(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】加熱装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 6/68 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
H05B6/68 320M
(21)【出願番号】P 2020541151
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2019033602
(87)【国際公開番号】W WO2020050107
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2018164261
(32)【優先日】2018-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508067736
【氏名又は名称】マイクロ波化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】塚原 保徳
(72)【発明者】
【氏名】高元 保
(72)【発明者】
【氏名】小林 達弥
(72)【発明者】
【氏名】金城 隆平
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-332381(JP,A)
【文献】特開2002-260840(JP,A)
【文献】特許第6088690(JP,B1)
【文献】特開2006-012605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱対象物に2以上のマイクロ波照射手段により2以上のマイクロ波を照射することで前記加熱対象物を加熱する加熱装置であって、
移動している前記加熱対象物の異なる複数の部分についてそれぞれ取得した加熱対象物の状態を示す情報を用いて、移動している前記加熱対象物の、集中して加熱すべき部分である第1の部分を検出する検出手段と、
前記第1の部分が移動しているときに、前記第1の部分または前記第1の部分およびその近傍部分が、前記加熱対象物の前記第1の部分以外の第2の部分よりも強く加熱されて、前記第1の部分が集中的に加熱されるよう前記2以上のマイクロ波の位相の状態を変化させる照射状態変化手段と
を備えた加熱装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記加熱対象物の少なくとも互いに平行でない2方向に沿って前記第1の部分を検出する請求項1記載の加熱装置。
【請求項3】
前記加熱対象物を搬送する搬送手段をさらに備え、
前記検出手段は、前記加熱対象物の搬送方向と直交する方向において1次元的に線状に前記第1の部分を検出し、
前記照射手段は、前記加熱対象物の搬送方向において検出手段の下流に位置し、前記第1の部分を集中加熱するようマイクロ波を照射可能なものであり、前記加熱対象物が搬送されて、前記検出手段が検出した前記第1の部分がマイクロ波を照射可能な位置に搬送されたときに、集中加熱するようマイクロ波を照射する請求項1記載の加熱装置。
【請求項4】
予め決められた2以上の領域と、当該各領域を集中加熱するための、前
記2以上のマイクロ波照射手段を制御するための情報と、が対応付けて格納された照射管理情報格納部を更に備え、
前記照射状態変化手段は、
前記予め決められた2以上の領域のうちの、前記検出手段が検出した前記第1の部分が位置する領域に対応付けられた前記マイクロ波照射手段を制御するための情報を用いて、当該第1の部分が位置する領域を集中加熱するよう前記マイクロ波照射手段にマイクロ波を照射させる請求項1記載の加熱装置。
【請求項5】
加熱対象物に2以上のマイクロ波照射手段により2以上のマイクロ波を照射することで前記加熱対象物を加熱する加熱方法であって、
移動している前記加熱対象物の異なる複数の部分についてそれぞれ取得した加熱対象物の状態を示す情報を用いて、移動している前記加熱対象物の、集中して加熱すべき部分である第1の部分を検出するステップと、
前記第1の部分が移動しているときに、前記第1の部分または前記第1の部分およびその近傍部分が、前記加熱対象物の前記第1の部分以外の第2の部分よりも強く加熱されて、前記第1の部分が集中的に加熱されるよう、前記加熱対象物に2以上のマイクロ波を照射する2以上のマイクロ波照射手段に、前記2以上のマイクロ波の位相の状態を変化させるステップと
を備えた加熱方法。
【請求項6】
コンピュータに、
移動している加熱対象物の異なる複数の部分についてそれぞれ取得した加熱対象物の状態を示す情報を用いて、移動している前記加熱対象物の、集中して加熱すべき部分である第1の部分を検出するステップと、
前記第1の部分が移動しているときに、前記第1の部分または前記第1の部分とその近傍部分が、前記加熱対象物の前記第1の部分以外の第2の部分よりも強く加熱されて、前記第1の部分が集中的に加熱されるよう、前記加熱対象物に2以上のマイクロ波を照射する2以上のマイクロ波照射手段に、前記2以上のマイクロ波の位相の状態を変化させるステップと
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波を用いて加熱を行なう装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、反応物質に対してマイクロ波を照射することにより、熱処理等を行なう加熱装置等が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2006-516008号公報(第1頁、第1図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術においては、マイクロ波を用いて、加熱の対象物(以下、加熱対象物)を適切な温度分布となるように加熱することができなかった。例えば、従来の技術においては、対象物の加熱対象領域の表面の一部の温度をサンプル検出して、その温度が所望の温度となるようにマイクロ波の出力全体を制御していたため、加熱対象領域内で温度ムラがある場合や、特定領域を集中的に加熱したい場合に対応できない問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解消するためになされたものであり、マイクロ波を用いて、加熱対象物を適切に加熱することができる加熱装置等を提供することを目的とする。更に具体的には、加熱したい部分を、その状態に応じて集中加熱することや、加熱対象物の温度分布等から、加熱が不足している部分を選択的に加熱することができる加熱装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱装置は、加熱対象物に1または2以上のマイクロ波照射手段によりマイクロ波を照射することで該加熱対象物を加熱する加熱装置であって、加熱対象物についての状態を示す情報に応じて、集中して加熱すべき加熱対象部分を検出する検出手段と、検出手段が検出した加熱対象部分が集中的に加熱されるようにマイクロ波の照射状態を変化させる照射状態変化手段と、を備えた加熱装置である。
【0007】
かかる構成により、検出手段が検出した加熱対象部分を、マイクロ波により集中加熱することができるため、ダイナミックかつリアルタイムに加熱対象物を所望の状態に加熱できるとともに、無駄のない効率的なマイクロ波加熱を行なうことができる。
【0008】
また、前記加熱装置において、2以上のマイクロ波照射手段を備えており、照射状態変化手段は、検出手段が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう、照射状態変化手段により位相を制御したマイクロ波を、2以上のマイクロ波照射手段から照射させるようにしてもよい。
【0009】
かかる構成により、位相を制御したマイクロ波により、ダイナミックかつリアルタイムに加熱対象部分を集中加熱することができる。
【0010】
また、前記加熱装置において、1または2以上のマイクロ波照射手段は、2以上の異なる周波数のマイクロ波を照射するものであり、照射状態変化手段は、検出手段が検出した加熱対象部分が集中加熱されるようなマイクロ波の強度分布となるようにマイクロ波照射手段に各周波数のマイクロ波を照射させるようにしてもよい。
【0011】
かかる構成により、周波数を変更してマイクロ波強度の高い部分を変更することより、ダイナミックかつリアルタイムに加熱対象部分を集中加熱することができる。
【0012】
また、前記加熱装置において、2以上のマイクロ波照射手段を備えており、照射状態変化手段は、検出手段が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう、各マイクロ波照射手段が照射するマイクロ波の出力を変更するようにしてもよい。
【0013】
かかる構成により、マイクロ波照射手段の出力を変更して、ダイナミックかつリアルタイムに加熱対象部分を集中加熱することができる。
【0014】
また、前記加熱装置において、照射状態変化手段は、マイクロ波照射手段のマイクロ波を出射する出射部の配置を変更する配置変更部を備えており、配置変更部は、検出手段が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう1以上のマイクロ波照射手段の出射部の配置を変更するようにしてもよい。
【0015】
かかる構成により、出射部の配置を変更して、加熱対象部にマイクロ波を照射することにより、ダイナミックかつリアルタイムにマイクロ波照射手段の加熱対象部分を集中加熱することができる。
【0016】
また、前記加熱装置において、照射状態変化手段は、検出手段が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう位相を制御したマイクロ波の、2以上のマイクロ波照射手段からの照射、検出手段が検出した加熱対象部分が集中加熱されるようなマイクロ波の強度分布とするための、2以上の異なる周波数のマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段からの各周波数のマイクロ波の照射、検出手段が検出した加熱対象部分が集中加熱されるようにするための、2以上のマイクロ波照射手段からの出力を変更したマイクロ波の照射、および、照射状態変化手段が備えているマイクロ波照射手段のマイクロ波を出射する出射部の配置を変更する配置変更部により、検出手段が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう出射部の配置を変更させて行なわれるマイクロ波の照射、からなる群より選ばれた少なくとも2以上のマイクロ波の照射を行なわせるようにしてもよい。
【0017】
かかる構成により、ダイナミックかつリアルタイムに加熱対象部分を集中加熱することができる。
【0018】
また、前記加熱装置において、検出手段は、加熱対象物の少なくとも互いに平行でない2方向に沿って加熱対象部分を検出するようにしてもよい。
【0019】
かかる構成により、加熱対象物について二次元、更には三次元的に検出した加熱対象部分を、集中加熱することができ、マイクロ波を用いて加熱対象物を適切に加熱することができる。例えば、互いに平行でない3方向に沿って検出すれば、加熱対象物の中心など、その内部に加熱対象部分があっても該部分を適切に加熱することができる。
【0020】
また、前記加熱装置において、検出手段は、X線センサ、超音波センサ、温度センサ、圧力センサ、水分センサ、および色を取得するセンサのうちの1以上を有していてもよい。
【0021】
かかる構成により、加熱対象物の内部の温度分布を含む温度や、圧力、水分や色のうちのいずれか、あるいはこれらの2以上の組み合わせに応じて検出した加熱対象部分を集中加熱することができる。
【0022】
また、前記加熱装置において、加熱対象物を搬送する搬送手段をさらに備え、検出手段は、加熱対象物の搬送方向と直交する方向に1次元的に線状に加熱対象部分を検出し、照射手段は、加熱対象物の搬送方向において検出手段の下流に位置し、加熱対象部分を集中加熱するようマイクロ波を照射可能なものであり、加熱対象物が搬送されて、検出手段が検出した加熱対象部分がマイクロ波を照射可能な位置に搬送されたときに、集中加熱するようマイクロ波を照射するようにしてもよい。
【0023】
かかる構成により、移動する加熱対象物をラインセンサなどを用いて走査などして加熱対象部分を検出し、その下流側で集中加熱することができる。これにより、検出手段を簡素化、小型化できる。
【0024】
また、前記加熱装置において、予め決められた2以上の領域と、この各領域を集中加熱するための、1または2以上のマイクロ波照射手段を制御するための情報とが対応付けて格納された照射管理情報格納部を更に備え、照射状態変化手段は、予め決められた2以上の領域のうちの、検出手段が検出した加熱対象部分が位置する領域に対応付けられたマイクロ波照射手段を制御するための情報を用いて、この加熱対象部分が位置する領域を集中加熱するよう前記マイクロ波照射手段にマイクロ波を照射させるようにしてもよい。
【0025】
かかる構成により、予め1または2以上のマイクロ波照射手段を用いて集中加熱可能な領域に加熱対象部分が位置する時に、この集中加熱領域を集中加熱することによって、加熱対象部分を集中加熱することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、加熱対象物を適切に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施の形態1の加熱装置のブロック図(
図1(a))、および斜視図(
図1(b))
【
図3】同加熱装置の容器内の平面模式図(
図3(a)~
図3(d))
【
図4】同加熱装置の動作を説明するためのフローチャート
【
図6】同加熱装置の照射制御表を示す図(
図5(a)、
図5(b))
【
図7】同加熱装置の変形例を説明するための、容器内の平面模式図(
図7(a)~
図7(d))
【
図8】実施の形態2の加熱装置のブロック図(
図8(a))、および斜視図(
図8(b))
【
図12】実施の形態1の加熱装置に関連したシミュレーション試験に用いられたモデルを示す図
【
図13】同加熱装置に関連したミュレーション試験結果を示す図(
図13(a)~
図13(c))
【
図14】各実施の形態におけるコンピュータシステムの外観の一例を示す図
【
図15】同コンピュータシステムの構成の一例を示す図
【
図16】実施の形態2の加熱装置の変形例のブロック図(
図16(a))および斜視図(
図16(b))
【
図18】実施の形態3における加熱装置のブロック図(
図18(a))および斜視図(
図18(b))
【
図20】同加熱装置の変形例2の斜視図(
図20(a))および加熱対象物を上方から見た模式図(
図20(b))
【
図21】実施の形態4における加熱装置のブロック図(
図21(a))、および斜視図(
図21(b))
【
図22】実施の形態5における加熱装置のブロック図(
図22(a))、一部切欠平面図(
図22(b))、および断面図(
図22(c))
【
図24】実施の形態6の加熱装置のブロック図(
図24(a))、一部切欠平面図(
図24(b))、および一部切欠側面図(
図22(c))
【
図26】本実施の形態7の加熱装置のブロック図(
図26(a))および斜視図(
図26(b))
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、加熱装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における加熱装置の機能を示すブロック図(
図1(a))および外観等を示す斜視図(
図1(b)である。また、
図2は、
図1(b)のIIa-IIa線による断面図(
図2(a))、およびIIb-IIb線による断面図(
図2(b))である。
【0030】
図3は、本実施の形態の加熱装置1を説明するための、容器10内の加熱対象物60の近傍を表面側からみた平面模式図(
図3(a)、
図3(b))、および裏面側からみた平面模式図(
図3(c)、
図3(d))である。
【0031】
加熱装置1は、容器10と、検出手段20と、3つのマイクロ波照射部401と、照射状態変化手段40と、ベルトコンベア50とを備えている。
【0032】
加熱装置1は、1または2以上の加熱対象物60を加熱するための装置である。加熱対象物60は、例えば、固体であっても良く、液体であっても良く、気体であってもよい。加熱対象物60は、例えば、木材や、紙、パルプ、合成樹脂、ゴム、ガラス、カーボン、セラミックス、中空糸膜束、繊維等であってもよい。また、加熱対象物60は、セパレータやキャパシタ等の製造等に用いられる材料等であってもよく、ハニカム構造体の製造等に用いられる材料等であってもよく、圧搾した酵母等であってもよい。加熱対象物60は、例えば、含水している多孔質物質や、含水しているポリマー(例えば、吸湿性樹脂、吸水性樹脂等)等の含水物であってもよい。ここでの含水しているポリマーは、含水しているポリマー粒子群であってもよい。ここでのポリマーは、どのようなポリマーであってもよい。なお、加熱対象物60中の水や有機溶剤等の液体を蒸発させて取り除くことも、ここでは、加熱の一態様と考えてもよい。ここでの加熱は、加熱による乾燥と考えてもよい。なお、加熱対象物60は、上記のようなものに限定されるものではない。加熱対象物60の形状はシート状であってもよく、プレート状であってもよく、直方体形状であってもよく、球形状であってもよく、円筒形形状であってもよい。シート状やプレート状の加熱対象物60の厚さ等は問わない。加熱対象物60は、厚さが一定であってもよく、厚さが一定でなくてもよい。また、シート状やプレート状の加熱対象物60は、表面または裏面に凹凸等を有していても良く、孔等を有していてもよい。また、加熱対象物60は、棒状やファイバー状、ペレット状、粒状の形状を有していてもよい。加熱対象物60は、例えば、不定形状の物質であってもよい。加熱対象物60は、ゲル状のものであってもよく、流動性を有するものであってもよい。また、加熱対象物60は粉体であってもよい。なお、加熱対象物60は、上記のようなものに限定されるものではない。また、加熱対象物60の形状等も上記のようなものに限定されるものではない。以下、本実施の形態においては、加熱対象物60が、長手方向を有するプレート状の含水物質である場合を例に挙げて説明する。
【0033】
容器10は、マイクロ波反射性を有する材質で構成されている。容器10は、例えば、ステンレス等の金属で構成されている。容器10の外壁等の厚さは問わない。ここでは、容器10は、後述するベルトコンベア50の搬送方向が長手方向となる直方体形状を有している場合を例に挙げて説明する。容器10の、上方からみて長手方向に垂直となる方向を、以下、幅方向と呼ぶが、短手方向と呼んでもよい。容器10は内部が中空であり、加熱対象物60を加熱する加熱室として用いられる。ここでは、容器10の内部が区切られていない場合について説明するが、容器10の内部は、図示しない仕切り等で複数の部屋に区切られていてもよい。なお、容器10の外壁等は、内部に照射されるマイクロ波が、容器内に反射されるような構造であれば良く、例えば、マイクロ波反射性を有する材質の層と、マイクロ波透過性を有する材質の層とを積層した構造であってもよい。なお、容器の材質および形状等は、上記に限定されるものではない。
【0034】
容器10には、加熱対象物60を容器10の内部に入れるための開口部である入口101と、加熱対象物60を容器10から外部に出すための開口部である出口102とを有している。ここでは、一例として、容器10の長手方向の端部の一方に入口101が設けられ、他方の端部に出口102が設けられている場合について説明する。ここでは、加熱対象物60が、ベルトコンベア50で搬送されて、入口101から容器10内に移動して、容器10内部を移動し、出口102から容器10外に移動する場合について説明する。入口101および出口102には、容器10内に照射されるマイクロ波の外部への漏洩を防止するような構造を設けることが好ましい。例えば、マイクロ波の波長の性質を利用した、非接触でマイクロ波電力の通過を防止するチョーク構造等を、入口101および出口102に設けるようにしてもよい。なお、入口101および出口102の少なくとも一方は省略してもよい。また、入口および出口の少なくとも一方には蓋(図示せず)等を設けてもよい。
【0035】
ベルトコンベア50は、加熱対象物60を搬送する搬送手段である。ここでは、ベルトコンベア50は、メッシュ製のベルト501を有している。ベルト501は、容器10外から、入口101を経て容器10内に移動し、容器10内から、出口102を経て容器10外に移動するよう配置されている。加熱対象物60は、ベルト501上に載置されてベルトコンベア50で搬送され、入口101から容器10内に移動して、容器10内部を移動し、出口102から容器10外に移動する。ここではプレート状の加熱対象物60が容器10の長手方向に向かって搬送される場合について説明する。プレート状の加熱対象物60の、上方からみて移動方向(搬送される方向)に対して垂直な方向を、ここでは、幅方向と呼ぶ。この加熱対象物60の長手方向が、移動方向と一致している。また、加熱対象物60の上面を表面61a、加熱対象物60の下面を裏面61bと呼ぶ。かかることは、加熱対象物60の形状がプレート状でない場合においても同様である。なお、加熱対象物60の表面61aや裏面61bを単に平面と呼ぶ場合がある。また、この平面内における二次元方向や、加熱対象物60が載置される面に平行な面内における二次元方向や、水平面に平行な面内における二次元方向を、平面方向と呼ぶ場合がある。二次元方向は、例えば、互いに平行ではない2方向の組み合わせや、互いに直交する2つの方向の組み合わせで表される方向である。なお、三次元方向は、例えば、同一平面上になく互いに平行ではない3方向の組み合わせで表される方向や、互いに直交する3つの方向の組み合わせで表される方向である。例えば、平面方向は、例えば、加熱対象物60の長手方向と幅方向との組合せで表される方向である。平面方向の位置は、例えば、加熱対象物60の長手方向の位置と幅方向の位置との組合せで表される位置である。ここでは、ベルト501が、容器10内を略水平に移動するよう配置されている場合について説明する。これにより、加熱対象物60は、容器10内を略水平に移動する。ただし、ベルト501の移動方向および移動経路等は問わない。
図1および
図2において、矢印505は、ベルト501および加熱対象物60の移動方向を示す。
【0036】
なお、加熱対象物60の移動方向は、容器10の長手方向や、加熱対象物の長手方向に限定されるものではなく、また、加熱対象物60および容器10は、長手方向を有さない形状を有するものであってもよい。これらのような場合、容器10の長手方向およぎ加熱対象物60の移動方向を第一の方向、容器10の幅方向および加熱対象物60の幅方向を、平面方向において第一の方向に直交する第二の方向、容器10および加熱対象物60の高さ方向を、第一の方向および第二の方向に直交する第三の方向等と読み替えるようにしてもよい。
【0037】
メッシュ製のベルト501の材質は、通常、ステンレス等の金属であるが、材質はこれに限定されるものではない。例えば、メッシュ製のベルト501は、樹脂製であってもよい。ベルトコンベア50として、メッシュ製のベルト501を用いることが好ましいが、ベルト501は、メッシュ製のベルトに限定されるものではない。
【0038】
ここでは、ベルトコンベア50が、ベルト501を連続的に一定速度で移動させて、ベルト501上に載置した加熱対象物60を、連続的に一定速度で、容器10内を通過するよう移動させる場合を例に挙げて説明する。
【0039】
なお、図においては、ベルト501以外のベルトコンベア50の構成、例えば、ベルト501を移動させるためのプーリや、ローラ、ベルト501を駆動させるモータ等の駆動手段等は省略している。
【0040】
なお、ここでは、加熱対象物60の搬送手段として、ベルトコンベアを用いた場合について説明するが、搬送手段は、加熱対象物60を、容器10内において、搬送可能なものであれば、ベルトコンベアに限定されるものではなく、例えば、複数のローラによって、加熱対象物60を移動させるローラコンベア等であってもよい。また、多孔状のプレートやトレイ(図示せず)等に載置された加熱対象物60を搬送する搬送手段であってもよい。また、ベルトコンベア50として、加熱対象物を受け渡して搬送可能な複数のベルトコンベア等を用いてもよい。
【0041】
また、搬送手段は、連続的に一定速度で、加熱対象物60を搬送するものに限定されるものではない。例えば、搬送手段は、加熱対象物60の搬送と停止とを組み合わせて行うものであってもよい。つまり、搬送手段は、非連続に搬送を行うものであってもよい。また、搬送手段の搬送速度は可変であってもよい。
【0042】
なお、後述する検出手段20が、非接触のセンサ等で加熱対象物60の下面側の温度を検出する場合、ベルトやローラ等の搬送手段の加熱対象物が載置される部分は、加熱対象物の搬送手段に載置される裏面61bの少なくとも一部が、センサで温度が検出可能な程度に、下方から見て露出するような形状や構造を備えていることが好ましい。例えば、搬送手段の加熱対象物60が載置される部分は、1以上の開口部を有していることが好ましい。
【0043】
検出手段20は、加熱対象物60の状態を示す情報に応じて、集中して加熱すべき1以上の部分を検出する。以下、加熱対象物60の、集中して加熱すべき部分を、加熱対象部分と呼ぶ。加熱対象部分は、例えば、加熱対象物60の加熱させたい部分である。加熱対象物60の加熱対象部分は、例えば、加熱対象物60の集中加熱したい部分である。加熱対象物60の集中加熱したい部分とは、例えば、加熱が必要な部分であっても良く、加熱が不足している部分であってもよい。ここでの部分は、領域と考えてもよい。加熱が不足している部分は、線状の領域や点状の領域と考えてもよい。検出手段20は、例えば、容器10内に配置された加熱対象物60や、容器10内を移動する加熱対象物60の加熱対象部分を検出する。検出手段20は、例えば、ベルト501上に配置された加熱対象物60について、加熱対象部分を検出する。「集中加熱」の意味については後述する。
【0044】
検出手段20は、例えば、加熱対象物60の二次元方向または三次元方向において加熱対象部分を検出する。検出手段20は、例えば、加熱対象物60の平面方向および高さ方向の少なくとも一方について加熱対象部分を検出する。平面方向は、例えば、水平方向と考えてもよい。検出手段20は、例えば、加熱対象物60の平面方向または平面方向と高さ方向との組み合わせにおいて加熱対象部分を検出する。加熱対象物60の平面方向において加熱対象部分を検出するということは、例えば、加熱対象部分の平面方向における位置が特定可能となるよう、加熱対象部分を検出することである。加熱対象物60の高さ方向において加熱対象部分を検出するということは、例えば、加熱対象部分の高さ方向における位置が特定可能となるよう、加熱対象部分を検出することである。同様に、加熱対象物60の平面方向と高さ方向との組み合わせにおいて加熱対象部分を検出するということは、例えば、加熱対象部分の平面方向と高さ方向との組み合わせにおける位置が特定可能となるよう、加熱対象部分を検出することである。
【0045】
加熱対象物60の平面方向において加熱対象部分を検出するということは、例えば、加熱対象物60の幅方向の位置と長手方向の位置との組合せで表すことができる加熱対象部分の位置を検出することである。平面方向において加熱対象部分を検出するということは、例えば、水平方向における加熱対象部分の位置を検出することであってもよい。加熱対象部分が領域で表される場合、加熱対象部分の位置は、加熱対象部分の領域の位置と考えてもよい。かかることは以下においても同様である。平面方向において加熱対象部分を検出することは、例えば、加熱対象物60の表面61aまたは裏面61bや、加熱対象物60を水平面等に投影した面内において、加熱対象部分を示す位置を検出することであってもよい。
【0046】
なお、加熱対象部分の平面方向における位置が特定可能であれば、加熱対象物60の平面方向において加熱対象部分を検出することは、加熱対象物60の長手方向において加熱対象部分を検出することであっても良く、加熱対象物60の幅方向において加熱対象部分を検出することであってもよい。例えば、加熱対象物60が、選択的集中加熱が可能な範囲内に収まる十分に幅が狭いストライプ状や糸状のものである場合、この加熱対象物60の長手方向において、加熱対象部分を検出することは、この加熱対象物60の平面方向において加熱対象部分を検出することと考えてもよい。例えば、加熱対象物60が連続的に一定速度で長手方向に移動している場合、加熱対象部分の長手方向の位置は、加熱対象部分が検出されてからの移動時間で特定可能である。加熱対象物60の幅方向において加熱対象部分を検出することは、加熱対象物60の平面方向において加熱対象物を検出することと考えてもよい。
【0047】
加熱対象物60の高さ方向とは、例えば、加熱対象物60の表面61a、裏面61bまたは加熱対象物60が載置される面等に垂直な方向である。高さ方向は、加熱対象物60の深さ方向や鉛直方向と考えてもよい。加熱対象物60の高さ方向において加熱対象部分を検出するということは、例えば、加熱対象部分の高さ方向における位置が特定可能となるよう、加熱対象部分を検出することである。加熱対象物60の高さ方向において加熱対象部分を検出するということは、例えば、加熱対象部分の、加熱対象物60の表面や裏面等の基準となる高さ位置からの深さ方向の位置や高さ方向の位置を検出することである。高さ方向において加熱対象部分を検出するということは、加熱対象物の鉛直方向の位置を検出することであってもよい。なお、本実施の形態においては、一例として、加熱対象物60の表面61a側および裏面61b側で加熱対象部分を検出することによって、異なる深さにおいて加熱対象部分を検出する場合について説明する。なお、検出手段20が、加熱対象物60の平面方向においてのみ加熱対象部分を検出する場合、検出手段20は、例えば、容器10内に配置された加熱対象物60の表面61a側および裏面61b側の一方についてのみ加熱対象部分を検出してもよい。
【0048】
本実施の形態においては、検出手段20が、ベルトコンベア50により容器10内に搬入される加熱対象物60について、加熱対象物60の表面61a側の幅方向、および裏面61b側の幅方向において、順次、加熱対象部分を検出する場合について説明する。
【0049】
検出手段20は、例えば、加熱対象物60の状態を示す情報を取得して、取得した情報を用いて、加熱対象部分を検出する。加熱対象物60の状態を示す情報は、例えば、加熱対象物60の状態によって変化する情報である。加熱対象物60の状態を示す情報は、例えば、加熱対象物60の状態が、加熱不足等の加熱が必要な状態である場合と、加熱が必要でない状態である場合とで異なるものとなる情報である。加熱対象物の状態を示す情報とは、例えば、加熱対象物の温度や、圧力や、水分量や、色の情報のうちの1以上である。検出手段20が取得する加熱対象物の状態を示す情報は、例えば、加熱対象物60の1または異なる複数の部分についてそれぞれ取得した加熱対象物の状態を示す情報であってもよい。例えば、検出手段20が取得する加熱対象物の状態を示す情報は、加熱対象物60についての温度分布、圧力分布、水分量の分布および色の分布のうちの1以上であってもよい。以下、本実施の形態においては、検出手段20が取得する加熱対象物60の状態を示す情報が温度である場合について説明する。
【0050】
検出手段20は、例えば、加熱対象物60の平面方向および高さ方向の少なくとも一方において、温度が低い部分を検出し、検出した温度が低い部分を、加熱対象部分として検出する。検出した温度が低い部分は、例えば、加熱が必要な部分や、加熱が不足している部分等であってもよい。温度が低い部分とは、例えば、温度が予め決められた閾値よりも低い部分であってもよく、加熱対象物60の他の部分や、加熱対象物60の複数の部分の平均値よりも温度が低い部分や、閾値以上温度が低い部分であってもよい。
【0051】
なお、検出手段20は、通常、一の加熱対象物60の一以上の部分を加熱対象部分として検出するが、複数の物体で構成される加熱対象物60のうちの、一以上の加熱の対象となる物体(例えば、加熱が必要な物体や加熱が不足している物体等)を、加熱対象部分として検出するようにしてもよく、検出しないようにしてもよい。例えば、加熱対象物60の加熱対象部分は、直方体状の加熱対象物60等の一の加熱対象物60の1以上の部分であってもよい。また、加熱対象物60の加熱対象部分は、例えば、複数のペレットや固形物等の物体で構成される加熱対象物60のうちの、1以上の物体であってもよく、粉体やゲル等の加熱対象物60の一部分であってもよい。
【0052】
以下、本実施の形態においては、検出手段20が、第一のセンサ201aおよび第二のセンサ201bと、検出処理部202とを有しており、これらを用いて、加熱対象物についての状態を示す情報から、加熱対象物60の加熱対象部分を検出する場合について説明する。なお、第一のセンサ201aと第二のセンサ201bとを区別しない場合、単にセンサ201と呼ぶ場合がある。ただし、検出手段20は、このような構成に限定されるものではない。
【0053】
第一のセンサ201aおよび第二のセンサ201bは、加熱対象物60の加熱対象部分を検出するために用いられるセンサである。第一のセンサ201aが加熱対象物60の表面61a側の温度分布を取得するセンサであり、第二のセンサ201bが加熱対象物60の裏面61b側の温度分布を取得するセンサである。第一のセンサ201aおよび第二のセンサ201bは、例えば、非接触で温度分布を取得する放射温度計等のセンサである。放射温度計は、例えば、物体から放射される赤外線を検出素子で受光して、温度分布を取得する。放射温度計は、画像解析式の非接触温度センサであってもよい。
図1および
図2においては、矢印110は、第一のセンサ201aおよび第二のセンサ201bが受光する赤外線を模式的に示すものである。
【0054】
本実施の形態においては、第一のセンサ201aおよび第二のセンサ201bは、容器10内の上部と下部の、出口102よりも入口101に近い位置に設けられている場合について説明する。
【0055】
第一のセンサ201aは、温度分布を検出可能な領域(以下、第一の検出領域205aと称す)が、ストライプ状の領域であるセンサである。第一の検出領域205aの形状は、例えば、幅方向が長手方向である直線状の形状である。この第一の検出領域205aの形状は、例えば、加熱対象物60の搬送方向に対して直交する方向に一次元的に配置された線状の領域と考えてもよい。第一のセンサ201aは、例えば、第一の検出領域205aが、ベルト501上に載置される加熱対象物60の表面61aに位置するとともに、その長手方向が、加熱対象物60の幅方向となるよう、容器10に取付けられている。これにより、検出手段20は、加熱対象物60の幅方向、において温度分布を取得して、幅方向において加熱対象部分を検出することが可能となる。幅方向は、ここでは、加熱対象物60の搬送方向に対して直交する方向である。例えば、検出手段20は、加熱対象物60の搬送方向に対して直交する方向する方向において一次元的に線状に加熱対象部分を検出することができる。第一のセンサ201aは、例えば、温度を検出する部分(図示せず)が、直方体状の加熱対象物60の表面61aに対向するよう容器10の上方に取付けられる。なお、第一のセンサ201aは、上記のストライプ状の領域を走査して、温度分布を取得するセンサであってもよい。第一のセンサ201aは、例えば、ストライプ状の第一の検出領域205aが、幅方向において加熱対象物60全体に横切るように取付けられていることが好ましい。なお、以下、ベルト501の幅方向および直方体状の加熱対象物60の幅方向を、単に幅方向と呼ぶ場合がある。
【0056】
第二のセンサ201bは、温度を検出する部分(図示せず)が、加熱対象物60の裏面61bに対向するよう容器10の下方に取付けられ、温度分布を検出可能な領域(以下、第二の検出領域205b)が、加熱対象物60の裏面61b側に位置する点を除けば、第一のセンサ201aと同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0057】
なお、加熱対象物60の裏面61b側と、第二のセンサ201bとの間に、メッシュ状のベルト501等の開口部を有するベルトを用いることで、第二の検出領域205bの温度分布を取得することができる。また、加熱対象物60の裏面61b側と、第二のセンサ201bとの間に、図示しない複数のローラ等が存在したとしても、このローラ同士の間のローラが存在しない部分が第二の検出領域205bとなるよう第二のセンサ201bを設けることで、第二の検出領域205bの温度分布を取得することができる。
【0058】
本実施の形態においては、第一の検出領域205aと、第二の検出領域205bとの、加熱対象物60の移動方向における位置が一致する場合について説明するが、一致していなくてもよい。なお、第一の検出領域205aと、第二の検出領域205bとを区別しない場合、単に、検出領域205と呼ぶ。検出領域205は、観測視野と考えてもよい。
【0059】
ストライプ状の第一の検出領域205aおよびストライプ状の第二の検出領域205bの幅、すなわち第一の検出領域205aおよび第二の検出領域205bの加熱対象物60の移動方向の長さは問わないが、同じであることが好ましい。
【0060】
第一のセンサ201aおよび第二のセンサ201bは、ベルトコンベア50により入口101から搬入された加熱対象物60の温度分布を取得する。例えば、ベルトコンベア50により、加熱対象物60が容器10内の長手方向に連続的に移動している場合、第一のセンサ201aは、ストライプ状の第一の検出領域205aを通過する際の加熱対象物60の表面61a側の温度分布を取得し、第二のセンサ201bは、ストライプ状の第二の検出領域205bを通過する際の加熱対象物60の裏面61b側の温度分布を取得する。第一のセンサ201aおよび第二のセンサ201bは、例えば、予め決められた時間ごとに、順次、検出領域205を通過する加熱対象物60の温度分布を取得してもよい。この時間は、例えば、加熱対象物60の任意の一点が、検出領域205を通過するために要する時間である。第一のセンサ201aおよび第二のセンサ201bが、例えば、順次、検出領域205を通過する加熱対象物60の温度分布を取得することで、結果的に加熱対象物60の検出領域205を通過した部分について、表面61a側の平面方向における温度分布と、裏面61b側の平面方向における温度分布とを取得することが可能となる。例えば、この表面61a側の平面方向における温度分布と、裏面61b側の平面方向における温度分布とを、異なる深さにおける平面方向の温度分布と考えた場合、検出手段20は、加熱対象物60の検出領域205を通過した部分について、結果的に、平面方向と高さ方向との組み合わせについて温度分布を取得することができると考えてもよい。なお、第一のセンサ201aおよび第二のセンサ201bが取得する温度分布における加熱対象物60の幅方向の位置(例えば、座標)と、第一の検出領域205aおよび第二の検出領域205b内における加熱対象物60の幅方向の位置(例えば、座標)との位置関係は予め対応づけておくことが好ましい。
【0061】
また、第一のセンサ201aおよび第二のセンサ201bの幅方向における温度分布を取得する際の温度を検出する点の数や、分解能等は問わない。
【0062】
なお、センサ201は、検出領域205が幅方向に向かってストライプ状に伸びるセンサでなくてもよい。また、第一のセンサ201aおよび第二のセンサ201bの少なくとも一方は、例えば、温度分布を検出可能な検出領域を、加熱対象物60の幅方向に走査可能なセンサであってもよい。また、第一のセンサ201aおよび第二のセンサ201bの少なくとも一方は、例えば、スポット状の領域の温度を非接触で測定可能な複数の温度センサを、そのスポット状の領域が、加熱対象物60の幅方向に配列されるよう設けたものであってもよい。また、センサ201は、非接触で温度分布を取得可能なセンサであることが好ましいが、温度分布を取得可能であれば、接触式のセンサであってもよい。例えば、センサ201は、加熱対象物60に接触させて温度を測定する複数の温度センサを、温度を測定する部分が幅方向に配列されるよう設けたものであってもよい。また、センサ201は、接触式の複数の温度センサを、温度を測定する部分が、加熱対象物60の移動方向における位置が同じであって、深さと幅方向の位置との組合せが異なるように設けたものであってもよい。ただし、加熱対象物と接触する複数の温度センサを用いる場合、無線通信等で測定した温度を示す情報を検出処理部202等に送信可能なものを用いることが好ましい。
【0063】
検出処理部202は、第一のセンサ201aが取得した温度分布から、加熱対象物60の表面61a側の、第一の検出領域205aにおいて、加熱対象部分を検出する。例えば、検出処理部202は、第一のセンサ201aが取得した温度分布から、温度が低い部分を、加熱対象部分として検出する。通常、加熱対象物60において、加熱が不足している部分は、加熱が不足していない部分に対して温度が低くなるため、温度が低い部分を、加熱対象部分に検出することは、加熱不足の部分を検出することと考えてもよい。検出処理部202は、例えば、検出した加熱対象部分の位置を示す情報を取得する。ここでの位置を示す情報は、例えば、幅方向における位置を示す情報(幅方向の座標)である。
【0064】
ここでの温度が低い部分とは、温度が予め決められた閾値以下である部分であってもよく、温度が、第一の検出領域205aの他の部分の最大値や最小値や平均値、中間値等の代表値よりも低い部分または閾値以上低い部分であっても良く、温度が、第一の検出領域205aの平均値や、中間値等よりも低い部分または予め決められた閾値以上低い部分等であってもよい。ここでの閾値等は、例えば、加熱対象物60の材質や、加熱の用途や、加熱後の温度の目標値等により異なる。検出処理部202が用いる閾値等は、例えば、実験やシミュレーション等により取得することが好ましい。例えば、検出処理部202は、温度分布から、温度が低い部分を検出し、この検出した部分の、幅方向における位置を示す情報(例えば、幅方向の座標)を、加熱対象部分の位置を示す情報として取得してもよい。加熱対象部分が、加熱対象物60の幅方向において連続して存在している場合、この加熱対象部分の範囲を示す情報(例えば、幅方向の座標の範囲を示す情報)を、加熱対象部分の位置を示す情報として取得してもよい。ここでの幅方向における位置は、容器10を基準としてもよく、ベルト501等を基準としてもよく、加熱対象物60を基準としてもよい。かかることは、以下の幅方向における位置や、幅方向の位置についても同様である。
【0065】
検出処理部202は、第二のセンサ201bが取得した温度分布から、加熱対象物60の裏面61b側の、第二の検出領域205bにおいて、加熱対象部分を検出する。この処理は、上記の検出処理部202が、加熱対象部分を検出する処理において、第二の検出領域205bを第二の検出領域205b、加熱対象物60の表面61a側を、裏面61b側と読み替えた処理と同様であるため、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0066】
なお、検出処理部202が、温度の低い部分を検出する処理は、上記の処理に限定されるものではない。例えば、検出領域205を予め幅方向に複数の領域に分割しておくようにし、検出処理部202は、センサ201aが取得した温度分布を用いて、分割された各領域の温度の平均値を取得し、この平均値が、閾値以下である領域を、加熱対象部分として検出してもよい。検出領域205を幅方向に分割する、ということは、例えば、検出領域205について取得された温度分布を、幅方向に分割すること等であってもよい。ここで分割される検出領域205の複数の領域のそれぞれは、後述する複数の選択的集中加熱領域のいずれかと対応づけられた領域であってもよい。
【0067】
また、第一のセンサ201aが取得した温度分布から、温度が低い部分を検出する際の閾値と、第二のセンサ201bが取得した温度分布から、温度が低い部分を検出する際の閾値とは同じ値であっても良く、異なる値であってもよい。例えば、加熱対象物60の裏面61b側と、第二のセンサ201bとの間に、メッシュ状のベルト等のベルト501等が存在する場合、第二のセンサ201bの温度検出の感度が低下する可能性があるため、この場合、この感度の低下にあわせて、閾値を変更してもよい。
【0068】
3つのマイクロ波照射手段401は、それぞれマイクロ波を照射する。ここでは、この3つのマイクロ波照射手段401を、第一のマイクロ波照射手段401a、第二のマイクロ波照射手段401b、および第三のマイクロ波照射手段401cとする。ただし、これらを区別しない場合は、単にマイクロ波照射手段と呼ぶ。この3つのマイクロ波照射手段401は、出射するマイクロ波の位相をそれぞれ制御可能なものである。なお、加熱装置1が有するマイクロ波照射手段401の数は3つに限定されるものではなく、2以上であればよい。ただし、3以上であることが好ましい。ここでは、この3つのマイクロ波照射手段401が全て同じものであるとするが、同じものでなくてもよい。
【0069】
照射状態変化手段40は、3つのマイクロ波照射手段401にそれぞれマイクロ波を照射させる。照射状態変化手段40は、検出手段20が検出した加熱対象部分が集中的に加熱されるよう2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の照射状態を変化させる。本実施の形態においては、照射状態変化手段40が、検出手段20が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう位相を制御したマイクロ波を、3つのマイクロ波照射手段401のうちの2以上に照射させる場合を例に挙げて説明する。
【0070】
加熱対象部分が集中加熱される、ということは、例えば、加熱対象物60の全体が加熱されず、加熱対象部分、または、加熱対象部分とその近傍の領域が選択的に集中加熱されることである。加熱対象部分が選択的に集中加熱される、ということは、例えば、加熱処理装置の加熱対象部分、または加熱対象部分とその近傍を含む領域が、他の部分よりも強く加熱されることであってもよい。他の部分よりも強く加熱される、ということは、マイクロ波の照射による発熱量が他の部分よりも大きくなることと考えてもよく、例えば、マイクロ波の照射による発熱量が他の部分の発熱量よりも閾値以上大きくなることと考えてもよい。
【0071】
加熱対象部分が集中加熱されるよう位相を制御したマイクロ波を、2以上のマイクロ波照射手段401から照射させる、ということは、例えば、加熱対象部分または加熱対象部分とその近傍の部分のマイクロ波の強度が、加熱対象物60の他の部分のマイクロ波の強度よりも高くなる(例えば、閾値以上高くなる)よう、位相をそれぞれ制御したマイクロ波を、2以上のマイクロ波照射手段401から照射することであってもよい。ここでのマイクロ波の強度は、マイクロ波の電界強度であってもよく、磁界強度であってもよい。かかることは以下においても同様である。また、加熱対象部分が集中加熱されるよう位相を制御したマイクロ波を、2以上のマイクロ波照射手段401から照射する、ということは、例えば、加熱対象部分または加熱対象部分とその近傍の部分において2以上のマイクロ波照射手段401から照射されたマイクロ波が強め合い、他の部分においてはマイクロ波が強め合わないよう、位相をそれぞれ制御したマイクロ波を、2以上のマイクロ波照射手段401から照射することであってもよい。ここでのマイクロ波照射手段401から照射されたマイクロ波は、マイクロ波照射手段401から照射され、容器10の内部等で反射されたマイクロ波も含むと考えてもよい。容器10の内壁にマイクロ波吸収性材料等を設けた場合ように、マイクロ波が反射しないようにした場合は、この限りではない。2以上のマイクロ波照射手段401から照射されたマイクロ波は、例えば、干渉等によって容器10内の各所において強め合ったり弱め合ったりするため、位相を個別に制御することで、集中加熱を行うことが可能となる。なお、照射状態変化手段40は、2以上のマイクロ波照射手段401の位相をそれぞれ制御して、集中加熱を行なわせるものであればよく、3つのマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を個別に制御して、加熱対象部分を集中加熱しても良く、3つのマイクロ波照射手段401のうちの2以上が照射するマイクロ波の位相を個別に制御して、加熱対象部分を集中加熱してもよい。この2以上のマイクロ波照射手段401の組合せは、集中加熱を行なう位置に応じて変更してもよい。2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御するということは、2以上のマイクロ波のうちの一部だけのマイクロ波の位相を制御することであってもよい。
【0072】
照射状態変化手段40は、例えば、以下のように、加熱対象部分が集中加熱されるよう、2以上のマイクロ波照射手段401から位相を制御したマイクロ波を照射させる。例えば、後述するような照射管理情報格納部403等に、容器10内の予め決められた1以上、好ましくは2以上の領域が集中加熱されるようにするための、2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御するための情報を予め格納しておくようにし、照射状態変化手段40は、この照射管理情報格納部403等に格納されている1以上の領域を集中加熱するための位相を制御するための情報から、加熱対象部分が含まれる領域を集中加熱するための位相を制御するための情報を読み出し、この情報に応じた位相のマイクロ波が照射されるよう各マイクロ波照射手段401から制御することにより、加熱対象部分を集中加熱する。照射管理情報格納部403等に予め格納されている位相を制御するための情報は、予め決められた2以上の領域をそれぞれ集中加熱するための各マイクロ波照射手段401のマイクロ波出力についての設定を示す情報と考えてもよい。かかることは、他の実施の形態等についても同様である。ただし、照射状態変化手段40が、検出手段20が検出した加熱対象部分が集中加熱されるようマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御する処理等は、このような処理等に限定されるものではない。例えば、照射状態変化手段40は、検出手段20が検出した加熱対象部分の座標(例えば、中心位置の座標)等を取得し、2以上、好ましくは3つ全てのマイクロ波照射手段401がそれぞれマイクロ波を出射する位置と加熱対象部分との距離を算出し、この距離を用いて、2以上、好ましくは3つ全てのマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波が加熱対象部分において干渉によって強め合うよう、それぞれが出射するマイクロ波の位相を制御するようにしてもよい。例えば、加熱対象部分において、各マイクロ波照射手段401から照射されるマイクロ波が同位相となるように、各マイクロ波照射手段401から照射するマイクロ波の位相を制御する。例えば、加熱対象部分から各マイクロ波照射手段401のマイクロ波が照射される照射位置までの距離の差が、各マイクロ波照射手段401から照射されるマイクロ波の波長の整数倍となるように、位相を制御したマイクロ波を各マイクロ波照射手段401から照射する。
【0073】
なお、2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御して、集中加熱を行なう技術については、特開2017-204459号公報等において公知であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0074】
以下、本実施の形態の加熱装置に関連したシミュレーション試験結果について説明する。このシミュレーション試験は、複数のマイクロ波照射手段からそれぞれ照射されるマイクロ波の位相と、発熱密度分布との関連を調べるために行なわれたものである。ここでは、5つの異なる位置から、それぞれ、容器内に位相を制御したマイクロ波を照射するシミュレーション試験を行なった。
【0075】
図12は、本実施の形態の加熱装置に関連したシミュレーション試験に用いられたモデルの斜視図(
図12(a))、このモデルを上方からみた模式図(
図12(b))、およびサンプルの模式図(
図12(c))である。
図13(a)~
図13(c)は、
図12に示したモデルを用いて行なわれた発熱密度分布のシミュレーション試験結果を示す図である。容器801内を上方から見た発熱密度分図を示している。
【0076】
まず、
図12のモデルについて説明する。このモデルは、容器801と、加熱の対象となる9つのサンプル802(以下、サンプル802a~802iとする)と、5つの方形導波管(規格:WRJ-2)803(以下、方形導波管803a~803eとする)とを備えている。容器801は、x軸方向が600mm、y軸方向が600mm、z軸方向が900mmの直方体形状である。5つの方形導波管803a~803eのそれぞれのポート8031(以下、ポート8031a~8031eとする)は、容器801の上面(z軸方向の位置が最も高い面)に、開口部の長手方向が、y軸と平行となるよう配置されている。ポート8031aおよびポート8031bは、x軸方向の位置(例えば、x座標)が等しくなるよう配置され、ポート8031dおよびポート8031eは、x軸方向の位置が等しくなるよう配置されている。ポート8031cは、z軸方向からみて容器801の中心に配置されている。ポート8031aと容器801のポート8031aに近いx軸方向の端部とのx軸方向の間隔、ポート8031aとポート8031cとのx軸方向の間隔、ポート8031cとポート8031dとのx軸方向の間隔、およびポート8031dと容器801のポート8031dに近いx軸方向の端部とのx軸方向の間隔は等間隔であるとする。また、ポート8031aとポート8031dとは、y軸方向の位置(例えば、y座標)が等しくなるよう配置され、ポート8031bとポート8031eとは、y軸方向の位置が等しくなるよう配置されている。ポート8031aと容器801のポート8031aに近いy軸方向の端部とのy軸方向の間隔、ポート8031aとポート8031cとのy軸方向の間隔、ポート8031cとポート8031bとのy軸方向の間隔、およびポート8031bと容器801のポート8031bに近いy軸方向の端部とのy軸方向の間隔は等間隔であるとする。なお、ここでの、ポート8031a~8031eの位置の基準は、ポートの中心とする。ただし、ここでの間隔は、端部間の間隔であるとする。
【0077】
サンプルは、z軸方向から見た形状が直径50mmの円形であるz軸方向の高さが60mの円筒形形状を有している。各サンプル802は、厚さ20mmで、比誘電率ε'=50.2,比誘電損失ε"=2.811となる層8021と、厚さ20mmで、比誘電率ε'=23.23,比誘電損失ε"=1.208となる層8022と、厚さ20mmで、比誘電率ε'=9.743,比誘電損失ε"=0.399となる層8033と、がz軸方向に下から上に向かって積層された構成を有している。サンプル802は、x軸方向およびy軸方向に、3行3列で配置されている。各行の3つのサンプル802は、x軸方向の位置が、容器801のx軸方向の長さを五等分する三点に配置される。また、各列の3つのサンプル802は、y軸方向の位置が、容器801のx軸方向の長さを五等分する三点に配置される。サンプル802aはポート8031aの下方に、サンプル802cはポート8031bの下方に、サンプル802eはポート8031cの下方に、サンプル802gはポート8031dの下方に、サンプル802aはポート8031eの下方に、それぞれ配置されている。サンプル802bはサンプル802aとサンプル802cとの間に、サンプル802dはサンプル802aとサンプル802gとの間に、サンプル802fはサンプル802cとサンプル802iとの間に、サンプル802hはサンプル802gとサンプル802iとの間に、それぞれ配置されている。容器801の底面(z軸方向の位置が最も低い面)からz軸方向の距離が145mmとなる位置には、容器801をz方向に仕切るように、比誘電率ε'=2.1,比誘電損失ε"=0.0021となる厚さ5mmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)板804が配置されており、各サンプル802a~802iは、このPTFE板804上に配置されている。
【0078】
図12に示したモデルにおいて、方形導波管802a~803eのそれぞれから、個別に、周波数が2.45GHz、出力が0.2Wであるマイクロ波を常時照射している状態の容器801内の発熱密度分布をシミュレーション試験により取得した。シミュレーション試験には、シミュレーション試験には電場解析ソフト(ANSYS製HFSS13.0)を用いた。ここでは、各ポート8031から照射されるマイクロ波の位相を制御しなかった場合の、それぞれのポート8031から照射されるマイクロ波の位相差が「0」であるとする。
【0079】
図13(a)は、ポート8031a~8031eから位相差を「0」としたマイクロ波をそれぞれ照射した場合の発熱密度分布を示す図である。
【0080】
図13(b)は、ポート8031a~8031cから位相差を「0」としたマイクロ波をそれぞれ照射し、ポート8031dおよびポート8031eから、これらに対して位相差を「180°」に設定したマイクロ波をそれぞれ照射した場合の発熱密度分布を示す図である。
【0081】
図13(c)は、ポート8031a、8031b、8031dおよび8031eから位相差を「0」としたマイクロ波を照射し、ポート3031cから、これらに対して位相差を「180°」に設定したマイクロ波を照射した場合の発熱密度分布を示す図である。
【0082】
図13(a)に示すように、ポート8031a~8031eからそれぞれ照射されるマイクロ波の位相を制御せずに、全て同位相のマイクロ波を照射した場合には、一つのサンプル802だけを選択的に集中加熱することが困難であるが、
図13(b)のように、ポート8031dおよびポート8031eから位相差が「180°」のマイクロ波を照射した場合には、サンプル802bを、また、
図13(c)のようにポート3031cから位相差が「180°」のマイクロ波を照射した場合、サンプル802eを集中加熱できることがわかる。
【0083】
このシミュレーション試験結果から、本実施の形態のように、位相をそれぞれ制御した2以上のマイクロ波を照射することで、容器内を選択的に集中加熱可能であることがわかる。例えば、上記のシミュレーション試験に用いられたモデルと同様の加熱装置においては、シミュレーション試験において選択的に集中加熱させるべきサンプルが配置されていた領域に相当する領域に、加熱対象物の加熱対象部分が位置するときに、上記のシミュレーション試験において、このサンプルを加熱する際に照射したマイクロ波と同様に位相を制御した2以上のマイクロ波を照射することで、加熱対象部分を選択的に集中加熱できることがわかる。
【0084】
照射状態変化手段40は、例えば、2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御して個別に集中加熱可能な領域に、検出手段20が検出した加熱対象部分が位置するときに、この分部加熱が可能な領域が集中加熱されるよう位相を制御したマイクロ波を2以上のマイクロ波照射手段401から照射して、加熱対象部分を集中加熱する。例えば、照射状態変化手段40が、2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御して個別に集中加熱可能な領域を、検出領域205よりも加熱対象物60の移動方向において下流となる位置に予め1または2以上の有している場合において、照射状態変化手段40は、検出手段20が検出した加熱対象部分がこの集中加熱可能な領域に位置するときに、この分部加熱が可能な領域が集中加熱されるよう位相を制御したマイクロ波を2以上のマイクロ波照射手段401から照射して、加熱対象部分を集中加熱する。加熱対象部分が集中加熱可能な領域に位置するときとは、例えば、加熱対象物60の移動によって集中加熱可能な領域に位置することとなったとき(例えば、進入した場合)である。加熱対象部分が集中加熱可能な領域に位置することは、加熱対象部分が集中加熱可能な領域に重なることと考えてもよい。かかることは、以下においても同様である。1または2以上の領域を集中加熱できるようにするということは、例えば、1または2以上の領域を集中加熱するための位相を制御するための情報を、領域ごとに予め用意しておくことであってもよく、複数の領域を集中加熱するための位相を制御するための情報を算出するために利用可能な情報を予め用意しておくことであってもよい。照射状態変化手段40は、例えば、照射管理情報格納部403に格納される1または2以上の照射管理情報に対応する照射状態変化手段40が集中加熱可能な領域、具体的には2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御して集中加熱可能な1または2以上の領域に、検出手段20が検出した加熱対象部分が位置するときに、この領域に対応する照射管理情報を用いて、この集中加熱が可能な領域が集中加熱されるよう位相を制御したマイクロ波を2以上のマイクロ波照射手段401から照射させて、加熱対象部分を集中加熱する。照射管理情報に対応する領域は、例えば、照射管理情報により特定される集中加熱可能な領域と考えてもよく、照射管理情報に応じて2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御することで集中加熱可能な領域と考えてもよい。
【0085】
ここでは、照射状態変化手段40がマイクロ波の位相を制御して集中加熱可能な1または2以上の領域をそれぞれ集中加熱領域と呼ぶ。集中加熱領域とは、照射状態変化手段40によって集中加熱できる領域である。集中加熱領域は、例えば、発熱量が閾値以上となるよう集中加熱を行なうことが可能な領域である。また、集中加熱領域は、例えば、発熱量が、加熱対象物60の他の部分の発熱量の最大値よりも閾値以上となるよう集中加熱できる領域であってもよい。また、集中加熱領域は、例えば、マイクロ波の強度が他よりも高くなる(例えば、閾値以上高くなる)領域であってもよく、2以上のマイクロ波照射手段401から照射されたマイクロ波が加熱対象物60の他の部分に比べて強め合う領域であってもよい。集中加熱領域は、照射状態変化手段40によって実際に集中加熱を行った場合に加熱される領域の一部であってもよい。例えば、実際に集中加熱を行った場合に加熱される領域内に含まれる領域であってもよい。また、集中加熱領域は、一部に集中加熱できない領域を含む領域であっても良く、集中加熱できない領域を含まない領域であってもよい。集中加熱領域406は、通常、三次元の領域であるが、二次元の領域と考えてもよい。例えば、三次元である集中加熱領域406を横切る平面を、二次元の集中加熱領域406と考えてもよい。三次元の集中加熱領域の形状は、どのような形状であってもよい。集中加熱領域の形状は、例えば、直方体形状や、立方体形状、球形状、楕円形状等、どのような形状であってもよい。例えば、集中加熱領域は、集中加熱可能な領域に収まる直方体形状や、球形状であってもよい。また、二次元の集中加熱領域の形状は、矩形等の多角形、正方形、円形、楕円形等である。なお、集中加熱が可能な領域の大きさは、例えば、マイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の波長の長さと同程度の大きさとなる。この大きさは、マイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波を、マイクロ波用のレンズ(図示せず)を通して照射すること等により、狭めたり広げたりすることが可能である。このため、集中加熱領域406の大きさも、集中加熱可能な領域の大きさにあわせて変更可能である。
【0086】
以下、本実施の形態においては、上述した3つのマイクロ波照射手段401が、それぞれ、マイクロ波発振器4011と、伝送部4012とを備えており、照射状態変化手段40が、制御部402と、照射管理情報格納部403とを有している場合を例に挙げて説明する。
【0087】
本実施の形態においては、
図3(a)~
図3(d)に示すように、照射状態変化手段40と3つのマイクロ波照射手段401とを用いることで、6つの集中加熱領域、すなわち、第一の集中加熱領域406a~第六の集中加熱領域406fを集中加熱できる場合を例に挙げて説明する。なお、第一の集中加熱領域406a~第六の集中加熱領域406fを区別しない場合は、単に、集中加熱領域406と呼ぶ。かかることは以下においても同様である。本実施の形態においては、集中加熱領域406が、加熱対象物60の表面61aまたは裏面61bの、二次元の領域と考える場合について説明する。この場合、表面61aの集中加熱領域406を集中加熱することは、加熱対象物60のこの表面61a側の部分を集中加熱することであり、裏面61bの集中加熱領域406を集中加熱することは、加熱対象物60のこの裏面61b側の部分を分部加熱することと考える。ただし、照射状態変化手段40は、表面61a側の集中加熱領域406を集中加熱する際には、その裏面61b側の領域は集中加熱されないように位相を制御したマイクロ波をマイクロ波照射手段401から照射させ、裏面61bの集中加熱領域406を集中加熱する際には、その表面61a側は集中加熱されないように位相を制御したマイクロ波をマイクロ波照射手段401から照射させることが好ましい。
【0088】
図3(a)および
図3(b)に示すように、第一の集中加熱領域406a~第三の集中加熱領域406cは、加熱対象物60の表面61a側に位置する集中加熱領域であり、加熱対象物60の幅方向に向かって直線状に配列される領域であるとする。また、
図3(c)および
図3(d)に示すように、第四の集中加熱領域406d~第六の集中加熱領域406fは、加熱対象物60の裏面61b側に位置する集中加熱領域であり、加熱対象物60の幅方向に向かって直線状に配列される領域であるとする。第一の集中加熱領域406a~第六の集中加熱領域406fは、ここでは、同じ大きさおよび形状の領域であるとする。なお、ここでは、各集中加熱領域406の形状を、矩形形状としているが、各集中加熱領域406の形状は、どのような形状であってもよく。また集中加熱領域406の少なくとも一部の形状やサイズは他のものとは異なっていてもよい。各集中加熱領域406は、長手方向に平行な辺と、幅方向に平行な辺とを有している。
【0089】
第一の集中加熱領域406a~第三の集中加熱領域406cと、第四の集中加熱領域406d~第六の集中加熱領域406fとは、容器10内の高さ方向において異なる位置にある。第四の集中加熱領域406dは、第一の集中加熱領域406aの真下に位置し、第五の集中加熱領域406eは第二の集中加熱領域406bの真下に位置し、第六の集中加熱領域406fは第三の集中加熱領域406cの真下に位置している。第一の集中加熱領域406a~第三の集中加熱領域406cは、平面方向において隣り合う集中加熱領域406同士が、部分的に重なり合わず、長手方向に平行な辺同士が接している。第四の集中加熱領域406d~第六の集中加熱領域406fについても同様である。第一の集中加熱領域406a~第三の集中加熱領域406cを部分照射した場合と、第四の集中加熱領域406d~第六の集中加熱領域406fを部分照射した場合、高さ方向において異なる位置が集中加熱されるものとする。また、第一の集中加熱領域406a、第三の集中加熱領域406c、第四の集中加熱領域406dおよび第六の集中加熱領域406fは、加熱対象物60の側部からはみ出さず、それぞれの長手方向に伸びる辺の一つが、加熱対象物60の側部に接している場合について説明する。
【0090】
なお、隣り合う集中加熱領域406同士は部分的に重なり合っていてもよい。また、予め決められた間隔を隔てていてもよい。また、第一の集中加熱領域406a、第三の集中加熱領域406c、第四の集中加熱領域406dおよび第六の集中加熱領域406fは、加熱対象物60の幅方向の端部からはみ出していてもよく、長手方向に伸びる辺の一つが、加熱対象物60の幅方向の端部と接していなくてもよい。また、第一の集中加熱領域406a~第三の集中加熱領域406cと、第四の集中加熱領域406d~第六の集中加熱領域406fとは、高さ方向において重なっていてもよく、接していてもよい。
【0091】
なお、第一の集中加熱領域406a~第三の集中加熱領域406cは、これらをあわせた領域が、加熱対象物60全体を幅方向において横切るよう設けられていることが好ましい。かかることは、第四の集中加熱領域406d~第六の集中加熱領域406fについても同様である。
【0092】
なお、第一の集中加熱領域406a~第三の集中加熱領域406cは、それぞれが設けられている幅方向の範囲を結合した範囲が、加熱対象物60全体を幅方向において横切っていることが好ましいが、幅方向に向かって同一直線上に配列されていなくてもよい。かかることは、第四の集中加熱領域406d~第六の集中加熱領域406fについても同様である。
【0093】
マイクロ波発振器4011は、例えば、マグネトロンや、クライストロン、ジャイロトロン、半導体型発振器等である。マイクロ波発振器4011としては、位相が制御しやすい半導体型発振器を用いることが好ましい。ただし、マイクロ波発振器4011はこれらに限定されるものではない。各マイクロ波発振器4011が照射するマイクロ波の周波数や強度等は問わない。各マイクロ波発振器4011が照射するマイクロ波の周波数は、例えば、915MHzであっても良く、2.45GHzであってもよく、5.8GHzであってもよく、その他の300MHzから300GHzの範囲内の周波数であっても良く、その周波数は問わない。各マイクロ波発振器4011は、マイクロ波の位相を制御する位相器(図示せず)を備えており、各マイクロ波発振器4011内で発生したマイクロ波の位相が制御(具体的には位相を変更)され出射される。例えば、各マイクロ波発振器4011は、内部で発生したマイクロ波の位相を制御し、位相を制御したマイクロ波を増幅して出射する。
【0094】
なお、複数のマイクロ波照射手段401は、一のマイクロ波を発生する発振器が発生したマイクロ波を分岐して複数の位相器(図示せず)にそれぞれ入力し、複数の位相器で個別に位相を制御したマイクロ波を、必要に応じて個別にアンプ(図示せず)等で増幅してそれぞれ出射するようにしたものであってもよい。この場合、複数の位相器や、位相器毎に設けられたアンプ等の部分を、それぞれマイクロ波照射手段401と考えてもよい。
【0095】
また、マイクロ波照射手段401は、マイクロ波の出力の制御や、照射するマイクロ波の周波数の制御等が可能なものであってもよい。ここでの出力は、例えば、電力である。マイクロ波の出力の制御は、マイクロ波の照射を行なうか否かの制御や出力の強弱を含んでいてもよい。
【0096】
伝送部4012は、マイクロ波発振器4011が出力するマイクロ波を伝送する。伝送部4012は、例えば、導波管や、マイクロ波を伝送する同軸ケーブル等である。ただし、マイクロ波を伝送可能であれば、これらに限定されるものではない。ここでは、各伝送部4012が導波管である場合について説明する。各伝送部4012は、マイクロ波発振器4011と容器10との間に接続されている。
【0097】
容器10の、各伝送部4012が接続される部分には、例えば、第一の開口部105a~第三の開口部105cが設けられている。第一の開口部105a~第三の開口部105cは、第一のマイクロ波照射手段401a~第三のマイクロ波照射手段401cの伝送部4012がそれぞれ取付けられている開口部である。なお、第一の開口部105a~第三の開口部105cを区別しない場合、単に開口部105と呼ぶ。開口部105を介して、伝送部4012を伝送されるマイクロ波が容器10内に照射される。ここでは、3つの開口部105は、検出領域205bよりも後方となる位置に、容器10の幅方向に一列に配置されている場合を示しているが、第一の開口部105a~第三の開口部105cの配置はこれに限定されるものではない。開口部105は、マイクロ波透過性のプレート等で塞がれていてもよい。また、容器10内には、各伝送部4012と接続された容器10内へのマイクロ波照射に用いられるアンテナ等が設けられていてもよい。このアンテナの形状や構造等は問わない。なお、伝送部4012と、容器10との接続部分の構成等は、これらに限定されるものではない。
【0098】
制御部402は、単なるマイクロ波の照射制御に加え、検出手段20が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう、2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御する照射状態を変化させるための手段としても機能する。2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御するということは、例えば、2以上のマイクロ波照射手段401を個別に制御して、検出手段20が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう、位相を制御したマイクロ波を、複数のマイクロ波照射手段401にそれぞれ照射させることである。
【0099】
ここでは、上述したように、検出手段20が検出した加熱対象部分が、一の集中加熱領域406に位置するときに、制御部402が、この一の集中加熱領域406が集中加熱されるよう位相を制御したマイクロ波を、3つのマイクロ波照射手段401のうちの2以上から照射する場合について説明する。加熱対象部分が1以上の集中加熱領域に位置するときとは、例えば、加熱対象部分が、加熱対象物60の移動によって、集中加熱領域406に進入したときであってもよい。
【0100】
制御部402は、例えば、1以上の集中加熱領域406に、検出手段20が検出した加熱対象部分が位置するときに、この集中加熱領域406が集中加熱されるよう位相を制御したマイクロ波を2以上のマイクロ波照射手段401から照射させる。これにより、加熱対象部分を集中加熱させる。加熱対象部分が位置する集中加熱領域406は、例えば、加熱対象部分が重なる集中加熱領域406と考えてもよい。制御部402は、例えば、加熱対象部分が位置する集中加熱領域406を特定し、特定した集中加熱領域406を集中加熱するための2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御するための情報を取得し、取得した位相を制御する情報を用いて、特定した集中加熱領域406が集中加熱されるよう位相を制御したマイクロ波を、2以上のマイクロ波照射手段401に照射させる。ここでの集中加熱領域406は、照射管理情報格納部403に格納される照射管理情報に対応する集中加熱領域406である。照射管理情報に対応する集中加熱領域406は、例えば、照射管理情報により特定される集中加熱領域406と考えてもよく、照射管理情報に応じて二以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御することで集中加熱可能な集中加熱領域406と考えてもよい。ここでの特定される集中加熱領域406は、加熱対象部分を集中加熱する集中加熱領域406と考えてもよい。位相を制御するための情報は、例えば、各マイクロ波照射手段401が出力するマイクロ波の位相を示す情報や、各マイクロ波照射手段401間の位相差を示す情報や、各マイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を設定する情報等である。
【0101】
以下、制御部402が、加熱対象部分を集中加熱する集中加熱領域406を特定し、特定した集中加熱領域406を集中加熱するための2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御するための情報を取得する処理の例について説明する。
【0102】
例えば、制御部402は、検出手段20が検出した加熱対象部分が、加熱対象物60の移動に伴って位置することとなる(例えば、進入する)集中加熱領域406を特定し、特定した集中加熱領域406を集中加熱するための2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御するための情報を取得する。なお、加熱対象部分がどの集中加熱領域406に位置することとなるか等は、例えば、加熱対象部分の容器10の幅方向における位置を示す情報(例えば、座標)と、各集中加熱領域406の容器10の幅方向における位置を示す情報(例えば、座標)とを比較することで、判断可能である。各集中加熱領域406の幅方向における位置を示す情報等は、図示しない格納部等に予め蓄積しておいたものを適宜読み出すようにすればよい。
【0103】
制御部402は、例えば、加熱対象物60の表面61a側の第一の検出領域205aで検出された加熱対象部分については、加熱対象物60の表面61a側に位置する第一の集中加熱領域406a~第三の集中加熱領域406cから、加熱対象部分が位置する集中加熱領域406を検出し、検出した集中加熱領域406を、加熱対象部分を集中加熱する集中加熱領域406に特定する。加熱対象物60の裏面61b側の第二の検出領域205bで検出された加熱対象部分については、加熱対象物60の裏面61b側に位置する第四の集中加熱領域406d~第六の集中加熱領域406fから、加熱対象部分が位置する集中加熱領域406を検出し、検出した集中加熱領域を、加熱対象部分を集中加熱するための集中加熱領域406に特定してもよい。これにより、高さ方向も考慮して、加熱対象部分を集中加熱することができる。
【0104】
なお、隣り合う集中加熱領域406重なっている場合において、加熱対象部分が重なっている部分に位置することとなるときには、制御部402は、この重なっている集中加熱領域406の一つを、加熱対象部分を集中加熱する集中加熱領域406に特定するようにしてもよい。例えば、検出手段20が検出した加熱対象部分が、集中加熱領域406が重なっている部分に位置するときには、加熱対象部分が、重なっている部分のどの位置に存在するかに関わらず、予め決められたルールに従って、一の集中加熱領域を集中加熱する集中加熱領域406に特定してもよい。また、例えば、重なっている部分を、容器10の幅方向において2つに分割しておくようにし、分割された領域の一方に加熱対象部分が位置するときには、制御部402は、隣り合う集中加熱領域406のうちの、重なりあっていない部分がこの分割された領域側に位置する集中加熱領域406を、集中加熱するよう集中加熱領域に特定してもよい。この場合、重なり合う部分は、例えば、集中加熱領域406を二次元の領域と考えた場合、重なり合う部分は、隣り合う集中加熱領域406の輪郭が交わる位置を通る直線で分割することが好ましく、集中加熱領域406を三次元の領域と考えた場合、隣り合う集中加熱領域406の輪郭が交わる位置を通る面で分割することが好ましい。また、隣り合う集中加熱領域406が同じ形状およびサイズの領域である場合、重なり合う部分は、重なり合う部分の、幅方向の中心位置としてもよい。
【0105】
また、制御部402は、例えば、検出手段20が検出した加熱対象部分が、2以上の集中加熱領域406が重なっている領域に位置するときに、この2以上の集中加熱領域406の全てを、加熱対象部分を集中加熱する集中加熱領域406に特定し、特定した2以上の集中加熱領域406を順番に集中加熱するようにしてもよい
【0106】
なお、例えば、離れた集中加熱領域406に位置することとなる複数の加熱対象部分が同時に検出された場合や、異なる集中加熱領域にまたがる加熱対象部分が検出された場合のように、複数の集中加熱領域406でそれぞれ集中加熱しなければ加熱できない加熱対象部分が検出された場合、制御部402は、この複数の集中加熱領域406を全て、集中加熱を行う集中加熱領域406に特定し、特定した複数の集中加熱領域406を順番に集中加熱するよう2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御するようにしてもよい。
【0107】
制御部402が、上記のように特定された集中加熱領域406を集中加熱するための2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御する情報を、どのように取得するかは問わない。例えば、特定した集中加熱領域406の位置を示す情報(例えば、集中加熱領域406の中心や重心等の代表点の位置を示す座標等)と、容器10内の複数のマイクロ波が出射される位置の座標等を用いて複数のマイクロ波が出射される位置から集中加熱領域406までの距離をそれぞれ算出し、算出した距離の情報と照射するマイクロ波の波長等とを用いて、特定の集中加熱領域406において、複数のマイクロ波が強め合うように、2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を算出してもよい。このとき、各集中加熱領域の位置を示す情報は、例えば、予め図示しない格納部等に格納されているものを読み出すようにすればよい。また、例えば、各集中加熱領域406を集中加熱するための2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御する情報を、各集中加熱領域406に対応付けて、照射管理情報格納部403に予め蓄積しておくようにし、この照射管理情報格納部403から、特定した集中加熱領域406に対応付けられた位相を制御するための情報を取得してもよい。
【0108】
なお、本実施の形態においては、検出手段20が加熱対象部分を検出する検出領域205と集中加熱領域406との位置が離れており、加熱対象物60が検出領域205側から、集中加熱領域406側に向かって移動している場合において、検出領域205の加熱対象部分が検出された位置に対応する集中加熱領域406を、位相を制御したマイクロ波を照射して集中加熱する場合について説明する。
【0109】
具体的には、検出領域205を、加熱対象物60の移動方向とは逆方向に各集中加熱領域406を移動させた場合に重なる領域ごとに分割するようにし、分割された領域(以下、分割領域と称す)のそれぞれの幅方向の範囲を示す情報と、各分割領域に重なる集中加熱領域406を集中加熱するための2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御するための情報と対応付けて有する照射管理情報を、照射管理情報格納部403に格納しておくようにする。そして、制御部402が、検出手段20が加熱対象部分を検出した場合に、検出領域205の分割領域の中から、加熱対象部分が検出された領域を検出して、この検出した分割領域に対応付けられた2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御するための情報を照射管理情報格納部403から取得する。その後、検出領域205で検出された加熱対象部分がこの分割領域に対応する集中加熱領域406まで移動するために要する時間が経過した後に、上記で取得したマイクロ波の位相を制御するための情報を用いて、2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御して、集中加熱を行なう。これにより、検出手段20が検出した加熱対象部分を、集中加熱領域406において集中加熱することができる。ここでの照射管理情報は、検出領域205が幅方向に分割された分割領域の幅方向の位置を示す情報と、各分割領域を通過する加熱対象部分が移動する集中加熱領域406において集中加熱を行なうための、2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御するための情報とを有する情報と考えてもよい。
【0110】
なお、ここでの加熱対象部分が含まれる検出領域205が分割された領域を検出する処理は、分割された領域が、加熱対象部分に対して集中加熱を行なう集中加熱領域406に対応していることから、加熱対象部分に対して集中加熱を行なう集中加熱領域406を特定する処理や、加熱対象部分が移動することとなる集中加熱領域406を特定する処理に相当すると考えてよい。また、検出された分割領域に対応するマイクロ波の位相を制御するための情報は、検出された分割領域に対応する集中加熱領域を集中加熱するためのマイクロ波の位相を制御するための情報であるから、検出された分割された領域に対応するマイクロ波の位相を制御するための情報を取得する処理は、加熱対象部分に対して集中加熱を行なう集中加熱領域406を特定する処理で特定された集中加熱領域を集中加熱するためのマイクロ波の位相を制御するための情報を取得する処理と考えてよい。
【0111】
なお、複数の集中加熱領域406同士が重なる部分については、重なる部分を集中加熱する集中加熱領域406ごとに幅方向に分割し、これにあわせて、検出領域205を、重なる部分を分割した領域を移動させた場合に重なる領域ごとに分割し、分割した分割領域を、この分割領域と重なる集中加熱領域406の重なる部分を集中加熱するためのマイクロ波の位相を制御するための情報と対応づけて有する照射管理情報を照射管理情報格納部403に格納しておくようにしてもよい。そして、この分割領域で加熱対象部分が検出された場合、制御部402は、この照射管理情報に対応付けられた集中加熱領域を集中加熱するためのマイクロ波の位相を制御するための情報を取得するようにしてもよい。
【0112】
なお、上記において、照射管理情報格納部403に格納しておく情報を、集中加熱領域406と、集中加熱領域406を集中加熱するための2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御するための情報と対応付けて有する複数の照射管理情報に替え、制御部402が、加熱対象部分が検出された分割領域に対応する集中加熱領域406を示す情報を取得し、取得した集中加熱領域406を集中加熱するためのマイクロ波の位相を制御するための情報を照射管理情報格納部403から取得してもよい。
【0113】
なお、加熱対象部分が検出領域205で検出されてから、マイクロ波を照射する1以上の集中加熱領域406まで移動するために要する時間は、検出領域205と集中加熱領域406との距離と、加熱対象物60の移動速度等から算出できる。この時間は、例えば、集中加熱領域406と対応付けて予め図示しない格納部等に蓄積しておいたものを適宜読み出すようにすればよい。また、上記において、マイクロ波の位相を制御するための情報は、集中加熱を行なう直前に取得するようにしてもよい。
【0114】
なお、上記の検出領域205の分割のしかたは一例であり、加熱対象部分に対して集中加熱を行なう集中加熱領域406を特定できるような分割であれば、上記以外の分割を行なうようにしてもよい。
【0115】
また、制御部402が、加熱対象部分を集中加熱する集中加熱領域を特定する処理は、上述した処理に限定されるものではない。
【0116】
制御部402は、1以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の出力を更に制御してもよい。この出力は、例えば、マイクロ波の強度である。マイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の出力は、予め決められた出力であってもよく、検出手段20の検出結果に応じて変更されてもよい。制御部402は、例えば、検出手段20が検出した加熱対象部分の温度や、広さ等に応じて1以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の出力を決定して制御する。例えば、温度が低くなるに従って、連続的、あるいは段階的にマイクロ波の出力が高くなるよう制御してもよい。また、例えば、加熱対象部分の広さが広くなるに従って、連続的、あるいは段階的にマイクロ波の出力が高くなるよう制御してもよい。なお、上述したような検出手段20の検出結果に応じて各マイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の出力は、実験やシミュレーション等に応じて決定することが好ましい。
【0117】
照射管理情報格納部403には、集中加熱領域406を集中加熱するための二以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御するための情報である照射管理情報が格納される。照射管理情報格納部403には、例えば、集中加熱領域406を特定するための情報と、この集中加熱領域406を集中加熱するための二以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御するための情報と、が対応付けられた情報である1または2以上の照射管理情報が格納される。集中加熱領域406を特定する情報は、加熱対象部分と重なる集中加熱領域406を特定可能な情報であれば、どのような情報であってもよい。ここでは、集中加熱領域406を特定する情報が、集中加熱領域406と対応する分割領域の位置を示す情報である場合について説明する。具体的には、照射管理情報格納部403には、検出領域205の、上記のように分割された分割領域2051を示す情報と、分割領域2051で検出された加熱対象部分が移動する集中加熱領域406を集中加熱する際の2以上のマイクロ波照射手段401の位相を制御するための情報とを有する1または2以上の照射管理情報が格納されている場合について説明する。
【0118】
分割領域を示す情報は、例えば、分割領域の平面方向の位置を示す情報である。分割領域を示す情報は、例えば、分割された領域のエリアや、容器10の幅方向における範囲を示す情報である。2以上のマイクロ波照射手段401の位相を制御するための情報は、例えば、マイクロ波照射手段401を識別する情報と、このマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を設定する情報とを有する2以上の情報である。この位相を設定する情報は、位相の値や、基準となる位相に対する位相の変化量の情報であってもよい。一の照射管理情報が有する2以上のマイクロ波照射手段401の位相を制御するための情報は、例えば、一の照射管理情報に対応する集中加熱領域406を集中加熱するために、シミュレーションや実験等を行なって取得された、2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を設定する情報であることが好ましい。このシミュレーションや実験は、例えば、2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相の組合せを変更して行なわれる。特に、シミュレーションは、容器10内の反射や、加熱対象物60等の誘電体によるマイクロ波の屈折や、マイクロ波の波長の変化を考慮するよう、容器10の形状や、加熱対象物60の形状や、誘電率等を用いて行なうことが好ましい。
【0119】
なお、一の照射管理情報が有する2以上のマイクロ波照射手段401の位相を設定する情報は、例えば、同じ照射管理情報が有する集中加熱領域406を集中加熱するために、この集中加熱領域406内において位相が強めあうように、この集中加熱領域406と、2以上のマイクロ波を出射する位置との距離等から算出した位相を設定する情報であってもよい。
【0120】
なお、制御部402が、図示しない格納部等に格納されている分割領域2051を示す情報と、分割領域2051に対応する集中加熱領域406の識別子(例えば、分割領域2051に位置する加熱対象部分が移動する集中加熱領域406の識別子)とを有する情報等から、加熱対象部分が位置する分割領域2051に対応する集中加熱領域406の識別子を取得する場合、部分照射管理情報は、集中加熱領域406の識別子と、この集中加熱領域406を集中加熱するための位相を制御するための情報とを有する情報であっても良い。
【0121】
なお、ここでは、照射状態変化手段40が照射管理情報格納部403を有する場合について説明するが、照射管理情報格納部403は、照射状態変化手段40の外部に設けられていてもよい。
【0122】
照射管理情報格納部403は、不揮発性の記録媒体であってもよく、揮発性の記録媒体であってもよい。かかることは他の格納部についても同様である。
【0123】
次に、加熱装置1の動作の一例について、
図4のフローチャートを用いて説明する。ベルトコンベア50は一定の速度でベルト501上に載置された直方体状の加熱対象物60を搬送しているものとする。ただし、加熱装置1の動作は、
図4に示した動作に限定されるものではない。
【0124】
(ステップS101)検出手段20の第一のセンサ201aが、第一の検出領域205aにおいて加熱対象物60の表面61a側の温度分布を取得する。この処理は、例えば、予め決められた周期で行なわれることが好ましい。検出手段20がセンサ201を用いて温度分布を取得する処理を行なう周期(時間間隔)は、例えば、検出領域205の移動方向の長さを、加熱対象物60移動速度で除算して得られる時間とすることが好ましい。
【0125】
(ステップS102)検出手段20の検出処理部202は、ステップS101で取得した温度分布から、加熱対象部分を検出する処理を行なう。例えば、検出処理部202は、取得した温度分布から、閾値以下の温度の部分を検出し、検出した1以上の部分の幅方向の位置を示す情報(例えば、幅方向の座標)を、加熱対象部分の位置を示す情報として取得する処理を行なう。ここでの幅方向の位置を示す情報は、幅方向の領域を示す情報(例えば、座標の範囲を示す情報)であってもよい。
【0126】
(ステップS103)照射状態変化手段40の制御部402は、ステップS102において、加熱対象部分が検出されたか否かを判断する。検出された場合、ステップS104に進み、検出されていない場合、ステップS106に進む。
【0127】
(ステップS104)制御部402は、ステップS102で検出された加熱対象部分に対して集中加熱を行なうための、2以上のマイクロ波照射手段401の位相を制御するための情報と、照射を開始する時刻とを決定する。具体的には、制御部402は、照射管理情報格納部403に格納されている第一の検出領域205aが幅方向に分割された分割領域の範囲を示す情報と、この分割領域を通過する加熱対象部分が移動する集中加熱領域406を集中加熱するための、2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御するための情報とを有する複数の照射管理情報から、ステップS102で検出された1以上の加熱対象部分が含まれる分割領域の位置を示す情報(例えば、範囲を示す情報)を含む照射管理情報を検出し、検出した照射管理情報が有するマイクロ波の位相を制御するための情報を取得する。加熱対象部分が含まれる分割領域の範囲を示す情報は、集中加熱を行なう集中加熱領域を特定する処理と考えてもよい。また、マイクロ波の位相を制御するための情報を取得する処理は、特定した集中加熱領域を集中加熱する際のマイクロ波の位相を制御するための情報を取得する処理と考えてもよい。制御部402は、さらに、現在の時刻を図示しない時計等から取得し、取得した時刻に、検出領域205を通過した加熱対象物60が集中加熱領域406に移動するために要する時間を加算し、加算して得られた時刻を、決定したマイクロ波照射手段401がマイクロ波の照射の開始時刻として取得する。ここでは、複数の集中加熱領域406の、加熱対象物60の移動方向における位置が同じであり、第一の検出領域205aが、加熱対象物60の移動方向に対して垂直に設定されているとすると、この時間は全て同じ時間とする。
【0128】
(ステップS105)制御部402は、ステップS104で決定したマイクロ波照射手段401を示す情報とマイクロ波の照射の開始時刻とを対応付けて有する情報を、図示しない格納部に蓄積する。そして、ステップS106に進む。
【0129】
(ステップS106)検出手段20の第二のセンサ201bが、第二の検出領域205bにおいて加熱対象物60の裏面61b側の温度分布を取得する。
【0130】
(ステップS107)検出手段20の検出処理部202は、ステップS106で取得した温度分布から、加熱対象部分を検出する処理を行なう。この処理は、ステップS102と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0131】
(ステップS108)照射状態変化手段40の制御部402は、ステップS107において、加熱対象部分が検出されたか否かを判断する。検出された場合、ステップS109に進み、検出されていない場合、ステップS111に進む。
【0132】
(ステップS109)制御部402は、ステップS107で検出された加熱対象部分に対して集中加熱を行なうための、2以上のマイクロ波照射手段401の位相を制御するための情報と、照射を開始する時刻とを決定する。この処理は、検出領域205が第二の検出領域205bである点を除けば、ステップS104と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0133】
(ステップS110)制御部402は、ステップS109で取得した位相を制御するための情報と開始時刻とを対応付けて有する情報を、ステップS105で蓄積に用いた格納部に蓄積する。そして、ステップS111に進む。
【0134】
(ステップS111)制御部402は、位相を制御したマイクロ波の照射を行なうタイミングであるか否かを判断する。具体的には、ステップS105およびステップS110でマイクロ波照射手段401を示す情報と対応付けて蓄積された照射開始時刻の中から、現在の時刻と一致するものを検索する。一致する照射開始時刻が1以上ある場合、マイクロ波照射を行なうタイミングであると判断し、一致する照射開始時刻がない場合、マイクロ波照射を行なわないタイミングであると判断する。マイクロ波照射を行なうタイミングである場合、ステップS112に進み、マイクロ波照射を行なうタイミングでない場合、ステップS101に戻る。
【0135】
(ステップS112)制御部402は、ステップS111で検出された現在の時刻と一致する照射開始時刻と対応付けられた位相を制御するための情報を取得し、取得した状得方を用いて、2以上のマイクロ波照射手段401を制御して、位相を制御したマイクロ波を照射させる。これにより、2以上のマイクロ波照射手段401からマイクロ波照射が行なわれ、集中加熱が行なわれる。そして、ステップS101に戻る。一致する照射開始時刻を有するレコードが2以上ある場合、各レコードが有する位相を制御するための情報を用いたマイクロ波照射を順番に行なう。なお、各マイクロ波照射手段401がマイクロ波を出射する時間は、例えば、検出手段20が検出を行なう時間間隔と同じ長さとしてもよい。また、各マイクロ波照射手段401からのマイクロ波照射は、例えば、予め決められた時間だけ行なうようにしてもよい。この時間は、例えば、検出手段20がセンサ201を用いて温度分布を取得する処理を行なう周期と同じ時間としてもよい。また、この時間は、例えば、加熱対象部分が、一の集中加熱領域406に入ってから、出るまでに要する時間以下とすることが好ましい。この場合、例えば、マイクロ波を照射中のマイクロ波照射手段401が、マイクロ波照射を開始した後のステップS111において、新たにマイクロ波を照射するタイミングであると判断されたときには、この新たに判断された時刻を、このマイクロ波照射手段401がマイクロ波照射を開始した時刻に更新するようにしてもよい。なお、各マイクロ波照射手段401がマイクロ波の照射を終了する条件は、上記に限定されるものではない。
【0136】
なお、
図4のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0137】
次に、本実施の形態の加熱装置1の動作の具体例について説明する。ここでは一例として、加熱対象物60は、容器10に搬入される直前に、他の加熱を行なう装置等で加熱されたものであるとする。ここでは、ベルト501が一定の速度で、入口101から出口102に向かう方向に移動しているものとし、加熱対象物60の、検出領域205を通過した部分が、検出領域205に入るまでの時間が「t0」秒であったとする。なお、「t0」や、後述する「t1」、「t2」等は、時間を表す任意の値であるとする。
【0138】
第一の検出領域205aは、
図3(a)に示すように、第一の集中加熱領域406a~第三の集中加熱領域406cを、それぞれ、加熱対象物60の移動方向の逆方向に移動させた場合に重なる3つの領域に分割されているものとする。ここでは、第一の集中加熱領域406a~第三の集中加熱領域406cに重なる領域を、それぞれ、第一分割領域2051a~第三分割領域2051cと呼ぶ。
【0139】
同様に、第二の検出領域205bは、
図3(b)に示すように、第四の集中加熱領域406d~第六の集中加熱領域406fを、それぞれ、加熱対象物60の移動方向の逆方向に移動させた場合に重なる3つの領域に分割されているものとする。ここでは、第四の集中加熱領域406d~第六の集中加熱領域406fに重なる領域を、それぞれ、第四分割領域2051e~第六分割領域2051fと呼ぶ。なお、検出領域205が分割された分割領域を、特に区別しない場合は、単に、分割領域2051と呼ぶ。
【0140】
図5は、照射管理情報格納部403に格納されている照射管理情報を示す図である。照射管理情報は、「領域」と、「制御」という属性を有している。「領域」は、更に「高さ」と「範囲」という属性を有している。「領域」は、分割領域2051を示す属性であり、「高さ」は分割領域2051が属する検出領域の高さを示しており、ここでは、表面61a側の第一の検出領域205aが分割された領域であるか、裏面61b側の第二の検出領域205bが分割領域2051であるかを示している。値「1」は、第一の検出領域205aの分割領域2051、値「2」は、第二の検出領域205bの分割領域2051を示している。「範囲」は分割領域2051を示す情報で、分割領域2051の加熱対象物60の幅方向の範囲を、幅方向の座標の範囲で示している。なお、「x1」、「x2」等は、座標を表す値であるとする。この「領域」は、集中加熱領域406を特定するための情報と考えてよい。「制御」は、3つのマイクロ波照射手段401のマイクロ波の位相を制御するために用いられる情報であり、制御対象のマイクロ波照射手段401を示す値と、その位相を表す値と、加熱対象部分が検出されてからマイクロ波の照射を開始するまでの時間とを、「:」(コロン)を挟んで組み合わせた情報の組で構成されている。この「制御」の値は、3つのマイクロ波照射手段401を制御するための後述する照射制御情報を得るためのテンプレートの情報と考えてもよい。マイクロ波照射手段401を表す値「1」~「3」は、第一のマイクロ波照射手段401a~第三のマイクロ波照射手段401cを示している。また、位相を表す値は、各マイクロ波照射手段401に設定される位相の値を示している。例えば、「1:α1:t0,2:α2:t0、3:α3:t0」は、第一のマイクロ波照射手段401aを、位相をα1に設定して、加熱対象部分を検出してから「t0」秒後にマイクロ波を照射させ、第二のマイクロ波照射手段401bを、位相をα2に設定して、加熱対象部分を検出してから「t0」秒後にマイクロ波を照射させ、また、第三のマイクロ波照射手段401cを、位相をα3に設定して、加熱対象部分を検出してから「t0」秒後にマイクロ波を照射させようそれぞれ制御することを指定する情報であるとする。なお、「α1」~「α3」等は、位相を表す値であるとする。ここでは、一の行が、照射管理情報の一のレコードであるとする。なお、ここでは、全てのレコードにおいて、加熱対象部分が検出されてから「t0」秒後にマイクロ波照射を行なうこととなっているため、この「t0」を省略してもよい。
【0141】
ベルトコンベア50を駆動してベルト501を移動させると、ベルト501上に載置した加熱対象物60が入口101から容器10内に搬入され、容器10内を経て、容器10の外部に搬出される。
【0142】
検出手段20の第一のセンサ201aは、第一の検出領域205aを通過する加熱対象物60の表面61a側について温度分布を検出する。そして、検出処理部202は、検出された温度分布において、予め決められた閾値以下の部分を、加熱対象部分として検出する。ここでは、例えば、
図3(b)に示すように、加熱対象部分206が検出されたとする。検出処理部202は、検出した加熱対象部分206の幅方向の座標の範囲を取得する。
【0143】
制御部402は、第一の検出領域205aを分割した複数の領域である第一分割領域2051a~第三分割領域2051cから、検出手段20が検出した加熱対象部分206が含まれている分割領域2051を検出する。具体的には、
図5に示した照射管理情報において、「高さ」が、検出が行なわれた第一の検出領域205aを表す「1」であって、「範囲」が、検出手段20が取得した加熱対象部分206の幅方向の座標の範囲を含むレコード(行)を検出する。ここでは、
図5の上から1行目のレコードが、このような条件にあうレコードとして検出されたとすると、制御部402は、このレコードの「制御」の値を取得する。取得した値は、「1:α1:t0,2:α2:t0、3:α3:t0」であったとする。この値は、例えば、シミュレーション等で取得された第一の集中加熱領域406aを集中加熱するための、マイクロ波の照射を行う複数のマイクロ波照射手段401と、各マイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相と、加熱対象部分が検出されてから各マイクロ波照射手段401がマイクロ波の照射を開始するまでの時間と、をそれぞれ指定する情報である。
【0144】
また、制御部402は、現在の時刻「t1」を、図示しない時計等から取得し、上記で照射管理情報の「制御」から取得した3つのマイクロ波照射手段401のマイクロ波の位相を制御するために用いられる情報の、加熱対象部分が検出されてからマイクロ波の照射を開始するまでの時間「t0」を、全て、上記で取得した現在の時刻「t1」にこの時間「t0」を加算した照射開始時刻「t0+t1」に変更する。そして、上記で取得した
図5の照射管理情報の1行目のレコードの「制御」の値の時間「t0」を、このように照射開始時刻に変更して得られた情報「1:α1:t0+t1,2:α2:t0+t1、3:α3:t0+t1」を、複数のマイクロ波照射手段401による位相を制御したマイクロ波の照射を制御する照射制御情報として、図示しない格納部に蓄積する。この照射制御情報は、制御対象の各マイクロ波照射手段401を示す値と、その位相を表す値と、各マイクロ波照射手段401の照射開始時刻とを、「:」(コロン)を挟んで組み合わせた情報の組で構成されている。なお、ここでは、各マイクロ波照射手段401を表す値「1」から「3」に対応する照射開始時刻が共通しているため、制御部402は、照射開始時刻を異なる属性として蓄積する。
【0145】
図6(a)および
図6(b)は、図示しない格納部に格納された照射制御情報を管理する照射制御表を示す図である。照射制御表は、「照射時刻」と、「制御」という属性を有している。「照射時刻」は、上記の照射開始時刻である。「制御」は、
図5の「制御」から、マイクロ波が照射されるまでの時間を除いたものである。ここでは、一のレコード(行)が、一の照射制御情報を示している。上記の情報を蓄積した場合、
図6(a)のようになる。
【0146】
また、検出手段20の第二のセンサ201bも、第二の検出領域205bを通過する加熱対象物60の裏面61b側について温度分布を検出する。この検出は、例えば、実際には、上記の第一のセンサ201aを用いて温度分布を検出する処理と、ほぼ同時に行なわれるものとする。そして、検出処理部202は、加熱対象部分を検出するために、検出された温度分布において、予め決められた閾値以下の部分を検出する処理を行う。
【0147】
ここでは、第二のセンサ201bが検出した温度分布においては、閾値以下の温度の部分が検出されなかったとすると、制御部402は、上記のような照射制御情報を取得しない。
【0148】
制御部402は、
図6(a)に示した照射制御情報において、「照射時刻」の属性値が、現在の時刻「t1」と一致するレコードを検索する。ここでは、一致するレコードが検出されないため、マイクロ波照射手段401からマイクロ波の照射は行なわれない。
【0149】
検出手段20は、上記と同様の、移動する加熱対象物60の第一の検出領域205aと、第二の検出領域205bとをそれぞれ通過する部分について温度分布を検出し、この温度分布を用いて加熱対象部分を検出し、検出された場合、対応する照射制御情報を取得して、図示しない格納部に追記する処理を、一定の時間間隔ごとに繰り返し行なう。
【0150】
また、同様に、制御部402は、
図6(a)に示した照射制御情報において、「照射時刻」の属性値が、現在の時刻と一致するレコードを検索する処理を繰り返す。一致するレコードが検出された場合の処理例については後述する。
【0151】
例えば、時刻「t1」以降の、ある時刻「t2」において、加熱対象物60の第一の検出領域205aを通過する部分では、温度が閾値以下である部分が検出されなかったが、加熱対象物60の第二の検出領域205bを通過する部分について第二のセンサ201bが取得した温度分布においては、例えば、
図3(d)に示すように、温度が閾値以下となる加熱対象部分207が検出されたとする。
【0152】
制御部402は、第二の検出領域205bが分割された第四分割領域2051d~第六分割領域2051fから、検出手段20が検出した加熱対象部分206が含まれている領域を検出する。具体的には、
図5に示した照射管理情報において、「高さ」が、検出側行なわれた第二の検出領域205bを表す「2」であって、「範囲」が、検出手段20が取得した加熱対象部分206の幅方向の座標の範囲を含むレコード(行)を検出する。ここでは、
図5の上から5行目のレコードが条件にあうレコードとして検出されたとすると、制御部402は、このレコードの「制御」の値を取得する。取得した値は、「1:α13:t0,2:α14:t0、3:α15:t0」であったとする。この値は、例えば、シミュレーション等で取得された第五の集中加熱領域406eを集中加熱するための、マイクロ波の照射を行う複数のマイクロ波照射手段401と、各マイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相と、加熱対象部分が検出されてから各マイクロ波照射手段401がマイクロ波の照射を開始するまでの時間と、をそれぞれ指定する情報であるとする。
【0153】
また、制御部402は、現在の時刻「t2」を、図示しない時計等から取得し、上記で取得した3つのマイクロ波照射手段401のマイクロ波の位相を制御するために用いられる情報の加熱対象部分が検出されてからマイクロ波の照射を開始するまでの時間「t0」を、全て、上記で取得した現在の時刻「t2」にこの時間「t0」を加算した照射開始時刻「t0+t2」に変更して、照射制御情報「1:α13:t0+t2,2:α14:t0+t2、3:α15:t0+t2」を取得し、図示しない格納部に追記する。この照射制御情報を追記した照射制御表は、
図6(b)のようになる。
【0154】
ここで、例えば、現在の時刻が「t0+t1」になったとし、制御部402が、
図6(b)に示した照射制御表において、「照射時刻」の属性値が、現在の時刻「t1+t0」と一致するレコード(行)を検出したとする。制御部402は、検出された「照射時刻」の属性値が「t1+t0」である
図6(b)に示した照射制御表の上から1行目のレコードから、「制御」の属性値「1:α1,2:α2、3:α3」を取得し、この属性値を用いて、第一のマイクロ波照射手段401a~第三のマイクロ波照射手段401cを制御して、それぞれから位相を制御したマイクロ波を照射させる。具体的には、第一のマイクロ波照射手段401aから、位相をα1に設定したマイクロ波を照射させ、第二のマイクロ波照射手段401bから、位相をα2に設定したマイクロ波を照射させ、第三のマイクロ波照射手段401cから、位相をα3に設定したマイクロ波を照射させる。ここでの位相は、例えば、全ての位相を同位相とした場合を基準とした位相である。これにより、第一の集中加熱領域406aが集中加熱される。第一の検出領域205aで時刻「t0」において検出された加熱対象部分206は、時刻「t0+t1」には第一の集中加熱領域406a内まで移動しているので、加熱対象物60の加熱対象部分206が集中加熱されることとなる。
【0155】
また、例えば、現在の時刻が「t0+t2」になったとし、制御部402は、
図6(b)に示した照射制御表において、「照射時刻」の属性値が、現在の時刻「t0+t2」と一致するレコード(行)を検出したとする。制御部402は、検出された「照射時刻」の属性値が「t0+t2」であるレコードの「制御」の属性値「1:α13,2:α14、3:α15」を取得し、この属性値を用いて、第一のマイクロ波照射手段401a~第三のマイクロ波照射手段401cを制御して、それぞれから位相を制御したマイクロ波を照射させる。具体的には、第一のマイクロ波照射手段401aから、位相をα13に設定したマイクロ波を照射させ、第二のマイクロ波照射手段401bから、位相をα14に設定したマイクロ波を照射させ、第三のマイクロ波照射手段401cから、位相をα15に設定したマイクロ波を照射させる。これにより、第五の集中加熱領域406eが集中加熱される。第二の検出領域205bで時刻「t0」において検出された加熱対象部分206は、時刻「t0+t2」には第五の集中加熱領域406e内まで移動しているので、加熱対象物60の加熱対象部分206が集中加熱されることとなる。
【0156】
以上、本実施の形態によれば、検出手段20が検出した加熱対象部分を、マイクロ波により集中加熱することができるため、ダイナミックかつリアルタイムに加熱対象部分を集中加熱できるとともに、集中加熱によって無駄のない効率的なマイクロ波加熱を行なうことができる。また、加熱が不要な箇所に対して行なわれるマイクロ波照射を低減させて、不要な箇所の加熱によるダメージ等を防ぐことができる。
【0157】
なお、上記実施の形態においては、ベルトコンベア50等の搬送手段により、容器10内を連続的に搬送される(すなわち、容器10内を連続的に移動する)加熱対象物60に対して、加熱等の処理を行なう場合について説明したが、加熱対象物60を、容器10内において、適宜移動させたり停止させたりしてもよい。例えば、加熱装置1は、容器10内を非連続に移動する加熱対象物60に対して、加熱等の処理を行なうものであってもよい。非連続に移動する、ということは、例えば、移動と停止とを組み合わせて移動することや、断続的に移動することである。どのようなときに、加熱対象物60を移動させ、どのようなときに、加熱対象物60を停止させるかは問わない。例えば、検出手段20が加熱対象部分を検出する際に、加熱対象物60の移動を一時的に停止させてもよく、マイクロ波照射手段401を用いて集中加熱を行う際に、加熱対象物60の移動を一時的に停止させてもよい。なお、移動を一時停止する際には、加熱対象部分を検出してから、この加熱対象部分を加熱するまでの時間を、停止した分だけ、調整するようにすることが好ましい。
【0158】
(変形例1)
なお、上記実施の形態においては、複数の集中加熱領域406を加熱対象物60の幅方向に向かって一列だけ配列した場合について説明したが、複数の集中加熱領域406を幅方向に向かって複数列配置されるようにし、照射状態変化手段40が、マイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御して、検出手段20が検出した加熱対象部分が位置することとなった(例えば、進入する)集中加熱領域を、集中加熱させるようにしてもよい。すなわち、集中加熱領域406が、加熱対象物60の平面上において、p×q(p、qは2以上の整数)のマトリクス状に、隙間なく配置されていてもよい。
【0159】
図7(a)~
図7(d)は、このような加熱装置1の変形例を説明するための、容器10内の加熱対象物60の近傍を表面側からみた平面模式図である。
図7(a)~
図7(d)において、
図3(a)と同一符号は同一または相当する部分を示している。集中加熱領域406a2~集中加熱領域406c2、および集中加熱領域406a3~集中加熱領域406c3は、それぞれ、上述した第一の集中加熱領域406a~集中加熱領域406cを、第一の検出領域205a側に向かって平行移動した集中加熱領域であるとする。これにより、集中加熱領域406は平面方向においてマトリクス状に配置されることとなる。なお、加熱装置1の他の構成は、上記実施の形態1と同様であるとする。
【0160】
照射管理情報格納部403には、例えば、第一分割領域2051aの範囲を示す情報と、第一の集中加熱領域406a、集中加熱領域406a2、および集中加熱領域406a3をそれぞれ個別に集中加熱するためのマイクロ波照射手段401の位相を制御するための情報とを有する照射管理情報が格納されている。第二分割領域2051bの範囲を示す情報および第三分割領域2051cの範囲を示す情報についても同様に、幅方向の位置が一致する集中加熱領域406をそれぞれ集中加熱するためのマイクロ波照射手段401の位相を制御するための情報が対応付けられた照射管理情報が格納されている。ただし、各集中加熱領域406の位相を制御するための情報には、加熱対象部分が、検出領域205から、各集中加熱領域406に移動するまでに必要な情報が、対応付けてられているものとする。例えば、第一の集中加熱領域406aには、加熱対象部分が、検出領域205から第一の集中加熱領域406aに移動するまでの時間「t0」が対応付けられており、集中加熱領域406a2には、加熱対象部分が、検出領域205から集中加熱領域406a2に移動するまでの時間「t5」が対応付けられており、集中加熱領域406a3には、加熱対象部分が、検出領域205から集中加熱領域406a3に移動するまでの時間「t6」が対応付けられているものとする。(ただし、t0>t5>t6とする)。
【0161】
例えば、
図7(b)に示すように、第一分割領域2051aで加熱対象部分が検出された場合、制御部402は、照射管理情報格納部403の照射管理情報から、第一分割領域2051aと対応付けられた、第一の集中加熱領域406a、集中加熱領域406a2、および集中加熱領域406a3を、それぞれ個別に集中加熱するためのマイクロ波照射手段401の位相を制御するための情報を取得する。そして、制御部402は、加熱対象部分が検出されてから「t6」秒経過した時点で、取得した情報のうちの、「t6」と対応付けられた情報を用いて、複数のマイクロ波照射手段401を制御して位相を制御したマイクロ波を照射させて、加熱対象部分が集中加熱領域406b3に位置するときに、集中加熱領域406a3を集中加熱させる。また、
図7(c)に示すように、加熱対象部分が検出されてから「t5」秒経過して加熱対象部分が集中加熱領域406a2に位置する時点で、取得した情報のうちの、「t5」と対応付けられた情報を用いて、複数のマイクロ波照射手段401を制御して位相を制御したマイクロ波を照射させて、集中加熱領域406a2を集中加熱させる。また、加熱対象部分が検出されてから「t0」経過した時点で、取得した情報のうちの、「t0」と対応付けられた情報を用いて、複数のマイクロ波照射手段401を制御して位相を制御したマイクロ波を照射させて、
図7(d)に示すように、加熱対象部分が第一の集中加熱領域406aに位置するときに、第一の集中加熱領域406aを集中加熱させる。これにより、加熱対象部分を、加熱対象部分の移動に追従して集中加熱することができる。このようにすることで、加熱対象部分を集中加熱する時間を増やすことができる。
【0162】
なお、複数の列の集中加熱領域406aの配置は、上記のような配置に限定されるものではない。例えば、複数列の集中加熱領域406が幅方向に伸びるとともに、長手方向において前後に位置する異なる列の複数の集中加熱領域406の幅方向の位置が互いに異なるよう配置されていてもよい。
【0163】
なお、上記実施の形態においては、表面61a側の検出領域205aで検出した加熱対象物については、表面61a側の集中加熱領域のうちの、加熱対象物60の幅方向において加熱対象部分が位置することとなる集中加熱領域406を、また、裏面61b側の検出領域205bで検出した加熱対象物については、裏面61b側の集中加熱領域のうちの、加熱対象物60の幅方向において加熱対象部分が位置することとなる集中加熱領域406を、集中加熱を行なう集中加熱領域406に特定して、集中加熱を行なうようにしたが、検出手段20により、加熱対象部分の高さ方向の位置情報(例えば、高さ方向の座標)等を取得することが可能な場合、照射状態変化手段40は、幅方向だけではなく、高さ方向においても加熱対象部分が位置する集中加熱領域を、集中加熱を行なう集中加熱領域406に特定するようにしてもよい。つまり、加熱対象物60の幅方向において加熱対象部分が位置することとなる集中加熱領域406であって、高さ方向において加熱対象部分が位置することとなる集中加熱領域406を、集中加熱を行なう集中加熱領域に決定してもよい。高さ方向において、加熱対象部分が位置することとなる集中加熱領域406を特定する処理は、上述したような幅方向において加熱対象部分が位置する集中加熱領域406を特定する処理と、集中加熱領域406の配列方向等が異なる点を除けば同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。なお、高さ方向において加熱対象部分を検出するためには、例えば、加熱対象物60の平面方向だけではなく、高さ方向の温度分布等を取得する必要がある。
【0164】
高さ方向において加熱対象部分を検出することは、加熱対象物60の内部の加熱対象部分を検出することであってもよく、内部の高さ方向において加熱対象部分を検出することであってもよい。例えば、検出手段20は、加熱対象物60の高さ方向において温度分布を取得、あるいは平面方向と高さ方向との組み合わせについて温度分布を取得して、この温度分布を用いて、加熱対象部分を検出する。加熱対象物60の高さ方向の温度分布を取得することは、加熱対象物60の内部の温度分布を取得することであってもよい。例えば、加熱対象物60の高さ方向の温度分布を取得することは、加熱対象物60の表面から裏面までの間において温度分布を取得することであってもよい。このためには、例えば、複数の接触式の温度センサ等のセンサを、加熱対象物60の高さ方向に取付けること(例えば、挿入させたり接触させたりすること)が考えられる。高さ方向にセンサを取り付けることは、例えば、異なる高さに1以上のセンサをそれぞれ取付けることである。また、X線センサや、超音波センサを検出手段20のセンサとして用いることにより、加熱対象物60に非接触で高さ方向の温度分布を取得するようにし、取得した高さ方向の温度分布を用いて、閾値等を利用して温度が低い部分を加熱対象部分として検出し、検出した加熱対象部分を、照射状態変化手段40および複数のマイクロ波照射手段401を用いて集中加熱するようにしてもよい。ここでのX線センサは、例えば、三次元X線サーモグラフィーである。三次元X線サーモグラフィーについては、以下の非特許文献「Akio Yoneyama 他4名、"Three-dimensional X-ray thermography using phase-contrast imaging"、 Scientific Reports、[online]、令和1年7月1日検索、インターネット〈URL:https://www.nature.com/articles/s41598-018-30443-4」」を参照されたい。また、ここでの超音波センサについては、特許文献2「特開2008-70340号公報」を参照されたい。高さ方向の温度を取得するセンサ等としては、上記以外のものを用いてもよい。加熱対象物60の高さ方向の温度分布を表面の温度や裏面の温度等を用いて、予め用意された予測式等で算出してもよい。また、高さ方向の温度は、前段の加熱処理等のシミュレーションを行なうことで、取得しても良い。
【0165】
なお、上記実施の形態1においては、検出手段20は、加熱対象物の1または2以上の集中加熱領域406に移動する部分について、温度分布を取得できるようにすることが好ましい。また、各集中加熱領域406に移動する部分について、少なくとも一箇所以上の温度が順次取得できるようにすることが好ましい。
【0166】
なお、上記実施の形態においては、幅方向に伸びるストライプ状の検出領域205について取得した幅方向の温度分布から、加熱対象部分の幅方向の位置を示す情報を検出する場合について説明したが、幅方向に伸びるとともに、長手方向の長さが長い検出領域を有するセンサ201を用いるようにして、幅方向と長手方向とについて温度分布を取得するようにして、加熱対象部分の長手方向の幅方向と長手方向の位置を示す情報をそれぞれ取得しても良い。この場合、制御部402は、この加熱対象部分が検出された検出領域における加熱対象部分の長手方向の位置に応じて、検出された加熱対象部分が、対応する集中加熱領域406に移動する時刻を調整するようにしてもよい。
【0167】
なお、本実施の形態のような検出手段20と照射状態変化手段40と複数のマイクロ波照射手段401とを有する構成を、一の容器10内の長手方向において複数設けるようにして、加熱対象部分の検出と、検出した加熱対象物に対する部分照射とを複数行えるようにしてもよい。
【0168】
(実施の形態2)
図8は、本実施の形態における加熱装置2の機能を示すブロック図(
図8(a))および外観等の斜視図(
図8(b)である。図において
図1と同一符号は同一または相当する部分を示している。
【0169】
図9は、
図8(b)のIXa-IXa線による断面模式図(
図9(a))、およびIXb-IXb線による断面模式図(
図9(b))である。
【0170】
図11は、容器10内の加熱対象物60の近傍を模式的に示す斜視図(
図11(a))、容器10内の加熱対象物60の表面側近傍を上方から見た図(
図11(b))および、裏面側近傍を下方から見た図(
図11(c))である。
【0171】
加熱装置2は、容器10と、検出手段21と、第一~第三のマイクロ波照射手段401a~401cと、照射状態変化手段41と、ベルトコンベア50とを備えている。ここでの容器10は、上記実施の形態1において説明した容器10と、入口101や出口102のサイズが異なる点等を除けば、同様の容器であるとする。
【0172】
照射状態変化手段41は、容器10内の異なる位置に設定される複数の集中加熱領域406を、2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御して個別に集中加熱可能なものである。この集中加熱領域406は、例えば、三次元の領域である。複数の集中加熱領域406は、それぞれ、容器10の長手方向、幅方向、および高さ方向の位置の少なくとも1つが異なる位置に設定される。複数の集中加熱領域406は、例えば、容器10の長手方向、幅方向、および高さ方向のうちの少なくとも一以上の方向に配列されていてもよい。ここでは、容器10内の少なくとも一部の領域を三次元の直交格子状に分割された複数の領域が、それぞれ、集中加熱領域406となるよう、複数の集中加熱領域406が配置されている場合について例を挙げて説明する。領域が複数の集中加熱領域406である場合を例に挙げて説明する。なお、各集中加熱領域406は、辺が容器10の長手方向、幅方向、および高さ方向に伸びるよう配置されているものとする。各集中加熱領域406は、同じ大きさの直方体形状であるとする。隣り合う集中加熱領域406同士は、隙間なく接しているとともに、複数の集中加熱領域406は、長手方向、幅方向、および高さ方向に規則的には配列されている。具体的には、
図8(b)、
図9(a)および
図9(b)に示すように、直方体形状の複数の集中加熱領域406が長手方向に2列以上、幅方向に2列以上、および高さ方向に2列以上、隙間なく配列されて、全体が長手方向に伸びる直方体形状となっている。なお、2以上の集中加熱領域406の配置は上記のような配置に限定されるものではない。例えば、2以上の集中加熱領域406は規則的に配置されていなくてもよい。例えば、長手方向、幅方向、および高さ方向のうちの一の方向において、前後に配置される二以上の集中加熱領域406の位置が、この一の方向に垂直な方向にずれるよう配置されていてもよい。また、集中加熱領域406の形状は、直方体形状に限定されるものではなく、球状等の他の三次元形状であってもよい。また、隣り合う集中加熱領域406は、空間を隔てて配置されていても良く、隣り合う集中加熱領域406は、一部が重なりあっていてもよい。ただし、他の集中加熱領域内に完全に含まれる集中加熱領域を設定しないようにすることが好ましい。
【0173】
複数の集中加熱領域406は、複数の集中加熱領域406を結合した三次元の領域内に、加熱対象物60の少なくとも一部、好ましくは加熱対象物60全体が重なるように配置されていることが好ましい。
【0174】
また、複数の集中加熱領域406は、少なくとも加熱対象物60と重なる領域においては、隙間なく配置されることが好ましい。
【0175】
加熱対象物60は、複数の集中加熱領域406が配列されている領域に配置される。ここでは、直方体状の加熱対象物60が複数の集中加熱領域406が配列されている領域に重なるよう配置されている場合について説明する。加熱対象物60は複数の集中加熱領域406の一部とだけ重なるよう配置されていてもよい。この加熱対象物60は形状およびサイズ以外は、上実施の形態の加熱対象物60と同じものであるとする。なお、本実施の形態においては、加熱対象物60については、上記実施の形態1において説明した加熱対象物と同様のものが利用可能である。
【0176】
なお、加熱対象物60を、手動等によって、容器10内に搬入する場合等においては、ベルトコンベア50等の搬入手段は省略してもよい。また、容器10の加熱対象物60を搬出する出口等は省略してもよい。この場合、容器10内に、表面がメッシュ等の加熱対象物60を載置する載置台(図示せず)を設けるようにしてもよい。また、入口101および出口102を閉じるための蓋(図示せず)等が設けられていてもよい。
【0177】
検出手段21は、第一のセンサ211aおよび第二のセンサ211bと、検出処理部212とを有している。第一のセンサ211aおよび第二のセンサ211bを区別しない場合は、単にセンサ211と呼ぶ。
【0178】
第一のセンサ211aは、第一の検出領域215aの温度分布を検出するセンサである。第一のセンサ211aは、第一の検出領域215aが、複数の集中加熱領域406が配置されている領域と重なるよう配置されたセンサである。例えば、第一のセンサ211aは、上述した第一のセンサ201aにおいて、検出領域205の長手方向の長さを長くしたセンサであって、複数の集中加熱領域406と重なるよう配置されたセンサである。第一のセンサ211aは、複数の集中加熱領域406の加熱対象物60の表面61a側と重なる部分が、その第一の検出領域215aと重なるよう配置されたセンサである。第一のセンサ211aは、例えば、第一の検出領域215aが二次元形状を有するセンサである。例えば、第一のセンサ211aは、幅方向の温度分布ではなく、加熱対象物60の表面61a側の、二次元方向における温度分布、例えば、幅方向および長手方向の温度分布を取得するようにしたセンサである。
【0179】
第二のセンサ211bは、第二の検出領域215bの温度分布を検出するセンサである。第二のセンサ211bは、第二の検出領域215bが、複数の集中加熱領域406が配置されている領域と重なるよう配置されたセンサである。例えば、第二のセンサ211bは、上述した第一のセンサ201aにおいて、検出領域205の長手方向の長さを長くしたセンサであって、複数の集中加熱領域406と重なるよう配置されたセンサである。第二のセンサ211bは、複数の集中加熱領域406の加熱対象物60の裏面61b側と重なる部分が、その第一の検出領域215aと重なるよう配置されたセンサである。第二のセンサ211bは、例えば、第二の検出領域215bが二次元形状を有するセンサである。例えば、第二のセンサ211bは、幅方向の温度分布ではなく、加熱対象物60の裏面61b側の、二次元方向における温度分布、例えば、幅方向および長手方向の温度分布を取得するようにしたセンサである。
【0180】
二次元方向における温度分布とは、例えば、直交する二方向における温度分布である。二次元方向における温度分布とは、例えば、幅方向の位置と長手方向の位置との組み合わせで表される複数の位置についての温度分布である。例えば、センサ211は、赤外線を検出する素子を、二次元方向に配置した放射温度計等のセンサであってもよく、平面状に広がる検出領域215を走査して、二次元方向の温度分布を取得するセンサであってもよい。なお、第一の検出領域215aおよび第二の検出領域215bを区別しない場合、単に検出領域215と呼ぶ。
【0181】
検出処理部212は、センサ211が取得した温度分布を用いて加熱対象部分を検出する。例えば、検出処理部212は、温度が低い部分を加熱対象部分として検出する。そして、検出処理部212は、検出した加熱対象部分を示す情報を取得する。検出した加熱対象部分を示す情報は、容器10内における加熱対象部分の位置を示す三次元の情報であることが好ましい。しかしながら、センサ211が本実施の形態のような非接触の温度センサである場合、センサ211が検出した加熱対象部分の位置を示す情報は、通常、二次元空間における加熱対象部分の位置を示す情報であり、具体的には平面方向における位置を示す情報であるため、ここでは、これに加えて、第一のセンサ211aが検出した領域を示す情報の高さ方向の位置を示す情報として、加熱対象物60の表面の高さ方向の位置を示す情報を取得する。同様に、第二のセンサ211bが検出した領域を示す情報の高さ方向の位置情報として、加熱対象物60の表面の高さ方向の位置情報を取得するようにする。例えば、加熱対象物60の表面および裏面の、容器10内における高さ方向の位置が予めわかっている場合、この値を図示しない格納部等に格納しておき、検出処理部212が適宜読み出して取得する。なお、加熱対象物60の表面61aおよび裏面61bの高さ方向の位置は、距離を測定するセンサ(図示せず)や、表面61aや裏面61bの高さ方向の位置を検出するセンサ(図示せず)等で取得しても良い。センサ211が取得した二次元方向の温度分布を示す情報から取得する加熱対象部分を示す情報は、加熱対象部分の二次元空間における位置を示す情報であっても良く、加熱対象部分の中心や重心等の代表点の位置を示す情報であってもよい。なお、加熱対象部分の二次元空間における位置を示す情報は、例えば、加熱対象部分に含まれる点と、含まれない点とを区別可能な情報や、加熱対象部分の内側の領域と外側の領域とを区別可能な情報である。加熱対象部分の二次元空間における位置を示す情報は、例えば、加熱対象部分の輪郭や外面を示す情報であっても良い。また、加熱対象部分が多角形で表される場合は、この多角形の頂点等を示す情報であってもよい。また、加熱対象部分が円形で表される場合、円形の中心と半径とを示す情報であっても良い。ここでの位置を示す情報は、容器10内における加熱対象部分の位置を示す三次元の情報であることが好ましい。
【0182】
なお、センサ211を用いて、三次元方向の温度分布を取得できる場合、検出処理部212が取得する加熱対象部分は、例えば、三次元空間の領域であり、検出処理部212は加熱対象部分を示す情報として三次元空間における加熱対象部分の位置を示す情報を取得することが好ましい。加熱対象部分の三次元元空間における位置を示す情報は、例えば、加熱対象部分に含まれる点と、含まれない点とを区別可能な情報であり、例えば、加熱対象部分の輪郭や外面を示す情報であっても良い。輪郭を示す情報は、例えば、三次元空間における輪郭上に位置する複数の座標群である。また、加熱対象部分が多角形で表される場合、加熱対象部分の三次元空間における位置を示す情報は、多角形が有する複数の頂点を示す座標群であっても良い。また、加熱対象部分が球形で表される場合、加熱対象部分の三次元空間における位置を示す情報は、球の中心の座標と、球の半径との組み合わせであっても良い。加熱対象部分の三次元元空間における位置を示す情報は、加熱対象物の形状およびサイズを示す情報と、加熱対象物の中心や重心等の代表点の、三次元空間内の位置を示す情報との組合せであっても良い。なお、かかることは、後述する集中加熱領域406を示す情報についても同様である。
【0183】
加熱手段2が有する3つのマイクロ波照射手段401については、上記実施の形態と同様であるため、ここでは、詳細な説明は省略する。なお、マイクロ波照射手段401の数は、3つに限定されるものではなく複数であればよい。
【0184】
照射状態変化手段41は、制御部412と、照射管理情報格納部413とを有している。照射状態変化手段41は、集中加熱領域406に、検出手段20が検出した加熱対象部分が位置するときに、この集中加熱領域が集中加熱されるよう位相を制御したマイクロ波を2以上のマイクロ波照射手段401から照射させて、加熱対象部分を集中加熱する。照射状態変化手段41は、例えば、照射管理情報格納部413に格納される1または2以上の照射管理情報に対応する集中加熱領域に、検出手段21が検出した加熱対象部分が位置するときに、この分部加熱が可能な領域が集中加熱されるよう位相を制御したマイクロ波を2以上のマイクロ波照射手段401から照射させて、加熱対象部分を集中加熱する。
【0185】
制御部412は、加熱対象部分が集中加熱されるよう、マイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御する。制御部412は、例えば、加熱対象部分が位置している、すなわち加熱対象部分と重なっている集中加熱領域が集中加熱されるよう、マイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御する。このことは、加熱対象部分が集中加熱領域406に位置するときに、2以上のマイクロ波照射手段401を制御して、この集中加熱領域406が集中加熱されるよう、位相を制御したマイクロ波を照射させることと考えてもよい。ここで集中加熱領域406は、照射管理情報格納部413に格納される照射管理情報に対応する集中加熱領域406である。例えば、照射管理情報格納部413等の格納部に予め格納されている複数の集中加熱領域をそれぞれ示す情報と、検出手段21が検出した加熱対象部分を示す情報とを用いて、加熱対象部分が重なっている集中加熱領域を特定し、特定した集中加熱領域が集中加熱されるよう、二以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御する。ここでは、集中加熱領域406を示す情報として、三次元空間内における集中加熱領域406の位置を示す情報を取得する場合について説明する。三次元空間内における集中加熱領域406の位置を示す情報は、上述した加熱対象部分の位置を示す情報と同様の情報である。
【0186】
制御部402は、例えば、このような各集中加熱領域406の三次元空間における位置を示す情報と、加熱対象部分の位置を示す情報とを用いて、加熱対象部分と重なっている集中加熱領域406を検出する。具体的には加熱対象部分と少なくとも一部が重なる集中加熱領域406を示す情報を取得するする。このような加熱対象部分と重なる集中加熱領域406を含む集中加熱領域406を示す情報の検出を、加熱対象部分が位置する集中加熱領域を特定する処理と考えてもよい。
【0187】
照射状態変化手段41は、加熱対象物60が移動している場合、加熱対象部分が位置する集中加熱領域406を特定した直後に、この集中加熱領域406が集中加熱されるようマイクロ波照射手段401を制御することが好ましい。加熱対象物60が移動していない場合は、この限りではない。
【0188】
本実施の形態においては、例えば、照射管理情報格納部413に、予め、三次元空間における集中加熱領域406の位置を示す情報と、この集中加熱領域406を集中加熱するための二以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御するための情報とを有する複数の照射管理情報が格納されているようにし、制御部402が、上記で検出された加熱対象部分と重なる集中加熱領域406を示す情報を含む照射管理情報を検出し、検出した照射管理情報が有する二以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御するための情報を読み出して、この情報を用いて、二以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相をそれぞれ制御して、加熱対象部分を含む集中加熱領域406を集中加熱させる場合について説明する。
【0189】
なお、制御部402は、加熱対象部分と重なる特定した集中加熱領域406の中心や重心等の代表点の、三次元空間における位置を示す情報(例えば、集中加熱領域406の中心座標等)と、容器10内の複数のマイクロ波が照射される位置の座標等を用いて複数のマイクロ波が照射される位置から集中加熱領域406までの距離をそれぞれ算出し、算出した距離の情報と照射するマイクロ波の波長等とを用いて、特定の集中加熱領域406において、複数のマイクロ波が強め合うように、2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を算出し、算出した情報を用いて、2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御して、特定した集中加熱領域406を集中加熱するようにしてもよい。
【0190】
照射管理情報格納部413には、集中加熱領域406を集中加熱するための二以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御するための情報である照射管理情報が格納される。本実施の形態において格納される照射管理情報は、上記実施の形態において説明した照射管理情報において、集中加熱領域を特定するための情報として、三次元空間における集中加熱領域406の位置を示す情報を有するようにしたものであるとする。なお、照射管理情報の二以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御するための情報としては、ここでは、照射の開始時刻を有していないものを用いる。ただし、開始時刻を有していても良い。ここでの集中加熱領域406は、容器10内に配置される複数の集中加熱領域406である。なお、制御部412が、図示しない格納部等に格納されている集中加熱領域406の識別子と、この集中加熱領域406を示す情報(例えば、集中加熱領域の三次元空間における位置を示す情報)等から、加熱対象部分が位置する集中加熱領域の識別子を取得する場合、部分照射管理情報は、集中加熱領域406の識別子と、この集中加熱領域406を集中加熱するための位相を制御するための情報とを有する情報であっても良い。一の照射管理情報が有する2以上のマイクロ波照射手段401の位相を制御するための情報は、上記実施の形態の照射管理情報と同様に、例えば、一の照射管理情報に対応する集中加熱領域406を集中加熱するために、シミュレーションや実験等を行なって取得された、2以上のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を設定する情報であることが好ましい。
【0191】
本実施の形態の加熱装置2の動作については、例えば、上記実施の形態においてフローチャートを用いて説明した動作において、加熱対象部分が位置する集中加熱領域を特定して、マイクロ波の位相を制御するための情報を取得する処理が異なる点や、加熱対象物60が移動している場合は、集中加熱領域を特定した直後にマイクロ波の照射を行い、加熱対象物60が移動していない場合は、集中加熱領域を特定した後の任意の時間にマイクロ波の照射を行うようにする点を除けば、上記実施の形態と同様であり、ここでは詳細な説明は省略する。
【0192】
次に、本実施の形態の加熱装置2の動作の具体例について説明する。ここでは、加熱対象物60は、容器10に搬入される直前に、他の加熱を行なう装置等で加熱されたものであるとする。ベルトコンベア50により、入口101から容器10内に加熱対象物60を移動させた後、移動を停止させ、加熱対象部分を検出して、加熱対象部分を集中加熱する処理を行う場合について説明する。加熱処理後は、ベルトコンベア50におり、加熱対象物60を、容器10から容器10外に移動させるものとする。
【0193】
図10は、照射管理情報格納部413に格納されている照射管理情報を示す図である。照射管理情報は、「集中加熱領域」と、「制御」という属性を有している。「集中加熱領域」は、容器10内の各集中加熱領域406の三次元空間における位置を示す情報であり、ここでは、直方体である集中加熱領域406の6つの頂点の座標が格納されているものとする。なお、(X1、Y1、Z1)等は、容器10内の任意のX座標、Y座標、Z座標を示している。ここでは、X座標は容器10の幅方向の座標、Y座標は容器10の幅方向の座標、Z座標は、容器10の高さ方向の座標であるとする。この「集中加熱領域」が、集中加熱領域406を特定するための情報と考えてよい。「制御」は、上記実施の形態1の具体例の「制御」と同様に、3つのマイクロ波照射手段401のマイクロ波の位相を制御するために用いられる情報であり、制御対象のマイクロ波照射手段401を示す値と、そのマイクロ波照射手段401が出射するマイクロ波の位相を示す値とを、「:」(コロン)を挟んで組み合わせた情報の組で構成されている。マイクロ波照射手段401を表す値「1」~「3」は、第一のマイクロ波照射手段401a~第三のマイクロ波照射手段401cを示している。ここでは、一の行が、照射管理情報の一のレコードであるとする。
【0194】
ベルトコンベア50で加熱対象物60が容器10内に搬入されたあと、ベルトコンベア50を停止して、加熱対象物60の移動を停止する。
【0195】
検出手段21の第一のセンサ211aは、加熱対象物60の表面61a側をカバーする第一の検出領域215aについて温度分布を検出する。検出された温度分布は、加熱対象物60の表面61aの平面方向の温度分布である。そして、検出処理部212は、検出された温度分布において、予め決められた閾値以下の部分を、加熱対象部分として検出する。ここでは、例えば、
図11(b)に示すように、加熱対象部分506が検出されたとする。検出処理部202は、検出した加熱対象部分506の平面方向における位置を示す情報として、加熱対象部分の平面方向の輪郭を示す情報を取得する。平面方向の輪郭の情報は、例えば、輪郭に位置する座標群であるとする。また、ここでは、図示しない格納部に、容器10内に配置された加熱対象物60の表面61aの高さ方向の座標が配置されており、検出処理部212は、この高さ方向の座標も読み出し、上記の輪郭の座標群と、この高さ方向の座標との組を、加熱対象部分の領域を示す情報として制御部402に渡す。
【0196】
制御部402は、検出処理部202から受け取った加熱対象部分の領域を示す情報を用いて、照射管理情報格納部413に格納されている照射管理情報から、「集中加熱領域」の属性値が加熱対象部分の位置を示す情報と重なる照射管理情報を検出する。具体的には、制御部412は、「集中加熱領域」の属性値が示すX座標の範囲と、Y座標の範囲が、加熱対象部分の輪郭の座標群が示す領域と重なっており、「集中加熱領域」の属性値が示すZ座標の範囲が、加熱対象部分を示す情報が有する高さ方向の座標を含む照射管理情報を検索する。ここで検出される照射管理情報は、集中加熱領域406mに対応する照射管理情報であるとする。そして、制御部412は、検出された照射管理情報の「制御」の属性値を取得して、この属性値を用いて、2以上のマイクロ波照射手段401を制御して、この属性値に対応する位相のマイクロ波をそれぞれ照射させる。これにより、加熱対象部分が検出された集中加熱領域406mを、2以上のマイクロ波照射手段401から位相を制御したマイクロ波をそれぞれ照射して集中加熱することができる。集中加熱を行う時間は、一定であってもよく、加熱対象部分の温度によって、決定してもよい。
【0197】
なお、検出された加熱対象部分が複数の集中加熱領域406にわたって配置されている場合や、異なる集中加熱領域に位置する複数の加熱対象部分が検出された場合のように、「集中加熱領域」の属性値が加熱対象部分を含む照射管理情報が複数検出された場合、照射管理情報に応じたマイクロ波の照射を、順番に行わせるようにすることで、加熱対象部分が複数の集中加熱領域406を順番に集中加熱するようにしてもよい。
【0198】
また、検出手段20の第二のセンサ211bは、加熱対象物60の裏面側をカバーする第二の検出領域215bについて温度分布を検出する。そして、検出処理部202は、検出された温度分布において、予め決められた閾値以下の部分を、加熱対象部分として検出する。ここでは、例えば、
図11(c)に示すように、加熱対象部分507が検出されたとする。検出処理部202は、検出した加熱対象部分507の平面方向における輪郭を示す情報を取得する。また、ここでは、図示しない格納部に、容器10内に配置された加熱対象物60の裏面の高さ方向の座標が配置されており、検出処理部202は、この高さ方向の座標も読み出し、上記の輪郭を示す座標群と、この高さ方向の座標との組を、加熱対象部分の位置を示す情報として制御部402に渡す。
【0199】
制御部402は、上記と同様に、検出処理部202から受け取った加熱対象部分の位置を示す情報を用いて、照射管理情報格納部413に格納されている照射管理情報から、「集中加熱領域」の属性値が加熱対象部分の位置を示す情報を含む照射管理情報を検出し、検出された照射管理情報の「制御」の属性値を用いて、2以上のマイクロ波照射手段401を制御して、この属性値に対応する位相のマイクロ波をそれぞれ照射させる。これにより、加熱対象部分が検出された集中加熱領域406nを、2以上のマイクロ波照射手段401から位相を制御したマイクロ波をそれぞれ照射して集中加熱することができる。
【0200】
なお、第一のセンサ201aが検出した温度分布と、第二のセンサ201bが検出した温度分布と、から同時に加熱対象部分が検出した場合、制御部402は、それぞれの加熱対象部分を集中加熱する処理を、順番に行うようにする。
【0201】
以上、本実施の形態によれば、検出手段21により加熱対象部分を検出し、検出された加熱対象部分を集中加熱することができるため、ダイナミックかつリアルタイムに加熱対象部分を集中加熱できるとともに、集中加熱によって無駄のない効率的なマイクロ波加熱を行なうことができる。また、特に、検出手段21が検出した加熱対象部分をその場で集中加熱できるため、よりリアルタイムに集中加熱を行うことができる。また、不要な箇所に対して行なわれるマイクロ波照射を低減させて、不要な箇所の加熱によるダメージ等を防ぐことができる。また、加熱対象物が移動していない場合においても、加熱対象部分を加熱することができる。
【0202】
なお、上記具体例においては、加熱対象部分を集中加熱するための処理を行っている際に、加熱対象物60が移動していない場合について説明したが、加熱対象物60が移動しているときに、上記のような加熱対象部分を集中加熱するための処理を行ってもよい。ただし、この場合、検出手段21が、加熱対象部分を検出した直後に、この加熱対象部分を含む集中加熱領域を特定して集中加熱を行うようにすることが望まれる。また、これらの処理は、移動に伴って繰り返し行うようにする必要がある。
【0203】
また、集中加熱領域406が加熱対象物60の移動方向に複数配列されており、加熱対象物60が移動している場合においては、所望の時間間隔ごと(例えば、加熱対象物60が一の集中加熱領域の長手方向の長さを通過する時間間隔ごと等)に、加熱対象部分を検出して、この加熱対象部分が含まれる領域を集中加熱する処理を繰り返すことにより、移動する加熱対象部分を追従して集中加熱することができるとともに、加熱対象部分の加熱が十分となった場合には、集中加熱を行わないようにすることができる。
【0204】
また、上記実施の形態においては、検出手段21が有するセンサ211が、非接触で加熱対象物60の表面および裏面の温度分布を取得するセンサである場合について説明したが、検出手段21が有するセンサ211は、このようなセンサに限定されるものではない。例えば、センサ211として、温度を検出する部分を、加熱対象物60の長手方向、幅方向、および高さ方向が異なる複数の位置に取り付けた複数の接触式の温度センサを用いるようにして加熱対象物60の内部の温度分布も取得するようにしてもよい。例えば、上記の実施の形態においては、加熱対象物60の表面および裏面の温度分布しか取得できず、加熱対象物60の高さ方向の温度分布は取得できないため、加熱対象物60の内部等に加熱対象部分が存在したとしても、この加熱対象部分を検出することが困難であり、この加熱対象部分を集中加熱することが難しかったが、このようなセンサ211を用いることで、加熱対象物60の内部の温度分布を取得して、内部の加熱対象部分を検出して、この加熱対象部分を集中加熱することが可能となる。
【0205】
例えば、上記実施の形態において、検出手段21が有するセンサ211として、各集中加熱領域406(例えば、加熱対象部分が位置する各集中加熱領域406)に対して、1以上の温度を検出可能なセンサ(図示せず)をそれぞれ設けるようにし、このセンサの出力が示す加熱対象物60等の温度が閾値以上の温度である集中加熱領域406や、温度が、他の集中加熱領域406等の温度や、複数の集中加熱領域406の温度の平均値や中間値等の代表値よりも高い集中加熱領域406を、加熱対象部分と判断して、この集中加熱領域406が集中加熱されるよう、照射状態変化手段41が位相を制御したマイクロ波をマイクロ波照射手段401に照射させるようにしてもよい。なお、このような場合も、各センサの出力は、温度分布を示すものと考えられることから、かかる処理も、検出手段21が温度分布を用いて検出した加熱対象部分を、集中加熱する処理と考えてもよい。
【0206】
また、上述したようなX線センサや、超音波センサを検出手段20のセンサとして用いることにより、高さ方向の温度分布を取得するようにし、取得した高さ方向の温度分布を用いて、閾値等を利用して温度が低い部分を加熱対象部分として検出し、検出した加熱対象部分を、照射状態変化手段41およびマイクロ波照射手段401を用いて集中加熱するようにしてもよい。
【0207】
(変形例1)
以下、本実施の形態の変形例として、加熱対象物内部の高さ方向においても加熱対象部分を検出し、検出した加熱対象部分を集中加熱する加熱装置について説明する。
【0208】
図16は、本実施の形態の変形例の加熱装置3のブロック図(
図16(a))および斜視図(
図16(b)である。図において、
図8等と同一符号は同一または相当する部分を示している。
【0209】
図17は、本実施の形態の変形例を説明するための加熱対象物の長手方向に対して垂直な断面模式図(
図17(a)および
図17(b))である。
【0210】
この変形例の加熱装置3は、上記実施の形態2の加熱装置2において、第一のセンサ211aおよび第二のセンサ211bと、検出処理部212とを有する検出手段21の代わりに、超音波センサ211cと、この超音波センサ211cが取得する温度分布から加熱対象部分を検出する検出処理部212aとを有する検出手段24とを用いたものである。
【0211】
ここでは、加熱対象物60の代わりに、回転楕円体形状の加熱対象物60aを用いた例について説明する。この加熱対象物60aの、長手方向のある位置における長手方向に対して垂直な断面形状は、例えば、
図16(a)に示すような形状であるとする。この加熱対象物60aは、上記実施の形態2と同様に、ベルト501に載置されて容器10内に移動したあと、移動していないものとする。
【0212】
この超音波センサ211cは、加熱対象物60aの長手方向の異なる複数の位置の断面において温度分布を取得可能なものであるとする。この超音波センサ211cは長手方向の異なる位置において、温度分布を取得するための走査が可能なものであってもよく、長手方向の異なる位置においてそれぞれ温度分布を取得するために配置された複数の超音波の送信部および受信部((図示せず)を備えたものであってもよい。
【0213】
検出処理部212aは、上記実施の形態2の検出処理部212において、第一のセンサ211aおよび第二のセンサ211bが取得した情報から加熱対象部分を検出する代わりに、超音波センサ211cが長手方向の異なる位置からそれぞれ取得した温度分布から、閾値等を用いて、加熱対象部分を検出するようにしたものである。例えば、検出処理部212は、超音波センサ211cが取得する温度分布から、閾値以上の温度の領域を検出し、検出した領域を示す情報を、加熱対象部分を示す情報として取得する。なお、検出処理部212aの上記以外の構成等については、検出処理部212と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0214】
次に動作の具体例について説明する。加熱対象物60aについて、超音波センサ211cが、長手方向の異なる位置において、それぞれ、加熱対象物60aの長手方向に対して垂直となる断面についての温度分布を取得する。この断面は、断層と考えてもよい。各温度分布は、例えば、加熱対象物60aの幅方向の座標と、加熱対象物60aの高さ方向の座標と、の組合せで表される複数の位置の座標と、この複数の位置の温度の値を有する情報である。また、各温度分布の取得位置が、各温度分布の加熱対象物60aの長手方向の位置(例えば、座標)を示している。
【0215】
検出処理部212aは、超音波センサ211cが取得した各温度分布において、閾値を用いて、加熱対象部分を検出する処理を行う。
【0216】
ここで、例えば、
図17(b)に示すように、超音波センサ211cが加熱対象物60aの長手方向の一の位置の断面について取得した温度分布において、検出処理部212aが加熱対象部分1606を検出したとすると、制御部412は、この温度分布が取得された長手方向の位置と、検出処理部212がこの温度分布から取得した加熱対象部分1606の幅方向の位置と、高さ方向の位置とを取得し、取得した長手方向の位置と、幅方向の位置と、高さ方向の位置とで表される容器10内の位置を含む集中加熱領域406である集中加熱領域406αを、照射管理情報格納部413に格納されている照射管理情報を用いて特定する。そして、制御部412は、この集中加熱領域406αに対して集中加熱が行われるよう、照射管理情報格納部413に格納されている照射管理情報を用いて、マイクロ波照射手段401から位相を制御した複数のマイクロ波を照射させる。これにより、加熱対象物60aの内部において加熱対象部分1606を検出して、検出した加熱対象部分を集中加熱することができ、加熱対象物60aの内部において、加熱対象部分を検出して、ダイナミックかつリアルタイムに集中加熱することができる。
【0217】
なお、上記変形例において、加熱対象物60aが容器10内を移動するようにし、超音波センサ211cを用いて、容器10内の長手方向の一の位置を通過する加熱対象物60aについて、加熱対象部分を順次検出し、加熱対象部分が検出された場合に、この加熱対象部分が加熱対象物60aの移動にともなって進入した集中加熱領域406を、マイクロ波照射手段401から照射される位相を制御した複数のマイクロ波によって集中加熱するようにしてもよい。
【0218】
また、上記変形例においては、加熱対象物60aの内部の温度分布を取得するセンサとして、超音波センサ211cを有する場合について説明したが、超音波センサ211cの代わりに、他の加熱対象物60aの内部の温度分布を取得するセンサを用いるようにしてもよい。例えば、検出手段24は、超音波センサ211cの代わりに、X線センサを有していてもよい。なお、かかることは、以下の超音波センサや、超音波センサを有する検出手段24を用いる実施の形態についても同様である。
【0219】
なお、上記実施の形態においては、制御部412が、三次元空間における集中加熱領域等の位置を示す情報を用いて、加熱対象部分と重なっている集中加熱領域406を、加熱対象部分が位置する集中加熱領域406として特定して、この集中加熱領域406を集中加熱するためのマイクロ波の位相を制御するための情報を取得するようにしたが、制御部412が、加熱対象部分を含む集中加熱領域406を特定して、集中加熱領域406を集中加熱するためのマイクロ波の位相を制御するための情報を取得する処理は、上記の処理に限定されるものではない。
【0220】
例えば、上記の実施の形態において、集中加熱領域の位置を示す情報として、それぞれ上述した三次元空間における集中加熱領域406の位置を示す情報の代わりに、三次元空間における各集中加熱領域406の中心や重心等の代表点の位置を示す情報(例えば、三次元の座標)を用いるようにし、同様に、加熱対象部分の位置を示す情報として、三次元空間における加熱対象部分の中心や重心等の代表点の位置を示す情報(例えば、三次元の座標)を用いるようにし、制御部412が、各集中加熱領域406の代表点の中から、検出手段21が検出した加熱対象部分の代表点との距離が最も短くなる代表点を検出し、検出した代表点に対応する集中加熱領域406が集中加熱されるよう、複数のマイクロ波照射手段401がそれぞれ照射するマイクロ波の位相を制御するようにしてもよい。例えば、照射管理情報が、容器10内の複数の集中加熱領域についての、三次元空間における集中加熱領域406の中心や重心等の代表点の位置を示す情報(例えば、三次元の座標)と、この集中加熱領域を集中加熱するためのマイクロ波の位相を制御するための情報とを有するようにし、制御部412が、検出手段21が検出した加熱対象部分の三次元空間における代表点の位置を示す情報との距離が最も短くなる集中加熱領域406の代表点の位置を示す情報を有する照射管理情報を検出し、検出した照射管理情報が有する集中加熱領域を集中加熱するためのマイクロ波の位相を制御するための情報を取得し、この情報を用いて、複数のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御するようにしてもよい。
【0221】
上記実施の形態においては、複数の集中加熱領域406が、三次元方向に配列されている場合を例にあげて説明したが、複数の集中加熱領域406の配列方向は、三次元方向に限定されるものではなく、例えば、二次元方向に配列されてもよく、一次元方向に配列されてもよい。ここでの二次元方向に配列される、ということは、例えば、高さ方向が一列となり、平面方向において、r×s(r、sは2以上の整数)のマトリクス状に配列されることであってもよく、長手方向が一列となり、高さ方向および幅方向が、r×s(r、sは2以上の整数)のマトリクス状に配列されることであってもよい。また、複数の集中加熱領域406が一次元方向に配列されることは、例えば、複数の集中加熱領域406が長手方向や、幅方向や任意の方向に一列に配列されることである。複数の集中加熱領域の配列は、例えば、加熱対象物60の形状等に応じたものとすることが好ましい。なお、検出手段21は、容器10内に配列された集中加熱領域406と重なるよう検出領域215が配置されるものであれば、上記のような検出領域215が配置される検出手段21に限定されるものではない。例えば、複数の集中加熱領域406が一次元方向に配列されている場合、検出手段21が有するセンサ211は、検出領域215がこの複数の集中加熱領域406に重なるよう配置された、その長手方向が、複数の集中加熱領域406の配列方向であるセンサであってもよい。
【0222】
また、上記各実施の形態においては、容器10内における集中加熱可能な集中加熱領域406が複数である場合について説明したが、集中加熱領域406は、一つであってもよい。例えば、加熱対象物60が、容器10内において長手方向に移動するものであって、一の集中加熱領域406よりも幅の狭い糸状のものや、ストライプ状のものである場合、加熱対象物60が集中加熱領域406内を通過して移動するようにするとともに、検出手段の検出領域が、この移動経路上に配置されるようにすることで、加熱対象物60の加熱対象部分を検出手段で検出して、この検出した加熱対象部分を、集中加熱領域406内に位置するとき(例えば集中加熱領域406と重なるとき)に集中加熱することができる。
【0223】
また、上記実施の形態2において、二次元の領域である複数の集中加熱領域406が、上記実施の形態1において説明したように、加熱対象物60の表面側および裏面側の平面方向においてそれぞれ異なる位置(例えば、長手方向の位置および幅方向の位置の少なくとも一方が異なる位置)に配置されようにし、検出手段21の第一の検出領域205aが複数の集中加熱領域406と重なる加熱対象物60の表面61a側の領域となり、検出手段21の第二の検出領域205bが複数の集中加熱領域406と重なる加熱対象物60の裏面側の領域となるようにし、照射状態変化手段41は、加熱対象部分が検出された集中加熱領域406が集中加熱されるように、上記実施の形態1と同様にマイクロ波を照射するようにしてもよい。かかることは、1つの集中加熱領域406が、加熱対象物60の表面61a側および裏面61b側の平面方向において配置される場合についても同様である。
【0224】
また、上記実施の形態においては、第一のセンサと第二のセンサとを用いて、加熱対象物60の表面側と裏面側において温度分布を取得して、加熱対象部分を検出する例について説明したが、第一のセンサと第二のセンサのいずれか一方のみを用いるようにしてもよい。特に、加熱対象物60の厚さが薄く、表面側と裏面側との温度がほとんどかわらないものである場合、第一のセンサと第二のセンサのいずれか一方のみを用いるようにしてもよい。この場合、各集中加熱領域406を、例えば、高さ方向において一層となるように配置し、加熱対象物60が、高さ方向において、この一層の集中加熱領域406内に収まるように配置、あるいは移動させることが好ましい。
【0225】
なお、上記各実施の形態においては、検出手段20が加熱対象物60の温度を取得して、加熱対象部分を検出する場合について説明したが、検出手段が加熱部分を検出するために取得する加熱対象物60の状態を示す情報は、温度に限定されるものではない。例えば、検出手段が加熱部分を検出するために取得する加熱対象物60の状態を示す情報は、温度、圧力、水分、および色のうちの1以上であっても良い。また、また、センサは、上記実施の形態において説明されたセンサに限定されるものではない。検出手段が有するセンサは、温度センサ、圧力センサ、水分センサ、および色を取得するセンサのうちの1以上であっても良い。
【0226】
例えば、検出手段は、例えば、加熱対象物60の平面方向および高さ方向の少なくとも一方において、水分量が高い部分を検出し、検出した水分量が高い部分を、加熱対象部分として検出してもよい。例えば、加熱対象物60が、加熱によって水分量が減少するもの(例えば、加熱によって乾燥するもの)である場合、検出した水分量が高い部分は、例えば、加熱が必要な部分や、加熱が不足している部分等と考えてもよい。水分量が高い部分は、例えば、水分量が予め決められた閾値よりも高い部分であってもよく、加熱対象物60の他の部分や、加熱対象物60の複数の部分の平均値よりも閾値以上、水分量が高い部分であってもよい。
【0227】
例えば、検出手段20は、加熱対象物の状態を示す情報を取得する一以上のセンサとして、非接触で加熱対象物60の水分量を検出可能なセンサを用いて、上記実施の形態で説明した検出領域と同様の検出領域において、加熱対象物60の水分量の分布を検出し、この水分量が閾値以上である部分を、加熱対象部分として検出するようにしてもよい。非接触で水分量を検出するセンサとして、マイクロ波を所望の位置に照射して、反射されるマイクロ波から、水分量を検出するセンサ等が利用可能である。また、加熱対象物60の長手方向の位置、幅方向の位置、および高さ方向の位置の一以上が異なる複数の位置に接触するよう設けられた1または2以上の接触式の水分量を測定するセンサ等を用いて、上記実施の形態で説明した検出領域と同様の検出領域において加熱対象物60の水分量の分布を検出し、閾値以上の水分量が検出された部分を、加熱対象部分として検出してもよい。
【0228】
また、例えば、検出手段20は、例えば、加熱対象物60の平面方向および高さ方向の少なくとも一方において、圧力が低い部分を検出し、検出した圧力が低い部分を、加熱対象部分として検出してもよい。例えば、加熱対象物60が、加熱によって圧力が増加するものである場合、検出した圧力が低い部分は、例えば、加熱が必要な部分や、加熱が不足している部分等と考えてもよい。圧力が低い部分とは、例えば、圧力が予め決められた閾値よりも低い部分であってもよく、加熱対象物60の平均値や、加熱対象物60の他の部分の平均値等よりも閾値以上圧力が低い部分であってもよい。
【0229】
例えば、検出手段20は、加熱対象物60の長手方向の位置、幅方向の位置、および高さ方向の位置の一以上が異なる複数の位置に接触するよう設けられた1または2以上の接触式の水分量を測定するセンサ等を用いて、上記実施の形態で説明した検出領域と同様の検出領域において加熱対象物60の水分量の分布を検出し、閾値以上の水分量が検出された部分を、加熱対象部分として検出してもよい。
【0230】
また、検出手段20は、例えば、加熱対象物60の平面方向および高さ方向の少なくとも一方において、色を検出し、検出した色が、予め決められた色である部分を、加熱対象部分として検出する。予め決められた色である部分とは、例えば、色の明度、色相、彩度の1以上が所望の範囲内の値となる部分である。例えば、加熱対象物60が、加熱によって色が変色するものである場合(例えば、加熱によって色が黒くなったり、呈色反応を起こして変色するものである場合)、変色が起こっていない色を有する部分を、加熱が必要な部分や、加熱が不足している部分等として検出してもよい。
【0231】
例えば、検出手段20は、加熱対象物の状態を示す情報を取得する一以上のセンサとして、非接触で加熱対象物60表面の色を取得可能なイメージセンサやラインセンサ等を用いて、上記実施の形態で説明した検出領域と同様の検出領域において、加熱対象物60の色の分布を検出し、特定の色の部分を、加熱対象部分として検出するようにしてもよい。特定の色の部分は、例えば、色相、彩度、明度のうちの1以上が特定の範囲にある色である。
【0232】
なお、温度以外の状態を示す情報を利用する場合、例えば、上記各実施の形態の温度に関する記載は、適宜、温度以外の状態を示す情報に読み替えるようにすればよい。
【0233】
なお、上各記実施の形態において、検出手段が、加熱対象物60についての状態を示す情報から加熱対象部分を検出して、この加熱対象部分についての、中心や重心等の代表点の三次元空間における位置を示す情報を取得し、照射状態変化手段の制御部が、容器10内の2以上のマイクロ波が出射される位置の座標等を用いて2以上のマイクロ波が出射される位置から加熱対象部分の代表点までの距離をそれぞれ算出し、算出した距離の情報と照射するマイクロ波の波長等とを用いて、加熱対象部分の代表点とその周辺部において、複数のマイクロ波が強め合うように、2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を算出して、2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相を制御するための情報を取得するようにし、この情報を用いてマイクロ波照射手段401を制御して、加熱対象部分を集中加熱するようにしてもよい。このとき、各集中加熱領域の位置を示す情報は、例えば、予め図示しない格納部等に格納されているものを読み出すようにすればよい。ここで算出する位相は、例えば、2以上のマイクロ波照射手段401が照射するマイクロ波の位相差が0になる位相であってもよい。
【0234】
(実施の形態3)
上記実施の形態1および2においては、検出手段で検出された加熱対象部分が集中加熱されるよう、位相を制御したマイクロ波を照射する場合について説明したが、本実施の形態においては、照射状態変化手段が、マイクロ波を照射する1以上のマイクロ波照射手段を備えており、検出手段が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう、この1以上のマイクロ波照射手段が照射するマイクロ波の出力を変更するようにした加熱装置について説明する。
【0235】
図18は、本実施の形態の加熱装置4のブロック図(
図18(a))および斜視図(
図18(b))である。図において、
図1等と同一符号は同一または相当する部分を示している。
【0236】
加熱装置4は、検出手段20と、第一~第三のマイクロ波照射手段421a~421cと、照射状態変化手段42とを備えている。照射状態変化手段42は、制御部422と、照射管理情報格納部423とを備えている。
【0237】
第一~第三のマイクロ波照射手段421a~421cは、個別に出力が変更可能なマイクロ波照射手段である。出力を個別に変更可能とは、出力を個別に制御可能であることと考えてもよい。個別に出力が変更可能とは、例えば、マイクロ波の出力を個別に大きくしたり小さくしたり変更できることであってもよく、出力のオンおよびオフを個別に変更できることであってもよい。ここでは、一例として、マイクロ波の出力の変更が、オンおよびオフの変更(例えば、オンおよびオフの制御)である場合を例に挙げて説明する。ここでの第一~第三のマイクロ波照射手段421a~421cが、位相が変更できるものであるか否かは問わない。ここでは、第一~第三のマイクロ波照射手段421a~421cが、それぞれ、個別に出力が変更可能なマイクロ波発振器4211と、上記各実施の形態と同様の伝送部4012とを有している場合について説明する。マイクロ波発振器4211は、上記実施の形態で説明したマイクロ波発振器4011と同様のマイクロ波発振器であって、出力を変更可能なマイクロ波発振器である。ただし、マイクロ波発振器4211が、マイクロ波発振器4011のように、位相を変更可能なものであるか否かは問わない。例えば、マイクロ波発振器4211は、位相器を有していなくてもよい。なお、複数のマイクロ波照射手段421は、一つのマイクロ波発振器が出射するマイクロ波を、分岐構造を有する伝送部で分岐して伝送して容器10内に照射するものであって、分岐されたマイクロ波の出力を伝送部等に設けられたアンプ(図示せず)等を用いてそれぞれ変更可能なものであってもよく、この場合、出力をそれぞれ変更するアンプ等を、それぞれ、マイクロ波照射手段と考えてもよい。なお、第一~第三のマイクロ波照射手段421a~421cとしては、例えば、上記以外の構成が、上記実施の形態1の第一~第三のマイクロ波照射手段401a~401cと同様のものが利用可能である。なお、第一~第三のマイクロ波照射手段421a~421cのそれぞれを区別しない場合、単にマイクロ波照射手段421と呼ぶ場合がある。
【0238】
本実施の形態の集中加熱領域406a~406fは、上記実施の形態1と同様のマイクロ波によって集中加熱される領域であるが、上記実施の形態1とは異なり、第一~第三のマイクロ波照射手段421a~421cがそれぞれ照射するマイクロ波が個別に照射される領域であるとする。ここでは、第一~第三のマイクロ波照射手段421a~421cのそれぞれの伝送部4012が、容器10の上部に設けられた開口部105であって、加熱対象物60の幅方向に向かって直線状に配列されている三つの開口部105にそれぞれ取り付けられているものとする。マイクロ波は、各開口部105から下方に向かって照射される。また、集中加熱領域406a~406cが、加熱対象物60の表面61aに、幅方向に向かって直線状に配列されている。また、集中加熱領域406d~406fが、加熱対象物60の裏面61bに、幅方向に向かって直線状に配列されている。第一のマイクロ波照射手段421aの伝送部4012は、集中加熱領域406aおよび406dの上方に位置する開口部105に取り付けられている。第二のマイクロ波照射手段421bの伝送部4012は、集中加熱領域406bおよび406eの上方に位置する開口部105に取り付けられている。第三のマイクロ波照射手段421cの伝送部4012は、集中加熱領域406cおよび406fの上方に位置する開口部105に取り付けられている。
【0239】
ただし、第一~第三のマイクロ波照射手段421a~421cは、対応する集中加熱領域406a~406fにマイクロ波が照射可能となるように取り付けられていればよく、第一~第三のマイクロ波照射手段421a~421cの取り付け位置や、集中加熱領域406の配置等については上記に限定されるものではない。集中加熱領域406a~406fの形状や配置等については、上記実施の形態1と同様の形状や配置等が利用可能であり、ここでは、詳細な説明は省略する。例えば、隣り合う集中加熱領域406は、一部が重なりあっていてもよい。
【0240】
照射状態変化手段42は、検出手段20が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう、各マイクロ波照射手段421が照射するマイクロ波の出力を変更する。
【0241】
制御部422は、上記実施の形態において説明したような各マイクロ波照射手段の位相の制御を行なう代わりに、加熱対象部分が集中加熱されるよう各マイクロ波照射手段421の出力を制御する。
【0242】
照射管理情報格納部403には、照射管理情報として、集中加熱領域406を特定する情報と、この情報で特定される集中加熱領域406にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段421を特定する情報とを対応付けて有する複数の情報が格納されている。集中加熱領域406を特定する情報は、集中加熱領域406に対応する分割領域2051を特定する情報であってもよい。
【0243】
上記以外の加熱装置4の構成等については、上記実施の形態1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0244】
次に、本実施の形態による加熱装置4の動作を、上記実施の形態1の
図3を利用して、具体例を挙げて説明する。なお、検出手段20が加熱対象物60の表面について加熱対象部分を検出する処理については、上記実施の形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
図3(b)に示すように、移動している加熱対象物60の表面61aにおいて、検出手段20が時刻「t1」に加熱対象部分206を検出したとすると、照射状態変化手段40の制御部422は、照射管理情報格納部403に格納された照射管理情報を用いて、加熱対象部分206が検出された第一の検出領域205aの第一分割領域2051aに対応する第一の集中加熱領域406aに対してマイクロ波を照射する第一のマイクロ波照射手段401aを特定し、上記実施の形態1と同様に時刻「t1+t0」に、この第一のマイクロ波照射手段421aから集中加熱領域406aに対して、マイクロ波照射を開始させる。つまり、マイクロ波の出力をオンにする。また、他の第二のマイクロ波照射手段421bおよび第三のマイクロ波照射手段421cからはマイクロ波の照射を行わない。つまり、マイクロ波の出力をオフとする。これにより、検出された加熱対象部分206がマイクロ波によって集中加熱される。また、加熱対象部分206を含まない第二の集中加熱領域406bおよび第三の集中加熱領域406cは集中加熱されない。このマイクロ波照射は、例えば、加熱対象物60の一の地点が、集中加熱領域406を通過するために要する時間だけ行われる。
【0245】
また、
図3(d)に示すように、移動している加熱対象物60の裏面61bにおいて、検出手段20が時刻「t2」に加熱対象部分207を検出したとすると、照射状態変化手段40の制御部422は、照射管理情報格納部403に格納された照射管理情報を用いて、加熱対象部分207が検出された第二の検出領域205bの第五分割領域2051eに対応する第五の集中加熱領域406eに対してマイクロ波を照射する第二のマイクロ波照射手段421bを特定し、上記実施の形態1と同様に時刻「t2+t0」に、この第二のマイクロ波照射手段421bから第五の集中加熱領域406eに対して、マイクロ波照射を開始させる。つまり、マイクロ波の出力をオンとする。照射されたマイクロ波は、加熱対象物60の表面61aを通過して、裏面61b側の第五の集中加熱領域406eに照射される。また、他の第二および第三のマイクロ波照射手段421bおよび421cからはマイクロ波の照射を行わない。つまり、マイクロ波の出力をオフとする。これにより、検出された加熱対象部分207がマイクロ波によって集中加熱される。また、加熱対象部分207を含まない第四の集中加熱領域406dおよび第六の集中加熱領域406fは集中加熱されない。このマイクロ波照射は、例えば、加熱対象物60の一の地点が、集中加熱領域406を通過するために要する時間だけ行われる。
【0246】
以上、本実施の形態によれば、複数のマイクロ波照射手段421の出力を制御することにより、検出手段20により検出した加熱対象領域を、ダイナミックかつリアルタイムに集中加熱することができるとともに、集中加熱によって無駄のない効率的なマイクロ波加熱を行なうことができる。また、複数のマイクロ波の位相等を考慮せず、マイクロ波照射手段421から出射されたマイクロ波が照射される領域を加熱対象領域とするため、加熱対象領域が設定しやすい。
【0247】
なお、本実施の形態においては、マイクロ波照射手段421が3つである場合について説明したが、マイクロ波照射手段421の数は1または2以上であれば、3つに限定されるものではない。
【0248】
また、隣り合う集中加熱領域406が重なっている場合において、この重なっている部分に検出手段20が検出した加熱対象部分が位置する場合、この重なる集中加熱領域のそれぞれマイクロ波を照射する異なるマイクロ波照射手段421の両方からマイクロ波を出力するようにしてもよい。この場合、各マイクロ波照射手段421が照射するマイクロ波の出力は、重ならない集中加熱領域に加熱対象部分が位置する場合に照射するマイクロ波の出力よりも低い出力(例えば、重ならない場合に照射される出力の半分の出力)としてもよい。かかることは、以下の各変形例についても同様である。
【0249】
また、上記においては、検出手段20が検出した加熱対象部分が集中加熱領域に位置する場合(例えば、集中加熱領域に加熱対象部分が進入した場合)に、この集中加熱領域に対してマイクロ波を照射可能なマイクロ波照射手段だけが、マイクロ波を照射する例について説明したが、この集中加熱領域に対してマイクロ波を照射可能なマイクロ波照射手段以外のマイクロ波照射手段もマイクロ波を出力するようにするとともに、この集中加熱領域に対してマイクロ波を照射可能なマイクロ波照射手段が出力するマイクロの波の出力を、他のマイクロ波照射手段よりも強くするようにしてもよい。かかることは、以下の各変形例についても同様である。
【0250】
(変形例1)
なお、上記実施の形態においては、3つのマイクロ波照射手段421を加熱対象物60の表面61aの上方に設けた場合について説明したが、加熱対象物60の裏面側の下方等にも、複数のマイクロ波照射手段421を設けるようにしてもよい。
【0251】
図19はこのような加熱装置4の変形例1である加熱装置を示すブロック図(
図19(a))および斜視図(
図19(b))である。この加熱装置4aは、上記の加熱装置4において、容器10の加熱対象物60の裏面側となる部分の、第四~第六の集中加熱領域406d~406fに対してマイクロ波を照射可能な位置、ここでは、一例として、第四~第六の集中加熱領域406d~406fのそれぞれの直下に、第一~第三のマイクロ波照射手段421a~421cと同様の出力の制御が可能な第四~第六のマイクロ波照射手段421d~421fをさらに設けるようにし、検出手段20が、加熱対象物60の裏面61b側で検出した加熱対象部分が、第四~第六の集中加熱領域406d~406fのいずれか1つに入った場合に、この加熱対象部分が入った第四~第六の集中加熱領域406d~406fに対応する第四~第六のマイクロ波照射手段421d~421fがマイクロ波を出力するようマイクロ波照射手段421の出力を制御するようにしたものである。ここでの6つのマイクロ波照射手段421の出力の制御は、照射状態変化手段42の制御部422により行われる。なお、照射状態変化手段42の構成については、出力を制御するマイクロ波照射手段421の数が異なる点を除けば、上記実施の形態3と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0252】
このような加熱装置4aにおいては、
図3(b)に示すように、検出手段20が時刻「t1」に加熱対象部分206を検出したとすると、上記実施の形態と同様に時刻「t1+t0」に、第一のマイクロ波照射手段421aから集中加熱領域406aに対して、マイクロ波照射が開始され、他の第二~第六のマイクロ波照射手段421b~421fからはマイクロ波の照射を行わないことで、検出された加熱対象部分206がマイクロ波によって集中加熱される。
【0253】
また、
図3(d)に示すように、移動している加熱対象物60の裏面61bにおいて、検出手段20が時刻「t2」に加熱対象部分207を検出したとすると、照射状態変化手段42の制御部422は、照射管理情報格納部403に格納された照射管理情報を用いて、加熱対象部分207が検出された第二の検出領域205bの第五分割領域2051eに対応する第五の集中加熱領域406eに対してマイクロ波を照射する第五のマイクロ波照射手段421eを特定し、上記実施の形態1と同様に時刻「t2+t0」に、裏面61b側の第五のマイクロ波照射手段421eから第五の集中加熱領域406eに対してマイクロ波照射を開始させる。また、他の第一~第四および第六のマイクロ波照射手段421a~421dおよび421fからはマイクロ波の照射を行わない。これにより、検出された加熱対象部分207がマイクロ波によって集中加熱される。
【0254】
このような変形例においても、上記と同様の効果を奏するとともに、表面61a側で検出された加熱対象部分に対しては表面側から、また、裏面61b側で検出された加熱対象部分に対しては裏面側からそれぞれマイクロ波を照射することができ、効率良く加熱対象部分を加熱することができる。
【0255】
(変形例2)
図20は、本実施の形態の変形例2の加熱装置を示す斜視図(
図20(a))および加熱対象物60を上方から見た模式図(
図20(b))である。
この変形例2の加熱装置4bは、上記実施の形態1において
図7を用いて変形例と同様に、幅方向に配列された1または2以上の集中加熱領域の列が、長手方向に複数列配置されるように、各集中加熱領域にマイクロ波を照射する複数のマイクロ波照射手段421を設けるようにし、検出手段20が検出した加熱対象部分が一つの集中加熱領域406内に位置するときに(例えば、進入したときに)、照射状態変化手段42がこの集中加熱領域406にマイクロ波を照射可能なマイクロ波照射手段421の出力を制御して(例えば、マイクロ波照射を開始するよう制御して)、この集中加熱領域406を集中加熱するようにしたものである。
【0256】
加熱装置4bは、
図18(a)に示した上記実施の形態3の加熱装置4において、9つのマイクロ波照射手段421を備えているようにしたものである。また、照射状態変化手段42がこの9つのマイクロ波照射手段421の出力を制御するようにしたものである。なお、これ以外の加熱装置4bの構成は、加熱装置4や加熱装置4aと同様であるため、ここでは説明を省略する。9つのマイクロ波照射手段421は、加熱対象物60の表面61aに
図7と同様の3行3列のマトリクス状に集中加熱領域406が配置されるよう、容器10のそれぞれの集中加熱領域406の上方にそれぞれの出射部が取り付けられている。例えば、各集中加熱領域406の上方に、各マイクロ波照射手段421が取り付けられる開口部105が設けられている。また、加熱対象物60の表面61aの各集中加熱領域406が設けられている位置の裏面61b側にも、それぞれ集中加熱領域(図示せず)が設けられている。
【0257】
このような加熱装置4bにおいては、検出手段20が検出した加熱対象部分が移動して一の集中加熱領域406に進入するごとに、照射状態変化手段42が、この集中加熱領域406の上方に配置されたマイクロ波照射手段421からマイクロ波を照射させることで、進入した集中加熱領域406をダイナミックかつリアルタイムに集中加熱することができる。
【0258】
なお、集中加熱領域406および集中加熱領域406上にそれぞれ配置されるマイクロ波照射手段421は、3行3列のマトリクス状に配置されたものに限定されるものではなく、r×s(r、sは2以上の整数)のマトリクス状に配置されたものであってもよい。また、複数の集中加熱領域406およびマイクロ波照射手段421の配置等は、マトリクス状に限定されるものではなく、どのような配置であってもよい。
【0259】
なお、上記変形例2においても、上記変形例1と同様に、加熱対象物60の裏面側の下方等にも、裏面側の1以上の集中加熱領域406にマイクロ波をそれぞれ照射する1以上のマイクロ波照射手段421を設けるようにし、検出手段20が検出した加熱対象部分が裏面側の集中加熱領域406に位置する場合に、照射状態変化手段42が、裏面側に設けられたマイクロ波照射手段421のうちの、この集中加熱領域406にマイクロ波を照射可能なマイクロ波照射手段421からマイクロ波を照射させるようにしてもよい。
【0260】
また、上記実施の形態3やその変形例において、検出手段20の第一のセンサ201aおよび第二のセンサ201bのいずれか一方を省略して、省略したセンサによって検出していた加熱対象部分の集中加熱を行わないようにしてもよい。
【0261】
また、上記の変形例2において、検出手段20を用いる代わりに、上記実施の形態2において説明したような、加熱対象物60の表面61aおよび裏面61bの、二次元方向の温度分布(すなわち長手方向および幅方向の組み合わせについての温度分布)を取得可能な第一のセンサ211aおよび第二のセンサ211bを有する検出手段21を用いるようにし、照射状態変化手段42が、検出手段21の検出処理部212が表面61aおよび裏面61bで検出した加熱対象部分が位置する集中加熱領域406に対して、この集中加熱領域406にマイクロ波を照射可能なマイクロ波照射手段421からマイクロ波を出力させるようにしてもよい。
【0262】
(実施の形態4)
本実施の形態は、上記実施の形態2やその変形例1の加熱装置において、位相を制御したマイクロ波を照射して三次元に配置された集中加熱領域に位置する加熱対象部分を集中加熱する代わりに、三次元に設定された1以上の集中加熱領域に対して、それぞれ、異なる二方向からマイクロ波を照射することで、各集中加熱領域内に位置する加熱対象部分を集中加熱するようにしたものである。
【0263】
図21は、本実施の形態の加熱装置のブロック図(
図21(a))、および斜視図(
図21(b)である。図において、
図16等と同一符号は同一または相当する部分を示している。
加熱装置5は、検出手段24と、9個の縦マイクロ波照射手段431aと、9個の横マイクロ波照射手段431bと、照射状態変化手段44とを備えている。
【0264】
9個の縦マイクロ波照射部マイクロ波照射手段431aは、高さ方向にマイクロ波を照射する。9個の横マイクロ波照射部マイクロ波照射手段431bは、幅方向にマイクロ波を照射する。ここでは、9つの縦マイクロ波照射手段431は、容器10の加熱対象物60の上方となる位置に、マイクロ波を出射する部分(例えば、伝送部4012等)が、3行3列のマトリクス状に取り付けられている。また、9個の横マイクロ波照射手段441bは、加熱対象物60の幅方向に位置する容器10の側面の一方に、マイクロ波を出射する部分が3行3列のマトリクス状に取り付けられている。また、ここでは、各縦マイクロ波照射手段431aが照射するマイクロ波と、各横マイクロ波照射手段441bが照射するマイクロ波とが重なる領域(空間)を、集中加熱領域436としている。ここでは、幅方向3列×長手方向3列×高さ方向3列の、計27個の集中加熱領域436が設定されている。縦マイクロ波照射手段431aおよび横マイクロ波照射手段431bのそれぞれは、上記実施の形態3のマイクロ波照射手段421と同様のものであり、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0265】
照射状態変化手段44は、制御部432と、照射管理情報格納部433とを備えている。照射状態変化手段44は、加熱対象部分がマイクロ波照射によって集中加熱されるよう、縦マイクロ波照射手段431aと、横マイクロ波照射手段431bとの出力を制御する。
【0266】
制御部432は、加熱対象部分がマイクロ波照射によって集中加熱されるよう、縦マイクロ波照射手段431aと、横マイクロ波照射手段431bとの出力を制御する。例えば、検出手段21が検出した加熱対象部分が含まれる集中加熱領域436を検出し、この集中加熱領域436にマイクロ波を照射する縦マイクロ波照射手段431aと横マイクロ波照射手段431bとがマイクロ波を出力するよう制御する。例えば、制御部432は、一の集中加熱領域436にマイクロ波を照射する縦マイクロ波照射手段431aおよび横マイクロ波照射手段431bを、照射管理情報格納部433に格納されている照射管理情報を用いて検出する。制御部432のこれ以外の構成については、制御部412等と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0267】
照射管理情報格納部433には、1または2以上の照射管理情報が格納される。この照射管理情報は、例えば、上記実施の形態2において説明したものと同様の集中加熱領域436を特定する情報と、この集中加熱領域436にマイクロ波を照射する縦マイクロ波照射手段431aおよび横マイクロ波照射手段431bをそれぞれ特定する情報である。
【0268】
次に、本実施の形態の加熱装置5の動作の具体例について説明する。
例えば、検出処理部212aが、超音波センサ211cが加熱対象物60の長手方向の一の位置から取得した温度分布から加熱対象部分1706を検出したとすると、制御部432は、この温度分布を取得した長手方向の位置と、この温度分布において検出処理部212aが取得した加熱対象部分の幅方向の位置と、高さ方向の位置を取得し、取得した長手方向の位置と、幅方向の位置と、高さ方向の位置とで表される加熱対象部分1706の位置を含む集中加熱領域436を、照射管理情報等を用いて特定し、この加熱領域に対してマイクロ波を照射する縦マイクロ波照射手段431aと、横マイクロ波照射手段431bとを特定する。例えば、ここで特定した集中加熱領域436が、
図21(b)に示すよう、集中加熱領域436aであるとすると、制御部432は、照射管理情報を用いて、この集中加熱領域436aにマイクロ波を照射する縦マイクロ波照射手段431aである縦マイクロ波照射手段431a1と、この集中加熱領域436aにマイクロ波を照射する横マイクロ波照射手段431bである横マイクロ波照射手段431b1と、を特定する情報を取得する。そして、制御部432は、縦マイクロ波照射手段431a1と、横マイクロ波照射手段431b1とにマイクロ波を照射させる。
図21(b)の矢印は、縦マイクロ波照射手段431a1と、横マイクロ波照射手段431b1とからそれぞれ照射されるマイクロ波を模式的に表すものである。縦マイクロ波照射手段431a1と、横マイクロ波照射手段431b1とから照射されるマイクロ波は、集中加熱領域436aで交わるため、この部分のマイクロ波強度が最も強くなり、集中加熱される。一方、集中加熱領域436a以外の縦マイクロ波照射手段431a1と、横マイクロ波照射手段431b1とから照射されるマイクロ波が通過する集中加熱領域においては、縦マイクロ波照射手段431a1および横マイクロ波照射手段431b1の一方から照射されるマイクロ波しか照射されないため、マイクロ波の強度が弱く、集中加熱領域436aよりも集中加熱されにくい。これにより、加熱領域436aが最も強く集中加熱することができる。
【0269】
以上、本実施の形態によれば、検出手段24が検出した加熱対象部分に、異なる二方向から照射されるマイクロ波が照射されるようにしたことにより、加熱対象部分をダイナミックかつリアルタイムに集中加熱することができる。例えば、三次元方向で検出された加熱対象部分を適切に集中加熱することができる。また、加熱対象部分以外の部分におけるマイクロ波照射による加熱等の影響を抑えることができる。
【0270】
なお、複数の縦マイクロ波照射手段431aの数および配置や、複数の横マイクロ波照射手段431bの数および配置は一例であり、上記以外の数および配置であってもよい。例えば、縦マイクロ波照射手段431aは、3行3列のマトリクス状に配置されたものに限定されるものではなく、r1×s1(r1、s1は2以上の整数)のマトリクス状に配置されたものであってもよい。同様に、例えば、横マイクロ波照射手段431bは、3行3列のマトリクス状に配置されたものに限定されるものではなく、r2×s2(r2、s2は2以上の整数)のマトリクス状に配置されたものであってもよい。
【0271】
なお、本実施の形態においては、複数の縦マイクロ波照射手段431aおおび横マイクロ波照射手段431bを用いて、1または2以上の集中加熱領域に対して、それぞれ高さ方向と幅方向との二方向からマイクロ波を照射するようにしたが、これ以外の異なる二方向からマイクロ波を照射するようにしても良い。また、マイクロ波を照射する方向は、幅方向、高さ方向、および長手方向のうちの二つの方向に限定されるものではない。例えば、加熱対象物60に対して右斜め上と、左斜め上とから、マイクロ波を照射して、マイクロ波が重なる位置を集中加熱するようにしてもよい。例えば、本実施の形態の加熱装置は、第一の方向と、第二の方向とからマイクロ波を照射する加熱装置と考えてもよい。例えば、上記実施の形態の高さ方向および幅方向を第一の方向および第二の方向と考えてもよい。
【0272】
また、異なる三以上の方向から1または2以上の集中加熱領域に対して、マイクロ波を照射するようにしてもよい。上記のような、高さ方向と幅方向とからのマイクロ波照射に加えて、長手方向からもマイクロ波を照射できるようにしてもよい。なお、マイクロ波を照射する異なる方向は、直交する方向であることが好ましい。また、異なる方向は、同一直線状にない二方向であることが好ましい。
【0273】
なお、二以上の方向から加熱対象部分に対してマイクロ波を照射するようにした加熱装置は、例えば、第一から第k(kは二以上の整数)の異なる方向にマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段を、第一から第kの各方向毎に複数有しており、この各方向に対応するマイクロ波照射手段のうちの、検出手段が検出した加熱対象部分に対してマイクロ波を照射可能なマイクロ波照射手段から、それぞれマイクロ波を照射するようにした加熱装置である。
【0274】
なお、本実施の形態においても、上記実施の形態2と同様に、加熱対象物60は、容器10内を移動しないようにしてもよく、移動するようにしてもよい。また、加熱対象部分を検出するためのセンサは、上記のような超音波センサ211cに限定されるものではなく、上記実施の形態2において説明したものと同様のセンサ等が利用可能である。
【0275】
(実施の形態5)
本実施の形態の加熱装置は、上記実施の形態3の変形例2において、加熱対象部分が位置する集中加熱領域が集中加熱されるようマイクロ波照射手段が出力するマイクロ波の出力を変更する照射状態変化手段を用いる代わりに、マイクロ波照射手段のマイクロ波を出射する出射部の配置を、検出手段が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう変更する配置変更部と、を有する照射状態変化手段を備えるようにしたものである。
【0276】
図22は、本実施の形態の加熱装置のブロック図(
図22(a))、本実施の形態の加熱装置の上方から見た一部切欠平面図(
図22(b))、および
図22(b)の幅方向に垂直な断面図(
図22(c))である。図において、
図8等と同一符号は同一または相当する部分を示している。
【0277】
本実施の形態5の加熱装置6は、検出手段21と、マイクロ波照射手段441と、照射状態変化手段44とを備えている。マイクロ波照射手段441は、マイクロ波発振器4211と伝送部4412と、出射部4413とを備えている。照射状態変化手段44は、制御部442と、配置変更部443とを備えている。
【0278】
伝送部4412は、マイクロ波発振器4211と出射部4413とに接続されており、マイクロ波発振器4211で発生したマイクロ波を出射部4413まで伝送する。ここでは、出射部4413が配置変更部443によって容器10内を移動するため、出射部4413の配置の変更に追従して形状や長さ等を変更可能な可変伝送部が用いられる。可変伝送部は、例えば、同軸ケーブルまたは可変導波管である。可変導波管は、例えば、フレキシブル導波管やスライド式導波管である。フレキシブル導波管とは、可撓性を有しており、フレキシブルに曲げたり伸したりすることができる導波管である。スライド式導波管(図示せず)は、伸縮性を有する可変導波管である。スライド式導波管のスライド機構は、例えば、ズームレンズや望遠鏡等と同様の、管や筒の伸縮機構であってもよい。また、可変伝送部は、同軸ケーブルと可変導波管または可変ではない導波管とを組み合わせたものであってもよい。なお、ここでは、一例として伝送部4412として、同軸ケーブルを用いた場合について説明する。なお、これ以外の点については、上記実施の形態1の伝送部4012等と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0279】
出射部4413は、伝送部4412により伝送されるマイクロ波出射する。出射部4413は、ここでは、マイクロ波用のアンテナである場合を例に挙げて説明する。このアンテナとしては、指向性の高いものを用いることが好ましい。また、集中加熱を行うためには、マイクロ波が照射される領域は狭い方がより好ましい。出射部4413は、配置変更部443に取り付けられており、配置変更部443が動作することによって、配置が変更可能となっている。出射部4413の配置の変更とは、例えば、出射部4413の容器10内での位置の変更や、出射部4413の向きの変更である。出射部4413の向きの変更は、出射部4413のマイクロ波を照射する方向の変更である。出射部4413は、加熱対象物60の一部に対してマイクロ波照射が可能となるように、配置変更部443に取り付けられている。ここでは、出射部4413は、下方に向かってマイクロ波が照射可能となるよう、加熱対象物60の上方に配置されている。なお、出射部4413は、マイクロ波を出射するものであれば、アンテナに限定されるものではない。例えば、出射部4413は、同軸ケーブルや、可変導波管等の伝送部4412の加熱対象物60側の端部や開口部((図示せず))であってもよい。
【0280】
照射状態変化手段44は、検出手段21が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう1以上のマイクロ波照射手段(ここでは一つのマイクロ波照射手段441)の出射部の配置を変更し、1以上のマイクロ波照射手段からマイクロ波を照射して加熱対象部分を集中加熱する。
【0281】
配置変更部443は、マイクロ波照射手段441の出射部4413の配置を変更するものである。配置変更部443は、検出手段21が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう出射部4413の配置を変更する。配置変更部443には、出射部4413が取り付けられ、配置変更部443は、この出射部4413の配置を変更する。
【0282】
配置変更部443は、二次元方向に先端部4431の位置を変更可能な多関節ロボットアームである。先端部4431は終端部とも呼ばれる。先端部4431にマイクロ波照射手段441の出射部4413が取り付けられる。二次元方向の位置の変更は、平面方向の位置の変更である。平面方向での位置の変更は、例えば水平方向での位置の変更である。平面方向での位置の変更は、平面に沿った位置の変更と考えてもよい。ここでは、配置変更部443として、加熱対象部60の長手方向および幅方向において出射部4413の位置を変更可能な多関節ロボットアームを用いている。配置変更部443は、ここでは、加熱対象物60の上方に設置されており、加熱対象物60の上方において出射部4413の位置を変更する。また、ここでは、出射部4413は、マイクロ波の出射方向が平面方向に対して垂直下向き(例えば、鉛直下向き)に固定されており、下向きにマイクロ波を照射するものとする。
【0283】
配置変更部443は、検出手段21が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう出射部4413の配置を変更する。ここでは、配置変更部443は、検出手段21が検出した加熱対象部分の上方に出射部4413を移動させる。配置変更部443は、検出手段21が検出した加熱対象部分の中心が、出射部4413がマイクロ波を照射する照射方向の軸心上に位置するように、出射部4413を移動させることが好ましい。例えば、ここでは、出射部4413からのマイクロ波の出射方向が平面方向に対して垂直下向きであるため、配置変更部443は、検出手段21が検出した加熱対象部分の中心の平面方向の位置と、出射部4413の中心の平面方向の位置とが一致するように、出射部4413を移動させることが好ましい。
【0284】
なお、多関節ロボットアームとしては、取り付けられた出射部4413を二次元方向に移動可能なものであれば、どのような多関節ロボットアームを用いてもよい。多関節ロボットアームについては公知技術であるため、詳細な説明は省略する。
【0285】
また、配置変更部443として、多関節ロボットアームを用いた場合について説明するが、二次元方向に出射部4413を移動可能なものであれば、配置変更部443として、多関節ロボットアーム以外のものを用いてもよい。例えば、多関節ロボットアーム以外のロボットアームを用いてもよく、二次元方向にステージやテーブル等を移動可能な移動機構等を配置変更部として用い、この移動機構のテーブル等に出射部4413を取り付けるようにしてもよい。このようなテーブルの移動機構については、例えば、特開2002-82190号公報等の移動機構を参照されたい。
【0286】
制御部442は、配置変更部443の制御と、マイクロ波照射手段441からのマイクロ波の照射の制御とを行う。制御部442は、例えば、出射部4413の配置が、検出手段21が検出した加熱対象部分が集中加熱されるような配置となるように、配置変更部443を動作させる。例えば、制御部442は、例えば、出射部4413が、検出手段21が検出した加熱対象部分の上方に移動するように、配置変更部443を動作させる。なお、上記以外の制御部442が行う制御については、上記実施の形態1の制御部402等と同様であり、ここでは詳細な説明を省略する。なお、出射部4413を、加熱対象部分が位置する領域を集中加熱可能となる位置に移動させるための設定等の情報等を図示しない照射管理情報格納部等に予め格納しておくようにし、制御部442は、この情報を用いて、検出された加熱対象部分を集中加熱可能な位置に出射部4413を移動させるよう配置変更部443を制御してもよい。
【0287】
次に、本実施の形態の加熱装置6の動作の一例について具体的に説明する。
図23は、本実施の形態の加熱装置の動作を説明するための平面模式図(
図23(a)~
図23(d))である。この図は、加熱装置6から容器10やマイクロ波発振器4211等を省略したものを示す図である。
【0288】
検出手段21が、加熱対象物60の表面61aにおいて、
図23(a)に示すように、加熱対象部分226を検出したとする。制御部442は、検出手段21から、加熱対象部分226の平面方向における座標(例えば、長手方向の座標と、幅方向の座標とで表される座標)を受取り、先端部4431に取り付けられた出射部4413が、加熱対象部分226の上方に位置するよう、配置変更部443を動作させる。例えば、出射部4413の中心の平面方向における座標が、加熱対象部分226の座標と一致するように、配置変更部443を動作させる。これに応じて、配置変更部443は、
図23(b)に示すように、先端部4431に取り付けられた出射部4413を、加熱対象部分226の上方に移動させる。そして、制御部442の制御に応じて、マイクロ波照射手段441がマイクロ波照射を行い、出射部4413から、この出射部4413の下方に位置する加熱対象部分226にマイクロ波が照射され、加熱対象部分226が集中加熱される。
【0289】
検出手段21が加熱対象物60の裏面61bにおいて、
図23(c)のように加熱対象部分227を検出した場合においても、上記と同様に、配置変更部443は、
図23(d)に示すように、先端部4431に取り付けられた出射部4413を、加熱対象部分227の上方に移動させる。そして、マイクロ波照射手段441がマイクロ波照射を行い、出射部4413から、この出射部4413の下方に位置する加熱対象部分227にマイクロ波が照射され、表面61aを通過したマイクロ波によって、裏面61b側の加熱対象部分227が集中加熱される。
【0290】
以上、本実施の形態によれば、検出手段21により加熱対象部分を検出し、マイクロ波照射手段441の出射部4413を、検出手段21が検出した加熱対象部分にマイクロ波を照射可能な位置に移動させて、マイクロ波を照射することにより、加熱対象部分をダイナミックかつリアルタイムに集中加熱することができる。また、一つのマイクロ波照射手段441で異なる位置を集中加熱できるため、マイクロ波照射手段の数を削減することができる。
【0291】
なお、上記実施の形態においては、配置変更部443が出射部4413を平面方向に移動させる場合について説明したが、配置変更部443による移動は、平面方向の移動に限定されるものではない。例えば、移動は、平面方向(例えば、水平方向)に垂直な面方向の移動であってもよい。
【0292】
また、上記においては、配置変更部443として、二次元方向において出射部の位置を変更するものを用いていたが、配置変更部443による出射部4413の移動は、二次元方向の移動に限定されるものではなく、一次元方向の移動であってもよく、三次元方向の移動であってもよい。一次元方向の移動は、例えば、加熱対象物60の幅方向の移動である。例えば、上記実施の形態3のように、幅方向において移動中に検出された加熱対象物60の加熱対象部分を、容器10内の長手方向の予め決められた位置において、幅方向の異なる位置に検出された加熱対象部分を加熱する場合、この長手方向の予め決められた位置において出射部を幅方向に移動させる配置変更部を用いるようにして、検出された加熱対象部分上に出射部を移動させてマイクロ波を照射するようにしてもよい。なお、一次元方向に移動させるための配置変更部としては、多関節ロボットアームや、一次元方向に移動する移動ステージ機構等が利用可能である。また、三次元方向に移動させるための配置変更部としては、多関節ロボットアームや、三次元方向に移動する移動ステージ機構等が利用可能である。
【0293】
また、上記においては、出射部4413の出射方向が固定されている場合について説明したが、配置変更部443は、出射部4413の出射方向を変更可能なものであってもよい。例えば、配置変更部443は、出射部4413の位置と出射方向とを変更可能なものであってもよく、出射方向のみを変更可能なものであってもよい。出射方向の変更は、例えば、出射方向の回転および傾きの少なくとも一方の変更である。配置変更部443は、例えば、加熱対象部分にマイクロ波が照射されるよう、出射部4413の出射方向を変更するものであってもよい。このような出射方向を変更可能な機構等としては、スポットライトや監視カメラ等の方向を変更する機構等の公知技術が利用可能である。
【0294】
また、上記実施の形態においては、出射部4413の代わりに、マイクロ波照射手段441全体を配置変更部443等に取り付けること等によって、マイクロ波照射手段441全体の配置を配置変更部443により変更することで、結果的に出射部4413の配置を変更できるようにしてもよい。
【0295】
また、上記実施の形態においては、マイクロ波照射手段441の出射部の位置を変更する場合について説明したが、配置変更部443は、検出手段が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう、1または2以上のマイクロ波照射手段の出射部の位置を変更可能なものであれば、上記で説明したようなものに限定されるものではない。
【0296】
(実施の形態6)
図24は、本実施の形態の加熱装置のブロック図(
図24(a))、本実施の形態の加熱装置の一部切欠平面図(
図24(b))、および一部切欠側面図(
図24(c))である。図において、
図16および
図22等と同一符号は同一または相当する部分を示している。
【0297】
本実施の形態の加熱装置7は、上記実施の形態5において説明した加熱装置6において、検出手段21の代わりに、上記実施の形態4において説明したような加熱対象物60の長手方向の異なる位置の断面において、高さ方向の温度分布を取得して、この温度分布から加熱対象部分を検出する検出手段24を用いるようにし、マイクロ波照射手段441の代わりに、出射部4413aを有する第一のマイクロ波照射手段441aおよび出射部4413bを有する第二のマイクロ波照射手段441bを設け、照射状態変化手段44が、配置変更部443の代わりに出射部4413aの配置を変更可能な第一の配置変更部443aおよび出射部4413bの配置を変更可能な第二の配置変更部443bを有するようにしたものである。この照射状態変化手段44は、第一のマイクロ波照射手段441aの出射部4413aおよび第二のマイクロ波照射手段441bの出射部4413bの配置を検出手段21が検出した加熱対象部分が集中加熱されるよう変更するものである。
【0298】
第一のマイクロ波照射手段441aおよび第一の配置変更部443aについては、上記実施の形態5のマイクロ波照射手段441および配置変更部443と同様のものであって、同様の位置に取り付けられているものであり、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0299】
第二のマイクロ波照射手段441bおよび第二の配置変更部443bは、上記実施の形態5のマイクロ波照射手段441および配置変更部443と同様のものを、第二のマイクロ波照射手段441bの出射部4413bの移動方向が、加熱対象物60の幅方向に対して垂直な面方向(例えば、垂直な面に沿った方向の移動)となるように、容器10の幅方向の側面に所定の間隔を隔てて配置したものであり、その他の構成等は、上記実施の形態5のマイクロ波照射手段441および配置変更部443と同様のものであるため、ここでは説明を省略する。なお、出射部4413bの出射方向は、ここでは一例として幅方向に固定されているものとする。例えば、第二の配置変更部443bによる配置の変更は、移動方向が異なる点を除けば、実質的に配置変更部443と同様の動作で行うことができる。
【0300】
本実施の形態においては、検出手段24が、加熱対象物60において加熱対象部分を検出した場合、この加熱対象部分にマイクロ波が照射されるよう、第一の配置変更部443aが第一のマイクロ波照射手段441aの出射部4413aの平面方向の位置、具体的には長手方向および幅方向の位置を変更する。そして、第一のマイクロ波照射手段441aが出射部4413aからマイクロ波を照射する。また、検出された加熱対象部分にマイクロ波が照射されるよう、第二の配置変更部443bが第二のマイクロ波照射手段441bの出射部4413bの幅方向に垂直な面方向の位置、具体的には高さ方向および長手方向の位置を変更する。そして、第二のマイクロ波照射手段441bが出射部4413bからマイクロ波を照射する。
【0301】
制御部442については、第一のマイクロ波照射手段441aの出力の制御、第一の配置変更部443aの動作の制御、第二のマイクロ波照射手段441bの出力の制御、および第二の配置変更部443bの動作の制御を行うものである。これらの制御については、上記実施の形態5の制御と同様であるため、ここでは、詳細な説明を省略する。また、他の構成等については、上記実施の形態5の制御部442と同様であるため、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0302】
次に、本実施の形態の加熱装置7の動作の一例について具体的に説明する。
図25は、本実施の形態の加熱装置の動作を説明するための模式図(
図25(a)~
図25(d))である。この図は、加熱装置7から容器10等を省略したものを示す図である。
図25(a)および
図25(c)は、平面模式図であり、
図25(b)および
図25(d)は幅方向から見た模式図である。
【0303】
検出手段24が、加熱対象物60の表面61aにおいて、
図25(a)および
図25(b)に示すように、加熱対象部分236を検出したとする。制御部442は、検出手段24から、加熱対象部分226の三次元の座標(例えば、長手方向の座標と、幅方向の座標と、高さ方向の座標とで表される座標)を受取る。
【0304】
制御部442は、受取った座標から、平面方向の座標(例えば、長手方向の座標と、幅方向の座標とで表される座標)を取得し、第一の配置変更部443aの先端部4431に取り付けられた第一のマイクロ波照射手段441aの出射部4413aが、加熱対象部分236の上方に位置するよう、第一の配置変更部443aを動作させる。例えば、出射部4413の中心の平面方向における座標が、加熱対象部分236の平面方向における座標と一致するように、第一の配置変更部443aを動作させる。これに応じて、第一の配置変更部443aは、
図25(c)に示すように、先端部4431に取り付けられた出射部4413aを、加熱対象部分236の上方に移動させる。
【0305】
また、制御部442は、上記で受取った座標から、幅方向に垂直な面方向の座標(例えば、長手方向の座標と、高さ方向の座標とで表される座標)を取得し、第二の配置変更部443bの先端部4431に取り付けられた第二のマイクロ波照射手段441bの出射部4413bが、加熱対象部分236の幅方向の延長上に位置するよう、第二の配置変更部443bを動作させる。例えば、出射部4413の中心の、加熱対象物60の幅方向に垂直な面方向における座標が、加熱対象部分236の、加熱対象物60の幅方向に垂直な面方向における座標と一致するように、第二の配置変更部443bを動作させる。これに応じて、第二の配置変更部443bは、
図25(d)に示すように、先端部4431に取り付けられた出射部4413bを、加熱対象部分236の幅方向の延長上に移動させる。
【0306】
そして、制御部442の制御に応じて、第一のマイクロ波照射手段441aがマイクロ波照射を行い、出射部4413aから、この出射部4413aの下方に位置する加熱対象部分236にマイクロ波が照射される。また、制御部442の制御に応じて、第二のマイクロ波照射手段441bがマイクロ波照射を行い、出射部4413bから、この出射部4413bの幅方向の延長上に位置する加熱対象部分236にマイクロ波が照射される。これにより、出射部4413aから照射されるマイクロ波と、出射部4413bから照射されるマイクロ波とにより、加熱対象部分236が集中加熱される。また、ここでは、加熱対象部分236は、二方向から照射されるマイクロ波の交点に位置するため、最も強く集中加熱され、交点以外のマイクロ波が通過する部分は、加熱対象部分236よりも弱く加熱されるため、加熱対象部分236以外の部分のマイクロ波照射による影響を抑えることができる。
【0307】
以上、本実施の形態によれば、検出手段が検出した加熱対象部分に異なる二方向から照射されるマイクロ波が照射されるよう、第一のマイクロ波照射手段441aの出射部4413aおよび第二のマイクロ波照射手段441bの出射部4413bの出射部の配置をそれぞれ変更できるようにしたことにより、加熱対象部分をダイナミックかつリアルタイムに集中加熱することができる。例えば、ダイナミックかつリアルタイムに三次元方向で検出された加熱対象部分を適切に集中加熱することができる。また、加熱対象部分以外の部分におけるマイクロ波照射による加熱等の影響を抑えることができる。
【0308】
また、上記実施の形態5および6において、出射部4413および出射部4413aの出射方向が平面に対して垂直下向きである場合について説明したが、出射部4413および出射部4413aの出射方向は平面に対して0度および90度以外の角度で傾斜していてもよく、この場合、配置変更部443や第一の配置変更部443aは、出射部4413および出射部4413aの出射方向に、加熱対象部分が含まれるよう、出射部4413および出射部4413aの位置を移動させるようにすればよい。
【0309】
また、上記実施の形態において、出射部4413bの出射方向が、加熱対象物60の幅方向である場合について説明したが、出射部4413bの出射方向は幅方向に対して0度および90度以外の角度で傾斜していてもよく、この場合、第二の配置変更部443bは、出射部4413bの出射方向に、加熱対象部分が含まれるよう、出射部4413bの位置を移動させるようにすればよい。
【0310】
なお、上記実施の形態においては、第一の配置変更部443aが出射部4413aを平面方向に移動させ、第二の配置変更部443bが出射部4413bを幅方向に垂直な面方向に移動させる場合について説明したが、第一の配置変更部443aおよび第二の配置変更部443bによる移動は、上記のような移動に限定されるものではない。例えば、第一の配置変更部443aおよび第二の配置変更部443bによる移動は、互いに異なる面方向における移動であればよい。この互いに異なる面方向は、平行ではない面方向であることが好ましい。また、第一の配置変更部443aや第二の配置変更部443bの取り付け位置や取り付け方向等も上記に限定されるものではない。
【0311】
また、上記実施の形態においては、1つまたは2つのマイクロ波照射手段の出射部の位置をそれぞれ変更する場合について説明したが、出射部の配置を変更するマイクロ波照射手段の数は、1または2以上であれば、その数は問わない。例えば、3以上のマイクロ波照射手段の出射部の位置をそれぞれ変更して、加熱対象部分にそれぞれから出射されるマイクロ波を照射して集中加熱するようにしても良い。この場合、照射状態変化手段44は、例えば、出射部の数に応じた数の配置変更部を有するようにすればよい。
【0312】
なお、上記実施の形態における第一の配置変更部443aおよび第二の配置変更部443bのそれぞれの移動は、二次元方向の移動に限定されるものではなく、一次元方向や三次元方向の移動であってもよい。
【0313】
また、上記実施の形態においては、出射部4413aの出射方向が固定されている場合について説明したが、第一の配置変更部443aは、出射部4413aの出射方向を変更可能なものであってもよい。同様に、第二の配置変更部443bは、出射部4413bの出射方向を変更可能なものであってもよい。
【0314】
また、上記実施の形態においては、出射部4413aおよび出射部4413bを第一の配置変更部443aおよび第二の配置変更部443b等の先端部4431に取り付ける代わりに、第一のマイクロ波照射手段441a全体および第二のマイクロ波照射手段441b全体を第一の配置変更部443aおよび第二の配置変更部443b等に取り付けること等によって、第一のマイクロ波照射手段441a全体および第二のマイクロ波照射手段441b全体の配置をそれぞれ第一の配置変更部443aおよび第二の配置変更部443bにより変更できるようにすることで、結果的に出射部4413aおよび出射部4413bの配置をそれぞれ変更できるようにしてもよい。
【0315】
(実施の形態7)
上記実施の形態1および2においては、位相を制御した複数のマイクロ波を照射することで、加熱対象部分を集中加熱する加熱装置について説明したが、本実施の形態においては、一以上のマイクロ波の周波数を変更することにより、加熱対象部分を集中加熱する加熱装置について説明する。
【0316】
図26は、本実施の形態7の加熱装置のブロック図(
図26(a))および斜視図(
図26(b))である。図において、
図8等と同一符号は同一または相当する部分を示している。
【0317】
加熱装置8は、上記実施の形態2の検出手段24と、マイクロ波照射手段461と、照射状態変化手段46とを備えている。照射状態変化手段46は、制御部462と、照射管理情報格納部463とを備えている。
【0318】
マイクロ波照射手段461は、照射するマイクロ波の周波数を変更可能なマイクロ波照射手段である。マイクロ波照射手段461は、例えば、周波数を変更可能なマイクロ波発振器4611と、伝送部4612とを備えている。周波数を変更可能なマイクロ波照射手段については、公知技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0319】
ここでは、
図26(b)に示すように、容器10内には、複数の三次元形状の集中加熱領域406が設定されている。この集中加熱領域406は、マイクロ波照射手段461が照射するマイクロ波を変更した場合に、集中加熱される領域であるとする。一の集中加熱領域406は、例えば、周波数を変更した場合に、少なくとも一度は集中加熱される領域である。
【0320】
照射状態変化手段44は、検出手段24が検出した加熱対象部分が集中加熱されるようなマイクロ波の強度分布となるように、2以上の異なる周波数のマイクロ波を照射する1または2以上のマイクロ波照射手段461に、各周波数のマイクロ波を照射させる。例えば、マイクロ波照射手段461が照射するマイクロ波の周波数を変化させる。
【0321】
制御部462は、検出手段24が検出した加熱対象部分が集中加熱されるようなマイクロ波の強度分布となるように、各マイクロ波照射手段461が照射するマイクロ波の周波数を変更させる。例えば、制御部462は、照射管理情報格納部463に予め格納されている周波数変更用の照射管理情報を用いて変更する周波数を決定する。この周波数変更用の照射管理情報は、容器10内に照射されるマイクロ波の周波数と、この周波数のマイクロ波が容器10内に照射されることによってマイクロ波の強度が高くなる容器10内の一以上の領域の位置情報とを有する情報である。位置情報は、例えば、強度が高くなる領域を含む集中加熱領域を特定する情報や、強度が高くなる領域の座標である。ここでは、照射管理情報が、強度が高くなる領域を含む集中加熱領域を特定する情報である場合を例に挙げて説明する。ここでのマイクロ波の強度は、電界強度であってもよく、磁界強度であってもよく、その両方であってもよい。マイクロ波の強度が高くなる領域は、マイクロ波により集中加熱される領域と考えてもよい。制御部462は、検出手段24が検出した加熱対象部分を含む集中加熱領域、または加熱対象部分に最も近いマイクロ波の強度が高い領域等を、照射管理情報を用いて検出し、検出した集中加熱領域または加熱対象部分に最も近いマイクロ波の強度が高い領域に対応付けられた周波数を取得し、マイクロ波照射手段461から取得した周波数のマイクロ波を容器10内に照射させる。ただし、制御部462がマイクロ波照射手段461から照射させるマイクロ波の周波数を決定する処理は、上記の処理に限定されるものではない。なお、ここでは、制御部462が、集中加熱領域を検出する例について説明する。
【0322】
照射管理情報格納部463には、上記のような周波数変更用の照射管理情報が格納される。この照射管理情報は、例えば、シミュレーションや計算等を行って取得されたものであってもよく、実験等を行って取得されたものであってもよい。容器10内に照射されるマイクロ波の周波数が変更されると、容器10内のマイクロ波の強度分布が変化し、マイクロ波の強度が高い領域が変化する。このため、シミュレーションや実験等を行って、周波数毎に、このマイクロ波の強度の高い一以上の領域の情報を取得することで、照射管理情報を取得することができる。ここでは、一例として、容器10内に照射されるマイクロ波の周波数と、この周波数のマイクロ波を照射した場合に集中加熱される
図26(b)に示したような複数の集中加熱領域のうちの一以上の集中加熱領域を特定する情報とを有する1または2以上の照射管理情報が格納されている場合について説明する。
【0323】
次に、本実施の形態の加熱装置8の動作について、具体例を挙げて説明する。
検出手段24が、上記実施の形態4と同様に、加熱対象部分を検出したとすると、制御部462は、照射管理情報格納部463に格納されている照射管理情報を用いて、この加熱対象部分を含む集中加熱領域を検出し、検出した集中加熱領域に対応付けられた周波数を取得する。そして、マイクロ波照射手段461に取得した周波数のマイクロ波を出力させる。これに応じて、マイクロ波照射手段461はこの周波数のマイクロ波を出力する。マイクロ波照射手段461が容器10内にこの周波数のマイクロ波を照射すると、容器10内のマイクロ波の強度分布が、照射されるマイクロ波の周波数に応じたマイクロ波の強度分布となり、加熱対象部分を含む集中加熱領域が集中加熱される。
【0324】
以上、本実施の形態によれば、検出手段24が加熱対象部分を検出し、検出された加熱対象部分の位置においてマイクロ波強度が強くなるよう、周波数を変更したマイクロ波を照射することにより、加熱対象部分をダイナミックかつリアルタイムに集中加熱することが得きる。
【0325】
なお、上記においては、マイクロ波を一箇所から容器10内に照射するようにしたが、複数箇所から容器10内にマイクロ波を照射してもよい。例えば、一のマイクロ波発振器4611と接続される伝送部4612を分岐して、容器10と異なる箇所で接続してもよい。また、複数のマイクロ波発振器4611を、それぞれ、伝送部4612を介して容器10に取り付けるようにしてもよい。なお、複数のマイクロ波発振器4611から、容器10内にマイクロ波を照射する場合、各マイクロ波発振器4611からに照射されるマイクロ波の周波数は、同じであっても良く、異なっていても良い。
【0326】
また、上記においては、周波数を変更可能なマイクロ波照射手段461を用いて、異なる周波数のマイクロ波を照射するようにしたが、照射状態変化手段46が異なる周波数のマイクロ波を照射する複数のマイクロ波照射手段461を有するようにし、この複数のマイクロ波照射手段461のうちの、所望の周波数のマイクロ波を出力するマイクロ波照射手段からマイクロ波を出力するようにして、容器10内に異なる周波数のマイクロ波をそれぞれ照射できるようにしてもよい。この場合、一の周波数のマイクロ波を照射するマイクロ波発振器を複数設けるようにしてもよい。また、一の周波数のマイクロ波を照射するマイクロ波発振器から照射される分岐してマイクロ波を複数箇所で容器10と接続するようにしてもよい。
【0327】
つまり、本実施の形態においては、加熱装置が有する1または2以上のマイクロ波照射手段が、2以上の異なる周波数のマイクロ波を照射するものであればよい。なお、2以上のマイクロ波照射手段が、2以上の異なる周波数のマイクロ波を照射する、ということは、例えば、互いに異なる周波数のマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段を2以上備えていることであっても良く、異なる2以上の周波数のマイクロ波を照射するマイクロ波照射手段を2以上備えていることであっても良い。
【0328】
なお、上記各実施の形態において、マイクロ波照射手段が照射するマイクロ波の出力は、予め決められた出力であってもよく、任意の出力であってもよく、検出手段が検出した加熱対象部分の温度に応じた出力であってもよい。例えば、加熱対象部分の温度が高くなるに従って、連続的または段階的に高くなる出力であってもよい。出力は、例えば、加熱対象部分の温度を引数とした予め決められた関数(例えば、増加関数)で決定されてもよく、加熱対象部分の温度の範囲と、出力との対応表を用いて決定されてもよい。
【0329】
なお、検出手段は、加熱対象物についての状態を示す情報を用いて、加熱の対象となる加熱対象部分を検出するものであれば、上記各実施の形態において説明された検出手段に限定されるものではない。また、照射状態変化手段は、検出手段が検出した加熱対象部分が集中加熱されるようマイクロ波を照射するものであれば、上記各実施の形態において説明された検出手段に限定されるものではない。
【0330】
なお、上記各実施の形態においては、加熱装置が、複数のマイクロ波照射状態変化手段が照射するマイクロ波の位相の制御や、1または2以上のマイクロ波照射状態変化手段が照射するマイクロ波の出力の制御(例えば、出力のオン、オフ)や、1または2以上のマイクロ波照射状態変化手段が照射するマイクロ波の周波数の制御(例えば、変更)や、1または2以上のマイクロ波照射状態変化手段の出射部の配置の制御(例えば、変更)等より、加熱対象部分を集中加熱する例について説明したが、加熱装置は、これらの制御のうちの2以上を行なうことにより、加熱対象部分の集中加熱を行なうようにしても良い。なお、上記の複数の制御のうちの、加熱装置が行なう2以上の制御が、照射するマイクロ波の位相の制御を含む場合、加熱装置が有するマイクロ波照射状態変化手段は、2以上であることが好ましい。
【0331】
また、上記各実施の形態において、検出手段が、加熱対象物の平面方向や高さ方向において、あるいは、加熱対象物の表面や裏面において加熱対象部分を検出する場合について説明したが、上記各実施の形態の加熱装置において用いられる検出手段は、各加熱装置において集中加熱可能な位置に存在する加熱対象部分を検出可能なものであれば、どのような方向やどのような領域において加熱対象部分を検出可能なものを用いるかは問わない。例えば、上記各実施の形態の加熱装置において用いられる検出手段は、加熱対象物の少なくとも互いに平行でない2方向に沿って加熱対象部分を検出するようにしてもよい。これにより、加熱対象物について、二次元的、更には、三次元的に加熱対象部分を検出して、検出した加熱対象部分を集中加熱することができる。少なくとも互いに平行でない2方向は、例えば、同一平面上になく互いに平行でない3方向であっても良い。また、検出手段は、例えば、加熱対象物の互いに直交する3方向のうちの少なくとも2以上の方向に沿って加熱対象部分を検出するものであってもよい。この2以上の方向は、例えば、各加熱装置で集中加熱可能な位置に存在する加熱対象部分が検出可能な方向に適宜設定すればよい。例えば、この2方向を、加熱対象物の幅方向と長手方向とにすることで、加熱対象物の平面方向において、加熱対象部分を検出することが可能となる。
【0332】
また、上記各実施の形態においては、照射管理情報格納部に格納される照射管理情報がマイクロ波照射手段の位相や、出力、位置、および周波数等を制御するための情報を有する場合について説明したが、照射管理情報格納部に格納される照射管理情報は、例えば、予め決められた2以上の領域と、この各領域を集中加熱するための、1または2以上のマイクロ波照射手段を制御するための情報と、が対応付けられた情報であればよい。また、照射状態変化手段は、この照射管理情報によって、検出手段が検出した加熱対象部分が位置する領域に対応付けられたマイクロ波照射手段を制御するための情報を用いて、この加熱対象部分が位置する領域を集中加熱するようマイクロ波照射手段にマイクロ波を照射させるようにすればよい。
【0333】
なお、上記実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0334】
また、上記各実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、格納部(例えば、ハードディスクやメモリ等の記録媒体)にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。
【0335】
なお、上記実施の形態の検出手段のセンサが取得した情報から加熱対象部分を検出する処理(例えば、検出処理部等が行なう処理)および照射状態変化手段が、加熱対象部分を集中加熱させるための制御を行なう処理(例えば、制御部等が行なう処理)の少なくとも一方は、例えば、一の情報処理装置として実現してもよい。また、このような情報処理装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータに、加熱対象物についての状態を示す情報を用いて、集中して加熱すべき加熱対象部分を検出するステップと、加熱対象部分を検出するステップで検出した加熱対象部分が集中的に加熱されるよう、加熱対象物にマイクロ波を照射する1または2以上のマイクロ波照射手段に、マイクロ波の照射状態を変化させるステップと、を実行させるためのプログラムである。ただし、上記プログラムにおいては、ハードウェアでしか行われない処理は含まれない。
【0336】
このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0337】
図14は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による情報処理装置を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
【0338】
図14において、コンピュータシステム900は、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ905を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
【0339】
図15は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。
図15において、コンピュータ901は、CD-ROMドライブ905に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM(Random Access Memory)913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANへの接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
【0340】
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による情報処理装置等の機能を実行させるプログラムは、CD-ROM921に記憶されて、CD-ROMドライブ905に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD-ROM921、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
【0341】
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による加熱装置の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
【0342】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0343】
以上のように、本発明にかかる加熱装置等は、加熱対象物を加熱する装置等として適しており、特に、マイクロ波を利用して加熱を行なう装置等として有用である。