(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240404BHJP
G06F 11/34 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
G06F11/34 176
(21)【出願番号】P 2023123628
(22)【出願日】2023-07-28
【審査請求日】2023-07-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236687
【氏名又は名称】不二越機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中澤 智仁
【審査官】福西 章人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-201299(JP,A)
【文献】特開2012-190821(JP,A)
【文献】特開2010-056367(JP,A)
【文献】国際公開第2020/026350(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/07
11/28-11/36
H01L 21/00-21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体ウェハ生産装置の作動を対象のウェハごとに制御する制御装置であって、
記憶部と、指令データ生成部と、受信データ生成部と、通信部と、を備えており、
前記記憶部には、
第1構成ファイルと、設定値ファイルと、第2構成ファイルと、が記憶されており、
前記第1構成ファイルは、
前記半導体ウェハ生産装置の第1識別子、前記ウェハの第2識別子、前記半導体ウェハ生産装置の動作項目、前記動作項目の第1ステップ数、並びに前記動作項目及び前記第1ステップに対応付けられた送信先アドレスが格納されており、
前記設定値ファイルは、
前記第1識別子及び前記第2識別子、前記動作項目、及び前記第1ステップに対応付けられて前記半導体ウェハ生産装置ごとの作動条件を示す作動レシピ、
又は前記第2識別子、前記動作項目、及び前記第1ステップに対応付けられて前記半導体ウェハ生産装置ごとの作動条件を示す作動レシピが格納されており、
前記第2構成ファイルは、
前記第1識別子、前記第2識別子、前記半導体ウェハ生産装置のログ項目、前記ログ項目の第2ステップ数、所定の時間間隔、及び前記ログ項目に対応付けられた受信元アドレスが格納されており、
前記指令データ生成部は、前記送信先アドレスと前記作動レシピとを対応付けて、作動前又は作動中の一の前記半導体ウェハ生産装置の作動条件を示す指令データを生成して、
前記指令データを前記通信部から前記一の半導体ウェハ生産装置に出力させる構成であり、
前記受信データ生成部は、一の前記半導体ウェハ生産装置から前記通信部を介して前記所定の時間間隔ごとにログデータを取得して、
前記ログデータと前記第2ステップとを順に対応付けて、作動中の前記一の半導体ウェハ生産装置の作動状態、及び前記ウェハの状態のうち少なくとも一方を示す受信データを生成して、
前記受信データを前記記憶部に記憶させる構成であること
を特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記第1構成ファイルと前記第2構成ファイルとは、所定の暗号化処理によって暗号化されていること
を特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1構成ファイルと前記第2構成ファイルとは、削除及び書換えのうち少なくとも一方を禁止する所定のプロテクト処理がされていること
を特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項4】
複数の半導体ウェハ生産装置の作動を対象のウェハごとに制御する制御システムであって、
指令データ生成部と受信データ生成部と通信部とを有する制御装置と、記憶部と、を備えており、
前記記憶部には、
第1構成ファイルと、設定値ファイルと、第2構成ファイルと、が記憶されており、
前記第1構成ファイルは、
前記半導体ウェハ生産装置の第1識別子、前記ウェハの第2識別子、前記半導体ウェハ生産装置の動作項目、前記動作項目の第1ステップ数、並びに前記動作項目及び前記第1ステップに対応付けられた送信先アドレスが格納されており、
前記設定値ファイルは、
前記第1識別子及び前記第2識別子、前記動作項目、及び前記第1ステップに対応付けられて前記半導体ウェハ生産装置ごとの作動条件を示す作動レシピ、
又は前記第2識別子、前記動作項目、及び前記第1ステップに対応付けられて前記半導体ウェハ生産装置ごとの作動条件を示す作動レシピが格納されており、
前記第2構成ファイルは、
前記第1識別子、前記第2識別子、前記半導体ウェハ生産装置のログ項目、前記ログ項目の第2ステップ数、所定の時間間隔、及び前記ログ項目に対応付けられた受信元アドレスが格納されており、
前記指令データ生成部は、前記送信先アドレスと前記作動レシピとを対応付けて、作動前又は作動中の一の前記半導体ウェハ生産装置の作動条件を示す指令データを生成して、
前記指令データを前記通信部から前記一の半導体ウェハ生産装置に出力させる構成であり、
前記受信データ生成部は、一の前記半導体ウェハ生産装置から前記通信部を介して前記所定の時間間隔ごとにログデータを取得して、
前記ログデータと前記第2ステップとを順に対応付けて、作動中の前記一の半導体ウェハ生産装置の作動状態、及び前記ウェハの状態のうち少なくとも一方を示す受信データを生成して、
前記受信データを前記記憶部に記憶させる構成であること
を特徴とする制御システム。
【請求項5】
前記第1構成ファイルと前記第2構成ファイルとは、所定の暗号化処理によって暗号化されていること
を特徴とする請求項4記載の制御システム。
【請求項6】
前記第1構成ファイルと前記第2構成ファイルとは、削除及び書換えのうち少なくとも一方を禁止する所定のプロテクト処理がされていること
を特徴とする請求項4記載の制御システム。
【請求項7】
コンピュータが読取り可能であり、複数の半導体ウェハ生産装置の作動を対象のウェハごとに制御する制御プログラムであって、
前記半導体ウェハ生産装置の第1識別子、前記ウェハの第2識別子、前記半導体ウェハ生産装置の動作項目、及び前記動作項目の第1ステップに対応付けられた送信先アドレスと、
前記第1識別子及び前記第2識別子、前記動作項目、及び前記第1ステップに対応付けられて前記半導体ウェハ生産装置ごとの作動条件を示す作動レシピ、
又は前記第2識別子、前記動作項目、及び前記第1ステップに対応付けられて前記半導体ウェハ生産装置ごとの作動条件を示す作動レシピと、を対応付けて、作動前又は作動中の一の前記半導体ウェハ生産装置の作動条件を示す指令データを生成する指令データ生成処理と、
前記指令データを通信部から前記一の半導体ウェハ生産装置に出力する指令データ出力処理と、
一の前記半導体ウェハ生産装置から前記通信部を介して所定の時間間隔ごとにログデータを取得して、前記ログデータとログ項目の第2ステップとを順に対応付けて、作動中の前記一の半導体ウェハ生産装置の作動状態、及び前記ウェハの状態のうち少なくとも一方を示す受信データを生成する受信データ生成処理と、
前記受信データを記憶部に記憶させる受信データ記憶処理と、をコンピュータにそれぞれ実行させること
を特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体ウェハ生産装置の作動を制御する制御装置、制御システム、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類の半導体生産装置が配設された半導体生産ラインにおいて、各半導体生産装置(一例として、ダイボンディング装置、ワイヤボンディング装置、ディスペンサ等)の各駆動ユニットを駆動するための装置駆動データを一括管理するデータ管理方法が知られている。特許文献1(特開平5-94448号公報)におけるデータ管理方法では、装置駆動データを複数ファイルに分割する手法が提案されている。具体的な当該データ管理方法を略述すると次の通りである。
【0003】
先ず、装置駆動データを各半導体生産装置の装置名ファイル、各駆動ユニットのユニット名ファイル、駆動ユニットごとの動作項目名ファイル、設定データファイルの四つのデータファイルに分割して、データ管理用プログラムに対し独立して管理用コンピュータのデータ記憶部に記憶する。そして、装置番号、ユニット番号、動作項目番号を対応するファイルから読み取り、設定データファイルから各番号に一致する部分のデータを指定して、各半導体生産装置へのデータの送信及びデータの変更をする。これにより、処理速度の向上とデータの編集のし易さを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウェハ製造工程(研磨、測定、洗浄等を含む)における各装置(本発明においては、「半導体ウェハ生産装置」と称する場合がある)を複数種類又は複数台配設した半導体生産ラインに対しても、特許文献1に開示されたデータ管理方法を適用することができる。しかしながら、特許文献1に開示される装置駆動データでは、ウェハごとにデータ管理がなされていないため、各ウェハの状態を考慮して各装置を作動させることができないという課題が生じていた。
【0006】
また、特許文献1に開示されるデータ管理方法では、半導体ウェハ生産装置の各部材の劣化等の経時変化が考慮されていないため、当該経時変化に基づいてデータ管理をすることができないという別の課題も生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、複数の半導体ウェハ生産装置の作動を制御する制御装置、制御システム、及び制御プログラムであって、各ウェハの状態及び各装置の経時変化を考慮したデータ管理が可能な制御装置、制御システム、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0009】
複数の半導体ウェハ生産装置の作動を対象のウェハごとに制御する制御装置であって、記憶部と、指令データ生成部と、受信データ生成部と、通信部と、を備えており、前記記憶部には、第1構成ファイルと、設定値ファイルと、第2構成ファイルと、が記憶されており、前記第1構成ファイルは、前記半導体ウェハ生産装置の第1識別子、前記ウェハの第2識別子、前記半導体ウェハ生産装置の動作項目、前記動作項目の第1ステップ数、並びに前記動作項目及び前記第1ステップに対応付けられた送信先アドレスが格納されており、前記設定値ファイルは、前記第1識別子及び前記第2識別子、前記動作項目、及び前記第1ステップに対応付けられて前記半導体ウェハ生産装置ごとの作動条件を示す作動レシピ、又は前記第2識別子、前記動作項目、及び前記第1ステップに対応付けられて前記半導体ウェハ生産装置ごとの作動条件を示す作動レシピが格納されており、前記第2構成ファイルは、前記第1識別子、前記第2識別子、前記半導体ウェハ生産装置のログ項目、前記ログ項目の第2ステップ数、所定の時間間隔、及び前記ログ項目に対応付けられた受信元アドレスが格納されており、前記指令データ生成部は、前記送信先アドレスと前記作動レシピとを対応付けて、作動前又は作動中の一の前記半導体ウェハ生産装置の作動条件を示す指令データを生成して、前記指令データを前記通信部から前記一の半導体ウェハ生産装置に出力させる構成であり、前記受信データ生成部は、一の前記半導体ウェハ生産装置から前記通信部を介して前記所定の時間間隔ごとにログデータを取得して、前記ログデータと前記第2ステップとを順に対応付けて、作動中の前記一の半導体ウェハ生産装置の作動状態、及び前記ウェハの状態のうち少なくとも一方を示す受信データを生成して、前記受信データを前記記憶部に記憶させる構成であることを要件とする。
【0010】
また、複数の半導体ウェハ生産装置の作動を対象のウェハごとに制御する制御システムであって、指令データ生成部と受信データ生成部と通信部とを有する制御装置と、記憶部と、を備えており、前記記憶部には、第1構成ファイルと、設定値ファイルと、第2構成ファイルと、が記憶されており、前記第1構成ファイルは、前記半導体ウェハ生産装置の第1識別子、前記ウェハの第2識別子、前記半導体ウェハ生産装置の動作項目、前記動作項目の第1ステップ数、並びに前記動作項目及び前記第1ステップに対応付けられた送信先アドレスが格納されており、前記設定値ファイルは、前記第1識別子及び前記第2識別子、前記動作項目、及び前記第1ステップに対応付けられて前記半導体ウェハ生産装置ごとの作動条件を示す作動レシピ、又は前記第2識別子、前記動作項目、及び前記第1ステップに対応付けられて前記半導体ウェハ生産装置ごとの作動条件を示す作動レシピが格納されており、前記第2構成ファイルは、前記第1識別子、前記第2識別子、前記半導体ウェハ生産装置のログ項目、前記ログ項目の第2ステップ数、所定の時間間隔、及び前記ログ項目に対応付けられた受信元アドレスが格納されており、前記指令データ生成部は、前記送信先アドレスと前記作動レシピとを対応付けて、作動前又は作動中の一の前記半導体ウェハ生産装置の作動条件を示す指令データを生成して、前記指令データを前記通信部から前記一の半導体ウェハ生産装置に出力させる構成であり、前記受信データ生成部は、一の前記半導体ウェハ生産装置から前記通信部を介して前記所定の時間間隔ごとにログデータを取得して、前記ログデータと前記第2ステップとを順に対応付けて、作動中の前記一の半導体ウェハ生産装置の作動状態、及び前記ウェハの状態のうち少なくとも一方を示す受信データを生成して、前記受信データを前記記憶部に記憶させる構成であることを要件とする。
【0011】
また、コンピュータが読取り可能であり、複数の半導体ウェハ生産装置の作動を対象のウェハごとに制御する制御プログラムであって、前記半導体ウェハ生産装置の第1識別子、前記ウェハの第2識別子、前記半導体ウェハ生産装置の動作項目、及び前記動作項目の第1ステップに対応付けられた送信先アドレスと、前記第1識別子及び前記第2識別子、前記動作項目、及び前記第1ステップに対応付けられて前記半導体ウェハ生産装置ごとの作動条件を示す作動レシピ、又は前記第2識別子、前記動作項目、及び前記第1ステップに対応付けられて前記半導体ウェハ生産装置ごとの作動条件を示す作動レシピと、を対応付けて、作動前又は作動中の一の前記半導体ウェハ生産装置の作動条件を示す指令データを生成する指令データ生成処理と、前記指令データを通信部から前記一の半導体ウェハ生産装置に出力する指令データ出力処理と、一の前記半導体ウェハ生産装置から前記通信部を介して所定の時間間隔ごとにログデータを取得して、前記ログデータとログ項目の第2ステップとを順に対応付けて、作動中の前記一の半導体ウェハ生産装置の作動状態、及び前記ウェハの状態のうち少なくとも一方を示す受信データを生成する受信データ生成処理と、前記受信データを記憶部に記憶させる受信データ記憶処理と、をコンピュータにそれぞれ実行させることを要件とする。
【発明の効果】
【0012】
上記構成によれば、種類の異なる複数台の半導体ウェハ生産装置に対して、各ウェハの状態を考慮した指令データを生成し、当該指令データを送信することができる。また、上記構成によれば、種類の異なる複数台の半導体ウェハ生産装置からウェハ及び装置ごとのログデータを取得して、当該ログデータに基づいて受信データを生成することができる。さらに、指令データの生成と受信データの生成との両方を行うことにより、各ウェハの状態及び各装置の経時変化を考慮したデータ管理が可能な半導体生産ラインを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る制御装置のブロック図である。
【
図2】本発明の各実施形態に係る第1構成ファイルのデータ構造を示す説明図である。
【
図3】本発明の各実施形態に係る設定値ファイルのデータ構造を示す説明図である。
【
図4】本発明の各実施形態に係る第2構成ファイルのデータ構造を示す説明図である。
【
図5】本発明の各実施形態に係る受信データのデータ構造を示す説明図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る制御システムのブロック図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る制御装置のブロック図である。
【
図8】本発明の第5実施形態に係る制御装置のブロック図である。
【
図9】本発明の第7実施形態に係る制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について詳しく説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る制御装置100のブロック図である。
図2は本発明の各実施形態に係る第1構成ファイルD1のデータ構造を示す説明図である。
図3は本発明の各実施形態に係る設定値ファイルD2のデータ構造を示す説明図である。
図4は本発明の各実施形態に係る第2構成ファイルD3のデータ構造を示す説明図である。
図5は本発明の各実施形態に係る受信データD4のデータ構造を示す説明図である。
図6は本発明の第2実施形態に係る制御システムSのブロック図である。なお、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0015】
(半導体ウェハ生産装置)
先ず、本発明に係る半導体ウェハ生産装置Aは、ウェハを製造する前工程と、チップを製造する後工程とに大別される各工程のうち、前工程における各装置を含む。具体的には、インゴットからウェハを切り出す切断装置、ウェハの表面や端面の研磨をする研磨装置(片面研磨装置、両面研磨装置、エッジ研磨装置等)、ウェハの表面に成膜をするスパッタ装置等を含むものである。また、これら以外にも、ウェハの洗浄装置、各種測定装置、各種検査装置等も含むものである。なお、各実施形態に係る各半導体ウェハ生産装置Aは、一例として、上面に研磨パッドが貼付された定盤と、ウェハを保持可能な研磨ヘッドと、を有する公知の片面研磨装置Aを想定している。したがって、後述する第1構成ファイルD1、設定値ファイルD2、第2構成ファイルD3、受信データD4、指令データOD、及びログデータLDも当該片面研磨装置Aについての各種パラメータを含むものを例示する。
【0016】
また、第1実施形態に係る各半導体ウェハ生産装置(片面研磨装置)Aは、通信部70(70a~70c)と制御部80(80a~80c)とを備えており、指令データODの入力に基づいて、装置の各部を作動させる構成である。第2実施形態に係る各半導体ウェハ生産装置(片面研磨装置)Aは、通信部170(170a~170c)と制御部180(180a~180c)とを備えており、指令データODの入力に基づいて、装置の各部を作動させる構成である。
【0017】
さらに、本発明に係る制御装置100、制御システムS、及び制御プログラムPGMでは、三台の半導体ウェハ生産装置(片面研磨装置)A1~A3が配設された場合で説明するが、半導体ウェハ生産装置Aの台数はこれに限定されるものでない。なお、上記した複数種類の半導体ウェハ生産装置Aが配設された場合であってもよい。
【0018】
(第1実施形態)
(制御装置100)
続いて、第1実施形態に係る制御装置100の全体構成について説明する。制御装置100は、一例として、パーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置によって実現される。すなわち、制御装置100は、CPU、RAM・ROM等のメモリ及び通信部を含んで構成され、あらかじめ設定された制御プログラムPGM及び編集部60から入力される設定信号に基づいて作動する。
【0019】
また、本実施形態に係る制御装置100は、
図1に示すように、記憶部10と、指令データ生成部20と、受信データ生成部30と、一時記憶部40と、一つ以上の通信部50と、編集部60と、を備えている。制御装置100は、三台の片面研磨装置A1~A3を制御するため、三つの通信部50a~50cを備えている。
【0020】
次に、本実施形態に係る記憶部10は、一例として不揮発性メモリであるROMに相当する。記憶部10には、第1構成ファイルD1、設定値ファイルD2、第2構成ファイルD3、並びに指令データ生成部20及び受信データ生成部30に制御装置100としての動作を実行させるための制御プログラムPGMが記憶されている。また、後述する受信データD4も記憶部10に記憶される。
【0021】
また、本実施形態に係る指令データ生成部20は、CPUに相当し、記憶部10から制御プログラムPGMを呼び出して、指令データODの生成、指令データODの出力の各処理を順次実行する構成である。
【0022】
また、本実施形態に係る受信データ生成部30は、CPUに相当し、記憶部10から制御プログラムPGMを呼び出して、受信データD4の生成、受信データD4を記憶部10に記憶させる処理の各処理を順次実行する構成である。
【0023】
また、本実施形態に係る一時記憶部40は、一例として揮発性メモリであるRAMに相当する。一時記憶部40は、指令データ生成部20によって生成した指令データODと、後述する各通信部50(50a~50c)が受信したログデータLDと、を一時的に記憶する構成である。
【0024】
また、本実施形態に係る通信部50(50a~50c)は、半導体ウェハ生産装置A(A1~A3)の各通信部70(70a~70c)との間で、有線LAN又は無線LANを通じて所定の通信(データの送信又は受信)を行う機能を有している。
【0025】
なお、制御装置100は、共通する一の通信部50を有する構成としてもよい。
【0026】
また、本実施形態に係る編集部60は、表示部60aと操作部60bとを有する構成である。表示部60aは、記憶部10に記憶された各ファイルD1~D3を表示するディスプレイである。また、操作部60bは、一例として、マウス、キーボードの他、タッチパネルであってもよい。編集部60によって、オペレーターが設定値ファイルD2を編集することができる。
【0027】
続いて、本実施形態に係る第1構成ファイルD1、設定値ファイルD2について詳しく説明する。
【0028】
(第1構成ファイル)
本実施形態に係る第1構成ファイルD1は、半導体ウェハ生産装置Aを識別する第1識別子、各ウェハを識別する第2識別子、半導体ウェハ生産装置Aの動作項目、動作項目の第1ステップ数Q1、並びに動作項目及び第1ステップに対応付けられた送信先アドレスが格納されたデータ構造である。より具体的には、
図2に示すように、第1構成ファイルD1は、概要データD11と、概要データD11の下の階層であるウェハデータD12と、ウェハデータD12の下の階層である送信先アドレスデータD13と、ウェハデータD12の下の階層である定義データD14と、を有するデータ構造である。
【0029】
概要データD11は、装置名(第1識別子)、ウェハ一覧(第2識別子)、IPアドレス、及びポート番号を要素とするデータ構造である。より詳しくは、概要データD11には、一の第1識別子と、当該第1識別子に対応付けられた各第2識別子が格納されているデータ構造である。換言すると、記憶部10には、半導体ウェハ生産装置Aの台数分だけ、第1構成ファイルD1が記憶されている。なお、IPアドレス及びポート番号は、半導体ウェハ生産装置Aへの送信先を特定するものである。
【0030】
また、ウェハデータD12は、N個のウェハごとに分割され、M個に区分された動作項目、パターンストック数P、及び第1ステップ数Q1を要素とするデータ構造である。なお、動作項目は、半導体ウェハ生産装置Aの各部の動作を示す項目であり、片面研磨装置Aの場合には、一例として、研磨時間、定盤回転数、ヘッド回転数、ヘッド加圧力等を含む。また、パターンストックは、一の半導体ウェハ生産装置Aの種々の作動に対応しており、片面研磨装置Aの場合、パターンストック数Pは、一例として、粗研磨、中研磨、仕上げ研磨の三つである。さらに、第1ステップ数Q1は、半導体ウェハ生産装置Aの動作が何段階で行われるかを規定する数である。なお、動作項目が時間(本実施形態においては、研磨時間)を含む場合には、各ステップは、当該時間(研磨時間)だけ作動する構成である。
【0031】
また、複数個のウェハ(一例として、5個)を1バッチとして1回で処理(加工、検査、洗浄を含む)する場合には、ウェハデータD12は、N個のウェハごとに分割される代わりに、N個のバッチごとに分割される構成としてもよい。一例として、半導体ウェハ生産装置Aは、複数個のウェハを同時に研磨することができる研磨装置(片面研磨装置、又は両面研磨装置)Aである。
【0032】
また、送信先アドレスデータD13は、N個のウェハごとに分割され、P個のパターンストック、Q1個の第1ステップ、及びM個の動作項目ごとの送信先アドレスを要素とするデータ構造である。より具体的には、Q1行×M列の各行列に送信先アドレスが格納されており、送信先アドレスデータD13は、Q1行×M列のデータをP個有するデータ構造である。
【0033】
また、定義データD14は、N個のウェハごとに分割され、M個の各動作項目の値の型、最大値、最小値を要素とするデータ構造である。一例として、編集部60による設定値ファイルD2の編集時に参照される。
【0034】
上記したように、第1構成ファイルD1は、階層のデータ構造となっているが、各データD11~D14に分割されていてもよい。
【0035】
(設定値ファイル)
次に、本実施形態に係る設定値ファイルD2は、第1識別子、第2識別子、動作項目、及び各第1ステップに対応付けられて半導体ウェハ生産装置ごとの作動条件を示す作動レシピを要素とするデータ構造である。より具体的には、設定値ファイルD2は、
図3に示すように、各ファイル名が第2識別子で分類されており、当該第2識別子に対応付けられて、Q1行×M列の各行列に作動レシピが格納されており、Q1行×M列のデータ(一例として、CSVファイル)をP個有するデータ構造である。設定値ファイルD2を上記構成とすることによって、同種類の装置A間で設定値ファイルD2を共用することができる。
【0036】
なお、設定値ファイルD2がCSVファイルの場合、一例として、ファイル名に第1識別子及び第2識別子、又は第2識別子を含んでいるものであるが、第1構成ファイルD1のように、第1識別子及び第2識別子、又は第2識別子を上の階層に有するデータ構造であってもよい。
【0037】
各ファイルD1、D2が半導体ウェハ生産装置A及びウェハごとのファイルを有することにより、一台の制御装置(コンピュータ)100で、種類の異なる複数台の半導体ウェハ生産装置Aに対して、ウェハごとに指令データODを生成し、当該指令データODを出力することができる。また、第1構成ファイルD1と設定値ファイルD2とを別々のファイルとすることにより、例えば、編集部60による作動レシピの編集が容易となる。
【0038】
(指令データ生成部)
続いて、指令データ生成部20の具体的な処理について詳しく説明する。
【0039】
指令データ生成部20は、第1構成ファイルD1に基づいて、送信先アドレスと設定値ファイルD2に格納された作動レシピとを対応付けて、作動前又は作動中の一の半導体ウェハ生産装置Aの作動条件を示す指令データODを生成する構成である(指令データ生成処理)。すなわち、指令データ生成部20は、あらかじめ設定されたウェハの種類と、あらかじめ設定された半導体ウェハ生産装置Aの種類と、あらかじめ設定されて半導体ウェハ生産装置Aの作動パターンに対応するパターンストックの種類と、に基づいて指令データODを生成する。より具体的には、片面研磨装置A1によって、一のウェハを一のパターンで表面研磨をする場合を想定する。指令データ生成部20は、記憶部10から片面研磨装置A1、当該ウェハ、及び当該パターンに対応する送信先アドレスデータD13及び設定値ファイルD2を読み込む。次に、送信先アドレスデータD13の各要素と、当該各要素の行列に対応する(すなわち、同行同列の)設定値ファイルD2の各要素と、を対応付けて、指令データODを生成して、一時記憶部40に記憶させる。次に、指令データ生成部20は、一時記憶部40から通信部50aを介して、通信部70aに指令データODを出力する(指令データ出力処理)。指令データODにおける各作動レシピには、送信先アドレスが紐づいているため、片面研磨装置A1の各制御部80(80a)に作動レシピが出力されて、所定の表面研磨(半導体ウェハ生産装置Aの作動)をすることができる。
【0040】
(第2構成ファイル)
続いて、本実施形態に係る第2構成ファイルD3について詳しく説明する。
【0041】
本実施形態に係る第2構成ファイルD3は、第1識別子、第2識別子、半導体ウェハ生産装置のログ項目、当該ログ項目の第2ステップ数Q2、所定の時間間隔T、及び当該ログ項目に対応付けられた受信元アドレスを要素とするデータ構造である。より具体的には、
図4に示すように、概要データD31と、概要データD31の下の階層であるウェハデータD32と、ウェハデータD32の下の階層である受信元アドレスデータD33と、を有するデータ構造である。
【0042】
概要データD31は、概要データD11と同様のデータ構造である。すなわち、概要データD31には、一の半導体ウェハ生産装置Aの第1識別子が格納されており、記憶部10には、半導体ウェハ生産装置Aの台数分だけ、第2構成ファイルD3が記憶されている。
【0043】
ウェハデータD32は、N個のウェハごとに分割され、L個に区分されたログ項目、パターンストック数P、第2ステップ数Q2、及び所定の時間間隔Tを要素とするデータ構造である。なお、ログ項目は、半導体ウェハ生産装置Aの作動中若しくは作動終了後(半導体ウェハ生産装置Aを停止させている状態や停止後の状態も含む)の種々の測定の項目、及び作動中若しくは作動終了後(半導体ウェハ生産装置Aを停止させている状態や停止後の状態も含む)のウェハの種々の測定の項目のうち少なくとも一方を示す項目(すなわち、ログデータLDの項目)であり、片面研磨装置Aの場合には、一例として、ウェハ形状(一例として、ウェハの厚さ)、装置温度、駆動トルク、ヘッド加圧力等を含む。また、第2ステップ数Q2は、半導体ウェハ生産装置Aの測定が何段階で行われるかを規定する数である。さらに、受信データ生成部30は、半導体ウェハ生産装置Aの作動中にリアルタイムで通信されるログデータLDを時間間隔Tごとに取得する。すなわち、第2ステップは所定の時間間隔Tごとに区切られている。
【0044】
また、受信元アドレスデータD33は、N個のウェハごとに分割され、P個のパターンストック、及びL個のログ項目ごとの受信元アドレスを要素とするデータ構造である。第1構成ファイルD1とは異なり、第2構成ファイルD3は、L個の受信元アドレスが格納された受信元アドレスデータD33をP個有するデータ構造である。
【0045】
上記したように、第2構成ファイルD3は、階層のデータ構造となっているが、各データD31~D33に分割されていてもよい。
【0046】
(受信データ生成部)
続いて、受信データ生成部30の具体的な処理について詳しく説明する。
【0047】
受信データ生成部30は、一の半導体ウェハ生産装置Aから各通信部50(50a~50c)を介して所定の時間間隔TごとにログデータLDを取得して、ログデータLDと第2ステップとを順に対応付けて、半導体ウェハ生産装置Aの作動中の一の半導体ウェハ生産装置Aの作動状態、及び半導体ウェハ生産装置Aの作動中の一のウェハの状態のうち少なくとも一方を示す受信データD4を生成する(受信データ生成処理)。そして、受信データD4を記憶部10に記憶させる(受信データ記憶処理)構成である。より具体的には、片面研磨装置A1によって、一のウェハを一のパターンで表面研磨をした場合を想定する。受信データ生成部30は、記憶部10から第2構成ファイルD3を読み込む。また、一時記憶部40に記憶されたログデータLDを所定の時間間隔Tごとに読み込む。次に、受信元アドレスデータD33に基づいて、時間間隔TごとのログデータLDと第2ステップとを順に対応付けて、
図5に示すようなQ2行×(L+1)列の受信データD4を生成する。なお、各行は、ログデータLDを読み込んだ時系列順(すなわち、第2ステップ順)である。次に、生成した受信データD4を記憶部10に記憶させる。
【0048】
なお、受信データD4の各行は、所定の時間間隔TごとにログデータLDを読み込んだ順番(第2ステップ順)であればよいので、1列目に第2ステップを有さず、Q2行×L列の受信データD4であってもよい。また、受信データD4の各行は、所定の時間間隔TごとにログデータLDを読み込んだ順番(第2ステップ順)であればよいので、第2ステップ数Q2の値をあらかじめ設定せず、第2ステップ数Q2がログデータLDの数に応じて設定される構成としてもよい。さらに、第2ステップ数Q2、及び時間間隔Tはログ項目ごとに個別に設定する構成としてもよい。
【0049】
また、半導体ウェハ生産装置Aの作動中に、編集部60によって変更された設定値ファイルD2に基づいて指令データODを生成して、作動中の同一の半導体ウェハ生産装置Aの作動条件を更新する構成としてもよい。すなわち、指令データ生成部20と受信データ生成部30との各処理を組み合わせて、作動中の半導体ウェハ生産装置Aの作動条件をリアルタイムに変更することができる。
【0050】
上記構成により、種類の異なる複数台の半導体ウェハ生産装置AからログデータLDを取得して、ログデータLDに基づいてウェハごとに受信データD4を生成し、受信データD4を記憶させることができる。
【0051】
また、上記構成により、ウェハの状態及び各装置Aの経時変化を考慮したデータ管理が可能な半導体生産ラインを実現することができる。一例として、一の受信データD4のうち、ウェハの厚さが所定の値以上の場合には、次に作動させる半導体ウェハ生産装置(片面研磨装置)Aに対応する設定値ファイルD2の定盤回転数やヘッド回転数、ヘッド加圧力を高くすればよい。
【0052】
(第2実施形態)
以上、制御装置100及び各データの構成について説明した。続いて、第2実施形態に係る制御システムSについて説明する。第2実施形態に係る制御システムSは、指令データ生成部120、受信データ生成部130、及び通信部150(150a~150c)を有する制御装置200と、記憶部210と、を備える構成である。すなわち、第1実施形態における記憶部10と、第2実施形態における記憶部210と、の構成は異なる。以下、第1実施形態との違いについて説明する。
【0053】
本実施形態に係る記憶部210は、一例として、
図6に示すように、制御装置200とは別のサーバ300に設けられている。制御装置200の通信部190と、サーバ300の通信部290と、がネットワークNWを介して、所定の通信(データの送信又は受信)を行う機能を有している。
【0054】
本実施形態に係るサーバ300は、一例として、パーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置によって実現される。すなわち、サーバ300は、CPU、RAM・ROM等のメモリ及び通信部を含んで構成され、あらかじめ設定されたプログラムや外部入力に基づいて作動する。
【0055】
なお、ネットワークNWは、制御装置200とサーバ300とを接続する任意の構成のネットワークであり、無線ネットワーク、専用回線ネットワーク及び公衆回線ネットワークの何れかであってよい。
【0056】
記憶部210がサーバ300に設けられており、ネットワークNWを介して各通信部190、290が所定の通信をする構成以外は、第1実施形態と同様である。すなわち、指令データ生成部20は指令データ生成部120と、受信データ生成部30は受信データ生成部130と、一時記憶部40は一時記憶部140と、通信部50は通信部150と、編集部60(表示部60a、操作部60b)は編集部160(表示部160a、操作部160b)と、通信部70(70a~70c)は通信部170(170a~170c)と、制御部80(80a~80c)は制御部180(180a~180c)と、それぞれ読み替える。
【0057】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る制御装置100について説明する。第3実施形態に係る制御装置100において、第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とは、所定の暗号化処理によって暗号化されている構成である。以下、第1実施形態との違いについて説明する。
【0058】
本実施形態に係る第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とは、公知の暗号方式によって暗号化されている。具体的には、各階層のデータD11、D12、D13、D14、D31、D32、D33の文字列が暗号文として構成されている。一例として、第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とは、DES(Data Encryption Standard)、RC4(Rivest Cipher 4)、又はAES(Advanced Encryption Standard)等の暗号アルゴリズムによる共通鍵暗号方式により暗号化されている構成としてもよい。また他の例として、第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とは、RSA等の暗号アルゴリズムによる公開鍵暗号方式により暗号化されている構成としてもよい。さらに他の例として、第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とは、ハイブリッド暗号方式により暗号化されている構成としてもよい。
【0059】
上記構成により、当該ファイルD1、D3を不用意に変更することで生じる不具合を防止することができる。また、当該ファイルD1、D3の情報漏洩を防止することができる。
【0060】
第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とが暗号化されているため、第3実施形態に係る制御装置100は、
図7に示すように、入力部90、暗号化部92、及び復号化部94を備える構成としてもよい。
【0061】
本実施形態に係る暗号化部92は、CPUに相当し、記憶部10から制御プログラムPGMを呼び出して、入力部90に入力された第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とを上記した公知の暗号方式によって暗号化させる構成である。より具体的には、共通鍵暗号方式の場合、制御プログラムPGMは、プログラムコード内に第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とを暗号化及び復号化するための暗号鍵(復号鍵と共通である)を含む構成である。
【0062】
なお、暗号鍵及び復号鍵は、制御プログラムPGMにプログラムコード内に含まれる構成に限定されず、当該プログラムコードとは独立したデータであってもよい。
【0063】
また、暗号鍵及び復号鍵は、第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とで共通であってもよいし、別々に設けられていてもよい。
【0064】
なお、本実施形態に係る入力部90は、一例としてUSBポート90である。USBフラッシュメモリや外部端末から、当該USBポート90を介して、第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とが記憶部10に入力される構成である。
【0065】
なお、入力部90はUSBポート90に限定されない。他の例として、USBポート90の代わりに、通信部(不図示)を介して、第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とが記憶部10に入力される構成としもよい。当該通信部は、制御装置100と外部端末等との間で、有線LAN又は無線LANを通じて所定の通信(データの送信又は受信)を行う機能を有している。
【0066】
上記構成により、制御装置100に入力される第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とが、暗号化されて記憶部10に記憶されるため、当該ファイルD1、D3の秘匿性を高めることができる。
【0067】
また、制御装置100が暗号化部92を備えない構成としてもよく、その場合には、入力部90に入力される第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とは、上記した公知の暗号方式によって予め暗号化されている構成としてもよい。
【0068】
本実施形態に係る復号化部94は、CPUに相当し、記憶部10から制御プログラムPGMを呼び出して、指令データ生成部20による指令データODの生成の際に第1構成ファイルを復号化し、受信データ生成部30による受信データD4の生成の際に第2構成ファイルD3を復号化する構成である。
【0069】
上記構成により、指令データOD及び受信データD4の生成の際にのみ、各構成ファイルD1、D3が復号化されるため、当該ファイルD1、D3の秘匿性を高めることができる。
【0070】
なお、制御装置100が復号化部94を備えない構成としてもよい。
【0071】
また、暗号化部92、及び/又は復号化部94が、外部サーバ(不図示)に設けられる構成としてもよい。さらに、復号化部94が、半導体ウェハ生産装置Aに設けられる構成としてもよい。
【0072】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態に係る制御システムSについて説明する。第4実施形態に係る制御システムSにおいて、第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とは、第3実施形態同様、所定の暗号化処理によって暗号化されている構成である。このため、第4実施形態に係る制御装置200は復号化部を備えており、サーバ300は入力部及び暗号化部を備える構成としてもよい(いずれも不図示)。なお、入力部、暗号化部、及び復号化部は、第3実施形態と同様の構成である。
【0073】
上記構成により、当該ファイルD1、D3を不用意に変更することで生じる不具合を防止することができる。また、当該ファイルD1、D3の情報漏洩を防止することができる。
【0074】
(第5実施形態)
続いて、第5実施形態に係る制御装置100について説明する。第5実施形態に係る制御装置100において、第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とは、制御装置100の外部(特に、外部端末やUSBメモリ等のユーザ機器)へのデータ出力、及び半導体ウェハ生産装置Aへのデータの出力時に、所定の暗号化処理によって暗号化されている構成である。上記以外の構成については、第1実施形態と同様である。このため、本実施形態に係る制御装置100は、
図8に示すように、入出力部91、暗号化/復号化部96を備える構成としてもよい。
【0075】
なお、暗号化/復号化部96は、CPUに相当し、暗号化部92と復号化部94との両方の機能を備える。
【0076】
上記構成により、制御装置100の外部において、第1構成ファイルD1、第2構成ファイルD3を不用意に変更することで生じる不具合を防止することができる。また、当該ファイルD1、D3、設定値ファイルD2、及び受信データD4の情報漏洩を防止することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る半導体ウェハ生産装置A(A1~A3)は、それぞれ暗号化/復号化部98(98a~98c)を備える構成としてもよい。
【0078】
上記構成により、半導体ウェハ生産装置Aも含めた制御システムの外部において、第1構成ファイルD1、第2構成ファイルD3の不用意な変更による不具合、情報漏洩を防止することができるとともに、設定値ファイルD2、受信データD4の情報漏洩を防止することができる。
【0079】
また、暗号化/復号化部98を備えない半導体ウェハ生産装置Aとはデータの送受信ができないように、制御装置100が、データの送受信先となる半導体ウェハ生産装置Aを限定する構成としてもよい。
【0080】
上記構成により、情報漏洩を防止することができる。
【0081】
続いて、第6実施形態に係る制御システムSについて説明する。本実施形態に係る制御システムSにおいて、第5実施形態と同様に、第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とは、制御システムの外部(特に、外部端末やUSBメモリ等のユーザ機器)へのデータ出力、制御装置200とサーバ300間でのデータ入出力、及び半導体ウェハ生産装置Aへのデータの出力時に、所定の暗号化処理によって暗号化されている構成である。上記以外の構成については、第2実施形態と同様である。このため、第6実施形態に係る制御装置200及びサーバ300は、入出力部91、暗号化/復号化部96を備える構成としてもよい(いずれも不図示)。
【0082】
上記構成により、制御システムSの外部において、第1構成ファイルD1、第2構成ファイルD3を不用意に変更することで生じる不具合を防止することができる。また、当該ファイルD1、D3、設定値ファイルD2、及び受信データD4の情報漏洩を防止することができる。
【0083】
また、第5実施形態と同様に、半導体ウェハ生産装置A(A1~A3)は、それぞれ暗号化/復号化部98(98a~98c)を備える構成としてもよい(不図示)。
【0084】
続いて、第7実施形態に係る制御装置100について説明する。本実施形態に係る制御装置100において、第1構成ファイルD1と前記第2構成ファイルD3とは、削除及び書換えのうち少なくとも一方を禁止する所定のプロテクト処理がされている構成である。以下、第1実施形態との違いについて説明する。
【0085】
第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とは、一例として、外部端末400内のCPUに相当するプロテクト処理部402によって、プロテクト処理がなされる。また、プロテクトを解除するためには、所定の鍵が用いられる構成としてもよい。
【0086】
なお、プロテクト処理部402は、制御装置100に設けられる構成としてもよい。
【0087】
プロテクト処理がなされた第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とは、通信部(不図示)を介して、制御装置100の記憶部10に入力される構成である。
【0088】
上記構成により、権限のあるユーザのみが削除、編集することができ、第1構成ファイルD1、第2構成ファイルD3を変更することで生じる不具合を防止することができる。
【0089】
続いて、第8実施形態に係る制御システムSについて説明する。本実施形態に係る制御装置200及びサーバ300において、第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とは、削除及び書換えのうち少なくとも一方を禁止する所定のプロテクト処理がされている構成である。以下、第2実施形態との違いについて説明する。
【0090】
第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とは、一例として、サーバ300に接続された外部端末400内のCPUに相当するプロテクト処理部402によって、プロテクト処理がなされる(いずれも不図示)。また、プロテクトを解除するためには、所定の鍵が用いられる構成としてもよい。
【0091】
なお、プロテクト処理部402は、制御装置200又はサーバ300に設けられる構成としてもよい。
【0092】
プロテクト処理がなされた第1構成ファイルD1と第2構成ファイルD3とは、通信部(不図示)を介して、サーバ300の記憶部210に入力される構成である。
【0093】
上記構成により、権限のあるユーザのみが削除、編集することができ、第1構成ファイルD1、第2構成ファイルD3を変更することで生じる不具合を防止することができる。
【0094】
以上のように、各実施形態に係る制御装置100、制御システムS、及び制御プログラムPGMによれば、各ウェハの状態及び各装置の経時変化を考慮したデータ管理が可能な半導体生産ラインを実現することができる。特に、上記した前工程のみならず、後工程における種々の半導体生産装置を組み合わせた半導体生産ラインにおいても適用可能である。
【0095】
なお、以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0096】
一例として、第1構成ファイルD1は、複数の半導体ウェハ生産装置Aに対応するウェハデータD12を有するデータ構造としてもよい。より具体的には、片面研磨装置の他に測定装置や検査装置についてのウェハデータを概要データD11の下の階層に有するデータ構造としてもよい。同様に、第2構成ファイルD3は、複数の半導体ウェハ生産装置Aに対応するウェハデータD32を有するデータ構造としてもよい。より具体的には、片面研磨装置の他に測定装置や検査装置についてのウェハデータを概要データD31の下の階層に有するデータ構造としてもよい。
【0097】
また、別の例として、各実施形態に係る編集部60、160の代わりにデータ更新部(不図示)を採用することもできる。当該データ更新部は、受信データD4の所定の値と、あらかじめ設定された閾値と、を比較して、あらかじめ設定された適正値を設定値ファイルD2に更新する構成である。
【0098】
また、当該データ更新部の別の例として、受信データD4の所定の値と相関データとに基づいて、当該相関データから得られる所定の値を設定値ファイルD2の値として更新する構成である。
【符号の説明】
【0099】
10 記憶部
20 指令データ生成部
30 受信データ生成部
50 通信部
100 制御装置
120 指令データ生成部
130 受信データ生成部
150 通信部
200 制御装置
210 記憶部
S 制御システム
D1 第1構成ファイル
D2 設定値ファイル
D3 第2構成ファイル
D4 受信データ
OD 指令データ
LD ログデータ
Q1 第1ステップ数
Q2 第2ステップ数
T 時間間隔
PGM 制御プログラム
【要約】
【課題】各ウェハの状態及び各装置の経時変化を考慮したデータ管理が可能な制御装置、制御システム、制御プログラムを提供する。
【解決手段】複数の半導体ウェハ生産装置Aの作動を対象のウェハごとに制御する制御装置100であって、記憶部10と、指令データ生成部20と、受信データ生成部30と、通信部50と、を備えており、指令データ生成部20は、送信先アドレスと作動レシピとを対応付けて、作動前又は作動中の一の半導体ウェハ生産装置Aの作動条件を示す指令データを生成して、受信データ生成部30は、半導体ウェハ生産装置Aから通信部50を介して所定の時間間隔ごとにログデータLDを取得して、ログデータLDとログ項目の第2ステップとを順に対応付けて、作動中の一の半導体ウェハ生産装置Aの作動状態、及びウェハの状態のうち少なくとも一方を示す受信データD4を生成することを要件とする。
【選択図】
図1