(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】幅寄せ装置および折り畳み機
(51)【国際特許分類】
B65H 45/08 20060101AFI20240404BHJP
B65H 5/02 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B65H45/08
B65H5/02 M
(21)【出願番号】P 2023220939
(22)【出願日】2023-12-27
【審査請求日】2023-12-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000161057
【氏名又は名称】株式会社ミヤコシ
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【氏名又は名称】加治 信貴
(74)【代理人】
【識別番号】100099472
【氏名又は名称】杉山 猛
(72)【発明者】
【氏名】加茂 亘
(72)【発明者】
【氏名】遊津 理芽
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-244166(JP,A)
【文献】特開2015-047145(JP,A)
【文献】特許第2969558(JP,B2)
【文献】独国特許出願公開第4302827(DE,A1)
【文献】特開2012-140213(JP,A)
【文献】特開2000-063037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14-9/26
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 20/00-20/40
B65H 29/12-29/24
B65H 29/32
B65H 37/00-37/06
B65H 41/00
B65H 45/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを搬送しながら前記フィルムを搬送方向と直交する幅方向に、山折りと谷折りを繰り返した蛇腹状に折り畳みながら幅寄せする幅寄せ装置であって、
前記幅寄せ装置は、搬送方向と直交する幅方向に間隔を置いて前記搬送方向下流側に行くにしたがって前記間隔が順次狭くなるように放射状に設けられた少なくとも2つ以上のマグネットコンベアを備え、
前記マグネットコンベアは、磁力を有する無端状部材を駆動装置で駆動する下部コンベアと、吸磁性の無端状部材を回転可能に有した上部コンベアを備え、前記下部コンベアの無端状部材の磁力により前記上部コンベアの無端状部材を吸着することで前記下部コンベアの無端状部材の駆動により前記上部コンベアの無端状部材が駆動するとともに、前記下部コンベアの無端状部材の磁力により前記フィルムを前記下部コンベアの無端状部材と前記上部コンベアの無端状部材とで挟持して搬送する構成であることを特徴とする幅寄せ装置。
【請求項2】
請求項1記載の幅寄せ装置において、
前記各マグネットコンベアは、前記搬送方向の長さが同一であり、
前記フィルムを前記マグネットコンベアの入口に送るための湾曲ガイドを備え、
前記各マグネットコンベアの入口が、収束位置を中心とする一つの円弧上に位置し、
前記湾曲ガイドは、前記収束位置を中心とする円弧状に湾曲している幅寄せ装置。
【請求項3】
請求項1記載の幅寄せ装置において、
前記各マグネットコンベアは、前記入口の位置が、収束位置を中心とする円弧方向に変更が可能である幅寄せ装置。
【請求項4】
請求項1記載の幅寄せ装置において、
前記マグネットコンベアの入口に前記フィルムを送るための湾曲ガイドと、
前記湾曲ガイドの前記搬送方向の上流側に設けられたテンションローラと、
を備え、
前記湾曲ガイドに対して、前記テンションローラの前記搬送方向の位置を変更可能とし、
前記テンションローラを正逆方向に回転可能とし、
前記湾曲ガイドに対して、前記テンションローラの位置を変更し、固定することで前記フィルムの張力を調整した後に、前記テンションローラを正逆方向に回転することで前記搬送方向に搬送される前記フィルムの張力を調整する構成とした幅寄せ装置。
【請求項5】
請求項1記載の幅寄せ装置において、
前記下部コンベアの下流側に、下部コンベア山折りガイドを下流側に向けて備えている幅寄せ装置。
【請求項6】
請求項1記載の幅寄せ装置において、
折り畳みながら蛇腹状に幅寄せする前記フィルムの谷折り部の内側に接して前記搬送方向の下流側へ案内する谷ガイドと、
前記谷ガイドの移動を検知する検知装置と、
を備え、
前記谷ガイドは、前記フィルムからの過負荷により前記搬送方向の下流側の位置へ移動が可能であり、前記移動を前記検知装置が検知した場合は前記フィルムの搬送を停止する構成とした幅寄せ装置。
【請求項7】
請求項1記載の幅寄せ装置において、
前記マグネットコンベアの下流側に収束部を設け、
前記収束部は、前記マグネットコンベアから搬送されたフィルムの山折り部に接する押さえ部材と、前記マグネットコンベアから搬送されたフィルムの両側面に接する側面ブラシと、前記マグネットコンベアから搬送されたフィルムの両側面上部に接する集合ローラと、前記マグネットコンベアから搬送されたフィルムの両側面に接するエア抜きブラシの少なくとも1つを備えている幅寄せ装置。
【請求項8】
請求項1記載の幅寄せ装置と、
90度ねじりコンベア装置を有する回転搬送部と、
を備え、
前記幅寄せ装置の前記搬送方向の下流側に前記回転搬送部を設けた、
ことを特徴とする折り畳み機。
【請求項9】
請求項1記載の幅寄せ装置と、
供給部と、
後処理部と、
を備え、
前記供給部は、前記搬送方向に直交する幅方向に前記フィルムをカットする供給部カッタ機構を備え、
前記後処理部は、前記搬送方向に直交する幅方向に前記フィルムをカットする排出側カッタ機構を備え、
前記フィルムから連続して任意のサイズの組み合わせの複数のカットされた製品を製造する場合に、
通常の前記製品のカットは、前記フィルムの搬送量に応じて前記排出側カッタ機構で行い、製造する最後の前記製品の上流側のカットのみ前記供給部カッタ機構で行う制御を、
連続して製造する前記製品の長さの合計と、前記供給部カッタ機構と前記排出側カッタ機構間の長さおよび前記搬送量より算出して行う構成とした、
ことを特徴とする折り畳み機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幅広で長尺なフィルムを搬送しながら幅方向に山折りと谷折りを繰り返した蛇腹状に折り畳みして幅寄せする幅寄せ装置および折り畳み機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、幅広で長尺なフィルムを搬送しながら幅方向に山折りと谷折りを繰り返した蛇腹状に折り畳みして幅寄せする幅寄せ装置が種々提案されている。
例えば、特許文献1に、複数の挟着ベルト装置を幅方向に間隔を置いて放射状に設け、フィルムの幅方向に間隔を置いた放射状の複数個所を挟着ベルト装置により搬送することで、フィルムを搬送しながら幅方向に山折りと谷折りを繰り返した蛇腹状に折り畳みして幅寄せするようにした幅寄せ装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の幅寄せ装置の挟着ベルト装置は、上下の挟着ベルト間にフィルムを挟着し、上下の挟着ベルトを駆動してフィルムを搬送するので、同期駆動機構により上下の挟着ベルトを同期して駆動している。同期駆動機構は組立に時間がかかる複雑な構成で、しかも高価である。このため、組立、設備費がかかる幅寄せ装置である。
従来の挟着ベルト装置により多層フィルム(フィルムを折り畳みして層状に重ね合せたフィルム)を搬送するときには、層状に重ね合った複数のフィルムを上下の挟着ベルト間に挟着して搬送するので、搬送しているときに各層間のフィルムで剥離や位置ずれが発生して皺になることがあり、多層フィルムを正しく幅寄せできないことがある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために為されたもので、その目的は、組立、設備費を抑えることができ、多層フィルムであっても正しく幅寄せができる幅寄せ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の幅寄せ装置は、フィルムを搬送しながら前記フィルムを搬送方向と直交する幅方向に、山折りと谷折りを繰り返した蛇腹状に折り畳みながら幅寄せする幅寄せ装置であって、前記幅寄せ装置は、搬送方向と直交する幅方向に間隔を置いて前記搬送方向下流側に行くにしたがって前記間隔が順次狭くなるように放射状に設けられた少なくとも2つ以上のマグネットコンベアを備え、前記マグネットコンベアは、磁力を有する無端状部材を駆動装置で駆動する下部コンベアと、吸磁性の無端状部材を回転可能に有した上部コンベアを備え、前記下部コンベアの無端状部材の磁力により前記上部コンベアの無端状部材を吸着することで前記下部コンベアの無端状部材の駆動により前記上部コンベアの無端状部材が駆動するとともに、前記下部コンベアの無端状部材の磁力により前記フィルムを前記下部コンベアの無端状部材と前記上部コンベアの無端状部材とで挟持して搬送する構成であることを特徴とする幅寄せ装置である。
【0007】
本発明の幅寄せ装置においては、前記各マグネットコンベアは、前記搬送方向の長さが同一であり、前記フィルムを前記マグネットコンベアの入口に送るための湾曲ガイドを備え、前記各マグネットコンベアの入口が、収束位置を中心とする一つの円弧上に位置し、前記湾曲ガイドは、前記収束位置を中心とする円弧状に湾曲している幅寄せ装置とすることができる。
この構成の幅寄せ装置によれば、フィルムの先端を各マグネットコンベアの入口に同時に移動することができ、フィルムを搬送開始するとき各マグネットコンベアを同時に同じ送り出し速度で駆動開始してフィルムを搬送することができ、幅寄せ開始時のマグネットコンベアの駆動制御が容易である。
【0008】
本発明の幅寄せ装置においては、前記各マグネットコンベアは、前記入口の位置が、収束位置を中心とする円弧方向に変更が可能である幅寄せ装置とすることができる。
この構成の幅寄せ装置によれば、マグネットコンベアの位置を変更することで、幅寄せされたフィルムの寸法を任意に調整できる。
【0009】
本発明の幅寄せ装置においては、前記マグネットコンベアの入口に前記フィルムを送るための湾曲ガイドと、前記湾曲ガイドの前記搬送方向の上流側に設けられたテンションローラと、を備え、前記湾曲ガイドに対して、前記テンションローラの前記搬送方向の位置を変更可能とし、前記テンションローラを正逆方向に回転可能とし、前記湾曲ガイドに対して、前記テンションローラの位置を変更し、固定することで前記フィルムの張力を調整した後に、前記テンションローラを正逆方向に回転することで前記搬送方向に搬送される前記フィルムの張力を調整する構成とした幅寄せ装置とすることができる。
この構成の幅寄せ装置によれば、湾曲ガイドによりフィルムをマグネットコンベアにスムーズに搬送できるとともに、テンションローラにより幅、厚み、材質などが異なるフィルムを適正な張力とすることができる。
【0010】
本発明の幅寄せ装置においては、前記下部コンベアの下流側に、下部コンベア山折りガイドを下流側に向けて備えている幅寄せ装置とすることができる。
この構成の幅寄せ装置によれば、折り畳みしたフィルムの山折り部を山形とすることができ、正しく幅寄せすることができる。
【0011】
本発明の幅寄せ装置においては、折り畳みながら蛇腹状に幅寄せする前記フィルムの谷折り部の内側に接して前記搬送方向の下流側へ案内する谷ガイドと、前記谷ガイドの移動を検知する検知装置と、を備え、前記谷ガイドは、前記フィルムからの過負荷により前記搬送方向の下流側の位置へ移動が可能であり、前記移動を前記検知装置が検知した場合は前記フィルムの搬送を停止する構成とした幅寄せ装置とすることができる。
この構成の幅寄せ装置によれば、折り畳みしたフィルムの谷折り部のフィルムが皺になることがなく、正しく幅寄せすることができる。
さらに、搬送不良を検知して自動で搬送を停止できるため、不具合が発生している状態で搬送が行われ、フィルムが無駄になることを防止できる。
【0012】
本発明の幅寄せ装置においては、前記マグネットコンベアの下流側に収束部を設け、前記収束部は、前記マグネットコンベアから搬送されたフィルムの山折り部に接する押さえ部材と、前記マグネットコンベアから搬送されたフィルムの両側面に接する側面ブラシと、前記マグネットコンベアから搬送されたフィルムの両側面上部に接する集合ローラと、前記マグネットコンベアから搬送されたフィルムの両側面に接するエア抜きブラシの少なくとも1つを備えている幅寄せ装置とすることができる。
この構成の幅寄せ装置によれば、押さえ部材と側面ブラシと集合ローラとエア抜きブラシのいずれか一つにより、折り畳みしたフィルムを正常な状態として正しく幅寄せすることができる。
【0013】
本発明の折り畳み機は、請求項1記載の幅寄せ装置と、90度ねじりコンベア装置を有する回転搬送部と、を備え、前記幅寄せ装置の前記搬送方向の下流側に前記回転搬送部を設けたことを特徴とする折り畳み機である。
本発明の折り畳み機によれば、幅寄せされたフィルムが崩れてしまうことを防止しながら、隣り合う山折りの間および隣り合う谷折りの間のエアを十分に排出して、幅寄せされたフィルムの向きを90度変えることができる。
【0014】
本発明の折り畳み機は、請求項1記載の幅寄せ装置と、供給部と、後処理部と、を備え、前記供給部は、前記搬送方向に直交する幅方向に前記フィルムをカットする供給部カッタ機構を備え、前記後処理部は、前記搬送方向に直交する幅方向に前記フィルムをカットする排出側カッタ機構を備え、前記フィルムから連続して任意のサイズの組み合わせの複数のカットされた製品を製造する場合に、通常の前記製品のカットは、前記フィルムの搬送量に応じて前記排出側カッタ機構で行い、製造する最後の前記製品の上流側のカットのみ前記供給部カッタ機構で行う制御を、連続して製造する前記製品の長さの合計と、前記供給部カッタ機構と前記排出側カッタ機構間の長さおよび前記搬送量より算出して行う構成としたことを特徴とする折り畳み機である。
この構成の折り畳み機によれば、製品の製造後に供給部カッタ機構よりも下流側に、フィルムが残り、ヤレが発生することを防止できる。特に幅が広い大型の農業用ビニールハウスに用いるフィルムの場合には単位長さ当たりの価格が高くなるため、ヤレが発生することを防止できることによる効果が大きい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の幅寄せ装置によれば、組立、設備費を抑えることができ、多層フィルムであっても正しく幅寄せができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(A)は本発明の幅寄せ装置で幅寄せする2層の多層フィルムの模式図で、(B)は本発明の幅寄せ装置で幅寄せする4層の多層フィルムの模式図である。
【
図2】本発明の折り畳み機の多層フィルム供給動作の模式的な説明図である。
【
図3】本発明の幅寄せ装置による多層フィルムの幅寄せ動作を説明する多層フィルムの模式的な上面図である。
【
図4】本発明の幅寄せ装置による多層フィルムの幅寄せ動作を説明する多層フィルムの模式的な側面図である。
【
図5】本発明の折り畳み機の幅寄せした多層フィルムの後処理動作の模式的な説明図である。
【
図6】本発明の幅寄せ装置を備えた折り畳み機の上面図である。
【
図7】本発明の幅寄せ装置を備えた折り畳み機の側面図である。
【
図11】多層フィルムの搬送状態説明用の幅寄せ装置の上面図である。
【
図12】下部コンベアの下流側部分の上面図である。
【
図14】(A)は押さえ部材の拡大断面図、(B)は押さえ部材の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の幅寄せ装置で幅寄せするフィルムは、幅方向に折り畳みされ複数のフィルムが重ね合った幅広で長尺な多層フィルム、複数のフィルムが重ね合っていない一枚のフィルムのみの幅広で長尺な単層フィルムである。
本発明の幅寄せ装置で幅寄せする多層フィルムを
図1に基づき説明する。
図1(A)は本発明の幅寄せ装置で幅寄せする2層の多層フィルムの模式図である。
図1(B)は本発明の幅寄せ装置で幅寄せする4層の多層フィルムの模式図である。
図1(A)に示す多層フィルム10は、折り畳みされる以前のフィルム(以下原フィルムという)の幅方向の中心を基準に幅方向の一方側(以下一方側という)および幅方向の他方側(以下他方側という)を原フィルムの幅の略1/4幅でそれぞれ1回折り畳み、一方側と他方側のそれぞれが下部フィルム15Aと一方側上部フィルム15B、下部フィルム15Aと他方側上部フィルム15Cとでそれぞれ2層となっている2層の多層フィルムである。
【0018】
図1(B)に示す多層フィルム10は、原フィルムの幅方向の中心を基準に一方側および他方側を原フィルムの幅の略1/8幅でそれぞれ3回折り畳み、一方側と他方側のそれぞれが、共通の下部フィルム16Aを含んで、一方側では2つの一方側中間フィルム16Bと一方側上部フィルム16Cの4層であり、他方側では2つの他方側中間フィルム16Dと他方側上部フィルム16Eの4層となっている4層の多層フィルムである。
図1(A)(B)では紙面から手前に向かう方向が搬送方向である。
多層フィルム10は、上記の2層の多層フィルム、4層の多層フィルムに限定されず、任意の数のフィルムが重ね合せられた多層フィルムとすることができる。
【0019】
多層フィルム10は、例えば、農業用ビニ-ルハウスなどで使用される幅広で長尺の農業用ポリオレフィンフィルムである。
図1(A)に示す2層の多層フィルム10の幅(2層に折り畳まれた状態の幅)が1~3m、折り畳み前の原フィルム(2層が展開されて重なっていない状態)の幅では2~6mである。
図1(B)に示す4層の多層フィルム10の幅(4層に折り畳まれた状態の幅)が1~3m、折り畳み前の原フィルム(4層が展開されて重なっていない状態)の幅では4~12mである。農業用ポリオレフィンフィルムの展開されて重なっていない状態の厚みは、0.05mm~0.15mmとなっている。
【0020】
本発明の幅寄せ装置を備えた折り畳み機(折り畳み機は後に説明する)の動作を
図2から
図5に基づき説明する。
図2は本発明の折り畳み機の多層フィルム供給動作の模式的な説明図、
図3は本発明の幅寄せ装置による多層フィルムの幅寄せ動作を説明する多層フィルムの模式的な上面図、
図4は本発明の幅寄せ装置による多層フィルムの幅寄せ動作を説明する多層フィルムの模式的な側面図、
図5は本発明の折り畳み機の幅寄せした多層フィルムの後処理動作の模式的な説明図である。
【0021】
図2に示すように、多層フィルム10(
図1(B)に示す4層の多層フィルム)は折り畳み機の供給部(供給部は後に説明する)にロール状に巻き取られたロール体11としてセットし、ロール体11を繰り出すことで偏平な状態の多層フィルム10を横向き姿勢で搬送して幅寄せ装置に供給する。偏平な状態とは、多層フィルム10の各層のフィルム(
図1(B)の下部フィルム16Aと一方側中間フィルム16Bと一方側上部フィルム16C、および下部フィルム16Aと他方側中間フィルム16Dと他方側上部フィルム16E)が重なり合う状態であるが、
図2(A)では理解を容易とするために多層フィルム10の各層のフィルム間に隙間があるように図示してある。
【0022】
多層フィルム10の幅方向の一方側端(以下一方側端という)10Aは、下部フィルム16Aと下の一方側中間フィルム16Bの折り曲げ部および上の一方側中間フィルム16Bと一方側上部フィルム16Cの折り曲げ部である。多層フィルム10の幅方向の他方側端(以下他方側端という)10Bは、下部フィルム16Aと下の他方側中間フィルム16Dの折り曲げ部および上の他方側中間フィルム16Dと他方側上部フィルム16Eの折り曲げ部である。
多層フィルム10の上面10Cは、一方側上部フィルム16Cと他方側上部フィルム16Eである。多層フィルム10の下面10Dは下部フィルム16Aである。
【0023】
図3に示すように、多層フィルム10の幅方向に間隔を置いた4カ所の部分(1点鎖線で示す部分)を幅方向中央部に向けて斜めに搬送する。このように搬送することで多層フィルム10は、多層フィルム10の一方側端10Aと他方側端10Bの間隔(多層フィルム10の幅)が順次狭まり、山折りと谷折りを繰り返して幅方向に蛇腹状に折り畳みながら搬送されて1点鎖線で示す山折り部12Aおよび実線で示す谷折り部12Bを形成するように幅寄せされる幅寄せされる過程の多層フィルム12を経て収束位置17で幅寄せされた多層フィルム13となって搬送され、ニップローラ68で圧着し各フィルムが密着した幅寄せ完了多層フィルム19としている。収束位置17は、各山折り部12Aを延長した仮想の直線と各谷折り部12Bを延長した仮想の直線が交差する位置である。幅寄せされた多層フィルム13となる位置(折り畳みながら搬送される幅寄せされる過程の多層フィルム12から幅寄せされた多層フィルム13に切り替わる位置)は幅寄せされた多層フィルム13の厚さ(幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aと他方側側面13B間の寸法)により収束位置17よりも搬送方向上流側にずれた位置となる。
【0024】
図3、
図4に示すように、山折り部12Aと谷折り部12Bは、交互に、搬送方向に行くにしたがって順次狭くなるよう放射状に形成される。山折り部12Aは多層フィルム10の上面10Cから同じ高さで幅寄せされた多層フィルム13まで連続し、谷折り部12Bは多層フィルム10から順次下方となるように斜めとなっている。
また、多層フィルム10の搬送される部分は、多層フィルム10の一方側端10Aと隣接した山折り部12Aの間隔、隣接した山折り部12Aと谷折り部12Bの間隔、および多層フィルム10の他方側端10Bと隣接した山折り部12Aの間隔が等しくなるように設定してある。
【0025】
幅寄せされた多層フィルム13の上部端面13Cは、山折り部12Aで形成されている。幅寄せされた多層フィルム13の下部端面13Dは、谷折り部12Bで形成されている。
最も一方側に形成された山折り部12A-1と多層フィルム10の一方側端10Aの間の多層フィルム10の上面10C(一方側上部フィルム16C)が、幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aを形成する。
最も他方側に形成された山折り部12A-2と多層フィルム10の他方側端10Bの間の多層フィルム10の上面10C(他方側上部フィルム16E)が、幅寄せされた多層フィルム13の他方側側面13Bを形成する。
幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aと他方側側面13Bは上下方向に向かい、幅寄せされた多層フィルム13は縦向きの姿勢である。
【0026】
図3から
図5に示すように、幅寄せ完了多層フィルム19は、収束位置17から搬送方向の下流側において、折り畳み機の回転搬送部(回転搬送部は後に説明する)に搬送され、幅寄せ完了多層フィルム19の一方側側面19A、他方側側面19Bが水平で、上部端面19Cが他方側、かつ、下部端面19Dが一方側に来るように横向き姿勢に90度回転されて、一方側側面19Aが幅寄せされる前の多層フィルム10の上面10Cと平行な状態となる。
この状態で幅寄せ完了多層フィルム19を折り畳み機の後処理部(後処理部は後に説明する)に搬送され、搬送方向と直交する幅方向にカットされて蛇腹状に折り畳んだ製品14となる。
【0027】
本発明の幅寄せ装置を備えた折り畳み機の実施の形態を
図6、
図7に基づき説明する。
図6は本発明の幅寄せ装置を備えた折り畳み機の上面図、
図7は本発明の幅寄せ装置を備えた折り畳み機の側面図である。
図6、
図7に示すように、本発明の幅寄せ装置を備えた折り畳み機1は、搬送方向上流側(以下上流側という)から搬送方向下流側(以下下流側という)に向けて順に、供給部2、本発明の幅寄せ装置3、回転搬送部4、後処理部5で構成される。
供給部2は、幅寄せ装置3へ多層フィルム10を供給するもので、
図2に示すロール体11から幅寄せ装置3へ向けて多層フィルム10を横向き姿勢として供給する構成である。
【0028】
本発明の幅寄せ装置3は、供給部2から供給された多層フィルム10を、
図3、
図4に示すように幅寄せすることで幅寄せされた多層フィルム13を形成する。実施の形態では、折り畳み機1の幅方向の両端側から幅方向の中心に向かって幅寄せして、折り畳み機1の一方側および他方側から見た面が平行かつ平坦となるように幅寄せされた多層フィルム13を形成する。
多層フィルム10は、折り畳み機1の一方側から見たときに幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aが形成されるように、かつ、折り畳み機1の他方側から見たときに幅寄せされた多層フィルム13の他方側側面13Bが形成されるように、幅方向に向かって蛇腹状に幅寄せされる。
幅寄せ装置3は幅寄せ部30と、幅寄せ部30の下流側に設けた収束部6を備え、多層フィルム10を幅寄せ完了多層フィルム19とする。
【0029】
回転搬送部4は、幅寄せ装置3から縦向き姿勢で搬送されてきた幅寄せ完了多層フィルム19を、
図5に示すように幅寄せ完了多層フィルム19の一方側側面19Aが上側を向くように、搬送方向上流側から見て反時計回りに90度回転して横向き姿勢とし、下流側へ搬送する。
後処理部5は、回転搬送部4から横向き姿勢として搬送されてきた幅寄せ完了多層フィルム19に任意の後加工を行い排出する。実施の形態の後処理部5は、折り畳み機1の幅方向に幅寄せ完了多層フィルム19をカットするとともに、
図5に示すように搬送方向に向かって上流側と下流側へ交互に蛇腹状に折り畳んで、製品14として排出する。
【0030】
供給部の構成を
図8に基づいて説明する。
図8は供給部の側面図である。
図8に示すように、供給部2はロール体保持部21、供給部カッタ機構22、供給部搬送機構23、除電部24、バッファ部25、テンションローラ27、湾曲ガイド28を備える。
ロール体保持部21は、折り畳み機1の設置面1Aに設けられ、2つの保持ローラ21Aを有している。ロール体11は2つの保持ローラ21A上に回転自在に保持される。2つの保持ローラ21Aは、図示しない駆動装置によって回転され、供給部搬送機構23と同期して回転することで、ロール体11を反時計回りに回転させて、多層フィルム10を供給部搬送機構23側に向けて搬送する。ロール体11の幅方向の側面は、ロール体保持部21に設けられた図示しない部材によって幅方向の位置が固定され、幅方向に移動しないようにしてある。
【0031】
供給部カッタ機構22は、ロール体保持部21の下流側で供給部搬送機構23の上流側に位置し、供給部カッタ22Aで多層フィルム10を幅方向にカットするためのものである。供給部カッタ22Aは公知のカッター刃などを備えた構成であり、供給部カッタ22Aが多層フィルム10の幅方向に往復移動することで、多層フィルム10をカットする。供給部カッタ22Aと対向して、供給部カッタ22Aの刃が通る溝が供給部2の幅方向に亘って設けられた供給部カッタ当て板22Bが、
図6に示す供給部2の一方側フレーム29Aと供給部2の他方側フレーム29Bの間に設けられている。多層フィルム10は、供給部カッタ22Aと供給部カッタ当て板22Bの間を通るように搬送される。供給部カッタ22Aは、供給部2の一方側フレーム29Aと供給部2の他方側フレーム29Bの間に設けた図示しないガイド上を往復移動可能に取り付けられている。
【0032】
供給部カッタ22Aは、後述するカットのタイミングに応じて、自動でカットのための往復移動をする構成でもよく、供給部カッタ22Aとして市販のカッターを使用して手動でカットする構成でもよい。供給部カッタ22Aが自動でカットをする場合には、供給部カッタ22Aを駆動させる駆動装置と制御装置をさらに設ける。
供給部搬送機構23は、ロール体保持部21のロール体11から多層フィルム10を引き出すものである。供給部搬送機構23は、図示しない駆動装置で回転される供給部駆動ローラ23Aと、供給部駆動ローラ23Aの上方に設けられて供給部駆動ローラ23Aとで多層フィルム10をニップする供給部ニップローラ23Bで構成される。供給部駆動ローラ23Aは、前述の2つの保持ローラ21Aと同期して回転駆動する。
【0033】
供給部駆動ローラ23Aは多層フィルム10の幅方向に連続した長尺なローラで、供給部ニップローラ23Bは多層フィルム10の幅より短い短尺なローラで多層フィルム10の幅方向に間隔を置いて複数配置されている。
供給部ニップローラ23Bは、折り畳み機1の運転状況に応じて、供給部駆動ローラ23Aとで多層フィルム10をニップするニップ位置と、供給部駆動ローラ23Aと離隔して多層フィルム10をニップしない非ニップ位置となるように位置が制御される。多層フィルム10を搬送するときには供給部ニップローラ23Bをニップ位置とし、多層フィルム10の搬送が終了したときには供給部ニップローラ23Bを非ニップ位置とする。
【0034】
供給部駆動ローラ23Aの回転量は、バッファ部25の多層フィルム10の供給量に応じて制御される。例えば、バッファ部25に供給されている多層フィルム10の量が少ない場合には供給部駆動ローラ23Aの回転量を増加させ、バッファ部25に供給されている多層フィルム10の量が多い場合には供給部駆動ローラ23Aの回転量を減少させる。
供給部搬送機構23の下流側には除電部24が設けてある。除電部24は、供給部2の一方側フレーム29Aと供給部2の他方側フレーム29Bの間に設けられた取付横材24Aに複数の除電ロープ24Bを幅方向に間隔を置いて取り付けてある。除電ロープ24Bは多層フィルム10の搬送方向に沿って垂れ下がり、多層フィルム10の上面10Cに接触することで、多層フィルム10の静電気を除去するためのものである。
多層フィルム10は、除電ロープ24Bで静電気を除去されるので、幅寄せ装置3で幅寄せするとき、静電気により多層フィルム10の状態が崩れることを防止できる。なお、除電ロープ24Bの個数は任意である。
【0035】
バッファ部25は、供給部搬送機構23の下流側に設けてあり、バッファローラ25A、バッファ部センサ25Bおよびバッファ部ローラ25Cを備えている。バッファ部25は、供給部駆動ローラ23Aとバッファ部ローラ25Cの間の多層フィルム10を一定量に保持する。
多層フィルム10は供給部駆動ローラ23Aからバッファ部ローラ25Cに掛け渡しされ、多層フィルム10の上面10Cにバッファローラ25Aが接触して重りとなって、多層フィルム10がバッファ部25に略V字形状で保持される。
バッファローラ25Aは、多層フィルム10でのみ支持されており、多層フィルム10の上面10Cに重りとして置かれた樹脂ローラなどの軽量のローラである。
【0036】
バッファ部センサ25Bは、バッファ部25に略V字形状で保持される多層フィルム10の下端部の位置(バッファローラ25Aの位置)を検知し、検知結果により供給部駆動ローラ23Aの回転量を制御して、バッファ部25に供給される多層フィルム10の量を制御する。
例えば、バッファ部センサ25Bの検知した多層フィルム10の下端部の位置が、所定位置より高い場合には、バッファ部25に供給されている多層フィルム10が少ないと判断し、供給部駆動ローラ23Aの回転量を増加させる。バッファ部センサ25Bの検知した多層フィルム10の下端部の位置が、所定位置より低い場合には、バッファ部25に供給されている多層フィルム10が多いと判断し、供給部駆動ローラ23Aの回転量を減少させる。
【0037】
図6に示すように幅寄せ装置3の一方側フレーム39Aに一方側補助フレーム40Aが取り付けられ、幅寄せ装置3の他方側フレーム39Bに他方側補助フレーム40Bが取り付けられ、
図8に示すように一方側補助フレーム40Aと他方側補助フレーム40Bに亘りバッファ部ローラ25Cが取り付けしてある。
バッファローラ25Aは、上記の構成に限定されず、公知のダンサローラを採用することもできる。
供給部2は上記の構成に限定されず、幅寄せ装置3へ多層フィルム10を供給できる構成であれば任意の構成とすることができる。
【0038】
本発明の幅寄せ装置の実施の形態を
図9から
図12に基づき説明する。
図9は幅寄せ装置の側面図、
図10は幅寄せ装置の上面図、
図11は多層フィルムの搬送状態説明用の幅寄せ装置の上面図、
図12は下部コンベアの下流側部分の上面図である。理解を容易とするために
図9はマグネットコンベアを1つのみ図示し、
図10、
図11は説明する部分のみを図示し、他の部分の図示を省略している。
図11に示すように、幅寄せ部30は、幅広で長尺の多層フィルム10を
図3に示すように、折り畳みながら蛇腹状に幅寄せするために、多層フィルム10の搬送方向と直交する幅方向に間隔を置いて下流側に行くにしたがって間隔が順次狭くなるように放射状に設けられた4つのマグネットコンベア31を備えている。
【0039】
各マグネットコンベア31の幅方向中央を通り搬送方向に向かう中心線の延長は下流側において一点で交差し、その交点が
図3に示す収束位置17である。
なお、マグネットコンベア31を4つ設けているが、マグネットコンベア31の数は4つに限らず、使用する多層フィルム10の幅、厚み、材質、幅寄せした後の側面の長さなどの条件に応じて変更してよく、任意の数のマグネットコンベア31を設けることができる。
すなわち、少なくとも2つ以上のマグネットコンベア31を設ければよい。
【0040】
図9に示すように、マグネットコンベア31は、磁力を有する無端状部材を駆動装置で駆動する下部コンベア33と、吸磁性の無端状部材を回転可能に有した上部コンベア32を備え、下部コンベア33の無端状部材の磁力により上部コンベア32の無端状部材を吸着することで下部コンベア33の無端状部材の駆動により上部コンベア32の無端状部材が駆動するとともに、下部コンベア33の無端状部材の磁力により多層フィルム10を下部コンベア33の無端状部材と上部コンベア32の無端状部材とで挟持して搬送する構成である。
この構成によれば、上部コンベア32の無端状部材と下部コンベア33の無端状部材を同期して駆動するために、組み立てに時間がかかる複雑で高価な同期駆動機構を設けていないので、組立、設備費を抑えることができる。
しかも、多層フィルム10を下部コンベア33の無端状部材の磁力により上部コンベア32の無端状部材と下部コンベア33の無端状部材とで挟持して搬送するので、多層フィルム10を搬送する時に各層間のフィルムが剥離したりずれたりして皺が発生することがなく、多層フィルム10であっても正しく幅寄せができる。
【0041】
この実施の形態のマグネットコンベア31の構成を説明する。
上部コンベア32は、上部コンベアフレーム83の上流側端部に上流側ローラ82A、上部コンベアフレーム83の下流側端部に下流側ローラ82Bを備える。上部コンベア32の上流側ローラ82Aと下流側ローラ82Bには、吸磁性の無端状部材であるスチールベルト81が巻回されている。吸磁性の無端状部材はスチールベルト81に限らず鉄粉を混合したゴムから成るベルトなどでもよい。
下部コンベア33は、下部コンベアフレーム86の上流側端部に上流側ローラ85A、下部コンベアフレーム86の下流側端部に下流側ローラ85Bを備える。下部コンベア33の上流側ローラ85Aと下流側ローラ85Bには、磁力を有する無端状部材としてマグネット付チェーン84が巻回されている。磁力を有する無端状部材はマグネット付チェーン84に限ることはなく、ベルトにマグネットを取り付けたものなどでもよい。
【0042】
マグネット付チェーン84は、
図12に示すように、マグネット88がチェーン89上に一定周期で取り付けられた構成である。チェーン89にはマグネット88を取り付ける受部材89Aが連続して設けられている。マグネット88は、受部材89Aにネジ等の任意の方法で固定される。マグネット88は、搬送されてくる多層フィルム10の下面10Dに対してマグネット88の平坦な面が接触するように構成されている。マグネット88の平坦な面と、マグネット88の平坦な面に対向するスチールベルト81の面で多層フィルム10を挟むため、多層フィルム10の各層間のフィルムが剥離や位置ずれなどで皺になったり崩れることなく、多層フィルム10を挟持して搬送しながら幅寄せすることができる。
【0043】
この構成のマグネットコンベア31は、上部コンベア32のスチールベルト81が、下部コンベア33に対向するように搬送方向に沿って設けてある。下部コンベア33のマグネット付チェーン84は、上部コンベア32に対向するように搬送方向に沿って設けられ、後述の駆動装置87によって、多層フィルム10を供給部2側から回転搬送部4側に向かって搬送するように駆動される。
したがって、多層フィルム10をマグネット付チェーン84のマグネット88とスチールベルト81とでしっかりと挟持して搬送できる。
上部コンベア32のスチールベルト81は、マグネット88の磁力によって、マグネット付チェーン84により駆動される。
【0044】
多層フィルム10のマグネットコンベア31までの搬送経路を説明する。
図9に示すように、供給部2から供給された多層フィルム10は先に述べたようにバッファ部25のバッファ部ローラ25Cまで搬送され、バッファ部ローラ25Cからテンションローラ27に搬送され、テンションローラ27から湾曲ガイド28を経てマグネットコンベア31の上流側端部31Aに搬送され、マグネットコンベア31の上部コンベア32と下部コンベア33とで挟持されて搬送される。つまり、マグネットコンベア31の上流側端部31Aはマグネットコンベア31の入口である。
マグネットコンベア31の上部コンベア32の上流側端部32Aは下部コンベア33の上流側端部33Aよりも上流側に位置し、マグネットコンベア31の上流側端部31Aは下部コンベア33の上流側端部33Aと搬送方向に同じ位置である。
湾曲ガイド28は下部コンベア33の上流側端部33Aの上流側に位置している。
【0045】
図11に示すように、湾曲ガイド28のガイド面28Aは収束位置17を中心とする円弧状に湾曲している。
4つのマグネットコンベア31は、マグネットコンベア31の上流側端部31Aと収束位置17との間の距離が同じとなるように設けてある。つまり、4つのマグネットコンベア31の上流側端部31Aは収束位置17を中心とする円弧上に位置している。
4つのマグネットコンベア31の搬送方向の長さは同一であり、4つのマグネットコンベア31の下流側端部31Bは収束位置17を中心とする円弧上に位置している。つまり、マグネットコンベア31の下流側端部31Bはマグネットコンベア31の出口である。
【0046】
図9に示すように、多層フィルム10の幅寄せを開始するときには、テンションローラ27まで搬送された多層フィルム10の先端部分を手で持って移動することで、多層フィルム10の先端を湾曲ガイド28のガイド面28Aを経てマグネットコンベア31の上流側端部31Aまで移動する。
多層フィルム10の先端部分は、収束位置17を中心とする円弧状に湾曲している湾曲ガイド28のガイド面28Aに沿って搬送方向に移動するので、多層フィルム10の先端は収束位置17を中心とする円弧状に湾曲し、多層フィルム10の先端を4つのマグネットコンベア31の上流側端部31Aに同時に移動することができる。
【0047】
この構成によれば、多層フィルム10を搬送開始するときに4つのマグネットコンベア31を同時に同じ送り出し速度で駆動開始して多層フィルム10を搬送することができ、予備送り出し制御をすることがなく幅寄せ開始時のマグネットコンベア31の駆動制御が容易である。
これに対して、特許文献1(特開2004-244166号公報)に開示された幅寄せ装置では、各挟着ベルト装置の入口(上流側端部)と収束位置との間の距離が異なるので、中央部の挟着ベルト装置の送り出し速度を遅く、両側の挟着ベルト装置の送り出し速度を速くなるように複雑な予備送り出し制御してフィルムの先端から収束位置との間の距離を同じとし、その後に各挟着ベルトの送り出し速度を同じとしているので、挟着ベルト装置の幅寄せ開始時の駆動制御が面倒である。
【0048】
テンションローラ27の構成を説明する。
幅寄せ装置3の一方側フレーム39Aに設けた一方側補助フレーム40Aに一方側テンションローラ取付部26Aが設けられ、幅寄せ装置3の他方側フレーム39Bに設けた他方側補助フレーム40Bに他方側テンションローラ取付部26Bが設けられ、一方側テンションローラ取付部26Aと他方側テンションローラ取付部26Bに亘ってテンションローラ27を、多層フィルム10の搬送方向に取り付け位置が調整可能に設けられている。
【0049】
具体的には、一方側テンションローラ取付部26A、他方側テンションローラ取付部26Bは、それぞれレール部材131、レール部材131に搬送方向に移動可能に設けた移動体132を有しており、各レール部材131はそれぞれ一方側補助フレーム40A、他方側補助フレーム40Bに取り付けられており、各移動体132に亘ってテンションローラ27が支持されている。また、移動体132を移動しないようにするロック手段が設けてある。ロック手段としてはロックボルトをレール部材131に螺合し、ロックボルトを締め付けることで移動しないようにロックし、弛めることで移動可能とする従来から知られているものなどが用いられる。
【0050】
この構成によれば、移動体132のロックを解除し移動体132を移動することでテンションローラ27を搬送方向に移動させて取り付け位置を調整して、湾曲ガイド28に対して、多層フィルム10に適切な張力(テンション)が掛かった状態となった後に移動体132をロックしてテンションローラ27の取り付け位置を固定できる。
つまり、多層フィルム10を各マグネットコンベア31へ適切な張力で供給するため、多層フィルム10の幅、厚み、材質、各層間の状態などの条件に応じてテンションローラ27の位置を調整できる。一方側テンションローラ取付部26A、他方側テンションローラ取付部26Bは公知の直動機構などが採用できる。
【0051】
テンションローラ27は駆動装置(図示しない)を備え、正逆方向に回転できる。
駆動装置は他方側補助フレーム40B側の移動体132に取り付けられているため、テンションローラ27とともに移動する。
テンションローラ27に多層フィルム10の上面10Cが接触し、湾曲ガイド28を経由して、マグネットコンベア31へ搬送される多層フィルム10の適切な負荷となることで、マグネットコンベア31の多層フィルム10の張力を制御する。テンションローラ27は、多層フィルム10の幅、厚み、材質、各層間の状態などの条件に応じた適切な負荷がかかるように正逆回転を制御する。ここで、正方向は
図8でテンションローラ27が反時計回りに回転する方向で、逆方向は
図8でテンションローラ27が時計回りに回転する方向である。
【0052】
例えば、テンションローラ27の回転速度は、テンションローラ27よりも下流側での多層フィルム10の搬送速度に対して、テンションローラ27での正方向への回転により多層フィルム10を送り出す速度が遅くなるように制御する。
この制御の搬送速度の差によるテンションローラ27と多層フィルム10の間の摩擦が、多層フィルム10が搬送方向へ進むときの負荷となる。テンションローラ27の負荷は、多層フィルム10のテンションローラ27に接触する表面積によって変化する。
このため、多層フィルム10の幅が狭くなるほどテンションローラ27の正方向への回転速度を遅くする。多層フィルム10の幅がさらに狭くなる場合には、テンションローラ27を逆方向へ回転させ、多層フィルム10の幅が狭くなるほどテンションローラ27の逆方向への回転速度を速くする。
【0053】
また、多層フィルム10の種類によって、摩擦が少ない材質であれば、同じ幅でもテンションローラ27による負荷が高くなるように、テンションローラ27を制御する。
テンションローラ27の正逆回転および回転速度は、事前に設定した多層フィルム10の幅、厚み、材質、各層間の状態などの条件および折り畳み機1の搬送速度に応じて自動で制御するようにできる。
多層フィルム10は折り畳まれていない単層フィルムに比べて、搬送するときに各層間のフィルムに位置がずれて皺などの不具合となり易いが、テンションローラ27を先に述べたように制御することによって、皺などの不具合が発生しない適切な張力を多層フィルム10に付与することで、マグネットコンベア31へ多層フィルム10を供給することができる。
【0054】
この構成によれば、多層フィルム10を湾曲ガイド28を経てマグネットコンベア31に供給するように構成した幅寄せ装置3であっても、湾曲ガイド28の上流側にテンションローラ27を設け、そのテンションローラ27より多層フィルム10の張力を調整することで、多様な多層フィルム10(幅、厚み、材質の異なる多層フィルム)に適正な張力(テンション)が調整し維持できる。
【0055】
幅寄せ部30による多層フィルム10の幅寄せ動作を説明する。
4つのマグネットコンベア31は、幅方向に隣接する2つのマグネットコンベア31の間隔が、多層フィルム10の搬送方向に行くにしたがって順次狭くなるように放射状に設けてあるので、多層フィルム10におけるマグネットコンベア31により搬送される部分は搬送方向に行くにつれて順次狭まり、隣接した搬送される部分の間の部分が自重により垂れ下がり谷折りされ、搬送される部分が山折りとなる状態で幅方に蛇腹状に折り畳みされながら搬送されて幅寄せされる。つまり、マグネットコンベア31がある位置が山折りとなり、隣接するマグネットコンベア31の間が谷折りとなる状態で山折りが4つ、谷折りが3つある蛇腹状に折り畳まれて幅寄せされる。
したがって、多層フィルム10を
図3、
図4のように幅寄せできる。
【0056】
幅方向に隣接する2つのマグネットコンベア31の間隔は全て同じで、各山折り部12Aと各谷折り部12Bとの距離を全て同じに折り畳みされる。
各マグネットコンベア31は、幅寄せの収束点である収束位置17を基準に、円弧方向に位置を変更可能である。
例えば、マグネットコンベア31の下流側端部31B側を収束位置17を中心として幅方向に回転自在とし、マグネットコンベア31の上流側端部31Aを収束位置17を中心とする円弧に沿って移動可能とする。
【0057】
この構成とすることで、マグネットコンベア31を移動して上流側端部31Aの位置を変えることで隣接するマグネットコンベア31の間隔を調整できるので、マグネットコンベア31の間隔を調整して幅寄せされた多層フィルム13の山折り部12Aと谷折り部12Bの距離を変えて折り畳み寸法を任意に変更できる。
具体的には、隣接するマグネットコンベア31の間隔を狭めた場合、幅寄せされた多層フィルム13の山折り部12Aと谷折り部12Bの距離(
図4の幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aの上下方向の長さ)が短くなり、幅寄せ寸法が短くなる。マグネットコンベア31の間隔を広げた場合、幅寄せされた多層フィルム13の山折り部12Aと谷折り部12Bの距離(
図4の幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aの上下方向の長さ)が長くなり、幅寄せ寸法が長くなる。
【0058】
したがって、各マグネットコンベア31を可動式(上流側端部31Aの円弧方向の位置を変更可能)としたことにより、幅寄せされた多層フィルム13の折り畳み寸法を任意に調整できる。
また、マグネットアコンベア31の上流側端部31Aの位置および隣接するマグネットコンベア31の間隔を、幅寄せする多層フィルム10の幅に応じて変更できるので、幅の異なる多層フィルム10を同じように折り畳みして幅寄せできる。
【0059】
マグネットコンベア31の上部コンベア32の取付け構成を説明する。
図9と
図10に示すように、上部コンベア32の上部コンベアフレーム83は2つの上部コンベア昇降シリンダ34を介して上部コンベア支持部35に取り付けられている。
上部コンベア支持部35の下流側部(回転搬送部4側の部分)は、上部コンベア回転支持部36により幅寄せ装置3の上部側の下流側フレーム39Cに回転可能に支持されている。上部コンベア回転支持部36はブラケット36Aに回転支持軸36Bを上下方向に向けて取り付けたもので、上部コンベア支持部35の下流側部が回転支持軸36Bにより回転可能に支持されている。回転支持軸36Bの中心(回転中心)は収束位置17と同じである。回転支持軸36Bには4つの上部コンベア32の上部コンベア支持部35が上下方向に重ねて支持されている。
【0060】
上部コンベア支持部35の上流側部(供給部2側の部分)の下面には車輪101および着脱部102を有するロックレバー98が取り付けられている。幅寄せ装置3の一方側フレーム39Aと他方側フレーム39Bに亘り上部板状部材96が設けてあり、この上部板状部材96の上面に車輪101が接触し、上部コンベア支持部35の上流側部が上部板状部材96により移動可能に支持されている。実施の形態では上部板状部材96は上面視で円弧状の部分を有し、その円弧状の部分の上面に車輪101が接触するように設けられている。
着脱部102は上部板状部材96の下面に接触して上部コンベア支持部35が移動しないようにロックする着と、上部板状部材96と離れてロックを解除し上部コンベア支持部35を移動可能とする脱となるように設けられ、ロックレバー98により着、脱に操作される。
【0061】
つまり、上部コンベア支持部35は、下流側部が上部コンベア回転支持部36で回転可能に支持され、上流側部が車輪101を介して上部板状部材96で移動可能に支持され、着脱部102で移動しないようにロック、移動できるようにロック解除される。
この構成によれば、ロックレバー98で着脱部102を脱としてロックを解除した状態で、ロックレバー98を手で持って上部コンベア支持部35を、上部コンベア回転支持部36を中心に上面視で円弧方向に移動することにより、2つの上部コンベア昇降シリンダ34を介して上部コンベア支持部35に取り付けられた上部コンベア32を上面視で円弧方向に移動することができる。
【0062】
任意の位置においてロックレバー98で着脱部102を着としてロックすることで位置を固定できる。
また、上部コンベア32の上下方向の位置は、上部コンベア昇降シリンダ34が伸縮することで、下部コンベア33との間で多層フィルム10を挟む下方位置と、下部コンベア33から離間した上方位置に切り替えることができる。
上部コンベア32の上下方向の位置は、幅寄せ部30での幅寄せを行う場合には、下部コンベア33との間で多層フィルム10を挟む下方位置に切り替え、幅寄せ開始時期などに幅寄せ部30への多層フィルム10の取り付けやメンテナンスなどを行う場合には、下部コンベア33から離間した上方位置に切り替える。
【0063】
マグネットコンベア31の下部コンベア33の取り付け構成を説明する。
図9と
図10に示すように、下部コンベア33の下部コンベアフレーム86は2つの補助フレーム103を介して下部コンベア支持部37に取り付けられている。
下部コンベア支持部37の下流側部(回転搬送部4側の部分)は、下部コンベア回転支持部38により幅寄せ装置3の下部側の下流側フレーム39Cに回転可能に支持されている。下部コンベア回転支持部38はブラケット38Aに回転支持軸38Bを上下方向に向けて取り付けたもので、下部コンベア支持部38の下流側部が回転支持軸38Bにより回転可能に支持されている。回転支持軸38Bの中心(回転中心)は収束位置17と同じである。回転支持軸38Bには4つの下部コンベア33の下部コンベア支持部37が上下方向に重ねて支持されている。
【0064】
すなわち、上部コンベア回転支持部36の回転支持軸36Bと下部コンベア回転支持部38の回転支持軸38Bは同軸上に設けられ、上部コンベア支持部35と下部コンベア支持部37は収束位置17を中心として回転する。
下部コンベア支持部37の上流側部(供給部2側の部分)の下面には車輪104が取り付けられている。また、下部コンベア支持部37の上流側部の側面には着脱部105を有するロックレバー99が取り付けられている。
幅寄せ装置3の一方側フレーム39Aと他方側フレーム39Bに亘ってプレート104Aが設けてあり、プレート104Aに下部板状部材97が設けてある。車輪104はプレート104Aの上面に接触して、下部コンベア支持部材37の上流側部を移動可能に支持している。着脱部105は下部板状部材97の上面視円弧状の部分の側面に接触して下部コンベア支持部37が移動しないようにロックする着と、側面と離れてロックを解除し下部コンベア支持部37を移動可能とする脱となるよう設けられ、ロックレバー99により着、脱に操作される。
【0065】
つまり、下部コンベア支持部37は、下流側部が下部コンベア回転支持部38で回転可能に支持され、上流側部が車輪104を介してプレート104Aで移動可能に支持されている。
下部コンベア33の駆動装置87は1つの補助フレーム103に設けられ、サーボモータ(図示せず)でスプロケット(図示せず)を駆動する構成であり、マグネット付チェーン84のチェーン89にスプロケットを噛合し、スプロケットを駆動することでマグネット付チェーン84を駆動する。
上部コンベア32と下部コンベア33は一対でマグネットコンベア31を形成するので、上面から見て同じ位置になるように上部コンベア支持部35と下部コンベア支持部37の位置を決定する。
【0066】
この構成によれば、ロックレバー99で着脱部105を脱としてロックを解除した状態で、ロックレバー99を手で持って下部コンベア支持部37を、下部コンベア回転支持部38を中心に上面視で円弧方向に移動することにより、2つの補助フレーム103を介して下部コンベア支持部37に取り付けられた下部コンベア33を上面視で円弧方向に移動することができ、任意の位置においてロックレバー99で着脱部105を着としてロックすることで下部コンベア支持部37を固定できる。
したがって、上部コンベア32と下部コンベア33を収束位置17を中心として回転することでマグネットコンベア31を収束位置17を中心として回転できる。
また、各下部コンベア33の駆動装置87は下部コンベア33とともに移動するので、下部コンベア33を移動する障害となることがない。
【0067】
また、各下部コンベア33の駆動装置87のサーボモータを同期駆動制御することで、各下部コンベア33を同期駆動することができる。
なお、下部コンベア33の駆動装置87は、各下部コンベア33に個別に設けているが、複数の下部コンベア33を1つの駆動装置87で駆動させてもよい。
例えば、
図11に示す中央部の2つのマグネットコンベア31-1、31-2のそれぞれの下部コンベア33を1つの駆動装置87で駆動し、一方側のマグネットコンベア31-3の下部コンベア33と他方側のマグネットコンベア31-4の下部コンベア33はそれぞれ1つの駆動装置87で駆動してもよい。この構成により、駆動装置87の数を抑え、コストの削減を実現できる。
【0068】
また、各下部コンベア33の駆動装置87のサーボモータは同期して駆動制御されるが、各下部コンベア33ごとの搬送速度はすべて同一になるように制御してもよく、下部コンベア33ごとに変更してもよい。
例えば、多層フィルム10を搬送する段階で、多層フィルム10の一方側のみフィルムが伸びているような場合には、一方側のマグネットコンベア31―3の下部コンベア33の速度をほかのマグネットコンベア31-1、31-2、31-4の下部コンベア33の速度より速くして、マグネットコンベア31の多層フィルム10の搬送量を調整することができる。
任意に各マグネットコンベア31の搬送量を調整できることで、多層フィルム10の状態によらず、幅寄せされた多層フィルム13を形成することができる。
【0069】
マグネットコンベア31の上部コンベア32と下部コンベア33とで多層フィルム10を挟持した部分が山折り部12Aとなるので、山折り部12Aは、下部コンベア33の多層フィルム10を挟持する部分の幅に応じた平坦な形状となる。山折り部12Aをこの形状のまま幅寄せすると山折り部12Aが正しく押し潰されずに皺になったりするので、幅寄せしたときに山折り部12Aのフィルムが密着しないので、幅寄せされた多層フィルム13が正しく折り畳みされた状態とならない。
本発明の幅寄せ部30は、幅寄せされた多層フィルム13を正しく折り畳みされた状態とするために、
図11に示すように各下部コンベア33の下流側に、下部コンベア山折りガイド90をそれぞれ備える。
【0070】
下部コンベア山折りガイド90は、下部コンベア33の多層フィルム10を挟持する部分よりも幅が狭く、下部コンベア33の下流側端部33Bよりも下流側に突出して設けてある。
図9に示すように、下部コンベア山折りガイド90は、下部コンベア33の多層フィルム10を挟持する部分と連続し、挟持する部分の上面より高い位置まで斜め上向きに傾斜した山折り傾斜部90Aと、山折り傾斜部90Aと連続し下流側に突出したガイド部90Bを有する板状である。
幅寄せされる過程の多層フィルム12が下部コンベア33の下流側端部33Bから下流側に搬送されと、山折り部12Aが下部コンベア山折りガイド90の山折り傾斜部90Aに沿って移動するときに、平坦な形状であった山折り部12Aは鋭角な山形の形状に折り曲げられ、その後はガイド部90Bに沿って鋭角な山形の形状を維持しながら搬送される。
これにより、幅寄せしたときに山折り部12Aのフィルムが密着するので、幅寄せされた多層フィルム13が正しく折り畳みされた状態となる。
【0071】
実施の形態の下部コンベア山折りガイド90を説明する。
下部コンベア山折りガイド90はマグネット付チェーン84の搬送面に対して、上方に向かって伸びるガイドである。下部コンベア山折りガイド90は
図12に示すように、下部コンベアフレーム86の下流側部に取り付けてある。
下部コンベア33は、マグネット88の大きさに応じた幅が必要である。このため、下部コンベア33の幅の分だけ山折り部12Aは平坦なフィルムを有する形状で下流側へ送り出される。下部コンベア山折りガイド90は、下部コンベア33の幅の分の平坦なフィルムを山折りにするために設けられており、下部コンベア33のマグネット88の搬送面と連続した山折り傾斜部90Aと、山折り傾斜部90Aと連続しマグネット88の搬送面の高さから下部コンベア33の幅の略半分の長さ分だけ高くなったガイド部90Bからなる。
【0072】
この構成によれば、下部コンベア33の幅の分だけ平坦な状態だったフィルムを山折りの状態にして下流側へ搬送できる。
下部コンベア山折りガイド90は、上述の山折りを形成する高さになって以降は、収束部6へ向け一定の高さで伸びており、収束位置17へ山折り部12Aを案内する。
下部コンベア山折りガイド90により、幅寄せされる過程の多層フィルム12に皺の発生や姿勢が崩れるなどの不具合を発生させることなく、山折りの状態にして搬送することができる。
【0073】
図11に示すように、4つのマグネットコンベア31の下流側端部31Bは収束位置17と搬送方向には離れ、後述するニップローラ68は収束位置17と搬送方向に離れているので、幅寄せされた多層フィルム13がニップローラ68まで搬送されるときには幅寄せするためなどの力がなんら作用しないフリー状態である。
このために、折り畳みされたフィルム間(隣り合う山折りの間および隣り合う谷折りの間)にエアが残った状態で幅寄せしてニップローラ68で圧着することになり、各フィルムが密着するように幅寄せすることが困難となることがある。
また、幅寄せされる過程の多層フィルム12はフィルムの自重で谷折りされるので、正しく谷折りできずに谷折り部12Bが皺になったりし、正確に幅寄せできないことがある。
また、幅寄せされる過程の多層フィルム12の複数の山折り部12Aは高さが不揃いなことがあり、幅寄せ完了多層フィルム19の上部端面19Cが凹凸状態となることがある。
これらのことを解消するために
図11に示すように、マグネットコンベア31の下流側端部31Bの下流側に収束部6を設けてある。
【0074】
収束部を
図13から
図15に基づいて説明する。
図13は収束部の各部材を示す上面図、
図14(A)は押さえ部材の拡大断面図、
図14(B)は押さえ部材の動作説明図、
図15は収束部の各部材を示す側面図である。なお、
図13と
図15には収束部フレームが概略的に図示してある。
図13に示すように、収束部6は、押さえ部材61、側面ブラシ62、集合ローラ64、エア抜きブラシ65、谷ガイド66、ニップローラ68を備える。
押さえ部材61は、フェルト、布などの柔軟材からなる板状の部材であり、各下部コンベア山折りガイド90に亘って幅方向に設けてあり、幅寄せされる過程の多層フィルム12の各山折り部12Aの上部が押さえ部材61に接触するように設けてある。
図14(A)に示すように、押さえ部材61の下面61Aには複数の切欠き部61Eが形成してあり、切欠き部61Eに各下部コンベア山折りガイド90の上部が入り込み、押さえ部材61の下面61Aは下部コンベア山折りガイド90のガイド部90Bよりも下方に位置している。
下部コンベア山折りガイド90のガイド部90Bに沿って搬送される幅寄せされる過程の多層フィルム12の山折り部12Aにより押さえ部材61は
図14(B)に示すように下流側に向けて湾曲し、山折り部12Aの上部と接触する。
【0075】
この構成によれば、幅寄せされる過程の多層フィルム12の各山折り部12Aの高さが同じに揃えられ、幅寄せされた多層フィルム13の上部端面13Cを凹凸のない平坦な状態とすることができる。
また、押さえ部材61は、幅寄せされる過程の多層フィルム12の山折り部12Aに対して、幅寄せする方向(山の先端側を折り畳む方向)に向かって接触するので、幅寄せされる過程の多層フィルム12の幅寄せを補助する効果がある。つまり、山折り部12Aは収束位置17に向けて斜めに搬送されながら幅方向に向かう押さえ部材61に接触することで、幅方に向かう力が作用するので幅寄せを補助することができる。
多層フィルム10は、フィルムが折り畳まれていない単層フィルムに比べて、幅寄せするときの抵抗(折リ曲げることに対する抵抗)が大きく、幅寄せの過程で皺の発生や姿勢が崩れるなどの不具合が生じて、正常に幅寄せできない場合があるが、押さえ部材61を設けて幅寄せを補助することで正常に幅寄せできる。
【0076】
図13に示すように、側面ブラシ62は、一方側側面ブラシ62Aと他方側側面ブラシ62Bを備える。
一方側側面ブラシ62Aは、幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aとなる幅寄せされる過程の多層フィルム12の一方側側面12Cに接触するブラシで、一方側ブラシ枠63Aに上流側から下流側に向かって間隔を置いて3つ設けた構成である。
一方側側面ブラシ62Aは先端部が基端部よりも下流側となるように幅方向に向けて斜めに設けてあり、各一方側側面ブラシ62Aの先端部の幅方向位置を異ならせて、幅寄せされる過程の多層フィルム12の一方側側面12Cにおける搬送方向に異なる部分に接触するようにしてある。
【0077】
他方側側面ブラシ62Bは、幅寄せされた多層フィルム13の他方側側面13Bとなる幅寄せされる過程の多層フィルム12の他方側側面12Dに接触するブラシで、他方側ブラシ枠63Bに上流側から下流側に向かって間隔を置いて3つ設けた構成である。
他方側側面ブラシ62Bは先端部が基端部よりも下流側となるように幅方向に向けて斜めに設けてあり、各他方側側面ブラシ62Bの先端部の幅方向位置を異ならせて、幅寄せされる過程の多層フィルム12の他方側側面12Dにおける搬送方向に異なる部分に接触するようにしてある。
【0078】
この構成によれば、マグネットコンベア31を通過した幅寄せされる過程の多層フィルム12の一方側側面12Cが一方側側面ブラシ62Aに接触して他方側に押され、マグネットコンベア31を通過した幅寄せされる過程の多層フィルム12の他方側側面12Dが他方側側面ブラシ62Bに接触して一方側に押されるので、予備的な幅寄せができるとともに、幅寄せされる過程の多層フィルム12のフィルム間のエアを排出できるとともに、幅寄せされる過程の多層フィルム12の一方側側面12Cと他方側側面12Dを皺などがない正しい状態とすることができる。
したがって、幅寄せされる過程の多層フィルム12を容易に幅寄せできるとともに、幅寄せされた多層フィルム13を皺などがない状態とすることができ、しかもフィルムが折り畳まれていない単層フィルムに比べて、幅寄せするときの抵抗(折り畳むことに対する抵抗)が大きい多層フィルム10であっても、側面ブラシ62による予備的な幅寄せによって幅寄せを補助して正常に幅寄せできる。
【0079】
また、幅寄せされる過程の多層フィルム12の幅(一方側側面12Cと他方側側面12D間の距離)に合わせて、一方側ブラシ枠63Aと他方側ブラシ枠63Bは搬送方向に行くにしたがって順次狭くなるように放射状に設けられているので、幅寄せされる過程の多層フィルム12に急激に押し付け力が作用して皺が発生することや姿勢が崩れるなどの不具合が発生することなく予備的な幅寄せができる。また、一方側側面ブラシ62Aと他方側側面ブラシ62Bの位置を幅方向および搬送方向に任意に調整できるので、幅寄せされる過程の多層フィルム12の幅や状態に応じて、適切な接触力が作用するように調整できる。
【0080】
実施の形態では、一方側ブラシ枠63Aは、下流側部を中心として上流側部が他方側ブラシ枠63Bに接近、離隔するように回動可能で、かつ幅方向に平行に移動できるように支持され、他方側ブラシ枠63Bは、下流側部を中心として上流側部が一方側ブラシ枠63Aに接近、離隔するように回動可能で、かつ幅方向に平行に移動できるように支持されている。
この構成によれば、一方側ブラシ枠63Aと他方側ブラシ枠63Bを幅方向に移動することで、一方側ブラシ枠63Aと他方側ブラシ枠63Bの幅方向の間隔を変えて一方側側面ブラシ62Aと他方側側面ブラシ62Bの幅方向の間隔を変更できる。
したがって、一方側側面ブラシ62Aにより幅寄せされる過程の多層フィルム12の一方側側面12Cを押し付ける力と他方側側面ブラシ62Bにより幅寄せされる過程の多層フィルム12の他方側側面12Dを押し付ける力を任意に調整できる。
【0081】
例えば、一方側ブラシ枠63Aと他方側ブラシ枠63Bを離れるように幅方向に移動して一方側側面ブラシ62Aと他方側側面ブラシ62Bの幅方向の間隔広くすれば、幅寄せされる過程の多層フィルム12の一方側側面12Cを押しつける力と他方側側面12Dを押し付ける力が小さくなる。
一方側側面ブラシ62Aと他方側側面ブラシ62Bを接近するように幅方向に移動して一方側側面ブラシ62Aと他方側側面ブラシ62Bの幅方向の間隔を狭くすれば、幅寄せされる過程の多層フィルム12の一方側側面12Cを押しつける力と他方側側面12Dを押し付ける力が大きくなる。
したがって、多層フィルム10の厚さ(重ね合せてあるフィルムの枚数など)、幅寄せされる過程の多層フィルム12の幅や状態に応じて、適切な押し付け力が作用するように調整して正常に幅寄せできる。
【0082】
また、一方側ブラシ枠63Aと他方側ブラシ枠63Bを回動して、一方側ブラシ枠63Aと他方側ブラシ枠63Bとでなす角度を変えることで、複数の一方側側面ブラシ62Aの先端を結ぶ一方側の仮想の直線と、複数の他方側側面ブラシ62Bの先端を結ぶ他方側の仮想の直線がなす角度を変更できる。
この構成によれば、幅の異なる多層フィルム10を幅寄せするときには、一方側ブラシ枠63Aと他方側ブラシ枠63Bとでなす角度を、幅寄せされる過程の多層フィルム12の一方側側面12Cと他方側側面12Dとのなす角度に合った角度とすることで、一方側側面ブラシ62Aを幅寄せされる過程の多層フィルム12の一方側側面12Cに接触させ、他方側側面ブラシ62Bを幅寄せされる過程の多層フィルム12の他方側側面12Dに接触させることができる。
【0083】
つまり、幅寄せされる過程の多層フィルム12の一方側側面12Cと他方側側面12Dとのなす角度は多層フィルム10の幅によって変わるので、幅の異なる多層フィルム10を幅寄せするときには、一方側ブラシ枠63Aと他方側ブラシ枠63Bとでなす角度を、その角度に合った角度とする。
したがって、幅の異なる多層フィルム10を予備的に正しく幅寄せできる。
【0084】
図13に示すように、集合ローラ64は、側面ブラシ62の下流側に設けられ、一方側集合ローラ64Aと他方側集合ローラ64Bによって構成されている。
一方側集合ローラ64Aと他方側集合ローラ64Bは収束位置17を境として一方側と他方側に幅方向に対向して設けてあり、
図13の向き(上からの向き)で見て一方側集合ローラ64Aは時計方向に回転し、他方側集合ローラ64Bは反時計方向に回転する。一方側集合ローラ64Aと他方側集合ローラ64Bの上下方向の長さは幅寄せされる過程の多層フィルム12の上下方向の距離より短く、
図15に示すように、集合ローラ64は下部コンベア33の下流側端部33Bと対向して設けてあり、一方側集合ローラ64Aと他方側集合ローラ64Bは、搬送されてきた幅寄せされる過程の多層フィルム12の山折りされた上部寄りの部分(幅寄せされた多層フィルム13の上部端面13Cとなる側)のみをニップして、幅寄せされた多層フィルム13として下流側に搬送する。
【0085】
この構成によれば、搬送されてきた幅寄せされる過程の多層フィルム12の山折り部12Aを押し潰して幅寄せし、さらに折り畳みされたフィルム間のエアが排出される。
例えば、幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aおよび他方側側面13Bの上下方向の長さの略1/3~1/2の長さの範囲をニップすることで、集合ローラ64でニップされ幅寄せされた多層フィルム13の層間(フィルム間)のエアが上部端面13C側から下部端面13Dへ向かって排出される。
したがって、層間に残った空気によって集合ローラ64から搬送される幅寄せされた多層フィルム13に皺が発生することや姿勢が崩れるなどの不具合が発生することが防止される。
【0086】
一方側集合ローラ64Aと他方側集合ローラ64Bは、それぞれ幅方向および搬送方向に移動することができるように設けてあり、一方側集合ローラ64Aと他方側集合ローラ64Bを幅方向に接近するように移動することで、一方側集合ローラ64Aと他方側集合ローラ64Bの幅方向の間隔を狭くでき、一方側集合ローラ64Aと他方側集合ローラ64Bを幅方向に離隔するように移動することで、一方側集合ローラ64Aと他方側集合ローラ64Bの幅方向の間隔を広くできる。
したがって、一方側集合ローラ64Aと他方側集合ローラ64Bの幅方向の間隔を幅寄せされた多層フィルム13の幅に対応した間隔として幅の異なる幅寄せされた多層フィルム13の層間に残ったエアを排出できる。
【0087】
図13に示すように、エア抜きブラシ65は、集合ローラ64の下流側に設けられ、一方側エア抜きブラシ65Aと他方側エア抜きブラシ65Bによって構成される。
図15に示すように一方側エア抜きブラシ65Aと他方側エア抜きブラシ65Bの長さは、幅寄せされた多層フィルム13の上下の長さ(上部端面13Cと下部端面13D間の長さ)よりも長い。
一方側エア抜きブラシ65Aは一方側から他方側に向かうブラシで、幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aに接触する。
他方側エア抜きブラシ65Bは他方側から一方側に向かうブラシで、幅寄せされた多層フィルム13の他方側側面13Bに接触する。
【0088】
この構成によれば、幅寄せされた多層フィルム13は一方側エア抜きブラシ65Aと他方側エア抜きブラシ65Bによって幅方向の両側面から押圧されることで、幅寄せされた多層フィルム13の層間(フィルム間)に残っているエアが排出され、搬送中に幅寄せされた多層フィルム13に皺が発生することや姿勢が崩れるなどの不具合が発生することが防止される。
【0089】
一方側エア抜きブラシ65Aと他方側エア抜きブラシ65Bはそれぞれ幅方向に移動可能に設けられており、一方側エア抜きブラシ65Aを他方側に移動して幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aに強く接触し、他方側エア抜きブラシ65Bを一方側に移動して幅寄せされた多層フィルム13の他方側側面13Bに強く接触することで、幅寄せされた多層フィルム13を両側面から押圧する力を強くできる。
一方側エア抜きブラシ65Aを一方側に移動して幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aに弱く接触し、他方側エア抜きブラシ65Bを他方側に移動して幅寄せされた多層フィルム13の他方側側面13Bに弱く接触することで、幅寄せされた多層フィルム13を両側面から押圧する力を弱くできる。
【0090】
この構成によれば、幅寄せされた多層フィルム13を両側面から押圧する力を調整でき、多層フィルム10のフィルムの重ね合せ枚数などに応じた押圧する力としてエアを確実に排出することができる。
また、幅寄せされた多層フィルム13の厚さに応じて一方側エア抜きブラシ65Aと他方側エア抜きブラシ65Bの位置を調整しエアを確実に排出できる。
【0091】
図13に示すように、谷ガイド66は、集合ローラ64の上流側設けてあり、幅寄せされる過程の多層フィルム12の各谷折りとなる箇所(谷折り部12B)の内側にそれぞれ設けられたガイド111を備えている。
幅寄せされる過程の多層フィルム12の谷折り部12Bがガイド111によりガイドされることで、谷折り部12Bと山折り部12Aとの間のフィルムが皺などがない直線状の状態となり、正確に谷折りできる。
したがって、正確に幅寄せできる。
【0092】
ニップローラ68は、エア抜きブラシ65の下流側で、幅寄せ装置3の下流側のフレーム39Cに図示しないフレームを介して設けられ、幅寄せされた多層フィルム13をニップして圧着し、各フィルムを密着して幅寄せ完了多層フィルム19とするためのものである。
ニップローラ68は、一方側ニップローラ68Aと他方側ニップローラ68Bによって構成され、一方側ニップローラ68Aと他方側ニップローラ68Bの間隔は図示しないフレーム上で幅方向に調整可能に設けられている。
一方側ニップローラ68Aと他方側ニップローラ68Bによって幅寄せされた多層フィルム13をニップすることで、エア抜きブラシ65によって隣り合う山折りの間および隣り合う谷折りの間の空気が排出された後のフィルムの同士が密着し、姿勢が崩れることなく正しく幅寄せし、下流側へ搬送できる。
【0093】
収束部6の押さえ部材61、側面ブラシ62、集合ローラ64、エア抜きブラシ65、谷ガイド66は収束部フレーム200に取り付けてある。
収束部フレームを
図16から
図18に基づいて説明する。
図16は収束部フレームの側面図、
図17は収束部フレームの上面図、
図18は収束部フレームの上流側正面図である。なお、各部材を固定するボルトなどは図示が省略してあり、
図18では一方側ブラシ枠と他方側ブラシ枠の図示を省略している。
収束部フレーム200は、幅寄せ装置3の下流側フレーム39C内の上方側のフレーム39Dに設けた幅方向に向かう上側フレーム201と、幅寄せ装置3の下流側フレーム39C内の下方側のフレーム39Eに設けた幅方向に向かう下側フレーム202を備えている。
上側フレーム201は、縦板203の上部に横板204を上流側に向けて設けた鉤形状の長尺材で、縦板203が上方側のフレーム39Dの上流側面に取り付けてあり、縦板203にレール部205が上流側に向けて幅方向に連続して設けてある。
【0094】
レール部205には一方側摺動体206と他方側摺動体207が幅方向に移動可能に設けてある。一方側摺動体206に一方側上部幅方向移動体208が上流側に向けて設けてあり、他方側摺動体207に他方側上部幅方向移動体209が上流側に向けて設けてある。
一方側上部幅方向移動体208と他方側上部幅方向移動体209は、レ―ル部205に沿って幅方向に移動可能である。
横板204の幅方向両側寄りにそれぞれ形成した幅方向の長穴211からレバー付ロックボルト212を一方側上部幅方向移動体208と他方側上部幅方向移動体209にそれぞれ螺合し、レバー付ロックボルト212を締め付けることで移動しないように固定し、弛めることで移動可能となり、ロック手段を構成している。ロック手段はこの構成に限ることはなく、種々の構成のものとすることができる。
一方側上部幅方向移動体208と他方側上部幅方向移動体209はロック手段で、それぞれ移動しないように固定できるので、任意の幅方向の位置でそれぞれ固定できる。
【0095】
一方側上部幅方向移動体208には一方側上部ガイド稈213が上流側に向けて設けてあり、一方側上部ガイド稈213には一方側上部搬送方向移動体214が搬送方向に移動可能に設けてある。
他方側上部幅方向移動体209には他方側上部ガイド稈215が上流側に向けて設けてあり、他方側上部ガイド稈215には他方側上部搬送方向移動体216が搬送方向に移動可能に設けてある。
一方側上部搬送方向移動体214、他方側上部搬送方向移動体216にはレバー付ロックボルト218がそれぞれ螺合してあり、レバー付ロックボルト218を締め付けることで移動しないように固定され、弛めることで移動可能となり、ロック手段を構成している。ロック手段はこの構成に限ることはなく、種々の構成のものとすることができる。
【0096】
一方側上部搬送方向移動体214と他方側上部搬送方向移動体216は搬送方向に移動可能で、ロック手段によりそれぞれ移動しないように固定できるので、それぞれ任意の搬送方向位置で固定できる。
一方側上部搬送方向移動体214の他方側には一方側上部集合ローラ取付部220が他方側に向けて設けてある。例えば、一方側上部搬送方向移動体214の他方側下部分を他方側に突出した形状とし、その突出部を一方側上部集合ローラ取付部220としてある。これに限ることはなく一方側上部搬送方向移動体214の他方側に一方側上部集合ローラ取付部材を固定して一方側上部集合ローラ取付部220としてもよい。
【0097】
他方側上部搬送方向移動体216の一方側には他方側上部集合ローラ取付部221が一方側に向けて設けてある。例えば、他方側上部搬送方向移動体216の一方側下部分を一方側に突出した形状とし、その突出部を他方側上部集合ローラ取付部221としてある。これに限ることはなく他方側上部搬送方向移動体216の一方側に他方側上部集合ローラ取付部材を固定して他方側上部集合ローラ取付部221としてもよい。
一方側上部集合ローラ取り付部220と他方側上部集合ローラ取り付部221は幅方に相対向している。
上側フレーム201の幅方向中央部に、谷ガイド取付けフレーム300が上流側に向けて設けてある。
上側フレーム201の幅方向両側に押え部材取付けフレーム222が上流側に向けて設けてある。押さえ部材取り付けフレーム222には押さえ部材取付体61Bが搬送方向に移動可能に設けてあり、押さえ部材取付体61Bは固定用ボルト61Cにより搬送方向に移動しないように固定できる。
【0098】
下側フレーム202は、縦板223の下部に横板224を上流側に向けて設けた鉤形状の長尺材で、縦板223が下方側のフレーム39Eの上流側面に取り付けてあり、縦板223にレール部225が上流側に向けて幅方向に連続して設けてある。
レール部225には一方側摺動体226と他方側摺動体227が幅方向に移動可能に設けてある。一方側摺動体226に一方側下部幅方向移動体228が上流側に向けて設けてあり、他方側摺動体227に他方側下部幅方向移動体229が上流側に向けて設けてある。
一方側下部幅方向移動体228と他方側下部幅方向移動体229は、レ―ル部225に沿って幅方向に移動可能である。
【0099】
一方側下部幅方向移動体228には一方側下部ガイド稈230が上流側に向けて設けてあり、一方側下部ガイド稈230には一方側下部搬送方向移動体231が搬送方向に移動可能に設けてある。
他方側下部幅方向移動体229には他方側下部ガイド稈232が上流側に向けて設けてあり、他方側下部ガイド稈232には他方側下部搬送方向移動体233が搬送方向に移動可能に設けてある。
一方側下部搬送方向移動体231と他方側下部搬送方向移動体233にレバー付ロックボルト235がそれぞれ螺合してあり、レバー付ロックボルト235を締め付けることで移動しないように固定し、弛めることで移動可能となり、ロック手段を構成している。ロック手段はこの構成に限ることはなく、種々の構成のものとすることができる。
一方側下部搬送方向移動体231と他方側上部搬送方向移動体233は搬送方向に移動可能で、ロック手段によりそれぞれ移動しないように固定できるので、それぞれ任意の搬送方向位置で固定できる。
一方側下部搬送方向移動体231の他方側には一方側下部集合ローラ取付部236が他方側に向けて設けてある。例えば、一方側下部搬送方向移動体231の他方側上部分を他方側に突出した形状とし、その突出部を一方側下部集合ローラ取付部236としてある。これに限ることはなく一方側下部搬送方向移動体231の他方側に一方側上部集合ローラ取付部材を固定して一方側下部集合ローラ取付部236としてもよい。
【0100】
他方側下部搬送方向移動体233の一方側には他方側下部集合ローラ取付部237が一方側に向けて設けてある。例えば、他方側下部搬送方向移動体233の一方側上部分を一方側に突出した形状とし、その突出部を他方側下部集合ローラ取付部237としてある。これに限ることはなく他方側下部搬送方向移動体233の一方側に他方側上部集合ローラ取付部材を固定して他方側下部集合ローラ取付部237としてもよい。
一方側下部集合ローラ取付部236と他方側下部集合ローラ取付部237は幅方に相対向している。
【0101】
一方側上部搬送方向移動体214の一方側面と一方側下部搬送方向移動体231の一方側面に亘って一方側連結部材238が取り付けてあり、一方側上部搬送方向移動体214と一方側下部搬送方向移動体231は同期して幅方向および搬送方向に移動する。
一方側連結部材238の一方側面に取手239が設けてあり、この取手239を持って一方側上部搬送方向移動体214と一方側下部搬送方向移動体231を幅方向および搬送方向に移動できる。
他方側上部搬送方向移動体216の他方側面と他方側下部搬送方向移動体233の他方側面に亘って他方側連結部材240が取り付けてあり、他方側上部搬送方向移動体216と他方側下部搬送方向移動体233は同期して幅方向および搬送方向に移動する。
他方側連結部材240の他方側面に取手241が設けてあり、この取手241を持って他方側上部搬送方向移動体216と他方側下部搬送方向移動体233を幅方向および搬送方向に移動できる。
【0102】
一方側連結部材238に側面ブラシ62の一方側ブラシ枠63Aが取り付けてある。
一方側ブラシ枠63Aは、縦材242と上部横材243と下部横材244とによりコの字形状で、縦材242を一方側連結部材238に蝶番245で幅方向に回動可能で、上部横材243と下部横材244が搬送方向に向かうように取り付けてある。
上部横材243と下部横材244にはブラシ取付部材246が複数設けてある。
一方側連結部材238にプレート247が固定され、プレート247には蝶番245の回動中心を中心とした円弧状の穴248を有し、この穴248を通してハンドル付ボルト249を縦材242に螺合してあり、ハンドル付ボルト249を締め付けると一方側ブラシ枠63Aが回動しないように固定し、弛めると回動可能となるようにしてある。
【0103】
側面ブラシ62の他方側ブラシ枠63Bは一方側ブラシ枠63Aと同じ形状で、他方側連結部材240に一方側ブラシ枠63Aと同じに取り付けてある。
この構成によれば、一方側ブラシ枠63Aと他方側ブラシ枠63Bを回動することで、一方側ブラシ枠63Aと他方側ブラシ枠63B間の角度を任意に調整できるので、
図13に示すように、一方側ブラシ枠63Aに取り付けた一方側側面ブラシ62Aと他方側ブラシ枠63Bに取り付けした他方側側面ブラシ62Bの幅方向に間隔を調整できる。
【0104】
収束部フレーム200に押さえ部材61が
図15に示すように取り付けてある。
押さえ部材取付けフレーム222に設けた押さえ部材取付体61Bに板状の縦部材61Dを下向きに取り付け、その縦部材61Dの下部に押さえ部材61が取り付けてあり、押さえ部材取付体61Bを押さえ部材取付けフレーム222に沿って搬送方向に移動することで、押さえ部材61が搬送方向に移動するので、押さえ部材61の搬送方向の位置を調整できる。
【0105】
収束部フレーム200に集合ローラ64が
図13、
図15に示すように取り付けてある。
一方側上部搬送方向移動体214の一方側上部集合ローラ取付部220と一方側下部搬送方向移動体231の一方側下部集合ローラ取付部236に亘って回転支持軸250を取り付け、その回転支持軸250の上部寄りに一方側集合ローラ64Aを回転可能に取り付ける。
他方側上部搬送方向移動体216の他方側上部集合ローラ取付部221と他方側下部搬送方向移動体233の他方側下部集合ローラ取付部237に亘って回転支持軸250を取り付け、その回転支持軸250の上部寄りに他方側集合ローラ64Bを回転可能に取り付ける。
【0106】
一方側ブラシ枠63Aは一方側連結部材238に取り付けてあるので、一方側上部搬送方向移動体214、一方側下部搬送方向移動体231を搬送方向に移動すると一方側集合ローラ64Aと一方側ブラシ枠63Aが搬送方向に移動するので、一方側集合ローラ64Aと一方側側面ブラシ62Aを搬送方向に移動する操作が簡単で、搬送方向の移動量が同じである。
他方側ブラシ枠63Bは他方側連結部材240に取り付けてあるので、他方側上部搬送方向移動体216、他方側下部搬送方向移動体233を搬送方向に移動すると他方側集合ローラ64Bと他方側ブラシ枠63Bが搬送方向に移動するので、他方側集合ローラ64Bと他方側側面ブラシ62Bを搬送方向に移動する操作が簡単で、搬送方向の移動量が同じである。
したがって、側面ブラシ62と集合ローラ64の搬送方向の位置を、多層フィルム10の幅寄せ状態に応じて簡単で、正確に調整できる。
【0107】
収束部フレーム200にエア抜きブラシ65は
図13、
図15に示すように取り付けてある。
一方側エア抜きブラシ65Aを取付プレート65Cに取り付け、取付プレート65Cを一方側上部幅方向移動体208と一方側下部幅方向移動体228に亘り取り付けることで、一方側エア抜きブラシ65Aを他方側に向けて取り付けてある。
他方側エア抜きブラシ65Bを取付プレート65Cに取り付け、取付プレート65Cを他方側上部幅方向移動体209と他方側下部幅方向移動体229に亘り取り付けることで、他方側エア抜きブラシ65Bを一方側に向けて取り付けてある。
【0108】
一方側上部幅方向移動体208と一方側下部幅方向移動体228を幅方向に移動すると、一方側エア抜きブラシ65Aが幅方向に移動するとともに、一方側側面ブラシ62Aと一方側集合ローラ64Aが幅方向に移動するので、一方側エア抜きブラシ65Aと一方側側面ブラシ62Aと一方側集合ローラ64Aを幅方向に移動する操作が簡単でかつ、移動量が同じである。
他方側上部幅方向移動体209と他方側下部幅方向移動体229を幅方向に移動すると、他方側エア抜きブラシ65Bが幅方向に移動するとともに、他方側側面ブラシ62Bと他方側集合ローラ64Bが幅方向に移動するので、他方側エア抜きブラシ65Bと他方側側面ブラシ62Bと他方側集合ローラ64Bを幅方向に移動する操作が簡単で、幅方向の移動量が同じである。
【0109】
したがって、一方側側面ブラシ62Aと他方側側面ブラシ62Bとの幅方向の間隔、一方側集合ローラ64Aと他方側集合ローラ64Bとの幅方向の間隔、一方側エア抜きブラシ65Aと他方側エア抜きブラシ65Bの幅方向の間隔を、多層フィルム10の幅寄せ状態に応じて簡単に、正確に調整できる。
【0110】
谷ガイドを
図19から
図21に基づいて説明する。
図19は谷ガイドの側面図、
図20は谷ガイドの上面図、
図21はガイド部分の上流側正面図である。
図19、
図20に示すように、谷ガイド取付けフレーム300の上流側部に第1支持体301が搬送方向に向けて回動可能に取り付けてある。第1支持体301は幅が狭く長尺な板状の本体302と、その長手方向両端部に設けた横片303と、本体302の下流側面に設けた取付部304と、上流側面に設けたレール部305を備えている。
谷ガイド取付けフレーム300両側面に設けたブラケット306と取付部304を幅方向に向かう回転軸307で回動可能に連結することで、第1支持体301が上流側に回動可能に取り付けてある。
【0111】
第1支持体301は、引っ張りバネ308により時計方向に回動する回動力(トルク)が付与されており、第1支持体301は回転軸307を中心として時計方向に回転して取付部304に取り付けたストッパー309が谷ガイド取付けフレーム300の上面に接触して実線で示す縦向き姿勢に維持される。
引っ張りバネ308は、第1支持体301の上部と、上部コンベア回転支持部36のブラケット36Aに設けたバネ取付部材310に亘り取り付けてある。
第1支持体301に引っ張りバネ308による回動力以上の反時計方向の回動力が作用すると、第1支持体301は反時計方向に回動し、2点鎖線で示す位置まで回動すると、ストッパー309が谷ガイド取付けフレーム300に設けられているストッパー検知装置311に接触する。
【0112】
第1支持体301に第2支持体312が、レール部305に沿って長手方向に移動可能に設けてあり、第2支持体312は図示しないロック手段により任意の位置で移動しないように固定でき、長手方向の位置を任意に調整できるようにしてある。ロック手段としては、ロックボルトを第2支持体312に螺合し、ロックボルトをレバーなどにより締め付けてレール部305に押し付けて移動しないようにロックし、弛めるとレール部305から離れ移動可能となるものがある。第2支持体312の移動量は、例えば20cm程度である。
レール部305に図示しない目盛り板(スケール)を設け、第2支持体312に図示しない指針を設けて、第2支持体312の位置を確認できるようにしてある。
【0113】
第2支持体312にガイド取付体320が上下方向に移動可能に取り付けてある。
例えば、第2支持体312を上面板、下面板、両側板、背面板により上流側面が開口した箱形状で、上面板と下面板に亘り2つのシャフト313が幅方向に間隔を置いて設けてあるものとし、2つのシャフト313を外した状態で第2支持体312にガイド取付体320の一部を入れ、上面板とガイド取付体320と下面板に連続して2つのシャフト313を挿入して、ガイド取付体320を2つのシャフト313に沿って上下方向に移動可能に取り付けてある。この取り付けに限ることはなく公知の直動機構など種々の取り付け構成とすることができる。
ガイド取付体320の上下移動量は、例えば2~5cmである。
【0114】
ガイド111はローラ形状で、ガイド保持体112の先端部に回転自在に設けてられており、そのガイド保持体112の基端部がガイド取付体320に、ガイド111が幅寄せされる過程の多層フィルム12の谷折り部12Bの内側に接するように取り付けてあり、幅寄せされる過程の多層フィルム12の搬送に従動して回転する。
ガイド保持体112の先端部とは、搬送面に対して下側で、基端部とは搬送面に対して上側である。
ガイド111は幅寄せされる過程の多層フィルム12の各谷折り部12Bごとに設けられ、マグネットコンベア31が4個である本発明の実施の形態では、
図20に示すように、一方側のガイド111A、中央のガイド111B、他方側のガイド111Cの3個を設けている。なお、
図19では理解を容易とするため、一方側のガイド111Aのみを図示している。
【0115】
ガイド111は、金属ローラの円周上にゴムなどの部材を設けたローラが使用できる。
一方側のガイド111Aは一方側の谷折り部12B-1の搬送方向に沿って設けられ、中央のガイド111Bは中央の谷折り部12B-2の搬送方向に沿って設けられ他方側のガイド111Cは他方側の谷折り部12B-3の搬送方向に沿って設けられている。つまり、各ガイド111A、111B、111Cは、各谷折り部12Bの搬送方向に沿って放射状に設けられている。
このようなガイド111を設けることで、幅寄せされる過程の多層フィルム12に対して過度の負荷になることなく、幅寄せされる過程の多層フィルム12を下流側へ安定して搬送できる。
【0116】
中央のガイド111Bは中央の谷折り部12B-2に沿って設けられるので、マグネットコンベア31の位置が変わっても常に幅方向中心に位置するので、そのガイド保持体112-2はガイド取付体320にロックボルトなどのガイド固定手段114Bで固定されている。
一方側のガイド111Aと他方側のガイド111Cは、マグネットコンベア31の位置に応じた谷折り部12Bの位置に設ける必要がある。このため、ガイド111Aのガイド保持体1112-1とガイド111Cのガイド保持体112-3は、ガイド取付体320の一方側と他方側に形成してある円弧状の一方側長孔321と他方側長孔322に沿って移動可能に設けられ、ガイド保持体112-1は一方側のガイド111Aが一方側の谷折り部12B-1に対応した位置でガイド固定手段114Aでガイド取付体320に固定される。ガイド保持体112-3は他方側のガイド111Cが他方側の谷折り部12B-3に対応した位置で、ガイド固定手段114Cでガイド取付体320に固定される。ガイド固定手段114A、114Cは、マグネットコンベア31の位置(幅寄せする寸法)に応じて調整しやすいように、蝶ボルトなどの手動で締めることができるボルトを使用することが好ましい。
【0117】
この構成によれば、幅寄せされる過程の多層フィルム12が通常に搬送されているときには、第1支持体301が
図19に実線で示す縦向き姿勢に維持され、谷折り部12Bの内面がガイド111に接触しながら搬送されるので、正しい谷折り部12Bとすることができる。
また、マグネットコンベア31を移動して折り畳み寸法を調整したときなどには谷折り部12Bの上下方向の位置が変わる。
このような場合には、第2支持体312を第1支持体301に対して上下に移動することでガイド111の上下方向の位置を調整して谷折り部12Bの内面に接触するようにできる。
【0118】
また、ガイド取付体320は自重により下方の位置となっており、上向きの力が作用すると上方に移動できるので、幅寄せされる過程の多層フィルム12が搬送されているときに谷折り部12Bの形成位置の上昇に応じてガイド111とともにガイド保持体112が押し上げられ、谷折り部12Bに衝撃が加わることがない。つまり、第2支持体312に対してガイド取付体320が上下する構成は谷折り部12Bへの衝撃を吸収する緩衝機構である。
【0119】
以上の説明は、幅寄せされる過程の多層フィルム12の搬送が正常の行われている場合であり、幅寄せされる過程の多層フィルム12の搬送に不具合が発生した場合について説明する。
搬送中の幅寄せされる過程の多層フィルム12に搬送不良があった場合には、ガイド111に通常の搬送の場合よりも下流側に向かう大きな負荷(過負荷)がかかる。この負荷による第1支持体301を反時計方向に回動する力が、引っ張りバネ308の引張り力による時計方向に回動する力よりも大きい場合、第1支持体301は反時計方向に回動し、
図19で2点鎖線で示す上部が上流側になる移動した倒れ姿勢となる。
このとき、ストッパー309がストッパー検知装置311に接し、ストッパー検知装置311は第1支持体301が倒れ姿勢の位置へ移動したことを検知し、図示しない制御装置に検知信号を送る。
【0120】
図示しない制御装置にストッパー検知装置311の検知信号が送られると、図示しない制御装置は搬送不良があったと判断して、幅寄せされる過程の多層フィルム12の搬送を自動的に停止する。
搬送不良とみなすガイド111に作用する負荷の大きさは、引っ張りバネ308の引張り力や、ストッパー検知装置311の取り付け位置を搬送方向または上下方向に変えることで調整できる。
実施の形態では、ストッパー検知装置311は、谷ガイド取付けフレーム300の上面の取り付け位置を搬送方向または上下方向に沿って調整可能に取り付けられている。
この構成の谷ガイド66を設けることで、幅寄せする寸法に応じてガイド111の取り付け位置を容易に調整でき、幅寄せされる過程の多層フィルム12に対して過度の負荷になることなく、幅寄せされる過程の多層フィルム12を下流側へ安定して搬送できる。よって、幅寄せされる過程の多層フィルム12に皺が発生することや姿勢が崩れるなどの不具合が発生することを防止して幅寄せすることができる。
さらに、搬送不良を検知して自動で搬送を停止できるため、不具合が発生している状態で搬送が行われ、多層フィルム10が無駄になることを防止できる。
【0121】
図22と
図23に基づき回転搬送部4を説明する。
図22は回転搬送部の側面図、
図23は回転搬送部の上面図である。
図22、
図23に示すように、回転搬送部4は、回転搬送部上流側ローラ41、回転搬送部下流側ローラ46、一方側ベルト部材43A、他方側ベルト部材43B、圧着ローラ47からなる90度ねじりコンベア装置を備えている。
回転搬送部4は、後処理部5での後処理のため、幅寄せされた多層フィルム13(実施の形態では幅寄せ完了多層フィルム19であるが、幅寄せされた多層フィルム13とする)の一方側側面13Aの向きを変えながら搬送する。ここで、折り畳み機1の設置面1Aと平行で
図22の上側を向く面が上面、設置面1Aと平行で
図22の下側を向く面が下面である。
【0122】
実施の形態の後処理部5は、幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aが上面を向いた状態(横向き姿勢)で後処理を行う構成である。このため、回転搬送部4は、幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aが上面を向くように、搬送方向上流側から見て反時計回りに90度回転させて搬送する構成である。
幅寄せ装置3から回転搬送部4へ搬送される幅寄せされた多層フィルム13は、幅寄せされた多層フィルム13の下部端面13Dは折り畳み機1の下方側(
図3、
図6参照)、幅寄せされた多層フィルム13の上部端面13Cは折り畳み機1の上方側(
図3、
図6参照)を向いた状態(縦向き姿勢)で搬送される。
【0123】
回転搬送部上流側ローラ41は、回転搬送部4の上流側に設けられ、一方側回転搬送部上流側ローラ41Aと他方側回転搬送部上流側ローラ41Bで構成され、回転軸の向きは、折り畳み機1の設置面1Aに向かう向き(縦向き)である。一方側回転搬送部上流側ローラ41Aは幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13A側に設けられ、他方側回転搬送部上流側ローラ41Bは幅寄せされた多層フィルム13の他方側側面13B側に設けられている。
回転搬送部下流側ローラ46は、回転搬送部4の下流側に設けられ、上方側回転搬送部下流側ローラ46Aと下方側回転搬送部下流側ローラ46Bで構成され、回転軸の向きは
図22の紙面に向かう向き(横向き)である。回転搬送部下流側ローラ46は、折り畳み機1の設置面1Aから見て重なる位置に、上方側回転搬送部下流側ローラ46Aと下方側回転搬送部下流側ローラ46Bが設けられている。
【0124】
回転搬送部上流側ローラ41と回転搬送部下流側ローラ46の間には、一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bが巻回されている。
一方側ベルト部材43Aは、一方側回転搬送部上流側ローラ41Aと上方側回転搬送部下流側ローラ46A間に巻回されている。他方側ベルト部材43Bは、他方側回転搬送部上流側ローラ41Bと下方側回転搬送部下流側ローラ46B間に巻回されている。すなわち、一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bは、搬送方向上流側から見て反時計回りに90度ねじれて設けられている。
幅寄せされた多層フィルム13は、一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bの間で挟まれながら、一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bに沿って、搬送方向上流側から見て反時計回りに90度回転されながら下流側へ搬送される。
【0125】
一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bで幅寄せされた多層フィルム13の両側面全てを挟みながら搬送できるので、幅寄せされた多層フィルム13が崩れてしまうことを防止しながら、幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aの向きを回転できる。
このように、一方側ベルト部材43Aおよび他方側ベルト部材43Bは90度ねじれているので、回転搬送部4は90度ねじりコンベア装置を備えている。
回転搬送部上流側ローラ41の一方側回転搬送部上流側ローラ41Aと他方側回転搬送部上流側ローラ41Bの幅方向の間隔と、回転搬送部下流側ローラ46の上方側回転搬送部下流側ローラ46Aと下方側回転搬送部下流側ローラ46Bの上下方向の間隔はそれぞれ調整可能である。
【0126】
回転搬送部上流側ローラ41と回転搬送部下流側ローラ46のそれぞれの間隔の調整により、一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bで幅寄せされた多層フィルム13を挟む力を調整できる。幅寄せされた多層フィルム13は、フィルムが折り畳まれていない単層フィルムに比べて搬送中に不具合が生じやすいが、幅寄せされた多層フィルム13の幅、厚み、材質、各層間の状態などの条件に応じて、一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bで挟む力を調整できるので、適切な力で挟みながら搬送できる。
この構成によれば、幅寄せされた多層フィルム13が崩れてしまうことを防止しながら、隣り合う山折りの間および隣り合う谷折りの間の空気を十分に除去して、幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aの向きを90度回転できる。
【0127】
回転搬送部上流側ローラ41の下流側に隣接して、第1補助ローラ42が設けられている。第1補助ローラ42は、一方側回転搬送部上流側ローラ41A側の一方側第1補助ローラ42Aと、他方側回転搬送部上流側ローラ41B側の他方側第1補助ローラ42Bで構成され、一方側回転搬送部上流側ローラ41Aと他方側回転搬送部上流側ローラ41Bが一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bを介して幅寄せされた多層フィルム13を挟むときに、幅寄せされた多層フィルム13を挟む力を補助するために設けられている。
回転搬送部下流側ローラ46の上流側に隣接して、第2補助ローラ45が設けられている。第2補助ローラ45は、上方側回転搬送部下流側ローラ46A側の上方側第2補助ローラ45Aと、下方側回転搬送部下流側ローラ46B側の下方側第2補助ローラ45Bで構成され、上方側回転搬送部下流側ローラ46Aと下方側回転搬送部下流側ローラ46Bが一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bを介して幅寄せされた多層フィルム13を挟むときに、幅寄せされた多層フィルム13を挟む力を補助するために設けられている。
【0128】
第1補助ローラ42と第2補助ローラ45により、幅寄せされた多層フィルム13を確実に挟むことで、幅寄せされた多層フィルム13が崩れてしまうことを防止しながら、隣り合う山折りの間および隣り合う谷折りの間の空気を十分に排出できる。
第1補助ローラ42の一方側第1補助ローラ42Aと他方側第1補助ローラ42Bの幅方向の間隔と、第2補助ローラ45の上方側第2補助ローラ45Aと下方側第2補助ローラ45Bの上下方向の間隔は、回転搬送部上流側ローラ41や回転搬送部下流側ローラ46と同様に任意に調整できる。
実施の形態では、上流側から下流側に向かって一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bで幅寄せされた多層フィルム13を挟む力が徐々に大きくなるように調整しているので、幅寄せされた多層フィルム13が崩れてしまうことを防止しながら、隣り合う山折りの間および隣り合う谷折りの間の空気を十分に排出できる。
【0129】
回転搬送部下流側ローラ46の下流側には、幅寄せされた多層フィルム13を圧着する駆動ローラ47Aとニップローラ47Bを備えた圧着ローラ47を設けてもよい。圧着ローラ47は、幅寄せされた多層フィルム13に圧をかけて崩れないように圧着することで、搬送の過程で幅寄せされた多層フィルム13が崩れてしまうことを防止するとともに、隣り合う山折りの間および隣り合う谷折りの間の空気を十分に排出できる。
回転搬送部4の構成は上記に限定されず、搬送方向下流側での処理に応じて、任意の構成とすることができる。また、回転搬送部4は、搬送方向下流側での処理に応じて設けなくともよい場合がある。
【0130】
上記の実施の形態では、幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aが上面を向いて搬送される例を示しているが、幅寄せされた多層フィルム13の他方側側面13Bが上側を向いて搬送されてもよい。この場合には、一方側ベルト部材43Aが一方側回転搬送部上流側ローラ41Aと下方側回転搬送部下流側ローラ46B間に巻回され、他方側ベルト部材43Bが他方側回転搬送部上流側ローラ41Bと上方側回転搬送部下流側ローラ46A間に巻回される。
【0131】
回転搬送部上流側ローラ41と回転搬送部下流側ローラ46の間に、一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bで搬送される多層フィルム13の搬送を補助する一対のローラを設けてもよい。実施の形態では、補助するローラとして第1中間ローラ44A、第2中間ローラ44Bを設けている。補助するローラはこの構成に限定されず設ける数や設ける位置は任意である。
第1中間ローラ44Aおよび第2中間ローラ44Bはそれぞれ、一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bを介して幅寄せされた多層フィルム13を保持するように設けられ、一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bの駆動に伴って回転する。
【0132】
第1中間ローラ44Aおよび第2中間ローラ44Bを取り付けるローラの回転軸の角度は、搬送方向上流側から見て、回転搬送部上流側ローラ41の回転軸の角度から回転搬送部下流側ローラ46の回転軸の角度になるように順次異なり、回転搬送部下流側ローラ46に向かって90度反時計回りに回転しながら設けられている一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bに沿った面と回転軸が一致するように設けている。第1中間ローラ44Aおよび第2中間ローラ44Bの角度は調整可能であり、幅寄せされた多層フィルム13の搬送の状態に応じて角度を調整することができる。
この構成によれば、一方側ベルト部材43Aと他方側ベルト部材43Bの搬送方向上流側から見た角度の変化の仕方を調整できるので、搬送の過程で幅寄せされた多層フィルム13が崩れてしまうことを防止できる。
【0133】
図24に基づき後処理部の構成を説明する。
図24は後処理部の側面図である。
図24に示すように、後処理部5は後処理部駆動装置51、後処理部駆動装置保持部52、昇降部53、排出側カッタ機構54、首振り装置55、操作パネル58を備える。
回転搬送部4から搬送されてきた幅寄せされた多層フィルム13は、幅寄せされた多層フィルム13の一方側側面13Aが搬送面に対して上面を向く状態で後処理部5へ搬送される。
後処理部駆動装置51は、後処理部駆動ローラ51Aと後処理部ニップローラ51Bを備え、後処理部駆動ローラ51Aおよび後処理部ニップローラ51Bは、幅寄せされた多層フィルム13の幅方向に連続した長尺なローラである。
【0134】
後処理部ニップローラ51Bは、折り畳み機1の運転状況に応じて、後処理部駆動ローラ51Aとで幅寄せされた多層フィルム13をニップするニップ位置と、後処理部駆動ローラ51Aと離隔して幅寄せされた多層フィルム13をニップしない非ニップ位置となるように位置が制御される。
幅寄せされた多層フィルム13を搬送するときには後処理部ニップローラ51Bをニップ位置とし、幅寄せされた多層フィルム13の搬送が終了したときには後処理部ニップローラ51Bを非ニップ位置とする。
後処理部駆動装置51は、後処理部駆動装置保持部52上に2組設けている。
【0135】
実施の形態では、後処理部5で搬送される幅寄せされた多層フィルム13は折り畳まれて単位面積当たりの重量が大きいため、十分な搬送力を得るために後処理部駆動装置51を2組設けているが、後処理部駆動装置51の個数は任意に変更してもよい。
後処理部駆動装置保持部52は、昇降部53に設けられており、昇降部53の駆動装置(図示しない)によって、後処理部駆動装置保持部52が搬送面に対して上下方向へ移動できる。例えば、幅寄せされた多層フィルム13を搬送するときには、後述の首振り装置55での後処理を行うため、搬送面に対して上方から下方へ幅寄せされた多層フィルム13を搬送できるように、後処理部駆動装置保持部52は上方の位置へ移動させる。折り畳み機1の運転の準備やメンテナンスを行うときには、後処理部駆動装置保持部52は下方の位置へ移動させる。
【0136】
ここで、上方の位置は、
図24で後処理部駆動装置保持部52が図示されている位置である。下方の位置は、回転搬送部4の幅寄せされた多層フィルム13が排出される位置(回転搬送部4の下流側に設けた圧着ローラ47の排出部と対向した位置)と、後処理部駆動装置51に幅寄せされた多層フィルム13が供給される位置が、同じ平面上になる位置である。
例えば、折り畳み機1の運転の準備のときには、後処理部駆動装置保持部52を下方位置とし、後処理部ニップローラ51Bを非ニップ位置の状態として、回転搬送部4から送り出された幅寄せされた多層フィルム13を、後処理部駆動ローラ51Aと後処理部ニップローラ51Bの間に取り付け、後処理部ニップローラ51Bをニップ位置に切り替え、回転搬送部4からの搬送を行いながら後処理部駆動装置保持部52を上方の位置へ移動させ、首振り装置55での後処理を行える状態にして、折り畳み機1の運転を開始できる状態にすることができる。
【0137】
上方の位置の後処理部駆動装置保持部52の後処理部駆動装置51から送り出される幅寄せされた多層フィルム13は、自重で搬送のガイド、ローラに沿って搬送されて首振り装置55へ向かって送り出される。
この構成によれば、昇降部53によって、上方から幅寄せされた多層フィルム13を搬送する構成であっても、折り畳み機1の運転の準備は下方の位置でできるので、容易に運転の準備ができる。
排出側カッタ機構54は、後処理部駆動装置51の下流側で首振り装置55の上流側に設けられ、幅寄せされた多層フィルム13を幅方向にカットするためのものである。排出側カッタ機構54は公知のカッター刃などを備えた構成であり、排出側カッタ機構54が幅寄せされた多層フィルム13の幅方向に往復移動することで、幅寄せされた多層フィルム13をカットする。
【0138】
排出側カッタ機構54のカッター刃と対向して、供給部カッタ機構22の供給部カッタ当て板22Bと同様の受部材を設けてもよい。
排出側カッタ機構54は、
図6に示す後処理部5の一方側フレーム59Aと後処理部5の他方側フレーム59Bの間に設けた図示しないガイド上を往復移動可能に取り付けられている。
排出側カッタ機構54は、後述するカットのタイミングに応じて、自動でカットのための往復移動をする構成でもよく、手動で往復移動させてカットする構成でもよい。
排出側カッタ機構54が自動でカットをする場合には、排出側カッタ機構54を駆動させる駆動装置と制御装置をさらに設ける。
【0139】
首振り装置55は、幅寄せされた多層フィルム13が供給される首振り装置供給側部56を支点に、幅寄せされた多層フィルム13が排出される首振り装置排出側部57が搬送方向に対して前後に往復移動することで、幅寄せされた多層フィルム13を折り畳んで製品14として排出する。首振り装置排出側部57には、幅寄せされた多層フィルム13に両面にそれぞれ接触する2つの首振り装置排出側案内ローラ57Aが設けられている。
昇降部53、排出側カッタ機構54、首振り装置55、操作パネル58は後処理部5の一方側フレーム59Aおよび後処理部5の他方側フレーム59Bを介して後処理部5に設けられている。
【0140】
製品14は台車91上に排出される。台車91は、出荷等の後工程のために、ユーザーが製品14を搬送するために使用される。後処理部5の構成はこの例に限定されず、台車91の代わりに、別の装置へ排出された製品14を搬送する搬送装置を設けるなど任意の構成とすることができる。
図24の実施例では、後処理装置5として搬送方向に折り畳まれた製品14を形成する首振り装置55の構成を示しているが、この構成に限定されず、幅寄せされた多層フィルム13を別の装置へ搬送するデリバリ装置など任意の構成とすることができる。
【0141】
本発明の折り畳み機1により長尺の多層フィルム10を用いて幅寄せされた多層フィルム13を任意の長さの製品14とするときの供給部カッタ機構22と排出側カッタ機構54でのカットのタイミングについて説明する。
折り畳み機1では、任意のサイズの製品14を連続して生産できる。例えば、20mの製品を2つ、30mの製品を2つ連続して製造し、供給部カッタ機構22と排出側カッタ機構54の間隔が10mとして、カットのタイミングの例を以下に示す。ここで、製造するすべての製品の合計の長さは100mである。
前述の後処理部駆動装置51に幅寄せされた多層フィルム13を取り付け、後処理部駆動装置保持部52が上方に位置した状態を開始の基準の状態(搬送量Lが0m)として、製品の連続での製造が開始される。
【0142】
カットのタイミングは任意のローラの回転量から搬送量を算出することで行う。実施の形態では、後処理部駆動ローラ51Aの回転量より搬送量を算出する。
通常の製品のカットは排出側カッタ機構54で行われ、連続で製造される最後の製品(30mの製品の2つ目)の後端のカットのみが供給部カッタ機構22で行われる。
つまり、1つ目の製品(20m)は開始の基準の状態から搬送を開始してから検出した搬送量Lが20mとなったとき、折り畳み機1の搬送を停止して、排出側カッタ機構54でのカットを行う。
2つ目の製品(20m)は開始の基準の状態から検出した搬送量Lが40mとなったとき、折り畳み機1の搬送を停止して、排出側カッタ機構54でのカットを行う。
3つ目の製品(30m)は開始の基準の状態から検出した搬送量Lが70mとなったとき、折り畳み機1の搬送を停止して、排出側カッタ機構54でのカットを行う。
【0143】
4つ目の製品(30m)は開始の基準の状態から検出した搬送量Lが90mとなったとき、すなわち、搬送量Lが製造するすべての製品の合計の長さ(100m)から、供給部カッタ機構22と排出側カッタ機構54の間隔(10m)の値を引いた値(90m)となったとき、折り畳み機1の搬送を停止して、供給部カッタ機構22でカットを行う。
供給部カッタ機構22でのカット後は、供給部2を停止して供給部カッタ機構22より上流側の多層フィルム10は搬送されないようにし、供給部カッタ機構22でカットされた多層フィルム10の下流側が、幅寄せ装置3、回転搬送部4を経て搬送され、後処理部5で製品14として排出される。このとき、4つ目の製品の後端は供給部カッタ機構22でカット済みのため、排出側カッタ機構54ではカットを行わない。
【0144】
従来、折り畳み機1上で長時間放置されたフィルムは、製品としては使用されず、ヤレとして廃棄されていが、上記のように供給部カッタ機構22と排出側カッタ機構54を使い分けてカットのタイミングを制御することによって、製品の製造後に供給部カッタ機構22よりも下流側に、多層フィルム10が残り、ヤレが発生することを防止できる。特に幅が広い大型の農業用ビニールハウスに用いるフィルムの場合には単位長さ当たりの価格が高くなるため、ヤレが発生することを防止できることによる効果が大きい。ヤレとは、印刷用語であって、例えば、物を作る過程でムダになってしまった基材(紙やフィルム等)のことである。
【0145】
搬送量Lの検出に使用するローラと排出側カッタ機構54との位置の差は、上記搬送量Lの検出の際に補正してカットのタイミングを調整している。例えば、搬送量Lの検出に使用する後処理部駆動ローラ51Aと排出側カッタ機構54との位置の差が50cmの場合には、開始の基準の状態での搬送量Lを0mから―0.50mとして製品の連続での製造が開始される。
供給部カッタ機構22と排出側カッタ機構54でのカットは前述のように、自動で行われてもよく、手動で行ってもよい。手動で行う場合には、上記の各カットのタイミングで搬送が停止したときに、操作パネル58にユーザーへカットの通知を表示するようにしてもよい。カットの通知は、供給部カッタ機構22と排出側カッタ機構54のどちらでカットを行うかをユーザーに指示するものである。
操作パネル58は上記カットの通知以外に、折り畳み機1の運転を制御する操作装置として使用するものでもよい。
【符号の説明】
【0146】
1…折り畳み機、2…供給部、3…幅寄せ装置、4…回転搬送部、5…後処理部、6…収束部、10…多層フィルム、12…幅寄せされる過程の多層フィルム、12A…山折り部、12B…谷折り部、13…幅寄せされた多層フィルム、14…製品、17…収束位置、22…供給部カッタ機構、23…供給部搬送機構、27…テンションローラ、28…湾曲ガイド、30…幅寄せ部、31…マグネットコンベア、31A…マグネットコンベアの上流側端部(入口)、31B…マグネットコンベアの下流側端部(出口)、32…上部コンベア、33…下部コンベア、54…排出側カッタ機構、61…押さえ部材、62…側面ブラシ、62A…一方側側面ブラシ、62B…他方側側面ブラシ、64…集合ローラ、64A…一方側集合ローラ、64B…他方側集合ローラ、65…エア抜きブラシ、65A…一方側エア抜きブラシ、65B…他方側エア抜きブラシ、66…谷ガイド、68…ニップローラ、68A…一方側ニップローラ、68B…他方側ニップローラ、81…スチールベルト、84…マグネット付チェーン、90…下部コンベア山折りガイド、111…ガイド。
【要約】
【課題】組立、設備費を抑えることができ、多層フィルムであっても正しく幅寄せができる幅寄せ装置とすることである。
【解決手段】2つ以上のマグネットコンベア31を、搬送方向と直交する幅方向に間隔を置いて放射状に設けることでフィルムを蛇腹状に折り畳みながら幅寄せし、マグネットコンベア31は、下部コンベア33と、上部コンベア32を備え、下部コンベア33の磁力を利用して上部コンベア32を駆動し、かつフィルムを下部コンベア33と上部コンベア32とで挟持して搬送する構成とすることで、同期駆動機構を不要として組立、設備費を抑えることができ、多層フィルムであっても正しく幅寄せができる幅寄せ装置。
【選択図】
図9