(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】体内の神経を遮断又は調節するための電極装置
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
A61B18/14
(21)【出願番号】P 2022568994
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 KR2020013772
(87)【国際公開番号】W WO2022071621
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】10-2020-0126817
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522076206
【氏名又は名称】ディープキュア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,チャン ウック
(72)【発明者】
【氏名】ザン,ソク ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ペク,ドゥ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ,ソク ヒョン
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-538054(JP,A)
【文献】特表2012-504432(JP,A)
【文献】特表2020-528288(JP,A)
【文献】特開2003-284722(JP,A)
【文献】特開2010-158566(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0282305(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0141810(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0207467(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0056028(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61B 1/005
A61B 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内の神経を遮断又は調節するための電極装置において、
シャフトを備える本体と、
前記シャフトの一端部から突出して形成され、前記体内の管の少なくとも一部の神経を遮断又は調節する電極ユニットと、
前記電極ユニットと結合され、前記電極ユニットを前記体内の管に接触させるワインディング状態に変形する電極ガイドとを含み、
前記電極ガイドは、前記ワインディング状態で
前記体内の管及び前記電極ユニットから離れており、前記電極ユニットを挟んで前記管の周りに巻き付けられるように配置される複数の関節部
と、前記複数の関節部を順次に貫通し、前記複数の関節部が前記ワインディング状態で配置されるようにガイドするワイヤとを備える、電極装置。
【請求項2】
前記関節部は、
隣り合う
前記関節部と連結される長さ方向
の片側又は両側に形成されるヒンジ部と、
前記ワインディング状態で前記隣り合う関節部と支持されるように前記長さ方向の
片側又は両側に形成されるワインディング支持部とを備える、請求項1に記載の電極装置。
【請求項3】
前記電極ガイドは、前記ワインディング状態で、
隣り合う
前記関節部と連結される長さ方向に第1の長さを有し、第1の曲率半径を形成するように配置される複数の
前記関節部を含む第1の関節群と、
前記長さ方向に
前記第1の関節群の関節部よりも長い第2の長さを有し、前記第1の曲率半径よりも大きい第2の曲率半径を形成するように配置される複数の
前記関節部を含む第2の関節群とを備える、請求項1に記載の電極装置。
【請求項4】
前記関節部は、前記ワインディング状態で、
前記長さ方向に対して前記ワインディング支持部の表面が第1の角度を有し、第1の曲率半径を形成するように配置される複数の
前記関節部を含む第1の関節群と、
前記長さ方向に対して前記ワインディング支持部の表面が前記第1の角度よりも大きい第2の角度を有し、前記第1の曲率半径よりも大きい第2の曲率半径を形成するように配置される複数の
前記関節部を含む第2の関節群とを備える、請求項2に記載の電極装置。
【請求項5】
前記電極ガイドは、前記電極ユニットと結合され、前記複数の関節部によって前記シャフトと連結されるように配置されるチップ関節をさらに備える、請求項1に記載の電極装置。
【請求項6】
前記複数の関節部を順次に貫通
する前記ワイヤは、前記チップ関節に結合され、前記ワインディング状態で前記チップ関節の位置をガイドす
る、請求項5に記載の電極装置。
【請求項7】
前記関節部は、前記ヒンジ部の回転中心から離れた位置に前記長さ方向に形成される貫通孔をさらに備え、
前記
ワイヤは、前記貫通孔に挿入され、隣り合う
前記関節部の間に前記ワインディング支持部が互いに支持される力を提供す
る、請求項2に記載の電極装置。
【請求項8】
前記チップ関節は前記電極ガイドの先端に位置しており、
前記ワインディング状態
において、前記チップ関節に
連結され
、複数の
前記関節部
を有する第1の関節群が形成する曲率半径は、
前記第1の関節群よりも前記シャフトに近
い位置に配置され
、複数の
前記関節部
を有する第2の関節群が形成する曲率半径よりも小さいことを特徴とする、請求項5に記載の電極装置。
【請求項9】
前記複数の関節部は、弾性変形可能な材質にて一体に形成され、前記電極ガイドの互いに隣り合う
前記関節部の間には、前記ワインディング状態で少なくとも一部が閉鎖されるように変形されるワインディング支持溝が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の電極装置。
【請求項10】
前記ワインディング支持溝は、前記電極ガイドの前記電極ユニットに向かう面において楔状を有するように
切り欠かれていることを特徴とする、請求項
9に記載の電極装置。
【請求項11】
前記
ワイヤは
、前記ワインディング状態で前記ワインディング支持溝の少なくとも一部が閉鎖された状態を維持する力を提供す
る、請求項
9に記載の電極装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内の神経を遮断又は調節するための電極装置に関する。
【背景技術】
【0002】
神経遮断術は、非正常に過度に活性化された自律神経系を制御するために特定の神経を損傷させる施術のことを言う。例えば、腎臓神経遮断術は、腎臓に向かう腎臓交感神経を損傷させることで高血圧と心臓疾患を治療し、肺神経遮断術は、肺に向かう副交感神経を損傷させることで肺疾患を治療することができる。
【0003】
神経は、通常、血管、気管支などのような管の外壁に巻き付けられており、このような管の外壁に巻き付けられて神経の信号を測定したり、当該神経に電気刺激を伝達したり、様々なエネルギーを伝達して神経を損傷又は破壊させることが必要となることがある。
【0004】
例えば、腎動脈に施術を進行する場合、施術対象となる主腎動脈(main renal artery)の直径は5~7mmであり、直径が1~2mmである副腎動脈(accessory renal artery)を対象にすることもある。また、神経が分布している管は人によってその大きさが様々であり、位置によってその大きさが変わる。
【0005】
このような施術を実施するにおいて、カテーテルの末端に形成される電極を含む構成要素を、管の外壁に巻き付けられるように精巧に位置させることが重要である。具体的に、神経を効果的に遮断あるいは調節するためには、神経が分布している管の外壁を周方向に巻き付けなければならず、管の中間に電極が形成された構成要素を巻き付ける状態で配置する動作が確実で且つ迅速に行われる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、複数の単位要素が互いに連結されて変形されることにより、電極が体内の管の周りに巻き付けられる形態に配置されるようガイドする構成を有する電極装置を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、複数の単位要素が連結されて変形される構成が、電極が体内の管の周りに完全に巻き付けられるように変形される構成を有する電極装置を提供することである。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、複数の単位要素が連結された電極をガイドする構成が、組み立てなしに1つの部材から製造され得る電極装置を提供することである。
【0009】
但し、本実施例が解決しようとする技術的課題は、上記したような技術的課題に限定されるものではなく、また他の技術的課題が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一目的を達成するために、本発明に係る電極装置は、体内の神経を遮断又は調節するためのものであり、シャフトを備える本体と、当該シャフトの一端部から突出して形成され、当該体内の管の少なくとも一部の神経を遮断又は調節する電極ユニットと、当該電極ユニットと結合され、当該電極ユニットを当該体内の管に接触させるワインディング状態に変形する電極ガイドとを含み、当該電極ガイドは、当該ワインディング状態で当該電極ユニットを挟んで当該管の周りに巻き付けられるように配置される複数の関節部を備える。
【0011】
当該関節部は、隣り合う関節部と連結される長さ方向へ一側又は両側に形成されるヒンジ部と、当該ワインディング状態で当該隣り合う関節部と支持されるように当該長さ方向の一側又は両側に形成されるワインディング支持部とを備えても良い。
【0012】
本発明の他の目的を達成するために、当該電極ガイドは、当該電極ユニットと結合され、当該複数の関節部によって当該シャフトと連結されるように配置されるチップ関節をさらに備えても良く、当該ワインディング状態で当該チップ関節に近く配置される複数の関節部が形成する曲率半径は、当該シャフトに近く配置される複数の関節部が形成する曲率半径よりも小さくても良い。
【0013】
本発明のさらに他の目的を達成するために、当該複数の関節部は、弾性変形可能な材質にて一体に形成され、当該電極ガイドの互いに隣り合う関節部の間には、当該ワインディング状態で少なくとも一部が閉鎖されるように変形されるワインディング支持溝が形成されても良い。
【0014】
上述した課題を解決するための手段は、単なる例示であり、本発明を制限する意図で解釈されてはならない。上述した例示的な実施例の他にも、図面及び発明の詳細な説明に記載された追加の実施例が存在し得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電極装置によれば、管の外面に電極を密着させてエネルギーを効率的に伝達するために、電極ガイドをワインディング状態に変形させる関節部駆動方式によって電極ユニットの位置を確実に調節することができる。
【0016】
さらに、本発明に係る電極装置によれば、関節部の長さ又は形状を互いに異なるように形成することによって、ワインディング状態の電極ガイドの形状を精密に設計することができ、電極ガイドが体内の管に完全に巻き付けられるように位置させることができる。これにより、神経を遮断又は調節する施術が効果的に実施されることができる。
【0017】
一方、本発明に係る電極装置によれば、複数の関節部の駆動を具現しつつ、関節部が一体からなる電極ガイドが形成されることによって、電極装置の製造プロセスの単純化及び製品の小型化が可能となり、製造コストを節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施例に係る電極装置の側面図である。
【
図2】
図1に示す電極ガイドのワインディング状態を示す斜視図である。
【
図3a】本発明の一実施例に係る電極ガイドがワインディング状態に変形する過程を示す図である。
【
図3b】本発明の一実施例に係る電極ガイドがワインディング状態に変形する過程を示す図である。
【
図3c】本発明の一実施例に係る電極ガイドがワインディング状態に変形する過程を示す図である。
【
図4】
図2に示す関節部及びチップ関節を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示す関節部の一部の分解斜視図である。
【
図7】本発明の他の実施例に係る電極ガイドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、添付した図面を参照しながら、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳しく説明する。ところが、本発明は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0020】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味し、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除するものではないと理解されなければならない。さらに、本願の明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0021】
図1は、本発明の一実施例に係る電極装置の側面図であり、
図2は、
図1に示す電極ガイドのワインディング状態を示す斜視図である。
図3a乃至
図3cは、本発明の一実施例に係る電極ガイドがワインディング状態に変形する過程を示す図である。また、
図4は、
図2に示す関節部及びチップ関節を示す斜視図であり、
図5は、
図4に示す関節部の一部の分解斜視図であり、
図6は、
図4に示す関節部の一部の側面図である。
【0022】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係る電極装置100は、本体110と、電極ユニット120と、電極ガイド130とを含む。本体110は、一方向に伸びるシャフト111と、シャフト111と連結されて施術者が把持できるように形成されるグリップ部112と、グリップ部112に形成されて電極ガイド130の動作を操作するガイド操作部113と、グリップ部112に形成されて電極ユニット120の動作を操作する電極操作部114とを含んでいても良い。本体110の内部には、電極ユニット120及び電極ガイド130を駆動し、制御する要素が配置されても良い。
【0023】
電極ユニット120は、シャフト111の一端部から突出して形成され、施術者の操作などによって体内の管を含む組織に分布した神経の少なくとも一部を遮断あるいは調節するように構成される。
【0024】
図2を参照すると、電極ユニット120は、基板部121と、電極部122と、センサ部123とを含んでいても良い。本発明に係る電極装置100は、体内の管又は管状の組織Vの外面に電極が巻き付けられ、電極を介してエネルギーを伝達しても良く、そのために、基板部121は、可撓性の軟性回路基板(FPCB)からなっていても良い。
【0025】
電極部122は、基板部121上に形成されるものであり、
図2の実施例において、電極部122は、基板部121上で互いに平行に伸びる2つの電極により構成されても良い。本実施例において、基板部121及び電極部122は、体内の管などに円周方向に伸びて巻き付けられるように構成されても良い。
【0026】
電極部122は、神経を遮断(block or denervation)あるいは調節(control or modulation)するために、例えば、ステンレススチール、金などのように人体に無害で且つ電気を伝達できる素材からなっていても良い。また、電極部122は、エネルギーソース生成器からの様々なタイプのエネルギーを伝達しても良い。例えば、高周波エネルギー(radio-frequency(RF) energy)、電気エネルギー、レーザエネルギー、超音波エネルギー(ultrasonic energy)、集束超音波エネルギー(high-intensity focused ultrasound energy)、極低温エネルギー(cryogenic energy)、及びその他の熱エネルギーが利用されても良い。
【0027】
また、電極部122は、高周波エネルギーを伝達するための軟性回路基板(Flexible PCB)、超音波エネルギーを伝達するためのトランスデューサ、高い高電圧エネルギーを伝達するための金属電極などに具現され、神経を損傷させるためのエネルギーを伝達しても良い。
【0028】
また、基板部121上には、センサ部123が形成されても良い。一例において、センサ部123は、体内の管などに接触して温度を測定する熱電対(thermocouple)であっても良く、本発明に係る電極装置100によって神経切断術が施される際、センサ部123は、施術部位の温度をモニタリングしても良い。他の例において、センサ部123は、管の神経の信号を測定しても良い。
【0029】
電極ガイド130は、電極ユニット120を体内の管に接触させる機能を行う。電極ガイド130は、電極ユニット120と結合して電極ユニット120を体内の管に接触させるワインディング状態に変形される。
【0030】
図3a乃至
図3cと
図4をさらに参照すると、ワインディング状態への変形を具現するために、本発明に備えられる電極ガイド130は、複数の関節部131を備える。複数の関節部131は、ワインディング状態で電極ユニット120を挟んで体内の管Vの周りに巻き付けられるように配置される。例えば、
図2及び
図3cに示された状態がワインディング状態であっても良い。
【0031】
本発明に係る電極装置100によると、体内の管の外面に電極部122を密着させてエネルギーを効率的に伝達するために、電極ガイド130をワインディング状態に変形させる動作が関節部131駆動方式によって具現されても良い。関節タイプの動作方式によることで、従来の形状記憶素材などによる方式に比べて電極ガイド130の動作時点と形状を直接制御することができ、繰り返し動作の信頼性が向上することができる。従って、本発明に係る電極装置100を利用してカスタマイズされた細密な施術が可能となる。
【0032】
本発明の一実施例によると、電極ガイド130は、電極ユニット120と共にシャフト111の内部に収容されていて、施術のために一端部から前方Fに向けて引き出されながらワインディング状態に変形されても良い。
図3a乃至
図3cに示すように、複数の関節部131は、順次に引き出されながら一側に向けて移動され、全体的に管Vに巻き付けられるワインディング状態になっても良い。但し、ワインディング状態において電極ガイド130は管の外周面と離れて位置され、電極ガイド130の巻き付けられた内側に配置される電極ユニット120が管Vの外周面に密着されても良い。
【0033】
以下では、
図5及び
図6をさらに参照しながら、電極ガイド130及び関節部131の詳細構成について説明することとする。
【0034】
電極ガイド130は、チップ関節132と、ワイヤ133とをさらに含んでいても良い。チップ関節132は、複数の関節部131によってシャフト111と連結され、電極ユニット120と結合されても良い。
図3cに示すように、チップ関節132は、ワインディング状態で体内の管Vに近接して位置されても良く、電極ユニット120との干渉を防止したり、体内の管に巻き付けられる面を極大化するよう、末端部に行くほど幅又は厚さが薄くなる形状を有しても良い。チップ関節132は、電極ユニット120の端部が締結されて固定され得る構造を有しても良い。
【0035】
ワイヤ133は、複数の関節部131を順次に貫通するように形成されても良い。
図5を参照すると、ワイヤ133を貫通するために、関節部131には、長さ方向へ貫通孔131cが形成されても良い。貫通孔131cを順次に貫通したワイヤ133の端部は、チップ関節132に結合されて固定されても良く、ワイヤ133は、貫通孔131c内において長さ方向へ各関節部131に対してスライド可能である。これにより、ワイヤ133は、複数の関節部131及びチップ関節132がワインディング状態に配置されるようにガイドし、ワインディング状態でチップ関節132及び複数の関節部131を支持することができる。
【0036】
一方、関節部131は、ヒンジ部131aと、ワインディング支持部131bとを備えても良い。ヒンジ部131aは、隣り合う関節と回転可能な連結のための構成であり、関節部131が並んで連結される長さ方向へ一側又は両側に形成されても良い。図面に示すように、ヒンジ部131aは、長さ方向と交差する方向に回転軸を形成し、隣り合う関節部131のヒンジ部131aと連結されても良い。各ヒンジ部131aには、回転軸が形成される方向にヒンジピン(未図示)が挿入されることで締結されても良い。
【0037】
ワインディング支持部131bは、ワインディング状態を支持するための構成であり、隣り合う関節部131と互いに支持されるよう長さ方向の一側又は両側に形成されても良い。図面に示すように、ワインディング支持部131bは、電極ガイド130の内側(関節部131に巻き付けられる)方向へヒンジ部131aと隣り合う位置に形成されても良い。ワインディング支持部131bは、例えば、予め設定された角度及び面積を有する面からなっていても良く、ワインディング状態で隣り合うワインディング支持部131bと面接触して支持されることにより、電極ガイド130のワインディングされた形態が固定されても良い。
【0038】
図3a及び
図3cの実施例において、電極ガイド130に比べて相対的にワイヤ133が後方へ引かれた場合(ワイヤ133がシャフト111から引き出される長さが電極ガイド130に比べて小さい場合)、ワイヤ133には、電極ガイド130をワインディングする方向へ張力が加えられても良い。それに対し、ワインディング支持部131bは、電極ガイド130がワインディングされることを抑制する方向に関節部131の互いを支持する力を提供しても良い。つまり、ワイヤ133とワインディング支持部131bとが互いに反対方向へ力のバランスをなすことによって、電極ガイド130がワインディング状態で固定されても良い。
【0039】
より具体的に、貫通孔131cは、ヒンジ部131aの回転中心から内側(
図6において上側方向)に離れた位置に形成されても良い。チップ関節132に端部が固定されたワイヤ133が相対的に後方(
図6において右側方向)へ引かれた場合、複数の関節部131は、全体的に内側へ曲がるように配置されても良い。ヒンジ部131aを中心に関節部131が隣り合う関節部131に対して回転され、ワインディング支持部131bが互いに接触されれば、複数の関節部131の位置が固定されてワインディング状態になっても良い。このとき、ワイヤ133は、ワインディング支持部131bが互いに支持される力(張力)を提供しても良い。
【0040】
以上のように、ワイヤ133及びワインディング支持部131bによってワインディング状態における位置変化が抑制されることにより、本発明に係る電極装置100の電極ガイド130は、施術中に正確な位置を維持することができる。
【0041】
以下では、関節部131の形状の違いによってワインディング状態で電極ガイド130の形状を設定することができる実施例を説明することとする。
【0042】
本発明の一実施例によると、電極ガイド130は、第1の関節群131xと、第2の関節群131yとを含んでいても良い。つまり、複数の関節部131は、互いに異なる形状を有する第1の関節群131xと第2の関節群131yとに分けられても良い。
【0043】
図2乃至
図6の実施例において、第1の関節群131xは、長さ方向に第1の長さL1を有する関節部131を含み、第2の関節群131yは、第1の長さL1よりも長い第2の長さL2を有する関節部131を含んでいても良い。本実施例において、第1の関節群131xと第2の関節群131yとはそれぞれ、長さの同一な例えば6つの関節部131を含んでいても良い。
【0044】
このような長さの違いにより、ワインディング状態で、第1の関節群131xは第1の曲率半径を形成し、第2の関節群131yは第1の曲率半径よりも大きい第2の曲率半径を形成することができる。
図3cから分かるように、相対的に短い長さを有する関節部(第1の関節群131x)が小さい曲率半径を形成し、長い長さを有する関節部(第2の関節群131y)が大きい曲率半径を形成することができる。
【0045】
より具体的に、第1の曲率半径を形成する第1の関節群131xはチップ関節132に近い側に、第2の曲率半径を形成する第2の関節群131yはシャフト111に近い側に配置されても良い。
【0046】
ワインディング状態でチップ関節132に近い側に配置された関節部131がより小さい曲率半径を形成すれば、
図3cに示すように、体内の管とシャフト111との間の空間にチップ関節132が進入する経路が作られることができる。例えば、関節部131を含む電極ガイド130が全体的に螺旋状を有していても良い。
【0047】
このように、本発明に係る電極装置100は、複数の関節部131の長さ設計を通じて、ワインディング状態の電極ガイド130の形状を容易で且つ精密に設定することができる。また、ワインディング状態の形状の優れた繰り返し再現性を確保することができる。さらに、曲率半径を変化させて電極ガイド130がワインディング状態で体内の管に完全に巻き付けられるように位置させることができるので、1回の施術で管の周りの神経を全体的に遮断又は調節することができ、施術効果を高めることができる。
【0048】
上述した
図2乃至
図6の実施例は、ワインディング状態で全ての関節部131が隣り合う関節部131に対して傾斜した角度が何れも一定であることを前提にしたものである。具体的に、関節部131は、隣り合う関節部131に対して例えば30度の角度で長さ方向に交差して配置されても良い。そのために、各関節部131のワインディング支持部131bの表面が長さ方向に対して例えば75度の傾斜角θ1、θ2を有しても良い。
【0049】
一方、本発明の電極ガイド130には、関節部131の長さが同一であることを前提に複数の曲率半径を有するワインディング状態を具現する他の例があっても良い。上述したように、ワインディング状態で互いに隣り合う関節部131の傾斜した角度は、各関節部131の設計においてワインディング支持部131bの表面が関節部131の長さ方向に対して傾斜した角度により決定しても良い。
【0050】
具体的に、第1の関節群は、ワインディング支持部の表面が長さ方向に対して第1の角度を有する関節部を含み、第2の関節群は、ワインディング支持部の表面が第1の角度よりも大きい第2の角度を有する関節部を含んでいても良い。これにより、第1の角度を有する第1の関節群がワインディング状態で第1の曲率半径を有する際、第2の角度を有する第2の関節群は、第1の曲率半径よりも大きい第2の曲率半径を有するように配置されることができる。
【0051】
これにより、全ての関節部の長さを互いに同一に形成しても、ワインディング支持部を異ならせて設計することによって、曲率半径が同一でないワインディング状態を具現することができる。
【0052】
上記では、関節部131が2つの関節群により形成される実施例を説明したが、形状がそれぞれ異なる2つ以上の関節群を有するように電極ガイド130を設計することによって、より精巧なワインディング経路を設計することも可能である。
【0053】
図7は、本発明の他の実施例に係る電極ガイド230の斜視図である。以下では、本発明の電極ガイド230の関節部231が一体に形成される実施例について説明することとする。
【0054】
本発明の他の実施例に係る電極ガイド230の関節部231は、弾性変形可能なポリマーなどの材質からなり、複数の関節部231が一体に形成される、例えば、リビングヒンジ(living hinge)構造を有しても良い。
【0055】
図7に示すように、各関節部231は、長さ方向に互いに隣り合う関節部231と一体をなしても良く、互いに隣り合う関節部231の間にはワインディング支持溝231bが形成されても良い。ワインディング支持溝231bは、ワインディング状態では溝の空間の少なくとも一部が縮小又は閉鎖されても良い。
【0056】
具体的に、ワインディング支持溝231bは、電極ガイド230の内側面(電極ユニット120に向かう面)において楔状にリセスされるように形成されても良い。ワインディング状態で楔状のワインディング支持溝231bは、側面が互いに接触して支持されても良い。
【0057】
また、本発明の他の実施例における電極ガイド230は、ワイヤ233をさらに含んでいても良い。ワイヤ233は、複数の関節部231を順次に貫通するように形成されても良い。上述した実施例と同様に、ワイヤ233は、電極ガイド230に比べてシャフト111から短い距離に引き出されることによって、電極ガイド230が管に巻き付けられる形状に変形することをガイドすることができ、ワインディング支持溝231bの少なくとも一部が閉鎖されて支持される力を提供することができる。
【0058】
本発明の他の実施例に係る電極ガイド230によれば、確実な動作を保障する関節部の駆動を具現しつつ、電極ガイド230を一体に製造することができる。関節要素を個別に製造してから組み立てる過程が不要であるので、製造プロセスの単純化、製品の小型化及び製造コストの節減が可能となる。
【0059】
上述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。
【0060】
また、本発明の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。