(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】物品収受装置
(51)【国際特許分類】
A47G 29/124 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
A47G29/124
(21)【出願番号】P 2021113746
(22)【出願日】2021-07-08
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】501377139
【氏名又は名称】日本宅配システム株式會社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】淺井 泰夫
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-189028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/12-29/126
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気錠により電気的に開錠可能な扉を有する1つ以上の収納ボックスと、
前記収納ボックスに物品が預け入れられる際に、前記物品に関する情報を取得する情報取得手段と、
前記収納ボックスに前記物品が預け入れられた場合に、前記情報取得手段で取得した前記物品に関する情報に紐づいた認証情報を、前記物品の預入れ人に対して発行する発行手段と、
前記発行手段にて発行された前記認証情報を入力した場合に
、前記認証情報と紐づいた前記物品が預け入れられた収納ボックスの扉を解錠せずに前記物品の届け先の変更を可能とする変更手段と、
を備える物品収受装置。
【請求項2】
前記情報取得手段で取得する前記物品に関する情報は、物品の預入れ人に関する情報、物品の届け先に関する情報、及び物品が預け入れられた収納ボックスに関する情報のうち少なくともいずれか1つを含む、請求項1に記載の物品収受装置。
【請求項3】
前記変更手段による届け先の変更を情報処理端末機器によるリモート操作により行うことを可能とするリモート変更手段を有する、請求項1又は2に記載の物品収受装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配業者等の預入れ人が、収納ボックスに物品を預け入れた後であっても、自ら物品の取り出しや、届け先の変更をすることができる物品収受装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、人々の働き方の変化やライフスタイルの変化に伴い、郵便物や宅配物の物流量が増えており、宅配ボックス(宅配ロッカーとも呼ばれる)のような、物品を収納するための物品収受装置が集合住宅やオフィスの玄関ホール等に設置されることも増えている。物品収受装置の使用頻度の増加に伴い、使用者からの物品収受装置の機能に対する要求も高まっており、例えば、預け入れられた物品が簡単に取り出されないようなセキュリティ機能が求められている。
【0003】
このようなセキュリティ機能を備えた物品収受装置としては、例えば、預け入れられた物品の届け先となっている受取人が物品を取り出す際に、認証機能により正しい受取人であるかを判断し、認証に合格した場合のみに宅配ボックスの扉を解錠するといった技術が公開されている(特許文献1)。このような物品収受装置によれば、受取人以外の者は物品を取り出すことができないので、物品収受装置のセキュリティ機能が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような物品収受装置はセキュリティ性能が高い反面、受取人以外の者が物品の取り出しをできないことによる問題が生じていた。例えば、宅配業者等の物品の預入れ人が、本来預け入れるべきではない物品を預け入れた場合や物品の届け先を誤って預け入れた場合、預入れ人自身では物品を取り出すことができず、また物品の届け先の変更もできない。このような場合、預入れ人は当該物品の誤った届け先となった者や物品収受装置の管理会社に連絡し、わざわざその者に物品を取り出してもらう必要があるため、非常に不便である。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、物品が預け入れられた後でも、預入れ人自身による、物品の取り出しや届け先の変更を可能とする物品収受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、電気錠により電気的に開錠可能な扉を有する1つ以上の収納ボックスと、前記収納ボックスに物品が預け入れられる際に、前記物品に関する情報を取得する情報取得手段と、前記収納ボックスに前記物品が預け入れられた場合に、前記情報取得手段で取得した前記物品に関する情報に紐づいた認証情報を、前記物品の預入れ人に対して発行する発行手段と、前記発行手段にて発行された前記認証情報を入力した場合に、前記認証情報と紐づいた前記物品が預け入れられた収納ボックスの扉を解錠し前記物品の取り出しを可能とする取り出し手段及び/又は前記認証情報と紐づいた前記物品が預け入れられた収納ボックスの扉を解錠せずに前記物品の届け先の変更を可能とする変更手段と、を備える物品収受装置、を提供する(発明1)。
【0008】
かかる発明(発明1)によれば、物品収受装置に本来預け入れるべきではない物品を預け入れた場合や届け先を誤って物品を預け入れた場合であっても、預け入れた者(預入れ人)が所定の認証情報を入力することで物品の取り出しや届け先の変更をすることが可能となる。これにより、わざわざ誤った届け先となった者や管理会社に連絡を取り、その者に物品を物品収受装置から取り出してもらう必要がなくなり、物品収受装置の利便性が向上する。
【0009】
上記発明(発明1)においては、前記情報取得手段で取得する前記物品に関する情報は、物品の預入れ人に関する情報、物品の届け先に関する情報、及び物品が預け入れられた収納ボックスに関する情報のうち少なくともいずれか1つを含んでもよい(発明2)。
【0010】
上記発明(発明1~2)においては、前記変更手段による届け先の変更を情報処理端末機器によるリモート操作により行うことを可能とするリモート変更手段を有していてもよい(発明3)。
【発明の効果】
【0011】
本発明の物品収受装置によれば、物品が預け入れられた後でも、預入れ人自身による物品の取り出しや、届け先(宛先)の変更が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る物品収受装置が適用されるシステムの基本構成を概略的に示す図である。
【
図2】物品収受装置の外観を概略的に示す図である。
【
図3】物品収受装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】管理サーバの内部構造を示すブロック図である。
【
図6】物品収受装置における主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図である。
【
図7】情報取得手段及び発行手段にて表示される一連の画面の例を示す図である。
【
図8】取り出し手段にて表示される一連の画面の例を示す図である。
【
図9】変更手段にて表示される一連の画面の例を示す図である。
【
図10】物品収受装置における主要な処理フローの例示1を説明するためのシーケンス図である。
【
図11】物品収受装置における主要な処理フローの例示2を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。ただし、この実施形態は例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
(1)物品収受装置が含まれるシステムの基本構成
図1は、本発明の一実施形態に係る物品収受装置1が適用されるシステムの基本構成を概略的に示す図である。
【0015】
図1に示すように、物品収受装置1は、インターネット等の通信網NWに接続可能であり、通信網NWに接続されている管理サーバ20及び/又は端末装置30と通信可能とされていてもよい。
【0016】
<物品収受装置>
本実施形態に係る物品収受装置1は、宅配物(例えば、集配業者によって配送される荷物や、新聞、広告ビラ、回覧板等を含む)や郵便物等の物品(荷物)を収受するための装置である。物品収受装置1の具体例として、
図2に、宅配ボックス1Aを示すが、物品収受装置1は郵便ボックス1Bであってもよく、宅配ボックス1Aと郵便ボックス1Bを複数備えた複合型ボックスであってもよい。
【0017】
物品収受装置1は、物品を収納するための少なくとも1つの収納ボックス11を備え、各収納ボックス11には電気錠により電気的に開錠可能な扉12が備えられている。また、物品収受装置1は、物品が収納された際に物品を感知するセンサーが設けられていてもよい。また、物品収受装置1は、
図2(b)に示すように収納ボックス11を複数備えた複数型であってもよい。
【0018】
図2(b)に示すように物品収受装置1は、操作部15を有していてもよい。操作部15は、
図2(b)に示すように収納ボックス11と共に一つの筐体に収められた一体型でもよいし、これらが収められた筐体とは別に(例えば周辺の壁面等に)操作部15が設けられている分離型(図示せず)でもよい。また、操作部15はスマートフォン等の携帯端末でもよい。操作部15には、
図2(b)に示した通り、情報を表示するための表示部16と、情報を入力するための入力部17と、が設けられていてもよい。また操作部15はカメラを備えていてもよく、ユーザ等の撮影及び/又は録画を行うことができる。
【0019】
<管理サーバ>
管理サーバ20は、物品収受装置1に関する種々の情報を管理する。例えば、後述する物品に関する情報や認証情報などは、管理サーバ20内で管理されてもよい。なお、管理サーバ20は通信網NWを介して物品収受装置1及び/又は端末装置30と接続されており、相互に通信が可能である。
【0020】
<端末装置>
端末装置30は、例えば、携帯端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、双方向の通信機能を備えたテレビジョン受像機(いわゆる多機能型のスマートテレビも含む)、インターホン等のように、個々のユーザ(例えば集配業者、荷送り人、荷受人等)によって操作される端末装置であってもよい。
【0021】
(2)物品収受装置の内部構成
図3のブロック図を参照して、本実施形態に係る物品収受装置1の内部構成について説明する。
【0022】
図3に示すように、物品収受装置1は、CPU(Central Processing Unit)41と、ROM(Read Only Memory)42と、RAM(Random Access Memory)43と、記憶装置44と、表示処理部45と、表示部16と、入力部17と、通信インタフェース部48と、を備えており、各部間の制御信号又はデータ信号を伝送するためのバス49が設けられている。
【0023】
CPU41は、電源が物品収受装置1に投入されると、ROM42又は記憶装置44に記憶された各種のプログラムをRAM43にロードして実行する。本実施形態では、CPU41は、ROM42又は記憶装置44に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、後述する情報取得手段81、発行手段82、取り出し手段83、変更手段84などの各機能を実現する。
【0024】
CPU41は、外部(例えば、管理サーバ20や端末装置30)から送信された情報を、通信インタフェース部48を介して受信し、受信した情報をRAM43又は記憶装置44に記憶する。また、CPU41は、ROM42、RAM43又は記憶装置44に記憶されているデータを、通信インタフェース部48を介して外部(例えば、管理サーバ20や端末装置30)に送信する。
【0025】
記憶装置44は、例えば、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、磁気記憶装置(例えばHDD(Hard Disk Drive)、フロッピーディスク(登録商標)、磁気テープ等)、光ディスク等の不揮発性の記憶装置であってもよいし、RAM等の揮発性の記憶装置であってもよく、CPU41が実行するプログラムやCPU41が参照するデータを格納する。
【0026】
なお、ここでは、記憶装置44が物品収受装置1の内部に設けられている場合を一例として説明しているが、記憶装置44は、物品収受装置1の内部ではなく、例えば、物品収受装置1の管理サーバ20を含む通信網NWを介して通信可能な所定の装置に設けられてもよい。この場合、CPU41は、記憶装置44に格納されたプログラムやデータの読み出し又は書き込みを行うために、通信網NWを介して当該所定の装置にアクセスしてもよい。
【0027】
表示処理部45は、CPU41から与えられる表示用データを、表示部16に表示する。表示部16は、例えば、マトリクス状に画素単位で配置された薄膜トランジスタを含むLCD(Liquid Crystal Display)モニタであり、表示用データに基づいて薄膜トランジスタを駆動することで、表示されるデータを表示画面に表示する。
【0028】
入力部17は、キーボード及びリーダーを含む。なお、入力部17は、例えばタッチパネルやタッチパッド等で構成されてもよく、この場合には、例えば表示画面を指先又はペンで触れること等によるタッチ方式の入力を受け付ける。タッチ入力方式は、例えば静電容量方式等の周知の方式であってもよい。また、入力部17は、音声入力用のマイクや画像入力用のカメラであってもよい。
【0029】
通信インタフェース部48は、通信網NWを介して通信を行うためのインタフェース回路を含む。
【0030】
(3)管理サーバ20の内部構成
図4を参照して管理サーバ20の構成について説明する。
図4は、管理サーバ20の内部構成を示すブロック図である。
図4に示すように、管理サーバ20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、記憶装置24と、表示処理部25と、表示部26と、入力部27と、通信インタフェース部28と、を備えており、各部間の制御信号又はデータ信号を伝送するためのバス29が設けられている。管理サーバ20は、例えば、汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0031】
CPU21は、電源が管理サーバ20に投入されると、ROM22又は記憶装置24に記憶された各種のプログラムをRAM23にロードして実行する。
【0032】
CPU21は、外部(例えば、物品収受装置1や端末装置30)から送信された情報を、通信インタフェース部28を介して受信し、受信した情報をRAM23又は記憶装置24に記憶する。また、CPU21は、ROM22、RAM23又は記憶装置24に記憶されているデータを、通信インタフェース部28を介して外部(例えば、物品収受装置1や端末装置30)に送信する。
【0033】
記憶装置24は、例えば、フラッシュメモリ、SSD、磁気記憶装置、光ディスク等の不揮発性の記憶装置であってもよいし、RAM等の揮発性の記憶装置であってもよく、CPU21が実行するプログラムやCPU21が参照するデータを格納する。
【0034】
表示処理部25は、CPU21から与えられる表示用データを、表示部26に表示する。表示部26は、例えばLCDモニタであってもよい。入力部27は、例えばマウスや、キーボードや、音声入力用のマイク等の情報入力デバイスであってもよい。
【0035】
通信インタフェース部28は、通信網NWを介して通信を行うためのインタフェース回路を含む。
【0036】
(4)管理データの構成
図5を参照して管理データの構成について説明する。
図5は、管理データの構成例を示す図である。
図5には、管理データとして、各収納ボックス11の番号と、収納ボックス11毎に、例えば、収納日時、部屋番号、種別、認証番号、取り出しの有無、変更の有無の項目が設けられている例を示したが、管理データの項目はこれらに制限されない。
【0037】
ここで、収納日時の項目には、物品が収納ボックス11に収納された日時が記録される。部屋番号の項目には、荷物の届け先となる部屋番号が記録される。また、種別の項目には、収納された荷物が配達されたものである場合は「受取」と記録され、荷物が発送のために収納された場合は「発送」と記録される。荷物が発送のために収納された場合、部屋番号の項目には、例えば空データ(NULLデータ)が記録される。
【0038】
認証番号の項目には、後述する発行手段82で発行される認証情報が記録される。当該認証情報は、後述する取り出し手段83及び/又は変更手段84において、収納されている物品の取り出しや物品の届け先の変更のために用いられる。なお、当該認証情報は、例えば、複数の数字、漢字、平仮名、片仮名、英文字、図形及び/又は記号から選択された数字、漢字、平仮名、片仮名、英文字、図形及び/又は記号に基づいて構成された情報であってもよい。
【0039】
取り出しの有無の項目には、後述する取り出し手段83による荷物の取り出しが行われたか、行われていないかの情報が記載される。取り出しが行われた場合は「済」、取り出しが行われていない場合は「未」のデータが記載される。また、変更の有無の項目には、後述する変更手段84による物品の届け先の変更が行われたか、行われていないかの情報が記載される。変更が行われた場合は「済」、取り出しが行われていない場合は「未」のデータが記載される。
【0040】
(5)物品収受装置1における各機能の概要
本実施形態の物品収受装置1で実現される機能について、
図6を参照して説明する。
図6は、本実施形態の物品収受装置1で主要な役割を果たす機能を説明するための機能ブロック図である。
図6の機能ブロック図では、情報取得手段81、発行手段82、取り出し手段83、変更手段84が本発明の主要な構成に対応している。その他の手段は必ずしも必須の構成ではないが、本発明を更に好ましくするための構成要素である。
【0041】
<情報取得手段>
本実施形態における情報取得手段81は、収納ボックス11に物品が預け入れられる際に、物品に関する情報を取得する手段である。
【0042】
情報取得手段81の機能は、例えば、以下のように実現される。まず、物品収受装置1のCPU41が、表示処理部45に対し、物品の預入れ人から物品に関する情報を取得するための画面を表示部16に表示するように指示をする。当該情報を取得するための画面は、通信インタフェース部48を介して、端末装置30に表示されてもよい。続いて、物品収受装置1のCPU41は、入力部17や通信インタフェース部48を介し、当該預入れ人が表示部16に従い入力した情報を取得し、記憶装置44や管理サーバ20に記憶する。情報取得手段81で、収納ボックス11に物品が預け入れられる際に物品に関する情報を取得することにより、収納された物品に関する情報の管理を容易にすることができる。
【0043】
ここで、預入れ人とは、物品収受装置1の収納ボックス11に物品を預け入れる者を意味し、物品を配達するために物品を預け入れる者(例えば、宅配業者など)及び物品を発送するために物品を預け入れる者(例えば、物品収受装置1が設置された集合住宅の住人など)を含むことができる。また、情報取得手段81で取得する物品に関する情報は、例えば、物品の預入れ人に関する情報、物品の届け先に関する情報(例えば、部屋番号や住所)、物品が預け入れられた収納ボックス11に関する情報(例えば、収納ボックス11の番号)、物品の収納日時、物品の収納の種別(収納された物品が配達されたものか、発送のために収納されたのか)、後述する取り出し手段83及び/又は変更手段84で用いられる認証情報など、種々の情報を含むことができる。
【0044】
図7(a)~(c)には、物品の預入れ人から物品に関する情報を取得するための一連の画面の例を示す。物品を収納する場合、預入れ人はまず「お届け」を選択し(
図7(a))、続いて届け先の部屋番号を入力する(
図7(b))。続いて、預入れ人は物品を収納する収納ボックス11を選択する(
図7(c))。預入れ人が選択及び入力したこれらの情報は、情報取得手段81にて取得された物品に関する情報として、物品収受装置1のCPU41により記憶装置44や管理サーバ20に記憶される。
【0045】
<発行手段>
本実施形態における発行手段82は、収納ボックス11に物品が預け入れられた場合に、情報取得手段81で取得した物品に関する情報に紐づいた認証情報を、物品の預入れ人に対して発行する手段である。
【0046】
発行手段82の機能は、例えば、以下のように実現される。まず、収納ボックス11への物品の預かり入れが完了し、扉12が閉じられ電子錠による施錠がなされたら、物品収受装置1のCPU41は、認証情報を発行する。続いて、物品収受装置1のCPU41は、表示処理部45に対し当該認証情報を表示部16に表示するように指示を出し、表示処理部45は表示部16に当該情報を表示し、預入れ人に認証情報を通知する。また、物品収受装置1のCPU41は当該認証情報を、情報取得手段81で取得した物品に関する情報と紐づけて、物品収受装置1の記憶装置44や管理サーバ20の記憶装置24に記憶する。
図7(d)には、発行手段82により発行された認証情報(図中は認証番号)を預入れ人へ通知するための画面の例を示す。
【0047】
ここで、発行される認証情報は、物品収受装置1のCPU41により自動的に生成されたものでもよい。自動的に生成した認証情報を用いることにより、預入れ人が収納時に認証番号を設定する手間がなくなり、利便性が向上する。また、認証情報は前述の情報取得手段81にて取得した物品に関する情報から選択されてもよい。物品に関する情報から選択した情報を暗証番号とすることにより、預入れ人が暗証番号を忘れてしまうという問題の発生頻度を下げることができる。
【0048】
また、一実施形態に係る物品収受装置1は発行された認証情報を、預入れ人の端末装置30に通信網NWを介して通知する、認証情報通知手段を有していてもよい。当該手段により、預入れ人が暗証番号を忘れたり紛失したりすることを防ぐことができる。
【0049】
<取り出し手段>
本実施形態における取り出し手段83は、発行手段82にて発行された認証情報を入力した場合に、認証情報と紐づいた物品が預け入れられた収納ボックス11の扉12を解錠し物品の取り出しを可能とする手段である。取り出し手段83により、物品の預入れ人は、物品を誤って預け入れてしまった場合に、誤った届け先の者や管理会社に収納ボックス11の扉12を解錠してもらわなくとも、自ら物品を取り出すことができるため、利便性が向上する。
【0050】
取り出し手段83の機能は、例えば、以下のように実現される。まず、物品収受装置1のCPU41は、収納された物品を取り出そうとする預入れ人に対し、表示部16にて認証情報に該当する情報の入力を求め、入力部17を介して当該情報を取得する。これらの認証情報に該当する情報の取得のための操作は、通信インタフェース部48を介して、端末装置30を用いて行われるとしてもよい。
【0051】
物品を取り出そうとする者により情報が入力されると、物品収受装置1のCPU41は、物品を取り出そうとする者により入力された情報と、発行手段82により発行され、記憶装置44又は管理サーバ20の記憶装置24に記憶された認証情報と、を照合する。照合の結果、入力された情報と認証情報が一致した場合、物品収受装置1のCPU41は、当該認証情報と紐づけられた物品が預け入れられている収納ボックス11の扉12を解錠し物品の取り出しを可能とする。
【0052】
図8(a)~(d)には、取り出し手段83において表示部16等に表示される一連の画面の例を示す。物品を取り出す際、預入れ人はまず「お届け確認」を選択し(
図8(a))、続いて認証情報(図中は暗証番号)を入力する(
図8(b))。物品収受装置1のCPU41は、入力された情報と記憶装置44等に記憶された認証情報とを照合し、これらの情報が一致した場合は
図8(c)示す画面を表示する。当該画面にて、預入れ人が「荷物取り出し」を選択すると、物品収受装置1のCPU41は、認証情報と紐づけられた物品が預け入れられている収納ボックス11の扉12を解錠する(
図8(d))。
【0053】
<変更手段>
本実施形態における変更手段84は、発行手段82にて発行された認証情報を入力した場合に、認証情報と紐づいた物品が預け入れられた収納ボックス11の扉12を解錠せずに物品の届け先の変更を可能とする手段である。変更手段84により、物品の預入れ人は、収納ボックス11に物品の届け先を誤って預け入れてしまった場合に、物品を取り出したり、管理会社に連絡したりすることなく、自ら届け先を修正できるため、物品収受装置1の利便性が向上する。
【0054】
変更手段84の機能は、例えば、以下のように実現される。まず、物品収受装置1のCPU41は、収納された物品の届け先の変更しようとする預入れ人に対し、入力部17を介して認証情報に該当する情報の入力を求める。
【0055】
物品の届け先の変更しようとする者により情報が入力されると、物品収受装置1のCPU41は、入力された当該情報と、発行手段82により発行され、記憶装置44又は管理サーバ20の記憶装置24に記憶された認証情報と、を照合する。照合の結果、入力された情報と認証情報が一致した場合、物品収受装置1のCPU41は、表示部16又は端末装置30に、当該認証情報と紐づけられた物品の届け先を変更するための画面を表示し、物品の届け先の変更しようとする者に新しい届け先を入力させる。CPU41は、入力された新しい届け先に従い、物品の届け先を変更する。
【0056】
図9(a)~(d)には、変更手段84において表示部16等に表示される一連の画面の例を示す。物品の届け先を変更する際、預入れ人はまず「お届け確認」を選択し(
図9(a))、続いて認証情報(図中は暗証番号)を入力する(
図9(b))。物品収受装置1のCPU41は、入力された情報と記憶装置44等に記憶された認証情報とを照合し、これらの情報が一致した場合は
図9(c)に示す画面を表示する。当該画面にて、預入れ人が「届け先変更」を選択すると、物品収受装置1のCPU41は、
図9(d)に示す画面を表示し、預入れ人に対し新しい届け先(図中は部屋番号)の入力を要求し、新しい届け先が入力されるとそれに従い、物品の届け先を変更する。
【0057】
また、一実施形態に係る物品収受装置1は、上述の変更手段84による届け先の変更を情報処理端末機器(端末装置30)によるリモート操作により行うことが可能であるリモート変更手段85を有していてもよい。当該手段を有することにより、物品の預入れ人は、物品収受装置1の設置場所に出向いて届け先の変更手続きをする必要がなくなるため、物品収受装置1の利便性が向上する。
【0058】
例えば、リモート変更手段85は以下のように実現される。物品収受装置1のCPU41は、収納された物品の届け先の変更しようとする預入れ人に対し、通信インタフェース部48を介して、端末装置30から認証情報に該当する情報の入力を求める。物品収受装置1のCPU41は、通信インタフェース部48を介して、預入れ人が入力した情報を取得する。続いて、物品収受装置1のCPU41は、当該情報と、発行手段82により発行され、記憶装置44又は管理サーバ20の記憶装置24に記憶された認証情報と、を照合する。照合の結果、入力された情報と認証情報が一致した場合、物品収受装置1のCPU41は、通信インタフェース部48を介して端末装置30に、当該認証情報と紐づけられた物品の届け先を変更するための画面を表示し、預入れ人に新しい届け先を入力させる。CPU41は、入力された新しい届け先を、通信インタフェース部48を介して得て、それに従い物品の届け先を変更する。
【0059】
上述の取り出し手段83及び/又は変更手段84は、物品の取り出しや届け先の変更が可能な期間に制限を設ける制限手段86を有していてもよい。例えば、物品の預入れから一定の期間を経過した場合、取り出し手段83による物品の取り出しや、変更手段84による物品の届け先の変更ができなくなるように制限を設けることができる。期間は任意の期間を選択して設定することができる。制限手段86により、預入れ人に対して、誤って収納された物品の取り出しや間違った届け先の変更を促すことができ、それにより物品収受装置1の収納ボックス11が誤って収納された物品や届け先が間違っている物品に長時間占有されることを防ぐことができる。
【0060】
(6)本実施形態の物品収受装置の主要な処理のフロー
図10及び11のシーケンス図を参照して、本実施形態に係る物品収受装置1における主要な処理フローの例示1及び例示2を説明する。説明の便宜のため、物品収受装置1が取り出し手段83に関する処理を行う場合と、物品収受装置1が変更手段84に関する処理を行う場合と、を例示1及び例示2に分けて説明するが、物品収受装置1は取り出し手段83及び変更手段84の双方を有することもできる。
【0061】
〔例示1〕
図10では、例示1として、物品収受装置1が取り出し手段83に関する処理を行う場合について説明する。物品収受装置1のCPU41は、物品の預入れ人が収納手続きを開始し(S101)、当該手続きの開始を認識すると(S102)、情報取得手段81に基づき、預入れ人に対し物品に関する情報を要求する(S103)。預入れ人は、物品収受装置1からの要求に基づき、入力部等を介して物品に関する情報を入力する(S104)。
【0062】
物品収受装置1のCPU41は、預入れ人より入力された物品に関する情報を記憶装置44などに記憶する(S105)。続いて、物品収受装置1のCPU41は、発行手段82に基づき、物品に関する情報に紐づいた認証情報を発行し(S106)、当該認証情報を預入れ人に表示部16等を介して通知し(S107)、電子錠で扉12を施錠することで収納手続きを完了する(S108)。
【0063】
預入れ人が物品の取り出し手続きを開始すると(S109)、物品収受装置1のCPU41は、表示部16などを介して、預入れ人に対し認証情報の入力を要求する(S110)。預入れ人は、当該要求に従い、入力部等を介して認証情報に該当する情報を入力する(S111)。続いて、物品収受装置1のCPU41は、入力された情報と、発行手段82で発行され、記憶装置44等に記憶された認証情報を照合する(S112)。そして、これらの情報が一致した場合に、記憶装置44等に記憶された認証情報に紐づけられた収納ボックス11の電子錠を解錠する(S113)。預入れ人は解錠された扉12を開け、収納ボックス11から物品を取り出す(S114)。
【0064】
〔例示2〕
図11では、例示2として、物品収受装置1が変更手段84に関する処理を行う場合を説明する。ここで、物品の収納手続きの開始(S201)から収納手続きの完了(S208)までの各ステップは、前述のS101からS108までのステップと同様であるため説明を省略する。
【0065】
預入れ人が届け先の変更手続きを開始すると(S209)、物品収受装置1のCPU41は、表示部16などを介して、預入れ人に対し認証情報の入力を要求する(S210)。預入れ人は、当該要求に従い、入力部等を介して認証情報に該当する情報を入力する(S211)。続いて、物品収受装置1のCPU41は、入力された情報と、発行手段82で発行され、記憶装置44等に記憶された認証情報を照合する(S212)。そして、これらの情報が一致した場合に、預入れ人に対し、記憶装置44等に記憶された認証情報に紐づけられた収納ボックス11の新たな届け先の入力を要求する(S213)。預入れ人は、要求に従い、物品の新たな届け先を入力し(S214)、物品収受装置1のCPU41は、入力された新たな届け先を、収納ボックス11と紐づけて記憶装置44等に記憶する(S215)。
【0066】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。例えば、上述した実施形態では、主に物品収受装置1によって、情報取得手段81、発行手段82、取り出し手段83、変更手段84等の各手段が実現される構成としたが、各手段の一部又は全部は、通信網NWにて物品収受装置1と接続されている管理サーバ20や端末装置30によって実現されてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、物品収受装置1が管理サーバ20及び/又は端末装置30と通信網NWにて接続されている例を示したが、これに制限されず、物品収受装置1は管理サーバ20及び/又は端末装置30に接続されていなくてもよい。この場合、物品収受装置1単独で情報取得手段81、発行手段82、取り出し手段83、変更手段84等の各手段が実現される。
【符号の説明】
【0068】
1…物品収受装置
1A…宅配ボックス
1B…郵便ボックス
11…収納ボックス
12…扉
15…操作部
16…表示部
17…入力部
20…管理サーバ
30…端末装置