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特許7465558内燃機関の排気促進装置及び排気系改良方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】内燃機関の排気促進装置及び排気系改良方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/20 20100101AFI20240404BHJP
   F01N 1/08 20060101ALI20240404BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20240404BHJP
   F02B 27/04 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F01N13/20 Z
F01N1/08 G
F01N13/08 A
F01N13/08 Z
F02B27/04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021182129
(22)【出願日】2021-11-08
(62)【分割の表示】P 2020219537の分割
【原出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022024007
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2020104481
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020112084
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520217490
【氏名又は名称】株式会社國商
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】緒方 和男
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-331631(JP,A)
【文献】特開2017-227173(JP,A)
【文献】特開2011-074774(JP,A)
【文献】特開平06-010659(JP,A)
【文献】特開平10-110612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00- 1/24
F01N 3/00,3/02
F01N 3/04- 3/38
F01N 5/00- 5/04
F01N 9/00-11/00
F01N 13/00-99/00
F02B 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出される燃焼ガスの排気効率を高めるための排気促進装置であって、
前記内燃機関の排気系の排気端部に設けられる筒状のケーシングと、このケーシング内に、このケーシングの内面との間に環状の空間部を形成するように同心状に設けられた排気流制御筒と、前記ケーシングの排気下流側の端部に、このケーシングと同軸で、前記排気流制御筒に対し排気方向に間隔をおいて設けられた冷却筒とを備え、
前記排気流制御筒には、排気流の下流側へ向けて漸次拡径する略円錐台断面の第1膨張部と、この第1膨張部に連設され、排気の下流側へ向けて漸次縮径する略円錐台断面の加速部とが形成され、
前記加速部の前記第1膨張部との連設部には、前記加速部と前記空間部とを連通させる分流孔が形成され、
前記空間部は、その容積が排気の下流側へ向けて漸次増加する第2膨張部となされているとともに、前記ケーシングの排気の下流側端部に、前記加速部の排気の下流側の端部に対峙させられた絞りが形成され、
前記空間部の容積が前記加速部の容積の1.8倍以上、2.6倍以下に設定され、
前記ケーシングの排気下流側には、その排気下流側の端部から排気上流側に向かって略球面状に拡径した下流側球面部が設けられていて、その下流側球面部が前記絞りの内面に連続しており、
前記絞りは、前記加速部の排気の吐出口よりも排気の下流側に配置され、その絞りと吐出口との相対距離L3は、絞り付近において発生する負圧による吸引機能が最大化する値に設定されている、内燃機関の排気促進装置。
【請求項2】
前記空間部の容積が、前記加速部の容積の2.0倍以上、2.3倍以下に設定されている、請求項1に記載の内燃機関の排気促進装置。
【請求項3】
前記ケーシングの内面は、内面全体として緩やかな曲率の曲面に形成されている、請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の排気促進装置。
【請求項4】
前記ケーシングは、全体として断面楕円形の筒状に形成され、その両端部分の内面はそれぞれ先細りに絞られた緩い球面状に形成されている、請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の排気促進装置。
【請求項5】
前記排気流制御筒の内壁に、螺旋溝が多条に形成されている、請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の排気促進装置。
【請求項6】
前記冷却筒は、前記絞りに連設された内筒と、この内筒との間に環状の通風空間部を形成する外筒と、を備え、前記内筒の内壁に、螺旋溝が多条に形成されている、請求項1に記載の内燃機関の排気促進装置。
【請求項7】
前記ケーシング若しくは排気流制御筒の少なくとも一方がセラミックス材で形成されている、請求項1に記載の内燃機関の排気促進装置。
【請求項8】
排気ガスを触媒装置で浄化する排気系を備えた内燃機関の排気系改良方法であって、
前記排気系の排気端部に、請求項1~請求項7に記載の排気促進装置を設ける工程と、前記内燃機関を駆動させる機関駆動工程と、を含み、
前記機関駆動工程では、前記内燃機関の駆動を所要時間行うことで、前記触媒装置を含む排気系を洗浄することを特徴とする、内燃機関の排気系改良方法。
【請求項9】
前記機関駆動工程では、前記内燃機関の駆動を1時間以上行う、請求項8に記載の内燃機関の排気系改良方法。
【請求項10】
前記機関駆動工程では、前記触媒装置を含む排気系を有する内燃機関を搭載した使用過程車を用いて行う、請求項8に記載の内燃機関の排気系改良方法。
【請求項11】
前記機関駆動工程では、前記使用過程車を走行又は疑似走行させる工程を含む、請求項10に記載の内燃機関の排気系改良方法。
【請求項12】
前記機関駆動工程では、前記内燃機関の駆動による走行距離が100km以上となるまで行う、請求項10に記載の内燃機関の排気系改良方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関から排出される排気ガスの排気効率を高めるための排気促進方法、排気促進装置及び排気系改良方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気ガスには、PM(Particulate Matter),HC(Hydrocarbon),NOx(Oxides of Nitrogen),SO2(Sulfur dioxide),CO(carbon monoxide)等の環境に影響があるとされる有害物質が含まれている。
【0003】
これ等の有害物質を除去するために、内燃機関の排気系の途中に触媒構造からなる浄化装置が装備されるようになってきている。
【0004】
内燃機関の排気系の途中に装備される浄化装置は、排気系における排気流の抵抗となって、内燃機関の出力特性に影響を与えている。
【0005】
このため、内燃機関の排気系における排気効率を高める技術の開発が要望され、その技術が、たとえば、特許文献1において提案されている。
【0006】
特許文献1には、内燃機関の排気系の端末に装備されるものであって、排気ガスの上流側へむけて拡開されたテーパ筒形の加速筒と、加速筒の外部を同軸線上で囲む筒形のカバー筒と、加速筒に開口された分流口とを備えた排気ガス流通促進装置が記載されている。
【0007】
特許文献1に係る排気ガス流通促進装置は、加速筒で排気ガスを加速するとともに分流し、加速筒から高速に噴射される中心流の周囲に負圧を生じさせ、この負圧により、カバー筒内の周囲流を加速させて排気し、排気効率を高めるようにしている。
なお、このように排気ガス流を加速する技術については、特許文献2~特許文献5にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平10-331631号公報
【文献】特開2011-74774号公報
【文献】実用新案登録第3186232号公報
【文献】特開平02-125906号公報
【文献】特開平06-173634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、排気ガスの高速排気による排気効率をさらに向上させることのできる内燃機関の排気促進方法、排気促進装置及び排気系改良方法を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の内燃機関の排気促進方法は、内燃機関から排出される排気ガスを多段階で繰り返し膨張させて温度を下げることにより、この排気ガスの熱エネルギに起因した挙動を抑制しつつ排気することを特徴とする。
【0011】
このような排気促進方法によれば、排気ガスは多段階の膨張過程で温度低下し、この温度低下により排気ガスの熱エネルギが奪われ、熱エネルギに起因した挙動が抑制される。
【0012】
このように挙動が抑制された排気ガスは、その流れ方向の制御が容易となり、排気ガスの流れを主たる排気方向に沿わせることができる。
【0013】
これによって、排気ガスの流れを円滑にして排気効率を向上させることができる。
【0014】
本発明の内燃機関の排気促進装置は、前述した課題を解決するために、以下のように構成される。
内燃機関の排気系の排気端部に設けられるケーシングと、このケーシング内に、このケーシングの内面との間に環状の空間部を形成するように同心状に設けられる排気流制御筒と、前記ケーシングの排気下流側の端部に、このケーシングと同軸で、前記排気流制御筒に対し排気方向に間隔をおいて設けられる冷却筒とを備える。前記排気流制御筒には、排気流の下流側へ向けて漸次拡径する略円錐台断面の第1膨張部と、この第1膨張部に連設され、排気の下流側へ向けて漸次縮径する略円錐台断面の加速部が形成される。前記加速部の前記第1膨張部との連設部には、前記加速部と前記空間部とを連通させる分流孔が形成される。前記空間部は、その容積が排気の下流側へ向けて漸次増加する第2膨張部となされているとともに、その排気の下流側端部に、前記加速部の排気の下流側の端部に対峙させられた絞りが形成される。前記空間部の容積は前記加速部の容積よりも大きく設定される。
【0015】
このような構成とすることにより、排気促進装置に流入した排気は、排気流制御筒内の第1膨張部において膨張し、その一部が加速部へと向かう中心流となり、残余が分流孔から第2膨張部へ分流されて外周流となる。
【0016】
前記外周流は第2膨張部において膨張した後に、下流側の絞りへ向かって流れ、前記中心流は、加速部において加速された後に絞りの中心へ向けて噴射される。
【0017】
ここで、加速部から絞りへ噴射された中心流により絞り周辺に負圧領域が形成され、この負圧により第2膨張部内の外周流が吸引されるとともに、中心流とともに冷却筒へ流入する。
【0018】
このように、排気は、加速されつつ排出されることにより、排気の抵抗となることが抑制され、これによって、排気効率が高められる。
【0019】
さらに、外周流は第1膨張部と第2膨張部において連続して膨張するが、これらの膨張によって外周流の温度が低下する。
そして、外周流は、さらに冷却筒において外気によって冷却されて温度が低下する。
【0020】
第2膨張部となる空間部の容積は、加速部の容積よりも大きく設定されているので、その分、外周流となる排気の膨張による温度低下現象を高めることができる。
【0021】
このような外周流の温度低下により、外周流は熱エネルギが奪われて流れが円滑なものとなり、排気の高速化と相俟って排気効率がさらに高められ、本発明の排気促進方法を有効に実施することができる。
【0022】
ここで、空間部の容積としては、加速部の容積の好ましくは1.8倍以上、さらに好ましくは1.9倍以上、特に好ましくは2.0倍以上とすることができ、好ましくは2.6倍以下、さらに好ましくは2.5倍以下、特に好ましくは、2.3倍以下に設定される。1.8倍以下でも排気促進効果は期待できるが、十分でない場合もある。また、2.6倍よりも大きくすると、ケーシング自体が大きくなりすぎる場合がある。
【0023】
前記冷却筒は、前記絞りに連設された内筒と、この内筒との間に環状の通風空間部を形成する外筒とを備え、前記外筒に、前記通風空間部に外気を導入する通気口が形成されていることが好ましい。
【0024】
このように構成した場合、冷却筒においては、車両の走行に伴って通風空間部に外気が流れ込み、この外気が、外筒の内面および内筒の外面に接触しつつ流れる。
ここで、通風空間部の外気の流れは、内筒の端部から噴射される排気によって吸引されつつ排出されるので、その分、通気量も増大する。これにより、内筒内を流れる排気の冷却効果をさらに高める作用を発揮する。
【0025】
本発明では、前記排気流制御筒の内壁に、螺旋溝を多条に形成しておくことが好ましい。
このような構成とすることにより、中心流を旋回流としてその直進性を高め、絞りにおいて生成される負圧を高めることができ、この負圧による外周流の引き込み作用を高めて排気の流速増加を補助する。
【0026】
本発明では、前記内筒の内壁に、螺旋溝を多条に形成することが好ましい。
このような構成とすることにより、加速部の吐出口から排出される螺旋流となった排気を、内筒の螺旋溝によってさらに螺旋流として、その流れを一段と円滑化して排気効率を高めることができる。さらに、内筒との接触面積を増加させて、内筒による排気の冷却効果を高めることができる。
【0027】
前記ケーシング若しくは排気流制御筒の少なくとも一方をセラミックス材で形成することが好ましい。
【0028】
このような構成とすることにより、セラミックス材の触媒機能を利用して排気の浄化を行なうことができる。
【0029】
前記ケーシングの内壁に凹部を複数形成しておくことが好ましい。
このように、ケーシングの内壁に凹部を複数形成しておくことにより、それらの凹部の作用で消音効果も発揮させることができる。
【0030】
また、本発明では、このように中央部で排気の流れを速めることで、温度を下げて、NOxを低減させ、外周部では排気の流れを遅くして温度を上げ、排気のPMを低減させることができる。これにより、NOx及びPMの双方を低減させることができる。
【0031】
さらに、排気流を高速に加速して吐出させると共に、絞り付近に生じる負圧を利用して排気系内の排気を強力に吸引するので、内燃機関の燃焼室内には十分な給気が行われ、しかも、燃焼室内の排気ガスも十分に掃気される。これにより、燃焼室内は完全燃焼若しくは完全燃焼に近い燃焼状態に維持される。その結果、排気ガス中のCO2の顕著な削減効果に加え、その他の有害物質の顕著な削減効果が得られる。
【0032】
また、このように排気効率がさらに高められることで、内燃機関は、完全燃焼若しくは完全燃焼に近い燃焼状態が得られるようになり、これにより、内燃機関及び排気促進装置の高温化を防止することが可能になる。この結果、内燃機関の運転直後においても、この内燃機関と排気促進装置の両方を素手でしっかりと触ることができる程度にまで低温化させることができる。即ち、この排気促進装置によって内燃機関及び排気系に自己冷却機能までも付与することができる。
【0033】
本発明は、排気ガスを触媒装置で浄化する排気系を備えた内燃機関の排気系改良方法であって、前記排気系の排気端部に、排気促進装置を設ける工程と、前記内燃機関を駆動させる機関駆動工程と、を含み、前記機関駆動工程では、前記内燃機関の駆動を所要時間行うことで、前記触媒装置を含む排気系を洗浄することを特徴としている。
【0034】
このように、排気系の排気端部に排気促進装置を設け、内燃機関を駆動させることで、排気促進装置による強力な排気促進作用を発揮させて触媒装置を含む排気系を洗浄することが可能になる。即ち、内燃機関の運転が継続されると、その排気系及び触媒装置には、排気ガスに含まれるカーボンや他の有害物質が次第に付着するが、本発明の排気促進装置を所定の位置に設けて排気を促進させることで、付着したカーボンや他の有害物質を除去する作用を効果的に発揮する。
【0035】
また、触媒装置を含む排気系が十分に洗浄された後においては、その触媒装置を含む排気系に、カーボンや他の有害物質が付着するのを抑制することができる。排気促進装置の負圧を利用した強力な吸引作用によって、内燃機関の燃焼室から完全燃焼に近い排気ガスが排出されて排気系及び触媒装置内を流れるようになるからである。したがって、触媒装置を含む排気系の洗浄作用を長期間あるいは内燃機関が使用されなくなるまで維持することができる。
【0036】
前記機関駆動工程では、前記内燃機関の駆動を1時間以上行うことが好ましい。この機関駆動工程は、触媒装置を含む排気系に付着したカーボンや他の有害物質の付着量にも左右されるが、長いほど好ましく、より好ましくは3時間以上であり、特に好ましくは5時間以上である。内燃機関の駆動時間が1時間より短くても、洗浄機能は発揮されるが、その洗浄機能が顕著になるのは1時間以上である。
【0037】
前記機関駆動工程では、前記触媒装置を含む排気系を有する内燃機関を搭載した使用過程車を用いて行うことが好ましい。使用過程車の場合、触媒装置を含む排気系に付着したカーボンや他の有害物質の付着量が多いからである。このような使用過程車においては、機関駆動工程を5時間以上行うことが好ましい。そうすれば、付着したカーボンや他の有害物質の付着量を大きく低下させることが可能になる。これにより、カーボンや他の有害物質の付着量を新車時に近い状態に戻すことも可能になる。
【0038】
前記機関駆動工程では、前記使用過程車を走行又は疑似走行させる工程を含むことが好ましい。
このように、使用過程車の機関駆動工程では、車両を実際に走行させ、あるいは回転ローラ上で疑似走行させるのが好ましい。ただ単に、機関を駆動させて車両を走行させない形態よりも、実際に車輪の回転に負荷をかけた、即ち、内燃機関に負荷をかけた走行形態とする方が、より具体的かつ現実的で無駄がなく、経済性に優れた排気系改良方法とすることができるからである。
【0039】
前記機関駆動工程では、前記内燃機関の駆動による走行距離が100km以上となるまで行うことが好ましい。
ここで、内燃機関の駆動による走行距離を100km以上としたのは、使用過程車に配慮したものである。使用過程車の場合、使用年数や、これまでの走行距離などによっても左右されるが、概ね、100km以上の走行距離で試験成績が顕著に向上するからである。勿論、100km以下でも洗浄機能は期待できるが、その機能は十分に発揮されているとは言えない。走行距離が200km、300km、400kmとなるにしたがい、洗浄作用が次第に進行し、使用年数の長い使用過程車では、500kmを超えた時点でもなお、洗浄作用が進行している場合もあることが確認されている。
【0040】
本発明に係る内燃機関の排気系改良方法は、前記排気促進装置に、上記に記載の排気促進装置を用いることが好ましい。
また、本発明に係る内燃機関の排気系改良方法は、内燃機関の排気系に、上記に記載の排気促進装置を設けることにより、前記排気系に自己洗浄機能を付与することを含む、ことを特徴としている。
本発明によれば、このように内燃機関の排気系に、上記に記載の排気促進装置を設けるだけで、排気系に自己洗浄機能を付与することが可能になる。
【0041】
本発明は、上記に記載の排気促進装置を備える内燃機関が搭載された自動車を含む、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、排気を加速することによる排気効率の向上と、排気を冷却してその熱エネルギを奪い、これによって排気ガスの流れを円滑化することによる排気効率の向上と、の相乗作用により、排気効率を一層高めることができる。
また、本発明によれば、排気系の排気端部に排気促進装置を設けて内燃機関を駆動させることで、排気促進装置による強力な排気促進作用を発揮させて触媒装置を含む排気系を有効に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の一実施形態が適用された車両の概略図である。
図2】本発明の一実施形態の縦断面図である。
図3図2におけるIII矢視図である。
図4図2におけるIV矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について図面に基づいて説明する。
まず、本発明の排気促進方法の説明に先立って、この排気促進方法を有効に実施しうる排気促進装置について説明する。
【0045】
これらの図において、符号1は、本実施形態が適用された車両を示している。この車両1は、内燃機関2、排気管3、消音器4を備え、この消音器4の排気端部43に本実施形態の排気促進装置5が装着されている。なお、この消音器4は、触媒装置41を含む構造でも良いし、触媒装置41を含まない構造でも良い。この触媒装置41は消音器4と別に設けてあっても良い。また、この消音器4は無くても良く、排気促進装置5を排気管3に直接接続しても良い。
【0046】
本実施形態の排気促進装置5は、図2に示すように、触媒装置41を含む消音器4の排気端部43に装着されるケーシング6と、このケーシング6内に、このケーシング6の内面との間に環状の空間部Aを形成するように同心状に装着された排気流制御筒7と、ケーシング6の排気下流側の端部に、このケーシング6と同軸で、排気流制御筒7に対し排気方向に間隔L3をおいて装着された冷却筒8と、を備えている。排気流制御筒7はセラミックス材(ステンレス材、アルミ材、その他の金属や合金でも可)で形成されている。
【0047】
排気流制御筒7には、排気流の下流側へ向けて漸次拡径する略円錐台断面の第1膨張部Xと、この第1膨張部Xに連設され、排気の下流側へ向けて漸次縮径する略円錐台断面の加速部Yとが形成されている。そして、この加速部Yの第1膨張部Xとの連設部には、加速部Yと空間部Aとを連通させる分流孔9が形成されている。
【0048】
空間部Aは、その容積が排気の下流側へ向けて漸次増加する第2膨張部となされているとともに、その排気の下流側端部に、絞り10が形成されている。この絞り10は、加速部Yの排気の下流側の端部に対峙させられている。
【0049】
冷却筒8は、絞りに連設された内筒11と、この内筒11との間に環状の通風空間部Zを形成する外筒12と、を備えている。外筒12には、通風空間部Zに外気を導入する通気口13が形成されている。
【0050】
本実施形態では、大型貨物自動車(トラック)からなる車両に搭載される内燃機関の排気系の端末に装備するのに好適な排気促進装置の例を示しているが、内燃機関の排気量に応じた大きさや構造とすることで、乗用車やその他の車両等にも適用可能である。また、図示例の排気促進装置5は、車高が低い車両にも対応可能なように、断面楕円となるように形成されている。ケーシング6の楕円率(長径/短径)は1.4程度になるように設定されている。この楕円率は、1.1~1.8の範囲で変更することができる。楕円率を1.8以上にすると、扁平になり過ぎて、製作性が困難になる上に、排気促進機能が低下する場合もある。勿論、装備する車両によっては真円に近い形態又は真円とすることもできる。
【0051】
前記ケーシング6は、本実施形態においては、ステンレス材(セラミックス材、アルミ材、他の金属や合金でも可)で形成されており、その排気方向上流側の端部には、消音器4の排気端部43が嵌合固定される篏合凹部6aが形成されている。
【0052】
また、ケーシング6の排気方向下流側の端部には冷却筒8が固着される環状の連結突起14が形成されている。
【0053】
前記冷却筒8を構成する内筒11は、連結突起14の内部に嵌合固定され、また、外筒12は、連結突起14の外周に被嵌固定されている。
【0054】
さらに、本実施形態においては、排気流制御筒7および内筒11の内面(内周面)に、多条の螺旋溝15・16が形成されている。螺旋溝15は、排気流制御筒7の内面全体に形成されていて、排気方向上流側から下流側へ向けて螺旋状に伸びるように多条に形成されている。螺旋溝16は、内筒11の内面全体に形成されていて、排気方向上流側から下流側へ向けて螺旋状に伸びるように多条に形成されている。
【0055】
ケーシング6の内面は、排気流(後述する外周流)の流れが円滑になるように、図2に示すように内面全体として緩やかな曲率の曲面に形成されている。この図2に示す例では、ケーシング6自体は全体として断面楕円形の筒状に形成されているが、その両端部分はそれぞれ先細りに絞られた緩い球面状に形成されている。
【0056】
即ち、ケーシング6の排気上流側には、その排気上流側の端部から排気下流側に向かって略球面状に拡径した上流側球面部62が設けられている。また、ケーシング6の排気下流側には、その排気下流側の端部から排気上流側に向かって略球面状に拡径した下流側球面部63が設けられている。上流側球面部62と、下流側球面部63との間の中間部分には、断面楕円の周方向に沿う曲面となる筒状曲面部64が設けられている。
【0057】
これにより、ケーシング1の内面は、上流側球面部62に続いて、排気方向に向かって直線状の内面に形成された筒状曲面部64、この筒状曲面部64に続く下流側球面部63を有する、緩やかな曲面に形成されている。したがって、外周流はこの緩やかな曲面に沿って円滑に流れる。
【0058】
そして、ケーシング6の排気上流側の端部は、排気流制御筒7における第1膨張部Xの排気下流側の端部に接続されていて、その接続部分に分流口9が連なるようにそれぞれ配置されている。分流口9は、図示例では排気流制御筒7の周方向に等間隔をおいて4か所設けられている。各分流口9は、排気方向に沿って長い楕円形状に形成されている。各分流口9の大きさは、分流口9の数、排気流制御筒7の大きさ、空間部Aの大きさ、加速部Yの吐出口71の口径、等によっても左右されるが、図示例では、加速部Yの長さの1/3~1/4前後に設定されている。
【0059】
吐出口71の口径は、内燃機関の排気量に対応させて調整される。例えば乗用車や貨物車における内燃機関の排気量が5500ccで、排気管1本出しの場合、口径36~40φに設定され、好ましくは38φに設定される。同排気量で2本出しの場合、吐出口71の口径25φの排気促進装置5をそれぞれの排気管に接続して、合計2基使用される。
【0060】
内燃機関の排気量が2500ccで、排気管1本出しの場合、口径26~28φに設定され、好ましくは27φに設定される。同排気量で2本出しの場合、吐出口71の口径22φの排気促進装置5をそれぞれの排気管に接続して、合計2基使用される。
【0061】
なお、本実施形態における排気促進装置5は、排気流制御筒7の上流側端部からケーシング6の絞り10部分までの長さL1と、冷却筒8の長さ(絞り10の入り口から冷却筒8の出口までの排気路の実質長さ)L2とが、ほぼ同程度の長さとなるように設計されている。前記の長さL1に比べて、長さL2が短すぎると、排気促進効果を低下させる恐れがある。長さL2が短い場合、絞り10付近において発生する負圧による吸引機能が低下する場合があるからである。長さL2が長すぎても、吸引機能が低下する場合がある。
【0062】
また、絞り10は吐出口71より排気下流側に位置することが好ましい。
また、吐出口71と絞り10との相対距離L3に関しても、絞り10付近において発生する負圧による吸引機能に影響を及ぼす。
【0063】
即ち、相対距離L3は負圧による吸引機能が最大化する値に設定される。なお、吐出口71から加速されて噴射される排気流については、マッハ1.2~1.6程度に設定され、好ましくは1.4~1.6に設定される。
【0064】
なお、図2に示す例では、排気流制御筒7における排気上流側の最大口径部72は、排気下流側の最小口径部73の、好ましくは2.5倍以上、より好ましくは2.8倍以上、特に好ましくは3.0倍以上、
好ましくは7倍以下、さらに好ましくは6倍以下、より好ましくは5倍以下、特に好ましくは4倍以下、特に好ましくは3.5倍以下に設定される。
【0065】
また、排気流制御筒7の各部の長さについて、即ち、排気流制御筒7の排気上流側の拡径部7a、縮径部7b、円筒部7cについては、以下の(1)、(2)、(3)のように構成するのが好ましい。
【0066】
(1)縮径部7bは、拡径部7aの、
好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上、より好ましくは3.3倍以上、特に好ましくは3.5倍以上
好ましくは6倍以下、より好ましくは5倍以下、より好ましくは4.5倍以下、特に好ましくは4.4倍以下に設定される。
【0067】
(2)縮径部7bは、円筒部7cの、
好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは1.7倍以上、さらに好ましくは2倍以上、特に好ましくは2.2倍以上
好ましくは3.2倍以下、より好ましくは3倍以下、より好ましくは2.8倍以下、特に好ましくは2.6倍以下に設定される。
【0068】
(3)円筒部7cは、拡径部7aの、
好ましくは0.8倍以上、さらに好ましくは1倍以上、より好ましくは1.3倍以上、特に好ましくは1.5倍以上
好ましくは2.5倍以下、さらに好ましくは2.1倍以下、さらに好ましくは1.9倍以下に設定される。
【0069】
また、ケーシング6の最大径と、排気流制御筒7の加速部Yの最大径72との比率について、ケーシング6の最大径は、加速部7の最大径72の、
好ましくは1.3倍以上、さらに好ましくは1.4倍以上、さらに好ましくは1.5倍以上、
好ましくは2倍以下に設定される。
【0070】
なお、図2に示す例では、ケーシング6の内壁には、複数の凹部61が設けられている。これらの複数の凹部61は、消音機能に加えて、排気の流れを遅くする流速低下機能も発揮する。このケーシング6で囲まれた空間部A内の外周流の流れを円滑にする点に重点をおく場合には、複数の凹部61をケーシング6の内壁に設けない構成とすることもできる。
【0071】
ついで、このように構成された排気促進装置5の作用とともに排気促進方法及び排気系改良方法について説明する。
【0072】
排気促進装置5に流入した排気ガスは、排気流制御筒内の第1膨張部Xにおいて膨張し、その一部が加速部Yへと向かう中心流となり、残余が分流孔9から第2膨張部(空間部)Aへ分流されて外周流となる。
【0073】
前記外周流は第2膨張部Aにおいてさらに膨張した後に、下流側の絞り10へ向かって流れ、中心流は加速部Yにおいて加速された後に絞り10の中心へ向けて噴射される。
【0074】
ここで、加速部Yから絞り10へ噴射された中心流により絞り10周辺に負圧領域が形成され、この負圧により第2膨張部A内の外周流が吸引されるとともに、中心流とともに冷却筒8内の内筒11内へ流入させられる。
【0075】
一方、冷却筒8においては、車両の走行に伴って通風空間部Zに外気が流れ込み、この外気が、外筒12の内面および内筒11の外面に接触しつつ流れる。
【0076】
このように、排気ガスは、加速されつつ排出されることにより、排気の抵抗となることが抑制され、これによって、排気効率が高められる。
【0077】
さらに、外周流は第1膨張部Xと第2膨張部Aにおいて連続して膨張するが、これらの膨張によって外周流の温度が低下する。
そして、外周流は、さらに冷却筒8において外気によって冷却されて温度が低下する。
【0078】
このような外周流の温度低下により、排気ガスの熱エネルギが奪われて、熱エネルギに起因した挙動が抑制される。
【0079】
熱エネルギによる挙動が抑制された排気ガスは、その流れ方向の制御が容易となり、これによって、排気ガスの流れが主の排気方向に沿わされて排気が円滑なものとなる。
【0080】
このような排気ガスの冷却に伴う排気の円滑化と排気の高速化との相乗作用により、本発明の排気促進方法を有効に実施し排気効率をさらに高めることができる。
【0081】
また、排気流制御筒7の内壁に形成された螺旋溝15により、中心流が旋回流となって直進性が向上して絞り10において生成される負圧が高められ、この負圧による外周流の引き込み作用を高めて排気ガスの加速を補助する。
【0082】
さらに、内筒11の内壁に形成された螺旋溝16により排気ガスを螺旋流として直進性を一段と高めて流れを円滑化し、この点からも排気効率を高めることができる。
【0083】
また、排気ガスと、ケーシング6、排気流制御筒7及び内筒11とのそれぞれの接触面積を増加させて、ケーシング6、排気流制御筒7及び内筒11による排気の冷却効果を高めることができる。
【0084】
そして、前記排気流制御筒7をセラミックス材で形成したことにより、セラミックス材の触媒機能を利用して排気ガスの浄化を行なうことができる。
【0085】
また、このように中央部で排気の流れを速めることで、温度を下げて、NOxを低減させ、外周部では排気の流れを遅くして温度を上げ、排気のPMを低減させることができる。これにより、NOx及びPMの双方を低減させることができる。
【0086】
なお、前記実施形態1において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0087】
(実施形態2)
次に、内燃機関の排気系改良方法について、本発明を自動車に適用した例を説明する。
本実施形態2は、排気ガスを触媒装置41で浄化する排気系40(排気管3、触媒装置41、消音器4)を備えた内燃機関2を搭載した自動車1の排気系改良方法に係る発明である。この排気系改良方法は、排気系40の排気端部43に、排気促進装置5を設ける工程と、内燃機関2を駆動させる機関駆動工程と、を含み、機関駆動工程では、内燃機関の駆動を所要時間行うことで、触媒装置41を含む排気系40を洗浄することを特徴としている。
【0088】
このように、排気系40の排気端部43に排気促進装置5を設け、内燃機関2を駆動させることで、排気促進装置5による強力な排気促進作用を発揮させて触媒装置41を含む排気系40を洗浄することが可能になる。即ち、内燃機関2の運転が継続されると、その排気系40及び触媒装置5には、排気ガスに含まれるカーボンや他の有害物質が次第に付着するが、本発明の排気促進装置5を所定の位置に設けて排気を強力に促進させることで、付着したカーボンや他の有害物質を、負圧吸引を含むクリーンな高速排気によって除去する作用を発揮する。この作用は内燃機関2の運転時間が長いほど有効に発揮される。さらに、この作用は機関回転数が高いほど効果的になる。
【0089】
また、触媒装置41を含む排気系40が十分に洗浄された後においては、その触媒装置41を含む排気系40に、カーボンや他の有害物質が付着するのを抑制することができる。それは、排気促進装置5の負圧を利用した強力な負圧吸引作用によって、内燃機関の燃焼室から完全燃焼若しくは完全燃焼に近い排気ガスが排出されて排気系40及び触媒装置41を流れるようになるからである。このとき、負圧吸引作用によって、燃焼室内には完全燃焼に必要な大気も十分に供給され、かつ、燃焼室内の排気ガスも十分に掃気されるからである。したがって、触媒装置41を含む排気系40の洗浄作用を長期間あるいは内燃機関2が使用されなくなるまで維持することができる。しかも、この排気促進装置5は、図示のように機械的な可動部も存在しないため交換不要である。
【0090】
なお、機関駆動工程では、内燃機関2の駆動を1時間以上行うことが好ましい。この機関駆動工程は、触媒装置41を含む排気系40に付着したカーボンや他の有害物質の付着量にも左右されるが、長いほど好ましく、より好ましくは3時間以上であり、特に好ましくは5時間以上である。内燃機関の駆動時間が1時間より短くても、洗浄機能は発揮されるが、その洗浄機能が顕著になるのは1時間以上である。
【0091】
また、機関駆動工程では、触媒装置41を含む排気系40を備えた内燃機関2を搭載した使用過程車を用いて行うことが好ましい。使用過程車の場合、触媒装置41を含む排気系40に付着したカーボンや他の有害物質の付着量が多いからである。このような仕様過程車においては、機関駆動工程を5時間以上行うことが好ましい。そうすれば、付着したカーボンや他の有害物質の付着量を大きく低下させることが可能になる。これにより、カーボンや他の有害物質の付着量を新車時に近い状態に戻すことも可能になる。勿論、CO2、CO、HC、NOx、PM等を含む排気ガスは新車時よりも低く抑えることが可能になる。
【0092】
また、機関駆動工程では、使用過程車を走行又は疑似走行させる工程を含むことが好ましい。
このように、使用過程車の機関駆動工程では、車両を実際に走行させ、あるいは回転ローラの上で疑似走行させるのが好ましい。ただ単に、機関を駆動させて車両を走行させない形態よりも、実際に車輪の回転に負荷をかけた走行形態とする方が、より実用的で無駄がなく、経済性に優れた排気系改良方法とすることができるからである。
【0093】
また、機関駆動工程では、内燃機関2の駆動による走行距離が100km以上となるまで行うことが好ましい。
ここで、内燃機関の駆動による走行距離を100km以上としたのは、使用過程車に配慮したものである。使用過程車の場合、使用年数や、これまでの走行距離などによっても左右されるが、概ね、100km以上の走行距離で試験成績が顕著に向上するからである。勿論、100km以下でも洗浄機能は期待できるが、その機能が十分に発揮されているとは言えない。走行距離が200km、300km、400kmとなるにしたがい、洗浄作用が次第に進行し、500kmを超えた時点でもなお、洗浄作用が進行していることが判明した。500kmを超えて機関駆動工程を実施した使用過程車では、燃費が50%以上向上する車両も複数存在することが判明した。
【0094】
なお、参考のために例示すると、出願人が実施した試験走行によれば、以下に記載の試験結果が得られた。
(1)9年使用の2000cc、LPGエンジン乗用車の排気系端部43に排気促進装置5を装着して、合計400km以上走行した(1回目走行距離137km、2回目走行距離112km、3回目走行距離168km)。その結果、1回目走行の燃費が24.5%、2回目走行の燃費が22.4%、3回目走行の燃費が43.1%にそれぞれ向上した。CO2 削減率は、1回目44.4%、2回目77.0%、3回目78・8%であった。
(2)5年使用の650ccガソリンエンジン乗用車の排気系端部43に排気促進装置5を装着して、合計500km以上走行した(1回目走行距離203km、2回目走行距離254km、3回目走行距離114km)。その結果、1回目走行の燃費が23%、2回目走行の燃費が26.9%、3回目走行の燃費が48.7%にそれぞれ向上した。CO2 削減率は、1回目65.2%、2回目66.9%、3回目64・2%であった。
(3)9年使用の2000cc、LPGエンジン乗用車の排気系端部43に排気促進装置5を装着して、合計900km以上走行した(1回目走行距離409km、2回目走行距離251km、3回目走行距離333km)。その結果、1回目走行の燃費が19.2%、2回目走行の燃費が40.3%、3回目走行の燃費が140.3%にそれぞれ向上した。CO2 削減率は、1回目32.4%、2回目77.9%であった。
【0095】
この試験結果を考察すると、排気促進装置5を装着した走行距離が長いほど、触媒装置41を含む排気系40の洗浄作用が進み、それに伴って排気系40の排圧が低くなり、排気促進効果がより顕著になることが確認できた。
【0096】
なお、本実施形態に係る内燃機関の排気系改良方法では、内燃機関2の排気系40に、上述した排気促進装置5を設けることにより、排気系4に自己洗浄機能を付与することを含む、点においても特徴がある。
【0097】
本実施形態によれば、このように内燃機関2の排気系40に、上述した排気促進装置5を設けるだけで、排気系40に自己洗浄機能を付与することが可能になる。
【0098】
また、本発明は、上述の排気促進装置5を備える内燃機関2が搭載された自動車1を含む点、にも特徴がある。
【0099】
このような機能を持つ自動車は、普通に予期できない、以下のような極めて顕著な作用効果を発揮させることが可能になる。
排気系洗浄機能、燃費向上機能、出力向上機能、機関及び排気系の冷却機能、燃焼室内での燃料の完全燃焼機能、CO2 削減機能、有害ガス低減機能、黒鉛の抑制機能、排気ガスの無臭化、メンテナンスフリー、新たなエネルギ不要、アイドリング時のエンジン回転数が100回転以上低下。
【符号の説明】
【0100】
1 車両
2 内燃機関
3 排気管
4 消音器
40 排気系
41 触媒装置
43 排気端部
5 排気促進装置
6 ケーシング
6a 篏合凹部
61 凹部
62 上流側球面部
63 下流側球面部
64 筒状曲面部
7 排気流制御筒
71 吐出口
72 最大口径部
73 最小口径部
7a 拡径部
7b 縮径部
7c 円筒部
8 冷却筒
9 分流孔
10 絞り
11 内筒
12 外筒
13 通気口
14 連結突起
15 螺旋溝
16 螺旋溝
A 空間部(第2膨張部)
X 際1膨張部
Y 加速部
Z 通風空間部

図1
図2
図3
図4