(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ロボット用小型アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B25J 17/00 20060101AFI20240404BHJP
F16H 57/023 20120101ALI20240404BHJP
【FI】
B25J17/00 E
F16H57/023
(21)【出願番号】P 2022569613
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 US2021033279
(87)【国際公開番号】W WO2021236858
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】10-2020-0060253
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522445527
【氏名又は名称】ロボティズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ROBOTIS, INC.
【住所又は居所原語表記】26228 Enterprise Ct. Lake Forest,CA 92630,United States
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビョン ス
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ウク
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ウン グォン
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01616607(EP,A1)
【文献】特開2014-084924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
F16H 57/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータと、前記駆動モータの回転を連続的に減速してトルクを増加させる複数の減速ギヤと、を含む、中間ケースと;
貫通孔を有し、前記減速ギヤのうち終減速ギヤの一部が前記貫通孔を通過して外側に突出する、フロントケースと;
前記中間ケースに結合され、隅領域に形成された少なくとも1つのタッピング孔を有するリアケースを含む、ハウジングと;
タッピング孔を有し、背面に形成された円形状のガイド壁により囲まれた内部空間に前記突出した終減速ギヤを挿入することで前記突出した終減速ギヤに接続され、最終減速比で回転する、回転部と;
前記回転部の前記タッピング孔を貫通し、前記突出した減速ギヤの回転軸に締結される、第1タッピングねじと;
前記フロントケース及び前記中間ケースの一側を貫通し、前記リアケースの前記タッピング孔に締結される、少なくとも1つの第2タッピングねじと;を備え
、
前記減速ギヤは、
前記駆動モータのギヤと噛み合う第1減速ギヤと、
前記第1減速ギヤと噛み合う第2減速ギヤと、
前記第2減速ギヤと噛み合う第3減速ギヤと、
前記第3減速ギヤと噛み合う第4減速ギヤと、を含み、
前記第1減速ギヤの半径は、前記駆動モータの半径以上であり、前記第2減速ギヤの半径は、前記第1減速ギヤの半径以上であり、前記第3減速ギヤの半径は、前記第2減速ギヤの半径以上であり、前記第4減速ギヤの半径は、前記第3減速ギヤの半径以上であり、
前記第1及び第2の減速ギヤ回転軸間の第2軸間距離は、前記駆動モータの回転軸と前記第1減速ギヤの回転軸との間の第1軸間距離以上であり、前記第2及び第3の減速ギヤの回転軸間の第3軸間距離は、前記第2軸間距離以上であり、前記第3及び第4の減速ギヤの回転軸間の第4軸間距離は、前記第3軸間距離以上であり、
前記駆動モータのギヤと前記第1減速ギヤとの間の第1減速比は2.5~3.5であり、前記第1減速ギヤと前記第2減速ギヤとの間の第2減速比は1~2であり、前記第2減速ギヤと前記第3減速ギヤとの間の第3減速比は3.5~4.5であり、前記第3減速ギヤと前記第4減速ギヤとの間の第4減速比は4~5であり、
前記駆動モータのギヤと前記第4減速ギヤとの間の総減速比は、50~150であり、
前記ハウジングの幅が15~20mmであり、前記ハウジングの長さが20~25mmであり、前記ハウジングの高さが30~35mmであり、
前記ハウジングの幅、長さ及び高さの中で最長値と最短値との比が1.5~2.5である
ことを特徴とするロボット用小型アクチュエータ。
【請求項2】
前記第1~第4の減速ギヤは、駆動ギヤと被駆動ギヤとが一体に製造されたデュアルギヤである
請求項1に記載のロボット用小型アクチュエータ。
【請求項3】
前記突出した終減速ギヤは、前記ガイド壁により囲まれた前記内部空間に着座し、前記ガイド壁の内周に形成されたギヤと噛み合う
請求項1に記載のロボット用小型アクチュエータ。
【請求項4】
前記突出した終減速ギヤの回転軸に挿通され、前記フロントケースの背面の前記貫通孔内に挿入され、前記貫通孔の内周に沿って形成された係止段部と、前記突出した終減速ギヤとの間で密着する、軸受をさらに備える
請求項1に記載のロボット用小型アクチュエータ。
【請求項5】
前記突出した終減速ギヤの回転軸の一側に形成された固定突起は、前記回転部の前記タッピング孔の一側に延びる固定孔に挿入される
請求項1に記載のロボット用小型アクチュエータ。
【請求項6】
前記フロントケース及び前記中間ケースはアルミニウム製であり、前記リアケースはエンジニアリングプラスチック製である
請求項1に記載のロボット用小型アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年5月20日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0060253号に基づく優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ロボット用小型アクチュエータに関し、より詳細には、駆動モータの動力伝達過程における動力損失を低減し、小型化及び軽量化できるロボット用小型アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0003】
ロボットは、産業用ロボットからヒューマノイドロボットに至るまで様々な用途に使用されており、動力を与えるアクチュエータを用いて様々な関節動作を行う。
【0004】
ロボット技術の急速な発展により、これまで産業用途に限られていたロボットの利用範囲が他の分野へと拡大し、近年のロボット技術と人工知能技術の融合により、ロボットの利用範囲は産業分野だけでなく、家庭用や教育用にも拡大しつつある。
【0005】
ロボットを駆動するためのキーモジュールは、関節に動力を供給するアクチュエータである。アクチュエータは、ギヤなどの様々な動力伝達部材を介して、ロボットの関節の直線運動と回転運動を引き起こす。ロボットは、アクチュエータに搭載されたモータのトルクを使用して関節を動かすため、モータによる駆動力を増やし、関節を動かすのに十分な力を与える減速機(reducer)を必要とする。減速機には、ギヤ式減速機、電動ボール式減速機、サイクロイド減速機が使用されている。
【0006】
アクチュエータは、適用対象に応じて様々なサイズで製造でき、ロボットの構造に応じて、機械的な接続と組み立てを通じて所望の位置に設置する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、狭いハウジング空間内で減速ギヤを使用して小型モータの回転からロボットアームを動作させるのに必要なトルクを生成できるロボット用小型アクチュエータを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、小型化及び軽量化できるロボット用小型アクチュエータを提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、適用対象、ロボット構造などに応じて様々な減速比を生成できるロボット用小型アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるロボット用小型アクチュエータは、駆動モータと、前記駆動モータの回転を連続的に減速してトルクを増加させる複数の減速ギヤと、を含む、中間ケースと;貫通孔を有し、前記減速ギヤのうち終減速ギヤの一部が前記貫通孔を通過して外側に突出する、フロントケースと;前記中間ケースに結合され、隅領域に形成された少なくとも1つのタッピング孔を有するリアケースを含む、ハウジングと;タッピング孔を有し、背面に形成された円形状のガイド壁により囲まれた内部空間に前記突出した終減速ギヤを挿入することで前記突出した終減速ギヤに接続され、最終減速比で回転する、回転部と;前記回転部の前記タッピング孔を貫通し、前記突出した減速ギヤの回転軸に締結される、第1タッピングねじと;前記フロントケース及び前記中間ケースの一側を貫通し、前記リアケースの前記タッピング孔に締結される、少なくとも1つの第2タッピングねじと;を含む。
【0011】
本発明の上記及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面を参照してその例示的な実施形態を詳細に説明することにより、当業者にはより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による小型アクチュエータを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるアクチュエータを示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるアクチュエータのケース間の締結関係を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるアクチュエータの減速ギヤと減速ギヤとの噛み合い関係を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるアクチュエータのフロントケースと中間ケースとの締結関係を示す図である。と
【
図6】本発明の一実施形態によるフロントケースと回転部との締結関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明について説明する。しかし、本発明は、様々な別の実施形態で実施されてもよく、本明細書で説明する実施形態に限定されるものではない。また、図面においては、本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通して、同様の部分には同様の参照符号を付している。
【0014】
明細書の全般に亘って、第1部分が第2部分と「接続(アクセス、接触、結合)」されているとしたとき、これは、第1部分が第2部分に「直接的に接続」されている場合のみならず、第1部分が第3部分を間に挟んで第2部分に「間接的に接続」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含んでいてもよいということを意味する。
【0015】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために使われるものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除するものではない。
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明によるロボット用小型アクチュエータについて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による小型アクチュエータを示す図である。
【0018】
図1Aは、アクチュエータ100の右側面図であり、
図1Bは、アクチュエータ100の平面図である。
図1Bは、アクチュエータ100の平面図である。
図1Cは、アクチュエータ100の前面を示す斜視図であり、
図1Dは、アクチュエータ100の背面を示す斜視図である。
【0019】
図示のように、アクチュエータ100のハウジングは、フロントケース120、中間ケース140、及びリアケース160を含む。
【0020】
フロントケース120の外側には、ハウジングの内側から伝達されるトルクによって作動する回転部170が接続される。
【0021】
図示していないが、中間ケース140の内部には、駆動モータと、駆動モータの回転を連続的に減速してトルクを増加させる複数の減速ギヤとが装着される。最後に、一部の減速ギヤは、フロントケース120を介して外部に露出し、露出した部分は回転部170に接続される。
【0022】
回転部170は、アクチュエータ100内部で発生したトルクを最終的に受けて、そのトルクを他の外部ロボットモジュールに伝達するモジュールである。回転部170は、回転部170の中心を貫通し、最終出力軸である終減速ギヤの回転軸に締結される第1タッピングねじ180を介して終減速ギヤに接続される。これにより、回転部170は、終減速ギヤと同じ速度で回転する。
【0023】
リアケース160は、フロントケース120の四隅に設けられた接続孔(図示せず)を介して、フロントケース120及び中間ケース140に挿通された第2タッピングねじ182に締結される。つまり、フロントケース120、中間ケース140、及びリアケース160は、第2タッピングねじ182によって結合される。
【0024】
このように、タッピングねじ180、182を用いてアクチュエータハウジングを組み立てるタッピング構造を適用することにより、ナットが別途必要なフランジ構造を適用する場合に比べて、アクチュエータ100を軽量化することができる。
【0025】
第1動力源である駆動モータは、回転により継続的に発熱し、フロントケース120と中間ケース140との間に設けられた複数の減速ギヤが噛み合いながら回転することで、摩擦により発熱する。したがって、フロントケース120及び中間ケース140は、高い熱伝導率と高い放熱性を有するアルミニウムから形成されてもよい。
【0026】
一方、互いに結合された中間ケース140とリアケース160との間にはオープンエリア190が提供され、駆動モータの熱がオープンエリア190を通じて直接的に放出されるため、リアケース160は、エンジニアリングプラスチックで製造されて製品の重量を減らすことができる。エンジニアリングプラスチックは、機械的強度、耐熱性、耐摩耗性が高く、製品の軽量化に有利な材料である。エンジニアリングプラスチックには、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド(PRO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などがある。
【0027】
ここで、提示したケース120、140、160の材質は一例に過ぎず、異なる種類の材質でできていてもよいし、同じ材質でできていてもよい。
【0028】
中間ケース140とリアケース160との間のオープンエリア190は、内部熱の放熱に加えて、電源信号と制御信号を送受信するための駆動モータの端子と電線とを接続する空間として使用される。
【0029】
小型アクチュエータ100は、小型ロボットなどの小型装置に適用されるため、小型アクチュエータ100は、より少ない空間を占めるように最小サイズを有する必要がある。しかし、駆動モータと、駆動モータの回転を減速してトルクを増加させる減速ギヤとを装着する必要があるため、駆動モータと減速ギヤを考慮して3次元寸法(three-dimensional size)が決定される。
【0030】
本発明の一実施形態による小型アクチュエータ100は、駆動モータと減速ギヤの半径と配置を考慮して、幅L1が15~20mm、長さL2が20~25mm、高さH1が30~35mmを有するように製造されることが望ましい。この数値範囲は、アクチュエータハウジング内に装着された減速ギヤの半径と、減速ギヤの回転軸間の軸間距離とを考慮して得られる。
【0031】
本発明の一実施形態において、アクチュエータハウジングは、幅L120mm、長さL223mm、及び高さH134mmを有するように製造され得る。
【0032】
一方、アクチュエータ100は、幅、長さ、高さを含む3次元構造を有するモジュールであるため、体積が増えたり、ハウジングの面間の面積不均衡が増えたりすると、他のモジュールとの組み付け性が低下するおそれがある。
【0033】
例えば、幅/長さ、幅/高さ、長さ/高さなどの3つの要素の比率が減少すると、ハウジングの6つの面間の面積不均衡は減少するが、体積は増加し、また、3つの要素の比率が増加すると、ハウジングの体積は減少するが、6つの面間の面積不均衡は増加する。したがって、ハウジングの体積を減らし、同時に面積不均衡を減らすためには、幅、長さ、高さの3つの要素の比率を効率的に設定する必要がある。
【0034】
本発明の一実施形態では、アクチュエータハウジングの幅、長さ、及び高さの中で最長値/最短値の比を1.5~2.5に設定することで、ハウジングの体積を減らしながら面間の面積不均衡を減らし、これにより他のモジュールとの組み付け性を向上させることができる。
【0035】
アクチュエータハウジングの幅、長さ及び高さの数値範囲及びそれらの間の比率の範囲が上記に示されているが、これは一つの例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
図2は、本発明の一実施形態によるアクチュエータの分解斜視図である。
【0037】
図2Aは、フロントケース220、中間ケース240、リアケース260の間の結合関係を示す正面斜視図であり、
図2Bは、フロントケース220、中間ケース240、リアケース260の間の結合関係を示す背面斜視図である。
【0038】
図において、フロントケース220には貫通孔222が設けられ、中間ケース240には駆動モータ241と第1~第4の減速ギヤ245~248が装着されている。
【0039】
回転部270には、タッピング孔272と接続孔274とが形成されている。タッピング孔272は、第1タッピングねじが挿入されて締結される空間であり、接続孔274は、ロボットの他のモジュールに結合されて回転部270のトルクを他のモジュールに伝達する部分である。
【0040】
中間ケース240には、動力源として機能する駆動モータ241と複数の減速ギヤ245~248とが装着されている。中間ケース240の一方の内側に装着された駆動モータ241が回転すると、駆動モータ241の回転軸に固定された固定ギヤ243と噛み合う第1減速ギヤ245の被駆動ギヤ245aが、駆動モータ241の回転とは逆方向に回転し、被駆動ギヤ245aと一体の駆動ギヤ245bが一緒に回転する。第2減速ギヤ246の被駆動ギヤ246aは、第1減速ギヤ245の駆動ギヤ245bと噛み合って第1減速ギヤ245の回転とは逆方向に回転し、被駆動ギヤ246aと一体の駆動ギヤ(図示せず)が一緒に回転する。このようにして、駆動モータ241の動力は、第3減速ギヤ247を介して第4減速ギヤ248に伝達される。
【0041】
アクチュエータ100の駆動モータ241に減速ギヤ245~248を接続するのは、小型駆動モータ241の回転速度を減速させてロボットアームを駆動するのに十分なトルクを得るためである。
【0042】
駆動モータ241及び減速ギヤ245~248が装着された中間ケース240と、フロントケース220とが結合されると、第4減速ギヤ248がフロントケース220の貫通孔222を通過して外側に突出する。突出した第4減速ギヤ248は、回転部270に接続して、一定の減速ギヤ比で増加したトルクを伝達する。
【0043】
一方、第4減速ギヤ248の回転軸にはプラスチック製の軸受230が挿入されており、フロントケース220と中間ケース240とが結合されると、フロントケース220の貫通孔222と第4減速ギヤ248とが互いに密着する。したがって、第4減速ギヤ248が回転すると、軸受230は、第4減速ギヤ248が円滑に回転するように、摩擦を低減する。
【0044】
図3は、本発明の一実施形態によるアクチュエータのケース間の締結関係を示す分解斜視図である。
【0045】
【0046】
図示のように、フロントケース320と中間ケース340とが結合されると、中間ケース240に装着された第4減速ギヤ348は、フロントケース320の貫通孔を通過して外側に突出し、第4減速ギヤ340の外側突出部は、回転部370に接続される。ここで、第1タッピングねじ380は、回転部370のタッピング孔372を通過して第4減速ギヤ348のタッピング孔348dに締結され、これにより第4減速ギヤ348と回転部370とが接続される。したがって、第1~第4の減速ギヤによって増加したトルクが回転部370に伝達される。
【0047】
一方、フロントケース320の四隅領域にはそれぞれ接続孔324が形成され、中間ケース340の四隅領域にはそれぞれ接続孔349が形成されている。第2タッピングねじ382は、接続孔324、349を介してフロントケース320、中間ケース340及びリアケース360を通過し、リアケース360に形成されたタッピング孔362に締結される。つまり、フロントケース320、中間ケース340及びリアケース360は、第2タッピングねじ382により結合されてアクチュエータハウジングを構成する。
【0048】
図4は、本発明の一実施形態によるアクチュエータの減速ギヤと減速ギヤとの噛み合い関係を示す図である。
【0049】
図4Aは、駆動モータの回転を一定の減速比で減速させて所望のトルクを得るための減速ギヤ間の噛み合い関係を示す図であり、
図4Bは、それぞれの減速ギヤを示す図である。
【0050】
図示のように、固定ギヤ443は、アクチュエータ100に動力を供給する駆動モータ441の回転軸442に接続されている。固定ギヤ443は第1減速ギヤ445と噛み合い、第1減速ギヤ445は第2減速ギヤ446と噛み合う。また、第2減速ギヤ446は第3減速ギヤ447と噛み合い、第3減速ギヤ447は終減速ギヤである第4減速ギヤ448と噛み合う。第1~第4の減速ギヤ445~448は、それぞれ、動力を伝達する駆動ギヤと、動力を受ける被駆動ギヤとが1組に一体化されたデュアルギヤである。これは、小型アクチュエータの狭い空間内でトルクを効率的に増加させるための構成である。
【0051】
第1~第4の減速ギヤ445~448を構成する駆動ギヤ及び被駆動ギヤは、スパーギヤ(spur gear:平歯車)として構成してもよいが、これに限定されるものではない。
【0052】
第4減速ギヤ448は、フロントケースを介して接続された回転部と、2つのコンポーネント間で回転を同期させる2つの構造とを有する。まず、第4減速ギヤ448の第4駆動ギヤ448bが回転部に形成されたギヤと噛み合い、これにより2つのコンポーネント間の回転が同期する。また、第4駆動ギヤ448bの回転軸の一方の側には、回転部の孔構造に挿入されて第4減速ギヤ448及び回転部の回転を同期させる固定突起448cが形成される。さらに、第4駆動ギヤ448bの回転軸には、回転部と締結するタッピング孔488dが形成される。
【0053】
回転部の詳細な構造については、
図3を参照して後述する。
【0054】
一方、回転摩擦を低減するための軸受430は、第4駆動ギヤ448bの回転軸に挿通される。
【0055】
図1に示すように、フロントケース、中間ケース及びリアケースを含む本発明のアクチュエータハウジングは、幅15~20mm、長さ20~25mm及び高さ30~35mmを有するように製造されることが望ましい。このようにして、駆動モータ及び複数の減速ギヤを小型のハウジングに装着するためには、減速ギヤの回転軸間の距離を短くし、各減速ギヤの半径を小さくしなければならない。
【0056】
本発明の一実施形態によるアクチュエータハウジングには、5つの回転軸が形成されている。1つの回転軸は駆動モータの回転軸442であり、残りの4つの回転軸は減速ギヤ445~448の回転軸である。回転軸間の軸間距離は、第1~第4の減速ギヤ445~448~448の半径を考慮して決定される。
【0057】
第1~第4の減速ギヤ445~448は、被駆動ギヤと駆動ギヤの両方を一体的に有するデュアルギヤである。減速比を大きくするために、デュアルギヤ構造では、被駆動ギヤの半径が駆動ギヤの半径よりも大きくなっている。したがって、各被駆動ギヤの半径は、減速ギヤ445~448の半径となる。
【0058】
第1減速ギヤ445の半径R2は、駆動モータ441の固定ギヤの半径R1以上であり、第2減速ギヤ446の半径R3は、第1減速ギヤ445の半径R2以上であることが望ましい。また、第3減速ギヤ447の半径R4は、第2減速ギヤ446の半径R3以上であり、第4減速ギヤ448の半径R5は、第3減速ギヤ447の半径R4以上であることが望ましい。
【0059】
この構成により、駆動モータ441の回転軸442と、最終出力軸である第4減速ギヤ448の回転軸との間で一定の減速比を得ることができる。
【0060】
本発明の一実施形態において、減速ギヤ445~448の間の上述の半径関係を適用することにより、駆動モータ441の固定ギヤ443の半径R1を1mmとして製造し、第1減速ギヤ445と第2減速ギヤ446の半径R2と半径R3を3mmとして製造してもよい。また、第3減速ギヤ447の半径R4を4.5mmとして製造し、第4減速ギヤ448の半径R5を7mmとして製造してもよい。もちろん、これは一例に過ぎず、本発明はこれらの数値に限定されるものではない。
【0061】
一方、回転軸間の軸間距離を、固定ギヤ443の半径と第1~第4の減速ギヤ445~448の半径とを考慮して設定する必要がある。ギヤ443、445~448の半径を、噛み合う前段ギヤの半径以上に形成することが好ましいので、軸間距離もこれを反映し、これにより第N+1回目の軸間距離を、第N回目の軸間距離以上に形成することが好ましい。
【0062】
例えば、第1及び第2の減速ギヤ445、446の回転軸間の第2軸間距離d2を、駆動モータ441の回転軸442と第1減速ギヤ445の回転軸との間の第1軸間距離d1以上に形成する。また、第2及び第3の減速ギヤ446、447の回転軸間の第3軸間距離d3を、第2軸間距離以上に形成することが好ましい。さらに、第3及び第4の減速ギヤ447、448の回転軸間の第4軸間距離d4を、第3軸間距離d3以上に形成することが好ましい。
【0063】
本発明の一実施形態では、駆動モータ441の回転軸442と第1減速ギヤ445の回転軸との間の距離d1を5mmに設定し、第1減速ギヤ445の回転軸と第2減速ギヤ446の回転軸との間の距離d2を6.5mmに設定してもよい。また、第2減速ギヤ446の回転軸と第3減速ギヤ447の回転軸との間の距離d3を6.5mmに設定し、第3減速ギヤ447の回転軸と第4減速ギヤ448の回転軸との間の距離d4を9.7mmに設定してもよい。これらの数値は、本発明のアクチュエータに適用可能な一例に過ぎず、したがって、本発明はこれに限定されるものではない。
【0064】
以上のように構成された駆動モータ441と減速ギヤ445~448との間の動作について詳細に説明する。
【0065】
固定ギヤ443は、駆動モータ441の回転軸442に結合され、回転軸442が回転すると、固定ギヤ443と噛み合う第1減速ギヤ445の第1被駆動ギヤ445aは、固定ギヤ443の回転とは逆方向に回転する。この場合、第1被駆動ギヤ445aと一体の第1駆動ギヤ445bが同時に回転する。
【0066】
噛み合う2つのギヤの歯の大きさは同じであるため、2つのギヤの半径比または2つのギヤの歯数比から2つのギヤ間の減速比を求めることができる。第1減速ギヤ445の第1被駆動ギヤ445aの半径R1と固定ギヤ443の半径との比である第1減速比は、2.5~3.5に設定されることが望ましい。第1被駆動ギヤ445aは、固定ギヤ443と噛み合い、第1減速比だけ増加したトルクで回転する。
【0067】
第1被駆動ギヤ445aと一体の第1駆動ギヤ445bが回転すると、第1駆動ギヤ445bと噛み合う第2減速ギヤ446の第2被駆動ギヤ446aも回転する。この場合、第2減速ギヤ446の第2被駆動ギヤ446aの半径R2と第1減速ギヤ445の第1駆動ギヤ445bの半径との比である第2減速比は、1~2に設定されることが望ましい。第2被駆動ギヤ446aは、第1駆動ギヤ445bと噛み合い、第2減速比だけ増加したトルクで回転する。
【0068】
次に、第2被駆動ギヤ446aと一体の第2駆動ギヤ446bが回転すると、第2駆動ギヤ446bと噛み合う第3減速ギヤ447の第3被駆動ギヤ447aも回転する。この場合、第3減速ギヤ447の第3被駆動ギヤ447aの半径R3と第2減速ギヤ446の第2駆動ギヤ446bの半径との比である第3減速比は、3.5~4.5に設定されることが望ましい。第3被駆動ギヤ447aは、第2駆動ギヤ446bと噛み合い、第3減速比だけ増加したトルクで回転する。
【0069】
最後に、第3被駆動ギヤ447aと一体の第3駆動ギヤ447bが回転すると、第3駆動ギヤ447bと噛み合う第4減速ギヤ448の第4被駆動ギヤ448aも回転する。この場合、第4減速ギヤ448の第4被駆動ギヤ448aの半径R4と第3減速ギヤ447の第3駆動ギヤ447bの半径との比である第4減速比は、4~5に設定されることが望ましい。第4被駆動ギヤ448aは、第3駆動ギヤ447bと噛み合い、第4減速比だけ増加したトルクで回転する。第4減速ギヤ448は終減速ギヤであり、その回転軸が最終出力軸である。最終減速比に応じたトルクは、同一の回転軸を介して回転部(図示せず)に伝達される。
【0070】
[式1]
総減速比=第1減速比×第2減速比×第3減速比×第4減速比
【0071】
図4に示す本発明の一実施形態を参照して、駆動モータ441の回転軸442と終減速ギヤである第4減速ギヤ448の回転軸との間の4つの減速ギヤ445~448を用いて得られる総減速比は、式1で表されるように、第1~第4の減速比のすべてを乗じて得られる。
【0072】
ただし、減速比が大きすぎると、トルクは大きくなるが、反応速度が遅くなるため、即座の姿勢制御が困難になる場合があり、減速比が小さすぎると、最初からトルクの大きな駆動モータを使用する必要があり、駆動モータのサイズが大きくなり、ハウジングの小型化を阻害するおそれがある。したがって、本発明の一実施形態では、第1~第4の減速比を調整することにより、総減速比を50~150に設定することが望ましい。
【0073】
一方、4つの減速ギヤ445~448のうち、フロントケースを介して回転部に締結された第4減速ギヤ448を除いた残りの3つのギヤを交換して、より強いトルクを得ることができる。3つの減速ギヤ445~447のそれぞれの、駆動ギヤの歯数と被駆動ギヤの歯数との差をより大きく設定することにより、噛み合う駆動ギヤと噛み合う被駆動ギヤとの減速比を小さくすることができる。例えば、3つの減速ギヤ445~447を交換する前の場合に比べて、80/290減少した減速比を得ることができる。もちろん、減速比はこの数値に限定されるものではなく、種々の減速比を適用することができる。
【0074】
図5は、本発明の一実施形態によるアクチュエータのフロントケースと中間ケースとの締結関係を示す図である。
【0075】
図5Aは、フロントケースと中間ケースとを締結する前のケースを示す図であり、
図5Bは、フロントケースと中間ケースとを締結した後のケースを示す図である。
【0076】
図5Aに示すように、第2タッピングねじが挿通される接続孔524がフロントケース520の四隅領域に形成され、第4減速ギヤ548の第4駆動ギヤ548bと回転部とを接続するための通路である貫通孔522が形成される。貫通孔522の内周には係止段部(locking step)525が形成される。
【0077】
中間ケース540にはデュアルギヤで製造された減速ギヤが装着され、減速ギヤのうち第4減速ギヤの回転軸には軸受530が挿通される。フロントケース520と中間ケース540とが組み立てられると、軸受530が貫通孔522に挿入されて密着する。より正確には、軸受530は、第4減速ギヤと、貫通孔522の内周に沿って形成された係止段部525との間に密着する。これにより、第4減速ギヤの回転軸の位置が固定され、軸受530により滑らかな回転が行われる。この場合、軸受530の直径D20と、フロントケース520の背面のガイド壁523の内周の直径D10とを、8mmと等しく製造することが望ましい。
【0078】
図5Bに示すように、フロントケース520と中間ケース540とを組み立てた後、第4減速ギヤの第4駆動ギヤ548bを、フロントケース520の貫通孔522を通じて外部に露出させる。軸受530は、貫通孔522の内周に形成された係止段部525に引っ掛かるため、第4減速ギヤ548の第4駆動ギヤ448bのみが外部に露出する。
【0079】
フロントケース520は、フロントケース520の四隅領域を貫通してリアケースに接続された第2タッピングねじ582に介して、中間ケース及びリアケースと組み付けられる。
【0080】
図6は、本発明の一実施形態によるフロントケースと回転部との締結関係を示す図である。
【0081】
図6Aは、回転部の正面を示す図であり、
図6Bは、回転部の背面を示す図である。また、
図6Cは、フロントケースと中間ケースとを組み立てた後、終駆動ギヤがフロントケースの外側に突出した状態を示す図であり、
図6Dは、フロントケースの外側に突出した内側駆動ギヤと回転部とが接続された状態を示す図である。
【0082】
まず、
図6A及び
図6Bに示すように、回転部670には中央溝672が形成され、中央溝672の中央には、第1タッピングねじが挿通されるタッピング孔672aと、タッピング孔672aの一側に延びる固定孔672bとが設けられる。また、回転部670の周囲には複数の接続孔674が形成される。
【0083】
回転部670の背面には円形のガイド壁676が形成され、ガイド壁676の内周には内側ギヤが形成される。
【0084】
回転部670に形成されたタッピング孔672aは、中間ケースに装着された第4減速ギヤ648と回転部670とを締結する構造を有し、固定孔672b及びガイド壁676の内側ギヤは、フロントケース620の外側に突出する回転部670及び減速ギヤの回転を同期させる構造を有する。。
【0085】
一方、接続孔674は、本発明のアクチュエータモジュールをロボットの他の構成モジュールに接続するために提供される構造を有する。
【0086】
図6Cに示すように、中間ケースに装着される、終減速ギヤである第4減速ギヤ648の第4駆動ギヤ648bは、フロントケース620の貫通孔622を介して外部に露出する。
【0087】
図6Dに示すように、フロントケース620の外側に突出する第4駆動ギヤ648bと回転部670とが接続される。
【0088】
図示されていないが、第1タッピングねじは、回転部670の中心に形成されたタッピング孔672aと、第4減速ギヤ648の回転軸に形成されたタッピング孔648dとを通じて締結される。したがって、回転部670はアクチュエータハウジングに結合される。さらに、各第2タッピングねじ682は、リアケースのタッピング孔に締結され、フロントケース620と中間ケースの四隅領域とを貫通している。すなわち、フロントケース、中間ケース及びリアケースを含むアクチュエータハウジングは、第1タッピングねじ及び第2タッピングねじ682のみで組み立てられる。
【0089】
回転部670の円形状ガイド壁676は、突出した第4駆動ギヤ648bと貫通孔622との間に挿入され、ガイド壁676の内周に形成されたギヤは、第4駆動ギヤ648bと噛み合う。また、第4駆動ギヤ648bの一側に形成された固定突起648dは、回転部670の固定孔672bに挿入される。
【0090】
このようにして、回転部670の背面に形成された内側ギヤとフロントケース620から突出した第4減速ギヤ648とを噛み合わせ、固定突起648dと固定孔672bとを結合する二重構造(dual structure)により、回転部670及び第4減速ギヤ648の回転が同期される。
【0091】
第4減速ギヤ648の回転速度が変化するにつれて、第4減速ギヤ648と回転部670との噛み合い状態がずれ、これにより第4減速ギヤ648と回転部670とがアイドル状態になると、不要な動力損失が発生することがある。したがって、第4減速ギヤ648と回転部670との間の回転は、それらの間の二重固定構造を通じて同期化されるので、回転伝達過程で発生する可能性のある動力損失を最小限に抑えることができる。
【0092】
前述したように、本発明の一実施形態による小型アクチュエータには、デュアルギヤ構造を有する複数の減速ギヤが適用される。これにより、アクチュエータハウジングを小型化することができ、トルクの増大と動作反応速度(operation reaction speed)の低下とを適切な減速比の範囲でバランスさせることができる。また、3つの減速ギヤを交換することで、適用対象やロボット構造などに応じて様々な減速比を実現することができる。
【0093】
さらに、一般的に使用されるフランジ構造の代わりにセルフタッピング構造を採用することで、フロントケース、中間ケース及びリアケースを含むアクチュエータハウジングをタッピングねじのみで組み立てることができる。したがって、構造を簡素化して製品を小型化することができ、ナットが不要であるため軽量化を図ることができる。
【0094】
さらにまた、本発明の一実施形態による小型アクチュエータでは、内部減速ギヤと外部回転部とが二重構造により互いに同期しているので、アクチュエータ内で伝達される動力の損失を確実に低減することができる。
【0095】
本発明の一実施形態によれば、デュアルギヤ構造を有する減速ギヤを装着することにより、狭いハウジング内で小型モータの回転からロボットアームを動作させるのに必要なトルクを得ることができる。
【0096】
本発明の一実施形態によれば、フロントケース、中間ケース及びリアケースを含むアクチュエータのハウジングは、複数のタッピングねじだけで組み立てられる。したがって、一般的に使用されるフランジ構造に比べて構造が簡素化され、ナットが不要となり、これによりアクチュエータの小型化及び軽量化を図ることができる。
【0097】
本発明の一実施形態によれば、アクチュエータハウジングの幅、長さ及び高さの比率を調整することにより、体積を効率的に減らすとともに、ハウジングの6つの面間の面積不均衡を減らすことができる。
【0098】
これにより、ロボットを製造する際に、他のモジュールとの組み付け性を向上させることができる。
【0099】
本発明の一実施形態によれば、アクチュエータ内部の減速ギヤを交換することにより、適用対象やロボット構造などに応じて様々な減速比を得ることができる。
【0100】
本発明の一実施形態によれば、アクチュエータ内部の減速ギヤとそれに固定された外部回転部とが、2つの構成要素間の回転を同期させるために、二重構造で固定され、これにより回転伝達過程で発生する可能性のある動力損失を低減することができる。
【0101】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または請求範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含む。