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特許7465476決済処理装置、方法および決済処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】決済処理装置、方法および決済処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20240404BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G06Q30/06
G07G1/00 331B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019507661
(86)(22)【出願日】2018-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2018010802
(87)【国際公開番号】W WO2018174006
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-02-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2017057110
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】後藤 彩加
(72)【発明者】
【氏名】関根 瑞人
(72)【発明者】
【氏名】菅野 有香
(72)【発明者】
【氏名】北田 正人
(72)【発明者】
【氏名】江原 誉典
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】木方 庸輔
【審判官】梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-173842(JP,A)
【文献】特開2009-110345(JP,A)
【文献】特開2014-229278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗において顧客が位置する領域を判定する判定部と、
前記顧客によって第1の領域で商品が取得されたことを、時系列で連続する複数の画像データの間で前記商品の特徴情報が棚に対応する領域の中から外へ又は前記に接する位置から接しない位置へ移動することを検出することにより検出する商品取得検出部と、
前記顧客が前記第1の領域から第2の領域に移動する際に、前記商品の取得の検出結果に基づく前記商品の量が、基準量以上又は基準量より大きいという条件を満たす場合に、前記顧客に対して通知を行う通知部と、
を備える決済処理装置。
【請求項2】
前記通知は、前記顧客によって取得された前記商品と同じグループに属する他の商品を示すことを特徴とする、請求項1に記載の決済処理装置。
【請求項3】
前記通知部は、前記顧客によって取得された前記商品の量および前記顧客によって過去の期間内に購入された前記商品の量の合計値が前記条件を満たす場合に、前記通知を行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の決済処理装置。
【請求項4】
前記過去の期間は、前記商品が取得された時間から遡って基準時間以内又は基準時間未満であることを特徴とする、請求項3に記載の決済処理装置。
【請求項5】
前記第1の領域および前記第2の領域は、前記店舗内を区切ることによって設定される異なる領域であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の決済処理装置。
【請求項6】
前記通知部は、前記顧客が有する携帯端末に対して前記通知を行うことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の決済処理装置。
【請求項7】
前記顧客が前記商品を取得する際、前記顧客が所定の領域から出る際、および前記顧客が所定の領域へ入る際のうち少なくとも1つのタイミングで、前記商品の決済を行う決済部をさらに備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の決済処理装置。
【請求項8】
コンピュータが、店舗において顧客が位置する領域を判定する工程と、
前記コンピュータが、前記顧客によって第1の領域で商品が取得されたことを、時系列で連続する複数の画像データの間で前記商品の特徴情報が棚に対応する領域の中から外へ又は前記に接する位置から接しない位置へ移動することを検出することにより検出する工程と、
前記コンピュータが、前記顧客が前記第1の領域から第2の領域に移動する際に、前記商品の取得の検出結果に基づく前記商品の量が、基準量以上又は基準量より大きいという条件を満たす場合に、前記顧客に対して通知を行う工程と、
を含む決済処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
店舗において顧客が位置する領域を判定する工程と、
前記コンピュータが、前記顧客によって第1の領域で商品が取得されたことを、時系列で連続する複数の画像データの間で前記商品の特徴情報が棚に対応する領域の中から外へ又は前記に接する位置から接しない位置へ移動することを検出することにより検出する工程と、
前記顧客が前記第1の領域から第2の領域に移動する際に、前記商品の取得の検出結果に基づく前記商品の量が、基準量以上又は基準量より大きいという条件を満たす場合に、前記顧客に対して通知を行う工程と、
を実行させる決済処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客が取得した商品の決済を行う装置、方法および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顧客は棚から購入したい商品を取った後にPOS(Point Of Sales)端末(レジスタともいう)まで移動し、店員が商品をPOS端末に読み込ませて決済を行う。また、顧客自身が購入したい商品をPOS端末に読み込ませる場合もある。いずれの場合でも、商品を棚から取得するステップおよびPOS端末に商品を読み込ませるステップは独立していることが一般的である。
【0003】
顧客が複数の商品を購入する場合には、店員がPOS端末に全ての商品を読み込ませる際に長い時間が掛かる。そのため、店舗においてはPOS端末における決済がボトルネックになることが多い。顧客の待ち時間を低減するために十分な数の店員およびPOS端末を用意すると、店員およびPOS端末を配置するために広い空間が必要であり、また店員を雇うためおよびPOS端末を導入するために大きなコストが掛かる。
【0004】
商品の決済を効率化するための技術として、特許文献1には、個別周波数を発信する登録カードによって顧客を特定し、該顧客が商品を棚から抜き取る際に該商品の販売データを該登録カードに登録する技術が記載されている。店員は顧客の登録カードをPOS端末に読み込ませることによって、1つ1つの商品をPOS端末に読み込ませることなく、該顧客が取得した全ての商品の決済を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-190672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、同じシリーズの商品(例えば同じシリーズのシャンプーおよびリンス)の外観は互いに類似している。そのため、顧客が同じシリーズの商品の中から購入したい商品と異なる商品を棚から取得した場合(例えばリンスを買おうとしてシャンプーを取得した場合)には、商品の誤りに気付きづらい。従来では顧客が意図しない商品を取得した場合であっても、POS端末に商品を1つ1つ読み込ませるステップにおいて、意図しない商品に気付く可能性があった。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、POS端末に商品を読み込ませるステップが省略されるため、従来よりも商品の誤りに気付きづらいという新たな問題が生じる。顧客が意図しない商品を購入すると、店員が顧客からの返品を受け付ける作業のコストが発生する。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みて行われたものであって、顧客が意図しない商品を購入することを抑制できる決済処理装置、方法および記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、決済処理装置であって、店舗において顧客が位置する領域を判定する判定部と、前記顧客が第1の領域から第2の領域に移動する際に、前記顧客によって前記第1の領域で取得された商品の量が条件を満たす場合に、前記顧客に対して通知を行う通知部と、を備える。
【0010】
本発明の第2の態様は、決済処理方法であって、店舗において顧客が位置する領域を判定する工程と、前記顧客が第1の領域から第2の領域に移動する際に、前記顧客によって前記第1の領域で取得された商品の量が条件を満たす場合に、前記顧客に対して通知を行う工程と、を含む。
【0011】
本発明の第3の態様は、決済処理プログラムが記録された記録媒体であって、コンピュータに、店舗において顧客が位置する領域を判定する工程と、前記顧客が第1の領域から第2の領域に移動する際に、前記顧客によって前記第1の領域で取得された商品の量が条件を満たす場合に、前記顧客に対して通知を行う工程と、を実行させるプログラムが記録されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、顧客が意図しない商品を購入することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態に係る決済処理システムの模式図である。
図2】第1の実施形態に係る決済処理装置のブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る決済処理方法の模式図である。
図4】第1の実施形態に係る決済処理方法の模式図である。
図5】第1の実施形態に係る決済処理方法の模式図である。
図6A】第1の実施形態に係るテーブルの模式図である。
図6B】第1の実施形態に係るテーブルの模式図である。
図6C】第1の実施形態に係るテーブルの模式図である。
図7A】第1の実施形態に係る携帯端末上に表示される通知画面の模式図である。
図7B】第1の実施形態に係る携帯端末上に表示される通知画面の模式図である。
図8】第1の実施形態に係る決済処理装置の例示的な機器構成を示す概略構成図である。
図9】第1の実施形態に係る決済処理方法のフローチャートを示す図である。
図10A】第2の実施形態に係るテーブルの模式図である。
図10B】第2の実施形態に係るテーブルの模式図である。
図10C】第2の実施形態に係るテーブルの模式図である。
図11A】第2の実施形態に係る携帯端末上に表示される通知画面の模式図である。
図11B】第2の実施形態に係る携帯端末上に表示される通知画面の模式図である。
図12】第2の実施形態に係る決済処理方法のフローチャートを示す図である。
図13】各実施形態に係る決済処理装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。なお、以下で説明する図面で、同機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略することもある。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る決済処理システム1の模式図である。決済処理システム1は、決済処理を行う決済処理装置100と、顧客および商品の少なくとも一方の画像を取得するカメラ10と、顧客の識別情報を読み取るリーダ20と、顧客に所持される携帯端末30と、を含む。決済処理装置100、カメラ10、リーダ20および携帯端末30は、ローカルエリアネットワーク、インターネット等の任意のネットワーク40を介して、有線接続および無線接続の少なくとも一方によって接続される。決済処理システム1は、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0016】
カメラ10は、店舗内の複数の場所に設けられ、顧客および商品の少なくとも一方を撮像する撮像装置である。カメラ10は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等のイメージセンサを含む。カメラ10は、撮像した内容を画像データとして決済処理装置100に送信する。カメラ10は、決済処理装置100に直接接続されてもよく、ネットワーク40を介して接続されてもよい。
【0017】
リーダ20は、店舗の出入口に設置されたゲートに設けられ、顧客が有するカード等から顧客を特定する識別情報を読み取る読取装置である。リーダ20は、例えば顧客が有するカードに記載された一次元コード、二次元コード等のコードによって表される識別情報を読み取るCCDセンサ、CMOSセンサ等のイメージセンサを含んでもよく、顧客が有するカードに含まれる磁気によって示される識別情報を読み取る磁気センサを含んでもよく、あるいは顧客が有するカードに含まれるアンテナからNFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信によって識別情報を読み取る近距離無線通信装置を含んでもよい。また、リーダ20は、カードではなく、顧客が有する携帯端末30上に表示されたコードを読み取ること、あるいは携帯端末30からの近距離無線通信を受信することによって識別情報を読み取ってもよい。リーダ20は、読み取った識別情報をデータとして決済処理装置100に送信する。リーダ20は、決済処理装置100に直接接続されてもよく、ネットワーク40を介して接続されてもよい。
【0018】
携帯端末30は、決済処理装置100から受信した情報を表示する、持ち運び可能な端末である。携帯端末30は、情報を表示する表示装置を備える。携帯端末30の表示装置は、例えば液晶ディスプレイ又は有機EL(Electroluminescence、OLEDともいう)ディスプレイである。携帯端末30は、有線通信又は無線通信によってネットワーク40を介して決済処理装置100と通信可能に構成される。
【0019】
決済処理装置100は、カメラ10によって取得された画像に含まれる顧客および商品を識別し、顧客が購入したい商品を棚から取ったことを検出し、顧客に対して商品の決済を行う。また、決済処理装置100は、顧客の携帯端末30に情報を送信することによって所定の通知を行う。決済処理装置100は、有線通信又は無線通信によってネットワーク40に接続されており、単一のコンピュータ、又はコンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成される。
【0020】
図2は、本実施形態に係る決済処理装置100のブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に別れて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0021】
決済処理装置100は、顧客判定処理のために、識別情報読取部110および顧客判定部120を備える。また、決済処理装置100は、決済処理のために、商品取得検出部130、商品取得者判定部140および決済部150を備える。また、決済処理装置100は、通知処理のために、エリア判定部160、商品量判定部170、通知メッセージ生成部180および通知部190を備える。また、決済処理装置100は、記憶部として、顧客記憶部200、購入履歴記憶部210および通知定義記憶部220を備える。以下では、各部の詳細な機能を図3~7を用いて順に説明する。
【0022】
図3は、本実施形態に係る決済処理方法(特に顧客判定処理)の模式図である。図3を用いて識別情報読取部110および顧客判定部120の機能を説明する。店舗の出入口にはゲート21が設置されており、ゲート21上にはリーダ20が設けられる。また、ゲート21の近傍において、ゲート21を通過する顧客の顔を含む領域を撮像できる位置にカメラ10が設けられる。顧客は、ゲート21を通過して店舗に入る際に、リーダ20にカード22(又は携帯端末30)をかざして読み取らせることによって、自身の識別情報を提供する。
【0023】
顧客記憶部200には、顧客の決済情報(クレジットカードの番号、銀行口座の番号等)および携帯端末30の情報(電話番号、メールアドレス等)を含む顧客情報が、顧客の識別情報に関連付けられて予め登録されている。識別情報は、例えば顧客を識別するための固有の顧客IDである。顧客記憶部200への顧客情報の登録は、任意の方法によって行われる。顧客記憶部200への顧客情報の登録は、顧客自身によって行われてもよく、あるいは顧客が記入した登録用紙等に従って店員によって行われてもよい。
【0024】
識別情報読取部110は、ゲート21においてリーダ20によって顧客のカード22や携帯端末30等から読み取られた顧客の識別情報を受信し、決済処理装置100に入力する。
【0025】
顧客判定部120は、識別情報を提供した顧客が、顧客記憶部200に登録されているか否かを判定する。具体的には、顧客判定部120は、識別情報読取部110によって入力された識別情報(例えば顧客ID)に関連付けられた顧客情報が顧客記憶部200に登録されているか否かを判定する。
【0026】
次に顧客判定部120は、顧客の識別情報が顧客記憶部200に登録されている場合に、該顧客を特定の顧客Aであると判定し、顧客記憶部200から該顧客Aの顧客情報を取得する。後述の決済処理において、顧客Aが購入したい商品を棚から取得する際に、決済処理装置100は、該顧客Aの顧客情報(決済情報)を用いて該商品の決済を行う。これにより決済処理装置100は、顧客Aが購入したい商品について従来のPOS端末に通さずに決済を行うことができる。
【0027】
また、顧客判定部120は、カメラ10から顧客Aの画像データを取得し、該画像データから顧客Aの特徴情報A1を取得して顧客記憶部200に記録する。このとき、顧客判定部120は、顧客Aの特徴情報A1を、顧客記憶部200中で該顧客Aの顧客情報に関連付ける。顧客Aの特徴情報A1として、後述の決済処理において顧客Aを認識可能な任意の特徴情報A1を用いることができる。例えば顧客Aの特徴情報A1は、顧客Aの顔を含む領域の画像データそのものでもよく、あるいは顧客の顔を含む領域の画像データから算出した特徴量でもよい。図3には、顧客Aの特徴情報A1が模式的に破線の枠として示されている。顧客記憶部200に顧客Aの特徴情報A1が既に記録されている場合には、特徴情報A1を新たに取得せずに顧客記憶部200に記録された特徴情報A1がそのまま用いられてもよい。換言すると、顧客Aの特徴情報A1として、過去に取得された特徴情報A1を用いてもよく、あるいは店舗に入る際に取得された特徴情報A1を用いてもよい。店舗に入る際に取得された特徴情報A1は、顧客Aの最新の髪型や服装を表しているため、店舗内の画像データに基づく顧客Aの判別を高精度に行うことができ、より好ましい。
【0028】
また、顧客判定部120は、識別情報を提供した顧客が顧客記憶部200に登録されていない場合に、登録を促すメッセージを不図示のディスプレイやスピーカから出力する。以降の処理は識別情報を提供した顧客が顧客記憶部200に登録された顧客Aであることを前提とする。
【0029】
本実施形態において顧客判定部120は、リーダ20によって読み取られた識別情報に基づいて顧客Aを判定するが、リーダ20を用いずにカメラ10からのゲート21を通過する顧客の画像データに基づいて顧客Aを判定してもよい。具体的には、顧客判定部120は画像データからゲート21を通過する顧客の特徴情報を取得し、取得された特徴情報を顧客記憶部200に記録された特徴情報A1と比較することによって、ゲート21を通過する顧客がいずれの顧客Aであるかを判定する。この場合には、顧客記憶部200に顧客Aの特徴情報A1が予め記録されている必要がある。
【0030】
図4は、本実施形態に係る決済処理方法(特に決済処理)の模式図である。図4を用いて商品取得検出部130、商品取得者判定部140および決済部150の機能を説明する。図4には、顧客Aが商品Cを取得した状態が示されている。
【0031】
店舗内には棚Bが設置されており、棚Bには1つ以上の商品Cが並べられる。また、棚Bの近傍において、顧客Aの顔および商品Cを含む領域を撮像できる位置にカメラ10が設けられる。店舗内には、いずれの場所に存在する顧客Aおよび商品Cをも撮像可能な配置および数のカメラ10が設けられる。
【0032】
まず、商品取得検出部130は、商品Cを含む領域の画像データをカメラ10から取得し、該画像データから商品Cの特徴情報C1を取得する。そして商品取得検出部130は、商品Cの特徴情報C1を用いて、棚Bから商品Cが取り出されることを検出する。棚Bから商品Cが取り出されることの検出は、例えば時系列で連続する複数の画像データの間で、商品Cの特徴情報C1が棚Bに対応する領域の中から外へ(あるいは接する位置から接しない位置へ)移動することを検出することによって行われる。画像データ中の棚Bに対応する領域は、画像データ中の座標として予め記録されてもよく、画像データから棚Bを画像認識することによって決定されてもよい。
【0033】
次に商品取得検出部130は、商品Cを取り出した顧客A(すなわち商品取得者)の顔を含む領域の画像データをカメラ10から取得する。商品Cを取り出した顧客Aは、例えば取り出された商品Cに最も近い顧客Aである。また、商品取得検出部130は、顧客Aの手を含む領域の画像データをカメラ10から取得し、該手の位置や動きに基づいて商品Cを取り出した顧客Aを特定してもよい。商品取得検出部130は、該画像データから顧客Aの特徴情報A1を取得する。商品取得検出部130は、商品取得者である顧客Aの特徴情報A1と取り出された商品Cの特徴情報C1とを関連付ける。図4には、顧客Aの特徴情報A1および商品Cの特徴情報C1が模式的に破線の枠として示されている。
【0034】
商品取得者判定部140は、商品Cを取得した顧客Aの特徴情報A1を、顧客記憶部200に記録された特徴情報A1と比較することによって、商品Cを取得した顧客Aがいずれの顧客Aであるかを判定する。特徴情報A1に基づいて顧客Aを判定するために、周知の画像認識技術を用いることができる。そして、商品取得者判定部140は、判定された顧客Aの顧客情報(決済情報)を顧客記憶部200から取得する。
【0035】
決済部150は、商品取得者判定部140によって取得された顧客Aの顧客情報から決済情報を取り出し、該決済情報(例えば登録されたクレジットカード又は銀行口座への課金)に従って商品Cの決済を行う。決済の際に、決済部150は、決済処理装置100又は外部のサーバから商品Cの特徴情報C1に基づいて商品Cの価格、商品名等を含む商品情報を取得する。商品Cの特徴情報C1から商品情報を取得するために、周知の画像認識技術を用いることができる。
【0036】
決済は1つの商品Cが取得されるごとに行われてもよい。この場合に、ある商品Cの決済が行われた後に該商品Cが棚Bに戻されるときには、決済部150は該決済を取り消す。あるいは、決済は所定のタイミング(例えば顧客Aが店舗から外へ出る際、あるいは顧客Aが店舗内の所定の領域へ入る際)で1つ以上の商品Cについてまとめて行われてもよい。この場合に、決済部150は、顧客が商品Cを取得した際には該商品Cを仮想的な購入リストとして決済処理装置100に一時的に記録し、該商品Cの決済が行われる前に該商品Cが棚Bに戻される場合には該商品Cを該購入リストから除去する。そして、決済部150は、所定のタイミングで該購入リストに含まれる商品Cの決済を行う。
【0037】
図5は、本実施形態に係る決済処理方法(特に通知処理)の模式図である。図5は、店舗内を上方から俯瞰した状態を示す。図5を用いてエリア判定部160、商品量判定部170、通知メッセージ生成部180および通知部190の機能を説明する。通知処理は、商品取得者判定部140によって商品Cを取得した顧客Aが判定された後に行われる。
【0038】
図5には、エリアD1~D4が破線で示されている。エリアD1~D4は店舗内を複数の部分に区切ることによって形成される仮想的な領域であり、予め決済処理装置100に設定される。エリアは、例えば雑貨、食品、精肉、鮮魚のような商品の種類ごとに設定され、各エリアには該種類に属する商品が配置される。また、エリアは、商品が配置される領域および決済が行われる領域を区切ることによって設定されてもよい。この場合には、上述の決済部150は、決済が行われるエリアに顧客Aが進入するタイミングで該顧客Aに対する決済を行う。また、エリアは、店舗内の領域および店舗外の領域を区切ることによって設定されてもよい。エリアの数および形状は、店舗ごとに任意に定められる。
【0039】
エリア判定部160は、カメラ10(図5の破線)から取得された店舗内の画像データを用いて、商品Cを取得した顧客AがいずれのエリアD1~D4に存在するかを判定する。具体的には、複数のカメラ10から取得された画像データから顧客Aの特徴情報A1を取得し、該特徴情報A1を取得したカメラ10が店舗内のどこに(すなわちエリアD1~D4のいずれに)設けられているかによって、顧客AがいずれのエリアD1~D4にいるかを判定することができる。これに限らず、顧客Aの位置の判定が可能な任意の技術を用いることができる。例えば、顧客Aが有する携帯端末30から発せられる無線通信信号やGPS(全地球測位システム)信号を利用して、顧客の位置の判定を行ってもよい。
【0040】
エリア判定部160は、複数のカメラ10から時系列で取得された画像データを用いて、顧客Aの位置があるエリア(第1の領域)から別のエリア(第2の領域)に変化した場合に該顧客Aがエリア間で移動したことを検出し、該顧客Aが移動前のエリアに入った時間および移動前のエリアから出た時間を出力する。図5の例では、顧客AはエリアD1からエリアD2に移動している。エリア判定部160によって顧客Aのエリア間の移動が検出された際に、商品量判定部170、通知メッセージ生成部180および通知部190は、購入履歴記憶部210および通知定義記憶部220に記録された情報に基づいて、該顧客Aに対して通知処理を実行する。
【0041】
図6Aは、本実施形態で用いられる購入履歴テーブルEの模式図である。購入履歴テーブルEは、購入履歴記憶部210に記録され、互いに関連付けられた顧客名E1、商品名E2、取得時間E3、商品量E4を含む。顧客名E1は、顧客Aを識別する名称であり、顧客記憶部200に記録されたいずれかの顧客Aに対応する。商品名E2は、商品Cを識別する名称である。取得時間E3は、顧客Aが商品Cを取得した時間(日時)である。商品量E4は、顧客Aが商品Cを一度に取得した量である。決済部150は、商品Cの決済を行う際に、該商品Cに係る購入データを購入履歴テーブルEに追加する。
【0042】
決済部150が顧客Aによって取得された商品Cを仮想的な購入リストに追加してから後でまとめて決済を行う構成では、該商品Cを該購入リストに追加する際に、該商品Cに係る購入データを購入履歴テーブルEに追加する。
【0043】
図6Aでは視認性のために顧客名E1および商品名E2は文字列で表されているが、それらの代わりにそれらを識別するためのID(顧客IDおよび商品ID)が用いられてもよい。
【0044】
図6Bは、本実施形態で用いられる通知条件テーブルFの模式図である。通知条件テーブルFは、通知定義記憶部220に記録され、互いに関連付けられた商品名F1、通知基準量F2、グループF3およびエリアF4を含む。商品名F1は、購入履歴テーブルの商品名E2と共通である。通知基準量F2は、その数値以上(又はその数値より大きい)の商品が購入される場合に通知を行う基準となる量を示す。すなわち、通知基準量F2は、顧客に対する通知を行うために商品Cの量が満たすべき条件として用いられる。通知基準量F2の単位は、個数、重量、容量等の量を表す任意の単位であり、商品Cの特性に基づいて選択される。図6Bの例では、商品「サラサラ(シャンプー)」が2個以上購入される場合に、通知が行われる。
【0045】
グループF3は、通知メッセージを決定するための商品Cの分類を示し、グループF3の値ごとに異なる通知メッセージが生成される。同じシリーズである又は外観が類似している等の理由で間違えやすい商品CのグループF3を同じ値にすることによって、該商品Cをグループ化することができる。後述の通知メッセージ生成部180は、グループ化された商品のうち1つの商品の量が所定の条件を満たす場合に、グループ化された商品の他の商品を示す通知メッセージを生成することによって、顧客Aに間違えやすい商品Cを知らせることができる。
【0046】
エリアF4は、店舗内で商品が配置される領域(例えば図5のエリアD1~D4のいずれか)を示す。通知条件テーブルFの通知条件データは、予め設定される。
【0047】
図6Bでは視認性のために商品名F1、グループF3およびエリアF4は文字列で表されているが、それらの代わりにそれらを識別するためのID(商品ID、グループIDおよびエリアID)が用いられてもよい。
【0048】
図6Cは、本実施形態で用いられる通知メッセージテーブルGの模式図である。通知メッセージテーブルGは、通知定義記憶部220に記録され、互いに関連付けられたグループG1およびメッセージG2を含む。グループG1は、通知条件テーブルFのグループF3と共通である。メッセージG2は、通知メッセージを生成するための元となる内容を示す。メッセージG2は、所定の形式で記述された変数を含む。また、メッセージG2は変数を含まなくてもよい。図6Cの例では、「{PRODUCT1}」、「{PRODUCT2}」、および「{DATE}」がそれぞれ変数である。変数の形式としては、ここに示すように括弧で挟まれた文字列に限られず、通知メッセージの生成時に所定の値に変換可能な任意の形式を用いてよい。メッセージG2中の変数は、通知メッセージ生成部180によって予め定められた規則に従って変換される。通知メッセージテーブルGの通知メッセージデータは、予め設定される。
【0049】
図6A~6Cにおいて各テーブルは視認性のために文字列の表で表されているが、各テーブルのデータは任意の形式で記録されてもよく、例えば文字列データ、数値データおよびバイナリデータのいずれでもよい。図6A~6Cの各テーブルは、データベースとして記録されてよく、あるいはデータを列挙したリストとして記録されてもよい。
【0050】
エリア判定部160によって顧客Aのエリア間の移動が検出された場合に、商品量判定部170は、移動前のエリア内で該顧客Aによって取得された各商品Cについて、購入履歴テーブルEから該商品C(すなわち商品名E2)に関連付けられた購入データを抽出するとともに、通知条件テーブルFから該商品C(すなわち商品名F1)に関連付けられた通知条件データを抽出する。ここで購入履歴テーブルEから取得される購入データは、エリア判定部160から出力された顧客Aが移動前のエリアに入った時間から移動前のエリアから出た時間までに含まれる取得時間E3を有する購入データである。このとき、購入履歴テーブルEから取得される購入データを、商品Cに関連付けられた通知条件データのエリアF4が顧客Aの移動前のエリアに対応する購入データのみに絞ってもよい。商品量判定部170は、購入データに含まれる同一の商品Cの商品量E4を合算する。
【0051】
商品量判定部170は、購入データの商品Cの商品量E4が、通知条件データの通知基準量F2以上(又は通知基準量F2より大きい)である場合に、該商品Cを通知対象であると判定する。図6A、6Bの例では、商品「サラサラ(シャンプー)」の合算された商品量E4(2個)は、通知基準量F2(2個)以上であるため、該商品「サラサラ(シャンプー)」は通知対象と判定される。
【0052】
通知メッセージ生成部180は、商品量判定部170によって通知対象と判定された商品CのグループF3を通知条件データから取得し、通知メッセージテーブルGから該グループF3(すなわちグループG1)に関連付けられた通知メッセージデータを抽出する。そして、通知メッセージ生成部180は、通知メッセージデータのメッセージG2中の変数を予め定められた規則に従って変換することによって、通知メッセージを生成する。
【0053】
図6Cの例において、通知メッセージ生成部180は、例えば変数「{PRODUCT1}」を取得された商品Cの商品名F1に変換し、変数「{PRODUCT2}」を取得された商品Cと同じグループF3に属する他の商品の商品名F1に変換する。その結果、通知メッセージテーブルGの2行目のメッセージG2は、例えば「サラサラ(シャンプー)を2本購入しようとしています。サラサラ(リンス)とお間違いではないですか?」に変換されて実際の通知メッセージとなる。購入される商品Cと同じグループF3に属する他の商品が複数存在する場合には、複数の他の商品が列挙されてもよく、あるいは所定の優先度に従って又は無作為に1つの他の商品が選択されてもよい。
【0054】
また、通知メッセージ生成部180は、例えば変数「{DATE}」を、購入される商品Cの消費期限(賞味期限でもよい)に変換する。消費期限は、購入される商品Cに付されたラベルから画像認識によって取得されてもよく、購入される商品Cの特徴情報C1に基づいて決済処理装置100又は外部のサーバから取得されてもよい。その結果、通知メッセージテーブルGの3行目のメッセージG2は、例えば「消費期限は2017/3/11です。分量が多すぎませんか?」に変換されて実際の通知メッセージとなる。
【0055】
ここに示した通知メッセージ生成部180による通知メッセージの生成方法は一例であり、任意の方法によってグループG1ごとの通知メッセージが生成されてよい。
【0056】
通知部190は、移動した顧客Aの顧客情報(携帯端末30の情報)を顧客記憶部200から取得する。そして通知部190は、取得された顧客Aの顧客情報から携帯端末30の情報を取り出し、通知メッセージ生成部180によって生成された通知メッセージを示すデータを該携帯端末30に送信する。
【0057】
図7A、7Bは、本実施形態に係る携帯端末30上に表示される通知画面の模式図である。図7Aの通知画面は、図6Cの2行目のメッセージG2から生成された通知メッセージ31を含む。このように決済処理装置100は、例えば外観が類似しているため間違えやすい商品Cを複数取得した顧客Aに対して、再確認を促すことができる。
【0058】
図7Bの通知画面は、図6Cの3行目のメッセージG2から生成された通知メッセージ32を含む。このように決済処理装置100は、例えば消費期限(賞味期限)が短い商品Cを多く取得した顧客Aに対して、再確認を促すことができる。
【0059】
図7A、7Bのような通知画面を参照して誤りに気付いた顧客が商品Cを棚Bに戻す場合には、決済部150は該商品Cの決済を取り消すため、顧客が意図しない商品Cを購入することを抑制できる。
【0060】
図8は、本実施形態に係る決済処理装置100の例示的な機器構成を示す概略構成図である。決済処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、メモリ102と、記憶装置103と、インタフェース104とを備える。決済処理装置100は独立した装置でよく、あるいは他の装置と一体に構成されてよい。
【0061】
インタフェース104は、データの送受信を行う通信部であり、有線通信および無線通信の少なくとも一方の通信方式を実行可能に構成される。インタフェース104は、該通信方式に必要なプロセッサ、電気回路、アンテナ、接続端子等を含む。インタフェース104は、CPU101からの信号に従って、該通信方式を用いて通信を行う。インタフェース104は、例えばカメラ10、リーダ20および携帯端末30と通信を行う。
【0062】
記憶装置103は、決済処理装置100が実行するプログラムや、プログラムによる処理結果のデータ等を記憶する。記憶装置103は、読み取り専用のROM(Read Only Memory)や、読み書き可能のハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等を含む。また、記憶装置103は、CD-ROM等のコンピュータ読取可能な可搬記憶媒体を含んでもよい。
【0063】
メモリ102は、CPU101が処理中のデータや記憶装置103から読み出されたプログラムおよびデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等を含む。
【0064】
CPU101は、処理に用いる一時的なデータをメモリ102に一時的に記録し、記憶装置103に記録されたプログラムを読み出し、該プログラムに従って該一時的なデータに対して種々の演算、制御、判別などの処理動作を実行するプロセッサである。また、CPU101は、記憶装置103に処理結果のデータを記録し、またインタフェース104を介して処理結果のデータを外部に送信する。
【0065】
本実施形態においてCPU101は、記憶装置103に記録されたプログラムを実行することによって、図2の識別情報読取部110、顧客判定部120、商品取得検出部130、商品取得者判定部140、決済部150、エリア判定部160、商品量判定部170、通知メッセージ生成部180および通知部190として機能する。また、メモリ102又は記憶装置103は、図2の顧客記憶部200、購入履歴記憶部210および通知定義記憶部220として機能する。
【0066】
決済処理装置100は、図8に示す具体的な構成に限定されない。決済処理装置100は、1つの装置に限られず、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されていてもよい。決済処理装置100に含まれる各部は、それぞれ電気回路構成により実現されていてもよい。ここで、電気回路構成とは、単一のデバイス、複数のデバイス、チップセット又はクラウドを概念的に含む文言である。
【0067】
また、決済処理装置100の少なくとも一部がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてよい。すなわち、決済処理装置100を実現するための機能の少なくとも一部が、ネットワーク経由で実行されるソフトウェアによって実行されてよい。
【0068】
図9は、本実施形態に係る決済処理方法のフローチャートを示す図である。図9のフローチャートは、例えば顧客が識別情報を示すカード22(又は携帯端末30)をリーダ20にかざす際に開始される。
【0069】
まず、識別情報読取部110は、ゲート21においてリーダ20によって顧客のカード22や携帯端末30等から読み取られた顧客の識別情報を受信し、決済処理装置100に入力する(ステップS101)。
【0070】
顧客判定部120は、ステップS101で入力された識別情報を提供した顧客が、顧客記憶部200に記録されたいずれの顧客Aであるか判定する(ステップS102)。また、顧客判定部120は、ステップS101で識別情報を提供した顧客Aの画像データをカメラ10から取得し、該画像データから該顧客Aの特徴情報A1を取得して顧客記憶部200に記録する(ステップS103)。このとき、顧客判定部120は、顧客Aの特徴情報A1を、顧客記憶部200中で該顧客Aの顧客情報に関連付ける。該顧客Aの特徴情報A1が既に顧客記憶部200に記録されている場合は、ステップS103は省略されてもよい。以降の処理は、顧客Aが入店した後、退店するまで繰り返し行われる。
【0071】
商品取得検出部130は、商品Cを含む領域の画像データをカメラ10から取得し、棚Bから商品Cが取得されることを検出する(ステップS104)。商品Cが取得されたことが検出されない場合には(ステップS105のNO)、ステップS108に進む。
【0072】
商品Cが取得されたことが検出された場合には(ステップS105のYES)、商品取得検出部130は、商品Cを取り出した顧客Aの特徴情報A1と取り出された商品Cの特徴情報C1とを関連付けて出力する。そして、商品取得者判定部140は、商品Cを取得した顧客Aの特徴情報A1を、顧客記憶部200に記録された特徴情報A1と比較することによって、商品Cを取得した顧客Aがいずれの顧客Aであるかを判定する(ステップS106)。そして、商品取得者判定部140は、判定された顧客Aの顧客情報(決済情報)を顧客記憶部200から取得する。
【0073】
決済部150は、商品Cを取得した顧客Aの顧客情報から決済情報を取り出し、該決済情報(例えば登録されたクレジットカード又は銀行口座への課金)に従って商品Cの決済を行う(ステップS107)。このとき、決済部150は該商品Cに係る購入データを購入履歴記憶部210の購入履歴テーブルEに追加する。
【0074】
商品Cを仮想的な購入リストに追加してから後でまとめて決済を行う構成では、決済部150はステップS107において決済を実行する代わりに該商品Cを該購入リストに追加する。このとき、決済部150は該商品Cに係る購入データを購入履歴記憶部210の購入履歴テーブルEに追加する。
【0075】
次に、エリア判定部160は、カメラ10から取得された店舗内の画像データを用いて、商品Cを取得した顧客Aが、店舗内のいずれのエリアに存在するかを判定する(ステップS108)。繰り返しの2回目以降に実行されるステップS108において、エリア判定部160は、前回の判定から顧客Aの位置があるエリア(第1の領域)から別のエリア(第2の領域)に変化した場合に、顧客Aがエリア間で移動したことを検出する。
【0076】
顧客Aがエリア間で移動したことが検出されない場合に(ステップS109のNO)、ステップS104~S108が繰り返される。
【0077】
顧客Aがエリア間で移動したことが検出された場合に(ステップS109のYES)、商品量判定部170は、移動前のエリア内で該顧客Aによって取得された各商品Cについて、購入履歴テーブルEから該商品Cに関連付けられた購入データを抽出するとともに、通知条件テーブルFから該商品Cに関連付けられた通知条件データを抽出する。そして商品量判定部170は、購入データの商品Cの商品量E4が、通知条件データの通知基準量F2以上(又は通知基準量F2より大きい)である場合に、該商品Cを通知対象であると判定する(ステップS110)。
【0078】
通知メッセージ生成部180は、ステップS110で通知対象と判定された商品CのグループF3を通知条件データから取得し、通知メッセージテーブルGから該グループF3に関連付けられた通知メッセージデータを抽出する。そして、通知メッセージ生成部180は、通知メッセージデータのメッセージG2中の変数を予め定められた規則に従って変換することによって、通知メッセージを生成する(ステップS111)。
【0079】
通知部190は、移動した顧客Aの顧客情報(携帯端末30の情報)を顧客記憶部200から取得する。そして通知部190は、取得された顧客Aの顧客情報から携帯端末30の情報を取り出し、ステップS111で生成された通知メッセージを示すデータを該携帯端末30に送信する(ステップS112)。携帯端末30は、受信した通知メッセージを表示装置上に表示する。ステップS110で判定された通知対象の商品Cが複数ある場合には、各商品Cについて通知メッセージが生成および送信される。
【0080】
顧客Aが退店しない場合に(ステップS113のNO)、ステップS104~S112が繰り返される。顧客Aが退店した場合に(ステップS113のYES)、処理を終了する。商品Cを仮想的な購入リストに追加してから後でまとめて決済を行う構成では、決済部150はこのタイミングで該購入リストに含まれる商品の決済を行う。
【0081】
決済処理装置100のCPU101は、図9に示す決済処理方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、CPU101は、図9に示す決済処理方法を実行するための決済処理プログラムをメモリ102又は記憶装置103から読み出し、該プログラムを実行して決済処理装置100の各部を制御することによって図9に示す決済処理方法を実行する。
【0082】
本発明に係る決済処理装置100は、カメラ10によって取得された画像の情報に基づいて顧客および商品を識別するが、顧客および商品を識別するためのその他周知の技術を用いることができる。例えば、店舗に設けられるカメラ、赤外線センサ、圧力センサ、重量センサ、および音センサのうち少なくとも1つから取得される情報又は情報の組み合わせによって、顧客および商品の識別を行ってもよい。
【0083】
POS端末に商品を通さないで決済を行う店舗(いわゆるレジレス店舗)では、商品を取得するだけで決済が完了する。そのため、顧客が商品を取得した後に再び商品を確認する機会がない。このようなレジレス店舗では、顧客は誤った商品を取得した場合に、該誤った商品に気付きづらい。本実施形態に係る決済処理装置100は、顧客が店舗内を区画するエリア間で移動する際に、移動前のエリアで取得した商品の量が所定の条件(具体的には所定の値以上である又は所定の値より大きいこと)を満たす場合に、顧客の携帯端末に再確認を促す通知を送信する。これにより、決済処理装置100は、顧客が意図しない商品を購入することを抑制することができる。
【0084】
決済処理装置100は、間違えやすい商品をグループ化し、1つのグループの中で1つの商品の量が所定の条件を満たす場合に、同じグループに属する他の商品を示す通知を行う。これにより、間違えやすい商品を取得した可能性を顧客に認識させることができる。決済処理装置100は、消費期限(賞味期限)が短い商品の量が所定の条件を満たす場合に、消費期限を示す通知を行う。これにより、消費期限に対して量が多いことを顧客に認識させることができる。このように決済処理装置100は取得された商品に対して適した通知を行うため、顧客にとっての利便性を向上させることができる。
【0085】
(第2の実施形態)
第1の実施形態は、顧客が一度に取得する同一商品の量に基づいて通知を行う。それに対して、本実施形態は、同一商品が過去の所定期間内に取得された量に基づいて通知を行う。これにより、顧客が最近購入した商品を再び購入する場合に、顧客に再確認を促すことができる。それ以外の本実施形態における構成は、第1の実施形態と同様である。
【0086】
図10Aは、本実施形態で用いられる購入履歴テーブルEの模式図である。本実施形態に係る購入履歴テーブルEに含まれる各項目の定義は、図6Aの購入履歴テーブルEと同様である。
【0087】
図10Bは、本実施形態で用いられる通知条件テーブルFの模式図である。本実施形態に係る通知条件テーブルFは、図6Bの通知条件テーブルFの各項目に加えて、通知基準時間F5を含む。通知基準時間F5は、顧客に対する通知を行うために同一商品の量を合算する過去の期間を定義するための時間を示す。通知基準時間F5の単位は、日、時、分、秒等の時間を表す任意の単位である。それ以外の項目の定義は図6Bの通知条件テーブルFと同様である。図10Bの例では、商品「サラサラ(シャンプー)」が過去7日以内に2個以上購入される場合に、通知が行われる。
【0088】
図10Cは、本実施形態で用いられる通知メッセージテーブルGの模式図である。本実施形態に係る通知メッセージテーブルGに含まれる各項目の定義は、図6Cの通知メッセージテーブルGと同様である。
【0089】
図10A~10Cにおいて各テーブルは視認性のために文字列の表で表されているが、各テーブルのデータは任意の形式で記録されてよく、例えば文字列データ、数値データおよびバイナリデータのいずれでもよい。図10A~10Cの各テーブルは、データベースとして記録されてよく、あるいはデータを列挙したリストとして記録されてもよい。
【0090】
本実施形態における識別情報読取部110、顧客判定部120、商品取得検出部130、商品取得者判定部140、決済部150およびエリア判定部160の機能は第1の実施形態と同様である。
【0091】
エリア判定部160によって顧客Aのエリア間の移動が検出された場合に、商品量判定部170は、移動前のエリア内で該顧客Aによって取得された各商品Cについて、購入履歴テーブルEから該商品C(すなわち商品名E2)に関連付けられた購入データを抽出するとともに、通知条件テーブルFから該商品C(すなわち商品名F1)に関連付けられた通知条件データを抽出する。ここで購入履歴テーブルEから取得される購入データは、エリア判定部160から出力された顧客Aが移動前のエリアに入った時間から移動前のエリアから出た時間までに含まれる取得時間E3を有する購入データである。このとき、購入履歴テーブルEから取得される購入データを、商品Cに関連付けられた通知条件データのエリアF4が顧客Aの移動前のエリアに対応する購入データのみに絞ってもよい。
【0092】
さらに、商品量判定部170は、購入データに含まれる各商品Cについて、購入履歴テーブルEから該商品C(すなわち商品名E2)に関連付けられた過去購入データを抽出する。ここで購入履歴テーブルEから抽出される過去購入データは、顧客Aが移動前のエリアに入った時間よりも前であって、今回の購入データの取得時間E3から遡って通知条件データの通知基準時間F5以内(又は通知基準時間F5未満)の取得時間E3を有する過去購入データである。商品量判定部170は、購入データおよび過去購入データに含まれる同一の商品Cの商品量E4を合算する。
【0093】
商品量判定部170は、購入データおよび過去購入データで合算された商品Cの商品量E4の合計値が、通知条件データの通知基準量F2以上(又は通知基準量F2より大きい)である場合に、該商品Cを通知対象であると判定する。図10A~10Cの例では、今回の取得時間E3(2017/3/10)から遡って通知基準時間F5(7日)以内に合算された商品「サラサラ(シャンプー)」の商品量E4(2個)が通知基準量F2(2個)以上であるため、該商品「サラサラ(シャンプー)」は通知対象と判定される。
【0094】
本実施形態では商品量E4および取得時間E3の両方を通知対象の判定基準としているが、取得時間E3のみを判定基準としてもよい。この場合には、商品量判定部170は、顧客Aが移動前のエリアに入った時間よりも前であって、今回の購入データの取得時間E3から遡って通知条件データの通知基準時間F5以内(又は通知基準時間F5未満)の取得時間E3を有する商品Cの過去購入データが1つでも存在する場合に、該商品Cを通知対象であると判定する。
【0095】
通知メッセージ生成部180は、商品量判定部170によって通知対象と判定された商品CのグループF3を通知条件データから取得し、通知メッセージテーブルGから該グループF3(すなわちグループG1)に関連付けられた通知メッセージデータを抽出する。そして、通知メッセージ生成部180は、通知メッセージデータのメッセージG2中の変数を予め定められた規則に従って変換することによって、通知メッセージを生成する。
【0096】
通知部190は、移動した顧客Aの顧客情報(携帯端末30の情報)を顧客記憶部200から取得する。そして通知部190は、取得された顧客Aの顧客情報から携帯端末30の情報を取り出し、通知メッセージ生成部180によって生成された通知メッセージを示すデータを該携帯端末30に送信する。
【0097】
図11A、11Bは、本実施形態に係る携帯端末30上に表示される通知画面の模式図である。図11Aの通知画面は、図10Cの2行目のメッセージG2から生成された通知メッセージ33を含む。このように決済処理装置100は、例えば外観が類似しているため間違えやすい商品Cを最近取得した顧客Aに対して、再確認を促すことができる。
【0098】
図11Bの通知画面は、図10Cの3行目のメッセージG2から生成された通知メッセージ34を含む。このように決済処理装置100は、例えば最近購入したことを忘れて再び同じ商品Cを取得した顧客Aに対して、再確認を促すことができる。
【0099】
図12は、本実施形態に係る決済処理方法のフローチャートを示す図である。図12のフローチャートは、例えば顧客が識別情報を示すカード22(又は携帯端末30)をリーダ20にかざす際に開始される。
【0100】
ステップS101~S109は図9と同様である。顧客Aがエリア間で移動したことが検出された場合に(ステップS109のYES)、商品量判定部170は、移動前のエリア内で該顧客Aによって取得された各商品Cについて、購入履歴テーブルEから該商品Cに関連付けられた購入データを抽出するとともに、通知条件テーブルFから該商品Cに関連付けられた通知条件データを抽出する。さらに、商品量判定部170は、購入データに含まれる各商品Cについて、購入履歴テーブルEから該商品Cに関連付けられた過去購入データを抽出する。ここで購入履歴テーブルEから抽出される過去購入データは、顧客Aが移動前のエリアに入った時間よりも前であって、今回の購入データの取得時間E3から遡って通知条件データの通知基準時間F5以内(又は通知基準時間F5未満)の取得時間E3を有する過去購入データである。
【0101】
そして商品量判定部170は、購入データおよび過去購入データで合算された商品Cの商品量E4の合計値が、通知条件データの通知基準量F2以上(又は通知基準量F2より大きい)である場合に、該商品Cを通知対象であると判定する(ステップS210)。ステップS111~S113は図9と同様である。
【0102】
決済処理装置100のCPU101は、図12に示す決済処理方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、CPU101は、図12に示す決済処理方法を実行するための決済処理プログラムをメモリ102又は記憶装置103から読み出し、該プログラムを実行して決済処理装置100の各部を制御することによって図12に示す決済処理方法を実行する。
【0103】
本実施形態に係る決済処理装置100は、顧客が店舗内を区画するエリア間で移動する際に、今回商品を取得した時間から遡って所定の時間以内(又は所定の時間未満)の購入数が所定の値以上または所定の値より大きい場合に、顧客の携帯端末に再確認を促す通知を送信する。これにより、決済処理装置100は、顧客が最近購入した商品を再び買ってしまう場合等、顧客が意図しない商品を購入することを抑制することができる。
【0104】
(その他の実施形態)
図13は、上述の各実施形態に係る決済処理装置100の概略構成図である。図13には、決済処理装置100が、顧客が意図しない商品を購入することを抑制する装置として機能するための構成例が示されている。決済処理装置100は、店舗において顧客が位置する領域を判定するエリア判定部160(判定部)と、前記顧客が第1の領域から第2の領域に移動する際に、前記顧客によって前記第1の領域で取得された商品の量が条件を満たす場合に、前記顧客に対して通知を行う通知部190と、を備える。
【0105】
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0106】
上述の実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラム(より具体的には、図9、12に示す処理をコンピュータに実行させる決済処理プログラム)を記録媒体に記録させ、該記録媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記録媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記録媒体はもちろん、そのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0107】
該記録媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。また該記録媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0108】
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0109】
(付記1)
店舗において顧客が位置する領域を判定する判定部と、
前記顧客が第1の領域から第2の領域に移動する際に、前記顧客によって前記第1の領域で取得された商品の量が条件を満たす場合に、前記顧客に対して通知を行う通知部と、
を備える決済処理装置。
【0110】
(付記2)
前記条件は、前記商品の量が基準量以上又は基準量より大きいことであることを特徴とする、付記1に記載の決済処理装置。
【0111】
(付記3)
前記通知は、前記顧客によって取得された前記商品と同じグループに属する他の商品を示すことを特徴とする、付記1又は2に記載の決済処理装置。
【0112】
(付記4)
前記通知部は、前記顧客によって取得された前記商品の量および前記顧客によって過去の期間内に購入された前記商品の量の合計値が前記条件を満たす場合に、前記通知を行うことを特徴とする、付記1~3のいずれか一項に記載の決済処理装置。
【0113】
(付記5)
前記過去の期間は、前記商品が取得された時間から遡って基準時間以内又は基準時間未満であることを特徴とする、付記4に記載の決済処理装置。
【0114】
(付記6)
前記第1の領域および前記第2の領域は、前記店舗内を区切ることによって設定される異なる領域であることを特徴とする、付記1~5のいずれか一項に記載の決済処理装置。
【0115】
(付記7)
前記通知部は、前記顧客が有する携帯端末に対して前記通知を行うことを特徴とする、付記1~6のいずれか一項に記載の決済処理装置。
【0116】
(付記8)
前記顧客が前記商品を取得する際、前記顧客が所定の領域から出る際、および前記顧客が所定の領域へ入る際のうち少なくとも1つのタイミングで、前記商品の決済を行う決済部をさらに備えることを特徴とする、付記1~7のいずれか一項に記載の決済処理装置。
【0117】
(付記9)
店舗において顧客が位置する領域を判定する工程と、
前記顧客が第1の領域から第2の領域に移動する際に、前記顧客によって前記第1の領域で取得された商品の量が条件を満たす場合に、前記顧客に対して通知を行う工程と、
を含む決済処理方法。
【0118】
(付記10)
コンピュータに、
店舗において顧客が位置する領域を判定する工程と、
前記顧客が第1の領域から第2の領域に移動する際に、前記顧客によって前記第1の領域で取得された商品の量が条件を満たす場合に、前記顧客に対して通知を行う工程と、
を実行させる決済処理プログラムが記録された記録媒体。
【0119】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0120】
この出願は、2017年3月23日に出願された日本出願特願2017-057110を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0121】
30 携帯端末
100 決済処理装置
150 決済部
160 エリア判定部
190 通知部
220 通知定義記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12
図13