(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】シャッタの補強支持装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/17 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
E06B9/17 T
(21)【出願番号】P 2020150438
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】505255909
【氏名又は名称】サンユウテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110179
【氏名又は名称】光田 敦
(72)【発明者】
【氏名】岩川 光治
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-246897(JP,A)
【文献】実公昭30-001057(JP,Y1)
【文献】実開平01-157891(JP,U)
【文献】特開2017-197982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00- 9/18
9/40- 9/50
9/56- 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッタボックス内に巻き取り可能なシャッタカーテンを備えたシャッタの補強支持装置であり、シャッタカーテンを屋内側から支持して補強する補強部材と、補強部材をシャッタカーテンの横幅方向に移動可能かつ垂直に吊持する水平に設けられた案内レールと、を備えたシャッタの補強支持装置において、
案内レールは、シャッタボックスの横幅方向に沿う第1の案内部と、第1の案内部に連続し、シャッタボックス側から屋内側かつシャッタから側方に離れた位置に向けて延びる第2の案内部と、を備えており、
第1の案内部及び第2の案内部には、それぞれ係止孔を備えた停止板が設けられており、
補強部材は、シャッタカーテンに屋外側から力が作用した際に、シャッタカーテンに屋内側から当接して補強支持する補強部材本体
を有し、補強部材本体は、上部角筒と、上部角筒に上下方向に摺動可能に組み込まれた下部角筒と、を備え、
上部角筒は、前記係止孔に
係合可能な係止片を備えた操作保持機構と、補強部材を案内レールに吊持して移動可能とするための吊持部と、
を備え、
下部角筒は、上部角筒に係脱可能に係合し、下部角筒を床面に対して所定の高さ位置に保持可能とするラッチ機構と、床面に形成された係合孔に係脱可能な係止杆を有する定置保持機構と、を備えていることを特徴とするシャッタの補強支持装置。
【請求項2】
シャッタボックス内に巻き取り可能なシャッタカーテンを備えたシャッタの補強支持装置であり、シャッタカーテンを屋内側から支持して補強する補強部材と、補強部材をシャッタカーテンの横幅方向に移動可能かつ垂直に吊持する水平に設けられた案内レールと、を備えたシャッタの補強支持装置において、
案内レールは、シャッタボックスの横幅方向に沿う第1の案内部と、第1の案内部に連続し、シャッタボックス側から屋内側
に離れるように延びる第2の案内部と、
第2の案内部に連続し、シャッタボックスより屋内側においてシャッタから側方に離れた位置に向けて延びる第3の案内部と、を備えており、
第1の案内部
及び第3の案内部には、それぞれ係止孔を備えた停止板が設けられており、
補強部材は、シャッタカーテンに屋外側から力が作用した際に、シャッタカーテンに屋内側から当接して補強支持する補強部材本体を有し、補強部材本体は、上部角筒と、上部角筒に上下方向に摺動可能に組み込まれた下部角筒と、を備え、
上部角筒は、前記係止孔に係合可能な係止片を備えた操作保持機構と、補強部材を案内レールに吊持して移動可能とするための吊持部と、を備え、
下部角筒は、上部角筒に係脱可能に係合し、下部角筒を床面に対して所定の高さ位置に保持可能とするラッチ機構と、床面に形成された係合孔に係脱可能な係止杆を有する定置保持機構と、を備えていることを特徴とするシャッタの補強支持装置。
【請求項3】
操作保持機構の係止片は、上部角筒に沿って上下方向に移動可能な操作杆の上端に設けられており、操作杆の下端には操作棒が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシャッタの補強支持装置。
【請求項4】
ラッチ機構は、下部角筒に回動可能に取り付けられたラッチ片を備え、ラッチ片は、上部角筒に形成されたラッチ孔に係脱可能な構成であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のシャッタの補強支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商業用ビル、学校、病院、工場、家庭、その他の建物や施設等で主にその出入り口に設置されて利用される重量シャッタ、管理シャッタ等のシャッタの技術に関し、特に、シャッタのシャッタカーテンに対して外側からかかる強風、水圧、故意による人為的な力(一例としてハンマー等による打撃力)等によって、シャッタカーテンが内側に煽られたり、撓んだり、めくられることを防止するシャッタの補強支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャッタカーテンに外側からかかる力に対する補強手段として、シャッタカーテンの内側(例えば、建屋内側)に杆状、棒状又は筒状の補強部材を垂直又は斜めに配置する構成は知られている(特許文献1~4参照)。
【0003】
このようなシャッタの補強手段では、シャッタカーテンを開いている際に、補強部材が邪魔とならないように収納する手段が設けられている。
【0004】
例えば、シャッタが設けられる建屋の開口(出入り口)の上端部に沿ってレール、溝等の走行用案内部材を設け、補強部材の上端を走行案内部材に沿って移動可能として建屋の開口の側部に収納する構成が知られている(特許文献1、3参照)。
【0005】
また、別の補強部材の収納する手段として、補強部材の上端部を建屋の開口の上側等に回転可能に取り付け、補強部材を、その上端部を中心に回転しながら折りたたみ又は伸縮し、建屋の開口の上端に沿って収納可能とする構成が知られている(特許文献2、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4697644号公報
【文献】特許第5489044号公報
【文献】実公昭48-7188号公報
【文献】実開平4-48395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シャッタの補強支持装置では、実際の使用に際して次のような構成が重要である。
(1)補強部材を、シャッタカーテンを開く際に、建屋の開口部から退避させて収納する位置が、建屋の開口部を十分開くことができ、出入りの阻害とならないように、建屋の開口部を構成する開口枠の傍ではなく、離れた位置となる構成とする必要がある。
【0008】
(2)シャッタカーテンを開く際には、補強部材を、建屋の開口部から簡単に退避させて、確実に定置し収納可能とする必要がある。特に、火災時等の緊急の際に、補強部材を建屋の開口部から簡単に退避させられるようにすることは、きわめて重要である。
【0009】
また、シャッタカーテン閉じる際には、シャッタカーテンの屋内側の面に面した補強支持位置に、簡単かつ確実に定置できることが必要である。要するに、シャッタの開閉時の補強部材の退避・収納、及び補強支持位置への定置の操作がいずれも簡単にでき、しかも退避収納位置及び補強支持位置において、確実に定置させる構成が必要である。
【0010】
(3)屋外側からの暴風等の力によってシャッタカーテンが、屋内側に煽られたり、撓んだり、めくれたりしないためには、補強部材により屋内側から十分に補強支持する構成とする必要がある。
【0011】
ところで、前記特許文献1~4に記載の発明は、いずれも退避、収納時にも、補強部材は建屋の開口部に近接した箇所に位置し、必ずしも上記(1)の構成を充たすものではなく、建屋の開口時に、補強部材が偶発的に建屋の開口部の一部にせり出したりするおそれも考えられ、また出入の邪魔になる可能性も考えられる。
【0012】
また、シャッタカーテンの開閉時における補強部材の設置、退避収納等の操作の簡便性については、特許文献1~4に記載の発明では、さらに改善の余地があるものと考えられる。
【0013】
さらに、特許文献1~4に記載の発明では、シャッタカーテンを閉めて補強部材をシャッタの内側に設置した状態では、例えば、補強部材の上端は案内部材に支持されているだけの構成であったり、回転支持部材で支持されているだけの構成であり、シャッタカーテンの外側からの暴風雨等による外力が加わると、必ずしも強度上、十分とは言えないものと考えられる。
【0014】
本発明は、上記従来の問題を解決することを目的とするものであり、補強部材を建屋の開口部の邪魔とならない場所に退避して収納可能とし、補強部材を、シャッタカーテンを開く時は簡単、確実に退避、収納し、閉じる時はシャッタカーテンの内側に簡単、確実に定置して補強可能とし、さらにシャッタカーテンの内側に定置した際には、高い強度でシャッタカーテンを補強支持可能とするシャッタの補強支持装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記課題を解決するために、シャッタボックス内に巻き取り可能なシャッタカーテンを備えたシャッタの補強支持装置であり、シャッタカーテンを屋内側から支持して補強する補強部材と、補強部材をシャッタカーテンの横幅方向に移動可能かつ垂直に吊持する水平に設けられた案内レールと、を備えたシャッタの補強支持装置において、案内レールは、シャッタボックスの横幅方向に沿う第1の案内部と、第1の案内部に連続し、シャッタボックス側から屋内側かつシャッタから側方に離れた位置に向けて延びる第2の案内部と、を備えており、第1の案内部及び第2の案内部には、それぞれ係止孔を備えた停止板が設けられており、補強部材は、シャッタカーテンに屋外側から力が作用した際に、シャッタカーテンに屋内側から当接して補強支持する補強部材本体と、前記係止孔に係脱可能な係止片を備えた操作保持機構と、補強部材を案内レールに吊持して移動可能とするための吊持部と、床面に形成された係合孔に係脱可能な係止杆を有する定置保持機構と、を備えていることを特徴とするシャッタの補強支持装置を提供する。
【0016】
本発明は上記課題を解決するために、シャッタボックス内に巻き取り可能なシャッタカーテンを備えたシャッタの補強支持装置であり、シャッタカーテンを屋内側から支持して補強する補強部材と、補強部材をシャッタカーテンの横幅方向に移動可能かつ垂直に吊持する水平に設けられた案内レールと、を備えたシャッタの補強支持装置において、案内レールは、シャッタボックスの横幅方向に沿う第1の案内部と、第1の案内部に連続し、シャッタボックス側から屋内側かつシャッタから側方に離れた位置に向けて延びる第2の案内部と、を備えており、第1の案内部及び第2の案内部には、それぞれ係止孔を備えた停止板が設けられており、補強部材は、シャッタカーテンに屋外側から力が作用した際に、シャッタカーテンに屋内側から当接して補強支持する補強部材本体を有し、補強部材本体は、上部角筒と、上部角筒に上下方向に摺動可能に組み込まれた下部角筒と、を備え、上部角筒は、前記係止孔に係合可能な係止片を備えた操作保持機構と、補強部材を案内レールに吊持して移動可能とするための吊持部と、を備え、下部角筒は、上部角筒に係脱可能に係合し、下部角筒を床面に対して所定の高さ位置に保持可能とするラッチ機構と、床面に形成された係合孔に係脱可能な係止杆を有する定置保持機構と、を備えていることを特徴とするシャッタの補強支持装置を提供する。
【0017】
本発明は上記課題を解決するために、シャッタボックス内に巻き取り可能なシャッタカーテンを備えたシャッタの補強支持装置であり、シャッタカーテンを屋内側から支持して補強する補強部材と、補強部材をシャッタカーテンの横幅方向に移動可能かつ垂直に吊持する水平に設けられた案内レールと、を備えたシャッタの補強支持装置において、案内レールは、シャッタボックスの横幅方向に沿う第1の案内部と、第1の案内部に連続し、シャッタボックス側から屋内側に離れるように延びる第2の案内部と、第2の案内部に連続し、シャッタボックスより屋内側においてシャッタから側方に離れた位置に向けて延びる第3の案内部と、を備えており、第1の案内部及び第3の案内部には、それぞれ係止孔を備えた停止板が設けられており、補強部材は、シャッタカーテンに屋外側から力が作用した際に、シャッタカーテンに屋内側から当接して補強支持する補強部材本体と、前記係止孔に係脱可能な係止片を備えた操作保持機構と、補強部材を案内レールに吊持して移動可能とするための吊持部と、床面に形成された係合孔に係脱可能な係止杆を有する定置保持機構と、を備えていることを特徴とするシャッタの補強支持装置を提供する。
【0018】
本発明は上記課題を解決するために、シャッタボックス内に巻き取り可能なシャッタカーテンを備えたシャッタの補強支持装置であり、シャッタカーテンを屋内側から支持して補強する補強部材と、補強部材をシャッタカーテンの横幅方向に移動可能かつ垂直に吊持する水平に設けられた案内レールと、を備えたシャッタの補強支持装置において、案内レールは、シャッタボックスの横幅方向に沿う第1の案内部と、第1の案内部に連続し、シャッタボックス側から屋内側に離れるように延びる第2の案内部と、第2の案内部に連続し、シャッタボックスより屋内側においてシャッタから側方に離れた位置に向けて延びる第3の案内部と、を備えており、第1の案内部及び第3の案内部には、それぞれ係止孔を備えた停止板が設けられており、補強部材は、シャッタカーテンに屋外側から力が作用した際に、シャッタカーテンに屋内側から当接して補強支持する補強部材本体を有し、補強部材本体は、上部角筒と、上部角筒に上下方向に摺動可能に組み込まれた下部角筒と、を備え、上部角筒は、前記係止孔に係合可能な係止片を備えた操作保持機構と、補強部材を案内レールに吊持して移動可能とするための吊持部と、を備え、下部角筒は、上部角筒に係脱可能に係合し、下部角筒を床面に対して所定の高さ位置に保持可能とするラッチ機構と、床面に形成された係合孔に係脱可能な係止杆を有する定置保持機構と、を備えていることを特徴とするシャッタの補強支持装置を提供する。
【0019】
操作保持機構の係止片は、上部角筒に沿って上下方向に移動可能な操作杆の上端に設けられており、操作杆の下端には操作棒が設けられていることが好ましい。
【0020】
ラッチ機構は、下部角筒に回動可能に取り付けられたラッチ片を備え、ラッチ片は、上部角筒に形成されたラッチ孔に係脱可能な構成としてもよい。
【0021】
補強部材は複数個設けられた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るシャッタの補強支持装置によれば、次のような効果が生じる。
(1)シャッタカーテンを開いた際に、補強部材は建屋の開口部から離れた位置に退避・収納できるので、建屋の開口部が十分開き、出入りの阻害とならない。
(2)シャッタカーテンの開閉時の補強部材の退避、収納及び補強支持のための定置が簡単かつ確実にできる。
(3)シャッタカーテンを内側から大きな強度で補強できるので、シャッタカーテンに外側から大きな力がかかっても、シャッタカーテンが煽られたり、撓んだり、めくられたりしにくい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係るシャッタの補強支持装置の実施例1の全体構成を示す図であり、(a)は案内レールを下方から見た(
図1(b)においてA-A方向に見た)平面図であり、(b)はシャッタ及びシャッタの補強支持装置を屋内側から見た図である。
【
図2】上記実施例1において、(a)は案内レールのみを屋内側において斜め下方から見た図であり、(b)は補強部材が案内レールの基端側の位置(退避・収納位置)に定置された状態を屋内側において斜め下方から見た図である。
【
図3】上記実施例1において、補強部材が案内レールの基端側の位置(退避・収納位置)に定置された状態を説明する図であり、(a)は補強部材を屋内側正面から見た図であり、(b)はラッチ機構及び定置保持機構の拡大図である。
【
図4】上記実施例1において、補強部材を案内レールに沿って移動可能な状態を示す図であり、(a)は補強部材を屋内側正面から見た図であり、(b)はラッチ機構及び定置保持機構を拡大図である。
【
図5】上記実施例1において、補強部材を案内レールに沿って移動可能な状態を示す図であり、(a)は補強部材を
図4(a)のA-A方向に見た図であり、(b)
図5(a)のB-B方向に見た図である。
【
図6】上記実施例1において、補強部材が案内レールの先端側の位置(閉鎖されたシャッタカーテンを屋内側から補強支持する補強支持位置)に定置された状態を説明する図であり、(a)は補強部材を屋内側正面から見た図であり、(b)はラッチ機構及び定置保持機構の拡大図である。
【
図7】上記実施例1において、補強部材が案内レールの先端側の位置(閉鎖されたシャッタカーテンを屋内側から補強支持する補強支持位置)に定置された状態を説明する図であり、(a)は
図6(a)のA-A方向に見た図であり、(b)は
図7(a)のB-B方向に見た図である。
【
図8】(a)は補強部材が案内レールの先端側の位置(補強支持位置)の近くに移動した状態を屋内側において斜め下方から見た図であり、(b)は定置保持機構の戻止め突起が挿通孔を挿通可能な状態を、垂直断面とそのB-B方向に見た図であり、(c)は定置保持機構の戻止め突起が挿通孔を挿通不可能で戻止め状態を、垂直断面とそのC-C方向に見た図であり、(d)は床面の係合孔に蓋を挿入して閉じる状態を示す図である。
【
図9】(a)は実施例1の案内レールの変形例を示す平面図であり、(b)は本発明に係るシャッタの補強支持装置の実施例2の案内レールを示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係るシャッタの補強支持装置を実施するための形態を実施例に基づいて図面を参照して、以下に説明する。
【実施例】
【0025】
(実施例1)
本発明に係るシャッタの補強支持装置1(以下、単に「補強支持装置」ともいう。)の実施例1を、
図1~8を参照して説明する。
図1において、建屋の開口部に設けられたシャッタにおける補強支持装置1の全体構成を示す。
【0026】
本明細書及び発明の記載では、建屋の開口部2に対して建屋内側(屋内側)を内側とし、建屋外側を外側とし、シャッタ3のシャッタカーテン4を屋内側から目視して左右を左右側とする。また、シャッタカーテン4を屋内側から目視して正面手前側を前側とする。
【0027】
全体構成:
シャッタ3は、
図1(b)に示すように、左右のガイドレール7、頂部のシャッタボックス8及びシャッタカーテン4を備えている。シャッタカーテン4は、複数のスラット9から成り、シャッタボックス8内に巻き込まれて建屋の開口部2を開き、シャッタボックス8内に巻き込まれた状態から巻き戻されて降下し建屋の開口部2を閉じる。
【0028】
補強支持装置1は、
図1(a)、(b)、
図2(a)、(b)に示すように、案内レール12と、案内レール12に上端が吊持されて案内レール12に沿って走行し移動可能な補強部材13と、を備えている。案内レール12は、その一部(後記するが第1の案内部16)がシャッタ3の上部において、シャッタボックス8の下部に沿うように水平に設置されている。
【0029】
案内レール:
案内レール12は、
図1(a)、
図2(a)、(b)に示すように、第1の案内部16と、第1の案内部16に略平行(本実施例1では略平行としたが略平行でなくてもよい)な第3の案内部18と、第1の案内部16と第3の案内部18の間の第2の案内部17と、から一体に連続して形成されている。第1の案内部16及び第3の案内部18は、平面視で略直線状に形成するとよい。
【0030】
なお、第1~第3の案内部16、17、18は、一つの案内レール12の長手方向の区域(領域)をあくまでも説明の都合上、称したのであって、互いに長手方向に垂直な断面形状が異なるものでもない。案内レール12は、基本的には一本のレールであるが、製作上は、一本のレールを曲げ加工等して製作してもよいし、又は第1~第3の案内部16、17、18を別体として作成し、互いに連続するように繋げて一体的な一本のレールとしても良い。
【0031】
図1(a)に下方から見た平面視で示し、
図2(a)、(b)に斜め下方から見た斜視図で示すように、第1の案内部16は、シャッタボックス8の左右方向(「横幅方向」ともいう)の略中央部から左端部にかけてシャッタボックス8の下部に沿って延びるように水平に設置されている。
【0032】
第2の案内部17は、シャッタボックス8より屋内側かつ左側の方向へ延びるように平面視で屈曲して設置され、第3の案内部18はシャッタボックス8から屋内側に離れた位置で、さらに左方向に延びるように設置されている。
【0033】
従って、案内レール12の先端部14(案内レール12のシャッタボックス8側の端部であり、
図1(a)では右側端部)は、シャッタ3の左右方向の略中央部に位置し、案内レール12の基端部15(左側端部)は、シャッタ3より左側であって建屋の内側方向に離れた部分に位置する。
【0034】
このような案内レール12の特に平面的な構成及びその配置は、本発明の特徴の一つである。案内レール12は、
図2(a)、(b)、
図8(a)に示すように、シャッタボックス8の下部から建屋の構造体21にかけて、或いは直接、建屋の構造体21に取付金具24によって固定されている。
【0035】
案内レール12の長手方向に垂直な断面は、
図5(a)、
図7(a)に示すように、略矩形であるが底にはその長手方向に向けて、後記する補強部材13の吊持部37の走行車輪39が走行する一対のレール部22と、一対のレール部22の間に設けられ、吊持部37の吊軸38が移動可能な長手方向に延びるスリット23と、が形成されている。
【0036】
案内レール12の先端部14及び基端部15には、それぞれ平面視で略L型の停止板26が取り付けられている(
図1(a)、
図2(a)、
図8(a)参照)。この停止板26は、案内レール12に取り付ける取付部27と、係止孔28とを備えている。
【0037】
係止孔28は、案内レール12の長手方向に長く垂直方向に貫通した長孔から成り、後記するが、補強部材13に設けられた操作保持機構43の係止片46を、
図3(a)、
図5(a)、
図6(a)、
図7(a)に示すように、係脱可能(挿入及び抜いて係止及び係止解除可能)な形状である。
【0038】
後記するが、停止板26の取付部27は、先端部14及び基端部15においてそれぞれ停止板26を案内レール12等に取り付ける部分であるが、先端部14及び基端部15において、吊持部37の吊軸38に当接して補強部材13の移動(具体的には、より先端方向及び基端方向へのオーバーラン)を規制する。
【0039】
係止孔28は、補強部材13の係止片46を係脱可能に係合し、補強部材13を長手方向の先端部14の位置及び基端部15の位置に、それぞれ定置して保持し、補強部材13がスリット23に沿って不用意に移動したり、或いは補強部材13が補強支持位置(シャッタカーテンの屋内側で補強支持している位置)にある時は、暴風雨等による屋外から力が作用しても、補強部材13が屋内側に動いたりすることを防止する。
【0040】
なお、本実施例1では、案内レール12の第1の案内部16は、シャッタボックス8の横幅方向の略中央部から左端側に向けて延びる構成で説明するが、第1の案内部16は、シャッタボックス8の横幅方向に沿う部分であれば、シャッタボックス8の横幅における、例えば略全域又は2/3等領域に沿う構成であってもよい。
【0041】
また、横幅の長いシャッタ3については、図示はしないが、補強部材13を複数設け、第1の案内部16の複数の箇所で同時に補強支持可能とし、また第3の案内部18の複数の箇所で同時に退避、収納可能なように、複数の補強部材13に対して、第1の案内部16及び第3の案内部18において、それぞれ複数の位置に停止板26を設けた構成としてもよい。
【0042】
そのように複数の停止板26を設ける構成では、図示はしないが、複数の停止板26の全てに係止孔28を設けるが、取付部27については、第1の案内部16に対してはその最先端側の停止板26及び第3の案内部18に対してはその最基端側の停止板26以外は、案内レール12のスリット23を横切ったりすることなく、補強部材13の移動を阻害しないように、適宜、案内レール12や建屋の構造体21に取り付ける構成とする。
【0043】
なお、
図9(a)に案内レール12の変形例である案内レール12’を示す。この案内レール12’は、その第2の案内部17’は、シャッタボックス8より屋内側の離れた方向に延びるように、第1の案内部16に対して略直角で連続して形成されており、さらに第3の案内部18は第2の案内部17’に対して略直角で連続し、シャッタ3の側方(本実施例では左側側方)に延びるように形成されている。
【0044】
従って、案内レール12’は、
図9(a)に示すように、全体として平面視でクランク状に形成されている。案内レール12’は、平面視は案内レール12と異なるが、その他の構成、即ちその断面構造は案内レール12(
図5等参照)と同じであり、関係する取付金具24、停止板26等の構成も同じである。
【0045】
補強部材:
補強部材13は、シャッタカーテン4に屋外側から力が作用した際に、屋内側から当接して補強支持する補強部材本体32を有す。補強部材本体32は、
図3~
図6等に示すように、上部角筒33(「角筒」は「角パイプ」とも呼ばれている。)と下部角筒34を備え、上部角筒33内に、下部角筒34が上下方向に摺動可能な状態で挿入され、入れ子式の構成である。
【0046】
上部角筒33の頂部には、補強部材13を案内レール12に吊持して移動可能とするための吊持部37を備えている。シャッタカーテン4を閉じた場合において、シャッタカーテン4を屋内側から補強部材13で支持する状態(
図6(a)、
図7(a)参照)では、下部角筒34は、床面35に当接するまで下降させる。
【0047】
入れ子式の上部角筒33と下部角筒34は、暴風雨等による力が作用しているシャッタカーテン4を支える必要があるので、下部角筒34は、床面35に当接した状態でも、上部角筒33内で長手方向における十分な範囲内(例えば、2/3以上の範囲内)に挿入されていることが望ましい。
【0048】
上部角筒33の上端には、
図5(a)、(b)、
図7(a)、(b)等に示すように、吊持部37が設けられている。吊持部37は、吊軸38と吊軸38の上端に設けられた一対の走行車輪39を備えている。吊軸38は、その下端が上部角筒33に固定され、スリット23を通して案内レール12内に延びている。
【0049】
走行車輪39は、案内レール12を走行可能とし、これによって、補強部材13は、案内レール12の先端部14と、案内レール12の基端部15との間を移動可能である。
【0050】
上部角筒33の前面側(建屋の内面側)には、シャッタカーテン4の開閉時に伴って、補強部材13を操作するための操作保持機構43が設けられている(
図1(b)、
図3~
図8それぞれの(a)参照)。
【0051】
操作保持機構43の機能は、シャッタカーテン4の開閉時に、それぞれ補強部材13を先端部14、基端部15に向けて案内レール12に沿って移動させることと、先端部14及び基端部15の位置で、それぞれ補強部材13を案内レール12の長手方向及び屋内外方向にずれないように係止して保持することである。
【0052】
操作保持機構43は、
図3(a)等に示すように、上部角筒33の前面に沿って上下動可能な操作杆44と、操作杆44の下端に回転可能(
図5(a)参照)に取り付けられた操作棒45と、操作杆44の上端に上方に延びるように固定された係止片46と、を備えている。係止片46は、前記停止板26の係止孔28に係脱可能なように、案内レールの長手方向に沿って長く形成されている。
【0053】
上部角筒33の前面上部には、断面が略コ字形の上部支持金具50が固定されている(
図2(b)、
図3~
図8それぞれの(a)参照)。上部支持金具50は、断面が略コの字形であり、水平な上部支持板51と下部支持板52を有する。
【0054】
図5(a)に明示するが、上部支持板51には、係止片46を挿通し摺動可能に支持する支持孔が形成され、下部支持板52には、操作杆44を挿通して摺動可能に支持する支持孔が形成されている。
【0055】
また、上部角筒33の前面には、上部支持金具50の下方に、断面が略L字形の下部支持金具56が固定されている(
図2(b)、
図3~
図7それぞれの(a)参照)。下部支持金具56は支持孔(操作杆44を挿通して摺動可能に支持する孔)の形成された水平な支持板57を有する。
【0056】
操作杆44は、上部支持金具50の下部支持板52の支持孔を挿通されるとともに、下部支持金具の支持板57の支持孔に挿通され、上部角筒33に沿って上下方向に可動である。係止片46は、前記したとおり、上部支持金具50の上部支持板51の支持孔に挿通され上下方向に案内される。
【0057】
上部支持金具50の上部支持板51と下部支持板52の間には、操作杆44が挿通するコイルバネ60が配置されている(
図3~
図7それぞれの(a)参照)。コイルバネ60は、その上端が操作杆44に固定され、その下端が下部支持板52上に座置されている。
【0058】
これにより、操作杆44及びその上端に設けられた係止片46は、コイルバネ60によって、常時は上方に付勢されている。後記するが、係止片46が案内レール12の停止板26の係止孔28に係入している状態から係入を外すためには、操作棒45をコイルバネ60の弾力に抗して下方に引くと、係止片46を係止孔28から抜くことができる。
【0059】
シャッタカーテン4の開閉に際して、補強部材13を案内レール12に沿って先端部14と基端部15との間で移動させるが、その際に、下部角筒34は床面35に接触しないように上部角筒33内に挿入するように持ち上げ、持ち上げた状態でラッチ機構63により降下しないように係止する。
【0060】
ラッチ機構63は、
図3(b)、
図4(b)、
図6(b)に示すように、下部角筒34の側面(本実施例1では左側面)に設けられている。ラッチ機構63は、下部角筒34に枢支金具64を介して枢支されたラッチ片65を備えている。ラッチ片65の上端にはラッチ突起66が上部角筒33及び下部角筒34方向に向けて形成されている。
【0061】
ラッチ片65の下端部には、下部角筒34の左側面から突設するバネ取付軸67が挿通されている。バネ取付軸67の先端かつラッチ片65の外側に面して把持部68が設けられている。ラッチ片65と下部角筒34との間には、取付軸67の周りにコイルバネ69が設けられている。
【0062】
このコイルバネ69によって、ラッチ片65のラッチ突起66は、常時、上部角筒33及び下部角筒34方向に付勢されている。上部角筒33には、ラッチ突起66が係合するラッチ孔72が形成されている。
【0063】
なお、図示はしないが、上部角筒33のラッチ孔72には、ラッチ突起66が係合する時に、さらにラッチ突起66が下部角筒34にも係合するラッチ孔を、下部角筒34におけるラッチ孔72対応する面に形成した構成としてもよい。
【0064】
床面35に当接している下部角筒34を持ち上げて、ラッチ突起66をラッチ孔72(下部角筒34にラッチ孔の形成されている場合はさらにそのラッチ孔)に係合させると、下部角筒34を、床面35から離れた上方に位置させることができる(
図4(a)、(b)、
図5(a)、(b)参照)。
【0065】
また、コイルバネ69に抗して把持部68を下部角筒34側に押し込んで、ラッチ突起66をラッチ孔72から外すことで、下部角筒34を床面35上に下降させることが可能となる(
図3(a)、(b)、
図6(a)、(b)等参照)。
【0066】
下部角筒34の下端部の左右の側面に、それぞれ定置保持機構75が設けられている(
図1(b)、
図3~
図7等参照)。定置保持機構75は、断面が略ヨの字形の案内金具76と、案内金具76に垂直に挿通され上下方向に可動な係止杆77と、を備えている。なお、左右の定置保持機構75は、全く同じ構成であるので、本明細書では、左側の定置保持機構75で構成を説明する。
【0067】
案内金具76は、下部角筒34の側面に固定されており、上中下部の3つの案内片80、81、82がそれぞれ側方水平に延びるように一体に形成されている。上中下部の3つの案内片80、81、82は、係止杆77を垂直方向に挿通して案内する案内孔を有する。
【0068】
上部案内片80と中部案内片81の間には、コイルバネ83が設けられており、係止杆77が挿通されている。コイルバネ83は、その下端は係止杆77に固定され、その上端は上部案内片80の下面に当接されており、
図3(b)、
図6(b)に示すように、係止杆77を常時下方に弾力的に付勢している。
【0069】
係止杆77の上端側にはハンドル85が設けられている(
図3(b)、4(b)、6(b)等参照)。係止杆77の下端側には、
図8(b)、(c)に示すように、戻止め突起86が側方に向けて水平に突設されており、下部案内片82の挿通孔88は、戻止め突起86が通過可能な凸孔部分89を有し、全体として鍵穴状に形成されている。
【0070】
従って、
図3(b)に示す状態から、ハンドル85を操作して、係止杆77をコイルバネ83の弾力に抗して上方に引き上げ、
図8(b)に示すように、戻止め突起86を下部案内片82の挿通孔88を通過させてから、係止杆77をその軸心を中心に水平に回転して、戻止め突起86を下部案内片82の上面に係合させて挿通孔88を通過させない状態にすれば、
図4、
図5、
図8(c)等に示すように、係止杆77を係合孔92から外した状態に保持できる。
【0071】
案内レール12の先端部14及び基端部15において、補強部材13を定置するが、その定置位置に対応する床面35には、
図3~
図7に示すように、それぞれ係止杆77が係合する係合孔92が形成されている。この係合孔92は、係止杆77が係合していな場合は、
図8(d)に示すように、蓋93で閉止可能とすることで、ゴミ等が入らないような構成となっている。
【0072】
下部角筒34の前面には、
図3~
図7に示すように、把手94が取り付けられている。下部角筒34を上部角筒33内に挿入する方向に上方持ち上げ、ラッチ片65を上部角筒33に掛ける際等に、把手94を使用すると作業がし易い。
【0073】
(作用)
以上の構成から成る本発明に係るシャッタの補強支持装置1の作用について、その使用状態とともに、以下説明する。
【0074】
退避、収納状態:
シャッタカーテン4が開いている状態では、補強部材13は、シャッタ3から離れた位置に退避し、収納される状態(本明細書では、「退避・収納位置」ともいう)とされる。即ち、
図2(b)、
図3(a)に示すように、補強部材13は、建屋内において、建屋の開口部2及びシャッタ3の左端よりさらに左側方であって、建屋の若干内側に入った案内レール12の基端部15の位置(本明細書では、「退避・収納位置」ともいう)に定置されている。
【0075】
この退避・収納位置では、
図3(a)、(b)に示すように、ラッチ機構63のラッチ片65は、上部角筒33のラッチ孔72から外され、下部角筒34は自重で床面35まで降下している。そして、定置保持機構75の係止杆77の下端は、コイルバネ83の弾力によって下方に付勢されて床面35の係合孔9に係合している。
【0076】
この退避・収納位置では、上記のとおり補強部材13は、建屋の開口部2及びシャッタ3から離れた位置に定置され、建屋の開口部2及びシャッタ3に面したり近接したりすることがない。そのため、物や人の出入りに際して、補強部材13で阻害されたり邪魔されたりすることなく、建屋の開口部2の全てを使用することが可能である。
【0077】
また、この退避・収納位置では、補強部材13は、その上部では、係止片46が停止板26の係止孔28に係合しており、その下部では、定置保持機構75の係止杆77が床面35の係合孔9に係合している。そのために、補強部材13は、上下においてしっかりと定置され、不用意に建屋の開口部2に向けて動き出す等の危険がない。
【0078】
シャッタカーテンの閉鎖時の補強支持状態:
次にシャッタカーテン4を閉じ、補強部材13でシャッタカーテン4を建屋の内側から補強支持する場合について、以下説明する。
【0079】
定置保持機構75の係止杆77を、
図3(a)、(b)に示す状態から、コイルバネ83の弾力に抗して上方に引き上げ、戻止め突起86を
図8(b)に示すように、下部案内片82における挿通孔88の凸孔部分89を通過させてから、係止杆77を水平に回転して、
図4(b)、
図8(c)に示すように、戻止め突起86を挿通孔88の凸孔部分89を通過させない状態にする。
【0080】
これによって、係止杆77にコイルバネ83の弾力による下方への弾力が作用しても、
図4、
図5に示すように、係止杆77は下降しない状態に保持可能となる。
【0081】
また、ラッチ機構63の把持部68を下部角筒34方向に押し込みながら、下部角筒34を把手94によって上方に持ち上げ上部角筒33内に挿入する方向に移動してから、把持部68の押し込みを緩めて、コイルバネ69の弾力によって、ラッチ片65を上部角筒33のラッチ孔72に係合させる。これによって、
図4、
図5に示すように、下部角筒34を、その下端部が床面35に当接しない上方の位置に保持する。
【0082】
そして、操作棒45を操作して、
図5(a)に示すように、操作杆44をコイルバネの弾力に抗して下方に引き下げ、操作杆44の上端の係止片46を案内レール12の基端部15に設けられた停止板26の係止孔28から引き抜く。
【0083】
その状態で、操作棒45を操作して、補強部材13を案内レール12に沿って、
図8(a)に示すように、先端部14方向に移動する。補強部材13が先端部14に移動した状態で停止する。なお、補強部材13が先端方向にさらに移動してオーバーランしようとしても、吊り軸38が停止板26の取付部27に当接して規制される。
【0084】
そして、先端部14の位置で、操作棒45による下方に引き下げを緩めると、コイルバネ60の弾力によって、
図6(a)、
図7(a)に示すように操作杆44の上端の係止片46は、案内レール12の先端部14に設けられた停止板26の係止孔28に係合する。これによって、補強部材13の上端部は案内レール12の先端部14に定置されることとなる。
【0085】
次に、
図4、
図5の状態にあるラッチ機構63の把持部68を、コイルバネ69の弾力に抗して下部角筒34の方向に押し込んで、ラッチ片65のラッチ突起66を上部角筒33のラッチ孔72から外し、ラッチを解いて下部角筒34を下方に降下させ、その下端を床面35に当接させる(
図6、
図7参照)。
【0086】
さらに、
図5(a)に示す状態にある定置保持機構75のハンドル85を回転操作し、戻止め突起86を挿通孔88の凸孔部分89に通過可能に合わせ、コイルバネ83の弾力によって、係止杆77を下降させて、
図6、
図7に示すように、係止杆77の下端を床面35の係合孔9に係合させる。
【0087】
これによって、補強部材13を、その上部及び下部において案内レール12の先端部14の位置であってシャッタカーテン4の内側に近接した位置(本明細書では「補強支持位置」ともいう)に定置し、シャッタカーテン4を内側から補強支持可能な状態とすることができる。
【0088】
シャッタカーテン4に屋外側から暴風等による力が加わっても、シャッタカーテン4は、屋内側から補強部材13によって当接、支持されるので、屋内側に煽られてめくられるようなことを防止できる。しかも、補強部材13は、入れ子式となった上部角筒33と下部角筒34を備えているので、強度がきわめて高い。
【0089】
さらに、補強部材13は、シャッタカーテン4の内側に近接し、案内レール12の先端部14に位置、その上端では、操作保持機構43の操作杆44の係止片46が停止板26の係止孔28に係合し、その下端では定置保持機構75の係止杆77の下端が床面35の係合孔92に係合した状態となる。
【0090】
その結果、補強部材13は、シャッタカーテン4の内側に近接し、横幅方向の中央部に対応する位置に拘束されて定置される。そのために、シャッタ3及び建屋の開口部2に対する横方向、内外方向への補強部材13の不用意な移動、ぶれ等が防止される。
【0091】
なお、補強部材13における操作保持機構43の係止片46及び案内レール12の停止板26の係止孔28は、案内レール12の長手方向に向けて長く形成されているので、シャッタカーテン4への屋外から力を横巾方向に広く、安定して受け止めることが可能となる。
【0092】
シャッタカーテンの開に伴う退避・収納位置への操作:
シャッタカーテン4を開くに伴い、補強部材13を補強支持位置から退避・収納位置に移動する操作を説明するが、この操作は、前記した退避、収納した補強部材13を補強支持位置まで移動して定置する場合と同様であるのでそのポイントのみを説明する。
【0093】
まず、定置保持機構75の係止杆77を、
図6、
図7に示す状態から、コイルバネ83の弾力に抗して上方に引き上げ床面35の係合孔92から抜き取り、
図4、
図5に示す状態にして保持する。
【0094】
ラッチ機構63については、コイルバネ69に抗してハンドル85を下部角筒34側に押し込み、下部角筒34を上方に持ち上げて上部角筒33内に挿入していき、ラッチ片65のラッチ突起66を上部角筒33のラッチ孔72に係合させ、下部角筒34を、
図4、
図5に示すように、下端部が床面35に当接しない上方の位置に保持する。
【0095】
そして、操作棒45を操作して、操作保持機構43における操作杆44の係止片46を、案内レール12の先端部14に設けられた停止板26の係止孔28から、コイルバネ60の弾力に抗して引き抜き、
図4(a)、
図5(a)に示すように、補強部材13を案内レール12に沿って基端部15まで移動し
図3(a)、(b)に示すように、操作保持機構43の係止片46を停止板26の係止孔28に係合させる。
【0096】
このように退避、収納のために案内レール12に沿って基端部15の退避・収納位置まで移動してから、その位置に
図2(b)、
図3(a)、(b)に示すように、ラッチ機構63及び定置保持機構75によって、補強部材13を定置して保持する操作は、前記した補強部材13を案内レール12の先端部14に定置して保持する操作と同じであるので、その説明は省略する。
【0097】
以上のとおり、本発明によれば、補強部材13を退避・収納位置と補強支持位置の間の移動は、操作棒45により、大きな力を要することなく簡単に操作可能であり、補強部材13の退避・収納位置と補強支持位置それぞれへの設置は、容易である。
【0098】
しかも、本発明によれば、退避・収納位置と補強支持位置では、補強部材13は、その上下において、操作保持機構43と定置保持機構75によって、それぞれ案内レール12及び床面35に係止及び係合されるので、不用意な移動等を防止され、屋外からの暴風雨等による力に対しても大きな補強支持効果が生じる。
【0099】
なお、本実施例1では、補強部材本体32は、上部角筒33と下部角筒34を備えた構成について説明したが、3以上の複数の角筒を入れ子式に備えた構成でもよい。また、補強部材本体は一つの角筒を備えた構成でもよいが、その場合は、角筒の下端が床面上を移動可能なように床面から若干上方に離れた長さのものを用いるとよく、床面への定置は定置保持機構で行う。
【0100】
さらに、補強部材本体は、操作保持機構、ラッチ機構及び定置保持機構が取り付けられれば、角筒でなくても、水平断面が円形等、その他の形状の筒体でもよい。
【0101】
(実施例2)
実施例1では上記のとおり、案内レール12は、第1の案内部16、第2の案内部17及び第3の案内部18を備えた構成について説明した。そのような構成によると、上記のとおり補強部材13は、その退避・収納位置では、建屋の開口部2及びシャッタ3から離れた位置に定置される。
【0102】
そのために、建屋の開口部2及びシャッタ3に面したり近接したりすることがないので、物や人の出入りに際して、補強部材13で阻害されたり邪魔されたりすることなく、建屋の開口部2の全てを使用することが可能である。
【0103】
ところで、第3の案内部18を設けなくても、第2の案内部17の基端が、シャッタボックス8から屋内側に離れた位置において、シャッタ3から側方に離れた位置まで延びるように形成されていれば、第1の案内部16、第2の案内部17及び第3の案内部18を備えた案内レール12と同等の効果が生じる。
【0104】
即ち、本発明に係るシャッタの補強支持装置において、案内レールは、少なくとも、実施例1における第1の案内部16と同じ構造の第1の案内部と、第1の案内部16の一端側に連続しシャッタボックス8より屋内側かつシャッタ3から側方に離れる位置へ延びるように形成されて成る第2の案内部と、を一体に備えている構成であればよい。そのような構成を具現化する案内レールを備えたシャッタの補強支持装置の実施例を、本発明の実施例2として説明する。
【0105】
本発明に係るシャッタの補強支持装置の実施例2は、
図9(b)に示すように、その案内レール112は、シャッタボックス8の左右方向(「横幅方向」ともいう)の略中央部から横幅方向の一端側(例えば左端側)に向けシャッタボックス8の下部に沿って延びるように水平に設置されている第1の案内部16と、第1の案内部16の一端側に連続しシャッタボックス8より屋内側かつシャッタ3から側方に離れる位置へ延びるように形成されて成る第2の案内部117と、を一体に備えている構成である。
【0106】
なお、実施例2において、案内レール112以外の構成については実施例1と同じであるので、説明は省略し、
図9(b)に示す案内レール112について、実施例1の案内レール12と共通する構成は同じ符号を使用する。
【0107】
実施例2では、案内レール112は、
図9(b)に示すように、実施例1と同じ構成の第1の案内部16と、第1の案内部16の左端に連続してシャッタボックス8より屋内側かつシャッタ3から側方に離れる方向へ延びるようになだらかに湾曲して形成されて成る第2の案内部117と、を備えている。
【0108】
第2の案内部117の基端側は、
図9(b)に示すように、屋内側に向けてより湾曲状に形成されている。実施例2の案内レール112の第2の案内部117は、製作上の利点として、実施例1の案内レール12の第2の案内部17に比べて、屈曲、湾曲している部分の成形がし易い。
【0109】
第2の案内部117の基端部15は、シャッタボックス8より屋内側かつシャッタ3から側方に離れた位置にあり、この位置が、補強部材13の退避・収納位置となり、実施例1と同様の効果が生じる。なお、案内レール112の第2の案内部117は、シャッタボックス8より屋内側かつシャッタ3から側方に離れる方向へ延びる構成であれば、湾曲状ではなく直線状でもよい。
【0110】
以上、本発明に係るシャッタの補強支持装置を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内で、いろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明に係るシャッタの補強支持装置は、屋外に面した重量シャッタ、管理シャッタ等のシャッタへの利用が最適であるが、屋内のシャッタに利用しても、火災時に屋内で生じる火災風等に対する防火シャッタの補強としての可能性もある。
【符号の説明】
【0112】
1 シャッタの補強支持装置
2 建屋の開口部
3 シャッタ
4 シャッタカーテン
7 ガイドレール
8 シャッタボックス
9 スラット
12、12’、112 案内レール
13 補強部材
14 案内レールの先端部
15 案内レールの基端部
16 第1の案内部
17、17’、117 第2の案内部
18 第3の案内部
21 建屋の構造体
22 案内レールの一対のレール部
23 案内レールのスリット
24 取付金具
26 停止板
27 取付部
28 係止孔
32 補強部材本体
33 上部角筒
34 下部角筒
35 床面
37 吊持部
38 吊軸
39 走行車輪
43 操作保持機構
44 操作杆
45 操作棒
46 係止片
50 上部支持金具
51 上部支持板
52 下部支持板
56 下部支持金具
57 支持板
60 コイルバネ
63 ラッチ機構
64 枢支金具
65 ラッチ片
66 ラッチ突起
67 バネ取付軸
68 把持部
69 コイルバネ
72 ラッチ孔
75 定置保持機構
76 案内金具
77 係止杆
80 上部案内片
81 中部案内片
82 下部案内片
83 コイルバネ
85 ハンドル
86 戻止め突起
88 下部案内片の挿通孔
89 挿通孔の凸孔部分
92 床面の係合孔
93 蓋
94 把手