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特許7465494ナノ粒子での微小空洞及び虫歯の処置及び検出
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ナノ粒子での微小空洞及び虫歯の処置及び検出
(51)【国際特許分類】
   A61K 49/18 20060101AFI20240404BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 33/16 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 33/24 20190101ALI20240404BHJP
   A61K 33/38 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 33/42 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20240404BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20240404BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
A61K49/18
A61K8/02
A61K8/73
A61K9/14
A61K33/16
A61K33/24
A61K33/38
A61K33/42
A61K47/36
A61K47/61
A61P1/02
A61Q11/00
【請求項の数】 63
(21)【出願番号】P 2018540696
(86)(22)【出願日】2016-10-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-06
(86)【国際出願番号】 US2016058274
(87)【国際公開番号】W WO2017070578
(87)【国際公開日】2017-04-27
【審査請求日】2019-09-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】62/244,512
(32)【優先日】2015-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511000957
【氏名又は名称】ザ・リージェンツ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ミシガン
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF MICHIGAN
(73)【特許権者】
【識別番号】518140472
【氏名又は名称】ポズナン ユニバーシティ オブ メディカル サイエンシズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラハン、イェルク
(72)【発明者】
【氏名】チャン、シウェ - レン
(72)【発明者】
【氏名】クラークソン、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、ネイサン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】チャイカ - ヤクボウスカ、アガタ
【合議体】
【審判長】松波 由美子
【審判官】井上 典之
【審判官】原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-509067(JP,A)
【文献】特表2014-505672(JP,A)
【文献】特開2022-051758(JP,A)
【文献】特表2009-534097(JP,A)
【文献】特表2003-511406(JP,A)
【文献】特表平10-511957(JP,A)
【文献】”Nanoparticles release drugs to reduce tooth decay”,Phys.org,University of Rochester,2015,April 1,<URL:https://phys.org/news/2015-04-nanoparticles-drugs-tooth.html>
【文献】HUANG,Yinjuan,et al.,”Ultra-small and innocuous cationic starch nanospheres:Preparation, characterization and drug delivery study”,International Journal of Biological Macromolecules,(2013),Vol.58,p.231-239,<URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0141813013001773>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K49
A61K51
A61K47
A61K8
A61K9
JSTPLUS、JMEDPLUS、JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む経口投与用ナノ粒子:
対象の口腔中の歯の表面下損傷中の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能なカチオン性の領域を持つデンプンポリマー;及び
当該ナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時に、当該ナノ粒子が1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能なように、当該デンプンポリマーと結合した造影剤、
しかも、当該デンプンポリマーによりナノ粒子が形成されたものであり、ナノ粒子の表面は、その上に生成された当該カチオン性の領域の少なくとも一部を含む、前記の経口投与用ナノ粒子。
【請求項2】
チオン性の領域が、デンプンポリマーと結合したカチオン性の部位を含む、請求項1のナノ粒子。
【請求項3】
カチオン性の部位が、第四級アミンを含む、請求項2のナノ粒子。
【請求項4】
カチオン性の部位が、デンプンポリマーと結合したグリシジルトリメチル塩化アンモニウムの反応生成物である、請求項3のナノ粒子。
【請求項5】
造影剤が、歯科用硬化ランプからの電磁放射線に応答して蛍光を発するフルオロフォアを含む、請求項1のナノ粒子。
【請求項6】
造影剤が、少なくとも1つの生体適合性染料を含む、請求項5のナノ粒子。
【請求項7】
造影剤が、口腔の目視検査によって検出可能である、請求項1のナノ粒子。
【請求項8】
目視検査が、光学フィルターの使用を含む、請求項7のナノ粒子。
【請求項9】
ナノ粒子が、7のpHで約0mV以上~約+50mV以下のゼータ電位を有する、請求項1のナノ粒子。
【請求項10】
ナノ粒子が両性イオン性である、請求項1のナノ粒子。
【請求項11】
ナノ粒子が、約10nm以上~約1,000ナノメートル以下の平均直径を有する、請求項1のナノ粒子。
【請求項12】
口腔ケア活性成分を更に含む、請求項1のナノ粒子。
【請求項13】
口腔ケア活性成分が、虫歯予防薬、再石灰化剤、抗菌剤、抗結石剤、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項12のナノ粒子。
【請求項14】
口腔ケア活性成分が、ナノ粒子中への取込み後に、約0.02%以上~約2.2重量%以下で存在するフッ化物含有成分を含み、
当該フッ化物含有成分が、フルオロヒドロキシアパタイト、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化銀脱水物、モノフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロシラン、及びそれらの組合せから成る群から選択される、
請求項13のナノ粒子。
【請求項15】
口腔ケア活性成分が、ナノ粒子中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下で存在するカルシウム含有成分を含む、請求項13のナノ粒子。
【請求項16】
口腔ケア活性成分が、カルシウム及びホスフェート含有成分を含み、
当該カルシウム及びホスフェート含有成分が以下を含む、請求項15のナノ粒子:
(e)ナノ粒子中への取込み後に、約0.1%以上~約1重量%以下でナノ粒子中に存在するグリセロリン酸カルシウム;
(f)ナノ粒子中への取込み後に、約2%以上~約50重量%以下でナノ粒子中に存在するリン酸二カルシウム;
(g)ナノ粒子中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下でナノ粒子中に存在するリン酸三カルシウム;又は
(h)ナノ粒子中への取込み後に、約1%以上~約10重量%以下でナノ粒子中に存在するカルシウムナトリウムホスホシリケート。
【請求項17】
口腔ケア活性成分が以下を含む、請求項12のナノ粒子:
(d)ナノ粒子中への取込み後に、約0.2%以上~約2.2重量%以下でナノ粒子中に存在するアミンフッ化物;
(e)ナノ粒子中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下でナノ粒子中に存在するカゼインホスホペプチド;及び
(f)ナノ粒子中への取込み後に、約0.001%以上~約0.01重量%以下でナノ粒子中に存在するリンタンパク。
【請求項18】
口腔中への導入後に、約30分以上~約30日以下の期間で分解する、請求項1のナノ粒子。
【請求項19】
複数の別個の区画を含む、請求項1のナノ粒子。
【請求項20】
複数のナノ粒子;及び
経口的に許容されるキャリアー、
を含む、対象の口腔への経口投与用口腔ケア組成物であって、
当該複数のナノ粒子において、各々のナノ粒子が:
対象の口腔中の歯の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能な正電荷を有するか又はカチオン性の領域を持つデンプンポリマーと;
当該複数のナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時、当該複数のナノ粒子が1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能なように、デンプンポリマーと結合した造影剤と、
を含み、
しかも、当該デンプンポリマーによりナノ粒子が形成されたものであり、ナノ粒子の表面は、その上に生成された当該カチオン性の領域の少なくとも一部を含む、前記の口腔ケア組成物。
【請求項21】
口腔ケア組成物が、口内洗浄剤、ペイント、ゲル、及び歯磨剤から成る群から選択される、請求項20の口腔ケア組成物。
【請求項22】
複数のナノ粒子が、1つ以上のう蝕病変に対応する歯の空洞の内部に選択的に蓄積する、請求項20の口腔ケア組成物。
【請求項23】
複数のナノ粒子が、第1の複数の診断用ナノ粒子であり、そして、口腔ケア組成物が、口腔ケア活性成分を含む第2の複数の治療用ナノ粒子を更に含む、請求項20の口腔ケア組成物。
【請求項24】
デンプンポリマーを、造影剤と反応可能な反応基で機能化することであって、ここで、デンプンポリマーが、対象の口腔中の歯の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能なカチオン性の領域を含むこと;及び
ナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時、1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能な造影剤をナノ粒子が持つように、デンプンポリマーの反応基を、造影剤と反応させること:
を含み、
しかも、当該デンプンポリマーによりナノ粒子が形成されたものであり、ナノ粒子の表面は、その上に生成された当該カチオン性の領域の少なくとも一部を含む、経口投与用ナノ粒子を製造する方法。
【請求項25】
該カチオン性の領域を形成するために機能化する前にデンプンポリマーをカチオン性の部位と反応させることを更に含む、請求項24の方法。
【請求項26】
当該カチオン性の部位との反応前に、当該カチオン性の部位と反応可能な少なくとも1つの第1の反応基を有するように、デンプンポリマーを機能化することを更に含む、請求項25の方法。
【請求項27】
デンプンポリマーにより形成されたカチオン性のナノ粒子と;
当該デンプンポリマーと結合した造影剤、口腔ケア活性成分、又は当該造影剤及び当該活性成分の両方と、
を含む、経口投与用組成物であって、
当該組成物が、対象の口腔中の歯の表面下損傷中の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能なカチオン性の部位又は正味の正電荷を有し、
かも、当該デンプンポリマーがカチオン性の部位を有し、ナノ粒子の表面は、その上に生成された当該カチオン性の部位の少なくとも一部を含む、前記の組成物。
【請求項28】
カチオン性の部位が、デンプンポリマーと結合している、請求項27の組成物。
【請求項29】
デンプンポリマーが、第四級アミンを含む、請求項27の組成物。
【請求項30】
デンプンポリマーが、デンプンポリマーと結合したグリシジルトリメチル塩化アンモニウムの反応生成物を含む、請求項27の組成物。
【請求項31】
デンプンポリマーが、カチオン性のデンプンポリマーである、請求項27の組成物。
【請求項32】
造影剤が、歯科用硬化ランプからの電磁放射線に応答して蛍光を発するフルオロフォアを含む、請求項27の組成物。
【請求項33】
造影剤が、少なくとも1つの生体適合性染料を含む、請求項27の組成物。
【請求項34】
歯科用硬化ランプからの電磁放射線に造影剤を被爆している間にデジタル写真又は目視検査によって造影剤が検出可能である、請求項27の組成物。
【請求項35】
デジタル写真又は目視検査が、デジタル画像のフィルタリング又は光学フィルターの使用を含む、請求項34の組成物。
【請求項36】
組成物が、7のpHで約+2mV以上のゼータ電位及び/又は正味の正電荷を有する、請求項27の組成物。
【請求項37】
デンプンポリマーが両性イオン性である、請求項27の組成物。
【請求項38】
ナノ粒子が、約10nm以上~約500ナノメートル以下の平均粒径を有するナノ粒子である、請求項27の組成物。
【請求項39】
口腔ケア活性成分が、虫歯予防薬、再石灰化剤、抗菌剤、抗結石剤、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項27の組成物。
【請求項40】
虫歯予防薬が、フッ化物含有剤、再石灰化剤、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項39の組成物。
【請求項41】
口腔ケア活性成分が、ナノ粒子中への取込み後に、約0.02%以上~約2.2重量%以下で存在するフッ化物含有成分を含み、
当該フッ化物含有成分が、フルオロヒドロキシアパタイト、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化銀脱水物、モノフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロシラン、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項27の組成物。
【請求項42】
口腔ケア活性成分が、ナノ粒子中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下で存在するカルシウム含有成分を含む、請求項27の組成物。
【請求項43】
口腔ケア活性成分が、カルシウム及びホスフェート含有成分を含む虫歯予防薬であり、
当該カルシウム及びホスフェート含有成分が以下を含む、請求項27の組成物:
(e)組成物中への取込み後に、約0.1%以上~約1重量%以下で組成物中に存在するグリセロリン酸カルシウム;
(f)組成物中への取込み後に、約2%以上~約50重量%以下で組成物中に存在するリン酸二カルシウム;
(g)組成物中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下で組成物中に存在するリン酸三カルシウム;又は
(h)組成物中への取込み後に、約1%以上~約10重量%以下で組成物中に存在するカルシウムナトリウムホスホシリケート。
【請求項44】
口腔ケア活性成分が、以下から成る群から選択される、請求項27の組成物:
(d)組成物中への取込み後に、約0.2%以上~約2.2重量%以下で組成物中に存在するアミンフッ化物;
(e)組成物中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下でナノ粒子中に存在するカゼインホスホペプチド;及び
(f)組成物中への取込み後に、約0.001%以上~約0.01重量%以下で組成物中に存在するリンタンパク。
【請求項45】
対象の口腔中への導入後に、約30分以上~約30日以下の分解時間を有し、分解時間が、ナノ粒子が分解する時間である、請求項27の組成物。
【請求項46】
ナノ粒子が、複数の別個の区画を含むナノ粒子である、請求項27の組成物。
【請求項47】
経口的に許容されるキャリアーを更に含む、請求項27の組成物。
【請求項48】
経口的に許容されるキャリアーが、口内洗浄剤、ペイント、ゲル、及び歯磨剤から成る群から選択される、請求項47の組成物。
【請求項49】
当該組成物が、口腔ケア活性成分を含む第2の複数の治療用ナノ粒子及び第1の複数の診断用ナノ粒子を含み、
しかも、第1の複数の診断用ナノ粒子が造影剤を含む、請求項47の組成物。
【請求項50】
デンプンポリマーを、造影剤と反応可能な反応基で機能化することであって、ここで、当該デンプンポリマーが、カチオン性の領域を含むこと;及び
当該デンプンポリマーの反応基を、造影剤と反応させること
を含む、経口投与用組成物を製造する方法であって、当該組成物が正味の正電荷を有し、
しかも、当該デンプンポリマーによりナノ粒子が形成されたものであり、ナノ粒子の表面は、その上に生成された当該カチオン性の領域の少なくとも一部を含む、前記の方法。
【請求項51】
該カチオン性の領域を形成するために機能化する前に当該デンプンポリマーをカチオン性の部位と反応させることを更に含む、請求項50の方法。
【請求項52】
当該カチオン性の部位との反応前に、当該カチオン性の部位と反応可能な少なくとも1つの第1の反応基を有するように、当該デンプンポリマーを機能化することを更に含む、請求項51の方法。
【請求項53】
当該デンプンポリマーがヒドロキシ基を含む、請求項50の方法。
【請求項54】
当該デンプンポリマーがグルコース繰り返し単位を含む、請求項50の方法。
【請求項55】
フルオレセイン及びデンプンポリマーを含む正に帯電したナノ粒子を、対象の口腔に導入すること;
口腔中に青い光を向けること;及び
口腔中に発する蛍光のデジタル画像を製造すること:
を含む、当該デジタル画像から画素データを回収する方法であって、
しかも、当該デンプンポリマーによりナノ粒子が形成されたものであり、
しかも、当該デンプンポリマーがカチオン性の部位を有し、ナノ粒子の表面は、その上に生成された当該カチオン性の部位の少なくとも一部を含む、前記の方法。
【請求項56】
青い光が歯科用硬化ランプによって発生する、請求項55の方法。
【請求項57】
正に帯電したナノ粒子を導入した後、口腔中に青い光を向ける前、口腔をすすぐことを更に含む、請求項55の方法。
【請求項58】
蛍光のデジタル画像を製造することが、光学フィルターを通してデジタル画像をとることを含む、請求項55の方法。
【請求項59】
デジタル画像から緑画素画像を抽出することを含む、デジタル画像をフィルタリングすることを更に含む、請求項58の方法。
【請求項60】
デジタル画像中の画素の輝度を識別することを更に含む、請求項55の方法。
【請求項61】
当該識別することが、画素の輝度をデジタル画像の背景範囲と比較することを含む、請求項60の方法。
【請求項62】
当該デジタル画像に対して、第2のデジタル画像中の蛍光が増大したか、減少したか、又は変化なしのままか否かを決定するために、当該導入すること、当該光を向けること、及び当該製造することを引き続き繰り返すことを更に含む、請求項55の方法。
【請求項63】
活性成分であるデンプンを含む正に帯電した蛍光ナノ粒子を含む、歯の虫歯の位置を決定するための医薬組成物であって、
しかも、蛍光分子は、デンプンと結合しており、
しかも、当該デンプンがカチオン性の部位を有し、
しかも、当該デンプンにより当該ナノ粒子が形成されたものであり、ナノ粒子の表面は、その上に生成された当該カチオン性の部位の少なくとも一部を含む、前記の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、October 21,2015に提出された米国仮出願第62/244,512の利益を主張する。上記出願の全体の開示は、参照としてここに取り込まれる。
【0002】
分野
本開示は、特に活性(進行中の)う蝕病変である虫歯の治療を提供するために及び/又は虫歯の検出を提供するために、対象の口腔へ運ばれることができる診断薬を有するナノ粒子に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
このセクションは、必ずしも先行技術ではない本開示に関連する背景情報を提供する。
【0004】
虫歯(う食)は、世界的な歯科衛生で最も一般的な病気である。米国では、90%を超える成人が、彼らの永久歯で虫歯を経験した。世界の人口の約36%は、活性虫歯を有している。更に、高砂糖飲食物へのアクセスを得る開発途上国では、虫歯の発生が増大する傾向にある。
【0005】
歯の表面上の歯科バイオフィルム中のバクテリアが、糖類を発酵させて、象牙質及び/又はエナメルを脱灰する酸を製造する時、歯腔が形成する。初期の脱カルシウムは、表面エナメル上に形成する白点損傷によって示される。初期のう蝕病変又は「微小空洞」とも呼ばれるこれらの損傷は、再石灰化と呼ばれるプロセスによって可逆的であり、それは、唾液中のカルシウム及びリンを使用し、そして、歯磨き粉及び飲料水中のフッ化物の存在によって補助される。しかし、もしも脱カルシウムが続くならば、脱カルシウムを止めるための歯科処置を要求する不可逆的なキャビテイションが起こる。
【0006】
初期に形成する虫歯は、改善された口腔衛生で依然として可逆的であるが、診断するのは困難であり、触覚方法は、歯に対する永久的な損傷を潜在的に引き起こすことがある。例えば、初期段階の虫歯(白点損傷)は、改善された口腔衛生及びフッ化物塗布で可逆的であるが、脱灰は歯を弱め、キャビテイションにつながり、歯科修復を要求する。このように、初期のう蝕病変を診断すること及び処理(処置)することは、より多く関係して高価な歯科治療の必要性を低減できる。しかし、示された状態が極めて変わりやすいので、白点損傷(白斑病変)の診断は挑戦的である。
【0007】
主に、虫歯診断は、歯鏡及びエクスプローラーを用いて光学的に及び戦術的に実施されるが、光学的な検出は困難であることがあり、そして、う蝕病変の触覚での厳密な調査は、キャビテイションを促進することがある。歯のX線画像は、通常、特に歯の間の領域(歯間虫歯)の空洞を識別するためにとる。この方法は、歯科治療のために進んだ空洞進行を明確に識別できるが、様々な制限を被る。第1に、X線画像は、初期形成損傷を識別できず、これは、活性成分の塗布(例えば、フッ化物塗布)及び改善された口腔衛生管理によって依然として修復可能である。更に、X線は、歯科医及び患者の両方にとって高価である。更に、X線からの放射線暴露は、癌の危険と結合し、こうして、放射線ベースの診断の必要性を最小限にするはずみを提供する。
【0008】
虫歯診断用の種々の新しい方法が展開されてきたが、これらは、追加の設備を要求し、高価であり、そして、活性(進行中の)損傷と不活性(進行中ではない)損傷との間を一般に区別しない。容易に管理されて評価され、生体適合性であって毒性が低く、所定の時間間隔で生体内で溶解又は分解できて、及び/又は、管理及び/又は検出用の大規模な訓練や設備を要求しない、特に初期の虫歯である口腔虫歯を検出する方法を持つことが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
このセクションは、一般的な概要の開示を提供し、その完全な範囲又はそのすべての特徴の包括的な開示ではない。
【0010】
ある側面では、本開示は、経口投与用組成物を企図する。当該組成物は、成分又はナノ粒子を含むことができる。当該成分又はナノ粒子は、造影剤、活性成分(例えば、治療薬)、又はそれらの組合せを含む。当該組成物は、カチオン性の部位又は正味の正電荷を有する。このように、当該組成物は、当該成分又はナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時に、1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能である。当該成分又はナノ粒子は、生体適合性、バイオベースの、及び/又は生分解性ポリマーを含むことができる。ある側面では、当該生体適合性、バイオベースの、及び/又は生分解性ポリマーは、対象の口腔中の1つ以上の虫歯又は歯のう蝕病変と関連付けることが可能な正味の正電荷を有するか又は少なくとも1つのカチオン性の領域を持つことができる。他の側面では、造影剤は、場合により、生体適合性、バイオベースの及び/又は生分解性ポリマーと結合することができる。他の側面では、当該成分又はナノ粒子は、当該成分又はナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時に、1つ以上のう蝕病変を処理(処置、治療)可能である。ある他の側面では、当該成分又はナノ粒子は、当該成分又はナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時に、1つ以上のう蝕病変を処理(処置、治療)可能であり、1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能である。口腔ケア組成物は、場合により、経口的に許容されるキャリアーを更に含む。
【0011】
他の側面では、本開示は、経口投与用組成物を企図する。当該組成物は、ナノ粒子を含むことができる。当該ナノ粒子は、生体適合性及び生分解性ポリマーを含むことができる。生体適合性及び生分解性ポリマーは、場合により、対象の口腔中の1つ以上の虫歯又は歯のう蝕病変と関連付けることが可能な少なくとも1つのカチオン性の領域を持つ。他の側面では、生体適合性及び生分解性ポリマーは、正味の正電荷を持つ。当該ナノ粒子は、生体適合性及び生分解性ポリマーと関連付けた(例えば、と結合した)造影剤をも含む。ナノ粒子は、このように、ナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時に、1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能である。
【0012】
他の変更では、本開示は、対象の口腔への経口投与用口腔ケア組成物を企図する。当該口腔ケア組成物は、複数のナノ粒子を含むことができる。各々のナノ粒子は、対象の口腔中の1つ以上の虫歯又は歯のう蝕病変と関連付けることが可能な正電荷を有する少なくとも1つのカチオン性の領域を持つ生体適合性及び生分解性ポリマーを含むことができる。口腔ケア組成物は、生体適合性及び生分解性ポリマーと結合した造影剤をも含むことができる。複数のナノ粒子は、当該ナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時に、1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能である。口腔ケア組成物は、経口的に許容されるキャリアーを更に含む。
【0013】
ある他の変更では、本開示によって、経口投与用ナノ粒子を製造する方法が企図される。1つの側面では、方法は、生体適合性及び生分解性ポリマーを、造影剤と反応可能な反応基で、機能化することを含むことができる。生体適合性及び生分解性ポリマーは、対象の口腔中の歯の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能な少なくとも1つのカチオン性の領域を含む。当該方法は、このように、ナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時に、1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能な造影剤をナノ粒子が持つように、生体適合性及び生分解性ポリマー上の反応基を造影剤と反応させることを更に含むことができる。
【0014】
他の変更では、ポリマーを、造影剤と反応可能な反応基で機能化することであって、ここで、当該ポリマーが、少なくとも1つのカチオン性の領域を含むことを含む、経口投与用組成物を製造する方法が提供される。当該方法は、当該ポリマーの反応基を、造影剤と反応させることを含み、当該組成物は正味の正電荷を有する。
【0015】
本開示は、更なる他の変更では、虫歯を検出する方法を更に提供する。当該方法は、正に帯電した蛍光成分を、対象の口腔に導入することを含む。口腔中に光を向けてそしてその後、口腔中の1つ以上の虫歯の位置に対応する口腔中のいかなる蛍光を識別する。
【0016】
他の側面では、本開示は、再石灰化剤を含む正に帯電したナノ粒子を、対象の口腔に導入することを含む、虫歯を処置する方法であって、ここで、正に帯電したナノ粒子が、対象の口腔中の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能である、前記の方法を、提供する。
【0017】
別の他の側面では、本開示は、歯の虫歯の位置を決定するための正に帯電した蛍光組成物の使用を企図する。
【0018】
更なる別の側面では、本開示は、虫歯の処置用の薬剤中に再石灰化剤を含む、正に帯電した成分又はナノ粒子の使用を企図する。
【0019】
適用可能性の更なる範囲が、ここで提供される記述から明らかになるであろう。この概要における記述及び具体例は、説明のみの目的を意図しており、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面
ここに記述される図面は、選択された形態の例示の目的のみであり、すべてのありうる実施ではなく、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0021】
図1図1は、本開示のある変更に従うデンプンナノ粒子の調製用化学反応スキームのグラフ図を示す。非変性ナノ粒子(1)は、カチオン化を受けてカチオン性の粒子(2)を調製する。カチオン性の粒子(2)及び非変性粒子(1)のTEMPO酸化は、それぞれ、両性イオン性粒子(3)及びアニオン性の粒子(5)を生ずる。EDC/NHS化学が、フルオレセインアミンで粒子(3)及び(5)に実行されて、蛍光ラベルされたカチオン性の(4)及び蛍光ラベルされたアニオン性の(6)粒子を生ずる。
【0022】
図2図2は、上記図1の内容に記述されているような、非変性(1)、カチオン性の(2)、アニオン性の(5)、及び両性イオン性(3)デンプンナノ粒子のFTIRスペクトルを示す。C-H及びC=Oピークの関連領域が強調表示されている。
【0023】
図3A-3B】図3A-3B。図3Aは、変性デンプンナノ粒子(StNPs)の粒径及びゼータ電位結果を要約するチャートを示す。サイズ(径)は、強度加重動的光散乱法及び数加重ナノ粒子追跡分析によって測定される。図3Bは、非変性(1)、両性イオン性(3)、及び蛍光カチオン性の(4)デンプンナノ粒子のデンプン分解結果を要約するチャートを示す。ヨウ素の欄は、赤強度の測定であり、これは、唾液にさらされた時に(暴露時に)初期から最終状態に減少し、デンプンの分解を示す。ベネディクト反応は、575nmでの吸収値を比較することによって測定され、唾液による分解後の吸収の増大を示し、これは、還元糖の存在を示す(すべての最終対初期比較でp<0.005)。
【0024】
図4A-4B】図4A-4Bは、StNP-1(非変性)、StNP-3(両性イオン性)、及びStNP-4(蛍光カチオン性の)デンプンナノ粒子のデンプン分解結果を示す。図4Aは、デンプン-ヨウ素錯体のレベルを示す。図4Bは、ベネディクト試験による還元糖含有量を示す。両方のグラフは、人間の唾液中の唾液アミラーゼに30分間曝した後の最終測定及び初期レベルを示す。ベネディクト反応は、575nmでの吸収値を比較することによって測定され、唾液による分解後の吸収の増大を示し、これは、還元糖の存在を示す。当該結果は、唾液の存在下で、デンプン及び変性デンプンナノ粒子が単糖類に分解されることを示す(すべての初期対最終比較でp<0.005)。
【0025】
図5A-5B】図5A-5Bは、3つの洗浄条件に基づく経時的な蛍光を示す。図5Aは、2時間(120分)にわたる蛍光を示す。図5Bは、20分にわたる蛍光を示す。
【0026】
図6図6は、HeLa細胞の2時間暴露後の変性StNPsのTox8細胞毒性検査を示す。高濃度(1質量%)でさえ、すべての粒子は無毒である。
【0027】
図7A-7B】図7A-7B。図7A-7Bは、本開示のある側面に従って調製された造影剤と結合した複数のカチオン性のデンプンナノ粒子への暴露前後の同じ歯の写真を示す。図7Aは、いかなる微小空洞も照らさない、蛍光カチオン性のデンプンナノ粒子への暴露なしで人工的に誘発されたう蝕病変を持つ歯の写真である。それに対し、図7Bは、蛍光カチオン性のデンプンナノ粒子への暴露後の同じ歯の写真である。図7Bは、標準歯科用硬化ランプを使用して照らした時の、造影剤と結合したカチオン性のデンプンナノ粒子への暴露後の歯の色の明らかな変化を示す。
【0028】
図8図8は、う蝕病変強度マイナス背景歯強度のパーセント強度差を示す棒グラフを例証するものであり、(標準歯科用硬化ランプを使用して)蛍光カチオン性のStNPバーの下に、及び、各々のコントロールの上に、歯損傷の対応照明画像がある。統計マークは、以下の通りである:背景よりも暗い(0.05<p<0.20);背景よりも極めて暗い(p<0.05);背景よりも極めて明るい(p<10-5)。
【0029】
図9A-9F】図9A-9F。図9A-9Fは、それぞれの染料でのう蝕病変の表面の画像の代表的な上面図2-フォトンz積層を例証する。図9Aの未染色のブランク歯は、蛍光FITC-デキストラン(図9B)、フルオレセイン(図9C)、蛍光アニオン性のStNP(図9D)、及び蛍光カチオン性の非損傷(図9F)コントロールと同様に見える。蛍光カチオン性のStNPsで処理したう蝕病変を有するサンプルは(図9E)、5-15ミクロンの深さを持ち5-10ミクロンの程度の直径の損傷を明確に識別する照らされたスポットを持つ、明るい斑入りの外観を有する。
【0030】
図10図10は、本開示のある側面に従う、う蝕病変の存在を検出するために光カチオン性のStNPsによって照らされた空洞孔構造の例を例証する。本開示のある側面に従って調製されたナノ粒子は、中央ギャップを残している孔のルーメン表面に吸着する。この歯のう蝕病変は、約10ミクロン幅で8ミクロン深さである。
【0031】
図11A-11B】図11A-11B。図11Aは、変性StNPsのX線フォトン(光電子)分光(XPS)結果のグラフ図を示し、カチオン性及び両性イオン性StNPsでの2%程度の窒素の存在を示す。これは、グルコース単位の30-40%の理論反応効率に対応する。更に、ナトリウム及び塩化物の存在は、最も有意な汚染物質として探知される。図11Bは、添加された次亜塩素酸ナトリウムの関数としてTEMPO酸化のH’-NMR結果を示す。5.2~5.4ppmのC6水素に対応するピークシフトは、グルコース単位の40-50%程度のヒドロキシルからカルボキシルへの転化を示す。
【0032】
図12図12は、本開示のある側面に従って調製された変性デンプンナノ粒子サンプルのナノ粒子追跡分析(NTA)粒径分析のグラフ図を示し、各々のサンプルの粒径分布を示す。
【0033】
図13図13は、脱灰された及び再石灰化されたう蝕病変の蛍光を示す。再石灰化された(不活性)う蝕病変は、脱灰された(活性)う蝕病変と対照的に、蛍光カチオン性StNPsへの暴露後は照らさない。負コントラスト(0.05<p<0.20)、有意な負コントラスト(p<0.05)、**正コントラスト(0.05<p<0.30)、有意な正コントラスト(p<10-5)。
【0034】
図14図14は、蛍光カチオン性StNPsへの暴露あり及びなしの再石灰化されたう蝕病変の二光子顕微鏡写真を示す。画像は、非損傷表面の二光子顕微鏡写真にほとんどよく似ており、再石灰化された損傷は「不活性」であり表面透視治癒からであることを強調表示している。
【0035】
図15図15は、フッ化物剥離の検討結果を示す。当該検討は、カチオン性のデンプンナノ粒子で凍結乾燥した時のフッ化物剥離のわずかな遅延があることを示し、リン酸緩衝食塩水(PBS)溶液中での10分、又は、人工唾液(AS)溶液中での約30分程度の改善である。この予備データは、カチオン性のデンプンがアニオン性のフッ化物塩に適度に結合して剥離を延長することができること、及び、剥離プロファイルを更に延長するためには架橋を持つより大きな粒子が必要であるという密接な関係を、示唆する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な記述
この開示が十分であって当業者に範囲を十分に伝えるように、実施例の形態が提供される。多数の特定の詳細は、本開示の形態の十分な理解を提供するために、特定の組成物、成分、装置、及び方法の例などを述べる。特定の詳細が使用される必要はなく、例示の形態は多くの異なる形で具現化できてそして開示の範囲を限定して解釈されるべきでもないことが、当業者には明らかであろう。いくつかの例示の形態では、周知のプロセス、周知の装置構造、及び周知の技術は、詳細には記述されていない。
【0037】
ここで使用される専門用語は、特定の例示の形態のみを記述する目的であり、限定する意図ではない。ここで使用されるように、単数形“a”、“an”及び“the”は、内容がそれに反して明確に示されていない限り、複数形を同様に含む意図でもよい。用語「含む」、「含んでいる」、「包含している」及び「有する」は、包含的であり、それ故に、記述された特徴、要素、組成物、工程、整数、操作、及び/又は成分の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、成分、及び/又はそれらのグループの添加や存在を除外しない。制限のない用語「含む」は、ここで述べる様々な形態を主張して記述するのに使用される非制限的用語として理解されるべきであるが、ある側面では、当該用語は、もう一つの方法として、「から成る」又は「から本質的に成る」などのより限定的で制限的用語であるとしてその代わりに理解されることができる。このように、組成物、材料、成分、要素、特徴、整数、操作、及び/又はプロセス工程を引用するいかなる所定の形態では、本開示は、そのような引用された組成物、材料、成分、要素、特徴、整数、操作、及び/又はプロセス工程から成る又はそれらから本質的に成る形態も具体的に含む。「から成る」の場合は、代替の形態は、いかなる追加の組成物、材料、成分、要素、特徴、整数、操作、及び/又はプロセス工程を除外し、一方で、「から本質的に成る」の場合は、基本的で新規の特性に実質的に影響するいかなる追加の組成物、材料、成分、要素、特徴、整数、操作、及び/又はプロセス工程が、そのような形態から除外されるが、基本的で新規の特性に実質的に影響しないいかなる組成物、材料、成分、要素、特徴、整数、操作、及び/又はプロセス工程は、当該形態中に含まれることができる。
【0038】
ここに記述のいかなる方法工程、プロセス、及び操作も、実行する順番として特定されていない限り、議論又は例証された特定の順番でそれらを実行することを必ず要求するとは解釈されるべきでない。特別の定めのないかぎり、追加の又は代替の工程を使用できることも、理解されるべきである。
【0039】
成分、要素、又は層が、別の1つの要素又は層「の上」、「に係合」、「に接続」、又は「に結合」と言及されている時、それは、直接に、当該他の成分、要素、又は層「の上」、「に係合」、「に接続」、又は「に結合」していてもよく、又は、中間の要素又は層が存在してもよい。対照的に、要素が、別の1つの要素又は層「の上に直接に」、「に直接に係合」、「に直接に接続」、又は「に直接に結合」と言及されている時、中間の要素又は層が存在しなくともよい。要素間の関係を記述するために使用される他の単語は、同様のやり方(例えば、「の間」対「の間に直接に」、「隣接する」対「直接に隣接する」など)で解釈されるべきである。ここで使用されるように、用語「及び/又は」は、1つ以上の関連するリスト項目のいかなる及びすべての組合せを含む。
【0040】
第1の、第2の、第3の、などの用語は、ここでは、様々な工程、要素、成分、領域、層及び/又はセクションを記述するのに使用できるが、これらの工程、要素、成分、領域、層及び/又はセクションは、特別の定めのないかぎり、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの工程、要素、成分、領域、層又はセクションを、別の1つの工程、要素、成分、領域、層又はセクションから区別するためにのみ使用できる。「第1の」、「第2の」などの用語及び他の数値用語は、ここで使用される時、内容によって明確に示されていない限り、順序や順番を意味しない。このように、以下で議論される第1の工程、要素、成分、領域、層又はセクションは、例示の形態の教示から離れることなく、第2の工程、要素、成分、領域、層又はセクションを用語付けることが可能である。
【0041】
「前」、「後」、「内部」、「外部」、「真下に」、「下に」、「下方の」、「上に」、「上方の」などの空間的又は時間的相対用語は、図面で例証されているような別の1つの要素又は特徴に対する1つの要素又は特徴の関係を記述するための容易な記述のためにここで使用できる。空間的又は時間的相対用語は、図面で描写されている方向(配置)に加えて操作又は使用する装置又はシステムの異なる方向(配置)を包含するように意図できる。
【0042】
この開示全体にわたって、数値の値は、言及された値を正確に有するものと同様に、言及された値をおおよそ有する所定の値及び形態からのわずかな逸脱を包含する範囲へのおおよそ寸法又は限定を表わす。詳細な記述の最後に提供されている実施例におけるもの以外で、添付の特許請求の範囲を含む本明細書での(例えば、条件又は分量の)パラメーターのすべての数値の値は、「約」が当該数値の値の前に実際に現れるか否かで用語「約」によってすべての場合に修正されていると理解されるべきである。「約」は、記述された数値の値がいくらかのわずかな不正確さを許容することを示す(値の正確さへの近接を持ち;当該値におおよそ又は合理的に近い;ほとんど)。もしも「約」によって提供される不正確さがこの普通の意味で業界で他に理解されないならば、ここで使用される「約」は、そのようなパラメーターを使用及び測定する普通の方法から生じ得る変動を少なくとも示す。
【0043】
更に、範囲の開示は、当該範囲で与えられた副範囲及び終点を含む全体範囲内のすべての値及び更に分割された範囲の開示を含む。
【0044】
本開示内で引用又は参照されているすべての特許、特許出願、文献、及び他の刊行物の開示は、参照によりここに組み込む。
【0045】
実施例示の形態が、添付の図面を参照してより十分にここに記述される。
【0046】
世界的な虫歯は、最も一般的な慢性的な病気であり、ほとんどすべての人々は、かれらの一生のうちのいくつかの時点で虫歯を経験するであろう。米国では、国家の歯の支出額は、2014年で約$1335億と推定され、そして、2024年には約$1834億に膨らむことが予想されている。歯の病気は、個人及び国家にとって経済的及び社会的損失の主要な原因でもある。1996年、口腔の病気は、米国で2400万日のワーク及び1600万日の学校の損失という結果になったと推定される。これらの間接費は、総経済的負担を50%増大させることが推定される。社会経済的に低いクラスの成人及び子供は、治療費用の値段がひどく高いために、より多くの未治療虫歯を持っている。
【0047】
もしも不可逆的なキャビテイションよりも前に活性う蝕病変を診断できるならば、患者及び歯科医は、口の特定の領域における口腔衛生を改善するために注意できる。歯の表面上の歯科バイオフィルム中のバクテリアが、糖類を発酵させて、エナメルを脱灰して初期の白点損傷という結果になる酸を製造する時、歯腔が形成する。しかし、当該プロセスは動的であり、そして、初期のう蝕病変又は「微小空洞」と呼ばれる初期の損傷は、再石灰化を介して可逆的であり、それは、唾液中のカルシウム及びリンを使用し、そして、歯磨き粉及び飲料水中のフッ化物の存在によって補助される。(参照:B. Clarkson, “Redistribution of enamel fluoride during white spot lesion formation: an in vitro study on human dental enamel,” Caries Res. 1981, 15)。脱灰プロセスを反転する又は制止する伝統的な歯科治療は、この段階では有効であることができる。十分に再石灰化される時、歯の表面は損なわれないままである。しかし、もしも脱カルシウムが続くならば、歯科処置又は侵襲的な外科的修復を要求する不可逆的なキャビテイションが起こる。
【0048】
ここで言及する虫歯(う蝕)とは、歯の細菌性腐敗及びエナメル脱灰の様々な段階を含み、それらは、歯構造の激しい損失と歯の最終的に損失につながる大規模な腐敗及び空洞への歯エナメルの孔サイズの初期の微視的な増大(例えば、微小空洞発達)を含む。乾燥すると、脱カルシウムしたエナメルの活性う蝕病変の特有の特徴は、白く荒い表面である。これは、エナメルの微視的な孔サイズの増大を示す。活性損傷は、キャビテイション(脱灰)に向かって進行中のものであり、30-40%の空孔率を有することがある表面下損傷の上に横たわっている、わずかに脱石灰した(標準エナメルと比較して約5%)細孔表面を有していると、考えることができる(参照:B. Clarkson, et al., “Redistribution of enamel fluoride during white spot lesion formation: an in vitro study on human dental enamel.” Caries Res. 1981, 15.)。表面下脱灰は、上に横たわる歯表面の崩壊を最終的に引き起こしてキャビテイションを形成し得る。不活性損傷は進行中ではない。なぜなら、特に露出面上の空孔率が、鉱物及び/又はタンパク質沈着によって低減されて、こうして伝統的な管理を容易にするからである。一般に不活性損傷は、何の処置(治療)も要求しないが、一方で、活性損傷は要求する。初期の活性損傷は、伝統的な再石灰化処理(処置)を可能とするが、一方で、空洞化した損傷は、侵襲的な歯科修復を要求する。
【0049】
初期段階の発達の虫歯を診断する能力は、初期の治療によって空洞の形成をなくせるので、有利であり得る。しかし、虫歯を検出する従来の方法は、不十分であったり有害でさえあったのであり、更なる損傷を縮小したりなくすために虫歯/空洞の発達においては一般にはるかにあまりにも遅く起る。
【0050】
ある側面では、本開示は、対象の口腔中の歯の1つ以上のう蝕病変を検出するための口腔ケア組成物を提供する。口腔ケア組成物は、1つ以上のう蝕病変の存在の診断及び検出用の対象に管理可能である。当該対象は、人間、コンパニオンアニマル、ネコ、犬、又は馬などであることができる。口腔ケア組成物は、成分又はナノ粒子を含むことができる。当該組成物は、少なくとも1つのカチオン性の領域又は可能な正味の正電荷を有し、しかも、当該組成物は、成分又はナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時に、1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能な、正味の正電荷又はカチオン性の部位を有する。当該成分又はナノ粒子は、対象の口腔中の1つ以上の虫歯又は歯のう蝕病変と関連付けることが可能な正味の正電荷を有する又は少なくとも1つのカチオン性の領域を持つ生体適合性でバイオベースの及び/又は生分解性ポリマーを含むことができる。当該成分又はナノ粒子は、造影剤、活性成分(例えば、治療薬)、又はそれらの組合せをも含む。造影剤は、場合により、生体適合性でバイオベースの及び/又は生分解性ポリマーと結合できる。以下で議論するように、口腔ケア組成物は、口腔ケアキャリアー又はデリバリー手段を更に含むことができる。
【0051】
ある側面では、当該成分又はナノ粒子が対象の歯の1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時に、当該成分又はナノ粒子は、1つ以上のう蝕病変の存在を示すことができる。他の側面では、当該成分又はナノ粒子が対象の歯の1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時に、当該成分又はナノ粒子は、1つ以上のう蝕病変を処理(処置)できる。ある他の側面では、当該成分又はナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時に、当該成分又はナノ粒子は、こうして、1つ以上のう蝕病変の存在を示すことができ、そして、1つ以上のう蝕病変を処理(処置)できる。口腔ケア組成物は、経口的に許容されるキャリアーを更に含む。
【0052】
ある変更では、本開示は、対象の口腔中の歯の1つ以上のう蝕病変を検出するための診断用成分であることができる経口投与用ナノ粒子を提供する。当該ナノ粒子を含む口腔ケア組成物は、1つ以上のう蝕病変の存在の診断及び検出のために当該対象に投与することができる。以下で議論するように、当該ナノ粒子は、口腔ケアキャリアー又はデリバリー手段を更に含む口腔ケア組成物の中に組込むことができる。当該ナノ粒子は、(例えば、正電荷を有する)少なくとも1つのカチオン性の領域を持つ生体適合性及び生分解性ポリマーを含む。ある他の側面では、当該ナノ粒子は、全正味の正電荷を示すことができる。当該ナノ粒子は、(例えば、結合により)生体適合性及び生分解性ポリマーと関連付けた造影剤をも含む。
【0053】
もしも不可逆的キャビテイションよりも前に活性う蝕病変を診断できるならば、患者及び歯科医は、口の特定の領域の口腔衛生を改善して再石灰化戦略を始めるように注意することができる。
【0054】
不活性う蝕病変と活性う蝕病変との間を区別する能力は、特に子供には望ましくないX線画像をとることからの有害な放射線に患者を暴露することを低減する能力と同様に、歯科医及び歯の患者が伝統的な治療戦略を実施することを可能にして「穴をあけて埋める」又は他の侵襲的な処置などのより侵襲的で高価な回復処置を避けるために、再石灰化を使用する処置に続く虫歯進行を監視するのに非常に役に立つことができる。
【0055】
上で説明したように、閉じた表面を有する不活性損傷とは対照的に、エナメル中の活性う蝕病変の特有の特徴は、活性損傷に近い表面空孔率と組み合わせた、(「白点損傷」としても既知の)白く荒い表面である。更に、活性う蝕病変の内部表面は、負表面電荷を有する。その結果、本教示に従うナノ粒子の全正味の電荷又はカチオン性の領域は、これらの損傷の露出面上への吸着及び静電的な引力によって歯の1つ以上のこれらの損傷を標的にする能力を提供する。
【0056】
このように、生体適合性で生分解性及び/又はバイオベースのポリマーは、対象の口腔中の歯の上に負表面電荷を有する1つ以上のう蝕病変と選択的に関連付けることが可能な(例えば正電荷を有する)少なくとも1つのカチオン性の領域を有する。当該ナノ粒子は、投与された後に、及び、ナノ粒子が歯の1つ以上のう蝕病変領域と関連付けられた後に、当該粒子の検出を可能にする少なくとも1つの造影剤を含む。
【0057】
「生体適合性」とは、材料又は材料の組合せが、生体外で又は生体内で、細胞や組織と接触できるか又は(哺乳動物又は他の生物などの)対象と一緒に使用できて、そして、そのような細胞、組織、及び/又は動物との接触及び/又は有益な使用で許容可能な毒性を有することを意味する。例えば、生体適合性材料は、悪い結果なしで、例えば、(例えばT-細胞応答を介する)免疫システムによる材料の実質的な毒性又は急性又は慢性的な炎症反応及び/又は急性拒絶なしで、対象中への管理(投与)に適切なものである。もちろん、「生体適合性」は相対用語であって、生きている組織と高適合性の材料にとってさえ、いくらかの程度の炎症及び/又は免疫応答が予想されるべきであることは、認識されよう。しかし、非生体適合性材料は、典型的に、免疫システムによって急性に拒絶される及び/又は高度に有毒で炎症的な材料であり、例えば、対象中に埋め込まれた非生体適合性材料は、場合によっては免疫抑制剤を使用してさえ、免疫システムによる材料の拒絶が十分にコントロールできないほど激しく対象中の免疫応答を引き起こし得るのであり、そして、しばしば、当該材料は対象から除去しなければならない程度であり得るのである。ある側面では、生体適合性材料は、米国連邦医薬品局(FDA);欧州委員会(EC)/欧州医薬品局(EMEA);又はカナダ保健製品食品局(the Federal Drug Administration (FDA) in the United States; the European Commission (EC)/ European Medicines Agency (EMEA) in Europe; or Health Products and Food Branch (HPFB) in Canada)などの適切な規制当局によって人間への使用が承認されるものである。
【0058】
ある側面では、「生分解性」によって、材料は、生体外で又は生体内で異なる速度で溶解又は分解する。溶解とは、材料の物理的な分解、浸食、崩壊及び/又は溶解を言うのであり、生きている生物による材料の再吸収を含むことができる。ナノ粒子を形成するポリマー材料は、異なる速度で溶解又は分解でき、又は、溶解速度に影響する異なる溶解度(例えば、水溶解度)を有する。当該材料は、唾液、血清、成長又は培養用培地、血液、又は体液などの水の高濃度を含む溶媒に暴露した時に、溶解又は侵食し得る。分解は、コロイド又はゲルを集合的に形成できる小片に壊れる材料をも含むことができる。ある変更(変形)では、当該ナノ粒子又は成分は、約30分以上の時間で分解する。他の変更では、当該ナノ粒子又は成分は、口腔中に導入されて唾液に暴露された後に約30日以下で分解できる。口腔組成物は、口腔中への導入後に、約30分以上~約30日以下の分解時間を有することができる。
【0059】
生分解の例として、天然酵素アミラーゼを含有する唾液は、デンプンに作用してグリコシド結合を開裂し、その高分子量(MW)構造を低減して低いMWの水溶性単糖類、オリゴ糖及び糖類という結果になることができる。
【0060】
ある側面では、当該材料は、「バイオベース」であることができ、これは、材料の少なくとも実質的な部分、例えば50%以上が生きている又はかつて生きていた生物から導かれる1つ以上の物質から製造されることを、意味する。バイオベースの材料は、生きている生物によって製造されるポリマーから導かれるか又は生きている生物によって製造されるポリマーであるバイオポリマーを含むことができる。
【0061】
このように、当該ナノ粒子は、(例えば、正電荷を有する)少なくとも1つのカチオン性の領域を持つ生体適合性で生分解性及び/又はバイオベースのポリマーなどのポリマーを含む。ある側面では、ナノ粒子上の少なくとも1つのカチオン性の表面領域は、唾液のpH(約7のpH)で、約0以上~約+50mV以下、場合により、約+2mV以上~約+30mV以下、及び他の変形では約+5mV以上~約+20mV以下のゼータ電位値を有する。ある変更では、そのような範囲のゼータ電位を有する当該ナノ粒子は、このように、負電荷を有する歯の表面上の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能である。他の側面では、当該ナノ粒子又は成分は、約30mV以下又は場合により約20mV以下の正味の正電荷を有することができる。ある変更では、当該ナノ粒子又は成分は、上記で特定したいかなる値に対応するゼータ電位及び/又は正味の正電荷を有することができる。1つの変形では、当該ナノ粒子又は成分は、7のpHで約+2mV以上のゼータ電位及び/又は正味の正電荷を有することができる。
【0062】
いかなる特定の理論によって限定される意図なしで、活性う蝕病変は負電荷を有すると考えられる。脱灰プロセスは、その多くがカチオン性であるカルシウムイオン及びマグネシウムイオンなどの遊離イオンを放出する。これらのイオンの放出(剥離)は、負電荷を有する脱灰された表面が残るという結果になるように見える。例えば+2mV以上の正味の正電荷又はカチオン性の部位を有する化合物又はナノ粒子は、活性損傷に引き付けられる。しかし、他の正に帯電したナノ粒子(例えば金ナノ粒子及び脂質ナノ粒子)でのいくつかの研究から、例えば+38mVのゼータ電位というより高い正電荷を持つ粒子は、いくつかの有毒な影響を持つことが発見された。他の研究からは、そのように正に帯電したナノ粒子での有毒な影響が示されなかった一方で、ある側面では、本開示のある側面に従って使用されたナノ粒子は、例えば約30mV以下又は場合により約20mV以下の中程度の正電荷のみを有する。当該成分又はナノ粒子は、場合により、水溶性又は分散性である。
【0063】
ある側面では、組成物は、カチオン性の部位又は正味の正電荷を有する。このように、成分は、例示として、歯の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能で経口投与用に使用される機能化されたデンプンベースの化合物のように、カチオン性の部位又は正味の正電荷を有する化合物を含む材料であることができる。他の側面では、同じ化合物(例えば、機能化されたデンプンベースの化合物)を含むことができるナノ粒子が提供され、それによって、当該ナノ粒子は、歯の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能なようにカチオン性の部位又は正味の正電荷をも有する。もう一つの方法として、ナノ粒子は、1つ以上のポリマー、造影剤、及び活性成分(例えば、治療薬)を含むことができ、ここで、これらの構成成分の1つ以上は負電荷を有するが、当該ナノ粒子は、歯の活性う蝕病変と関連付けることが可能なカチオン性の部位又は正味の正電荷を依然として示す。
【0064】
ある側面では、生体適合性及び生分解性ポリマーは、それ自身カチオン性であるか、又は、カチオン性の領域を含むコポリマーであることができる。他の変更では、生体適合性及び生分解性ポリマーは、カチオン性の部位と反応して、ナノ粒子の表面上に1つ以上のカチオン性の領域を生成する。そのような結合は、共有結合又はアニオン性の結合であることができる。ある側面では、当該結合は、カチオン性の部位と生体適合性及び生分解性ポリマーとの間の共有結合である。当該ナノ粒子は、両性イオン性であることができ、正に帯電した領域と負に帯電した領域の両方を含むことができる。
【0065】
ある変更では、生体適合性及び生分解性ポリマーは、以下から成る群から選択されるポリマーであることができる:単糖類、オリゴ糖、又は多糖類、カルボキシメチルセルロース、ポリマーデンプン、デキストリン、デキストラン、セルロース、キトサン、ゼラチン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリ(L-アルギニン)、ポリ(アミドアミン)(PAA)、ポリ(アミノコエステル)(PAE)、ポリ(2-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)PDMAEMA、ポリ(4-ビニルピリジン)(P4VP)、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアルキレングリコール、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、それらの組合せ及び同等物。典型的なデンプンは、アミロース又はアミロペクチンを含む。
【0066】
生体適合性及び生分解性ポリマーがそれ自身カチオン性のポリマーである場合、それは、以下から成る群から選択されるポリマーであることができる:カチオン性の又はカチオン変性された単糖類、オリゴ糖、又は多糖類、カルボキシメチルセルロース、デンプン、デキストリン、デキストラン、キトサン、セルロース、ゼラチン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリ(L-アルギニン)、ポリ(アミドアミン)(PAA)、ポリ(アミノコエステル)(PAE)、ポリ(2-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)PDMAEMA、ポリ(4-ビニルピリジン)(P4VP)、それらの組合せ及び同等物。ある変更では、生体適合性ポリマーは、第三級アミン又は第四級アミンなどのアミンを含むことができる。他の変更では、生体適合性及び生分解性ポリマーは、生体適合性及び生分解性ポリマーと結合したグリシジルトリメチル塩化アンモニウムの反応生成物を含む。更に他の変更では、生体適合性ポリマーは、両性イオン性であることができる。
【0067】
他の変更では、ナノ粒子上のカチオン性の領域は、生体適合性及び生分解性ポリマーと結合したカチオン性の部位を含む。ある変更では、カチオン性の部位は、第三級アミン又は第四級アミンなどのアミン又は両性イオン性基を含むことができる。1つの変更では、カチオン性の部位は、生体適合性及び生分解性ポリマーと結合したグリシジルトリメチル塩化アンモニウムの反応生成物である。一形態では、約20nm以上~約250nm以下の粒径範囲を有するデンプンナノ粒子を含むナノ粒子が作られる。以下で更に議論するように、デンプンナノ粒子は、その後、グリシジルトリメチル塩化アンモニウムの反応生成物を含むカチオン性の部位を含むように変性される。
【0068】
ここで使用される用語「ナノサイズの」又は「ナノメートルサイズの」は、一般に、約1マイクロメートル(すなわち、1,000ナノメートル)以下であると理解される。このように、ナノ粒子は、約1μm未満、場合により、約750nm以下、場合により、約500nm未満、及びある側面では、約200nm未満の少なくとも1つの空間的寸法を有する。ある側面では、ナノ粒子成分のすべての空間的寸法は、約1μm(1,000nm)以下である。
【0069】
ある側面では、本開示のナノ粒子は、約1,000nm以下の平均粒径又は直径を有する。ある側面では、ナノ粒子の平均直径は、以下であることができる:約1nm以上~約1,000nm以下、場合により、約10nm以上~約1,000nm以下、場合により、約20nm以上~約1,000nm以下、場合により、約30nm以上~約1,000nm以下、場合により、約50nm以上~約1,000nm以下、場合により、約100nm以上~約1,000nm以下、場合により、約10nm以上~約900nm以下、場合により、約100nm以上~約900nm以下、場合により、約10nm以上~約800nm以下、場合により、約100nm以上~約800nm以下、場合により、約10nm以上~約500nm以下、場合により、約100nm以上~約500nm以下、場合により、約10nm以上~約300nm以下、場合により、約50nm以上~約300nm以下、場合により、約100nm以上~約300nm以下、及びある変更では、場合により、約200nm以上~約300nm以下。口腔ケア組成物で使用される成分は、ナノ粒子の上記リストされた同じ範囲内の少なくとも1つの寸法を有することができる。
【0070】
いくつかの側面では、ナノ粒子は、活性損傷の表面上の孔のサイズ未満の平均サイズを有することができる。そのような孔のサイズは、変更できるが、一般に500nmの範囲内にある。それゆえ、ナノ粒子の平均粒径は、約500nm以下であることができる。
【0071】
例えば、ナノ粒子は、a)水中のデンプンの分散物を含む第1の相の調製、b)第2の液相中での第1の相の分散物又は乳濁物の調製、c)第1の相の中に存在するデンプンの架橋;及びd)このように形成されたデンプン粒子の分離を含むプロセス、又は、米国特許第6,755,915に記述されるような別のプロセスによって製造できる。いくつかの例では、そのような方法によって製造されたナノ粒子は、600nm未満の粒径を有すると推定される。
【0072】
ナノ粒子は、場合により、部分的に又は全体に有機材料で構成されている粒子を含む。ある側面では、ナノ粒子は、場合によっては単一分子でもよい架橋ポリマーを部分的に又は全体に含むことができる。
【0073】
ナノ粒子は、円形(例えば球又はだ円形)を有することができるか、又は、円板、血小板、棒などの種々の他の形状を有することができる。
【0074】
いかなる特定の理論に拘束も限定されず、ロウ状のデンプンベースのナノ粒子は、場合によっては、もしもアミロペクチンが高度に枝分かれした高分子量ポリマーならば、及び、いくらかの架橋剤が特に低濃度での水中で可逆的であることができるならば、1つ以上の非架橋分子で全体に又は部分的に構成されていることができる。
【0075】
ナノ粒子は、再生デンプン粒子であることができる。「再生」とは、天然のデンプン顆粒の結晶性構造を例えば加熱及び/又は熱加工プロセスによって部分的に又は完全に破壊して、そして、物理的な凝集及び/又は架橋によって生成物を再結合させることによって、当該粒子を形成することを、意味する。例えば、ナノ粒子は、場合により押出機中でせん断力を使用してデンプンを可塑化することによって、そして、場合により加工の間に架橋剤を添加することによって、製造できる。そのようなプロセスの例は、以下に記述されている:米国特許第6,677,386、米国公開特許第2011/0042841;Delong Song et al., Carbohydrate Polymers 85 (2011) 208-214;PCT国際出願WO2011/071742A2;米国特許第6,755,915;PCT国際出願WO2010/084088;及びPCT国際出願WO2010/065750。もう一つの方法として、崩壊粒子を使用できる。例えば、GB1420392は、押出しよりも前にデンプンを架橋することによって崩壊デンプン粒子を製造する方法を記述する。
【0076】
いくつかの変更では、ナノ粒子は、米国特許第6,677,386及び米国公開特許第2011/0042841に記述されたプロセスに従って製造される。このプロセスでは、デンプンなどのバイオポリマーを1つ以上の可塑剤と組み合わせる。この組合せを、例えば二軸で十分に互いにかみ合っている共回転押出機中で高せん断力下で混合して、バイオポリマーを可塑化して、そして、バイオポリマーの結晶性構造が除去された熱可塑性溶融相を生成する。混合を続けながら、架橋剤が押出機に添加されて、架橋デンプンベースのナノ粒子を形成する。ナノ粒子は、押出物のストランドとして押出機を出て、それは細かい乾燥粉末に粉砕される。ナノ粒子は、凝集形態の粉末で存在し、そして、水性媒体中に分散されることができる。このプロセスによって製造されたナノ粒子の特定の例は、EcoSynthetix Inc. of Burlington, Ontario, Canadaから入手可能な市販のECOSPHERETMナノ粒子を含む。
【0077】
ここで記述されるある変更では、カチオン性の部位及び造影剤又は治療薬は、同じポリマーと化学的に結合しており、化合物は、ナノ粒子の形ではなく使用されることができるが、むしろ組成物中の成分であると考えることができる。例えば、ここで記述されるカチオン性のナノ粒子を製造する反応と蛍光剤をナノ粒子に結合する反応の両方は、ナノ粒子の内部でのデンプンベースのポリマーへの結合を含むので、同様の反応を、調理デンプン、冷可溶性デンプン、予備ゼラチン化デンプン、又はデキストリン又はデキストランなどの低分子量デンプン誘導体、他のオリゴマー又はポリマー炭水化物又は単位を有する他のポリマーなどのデンプン可溶性の形態で、実行することができる。例えば、当該ポリマーは、グルコース繰り返し単位を含むことができる。他の側面では、当該ポリマーは、ヒドロキシ基を含む。しかし、(分散性のナノ粒子とは対照的に)可溶性の化合物を使用する形態は、安定した水性組成物で提供することはより困難であることがあり;(例えば、化合物基準の質量当り活性剤の質量で)活性剤を運ぶ能力が制限されていたり;又は、ナノ粒子と同じ程度には(より小さい多孔性の不活性損傷とは対照的に)より大きい多孔性の活性損傷と優先的に関連付けられないことがある、ということに注目すべきである。それゆえ、いくらかの好ましい側面では、ナノ粒子は、水性分散物又は溶液中で使用される。他の変更では、水性分散物又は溶液中で使用される成分(例えば、化合物)は、約1nm以上又は場合により約10nm以上の平均サイズを有することができる。
【0078】
造影剤は、対象の口腔へ運ばれる時に検出可能とする種々の診断剤又は造影剤であることができる。ある変更では、1つ以上の造影剤を使用できる。ナノ粒子又は成分上の造影剤は、例えば、歯の臨床医、歯科助手又は衛生士によって、歯科用硬化ランプを使用して人間の目で口腔の目視検査によって検出可能である。ある変更では、目視検査は、光学フィルターの使用を含む。光学フィルターは、臨床医、助手、又は衛生士によって身に着けられる一対のUV-フィルタリングメガネであることができる。このように、造影剤上に(口腔及び歯をランプからの電磁気に暴露する)歯科用硬化ランプを照らす一方で、造影剤は、口腔のデジタル写真又は目視検査によって検出可能である。他の側面では、目視検査又はデジタル写真は、デジタル画像のフィルタリング又は光学フィルターの使用を含む。
【0079】
造影剤は、生体適合性及び生分解性ポリマーと関連付けられる。ある側面では、造影剤は、当該ポリマーと結合する。青い光を典型的に発する市販の標準歯科用硬化ランプからの電磁放射線に応答して蛍光を発するフルオロフォアを、造影剤は含むことができる。そのような歯科用硬化ランプは、約350nm以上~約600nm以下、場合により約400nm以上~約500nm以下、及びある変更では約430nm以上~約480nm以下の波長を有する電磁放射線を典型的に発する。1つの変更では、フルオロフォアは、生体適合性及び生分解性ポリマーに共有結合するフルオレセイン分子を含む。フルオレセインは、その理解される安全性及び低毒性に起因して適切なフルオロフォアである。しかし、Molecular Probes, Inc.から販売されているAlexa FLUO(登録商標)フルオロ染料及びローダミンを含む種々の蛍光標識が、診断用目的で使用できる。
【0080】
他の造影剤も、生体適合性及び生分解性ポリマーに含まれる(例えば、内部に分散される)か又は結合されるとして企図される。1つの変形では、造影剤は、少なくとも1つの生体適合性染料又は着色剤を含む。ある側面では、1つ以上の生体適合性染料を使用できる。ある形態では、米国での使用のために連邦医薬品局(FDA)によって承認されたFD&C又はD&C顔料及び染料などの、規制当局によって食品、薬、又は化粧品の中への取込み用に承認される着色剤、顔料、又は染料が、場合により選択される。生体適合性染料及び顔料は、非限定的な例の目的で、カラメル着色剤(E150)、アンナット(E160b)、クロレラ藻類(E140)からの緑染料、コチニール(E120)、ビートから抽出したベタニン、ウコン(E100)、サフラン(E160a)、パプリカ(E160c)、酸化鉄(E172)及びエルダーベリージュースを含む天然色素を含む。他の生体適合性染料及び顔料は、生体適合性合成カラー及びレーキ及び染料を含む。ここで有用なものの中でそのような食品安全な及び/又は化粧品として許容可能な着色剤は、以下を含む:FD&C赤No.3(テトラヨードフルオレセインのナトリウム)、FD&C赤No.40(2-ナフタレンスルホン酸)、食品赤17、6-ヒドロキシ-5-{(2-メトキシ-5-メチル-4-スルホフェニル)アゾ}-2-ナフタレンスルホン酸のジナトリウム塩、食品黄色13、キノフタロン又は2-(2-キノリル)インダンジオンのモノ及びジスルホン酸の混合物のナトリウム塩、FD&C黄色No.5(4-p-スルホフェニルアゾ-1-p-スルホフェニル-5-ヒドロキシピラゾール-3カルボン酸のナトリウム塩)、FD&C黄色No.6(p-スルホフェニルアゾ-B-ナフトール-6-モノスルホネートのナトリウム塩)、FD&C緑No.3(4-{[4-(N-エチル-p-スルホベンジルアミノ)-フェニル]-(4-ヒドロキシ-2-スルホニウムフェニル)-メチレン}-[1-(N-エチル-N-p-スルホベンジル)-Δ-3,5-シクロヘキサジエンイミン]のジナトリウム塩、FD&C青No.1(ジベンジルジエチル-ジアミノトリフェニルカルビノールトリスルホン酸アンハイドライトのジナトリウム塩)、FD&C青No.2(インジゴチンのジスルホン酸のナトリウム塩)、及び様々な比率でのそれらの混合物。ある側面では、着色剤は、二酸化チタン、酸化クロム緑、フタロシアニン緑、ウルトラマリンブルー、酸化第二鉄、又は、アルミニウムレーキを含むがそれに限定されない水不溶性の染料レーキなどの、化粧品として及び/又は医薬的に許容可能な水不溶性の無機顔料を含む。ある形態では、染料レーキは、FD&C緑#1レーキ、FD&C青#2レーキ、D&C赤#30レーキ及びFD&C黄色#15レーキなどのFD&C染料のカルシウム又はアルミニウム塩を含む。更に他の形態では、例えば二酸化チタン(TiO)、二酸化チタンコーティングを施したマイカ、鉱物、又は粘土などの白い着色剤が使用される。いかなるこれらの着色剤又は染料の組合せも、使用できる。
【0081】
従って、ある変更では、本開示は、初期段階の虫歯に対応し得る白い損傷スポットエナメル損傷を標的とするデンプンベースの蛍光ラベルされたナノ粒子を企図する。デンプンベースの化学は、唾液アミラーゼによってナノ粒子を無毒及び生分解性にする。ナノ粒子上のフルオロフォア造影剤としてフルオレセインを使用すると、青い光を発するほとんどの歯科医院で一般に使用される歯科用硬化ランプを使用して、う蝕病変を照らすことができ、識別できる。
【0082】
標的される蛍光造影ナノ粒子は、う蝕病変を特定して照らすことができ、視覚コントラストを改善して、そして、診断を援助する。本開示のある側面に従うナノ粒子は、高価でなく、口/口腔中で生分解性であり、無毒で、及び、(例えば、造影用の歯科用硬化ランプ及び/又は目視検査を要求するのみである)現在の歯科プラクティスに沿って適合する。ある側面では、ナノ粒子は、造影剤及びカチオン性の電荷を持つバイオポリマーを含む。
【0083】
ある側面では、ナノ粒子は、ナノ粒子の約0.1%~約10重量%以下の造影剤を含む。
【0084】
ある形態では、本開示のナノ粒子は、診断用であることができ、これは、対象の口腔中の歯の中に又は上に1つ以上のありうる虫歯の存在を明らかにする造影剤をそれらが含むことを意味する。他の変更では、本開示のナノ粒子は、治療用又は診断用及び治療用であることができる。治療用ナノ粒子は、少なくとも1つの口腔ケア活性成分を含むことができる。ある変更では、組成物は、口腔ケア活性成分を含む第2の複数の治療用ナノ粒子及び第1の複数の診断用ナノ粒子を含むことができる。ある変更では、ナノ粒子が診断用として働く場合、それは、約30分以上及び場合により数時間以下の時間で望ましくは分解し、例えば、歯の臨床医、助手、又は衛生士に、診断用処置及び評価を完成する能力を提供する。他の変更では、ナノ粒子が治療用の役割として働く場合、ナノ粒子は、口腔中に導入されて唾液への暴露後に、例えば約24時間以上~約30日以下又は更に長い時間で分解する、かなり長い分解時間を有するように設計できる。このことは、活性成分を、口腔に(例えば、歯のう蝕病変に隣接する又はその内部の領域に)、より長い時間フレームで運んで、治療用利益を提供することを可能とする。
【0085】
口腔ケア活性成分は、生理障害又は状態の予防又は治療、口腔癌及び口内乾燥症を含むがそれらに限定されない口腔の硬い又は柔らかい組織の障害又は状態の予防又は治療用に使用でき、又は、化粧品利益を提供できる。場合により口腔ケア活性成分は、非限定的な例の目的で、虫歯予防薬、再石灰化剤、抗菌剤、抗結石剤、酒石コントロール剤、歯減感剤、及びそれらの組合せを含む。上記カテゴリーの活性の各々の一般的な特質及び特性が異なる一方で、いくつかの共通の特質が存在し得るのであり、いかなる所定の材料も、そのようなカテゴリーの活性の2つ以上の中で複数の目的で働くことができる。
【0086】
ある変更では、口腔ケア活性成分は、虫歯予防薬、再石灰化剤、抗菌剤、抗結石剤、及びそれらの組合せを含む。ある変更では、ナノ粒子は、虫歯、微小空洞、又はエナメル損傷を識別し;初期のエナメル損傷又は微小空洞を低減又は抑制し;歯の虫歯又は空洞の形成を低減又は抑制し;脱灰を低減又は抑制して歯の再石灰化を促進し;齲蝕原性細菌から歯を保護し;口腔中の又は歯の上の微生物バイオフィルム形成を抑制し;及び/又は、口腔中の酸製造バクテリアのレベルを低減するために、使用されることができる。ここで有用な口腔ケア活性は、場合により、安全な及び有効な量で本発明の組成物中に存在する。ある側面では、ナノ粒子は、ナノ粒子中への取込み後に約0.1%~約50重量%以下の口腔ケア活性成分を、及び場合により、ナノ粒子中への取込み後に約0.1%~約15重量%以下の口腔ケア活性成分を、含む。
【0087】
ある変更では、口腔ケア活性成分は、口腔にフッ素イオンを提供する抗虫歯フッ化物含有成分などの虫歯予防薬を含む。フッ化物含有活性成分は、ナノ粒子中への取込み後に約0.02%以上~約2.2重量%以下で存在してもよい。フッ化物含有成分は、以下から成る群から選択できる:フルオロヒドロキシアパタイト、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化銀脱水物、モノフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロシラン、それらの組合せ及び同等物。
【0088】
他の変更では、口腔ケア活性成分は、歯を再石灰化するために口腔中にカルシウムイオンを提供するカルシウム含有成分を含む。カルシウム含有活性成分は、ナノ粒子中への取込み後に約1%以上~約5重量%以下で存在してもよい。カルシウム含有活性成分は、カルシウム乳酸塩でもよい。
【0089】
ある他の変更では、口腔ケア活性成分は、歯を再石灰化するためにカルシウム及びホスフェート含有成分を含む。カルシウム及びホスフェート含有成分は、場合により、グリセロリン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、カルシウムナトリウムホスホシリケート、又はそれらの組合せ及び同等物を含む。ある変更では、グリセロリン酸カルシウムは、ナノ粒子中への取込み後に約0.1%以上~約1重量%以下でナノ粒子中に存在できる。他の変更では、リン酸二カルシウムは、ナノ粒子中への取込み後に約2%以上~約50重量%以下、場合により、ナノ粒子中への取込み後に約2%以上~約10重量%以下でナノ粒子中に存在できる。更に他の変形では、リン酸三カルシウムは、ナノ粒子中への取込み後に約1%以上~約5重量%以下でナノ粒子中に存在できる。他の変更では、カルシウムナトリウムホスホシリケートは、ナノ粒子中への取込み後に約1%以上~約10重量%以下でナノ粒子中に存在できる。
【0090】
他の側面では、ナノ粒子は、アミンフッ化物、カゼインホスホペプチド、リンタンパク、及びそれらの同等物及び組合せから成る群から選択される口腔ケア活性成分を含むことができる。ある側面では、ナノ粒子は、ナノ粒子中への取込み後に約0.2%以上~約2.2重量%以下でナノ粒子中に存在するアミンフッ化物を含むことができる。他の側面では、カゼインホスホペプチドは、ナノ粒子中への取込み後に約1%以上~約5重量%以下でナノ粒子中に存在できる。別の他の側面では、リンタンパクは、ナノ粒子中への取込み後に約0.001%以上~約0.01重量%以下でナノ粒子中に存在できる。
【0091】
ある変更では、ナノ粒子は、複数の組成物的に別個の区画を含む多相のナノ粒子であることができる。こうして、各々の区画は、別個の材料組成物を含むことができる。多相のナノ粒子は、種々の形状を有することができ、そして、2個、3個又はそれ以上の別個の区画を含むことができる。ある変更では、第1の区画は、(例えば、第1の区画中でポリマーと結合した)造影剤を含むことができ、一方で、第2の区画は、1つ以上の口腔ケア活性成分を有することができる。そのような多相のナノ成分は、Roh et al., “Biphasic Janus Particles With Nanoscale Anisotropy”, Nature Materials, Vol. 4, pp. 759-763 (October, 2005)や米国特許第7,767,017、8,043,480、8,187,708、及び米国特許公開第2012/0045487及びPCT国際出願WO06/137936などに開示されているように、1つ以上のポリマーを含む材料の帯電噴出によって形成されることができる。
【0092】
ある側面では、本開示は、対象の口腔への経口投与用口腔ケア組成物を企図する。当該口腔ケア組成物は、上で議論したいかなるナノ粒子を含む。ナノ粒子は、経口的に許容されるキャリアーをも含み、これは、(例えば、利益がリスクを上回るという)リスク対利益を考えた上で対象の内部での使用で相対的に安全な材料又は材料の組合せを意味する。こうして、経口的に許容されるキャリアーは、口腔中での使用に毒性的に適切ないかなるキャリアーでもよい。経口的に許容されるキャリアーの特定の成分の選択は、例えば、口腔ケア組成物が、口内洗浄剤、歯磨剤、ゲル、ペイントなどであるか否かなど、口腔ケア組成物の形態に依存する。そのような経口的に許容されるキャリアーは、当業者に周知のような、歯磨剤(例えば、練り歯磨き及び歯磨き粉)、ゲル、ペイント、口内洗浄剤(例えば、うがい薬、噴霧、又はすすぎなど)、飴などの通常の成分を含む。ある変更では、口腔ケア組成物は、虫歯がしばしば発達する傾向がある場合、隣接面の/歯間の表面を含む、歯の表面の大規模な及び包括的な被覆を容易にする口内洗浄剤である。
【0093】
様々な側面では、口腔組成物を調製するのに使用される経口的に許容されるキャリアーは、アルコール及び他の成分を含むことができる水ベースの相を含むことができる。当業者によって認識されるように、口腔組成物は、非限定的な例示の目的で、界面活性剤などの表面活性剤、乳化剤、及び発泡調節剤、研磨剤、湿潤剤、食感剤、粘度変性剤、希釈剤、pH改質剤、甘味剤、風味剤、着色剤、保存料及びそれらの組合せを含む他の従来の口腔ケア組成物材料を含むことができる。
【0094】
ナノ粒子を含む口腔ケア組成物は、対象に管理(投与)することができ、こうして、対象の口腔中に導入できる。複数の粒子は、1つ以上のう蝕病変に対応する歯の空洞の内部及び/又は歯の表面上の虫歯に隣接して選択的に蓄積する。
【0095】
ある変更では、口腔ケア組成物は、複数の別個のタイプのナノ粒子を含むことができる。こうして、ある側面では、複数のナノ粒子は、場合により、造影剤を含む第1の複数の診断用ナノ粒子である。こうして、口腔ケア組成物は、口腔ケア活性成分を含む第2の複数の治療用ナノ粒子を更に含むことができる。ある側面では、本開示は、対象の口腔の内部の歯の微小空洞を含む虫歯を標的とするためにバイオポリマーを含むナノ粒子の使用を企図する。
【0096】
ある側面では、本開示は、医学診断用途に使用される時に毒性及び副作用を潜在的に引き起こし得るいくらかの合成ポリマーとは対照的に、吸収可能で無毒なナノ粒子組成物及び代謝産物を提供する。様々な側面では、ナノ粒子は、歯エナメルの空洞及び損傷の中に入ることを許容する粒径である、微小空洞診断用の有利なサイズを有する。本開示のある変形に従うナノ粒子は、容易に機能化され、様々な蛍光又は光学的な染料又は造影剤、保護被覆の付着及び粒子電荷のコントロールを可能とする。更に、本技術は、例えば、検出用の既存の標準歯科用硬化ランプを使用する、追加の設備購入や訓練を要求することなしに、現在の歯の技術に沿って作業する能力を提供する。更に、本開示のある変形は、スケールアップ生産する能力によって制限される多くのマイクロ及びナノ粒子システムと比較して、相対的に低コストで高生産速度で工業規模で製造できるナノ粒子を提供する。
【0097】
このように、本開示は、微小空洞の診断を援助するのに使用されるナノ粒子の形での蛍光バイオポリマーの使用を提供する。デンプンベースのナノ粒子は、活性う蝕病変の診断で歯科医を手伝う新しいやり方を提供する。これらの粒子は、生分解性で高価でなく無毒で、歯科医院で現在入手できる技術を使用する。緑色の光のみを抽出してコントラストを改善する画像プロセスの使用は、更に以下で議論するように、本教示によって提供される新しく独特の発見でもある。
【0098】
様々な側面では、本教示によって企図されるナノ粒子及び口腔組成物は、1つ以上の以下の用途で使用できる:臨床医(例えば、歯科医、歯科助手、又は衛生士)による歯科医院での空洞の診断の管理、歯腔の家庭での診断、臨床試験での歯分解のレベルを監視すること、及び、虫歯又は歯腔を有する歯の1つ以上の領域への治療を維持して高度に標的して運ぶこと。
【0099】
ある他の側面では、本開示は、経口投与用ナノ粒子を製造する方法を提供する。当該方法は、造影剤と反応可能な反応基で生体適合性及び生分解性ポリマーを機能化することを含むことができる。例えば、反応性官能基は、造影粒子(例えば、アミン機能化造影剤)上でアミンと反応するポリマー上のカルボキシル基であることができる。別の1つの変形は、対応する造影剤上での銅-クリックケミストリーによってポリマー上でアルキン官能基を反応させることを含むことができる。他の変形は、標的分子間で最終架橋(アミド結合)の部分となることなしに一級アミン(-NH)へのカルボキシル(-COOH)の直接結合を引き起こすカルボジイミド(EDC)の使用を含む。N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)又はその水溶性の類似物(スルホ-NHS)は、結合を高めるためにEDCカップリングプロセス中に含まれることができる。結合化学の他の例は、ベンゾフェノンなどの光反応基の光誘発架橋又は、ビニル基又はマレイミドとのチオール、ホスフィンとのアジドの反応を含む。生体適合性及び生分解性ポリマーは、対象の口腔中の歯の内部又は上の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能な少なくとも1つのカチオン性の領域を含む。こうして、当該方法は、生体適合性及び生分解性ポリマー上の反応基を造影剤と反応させることを含むことができ、それにより、ナノ粒子は、ナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時に、1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能な造影剤を持つのである。上記で議論したいかなる生体適合性及び生分解性ポリマー及び造影剤も使用できる。
【0100】
ある変更では、当該方法は、カチオン性の部位と反応可能な少なくとも1つの第1の反応基を有するように、最初に生体適合性及び生分解性ポリマーを機能化することを含むことができる。例えば、反応性官能基は、(例えば、エポキシドで機能化されたカチオン性の部位である)カチオン性の部位上でエポキシド基と反応するポリマー上のヒドロキシル基であることができる。その後、対象の口腔中の歯の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能な正電荷を持つ少なくとも1つのカチオン性の領域を生体適合性及び生分解性ポリマーが有するように、生体適合性及び生分解性ポリマーは、カチオン性の部位と反応させる。上記で議論したいかなるカチオン性の部位(又はそれらの前駆体)は、そのような方法で使用できる。
【0101】
一形態では、粒子は、動的光散乱法(DLS)及びナノ粒子追跡分析(NTA)方法を使用して測定された約20nm以上~約250nm以下の粒径範囲を有するデンプンナノ粒子を使用して製造される。これらの粒子は、その後、化学的に変性されて官能性を増大させる。一形態では、カチオン性のエポキシド基部位(グリシジルトリメチル塩化アンモニウム)でデンプンはカチオン化されて、ポリマーに正電荷を吹き込む。カチオン性のデンプンナノ粒子は、+30mVの適度に正のゼータ電位を有する。この正電荷は、上記で議論したように、粒子が活性初期のう蝕病変を標的にするのを助けると思われる。
【0102】
別の1つの形態では、ナノ粒子は、DLS及びNTA方法を使用して測定された約10nm以上~約250nm以下の平均粒径範囲を有するデンプンナノ粒子であることができる。
【0103】
カチオン性の粒子はその後に酸化されて、カルボキシル官能基を生成できる。水溶性の触媒TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)を使用するプロセスは、他の酸化プロセスでは共通の多糖類ポリマーの分子量低下を最小限にする、カルボキシルへのグルコピラノースデンプンポリマー単位のC6ヒドロキシルの変性のために、好ましくは使用される。
【0104】
酸化されたカチオン性のナノ粒子は、約+8.5mVのわずかに正のゼータ電位を有することが測定される。カルボキシル官能性(機能性)は、蛍光分子の付着を許容することが意図されるが、それは、粒子にいくらかのわずかな負電荷をも追加する。いかなる特定の理論に拘束されることも制限されることもなしに、この両性イオン性の特性は、活性う蝕病変中での蛍光粒子の自己凝集を許容することによってありうる蛍光シグナルを高めると思われる。
【0105】
初期のう蝕病変の光学的な診断を援助する目的で、蛍光分子又はマーカーは、ナノ粒子表面に付着することができる。いくつかの例は、上記で議論したフルオレセイン、Alexa FLUO(登録商標)染料、ローダミンなどを含む。1つの変形では、フルオレセイン異性体1は、標準歯科用硬化ランプから発する青い光の下で照らすその能力及びその低毒性及びそれに続く他の歯の用途での使用のために、選択される。
【0106】
フルオレセイン異性体1は、酸化されたカチオン性のバイオポリマーとのEDC/NHSカップリングを可能にするアミン官能性を有するように、変性される。粒子濃度に対する蛍光標識濃度及びナノ粒子の表面上の官能基の数は、粒子の蛍光強度で決定できる。一形態では、これは、Sigma Aldrichから市販のフルオレセインイソチオシアネート(FITC)-デキストラン(10kMW)よりも約20倍低い蛍光である。FITC-デキストラン溶液は、約100nmの平均サイズ及び約+6mVのゼータ電位を有する。
【0107】
実施例
【0108】
材料:バイオベースのナノ粒子は、EcoSynthetix Inc.から提供される。すべての化学薬品は、特別に示されていない限り、ラボグレードでSigma Aldrichから購入される。これらは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)、臭化ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、イソプロピルアルコール、グリシジルトリメチル塩化アンモニウム(ETA)、水酸化ナトリウム、エタノール、フルオレセインアミン異性体1、EDC、NHS、FITC-デキストラン(10k)、及びフルオレセインナトリウム塩を含む。
【0109】
実施例1-化学変性
【0110】
デンプンナノ粒子の変性の化学反応スキームは、図1に提示され、更に以下に記述される。すべての反応は、バッチ間変動を理解して説明するために3重に繰り返される。
【0111】
デンプンナノ粒子のカチオン化
【0112】
図1において1で示されるデンプンナノ粒子は、Huanga Y. et al. “Ultra-small and innocuous cationic starch nanospheres: Preparation, characterization and drug delivery study.” International Journal of Biological Macromolecules, 58: pp. 231-239 (2013)に示される手順に従ってカチオン性になるように変性される。
【0113】
デンプンナノ粒子は、10%固体で、100mLの1%水酸化ナトリウムDI水中に分散される。この溶液に、3mLのイソプロピルアルコール及び4.3gのグリシジルトリメチル塩化アンモニウムが添加されて、1時間混合される。当該混合物は、その後、エタノール中での沈殿及び遠心分離の前に、一晩中75℃に加熱され、次に凍結乾燥されて、(図1中の2で示される)カチオン性のデンプンナノ粒子を生ずる。
【0114】
デンプンナノ粒子のTEMPO酸化
【0115】
デンプンナノ粒子は、Kato, Y. et al., “Oxidation process of water-soluble starch in TEMPO-mediated system,” Carbohydrate Polymers 51, pp. 69-75 (2003)に示される手順に従って酸化される。手短に言えば、DI水中に分散されたカチオン性のデンプンナノ粒子の5%溶液100mLを、0.635gの臭化ナトリウム及び0.048gのTEMPOを含有する100mL水性溶液と混合する。当該混合物を氷の上に置き、10%水酸化ナトリウム溶液を使用してpHを調節し、10よりも高いpHにする。水酸化ナトリウムを使用して10よりも高いpHを維持しながら、20gの次亜塩素酸ナトリウム溶液(StNPに対して1:2モル比)を当該混合物にゆっくりと添加する。反応は一晩中放置し、そして、10よりも高いpHで終了し、その点では、エタノール中で沈殿して遠心分離によって分離し、次に凍結乾燥して、(図1の3で示される)両性イオン性デンプンナノ粒子を生ずる。非変性デンプンナノ粒子(図1の1)で実行された同じ反応条件では、(図1の5で示される)アニオン性の粒子を生じた。
【0116】
-COOH官能性に対するFITC-アミンのEDC/NHS結合
カルボジイミド(EDC)及び他の同様のカルボジイミドは、標的分子間の最終架橋(アミド結合)の一部となることなしにカルボキシル(-COOH)を一級アミン(-NH)に直接結合させる架橋剤である。N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)又はその水溶性の類似物(スルホ-NHS)が、EDCカップリングプロセス中にしばしば含まれて、効率を改善するか又はより安定なアミン-反応性中間体を生成する。
【0117】
2gの両性イオン性デンプンナノ粒子を、20mL溶液の0.1M MES、0.5M NaClバッファー中に溶解する。10xモル過剰のEDCを添加し(0.2g)、20分間の混合に付し、1.5x質量のNHS(0.3g)を添加し、10分間混合する。20mL溶液の0.1M PBS、0.15M NaClを添加して、7よりも高いpHに上げる。フルオレセインアミンを、1:75モル比(0.05g)で添加し、2時間反応に供する。粒子をエタノール中で沈殿させ、遠心分離によって分離し、凍結乾燥して、(図1の4で示される)フルオレセインラベル表示されたカチオン性のデンプンナノ粒子を生ずる。アニオン性のデンプンナノ粒子を使用する同じ反応条件では、(図1の6で示される)フルオレセインラベル表示されたアニオン性の粒子を生じた。
【0118】
化学分析:FTIR、NMR、及びXPS
【0119】
Thermo Scientific Nicolet 6700装置を使用してフーリエ変換赤外線(FTIR)分光を完了する。サンプルは、金-コーティングを施したシリコンウエハー上に変性デンプンナノ粒子をスピンコーティングして次に24時間真空乾燥することによって調製する。各々のサンプルで、128スキャンをとる。
【0120】
Varian MR400装置を使用してH’-NMR分析を完了する。サンプルは、約5%固体でDO中に分散させ、ピーク分析は、Kato et alで上で示されているように結果と比較する。
【0121】
150kWのパワーで単色化したAl KαX線源が装備されているAxis Ultra X線光電子分光計(Kratos Analyticals, UK)を使用して、乾燥粉末デンプンナノ粒子サンプルで、X線フォトン(光子)分光(XPS)を実施する。
【0122】
粒子特徴づけ:
【0123】
ゼータ分析、サイズ分析、蛍光分析
【0124】
デンプンナノ粒子サンプル1-6を0.025%固体で分散させ、そして、NanoSight NS300を使用するナノ粒子追跡分析(Nanoparticle Tracking Analysis)(NTA)及びMalvern ZetaSizerを使用するゼータ電位及びDLS分析を含む、様々な粒子特徴づけ技術によって、分析する。
【0125】
フルオレセインラベル表示されたアニオン性の及びフルオレセインラベル表示されたカチオン性のStNPsの粒子蛍光を、BioTek Neo 1蛍光プレートリーダーを使用して測定し、市販のFITC-デキストラン(10kMW)に対して複数の濃度で比較する。
【0126】
実施例2-フルオレセインがロードされたカチオン性のデンプンナノ粒子
【0127】
カチオン性のデンプンナノ粒子が、5質量%デンプン粒子と0.25%フルオレセイン塩の混合物を分散させてそして当該溶液を凍結乾燥することによって、フルオレセインナトリウム塩でロードされる。フルオレセインアニオンは、デンプンナノ粒子上のカチオン性の基と相互作用し、粒子の内部に蛍光染料を保持する。粒子は、約30nmのサイズである。
【0128】
実施例3-キトサンのEHD噴出
【0129】
キトサン粉末(脱アセチル化度75-85%;分子量190-310kDa)を、0.05質量%フルオレセインを含有するトリフルオロ酢酸中で1重量%で溶解させ、均一溶液を形成する。キトサンナノ粒子は、1mLプラスチックシリンジ、ステンレススチール針(22G;内径、0.413mm)、シリンジポンプ、高電圧電源、及び接地対電極(コレクター)として当該針の下に直接配置されたアルミニウムプレートを包含するセットアップを使用して電気流体力学(EHD)噴出によって、調製する。前述の溶液を、シリンジ中に引出して、シリンジポンプを使用して一定の流速で当該針を通して押出すことができる。約10kVの高電圧では、当該液体は、接地されたコレクションプレート上の当該針の先から15cm回収される液滴になる針の先でテーラーコーンを形成する。当該ナノ粒子は、アルミニウムプレートからすくい取ることによって回収して水中に分散させる前に、真空下に24時間乾燥に付していかなる微量の溶媒を除去し、次に、0.4ミクロンフィルターを使用してろ過し、約200-300nmのサイズの蛍光ラベルされたキトサンナノ粒子を生ずる。
【0130】
実施例4-カチオン性のデンプンナノ粒子のEHD噴出
【0131】
カチオン性のデンプンナノ粒子を、0.25%フルオレセインナトリウム塩で水:エタノールの80:20 v:v溶液中で5質量%で分散させる。この溶液を、上記の実施例3のようだが約16kVの電圧を使用して電気流体力学噴出セットアップを使用して噴出させ、約300-500nmサイズのナノ粒子を生ずる。
【0132】
実施例5-組み合わせたフッ化物運搬及び蛍光診断用の二区画噴出粒子
【0133】
お互いに隣接して配置された針を包含するセットアップを使用することによって上で記述した同じ噴出手順を使用して、二区画デンプンナノ粒子を調製する。0.25%FITC-デキストランで水:エタノールの80:20 v:v溶液中で5質量%で分散されたカチオン性のデンプンナノ粒子の溶液を噴出するために、1本の針を使用する。0.25質量%のフッ化ナトリウム及び1.3質量%の10k M.W PEG-ジグリシジルエーテルで水:エタノールの80:20 v:v溶液中で5質量%で分散されたカチオン性のデンプンナノ粒子の溶液を噴出するために、他の1本の針を使用する。粒子を、その後、37℃で72時間放置し、PEG-ジグリシジルエーテルを、デンプンのフッ化物含有成分と架橋させて、剥離を延長する。最終粒子は、虫歯診断用の速分解蛍光区画と再石灰化用の遅分解フッ化物ロード区画とを持つ二区画である。粒子は、約300-500nmサイズである。
【0134】
実施例6-クリック機能化カチオン性デンプンナノ粒子
【0135】
カチオン性のデンプンナノ粒子を、ジメチルスルホキシド(DMSO)(Sigma)中に5質量%固体で分散させてそして溶液中に1質量%DMAP(Sigma)を添加することによって、化学的に変性する。一旦十分に分散させたら、1質量%グリシジルプロパルギルエーテル(Sigma)を添加して、48時間室温で反応させ、その後、塩酸(Sigma)でクエンチすることによって反応を終える。50体積%エタノールの添加は、デンプンナノ粒子の沈殿及び上澄みの除去を可能とし、追加のクリーニング工程及び水:エタノールからの再沈殿は、粒子を精製し、それは、凍結乾燥によってその後乾燥させる。最終粒子は、約20nmサイズの、約+25mVのゼータ電位を持つカチオン性であり、そして、銅-クリックケミストリーによって変性可能なアルキン官能基を有する。
【0136】
これらの粒子は、その後、5質量%で水中に分散させ、そして、2Mトリエチルアンモニウムアセテートバッファーが添加されて、pH7.0、最終濃度0.2Mになる。溶液は、DMSO中に溶解するCy5-アジドの1.5質量%溶液を添加する前に、DMSOで3:2で希釈され、そして、渦となって混合される。アスコルビン酸溶液が、その後、混合物に添加されて、最終濃度0.5mMとなり、簡単に渦となり、その後、30秒間その中に不活性ガスを泡立たせることによって溶液を脱ガスする。窒素、アルゴン、又はヘリウムが使用できる。55%DMSO中の10mM銅(II)-TBTA Stockが、混合物に添加され、不活性ガスでガラスびんをフラッシュし、そして、キャップを閉じる。溶液は、その後、十分に渦動される。もしも有意な沈殿のアジドが観察されるならば、ガラスびんは、65℃で3分間加熱され、渦動される(渦となる)。
【0137】
反応混合物は、室温で一晩中維持され、その後、エタノールを使用して沈殿させ、遠心分離し、次に凍結乾燥する。最終粒子は、約20-30nmサイズで、カチオン性のゼータ電位(20-35mV)を持ち、そして、Cy5フルオロフォアで蛍光ラベルされる。
【0138】
粒子分解(劣化)検討
【0139】
デンプン粒子は、1%固体で分散される。粒子分散物の半分は、初期溶液としてとっておかれ、そして、DI-水で1:1 v:vに希釈される。粒子分散物の残りの半分は、取り出され、そして、等容積の唾液に添加され、そして、最終分散物として、30分間37℃インキュベーター中に配置される。唾液が回収されて、唾液酵素の潜在的変性を最小限にするためにただちに使用される。初期及び最終分散物の両方が、ヨウ素及びベネディクト試薬で試験される。
【0140】
ヨウ素試験
【0141】
20マイクロリットルのヨウ素溶液が、2mL初期及び最終分散物に添加され、ImageJソフトウエアを使用して色を調べる。
【0142】
ベネディクト試薬試験
【0143】
20マイクロリットルのベネディクト試薬が、2mLの初期及び最終分散物に添加され、30分間80℃に加熱され、そして、その後、UV-Vis分光光度計を操作して735nmの波長で吸光度を測定する。
【0144】
歯の試験
【0145】
歯の準備
【0146】
抽出された歯は、School of Dentistry, University of Michiganから得られ(人間対象免除)、そして、使用前に1%ナトリウムアジド中に保存される。歯は、歯冠の頬の表面上に1mmエナメルウィンドウを残して耐酸性のワニスでペイントされる。歯は、その後、0.1M乳酸、4.1mM CaCl×2HO、8mM KHPO、及び1%w/v CMC(カルボキシメチルセルロースナトリウム)を含有するpH5.0脱灰ゲル中に8日間37℃で浸漬される(参照:Lippert et al., Caries Res. 46: pp. 23-30 (2012))。脱灰の終了時に、歯は、虫歯活性試験にかける前に蒸留水HOですすがれる。残余のワニスは、アセトン中で洗浄によって除去される。
【0147】
空洞診断試験
【0148】
FITC-カチオン性のStNP、FITC-アニオン性のStNP、及びFITC-デキストランの1%溶液、及び、フルオレセインナトリウム塩の0.001%溶液が調製される。歯は、DI水中でのすすぎよりも前に、20マイクロリットルのサンプルに3分間露出される。すすぎは、最初に10秒間実施され、歯は、標準歯科用硬化ランプで照らされながら、調べて写真がとられる。すすぎは、追加の10秒間続き、次に造影され、そして、これは、露出(暴露)手順を最適化するために各々のサンプルで「滞留時間」を決定するために5分間まで繰り返される。
【0149】
この最適化に基づき、FITC-カチオン性のStNPsは5分まででさえ残るがすべてを洗い流すには、DI水中での20秒間のすすぎが十分であることが、見出される。15個の歯は、各々のコントロール(FITC-デキストラン、フルオレセインラベル表示されたアニオン性のStNP、及びフルオレセインナトリウム塩)での試験用に3つのグループに分割される。3分間の暴露及びその後の20秒間のすすぎの後に、歯科用硬化ランプの下で造影が実行される。同じ歯は、その後、フルオレセインラベル表示されたカチオン性のStNPsが投与され、そして、画像化されて、様々なコントロールによって明るくすることができなかったう蝕病変を照らすこれらの粒子の能力を例証する。
【0150】
画像分析
【0151】
Nikon ABCカメラでデジタル画像がとられ、そして、ImageJ画像分析ソフトウエアを使用して分析される。特に、対照の測定としての背景の歯とう蝕病変との間のグレースケール輝度を比較するために、「平均グレー値」測定ツールが、使用される。更に、画像から緑画素を抽出してフルオレセイン色を単離するために、「スプリットチャネル」オプションが、第2の方法として使用される。
【0152】
二光子顕微鏡検査
【0153】
処理された歯は、40x油浸漬目標を使用するLeica TCS SP8 2-Photon Confocal with FLIM & FCSを使用して調べる。サンプルは、油中に浸漬されて、そして、ガラス底のペトリ皿上に配置される。照明波長は、810nmにセットされ、種々の歯サンプルでz-積層画像が回収される。
【0154】
結果及び議論:
【0155】
化学変性及び分析:
【0156】
図1(工程1-4)に示され上で議論された反応手順を使用して、デンプンナノ粒子の化学変性が完了する。化学反応の効果を分析するために、中間体工程で粒子が回収されて、カチオン性のStNPs、アニオン性のStNPs、及び両性イオン性StNPsを製造する。これらの粒子のFTIR結果が、図2に示される。カチオン性のStNPsを非変性StNPsと比較すると、何の特有のNR4吸収も存在しないので、アルデヒド及びアルカンの証拠のみを見ることができる。これは、2930cm-1(CHアルカン),2830cm-1(CHアルデヒド)、1450cm-1(CHアルカン)、及び1390cm-1(CHアルデヒド)での増大ピーク、及び、2830cm-1(CHアルデヒド)、1720cm-1(C=Oアルデヒド)でのピークの出現で、見ることができる。アニオン性のStNPsを考慮すると、1710cm-1(C=Oカルボキシル)及び1422cm-1(OHカルボキシル)での吸収ピークのシャープな増大が存在する。両性イオン性StNPsは、すべてのこれらのピークの証拠を示す。
【0157】
カチオン化反応を更に有効にするために、図11Aに示される結果で、サンプルのXPS測定をとる。これらの結果は、約1.5-2原子パーセントのカチオン化反応後の窒素の存在を示し、これは、おおよそ約30%の反応効率に対応する。この結果は、両性イオン性StNPsのTEMPO酸化後と一致する。反応は、立体及び静電反発によっておそらく制限される。
【0158】
TEMPO酸化反応を特徴づけるために、図11Bに示されるようにH NMR分析が実施される。C6水素(5.2~5.4ppm)に対応するピークシフトは、約40%の反応効率を示した。理論によって拘束も制限もされないが、デンプン粒子の錯体ゲル構造は、TEMPO触媒の立体障害によって完全な酸化を妨げるという仮説が立てられる。
【0159】
化学分析に加えて、図3A及び12に示されるように、ゼータ電位測定及びDLS及びNTAによるサイズ分析を含む粒子分析も、これらのサンプルで実施される。非変性StNPsのこのグレードは、小さい粒径及び中立の電荷を示す。TEMPO酸化で、粒子電荷は減少し、平均粒径は大きく減少した。カチオン化で、粒径は減少し、電荷は増大した。両方の反応が結合して両性イオン性粒子を作る時、平均粒径は増大して、粒子は中程度のカチオン性の電荷を示した。両方の電荷の組合せは、静電相互作用に起因して、わずかな凝集という結果になることが、予想される。EDC-NHSリガンド化によるフルオレセインの添加は、粒子電荷をわずかに中立にし、粒径に対する有意な影響はないように見えた。
【0160】
粒子分解検討
【0161】
図3B及び4A-4Bで示される結果と共に、ヨウ素及びベネディクト試薬試験を使用してデンプン粒子分解が確認される。非変性、両性イオン性、及び蛍光カチオン性のStNPsでは、ヨウ素試験は、唾液への30分間の暴露後にデンプン染色の減少を示し、一方で、ベネディクト試験は、還元糖の存在の増大を示した。これらの結果は、唾液への暴露の30分以内でデンプン粒子が還元糖に分解されることを示す。更に、いくつかの初期の還元糖及び変性デンプンナノ粒子ではより弱い染色が存在するように見える。これは、おそらく、化学変性反応の間のわずかな分解の結果であり、そして、たぶん、なぜなら、当該官能性は、化学的に変性されたデンプンを染色するヨウ素の能力をいくぶんか抑制するからである。図3B及び4A-4Bのすべての結果を比較すると、変性デンプンナノ粒子は、唾液の存在下で分解すると結論することができる。
【0162】
カチオン性の及びアニオン性のデンプンナノ粒子の粒子蛍光は、FITC-デキストランに対して測定される。グラム基準当りでアニオン性のデンプンナノ粒子はFITC-デキストランよりも約80x小さい蛍光であり、カチオン性のデンプンナノ粒子はFITCデキストランよりも約20x小さい蛍光であることが、見出される。
【0163】
損傷洗浄検討
【0164】
歯は、蛍光カチオン性のデンプンナノ粒子に暴露され、そして画像化されて、ベースライン蛍光を提供する。3個の異なる洗浄条件(1%塩化ナトリウム溶液、1%硫酸マグネシウム溶液、人工唾液溶液)が使用され、う蝕病変から粒子をすすぎ、30秒~2時間の範囲の中間時間点で画像をとる。図5Aは、2時間にわたる蛍光を示す。図5Bは、20分にわたる蛍光を示す。すすぎ流体のタイプ及び洗浄時間の関数として損傷からの蛍光の全低下を決定するために、対照の画像分析を追跡する。
【0165】
結果は、図5Bに示されるように、最初の30秒後のシグナル有意な低下が存在することを示す。その後、時間と共に蛍光シグナルの遅く徐々の低下が存在し、2時間後には、人工唾液及びMgSO洗浄液では約65%の流失、及びNaCl洗浄液では80%の流失となる。
【0166】
細胞毒性検討
【0167】
HeLa細胞への2時間暴露後の変性StNPsのTox8細胞毒性検査からの結果は、図6に示される。これらの結果は、すべての粒子は、0.01g/mlの高濃度でさえも無毒であることを示す。
【0168】
歯の活性試験
【0169】
最初の試験は、う蝕病変の照明で、フルオレセインナトリウム塩、FITC-デキストラン、蛍光アニオン性のStNP、及び蛍光カチオン性のStNP溶液を比較した。サンプルは、DI水中ですすぎ、歯の非特定の死を限定する洗浄プロトコルを決定する。高濃度のフルオレセインナトリウム塩で歯は十分に死することが見出され、こうして、他のサンプルと適切に比較し、フルオレセインの濃度は、10-5g/mLに低減する。歯は、蛍光ラベルされたカチオン性のStNPsの10-5g/mL分散物と同様に、10-5g/mL溶液のフルオレセインナトリウム塩(コントロール)、10-2g/mL濃度の蛍光ラベルされたデキストラン及びアニオン性のStNPsの10μLに3分間露出されて、その後にすすぐ。歯の硬化光の下に画像をとり、損傷対背景歯強度を比較する。図8は、未露光(未露出)ブランクコントロールと同様に、各々の、損傷マイナス背景強度の%強度差を示す。「標準」は、ImageJソフトウエアを使用して標準画像で得られる%強度差を表わし、そして、「緑」は、それらの同じ画像から抽出された緑画素データを表わす。すべてのコントロールは、わずかに負のコントラストを示すのに対して、蛍光カチオン性のStNP分散物は、それぞれ、標準及び緑画像で6.5%及び21%の正のコントラストを示す。露出コントロールは、ブランクコントロールとは統計的に異ならず、そして、未治療う蝕病変は、歯の標準背景エナメルよりも暗い。しかし、フルオレセインラベル表示されたカチオン性のStNPsは、標準及び緑(p<10-5)画像の損傷を極めて明るくし、視覚コントラストを改善もする。歯の蛍光は、それぞれ、標準及び緑画像で、3及び6.5%と、明確に可視的である。こうして、カチオン性のStNPsは、活性う蝕病変に選択的に吸着して、そして、フルオレセインを使用して、診断を容易にする。すべてのサンプルで、初期にう蝕病変が明るくなるが、20秒を超えるすすぎ時間では、フルオレセイン、FITC-デキストラン及びアニオン性のStNPコントロールグループは、十分に洗い流されることが見出される。対照的に、カチオン性のStNPサンプルは、う蝕病変を明るくし、そして、5分間までのすすぎは、それを除去できない。
【0170】
カチオン性のStNPsの効果を有効にするために、最初にコントロールを使用して、30秒間すすぎ、本開示のある側面に従って調製されるカチオン性のStNPsで同じ歯で繰り返すという試験が実施される。図7A-7Bに示されるように、歯の写真をとる。本開示のある側面に従って調製されるカチオン性のデンプンナノ粒子の懸濁物への暴露後、いかなる微小空洞なしの歯(図7A)と比較して、(図7Bに示されるような)微小空洞のある歯の色の明らかな変化が存在する。写真は、緑画素を抽出するために、完全なスケールの照明から修正される。なぜなら、これは、損傷と背景との間のコントラストを極めて増大させることがわかるからである。う蝕病変は、初期は、歯の残りよりもわずかに暗く、この結果は、すべてのコントロールにわたって一致する。蛍光カチオン性のStNPsで処理された同じ歯は、背景よりも明らかに明るいう蝕病変領域での蛍光を示した。
【0171】
上で言及したように、画像を定量的に分析するために、ImageJソフトウエアを使用して輝度が測定される。データは、健康な歯の隣接領域に対してう蝕病変を比較したパーセント強度差として図8の写真と関連して提示される。正の値は、う蝕病変が背景の歯よりも明るいことを示し、負の値は、う蝕病変が背景の歯よりも暗いことを示す。統計的な分析により、未治療の歯は、フルオレセイン、蛍光FITC-デキストラン、及び蛍光アニオン性のStNPコントロールとは区別できないことが確認され、これは、これらのコントロールがう蝕病変を照らさなかったことを意味する。分析は、更に、未治療のう蝕病変が背景の歯に対してわずかに区別できることを示唆する;しかし、これは、統計的に常に有意とは限らない。厳格なコントラストでは、蛍光カチオン性のStNPsで処理された歯は、高度に有意な正のパーセント強度差(p<10-5)を生じた。これは、これらの粒子が、肉眼でさえ、背景に対するう蝕病変のコントラストを改善したことを示す。更に、標準RGD画像の代わりに抽出緑画素画像を分析することは、コントラストを更に改善した。非照射の画像を照射画像と比較することで、使用される光学的な方法に依存して損傷の輪郭を描かれた形状の間の相違が強調表示されることに注目することは、興味深い(例えば、蛍光アニオン性の粒子で処理されたう蝕病変(損傷)の画像及び蛍光カチオン性の粒子で処理された損傷の対応する画像)。一方で、いかなる特定の理論に拘束も制限もされないが、考えうるところでは、この変動が起る。なぜなら、蛍光粒子は、開放空孔率を持つ活性う蝕病変を照らすのみであり、一方で、不活性損傷の閉じた孔は、デンプンナノ粒子によって検出できないからである。対照的に、表面下空孔率が存在するならば、非照射損傷画像は、暗い。それ自身によるこのアプローチは、こうして、それらの閉じた表面空孔率に起因する不活性虫歯を識別しない。活性及び不活性損傷の間を区別する能力は、他の診断用方法と比較して標的ナノ粒子の有意な歯の利点である。
【0172】
これらの結果の更なる妥当性確認として、緑の542nm帯域通過フィルター及び青い光の照明を持つ蛍光スキャナーを使用して、同じ歯の画像をとる。この方法は、それが、歯の硬化光(p<10-5)を使用してカメラによって得られる光学的な方法及び画像と比較してコントラストを極めて増大させたけれども、その限定されたトランスレータビリティの理由で、分析の主要な方法として選択されない。それにもかかわらず、これらの結果は、う蝕病変に見られた蛍光は、蛍光カチオン性のデンプンナノ粒子に起因するという更なる確認を提供する。その結果、調製された蛍光カチオン性のデンプンナノ粒子は、生体外で標準歯科用硬化ランプで照射された時、活性う蝕病変を特定して強調表示できて、それ故に、生体内で白点う蝕病変の診断で歯科医を手伝う簡単な方法を提供できる、ということを結論することができる。
【0173】
FITC-デキストランポリマー溶液は、約100nmの平均サイズ及び約+6mVのゼータ電位を有してこうして適度にカチオン性であるけれども、コントロールとして、それは、う蝕病変と具合よく関連して照らさなかった。対照的に、同様のゼータ電位を持つカチオン性のデンプンナノ粒子は、う蝕病変と具合よく関連して照らした。理論に拘束される意図はないが、カチオン性のデキストリンポリマーは、カチオン性のデンプンナノ粒子と比較して、絶対的基準で又は少なくとも溶液中の分子の質量に対して、より強い力によって溶液中に保持されることができる。カチオン性のデンプンナノ粒子は、溶液というよりもむしろ分散物である。ナノ粒子分散物は、おそらく立体的な安定性に起因して安定であり、更に、ナノ粒子が分散物から出てきてう蝕病変と関連付けるのに、適度にカチオン性の電荷のみが要求される。もう一つの方法として又は更に、カチオン性のデンプンナノ粒子は、それらの両性イオン性の特性によっておそらく補助されて、活性う蝕病変の中又は周りに凝集でき、そして、すすぎに対していくぶんかより耐久性があるようになることができ、それに対して、溶液中のポリマーはそうではない。溶液中のより強く電荷した化合物が依然としてう蝕病変と関連付けることが可能かもしれないけれども、適度な電荷を製造するためにはより少ない反応物質が要求されて、カチオン性の電荷では毒性増大の傾向が存在し得る、という点で、より少ない電荷がナノ粒子によって要求されることが有利である。
【0174】
二光子顕微鏡検査
【0175】
異なる条件の二光子顕微鏡検査画像が、図9A-9Fで以下に示される。カチオン性のStNPsは、おそらく初期のう蝕病変である歯表面の小さな孔を照らすことが明白である。図10で示されるような関心を引く環状の照明パターンは、粒子が、う蝕病変の表面上に配置されて、全体孔を満たさないことを、示唆する。これらの結果は、照射された(照らされた)う蝕病変のサイズ及び形状に関する情報を得るために、二光子顕微鏡検査が使用できることを、示唆する。
【0176】
損傷を再石灰化するためのナノ粒子標的
【0177】
微小空洞を持つ歯は、フッ化物溶液を使用して再石灰化されて、う蝕病変の表面空孔(率)を「治癒」し、表面下空孔(率)を持つ不活性損傷を生ずる。これらの損傷は、再石灰化の前後で同じ照明及び画像分析プロトコルを使用して、分析される。蛍光スキャナーで得られた結果が、図13に示される。外観によれば、再石灰化された(不活性)損傷は、脱灰された(活性)損傷(図13の差込み画像)とは目視で区別できない。更に、蛍光カチオン性のStNPsによる照射(照明)なしでは、活性及び不活性う蝕病変は、区別できない(p=0.44)。対照的に、蛍光カチオン性のStNPsへの暴露後、不活性損傷は、活性損傷と比較した時に(p<10-5)、ほんの最小の照明(p=0.38)を示す。再石灰化損傷では低レベルの蛍光が検出されるけれども、これは、おそらく、再石灰化プロトコルの間に歯が十分に再石灰化されないからである。しかし、すべての場合で、照明は、再石灰化損傷ではより低い。基本的に、これらの結果は、活性及び不活性う蝕病変の間を区別して診断するために蛍光カチオン性のStNPsの高程度の特定を有効にする。特定の蛍光ナノ粒子プローブの使用は、表面空孔率のおかげで虫歯活性を識別することができ、それは、活性う蝕病変では、表面下の孔への拡散を可能とするが、不活性損傷の場合は蛍光プローブへのアクセスを妨げる。臨床上、歯科医は、不活性損傷を治療する必要がなく、フッ化物ワニス、ゲル、洗浄液、又は封止剤などの処置は、何の有益な効果もないであろう。対照的に、活性損傷は進行中であり、適切な治療(処理)は、脱灰を停止して反転できる。蛍光カチオン性のStNPsへの暴露の前後両方で、再石灰化損傷の二光子顕微鏡写真は、これらの結果(図14)を更に支持する。これらの画像は、蛍光カチオン性のStNPsへの暴露後の非損傷表面に最もよく似ている蛍光孔を観察できない滑らかな表面を示す。これらの結果は、表面透視から再石灰化損傷が治癒されたことを強調表示する。更に、歯科医及び治験担当者は、処理後のう蝕病変の有効な再石灰化を有効にするために及び監視するために、又は、様々な処理の効果を定量化する強制的な手段として、蛍光カチオン性のStNPsを使用することができる。
【0178】
フッ化物剥離検討
【0179】
フッ化物剥離(放出)検討は、凍結乾燥方法を使用してカチオン性のデンプンナノ粒子中へのフッ化物のローディングを試験する。これは、ベースライン測定であることが意図される。なぜなら、アニオン性のフッ化物塩と粒子のカチオン性のデンプンポリマーとの潜在的相互作用が存在するからである。凍結乾燥後、100kDa透析膜の内部に含有する、0.01%リン酸緩衝食塩水(PBS)溶液又は人工唾液(AS)溶液中で、粒子が浸漬される。0.5ミリリットルサイズの分取を、30秒~72時間に延びる連続した時点でとる。分取は、その後、フッ化物電気プローブを使用して試験されて、フッ化物濃度を決定し、そして、これらの値は、既知の濃度のサンプルへのキャリブレーションを使用して正規化される。フリーのフッ化物塩の参照溶液は、透析膜を通してフッ化物塩の拡散制限された放出(剥離)を見るために比較として使用される。剥離検討の結果は、図15に示される。
【0180】
検討によれば、カチオン性のデンプンナノ粒子で凍結乾燥すると、人工唾液(AS)中では約30分の程度の改善、又は、ホスフェートバッファー溶液(PBS)中では10分、のフッ化物剥離の遅延が存在することが、示される。この予備データは、カチオン性のデンプンナノ粒子がアニオン性のフッ化物塩と適度に結合して剥離を延長できることを示唆しており、様々な程度の架橋を持つそれ以上に膨張したより大きい粒子が、剥離プロファイルを更に延長するのに望ましいことがあることと、密接な関係がある。
【0181】
このように、本開示は、初期形成の活性う蝕病変を照らして標的とするカチオン性のナノ粒子を提供する。ある変更では、そのようなナノ粒子は、デンプンベースの蛍光カチオン性のナノ粒子であることができる。当該粒子は、生分解性であり、唾液中で酵素分解する。これらの粒子は、標準歯科用硬化ランプを使用して照射されることができ、現在の歯科プラクティス及びワークフローと調和する。このように、本技術は、微小空洞の検出を改善する一方で、それらは、例えばフッ化物及び/又はホスフェートなどの歯の再石灰化剤での改善された歯の衛生及び処理によって、依然として可逆的であり処理可能である。画像中の緑色を特に分析することによって、画像分析を使用すると、これらの粒子は、う蝕病変のコントラストを極めて改善する。更に、これらのナノ粒子で処理された歯の二光子顕微鏡検査は、これらの損傷の構造の分析を可能とする。その結果、ナノ粒子は、歯科医院での虫歯の初期の診断のために、家庭での使用のために、又は、歯科プラクティスや臨床試験などにおける歯の再石灰化及び伝統的な修復戦略を監視するために、使用できる。そのようなナノ粒子は、フッ化物イオンなどの口腔ケア活性成分、他の再石灰化補助剤、又は抗細菌性治療剤を運ぶために使用でき、歯科衛生を改善する。
【0182】
他の変更では、本技術は、不活性う蝕病変と活性う蝕病変との間を区別する能力を提供し、当該能力は、特に子供には望ましくないX線画像をとることからの有害な放射線に患者を暴露することを低減する能力と同様に、歯科医及び歯の患者が伝統的な治療戦略を実施することを可能にして「穴をあけて埋める」又は他の侵襲的な処置などのより侵襲的で高価な回復処置を避けるために、再石灰化を使用する処置に続く進行を監視するのに非常に役に立つ。
【0183】
本明細書は、1つ以上のう蝕病変(虫歯)の診断方法、1つ以上の虫歯の造影方法、虫歯処理の方法、再石灰化方法、虫歯処理を監視する方法、薬剤として上に記述されたような成分(例えば、化合物)又はナノ粒子の使用、又は、診断薬としての成分(例えば、化合物)又はナノ粒子の使用をも、提供する。
【0184】
本開示は、蛍光、場合により、正味の正電荷を有するデンプンベースの成分(例えば、化合物)又はナノ粒子、及び、虫歯の診断、造影及び/又は監視において援助するためのそのような成分(例えば、化合物)又はナノ粒子の使用をも、記述する。
【0185】
本開示は、再石灰化剤を含む場合によりデンプンベースの成分又はナノ粒子をも記述し、そこでは、ナノ粒子は、正味の正電荷を有し、そして、そのような成分又はナノ粒子は、虫歯の治療で使用される。
【0186】
本開示の本発明の方法及び本発明の材料の場合による特徴としてここで及び上で列挙及び議論されたすべての可能な組合せは、形態として特定して開示される。様々な側面では、本開示は、造影剤、口腔ケア活性成分、又は造影剤と当該活性成分の両方及び生体適合性ポリマーを含む成分を含む経口投与用組成物を企図する。当該組成物は、カチオン性の部位又は正味の正電荷を有する。更に、以下に列挙された特徴(1)-(23)の中のいかなる1つ又は1つを超えるいかなる組合せを持つこの組成物を含む組合せも、特定して開示される。
【0187】
例えば、組成物は、場合により、以下の特徴のいかなる1つ又は1つを超えるいかなる組合せを有する:
(1)カチオン性の部位が、生体適合性ポリマーと結合している;
(2)生体適合性ポリマーが、第三級アミン又は第四級アミンを含む;
(3)生体適合性ポリマーが、生体適合性及び生分解性ポリマーと結合したグリシジルトリメチル塩化アンモニウムの反応生成物を含む;
(4)生体適合性ポリマーが、以下から成る群から選択される:
単糖類、オリゴ糖、又は多糖類、カルボキシメチルセルロース、ポリマーデンプン、デキストリン、デキストラン、キトサン、セルロース、ゼラチン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリ(L-アルギニン)、ポリ(アミドアミン)(PAA)、ポリ(アミノコエステル)(PAE)、ポリ(2-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)PDMAEMA、ポリ(4-ビニルピリジン)(P4VP)、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアルキレングリコール、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、及びそれらの組合せ;
(5)生体適合性ポリマーが、以下から成る群から選択されるカチオン性のポリマーである:
カチオン性の又はカチオン変性された単糖類、オリゴ糖、又は多糖類、カルボキシメチルセルロース、デンプン、デキストリン、デキストラン、キトサン、セルロース、ゼラチン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリ(L-アルギニン)、ポリ(アミドアミン)(PAA)、ポリ(アミノコエステル)(PAE)、ポリ(2-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)PDMAEMA、ポリ(4-ビニルピリジン)(P4VP)、及びそれらの組合せ;
(6)造影剤が、歯科用硬化ランプからの電磁放射線に応答して蛍光を発するフルオロフォアを含む;
(7)造影剤が、少なくとも1つの生体適合性染料を含む;
(8)歯科用硬化ランプからの電磁放射線に造影剤を被爆している間に口腔のデジタル写真又は目視検査によって造影剤が検出可能である;
(9)デジタル写真又は目視検査が、デジタル画像のフィルタリング又は光学フィルターの使用を含む;
(10)組成物が、7のpHで約+2mV以上のゼータ電位及び/又は正味の正電荷を有する;
(11)生体適合性ポリマーが両性イオン性である;
(12)当該成分が、約10nm以上~約500ナノメートル以下の平均粒径を有するナノ粒子である;
(13)口腔ケア活性成分が、虫歯予防薬、再石灰化剤、抗菌剤、抗結石剤、及びそれらの組合せから成る群から選択される;
(14)虫歯予防薬が、フッ化物含有剤、再石灰化剤、及びそれらの組合せから成る群から選択される;
(15)口腔ケア活性成分が、当該成分中への取込み後に、約0.02%以上~約2.2重量%以下で存在するフッ化物含有成分を含み、
当該フッ化物含有成分が、フルオロヒドロキシアパタイト、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化銀脱水物、モノフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロシラン、及びそれらの組合せから成る群から選択される;
(16)口腔ケア活性成分が、当該成分中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下で存在するカルシウム含有成分を含む;
(17)口腔ケア活性成分が、カルシウム及びホスフェート含有成分を含む虫歯予防薬であり、
当該カルシウム及びホスフェート含有成分が以下を含む:
(a)組成物中への取込み後に、約0.1%以上~約1重量%以下で組成物中に存在するグリセロリン酸カルシウム;
(b)組成物中への取込み後に、約2%以上~約50重量%以下で組成物中に存在するリン酸二カルシウム;
(c)組成物中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下で組成物中に存在するリン酸三カルシウム;又は
(d)組成物中への取込み後に、約1%以上~約10重量%以下で組成物中に存在するカルシウムナトリウムホスホシリケート;
(18)口腔ケア活性成分が,以下から成る群から選択される:
(a)組成物中への取込み後に、約0.2%以上~約2.2重量%以下で組成物中に存在するアミンフッ化物;
(b)組成物中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下でナノ粒子中に存在するカゼインホスホペプチド;及び
(c)組成物中への取込み後に、約0.001%以上~約0.01重量%以下で組成物中に存在するリンタンパク;
(19)口腔中への導入後に、約30分以上~約30日以下の分解時間を、組成物が有する;
(20)成分が、複数の別個の区画を含むナノ粒子である;
(21)組成物が、経口的に許容されるキャリアーを更に含む;
(22)経口的に許容されるキャリアーが、口内洗浄剤、ペイント、ゲル、及び歯磨剤から成る群から選択される;及び/又は
(23)成分がナノ粒子であり、そして、組成物が、口腔ケア活性成分を含む第2の複数の治療用ナノ粒子及び第1の複数の診断用ナノ粒子を含む。
【0188】
他の側面では、本開示は、以下を含む経口投与用ナノ粒子を企図する:
対象の口腔中の歯の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能な少なくとも1つのカチオン性の領域を持つ生体適合性及び生分解性ポリマー;及び
当該ナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時に、当該ナノ粒子が1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能なように、当該生体適合性及び生分解性ポリマーと結合した造影剤。
更に、下に列挙された特徴(24)-(43)の中のいかなる1つ又は1つを超えるいかなる組合せを持つこの組成物を含む組合せも、特定して開示される。
【0189】
この形態のナノ粒子は、場合により、以下の特徴の中のいかなる1つ又は1つを超えるいかなる組合せを有する:
(24)少なくとも1つのカチオン性の領域が、生体適合性及び生分解性ポリマーと結合したカチオン性の部位を含む;
(25)カチオン性の部位が、第三級アミン又は第四級アミンを含む;
(26)カチオン性の部位が、生体適合性及び生分解性ポリマーと結合したグリシジルトリメチル塩化アンモニウムの反応生成物である;
(27)生体適合性及び生分解性ポリマーが、以下から成る群から選択されるカチオン性のポリマーである:
カチオン性の又はカチオン変性された単糖類、オリゴ糖、又は多糖類、カルボキシメチルセルロース、デンプン、デキストリン、デキストラン、キトサン、セルロース、ゼラチン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリ(L-アルギニン)、ポリ(アミドアミン)(PAA)、ポリ(アミノコエステル)(PAE)、ポリ(2-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)PDMAEMA、ポリ(4-ビニルピリジン)(P4VP)、及びそれらの組合せ;
(28)造影剤が、歯科用硬化ランプからの電磁放射線に応答して蛍光を発するフルオロフォアを含む;
(29)造影剤が、少なくとも1つの生体適合性染料を含む;
(30)造影剤が、口腔の目視検査によって検出可能である;
(31)目視検査が、光学フィルターの使用を含む;
(32)ナノ粒子が、7のpHで約0mV以上~約+50mV以下のゼータ電位を有する;
(33)ナノ粒子が両性イオン性である;
(34)ナノ粒子が、約10nm以上~約1,000ナノメートル以下の平均直径を有する;
(35)生体適合性及び生分解性ポリマーが、以下から成る群から選択されるポリマーである:
単糖類、オリゴ糖、又は多糖類、カルボキシメチルセルロース、ポリマーデンプン、デキストリン、デキストラン、キトサン、セルロース、ゼラチン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリ(L-アルギニン)、ポリ(アミドアミン)(PAA)、ポリ(アミノコエステル)(PAE)、ポリ(2-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)PDMAEMA、ポリ(4-ビニルピリジン)(P4VP)、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアルキレングリコール、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、及びそれらの組合せ;
(36)口腔ケア活性成分を更に含む;
(37)口腔ケア活性成分が、虫歯予防薬、再石灰化剤、抗菌剤、抗結石剤、及びそれらの組合せを含む;
(38)口腔ケア活性成分が、ナノ粒子中への取込み後に、約0.02%以上~約2.2重量%以下で存在するフッ化物含有成分を含み、
当該フッ化物含有成分が、フルオロヒドロキシアパタイト、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化銀脱水物、モノフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロシラン、及びそれらの組合せから成る群から選択される;
(39)口腔ケア活性成分が、ナノ粒子中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下で存在するカルシウム含有成分を含む;
(40)口腔ケア活性成分が、カルシウム及びホスフェート含有成分を含み、
当該カルシウム及びホスフェート含有成分が以下を含む:
(a)ナノ粒子中への取込み後に、約0.1%以上~約1重量%以下でナノ粒子中に存在するグリセロリン酸カルシウム;
(b)ナノ粒子中への取込み後に、約2%以上~約50重量%以下でナノ粒子中に存在するリン酸二カルシウム;
(c)ナノ粒子中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下でナノ粒子中に存在するリン酸三カルシウム;又は
(d)ナノ粒子中への取込み後に、約1%以上~約10重量%以下でナノ粒子中に存在するカルシウムナトリウムホスホシリケート;
(41)口腔ケア活性成分が以下を含む:
(a)ナノ粒子中への取込み後に、約0.2%以上~約2.2重量%以下でナノ粒子中に存在するアミンフッ化物;
(b)ナノ粒子中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下でナノ粒子中に存在するカゼインホスホペプチド;及び
(c)ナノ粒子中への取込み後に、約0.001%以上~約0.01重量%以下でナノ粒子中に存在するリンタンパク;
(42)口腔中への導入後に、約30分以上~約30日以下の期間でナノ粒子が分解する;及び/又は
(43)複数の別個の区画を含む。
【0190】
他の側面では、本開示は、以下の経口投与用口腔ケア組成物を企図する:
複数のナノ粒子;及び
経口的に許容されるキャリアー、
を含む、対象の口腔への経口投与用口腔ケア組成物であって、
当該複数のナノ粒子において、各々のナノ粒子が:
対象の口腔中の歯の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能な正電荷を有する少なくとも1つのカチオン性の領域を持つ生体適合性及び生分解性ポリマーと;
当該複数のナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時、当該複数のナノ粒子が1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能なように、生体適合性及び生分解性ポリマーと結合した造影剤と、
含む、前記の口腔ケア組成物。
更に、下に列挙された特徴(44)-(46)の中のいかなる1つ又は1つを超えるいかなる組合せを持つこの組成物を含む組合せも、特定して開示される。
【0191】
この形態の口腔ケア組成物は、場合により、以下の特徴の中のいかなる1つ又は1つを超えるいかなる組合せを有する:
(44)口腔ケア組成物が、口内洗浄剤、ペイント、ゲル、及び歯磨剤から成る群から選択される;
(45)複数のナノ粒子が、1つ以上のう蝕病変に対応する歯の空洞の内部に選択的に蓄積する;及び/又は
(46)複数のナノ粒子が、第1の複数の診断用ナノ粒子であり、そして、口腔ケア組成物が、口腔ケア活性成分を含む第2の複数の治療用ナノ粒子を更に含む。
【0192】
別の他の側面では、本開示は、以下を含む経口投与用ナノ粒子を製造する方法を企図する:
生体適合性及び生分解性ポリマーを、造影剤と反応可能な反応基で機能化することであって、ここで、生体適合性及び生分解性ポリマーが、対象の口腔中の歯の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能な少なくとも1つのカチオン性の領域を含むこと。
当該方法は、以下をも含む:
ナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時、1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能な造影剤をナノ粒子が持つように、生体適合性及び生分解性ポリマーの反応基を、造影剤と反応させること。
【0193】
更に、以下に列挙された工程又は特徴(47)-(48)の中のいかなる1つ又は1つを超えるいかなる組合せを場合により持つこの方法を含む組合せも、特定して開示される。経口投与用ナノ粒子を製造する方法は、場合により、以下の工程又は特徴の中のいかなる1つ又は1つを超えるいかなる組合せを有する:
(47)当該少なくとも1つのカチオン性の領域を形成するために機能化する前に生体適合性及び生分解性ポリマーをカチオン性の部位と反応させることを更に含む;及び/又は
(48)当該カチオン性の部位との反応前に、当該カチオン性の部位と反応可能な少なくとも1つの第1の反応基を有するように、生体適合性及び生分解性ポリマーを機能化することを更に含む。
【0194】
別の他の側面では、本開示は、以下を含む経口投与用組成物を製造する方法を企図する:
ポリマーを、造影剤と反応可能な反応基で機能化することであって、ここで、当該ポリマーが、少なくとも1つのカチオン性の領域を含むこと。
当該方法は、当該ポリマーの反応基を造影剤と反応させることをも含み、当該組成物が正味の正電荷を有する。
【0195】
更に、以下に列挙された工程又は特徴(49)-(52)の中のいかなる1つ又は1つを超えるいかなる組合せを場合により持つこの方法を含む組合せも、特定して開示される。経口投与用組成物を製造する方法は、場合により、以下の工程又は特徴の中のいかなる1つ又は1つを超えるいかなる組合せを有する:
(49)当該少なくとも1つのカチオン性の領域を形成するために機能化する前に当該ポリマーをカチオン性の部位と反応させることを更に含む;
(50)当該カチオン性の部位との反応前に、当該カチオン性の部位と反応可能な少なくとも1つの第1の反応基を有するように、当該ポリマーを機能化することを更に含む;
(51)当該ポリマーがヒドロキシ基を含む;及び/又は
(52)当該ポリマーがグルコース繰り返し単位を含む。
【0196】
別の他の側面では、本開示は、正に帯電した蛍光成分を対象の口腔に導入することを含む虫歯を検出する方法を企図する。口腔中に光を向ける。当該方法は、口腔中の1つ以上の虫歯の位置に対応し得る、口腔中のいかなる蛍光の位置を識別することを、更に含む。
【0197】
更に、以下に列挙された工程又は特徴(53)-(59)の中のいかなる1つ又は1つを超えるいかなる組合せを場合により持つこの方法を含む組合せも、特定して開示される。虫歯を検出する方法は、場合により、以下の工程又は特徴の中のいかなる1つ又は1つを超えるいかなる組合せを有する:
(53)光が歯科用硬化ランプによって発生する;
(54)正に帯電した蛍光成分を導入した後、口腔中に光を向ける前、口腔をすすぐことを更に含む;
(55)蛍光のデジタル画像を製造することを更に含む;
(56)デジタル画像をフィルタリングすることを更に含む;
(57)当該位置を再石灰化剤で処理することを更に含む;
(58)複数の工程で当該処理を繰り返す;及び/又は
(59)当該蛍光が増大したか、減少したか、又は変化なしのままか否かを決定するために、当該導入すること、当該光を向けること、及び当該識別することを引き続き繰り返すことを更に含む。
【0198】
更なる側面では、本開示は、再石灰化剤を含む正に帯電したナノ粒子を、対象の口腔に導入することを含む、虫歯を処置する方法を企図する。正に帯電したナノ粒子は、対象の口腔中の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能である。
【0199】
更なる側面では、本開示は、対象の少なくとも1つの歯の虫歯の位置を決定するための、上ですでに記述したいかなる変形に従う、正に帯電した蛍光組成物の使用を企図する。
【0200】
別の1つの側面では、本開示は、虫歯の処置用の薬剤中に再石灰化剤を含む、正に帯電した成分又はナノ粒子の使用を企図する。正に帯電した成分又はナノ粒子は、上ですでに記述したいかなる変形を伴いことができる。
【0201】
前述の記述の形態が、記述及び説明の目的で提示された。それは、開示を限定する意図もないし、網羅的である意図もない。特定の形態の個々の要素又は特徴は、一般には、その特定の形態には限定されないが、適用される場合には、置き替え可能であり、そして、特に示すことも記述することもない場合でさえも、選択された形態で使用できる。同じことが、多くのやり方でも変形できる。そのような変形は、開示からの逸脱とみなされるべきではなく、すべてのそのような修正は、開示の範囲内に含まれる意図である。
本発明に関連して、以下の内容を更に開示する。
[1]
以下を含む経口投与用ナノ粒子:
対象の口腔中の歯の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能な少なくとも1つのカチオン性の領域を持つ生体適合性及び生分解性ポリマー;及び
当該ナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時に、当該ナノ粒子が1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能なように、当該生体適合性及び生分解性ポリマーと結合した造影剤。
[2]
少なくとも1つのカチオン性の領域が、生体適合性及び生分解性ポリマーと結合したカチオン性の部位を含む、[1]のナノ粒子。
[3]
カチオン性の部位が、第三級アミン又は第四級アミンを含む、[2]のナノ粒子。
[4]
カチオン性の部位が、生体適合性及び生分解性ポリマーと結合したグリシジルトリメチル塩化アンモニウムの反応生成物である、[3]のナノ粒子。
[5]
生体適合性及び生分解性ポリマーが、以下から成る群から選択されるカチオン性のポリマーである、[1]のナノ粒子:
カチオン性の又はカチオン変性された単糖類、オリゴ糖、又は多糖類、カルボキシメチルセルロース、デンプン、デキストリン、デキストラン、キトサン、セルロース、ゼラチン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリ(L-アルギニン)、ポリ(アミドアミン)(PAA)、ポリ(アミノコエステル)(PAE)、ポリ(2-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)PDMAEMA、ポリ(4-ビニルピリジン)(P4VP)、及びそれらの組合せ。
[6]
造影剤が、歯科用硬化ランプからの電磁放射線に応答して蛍光を発するフルオロフォアを含む、[1]のナノ粒子。
[7]
造影剤が、少なくとも1つの生体適合性染料を含む、[6]のナノ粒子。
[8]
造影剤が、口腔の目視検査によって検出可能である、[1]のナノ粒子。
[9]
目視検査が、光学フィルターの使用を含む、[8]のナノ粒子。
[10]
ナノ粒子が、7のpHで約0mV以上~約+50mV以下のゼータ電位を有する、[1]のナノ粒子。
[11]
ナノ粒子が両性イオン性である、[1]のナノ粒子。
[12]
ナノ粒子が、約10nm以上~約1,000ナノメートル以下の平均直径を有する、[1]のナノ粒子。
[13]
生体適合性及び生分解性ポリマーが、以下から成る群から選択されるポリマーである、[1]のナノ粒子:
単糖類、オリゴ糖、又は多糖類、カルボキシメチルセルロース、ポリマーデンプン、デキストリン、デキストラン、キトサン、セルロース、ゼラチン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリ(L-アルギニン)、ポリ(アミドアミン)(PAA)、ポリ(アミノコエステル)(PAE)、ポリ(2-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)PDMAEMA、ポリ(4-ビニルピリジン)(P4VP)、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアルキレングリコール、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、及びそれらの組合せ。
[14]
口腔ケア活性成分を更に含む、[1]のナノ粒子。
[15]
口腔ケア活性成分が、虫歯予防薬、再石灰化剤、抗菌剤、抗結石剤、及びそれらの組合せから成る群から選択される、[14]のナノ粒子。
[16]
口腔ケア活性成分が、ナノ粒子中への取込み後に、約0.02%以上~約2.2重量%以下で存在するフッ化物含有成分を含み、
当該フッ化物含有成分が、フルオロヒドロキシアパタイト、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化銀脱水物、モノフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロシラン、及びそれらの組合せから成る群から選択される、
[15]のナノ粒子。
[17]
口腔ケア活性成分が、ナノ粒子中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下で存在するカルシウム含有成分を含む、[14]のナノ粒子。
[18]
口腔ケア活性成分が、カルシウム及びホスフェート含有成分を含み、
当該カルシウム及びホスフェート含有成分が以下を含む、[17]のナノ粒子:
(e)ナノ粒子中への取込み後に、約0.1%以上~約1重量%以下でナノ粒子中に存在するグリセロリン酸カルシウム;
(f)ナノ粒子中への取込み後に、約2%以上~約50重量%以下でナノ粒子中に存在するリン酸二カルシウム;
(g)ナノ粒子中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下でナノ粒子中に存在するリン酸三カルシウム;又は
(h)ナノ粒子中への取込み後に、約1%以上~約10重量%以下でナノ粒子中に存在するカルシウムナトリウムホスホシリケート。
[19]
口腔ケア活性成分が以下を含む、[14]のナノ粒子:
(d)ナノ粒子中への取込み後に、約0.2%以上~約2.2重量%以下でナノ粒子中に存在するアミンフッ化物;
(e)ナノ粒子中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下でナノ粒子中に存在するカゼインホスホペプチド;及び
(f)ナノ粒子中への取込み後に、約0.001%以上~約0.01重量%以下でナノ粒子中に存在するリンタンパク。
[20]
口腔中への導入後に、約30分以上~約30日以下の期間で分解する、[1]のナノ粒子。
[21]
複数の別個の区画を含む、[1]のナノ粒子。
[22]
複数のナノ粒子;及び
経口的に許容されるキャリアー、
を含む、対象の口腔への経口投与用口腔ケア組成物であって、
当該複数のナノ粒子において、各々のナノ粒子が:
対象の口腔中の歯の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能な正電荷を有する少なくとも1つのカチオン性の領域を持つ生体適合性及び生分解性ポリマーと;
当該複数のナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時、当該複数のナノ粒子が1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能なように、生体適合性及び生分解性ポリマーと結合した造影剤と、
含む、前記の口腔ケア組成物。
[23]
口腔ケア組成物が、口内洗浄剤、ペイント、ゲル、及び歯磨剤から成る群から選択される、[22]の口腔ケア組成物。
[24]
複数のナノ粒子が、1つ以上のう蝕病変に対応する歯の空洞の内部に選択的に蓄積する、[22]の口腔ケア組成物。
[25]
複数のナノ粒子が、第1の複数の診断用ナノ粒子であり、そして、口腔ケア組成物が、口腔ケア活性成分を含む第2の複数の治療用ナノ粒子を更に含む、[22]の口腔ケア組成物。
[26]
生体適合性及び生分解性ポリマーを、造影剤と反応可能な反応基で機能化することであって、ここで、生体適合性及び生分解性ポリマーが、対象の口腔中の歯の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能な少なくとも1つのカチオン性の領域を含むこと;及び
ナノ粒子が1つ以上のう蝕病変と関連付けられる時、1つ以上のう蝕病変の存在を示すことが可能な造影剤をナノ粒子が持つように、生体適合性及び生分解性ポリマーの反応基を、造影剤と反応させること:
を含む、経口投与用ナノ粒子を製造する方法。
[27]
当該少なくとも1つのカチオン性の領域を形成するために機能化する前に生体適合性及び生分解性ポリマーをカチオン性の部位と反応させることを更に含む、[26]の方法。
[28]
当該カチオン性の部位との反応前に、当該カチオン性の部位と反応可能な少なくとも1つの第1の反応基を有するように、生体適合性及び生分解性ポリマーを機能化することを更に含む、[27]の方法。
[29]
生体適合性ポリマーを含む成分と;
造影剤、口腔ケア活性成分、又は当該造影剤及び当該活性成分の両方と、
を含む、経口投与用組成物であって、
当該組成物がカチオン性の部位又は正味の正電荷を有する、前記の組成物。
[30]
カチオン性の部位が、生体適合性ポリマーと結合している、[29]の組成物。
[31]
生体適合性ポリマーが、第三級アミン又は第四級アミンを含む、[29]の組成物。
[32]
生体適合性ポリマーが、生体適合性及び生分解性ポリマーと結合したグリシジルトリメチル塩化アンモニウムの反応生成物を含む、[29]の組成物。
[33]
生体適合性ポリマーが、以下から成る群から選択されるカチオン性のポリマーである、[29]の組成物:
カチオン性の又はカチオン変性された単糖類、オリゴ糖、又は多糖類、カルボキシメチルセルロース、デンプン、デキストリン、デキストラン、キトサン、セルロース、ゼラチン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリ(L-アルギニン)、ポリ(アミドアミン)(PAA)、ポリ(アミノコエステル)(PAE)、ポリ(2-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)PDMAEMA、ポリ(4-ビニルピリジン)(P4VP)、及びそれらの組合せ。
[34]
造影剤が、歯科用硬化ランプからの電磁放射線に応答して蛍光を発するフルオロフォアを含む、[29]の組成物。
[35]
造影剤が、少なくとも1つの生体適合性染料を含む、[29]の組成物。
[36]
歯科用硬化ランプからの電磁放射線に造影剤を被爆している間にデジタル写真又は目視検査によって造影剤が検出可能である、[29]の組成物。
[37]
デジタル写真又は目視検査が、デジタル画像のフィルタリング又は光学フィルターの使用を含む、[36]の組成物。
[38]
組成物が、7のpHで約+2mV以上のゼータ電位及び/又は正味の正電荷を有する、[29]の組成物。
[39]
生体適合性ポリマーが両性イオン性である、[29]の組成物。
[40]
当該成分が、約10nm以上~約500ナノメートル以下の平均粒径を有するナノ粒子である、[29]の組成物。
[41]
生体適合性ポリマーが、以下から成る群から選択される、[29]の組成物:
単糖類、オリゴ糖、又は多糖類、カルボキシメチルセルロース、ポリマーデンプン、デキストリン、デキストラン、キトサン、セルロース、ゼラチン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリ(L-アルギニン)、ポリ(アミドアミン)(PAA)、ポリ(アミノコエステル)(PAE)、ポリ(2-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)PDMAEMA、ポリ(4-ビニルピリジン)(P4VP)、ポリエステル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアルキレングリコール、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポリマー、及びそれらの組合せ。
[42]
口腔ケア活性成分が、虫歯予防薬、再石灰化剤、抗菌剤、抗結石剤、及びそれらの組合せから成る群から選択される、[29]の組成物。
[43]
虫歯予防薬が、フッ化物含有剤、再石灰化剤、及びそれらの組合せから成る群から選択される、[42]の組成物。
[44]
口腔ケア活性成分が、成分中への取込み後に、約0.02%以上~約2.2重量%以下で存在するフッ化物含有成分を含み、
当該フッ化物含有成分が、フルオロヒドロキシアパタイト、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化銀脱水物、モノフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロシラン、及びそれらの組合せから成る群から選択される、[29]の組成物。
[45]
口腔ケア活性成分が、成分中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下で存在するカルシウム含有成分を含む、[29]の組成物。
[46]
口腔ケア活性成分が、カルシウム及びホスフェート含有成分を含む虫歯予防薬であり、
当該カルシウム及びホスフェート含有成分が以下を含む、[29]の組成物:
(e)組成物中への取込み後に、約0.1%以上~約1重量%以下で組成物中に存在するグリセロリン酸カルシウム;
(f)組成物中への取込み後に、約2%以上~約50重量%以下で組成物中に存在するリン酸二カルシウム;
(g)組成物中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下で組成物中に存在するリン酸三カルシウム;又は
(h)組成物中への取込み後に、約1%以上~約10重量%以下で組成物中に存在するカルシウムナトリウムホスホシリケート。
[47]
口腔ケア活性成分が、以下から成る群から選択される、[29]の組成物:
(d)組成物中への取込み後に、約0.2%以上~約2.2重量%以下で組成物中に存在するアミンフッ化物;
(e)組成物中への取込み後に、約1%以上~約5重量%以下でナノ粒子中に存在するカゼインホスホペプチド;及び
(f)組成物中への取込み後に、約0.001%以上~約0.01重量%以下で組成物中に存在するリンタンパク。
[48]
対象の口腔中への導入後に、約30分以上~約30日以下の分解時間を有する、[29]の組成物。
[49]
当該成分が、複数の別個の区画を含むナノ粒子である、[29]の組成物。
[50]
経口的に許容されるキャリアーを更に含む、[29]の組成物。
[51]
経口的に許容されるキャリアーが、口内洗浄剤、ペイント、ゲル、及び歯磨剤から成る群から選択される、[50]の組成物。
[52]
当該成分がナノ粒子であり、そして、当該組成物が、口腔ケア活性成分を含む第2の複数の治療用ナノ粒子及び第1の複数の診断用ナノ粒子を含む、[50]の組成物。
[53]
ポリマーを、造影剤と反応可能な反応基で機能化することであって、ここで、当該ポリマーが、少なくとも1つのカチオン性の領域を含むこと;及び
当該ポリマーの反応基を、造影剤と反応させること
を含む、経口投与用組成物を製造する方法であって、当該組成物が正味の正電荷を有する、前記の方法。
[54]
当該少なくとも1つのカチオン性の領域を形成するために機能化する前に当該ポリマーをカチオン性の部位と反応させることを更に含む、[53]の方法。
[55]
当該カチオン性の部位との反応前に、当該カチオン性の部位と反応可能な少なくとも1つの第1の反応基を有するように、当該ポリマーを機能化することを更に含む、[54]の方法。
[56]
当該ポリマーがヒドロキシ基を含む、[53]の方法。
[57]
当該ポリマーがグルコース繰り返し単位を含む、[53]の方法。
[58]
正に帯電した蛍光成分を、対象の口腔に導入すること;
口腔中に光を向けること;及び
口腔中の蛍光でいかなる位置を識別すること:
を含む、虫歯を検出する方法。
[59]
光が歯科用硬化ランプによって発生する、[58]の方法。
[60]
正に帯電した蛍光成分を導入した後、口腔中に光を向ける前、口腔をすすぐことを更に含む、[58]の方法。
[61]
蛍光のデジタル画像を製造することを更に含む、[58]の方法。
[62]
デジタル画像をフィルタリングすることを更に含む、[61]の方法。
[63]
当該位置を再石灰化剤で処理することを更に含む、[58]の方法。
[64]
当該処理を繰り返す、[63]の方法。
[65]
当該蛍光が増大したか、減少したか、又は変化なしのままか否かを決定するために、当該導入すること、当該光を向けること、及び当該識別することを引き続き繰り返すことを更に含む、[58]の方法。
[66]
再石灰化剤を含む正に帯電したナノ粒子を、対象の口腔に導入することを含む、虫歯を処置する方法であって、ここで、正に帯電したナノ粒子が、対象の口腔中の1つ以上のう蝕病変と関連付けることが可能である、前記の方法。
[67]
歯の虫歯の位置を決定するための正に帯電した蛍光組成物の使用。
[68]
虫歯の処置用の薬剤中に再石灰化剤を含む、正に帯電した成分又はナノ粒子の使用。
図1
図2
図3A-3B】
図4A-4B】
図5A-5B】
図6
図7A-7B】
図8
図9A-9F】
図10
図11A-11B】
図12
図13
図14
図15