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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】無線信号送信装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/06 20060101AFI20240404BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H02K7/06 Z
H04B1/04 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020054686
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021158726
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】391019681
【氏名又は名称】株式会社コムテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】立脇 進太郎
(72)【発明者】
【氏名】野村 徹
(72)【発明者】
【氏名】安江 透
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-084226(JP,A)
【文献】特開2002-084726(JP,A)
【文献】特開2019-000404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/00- 7/20
H04B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外力の印加により発電するように構成された発電部と、
前記発電部で発電されると、前記発電部による発電電力を用いて無線信号を出力するように構成された信号出力部と、
を備える無線信号送信装置であって、
前記発電部は、
第1方向への前記外力の印加により前記第1方向に移動するとともに、前記第1方向とは異なる第2方向への前記外力の印加により前記第2方向に移動するように構成された外力受け部と、
前記外力受け部を介して前記外力が印加されると弾性変形するように構成された弾性変形部と、
前記外力により弾性変形した前記弾性変形部が前記外力を印加されていない自由状態に戻るときの復元力を回転運動に変換するように構成された力変換部と、
前記力変換部の前記回転運動を用いて前記発電電力を生成するように構成された電力生成部と、
を備え、
前記外力受け部は、前記外力の印加により往復移動するように構成され、
前記第1方向は、前記往復移動の往路方向であり、
前記第2方向は、前記往復移動の復路方向である、
無線信号送信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線信号送信装置であって、
前記電力生成部は、前記外力受け部の前記第1方向への移動に伴い生成される前記発電電力における発電電圧の極性と、前記外力受け部の前記第2方向への移動に伴い生成される前記発電電力における前記発電電圧の極性と、が異なるように構成され、
前記信号出力部は、
前記発電電圧の前記極性に基づいて、前記外力受け部が前記第1方向および前記第2方向のうちいずれの方向に移動したのか判定するように構成された方向判定部と、
前記方向判定部にて前記第1方向と判定されることに応じて第1無線信号を出力し、前記方向判定部にて前記第2方向と判定されることに応じて第2無線信号を出力するように構成された信号制御部と、
を備える。
無線信号送信装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の無線信号送信装置であって、
前記弾性変形部は、前記外力受け部が前記第1方向に移動することに応じて前記弾性変形部が弾性変形したときの第1弾性変形状態と、前記外力受け部が前記第2方向に移動することに応じて前記弾性変形部が弾性変形したときの第2弾性変形状態と、が異なる状態となるように構成され、
さらに、前記弾性変形部は、前記第1弾性変形状態から前記自由状態に戻ろうとする前記復元力として第1復元力を発生し、前記第2弾性変形状態から前記自由状態に戻ろうとする前記復元力として第2復元力を発生するように構成され、
前記力変換部は、前記弾性変形部の前記第1復元力により生じる前記回転運動の第1回転方向と、前記弾性変形部の前記第2復元力により生じる前記回転運動の第2回転方向と、が異なる回転方向となるように構成されている、
無線信号送信装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の無線信号送信装置であって、
前記力変換部は、前記弾性変形部が弾性変形状態であることに応じて、前記弾性変形部から前記電力生成部に至る前記復元力の伝達経路を確立し、前記弾性変形部が前記自由状態であることに応じて、前記復元力の前記伝達経路を遮断するように構成された伝達切替部を備え、
前記電力生成部は、前記回転運動とともに回転するように構成された回転錘を備える、
無線信号送信装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の無線信号送信装置であって、
前記力変換部は、前記弾性変形部の前記復元力から変換された前記回転運動の回転数を増加させて、増加された回転運動を前記電力生成部に伝達するように構成された回転数増加部を備える、
無線信号送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線信号送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源からの電力を用いて無線信号を送信するように構成された無線信号送信装置がある。無線信号送信装置は、無線信号を送信することで、離れた場所へ情報を送信することができる。
【0003】
無線信号送信装置の電源は、例えば、商用電源や太陽光発電装置などで構成できる。また、電源は、外部から印加される外力を用いて発電する発電装置で構成してもよい(特許文献1)。このような発電装置は、無線信号を出力する信号出力部の近くに配置できる。
【0004】
このため、無線信号送信装置は、外力を用いて発電する発電装置を備えることで、商用電源や太陽光発電装置を用いる場合のように、信号出力部までの電力配線を敷設する必要がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開2018/123712号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の発電装置は、発電に利用される外力が単一方向であるため、外力を利用して発電できる状況が限定されてしまう。
つまり、このような発電装置を備える無線信号送信装置は、方向の異なる複数の外力を利用できる環境下であっても、外力を用いて発電するにあたり、複数の外力のそれぞれを活用できない可能性がある。
【0007】
そこで、本開示の一局面における無線信号送信装置は、方向の異なる複数の外力のそれぞれを用いて発電し、その発電電力に基づいて無線信号を送信できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一局面における無線信号送信装置は、発電部と、信号出力部と、を備える。発電部は、外力の印加により発電する。信号出力部は、前記発電部で発電されると、前記発電部による発電電力を用いて無線信号を出力する。
【0009】
前記発電部は、外力受け部と、弾性変形部と、力変換部と、電力生成部と、を備える。
外力受け部は、第1方向への前記外力の印加により第1方向に移動するとともに、前記第1方向とは異なる第2方向への前記外力の印加により第2方向に移動する。弾性変形部は、前記外力受け部を介して前記外力が印加されると弾性変形する。力変換部は、前記外力により弾性変形した前記弾性変形部が外力を印加されていない自由状態に戻るときの復元力を回転運動に変換する。電力生成部は、前記力変換部の前記回転運動を用いて前記発電電力を生成する。
【0010】
この無線信号送信装置の発電部は、外力受け部が第1方向に移動するための外力と、外力受け部が第2方向に移動するための外力と、を用いて発電できる。よって、この無線信号送信装置は、方向の異なる複数の外力を用いて発電でき、その発電電力に基づいて無線信号を送信できる。
【0011】
また、この無線信号送信装置は、外力受け部に外力が印加されると無線信号を送信する。このため、この無線信号送信装置は、外力受け部に外力が印加されたことを、離れた場所に対して通知することができる。
【0012】
次に、上記の無線信号送信装置では、前記電力生成部は、前記外力受け部の前記第1方向への移動に伴い生成される前記発電電力における発電電圧の極性と、前記外力受け部の前記第2方向への移動に伴い生成される前記発電電力における前記発電電圧の極性と、が異なるように構成されてもよい。
【0013】
前記信号出力部は、方向判定部と、信号制御部と、を備えてもよい。
方向判定部は、前記発電電圧の前記極性に基づいて、前記外力受け部が前記第1方向および前記第2方向のうちいずれの方向に移動したのか判定してもよい。信号制御部は、前記方向判定部にて前記第1方向と判定されることに応じて第1無線信号を出力してもよい。信号制御部は、前記方向判定部にて前記第2方向と判定されることに応じて第2無線信号を出力してもよい。
【0014】
この無線信号送信装置は、第1無線信号または第2無線信号を送信することで、外力受け部に外力が印加されたか否かに加えて、印加された外力の方向を通知することができる。
【0015】
また、この無線信号送信装置は、例えば、複数の方向に移動する監視対象物からの外力が外力受け部に印加されるように設置することで、監視対象物が移動したことのみならず、監視対象物の移動方向を通知することができる。これにより、この無線信号送信装置は、監視対象物が移動したことに加えて、監視対象物の移動方向を、この無線信号送信装置から離れた場所に通知することができる。
【0016】
次に、上記の無線信号送信装置では、前記弾性変形部は、第1弾性変形状態と、第2弾性変形状態と、が異なる状態となるように構成されてもよい。第1弾性変形状態は、前記外力受け部が前記第1方向に移動することに応じて前記弾性変形部が弾性変形したときの状態である。第2弾性変形状態は、前記外力受け部が前記第2方向に移動することに応じて前記弾性変形部が弾性変形したときの状態である。
【0017】
さらに、前記弾性変形部は、前記第1弾性変形状態から前記自由状態に戻ろうとする前記復元力として第1復元力を発生してもよい。前記弾性変形部は、前記第2弾性変形状態から前記自由状態に戻ろうとする前記復元力として第2復元力を発生してもよい。
【0018】
前記力変換部は、第1回転方向と、第2回転方向と、が異なる回転方向となるように構成されてもよい。第1回転方向は、前記弾性変形部の第1復元力により生じる前記回転運動の回転方向である。第2回転方向は、前記弾性変形部の第2復元力により生じる前記回転運動の回転方向である。
【0019】
このような弾性変形部は、外力受け部の移動方向(第1方向、第2方向)に応じて、弾性変形状態(第1弾性変形状態、第2弾性変形状態)が変化する。このため、力変換部の回転運動の方向(第1回転方向、第2回転方向)は、外力受け部の移動方向に応じて変化する。
【0020】
よって、この無線信号送信装置は、外力受け部に外力が印加されたか否かに加えて、外力の方向が第1方向であるのか第2方向であるのかも、無線信号によって通知することができる。なお、弾性変形部は、例えば、コイルバネや板バネを用いて構成してもよい。
【0021】
次に、上記の無線信号送信装置では、前記力変換部は、伝達切替部を備えてもよい。伝達切替部は、前記弾性変形部が弾性変形状態であることに応じて、前記弾性変形部から前記電力生成部に至る前記復元力の伝達経路を確立してもよい。伝達切替部は、前記弾性変形部が前記自由状態であることに応じて、前記復元力の前記伝達経路を遮断してもよい。前記電力生成部は、前記回転運動とともに回転するように構成された回転錘を備えてもよい。
【0022】
この無線信号送信装置では、前記弾性変形部が弾性変形状態から自由状態に戻った後、前記回転錘の慣性によって、前記電力生成部の前記回転運動を継続できる。つまり、この無線信号送信装置は、前記回転錘を備えない構成に比べて、前記電力生成部の前記回転運動をより長い時間にわたり継続できるため、前記発電部での発電時間をより長くすることができる。
【0023】
次に、上記の無線信号送信装置では、前記力変換部は、回転数増加部を備えてもよい。回転数増加部は、前記弾性変形部の前記復元力から変換された前記回転運動の回転数を増加させて、増加された回転運動を前記電力生成部に伝達する。
【0024】
この無線信号送信装置は、回転数増加部を備えることで、前記弾性変形部の前記復元力により生じる回転運動の回転数に比べて、前記電力生成部に伝達する回転運動の回転数を増加できる。これにより、この無線信号送信装置は、前記電力生成部での発電量を増大できる。なお、回転数増加部は、例えば、歯数の異なる複数の回転歯車を備えて構成してもよい。
【0025】
次に、上記の無線信号送信装置では、前記外力受け部は、前記外力の印加により往復移動するように構成されてもよい。前記第1方向は、前記往復移動の往路方向であってもよい。前記第2方向は、前記往復移動の復路方向であってもよい。
【0026】
外力受け部が往復移動するように構成されることで、無線信号送信装置は、外力の印加方向が往復移動方向である用途に適したものとなる。
次に、上記の無線信号送信装置では、前記外力受け部は、前記力変換部と一体に固定されると共に、前記外力の印加により前記回転運動の回転軸を回動中心として回動するように構成されてもよい。前記第1方向は、前記回動の回動方向における第1回動方向であってもよい。前記第2方向は、前記回動の回動方向における前記第1回動方向とは反対の第2回動方向であってもよい。
【0027】
外力受け部が回動するように構成されることで、無線信号送信装置で、外力の印加方向が回動方向である用途に適したものとなる。
なお、この無線信号送信装置は、外力の印加によって発電された発電電力を動力源として無線信号を出力する。このため、この無線信号送信装置は、バッテリなどの電力源を備えること無く、無線信号を送信することができる。
【0028】
また、この無線信号送信装置は、外力の印加に応じて無線信号を出力するため、外力が印加されたことを無線信号によって通知できる。このため、この無線信号送信装置は、外力が印加されたことを、信号ケーブルの敷設を行うこと無く、この無線信号送信装置から離れた場所に通知することができる。
【0029】
さらに、この無線信号送信装置は、監視対象物の動作に伴う外力の印加によって移動部が移動するように構成することで、監視対象物が移動したことを無線信号によって通知できる。このため、この無線信号送信装置は、監視対象物が移動したことを、信号ケーブルの敷設を行うこと無く、この無線信号送信装置から離れた場所に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1実施形態の無線信号送信装置の全体構成を表すブロック図である。
図2】電圧判定回路の電気的構成を示す回路図である。
図3】筐体の一部を破断して発電部の内部構成を表した第1斜視図である。
図4】筐体の一部を破断して発電部の内部構成を表した第2斜視図である。
図5】外力受け部の移動に伴う発電部の発電プロセスを表した説明図である。
図6】第2実施形態の発電部の構成を表す分解斜視図である。
図7】第3実施形態の発電部の構成を表す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
尚、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0032】
[1.第1実施形態]
[1-1.全体構成]
本実施形態の無線信号送信装置1は、監視対象物の移動または動作を検出して、無線信号を出力するように構成されている。
【0033】
無線信号送信装置1は、例えば、車両ガレージにおけるシャッター扉の動作監視などに用いることができる。具体的には、シャッター扉の移動(開移動および閉移動)に伴い生じる付勢力(外力)が無線信号送信装置1に印加されるように、無線信号送信装置1を配置する。このような無線信号送信装置1は、シャッター扉の移動に伴う外力によって発電し、その発電電力を用いて無線信号を出力する。これにより、無線信号送信装置1は、シャッター扉の移動を、無線信号送信装置1から離れた場所に通知することができる。
【0034】
図1に示すように、無線信号送信装置1は、発電部11と、信号出力部12と、を備える。
発電部11は、外力が印加されることで発電するように構成されている。発電部11は、外力受け部31を備えている。外力受け部31は、外力の印加により移動するように構成されている。外力受け部31は、外力の印加により第1方向D1および第2方向D2に移動するように構成されている。第1方向D1は、図1での上向き方向であり、第2方向D2は、図1での下向き方向である。つまり、第1方向D1は、第2方向D2とは異なる方向である。
【0035】
発電部11の発電電力に関しては、外力受け部31の第1方向D1への移動に伴い生成される発電電力における発電電圧の極性と、外力受け部31の第2方向D2への移動に伴い生成される発電電力における発電電圧の極性と、が互いに異なる。図2に示すように、発電部11は、発電電力を出力するための第1出力端子11aおよび第2出力端子11bを備える。
【0036】
なお、発電部11の詳細構成は、後述する。
[1-2.信号出力部]
信号出力部12は、電圧判定回路13と、制御部15と、電圧調整部16と、電圧監視回路17と、RF回路18と、アンテナ19と、を備える。
【0037】
電圧判定回路13は、整流回路21と、充電池23と、方向判定部25と、を備える。さらに、電圧判定回路13は、図2に示すように、電圧出力端子13aと、判定出力端子13bと、を備える。電圧出力端子13aは、正極端子13a1と、負極端子13a2と、を備える。判定出力端子13bは、第1判定端子13b1と、第2判定端子13b2と、を備える。
【0038】
整流回路21は、ブリッジ回路21aと、コンデンサ21bと、を備える。
ブリッジ回路21aは、4つのダイオードDA1~DA4を備える。ブリッジ回路21aは、第1入力端子21a1と、第2入力端子21a2と、第1出力端子21a3と、第2出力端子21a4と、を備える。第1入力端子21a1は、発電部11の第1出力端子11aに接続される。第2入力端子21a2は、発電部11の第2出力端子11bに接続される。第1出力端子21a3は、正極端子13a1に接続される。第2出力端子21a4は、負極端子13a2に接続される。
【0039】
ブリッジ回路21aは、第1入力端子21a1および第2入力端子21a2に入力される電流を整流して、整流後の電流を第1出力端子21a3および第2出力端子21a4から出力する。このとき、第1出力端子21a3は正極であり、第2出力端子21a4は負極である。
【0040】
コンデンサ21bの第1端子は、ブリッジ回路21aの第1出力端子21a3に接続されている。コンデンサ21bの第2端子は、ブリッジ回路21aの第2出力端子21a4に接続されている。コンデンサ21bは、ブリッジ回路21aの出力電圧を平滑化する。
【0041】
整流回路21は、コンデンサ21bによって平滑化された電圧を、正極端子13a1および負極端子13a2に出力する。
充電池23は、充電可能な二次電池を備えている。充電池23は、コンデンサ21bに並列に接続される。充電池23は、整流回路21から供給される電力によって充電される。充電池23は、整流回路21の出力電圧が低下した場合には、正極端子13a1および負極端子13a2に電圧を出力する。なお、充電池23は、二次電池に限られることはない。例えば、充電池23は、電気二重層コンデンサを備えてもよい。充電池23は、高容量コンデンサを備えてもよい。
【0042】
方向判定部25は、第1比較器25aと、第2比較器25bと、第1振幅制限回路25cと、第2振幅制限回路25dと、を備える。
第1比較器25aは、非反転入力端子+と、反転入力端子-と、出力端子25a1と、を備える。非反転入力端子+は、第1振幅制限回路25cを介して発電部11の第2出力端子11bに接続されている。反転入力端子-は、ブリッジ回路21aの第2出力端子21a4に接続されている。出力端子25a1は、第1判定端子13b1に接続されている。第1比較器25aは、例えば、オペアンプを用いて構成してもよい。第1振幅制限回路25cは、抵抗器(図示省略)と、ダイオード(図示省略)と、を備える。第1振幅制限回路25cは、入力された電圧を抵抗器で適切に分圧し、ダイオードなどにより波形振幅を制限するように構成されている。
【0043】
第2比較器25bは、非反転入力端子+と、反転入力端子-と、出力端子25b1と、を備える。非反転入力端子+は、第2振幅制限回路25dを介して発電部11の第1出力端子11aに接続されている。反転入力端子-は、ブリッジ回路21aの第2出力端子21a4に接続されている。出力端子25b1は、第2判定端子13b2に接続されている。第2比較器25bは、例えば、オペアンプを用いて構成してもよい。第2振幅制限回路25dは、抵抗器(図示省略)と、ダイオード(図示省略)と、を備える。第2振幅制限回路25dは、入力された電圧を抵抗器で適切に分圧し、ダイオードなどにより波形振幅を制限するように構成されている。
【0044】
方向判定部25は、発電部11での発電電圧の極性に応じて、第1判定端子13b1および第2判定端子13b2のうちいずれか一方からハイレベル信号を出力するように構成されている。方向判定部25は、第1出力端子11aが正極、第2出力端子11bが負極であることに応じて、第2判定端子13b2からハイレベル信号を出力する。方向判定部25は、第1出力端子11aが負極、第2出力端子11bが正極であることに応じて、第1判定端子13b1からハイレベル信号を出力する。
【0045】
方向判定部25は、発電部11の発電電圧の極性に基づいて、外力受け部31が第1方向D1および第2方向D2のうちいずれの方向に移動したのか判定するように構成されている。
【0046】
電圧調整部16は、自動電圧調整器(AVR)を備えている。電圧調整部16は、入力電圧を、予め定められた電圧値の電圧に変換し、変換後の電圧を出力するように構成されている。電圧調整部16は、電圧判定回路13の出力電圧を、予め定められた駆動電圧VCC(例えば、5V)に電圧変換して出力する。駆動電圧VCCは、制御部15,RF回路18,方向判定部25などに供給される。電圧調整部16は、電圧変動が抑制された安定した駆動電圧VCCを、制御部15などに供給するために備えられる。
【0047】
電圧監視回路17は、電圧判定回路13の出力電圧を監視して、監視結果を制御部15に通知するように構成されている。電圧監視回路17は、電圧判定回路13の出力電圧を表す電圧監視信号Svを制御部15に送信する。
【0048】
制御部15は、発電部11による発電電力を用いて各種処理を実行するように構成されている。制御部15は、CPU15aと、メモリ15bと、を備える。メモリ15bは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含む半導体メモリである。CPU15aは、メモリ15bに記憶されている各種プログラムを実行することにより、各種の処理を実行する。
【0049】
制御部15は、駆動電圧VCCが供給されることで起動する。制御部15は、起動後に無線信号送信処理を実行する。
制御部15は、無線信号送信処理を開始すると、まず、方向判定部25の判定結果を確認する。つまり、制御部15は、第1判定端子13b1および第2判定端子13b2のうちいずれがハイレベル信号を出力しているかを判定する。
【0050】
制御部15は、第1判定端子13b1がハイレベル信号を出力している場合には、外力受け部31が第2方向D2に移動していると判定する。これに伴い、制御部15は、第2無線信号Sm2を出力するための駆動指令信号を、RF回路18に送信する。制御部15は、第2判定端子13b2がハイレベル信号を出力している場合には、外力受け部31が第1方向D1に移動していると判定する。これに伴い、制御部15は、第1無線信号Sm1を出力するための駆動指令信号を、RF回路18に送信する。
【0051】
制御部15は、RF回路18に対して駆動指令信号を出力すると、無線信号送信処理を終了する。
つまり、制御部15は、方向判定部25にて第1方向D1と判定されることに応じて第1無線信号Sm1を出力する。制御部15は、方向判定部25にて第2方向D2と判定されることに応じて第2無線信号Sm2を出力する。
【0052】
RF回路18は、制御部15からの駆動指令信号に基づいて、アンテナ19から無線信号を出力するように構成されている。無線信号には、第1無線信号Sm1および第2無線信号Sm2が含まれる。
【0053】
上述のように、信号出力部12は、発電部11で発電されると、発電部11による発電電力を用いて無線信号を出力するように構成されている。
[1-3.発電部]
図3図4に示すように、発電部11は、外力受け部31と、筐体32と、第1歯車33と、トーションバネ34と、増速歯車35と、第1傘歯車37と、第2傘歯車39と、電力生成部41と、バネホルダ43と、を備える。
【0054】
外力受け部31は、長尺板状の部材である。外力受け部31は、4つの切り欠き部31aと、2つの延設部31bと、を備えている。
4つの切り欠き部31aは、長尺板状の長辺に相当する2つの側面に形成されている。詳細には、2つの側面のうち1つの側面に対して、2つの切り欠き部31aが形成されている。2つの延設部31bは、長尺板状の短辺に相当する2つの側面のうち1つの側面に備えられている。2つの延設部31bは、前記1つの側面から延設されている。2つの延設部31bは、互いに離れた状態で形成されている。
【0055】
筐体32は、第1端32cおよび第2端32dがそれぞれ開口した筒状の部材である。筐体32は、外力受け部31の一部、第1歯車33、トーションバネ34、増速歯車35、第1傘歯車37、第2傘歯車39、電力生成部41の一部、バネホルダ43、を収容するように構成されている。図3および図4では、筐体32の一部を破断して表すことで、筐体32の内部構造を表している。
【0056】
筐体32は、内面に4つの突条部32aを備えている。4つの突条部32aは、4つの切り欠き部31aに対応した位置に形成されている。
外力受け部31は、4つの切り欠き部31aの各々が4つの突条部32aに嵌め合わされた状態で、筐体32に配置される。このとき、外力受け部31の一部は、筐体32の外側に配置される。外力受け部31は、4つの突条部32aに案内されながら、筐体32の内部を往復移動することができる。このため、外力受け部31における筐体32の外側に配置された部分に外力が印加されると、外力受け部31は、外力の印加方向に応じて、4つの突条部32aに沿って移動する。
【0057】
つまり、外力受け部31は、第1方向D1(図5参照)への外力の印加により第1方向D1に移動する。さらに、外力受け部31は、第1方向D1とは異なる第2方向D2(図5参照)への外力の印加により第2方向D2に移動する。
【0058】
第1歯車33は、歯車部33aと、2つのトリガピン33bと、を備える。歯車部33aは、2つのトリガピン33bと一体に形成されている。歯車部33aは、回転できる状態で筐体32の内部に支持されている。2つのトリガピン33bは、それぞれ、外力受け部31が往復移動するときに、2つの延設部31bと当接する位置に形成されている。
【0059】
トーションバネ34は、コイルバネ34aと、第1突出部34bと、第2突出部34cと、を備える。コイルバネ34aの第1端は、第1突出部34bに連結されている。コイルバネ34aの第2端は、第2突出部34cに連結されている。第1突出部34bは、2つのトリガピン33bのうちの1つのトリガピン33bに係合している。第2突出部34cは、バネホルダ43を介して筐体32に固定されている。トーションバネ34は、外力受け部31およびトリガピン33bを介して外力が印加されると弾性変形する。
【0060】
トーションバネ34に外力が印加されていない自由状態においては、トーションバネ34は、第1突出部34bと第2突出部34cとの相対位置が一定になるように弾性変形する。これにより、トーションバネ34は、筐体32の内部においてトリガピン33bが所定の静止位置に配置されるように、トリガピン33bに対して付勢力を印加する。換言すれば、トーションバネ34は、第1歯車33の回動位置が所定の回動静止位置となるように、第1歯車33に対して付勢力を印加する。
【0061】
トーションバネ34は、外力受け部31が第1方向D1に移動することに応じて弾性変形する状態(以下、第1弾性変形状態ともいう)と、外力受け部31が第2方向D2に移動することに応じて弾性変形する状態(以下、第2弾性変形状態ともいう)と、が異なる状態となる。具体的には、第1弾性変形状態での第1突出部34bと第2突出部34cと相対位置は、第2弾性変形状態での第1突出部34bと第2突出部34cと相対位置とは異なる。換言すれば、第1弾性変形状態でのコイルバネ34aの巻線方向における変形状態は、第2弾性変形状態でのコイルバネ34aの巻線方向における変形状態とは異なる。
【0062】
トーションバネ34は、第1弾性変形状態から自由状態に戻ろうとする復元力として第1復元力を発生する。トーションバネ34は、第2弾性変形状態から自由状態に戻ろうとする復元力として第2復元力を発生する。
【0063】
第1歯車33において、トーションバネ34の第1復元力により生じる回転運動の回転方向(以下、第1回転方向ともいう)は、図5の最下段に示す回転力F3の方向である。第1歯車33において、トーションバネ34の第2復元力により生じる回転運動の回転方向(以下、第2回転方向ともいう)は、図5の中段に示す回転力F2の方向である。第1歯車33は、第1回転方向と、第2回転方向と、が異なる回転方向となるように構成されている。
【0064】
増速歯車35は、小径歯車35aと、大径歯車35bと、を備える。小径歯車35aの歯数は、大径歯車35bの歯数よりも少ない。小径歯車35aは、歯車部33aと噛み合う。大径歯車35bは、第1傘歯車37と噛み合う。増速歯車35は、小径歯車35aの歯数と大径歯車35bの歯数との違いに基づいて、第1歯車33(詳細には、歯車部33a)から伝達された回転数を増大させて第1傘歯車37に伝達することができる。
【0065】
第1傘歯車37は、大径歯車35bに噛み合うと共に、第2傘歯車39に噛み合うように構成されている。第1傘歯車37および第2傘歯車39は、第1歯車33で生じた回転運動(以下、第1回転運動RM1ともいう)を、回転方向が異なる回転運動(以下、第2回転運動RM2ともいう)に変換する。本実施形態では、第1回転運動RM1の回転軸は、筐体32の長手方向(換言すれば、第1端32cと第2端32dとを結ぶ方向)に垂直である。第2回転運動RM2の回転軸は、筐体32の長手方向に平行である。
【0066】
第2傘歯車39は、電力生成部41に連結されている。
電力生成部41は、第2傘歯車39の回転運動のエネルギを用いて発電電力を生成するように構成されている。電力生成部41は、駆動軸41aを備える。駆動軸41aは、回転運動の機械的エネルギが与えられることで回転するように構成されている。
【0067】
電力生成部41は、駆動軸41aに与えられた回転運動の機械的エネルギを電磁誘導によって電気エネルギに変換するように構成された発電機を備える。電力生成部41は、発電電力の出力部(図示省略)が、第1出力端子11aおよび第2出力端子11bに接続されている。
【0068】
電力生成部41は、第2傘歯車39の回転方向に応じて、発電電圧の極性が異なるように構成されている。例えば、電力生成部41は、第2傘歯車39が時計回りに回転すると、第1出力端子11aが正極、第2出力端子11bが負極となる発電電力を生成するように構成されている。この場合、電力生成部41は、第2傘歯車39が反時計回りに回転すると、第1出力端子11aが負極、第2出力端子11bが正極となる発電電力を生成する。
【0069】
つまり、発電部11は、外力受け部31に外力が印加されることに応じて、電力生成部41に機械的エネルギが入力されると、電気エネルギとしての発電電力を第1出力端子11aおよび第2出力端子11bから出力する。
【0070】
ここで、外力受け部31に外力が印加されることで発電部11が発電する一連の動作を、図5を用いて説明する。
まず、外力受け部31に外力が印加されていない定常状態であって、外力受け部31が筐体32の最下部に配置される第1定常状態を、図5の最上段に示す。第1定常状態では、外力受け部31とトリガピン33bとが離れており、外力受け部31からトリガピン33bに対して付勢力は印加されていない。これにより、トリガピン33bは、トーションバネ34の付勢力によって所定の静止位置に配置される。さらに、第1歯車33は、トーションバネ34の付勢力によって所定の回動静止位置に位置決めされる。
【0071】
そして、外力受け部31に第1方向D1の外力が印加されて、外力受け部31が第1方向D1に移動すると、外力受け部31の2つの延設部31bが2つのトリガピン33bに当接する(図5の中段参照)。これにより、外力受け部31から2つのトリガピン33bに対して付勢力F1が印加される。このあと、トリガピン33bの移動に伴い、第1歯車33に回転力F2が生じて、第1歯車33が回転する。このとき、トリガピン33bの移動に伴い、トーションバネ34は弾性変形する。
【0072】
さらに、外力受け部31が第1方向D1に移動して、筐体32の最上部に配置されるまでの間に、外力受け部31の2つの延設部31bから2つのトリガピン33bが外れる。すると、トーションバネ34は、トリガピン33bの付勢力によって弾性変形した状態から、トリガピン33bの付勢力が印加されていない自由状態になる。このとき、トーションバネ34は、弾性変形状態から自由状態に戻ろうとする復元力(第1復元力)を発生する。第1歯車33は、トーションバネ34の復元力により生じる回転力F3が印加されて回転する。
【0073】
トーションバネ34の復元力は、外力受け部31を介した外力に起因する付勢力に比べて大きい。このため、回転力F3による回転速度は、回転力F2による回転速度よりも高速である。このように回転運動の回転速度が高速になるに従い、発電部11での電磁誘導による発電量は大きくなる。
【0074】
このようにして、発電部11は、外力受け部31に外力が印加されることで発電することができる。
発電部11は、外力受け部31が最上部から第2方向D2に移動する場合にも、外力受け部31からトリガピン33bに付勢力が印加される。そして、外力受け部31がトリガピン33bから外れると、発電部11は、トーションバネ34の付勢力によって発電することができる。なお、この場合、外力受け部31が最下部から第1方向D1に移動する場合と比べて、第1歯車33の回転方向が反対であり、第1出力端子11aおよび第2出力端子11bから出力される発電電圧の極性(正極、負極)が反対になる。
【0075】
[1-4.効果]
以上説明したように、無線信号送信装置1は、外力受け部31が第1方向D1に移動するための外力と、外力受け部31が第2方向D2に移動するための外力と、を用いて発電できる。つまり、無線信号送信装置1は、方向の異なる複数の外力を用いて発電でき、その発電電力に基づいて無線信号を送信できる。
【0076】
このため、シャッター扉の移動に伴い生じる付勢力(外力)が外力受け部31に印加されるように、発電部11を配置することで、無線信号送信装置1は、シャッター扉の開移動および閉移動のいずれにおいても発電することができる。
【0077】
また、無線信号送信装置1は、外力受け部31に外力が印加されると無線信号を送信する。このため、無線信号送信装置1は、外力受け部31に外力が印加されたことを、離れた場所に対して通知することができる。換言すれば、無線信号送信装置1は、シャッター扉が移動したこと(開移動、閉移動)を離れた場所に対して通知できる。
【0078】
次に、無線信号送信装置1は、第1無線信号Sm1または第2無線信号Sm2を送信することで、外力受け部31に外力が印加されたか否かに加えて、印加された外力の方向を通知することができる。詳細には、無線信号送信装置1は、印加された外力の方向が第1方向D1であるか第2方向D2であるのかを通知できる。
【0079】
このため、シャッター扉の開移動に伴い生じる付勢力(外力)と、シャッター扉の閉移動に伴い生じる付勢力(外力)と、がそれぞれ異なる方向で外力受け部31に印加されるように、発電部11を配置するとよい。これにより、無線信号送信装置1は、シャッター扉が移動したことのみならず、移動方向が開移動および閉移動のいずれであるのかを、無線信号によって通知することができる。
【0080】
次に、トーションバネ34は、外力受け部31の移動方向(第1方向D1、第2方向D2)に応じて、弾性変形状態(第1弾性変形状態、第2弾性変形状態)が変化する。このため、第1歯車33、増速歯車35、第1傘歯車37、第2傘歯車39のそれぞれの回転運動の方向(第1回転方向、第2回転方向)は、外力受け部31の移動方向に応じて変化する。
【0081】
よって、無線信号送信装置1は、上述のトーションバネ34、第1歯車33、増速歯車35、第1傘歯車37、第2傘歯車39を備えることで、外力受け部31に印加された外力の方向が第1方向D1であるのか第2方向D2であるのかを、無線信号によって通知することができる。
【0082】
次に、増速歯車35は、トーションバネ34の復元力から変換された回転運動の回転数を増加させて、増加された回転運動を電力生成部41に伝達するように構成されている。無線信号送信装置1は、増速歯車35を備えることで、電力生成部41での回転数を増加でき、発電量を増大できる。
【0083】
無線信号送信装置1は、増速歯車35を備えることで、トーションバネ34の復元力により生じる回転運動の回転数に比べて、電力生成部41に伝達する回転運動の回転数を増加できる。よって、無線信号送信装置1は、電力生成部41での発電量を増大できる。
【0084】
次に、外力受け部31は、外力の印加により往復移動するように構成されている。第1方向D1は、往復移動の往路方向であり、第2方向D2は、往復移動の復路方向である。外力受け部31が往復移動する構成であるため、無線信号送信装置1は、往復移動するシャッター扉の移動(開移動および閉移動)に伴い生じる付勢力(外力)に基づいて、発電電力を生成できるとともに、無線信号を送信できる。つまり、無線信号送信装置1は、往復移動する外力受け部31を備えることで、シャッター扉の移動を監視する用途に適したものである。
【0085】
[1-5.文言の対応関係]
ここで、文言の対応関係について説明する。
トーションバネ34が弾性変形部の一例に相当し、第1歯車33、増速歯車35、第1傘歯車37、第2傘歯車39が力変換部の一例に相当し、増速歯車35が回転数増加部の一例に相当する。制御部15が信号制御部の一例に相当する。
【0086】
[2.第2実施形態]
第2実施形態の第2発電部111について説明する。
第2発電部111は、第1実施形態の無線信号送信装置1において、発電部11の代わりとして利用できる。
【0087】
図6に示すように、第2発電部111は、棒状部131と、第1伝達部133と、第2トーションバネ134と、回動軸135と、第2伝達部139と、電力生成部41と、支持部143と、を備える。
【0088】
棒状部131は、主軸部131aと、ネジ溝部131bと、を備える。
第1伝達部133は、歯車部133aと、延長部133bと、連結孔133cと、を備える。歯車部133aは、外周に歯形が形成された領域を備える円盤状部材である。延長部133bは、歯車部133aと一体に連結されている。延長部133bは、棒状部131のネジ溝部131bを螺合するネジ穴(図示省略)を備える。連結孔133cは、第1伝達部133の厚さ方向に貫通する孔である。
【0089】
棒状部131は、第1伝達部133と一体に固定されると共に、外力の印加により第1伝達部133の回転運動の回転軸を回動中心として回動する。
回動軸135は、第1伝達部133と一体に連結されている。回動軸135は、第1伝達部133とともに回動する。回動軸135は、第1回動方向R1および第2回動方向のそれぞれの方向に回動する。
【0090】
支持部143は、図示しない筐体と一体に形成された板状部材である。支持部143は、回動軸135を挿通するように形成された貫通穴143aを備える。支持部143は、回動軸135を回動できる状態で支持する。支持部143は、スリット143bを備える。スリット143bは、支持部143の端部から貫通穴143aに向けて形成された切り込みである。
【0091】
第2トーションバネ134は、コイルバネである。第2トーションバネ134は、第1端134aと、第2端134bと、を備える。第1端134aは、コイルバネの伸縮方向に沿って延設された直線形状である。第2端134bは、支持部143のスリット143bに係止できる屈曲形状である。第2トーションバネ134の第1端134aは、第1伝達部133の連結孔133cに固定され、第2トーションバネ134の第2端134bは支持部143のスリット143bに固定される。第2トーションバネ134は、回動軸135の一部をコイルバネの内部に配置する状態で、第1伝達部133および支持部143に固定される。第2トーションバネ134は、棒状部131および第1伝達部133を介して外力が印加されると弾性変形する。
【0092】
第2伝達部139は、外周全体に歯形が形成された歯車である。第2伝達部139は、電力生成部41に連結されている。第2伝達部139は、第1伝達部133の歯車部133aと噛み合う。第2伝達部139の直径寸法は、第1伝達部133の歯車部133aの直径寸法よりも小さい。また、第2伝達部139の全周にわたる歯形の数は、歯車部133aの半周領域における歯形の数よりも多い。このため、第2伝達部139の回転運動による回転数は、歯車部133a(換言すれば、第1伝達部133)の回転運動(回動運動)による回転数に比べて、増大する。つまり、第1伝達部133と第2伝達部139との組合せは、外力が印加された棒状部131により生じた回転運動の回転数を増大させることができる。
【0093】
電力生成部41は、第1実施形態と同様の構成であるため、説明を省略する。
このように構成された第2発電部111においては、棒状部131(詳細には、主軸部131a)に外力が印加されることで、第1伝達部133が回転運動する。この回転運動に伴い、第2トーションバネ134が弾性変形する。このあと、棒状部131に対する外力の印加が停止されて、棒状部131が自由状態になると、第2トーションバネ134は、弾性変形状態から自由状態に戻ろうとする。このときの第2トーションバネ134の復元力によって、第1伝達部133が回転運動する。この回転運動は、第2伝達部139を介して電力生成部41に伝達される。電力生成部41は、第2伝達部139の回転運動を用いて発電電力を生成する。
【0094】
第2発電部111は、棒状部131に印加される外力の方向が、第1回動方向R1および第2回動方向のいずれの方向であっても、発電電力を生成できる。つまり、第2発電部111は、方向の異なる複数の外力を用いて発電できる。
【0095】
また、棒状部131に第1回動方向R1の外力が印加された場合の発電電圧の極性は、棒状部131に第2回動方向R2の外力が印加された場合の発電電圧の極性とは異なる。これにより、無線信号送信装置1における発電部11を第2発電部111に置き換えて第2無線信号送信装置を作製してもよい。第2無線信号送信装置は、無線信号送信装置1と同様に、第1無線信号または第2無線信号を送信することができる。つまり、第2無線信号送信装置は、棒状部131に印加された外力の方向を通知することができる。
【0096】
ここで、文言の対応関係について説明する。
棒状部131が外力受け部の一例に相当し、第2トーションバネ134が弾性変形部の一例に相当し、第1伝達部133および第2伝達部139が力変換部の一例に相当する。第1伝達部133および第2伝達部139は回転数増加部の一例にも相当する。
【0097】
[3.第3実施形態]
第3実施形態の第3発電部211について説明する。なお、第3発電部211のうち、第1実施形態または第2実施形態と同様の構成については、同一符号を用いて表す。
【0098】
第3発電部211は、第1実施形態の無線信号送信装置1において、発電部11の代わりとして利用できる。
図7に示すように、第3発電部211は、棒状部131と、柱状部237と、第3伝達部233と、板バネ234と、第2回動軸235と、第2伝達部139と、電力生成部41と、第2支持部243と、固定ネジ245と、回転錘247と、固定ネジ249と、を備える。
【0099】
柱状部237は、円柱形状の部材である。柱状部237は、棒状部131のネジ溝部131bを螺合するネジ穴(図示省略)を備える。柱状部237は、板バネ234が嵌め合わされるスリット237aを備える。柱状部237は、第2回動軸235が連結される軸連結部(図示省略)を備える。柱状部237は、第1回動方向R1および第2回動方向のそれぞれの方向に回動する。
【0100】
棒状部131は、柱状部237と一体に固定されると共に、外力の印加により柱状部237の回転運動の回転軸を回動中心として回動する。
第3伝達部233は、外周に歯形が形成された領域を備える円盤状部材である。第3伝達部233は、その外周に、2つの歯有り領域233aと、歯無し領域233bと、を備える。第3伝達部233は、歯有り領域233aが第2伝達部139に当接する位置に回動することで、第3伝達部233の回転運動を第2伝達部139に伝達する状態となる。第3伝達部233は、歯無し領域233bが第2伝達部139に対向する位置に回動することで、第3伝達部233の回転運動を第2伝達部139に伝達しない状態となる。
【0101】
第2回動軸235は、柱状部237および第3伝達部233のそれぞれに連結されて、柱状部237および第3伝達部233とともに回転(回動)する軸状部材である。柱状部237,第3伝達部233,第2回動軸235は、互いに一体に連結されて、第1回動方向R1および第2回動方向のそれぞれの方向に回動する。
【0102】
板バネ234は、弾性変形する板状部材である。板バネ234は、棒状部131および柱状部237を介して外力が印加されると弾性変形する。
第2支持部243は、図示しない筐体と一体に形成された板状部材である。第2支持部243は、貫通穴243aと、螺合穴243bと、を備える。貫通穴243aは、板バネ234を挿通するように形成された貫通穴である。螺合穴243bは、固定ネジ245と螺合するように構成されている。固定ネジ245は、貫通穴243aに挿通された板バネ234を押さえることができる。これにより、板バネ234の脱落を抑制できる。
【0103】
回転錘247は、円盤形状の錘である。回転錘247は、電力生成部41の駆動軸41aと連結するように構成されている。回転錘247は、軸穴247aと、螺合穴247bと、を備える。軸穴247aは、駆動軸41aを挿通するための貫通穴である。螺合穴247bは、固定ネジ249と螺合するように構成されている。固定ネジ249は、軸穴247aに挿通された駆動軸41aを押さえることができる。これにより、回転錘247を駆動軸41aに固定できる。回転錘247は、電力生成部41の駆動軸41aの回転運動とともに回転する。
【0104】
第3伝達部233は、板バネ234が弾性変形状態であるときに、歯有り領域233aが第2伝達部139に当接する位置に回動するように、第3伝達部233の回動位置が調整されている。第3伝達部233は、板バネ234が自由状態であるときに、歯無し領域233bが第2伝達部139に対向する位置に回動するように、回動位置が調整されている。この調整は、柱状部237,第2回動軸235,第3伝達部233,板バネ234,第2支持部243のそれぞれの相対位置を調整することで実現される。
【0105】
第3伝達部233は、板バネ234が弾性変形状態であることに応じて、板バネ234から電力生成部41に至る板バネ234の復元力の伝達経路を確立する。なお、この板バネ234の復元力の伝達経路は、板バネ234から、柱状部237,第2回動軸235,第3伝達部233,第2支持部243を介して、電力生成部41に至る経路である。また、第3伝達部233は、板バネ234が自由状態であることに応じて、板バネ234の復元力の伝達経路を遮断する。
【0106】
このように構成された第3発電部211においては、棒状部131(詳細には、主軸部131a)に外力が印加されることで、柱状部237が回転運動する。この回転運動に伴い、板バネ234が弾性変形する。このあと、棒状部131に対する外力の印加が停止されて、棒状部131が自由状態になると、板バネ234は、弾性変形状態から自由状態に戻ろうとする。このときの板バネ234の復元力によって、柱状部237が回転運動する。この回転運動は、第2回動軸235,第3伝達部233,第2伝達部139を介して電力生成部41に伝達される。電力生成部41は、第2伝達部139の回転運動を用いて発電電力を生成する。
【0107】
第3発電部211は、棒状部131に印加される外力の方向が、第1回動方向R1および第2回動方向のいずれの方向であっても、発電電力を生成できる。つまり、第3発電部211は、方向の異なる複数の外力を用いて発電できる。
【0108】
また、棒状部131に第1回動方向R1の外力が印加された場合の発電電圧の極性は、棒状部131に第2回動方向R2の外力が印加された場合の発電電圧の極性とは異なる。このため、無線信号送信装置1における発電部11を第3発電部211に置き換えて第3無線信号送信装置を作製してもよい。第3無線信号送信装置は、無線信号送信装置1と同様に、第1無線信号または第2無線信号を送信することができ、棒状部131に印加された外力の方向を通知できる。
【0109】
次に、第3発電部211は、板バネ234が弾性変形状態から自由状態に戻った後でも、回転錘247の慣性によって、電力生成部41の回転運動を継続できる。つまり、第3発電部211は、回転錘247を備えない構成に比べて、電力生成部41の回転運動をより長い時間にわたり継続できるため、第3発電部211での発電時間をより長くすることができる。
【0110】
ここで、文言の対応関係について説明する。
板バネ234が弾性変形部の一例に相当し、柱状部237,第2回動軸235,第3伝達部233,第2伝達部139が力変換部の一例に相当する。第3伝達部233および第2伝達部139は回転数増加部の一例に相当し、第3伝達部233が伝達切替部の一例に相当する。
【0111】
[4.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0112】
(4a)上記実施形態では、無線信号送信装置の用途として、車両ガレージにおけるシャッター扉の動作監視に用いる場合について説明したが、本開示の用途はこれに限られることはない。本開示の無線信号送信装置は、監視対象物の移動または動作を検出して、無線信号を出力する用途に適用することができる。例えば、引き戸の開閉移動、開き扉の開閉移動、車両扉の開閉移動、金庫扉の開閉移動などを監視対象とする用途に、本開示の無線信号送信装置を用いてもよい。
【0113】
(4b)第3実施形態に備えられる第3伝達部233および回転錘247は、第1実施形態および第2実施形態に適用してもよい。例えば、第1実施形態においては、大径歯車35bを歯有り領域と歯無し領域とを備える構成に変更するとともに、回転錘247を電力生成部41に取り付けてもよい。第2実施形態においては、第1伝達部133の歯車部133aを歯有り領域と歯無し領域とを備える構成に変更するとともに、回転錘247を電力生成部41に取り付けてもよい。
【0114】
(4c)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加または置換してもよい。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0115】
1…無線信号送信装置、11…発電部、12…信号出力部、13…電圧判定回路、15…制御部、18…RF回路、19…アンテナ、21…整流回路、21a…ブリッジ回路、25…方向判定部、31…外力受け部、31a…切り欠き部、31b…延設部、32…筐体、33…第1歯車、33a…歯車部、33b…トリガピン、34…トーションバネ、34a…コイルバネ、34b…第1突出部、34c…第2突出部、35…増速歯車、35a…小径歯車、35b…大径歯車、37…第1傘歯車、39…第2傘歯車、41…電力生成部、41a…駆動軸、111…第2発電部、131…棒状部、133…第1伝達部、133a…歯車部、133b…延長部、134…第2トーションバネ、135…回動軸、139…第2伝達部、211…第3発電部、233…第3伝達部、234…板バネ、235…第2回動軸、237…柱状部、243…第2支持部、247…回転錘。
図1
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図7