられている。柱状部材58の下端部には、第3ガイドローラ53が回転自在にボルト59により取り付けられている。したがって、図9の短縮状態のロッド50Aが伸長することにより、図9に示す柱状部材58が軸心Y2を中心に時計回りに揺動されて、第3ガイドローラ53のガイドレール47の突出部47Bの後側面47d(図11参照)への押し付け力が強くなる。伸長させたロッド50Aを短縮させることにより、第3ガイドローラ53のガイドレール47の突出部47Bの後側面47d(図11参照)への押し付け力が弱くなる。
【0055】
第2ガイドローラ52をガイドレール47の突出部47Bの前側面47cに押し付けるためのアクチュエータが、取り付けられていないが、取り付けて実施してもよい。図9に示すように、第2ガイドローラ52は、第3ガイドローラ53と同様に、上端部が支持台56に左右方向の軸心Y3回りで揺動可能に取り付けられた柱状部材60の下端部に回転自在にボルト61により取り付けられている。柱状部材60は、それの上下方向中間部から水平方向に延びる延出部60Aを備え、延出部60Aの延出端と支持プレート54の間にアクチュエータを取り付けることができる。
【0056】
前記位置ずれ検出手段44で位置ずれしたことが検出されたときに、前記制振装置を用いてかごを乗場側へ移動させる場合には、4個の第2アクチュエータ50(図9図11参照)を伸長作動させることによって、図12に示すように、第3ガイドローラ53のガイドレール47への押付力を強くして、乗場ドア7にかご2を近づけることができる。これにより、一対のカム5,6と第2ローラ41とが係合するときのかご2の奥行方向の掛かり代が予め設定された所定の掛かり代以上にすることができる。
【0057】
図13に、第3の移動手段を示している。つまり、かご2の後面2Bを押圧してかご2自体を乗場側へ移動させる伸縮式のアクチュエータ62を示している。伸縮式のアクチュエータ62としては、流体圧シリンダや電動モータ等が挙げられる。図13では、仮想線で示す短縮状態のロッド62Aを実線で示す位置まで伸長させている。これにより、一対のカム5,6と第2ローラ41とが係合するときのかご2の奥行方向の掛かり代が予め設定された所定の掛かり代以上にすることができる。
【0058】
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。本発明のエレベータのドア用係合装置は、地震を想定した装置として構成しているが、通常時の掛かり代の位置ずれにも対応できる装置として構成することもできる。
【0059】
前記実施形態では、かごドア3,4が異なる方向に移動してかごの出入り口2Kを開閉する両開き式のドアであったが、同一方向に移動して出入り口2Kを開閉する片開き式のドアであってもよい。また、かごドアの枚数は、1枚又は3枚以上の任意の枚数に自由に変更できる。尚、乗場ドアも、かごドアの開閉方式及び枚数の変更に合わせることになる。
【0060】
また、前記実施形態では、乗場側ロック機構Hを設けたが、乗場側ロック機構Hを省略して実施してもよい。この場合、被係止部42の係止片42Aに係止するロック部43bを有するロックアーム43Bを係止解除させる第1ローラ40が不要になり、乗場ドアには第2ローラ41のみを設けることになる。
【0061】
また、前記実施形態では、ガイド装置48を、かごの上端部の左右2か所とかごの下端部の左右2か所の合計4箇所設けたが、一対のカム5,6と第2ローラ41とが係合するときのかご2の奥行方向の掛かり代を十分確保することができるのであれば、かごの上端部及びかごの下端部のいずれか一方にのみ設けて実施することもできる。
【符号の説明】
【0062】
1…ドア用係合装置、2…かご、2B…後面、2K…出入り口、3,4…かごドア、5,6…カム、5T…当接部、7,8…乗場ドア、9…フレーム、10…モータ、10A…駆動軸、11…駆動プーリ、12…従動プーリ、13…ベルト、14…大径プーリ、15…ベルト、16…ドアレール、17,18…ドアハンガー、19,20…ローラ、21…第1連結部材、22…第2連結部材、23…固定部材、24,25…リンク部材、26…ストライカー、27…回転アーム、28…保持機構、28A…ベース、28B…ローラ、28C…レバー、28D…弾性部、28E…ガイドレール、28F,28G…傾斜部、28H…平坦部、28a…軸、29…乗場、29K…出入り口、30…ヘッダーフレーム、31…従動プーリ、32…ベルト、33…レール、34,35…乗場側ドアハンガー、36,37…ローラ、38…乗場側連結部材、39…乗場側保持機構、39A…ベース、39B…ローラ、39C…レバー、39D…弾性部、39E…ガイドレール、39F…傾斜部、39G…平坦部、39a…軸、40,41…ローラ、40A…支軸、41A…支軸、42…被係止部、42A…係止片、43…係止部、43A…固定側部材、43B…ロックアーム、43C…コイルバネ、43b…ロック部、44…位置ずれ検出手段、45…プッシュソレノイド、46…加速度センサ、47…ガイドレール、47A…基部、47B…突出部、47b…先端面、47c…前側面、47c,47d…前後方向両側面、48…ガイド装置、49,50…アクチュエータ、49A…ロッド、50A…ロッド、51…第1ガイドローラ、52…第2ガイドローラ、53…第3ガイドローラ、54…支持プレート、55…柱状部材、55A…延出部、56…支持台、57…ボルト、58…柱状部材、58A…延出部、59…ボルト、60…柱状部材、60A…延出部、61…ボルト、62…アクチュエータ、62A…ロッド、H…乗場側ロック機構、X1~X3…軸心、Y1~Y3…軸心
【要約】
【課題】被係合部と係合部とを確実に係合させて乗場ドアの開閉を行うことができるエレベータのドア用係合装置を提供する。
【解決手段】かごドア3,4に設けられる被係合部5,5と、被係合部5,5に係合すべく、乗場ドアに設けられる係合部と、を備え、かごが乗場に着床しているときに、被係合部5,5と係合部とが係合することによってかごドア3,4が開閉する際の動力を乗場ドアに伝達可能に構成され、被係合部5,5と係合部とが係合するときのかごの奥行方向における掛かり代が、所定の掛かり代未満であることを検出する位置ずれ検出手段と、位置ずれ検出手段で掛かり代が所定の掛かり代未満であることが検出されたときに、掛かり代が所定の掛かり代以上になるように、被係合部5,5及び係合部のうちの少なくとも一方をかごの奥行方向に移動させる移動手段を備えている。
【選択図】図1
図1
図2
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図10
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図13