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  • 特許-計測装置 図1
  • 特許-計測装置 図2
  • 特許-計測装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
   B61L 25/02 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B61L25/02 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020012544
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021116030
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2020-12-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(72)【発明者】
【氏名】戸村 雄一郎
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】河端 賢
【審判官】倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-59315(JP,A)
【文献】特開2013-25523(JP,A)
【文献】特開2012-14351(JP,A)
【文献】国際公開第2013/088620(WO,A1)
【文献】特開2016-63455(JP,A)
【文献】特開2019-156019(JP,A)
【文献】国際公開第92/05058(WO,A1)
【文献】特開2000-190847(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106548451(CN,A)
【文献】特開2016-62414(JP,A)
【文献】特開2005-271765(JP,A)
【文献】特開2005-346324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内部を撮影し、当該車両の内部の画像を生成する撮影部と、
前記生成された画像に基づいて、前記車両の乗客数を算出する乗客数算出部と、を有し、
前記乗客数算出部は、前記車両の内部全体を、複数の領域に重複なく区分けし、当該複数の領域の各々における乗客数を算出する、計測装置。
【請求項2】
前記複数の領域の数は、前記車両の乗降用ドアの数と同じであり、
前記乗客数算出部は、前記複数の領域の各々に前記車両の乗降用ドアの1つが含まれるように、前記車両の内部全体を前記複数の領域に重複なく区分ける、請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記撮影部は、前記複数の領域ごとに設置された複数のカメラを含み、
前記複数のカメラの各々は、前記複数の領域のうちの当該カメラが設置された領域を撮影する、請求項1または2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記算出された乗客数に基づき、前記車両の乗車率を算出する乗車率算出部をさらに有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の計測装置。
【請求項5】
前記複数の領域の各々における乗客数に応じて、前記車両の空調装置を制御する、請求項1から4のいずれか一項に記載の計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗車率を計測する計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両における乗車率は、台車と車両本体の間に設けられる枕ばねとして用いられる空気ばねにかかる圧力に基づいて算出されている。例えば、特許文献1は、空気ばねにかかる圧力に基づいて乗車率を算出する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平1-197615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の方法で得られる乗車率は、空気ばねにかかる圧力の値以外にも、乗客の平均体重などにも基づいており、精度が低かった。
【0005】
そこで、本発明は、高精度の乗車率を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明における計測装置は、車両の内部を撮影し、当該車両の内部の画像を生成する撮影部と、前記生成された画像に基づいて、前記車両の乗客数を算出する乗客数算出部と、を有する。前記乗客数算出部は、前記車両の内部を、複数の領域に区分けし、当該複数の領域の各々における乗客数を算出するようにしても良い。前記複数の領域の数は、前記車両の乗降用ドアの数と同じであり、前記乗客数算出部は、前記複数の領域の各々に前記車両の乗降用ドアの1つが含まれるように、前記車両の内部を前記複数の領域に区分けるようにしても良い。前記撮影部は、前記複数の領域ごとに設置された複数のカメラを含み、前記複数のカメラの各々は、前記複数の領域のうちの当該カメラが設置された領域を撮影するようにしても良い。前記計測装置は、前記算出された乗客数に基づき、前記車両の乗車率を算出する乗車率算出部をさらに有するようにしても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、高精度の乗車率を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る計測装置100を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る計測装置100における処理動作を示す図である。
図3】鉄道車両RVの内部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<計測装置100>
図1は、本発明の一実施形態に係る計測装置100を示す図である。計測装置100は、撮影部110と、制御部120と、を有している。
【0010】
撮影部110は、鉄道車両内に設置されたカメラ111を含み、鉄道車両の内部を撮影し、この鉄道車両の内部の画像を生成する。カメラ111は、例えば、RGBカメラである。カメラ111は、例えば、鉄道車両内のドアの上などに設置された車内表示器の内部や、鉄道車両内の天井に設置された車内灯の内部などに設置される。
【0011】
制御部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを有するコンピュータにより構成される。制御部120は、例えば、車内表示器の内部に設置される。制御部120は、乗客数算出部121と、乗車率算出部122と、を有する。
【0012】
乗客数算出部121は、撮影部110により生成された鉄道車両の内部の画像を取得し、取得した鉄道車両の内部の画像に基づき、鉄道車両内の乗客数を算出する。乗客数算出部121は、例えば、YOLO(You Look Only Onse)アルゴリズムなどの周知の物体検出アルゴリズムを用いて、鉄道車両の内部の画像を解析し、鉄道車両内の画像に存在する人を検出することで、鉄道車両内の乗客数を算出する。撮影部110は、常時撮影を行っていても良いし、所定のタイミングにのみに撮影部110が撮影を行うように、制御部120が撮影部110を制御するようにしても良い。
【0013】
乗車率算出部122は、乗客数算出部121により算出された鉄道車両内の乗客数と、鉄道車両の定員と、に基づいて、鉄道車両の乗車率を算出する。
【0014】
このように、本実施形態では、鉄道車両内の画像に基づき、鉄道車両内の乗客数を算出し、この算出された乗客数を用いて、乗車率を算出している。このため、本実施形態では、高精度の乗車率を得ることが可能である。
【0015】
図2は、本実施形態に係る計測装置100における処理動作を示す図である。乗客数算出部121は、撮影部110により撮影された鉄道車両の内部の画像を取得する(S201)。乗客数算出部121は、取得した画像に基づいて、鉄道車両内の乗客数を算出する(S202)。
【0016】
<混雑分布>
図3は、鉄道車両RVの内部を示す図である。乗客数算出部121は、図3に示すように、鉄道車両RVの内部を、複数の領域に区分けし、この複数の領域の各々における乗客数を算出するようにしても良い。図3の例では、鉄道車両の内部は、8つの領域A1~A8に区分けられている。このようにすることで、鉄道車両内の領域ごとの乗客数(鉄道車両内での混雑分布)がわかるようになる。
【0017】
例えば、混雑分布の情報を、鉄道車両内の空調を行う空調装置を制御する制御装置に送信した場合、この制御装置は、混雑分布に応じて、空調装置を制御することが可能になる。例えば、乗客数が多い領域への送風が、乗客数が少ない領域への送風に比べて強くなるように、空調装置を制御するようにすることなどが可能になる。
【0018】
また、乗客数算出部121は、鉄道車両RVの内部を複数の領域に区分けるときに、複数の領域の数が鉄道車両の乗降用ドアの数と同じになるようにし、図3に示すように、各領域に1つの乗降用ドアが含まれるようにすると良い。例えば、図3に示した例では、鉄道車両RVには8つの乗降用ドアEDが設置されており、8つの領域A1~A8の各々に1つの乗降用ドアEDが含まれている。このようにすることで、各乗降用ドアED付近での混雑状況が知ることが可能になる。
【0019】
例えば、この混雑分布の情報を、プラットホームに設置される発車標などの案内表示装置に送信し、この案内表示装置に鉄道車両の混雑分布、例えば、乗降用ドアごとの乗客数や混雑具合を表示した場合、プラットホームで鉄道車両の到着を待つ客に各乗降用ドアの混雑状況を知らせることが可能になる。結果、プラットホームで鉄道車両の到着を待つ客は、事前に混雑していない乗降用ドア付近に移動することが可能になり、混雑していない領域に乗車することが可能になる。
【0020】
撮影部110は、1つのカメラ111のみを含むようにすると良い。このようにすることで、コストを抑えることで可能になる。撮影部110が1つのカメラ111のみを含む場合は、例えば、カメラ111が魚眼レンズを用いて鉄道車両の内部を撮影するようにすると良い。
【0021】
また、撮影部110は、複数のカメラ111を含むようにしても良い。この場合は、複数の領域の各々に、1つのカメラ111が設置されるようにし、複数のカメラ111の各々は、このカメラ111が設置された領域を撮影するようにすると良い。
【0022】
また、このとき、カメラ111を乗降用ドアEDの上部に設置するようにすると良い。特に、カメラ111は、乗降用ドアEDの上部に設置された車内案内器内に設置するようにすると良い。
【0023】
上記では、乗客数、乗車率を計測する対象を鉄道車両としているが、乗客数、乗車率を計測する対象は、バスなどの他の車両であっても良い。
【0024】
<都市間鉄道の車両>
通勤型(短距離)鉄道や地下鉄などでは、多くの乗客が乗車できるようにロングシートが使用されており、立って乗車する乗客も存在する。一方、都市間鉄道の車両などの中長距離を走る鉄道の車両では、基本、立って乗車することは考慮されておらず、乗客がゆったりと移動ができるようにクロスシートが使用されている。
【0025】
そこで、計測装置110が都市間鉄道の車両などに設置されるときは、制御部120は、撮影部110により生成された鉄道車両の内部の画像を取得し、取得した鉄道車両の内部の画像に基づき、車内に設置された座席のうちの空席を検出するようにしても良い。この空席の情報を、プラットホームに設置される発車標などの案内表示装置に送信し、この案内表示装置に鉄道車両の空席の情報を表示した場合、プラットホームで鉄道車両の到着を待つ客に鉄道車両の空席の状況を知らせることが可能になる。結果、プラットホームで鉄道車両の到着を待つ客は、事前に空席がある車両が停車する位置に移動することが可能になり、座席に座って乗車することが可能になる。
【0026】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載した本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0027】
100 計測装置
110 撮影部
120 制御部
121 乗客数算出部
122 乗車率算出部
図1
図2
図3