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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】マスク収容体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023105327
(22)【出願日】2023-06-27
【審査請求日】2023-07-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売日:2023年1月1日、公開者:上海福満家便利有限公司、場所:中国全土ファミリーマート約2930店舗 掲載日:2022年12月1日、公開者:青島黒盾防護科技有限公司、掲載アドレス:https://detail.tmall.com/item.htm?abbucket=19&id=692310833916&rn=c68dcf5cd29339a20d4ae77eae39b9cb&spm=a1z10.5-b.w4011-22553414289.51.774f569a8Zpz33&sku_properties=20509:28383
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520339194
【氏名又は名称】青島黒盾防護科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100220711
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 朗
(72)【発明者】
【氏名】邱赤宇
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第206260898(CN,U)
【文献】実開平06-049321(JP,U)
【文献】登録実用新案第3231146(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第111838826(CN,A)
【文献】登録実用新案第3228666(JP,U)
【文献】特開2014-226184(JP,A)
【文献】中国実用新案第212697794(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクを折り畳んだ折畳体が包装袋に密封収容されたマスク収容体において、
マスクは、人の顔に接触する内層及び内層の反対面に外層を少なくとも有するマスク本体と、マスク本体の内層の四隅に紐端部が接続された耳紐と、マスク本体の長縁で折り返された折返片と内層との間に配置されたノーズワイヤと、を備え、
折畳体は、同方向の2回折りによって、マスク本体が耳紐を包摂しかつ外層が一対の外表面を形成する折畳構造を有し、
折畳体は、マスク本体の長手方向長さに相当する折畳長と、マスク本体の短手方向長さから略4分の1に短縮した折畳幅と、を有する細長形状であり、
包装袋は、細長形状の折畳体を包囲する細長形状であり、
包装袋は、不透明であって、包装袋の袋外面の色が、包装袋に密封収容されているマスクの外層と実質的に同色であることを特徴とするマスク収容体。
【請求項2】
折畳体を形成する折目は、マスク本体の一対の短縁の間で互いに略平行に延在する、第1折目、第2折目及び第3折目からなり、
マスク本体が開いた状態では、第1折目が、第2折目と第3折目との間に配置され、
折畳体では、第2折目と第3折目とが整合する折畳構造を有する請求項1に記載のマスク収容体。
【請求項3】
折畳体は、巻四つ折りによって2回折りされた折畳構造を有し、
巻四つ折りした折畳体は、
第1折目の両側に位置する一方の内層と他方の内層とが面接触し、かつ
第3折目の両側に位置する一方の外層と他方の外層とが面接触した、折畳構造を有する請求項2に記載のマスク収容体。
【請求項4】
マスクは、マスク本体の一対の短縁の間を延在する1以上のプリーツ線を備え、
第1折目及び第2折目は、2本のプリーツ線に対し、実質的同一線上に形成される請求項2に記載のマスク収容体。
【請求項5】
折返片は、外層を構成するシート状不織布をマスク本体の一対の長縁で内層方向に折り返し備えられ
折返片は、少なくとも、耳紐をマスク本体に接続した耳紐溶着部まで延在する請求項1に記載のマスク収容体。
【請求項6】
長手方向の全長が180~240mmであり、短手方向の全幅が25~40mmである請求項1に記載のマスク収容体。
【請求項7】
包装袋の端に透明部を備える請求項1に記載のマスク収容体。
【請求項8】
人の顔に接触する内層及び内層の反対面に外層を少なくとも有するマスク本体と、マスク本体の内層の四隅に紐端部が接続された耳紐と、マスク本体の長縁で折り返された折返片と内層との間に配置されたノーズワイヤと、を備えるマスクを形成する工程と、
をマスク本体の内層上に配置する工程と、
耳紐を内層上に配置したマスク本体を2同方向に折り畳み、耳紐を内層の内側に包摂しかつマスク本体の短手方向長さから略4分の1に短縮した折畳幅を有する折畳体を形成する工程と、
折畳体を包装袋で包む工程と、
溶着により包装袋を密封して、折畳体が密封収容された包装袋の連続体を形成する工程と、
包装袋の連続体を連続方向と略垂直に一定間隔で切断して、個別のマスク収容体を形成する工程と、を含むことを特徴とするマスク収容体の製造方法。
【請求項9】
折畳体を形成する工程は、
マスク本体の折目の両側に位置する一方の内層と他方の内層とを面接触させて、折畳中間体を形成する工程と、
折畳中間体の折目の両側に位置する一方の外層と他方の外層とを面接触させて、折畳体を形成する工程と、を含む請求項8に記載のマスク収容体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳んだマスクを包装袋に収容したマスク収容体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、衛生用マスク(以下「マスク」という)の需要が高まり、特に1枚ずつ個別包装されたマスクは、常に清潔な状態で使用可能なため、現在数多く製造販売されている。しかし個別包装されたマスクは、シート状のマスク本体が開いた状態で包装袋に収容されているため、全体の寸法が大きく、ズボンや上着のポケット、小型のハンドバックには収納し難く、個別包装されたマスクのコンパクト化の要求がある。また、透明な包装袋に収容されたマスクは見栄えが良くない。
【0003】
特許文献1は、スティック状に折り畳まれた衛生マスクを、樹脂フィルム製の包装袋で個包装した衛生マスク包装体を開示し、マスク本体を二つ折り後に巻三つ折り(DM六つ折り)したマスクが図示される。しかし、DM六つ折りしたマスクでは、開いたとき短縁間(水平方向)に2本、長縁間(垂直方向)に1本の折目が皺(シワ)として表れ(特許文献1図8)、特に長縁間の折目、即ち縦皺は、マスク着用時に鼻筋に沿って表れ目立ち、美観上好ましくない。また、着用者鼻にマスクを密着させるためのノーワイヤを備えるマスクでは、マスク本体を長縁間の折目に沿って二つ折りするとノーワイヤも折り曲げる必要があり、マスク厚みが増大する。また、実際にマスクを開いて使用する際、収容時に長期間折曲げ状態が維持されたノーワイヤがその折曲箇所で破断するおそれがある。
【0004】
更に特許文献1では、透明の包装袋を使用するため、中身が確認できて好ましい一面もあるが、折り畳んだマスクは、必ずしも見た目が美しいものではない。即ち、透明の包装袋を用いると、マスクは不定形状であるため、折り畳んだ状態の折畳体は、搬送、詰込み、積層、圧縮、荷重、摩擦等により、透明包装袋内において、綺麗に折り畳んだ初期状態が崩れ、包装袋内のマスク外観がみすぼらしくなり、密封した内部の衛生状態は何ら変化が無いはずであるが、マスク使用前にそれを見た者は、包装袋開封前のマスクに不清潔な印象を抱く。更に、透明袋では劣化、黄ばみが生じる。このように、折り畳んだマスクを透明袋に収容する場合、使用者は、整然としていないマスクを透明袋から目視して、不衛生及び不清潔であるとの感覚を抱くおそれがある。
【0005】
特許文献2は、折畳み状態から長方形シート状に展開されるマスク本体の長手方向の両端に耳掛け紐が取付けられ、口及び鼻の部分を含む顔面を覆うマスクの折畳み構造を開示する。マスク本体には、複数本の折畳み線が巾方向に所定間隔をおいて長手方向に設けられ、各折畳み線において巾方向に沿って交互に逆方向に折り畳まれているマスクの折畳み構造が開示される。特許文献2は、側面視W型、即ち外四つ折りの折畳み構造を示す。
【0006】
特許文献2では、折り畳んだマスクを透明の収納袋に収納し、収納後、開口側の部分が折り返されて閉塞することを示し、また開口と反対側に空気を抜く切除部を示す(特許文献2段落0035及び図4)。即ち、特許文献2の折畳み構造では、収納袋の開口を溶着することはないため、収納袋の溶着時に耳紐と共に溶着する課題が存在しない。換言すると、特許文献2の折畳み構造では、耳紐をマスク本体で包摂せず外側に配置するため、開口を溶着する場合には、マスク挿入の際、収納袋内面との摩擦により開口付近に残る耳紐を収納袋と重ねて溶着する製造不良の課題はあり得るが、そもそも開口を溶着しないため、その課題を解決するための着想を特許文献2では開示も示唆もしない。
【0007】
また、特許文献2に示す収納袋には、開口を溶着密封することなく、また開口と反対側に切除部を備えるため、即ち収納袋の両端に通気孔を有する構造のため、空気が収納袋内に入り空気中の細菌、埃等により、収納されたマスクを汚染するおそれがある。更に、特許文献2では、前記特許文献1同様に、透明の収納袋を使用するため、中身のマスクの配置及び折畳構造が崩れたときに美観を損ね、また透明袋の黄ばみ、劣化等により、使用者は、マスク着用前に衛生的ではないとの印象を抱く。
【0008】
一方、折り畳んだマスクを不透明な包装袋に収容する場合、中身の状態を目視できないため、例えば個別包装のマスクに複数種のバリエーションがある場合、中身を区別する何等かの識別手段が必要になる(第1の課題)。また、マスク耳紐を包装袋と一緒に溶着した不良品を製造した場合、不透明な包装袋では内部の状況を目視できないため、耳紐を溶着しない絶対的な対策を予め講じなければならない(第2の課題)。図12は、不透明な包装袋130内に収容されたマスク101の耳紐106が、溶着箇所のエンドシール135において誤って溶着110された不良品のマスク収容体100を示す。図12では、不透明包装袋130の外側から目視できないマスク101及び耳紐106を点線で示す。以上より、不透明な包装袋にマスクを個別収容した場合、前記第1及び第2の課題が存在しそれらの課題を解決する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実用新案登録第3228666号公報
【文献】特開2014-226184公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、マスクの清潔状態を維持しつつ美観性が高くコンパクトなマスク収容体及びその製造方法を提供することを目的とする。また、不透明な包装袋使用による従来の課題を解決するマスク収容体及びその製造方法を提供することを目的とする。更に、ノーズワイヤを折り畳む必要がないマスク収容体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のマスク収容体は、マスク1を折り畳んだ折畳体2が包装袋30,30’に密封収容されたマスク収容体10,10’において、マスク1は、人の顔に接触する内層5a及び内層5aの反対面に外層5bを少なくとも有するマスク本体11と、マスク本体11の内層5aの四隅に紐端部6a,6bが接続された耳紐6と、マスク本体11の長縁13aで折り返された折返片9aと内層5aとの間に配置されたノーズワイヤ15と、を備える。折畳体2は、同方向の2回折りによって、マスク本体11が耳紐6を包摂しかつ外層5bが一対の外表面12a,12bを形成する折畳構造を有し、折畳体2は、マスク本体11の長手方向長さに相当する折畳長L2と、マスク本体11の短手方向長さから略4分の1に短縮した折畳幅W2と、を有する細長形状であり、包装袋30,30’は、細長形状の折畳体2を包囲する細長形状であり、包装袋30,30’は、不透明であって、包装袋30,30’の袋外面31の色が、包装袋30,30’に密封収容されているマスク1の外層5bと実質的に同色である。
【0012】
従来技術の透明包装袋を用いると、マスクは定型性が無いため、搬送等により包装袋内で動き、長期間経過すると潰れ又は折目がずれ、縦置きの包装袋ではマスクが包装袋下方に落下し、それら状況を目視した者は、包装袋の開封前から不清潔な悪印象を抱く。これに対し本発明では、不透明の包装袋30,30’を用い、包装袋30,30’内のマスク1について使用前に外観から悪印象を与える欠点を回避できる。また、不透明の包装袋30,30’では、透明なものに比べバーコード及び文字を鮮明に印字でき、バーコード読み取り精度も高い。不透明の包装袋30,30’を用いる本発明では、識別手段として包装袋30,30’の袋外面31をマスク1の外層5bと同色にすることにより、外部から確認できないマスク1の色を間違えずに包装袋30,30’を開封でき、不透明な包装袋30,30’使用による前記第1の課題を解決する。耳紐6がマスク本体11の内層(口元層)5aに接続され、かつマスク本体11により包囲され折り畳まれるため、包装袋30,30’を溶着密封する際、耳紐6ごと溶着する不良品の製造を防止できる。即ち耳紐6がマスク本体11内から脱離しない折畳構造により、不透明な包装袋30,30’使用による前記第2の課題を事前に回避する。
【0013】
本発明では、外層5bが折畳体2の外表面12a,12bを形成する2回折りによって、外層5bが外方に露出し、即ち人の顔に接する側の内層5aが露出しない折畳構造に形成される。これにより、包装袋30,30’開封直後に、空気中に浮遊する埃、細菌等が内層5aに付着することを防ぎ、着用までマスク1の清潔な状態が維持される。また、折畳体2及びそれを包囲して包装する包装袋30,30’は、洗練された細長形状(スティック形状)であり、スマートでデザイン性が高く、輪郭のシルエットが美しい。マスク収容体10,10’は、くびれがあるスリムなボディのように見える。従って本発明では、需要者の購買意欲を刺激するマスク収容体10,10’を提供でき、最小販売ユニットとして提供できる。
【0014】
本発明によるマスク収容体の実施形態では、折畳体2を形成する折目は、マスク本体11の一対の短縁14a,14bの間で互いに略平行に延在する、第1折目8a、第2折目8b及び第3折目8cからなり、マスク本体11が開いた状態では、第1折目8aが、第2折目8bと第3折目8cとの間に配置され、折畳体2では、第2折目8bと第3折目8cとが整合する折畳構造を有する。
折畳体2は、巻四つ折りによって2回折りされた折畳構造を有し、巻四つ折りした折畳体2は、第1折目8aの両側に位置する一方の内層5a1と他方の内層5a2とが面接触し、かつ第3折目8cの両側に位置する一方の外層5b1と他方の外層5b2とが面接触した折畳構造を有する。換言すると巻四つ折りは、最初にマスク本体11の中央付近の第1折目8aを折目として一対の内層5a1,5a2を合わせるように(一対の長縁13a,13bを合わせるように)折り畳み、次に第2及び第3折目8b,8cを折目として、一対の外層5b1,5b2を合わせるように最初の折り畳みと同方向に折り畳む方法である。
マスク1は、マスク本体11の一対の短縁14a,14bの間を延在する1以上のプリーツ線21-24を備え、第1折目8a及び第2折目8bは、2本プリーツ線22,24に対し、実質的同一線上に形成される。
折返片9a,9bは、外層5bを構成するシート状不織布をマスク本体11の一対の長縁13a,13bで内層5a方向に折り返し備えられ、折返片9a,9bは、少なくとも、耳紐6をマスク本体11に接続した耳紐溶着部16まで延在する。
長手方向の全長L1が180~240mmであり、短手方向の全幅W1が25~40mmである。
包装袋30’の端に透明部32を備える。
【0015】
本発明のマスク収容体の製造方法は、人の顔に接触する内層5a及び内層5aの反対面に外層5bを少なくとも有するマスク本体11と、マスク本体11の内層5aの四隅に紐端部6a,6bが接続された耳紐6と、マスク本体11の長縁13aで折り返された折返片9aと内層5aとの間に配置されたノーズワイヤ15と、を備えるマスク1を形成する工程と、耳紐6をマスク本体11の内層5a上に配置する工程と、耳紐6を内層5a上に配置したマスク本体11を少なくとも2回折り畳み、耳紐6を内層5aの内側に包摂しかつマスク本体11の短手方向長さから略4分の1に短縮した折畳幅W2を有する折畳体2を形成する工程と、折畳体2を包装袋30,30’で包む工程と、溶着により包装袋30,30’を密封して、折畳体2が密封収容された包装袋30,30’の連続体40を形成する工程と、包装袋30,30’の連続体40を連続方向と略垂直に一定間隔で切断して、個別のマスク収容体10,10’を形成する工程と、を含む。
【0016】
本発明の製造方法では、開口から折畳体を挿入するものではなく、折畳体2を包装袋30,30’で包むため、折畳体の移動により折畳体と包装袋内面とが摩擦接触することはなく、折畳体2の形態が崩れることはなく、また耳紐6が折畳体2から外部に離脱することもない。このため、マスク本体11及び/又は耳紐6と包装袋30,30’とを一緒に溶着する製造不良を確実に回避できる。
本発明によるマスク収容体の製造方法の実施形態では、折畳体2を形成する工程は、マスク本体11の折目8aの両側に位置する一方の内層5a1と他方の内層5a2とを面接触させて、折畳中間体4を形成する工程と、折畳中間体4の折目8b,8cの両側に位置する一方の外層5b1と他方の外層5b2とを面接触させて、折畳体2を形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明のマスク収容体及びその製造方法は、密封構造によりマスクの清潔状態を維持しつつ美観性が高いコンパクトな細長形状のため、鞄等に収納し易く外出時の携帯に最適である。また、マスクの色に合わせ包装袋外面をカラフルにできるため、マスク収容体を商品として店舗に陳列した際、需要者の購買意欲を刺激する色彩鮮やかな外観を、スマートな細長形状と共に形成する。更に、不透明な包装袋を使用するが、耳紐脱離を防ぐ折畳構造により耳紐溶着のおそれを事前回避できるため、不良品製造の割合を低減し歩留まりを向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による第1実施形態のマスク収容体の表面を示す正面図
図2】本発明による第1実施形態のマスク収容体の裏面を示す背面図
図3】包装袋から折畳体を取り出す状態を示す概略正面図
図4】折畳体を示す正面図
図5図4A-A断面を示す概略断面図及びその展開断面図
図6】折畳中間体を示す図
図7】耳紐を閉じた状態のマスク内層を示す図
図8】耳紐を開いた状態のマスク内層を示す図
図9】耳紐を開いた状態のマスク外層を示す図
図10】本発明による第2実施形態のマスク収容体の裏面を示す背面図
図11】本発明のマスク収容体の製造方法を示す工程図
図12】従来のマスク収容体の課題を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のマスク収容体の実施形態を図1図10を参照して説明する。下記実施形態は例示であって本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図1及び図2は、本発明によるマスク収容体10の表面を示す正面図、及び裏面を示す背面図であり、マスク収容体10は、マスク1を2回折り畳んだ折畳体2(図4)が包装袋30の内部に密封収容されている。更にコンパクト化のため又は折畳体2の形状を整えるため、3回折り又はそれ以上折ってもよい。マスク収容体10の包装袋30は、細長形状の折畳体2を密封包囲する細長形状(スティック状)であり、マスク収容体10が折畳体2を内包した状態では、図1及び図2のように中央付近が若干窪んだ輪郭により視覚的に美しいシルエットを構成する。図1に示すマスク収容体10の長手方向の全長L1は、150~260mm、好ましくは180~240mmであり、短手方向の全幅W1は、20~50mm、好ましくは25~40mmである。内包するマスク1の長手方向長さは子供サイズから大人男性サイズまで様々であり、またハンドバック等に入れるコンパクトサイズを考慮すると、前記のとおり全長L1=180~240mm×全幅W1=25~40mmが好ましい。
【0020】
図1及び図2に示す包装袋30は、樹脂、不織布、織布又は紙製のフィルムシートから形成可能であり、特に気密性が高い樹脂製フィルムシートが好ましい。包装袋30の構成は、折畳体2を含む袋本体33と、袋本体33の両端で包装袋30を密封する一対のエンドシール35a,35bと、一対のエンドシール35a,35b間を袋本体33長手方向に延在する図2に示すセンターシール(背貼り)37とを備える。包装袋30の一方のエンドシール35aに、V字状の切欠39を有し包装袋30の開封を補助する。包装袋30は、有色又は無色の不透明であって、包装袋30の袋外面31の色が、包装袋30に密封収容されているマスク1の外層5bと実質的に同色であるため、マスク使用者は、包装袋30開封前にマスク1の色を認識できる。また、マスク製造者は、様々な色のマスク1及びマスク収容体10を提供でき、複数色のマスク収容体10が店舗等に陳列されるとカラフルで人目を惹く。包装袋30及びマスク1の色は、例えば黒、白、茶、グレー、赤、ピンク、オレンジ、黄、緑、青、紫等あらゆる色を適用できる。
【0021】
図3は、マスク1を装着しようとする者が図1の矢印39aの方向に切欠39から包装袋30を裂開して、内包されていた細長形状の折畳体2を包装袋30から取り出す状態を示す。この状態において、包装袋30の袋外面31と折畳体2の外表面12a,12bとが実質的に同色である。
【0022】
図4は、包装袋30から取り出した後又は包装袋30で包む前の折畳体2を示す。折畳体2は、マスク本体11(図7)の長手方向長さに相当する折畳長L2と、マスク本体11の短手方向長さから約4分の1に短縮された折畳幅W2とを有する細長形状である。これにより面積も約4分の1に縮小され、ハンドバック、ポケットに収納し易い。折畳長L2及び折畳幅W2は、マスク収容体10の全長L1及び全幅W1に比べ、若干だけ小さい(L2<L1、W2<W1)。
【0023】
図4の折畳体2は、巻四つ折りで形成される。「巻四つ折り」は、二つ折り(半分折り)した後、更に同じ方向に二つ折りする方法で、巻四つ折りの「巻」とは、1回前の折目と同じ方向に折ることを意味する。具体的には、耳紐6を内層(口元層)5a上に配置したマスク1(図7図11(a))の第1折目8aに沿って第1折目8aの両側に位置する一方の内層5a1と他方の内層5a2とを合わせる(面接触させる)ように折り畳み、折畳中間体4(図6図11(b))を形成し、折畳中間体4の第2及び第3折目8b,8cに沿って第3折目8cの両側に位置する一方の外層5b1と他方の外層5b2とを合わせる(面接触させる)ように折り畳み、折畳体2(図4図11(c))が形成される。巻四つ折りによって、従来包装のマスク本体平面形状に比べて約4分の1サイズに面積を小型化でき持ち運びが容易である。折畳体2は、図4のとおり、マスク本体11が耳紐6を包摂し、かつ外層5bが一方の外表面12aを形成する折畳構造を有する。一方の外表面12aの裏側に他方の外表面12b(図11(c)(d))が形成される。
【0024】
図5(a)は、図4A-A断面の概略断面図であり、図5(b)は、図5(a)の折畳体2を柄杓形に開いた状態を示す概略断面図であり、簡略化のために両図とも耳紐6を省略して折畳体2を示す。図6は、図4の折畳体2から第2及び第3折目8b,8cの折畳みを開いた後又は第2及び第3折目8b,8cに沿って折り畳む前の、1回折りによる折畳中間体4を示す。図6のとおり耳紐6がマスク本体11に挟持されて、更に1回折った折畳体2でも耳紐6が包摂されると予想できる。
【0025】
図7は、図6の折畳中間体4から更に第1折目8aの折畳みを開いた後又は第1折目8aに沿って折り畳む前のマスク1を示す。図7のとおり耳紐6がマスク本体11の内層5a上に配置されて、2回折りの折畳体2でも耳紐6が包摂されると予想できる。
【0026】
図8及び図9は、図7から耳紐6を開いた後又は耳紐6を閉じる前のマスク1の裏面及び表面を各示す。マスク1は、不織布製又は樹脂製のマスク本体11を備え、マスク本体11は、人の顔に接する側の内層5a(図8)と、内層5aと反対側の外層5b(図9)とが積層する二層構造でもよいが、内層5aと外層5bとの間に図示しない中間層を積層し三層構造とすることが好ましい。本実施形態では、一対の短縁14a,14bの中央付近に窪み29を有するマスク本体11を例示するが、短縁が直線状のマスク本体を使用してもよくマスク本体11外形に制限はない。マスク1の耳紐6は、その紐端部6a,6bがマスク本体11四隅の内層5aの耳紐溶着部16に接続される。耳紐6は内層5a側に溶着されるため、折り畳む際、内層5aにより耳紐6を包摂して、エンドシール35a,35bでの耳紐6溶着事故を事前回避する。即ち、仮に耳紐を外層側に溶着して耳紐を内層内側に配置した場合、耳紐は一旦短縁の外側を通り折畳み後も一部が短縁外側に配置されるため、耳紐が溶着されるおそれがある。
【0027】
図8及び図9に示すとおり、マスク1は、マスク本体11の一対の短縁14a,14b間を互いに略平行に延在する1以上のプリーツ線21-24を備え、図8では内層5a上に3本の直線の第2、第3及び第4プリーツ線22-24が設けられ、図9では外層5b上に3本の直線の第1、第2及び第3プリーツ線21-23が設けられる。プリーツ線21-24は、プリーツ(ひだ部、折重ね部)7(図5(b))を形成するために折り畳んだ線であり、プリーツ7は、着用時にマスク本体11を垂直方向に伸縮させ、また前後方向に立体性を提供する折畳構造である。一方、本実施形態に示す巻四つ折りではマスク本体11が4分割されるため、折畳体2を形成する3本の折目の第1、第2及び第3折目8a,8b,8cが、折畳体2から開いた後のマスク1では、マスク本体11の一対の短縁14a,14b間に表れる。一方、折畳体2形成前のマスク1では、点線にて図示する第1、第2及び第3折目8a,8b,8cは、実際に表れない(仮想線、想像線)か、又は折畳みを容易にするため何等かの目印線として表れる。
【0028】
図8及び図9のとおり、第1折目8aは、第2折目8bと第3折目8cとの間に配置される。折畳体2は、図5(a)及び図6のとおり、第2折目8bと第3折目8cとが整合し、外層5b1,5b2同士が面接触した折畳構造である。ここで整合とは、折り畳んだ状態においてマスク本体11の長手方向に沿って、第2折目8bと第3折目8cとが略同一線上に並列することをいう。折目は、一対の短縁14a,14b間を延在する水平方向の第1、第2及び第3折目8a,8b,8cのみからなり、一対の長縁13a,13b間を延在する垂直方向の折目は存在しない。このため、マスク1装着時に見た目を悪化する縦皺の形成を回避でき本実施形態では美観を損なわない。また、長縁13a,13b間を延在する垂直方向の折目が存在しないため、図8及び図9に示す一対の圧着部15a,15b間に配置されたノーワイヤ15(図5)を折り畳む必要がない。このため、マスク本体11と共にノーワイヤ15を折り畳んだ場合に生じる折畳体2の厚み増大を防ぎ、全体としてコンパクトなマスク収容体10を形成できる。
【0029】
図8及び図9のとおり、第1折目8a及び第2折目8bはそれぞれ、第2プリーツ線22及び第4プリーツ線24に対し、実質的同一線上に形成される。このため、全3本のうち2本の折線8a,8bがプリーツ線22,24と実質的同一線上にあるため、折目(皺)8a,8bが目立たず使い古したマスクの印象を与えず、マスク1装着時に美観を損なわない。
【0030】
図5及び図8のとおり、本実施形態では、マスク本体11の外層5bを構成するシート状不織布をマスク本体11の一対の長縁13a,13bで内層5a方向に折り返した折返片9a,9bを備える。折返片9a,9bの端部は、図8のとおり、少なくとも耳紐6をマスク本体11に接続した耳紐溶着部16に到達する。これにより、少なくとも3枚、即ち外層5b、内層5a及び折返片9a,9bが積層された箇所を耳紐溶着部16とするため、溶着箇所の強度補強により耳紐6がマスク本体11から外れることを防止する。また、折返片9a,9bと内層5aとの間にノーワイヤ15を配置できる。
【0031】
図10は、包装袋30’の端に透明部32を備える本発明による第2実施形態のマスク収容体10’を示す。マスク収容体10’は、前記第1実施形態のマスク収容体10と実質的同一の作用効果を有すると共に、不透明な包装袋30’の袋外面31の色が濃色の場合の欠陥を改善する。即ち、包装袋30’を封止する際、エンドシール35a,35bにおいて、マスク本体11又は耳紐6を包装袋30’と一緒に溶着する欠陥が仮に生じた場合、不透明な包装袋30’の袋外面31の色が濃色、例えば黒、紺、茶、紫等のとき、光照射又は目視によりその欠陥を検知し難い。このため、本実施形態では、包装袋30’の端に透明部32を監視窓として設け、耳紐を袋に溶着する欠陥(図12)を目視、センサ等により確実に発見できるようにする。
【0032】
以下、本発明によるマスク収容体10,10’の製造方法の実施形態を、図11を参照して説明する。
最初に、マスク本体11の内層5aの四隅に耳紐6の紐端部6a,6bを溶着して接続しマスク1を形成する。次に、マスク本体11の内層5aに接続された耳紐6をマスク本体11の内層5a上に配置する。即ち図11(a)のとおり耳紐6を内層5a上に閉じる。その後、マスク1を高速コンベアベルトで折畳装置に搬送し、耳紐6を内層5a上に配置したマスク本体11を折畳装置により2回同方向に折り畳み、耳紐6を包摂する折畳体2を形成する。具体的には、マスク本体11の第1折目8aを図11(a)手前側から例えば板状の第1折畳部材で押し、一方の内層5a1と他方の内層5a2とを面接触させて図11(b)に示す折畳中間体4を形成する。次に、折畳中間体4の第2及び第3折目8b,8cを図11(b)手前側から第2折畳部材で押し、一方の外層5b1と他方の外層5b2とを面接触させて図11(c)に示す折畳体2を形成する。
【0033】
次に、折畳体2を包装袋30で包む。具体的には、図11(d)のとおり折畳体2をフィルムシート34上に配置し、フィルムシート34の両縁部34a,34bを重ね合わせる。次に、溶着(溶接、圧着、加熱押圧)により包装袋30を密封して、折畳体2が密封収容された包装袋30の連続体40を形成する。即ち、重ね合わせた両縁部分34a,34bを加熱溶着してセンターシール37を形成し、フィルムシート34の長手方向一定間隔に加熱溶着してエンドシール35を形成し、折畳体2が密封収容された図11(e)に示す包装袋30の連続体40を形成する。更に、包装袋30の連続体40を連続方向と略垂直にエンドシール35をカッターにより略一定間隔で切断することにより、一方のエンドシール35aに切欠39を有する図11(f)に示す個別のマスク収容体10を製造することができる。
【0034】
図10に示すマスク収容体10’を製造する場合、透明部32が予め形成されたフィルムシートを、図11(d)に示すフィルムシート34の代わりに使用する以外は、図11に示す前記同様の製造方法により、マスク収容体10’が製造される。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明のマスク収容体を最小販売ユニットとして提供するだけでなく、デザイン性が高く多色のバリエーションを提供できる本発明のマスク収容体を、透明容器に異なる色のものを並べ、カラフルな色彩のセットとして見栄えよく店舗に陳列し販売できる。
【符号の説明】
【0036】
1・・マスク、 2・・折畳体、 5a・・内層、 5b・・外層、 6・・耳紐、 6a,6b・・紐端部、 8a・・第1折目、 8b・・第2折目、 8c・・第3折目、 9a,9b・・折返片、 10,10’・・マスク収容体、 11・・マスク本体、 12a,12b・・外表面、 13a,13b・・長縁、 14a,14b・・短縁、 16・・耳紐溶着部、 21-24・・プリーツ線、 30,30’・・包装袋、 31・・袋外面、 L1・・全長、 W1・・全幅、 L2・・折畳長、 W2・・折畳幅、
【要約】
【課題】マスクの清潔状態を維持しつつ美観性が高くコンパクトなマスク収容体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のマスク収容体10,10’は、マスク1が、人の顔に接触する内層5a及び内層5aの反対面に外層5bを少なくとも有するマスク本体11と、マスク本体11の内層5aの四隅に紐端部6a,6bが接続された耳紐6とを備え、折畳体2は、巻四つ折りによって、マスク本体11が耳紐6を包摂しかつ外層5bが一対の外表面12a,12bを形成する折畳構造を有し、折畳体2は、マスク本体11の長手方向の長さに相当する折畳長L1と、マスク本体11の短手方向の長さから短縮した折畳幅W2と、を有する細長形状であり、包装袋30,30’は、細長形状の折畳体2を包囲する細長形状であり、包装袋30,30’は、不透明であって、包装袋30,30’の袋外面31の色が、包装袋30,30’に密封収容されているマスク1の外層5bと実質的に同色である。
【選択図】図1
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図10
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図12