(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20240404BHJP
【FI】
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2019190813
(22)【出願日】2019-10-18
(62)【分割の表示】P 2018153020の分割
【原出願日】2018-08-16
【審査請求日】2021-08-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼集会名:「メディア意見交換会」 ▲2▼開催日:平成30年2月19日 ▲3▼公開場所:株式会社三菱総合研究所本社 ▲1▼集会名:「プラチナ社会研究会 行政情報標準化・AI活用研究会」 ▲2▼開催日:平成30年2月21日 ▲3▼公開場所:株式会社三菱総合研究所本社 ▲1▼集会名:「プラチナ社会研究会 行政情報標準化・AI活用研究会」 ▲2▼開催日:平成30年5月30日 ▲3▼公開場所:株式会社三菱総合研究所本社 ▲1▼集会名:「メディア懇談会」 ▲2▼開催日:平成30年7月10日 ▲3▼公開場所:株式会社三菱総合研究所本社
(73)【特許権者】
【識別番号】591115475
【氏名又は名称】株式会社三菱総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】村上 文洋
(72)【発明者】
【氏名】青木 芳和
(72)【発明者】
【氏名】中川 知子
【合議体】
【審判長】佐藤 智康
【審判官】安井 雅史
【審判官】木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-6207(JP,A)
【文献】特開2002-63318(JP,A)
【文献】坂田 亘,”行政FAQページからの対話フローチャート自動生成とそれに基づく対話ボットの構築”,言語処理学会第24回年次大会 発表論文集 [online],日本,言語処理学会,2018年03月05日,p.971-974
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自治体で共通して用いられる質問
と、当該質問に対する回答としての自治体リンク先情報を記憶する記憶部と、
ユーザが入力した質問に対応する前記記憶部で記憶されている前記
共通して用いられる質問を
選択する制御部であって、自治体のサイト
にユーザがアクセスし、当該自治体のサイト内でユーザが
質問を入力することで、当該自治体のサービスに関する自治体リンク先情報をユーザから入力された質問に対する回答として選択する制御部と、
制御部で選択された前記自治体リンク先情報を、前記回答として出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
複数の自治体で共通して用いられる質問と、当該質問に対する回答としての自治体リンク先情報を記憶する記憶部と、
自治体のサイトにアクセスしたという情報を識別情報として、ユーザの利用する自治体を識別する識別部と、
ユーザが入力した
質問に対応する前記記憶部で記憶されている前記共通して用いられる質問を選択する制御部であって、前記識別部で識別された自治体の自治体サービスに関する質問に対応する自治体リンク先情報を選択する制御部と、
制御部で選択された自治体リンク先情報を、前記質問に対する回答として出力する出力部と、
を備
える情報処理装置。
【請求項3】
複数の自治体で共通して用いられる質問
と、当該質問に対する回答としての自治体リンク先情報を記憶する記憶部と、
ユーザの利用する自治体を識別する識別部と、
ユーザが入力した質問に対応する前記記憶部で記憶されている前記
共通して用いられる質問を
選択する制御部であって、前記識別部で識別され
た自治体のサービスに関する自治体リンク先情報をユーザから入力された質問に対する回答として選択する制御部と、
制御部で選択された自治体リンク先情報を、前記回答として出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項4】
出力部は、
複数の選択肢を出力することでユーザからの自治体サービスに関する質問
の選択肢を用いた入力を促し、
所定の選択肢による入力を受けた後で自治体リンク先情報を出力する機能を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
出力部は、入力された選択肢に対応する自治体リンク先情報を出力する機能を有する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
制御部は、ユーザから入力された質問に対応する
、複数の自治体で共通して用いられる質問に紐づけられた自治体リンク先情報又はユーザによって選択された
所定の選択肢に対応する自治体リンク先情報を選択する、請求項
4又は5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
チャットボット機能を有
する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数の自治体で共通して用いられる質問と、当該質問に対する回答としての自治体リンク先情報を記憶する記憶部を用いた情報処理方法であって、
制御部によって、ユーザが入力した質問に対応する前記記憶部で記憶されている前記共通して用いられる質問を選択する工程であって、自治体のサイトにユーザがアクセスし、当該自治体のサイト内でユーザが質問を入力することで、当該自治体のサービスに関する自治体リンク先情報をユーザから入力された質問に対する回答として選択する工程と、
制御部で選択された前記自治体リンク先情報を、前記回答として、出力部によって出力する工程と、
を備える情報処理方法。
【請求項9】
情報処理装置にインストール
されるプログラムであって、
プログラム
がインストールされた情報処理装置に、
複数の自治体で共通して用いられる質問と、当該質問に対する回答としての自治体リンク先情報を記憶する記憶機能と、
ユーザが入力した質問に対応する前記記憶機能で記憶されている前記共通して用いられる質問を選択する制御機能であって、自治体のサイトにユーザがアクセスし、当該自治体のサイト内でユーザが質問を入力することで、当該自治体のサービスに関する自治体リンク先情報をユーザから入力された質問に対する回答として選択する制御機能と、
制御機能で選択された前記自治体リンク先情報を、前記回答として出力する出力機能と、
を
実現させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザである住民に自治体に関する情報を提供する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自治体が提供する行政サービスに関する情報を生成する情報提供システムが提案されている。例えば特許文献1では、住民の情報と行政サービスに関する情報を取得し、行政サービスの条件と住民の条件を比較し、そのサービス内容のその住民に対しての有用性を評価し、評価結果と行政サービスに関する情報をあわせて住民に提供することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、行政サービスに関して住民に情報を提供するシステムを構築することには多額の費用がかかることが問題となっている。
【0005】
本発明は、低コストで、自治体に関する信頼性の高い情報をユーザである住民に提供できる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による情報処理装置は、
ユーザの利用する自治体を識別する識別部と、
共通質問、前記共通質問に対する第一自治体回答及び前記共通質問に紐づけられた第一自治体リンク先情報、並びに、前記共通質問に対する第二自治体回答及び前記共通質問に紐づけられた第二自治体リンク先情報を記憶する記憶部と、
ユーザが入力した質問に対応する共通質問を選択する制御部と、
ユーザが第一自治体を利用する場合には前記第一自治体回答及び前記第一自治体リンク先情報を出力し、ユーザが第二自治体を利用する場合には前記第二自治体回答及び前記第二自治体リンク先情報を出力する出力部と、
を備えてもよい。
【0007】
本発明による情報処理装置において、
前記記憶部は複数の第一自治体回答及び複数の第二自治体回答を記憶し、
複数の第一自治体回答は複数の第二自治体回答において共通してもよい。
【0008】
本発明による情報処理装置において、
前記出力部は、ユーザからの自治体サービスに関する質問に対し、最終的にはリンク先情報を出力してもよい。
【0009】
本発明による情報処理装置において、
記憶部は、狭域自治体に関する狭域自治体情報と、前記狭域自治体を地理的に包含する広域自治体に関する広域自治体情報とを記憶し、
ユーザが第一狭域自治体の住民である場合には、前記出力部は、前記第一狭域自治体に
関する前記第一狭域自治体情報と、前記第一狭域自治体を地理的に包含する第一広域自治体に関する第一広域自治体情報を優先的に出力してもよい。
【0010】
本発明による情報処理装置において、
前記記憶部は第一自治体と前記第一自治体に関連付けられた第一関連自治体との関連情報を記憶し、
ユーザが第一自治体の住民である場合には、前記出力部は、前記第一自治体に関する第一自治体情報を第一優先で出力し、前記第一関連自治体に関する第一関連自治体情報を第二優先で出力してもよい。
【0011】
本発明による情報処理装置において、
前記制御部は人工知能機能を有し、ユーザから入力された質問に対応する最適な共通質問を機械学習してもよい。
【0012】
本発明による情報処理装置は、
ユーザの利用する自治体を識別するための識別情報とユーザからの質問を送信する送信部と、
前記ユーザの利用する自治体を識別したサーバから、当該自治体における前記質問に対応する共通質問に対する自治体回答及び前記共通質問に紐づけられた自治体リンク先情報を受信する受信部と、
を備えてもよい。
【0013】
本発明による情報処理方法は、
ユーザの利用する自治体を識別するための識別情報をユーザ端末からサーバに送信する工程と、
前記ユーザからの質問をユーザ端末からサーバに送信する工程と、
前記ユーザの利用する自治体を識別したサーバから、当該自治体における前記質問に対応する共通質問に対する自治体回答及び前記共通質問に紐づけられた自治体リンク先情報をユーザ端末が受信する工程と、
を備えてもよい。
【0014】
本発明によるプログラムは、
情報処理装置にインストールするためのプログラムであって、
プログラムをインストールされた情報処理装置は、
ユーザの利用する自治体を識別する識別機能と、
共通質問、前記共通質問に対する第一自治体回答及び前記共通質問に紐づけられた第一自治体リンク先情報、並びに、前記共通質問に対する第二自治体回答及び前記共通質問に紐づけられた第二自治体リンク先情報を記憶する記憶機能と、
ユーザが入力した質問に対応する共通質問を選択する選択機能と、
ユーザが第一自治体の住民である場合には前記第一自治体回答及び前記第一自治体リンク先情報を出力し、ユーザが第二自治体の住民である場合には前記第二自治体回答及び前記第二自治体リンク先情報を出力する出力機能と、
を有してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明において、共通質問と、共通質問に対する自治体毎の回答及び自治体毎のリンク先情報とを記憶し、識別されたユーザの利用する自治体における回答及びリンク先情報を出力する態様を採用した場合には、共通質問を用いつつも信頼性の高いリンク先情報にユーザを導くことができる。このため、低コストで、信頼性の高い情報をユーザに提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態による情報処理装置の構成を示した概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態で用いられ得る共通質問と回答及びリンク先情報との関係を示した図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態で用いられ得る共通質問と狭域自治体情報及び広域自治体情報との関係を示した図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態による情報処理システムの構成を示した概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態による情報処理システムを用いた情報の流れを示した図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態で用いられ得る質問、回答及びリンク先URLに関する表を示した図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態で用いられ得るユーザ端末の表示画面の一例を示した図である。
【
図8】
図8(a)は、本発明の実施の形態で用いられ得るユーザ端末の表示画面の別の例を示した図であり、
図8(b)は
図8(a)から先に進んだユーザ端末の表示画面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態
《構成及び方法》
以下、本発明に係る情報処理装置及び情報処理方法の実施の形態について説明する。本実施の形態では、パソコン等のコンピュータにインストールされることで、当該コンピュータによって本実施の形態の情報処理方法を実行できるようにするプログラム及び当該プログラムを記録した記録媒体も提供される。
【0018】
本実施の形態の情報処理装置はいずれの場所に設置されてもよく、クラウドであってもよい。本実施の形態の情報処理装置は、一つの装置から構成されてもよいし複数の装置から構成されてもよい。また、複数の装置から情報処理装置が構成される場合には、各装置が同じ部屋等の同じ空間に設けられる必要はなく、異なる部屋、異なる建物、異なる地域等に設けられてもよい。また、複数の装置から情報処理装置が構成される場合には、その一部を一機関が所有及び/又は管理し、残りを別機関が所有及び/又は管理してもよい。
【0019】
本実施の形態の情報処理装置は、例えばプログラムをインストールすることで生成される。このプログラムは電子メールで配信されてもよいし、所定のURLにアクセスしたうえでログインすることで入手できてもよいし、記録媒体に記録されてもよい。本実施の形態によるプログラムは以下に示す情報処理装置を生成するために利用され、本実施の形態による記録媒体は当該プログラムを記録するために利用される。また、本実施の形態の情報処理方法は上記プログラムがインストールされた情報処理装置によって実施される。情報処理装置は、情報処理装置にインストールされたアプリケーションを実行することによって、本実施の形態の情報処理方法を実行してもよい。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態の情報処理装置は、ユーザの利用する自治体を識別する識別部10と、複数の自治体で共通する共通質問、各自治体における共通質問に対する自治体回答及びリンク先情報を記憶する記憶部20と、ユーザが入力した質問に対応する共通質問を選択する制御部50と、自治体回答及び/又はリンク先情報を出力する出力部30と、を有してもよい。
【0021】
記憶部20は、複数の自治体で共通する共通質問、複数の自治体における共通質問に対する自治体回答及びリンク先情報を記憶してもよい。言い換えると、記憶部20は、共通質問と、共通質問に対する第一自治体回答及び共通質問に紐づけられた第一自治体リンク先情報と、共通質問に対する第二自治体回答及び共通質問に紐づけられた第二自治体リンク先情報とを記憶してもよい。出力部30は、ユーザが第一自治体を利用する場合には第一自治体回答及び第一自治体リンク先情報を出力し、ユーザが第二自治体を利用する場合には第二自治体回答及び第二自治体リンク先情報を出力するようにしてもよい。なお、第一自治体と第二自治体とは異なる自治体である。
【0022】
記憶部20は複数の第一自治体回答及び複数の第二自治体回答を記憶し、複数の第一自治体回答は複数の第二自治体回答において共通していてもよい。つまり、複数の第一自治体回答の全部又は一部が複数の第二自治体回答において共通してもよい。
【0023】
図2に示すように、記憶部20は、ある共通質問(共通質問A)と、当該ある共通質問(共通質問A)に対する第n自治体回答(第n自治体回答A)及び当該ある共通質問(共通質問A)に紐づけられた第n自治体における第n自治体リンク先情報A(第n自治体リンク先情報A)と、を記憶し、別の共通質問(共通質問B)と、当該別の共通質問(共通質問B)に対する第n自治体回答答(第n自治体回答B)及び当該ある共通質問(共通質問A)に紐づけられた第n自治体における第n自治体リンク先情報(第n自治体リンク先情報B)と、を記憶してもよい。なお、ここで「n」は「1以上の整数」である。
【0024】
制御部50はユーザが入力した質問に最も近い共通質問を選択してもよい(
図5の(2)
参照)。制御部50は人工知能機能を有し、制御部50は質問に対する最適な一つの共通質問を機械学習によって学習してもよい。ユーザからの質問の入力は自由入力(
図5の(1)'、
図8(a)参照)と選択肢入力(
図5の(1)、
図8(a)参照)が組み合わされても
よい。最初の段階ではユーザが質問したい内容を自由入力できるようにし、ある程度回答が絞り込まれた段階で選択肢として質問が表示されてもよい。出力部30は、ユーザからの自治体サービスに関する質問に対し、最終的にはリンク先情報を出力してもよい(
図5の(4)、
図8(b)参照)。
【0025】
機械学習はユーザが再度質問を行ったかによって行われてもよく、ユーザが例えば「ゴミ回収」と入力した際に表示された共通質問に対し、異なる用語を入力して再検索した場合には、当該共通質問は誤ったものとして機械学習されてもよい。逆に、例えば「ゴミ回収」と入力した際に表示された共通質問に対し、そのままリンク先情報の表示まで行ってアクセスを止めた場合には当該共通質問は正解であったとして機械学習されてもよい。また制御部50は満足のいく回答が得られたかどうかについてアンケートを採るようにし、満足のいく回答が得られたという内容であれば正解であったと判断し、満足のいく回答ではなかったという内容であれば誤ったものだと判断してもよい。また満足のいく回答ではなかったという内容であれば、再質問をするかをユーザに問い合わせてもよく、再質問をした結果について満足を得たかどうかによって学習してもよい。
【0026】
自由入力される質問は自由な記載内容でよく、例えば「お金に困っている」と質問することもでき、この場合には例えば「児童手当」、「補助金」等に関する共通質問を制御部50が選択してもよい。また例えば「休日に子どもを預けなくちゃいけなくて」と質問すると例えば「時間外保育サービス」に関する共通質問を制御部50が選択してもよい(
図8(a)参照)。また制御部50が採点した結果、自由入力した際に閾値以上の点数の付いた選択肢だけが表示されてもよく、閾値以上の点数が付いた選択肢が一つだけの場合には、当該選択肢における共通質問に対する回答及びリンク先情報がそのまま表示されてもよい。
【0027】
図6では、共通質問(
図6では「質問(Q)」として表示している。)、自治体回答及び自治体リンク先情報の例を示している。このように共通質問の各々と自治体回答及び自治体リンク先情報とが一対一で対応されて記憶部20で記憶されてもよい。本実施の形態で提供される共通質問の全てが複数の自治体において同じ内容から構成されてもよい。
【0028】
どの自治体でも同じQ&Aリストを使用してもよいし、回答は異なるもののどの自治体でも同じ質問を使用してもよい。この態様によれば、あらゆる自治体において同じ質問リスト、又は同じ質問及び回答リストを準備するだけでよいことから、導入コストをかなり低減することができる。質問が同じ場合とは
図6に示す質問(Q)が全ての自治体で共通する場合であり、回答が同じ場合とは
図6に示す回答(A)が全ての自治体で共通する場合である。
【0029】
また共通質問の各々と自治体回答及び自治体リンク先情報とが一対一で対応される態様を採用する場合には、(共通化のため)自治体回答が簡易なものであっても、詳細説明が記載された各自治体回答に対応する自治体のWEBページにユーザである住民を案内することができる。このため、ユーザは自らの知りたい情報について詳細な説明を取得することができる。
【0030】
制御部50は、各質問に対する最適な一つのリンク先情報を自治体毎に機械学習によって学習してもよい。
【0031】
共通質問は分野で分けられてもよい(
図6参照)。一例としては30分野~50分野に分けられる1000~2500件の共通質問が記憶部20で記憶されてもよい。
【0032】
図1に示すように、情報処理装置はユーザからの端末装置を介したアクセス動向等を解析するログ解析部40を有してもよい。ユーザが自己の得たかった質問及び回答に至った履歴(ログ)がログ解析部40によって取得され、記憶部20に記憶されてもよい。
【0033】
情報処理装置は検索部80を有してもよい。ユーザからキーワードが入力されると、当該キーワードに基づいて検索を行い、出力部30が一つ又は複数の質問とその回答を出力して表示させるようにしてもよい。トップ画面にキーワードを入力するための入力欄が表示されてもよい。ユーザが入力欄にキーワードを入力することで、一つ又は複数の質問とその回答が一覧で表示されてもよい(
図7の下欄参照)。
【0034】
情報処理装置はサーバ100を有し、当該サーバが、識別部10と、記憶部20と、出力部30と、制御部50と、ログ解析部40と、検索部80とを有してもよい。また、
図4に示すように、サーバ100とは別に制御部50が設けられてもよい。サーバ100はクラウド環境に置かれてもよい。
【0035】
ユーザはスマートフォン、パソコン等のユーザ端末200を用いて情報処理装置にアクセスするようにしてもよい。ブラウザのみで情報処理装置の利用が可能となってもよいし、専用アプリをインストールすることで情報処理装置の利用が可能となってもよい。複数あるユーザ端末200の一部は自治体(役所)の窓口に設置され、自治体の窓口で利用できるようになってもよい。
【0036】
ユーザがQRコード(登録商標)を読み込んだり検索サイトで検索したりすることで専用のWEBサイトにアクセスすることで、ユーザの利用する自治体に関する情報を識別部10が識別してもよい。つまり、ユーザのアクセスしたサイトの情報から、どの自治体に関する情報を取得したいかを識別部10が識別してもよい。また、このような態様ではなく、例えばスマートフォンやタブレット等の携帯端末の位置情報から、ユーザの利用する
自治体に関する情報を識別部10が識別してもよい。一例としては、テニスコートの予約を希望した場合には、当該携帯端末の位置情報から、近隣の自治体におけるテニスコートの予約に関するリンク先情報を最終的に表示するように導いてもよい。
【0037】
また最終的に表示されるリンク先情報は自治体の情報には限られなくてもよい。画面が遷移することで、最終的には例えば東京ガス、東京電力といった公共事業者におけるリンク先情報にアクセスできるようにしてもよい(
図4参照、
図4では「WEBページ」として表記している。)。例えば引っ越しに関する問い合わせについては、公共事業者情報にアクセスできるようにすることで利便性を高めることができる。また省庁のリンク先情報にアクセスできるようにしてもよい(
図4参照)。例えばマイナンバーについて知りたいとの質問が来た場合には最終的には内閣府のサイトにアクセスできるようにしてもよい。また自治体の職員向けに対して法律、条令、通達、先例等に関するリンク先情報にアクセスできるようにしてもよい(
図4参照)。自治体の職員専用のサイトにパスワードを使ってログインすることで自治体の職員向けのWEBサイトにアクセスでき、その結果として、法律、条令、通達、先例等に関するリンク先情報にアクセスできるようにしてもよい(
図4参照)。また管理者がパスワードを使ってログインすることで、管理者向けのWEBサイトにアクセスできるようにしてもよい(
図4参照)。またサーバ100等の情報処理装置を介して、天気予報、電車運行情報、検索上位ワード、ニュース等を検索できるようになってもよい。
【0038】
出力部30は、ユーザからの自治体サービスに関する質問に対し、最終的にはリンク先情報を出力してもよい(
図7参照)。本実施の形態の情報処理装置はチャットボット機能を有し、ユーザである住民との対話を行ってもよい。つまり、制御部50は、ユーザから入力される質問に対する応答を繰り返すことで適切な共通質問を選択してもよい(
図5の(3)参照)。この場合、住民との対話によって最終的なリンク先情報へと導いてもよい。
なお、
図7に示す態様では「こちら」という箇所が「リンク先情報」であり、この「こちら」をクリックすることで、自治体のWEBサイトへ移動することになる。
【0039】
記憶部20は、狭域自治体に関する狭域自治体情報と、狭域自治体を地理的に包含する広域自治体に関する広域自治体情報とを記憶してもよい。一例として、記憶部20は、狭域自治体情報として市町村情報を記憶し、広域自治体情報として都道府県情報を記憶してもよい。なお、一般的に住民向けの情報は市町村等の狭域自治体(基礎自治体)が提供し、都道府県等の広域自治体は事業者向けの情報に特化していることが多い。この点、本態様のように、狭域自治体情報と当該狭域自治体を地理的に含む広域自治体の広域自治体情報とを関連付けることで、住民にとっては狭域自治体と広域自治体との管轄違いに惑わされることなく、自己の知りたい情報に迅速にアクセスできる点で有益である。
【0040】
より具体的には、
図3に示すように、記憶部20は、ある共通質問(共通質問C)と、当該ある共通質問(共通質問C)に対する第m狭域自治体情報(第m狭域自治体情報C)及び当該第m狭域自治体を地理的に包含する第m広域自治体情報(第m広域自治体情報C)とを記憶し、別の共通質問(共通質問D)と、当該別の共通質問(共通質問D)に対する第m狭域自治体情報(第m狭域自治体情報D)及び第m広域自治体情報(第m広域自治体情報D)とを記憶してもよい。なお、ここで「m」は「1以上の整数」である。
【0041】
出力部30は、ユーザが第一狭域自治体の住民である場合には第一狭域自治体に関する第一狭域自治体情報と、第一狭域自治体を地理的に包含する第一広域自治体に関する第一広域自治体情報を優先的に出力してもよい。優先的に出力する態様としては、ユーザから何ら指定されない場合にはユーザが住居を有する第一狭域自治体情報及び/又は第一広域自治体情報を出力し、ユーザから特別な指定を受けた場合に第一狭域自治体以外の狭域自治体に関する情報を出力したり、第一広域自治体以外の広域自治体に関する情報を出力し
たりしてもよい。また、出力部30は、地方自治体情報に関しては、ユーザが第一狭域自治体の住民である場合には第一狭域自治体に関する第一狭域自治体情報と、第一狭域自治体を地理的に包含する第一広域自治体に関する第一広域自治体情報だけを出力してもよい。
【0042】
記憶部20は第一自治体と第一自治体に関連付けられた第一関連自治体との関連情報を記憶してもよい。ユーザが第一自治体の住民である場合には、出力部30は第一自治体に関する第一自治体情報を第一優先で出力し、第一関連自治体に関する第一関連自治体情報を第二優先で出力してもよい。ユーザ端末200の位置情報からユーザのいる第一自治体を識別部10が認識し、当該第一自治体に関する第一自治体情報を第一優先で出力し、第一関連自治体情報を第二優先で出力してもよい。関連自治体としては地理的に近い自治体であってもよく、例えば第一自治体に隣接する自治体であってもよいし、第一自治体から所定の距離(例えば50km)の範囲内に存在する自治体であってもよい。
【0043】
情報処理システムは、サーバ100と通信可能になる一つ又は複数のスマートフォン、パソコン等のユーザ端末200を有してもよい。
【0044】
図1に示すように、ユーザ端末200は、ユーザの利用する自治体を識別するための識別情報とユーザからの質問を送信する送信部210と、ユーザの利用する自治体を識別したサーバ(情報処理装置の一例である。)から、当該自治体における質問に対応する共通質問、共通質問に対する自治体回答及び共通質問に紐づけられた自治体リンク先情報を受信する受信部220と、を有してもよい。識別情報は、ユーザ端末200がある自治体のWEBサイトにアクセスしたという情報であってもよく、この場合には当該ある自治体のWEBサイトを閲覧したいものと識別部10が判断することになる。
【0045】
図5を用いて一例を説明する。
図5の左側に示すように、ユーザ端末200から質問が入力されてもよい(
図5では「ゴミの分別について」という質問が入力されている。)。このように質問が入力されると、関連の高い共通質問が制御部50で判断されてユーザ端末200で表示される。関連の高い共通質問が複数ある場合には、
図5の(1)に示すよう
に複数の候補が選択肢として端末装置の端末表示部で表示されてもよい。
【0046】
選択肢が表示された場合には、ユーザである住民が当該選択肢から質問したい内容を選択してもよい(
図5では「紙類の拠点回収」という質問が選択されている。)。このように質問が選択されると、選択された質問についての回答がユーザ端末200で表示されてもよい。この際、当該住民が住んでいる自治体のリンク先情報であって、上記回答に関連したリンク先情報が表示されてもよい。
【0047】
本実施の形態の読込部10、記憶部20、出力部30、ログ解析部40、検索部80等の各部材は、一つ又は複数のICチップ又は電子モジュール等で実現されてもよいし、回路構成によって実現されてもよい。
【0048】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。
【0049】
本実施の形態において、共通質問と、共通質問に対する自治体毎の回答及び自治体毎のリンク先情報とを記憶し、識別されたユーザの利用する自治体における回答及びリンク先情報を出力する態様を採用した場合には、共通質問を用いつつも信頼性の高いリンク先情報にユーザを導くことができる。つまり、本態様によれば、簡易な共通質問を用いつつもユーザを別途準備されている自治体毎のURLへと導くことができる。このため、低コス
トで、信頼性の高い情報をユーザに提供できる。
【0050】
記憶部20が複数の第一自治体回答及び複数の第二自治体回答を記憶し、複数の第一自治体回答が複数の第二自治体回答において共通する態様を採用した場合には、質問への回答も少なくとも一部において共通化させることができる。
【0051】
同じサービスを利用する母体を大きくすることで(例えば100~200の自治体で利用できるので)、導入コスト及びランニングコストを低く抑えることができる。自治体は法律に基づいて業務を行っているので、質問に対する回答を自治体間で共通することが比較的多い。なお、自治体毎に本実施の形態と同様のシステムを導入するには1000万円~2000万円の導入コストと年間500万円のランニングコストが必要になるが、本態様を例えば50自治体が採用した場合には、1自治体あたりの導入コストを例えば100万円とし、ランニングコストを100万円とすることも可能になり、劇的にコストを抑えることができる。
【0052】
また、複数自治体で共通のサービスを利用することで、機械学習の成果(回答精度の向上)や新たな制度対応等を、単独の自治体で行う場合よりも迅速に行うことができる点でも有益である。
【0053】
出力部30がユーザからの自治体サービスに関する質問に対して最終的にはリンク先情報を出力する態様を採用した場合には、最終的にはユーザが別途準備されているURLへと導かれることから、ユーザは信頼できる情報に到達することができる。また最終的にリンク先情報を出力する態様を採用することで、回答を簡易化することができ、共通質問に対する共通の回答(共通回答)を用いることができる。全回答のうち共通回答の占める割合が高くなればなるほど導入コスト及びメンテナンスコストを抑えることができる点で有益である。また自治体の担当者もリンク先情報だけを正確なものにしておけば足りることから、作業負荷をかけることなくきめ細やかな行政サービスを提供できる。一例としては、共通回答は全回答のうちの80%以上を占めてもよく、90%以上を占めていることがより有益である。また複数の自治体において全回答が共通回答であってもよい。
【0054】
なお、本実施の形態の情報処理装置では「雑談」が提供されてもよいが、本実施の形態の「質問」については「雑談」は含まれない。「雑談」とは行政サービスに関するものではなく、例えばシステムの名前を質問したり、システムの年齢・性別を質問したりするものである。つまり、本実施の形態において「質問」とは行政サービスに関する「回答」に繋がるものを意味し、当該「質問」に対しては最終的に必ずリンク先情報が表示されるようにしてもよい。なお、リンク先情報としてはコールセンターへのアクセス情報が表示されてもよく、どうしても回答できない場合にコールセンターへのアクセス情報が表示されるようにしてもよい。
【0055】
記憶部20が、狭域自治体に関する狭域自治体情報と、当該狭域自治体を包含する広域自治体に関する広域自治体情報とを記憶し、出力部30が、ユーザが第一狭域自治体の住民である場合には第一狭域自治体に関する第一狭域自治体情報と、当該第一狭域自治体を包含する第一広域自治体に関する第一広域自治体情報を優先的に出力する態様を採用した場合には、ユーザは自己が居住している自治体の情報に優先的にアクセスすることができる。一例としては、パスポート、免許証は都道府県の管理下に置かれている。このため、パスポートや免許証についての質問を受けた際には、広域自治体情報である都道府県情報にユーザを導き、都道府県におけるリンク先情報を最終的に表示するようにしてもよい。ユーザである住民にとっては管轄がどこかということはあまり重要ではないし、そもそも知らないことが多い。この点、本態様を採用した場合には、管轄が異なるという理由でユーザからの質問を受け付けないという事態が生じることを防止し、より良い行政サービス
を提供できる。
【0056】
ユーザがどの自治体に居住しているかはユーザ端末200の位置情報からユーザの利用する自治体が識別部10で識別されるようにしてもよい。また、ユーザ端末200毎のID情報が記憶部20で記憶されており、ユーザ端末200のID情報からユーザの利用している自治体が識別部10で識別されてもよい。
【0057】
記憶部20が第一自治体と第一自治体に関連付けられた第一関連自治体との関連情報を記憶し、ユーザが第一自治体の住民である場合には第一自治体に関する第一自治体情報を出力部30が第一優先で出力し、かつ第一関連自治体に関する一つ又は複数の自治体から構成される第一関連自治体情報を第二優先で出力する態様を採用した場合には、ユーザの居住している自治体に関する情報を第一優先で取得し、また当該自治体に関連性の高い関連自治体に関する情報を第二優先で取得することができる。
【0058】
上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。
【符号の説明】
【0059】
10 識別部
20 記憶部
30 出力部
50 制御部
100 サーバ
200 ユーザ端末
210 送信部
220 受信部