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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】表示システム、制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240404BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G06F3/041 522
G06F3/041 512
G06F3/044
G06F3/041 412
G06F3/041 550
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020207476
(22)【出願日】2020-12-15
(65)【公開番号】P2021157772
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】P 2020057757
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 朋紘
【審査官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0344171(US,A1)
【文献】特表2017-507436(JP,A)
【文献】特開2015-075998(JP,A)
【文献】国際公開第2015/166898(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/041-3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1センサ電極を有する第1表示装置と、
前記第1表示装置と隣接して配置され、複数の第2センサ電極を有する第2表示装置と、
第1タッチ駆動信号を前記複数の第1センサ電極に供給する第1駆動回路と、
前記第1タッチ駆動信号の周波数と同じ周波数であり、かつ、前記第1タッチ駆動信号に対して位相が揃った第2タッチ駆動信号を前記複数の第2センサ電極に供給する第2駆動回路と、
前記複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて前記第1表示装置への物体のタッチを検出する第1タッチ検出回路と、
前記複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて前記第2表示装置への物体のタッチを検出する第2タッチ検出回路と、
を備え
前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のそれぞれは、第1電圧と第2電圧との間で変化し、
前記第1タッチ検出回路は、前記複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号を第1期間の間積分し、積分値にもとづいて前記第1表示装置への物体のタッチを検出し、
前記第2タッチ検出回路は、前記複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号を第2期間の間積分し、積分値にもとづいて前記第2表示装置への物体のタッチを検出し、
前記第1期間と前記第2期間のそれぞれは、前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が進んでいる方が前記第1電圧から前記第2電圧に変化する第1タイミングから、第2タイミングまでの期間を含み、
前記第2タイミングは、前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が遅れている方が前記第1電圧から前記第2電圧に変化することによって隣接する前記第1表示装置の第1センサ電極と前記第2表示装置の第2センサ電極との間に流れる電流が、ゼロになるタイミングである、
ことを特徴とする表示システム。
【請求項2】
第1基準クロック信号と、当該第1基準クロック信号に同期した同期信号とを生成する第1クロック生成回路と、
前記第1クロック生成回路で生成された前記同期信号に同期した第2基準クロック信号を生成する第2クロック生成回路と、
を備え、
前記第1駆動回路は、前記第1基準クロック信号に同期した前記第1タッチ駆動信号を生成し、
前記第2駆動回路は、前記第2基準クロック信号に同期した前記第2タッチ駆動信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
同期信号を出力する制御装置と、
前記制御装置から出力された前記同期信号に同期した第1基準クロック信号を生成する第1クロック生成回路と、
前記制御装置から出力された前記同期信号に同期した第2基準クロック信号を生成する第2クロック生成回路と、
を備え、
前記第1駆動回路は、前記第1基準クロック信号に同期した前記第1タッチ駆動信号を生成し、
前記第2駆動回路は、前記第2基準クロック信号に同期した前記第2タッチ駆動信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示システム。
【請求項4】
前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号の位相差を取得する取得部と、
前記取得部で取得された位相差にもとづいて前記第1期間を設定する第1設定部と、
前記取得部で取得された位相差にもとづいて前記第2期間を設定する第2設定部と、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示システム。
【請求項5】
前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が遅れている方が前記第1電圧から前記第2電圧に変化するタイミングと、前記第2タイミングは、前記第1タイミングと、前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が進んでいる方が前記第2電圧から前記第1電圧に変化するタイミングとの間に位置する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の表示システム。
【請求項6】
複数の第1センサ電極を有する第1表示装置と、
前記第1表示装置と隣接して配置され、複数の第2センサ電極を有する第2表示装置と、
第1タッチ駆動信号を前記複数の第1センサ電極に供給する第1駆動回路と、
前記第1タッチ駆動信号の周波数と同じ周波数の第2タッチ駆動信号を前記複数の第2センサ電極に供給する第2駆動回路と、
前記複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号を第1期間の間積分し、積分値にもとづいて前記第1表示装置への物体のタッチを検出する第1タッチ検出回路と、
前記複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号を第2期間の間積分し、積分値にもとづいて前記第2表示装置への物体のタッチを検出する第2タッチ検出回路と、
を備え、
前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のそれぞれは、第1電圧と第2電圧との間で変化し、
前記第1期間と前記第2期間のそれぞれは、前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が進んでいる方が前記第1電圧から前記第2電圧に変化する第1タイミングから、第2タイミングまでの期間を含み、
前記第2タイミングは、前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が遅れている方が前記第1電圧から前記第2電圧に変化することによって隣接する前記第1表示装置の第1センサ電極と前記第2表示装置の第2センサ電極との間に流れる電流が、ゼロになるタイミングであり、
前記第2タッチ駆動信号が前記第1電圧から前記第2電圧に変化するタイミングと、前記第2タイミングは、前記第1タイミングと、前記第1タッチ駆動信号が前記第2電圧から前記第1電圧に変化するタイミングとの間に位置する、
ことを特徴とする表示システム。
【請求項7】
前記第1センサ電極と前記第2センサ電極は、画像表示およびタッチ検出に共用される共通電極であり、
前記第1表示装置における第1フレーム期間に、前記第1表示装置が画像を表示する第1表示期間と、前記第1タッチ検出回路がタッチを検出する第1タッチ検出期間とが交互に配置され、
前記第2表示装置における第2フレーム期間に、前記第2表示装置が画像を表示する第2表示期間と、前記第2タッチ検出回路がタッチを検出する第2タッチ検出期間とが交互に配置され、
前記第1タッチ検出期間と前記第2タッチ検出期間において、開始タイミングは一致し、終了タイミングは一致する、
ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の表示システム。
【請求項8】
複数の第1センサ電極を有する第1表示装置と、前記第1表示装置と隣接して配置され、複数の第2センサ電極を有する第2表示装置とを制御する制御装置であって、
第1タッチ駆動信号を前記複数の第1センサ電極に供給する第1駆動回路と、
前記第1タッチ駆動信号の周波数と同じ周波数であり、かつ、前記第1タッチ駆動信号に対して位相が揃った第2タッチ駆動信号を前記複数の第2センサ電極に供給する第2駆動回路と、
前記複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて前記第1表示装置への物体のタッチを検出する第1タッチ検出回路と、
前記複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて前記第2表示装置への物体のタッチを検出する第2タッチ検出回路と、
を備え
前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のそれぞれは、第1電圧と第2電圧との間で変化し、
前記第1タッチ検出回路は、前記複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号を第1期間の間積分し、積分値にもとづいて前記第1表示装置への物体のタッチを検出し、
前記第2タッチ検出回路は、前記複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号を第2期間の間積分し、積分値にもとづいて前記第2表示装置への物体のタッチを検出し、
前記第1期間と前記第2期間のそれぞれは、前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が進んでいる方が前記第1電圧から前記第2電圧に変化する第1タイミングから、第2タイミングまでの期間を含み、
前記第2タイミングは、前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が遅れている方が前記第1電圧から前記第2電圧に変化することによって隣接する前記第1表示装置の第1センサ電極と前記第2表示装置の第2センサ電極との間に流れる電流が、ゼロになるタイミングである、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項9】
複数の第1センサ電極を有する第1表示装置と、前記第1表示装置と隣接して配置され、複数の第2センサ電極を有する第2表示装置とを制御する制御方法であって、
第1タッチ駆動信号を前記複数の第1センサ電極に供給するステップと、
前記第1タッチ駆動信号の周波数と同じ周波数であり、かつ、前記第1タッチ駆動信号に対して位相が揃った第2タッチ駆動信号を前記複数の第2センサ電極に供給するステップと、
前記複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて前記第1表示装置への物体のタッチを検出する第1タッチ検出ステップと、
前記複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて前記第2表示装置への物体のタッチを検出する第2タッチ検出ステップと、
を備え
前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のそれぞれは、第1電圧と第2電圧との間で変化し、
前記第1タッチ検出ステップでは、前記複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号を第1期間の間積分し、積分値にもとづいて前記第1表示装置への物体のタッチを検出し、
前記第2タッチ検出ステップでは、前記複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号を第2期間の間積分し、積分値にもとづいて前記第2表示装置への物体のタッチを検出し、
前記第1期間と前記第2期間のそれぞれは、前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が進んでいる方が前記第1電圧から前記第2電圧に変化する第1タイミングから、第2タイミングまでの期間を含み、
前記第2タイミングは、前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が遅れている方が前記第1電圧から前記第2電圧に変化することによって隣接する前記第1表示装置の第1センサ電極と前記第2表示装置の第2センサ電極との間に流れる電流が、ゼロになるタイミングである、
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ検出機能を有する表示システム、制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示画面においてGUIを表示し、ユーザの指などで表示画面を直接タッチすることで指示入力を行うタッチディスプレイを搭載した表示入力装置が普及している(例えば、特許文献1,2参照)。この種の表示入力装置は、表示装置に対してボタンやキーボードなど別途入力部を備える表示入力装置と比較して構成を簡素化できることから、携帯端末や設置スペースの限られる端末などで広く採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-132445号公報
【文献】特開2016-200886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチディスプレイを備える表示システムにおいて、更なる改善が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の表示システムは、複数の第1センサ電極を有する第1表示装置と、第1表示装置と隣接して配置され、複数の第2センサ電極を有する第2表示装置と、第1タッチ駆動信号を複数の第1センサ電極に供給する第1駆動回路と、第1タッチ駆動信号の周波数と同じ周波数であり、かつ、第1タッチ駆動信号に対して位相が揃った第2タッチ駆動信号を複数の第2センサ電極に供給する第2駆動回路と、複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて第1表示装置への物体のタッチを検出する第1タッチ検出回路と、複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて第2表示装置への物体のタッチを検出する第2タッチ検出回路と、を備える。
【0006】
本発明の別の態様もまた、表示システムである。この表示システムは、複数の第1センサ電極を有する第1表示装置と、第1表示装置と隣接して配置され、複数の第2センサ電極を有する第2表示装置と、第1タッチ駆動信号を複数の第1センサ電極に供給する第1駆動回路と、第1タッチ駆動信号の周波数と同じ周波数の第2タッチ駆動信号を複数の第2センサ電極に供給する第2駆動回路と、複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号を第1期間の間積分し、積分値にもとづいて第1表示装置への物体のタッチを検出する第1タッチ検出回路と、複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号を第2期間の間積分し、積分値にもとづいて第2表示装置への物体のタッチを検出する第2タッチ検出回路と、を備える。第1タッチ駆動信号と第2タッチ駆動信号のそれぞれは、第1電圧と第2電圧との間で変化し、第1期間と第2期間のそれぞれは、第1タッチ駆動信号と第2タッチ駆動信号のうち位相が進んでいる方が第1電圧から第2電圧に変化する第1タイミングから、第2タイミングまでの期間を含む。第2タイミングは、第1タッチ駆動信号と第2タッチ駆動信号のうち位相が遅れている方が第1電圧から第2電圧に変化することによって隣接する第1表示装置の第1センサ電極と第2表示装置の第2センサ電極との間に流れる電流が、ゼロになるタイミングである。第2タッチ駆動信号が第1電圧から第2電圧に変化するタイミングと、第2タイミングは、第1タイミングと、第1タッチ駆動信号が第2電圧から第1電圧に変化するタイミングとの間に位置する。
【0007】
本発明のさらに別の態様は、制御装置である。この装置は、複数の第1センサ電極を有する第1表示装置と、第1表示装置と隣接して配置され、複数の第2センサ電極を有する第2表示装置とを制御する制御装置であって、第1タッチ駆動信号を複数の第1センサ電極に供給する第1駆動回路と、第1タッチ駆動信号の周波数と同じ周波数であり、かつ、第1タッチ駆動信号に対して位相が揃った第2タッチ駆動信号を複数の第2センサ電極に供給する第2駆動回路と、複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて第1表示装置への物体のタッチを検出する第1タッチ検出回路と、複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて第2表示装置への物体のタッチを検出する第2タッチ検出回路と、を備える。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、制御方法である。この方法は、複数の第1センサ電極を有する第1表示装置と、第1表示装置と隣接して配置され、複数の第2センサ電極を有する第2表示装置とを制御する制御方法であって、第1タッチ駆動信号を複数の第1センサ電極に供給するステップと、第1タッチ駆動信号の周波数と同じ周波数であり、かつ、第1タッチ駆動信号に対して位相が揃った第2タッチ駆動信号を複数の第2センサ電極に供給するステップと、複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて第1表示装置への物体のタッチを検出するステップと、複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて第2表示装置への物体のタッチを検出するステップと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記の態様により、更なる改善を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態に係る表示システムのブロック図である。
図2図1の表示装置の回路構成を概略的に示す図である。
図3図2の共通電極の配置を示す上面図である。
図4図1の表示装置の縦断面図である。
図5】第1表示装置における第1フレーム期間と、第2表示装置における第2フレーム期間のタイミングを示す図である。
図6図6(a)は、図5の第1タッチ検出期間T1aにおける表示装置の動作を説明する図であり、図5(b)は、第1タッチ検出期間T2aにおける表示装置の動作を説明する図である。
図7図7(a)は、第1タッチ検出期間T3aにおける表示装置の動作を説明する図であり、図7(b)は、第1タッチ検出期間T4aにおける表示装置の動作を説明する図である。
図8】隣接する第1表示装置の共通電極と第2表示装置の共通電極の等価回路図である。
図9図8の第1タッチ駆動信号TX1、第2タッチ駆動信号TX2、電圧VCpおよび電流ICpの波形の一例を示す図である。
図10】比較例の表示システムの第1タッチ駆動信号TX1、第2タッチ駆動信号TX2、電圧VCpおよび電流ICpの波形の一例を示す図である。
図11】第2の実施の形態に係る表示システムのブロック図である。
図12図11の表示システムのタイミング信号STと第1タッチ駆動信号TX1の波形の一例を示す図である。
図13】第3の実施の形態に係る表示システムのブロック図である。
図14】第3の実施の形態に係る第1タッチ駆動信号TX1、第2タッチ駆動信号TX2および電流ICpの波形の一例を示す図である。
図15図13の表示システムの起動処理を示すフローチャートである。
図16】第4の実施の形態に係る表示システムのブロック図である。
図17】第4の実施の形態の第2の変型例に係る表示システムの起動処理を示すフローチャートである。
図18】第6の実施の形態に係る第1表示制御装置の同期信号SYの出力処理を示すフローチャートである。
図19】第7の実施の形態に係る表示システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
実施の形態を具体的に説明する前に、基礎となった知見を説明する。自己容量方式によりタッチ位置を検出する2台のタッチディスプレイを並べて配置し、大画面のタッチディスプレイを構成する場合がある。2台のタッチディスプレイは、境界が目立ち難いように接して配置される。この場合、2台のタッチディスプレイの境界付近で、タッチが無くてもタッチ有りと誤検出される可能性があるという課題を本発明者は発見した。この課題を解決するために、本開示に係る表示システムは以下のように構成される。
【0012】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、工程には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る表示システム1のブロック図である。表示システム1は、自動車などの車両に搭載された車載の表示システム1である一例について説明するが、用途は特に限定されず、携帯機器などに用いてもよい。
【0014】
表示システム1は、ホスト10と、第1表示モジュール20aと、第2表示モジュール20bとを備える。以下、第1表示モジュール20aと第2表示モジュール20bを区別しない場合には表示モジュール20と呼ぶ。表示モジュール20は、表示パネルとも呼ばれる。
【0015】
ホスト10は、ラジオ、カーナビゲーション、Bluetooth(登録商標)通信などの各種機能を実行するとともに、2つの表示モジュール20を制御する。ホスト10は、制御装置12を備える。ホスト10は、例えば、第1表示モジュール20aと第2表示モジュール20bとは別の基板上に配置される。
【0016】
制御装置12は、たとえばCPUであり、ホストCPUとも呼ばれる。制御装置12は、画像データDDと制御データCDを2つの表示モジュール20に供給し、これらのデータをもとに2つの表示モジュール20を制御する。
【0017】
第1表示モジュール20aは、第1表示装置22aと、第1表示制御装置24aとを備える。第2表示モジュール20bは、第2表示装置22bと、第2表示制御装置24bとを備える。以下、第1表示装置22aと第2表示装置22bを区別しない場合には表示装置22と呼び、第1表示制御装置24aと第2表示制御装置24bを区別しない場合には表示制御装置24と呼ぶ。
【0018】
2つの表示装置22は、たとえば、カーナビゲーション画面などが表示される車室内のセンターディスプレイなどとして利用され、水平方向または垂直方向に隣接して配置される。2つの表示装置22は、ほぼ隙間無く並べられる。2つの表示装置22は、カーナビゲーション画面などの1画面の一部ずつをそれぞれ表示して、2つの画面で1画面を構成してもよいし、一方がカーナビゲーション画面などの第1の画面を表示し、他方が第1の画面とは異なるテレビ画面などの第2の画面を表示してもよい。
【0019】
表示装置22は、インセル型のIPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置であり、タッチディスプレイとして構成され、タッチ位置を検出可能である。表示装置22の構成は、例えば、以下に説明する周知の構成となっている。
【0020】
図2は、図1の表示装置22の回路構成を概略的に示す。図2は、各構成要素の概略的な配置も示す。表示装置22は、行方向に延びる複数のゲート線G1,G2,・・・と、列方向に延びる複数のソース線S1,S2,・・・と、複数の画素スイッチング素子30と、複数の画素電極32と、複数の共通電極34とを備える。各画素スイッチング素子30は、薄膜トランジスタであり、ゲート線とソース線の交点付近に画素に対応して設けられる。各画素スイッチング素子30において、ゲートにはゲート線が接続され、ソースにはソース線が接続され、ドレインには画素電極32が接続される。1つの共通電極34に対して、複数の画素スイッチング素子30と複数の画素電極32が配置される。画素電極32と共通電極34との間の電界により液晶層が制御される。共通電極34は、画像表示およびタッチ検出に共用される。そのため、電極の層数を削減して、表示装置22を薄く構成できる。第1表示装置22aの共通電極34は、第1センサ電極と呼ぶこともできる。第2表示装置22bの共通電極34は、第2センサ電極と呼ぶこともできる。
【0021】
図3は、図2の共通電極34の配置を示す上面図である。複数の共通電極34は、マトリクス状に配置される。第1表示装置22aの各共通電極34は、信号線36で第1表示制御装置24aに接続され、第2表示装置22bの各共通電極34は、信号線36で第2表示制御装置24bに接続される。
【0022】
表示装置22は、自己容量方式によりタッチ位置を検出する。表示装置22の表示面に指が近づくと、共通電極34と指の間に静電容量が発生する。静電容量が発生すると共通電極34における寄生容量が増加し、共通電極34にタッチ駆動信号を供給するときの電流が増加する。この電流の変動量にもとづいてタッチ位置が検出される。
【0023】
図4は、図1の表示装置22の縦断面図である。表示装置22は、厚さ方向に沿って順に重ねて配置されるバックライトユニット40、下偏光板42、薄膜トランジスタ基板(以下、TFT基板と呼ぶ)44、液晶層52、カラーフィルタ基板54、上偏光板56、接合層58、および、保護層60を備える。
【0024】
以下の説明では、表示装置22の厚さ方向のうち、TFT基板44に対して保護層60が位置する側を前面側とし、その逆を背面側とする。
【0025】
表示装置22は、バックライトユニット40から出射された光を用いて、画像光を前面側、即ち観察者側に出射する。
【0026】
TFT基板44は、ガラス基板46、ガラス基板46の前面側に配置された複数のゲート電極48、複数のソース電極50、および、複数の共通電極34を有する。図示は省略するが、TFT基板44は、図2の複数のゲート線G1,G2,・・・、複数のソース線S1,S2,・・・、複数の画素電極32および複数の画素スイッチング素子30も有する。TFT基板44の前面側に配置された液晶層52は、画素電極32と共通電極34との間に発生する横方向の電界により制御される。
【0027】
接合層58は、透光性を有し、上偏光板56と保護層60とを接合する。接合層58は、例えば、OCR(Optically Clear Resin)などの液状の透明樹脂、または、OCA(Optically Clear Adhesive)などの透明粘着シートが硬化したものである。
【0028】
保護層60は、表示装置22を保護するための透光性を有する層であり、ガラス基板またはプラスチック基板などで構成される。保護層60は、カバーレンズなどとも呼ばれる。
【0029】
図1に戻る。第1表示制御装置24aは、たとえばICとして構成され、ホスト10からの制御データCDと画像データDDにしたがって第1表示装置22aを制御する。第1表示制御装置24aは、第1制御回路70aと、第3駆動回路72aと、第1駆動回路74aと、第1タッチ検出回路76aと、第1クロック生成回路78aとを備える。
【0030】
第1制御回路70aは、たとえばマイコンで構成され、第1クロック生成回路78aと第3駆動回路72aと第1駆動回路74aの信号生成、第1タッチ検出回路76aの動作タイミングなどを制御する。
【0031】
第1制御回路70aは、第1フレーム期間に、表示画像の1フレームが第1表示装置22aに描画され、かつ、1画面のタッチ検出が少なくとも1回実行されるよう、第3駆動回路72a、第1駆動回路74aおよび第1タッチ検出回路76aを制御する。第1フレーム期間は、第1垂直同期期間とも呼べる。第1フレーム期間の詳細は後述する。
【0032】
第1クロック生成回路78aは、第1制御回路70aの制御にしたがい、第1基準クロック信号CK1を生成する。第3駆動回路72aは、第1制御回路70aの制御にしたがい、ホスト10からの画像データDDと、生成された第1基準クロック信号CK1とにもとづいて、ソース信号SSを生成する。第3駆動回路72aは、第1制御回路70aの制御にしたがい、生成された第1基準クロック信号CK1にもとづいてゲート信号GSを生成する。
【0033】
第3駆動回路72aは、ソース信号SSを第1表示装置22aの複数のソース線に順次供給し、ゲート信号GSを第1表示装置22aの複数のゲート線に順次供給する。
【0034】
第1駆動回路74aは、第1制御回路70aの制御にしたがい、予め定められた固定電圧である基準電圧VCOMを生成し、かつ、生成された第1基準クロック信号CK1に同期した第1タッチ駆動信号TX1を生成する。第1タッチ駆動信号TX1の位相は、第1基準クロック信号CK1の位相と揃っている。なお、第1タッチ駆動信号TX1は、矩形波でもよいし、正弦波でもよい。第1駆動回路74aは、図3の信号線36を介して、基準電圧VCOMまたは第1タッチ駆動信号TX1を第1表示装置22aの全体の複数の共通電極34に供給する。
【0035】
第1タッチ検出回路76aは、第1表示装置22aへの物体のタッチを検出する。第1タッチ検出回路76aは、第1制御回路70aの制御にしたがい、各共通電極34に第1タッチ駆動信号TX1が供給されたときの当該共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、当該共通電極34に対応する位置への物体のタッチを検出する。
【0036】
第1タッチ検出回路76aは、第1タッチ駆動信号TX1の各パルスに関して、パルスの立ち上がりから所定の基準時間の間、各共通電極34から受信したタッチ検出信号RXを積分し、積分値と基準値との差分値を導出する。第1タッチ検出回路76aは、タッチ駆動信号TXの各パルスに関して、パルスの立ち下がりから基準時間の間、各共通電極34から受信したタッチ検出信号RXを積分し、積分値と基準値との差分値を導出する。パルスの立ち上がりと立ち下がりのいずれか一方に関して差分値を導出してもよい。1つのタッチ検出期間に1つの共通電極34から受信したタッチ検出信号RXに関して、1つのタッチ検出期間の第1タッチ駆動信号TX1のパルスの数に比例した数の差分値が得られる。それぞれの値は、共通電極34の静電容量と基準静電容量との差分値を表す。第1タッチ検出回路76aは、共通電極34ごとに、これら差分値を平均した値を検出値として算出する。物体のタッチによる共通電極34の静電容量の変化量が大きいほど、検出値は大きくなる。タッチがなく、共通電極34の静電容量の変化量がゼロであれば、検出値はゼロである。
【0037】
第1タッチ検出回路76aは、各共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづく検出値と、所定のタッチ検出閾値を比較し、検出値がタッチ検出閾値以上のとき、当該共通電極34の位置にタッチ有りと判定する。これは、タッチが検出されたことに相当する。第1タッチ検出回路76aは、タッチ有りと判定した共通電極34の位置にもとづいて、画面内におけるタッチ位置を検出する。第1タッチ検出回路76aは、検出したタッチ位置の情報を第1制御回路70aに出力する。
【0038】
第1制御回路70aは、第1タッチ検出回路76aからのタッチ位置の情報にもとづいてタッチ位置の座標データTDを導出し、その座標データTDをホスト10の制御装置12に出力する。制御装置12は、座標データTDに応じて各種処理を実行する。
【0039】
第1クロック生成回路78aは、第1基準クロック信号CK1に同期した同期信号SYを生成し、たとえば第1フレーム期間の開始タイミング毎に同期信号SYを第2表示制御装置24bに出力する。たとえば同期信号SYは、第1フレーム期間の開始タイミングに立ち上がるパルスであり、その位相は、第1基準クロック信号CK1の位相と揃っている。同期信号SYの出力タイミングは、第1表示制御装置24aと第2表示制御装置24bの間で信号を同期させることができれば、特に限定されない。同期信号SYを伝達する配線は、第1表示制御装置24aから、ホスト10が配置された基板上を介して、第2表示制御装置24bに接続される。
【0040】
第2表示制御装置24bは、たとえばICとして構成され、ホスト10からの制御データCDと画像データDD、第1表示制御装置24aからの同期信号SYにしたがって第2表示装置22bを制御する。第2表示制御装置24bの基本的な動作は、第1表示制御装置24aの動作と共通する。第2表示制御装置24bは、第2制御回路70bと、第4駆動回路72bと、第2駆動回路74bと、第2タッチ検出回路76bと、第2クロック生成回路78bとを備える。
【0041】
第2制御回路70bは、たとえばマイコンで構成され、同期信号SYにもとづいて、第2クロック生成回路78bと第4駆動回路72bと第2駆動回路74bの信号生成、第2タッチ検出回路76bの動作タイミングなどを制御する。第2制御回路70bと前述の第1制御回路70aをまとめて制御回路と呼べる。
【0042】
第2制御回路70bは、第2フレーム期間に、表示画像の1フレームが第2表示装置22bに描画され、かつ、1画面のタッチ検出が少なくとも1回実行されるよう、第4駆動回路72b、第2駆動回路74bおよび第2タッチ検出回路76bを制御する。第2制御回路70bは、同期信号SYにもとづいて、第2フレーム期間の開始タイミングが第1フレーム期間の開始タイミングと一致するよう制御する。第2フレーム期間は、第2垂直同期期間とも呼べる。第2フレーム期間の詳細は後述する。
【0043】
第2クロック生成回路78bは、第2制御回路70bの制御にしたがい、第1基準クロック信号CK1に同期した、第1基準クロック信号CK1の周波数と同じ周波数の第2基準クロック信号CK2を生成する。第2基準クロック信号CK2の位相は、第1基準クロック信号CK1の位相と揃っている。第4駆動回路72bは、第2制御回路70bの制御にしたがい、ホスト10からの画像データDDと、生成された第2基準クロック信号CK2とにもとづいて、ソース信号SSを生成する。第4駆動回路72bは、第2制御回路70bの制御にしたがい、生成された第2基準クロック信号CK2にもとづいてゲート信号GSを生成する。
【0044】
第4駆動回路72bは、ソース信号SSを第2表示装置22bの複数のソース線に順次供給し、ゲート信号GSを第2表示装置22bの複数のゲート線に順次供給する。
【0045】
第2駆動回路74bは、第2制御回路70bの制御にしたがい、基準電圧VCOMを生成し、かつ、生成された第2基準クロック信号CK2に同期した第2タッチ駆動信号TX2を生成する。第2タッチ駆動信号TX2と第1タッチ駆動信号TX1は、同一振幅、同一周波数である。第2タッチ駆動信号TX2の位相は、第2基準クロック信号CK2の位相と揃っている。よって、第2タッチ駆動信号TX2は、第1タッチ駆動信号TX1に対して位相が揃っている。なお、第2タッチ駆動信号TX2は、矩形波でもよいし、正弦波でもよい。第2駆動回路74bは、図3の信号線36を介して、基準電圧VCOMまたは第2タッチ駆動信号TX2を第2表示装置22bの全体の複数の共通電極34に供給する。
【0046】
第2タッチ検出回路76bは、第2表示装置22bへの物体のタッチを検出する。第2タッチ検出回路76bは、第2制御回路70bの制御にしたがい、各共通電極34に第2タッチ駆動信号TX2が供給されたときの当該共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、当該共通電極34に対応する位置への物体のタッチを検出する。具体的な動作は第1タッチ検出回路76aと同様である。第2タッチ検出回路76bは、検出したタッチ位置の情報を第2制御回路70bに出力する。
【0047】
第2制御回路70bは、第2タッチ検出回路76bからのタッチ位置の情報にもとづいてタッチ位置の座標データTDを導出し、その座標データTDを制御装置12に出力する。
【0048】
制御装置12、第1制御回路70a、第2制御回路70bの構成は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、またはハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源としてアナログ素子、マイクロコンピュータ、DSP、ROM、RAM、FPGA、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてファームウェア等のプログラムを利用できる。
【0049】
図5は、第1表示装置22aにおける第1フレーム期間Faと、第2表示装置22bにおける第2フレーム期間Fbのタイミングを示す。
【0050】
第1フレーム期間Faは、4つの第1表示期間Daと、4つの第1タッチ検出期間T1a,T2a,T3a,T4aとを含む。第1表示期間Daと第1タッチ検出期間は交互に配置される。第1フレーム期間Faにおいて、第1表示期間Da、第1タッチ検出期間T1a、第1表示期間Da、第1タッチ検出期間T2a、第1表示期間Da、第1タッチ検出期間T3a、第1表示期間Da、第1タッチ検出期間T4aは、この順に並ぶ。
【0051】
第2フレーム期間Fbは、4つの第2表示期間Dbと、4つの第2タッチ検出期間T1b,T2b,T3b,T4bとを含む。第2表示期間Dbと第2タッチ検出期間は交互に配置される。第2フレーム期間Fbにおいて、第2表示期間Db、第2タッチ検出期間T1b、第2表示期間Db、第2タッチ検出期間T2b、第2表示期間Db、第2タッチ検出期間T3b、第2表示期間Db、第2タッチ検出期間T4bは、この順に並ぶ。
【0052】
第1表示期間Daの長さは、第2表示期間Dbの長さと等しい。第1タッチ検出期間T1aからT4a、第2タッチ検出期間T1bからT4bのそれぞれの長さは等しい。第1フレーム期間Faの長さは、第2フレーム期間Fbの長さと等しい。第1フレーム期間Faの開始タイミング(時刻t0)は、第2フレーム期間Fbの開始タイミングと一致する。1対1に対応する第1タッチ検出期間と第2タッチ検出期間において、開始タイミングは一致し、終了タイミングは一致する。
【0053】
第1フレーム期間Faの第1表示期間Daの数と第1タッチ検出期間の数、第2フレーム期間Fbの第2表示期間Dbの数と第2タッチ検出期間の数は、それぞれ「4」に限定されない。
【0054】
第1表示装置22aは、第1表示期間Da毎に1フレームを1/4ずつ表示する。第1フレーム期間Faの4つの第1表示期間Daにより、1フレームが表示される。具体的には第1表示期間Daの間、第3駆動回路72aは、複数のソース線にソース信号SSを供給し、対象のゲート線にゲート信号GSを供給し、第1駆動回路74aは複数の共通電極34に基準電圧VCOMを供給する。第1駆動回路74aは、第1表示期間Daには第1タッチ駆動信号TX1の供給を停止する。
【0055】
第2表示装置22bは、第2表示期間Db毎に1フレームを1/4ずつ表示する。第2フレーム期間Fbの4つの第2表示期間Dbにより、1フレームが表示される。具体的には第2表示期間Dbの間、第4駆動回路72bは、複数のソース線にソース信号SSを供給し、対象のゲート線にゲート信号GSを供給し、第2駆動回路74bは複数の共通電極34に基準電圧VCOMを供給する。第2駆動回路74bは、第2表示期間Dbには第2タッチ駆動信号TX2の供給を停止する。
【0056】
図6(a)は、図5の第1タッチ検出期間T1aにおける表示装置22の動作を説明する図である。第1表示装置22aと第2表示装置22bは、観察者から見て水平方向に隣接して配置される。
【0057】
第1表示装置22aは、第2表示装置22bに近づく方向に順に並ぶ第1タッチ検出領域R4a,R3a,R2a,R1aを含む。つまり第1タッチ検出領域R1a,R2a,R3a,R4aは、第1表示装置22aと第2表示装置22bの配置方向に沿った方向である水平方向に並ぶ。最も右側の第1タッチ検出領域R1aは、第2表示装置22bに隣接する。第1表示装置22aの全体の複数の共通電極34は、第1タッチ検出領域R1aからR4aのそれぞれに複数ずつ配置される。
【0058】
第2表示装置22bは、第1表示装置22aから離れる方向に順に並ぶ第2タッチ検出領域R1b,R2b,R3b,R4bを含む。つまり第2タッチ検出領域R1b,R2b,R3b,R4bは、水平方向に並ぶ。最も左側の第2タッチ検出領域R1bは、第1表示装置22aに隣接する。第2表示装置22bの全体の複数の共通電極34は、第2タッチ検出領域R1bからR4bに複数ずつ配置される。1つの表示装置22のタッチ検出領域の数は「4」に限定されない。
【0059】
第1駆動回路74aは、第1タッチ検出期間T1aの間、第1表示装置22aの全体の複数の共通電極34に第1タッチ駆動信号TX1を供給する。第1タッチ検出回路76aは、第1タッチ検出期間T1aの間、検出対象の第1タッチ検出領域R4aの複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、第1タッチ検出領域R4aへの物体のタッチを検出する。
【0060】
第2駆動回路74bは、第2タッチ検出期間T1bの間、第2表示装置22bの全体の複数の共通電極34に第2タッチ駆動信号TX2を供給する。第2タッチ検出回路76bは、第2タッチ検出期間T1bの間、検出対象の第2タッチ検出領域R1bの複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、第2タッチ検出領域R1bへの物体のタッチを検出する。
【0061】
図6(b)は、第1タッチ検出期間T2aにおける表示装置22の動作を説明する図である。各タッチ検出期間の第1駆動回路74aと第2駆動回路74bの動作は共通するため、以下、説明を省略する。第1タッチ検出回路76aは、第1タッチ検出期間T2aの間、検出対象の第1タッチ検出領域R3aの複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、第1タッチ検出領域R3aでタッチを検出する。
【0062】
第2タッチ検出回路76bは、第2タッチ検出期間T2bの間、検出対象の第2タッチ検出領域R2bの複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、第2タッチ検出領域R2bでタッチを検出する。
【0063】
図7(a)は、第1タッチ検出期間T3aにおける表示装置22の動作を説明する図である。第1タッチ検出回路76aは、第1タッチ検出期間T3aの間、検出対象の第1タッチ検出領域R2aの複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、第1タッチ検出領域R2aでタッチを検出する。
【0064】
第2タッチ検出回路76bは、第2タッチ検出期間T3bの間、検出対象の第2タッチ検出領域R3bの複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、第2タッチ検出領域R3bでタッチを検出する。
【0065】
図7(b)は、第1タッチ検出期間T4aにおける表示装置22の動作を説明する図である。第1タッチ検出回路76aは、第1タッチ検出期間T4aの間、検出対象の第1タッチ検出領域R1aの複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、第1タッチ検出領域R1aでタッチを検出する。
【0066】
第2タッチ検出回路76bは、第2タッチ検出期間T4bの間、検出対象の第2タッチ検出領域R4bの複数の共通電極34から受信したタッチ検出信号RXにもとづいて、第2タッチ検出領域R4bでタッチを検出する。
【0067】
このように第1タッチ検出回路76aは、第1タッチ検出期間毎に異なる第1タッチ検出領域でタッチを検出する。第1フレーム期間Faの4つの第1タッチ検出期間により、1画面のタッチ検出が1回実行される。
【0068】
第2タッチ検出回路76bは、第2タッチ検出期間毎に異なる第2タッチ検出領域でタッチを検出する。第2フレーム期間Fbの4つの第2タッチ検出期間により、1画面のタッチ検出が1回実行される。
【0069】
図8は、隣接する第1表示装置22aの共通電極34と第2表示装置22bの共通電極34の等価回路図である。抵抗Raは、第1表示装置22aの共通電極34に接続された信号線36の配線抵抗である。容量C1aは、第1表示装置22aの共通電極34の接地電位に対する寄生容量であり、既述の基準静電容量に対応する。
【0070】
抵抗Rbは、第2表示装置22bの共通電極34に接続された信号線36の配線抵抗である。容量C1bは、第2表示装置22bの共通電極34の接地電位に対する寄生容量であり、基準静電容量に対応する。
【0071】
容量Cpは、隣接する第1表示装置22aの共通電極34と第2表示装置22bの共通電極34との間の寄生容量である。2つの表示装置22は、既述のように境界が目立ち難いようにほぼ隙間無く並べられるため、これらの共通電極34の間に寄生容量が発生する。
【0072】
第1タッチ駆動信号TX1は、抵抗Raを介して容量Cpの一端に供給される。第2タッチ駆動信号TX2は、抵抗Rbを介して容量Cpの他端に供給される。電圧VCpは、容量Cpの両端間の電圧であり、電流ICpは、容量Cpに流れる電流である。
【0073】
図9は、図8の第1タッチ駆動信号TX1、第2タッチ駆動信号TX2、電圧VCpおよび電流ICpの波形の一例を示す。
【0074】
第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2は、同位相、同一周波数、同一振幅である。第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2の間で、立ち上がりタイミングが一致し、立ち下がりタイミングが一致する。よって、容量Cpの両端間に電位差は発生せず、電圧Vcpは実質的に0Vに保たれる。そのため、電流ICpは実質的に0Aである。
【0075】
ここで、比較例について説明する。図10は、比較例の表示システムの第1タッチ駆動信号TX1、第2タッチ駆動信号TX2、電圧VCpおよび電流ICpの波形の一例を示す。
【0076】
比較例では、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2の位相が異なることが本実施の形態と異なる。つまり比較例では、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2の間で、立ち上がりタイミングが異なり、立ち下がりタイミングが異なる。そのため、容量Cpの両端間に電位差が生じる期間が周期的に存在し、電圧VCpは正と負に周期的に変化する。よって、寄生容量Cpを充放電する電流ICpが周期的に流れる。第1表示装置において、電流ICpは、第2表示装置に隣接する共通電極の接地電位に対する寄生容量を充電する電流に加算され、その結果、第2表示装置に隣接しない共通電極と比較してタッチ無しの場合の電流の積分値が増加し、第2表示装置に隣接する複数の共通電極の位置でタッチが無くてもタッチ有りと誤検出されうる。同様に、第2表示装置における第1表示装置に隣接する複数の共通電極の位置でもタッチ有りと誤検出されうる。
【0077】
この比較例に対して本実施の形態では、既述のように第1タッチ駆動信号TX1の位相と第2タッチ駆動信号TX2の位相が揃っているので、隣接する第1表示装置22aの共通電極34と第2表示装置22bの共通電極34との間の電位差を実質的に無くすことができる。これにより、これらの共通電極34間の寄生容量Cpに対する充放電を抑制でき、これらの共通電極34のそれぞれにおけるタッチが無い場合の電流の積分値を他の共通電極34におけるタッチが無い場合の電流の積分値と同等にできる。よって、第1表示装置22aと第2表示装置22bの境界付近におけるタッチの誤検出を抑制できる。
【0078】
なお、「第1タッチ駆動信号TX1の位相と第2タッチ駆動信号TX2の位相が揃っている」とは、タッチが誤検出されない程度の小さい位相差が存在してもよいことを意味する。この位相差は、電流ICpが流れている期間に相当する位相差より小さい。たとえば、第1タッチ駆動信号TX1が立ち上がることによって正の電流ICpが流れ、その後、電流ICpの減少中に第2タッチ駆動信号TX2が立ち上がることによって負の電流ICpが流れる場合、負の電流ICpの積分値は比較例よりも小さい。この場合でも、比較例に対してタッチの誤検出を抑制できる。
【0079】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態において、第1駆動回路74aと第2駆動回路74bの電気的特性のばらつきおよび温度差により、第1駆動回路74aと第2駆動回路74bの駆動能力が異なる場合がある。同様に、第1クロック生成回路78aと第2クロック生成回路78bを構成する素子の駆動能力も異なる場合がある。この場合、第1基準クロック信号CK1と第2基準クロック信号CK2の位相差、および、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2の位相差が大きくなり、第1表示装置22aと第2表示装置22bの境界付近でタッチが誤検出されやすくなる。特に車載の表示システム1では、2つの表示モジュール20の背面側の車両の構成に温度差があることで、2つの表示モジュール20の温度差が大きくなる可能性がある。
【0080】
そこで第2の実施の形態では、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2の位相差を取得して、位相差を制御することが第1の実施の形態と異なる。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0081】
図11は、第2の実施の形態に係る表示システム1のブロック図である。第2表示制御装置24bは、タイミング信号STを第1表示制御装置24aに供給する。タイミング信号STは、例えば第2タッチ駆動信号TX2である。タイミング信号STは、第2タッチ駆動信号TX2の立ち上がりタイミングを特定できる信号であれば特に限定されず、第2タッチ駆動信号TX2の立ち上がりタイミングを示すパルスであってもよいし、タッチ検出期間の開始タイミングを示すパルスであってもよい。タッチ検出期間の開始タイミングを示すパルスは、水平同期信号にもとづいて生成でき、このパルスの立ち上がりタイミングから所定の待ち時間後に第2タッチ駆動信号TX2が立ち上がることを示す。
【0082】
第1制御回路70aは、取得部90と制御部92を有する。取得部90は、第2表示制御装置24bから供給されたタイミング信号STと、第1駆動回路74aで生成された第1タッチ駆動信号TX1にもとづいて、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2の位相差を取得する。
【0083】
制御部92は、取得部90で取得された位相差がゼロに近づくように第1タッチ駆動信号TX1の位相を制御する。たとえば制御部92は、第1駆動回路74aを制御して、第1基準クロック信号CK1と第1タッチ駆動信号TX1との間に位相差を設ける。
【0084】
制御部92は、第1タッチ駆動信号TX1の位相に代えて第2タッチ駆動信号TX2の位相を制御してもよい。この場合、制御部92は、第1クロック生成回路78aを制御して、第1基準クロック信号CK1と同期信号SYとの間に位相差を設けてもよい。位相が制御された同期信号SYにもとづいて、第2駆動回路74bは、第1タッチ駆動信号TX1に対する位相差がゼロに近づいた第2タッチ駆動信号TX2を生成する。あるいは、制御部92は、位相差を示すデータを第2表示制御装置24bに供給し、位相差を示すデータにもとづいて、第2駆動回路74bは、第1タッチ駆動信号TX1に対する位相差がゼロに近づいた第2タッチ駆動信号TX2を生成してもよい。取得部90、制御部92は、上述の処理を所定の頻度で定期的に実行する。
【0085】
図12は、図11の表示システム1のタイミング信号STと第1タッチ駆動信号TX1の波形の一例を示す。表示システム1の起動直後などの時刻t1では位相差があるが、時刻t2では位相差はほぼゼロに補正されている。
【0086】
本実施の形態によれば、第1駆動回路74aと第2駆動回路74bの電気的特性の違いなどにより第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2に位相差が発生する場合であっても、位相差をより小さくできる。よって、このような場合にも第1表示装置22aと第2表示装置22bの境界付近での誤検出を抑制できる。2つの表示モジュール20の背面側に温度差があってもよいため、表示モジュール20の配置位置の制約を少なくできる。
【0087】
なお、以上の説明ではタイミング信号STの配線遅延は位相差に実質的に影響しない程度に小さいことを想定したが、タイミング信号STの配線遅延が比較的大きい場合、配線の長さにもとづいて予め遅延時間を計算しておき、その遅延時間を取得部90が保持してもよい。取得部90は、第2表示制御装置24bから供給されたタイミング信号STの位相を遅延時間で補正し、配線遅延を除いた位相差を取得する。この場合、同期信号SYの配線遅延もあるが、タイミング信号STの位相は同期信号SYの配線遅延も含んでいるので、同期信号SYの配線遅延の影響も補正できる。
【0088】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態でも、第2の実施の形態と同様に第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2の位相差が大きくなった状況に対処する。第3の実施の形態では、タッチ検出信号RXの積分期間を長くすることが第1の実施の形態と異なる。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0089】
図13は、第3の実施の形態に係る表示システム1のブロック図である。第2表示制御装置24bは、第2の実施の形態と同様にタイミング信号STを第1表示制御装置24aに供給する。
【0090】
第1制御回路70aは、取得部90と第1設定部96aを有する。取得部90は、第2の実施の形態と同様に第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2の位相差を取得する。位相差は、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2のどちらの位相が進んでいるかも表す。取得部90は、位相差データPDにより位相差を第2表示制御装置24bに通知する。
【0091】
第1設定部96aは、取得部90で取得された位相差にもとづいて積分期間である第1期間と第3期間を設定し、設定した第1期間と第3期間にもとづいて第1タッチ検出回路76aを制御する。
【0092】
第1設定部96aは、位相差に相当する時間に基準時間を加算した積分時間を導出する。基準時間は、第1の実施の形態でタッチ検出回路76が1回の積分を行う時間である。基準時間は、第1タッチ駆動信号TX1の立ち上がりタイミングから、共通電極34の接地電位に対する寄生容量に流れる充電電流がゼロになるタイミングまでの時間より所定時間長い。所定時間は、所望のタッチ検出性能が得られるよう、実験やシミュレーションにより適宜設定できる。
【0093】
第1タッチ駆動信号TX1の位相が進んでいる場合、第1設定部96aは、第1タッチ駆動信号TX1の立ち上がりタイミングから積分時間が経過したタイミングまでの第1期間を設定し、第1タッチ駆動信号TX1の立ち下がりタイミングから積分時間が経過したタイミングまでの第3期間を設定する。
【0094】
第2タッチ駆動信号TX2の位相が進んでいる場合、第1設定部96aは、第1タッチ駆動信号TX1の立ち上がりタイミングよりも位相差に相当する時間だけ早いタイミングから積分時間が経過したタイミングまでの第1期間を設定し、第1タッチ駆動信号TX1の立ち下がりタイミングよりも位相差に相当する時間だけ早いタイミングから積分時間が経過したタイミングまでの第3期間を設定する。
【0095】
第1タッチ検出回路76aは、第1期間の間、タッチ検出信号RXを積分し、積分値を取得し、第3期間の間、タッチ検出信号RXを積分し、積分値を取得し、これらの処理を繰り返す。第1タッチ検出回路76aは、第1期間と第3期間のいずれか一方で積分してもよい。
【0096】
第2制御回路70bは、第2設定部96bを有する。第2設定部96bは、取得部90から通知された位相差にもとづいて積分期間である第2期間と第4期間を設定し、設定した第2期間と第4期間にもとづいて第2タッチ検出回路76bを制御する。
【0097】
第2設定部96bは、位相差に相当する時間に基準時間を加算した積分時間を導出する。この積分時間は、第1設定部96aが導出した積分時間と等しいため、第1設定部96aから通知されてもよい。
【0098】
第1タッチ駆動信号TX1の位相が進んでいる場合、第2設定部96bは、第2タッチ駆動信号TX2の立ち上がりタイミングよりも位相差に相当する時間だけ早いタイミングから積分時間が経過したタイミングまでの第2期間を設定し、第2タッチ駆動信号TX2の立ち下がりタイミングよりも位相差に相当する時間だけ早いタイミングから積分時間が経過したタイミングまでの第4期間を設定する。
【0099】
第2タッチ駆動信号TX2の位相が進んでいる場合、第2設定部96bは、第2タッチ駆動信号TX2の立ち上がりタイミングから積分時間が経過したタイミングまでの第2期間を設定し、第2タッチ駆動信号TX2の立ち下がりタイミングから積分時間が経過したタイミングまでの第4期間を設定する。
【0100】
第2タッチ検出回路76bは、第2期間の間、タッチ検出信号RXを積分し、積分値を取得し、第4期間の間、タッチ検出信号RXを積分し、積分値を取得し、これらの処理を繰り返す。第2タッチ検出回路76bは、第2期間と第4期間のいずれか一方で積分してもよい。
【0101】
取得部90、第1設定部96a、第2設定部96bは、上述の処理を所定の頻度で定期的に実行する。これにより、温度変化などにより位相差が変化しても、位相差に応じた積分期間を設定できる。積分期間を必要以上に長くしないようにできるので、外来ノイズによる積分値の変動を抑制できる。
【0102】
図14は、第3の実施の形態に係る第1タッチ駆動信号TX1、第2タッチ駆動信号TX2および電流ICpの波形の一例を示す。第1駆動回路74aと第2駆動回路74bの電気的特性の違い、配線遅延などにより第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2に位相差が発生している。この例では、第1タッチ駆動信号TX1は、第2タッチ駆動信号TX2より位相が進んでいる。
【0103】
第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2のそれぞれは、第1電圧V1と第2電圧V2の間で変化する。ここでは第1電圧V1はローレベルであり、第2電圧V2は第1電圧V1より高いハイレベルであるが、その逆でもよい。
【0104】
第1期間TC1は、第1タッチ駆動信号TX1の立ち上がりタイミングA1から積分時間が経過したタイミングA2までの期間である。第1期間TC1の長さは、位相差に相当する時間TPと基準時間TCxとの和である。つまり、第1の実施の形態の積分期間を位相差に相当する時間TPだけ後ろに延ばしたともいえる。最小の第1期間TC1は、タイミングA1から基準時間TCxが経過するまでであり、最大の第1期間TC1は、タイミングA1からタイミングA3の直前までである。
【0105】
第3期間TC3は、第1タッチ駆動信号TX1の立ち下がりタイミングA3から積分時間が経過したタイミングA4までの期間である。第3期間TC3の長さも、位相差に相当する時間TPと基準時間TCxとの和である。最小の第3期間TC3は、タイミングA3から基準時間TCxが経過するまでであり、最大の第3期間TC3は、タイミングA3からタイミングA7の直前までである。第1期間TC1と第3期間TC3は、重複しない。
【0106】
第2期間TC2は、第2タッチ駆動信号TX2の立ち上がりタイミングA5よりも位相差に相当する時間TPだけ早いタイミングA1から積分時間が経過したタイミングA2までの期間である。つまり、第1の実施の形態の積分期間を位相差に相当する時間TPだけ前に延ばしたともいえる。最小の第2期間TC2は、タイミングA5からタイミングA2までであり、最大の第2期間TC2は、直前の第4期間TC4の終了タイミング(図示せず)の直後からタイミングA2までである。この例では、第1期間TC1と第2期間TC2は等しい。
【0107】
第4期間TC4は、第2タッチ駆動信号TX2の立ち下がりタイミングA6よりも位相差に相当する時間TPだけ早いタイミングA3から積分時間が経過したタイミングA4までの期間である。最小の第4期間TC4は、タイミングA6からタイミングA4までであり、最大の第4期間TC4は、タイミングA2の直後からタイミングA4までである。この例では、第3期間TC3と第4期間TC4は等しい。第2期間TC2と第4期間TC4は、重複しない。
【0108】
第1期間TC1と第2期間TC2のそれぞれは、第1タイミングA1から第2タイミングA10までの期間を含む。第3期間TC3と第4期間TC4のそれぞれは、第3タイミングA3から第4タイミングA11までの期間を含む。これらの条件が満たされれば、第1期間TC1と第2期間TC2は異なってもよく、第3期間TC3と第4期間TC4は異なってもよい。
【0109】
第1タイミングA1は、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2のうち位相が進んでいる方が第1電圧V1から第2電圧V2に変化するタイミングである。
【0110】
第2タイミングA10は、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2のうち位相が遅れている方が第1電圧V1から第2電圧V2に変化することによって隣接する第1表示装置22aの共通電極34と第2表示装置22bの共通電極34との間に流れる電流ICpが、ゼロになるタイミングである。タイミングA5から第2タイミングA10までの時間を電流ICpの電流収束時間と呼ぶ。
【0111】
第3タイミングA3は、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2のうち位相が進んでいる方が第2電圧V2から第1電圧V1に変化するタイミングである。
【0112】
第4タイミングA11は、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2のうち位相が遅れている方が第2電圧V2から第1電圧V1に変化することによって隣接する第1表示装置22aの共通電極34と第2表示装置22bの共通電極34との間に流れる電流ICpが、ゼロになるタイミングである。
【0113】
隣接する第1表示装置22aの共通電極34と第2表示装置22bの共通電極34との間の寄生容量Cpに対する充電と放電の両方が第1期間TC1、第2期間TC2、第3期間TC3、第4期間TC4のそれぞれで行われる。これにより、積分値において、この寄生容量Cpに対する充電と放電の影響を相殺できる。なぜなら、寄生容量Cpに対する充電量と放電量は、ほぼ等しいためである。よって、位相差があっても第1表示装置22aと第2表示装置22bの境界付近でタッチの誤検出を抑制できる。
【0114】
第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2のうち位相が遅れている方が第1電圧V1から第2電圧V2に変化するタイミングA5と、第2タイミングA10は、第1タイミングA1と、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2のうち位相が進んでいる方が第2電圧V2から第1電圧V1に変化するタイミングA3との間に位置する。
【0115】
第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2のうち位相が遅れている方が第2電圧V2から第1電圧V1に変化するタイミングA6と、第4タイミングA11は、第3タイミングA3と、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2のうち位相が進んでいる方が第1電圧V1から第2電圧V2に変化するタイミングA7との間に位置する。
【0116】
そのため、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2のうち位相が進んでいる方が第2電圧V2から第1電圧V1に変化することによって寄生容量Cpに流れる電流ICpが、第1期間TC1と第2期間TC2のそれぞれの積分値に影響しない。また、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2のうち位相が進んでいる方が第1電圧V1から第2電圧V2に変化することによって寄生容量Cpに流れる電流ICpが、第3期間TC3と第4期間TC4のそれぞれの積分値に影響しない。よって、積分値において、この寄生容量Cpに対する充電と放電の影響をより確実に相殺できる。
【0117】
次に、以上の構成による表示システム1の全体的な動作を説明する。図15は、図13の表示システム1の起動処理を示すフローチャートである。ホスト10は第1表示制御装置24aと第2表示制御装置24bを起動し(S10)、第1表示制御装置24aは第2表示制御装置24bに同期信号SYを送信する(S12)。第2表示制御装置24bは、受信した同期信号SYに同期した第2タッチ駆動信号TX2で第2表示装置22bを駆動し、第2タッチ駆動信号TX2を第1表示制御装置24aに供給する(S14)。第1表示制御装置24aは、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2の位相差を導出し、位相差を第2表示制御装置24bに通知する(S16)。表示制御装置24は、それぞれ、位相差にもとづいて積分期間を設定し(S18)、処理を終了する。
【0118】
本実施の形態によれば、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2に位相差が発生する場合であっても、第1表示装置22aと第2表示装置22bの境界付近でタッチの誤検出を抑制できる。また、第1の実施の形態において積分期間を変更すればよいので、設計が容易である。
【0119】
(第3の実施の形態の第1の変型例)
第1の変形例では、第1期間TC1と第2期間TC2は異なり、第3期間TC3と第4期間TC4は異なる。第1タッチ駆動信号TX1の位相が進んでいる場合、第2設定部96bの動作は前述の通りだが、位相差に相当する時間TPと電流収束時間の和が基準時間TCx以上であれば、第1設定部96aは、位相差に相当する時間TPに電流ICpの電流収束時間を加算した積分時間を導出する。位相差が小さく、位相差に相当する時間TPと電流収束時間の和が基準時間TCxより短い場合、第1設定部96aは、基準時間TCxを積分時間とする。電流収束時間は基準時間TCxより短いため、位相差に相当する時間TPと電流収束時間の和が基準時間TCxより長い場合、第1期間TC1は第2期間TC2より短く、第3期間TC3は第4期間TC4より短くなる。この場合に第1タッチ検出回路76aにおける積分期間を短くできるので、外来ノイズによる積分値の変動を抑制できる。
【0120】
同様に、第2タッチ駆動信号TX2の位相が進んでいる場合、第1設定部96aの動作は前述の通りだが、位相差に相当する時間TPと電流収束時間の和が基準時間TCx以上であれば、第2設定部96bは、位相差に相当する時間TPに電流収束時間を加算した積分時間を導出する。位相差に相当する時間TPと電流収束時間の和が基準時間TCxより短い場合は基準時間TCxを積分時間とする。位相差に相当する時間TPと電流収束時間の和が基準時間TCxより長い場合、第2期間TC2は第1期間TC1より短く、第4期間TC4は第3期間TC3より短くなる。この場合に第2タッチ検出回路76bにおける積分期間を短くできるので、外来ノイズによる積分値の変動を抑制できる。
【0121】
(第3の実施の形態の第2の変型例)
第1タッチ検出回路76aが第2表示装置22bに隣接する第1タッチ検出領域R1aでタッチを検出する第1タッチ検出期間T4aに限り、第1設定部96aは、位相差にもとづいて第1期間TC1と第3期間TC3を設定してもよい。他の第1タッチ検出期間T1a~T3aでは、第1設定部96aは、第1タッチ駆動信号TX1の立ち上がりタイミングA1から基準時間TCxが経過したタイミングまでの第1期間TC1を設定し、第1タッチ駆動信号TX1の立ち下がりタイミングA3から基準時間TCxが経過したタイミングまでの第3期間TC3を設定してもよい。つまり、第1タッチ検出期間T1a~T3aでは、第1の実施の形態と同じ期間、積分が行われる。
【0122】
同様に、第2タッチ検出回路76bが第1表示装置22aに隣接する第2タッチ検出領域R1bでタッチを検出する第2タッチ検出期間T1bに限り、第2設定部96bは、位相差にもとづいて第2期間TC2と第4期間TC4を設定してもよい。他の第2タッチ検出期間T2b~T4bでは、第2設定部96bは、第2タッチ駆動信号TX2の立ち上がりタイミングA5から基準時間TCxが経過したタイミングA2までの第2期間TC2を設定し、第2タッチ駆動信号TX2の立ち下がりタイミングA6から基準時間TCxが経過したタイミングA4までの第4期間TC4を設定してもよい。つまり、第2タッチ検出期間T2b~T4bでは、第1の実施の形態と同じ積分処理が行われる。
【0123】
この変形例では、隣の表示装置22に隣接するタッチ検出領域以外では積分期間を短くできるので、外来ノイズによる積分値の変動を抑制できる。
【0124】
(第3の実施の形態の第3の変型例)
温度変化などによる位相差の最大値を実験やシミュレーションにより予め取得できる場合、第1設定部96aは、位相差の最大値にもとづいて第1期間TC1と第3期間TC3を設定してもよい。第2設定部96bも同様である。第1期間TC1から第4期間TC4は、固定値である。この変形例では、位相差の取得と第1期間TC1等の設定を定期的に実行しなくてよいため、処理を簡素化できる。タイミング信号STと位相差データPDを伝達する配線も無くすことができる。
【0125】
また、位相差の最大値が不明な場合、位相が進んでいるタッチ駆動信号が分かっていれば、予め第1期間TC1から第4期間TC4のそれぞれを最大に設定してもよい。この場合、設計が容易である。
【0126】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態では、ホスト10の制御装置12が第1表示装置22aと第2表示装置22bに同期信号SYを送信することが第1の実施の形態と異なる。以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0127】
図16は、第4の実施の形態に係る表示システム1のブロック図である。制御装置12は、たとえば第1フレーム期間の開始タイミング毎に共通の同期信号SYを第1表示制御装置24aと第2表示制御装置24bに送信する。第1表示制御装置24aは、第2表示制御装置24bに同期信号を送信しない。
【0128】
第1クロック生成回路78aは、制御装置12から供給された同期信号SYにもとづいて、同期信号SYに同期した第1基準クロック信号CK1を生成する。第2クロック生成回路78bは、制御装置12から供給された同期信号SYにもとづいて、同期信号SYに同期した第2基準クロック信号CK2を生成する。このようにしても、位相が揃った第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2を生成できる。
本実施の形態によれば、表示システム1の構成の自由度を向上できる。
【0129】
(第4の実施の形態の第1の変型例)
第2の実施の形態を第4の実施の形態と組み合わせてもよい。この場合、第1表示制御装置24aは、第1タイミング信号を制御装置12に供給する。第2表示制御装置24bは、第2タイミング信号を制御装置12に供給する。第1制御回路70aの代わりに制御装置12が取得部90と制御部92を有する。
【0130】
取得部90は、供給された第1タイミング信号と第2タイミング信号にもとづいて、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2の位相差を取得する。
【0131】
制御部92は、取得部90で取得された位相差がゼロに近づくように第1タッチ駆動信号TX1の位相を制御する。例えば制御部92は、位相差を第1表示制御装置24aに供給し、位相差にもとづいて、第1駆動回路74aは、第2タッチ駆動信号TX2と位相が揃った第1タッチ駆動信号TX1を生成する。制御部92は、第2タッチ駆動信号TX2の位相を制御してもよい。
【0132】
あるいは、制御部92は、取得された位相差を有する第1の同期信号と第2の同期信号を生成し、第1の同期信号を第1表示制御装置24aに供給し、第2の同期信号を第2表示制御装置24bに供給してもよい。
この変形例は、第2および第4の実施の形態それぞれの効果をあわせもつ。
【0133】
(第4の実施の形態の第2の変型例)
第3の実施の形態を第4の実施の形態と組み合わせてもよい。この場合、第1表示制御装置24aは、第1タイミング信号を制御装置12に供給する。第2表示制御装置24bは、第2タイミング信号を制御装置12に供給する。第1制御回路70aの代わりに制御装置12が取得部90を有する。
【0134】
取得部90は、供給された第1タイミング信号と第2タイミング信号にもとづいて、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2の位相差を取得し、取得した位相差を第1表示制御装置24aと第2表示制御装置24bに供給する。第1設定部96aと第2設定部96bでは、第3の実施の形態と同じ処理が実行される。
【0135】
図17は、第4の実施の形態の第2の変型例に係る表示システム1の起動処理を示すフローチャートである。ホスト10は、第1表示制御装置24aと第2表示制御装置24bを起動し(S30)、第1表示制御装置24aと第2表示制御装置24bに同期信号SYを送信する(S32)。表示制御装置24は、それぞれ、受信した同期信号SYに同期したタッチ駆動信号で表示装置22を駆動し、タッチ駆動信号をホスト10に供給する(S34)。ホスト10は、第1タッチ駆動信号TX1と第2タッチ駆動信号TX2の位相差を導出し、位相差をそれぞれの表示制御装置24に通知する(S36)。表示制御装置24は、それぞれ、通知された位相差にもとづいて積分期間を設定し(S38)、処理を終了する。
この変形例は、第3および第4の実施の形態それぞれの効果をあわせもつ。
【0136】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態では、外来ノイズの影響を受け難くするために、タッチ駆動信号TXの周波数を変更する方法について説明する。以下、第1の実施の形態で説明した内容と重複する点については説明を省略する。
【0137】
表示システム1の周囲の電子機器などから放射される外来ノイズの周波数がタッチ駆動信号TXの周波数と等しい場合、タッチ検出の精度や感度が低下する可能性がある。そこで表示システム1は、外来ノイズの量に応じて、タッチ駆動信号TXの周波数を変更する制御(いわゆる周波数ホッピングの制御)を行う。周波数ホッピングには、周知の技術を利用できる。
【0138】
第1表示制御装置24aの第1制御回路70aは、第1タッチ駆動信号TX1の周波数を変更するように第1駆動回路74aを制御する。そして、第1制御回路70aは、第2表示制御装置24bの第2制御回路70bに対して、変更先の第1タッチ駆動信号TX1の周波数の情報を含む周波数変更指示を出力する。
第2制御回路70bは、第1制御回路70aから取得した周波数変更指示にもとづいて、第2タッチ駆動信号TX2の周波数を変更するように第2駆動回路74bを制御する。具体的には、第2制御回路70bは、第2駆動回路74bに対して、第2タッチ駆動信号TX2の周波数を、変更先の第1タッチ駆動信号TX1の周波数と同じ周波数に変更させる。
【0139】
第2表示制御装置24bの第2制御回路70bは、第2タッチ駆動信号TX2の周波数を変更するように第2駆動回路74bを制御する。そして、第1表示制御装置24aの第1制御回路70aに対して、変更先の第2タッチ駆動信号TX2の周波数の情報を含む周波数変更指示を出力する。
第1制御回路70aは、第2制御回路70bから取得した周波数変更指示にもとづいて、第1タッチ駆動信号TX1の周波数を変更するように第1駆動回路74aを制御する。具体的には、第1制御回路70aは、第1制御回路70aに対して、第1タッチ駆動信号TX1の周波数を、変更先の第2タッチ駆動信号TX2の周波数と同じ周波数に変更する。
【0140】
(第5の実施の形態の第1の変形例)
第1制御回路70aおよび第2制御回路70bはそれぞれ、ホスト10を介して互いに周波数変更指示を送信しても良い。
【0141】
第1制御回路70aは、ホスト10に対して、変更先の第1タッチ駆動信号TX1の周波数の情報を含む周波数変更指示を送信する。ホスト10は、第1制御回路70aから取得した周波数変更指示を、第2制御回路70bに対して送信する。第2制御回路70bは、ホスト10から取得した周波数変更指示にもとづいて、第2タッチ駆動信号TX2の周波数を変更するように第2駆動回路74bを制御する。
【0142】
第2制御回路70bは、ホスト10に対して、変更先の第2タッチ駆動信号TX2の周波数の情報を含む周波数変更指示を送信する。ホスト10は、第2制御回路70bから取得した周波数変更指示を、第1制御回路70aに対して送信する。第1制御回路70aは、ホスト10から取得した周波数変更指示にもとづいて、第1タッチ駆動信号TX1の周波数を変更するように第1駆動回路74aを制御する。
【0143】
(第5の実施の形態の第2の変形例)
ホスト10が周波数変更指示を生成し、第1制御回路70aおよび第2制御回路70bのそれぞれに送信しても良い。
【0144】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態では、第1表示モジュール20aと第2表示モジュール20bとの起動タイミングが異なる場合における同期制御について説明する。以下、第1の実施の形態で説明した内容と重複する点については説明を省略する。
【0145】
図18は、第1表示制御装置24aにおける同期信号SYの出力処理を示すフローチャートである。第1表示制御装置24aは、第2表示モジュール20bの起動状態において(S50:YES)、同期信号SYを第2表示制御装置24bに出力する(S52)。一方、第1表示制御装置24aは、第2表示モジュール20bが起動状態でない場合は(S50:NO)、ステップS50の判定処理を繰り返す。第1表示制御装置24aは、第2表示モジュール20bの起動状態に関する情報を、第2表示モジュール20bから取得しても良いし、ホスト10から取得しても良い。
【0146】
なお、第2表示制御装置24bは、第1表示制御装置24aと同様に、第2クロック生成回路78bにおいて同期信号SYを生成する機能を有する構成とし、第2表示制御装置24bが図18に示す処理を行うようにしても良い。
【0147】
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態では、表示システム1はホスト10aおよびホスト10bを備え、ホスト10aおよびホスト10bはそれぞれ、第1表示モジュール20aおよび第2表示モジュール20bのそれぞれを制御することが、第4の実施の形態と異なる。以下、第4の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0148】
図19は、第7の実施の形態に係る表示システム100のブロック図である。表示システム100は、ホスト10aと、ホスト10bと、第1表示モジュール20aと、第2表示モジュール20bとを備える。
【0149】
ホスト10aは制御装置12aを備え、第1表示モジュール20aを制御する。ホスト10aは、例えば、第1表示モジュール20aとは別の基板上に配置される。
ホスト10bは制御装置12bを備え、第2表示モジュール20bを制御する。ホスト10bは、例えば、第2表示モジュール20bとは別の基板上に配置される。
【0150】
制御装置12aは、たとえばCPUであり、ホストCPUとも呼ばれる。制御装置12aは、画像データDDと制御データCDを第1表示モジュール20aに供給し、これらのデータをもとに第1表示モジュール20aを制御する。
制御装置12bは、たとえばCPUであり、ホストCPUとも呼ばれる。制御装置12bは、画像データDDと制御データCDを第2表示モジュール20bに供給し、これらのデータをもとに第2表示モジュール20bを制御する。
【0151】
制御装置12aは、たとえば第1フレーム期間の開始タイミング毎に同期信号SYを第1表示制御装置24aに送信する。制御装置12aは、さらに、所定のタイミングで同期信号SYを制御装置12bに送信する。制御装置12bは、受信した同期信号SYを第2表示制御装置24bに送信する。
【0152】
第1クロック生成回路78aは、制御装置12aから供給された同期信号SYにもとづいて、同期信号SYに同期した第1基準クロック信号CK1を生成する。第2クロック生成回路78bは、制御装置12bから供給された同期信号SYにもとづいて、同期信号SYに同期した第2基準クロック信号CK2を生成する。本実施の形態によれば、表示システム100の構成の自由度を向上できる。
【0153】
上記第1~第3の実施の形態の表示システム1は、第7の実施の形態の表示システム100のように、ホスト10aおよびホスト10bを備え、ホスト10aおよびホスト10bはそれぞれ、第1表示モジュール20aおよび第2表示モジュール20bのそれぞれを制御しても良い。
【0154】
上記第5の実施の形態の表示システム1は、第7の実施の形態の表示システム100のように、ホスト10aおよびホスト10bを備え、ホスト10aおよびホスト10bはそれぞれ、第1表示モジュール20aおよび第2表示モジュール20bのそれぞれを制御しても良い。そして、ホスト10aおよびホスト10bの一方が、他方に対して、タッチ駆動信号TXの周波数変更指示を送信し、ホスト10aおよびホスト10bはそれぞれ、その周波数変更指示を第1表示制御装置24aおよび第2表示制御装置24bにそれぞれ送信しても良い。
【0155】
上記第6の実施の形態の表示システム1は、第7の実施の形態の表示システム100のように、ホスト10aおよびホスト10bを備え、ホスト10aおよびホスト10bはそれぞれ、第1表示モジュール20aおよび第2表示モジュール20bのそれぞれを制御しても良い。そして、ホスト10aは、ホスト10bに対して、第1表示モジュール20aの起動状態に関する情報を送信し、ホスト10bはその情報を、第2表示モジュール20bに対して送信しても良い。ホスト10bは、ホスト10aに対して、第2表示モジュール20bの起動状態に関する情報を送信し、ホスト10aはその情報を、第1表示モジュール20aに対して送信しても良い。
【0156】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0157】
例えば、第1から第3の実施の形態において、第1表示制御装置24aから出力された同期信号SYは、ホスト10の制御装置12に入力され、制御装置12の図示しないバッファ回路は、入力された同期信号SYをバッファして、バッファされた同期信号SYを第2表示制御装置24bに供給してもよい。この変形例では、同期信号SYの配線が比較的長い場合にも同期信号SYの振幅を維持できる。
【0158】
また、3以上の表示装置22が隣接して配置されてもよい。実施の形態では表示制御装置24が表示モジュール20に含まれるが、表示制御装置24はホスト10に含まれてもよい。フレーム期間は、表示装置22のタッチ検出領域の数の2倍以上のタッチ検出期間を含んでもよい。これらの変形例では、表示システム1の構成の自由度を向上できる。
【0159】
インセル型の表示装置22について説明したが、表示装置22はアウトセル型であってもよい。この場合、表示装置22は、タッチ検出専用のセンサ電極を備え、画像表示と並行して、センサ電極を用いて自己容量方式でタッチを検出する。アウトセル型の表示装置22の場合でも、2つの表示装置22の境界付近でのタッチの誤検出を抑制できる。
【0160】
本開示の一態様に係る表示システムは、
複数の第1センサ電極を有する第1表示装置と、
前記第1表示装置と隣接して配置され、複数の第2センサ電極を有する第2表示装置と、
第1タッチ駆動信号を前記複数の第1センサ電極に供給する第1駆動回路と、
前記第1タッチ駆動信号の周波数と同じ周波数であり、かつ、前記第1タッチ駆動信号に対して位相が揃った第2タッチ駆動信号を前記複数の第2センサ電極に供給する第2駆動回路と、
前記複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて前記第1表示装置への物体のタッチを検出する第1タッチ検出回路と、
前記複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて前記第2表示装置への物体のタッチを検出する第2タッチ検出回路と、
を備える。
この態様によると、第1表示装置と第2表示装置の境界付近におけるタッチの誤検出を抑制できる。
【0161】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
第1基準クロック信号と、当該第1基準クロック信号に同期した同期信号とを生成する第1クロック生成回路と、
前記第1クロック生成回路で生成された前記同期信号に同期した第2基準クロック信号を生成する第2クロック生成回路と、
を備え、
前記第1駆動回路は、前記第1基準クロック信号に同期した前記第1タッチ駆動信号を生成し、
前記第2駆動回路は、前記第2基準クロック信号に同期した前記第2タッチ駆動信号を生成する、としても良い。
この場合、第1タッチ駆動信号と第2タッチ駆動信号の位相を揃えることができる。
【0162】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
同期信号を出力する制御装置と、
前記制御装置から出力された前記同期信号に同期した第1基準クロック信号を生成する第1クロック生成回路と、
前記制御装置から出力された前記同期信号に同期した第2基準クロック信号を生成する第2クロック生成回路と、
を備え、
前記第1駆動回路は、前記第1基準クロック信号に同期した前記第1タッチ駆動信号を生成し、
前記第2駆動回路は、前記第2基準クロック信号に同期した前記第2タッチ駆動信号を生成する、としても良い。
この場合、第1タッチ駆動信号と第2タッチ駆動信号の位相を揃えることができる。
【0163】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号の位相差を取得する取得部と、
前記取得部で取得された位相差がゼロに近づくように前記第1タッチ駆動信号または前記第2タッチ駆動信号の位相を制御する制御部と、
を備える、としても良い。
この場合、第1駆動回路と第2駆動回路の電気的特性の違いなどにより第1タッチ駆動信号と第2タッチ駆動信号に位相差が発生する場合であっても、位相差をより小さくできる。よって、第1表示装置と第2表示装置の境界付近での誤検出を抑制できる。
【0164】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のそれぞれは、第1電圧と第2電圧との間で変化し、
前記第1タッチ検出回路は、前記複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号を第1期間の間積分し、積分値にもとづいて前記第1表示装置への物体のタッチを検出し、
前記第2タッチ検出回路は、前記複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号を第2期間の間積分し、積分値にもとづいて前記第2表示装置への物体のタッチを検出し、
前記第1期間と前記第2期間のそれぞれは、前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が進んでいる方が前記第1電圧から前記第2電圧に変化する第1タイミングから、第2タイミングまでの期間を含み、
前記第2タイミングは、前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が遅れている方が前記第1電圧から前記第2電圧に変化することによって隣接する前記第1表示装置の第1センサ電極と前記第2表示装置の第2センサ電極との間に流れる電流が、ゼロになるタイミングである、としても良い。
この場合、第1駆動回路と第2駆動回路の特性の違いなどにより第1タッチ駆動信号と第2タッチ駆動信号に位相差が発生する場合であっても、第1表示装置と第2表示装置の境界付近での誤検出を抑制できる。
【0165】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号の位相差を取得する取得部と、
前記取得部で取得された位相差にもとづいて前記第1期間を設定する第1設定部と、
前記取得部で取得された位相差にもとづいて前記第2期間を設定する第2設定部と、
を備える、としても良い。
この場合、位相差に応じて第1期間と第2期間を設定できる。
【0166】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が遅れている方が前記第1電圧から前記第2電圧に変化するタイミングと、前記第2タイミングは、前記第1タイミングと、前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が進んでいる方が前記第2電圧から前記第1電圧に変化するタイミングとの間に位置する、としても良い。
この場合、第1タッチ駆動信号と第2タッチ駆動信号のうち位相が進んでいる方が第2電圧から第1電圧に変化することによって隣接する第1表示装置の共通電極と第2表示装置の共通電極との間の寄生容量に流れる電流が、積分値に影響しない。そのため、積分値において、この寄生容量に対する充電と放電の影響をより確実に相殺できる。
【0167】
本開示の一態様に係る表示システムは、
複数の第1センサ電極を有する第1表示装置と、
前記第1表示装置と隣接して配置され、複数の第2センサ電極を有する第2表示装置と、
第1タッチ駆動信号を前記複数の第1センサ電極に供給する第1駆動回路と、
前記第1タッチ駆動信号の周波数と同じ周波数の第2タッチ駆動信号を前記複数の第2センサ電極に供給する第2駆動回路と、
前記複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号を第1期間の間積分し、積分値にもとづいて前記第1表示装置への物体のタッチを検出する第1タッチ検出回路と、
前記複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号を第2期間の間積分し、積分値にもとづいて前記第2表示装置への物体のタッチを検出する第2タッチ検出回路と、
を備え、
前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のそれぞれは、第1電圧と第2電圧との間で変化し、
前記第1期間と前記第2期間のそれぞれは、前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が進んでいる方が前記第1電圧から前記第2電圧に変化する第1タイミングから、第2タイミングまでの期間を含み、
前記第2タイミングは、前記第1タッチ駆動信号と前記第2タッチ駆動信号のうち位相が遅れている方が前記第1電圧から前記第2電圧に変化することによって隣接する前記第1表示装置の第1センサ電極と前記第2表示装置の第2センサ電極との間に流れる電流が、ゼロになるタイミングであり、
前記第2タッチ駆動信号が前記第1電圧から前記第2電圧に変化するタイミングと、前記第2タイミングは、前記第1タイミングと、前記第1タッチ駆動信号が前記第2電圧から前記第1電圧に変化するタイミングとの間に位置する。
この態様によると、第1表示装置と第2表示装置の境界付近におけるタッチの誤検出を抑制できる。
【0168】
本開示の一態様に係る表示システムにおいて、例えば、
前記第1センサ電極と前記第2センサ電極は、画像表示およびタッチ検出に共用される共通電極であり、
前記第1表示装置における第1フレーム期間に、前記第1表示装置が画像を表示する第1表示期間と、前記第1タッチ検出回路がタッチを検出する第1タッチ検出期間とが交互に配置され、
前記第2表示装置における第2フレーム期間に、前記第2表示装置が画像を表示する第2表示期間と、前記第2タッチ検出回路がタッチを検出する第2タッチ検出期間とが交互に配置され、
前記第1タッチ検出期間と前記第2タッチ検出期間において、開始タイミングは一致し、終了タイミングは一致する、としても良い。
この場合、インセル型の第1表示装置と第2表示装置の境界付近におけるタッチの誤検出を抑制できる。
【0169】
本開示の一態様に係る制御装置は、
複数の第1センサ電極を有する第1表示装置と、前記第1表示装置と隣接して配置され、複数の第2センサ電極を有する第2表示装置とを制御する制御装置であって、
第1タッチ駆動信号を前記複数の第1センサ電極に供給する第1駆動回路と、
前記第1タッチ駆動信号の周波数と同じ周波数であり、かつ、前記第1タッチ駆動信号に対して位相が揃った第2タッチ駆動信号を前記複数の第2センサ電極に供給する第2駆動回路と、
前記複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて前記第1表示装置への物体のタッチを検出する第1タッチ検出回路と、
前記複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて前記第2表示装置への物体のタッチを検出する第2タッチ検出回路と、
を備える。
この態様によると、第1表示装置と第2表示装置の境界付近におけるタッチの誤検出を抑制できる。
【0170】
本開示の一態様に係る制御方法は、
複数の第1センサ電極を有する第1表示装置と、前記第1表示装置と隣接して配置され、複数の第2センサ電極を有する第2表示装置とを制御する制御方法であって、
第1タッチ駆動信号を前記複数の第1センサ電極に供給するステップと、
前記第1タッチ駆動信号の周波数と同じ周波数であり、かつ、前記第1タッチ駆動信号に対して位相が揃った第2タッチ駆動信号を前記複数の第2センサ電極に供給するステップと、
前記複数の第1センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて前記第1表示装置への物体のタッチを検出するステップと、
前記複数の第2センサ電極のそれぞれから受信したタッチ検出信号にもとづいて前記第2表示装置への物体のタッチを検出するステップと、
を備える。
この態様によると、第1表示装置と第2表示装置の境界付近におけるタッチの誤検出を抑制できる。
【符号の説明】
【0171】
1…表示システム、12,12a,12b…制御装置、22…表示装置、22a…第1表示装置、22b…第2表示装置、34…共通電極、74a…第1駆動回路、74b…第2駆動回路、76…タッチ検出回路、76a…第1タッチ検出回路、76b…第2タッチ検出回路、78a…第1クロック生成回路、78b…第2クロック生成回路、90…取得部、92…制御部、96a…第1設定部、96b…第2設定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
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