(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】動力工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/00 20060101AFI20240404BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25F5/02
(21)【出願番号】P 2019144455
(22)【出願日】2019-08-06
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105120
【氏名又は名称】岩田 哲幸
(74)【代理人】
【識別番号】100106725
【氏名又は名称】池田 敏行
(74)【代理人】
【識別番号】100125955
【氏名又は名称】藤田 有三子
(72)【発明者】
【氏名】沼田 文年
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0358187(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0272494(US,A1)
【文献】特開2016-095730(JP,A)
【文献】特開2004-320571(JP,A)
【文献】特開2016-048544(JP,A)
【文献】特開2008-071071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00 - 5/02
B24B 23/00 - 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力工具であって、
工具本体と、
前記工具本体に着脱可能に構成され、パッシブ型の無線タグを有する補助ハンドルと、
前記工具本体に設けられたアンテナと、前記アンテナに電気的に接続され、前記補助ハンドルが前記動力工具に装着されている場合、前記アンテナを介して前記無線タグと無線により通信し、前記無線タグに記憶された情報を読み取るように構成された読取り部とを有するリーダと、
を備え、
前記補助ハンドルは
、回転軸に沿って延在し、前記工具本体に螺合可能な第1ネジ部を一端部に有する金属製のシャフトと、前記シャフトの径方向外側に配置され、前記無線タグを収容する樹脂製のホルダとを備え、
前記ホルダは、前記シャフトに嵌合される筒状の内周壁と、前記内周壁から離間して前記内周壁の径方向外側に配置される筒状の外周壁とを備え、
前記無線タグは、ICチップと、前記ICチップに接続され、前記第1ネジ部の周囲を取り巻くように、前記内周壁と前記外周壁の間に配置された環状のアンテナとを含むことを特徴とする動力工具。
【請求項2】
請求項1に記載の動力工具であって、
前記無線タグと前記リーダとは、短波(HF)帯または長波(LF)帯の周波数で通信するように構成されており、
前記無線タグと前記アンテナとの間の通信距離は、30ミリメートル以下であることを特徴とする動力工具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の動力工具であって、
前記動力工具は、樹脂で形成された樹脂部を含み、
前記アンテナは、前記動力工具の前記樹脂部によって覆われていることを特徴とする動力工具。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1つに記載の動力工具であって、
前記無線タグは、前記補助ハンドルに固有の識別情報を記憶しており、
前記動力工具は、前記読取り部によって読み取られた前記識別情報と、前記補助ハンドルの使用履歴に関する情報とを互いに対応付けて記憶する記憶部を更に備えることを特徴とする動力工具。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1つに記載の動力工具であって、
前記工具本体は、前記第1ネジ部が螺合可能な第2ネジ部を複数備えることを特徴とする動力工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付属品を着脱可能な動力工具に関する。
【背景技術】
【0002】
動力工具には、本体に対して付属品を着脱可能なものが存在する。例えば、ドリル作業に用いられる動力工具には、動力工具を両手で保持することを可能とするために、補助ハンドルを着脱可能なものがある。更に、特許文献1には、補助ハンドルに各種情報を検出可能な検出装置を設け、検出装置と動力工具との接続をもって、補助ハンドルの装着を判断することができる点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、検出装置と電動工具との接続は、接触デバイスを介して、あるいは非接触方式で行われうることが開示されている。しかしながら、補助ハンドルのような付属品の装着の有無を効率的に判別することに関しては、更なる改良の余地がある。
【0005】
本発明は、かかる状況に鑑み、動力工具に対する付属品の装着の有無の判別の効率化に資する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、付属品と、リーダとを備えた動力工具が提供される。付属品は、動力工具に着脱可能に構成されている。また、付属品は、パッシブ型の無線タグを備える。リーダは、アンテナと、アンテナに電気的に接続された読み取り部とを備える。また、読み取り部は、付属品が動力工具に装着されている場合、アンテナを介して無線タグと無線により通信し、無線タグに記憶された情報を読み取るように構成されている。
【0007】
本態様の動力工具によれば、リーダが無線タグに記憶された情報を読み取った場合、それは付属品が動力工具に装着されていることを意味し、リーダが無線タグに記憶された情報を読み取れない場合、それは付属品が動力工具に装着されていないことを意味する。よって、リーダによる情報の読み取り結果を、そのまま付属品の装着の有無の判別に用いることが可能である。また、動力工具は、粉塵の発生する環境で使用されることが多い。これに対し、無線タグは、粉塵等の影響を受けにくいため、特別な防塵対策の必要がない。更に、パッシブ型の無線タグは、電力工具のリーダから受けた電波で起電することが可能であるため、付属品には電源が不要である。このように、本態様によれば、動力工具に対する付属品の装着の有無の判別の効率化を実現することができる。
【0008】
本発明の一態様において、無線タグとリーダとは、短波(HF)帯または長波(LF)帯の周波数で通信するように構成されていてもよい。更に、無線タグとアンテナとの間の通信距離は、30ミリメートル以下であってもよい。本態様によれば、付属品が動力工具に装着されていないときに読取りが行われる可能性を低減し、付属品の装着の有無の判別精度を高めることができる。
【0009】
本発明の一態様において、付属品は、樹脂で形成された樹脂部を含んでもよい。そして、無線タグは、付属品の樹脂部によって覆われていてもよい。本態様によれば、無線タグに対する金属等の影響を低減することができる。なお、本態様でいう「覆われる」とは、無線タグ全体が完全に覆われることを要するものではなく、部分的に覆われることも含みうる。
【0010】
本発明の一態様において、動力工具は、樹脂で形成された樹脂部を含んでもよい。そして、アンテナは、動力工具の樹脂部によって覆われていてもよい。本態様によれば、アンテナに対する金属等の影響を低減することができる。なお、本態様でいう「覆われる」とは、アンテナ全体が完全に覆われることを要するものではなく、部分的に覆われることも含みうる。
【0011】
本発明の一態様において、無線タグは、付属品に固有の識別情報を記憶していてもよい。そして、動力工具は、読取り部によって読み取られた識別情報と、付属品の使用履歴に関する情報とを互いに対応付けて記憶する記憶部を更に備えてもよい。本態様によれば、記憶部に記憶された付属品の使用履歴を、後に利用することが可能となる。
【0012】
本発明の一態様において、動力工具は、工具本体を更に備えてもよい。付属品は、工具本体に螺合可能な第1ネジ部を備えた補助ハンドルであってもよい。アンテナは、工具本体に設けられていてもよい。無線タグは、環状に形成され、第1ネジ部の回転軸の周囲を取り巻くように配置されていてもよい。本態様において、第1ネジ部は、螺合に応じて、工具本体に対する回転軸周りの位置が変化することになる。よって、回転軸周りの特定の位置に無線タグが配置されると、無線タグとアンテナとの配置関係の変化が大きくなりやすい。これに対し、環状の無線タグを、第1ネジ部の回転軸の周囲を取り巻くように配置することで、第1ネジ部の回転軸周りの位置が変化しても、無線タグとアンテナとの配置関係、ひいては両者の通信に影響が生じにくい。なお、本態様でいう工具本体とは、例えば、モータおよび/または先端工具を駆動するように構成された駆動機構を収容するハウジングをいう。
【0013】
本発明の一態様において、工具本体は、第1ネジ部が螺合可能な第2ネジ部を複数備えてもよい。つまり、工具本体には、補助ハンドルが装着可能な位置が複数設けられていてもよい。本態様によれば、使用者は、例えば、利き手や作業環境に応じて、適切な位置に補助ハンドルを装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】グラインダの電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、動力工具の一例として、手持ち式の電動ディスクグラインダ1(以下、単にグラインダ1という)を例示する。
【0016】
まず、グラインダ1の概略構成について説明する。
図1に示すように、グラインダ1の外郭は、ハウジング10によって形成されている。ハウジング10は、全体として長尺状の中空体として構成されている。
【0017】
ハウジング10の長軸方向の一端部には、先端工具91を回転駆動するためのスピンドル3が収容されている。スピンドル3は、その回転軸A1がハウジング10の長軸に交差する方向(より詳細には、直交する方向)に延在するように配置されている。スピンドル3の一端部は、ハウジング10から外部に突出しており、先端工具91を着脱可能な工具装着部31として構成されている。ハウジング10の長軸方向の他端部には、充電式のバッテリ93が取り外し可能に装着されている。ハウジング10の長軸方向の略中央部は、他の部分よりも小径に形成されており、使用者によって把持される把持部13を構成する。把持部13には、外部からの押圧操作が可能に構成されたトリガ25が設けられている。
【0018】
また、
図2に示すように、使用者がグラインダ1を両手で保持することを可能とし、加工作業に使用者がハウジング10に生じる反動トルクに対抗する保持力を高めるべく、ハウジング10には、補助ハンドル7が取り外し可能に装着されている。補助ハンドル7は、ハウジング10から、ハウジング10の長軸に交差する方向に突出する。
【0019】
グラインダ1は、工具装着部31に装着された円板状の先端工具91を回転駆動するように構成されている。グラインダ1に装着可能な先端工具として、砥石、ゴムパッド、ブラシ、ブレード等が用意されている。使用者は、所望の加工作業に応じて適切な先端工具91を選択し、工具装着部31に装着する。使用者が把持部13と補助ハンドル7を両手で把持し、トリガ25を押圧操作すると、先端工具91が回転駆動され、被加工材に対して研削、研磨、切断等の加工作業が行われる。
【0020】
以下、グラインダ1の物理的構成の詳細について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、スピンドル3の回転軸A1の延在方向(回転軸A1方向ともいう)をグラインダ1の上下方向と規定する。上下方向において、工具装着部31がハウジング10から突出する側を下側、反対側を上側と規定する。また、スピンドル3の回転軸A1に直交し、ハウジング10の長軸に対応する方向をグラインダ1の前後方向と規定する。前後方向において、ハウジング10のスピンドル3が収容されている一端部側を前側、反対側を後側と規定する。また、上下方向および前後方向に直交する方向を、左右方向と規定する。
【0021】
まず、ハウジング10の内部構造について説明する。
図1に示すように、ハウジング10には、前端部から後端部へ向かって、順に、スピンドル3、モータ2、スイッチ26、コントローラ5が収容されている。以下、これらについて順に説明する。
【0022】
スピンドル3は、上述のように、ハウジング10の前端部に配置され、上下方向に延在している。スピンドル3は、ハウジング10に保持された2つのベアリングによって、回転軸A1周りに回転可能に支持されている。スピンドル3の上端部には、大ベベルギア33が固定されている。スピンドル3の下端部に設けられた工具装着部31は、2つのフランジを含む。先端工具91は、これらのフランジによって上側と下側から挟持され、スピンドル3に対して固定される。なお、ハウジング10の前端部の下端には、加工作業で生じた被加工物の破片や粉塵の飛散を抑制するとともに、先端工具91から使用者を保護するためのホイールカバー90が取り外し可能に装着されている(
図2では図示略)。工具装着部31およびホイールカバー90の構成については周知であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0023】
モータ2は、スピンドル3の後側に配置されている。本実施形態では、モータ2として、直流ブラシレスモータが採用されている。モータ2は、ステータおよびロータを含むモータ本体部21と、ロータから延設されたモータシャフト23を有する。モータシャフト23は、ハウジング10に保持された2つのベアリングによって、回転軸A2周りに回転可能に支持されている。モータシャフト23の回転軸A2は、スピンドル3の回転軸A1に直交して、前後方向に(ハウジング10の長軸方向に)延在している。モータシャフト23のうち、モータ本体部21と前側のベアリングの間の部分には、モータ2の冷却用のファン27が固定されている。
【0024】
モータシャフト23の前端部には、小ベベルギア24が固定され、スピンドル3の大ベベルギア33に噛合している。小ベベルギア24および大ベベルギア33は、減速機構を構成する。モータシャフト23の回転は、小ベベルギア24と大ベベルギア33によって回転速度が減速された上で、スピンドル3に伝達される。これにより、モータ2の駆動に伴ってスピンドル3が回転軸A1周りに回転され、工具装着部31に固定された先端工具91がスピンドル3と共に回転駆動される。
【0025】
スイッチ26は、把持部13に収容されている。スイッチ26は、モータ2の起動用のスイッチであって、トリガ25の上側に配置されている。スイッチ26は、常時にはオフ状態で維持されており、トリガ25に対する押圧操作に応じて、オン状態(モータ2の起動指示を受け付けた状態)に切り替えられる。スイッチ26は、図示しない配線によってコントローラ5に接続されており、オン状態とされると、特定の信号(オン信号)をコントローラ5に出力するように構成されている。
【0026】
コントローラ5は、ハウジング10の後端部(把持部13の後方に延在する部分)に収容されている。本実施形態では、コントローラ5は、グラインダ1の動作を制御するためのメイン制御部50と、後述する無線タグ8との無線通信を行うためのリーダ制御部63と、これらが搭載された基板と、基板を収容するケースとを含む。本実施形態では、メイン制御部50は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータで構成されている。また、リーダ制御部63は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータ、送受信回路、信号処理回路等を備えている。
【0027】
また、ハウジング10の後端には、電源としてのバッテリ93を着脱可能に構成されたバッテリ装着部18が設けられている。周知の構成であるため詳細な説明は省略するが、バッテリ装着部18は、バッテリ93をスライド係合可能なガイドレールと、バッテリ93の端子と電気的に接続可能な端子とを備えている。
【0028】
次に、補助ハンドル7と、補助ハンドル7のハウジング10への取付け構造について説明する。
【0029】
図2に示すように、補助ハンドル7は、把持部71と、シャフト73とを含む。把持部71は、使用者によって把持される長尺状の樹脂製部分である(
図2では一部のみ図示)。シャフト73は、金属製の棒状部材であって、把持部71の長軸に沿って延在し、把持部71の軸方向の一端から突出している。シャフト73の突出側の端部の外周面には、ネジ溝が形成されている。以下、このシャフト73の一端部を、ネジ部731という。補助ハンドル7は、ネジ部731を介してハウジング10に装着される。具体的には、ハウジング10には、ネジ部731に対応する雌ネジを有する金属製のナット17が設けられている。本実施形態では、ハウジング10の前端部の左側壁部および右側壁部の2箇所に、2つのナット17が配置されている。なお、ハウジング10の左側壁部および右側壁部は、樹脂製である。使用者は、例えば、利き手や作業環境に応じて、何れか一方のナット17にネジ部731をねじ込むことで、補助ハンドル7をハウジング10に取り付けて使用することができる。補助ハンドル7は、ハウジング10に取り付けられた状態で、スピンドル3の回転軸A1に交差する方向(詳細には、直交する方向)に延在する。
【0030】
更に、本実施形態では、補助ハンドル7およびハウジング10には、補助ハンドル7の装着を検出するための構成が設けられている。具体的には、補助ハンドル7には、無線タグ8が設けられており、ハウジング10には、無線タグ8との間で無線による通信を行い、非接触で無線タグ8から情報を読み取るように構成されたリーダ6(
図4参照)が設けられている。なお、本実施形態で採用される無線タグ8は、電源を内蔵せず、リーダ6からの電波(搬送波)で起電し、この電波を反射することで通信を行うように構成されたパッシブ型の無線タグである。
【0031】
無線タグ8について説明する。
図2および
図3に示すように、無線タグ8は、環状に配置されたアンテナ81と、アンテナ81に接続されたIC(integrated circuit)チップ83と、アンテナ81およびICチップ83を覆う円環ディスク状のカバー材85とを含む。ICチップ83は、パッシブ型の無線タグに採用される一般的な構成を有する。具体的には、ICチップ83は、送受信回路、制御回路、メモリ等を備えている。メモリには、無線タグ8に固有の識別情報が記憶されている。ICチップ83は、リーダ6からの電波を受信すると、この識別情報を信号化し、アンテナ81を介して信号を発信するように構成されている。
【0032】
無線タグ8は、補助ハンドル7に取り付けられた樹脂製のホルダ75に収容されている。ホルダ75は、シャフト73の外周部に嵌め込まれ、ネジ部731と把持部71の間に配置されている。ホルダ75は、有底円筒状に形成されており、円形の底壁部751と、底壁部751の外縁を取り巻く周壁部755とを含む。底壁部751には、シャフト73が挿通される貫通孔が設けられている。貫通孔の周囲には、円筒状のボス部752が設けられている。径方向において、ボス部752と周壁部755の間には、環状の空間が形成されている。無線タグ8は、この空間に嵌め込まれ、ホルダ75に覆われた状態で保持されている。これにより、無線タグ8は、ボス部752によってシャフト73から隔離された状態で、ネジ部731の回転軸A3(シャフト73の軸)の周囲を取り巻くように配置されている。なお、本実施形態では、ホルダ75のボス部752の壁の厚さは略5ミリメートル(mm)であり、底壁部751および周壁部755の厚さは、略2mmである。
【0033】
リーダ6について説明する。
図1および
図2に示すように、リーダ6は、アンテナ61と、図示しない配線によってアンテナ61に接続され、アンテナ61を介して無線タグ8と無線により通信し、無線タグ8に記憶された情報を読み取ることが可能なリーダ制御部63とを含む。
【0034】
本実施形態では、アンテナ61は、2つ設けられている。2つのアンテナ61は、夫々、ナット17の近傍で、ハウジング10の前端部の左側壁部および右側壁部の内部に埋め込まれている。各アンテナ61は、ハウジング10の樹脂製の部分で完全に覆われている。なお、各アンテナ61は、ハウジング10の外表面から比較的近い位置(より詳細には、外表面から略2mmの位置)に埋め込まれている。また、各アンテナ61は、回転軸A3の延在方向にみると、ハウジング10に取り付けられた補助ハンドル7の無線タグ8(アンテナ81)の一部と重なる位置に配置されている。言い換えると、回転軸A3に平行、且つ、アンテナ61内の1点と無線タグ8(アンテナ81)内の1点とを通る直線を引くことができる。このような配置により、本実施形態では、ネジ部731がナット17に最大限までねじ込まれた場合(補助ハンドル7が完全に装着された場合)、アンテナ61と無線タグ8のアンテナ81との最短距離(回転軸A3の延在方向における距離)は、略5mmである。
【0035】
リーダ制御部63は、上述のように、コントローラ5の基板に搭載されており、マイクロコンピュータ、送受信回路、信号処理回路等を備えている。送受信回路は、アンテナ61を介して無線タグ8との通信を行うための回路である。信号処理回路は、無線タグ8から受信した信号を処理するため回路である。本実施形態では、マイクロコンピュータは、リーダ6の全体的な動作制御を司る。
【0036】
本実施形態では、無線タグ8とリーダ6とは、短波(HF)帯の規定の周波数(13.56メガヘルツ(MHz))で通信するように構成されている。また、無線タグ8とリーダ6のアンテナ61との間の通信距離は、略10mmに設定されている。なお、短波(HF)帯では、アンテナ61から半円状に電波が広がる。よって、無線タグ8(アンテナ81)がアンテナ61を中心とする半径略10mmの半円状の通信範囲内に位置する場合、リーダ6は、無線タグ8から識別情報を読み取ることができる。
【0037】
上述のように、補助ハンドル7がハウジング10に完全に装着された場合には、アンテナ61と無線タグ8との最短距離は、略5mmである。よって、補助ハンドル7がハウジング10に装着されていれば(ねじ込みが若干緩い場合も含む)、リーダ6は、無線タグ8から確実に識別情報を読み取ることができる。一方、補助ハンドル7がハウジング10から取り外されていれば、無線タグ8は、基本的にはアンテナ61の通信範囲内には入らない。よって、リーダ6が無線タグ8から識別情報を読み取ることができるか否かは、実質的に、補助ハンドル7がハウジング10に装着されているか否かに対応する。
【0038】
以下、グラインダ1の電気的構成について説明する。
図4に示すように、グラインダ1は、グラインダ1の動作制御を司るメイン制御部50を備えている。上述のように、メイン制御部50は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータで構成されている。メイン制御部50には、駆動回路51、ホールセンサ53、スイッチ26、メモリ57、リーダ制御部63、およびLED59が電気的に接続されている。
【0039】
駆動回路51は、モータ2を駆動するための回路であって、6つの半導体スイッチング素子を用いた三相ブリッジ回路を含む。ホールセンサ53は、モータ2の各相に対応して配置される3つのホール素子を備えており、ロータの回転位置を示す信号を、メイン制御部50に出力する。メイン制御部50は、ホールセンサ53からの信号に基づいて、駆動回路51のスイッチング素子の動作を制御する。上述のように、スイッチ26は、トリガ25の押圧操作に応じてオン状態とされると、メイン制御部50にオン信号を出力する。メモリ57は、情報を記憶する記憶装置であって、本実施形態では、不揮発性メモリで構成されている。リーダ制御部63は、メイン制御部50からの制御信号に従って、アンテナ61を介して無線タグ8との無線通信を行う。また、リーダ制御部63は、無線タグ8から受信した識別情報を示す信号(以下、識別信号という)を、メイン制御部50に出力する。LED59は、ハウジング10の上壁部に設けられており(
図1参照)、メイン制御部50によって点灯が制御される。
【0040】
以下、メイン制御部50(より詳細には、CPU)によるグラインダ1の動作制御について説明する。
【0041】
本実施形態では、メイン制御部50は、スイッチ26からのオン信号と、リーダ6のリーダ制御部63からの識別信号に基づいて、モータ2の駆動を制御するように構成されている。より詳細には、メイン制御部50は、トリガ25の押圧操作に応じてスイッチ26から出力されたオン信号を認識すると、まず、リーダ制御部63に、アンテナ61から電波を送らせる。これに対し、リーダ制御部63が無線タグ8から信号を受信し、メイン制御部50に識別信号を出力した場合(つまり、補助ハンドル7が装着されている場合)には、メイン制御部50は、モータ2の駆動を開始する。なお、本実施形態では、メイン制御部50は、予め設定された回転速度でモータ2を駆動する。しかしながら、メイン制御部50は、トリガ25の操作量(押圧量)に応じた回転速度を設定し、設定した回転速度でモータ2を駆動してもよい。あるいは、例えば、速度設定用のダイアルに対する使用者の外部操作に応じた回転速度を設定し、設定した回転速度でモータ2を駆動してもよい。モータ2の駆動に伴ってスピンドル3が回転駆動され、工具装着部31に固定された先端工具91によって、被加工材に対する加工作業が遂行される。スイッチ26がオフ状態とされ、オン信号の出力が停止されると、メイン制御部50は、モータ2を電気的に制動し、モータ2の駆動を速やかに停止させる。
【0042】
一方、スイッチ26がオン状態とされても、リーダ6が無線タグ8から信号を受信せず、メイン制御部50に識別信号を出力しない場合(つまり、補助ハンドル7が装着されていない場合)には、コントローラ5は、補助ハンドル7が装着されている場合とは異なる態様でモータ2の駆動を制御する。これは、次のような理由による。
【0043】
グラインダ1のような回転工具では、先端工具91の回転駆動中に先端工具91がロックされることで、ハウジング10に過大な反動トルクが作用し、ハウジング10が回転軸A1周りに過度に回転してしまう現象(キックバック、振り回され状態ともいう)が発生する場合がある。補助ハンドル7が装着されていない場合、使用者は片手のみでグラインダ1を保持している状態であるから、補助ハンドル7が装着され、両手でグラインダ1を保持している場合に比べると、反動トルクに対抗する保持力は小さい。そこで、メイン制御部50は、補助ハンドル7が装着されていない場合には、補助ハンドル7が装着されている場合に比べ、ハウジング10が急激に回転することを抑制あるいは防止するための制御を行う。具体的には、メイン制御部50は、補助ハンドル7が装着されていない場合には、補助ハンドル7が装着されている場合よりも低速でモータ2を駆動する。あるいは、メイン制御部50は、モータ2を駆動しない(モータ2に通電しない)。
【0044】
更に、メイン制御部50は、LED59を点灯させる。これにより、使用者は、補助ハンドル7が装着されていないためにモータ2が低速で駆動されている(あるいはモータ2が駆動されない)ことを容易に認識することができ、補助ハンドル7を装着する措置を取ることができる。
【0045】
更に、メイン制御部50は、識別信号に基づいて特定される無線タグ8の識別情報と、補助ハンドル7の使用履歴に関する情報(以下、使用履歴情報という)とを対応づけて、メモリ57に記憶させることができる。メイン制御部50は、例えば、モータ2の駆動を停止した後、メモリ57にこれらの情報を記憶させればよい。メモリ57に記憶される使用履歴情報としては、例えば、使用日時(具体的には、モータ2の駆動が開始または停止された日時)、使用時間(具体的には、モータ2の駆動開始時刻および駆動停止時刻(またはモータ2の駆動継続時間))が挙げられる。
【0046】
ナット17に螺合可能なネジ部731を有する限り、ハウジング10には、いかなる補助ハンドル7も装着可能である。例えば、グラインダ1が複数の使用者によって共用される場合、複数の使用者が夫々に固有の補助ハンドル7を保有し、使用時にのみハウジング10に取り付けることが想定される。このような場合、各無線タグ8、つまり各補助ハンドル7に固有の識別情報を、その使用履歴情報と対応付けてメモリ57に記憶しておくことで、これらの情報を、使用者の作業時間の管理等に有効に活用することができる。
【0047】
例えば、メイン制御部50は、リーダ制御部63からの識別信号を認識すると、メモリ57にアクセスし、識別信号が示す識別情報に対応する使用時間(例えば、モータ2の駆動開始時刻および駆動停止時刻)を読み出す。そして、メイン制御部50は、例えば、使用時間が所定の閾値を超えており、且つ、モータ2の駆動停止時刻から所定時間が経過していない場合には、モータ2を駆動しない、および/またはLED59を点灯することができる。あるいは、グラインダ1が表示部(例えば、液晶ディスプレイ)を有する場合、メイン制御部50は、例えば、リーダ制御部63からの識別信号を認識すると、表示部に使用履歴情報に基づくメッセージ等を表示させることができる。
【0048】
以上に説明したように、本実施形態のグラインダ1は、パッシブ型の無線タグ8を有し、ハウジング10に着脱可能な補助ハンドル7と、無線タグ8との無線通信が可能なリーダ6とを備えている。リーダ6(詳細には、リーダ制御部63)が無線タグ8に記憶された情報を読み取った場合、それは補助ハンドル7がグラインダ1(ハウジング10)に装着されていることを意味し、リーダ6が情報を読み取れない場合、それは補助ハンドル7がグラインダ1に装着されていないことを意味する。よって、リーダ6による情報の読み取り結果(読取りができたか否か)を、そのまま補助ハンドル7の装着の有無の判別に用いることが可能である。また、グラインダ1は、粉塵の発生する環境で使用されることが多い。これに対し、無線タグ8は、粉塵等の影響を受けにくいため、特別な防塵対策の必要がない。更に、パッシブ型の無線タグ8は、リーダ6から受けた電波で起電することが可能であるため、補助ハンドル7には、電源が不要である。このように、本実施形態によれば、グラインダ1に対する補助ハンドル7の装着の有無の判別の効率化を実現することができる。
【0049】
また、本実施形態では、無線タグ8とリーダ6とは、短波(HF)帯の周波数で通信するように構成されており、更に、無線タグ8とアンテナ61との間の通信距離は、略10mmに設定されている。これにより、補助ハンドル7がグラインダ1に装着されていないときに無線タグ8から読取りが行われる可能性を概ね排除し、補助ハンドル7の装着の有無の判別精度を高めることができる。
【0050】
また、本実施形態では、無線タグ8は、樹脂で形成されたホルダ75によって覆われている。これにより、無線タグ8に対する金属の影響を低減することができる。特に、ホルダ75は、シャフト73と無線タグ8の間に介在するボス部752を有する。無線タグ8は、このボス部752によって、金属製のシャフト73から好適に隔離されている。また、ハウジング10は、金属製のナット17を有するが、無線タグ8は、底壁部751およびボス部752によって、ナット17からも好適に隔離されている。また、リーダ6のアンテナ61は、樹脂で形成されたハウジング10の側壁部によって覆われている。これにより、アンテナ61に対する金属の影響も低減することができる。特に、アンテナ61は、周囲を完全に樹脂で覆われることで、近傍に配置された金属製のナット17から好適に隔離されている。
【0051】
更に、本実施形態では、無線タグ8(特に、アンテナ81)は、環状に形成され、ネジ部731の回転軸A3の周囲を取り巻くように配置されている。リーダ6のアンテナ61は、ハウジング10に配置されている。ネジ部731は、ナット17への螺合に応じて、ハウジング10に対する回転軸A3周りの位置が変化することになる。よって、無線タグ8(特に、アンテナ81)が、回転軸A3周りの特定の位置に配置されると、無線タグ8とアンテナ61との配置関係の変化が大きくなりやすい。これに対し、本実施形態では、環状の無線タグ8が回転軸A3の周囲を取り巻くように配置されているため、ネジ部731の回転軸A3周りの位置が変化しても、無線タグ8とアンテナ61との配置関係、ひいては両者の通信に影響が生じにくい。また、ホルダ75を介して無線タグ8をシャフト73に取り付けるときに、シャフト73に対する回転軸A3周りの位置決めが不要であるため、組立性にも優れている。
【0052】
上記実施形態に例示された構成と、本開示の特徴との対応関係を以下に示す。グラインダ1は、「動力工具」の一例である。補助ハンドル7は、「付属品」の一例である。無線タグ8は、「無線タグ」の一例である。リーダ6、アンテナ61、リーダ制御部63は、夫々、「リーダ」、「アンテナ」、「読取り部」の一例である。補助ハンドル7のホルダ75は、「付属品の樹脂部」の一例である。ハウジング10(より詳細には、側壁部)は、「動力工具の樹脂部」の一例である。メモリ57は、「記憶部」の一例である。ハウジング10は、「工具本体」の一例である。補助ハンドル7およびネジ部731は、夫々、「補助ハンドル」および「第1ネジ部」の一例である。ナット17は、「第2ネジ部」の一例である。
【0053】
なお、上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る動力工具は、例示されたグラインダ1の構成に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示すグラインダ1、あるいは各請求項に記載された特徴と組み合わされて採用されうる。
【0054】
上記実施形態では、着脱可能な付属品を有する動力工具として、補助ハンドル7を着脱可能なグラインダ1が例示されている。しかしながら、付属品および動力工具の種類は、この例に限られるものではない。例えば、上述のように、グラインダ1には、付属品の別の一例であるホイールカバー90を着脱可能である。よって、補助ハンドル7に代えて、ホイールカバー90に無線タグが設けられてもよい。また、グラインダ1以外にも、使用者の両手での保持を可能とすべく、付属品としての補助ハンドルを着脱可能な動力工具(例えば、丸鋸、ハンマドリル、ドライバドリル)や、加工作業で発生する粉塵を収集するために、付属品としての集塵アタッチメントを着脱可能な動力工具(例えば、ハンマドリル)がある。このような動力工具および付属品が、夫々、上記実施形態と同様、リーダおよび無線タグを備えていてもよい。
【0055】
リーダ6および無線タグ8の夫々の構成(例えば、大きさ、形状)、数、配置位置等は、動力工具や付属品の構成に応じて適宜変更されうる。例えば、リーダ6のアンテナ61とリーダ制御部63は、1つのアセンブリ(ユニット)として構成されてもよい。また、リーダ6に代えて、無線タグとの無線通信により、無線タグからの情報の読み取りのみならず、無線タグへの情報の書き込みも可能なリーダライタが採用されてもよい。無線タグは、環状以外の形状を有してもよい。リーダのアンテナおよび無線タグは、夫々、動力工具および付属品の外表面に取り付けられてもよい。
【0056】
また、リーダ(またはリーダライタ)と無線タグとの通信は、短波(HF)帯以外の周波数帯で通信するように構成されていてもよいし、リーダのアンテナと無線タグとの通信距離は、上述の10mmである必要はない。しかしながら、リーダ(またはリーダライタ)と無線タグとは、短波(HF)帯または長波(LF)帯(~135キロヘルツ(KHz))の周波数で通信を行うように構成され、通信距離は、30mm以下であることが好ましい。この場合、動力工具に装着されていない付属品に設けられた無線タグから情報を読み取る可能性を低減し、付属品の装着の有無を精度よく検出することが可能となる。
【0057】
メイン制御部50は、CPU等を含むマイクロコンピュータによって構成される例が挙げられている。しかしながら、メイン制御部50は、マイクロコンピュータ以外の少なくとも1つの制御回路で構成されてもよく、上述の処理は、複数の制御回路で分散処理されてもよい。また、メイン制御部50は、プログラマブル・ロジック・デバイス(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等)で構成されていてもよい。
【0058】
更に、メイン制御部50は、リーダ6が無線タグ8から情報を読み取れない場合、モータ2の駆動を制御するのではなく、例えば、モータ2から先端工具91への動力伝達を遮断することで、先端工具91の駆動を禁止するように構成されていてもよい。この場合、例えば、メイン制御部50は、動力伝達経路上に設けられたクラッチを作動させることで、先端工具91の駆動を禁止することができる。
【0059】
上記実施形態では、メイン制御部50は、スイッチ26がオン状態とされ、リーダ6が無線タグ8から情報を読み取れない場合、LED59を点灯させる。これに代えて、メイン制御部50は、リーダ6が無線タグ8から情報を読み取れない場には、スイッチ26のオン・オフ状態にかかわらず、LED59を点灯させてもよい。また、LED59に代えて、ブザー音や情報表示による報知が行われてもよいし、このような報知は省略されてもよい。
【0060】
更に、本発明および上記実施形態の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様のうち少なくとも1つが、上述の実施形態とその変形例、および各請求項に記載された特徴の1つまたは複数と組み合わされて採用されうる。
[態様1]
前記付属品が前記動力工具に装着されたときの前記無線タグと前記リーダの前記アンテナとの間の最短距離は、前記通信距離より短い。
なお、無線タグは、典型的には、アンテナと、このアンテナに接続されたICチップとを含む。上述の「無線タグとリーダのアンテナとの最短距離」は、「無線タグのアンテナとリーダのアンテナとの最短距離」と言い換えられてもよい。上記実施形態の無線タグ8のアンテナ81およびICチップ83は、夫々、「無線タグのアンテナ」および「ICチップ」の一例である。
[態様2]
前記付属品が前記動力工具に装着されたときの前記無線タグと前記リーダの前記アンテナとの間の最短距離は、30ミリメートルより短い。
【0061】
[態様3]
前記無線タグは、前記付属品の前記樹脂部によって、前記補助ハンドルおよび前記動力工具の金属部分から隔離されている。
[態様4]
前記アンテナは、前記動力工具の前記樹脂部によって、前記補助ハンドルおよび前記動力工具の金属部分から隔離されている。
【0062】
[態様5]
前記補助ハンドルは、前記第1ネジ部の前記回転軸に沿って延在し、使用者によって把持される把持部を備え、
前記無線タグは、前記第1ネジ部と前記把持部の間に配置されている。
上記実施形態の把持部71は、「把持部」の一例である。
【0063】
[態様6]
前記補助ハンドルは、前記回転軸に沿って延在する金属製のシャフトと、前記シャフトの径方向外側に配置された樹脂製のホルダとを備え、
前記第1ネジ部は、前記シャフトの一端部に設けられ、
前記無線タグは、前記ホルダ内に収容されている。
上記実施形態のシャフト73およびホルダ75は、夫々、「シャフト」および「ホルダ」の一例である。
[態様7]
態様6において、
前記ホルダは、前記シャフトに嵌合される筒状の内周壁と、前記内周壁から離間して前記内周壁の径方向外側に配置される筒状の外周壁とを備え、
前記無線タグは、前記内周壁と前記外周壁の間に配置されている。
上記実施形態のボス部752および周壁部755は、夫々、「内周壁」および「外周壁」の一例である。
【0064】
[態様8]
前記動力工具は、工具本体を更に備え、
前記第1ネジ部は、前記工具本体に設けられたネジ穴に螺合可能な雄ネジであって、
前記アンテナは、前記ネジ穴の近傍で、前記第1ネジ部の前記回転軸の延在方向において、前記無線タグの少なくとも一部に対向する位置に設けられている。
【0065】
[態様9]
前記リーダの前記アンテナは、前記複数の第2ネジ部に対応して、複数設けられている。
【0066】
[態様10]
前記動力工具は、
モータと、
前記リーダによる前記情報の読み取り結果に基づいて前記モータの駆動を制御するように構成された制御部とを更に備え、
前記制御部は、前記リーダが前記情報を読み取らない場合、前記モータを駆動しない、あるいは、前記リーダが前記情報を読み取った場合よりも低速で前記モータを駆動するように構成されている。
[態様11]
態様10において、
前記動力工具は、
使用者の外部操作に応じてオン状態とされるように構成された前記モータの起動用のメインスイッチと、
使用者に情報を報知するように構成された報知部とを更に備え、
前記制御部は、前記メインスイッチが前記オン状態であり、且つ、前記リーダが前記情報を読み取らない場合、前記報知部に報知を行わせるように構成されている。
【符号の説明】
【0067】
1:グラインダ、10:ハウジング、13:把持部、17:ナット、18:バッテリ装着部、2:モータ、21:モータ本体部、23:モータシャフト、24:小ベベルギア、25:トリガ、26:スイッチ、27:ファン、3:スピンドル、31:工具装着部、33:大ベベルギア、5:コントローラ、50:メイン制御部、51:駆動回路、53:ホールセンサ、57:メモリ、59:LED、6:リーダ、61:アンテナ、63:リーダ制御部、7:補助ハンドル、71:把持部、73:シャフト、731:ネジ部、75:ホルダ、751:底壁部、752:ボス部、755:周壁部、8:無線タグ、81:アンテナ、83:ICチップ、85:カバー材、90:ホイールカバー、91:先端工具、93:バッテリ、A1:回転軸、A2:回転軸、A3:回転軸