(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】自走式ロボット
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240404BHJP
G01D 21/00 20060101ALI20240404BHJP
G01N 15/06 20240101ALN20240404BHJP
【FI】
G05D1/43
G01D21/00 K
G01N15/06 D
(21)【出願番号】P 2022179920
(22)【出願日】2022-11-09
【審査請求日】2023-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521071219
【氏名又は名称】株式会社RoboSapiens
(73)【特許権者】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 俊
(72)【発明者】
【氏名】田村 秀一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 旺樹
(72)【発明者】
【氏名】白山 晋
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2022/0147053(US,A1)
【文献】特開平10-001291(JP,A)
【文献】特表2003-500030(JP,A)
【文献】特開2010-169422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 ー 1/87
G01D 21/00
G01N 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律的に又は外部操作に応じて所定領域を走行する自走式ロボットであって、
基台と、
前記基台を所望方向に走行させる走行装置と、
前記所定領域での前記基台の現在位置を検出する現在位置検出部と、
前記基台の周辺環境を観測し、観測により得られた情報に基づいて検出信号を出力するセンサと、
前記基台に設けられ、かつ、前記センサを高さ方向に昇降させる昇降装置と、
を備え、
前記昇降装置は、
長尺プレートが渦巻状に巻装されて所定距離を設けて対向配置された一対の巻尺部と、
一対の前記巻尺部からそれぞれ延びる前記長尺プレートの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を連結させるプレート連結部と、
前記プレート連結部で連結された一対の前記長尺プレートの自由端部に設けられ、前記センサが設置されるセンサ設置部と、
一対の前記巻尺部から前記長尺プレートを引き出させ、又は、一対の前記巻尺部に前記長尺プレートを巻き取らせて、前記センサ設置部を高さ方向に昇降させる昇降駆動部と、
前記昇降駆動部により昇降される前記センサの高さ方向の基準位置となる最下位置に前記センサが位置決めされたことを認識する認識部と、
前記最下位置に位置決めされたときの前記センサの高さ方向の位置を前記基準位置として設定し、前記基準位置からの前記センサの高さ方向の位置を検出する高さ方向検出部と、
を備え、
前記基台に設けた演算処理装置によって、前記現在位置検出部で検出した前記基台の現在位置と、前記高さ方向検出部で検出した前記センサの高さ方向の位置と、前記センサから出力された検出信号と、を対応付けた計測データを生成する、自走式ロボット。
【請求項2】
前記認識部は、前記センサが前記最下位置に到達したときに前記センサ設置部により押下されるスイッチであり、前記スイッチは、前記センサ設置部により押下されたことを検出すると、得られた検出結果を前記高さ方向検出部に出力し、
前記高さ方向検出部は、前記スイッチから取得した検出結果に基づいて、前記センサの現在の高さ方向の位置を前記基準位置として設定する、
請求項1に記載の自走式ロボット。
【請求項3】
前記高さ方向検出部は、前記長尺プレートの進退に応じて回転して回転状況に応じて前記センサの高さ方向の位置を検出するロータリーエンコーダであり、
前記認識部は、前記ロータリーエンコーダの回転状況と、前記昇降駆動部の駆動状況とに基づいて、前記センサが前記最下位置に到達したことを認識し、
前記ロータリーエンコーダは、前記認識部の認識結果に基づいて、前記センサの現在の高さ方向の位置を前記基準位置として設定する、
請求項1に記載の自走式ロボット。
【請求項4】
前記センサは、ガスセンサ、温度センサ、湿度センサ、照度センサ、放射線センサ、近接センサ、磁気センサ、撮像センサ、気圧センサ、加速度センサ、騒音センサ又は音響センサのいずれかである、
請求項1に記載の自走式ロボット。
【請求項5】
前記所定領域内での前記基台の現在位置と、現在位置での前記センサの高さ方向の位置と、前記センサで得られた検出結果とを対応付けた3D地図データを前記計測データに基づいて生成する外部装置に、前記計測データを送信する送信部を有する、
請求項1に記載の自走式ロボット。
【請求項6】
前記基台は、
前記センサとは異なる他のセンサを前記高さ方向とは異なる方向にスライドさせるスライド装置を備え、
前記スライド装置は、
長尺プレートが渦巻状に巻装されて所定距離を設けて対向配置された一対の他の巻尺部と、
一対の前記他の巻尺部からそれぞれ延びる前記長尺プレートの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を連結させる第2のプレート連結部と、
前記第2のプレート連結部で連結された一対の前記長尺プレートの自由端部に設けられ、前記他のセンサが設置される第2のセンサ設置部と、
一対の前記他の巻尺部から前記長尺プレートを引き出させ、又は、一対の前記他の巻尺部に前記長尺プレートを巻き取らせて、前記第2のセンサ設置部を前記高さ方向とは異なる方向にスライドさせるスライド駆動部と、
前記スライド駆動部によりスライドされる前記他のセンサの移動方向の基準位置となる所定位置に前記他のセンサを位置決めされたことを認識する第2の認識部と、
前記所定位置に位置決めされたときの前記他のセンサのスライド方向の位置を前記基準位置として設定し、前記基準位置からの前記他のセンサのスライド方向の位置を検出する移動方向検出部と、
を備え、
前記演算処理装置は、前記移動方向検出部で検出した前記他のセンサのスライド方向の位置と、前記他のセンサから出力された検出信号を前記計測データに対応付ける、
請求項1に記載の自走式ロボット。
【請求項7】
前記昇降装置は、
前記プレート連結部と前記昇降駆動部と前記高さ方向検出部とが設けられたプレート昇降機構と、
一対の前記巻尺部の間に設けられ、前記プレート昇降機構が往復直線運動するガイドフレームと、
前記ガイドフレームに沿って前記プレート昇降機構を往復直線運動させるスライド駆動部と、
を有し、
前記プレート昇降機構が、
一対の前記巻尺部の間を、前記高さ方向と直交
する方向に往復直線運動可能に設けられている、
請求項1に記載の自走式ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋内のCO2濃度の計測方法として、CO2センサを設置した自走式ロボットを、屋内の決まった経路に沿って移動させ、当該自走式ロボットのCO2センサによって室内のCO2濃度を計測することが考えられている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】田村 秀一,外2名,“固定型センサと自律走行ロボット搭載センサの連携によるオフィス環境のCO2濃度監視と通知システム”[令和4年10月7日検索],インターネット<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2022/0/JSAI2022_3L4GS801/_pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自走式ロボットは、屋内を移動しながらCO2濃度を計測することができるものの、平面的なCO2濃度の計測に留まり、高さ方向を含めた立体的なCO2濃度の計測までは行うことができなかった。室内では、天井でのCO2濃度と、机の高さでのCO2濃度とで、数百[ppm]も異なるおそれもあるため、一段と正確な環境計測を行うためには高さ方向を含めた立体的なCO2濃度の計測を正確に行うことが望ましい。
【0005】
また、CO2濃度の計測だけでなく、屋内屋外も含めて、例えば、温度や、湿度、照度、放射線等を計測する際にも、「計測の空白地帯」が立体的に発生してしまうと、正確な環境計測を行うことができないため、高さ方向を含めた立体的な環境計測を正確に行うことが望まれている。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、センサから出力された検出結果に基づいて、高さ方向を含めた立体的な環境計測を正確に行うことができる自走式ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る自走式ロボットは、自律的に又は外部操作に応じて所定領域を走行する自走式ロボットであって、基台と、前記基台を所望方向に走行させる走行装置と、前記所定領域での前記基台の現在位置を検出する現在位置検出部と、前記基台の周辺環境を観測し、観測により得られた情報に基づいて検出信号を出力するセンサと、前記基台に設けられ、かつ、前記センサを高さ方向に昇降させる昇降装置と、を備え、前記昇降装置は、長尺プレートが渦巻状に巻装されて所定距離を設けて対向配置された一対の巻尺部と、一対の前記巻尺部からそれぞれ延びる前記長尺プレートの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の前記長尺プレートの自由端部同士を連結させるプレート連結部と、前記プレート連結部で連結された一対の前記長尺プレートの自由端部に設けられ、前記センサが設置されるセンサ設置部と、一対の前記巻尺部から前記長尺プレートを引き出させ、又は、一対の前記巻尺部に前記長尺プレートを巻き取らせて、前記センサ設置部を高さ方向に昇降させる昇降駆動部と、前記昇降駆動部により昇降される前記センサの高さ方向の基準位置となる最下位置に前記センサが位置決めされたことを認識する認識部と、前記最下位置に位置決めされたときの前記センサの高さ方向の位置を前記基準位置として設定し、前記基準位置からの前記センサの高さ方向の位置を検出する高さ方向検出部と、を備え、前記基台に設けた演算処理装置によって、前記現在位置検出部で検出した前記基台の現在位置と、前記高さ方向検出部で検出した前記センサの高さ方向の位置と、前記センサから出力された検出信号と、を対応付けた計測データを生成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、最下位置に位置決めされたときのセンサの高さ方向の位置を基準位置として設定し得、これにより当該基準位置からのセンサの高さ方向の位置を検出することができるので、高さ方向を含めた立体的な環境計測を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る自走式ロボットの全体構成を示す概略図である。
【
図2】昇降装置によって一対の長尺プレートを上昇させたときの様子を示す概略図である。
【
図3】3Aは、センサの最下位置を基準位置に設定する前の状態を示す拡大詳細図であり、3Bは、センサの最下位置を基準位置に設定するときの状態を示す拡大詳細図である。
【
図6】自走式ロボットの回路構成を示すブロック図である。
【
図7】ライダと長尺プレートとの位置関係を説明するための概略図である。
【
図8】他の実施形態に係る自走式ロボットの構成を示す概略図であり、8Aは、昇降装置に設けたプレート昇降機構が一方に移動したときの構成を示す概略図であり、8Bは、昇降装置に設けたプレート昇降機構が他方に移動したときの構成を示す概略図である。
【
図9】高さ方向とは異なる方向に他のセンサをスライドさせるスライド装置を備えた他の実施形態に係る自走式ロボットの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面について本発明の一実施の形態を詳述する。以下の説明において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
(1)<自走式ロボットの全体構成>
図1は、本実施形態に係る自走式ロボット1の全体構成を示す概略図である。本実施形態では、自走式ロボット1の高さ方向をz方向とし、高さ方向zと直交するx方向及びy方向を含むxy平面を自走式ロボット1が移動する移動面として以下説明する。本実施形態に係る自走式ロボット1は、基台2に走行装置3が設けられており、例えば、図示しない外部装置から受信した走行情報に基づいて走行装置3が制御される。また、自走式ロボット1は、現在位置検出部(図示せず)が設けられており、ライダ7b及び撮像センサ7cで検出した周辺環境情報に基づいて、現在位置検出部がSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術により自身が走行している現在位置を示した現在位置情報を取得し、上述した走行情報と現在位置情報とに基づいて、屋内の定められた経路に沿って所定領域を自律的に走行する。
【0012】
また、自走式ロボット1は、センサ7aが設けられた昇降装置5を基台2に有し、自走式ロボット1の周辺環境におけるCO2濃度をセンサ7aにより計測する。これにより、自走式ロボット1は、CO2濃度に応じた検出信号をセンサ7aにより取得する。自走式ロボット1は、経路に沿って移動する際に、昇降装置5を駆動させることによりセンサ7aを高さ方向zに上昇又は下降させ、所定の高さでCO2濃度をセンサ7aによって検出する。そして、自走式ロボット1は、センサ7aにより得られたCO2濃度の検出信号と、CO2濃度を計測したときのセンサ7aの高さ方向zでの位置情報(以下、高さ情報とも称する)と、CO2濃度を計測したときの自身の位置情報(例えば、単なるxy平面の座標情報)とを対応付けた計測データを生成し、得られた計測データを図示しない外部装置に送信する。
【0013】
外部装置は、自走式ロボット1が巡回する屋内領域の地図データを予め記憶しており、自走式ロボット1から受信した計測データに基づいて、当該地図データ上に、CO2濃度を計測した位置情報と、当該CO2濃度を計測したときの高さ情報と、このときの当該CO2濃度の計測値とを対応付けて重ね合わせた3D地図データを生成する。外部装置は、CO2の計測結果を高さ情報も含めて表示させた3D地図データを表示部に表示させ、管理者等に対して3D地図データを提示することにより、管理者等に視覚を介して屋内のCO2濃度の状況を把握させることができる。
【0014】
自走式ロボット1の基台2は、走行装置3が設けられた第1の基台部2aと、第1の基台部2aの上部に設置された第2の基台部2bとを有しており、第1の基台部2aに第2の基台部2bを着脱自在に設け、必要に応じて第1の基台部2aに設ける第2の基台部2bを変えることで、第1の基台部2aに搭載する電子機器を基台部単位で変更可能な構成を有している。
【0015】
第1の基台部2aは、底板2cと、底板2cに立設された4本の支柱2dとを有しており、底板2cに走行装置3が設けられた構成を有する。第2の基台部2bは、第1の基台部2aの支柱2d上に設けられた仕切り板2eと、仕切り板2eに立設された4本の支柱2fと、支柱2f上に設けられた天板2gとを有しており、仕切り板2eに昇降装置5が設けられた構成を有する。
【0016】
天板2gには、貫通孔2hが設けられており、昇降装置5から高さ方向zに延びる一対の長尺プレート11a,11bが貫通孔2hから突出しており、長尺プレート11a,11bの先端に設けた連結先端部11c上のセンサ7aが天板2gの上方に配置されている。なお、本実施形態に係る自走式ロボット1は、ライダ(LiDAR:Light Detection And Ranging)7bが設置された台座45が天板2gに設けられ、当該ライダ7bによって周辺の物体を認識可能に構成されている。なお、本実施形態に係る自走式ロボット1は、天板2gに深度センサ付きの撮像センサ7cを有しており、撮像センサ7cによって、周辺の人や物等の物体までの距離情報を得、当該物体を立体的に捉えることで周辺環境の3次元情報を取得し得る。自走式ロボット1は、ライダ7bで得られた2次元情報と、撮像センサ7cで得られた3次元情報とに基づいて、現在位置検出部により自身の現在位置を一段と正確に認識し得る。
【0017】
走行装置3は、複数の車輪3a,3b,3cと走行制御装置3dとを備えており、自走式ロボット1に設けられた演算処理装置4からの走行制御信号に基づいて走行制御装置3dが制御され、走行制御装置3dによって車輪3a,3b,3cを回転制御し、自走式ロボット1を所望する方向に移動させる。
【0018】
昇降装置5は、仕切り板2e上に固定される板状の台座9を有し、一対の巻尺部10a,10bとプレート昇降機構13とが台座9上に固定されている。プレート昇降機構13は、一対の巻尺部10a,10bからそれぞれ延びる長尺プレート11a,11bの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、重ね合わせた長尺プレート11a,11bの自由端部をそのまま高さ方向zに案内する。重ね合わせた長尺プレート11a,11bの自由端部には、センサ設置部12が設けられ、当該センサ設置部12上にセンサ7aが設けられている。
【0019】
プレート昇降機構13には、ステッピングモータ等の昇降駆動部17が設けられており、重ね合わせた長尺プレート11a,11bが当該昇降駆動部17に接触している。これにより、昇降駆動部17は、一方向に回転駆動することにより、長尺プレート11a,11bに対して上方へ向かう移動力を与えて、一対の巻尺部10a,10bからそれぞれ長尺プレート11a,11bを引き出させ、
図2に示すように、センサ設置部12を高さ方向zに沿って上昇させる。
【0020】
また、昇降駆動部17は、例えば、
図2に示すような状態において、逆方向に回転駆動することにより、長尺プレート11a,11bに対して下方へ向かう移動力を与えて、一対の巻尺部10a,10bに長尺プレート11a,11bを巻き取らせ、
図1に示すように、センサ設置部12を高さ方向zに沿って下降させる。
【0021】
なお、一対の巻尺部10a,10bに長尺プレート11a,11bを巻き取らせてセンサ設置部12が最下位置まで下降したときには、ライダ7bのレーザが出射される回転面よりも下方に、センサ設置部12上のセンサ7aが配置されるように構成されている。これにより、自走式ロボット1は、ライダ7bから出射されるレーザがセンサ7aにより妨げられずに、ライダ7bによって周辺の障害物等を検出することができる。
【0022】
プレート昇降機構13は、長尺プレート11a,11bに接触するようにロータリーエンコーダ19が設けられており、昇降する長尺プレート11a,11bの進退に応じてロータリーエンコーダ19が回転可能に構成されている。ロータリーエンコーダ19は、昇降する長尺プレート11a,11bの進退に連動して回転する回転方向や回転数に基づいて、昇降時の長尺プレート11a,11bの移動方向や移動距離を特定してセンサ7aの高さ方向zの位置を計測可能に構成されている。
【0023】
かかる構成に加えて、本実施形態では、
図3の3A及び3Bに示すように、例えば、タクトスイッチ等のスイッチ21aが天板2gの表面に設けられており、センサ設置部12が下降して最下位置である天板2gまで到達したときに、センサ設置部12の裏面に設けた接触部21bがスイッチ21aに当接し、接触部21bによってスイッチ21aを押下し得るように構成されている。
【0024】
スイッチ21aは、昇降駆動部17によりセンサ7aが下降してセンサ設置部12の接触部21bにより押下されると押下信号を検出し、得られた検出結果をロータリーエンコーダ19に出力する。これにより、ロータリーエンコーダ19は、スイッチ21aから取得した検出結果に基づいて、最下位置に到達したセンサ7aの現在の高さ方向zの位置を基準位置として設定する。
【0025】
ここで、ロータリーエンコーダ19は、相対的な回転数しか計測できないことから、センサ7aの基準位置を設定しない場合、起動時におけるセンサ7aの高さ方向zの位置が不明であり、昇降するセンサ7aの正確な高さ方向zの位置を計測することが困難となる。そのため、昇降装置5は、起動時に昇降駆動部17を駆動させ、センサ設置部12の接触部21bがスイッチ21aを押下して当該スイッチ21aで押下信号が得られるまで、一対の長尺プレート11a,11bを下降させる。これにより、ロータリーエンコーダ19は、起動時に、最下位置に到達したセンサ7aの高さ方向zの位置を基準位置として確実に設定することができ、以降、最下位置を基準位置としてセンサ7aの高さ方向zの位置を正確に計測することができる。
【0026】
(2)<昇降装置の全体構成>
次に、昇降装置5の全体構成について説明する。
図4に示すように、昇降装置5は、軽量なアルミニウムやアルミニウム合金等でなる板状の台座9と、台座9上に設けられた一対の巻尺部10a,10bと、同じく台座9上に設けられたプレート昇降機構13と、重ね合わせた一対の長尺プレート11a,11bの自由端部に設けられたセンサ設置部12と、センサ設置部12に設けられたセンサ7aと、基台2の天板2gに設けられたスイッチ21aとを有する。
【0027】
一対の各巻尺部10a,10bは、内部に各長尺プレート11a,11bがそれぞれ渦巻状に巻装されており、台座9上に所定距離を設けて対向配置されている。各巻尺部10a,10bは、内部にゼンマイバネなどの弾性部材を備えており、当該弾性部材によって、巻尺部10a,10bにそれぞれ巻装された各長尺プレート11a,11bに、当該長尺プレート11a,11bを渦巻状に巻き取る方向の力(弾性復元力)を与えている。
【0028】
各巻尺部10a,10bは、長尺プレート11a,11bが出入りする出入口が対向して配置されており、出入口から延出した長尺プレート11a,11bが、当該出入口から、巻尺部10a,10b間に設けたプレート昇降機構13に向けて台座9に沿って直線的に引き延ばされている。また、巻尺部10a,10bは、台座9上において長尺プレート11a,11bが同一直線上の位置でそれぞれ延出されるように対向配置されている。
【0029】
巻尺部10a,10bの出入口から延出した長尺プレート11a,11bは、巻尺部10a,10b間に配置したプレート昇降機構13で直角に折り曲げられ、プレート昇降機構13によって自由端部同士が重ねられた状態でそのまま高さ方向zに向けて延出される。
【0030】
ここで、長尺プレート11a,11bは、各巻尺部10a,10bからそれぞれ送り出されて外力が与えられない状態では直線状を成して移動可能な程度の剛性を有しており、さらに、プレート昇降機構13で略直角に折り曲げられ、かつ、巻尺部10a,10bにおいて渦巻状に巻き付けられる程度の弾性を有している。なお、本実施形態に係る各長尺プレート11a,11bは、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金等の長尺の帯状金属プレートで形成しているが、本発明はこれに限らず、その他、帯状樹脂プレート等によって形成するようにしてもよい。
【0031】
本実施形態に係る長尺プレート11a,11bは、同一形状及び同一部材により形成されており、自由端部の断面が弓なり状に湾曲した形状を有している。このように、長尺プレート11a,11bは、自由端部の断面が弓なり状に湾曲した形状とすることで、直線性の向上が図られているとともに、巻尺部10a,10b内での捲回性及びプレート昇降機構13での折曲性の向上が図られている。また、長尺プレート11a,11bは、自由端部の断面が弓なり状に湾曲した形状において、湾曲した表面の凹部面が外側に向けて配置され、湾曲した裏面の凸部面同士が互いに結合するように重ね合わせられて自由端部に連結先端部11cが形成されている。
【0032】
なお、巻尺部10a,10bからそれぞれ延びる長尺プレート11a,11bの自由端部をプレート昇降機構13で略直角に折り曲げるが、ここで「略直角」とは、長尺プレート11a,11bが延在する長手方向(ここではx方向)を基準として、例えば、70°以上110°以下の範囲内の角度が望ましく、この場合、これら方向に延びる方向が高さ方向となる。
【0033】
プレート昇降機構13は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属製部材で形成された筐体13a,13bを有しており、2つの長尺プレート11a,11bの各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ当該自由端部同士を連結させるプレート連結部15が筐体13a,13bに設けられている。プレート連結部15には、一方のガイドローラ15aが一方の筐体13aに回転可能に設けられ、他方のガイドローラ15bが他方の筐体13bに回転可能に設けられている。また、プレート連結部15は、ガイドローラ15a,15bが所定の隙間を設けて対向配置された構成を備え、ガイドローラ15a,15b間の隙間を通過する長尺プレート11a,11bに対向するようにガイド板24を備えている。
【0034】
プレート連結部15は、x方向から同一直線上で対向するように延出されている一対の長尺プレート11a,11bを、ガイドローラ15a,15bによってそれぞれ略直角に折り曲げてガイドローラ15a,15b間の隙間を通して高さ方向zへと案内する。ガイドローラ15a,15b間の隙間において高さ方向zに向けて延びる一対の長尺プレート11a,11bは、ガイド板24によって高さ方向zに向けて直線状に案内される。
【0035】
ガイドローラ15a,15bの上方には、当接ローラ18が一方の筐体13aに回転可能に設けられ、ローラ状の昇降駆動部17が他方の筐体13bに回転可能に設けられている。昇降駆動部17と当接ローラ18は、これら昇降駆動部17と当接ローラ18との間に長尺プレート11a,11bが通過可能なように隙間を設けて対向配置されている。
【0036】
ガイドローラ15a,15b間を通過した一対の長尺プレート11a,11bは、昇降駆動部17と当接ローラ18との間を通過するとともに、当該当接ローラ18によって昇降駆動部17に押し付けられている。これにより、長尺プレート11a,11bには、昇降駆動部17の回転駆動力が伝達される。
【0037】
昇降駆動部17は、正逆回転することにより生じる回転駆動力を長尺プレート11a,11bに与え、回転に連動させて長尺プレート11a,11bを高さ方向zに沿って往復直線運動させる。なお、本実施形態では、昇降駆動部17及び当接ローラ18の各外周面には、例えば、シリコーン系樹脂(シリコーンゴム)等のような弾性部材でなる環状体が設けられており、長尺プレート11a,11bの表面に環状体が接触することで昇降駆動部17及び当接ローラ18に対する長尺プレート11a,11bの摩擦力が高められ、昇降駆動部17の正逆回転に連動して長尺プレート11a,11bが昇降し得るように構成されている。
【0038】
昇降駆動部17及び当接ローラ18の上方には、ロータリーエンコーダ19が一方の筐体13aに回転可能に設けられ、当接ローラ20が他方の筐体13bに回転可能に設けられている。ロータリーエンコーダ19と当接ローラ20は、これらロータリーエンコーダ19と当接ローラ20との間に長尺プレート11a,11bが通過可能なように隙間を設けて対向配置されている。
【0039】
ロータリーエンコーダ19は、長尺プレート11a,11bの高さ方向zへの移動に連動して正逆回転し、この際に生じる回転方向及び回転数に基づいて、設定された基準位置からのセンサ7aの高さ方向zの位置を計測し、得られた計測結果を演算処理装置4に出力する。なお、本実施形態では、ロータリーエンコーダ19の外周面には、弾性部材でなる環状体が設けられており、長尺プレート11aの表面に環状体が接触することでロータリーエンコーダ19に対する長尺プレート11aの摩擦力が高められ、長尺プレート11a,11bの昇降に連動してロータリーエンコーダ19が確実に正逆回転し得るように構成されている。
【0040】
なお、本実施形態では、例えば、他方の筐体13bに調整長孔22aを有し、一方の筐体13aに対して、調整長孔22aの長さでx方向に他方の筐体13bを移動可能に構成されている。これにより、作業者等によって長尺プレート11a,11bの設置作業が行われる際は、一方の筐体13aに対して他方の筐体13bを調整長孔22aの長さだけ遠ざけるように移動させ、筐体13a,13b間に形成された隙間に高さ方向zに沿って長尺プレート11a,11bを配置させる。
【0041】
この状態で他方の筐体13bを調整長孔22aに沿って一方の筐体13aに近づけてゆき、ガイドローラ15a,15b間と、昇降駆動部17及び当接ローラ18間と、ロータリーエンコーダ19及び当接ローラ20間とに、それぞれ長尺プレート11a,11bを挟持させ、調整長孔22aに調整ネジ22bを螺着させることにより、他方の筐体13bの位置を固定する。これにより、プレート昇降機構13は、昇降駆動部17の正逆回転に連動して長尺プレート11a,11bを昇降させることができるとともに、長尺プレート11a,11bの昇降に連動してロータリーエンコーダ19を正逆回転させることができる。
【0042】
略直角に折り曲げられて重ね合わせられる2つの長尺プレート11a,11bの自由端部には、例えば、自由端部同士をボルト及びナットによって連結させた連結先端部11cが形成されており、連結先端部に11cにキャップ状のセンサ設置部12が被着されている。センサ設置部12は、上側の表面にセンサ7aが固定され、下側の裏面に接触部21bが設けられた構成を有し、
図3の3Bに示したように、下降して最下位置まで到達したときに、天板2gに設けたスイッチ21aが当該接触部21bに当接して当該接触部21bで当該スイッチ21aを押下する。
【0043】
なお、天板2gは、長尺プレート11a,11bが挿通される貫通孔2hの周囲に、連結板25が設けられ、重ね合わされた状態の長尺プレート11a,11bを当該連結板25の挿通孔(後述する)に挿通させている。
図5に示すように、連結板25は、板状本体25aに挿通孔25bとネジ孔25cとが穿設されている。挿通孔25bは、重ね合わされた状態の長尺プレート11a,11bの断面形状と同じ形状であって、かつ、長尺プレート11a,11bの断面形状よりも僅かに大きい形状からなり、昇降時に長尺プレート11a,11bが離間することを防止している。
【0044】
(3)<自走式ロボットの回路構成>
次に自走式ロボット1の回路構成について説明する。
図6に示すように、自走式ロボット1には、演算処理装置4と走行制御装置3dと操作部35と昇降装置5とが設けられており、演算処理装置4により走行制御装置3dと昇降装置5とが統括的に制御されている。演算処理装置4は、自走式ロボット1を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)構成の制御部31が設けられ、制御部31に対して、現在位置検出部32、送受信部33及び信号生成部34が接続された構成を有する。
【0045】
なお、
図6ではライダ7b及び撮像センサ7cは図示していないが、これらライダ7b及び撮像センサ7cは、基台2の周辺環境を観測し、観測により得られた2次元情報及び3次元情報を検出信号として演算処理装置4や走行制御装置3dに出力する。これにより、走行制御装置3dは、検出信号に基づいて車輪3a,3b,3cの駆動を制御し、基台2の周辺で検出した障害物を回避する回避動作等を実行させる。
【0046】
制御部31は、操作部35が操作されて電源が投入されると、現在位置検出部32や、送受信部33、信号生成部34、走行制御装置3d、昇降装置5等の各回路部に起動信号を出力し、当該起動信号に基づいて各回路部を起動させる。そして、制御部31は、送受信部33を介して受信した外部装置からの各種命令に応じて、自走式ロボット1全体を制御し、各種機能を実現する。
【0047】
例えば、制御部31は、送受信部33を介して受信した走行情報と、現在位置検出部32で取得した自走式ロボット1の現在位置情報とに基づいて走行制御装置3dを制御し、走行制御装置3dにより車輪3a,3b,3cを駆動させて自走式ロボット1を屋内の定められた経路に沿って所定領域を自律的に走行させる。
【0048】
昇降装置5は、昇降装置5を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)構成の昇降制御部37が設けられており、この昇降制御部37に対して、センサ7aと昇降駆動部17とロータリーエンコーダ19とスイッチ21aとが接続された構成を有する。昇降制御部37は、演算処理装置4から受け取った起動信号に基づいて昇降駆動部17を起動させ、初動動作として当該昇降駆動部17により一対の長尺プレート11a,11bを巻尺部10a,10bにそれぞれ巻き取らせ、スイッチ21aで押下信号が得られるまでセンサ設置部12を下降させる。
【0049】
スイッチ21aは、センサ設置部12が最下位置まで下降して接触部21bにより押下されたことを示す押下信号を検出すると、当該押下信号を昇降駆動部17及びロータリーエンコーダ19に出力する。これにより、昇降駆動部17は、スイッチ21aからの押下信号に基づいて停止して長尺プレート11a,11bの下降を終了し、ロータリーエンコーダ19は、スイッチ21aからの押下信号に基づいて、センサ7aの高さ方向zでの現在の高さ位置を最下位置であるとして基準位置に設定する。
【0050】
その後、昇降装置5は、演算処理装置4からの制御信号に基づいて昇降駆動部17を正逆回転させて長尺プレート11a,11bを昇降させるとともに、長尺プレート11a,11bの進退に連動して正逆回転するロータリーエンコーダ19の回転方向及び回転数に基づいて、設定された基準位置からのセンサ7aの高さ方向zの位置を計測し、得られた計測結果を演算処理装置4の信号生成部34に出力する。
【0051】
信号生成部34は、昇降装置5のロータリーエンコーダ19から得られたセンサ7aの高さ方向zの位置を示す高さ情報を取得するとともに、このときの自走式ロボット1の現在位置情報と、センサ7aから得られた検出信号とを取得する。信号生成部34は、現在位置検出部32から取得した自走式ロボット1の現在位置情報と、昇降装置5のロータリーエンコーダ19から取得したセンサ7aの高さ情報と、センサ7aから取得した検出信号とを対応付けた計測データを生成し、得られた計測データを送受信部33により外部装置に送信する。
【0052】
これにより、自走式ロボット1は、計測データに基づいて、自走式ロボット1が巡回した屋内領域の地図データ上に、CO2濃度を計測したときの高さ情報も含めてCO2濃度の計測値を重ね合わせた3D地図データを外部装置に生成させ、管理者等に対して3D地図データを介して屋内のCO2濃度の状況を把握させることができる。
【0053】
(4)<作用及び効果>
以上の構成において、自走式ロボット1は、基台2の周辺環境を観測し、観測により得られた情報に基づいて検出信号を出力するセンサ7aを高さ方向zに昇降させる昇降装置5を備え、当該昇降装置5において、一対の巻尺部10a,10bから長尺プレート11a,11bを引き出させ、又は、一対の巻尺部10a,10bに長尺プレート11a,11bを巻き取らせて、センサ設置部12を高さ方向zに昇降させる。
【0054】
これに加えて、自走式ロボット1は、認識部となるスイッチ21aにより最下位置に位置決めされたときのセンサ7aの高さ方向zの位置を基準位置として設定し、当該基準位置からのセンサ7aの高さ方向zの位置をロータリーエンコーダ19によって検出するようにした。
【0055】
このように、自走式ロボット1は、スイッチ21aにより最下位置に位置決めされたときのセンサ7aの高さ方向zの位置を基準位置として設定し得、当該基準位置からのセンサ7aの高さ方向zの位置を検出するようにしたことから、高さ方向zを含めた立体的な環境計測を正確に行うことができる。
【0056】
(5)<他の実施形態>
(5-1)<他の実施形態におけるセンサの基準位置の設定手法>
上述した実施形態においては、昇降駆動部により昇降されるセンサの高さ方向の基準位置となる最下位置にセンサを位置決めさせたことを認識する認識部として、昇降駆動部17により昇降されるセンサ7aの高さ方向zの基準位置となる最下位置にセンサ7aが位置決めされたことを認識するスイッチ21aを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、他の認識部としては、ロータリーエンコーダ19の回転状況と、昇降駆動部17の駆動状況とに基づいて、センサ7aが最下位置に到達したことを認識する認識部を適用してもよい。
【0057】
この場合、認識部は、昇降駆動部17からの駆動信号に基づいて昇降駆動部17の駆動状況を認識するとともに、ロータリーエンコーダ19の回転信号に基づいてロータリーエンコーダ19の回転状況を認識する。昇降駆動部17は、長尺プレート11a,11bを下降させることによりセンサ7aを最下位置まで下降させると、昇降駆動部17が駆動信号に基づいて駆動していてもセンサ設置部12が天板2gに当接するため、長尺プレート11a,11bやセンサ7aの移動が停止する。このため、ロータリーエンコーダ19は、長尺プレート11a,11bの移動が停止することにより回転が停止し、回転信号が生成されることはない。
【0058】
認識部は、昇降駆動部17からの駆動信号を検出するものの、ロータリーエンコーダ19から回転信号を検出できない場合、センサ7aが最下位置まで到達してセンサ設置部12が天板2gに当接していると認識し、得られた認識結果をロータリーエンコーダ19に出力する。これにより、ロータリーエンコーダ19は、認識部から取得した認識結果に基づいて、最下位置に位置決めされた現時点のセンサ7aの高さ方向zの位置を基準位置として設定し、当該基準位置からのセンサ7aの高さ方向zの位置を検出する。
【0059】
このような自走式ロボット1であっても、上述した実施形態と同様に、認識部により最下位置に位置決めされたときのセンサ7aの高さ方向zの位置を基準位置として設定し得、当該基準位置からのセンサ7aの高さ方向zの位置を検出するようにしたことから、高さ方向zを含めた立体的な環境計測を正確に行うことができる。
【0060】
(5-2)<長尺プレートの配置位置>
長尺プレート11a,11bの配置位置については、
図7に示すように、長尺プレート11a,11bの弓なり状に湾曲した凹部面を有する面が、ライダ7bから照射されるレーザL1の照射方向に対して直線上に配置されることが望ましい。これにより、自走式ロボット1は、長尺プレート11a,11bが高さ方向zに延びてセンサ設置部12が、ライダ7bのレーザが出射される回転面よりも上方に配置されていても、ライダ7bから出射されるレーザが長尺プレート11a,11bにより妨げられることを低減させることができ、その分、ライダ7bによって周辺の障害物等を検出することができる。
【0061】
(5-3)<他の実施形態に係る自走式ロボット>
上述した実施形態においては、一対の巻尺部10a,10bの間の所定位置にプレート昇降機構13を固定させた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、一対の巻尺部10a,10bの間に、プレート昇降機構13を往復直線運動可能に設ける構成としてもよい。
【0062】
ここで、
図8の8A及び8Bは、高さ方向zと直交するx方向において、プレート昇降機構13が一対の巻尺部10a,10bの間を往復直線運動可能に設けられている自走式ロボット1aの全体構成を示す。この場合、自走式ロボット1aに設けた昇降装置5aは、プレート連結部15と昇降駆動部17とロータリーエンコーダ19とが設けられたプレート昇降機構13が、一対の巻尺部10a,10bの間に設けられたガイドフレーム46に沿って往復直線運動する。
【0063】
ガイドフレーム46は、軽量なアルミニウムやアルミニウム合金等によって形成されており、両側面には長手方向(x方向)に一直線状に延びるガイド溝(図示せず)がそれぞれ形成されている。プレート昇降機構13は、ガイドフレーム46の各ガイド溝に沿って転動可能な複数のローラ50を備え、ローラ50によってガイドフレーム46に沿ってx方向に往復直線運動可能に支持されている。
【0064】
昇降装置5aには、プレート昇降機構13をガイドフレーム7に沿ってx方向に往復直線運動させるスライド駆動部(図示せず)が設けられており、スライド駆動部に設けられたモータや、当該モータとプレート昇降機構13とを連動させるタイミングベルト等によりモータの動力をプレート昇降機構13に伝える。これにより、プレート昇降機構13は、スライド駆動部の駆動力によりガイドフレーム46に沿って一対の巻尺部10a,10bの間を往復直線運動する。
【0065】
以上の構成においても、自走式ロボット1aは、上述した実施形態と同様にスイッチ21aにより最下位置に位置決めされたときのセンサ7aの高さ方向zの位置を基準位置として設定し得、当該基準位置からのセンサ7aの高さ方向zの位置を検出するようにしたことから、高さ方向zを含めた立体的な環境計測を正確に行うことができる。また、自走式ロボット1aは、必要に応じてプレート昇降機構13だけをx方向にスライド移動させることにより、基台2を移動させずにセンサ7aによりx方向における周辺環境を観測し得る。
【0066】
(5-4)<スライド装置を設けた他の実施形態に係る自走式ロボット>
上述した実施形態においては、センサ7aを高さ方向zに沿って昇降させる昇降装置5のみを1つ設けた自走式ロボット1について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、複数の昇降装置5を設けたり、
図9に示すように、昇降装置5に加えてx方向に他のセンサ7a1,7a2をスライド自在に有するスライド装置52a,52bを設けたりした自走式ロボット1bを適用してもよい。
【0067】
この場合、スライド装置52a,52bは同一構成であり、上述した昇降装置5を向きを変えて配置したものである。そのため、スライド装置52a,52bは、センサ7a1,7a2がスライドする方向がx方向となる以外は昇降装置5の構成と同じ構成となる。
【0068】
自走式ロボット1bは、基台2の第2の基台部2bの天板2gの下方に第2の仕切り板2lが設けられており、第2の仕切り板2lと、第2の仕切り板2lに立設された4本の支柱2kとでなる第3の基台部2jが設けられている。そして、第3の基台部2jの支柱2k上に天板2gが設けられている。
【0069】
そして、自走式ロボット1bは、第2の仕切り板2lにスライド装置52a,52bが設けられた構成を有する。ここで、センサ7aとは異なる他のセンサ7a1(7a2)を高さ方向zとは異なるx方向にスライドさせるスライド装置52a(52b)は、一対の長尺プレート54a(54b)がそれぞれ渦巻状に巻装されて紙面奥側に所定距離を設けて対向配置された一対の他の巻尺部53a(53b)を備えている。
【0070】
また、スライド装置52a(52b)は、一対の他の巻尺部53a(53b)からそれぞれ延びる長尺プレート54a(54b)の各自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の長尺プレート54a(54b)の自由端部同士を連結させる第2のプレート連結部を備えている。なお、
図9に示すスライド装置52a,52bでは、第2のプレート連結部を構成するガイドローラ15a,15bのみをそれぞれ図示している。
【0071】
第2のプレート連結部で連結された一対の長尺プレート54a(54b)の自由端部には、他のセンサ7a1(7a2)が設置される第2のセンサ設置部12a(12b)が設けられている。
図9では、同一構成のスライド装置52a,52bが左右対称に設けられており、例えば、スライド装置52aに着目すると、昇降駆動部17と同様の構成でなるスライド駆動部17a(ローラ18aと対向する紙面奥側の位置にあり、スライド装置52aでは図示せず)によって、一対の他の巻尺部53aから長尺プレート54aを引き出させ、又は、一対の他の巻尺部53aに長尺プレート54aを巻き取らせて、第2のセンサ設置部12aをx方向にスライドさせる。
【0072】
また、スライド装置52a(52b)には、スライド駆動部17aによりスライドされる他のセンサ7a1(7a2)の移動方向の基準位置となる所定位置に他のセンサ7a1(7a2)を位置決めされたことを認識する第2のスイッチ21cを有する。この第2のスイッチ21cは、例えば、基台2の支柱2kに設けられている。
【0073】
移動方向検出部となるロータリーエンコーダ19は、スライド駆動部17aにより第2のセンサ設置部12aがスライドされて当該第2のスイッチ21cを押下することで生成された押下信号を取得し、押下信号と取得したときの他のセンサ7a1のスライド方向(x方向)の位置を基準位置として設定し、基準位置からの他のセンサ7a1のスライド方向の位置を検出する。
【0074】
そして、スライド装置52a,52bは、図示しない演算処理装置に設けた信号生成部によって、ロータリーエンコーダ19で検出した他のセンサ7a1(7a2)のスライド方向の位置と、センサ7a1(7a2)から取得した検出信号と、現在位置検出部32から取得した自走式ロボット1bの現在位置情報と、昇降装置5のロータリーエンコーダ19から取得したセンサ7aの高さ情報と、センサ7aから取得した検出信号とを対応付けた計測データを生成し、得られた計測データを送受信部33により外部装置に送信する。
【0075】
これにより、自走式ロボット1bは、計測データに基づいて、自走式ロボット1が巡回した屋内領域の地図データ上に、CO2濃度を計測したときの高さ方向zでの位置や、当該高さ方向zと異なるx方向での位置も含めて、CO2濃度の複数の計測値を重ね合わせた3D地図データを外部装置に生成させ、管理者等に対して3D地図データを介して屋内のCO2濃度の状況を把握させることができる。
【0076】
(5-5)<その他>
なお、上述した実施形態においては、基台の周辺環境を観測し、観測により得られた情報に基づいて検出信号を出力するセンサとして、基台2の周辺環境のCO2濃度を観測し、観測により得られた情報に基づいてCO2濃度の計測値を示す検出信号を出力するセンサ7aを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば、その他のガスセンサや、温度センサ、湿度センサ、照度センサ、放射線センサ、近接センサ、磁気センサ、撮像センサ、気圧センサ、加速度センサ、騒音センサ又は音響センサのいずれかを、昇降装置5に設置するセンサとして適用してもよい。一例としては、上述した実施形態のライダ7b又は撮像センサ7cを、センサ7aに替えてセンサ設置部12に設置してもよく、また、センサ7a、ライダ7b及び撮像センサ7c等の複数のセンサをセンサ設置部12に設置するようにしてもよい。
【0077】
また、上述した実施形態においては、自走式ロボットとして、自律的に所定領域を走行する自走式ロボット1を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、管理者等による外部操作に応じて所定領域を走行する自走式ロボットを適用してもよい。この場合、昇降装置5についても、管理者等による外部操作に応じてセンサ7aを高さ方向zに昇降させるようにしてもよい。
【0078】
また、上述した実施形態においては、現在位置検出部として、ライダ7b及び撮像センサ7cで検出した周辺環境情報を用いてSLAM技術により所定領域での基台2の現在位置を検出する現在位置検出部32を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、GPS等を利用して所定領域での基台2の現在位置を検出する現在位置検出部を適用してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1,1a,1b 自走式ロボット
2 基台
3 走行装置
4 演算処理装置
5 昇降装置
7a センサ
10a,10b 巻尺部
11a,11b 長尺プレート
12 センサ設置部
17 昇降駆動部
19 ロータリーエンコーダ(高さ方向検出部)
21a スイッチ(認識部)
32 現在位置検出部
33 送受信部(送信部)
【要約】
【課題】センサから出力された検出結果に基づいて、高さ方向を含めた立体的な環境計測を正確に行うことができる自走式ロボットを提供する。
【解決手段】自走式ロボット1は、認識部となるスイッチ21aにより最下位置に位置決めされたときのセンサ7aの高さ方向zの位置を基準位置として設定し、当該基準位置からのセンサ7aの高さ方向zの位置をロータリーエンコーダ19によって検出するようにした。このように、自走式ロボット1は、スイッチ21aにより最下位置に位置決めされたときのセンサ7aの高さ方向zの位置を基準位置として設定し得、当該基準位置からのセンサ7aの高さ方向zの位置を検出するようにしたことから、高さ方向zを含めた立体的な環境計測を正確に行うことができる。
【選択図】
図1