(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】パーティション
(51)【国際特許分類】
E04B 2/82 20060101AFI20240404BHJP
E04B 2/72 20060101ALI20240404BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
E04B2/82 501G
E04B2/72 A
E04B2/74 541H
E04B2/74 541K
E04B2/74 541L
E04B2/82 501L
E04B2/82 511H
E04B2/82 511L
(21)【出願番号】P 2020030380
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000105693
【氏名又は名称】コマニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】浪川 由基
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大輔
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-186905(JP,A)
【文献】実開昭49-108211(JP,U)
【文献】特開昭50-071118(JP,A)
【文献】特公昭54-032273(JP,B2)
【文献】特開2001-003553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72, 2/74, 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に支持した天井レール、又は床に支持した床レールにそれぞれ固定される横フレームを介して複数のパネルを連結方向に連結したパーティションであって、
前記パネルは、対をなして前記パーティションの厚みを規定する幅方向に離間して対向配置され、当該一対のパネルの高さ方向における端部がそれぞれ前記横フレームに支持されており、
前記幅方向に離間して前記一対のパネルの外側に対向配置され、前記横フレームに前記連結方向に亘って支持される一対のカバーレールを備え、
前記一対のカバーレールは、前記高さ方向において、それぞれ前記横フレームを前記連結方向に亘って覆う位置に配置され
、
前記一対のカバーレールの両側部と前記横フレームの両側部との間には、それぞれ前記パーティションのユーティリティスペースが形成される、パーティション。
【請求項2】
前記一対のカバーレールは、これらの両側部からそれぞれ前記パネルの外面に沿う向きに傾斜した第1傾斜面部を有する、請求項1に記載のパーティション。
【請求項3】
前記横フレームは、前記幅方向において、前記一対のカバーレールの間に配置されるとともに、前記カバーレールの前記第1傾斜面部と前記パネルの前記端部とに少なくとも近接して配置される、請求項2に記載のパーティション。
【請求項4】
前記横フレームに取り付けられ、前記横フレームに前記一対のカバーレールをそれぞれ前記連結方向に亘って支持させる一対の取付ベースを備え、
前記一対のカバーレールは、前記高さ方向において、それぞれ前記横フレーム及び前記取付ベースを前記連結方向に亘って覆う位置に配置される、請求項1から3の何れか一項に記載のパーティション。
【請求項5】
前記カバーレールを前記取付ベースに対して支持する支持機構を有し、
前記支持機構は、前記カバーレールを前記取付ベースに対して開閉可能に支持する、請求項4に記載のパーティション。
【請求項6】
前記一対の取付ベースは、これら
の両側部からそれぞれ前記天井又は前記床に沿う向きに傾斜した第2傾斜面部を有し、
前記第2傾斜面部には光源が配置される、請求項4又は5に記載のパーティション。
【請求項7】
前記ユーティリティスペースは、前記一対の取付ベースの両側部と前記一対のカバーレールの両側部との間
にそれぞ
れ確保される、請求項4から6の何れか一項に記載のパーティション。
【請求項8】
前記横フレームに支持されるフレームカバーを備え、
前記フレームカバーは、前記高さ方向から見て、前記一対のパネル間において前記横フレームを覆う位置に配置される、請求項1から7の何れか一項に記載のパーティション。
【請求項9】
前記フレームカバーの外面は、前記カバーレールの端部の端と前記幅方向において実質的に面一である、請求項8に記載のパーティション。
【請求項10】
前記一対のパネルの少なくとも一方はガラスパネルである、請求項1から9の何れか一項に記載のパーティション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーティションに関し、特に、複数のパネルを連結方向に連結したパーティションに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、間仕切壁1の下部に、配線・配管空間を有する中空フレーム構造を形成した間仕切壁構造が開示されている。中空フレーム構造を構成する下部フレーム2の表面側には、上記空間を隠蔽する着脱カバー9が設けられている。また、間仕切壁1の上部には、高さ調整部材10と、高さ調整部材10の表面側を隠蔽する着脱カバー17とが設けられ、この着脱カバー17には換気ダクト16が貫通されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パーティションは、天井に支持した天井レール、又は床に支持した床レールにそれぞれ固定される横フレームを介して複数のパネルを連結方向に連結することにより形成される。特許文献1に記載の間仕切壁1は、パーティションを構成するパネルである。また、パネルの上下端部に設けた着脱カバー9、17は、天井及び床との隙間を調整し、当該隙間を隠蔽するための部材であって、住宅内装のインテリア建材として用いられる、いわゆる巾木、笠木としての機能を有することが求められる。
【0005】
しかしながら、特許文献1の
図1に示されるように、着脱カバー9には配線・配管を引き出し可能に形成された引出し孔9aが形成されている。一方、着脱カバー17には、換気ダクト16が貫通し、さらに換気ダクト16を通すための通し孔17aが形成されている。また、着脱カバー9、17は、間仕切壁1毎、つまりパネル毎に個別に配置されている。従って、複数のパネルを連結方向に連結したパーティションにおいて、巾木及び笠木として機能する着脱カバー9、17に、連結方向において継ぎ目が存在し、孔が形成され、貫通物が存在することとなり、これではパーティション全体のデザインが著しく損われる。
【0006】
特に、種々のオプションを用意したパーティションでは、パネル及びその支持部材が異なる場合が多い。従って、パネルの上下端部、つまり、巾木及び笠木として機能する部分において、段差部分が形成されたり、パネル以外の支持部材が露出したり、さらには前述したように継ぎ目、孔、貫通物などが存在すると、デザインにおける統一感が損われ、パーティションに同一シリーズ商品であることを容易に認識可能な付加価値を付与するのは困難である。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、種々のオプションを用意した場合であっても、デザインにおける統一感を創出することができ、同一シリーズ商品であることを容易に識別可能な付加価値を付与することができるパーティションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するべく、本発明のパーティションは、天井に支持した天井レール、又は床に支持した床レールにそれぞれ固定される横フレームを介して複数のパネルを連結方向に連結し、パネルは、対をなしてパーティションの厚みを規定する幅方向に離間して対向配置され、当該一対のパネルの高さ方向における端部がそれぞれ横フレームに支持されており、幅方向に離間して一対のパネルの外側に対向配置され、横フレームに連結方向に亘って支持される一対のカバーレールを備え、一対のカバーレールは、高さ方向において、それぞれ横フレームを連結方向に亘って覆う位置に配置され、一対のカバーレールの両側部と横フレームの両側部との間には、それぞれパーティションのユーティリティスペースが形成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパーティションによれば、種々のオプションを用意した場合であっても、デザインにおける統一感を創出することができ、同一シリーズ商品であることを容易に識別可能な付加価値を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るパーティションの設置状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態において、
図1の天井レールと一対のパネルとの連結部分を示す縦断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態において、
図1の床レールと一対のパネルとの連結部分を示す縦断面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態において、
図1の床レールと一対のパネルとの連結部分を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態に係るパーティションを図面に基づき説明する。
図1は、パーティション1の設置状態における斜視図を示す。パーティション1は、室内等に設置され、複数のパネル2をこれらの連結方向Xに連結して空間を仕切る間仕切りである。個々のパネル2は、上下方向Yにおける上下端部において、横フレーム10を介して天井レール3及び床レール4にそれぞれ支持される。
【0012】
連結方向Xに隣り合うパネル2は、これらの連結部分に位置するそれぞれの側端部2aにおいて、側端部2aの内方に隠蔽された図示しない縦フレームを介して互いに連結される。縦フレーム及び横フレーム10は複数設けられ、これらを互いに組み合わせることによりパネル2を支持するための四方枠体を形成する。
【0013】
本実施形態のパーティション1は、パネル2として、一対のガラスパネル(内側パネル)30及び一対のプレーンパネル(外側パネル)を備え、これらのパネル2を連結方向Xに連結して構成されている。
図1に示すガラスパネル30は、例えば2枚のガラス板30aを継ぎ目30bにおいて接着等して形成されている。プレーンパネルは、例えば鋼板に石膏ボードを接着等して形成された一般的なパネルである。なお、以下、ガラスパネル30を単にパネル30と称することもあり、パネル30を含む種々のパネルを総称してパネル2と称することもある。
【0014】
図1に示すパーティション1は、一対のパネル(プレーンパネル)2、一対のガラスパネル30、一対のパネル(プレーンパネル)2をこれらの順に直線状に連結(I字型連結)した、いわゆる1ウェイ方式の連結構造となっている。天井レール3は、図示しない天井にねじ止め等(以下、単に固定手段ともいう)で固定され、床レール4は、図示しない床に固定手段で固定される。
【0015】
図1で見て左右両端に位置する一対のパネル2の側端部2aは、図示しない他のパネル2に連結しても良いし、図示しない壁に固定しても良いし、或いは、図示しないカバー部材を装着しても良い。パーティション1は、
図1に示した1ウェイ方式の他に、2ウェイ方式(L字型連結)や3ウェイ方式(T字型連結)等のパネル連結構造を採用することもできる。
【0016】
縦フレームは、パーティション1の高さ方向、つまり上下方向Yに延設され、その上下端部がそれぞれ天井レール3と床レール4とに固定手段で固定される。横フレーム10は、連結方向Xに延設され、その長手方向に亘って天井レール3と床レール4とにそれぞれ固定手段で固定される。パーティション1の仕様に応じてパネル2の上下方向Yの途中に横フレーム10を配置しても良く、この場合、横フレーム10は縦フレームに対して適宜固定される。
【0017】
<第1実施形態>
図2は、第1実施形態における、天井レール3と一対のパネル30との連結部分の縦断面図を示す。天井レール3は、下側開口の断面略U字状の外縁を有しており、固定手段により連結方向Xに亘って天井5に支持される。この固定手段は、例えば図示するような固定レール6とビス7とにより構成される。
【0018】
連結方向Xは、
図2に示していないが、
図2の手前側と奥側との間における方向であり、上下方向Y及び幅方向Zの双方と直交する方向である。一対のパネル30は、パーティション1の厚みDを規定する幅方向Zに離間して対向配置され、これらの上端部31が横フレーム10に連結方向Xに亘って支持される。
【0019】
図2に示していないが、一対のパネル(プレーンパネル)2は、幅方向Zに離間するとともに、一対のパネル30よりも幅方向Zの外側において連結方向Xにてパネル30と側端部2aが重なる位置で対向配置される。一対のプレーンパネル2と一対のガラスパネル30とは、これらの連結方向Xにおける側端部2aが図示しないスタッドを介して縦フレームに上下方向Yに亘って支持される。スタッドは、上下方向Yに延設され、その上下端部が天井レール3と床レール4とに固定手段で固定され、縦フレームとともに、パーティション1の上下方向Yにおける剛性を確保するための支柱として機能する。
【0020】
横フレーム10は、幅方向Zに対向する一対の固定部11と、一対の固定部11を連結する連結部12と、固定部11の天井5側にて幅方向Zに対向する一対の取付部13とを有して一体に形成されている。一対の固定部11、連結部12、及び一対の取付部13は、何れも連結方向Xに亘って延設される。
【0021】
個々の固定部11は、下側開口の断面略U字状をなし、幅方向Zに対向する外側壁14及び内側壁15と、パネル30の上端部31の上端面が対向する対向壁16とを有する。外側壁14と内側壁15とにより形成される開口縁には、係合突起17が連結方向Xに亘って形成され、係合突起17にはパッキン18が装着される。
【0022】
外側壁14と内側壁15との間にパネル30の上端部31を嵌め込むことにより、係合突起17に装着されたパッキン18を介してパネル30が横フレーム10に強固に且つ気密に固定される。このように、パネル30は、対をなして幅方向Zに離間して対向配置され、一対のパネル30は、これらの高さ方向、つまり上下方向Yにおける端部のうちの上端部31がそれぞれ横フレーム10の固定部11に支持される。後で
図3において説明するが、一対のパネル30の下端部も同様に、床レール4側の横フレーム10に支持される。
【0023】
連結部12は、下側開口の断面略U字状をなし、幅方向Zにて対向する各固定部11の内側壁15を幅方向Zにおいて接続する形状を有する。詳しくは、連結部12は、一対の側壁19と、一対の側壁19の間を幅方向Zにおいて接続する固定壁20とを有する。側壁19は、隣接する内側壁15から幅方向Zに分岐した後に内側壁15に沿って上方に屈曲して延設される。
【0024】
固定壁20は、固定手段により天井レール3に支持される。この固定手段は、図示するように、例えば、ボルト21、上側ナット22、下側ナット23、受け金具24、及びビス25などから構成される。ボルト21は、天井レール3の一対の側壁3aの間に配置された支持部材3bと横フレーム10の固定壁20とに挿通される。
【0025】
上側ナット22は、ボルト21に螺合され、支持部材3bをボルト21のヘッドとの間でワッシャ26を介して挟持する。下側ナット23は、受け金具24に溶接等の固定手段で取り付けられるとともにボルト21に螺合されている。受け金具24は、ビス25により下側から固定壁20に支持されている。また、一対の側壁19には、後述するフレームカバー80の一対の固定壁81が係止される。ボルト21に対して下側ナット23を螺進することにより、横フレーム10の高さ位置を調整可能である。
【0026】
個々の取付部13は、上側開口の断面略U字状をなし、対向壁16を挟んで幅方向Zに対向する外側壁26及び内側壁27と、内側壁27の上端から幅方向Zの外側に向けて屈曲される端壁28とを有する。内側壁27は、天井レール3の側壁3aに当接、或いは近接される。
【0027】
ここで、本実施形態のパーティション1は、幅方向Zにおける横フレーム10の一対の側部10aに、詳しくは一対の取付部13の外側壁26に、それぞれ取付ベース40が取り付けられている。さらに、一対の取付ベース40の幅方向Zにおける両側部40aには、それぞれカバーレール50が取り付けられている。一対の取付ベース40は、横フレーム10に取り付けられ、横フレーム10に一対のカバーレール50をそれぞれ連結方向Xに亘って支持させる。
【0028】
各取付ベース40及び各カバーレール50は、何れも連結方向Xに亘って延設されている。一対のカバーレール50は、幅方向Zに離間して一対のパネル30の外側に対向配置され、横フレーム10に取付ベース40を介して連結方向Yに亘って支持される。また、一対のカバーレール50は、上下方向Yにおいて、それぞれ横フレーム10の両側部10aと一対の取付ベース40の両側部40aとを連結方向Xに亘って覆う位置に配置されている。各カバーレール50は、隣り合うパネル2の継ぎ目においても途切れることなく連続して延設される。
【0029】
取付ベース40は上部が幅方向Zの内側に屈曲した断面形状を有し、カバーレール50は下部が幅方向Zの内側に屈曲した断面形状を有する。また、一対のカバーレール50を一対の取付ベース40に対して支持する支持機構60が設けられている。支持機構60は、連結方向Xに亘って形成される凹条部61と、凹条部61にその幅方向Zの外側から嵌合可能な凸条部62とを有する。
【0030】
凹条部61は、取付ベース40の屈曲部において
図2で見て幅方向Zの外側に突出して形成され、この突出部の斜め上外側が連結方向Xに切り欠かれた断面円弧の形状を有する。一方、凸条部62は、カバーレール50の側部50aの幅方向Zの内側に突出して形成され、この突出部の内側が連結方向Xに亘って切り欠かれた断面円弧の形状を有する。
【0031】
凹条部61に対して凸条部62を嵌め込むことにより、カバーレール50が取付ベース40に回動可能に、換言すると、カバーレール50が取付ベース40に対して開閉可能に支持される。また、支持機構60は、凹条部61及び凸条部62よりも下側に係止部63を有している。
【0032】
係止部63は、いわゆるスナップフィットによって取付ベース40とカバーレール50とを互いに係止可能な凸条部から構成されている。これにより、連結方向Xに亘って取付ベース40に対するカバーレール50の幅方向Zにおける移動が規制される。さらに、支持機構60は、上下方向Yの凹条部61及び凸条部62と係止部63との間において、カバーレール50の側部40aと取付ベース40の取付部13の外側壁26とを固定するビス64を有する。
【0033】
このような凹条部61及び凸条部62、係止部63、及びビス64による固定手段を備えた支持機構60は、地震等により天井5や床が揺れたとしても、カバーレール50への振動及び変位の伝達を抑制するとともに、カバーレール50の脱落を効果的に防止する。また、カバーレール50を凹条部61及び凸条部62を支点として開放することにより、パーティション1の設置に係る組み立てやメンテナンスを容易に行うことができる。
【0034】
また、一対のカバーレール50は、これらの両側部50aからそれぞれ連続した第1傾斜面部51を有する。第1傾斜面部51は、パネル30の下方且つ内方に向けて、換言すると、側部50aからパネル30の外面32に沿う向きに傾斜している。第1傾斜面部51の下端には、横フレーム10の外側壁14、換言すると側部10aが当接、或いは近接される。さらには、パネル30の上端部31の内面34には、固定部11の外側壁14、換言すると側部10aが当接、或いは近接して位置付けられる。
【0035】
すなわち、横フレーム10は、一対のカバーレール50の間に配置されるとともに、幅方向Zにおいて、カバーレール50の第1傾斜面部51の下端とパネル30の上端部31とに少なくとも近接して配置される。これにより、パネル30の上端部31を横フレーム10の固定部11に嵌め込んだ状態で上下方向Yの下側から見たとき、パッキン18の端面がわずかに見える程度であり、パネル30の上端部31とカバーレール50との間に大きな段差部分や大きな隙間が見えることはない。
【0036】
また、一対の取付ベース40は、これらの両側部40aからそれぞれ連続した第2傾斜面部41を有する。第2傾斜面部41は、パネル30の上方且つ外方に向けて、換言すると、側部40aから天井5に沿う向きに傾斜している。第2傾斜面部41には、LED(発光ダイオード、光源)70が配置されている。LED70は、発する光が天井5の下面を斜め下方から照らす間接照明として機能する。
【0037】
また、一対の取付ベース40の両側部40aと一対のカバーレール50の両側部50aとの間には、それぞれパーティション1のユーティリティスペース71が確保されている。ユーティリティスペース71は、パーティション1に種々のオプションを付与するための用途に利用され、例えばLED70に給電するための図示しないリード線が配策される。
【0038】
さらに、横フレーム10にはフレームカバー80が支持されている。フレームカバー80は、上下方向Yから見て、一対のパネル30の間において横フレーム10の主として連結部12を覆う位置に配置される。詳しくは、フレームカバー80は、幅方向Zに離間した一対の固定壁81と、横フレーム10の主として連結部12を覆うカバー壁82とから形成される。
【0039】
一対の固定壁81は、係止部83において横フレーム10に係止により固定される。係止部83は、固定壁81の上端を幅方向Zの外側に屈曲させた突起部84と、横フレーム10の連結部12の側壁19の内側面に形成された段差部85とから構成される。フレームカバー80の固定壁81を横フレーム10に嵌め込んだとき、突起部84を段差部85に係止させることにより、フレームカバー80が横フレーム10に連結方向Xに亘って脱落しないで支持される。
【0040】
カバー壁82は、連結方向Xに亘って延設され、その幅方向Zの幅は一対のパネル30の離間距離に略等しい。カバー壁82の幅方向Zの外側両端には、横フレーム10側、すなわち上側に折り曲げられた折曲爪86が形成されている。これらの折曲爪86は、対向するパッキン18に当接、或いは近接される。
【0041】
フレームカバー80のカバー壁82の外面87は、カバーレール50の下端部の端、換言すると第1傾斜面部51の下端と、幅方向Zにおいて実質的に面一である。
図2に示した外面87は、第1傾斜面部51の下端よりも下側に若干突出して位置付けられているが、この突出幅は許容範囲であり、実質的に面一の範囲に収まるものである。
【0042】
図3は、第1実施形態の場合における、床レール4と一対のパネル30との連結部分の縦断面図を示す。なお、以下の
図3についての説明は、主として
図2の場合と異なる構成を説明し、
図2の場合と同様の構成については図面に同じ符号を付すなどして説明を省略することがある。例えば、
図3に示す横フレーム10、取付ベース40、カバーレール50、及びフレームカバー80は、
図2に示す該当部材と同一部材であり、
図2の場合から上下反転して用いられる。
【0043】
床レール4は、上側開口の断面略U字状の外縁を有しており、固定手段により連結方向Xに亘って床90に支持される。この固定手段は、例えば図示するように、ボルト91を床90にカールプラグ92を介して打ち込むことにより実行される。
図3の場合、一対のパネル30の下端部33は、それぞれガラスライナー93、支持レール94を順に介して横フレーム10の固定部11に連結方向Xに亘って支持される。
【0044】
床レール4の一対の側壁4aの間には、パーティション1の高さ調整を行うためのアジャスターセット95が配置されている。アジャスターセット95は、支持部材97、皿ねじ98、及び六角ナット99などから構成されている。支持部材97は横フレーム10の連結部12の固定壁20にビス96で締結され、皿ねじ98のヘッドは固定壁20に当接される。六角ナット99には皿ねじ98が螺合され、皿ねじ98を上下に螺進させることによりパーティション1の高さ調整が可能である。
【0045】
また、
図3の場合には、
図2の場合と同様に、一対のカバーレール50は、上下方向Yにおいて、それぞれ横フレーム10及び取付ベース40を連結方向Xに亘って覆う位置に配置される。また、一対のカバーレール50は、パネル30の外面32に沿う向きに傾斜した第1傾斜面部51を有する。また、横フレーム10は、幅方向Zにおいて、一対のカバーレール50の間に配置されるとともに、カバーレール50の第1傾斜面部51とパネル30の上下端部31、33とに少なくとも近接して配置される。
【0046】
また、一対のカバーレール50は、支持機構60により取付ベース40に開閉可能に支持される。また、一対の取付ベース40は、床90に沿う向きに傾斜した第2傾斜面部41を有し、第2傾斜面部41にはLED70が配置される。また、一対の取付ベース40と一対のカバーレール50との間には、それぞれ、LED70のリード線の配策などに用いられるユーティリティスペース71が確保されている。
【0047】
さらに、フレームカバー80は、上下方向Yから見て、一対のパネル30間において横フレーム10を覆う位置に配置されており、フレームカバー80の外面87は、カバーレール50の端部の端、すなわち第1傾斜面部51の下端と幅方向Zにおいて実質的に面一である。
【0048】
以上のように、本実施形態では、一対のカバーレール50は、上下方向Yにおいて、それぞれ横フレーム10及び取付ベース40を連結方向Xに亘って覆う位置に配置される。これにより、パネル30の上下端部31、33、つまり、巾木及び笠木として機能する部分に、段差部分が形成されたり、支持部材が露出したりしても、カバーレール50で覆って隠すことができ、また、隣り合うパネル30の継ぎ目は上下端部31、33に存在しないこととなる。
【0049】
この態様は、パーティション1に、巾木及び笠木としてのデザイン性を向上した、いわばデザインレールともいうべきカバーレール50を採用したことにより成し得たものである。従って、種々のオプションを用意した場合であっても、デザインにおける統一感を創出することができ、同一シリーズ商品であることを容易に識別可能な付加価値を付与することができるパーティション1を提供することができる。
【0050】
また、一対のカバーレール50は、パネル30の外面32に沿う向きに傾斜した第1傾斜面部51を有する。第1傾斜面部51の材質、質感、色、柄等を考慮することにより、一対のカバーレール50と一対のパネル30との連結部分に一続きのデザイン面を形成することができる。このため、パーティション1にさらなるデザインの統一感が付与され、さらに、第1傾斜面部51により形成された陰影により、メリハリのある、より一層立体的なデザインのパーティション1を実現することができる。
【0051】
また、横フレーム10は、幅方向Zにおいて、一対のカバーレール50の間に配置されるとともに、カバーレール50の第1傾斜面部51の下端とパネル30の上下端部31、33とにそれぞれ少なくとも近接して配置される。これにより、パーティション1を上下方向Xから見たとき、パッキン18の端面がわずかに見える程度であり、カバーレール50とパネル30との間に大きな段差部分及び大きな隙間は存在せず、一対のパネル30と一対のカバーレール50とを連結する横フレーム10を一対のカバーレール50で覆って隠すことができる。
【0052】
この態様は、パーティション1に、パネル30とカバーレール50とから構成された、いわばビルトインレイヤー構造を採用したことにより成し得たものである。従って、一対のカバーレール50の間から、一対のパネル30が横フレーム10を介さないで単独で上下方向Yに延在したような外観を実現することができる。さらには、パーティション1に、パネル30とカバーレール50との重ね合わせによる陰影に基づく立体感と重厚感とを持たせることができる。
【0053】
これにより、複数のバリエーションを有するパーティション1において、デザイン的に余計な部材を一切見せないようにし、従来よりも、より一層すっきりとした、洗練された外観のパーティション1を実現することができる。従って、種々のオプションを用意したパーティション1であっても、デザイン的に余計な部材が露出せず、デザインにおける統一感を創出することができるため、パーティション1に同一シリーズ商品であることを容易に識別可能な付加価値を付与することができる。
【0054】
また、カバーレール50は支持機構60において取付ベース40に対し開閉可能に支持される。このため、カバーレール50の脱落を効果的に防止しつつ、カバーレール50を開放してパーティション1の組み立てやメンテナンスに係る作業を行うことが可能となり、パーティション1の設置性及びメンテナンス性を向上することができる。
【0055】
また、一対の取付ベース40は、天井5又は床90に沿う向きに傾斜した第2傾斜面部41を有し、第2傾斜面部41にはLED70が配置される。これにより、パーティション1に天井5又は床90に対する間接照明のオプションを用意することが可能となる。このため、光色、照光態様などを考慮した間接照明の演出によって、パーティション1のデザインにおける統一感をさらに効果的に創出することができる。従って、パーティション1に同一シリーズ商品であることを容易に識別可能な付加価値を付与することができる。
【0056】
また、一対の取付ベース40と一対のカバーレール50との間には、それぞれユーティリティスペース71が確保されている。これにより、デザインにおける統一感を損なう部材をユーティリティスペース71に収容して隠しながら、パーティション1に種々のオプションを用意することができる。従って、パーティション1に同一シリーズ商品であることを容易に識別可能な付加価値をより一層効果的に付与することができる。
【0057】
また、フレームカバー80は、上下方向Yから見て、一対のパネル30間において横フレーム10を覆う位置に配置される。これにより、連結方向Xからのみならず、上下方向Yからも横フレーム10等を見えないように隠すことができる。また、フレームカバー80の材質、質感、色、柄等を考慮することにより、カバーレール50の第1傾斜面部51から、ガラスパネル30を通してフレームカバー80の外面87に至る一続きのデザイン面を形成することができる。従って、デザイン的により一層すっきりとした外観のパーティション1を実現することができる。
【0058】
また、フレームカバー80の外面87は、カバーレール50の端部の端、すなわち、第1傾斜面部51の下端と幅方向Zにおいて実質的に面一である。これにより、第1傾斜面部51とフレームカバー80の外面87とをデザイン的に統一すれば、カバーレール50の第1傾斜面部51から、ガラスパネル30を通してフレームカバー80の外面87に至る一続きのデザイン面をより一層一体的に形成することができる。従って、デザイン的により一層すっきりとした、洗練された外観のパーティション1を実現することができる。
【0059】
<第2実施形態>
図4は、第2実施形態における、床レール4と一対のパネル30との連結部分の縦断面図を示す。なお、以下の説明においては、主として第1実施形態と異なる構成を説明し、第1実施形態と同様の構成については図面に同じ符号を付すなどして説明を省略することがある。また、第2実施形態においては、天井レール3と一対のパネル30との連結部分についての説明を省略する。
【0060】
本実施形態のパーティション1は、取付ベース40及び支持機構60を備えておらず、カバーレール50は横フレーム10の固定部11に直接取り付けられる。一対のカバーレール50は、上下方向Yにおいて、それぞれ横フレーム10を連結方向Xに亘って覆う位置に配置される。
【0061】
詳しくは、固定部11の外側壁14には、連結方向Xに亘って、例えば2つの係止部110が形成されている。係止部110は、スナップフィットによって横フレーム10とカバーレール50と互いに係止可能な凸条部から構成される。これにより、連結方向Xに亘って横フレーム10に対するカバーレール50の幅方向Zにおける移動が規制され、さらにはカバーレール50の脱落が防止される。
【0062】
また、LEDなどの光源111が取付ベース112に収容され、取付ベース112は取付部13の外側壁26に固定手段、例えば
図4に示すビス113により締結されている。第1実施形態の場合とは異なり、取付部13の外側壁26は、固定部11の外側壁14から延設されるのではなく、対向壁16の途中から立設されている。また、取付部13の端壁28は、外側壁26の上端から、カバーレール50の側部50aに至るまで幅方向Zにおける外側に向けて延設される。
【0063】
光源111の照光部111aは、カバーレール50の側部50aにより部分的に覆われており、この側部50aと取付部13の端壁28との隙間から、幅方向Zの外側に向けて水平方向に光源111の光が発せられる。また、本実施形態の場合、ユーティリティスペース71は横フレーム10とカバーレール50との間に確保されている。
【0064】
以上のように、本実施形態では、一対のカバーレール50は、上下方向Yにおいて、それぞれ横フレーム10を連結方向Xに亘って覆う位置に配置される。これにより、第1実施形態の場合と同様に、パネル30の上下端部31、33、つまり、巾木及び笠木として機能する部分のデザイン性を向上することができる。従って、種々のオプションを用意した場合であっても、デザインにおける統一感を創出することができ、同一シリーズ商品であることを容易に識別可能な付加価値を付与することができるパーティション1を提供することができる。
【0065】
また、カバーレール50が第1傾斜面部51を有し、また、横フレーム10が幅方向Zにおいてカバーレール50の第1傾斜面部51の下端とパネル30の上下端部31、33とに少なくとも近接して配置される。また、ユーティリティスペース71が確保され、さらに、フレームカバー80が配置される。これらの構成は、第1実施形態の場合と同様であり、本実施形態の場合においても第1実施形態の場合と同様の作用効果を奏する。
【0066】
特に、第2実施形態の場合、光源111の光は幅方向Zの外側に向けて水平方向に発せられる。これにより、第1実施形態の場合のような間接照明ではなく、連結方向Xに亘って水平方向に向けた直線状の光帯をくっきりと演出可能なオプションをパーティション1に用意することができる。このような照明の演出によって、パーティション1のデザインにおける統一感を効果的に創出することが可能であり、パーティション1に同一シリーズ商品であることを容易に識別可能な付加価値を付与することができる。
【0067】
また、本実施形態においては、第1実施形態で用いた取付ベース40が不要となり、横フレーム10にカバーレール50を直接に取り付ける。これにより、パーティション1の部品点数を削減することができるため、パーティション1の生産性、設置性及びメンテナンス性が向上する。
【0068】
以上で本発明の各実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
例えば、上記各実施形態では、パネル2が一対のガラスパネル30である場合について説明したが、本発明は、これら以外のパネル2の連結に適用可能である。
【0069】
ただし、一対のパネル2の好ましくは双方、少なくとも一方にガラスパネル30を用いることにより、前述したように、第1傾斜面部51からガラスパネル30を通してフレームカバー80の外面87に至る一続きのデザイン面を一体的に形成することができる。従って、デザイン的により一層すっきりとした統一感のある外観のパーティション1を実現することができる。
【0070】
また、ガラスパネル30を用いるときと同様の効果を得るために、一対のパネル2に、パーティション1に開口を形成する、いわゆるオープンパネルを用いても良いし、色や柄等を施した嵌め殺しパネル、パンチングパネル、ルーバーパネル、或いは、ガラス以外の透過性素材からなるパネル等を用いても良い。
【0071】
さらに、LED70及び光源111は、パーティション1に要求されるオプションに応じて、設置が適宜選択され、これらを設置しない場合もあり得る。また、ユーティリティスペース71と同様のスペースを他の場所、例えば横フレーム10とフレームカバー80との間の空間などに形成しても良く、このスペースの近くにLEDなどを設置しても良い。
【符号の説明】
【0072】
1 パーティション
2 パネル
3 天井レール
4 床レール
5 天井
10 横フレーム
30 ガラスパネル(パネル)
31 上端部(端部)
32 外面
33 下端部(端部)
40 取付ベース
40a 側部
41 第2傾斜面部
50 カバーレール
50a 側部
51 第1傾斜面部
60 支持機構
70 LED(光源)
71 ユーティリティスペース
80 フレームカバー
87 外面
90 床