IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ハタノ製作所の特許一覧

特許7465556給湯アダプターおよびバブル発生器の白濁用器具
<>
  • 特許-給湯アダプターおよびバブル発生器の白濁用器具 図1
  • 特許-給湯アダプターおよびバブル発生器の白濁用器具 図2
  • 特許-給湯アダプターおよびバブル発生器の白濁用器具 図3
  • 特許-給湯アダプターおよびバブル発生器の白濁用器具 図4
  • 特許-給湯アダプターおよびバブル発生器の白濁用器具 図5
  • 特許-給湯アダプターおよびバブル発生器の白濁用器具 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】給湯アダプターおよびバブル発生器の白濁用器具
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
A47K3/00 E
A47K3/00 F
A47K3/00 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021167883
(22)【出願日】2021-10-13
(65)【公開番号】P2023058106
(43)【公開日】2023-04-25
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】594107103
【氏名又は名称】株式会社ハタノ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】小林 伸成
(72)【発明者】
【氏名】東野 裕
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-026658(JP,A)
【文献】特開2004-105199(JP,A)
【文献】特開昭63-283772(JP,A)
【文献】特開2017-101878(JP,A)
【文献】特開2013-248574(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2470451(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第113617236(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
B01F 21/00 - 25/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽に設置され、かつバブル発生器が設けられたアダプター本体を備え、湯水に気泡が混入されたマイクロバブル水が前記バブル発生器の噴出口から浴槽内に向けて噴出されるようにした給湯アダプターであって、
前記バブル発生器の噴出口に対応して設けられる白濁用器具を備え、
前記白濁用器具は、マイクロバブル水を順次通過させる複数枚のメッシュシートが設けられるとともに、隣合う前記メッシュシートの間隔が2.0mm~3.0mmに設定され、
前記メッシュシートは、メッシュ数が#60~#100であることを特徴とする給湯アダプター。
【請求項2】
複数の前記メッシュシートのうち、最も上流側に配置されるメッシュシートが、前記バブル発生器の噴出口に対し2.5mm~4.0mm間隔をおいて配置されている請求項1に記載の給湯アダプター。
【請求項3】
前記メッシュシートの設置数が2枚~4枚である請求項1または2のいずれか1項に記載の給湯アダプター。
【請求項4】
複数の前記メッシュシートのうち、最も下流側に配置されるメッシュシートの下流側に対応して、前記メッシュシートを通過したマイクロバブル水を下向きに誘導するための整流部材が設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載の給湯アダプター。
【請求項5】
前記アダプター本体の浴槽内に対応する部分を覆うようにフィルターが設けられるとともに、そのフィルターにおける前記噴出口に対応してノズル設置孔が設けられ、
前記白濁用器具は、
前記メッシュシートの外周縁部が支持リングによって支持されたメッシュ部材と、
下流側開口部としての他端側開口部を介して複数の前記メッシュ部材が収容され、かつ上流側としての一端側が前記ノズル設置孔に取り付けられる筒状のケーシングと、
前記ケーシングの下流側開口部に着脱自在に取り付けられ、かつ前記メッシュ部材をケーシング内に保持しつつマイクロバブル水の通過を許容する穴あきキャップとを備える請求項1~3のいずれか1項に記載の給湯アダプター。
【請求項6】
前記アダプター本体の浴槽内に対応する部分を覆うようにフィルターが設けられるとともに、そのフィルターにおける前記噴出口に対応してノズル設置孔が設けられ、
前記白濁用器具は、
前記メッシュシートの外周縁部が支持リングによって支持されたメッシュ部材と、
下流側開口部としての他端側開口部を介して複数の前記メッシュ部材が収容され、かつ上流側としての一端側が前記ノズル設置孔に取り付けられる筒状のケーシングと、
前記ケーシングの下流側開口部に着脱自在に取り付けられ、かつ前記メッシュ部材をケーシング内に保持しつつマイクロバブル水の通過を許容する穴あきキャップとを備え、
前記ケーシング内に前記整流部材が収容される請求項4に記載の給湯アダプター。
【請求項7】
湯水に気泡が混入されたマイクロバブル水が噴出口から噴出されるバブル発生器の前記噴出口に対応して設けられる白濁用器具であって、
マイクロバブル水を順次通過させる複数枚のメッシュシートを備え、
隣合う前記メッシュシートの間隔が2.0mm~3.0mmに設定され、
前記メッシュシートは、メッシュ数が#60~#100であることを特徴とするバブル発生器の白濁用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロバブル等の微細気泡が湯水に混入されたマイクロバブル水を発生するバブル発生器が組み込まれた給湯アダプターおよびバブル発生器の白濁用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一般家庭の浴槽において、給湯アダプターから浴槽内にマイクロバブル(ナノバブルも含む)が混入された湯水(マイクロバブル水)を供給できるようにした浴槽設備が周知である。
【0003】
このような給湯アダプターは、バブル発生器が取り付けられており、そのバブル発生器からマイクロバブル水が噴出されるように構成されている。
【0004】
一方、マイクロバブル水には、マッサージ効果、リラックス効果、ダイエット効果等の温浴効果があると報告されているが、この温浴効果を向上させつつ持続させるには、マイクロバブル水内の気泡をより細かく分解して気泡数も増大させて、マイクロバブル水を白濁化させるのが好ましいと考えられている。
【0005】
そこで下記特許文献1には、バブル発生器におけるマイクロバブル水の噴出口に多孔質体を設置した白濁化装置が提案されている。この白濁化装置は、バブル発生器の噴出口から噴出されるマイクロバブル水を多孔質体に通過させることによって、気泡を細分化して微細な気泡を無数に発生させて、白濁化を図るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-136864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の白濁化装置においては、マイクロバブル水内の気泡の細分化が不十分となる場合があり、マイクロバブル水を確実に白濁化することができないおそれがあるという課題があった。
【0008】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、マイクロバブル水内の気泡の細分化を十分に行うことができて、マイクロバブル水を確実に白濁化することができる給湯アダプターおよびバブル発生器の白濁用器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
【0010】
[1]浴槽に設置され、かつバブル発生器が設けられたアダプター本体を備え、湯水に気泡が混入されたマイクロバブル水が前記バブル発生器の噴出口から浴槽内に向けて噴出されるようにした給湯アダプターであって、
前記バブル発生器の噴出口に対応して設けられる白濁用器具を備え、
前記白濁用器具は、マイクロバブル水を順次通過させる複数枚のメッシュシートが設けられるとともに、隣合う前記メッシュシートの間隔が2.0mm~3.0mmに設定され、
前記メッシュシートは、メッシュ数が♯60~♯100であることを特徴とする給湯アダプター。
【0011】
[2]複数の前記メッシュシートのうち、最も下流側に配置されるメッシュシートの下流側に対応して、前記メッシュシートを通過したマイクロバブル水を下向きに誘導するための整流部材が設けられている前項1に記載の給湯アダプター。
【0012】
[3]複数の前記メッシュシートのうち、最も上流側に配置されるメッシュシートが、前記バブル発生器の噴出口に対し2.5mm~4.0mm間隔をおいて配置されている前項1または2に記載の給湯アダプター。
【0013】
[4]前記メッシュシートの設置数が2枚~4枚である前項1~3のいずれか1項に記載の給湯アダプター。
【0014】
[5]前記アダプター本体の浴槽内に対応する部分を覆うようにフィルターが設けられるとともに、そのフィルターにおける前記噴出口に対応してノズル設置孔が設けられ、
前記白濁用器具は、
前記メッシュシートの外周縁部が支持リングによって支持されたメッシュ部材と、
下流側開口部としての他端側開口部を介して複数の前記メッシュ部材が収容され、かつ上流側としての一端側が前記ノズル設置孔に取り付けられる筒状のケーシングと、
前記ケーシングの下流側開口部に着脱自在に取り付けられ、かつ前記メッシュ部材をケーシング内に保持しつつマイクロバブル水の通過を許容する穴あきキャップとを備える前項1~4のいずれか1項に記載の給湯アダプター。
【0015】
[6]湯水に気泡が混入されたマイクロバブル水が噴出口から噴出されるバブル発生器の前記噴出口に対応して設けられる白濁用器具であって、
マイクロバブル水を順次通過させる複数枚のメッシュシートを備え、
隣合う前記メッシュシートの間隔が2.0mm~3.0mmに設定され、
前記メッシュシートは、メッシュ数が♯60~♯100であることを特徴とするバブル発生器の白濁用器具。
【発明の効果】
【0016】
発明[1]の給湯アダプターによれば、バブル発生器から噴出されたマイクロバブル水が複数枚のメッシュシートを順次通過する毎に、気泡が分解されて微細化されることによって、マイクロバブル水は、全域において無数の微細な気泡が分散した状態に混在して白濁化されて浴槽内に放出されるため、浴槽内を白濁化された湯水で満たすことができ、マイクロバブル水による十分な温浴効果を得ることができる。
【0017】
発明[2]の給湯アダプターによれば、整流部材によって浴槽内に放出されるマイクロバブル水を下向きに誘導するようにしているため、浮力による気泡の不用意な上昇を抑制することができ、気泡を浴槽水中に長時間滞留させることができ、白濁効果を十分に持続させることができる。
【0018】
発明[3][4]の給湯アダプターによれば、上記の効果をより一層確実に得ることができる。
【0019】
発明[5]の給湯アダプターによれば、白濁用器具は、ケーシングと、ケーシング内に収容されたメッシュ部材と、ケーシングの開口部に着脱自在な穴あきキャップとを備えているため、穴あきキャップをケーシングから取り外すだけでメッシュ部材を取り出すことができ、メッシュ部材のメッシュシートの保守、点検、清掃等のメンテナンス作業を効率良く簡単に行うことができる。
【0020】
発明[6]のバブル発生器の白濁用器具によれば、上記と同様に、バブル発生器から噴出されたマイクロバブル水を確実に白濁化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1はこの発明の実施形態である浴槽用給湯アダプターを示す斜視図である。
図2図2は実施形態の給湯アダプターにおけるアダプター本体を示す斜視図である。
図3図3は実施形態の給湯アダプターにおける白濁用器具としての白濁用ノズルの設置部周辺を拡大して示す側面断面図である。
図4図4は実施形態の白濁用ノズルのフィルターに対する取付状態を説明するための分解斜視図である。
図5図5は実施形態の白濁用ノズルのフィルターに対する取付状態を説明するための分解断面図である。
図6図6は実施形態の白濁用ノズルのメッシュ部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1はこの発明の実施形態である浴槽用の給湯アダプターを示す斜視図、図2は実施形態の給湯アダプターにおけるアダプター本体を示す斜視図、図3は実施形態の給湯アダプターにおける白濁用器具としての白濁用ノズルの設置部周辺を拡大して示す側面断面図である。これらの図に示すように本実施形態の給湯アダプターは浴槽の側壁に組み付けられるものであり、室外の給湯機から供給された湯水を浴槽内に供給する湯はり処理、浴槽内の湯水を吸い込んで室外の給湯機に送り、そこで再加熱して高温のお湯を浴槽内に戻す追い焚き処理に加えて、浴槽内の湯水に、マイクロバブル(ナノバブルも含む)が混入された湯水であるマイクロバブル水を噴出して浴槽内にマイクロバブルを発生させるバブル発生処理を行うことができる。
【0023】
本実施形態の給湯アダプターは、浴槽の側壁に貫通状態に組み付けられるアダプター本体1と、アダプター本体1における浴槽内に対応する部分(槽内配置部)に取り付けられるフィルター(カバー部材)9と、フィルター9に取り付けられ、かつ白濁用器具を構成する白濁用ノズル3とを備えている。なお以下の説明においては、発明の理解を容易にするために、給湯アダプターの軸心方向に沿って浴槽に対して内側(図3の左側)を「下流側」「前側」または「表面側」とし、浴槽に対して外側(図3の右側)を「上流側」「後側」または「裏面側」として説明する。
【0024】
アダプター本体1において浴槽外に配置される後端部には、室外給湯機に往き管および戻り管を介して接続される往き管接続部1aおよび戻り管接続部1bと、外気を取り込むための吸気管が連結される吸気管接続部1cとが設けられている。
【0025】
アダプター本体1の槽内配置部には、その周側面下部に吐出口11aが設けられるとともに、前面に吸込口11bが設けられている。さらにアダプター本体1の槽内配置部には、前面側からバブル発生器2が組み込まれており、そのバブル発生器2の噴出口21が前方に向けて開口するように配置されている。
【0026】
さらにアダプター本体1内には、複数の流路が形成されており、往き管接続部1aから供給される湯水が必要に応じて吐出口11aやバブル発生器2に供給されるように構成され、吸気管接続部1cからの外気が必要に応じてバブル発生器2に供給されるように構成されている。また戻り管接続部1bおよび吸込口11b間は連通接続されている。
【0027】
アダプター本体1の槽内配置部の前面上部には、切替レバー25が設けられている。この切替レバー25は、バブル発生モードと、湯はり/追い焚きモード(バブル禁止モード)との間で切替操作可能に構成されている。湯はり/追い焚きモードでは、吸気管接続部1cからバブル発生器2へのエアーの供給が禁止されると同時に、往き管接続部1aから吐出口11aへの湯水の供給が許容される。またバブル発生モードにおいては、吸気管接続部1cからバブル発生器2へのエアーの供給が許容されると同時に、流路が切り替えられて、往き管接続部1aからバブル発生器2に湯水が供給されるようになっている。つまりバブル発生モードでは、往き管接続部1aから吐出口11aへの湯水の供給が禁止されて、往き管接続部1aからバブル発生器2への湯水の供給が許容されるようになっている。
【0028】
一方図1図3図5に示すように、アダプター本体1の槽内配置部を覆うように取り付けられるフィルター9において、その前壁には、多数の貫通孔からなる吸込口9bが設けられるとともに、周側壁の下部には、アダプター本体1の吐出口11aに対応して吐出口9aが設けられている。
【0029】
またフィルター9の前壁には、アダプター本体1の切替レバー25に対応してレバー操作用開口91が形成されており、フィルター9をアダプター本体1に取り付けた状態で、レバー操作用開口91を介して切替レバー25を操作できるように構成されている。
【0030】
さらにフィルター9の前壁に、アダプター本体1のバブル発生器2の噴出口21に対応して、白濁用ノズル3を取り付けるためのノズル設置孔93が形成されている。
【0031】
本実施形態の給湯アダプターでは、湯はり処理を行う場合には、切替レバー25を湯はり/追い焚きモード(バブル禁止モード)に設定し、吸気管接続部1cからバブル発生器2へのエアーの供給を禁止し、往き管接続部1aからの湯水が吐出口9aに供給される状態とする。その状態で、浴室壁面等に取り付けられた操作パネルを介して給湯機に湯はり指令を与える。これにより給湯機の給湯口および吸込口の双方から湯水が吐出されて、その湯水が往き管接続部1aおよび戻り管接続部1bを吐出口9a,11aおよび吸込口9b,11bから浴槽内に供給される。こうして2系統で湯水が供給される。
【0032】
なお給湯機の機種等によっては、シングル搬送で湯はり処理が行われる場合があるが、その場合には、給湯機から戻り管接続部1b側には湯水が供給されず、往き管接続部1aから1系統で浴槽内に湯水が供給されることとなる。
【0033】
追い焚き処理を行う場合には、切替レバー25を湯はり/追い焚きモード(バブル禁止モード)に設定した状態で給湯機に追い焚き指令を与える。これにより給湯機の吸引作用によって、吸込口9b,11bから浴槽内の湯水が吸い込まれ、その湯水が戻り管接続部1bを介して給湯機に戻される。こうして給湯機に戻された湯水が再加熱されて、給湯機の給湯口から往き管接続部1aに供給されて、吐出口9a,11aから浴槽内に供給される。
【0034】
バブル発生処理を行う場合には、切替レバー25をバブル発生モードに設定し、吸気管接続部1cからのエアーがバブル発生器2へエアーが供給される状態とし、往き管接続部1aからの湯水がバブル発生器2に供給される状態とする。その状態で給湯機に追い焚き指令を与える。これにより上記と同様に吸込口9b,11bから浴槽内の湯水が吸い込まれて給湯機に戻される一方、給湯機の給湯口から吐出された湯水が往き管接続部1aに供給されて、さらにバブル発生器2に供給される。さらにこの噴出による吸引作用によって、外部のエアーが吸気管接続部1cを介して吸い込まれてそのエアーがバブル発生器2に供給される。こうして供給されたエアーが、上記したようにバブル発生器に供給された湯水に混入してマイクロバブル水となり、そのマイクロバブル水がバブル発生器2の噴出口21から前方に噴出されて、白濁用ノズル3に供給されるように構成されている。
【0035】
図3図5に示すようにフィルター9のノズル設置孔93に設けられる白濁用ノズル3は、ケーシング4と、3枚のメッシュ部材6と、整流部材7と、穴あきキャップ5とを備え、この白濁用ノズル3が、Oリング81およびリング状パッキン82を介してフィルター9に取り付けられている。
【0036】
ケーシング4は、円筒状のメッシュ収容部41と、そのメッシュ収容部41の後方に連接され、かつメッシュ収容部41に対し同軸上に設けられた小径の円筒状取付部42とを備えている。メッシュ収容部41は、その内径寸法が後述のメッシュ部材6の外径寸法よりも大きく形成されており、メッシュ部材6を収容可能に構成されている。取付部42は、その内径寸法がメッシュ部材6の外径寸法よりも小さく形成されており、メッシュ収容部41の内周面と取付部42の内周面との間に段差部43が形成されている。
【0037】
また取付部42の外周面後端には、周方向に連続し、かつ外側に突出する外周凸部44が一体に形成されている。さらに取付部42の外周面下端には、軸心方向に連続する回り止め溝45が形成されるとともに、取付部42の内周面における上流側開口部近傍には、内向きフランジ47が形成されている。
【0038】
またメッシュ収容部41の内周面の上端部は、下方(内側)に張り出すように形成されて、この部分が内側張り出し部46として構成されている。なお、メッシュ収容部41の外周面には、雄ねじが刻設されている。
【0039】
図3図6に示すようにメッシュ部材6は、ステンレス製等によって構成される円板状のメッシュシート61と、メッシュシート61の外周縁部に沿って設けられた円環状の支持リング62とを備えている。本実施形態において、メッシュシート61は、縦横に等間隔で線状材が張り渡された網目状部材(ネット状部材)によって構成されている。
【0040】
支持リング62の上端部には、ケーシング4の内側張り出し部46に対応して、外周縁部の一部が切り欠かれるようにして切欠部66が形成されている。さらに支持リング62の外周形状はケーシング4のメッシュ収容部41の内周形状に対応し、かつ一回り小さく形成されている。これによりメッシュ部材6をケーシング4のメッシュ収容部41にその前端開口部から収容可能に構成されるとともに、収容状態においては、切欠部66が内側張り出し部46に係合することによって、メッシュ部材6がケーシング4に対し軸回り方向(周方向)の回転が規制されるように構成されている。なお本実施形態において、メッシュ部材6のメッシュ収容部41に対するクリアランスは、片側が0.25mm、合計0.5mmに設定されている。つまりメッシュ部材6の外径寸法が、メッシュ収容部41の内径寸法に対し0.5mm小さく形成されている。これによりケーシング4のメッシュ収容部41内に、メッシュ部材6を遊嵌状態に収容できるようになっている。
【0041】
メッシュ部材6はケーシング4内に軸心を一致させつつ軸心方向に並んで3枚収容される。この際、最も奥側(上流側)に配置される最後部のメッシュ部材6の支持リング62が、ケーシング4の段差部43に当接係止することによって、メッシュ部材6の後方への位置決めが図られるようになっている。
【0042】
またメッシュ部材6の支持リング62は、軸心方向に所定の厚みを有しており、隣合うメッシュ部材6の支持リング62同士が接合することによって、隣合うメッシュ部材6のメッシュシート61間に隙間が設けられている。換言すると、支持リング62は隣合うメッシュシート61間に所定の隙間を形成するためのスペーサとして機能し、支持リング62の厚みが隣合うメッシュシート61間の間隔S1(図3参照)に対応するように形成されている。なお隣合うメッシュシート61間の間隔S1については後に詳述する。
【0043】
整流部材(ルーバー)7は、合成樹脂の成形品等によって構成されており、短寸円筒状の嵌合部72と、その嵌合部72の前端外周に設けられたフランジ部75とを一体に備えている。嵌合部72の上端部には、切欠部76が形成されており、外周形状がメッシュ部材6の外周形状に対応して形成されている。これにより嵌合部72は、ケーシング4のメッシュ収容部41に回り止め状態に収容可能に構成されている。
【0044】
さらに整流部材7の内側には、左右方向に延びる複数の帯板状のフィン71が上下方向に所定の間隔おきに形成されている。各フィン71は、後端側に対し前端側が下方に位置するように、前方に向かって下向きに傾斜するように配置されている。
【0045】
そしてこの整流部材7が、その嵌合部72がケーシング4のメッシュ収容部41におけるメッシュ部材6の前側に嵌め込まれ、その嵌合状態では、フランジ部75がケーシング4の前端面に当接係止することによって、整流部材7の嵌合量が規制されるとともに、嵌合部72が最前部のメッシュ部材6の支持リング62に対応して配置されている。さらに嵌合状態の整流部材7は、嵌合部72の切欠部76がケーシング4の内側張り出し部46に係合することによって、回り止めおよび回転方向の位置決めが図られている。
【0046】
穴あきキャップ5は、ケーシング4の外周に配置される円筒状の周壁51と、周壁51の前端に内側に突出するように形成され、かつ整流部材7のフランジ部75に対向して設けられた抑止片55とを備えている。この穴あきキャップ5は、抑止片55によって囲まれた空隙部が、マイクロバブル水の通過を許容する開口部(通水穴)52として機能する。さらに穴あきキャップ5における周壁51の内周面には、ケーシング4の雄ねじに対応して雌ねじが刻設されている。
【0047】
この穴あきキャップ5が、その抑止片55が整流部材7に圧接するまでケーシング4のメッシュ収容部41の外周にねじ込まれることにより、穴あきキャップ5によって整流部材7およびメッシュ部材6がケーシング4内に保持されて、白濁用ノズル3が組み立てられる。なお言うまでもなく、この組立状態では、整流部材7の嵌合部72が、最前部のメッシュ部材6の支持リング62を抑止することによって、メッシュ部材6の前方への抜け出しが防止されている。
【0048】
一方、給湯アダプターのフィルター9における上記ノズル設置孔93の内周面には、白濁用ノズル3のケーシング4の取付部42における外周凸部44に係合可能な弾性フック94が周方向に間隔をおいて複数形成されている。さらにノズル設置孔93の内周面の下端部には、軸心方向に延び、かつ上記ケーシング4の取付部42における回り止め溝45に挿入可能な突条部95が形成されている。
【0049】
このフィルター9のノズル設置孔93に、白濁用ノズル3が取り付けられる。すなわち、白濁用ノズル3のケーシング4におけるメッシュ収容部41の後端面と、フィルター9のノズル設置孔93の外周縁部との間にOリング81を介在させるとともに、ケーシング4における内向きフランジ47の後面とバブル発生器2の噴出口21の外周縁部との間にリング状パッキン82を介在させつつ、ケーシング4の回り止め溝45内に、ノズル設置孔93の突条部95を挿入しながら、ケーシング4の取付部42をノズル設置孔93に嵌め込む。これにより、ノズル設置孔93における弾性フック94がケーシング4の外周凸部44にスナップフィットして弾性係合することにより、白濁用ノズル3がフィルター9のノズル設置孔93に回転方向の位置決めがなされた状態で取り付けられる。
【0050】
以上の構成の本実施形態の給湯アダプターにおいて、バブル発生器2の噴出口21からマイクロバブル水を噴出させた際には、噴出したマイクロバブル水が3枚のメッシュシート61を通過する毎に、気泡が分解されて微細化することによって、マイクロバブル水は、無数の微細な気泡が分散した状態で混在して白濁化される。こうして白濁化されたマイクロバブル水が整流部材7を通過する際に、整流部材7の各フィン71によって下向きに誘導され、さらに穴あきキャップ5の開口部52を通過して浴槽内に放出される。
【0051】
以上のように本実施形態の給湯アダプターによれば、確実に白濁化したマイクロバブル水を放出できるため、浴槽内の湯水を無数の微細気泡により白濁できて、マイクロバブル水による十分な温浴効果を得ることができる。
【0052】
ここで本発明者による実験によると、本実施形態において、白濁用ノズル3のメッシュシート61として、メッシュ数が♯60~♯100100のものを使用する必要がある。すなわちメッシュ数が小さ過ぎる場合(目が荒過ぎる場合)には、メッシュシート61を多く重ねたとしても、気泡を十分に微細化できず、白濁化が困難になるばかりか、白濁化のためにメッシュシート61の設置数が多くなりその分、白濁機構部(白濁用ノズル)の大型化を来すおそれがあり、好ましくない。逆にメッシュ数が大き過ぎる場合(目が細か過ぎる場合)には、マイクロバブル水の流通抵抗が大きくなり、マイクロバブル水の浴槽内への供給量が低下し、気泡が短時間で浮揚して消失してしまう等、白濁効果を十分に得ることができず、さらに目詰まりも多く発生して、メンテナンス性が悪化するおそれがあり、好ましくない。なお本実施形態においては、メッシュシート61として、♯80以上のものを使用するのがより一層好ましい。すなわちこの場合には、十分な白濁効果を維持しつつ、メッシュシート61の設置数を少なくでき、白濁機構部の小型コンパクト化を図ることができる。
【0053】
また本発明者による実験によると、本実施形態においては、メッシュシート61(メッシュ部材6)の設置数は、2枚~4枚に設定するのが良く、好ましくは3枚または4枚に設定するのが良く、より一層好ましくは3枚に設定するのが良い。すなわちメッシュシート61の設置数が少な過ぎる場合には、マイクロバブル水内の気泡の分解/細分化を十分に行うことができず、確実に白濁化できないおそれがあり、好ましくない。逆にメッシュシート61の設置数が多過ぎる場合には、白濁機構部の大型化を来すとともに、マイクロバブル水の浴槽内への供給量が低下して所望の白濁効果を得ることができないおそれがあり、好ましくない。
【0054】
また本発明者による実験によると、本実施形態において、複数枚のメッシュシート61(メッシュ部材6)のうち、隣合うメッシュシート61の間隔S1(図3参照)を、2.0mm~3.0mmに設定する必要があり、好ましくは2.3mm~2.7mmに設定するのが良い。すなわちこの間隔S1が狭過ぎる場合には、マイクロバブル水内の気泡の分解/細分化を十分に行うことができず、確実に白濁化できないおそれがあり、好ましくない。逆に間隔S1が広過ぎる場合には、白濁機構部の大型化を来すおそれがあり、好ましくない。
【0055】
また本発明者による実験によると、本実施形態において、複数枚のメッシュシート61のうち、最も上流側(後端)に配置されるメッシュシート61と、バブル発生器2の噴出口21との間隔S2(図3参照)を2.5mm~4.0mmに設定するのが良く、より好ましくは3.0mm~3.5mmに設定するのが良い。すなわちこの間隔を狭過ぎたり、広過ぎたりする場合には、マイクロバブル水内の気泡の分解/細分化を十分に行うことができず、確実に白濁化できないおそれがあり、好ましくない。
【0056】
一方、本実施形態においては、白濁用ノズル3の下流側(吐出側)に整流部材7を設置して、浴槽内に放出されるマイクロバブル水を下向きに誘導するようにしているため、浮力による気泡の不用意な上昇を抑制することができ、気泡を浴槽水中に長時間滞留させることができ、白濁効果を十分に持続させることができる。
【0057】
また本実施形態において、白濁用ノズル3は、フィルター9のケーシング4内にその下流側開口部からメッシュ部材6および整流部材7を遊嵌状態に収容した後、下流側開口部に穴あきキャップ5をねじ留めによって着脱自在に取り付けるものであるため、メッシュ部材6および整流部材7の保守、点検、清掃等のメンテナンスを行う場合には、アダプター本体からフィルター9を取り外した後、穴あきキャップ5をケーシング4から取り外せば、ケーシング4の下流側開口部から整流部材7およびメッシュ部材6を簡単に取り出すことができ、これらの部材6,7のメンテナンス作業を容易に行うことができる。またメンテナンス作業等が終了した後は、メッシュ部材6および整流部材7をケーシング4内に収容して、穴あきキャップ5をねじ留めして、フィルター9をアダプター本体に取り付ければ、給湯アダプターを元の状態に組み立てることができる。このようにメッシュ部材6および整流部材7の着脱を簡単に行えて、それらのメンテナンス作業も効率良く簡単に行うことができる。
【0058】
なお本実施形態において、ケーシング4内に仮に、白濁化部材としての複数枚のメッシュ部材6に代えて、1つのブロック状の多孔質体を収容した場合には、上記と同様、ブロック状多孔質体の取出作業は容易に行えるものの、多孔質体の内部に取り込まれたゴミ等の付着物を簡単に取り除くことができず、メンテナンス性に劣ることになる。これに対し、本実施形態では、白濁化部材として複数枚(3枚)のメッシュ部材6を収容しているため、取り出した複数枚のメッシュ部材6を個々に清掃することができ、ほぼ全てのゴミ等を簡単かつ確実に取り除くことができ、優れたメンテナンス性を確保することができる。
【0059】
また本実施形態の給湯アダプターにおいては、白濁用ノズル3のケーシング4の上流側開口部にリング状パッキン82を設置して、そのパッキン82をバブル発生器2の噴出口外周縁部に密着させるようにしているため、マイクロバブル水の発生時に、マイクロバブル水が、白濁用ノズル3のケーシング4とノズル発生器2との間の隙間から漏出するのを防止でき、マイクロバブル水の水圧も十分に確保でき、所望の勢力でマイクロバブル水を白濁用ノズル3内に導入でき、マイクロバブル水の白濁化をより一層確実に図ることができる。
【0060】
また本実施形態の白濁用ノズル3においては、ケーシング4の内周面に内側張り出し部46を形成するとともに、メッシュ部材6および整流部材7の外周面に、内側張り出し部46に適合する切欠部66,76を形成しているため、メッシュ部材6および整流部材7をケーシング4内に収容する際に、切欠部66,76を内側張り出し部46に対応させて収容するだけで、メッシュ部材6および整流部材7のケーシング4に対する周方向の位置決めおよび回り止めを図ることができる。このため、メッシュ部材6および整流部材7のケーシング4への収容作業、ひいては白濁用ノズル3の組立作業を容易に行うことができ、より一層メンテナンス作業を効率良く簡単に行うことができる。
【0061】
なお上記実施形態においては、本発明の白濁用ノズルとしての白濁用器具を浴槽用の給湯アダプターに設ける場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明の白濁用器具は、シャワーヘッド、蛇口等の他の吸水設備にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この発明の給湯アダプターは、例えば一般家屋の浴槽にバブル発生機能付きの給湯用循環金具として採用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1:アダプター本体
2:バブル発生器
21:噴出口
3:白濁用ノズル(白濁用器具)
4:ケーシング
5:穴あきキャップ
6:メッシュ部材
61:メッシュシート
62:支持リング
7:整流部材
9:フィルター
93:ノズル設置孔
S1:メッシュシート間の間隔
S2:上流側メッシュシートとバブル噴出口との間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6