(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】排泄物処理装置
(51)【国際特許分類】
A61F 5/451 20060101AFI20240404BHJP
A61F 5/452 20060101ALI20240404BHJP
A61F 5/44 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
A61F5/451 V
A61F5/452
A61F5/44 S
(21)【出願番号】P 2020033825
(22)【出願日】2020-02-28
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅沢 浩之
(72)【発明者】
【氏名】村井 孝司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 純一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋子
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 泰則
(72)【発明者】
【氏名】福田 泰介
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-062991(JP,A)
【文献】特開2019-010376(JP,A)
【文献】特開2006-020711(JP,A)
【文献】特開2013-212352(JP,A)
【文献】特開2006-020683(JP,A)
【文献】特開2015-154901(JP,A)
【文献】特開2005-323981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/44 - A61F 5/458
A61G 9/00 - A61G 9/02
A61G 7/00 - A61G 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肛門及び尿道口を含む排泄箇所からの排泄物を吸引して処理する排泄物処理装置において、
前記排泄箇所を覆う覆い部材と、
前記覆い部材に設けられた排泄物検出用のセンサーと、
前記センサーの検出結果に基づいて吸引動作を制御する制御部とを備え、
前記センサーは、前記排泄物を検出可能で、かつ、互いに離間する位置に配置された第1検出部と第2検出部とを有し、
前記制御部は、前記第1検出部と前記第2検出部の何れかが前記排泄物を検出すると、
前記第1検出部及び前記第2検出部のどちらかで前記排泄物を最初に検出したかを判定する一次判定処理を行うとともに吸引動作を開始し、
前記一次判定処理に基づく吸引動作開始から所定時間経過後に、前記第1検出部と前記第2検出部のうち、前記肛門の排泄物を相対的に検出し易い位置に配置された第2検出部で前記排泄物が検出されたか否かを判定する吸引後の
二次判定処理を行い、
前記
一次判定処理で
前記第1検出部又は前記第2検出部が排泄物を最初に検出し、かつ、前記二次判定処理で前記第2検出部が排泄物を検出しない場合に、第1吸引モードで吸引動作を行い、
前記一次判定処理で前記第2検出部が排泄物を最初に検出し、かつ、前記二次判定処理で前記第2検出部が排泄物を検出した場合に、前記第1吸引モードよりもエネルギー消費量が多い第2吸引モードで吸引動作を行う
ことを特徴とする排泄物処理装置。
【請求項2】
前記第1検出部と前記第2検出部は、水分を検出することを特徴とする請求項
1に記載の排泄物処理装置。
【請求項3】
前記第1検出部は、前記尿道口の排泄物を相対的に検出し易い位置に配置され、
前記第2検出部は、前記肛門及び尿道口の排泄物を検出可能な位置に配置されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の排泄物処理装置。
【請求項4】
前記
排泄物を吸引する吸引経路中に前記排泄物の溜まり部を備え、
前記第2検出部は、前記溜まり部にある前記排泄物を検出することを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載の排泄物処理装置。
【請求項5】
前記覆い部材は、前記排泄箇所を覆う箇所への装着時に背側から腹側に延出し、背側端部が尾てい骨の手前で終端し、腹側端部が尿道口を覆って終端することを特徴とする請求項1から
4のいずれかに記載の排泄物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
肛門及び尿道口からの排泄物を吸引して処理する排泄物処理装置が知られている。この種の排泄物処理装置は、股間および臀部にあてがわれる汚物収集トレイと、下腹部にあてがわれるカップとを備え、汚物収集トレイに、使用者の臀部と対向する位置に汚水溜まり部を設け、汚水溜まり部の水分をセンサーで検出すると、吸引、洗浄を行う構成が開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1,2記載の技術では、臀部と対向するトレイ面に洗浄口を設け、股間と対向する面に洗浄口および汚物吸引口を設け、トレイ面の洗浄口を送風口とし、汚物吸引口を吸引口とすることで吸引を行い、トレイ面の洗浄口から更に洗浄水を放出させている。
特許文献1記載の技術では、吸引、洗浄を自動で行う自動モードの場合、水分検出用のセンサーの端子間の抵抗値の変化量が設定範囲内に収束すると、吸引、洗浄を終了する。一方、特許文献2記載の技術では、オムツ内の臭気を検知する臭気検知センサーを設け、吸引、洗浄を自動で行う自動モードの場合、臭気の有無に応じて排泄物の種類を特定し、吸引、洗浄を行う稼働時間を可変している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-20683号公報
【文献】特開2006-20711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の技術では、排泄物の種類を特定できず、ユーザの姿勢変化等によって、残留する排泄物が水分検出用のセンサーの端子間から移動すると、吸引、洗浄が終了してしまう。
一方、特許文献2記載の技術は、排泄物の種類を尿か便かを特定できるので、排泄物に合わせた吸引時間にすることで、省エネルギー化に対応し易い。しかし、特許文献2記載記載の技術では、水分検出用のセンサーと、臭気検出用のセンサーが必要であり、構成が複雑化し、部品コストの低減にも不利である。
【0006】
そこで、本発明は、排泄物の種類を特定するための複数種類のセンサーを使用することなく排泄物の種類に応じた動作を可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、肛門及び尿道口を含む排泄箇所からの排泄物を吸引して処理する排泄物処理装置において、前記排泄箇所を覆う覆い部材と、前記覆い部材に設けられた排泄物検出用のセンサーと、前記センサーの検出結果に基づいて吸引動作を制御する制御部とを備え、前記センサーは、前記排泄物を検出可能で、かつ、互いに離間する位置に配置された第1検出部と第2検出部とを有し、前記制御部は、前記第1検出部と前記第2検出部の何れかが前記排泄物を検出すると、前記第1検出部及び前記第2検出部のどちらかで前記排泄物を最初に検出したかを判定する一次判定処理を行うとともに吸引動作を開始し、前記一次判定処理に基づく吸引動作開始から所定時間経過後に、前記第1検出部と前記第2検出部のうち、前記肛門の排泄物を相対的に検出し易い位置に配置された第2検出部で前記排泄物が検出されたか否かを判定する吸引後の二次判定処理を行い、前記一次判定処理で前記第1検出部又は前記第2検出部が排泄物を最初に検出し、かつ、前記二次判定処理で前記第2検出部が排泄物を検出しない場合に、第1吸引モードで吸引動作を行い、前記一次判定処理で前記第2検出部が排泄物を最初に検出し、かつ、前記二次判定処理で前記第2検出部が排泄物を検出した場合に、前記第1吸引モードよりもエネルギー消費量が多い第2吸引モードで吸引動作を行うことを特徴とする。
【0009】
また、上記構成において、前記第1検出部と前記第2検出部は、水分を検出してもよい。また、上記構成において、前記第1検出部は、前記尿道口の排泄物を相対的に検出し易い位置に配置され、前記第2検出部は、前記肛門及び尿道口の排泄物を検出可能な位置に配置されていてもよい。
【0010】
また、上記構成において、前記排泄物を吸引する吸引経路中に前記排泄物の溜まり部を備え、前記第2検出部は、前記溜まり部にある前記排泄物を検出してもよい。また、上記構成において、前記覆い部材は、前記排泄箇所を覆う箇所への装着時に背側から腹側に延出し、背側端部が尾てい骨の手前で終端し、腹側端部が尿道口を覆って終端してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、排泄物の種類を特定するための複数種類のセンサーを使用することなく排泄物の種類に応じた動作をし易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る排泄物処理装置の使用状態をユーザと共に示す図である。
【
図2】排泄物処理装置が有するカップを示す図である。
【
図5】カップ本体を示す図であり、符号Aは正面図、符号Bは側断面図、符号Cは背面図、符号Dは上面図を示す。
【
図6】クッションを示す図であり、符号Aは正面図、符号Bは側面図、符号Cは背面図、符号Dは上面図を示す。
【
図8】仕切り板を示す図であり、符号Aは正面図、符号Bは側断面図、符号Cは背面図、符号Dは上面図を示す。
【
図9】カップにおける洗浄水WT、風WD、及び外気ARの流れをそれぞれ矢印で示した図である。
【
図12】自動運転モード開始時の動作を示すフローチャートである。
【
図13】第1テーブルデータTD1を示す図である。
【
図14】連続処理の動作を示すフローチャートである。
【
図15】第2テーブルデータTD2を示す図である。
【
図16】符号Aは第1刃体を周辺構成と共に示し、符号Bは第2刃体を周辺構成と共に示し、符号Cは第3刃体を周辺構成と共に示した図である。
【
図18】他の実施形態に係る排泄物処理装置で使用されるカップの分解斜視図である。
【
図19】カップの側断面を洗浄水WT、風WD、及び外気ARの流れと共に示す図である。
【
図20】他の実施形態に係る排泄物処理装置で使用されるカップの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る排泄物処理装置の使用状態をユーザ(人体)と共に示す図であり、ユーザが仰向け(いわゆる仰臥位)の場合を示している。
図2は、排泄物処理装置が有するカップを示す図であり、符号Aは正面図、符号Bは側面図、符号Cは上面図を示している。
図1に示すように、この排泄物処理装置10は、ユーザ11の肛門11A及び尿道口11Bを含む排泄箇所からの排泄物、つまり、尿、便、経血及びその他の排泄物(以下、便宜上、尿及び便等、あるいは、単に排泄物と表記する)を吸引して処理する装置であり、ユーザ11の股間部11Cに装着されるカップ21と、カップ21に送風ホース22、吸引ホース23、洗浄水ホース24、及び電気配線25を介して接続される排泄物処理ユニット100とを備えている。
【0014】
図1及び
図2に示すように、カップ21は、ユーザ11の肛門11A及び尿道口11B側が開口する中空箱形状であって、ユーザ11の股間部11Cに装着された場合に肛門11A及び尿道口11Bを含む排泄箇所を覆う覆い部材として機能する。このカップ21内には、肛門11A及び尿道口11B等からの排泄物が溜まる溜まり部21Tを含む内部空間が形成される。カップ21には、内部空間に連通する送風口31、注水口32、吸引口33及び外気導入口34(後述する
図4等)が設けられる。
送風口31には、カップ21に設けられた送風ホース接続口31Hを介して送風ホース22の一端が接続され、注水口32には、カップ21に設けられた洗浄水ホース接続口32Hを介して洗浄水ホース24の一端が接続され、吸引口33には、カップ21に設けられた吸引ホース接続口33Hを介して吸引ホース23の一端が接続されている。
【0015】
排泄物処理ユニット100は、制御部101と、送風部102と、洗浄水供給部103と、吸引部104と、タンク部105と、操作部106と、報知部107とを備えている。制御部101は、排泄物処理ユニット100の各部を制御するコンピュータとして機能し、カップ21内の排泄物を排泄物処理ユニット100に吸引するための吸引動作を制御する。
この吸引動作には、吸引、空気流からなる風WDの供給、及び、温水からなる洗浄水WTの供給も適宜に含まれる。送風部102は、ブロアを備え、送風ホース22に風WDを供給する。洗浄水供給部103は、液体ポンプを備え、洗浄水ホース24に洗浄水WTを供給する。吸引部104は、送風部102のブロアにより発生する吸引力を利用して、吸引ホース23を介してカップ21内の排泄物(
図1中、符号EXで示す)を吸引する。なお、ブロアとは別の吸引源を設けてもよい。タンク部105は、吸引された排泄物を貯留し、適宜なタイミングで取り外され、貯留された排泄物が廃棄場所へ廃棄される。
【0016】
操作部106は、ユーザ11等からの各種の指示を入力し、入力された指示を制御部101に出力する。入力可能な指示には、吸引動作を自動で行う自動運転モードの指示、及び、吸引動作を手動で行う手動運転モードの指示等が含まれる。指示を入力する方法は、ハードウェアスイッチの操作、音声入力、通信等の公知の様々な方法を適用可能である。報知部107は、制御部101の制御の下、ランプ、表示パネル、及び音声デバイス等の公知のデバイスを用いて各種の情報を外部に報知する。
【0017】
カップ21では、排泄物処理ユニット100からの風WDが送風口31に供給されることによって、カップ21内の排泄物が吸引口33に向けて押し出される。また、排泄物処理ユニット100からの洗浄水WTが注水口32に供給されることによって、ユーザ11の肛門11A及び尿道口11Bを含む股間部11C等の所定領域が洗浄される。また、排泄物処理ユニット100の吸引力が吸引口33に作用することによって、カップ21内の排泄物が吸引口33、吸引ホース23を経由して排泄物処理ユニット100に回収される。なお、排泄物と一緒に洗浄水も吸引口33、吸引ホース23を経由して排泄物処理ユニット100に回収される。
【0018】
ここで、
図1中の下方はユーザ11の背側であり、上方はユーザ11の腹側であり、符号11Lはユーザ11の足を示し、符号11Pはユーザ11の骨盤を示し、符号11Tは尾てい骨(尾骨とも称する)を示している。
カップ21は、ユーザ11の両足11Lの間に収まって股間部11Cに装着され、股間部11Cへの装着時に、ユーザ11の背側から腹側に延出し、カップ21の背側端部(
図1中の符号P1で示す位置)が尾てい骨11Tの手前で終端し、腹側端部(
図1中の符号P2で示す位置)が尿道口11Bを覆って終端する。
【0019】
このため、尾てい骨11Tの背面側を広く覆う平型のトレイを備える従来の汚物処理装置と比べてカップ21がコンパクト化され、仰向け以外の姿勢でも装着状態を維持し易くなる。これにより、例えば、ユーザ11が横向きの姿勢、寝返り、上半身を所定角度まで斜めに起こした姿勢、及び、車椅子に乗った姿勢でも装着状態を保持し易くなる。
このようにカップ21をコンパクト化し、様々な姿勢で装着状態を保持し易くしたので、移動等の動作が困難であったり、理解度の低下が見られるような介護度が高いユーザ(例えば、要介護4,5のユーザ)だけでなく、介護度が相対的に低いユーザも利用し易くなる。
【0020】
また、
図1に示すように、排泄物が溜まる溜まり部21Tは、ユーザ11が仰向けの場合に、足方向に向けて斜め上方に傾斜する角度θ1とされており、この角度θ1の溜まり部21Tに排泄物が貯留されても、その排泄物がユーザ11側に流入しないようにカップ21の深さが設定されている。この角度θ1は、ユーザ11の上半身を所定角度(例えば30°~90°の範囲内の角度)まで立ち上げた場合にほぼ水平状態となる角度に設定されている。このため、吸引ホース23を外しても、溜まり部21Tの排泄物が吸引口33から外部に流出しない。
【0021】
<カップ21の装着について>
カップ21の装着について説明する。
このカップ21は、サポータ111を利用してユーザ11に装着される。
図3は、カップ21をサポータ111と共に示す図である。
サポータ111は、オムツと比べて薄い布状の素材で形成され、ユーザ11に装着された状態では、股下が短く膝上丈の、いわゆるショーツ(ショートパンツ)とほぼ同じ外観となる。このサポータ111は、カップ21を通す開口111Aを有するサポータ本体部112と、サポータ本体部112からユーザ11の下腹部を覆う側に延在する腹当て部113と、サポータ本体部112からユーザ11の左右側に延在する一対の側部114とを一体に備えている。サポータ本体部112は、ユーザ11の股間部11Cから背側に行くに従って徐々に幅広となる略台形形状に形成されており、最も幅広の部分から左右に各側部114が延在する。各側部114の先端は、面ファスナーを用いて腹当て部113に着脱可能に構成されている。カップ21を通す開口111Aの周縁部111Bは、補強布等によって適宜に補強されている。
【0022】
ユーザ11にカップ21を装着する場合、カップ21を股間部11Cにあてがった後に、カップ21に対して股間部11Cの反対側(足11Lの間に相当)から、サポータ111をカップ21にあてがい、サポータ111の開口111Aにカップ21の各ホース接続口31H~33Hを通す。この場合、サポータ111の開口111Aの周縁部111Bが、カップ21の開口端を覆うクッション51の背面に当接し、クッション51を介してカップ21がユーザ11に押し付けられる。次に、サポータ111の腹当て部113をユーザ11の下腹部にあてがい、サポータ111の左右一対の側部114を、ユーザ11に左右から巻き付けて、各側部114の先端を腹当て部113に止着させることにより、カップ21がユーザ11に装着される。なお、サポータ111の形状及び素材等は適宜に変更可能である。
【0023】
<カップ21のカップ本体41について>
図4は、カップ21の分解斜視図である。
カップ21は、肛門11A及び尿道口11Bを覆う覆い部として機能する凹形状のカップ本体41と、カップ本体41の開口端を覆うクッション51と、カップ本体41の底部41Lとの間に風路WS(後述する
図6)を形成する仕切り板61と、仕切り板61に積層されるセンサーシート71とを備えている。
図5は、カップ本体41を示す図であり、符号Aは正面図、符号Bは側断面図、符号Cは背面図、符号Dは上面図を示している。
図4及び
図5に示すように、カップ本体41は、尿道口11Bを覆う側に位置する腹側端部P1から肛門11Aを覆う背側端部P2に向けて緩やかに湾曲する板形状の底部41Lと、底部41Lの周囲から立ち上がる壁部41Wと、壁部41Wの外周縁に沿って延在する鍔部41Tとを一体に備えており、例えば、樹脂材によって形成される。
【0024】
底部41Lの腹側端部近傍には、外気導入口34、及び注水口32が順に設けられている。この底部41Lの背面には、外気導入口34の上方にて後方に突出する庇部41H(
図5の符号D参照)、洗浄水ホース接続口32H、吸引ホース接続口33H、送風ホース接続口31Hが順に設けられている。また、カップ本体41の内面には、仕切り板61を支持する支持体として機能する複数の突起41Vが間隔を空けて設けられている。
【0025】
吸引等によってカップ21内が負圧になると、外気導入口34により外気がカップ21内に導入され、過度に負圧になることが防止される。これにより、カップ21が人体に吸い付きすぎる事態を回避でき、ユーザ11の違和感や不快感を低減できる。外気導入口34は、複数設けられ、かつ、人体と接触するクッション51近傍に設けられるので、クッション51と人体の接触箇所の圧力を速やかに適正圧力に調整し易くなる。本構成では、クッション51とユーザ11との間の隙間を無くし、かつ、外気導入口34により外気を導入可能な構成にすることで、吸引動作時にカップ21内を適正な負圧にしている。底部41Lには、全てのホース接続口31H~33Hが設けられ、かつ、各ホース接続口31H~33Hが同方向に向けて配置される。これにより、各ホース22~24を着脱する作業が容易である。
【0026】
壁部41Wは、腹側端部から背側端部に向かうほどカップ21を徐々に深くする形状に形成される。このため、カップ21における背側端部側の領域が最も深くなり、最も容積を有する箇所となる。本構成ではこの領域が溜まり部21Tとなっている。これにより、排泄物の空間を確保してユーザ11への接触も回避し易くなる。
【0027】
鍔部41Tは、壁部41Wの外周縁に沿って無端状に延在し、この鍔部41Tには、クッション51の後述する固定部52が固定される。この鍔部41Tは、カップ本体41の開口端を補強する補強リブとしても機能する。カップ本体41には、センサーシート71の後述する配線引き出し部74(後述する
図11)等を通す開口部41Gも形成されている。
【0028】
<クッション51について>
図6は、クッション51を示す図であり、符号Aは正面図、符号Bは側面図、符号Cは背面図、符号Dは上面図を示している。
クッション51は、カップ本体41に固定される環状の固定部52と、ユーザ11の股間部11Cに当たる環状の弾性部53とを有し、カップ本体41よりも柔軟性及び弾力性を有する素材で一体に形成されている。固定部52は、この固定部52の内周面に沿って、カップ本体41の鍔部41Tが嵌まる溝を有し、この溝を、鍔部41Tに嵌めることによって、カップ本体41に固定される。固定部52が柔軟性を有するので、クッション51を着脱する作業が容易となり、クッション51の交換が容易になる。クッション51には、カップ本体41に設けられた外気導入口34の前方に向けて延びる板状の外気案内部材54と、カップ本体41の底部41Lと仕切り板61との間の風路WSの出口となる風路出口62K(
図1,
図8)に向けて延びる板状の風案内部材55とが更に設けられている。
【0029】
ここで、
図7は、カップ21を後方から見た斜視図を示している。説明の便宜上、カップ21に装着されたサポータ111のうち、カップ21を通す開口111Aを含む部分を二点鎖線で示している。また、カップ本体41の鍔部41Tについては破線で示している。
上記したように、サポータ111は、サポータ本体部112に設けられた開口111Aをカップ21に通した状態でユーザ11に装着される。この場合、
図7に示すように、開口111Aの周縁部111Bがクッション51の固定部52に当接するので、クッション51の固定部52、及び、カップ本体41の鍔部41Tの双方をユーザ11側に押し付けることができる。カップ本体41の鍔部41Tは相対的に剛性を有する箇所なので、サポータ111によりクッション51の固定部52全体を十分な押圧力でユーザ11に押し付け、クッション51とユーザ11との間の隙間を無くすことができる。この場合、クッション51の固定部52の変形は、カップ本体41の鍔部41Tによって抑制されるものの、クッション51の弾性部53の変形は鍔部41Tによって抑制されず、固定部52等から独立して変形できる。したがって、クッション51の弾性部53が股間部11Cの形状に合わせて変形でき、ユーザ11への圧迫感を低減し易くなる。
【0030】
また、クッション51とユーザ11との間の隙間を無くすことができるので、吸引動作時にカップ21内を適切な負圧にし易くなる。なお、弾性部53はカップ21の開口に沿って延在し、弾性部53の内部には、カップ21の開口に沿って延在する環状の空洞(後述する
図9参照))が形成されている。この空洞により、弾性部53を弾性変形し易くすると共に、この空洞に別の弾性部材を挿入することによって、弾性部53の弾性変形度合いを調整できる。
【0031】
<仕切り板61について>
図8は、仕切り板61を示す図であり、符号Aは正面図、符号Bは側断面図、符号Cは背面図、符号Dは上面図を示している。
図9は、カップ21における洗浄水WT、風WD、及び外気ARの流れをそれぞれ矢印で示した図である。
図8に示すように、仕切り板61は、カップ本体41の底部41Lに沿って湾曲する板状の仕切り板本体62を有している。この仕切り板本体62が、カップ本体41に設けられた突起41Vに支持されることによって、仕切り板61とカップ本体41の底部41Lとの間に、送風口31に連なる風路WS(
図9参照)が区画される。この仕切り板本体62には、風路WSの下流位置に連通して風路WSの出口として機能する開口部62K(以下、「風路出口62K」と表記する)が設けられると共に、吸引口33が設けられる。この吸引口33は、排泄物の溜まり部21Tを挟んで、風路出口62Kの反対側に位置している。
【0032】
仕切り板61には、吸引口33から背面側(カップ本体41側に相当)に向けて突出するパイプ部63が設けられている。このパイプ部63は、仕切り板本体62がカップ本体41に取り付けられた場合に、風路WSを貫通して吸引口33と吸引ホース接続口33Hとをつなぐ。このパイプ部63により、吸引口33と吸引ホース接続口33Hとの間の吸引経路は風路WSから区画され、風路WS内の風WDが吸引口33の下流に直接流入することがない。
【0033】
パイプ部63を含む吸引口33には、吸引口33を通過する排泄物を粉砕する粉砕部として機能する複数(本構成では3枚)の刃体33A,33B、33Cが設けられている。
図8の符号Bに示すように、これら刃体33A~33Cは、吸引口33の軸線LAに対して斜めに延びる刃形状を有する粉砕刃に形成されている。これら刃体33A~33Cについては後段で更に説明する。
【0034】
仕切り板本体62には、カップ本体41に設けられた注水口32との間に、所定容積の空間となるバッファーSB(
図9)を区画するパイプ状の区画体64が設けられる。さらに、仕切り板本体62には、バッファーSBに連通して下流側の注水口となる洗浄口65が設けられると共に、洗浄口65の出口を覆う庇状の水案内部材66が設けられている。さらに、仕切り板本体62には、センサーシート71の後述する配線引き出し部74(後述する
図11)等を通すための開口部62Gも設けられている。なお、この仕切り板61は、樹脂等の剛性を有する部材で形成されている。
【0035】
<風WDの流れについて>
図9に示すように、送風口31に供給された風WDは、仕切り板61とカップ本体41の底部41Lとの間の風路WSを通って、風路出口62Kから排泄物の溜まり部21Tに供給される。同
図9に示すように、風路出口62Kは、クッション51に設けられた風案内部材55によって隙間を空けて覆われるので、風案内部材55によって、風路出口62Kからの風WDの向きが変更される。図示のように、風案内部材55は、風路出口62Kにおける、ユーザ11の肛門11A及び尿道口11B側を覆い、排泄物の溜まり部21T側に開放することによって、風WDが肛門11A及び尿道口11Bを含む股間部11Cに直接当たらないようにしながら、風WDを溜まり部21Tに案内する。この風WDによって、溜まり部21Tに存在する排泄物を、吸引口33に向けて押し出すことができる。風案内部材55によって風WDがユーザ11に直接当たらないので、ユーザ11に違和感や不快感を与えるおそれを低減でき、使い心地を向上できる。
【0036】
また、この風案内部材55によって、排泄物等が風路出口62Kに流入することを防ぐこともできる。本構成では、風案内部材55を、柔軟性及び弾力性を有するクッション51に一体に設け、かつ、風路出口62Kの出口側で風路出口62Kを閉じる位置に設けることで、風WDの送風、及び吸引口33からの吸引のいずれかに応じて吸引口33を開閉する開閉部材として機能させる。したがって、風WDが送風されず、吸引口33から吸引されていない場合、風路出口62Kが閉じられ、排泄物が風路出口62Kに流入する事態が回避される。なお、風案内部材55をクッション51から独立した部材としてもよく、適宜に設計変更してもよい。
【0037】
また、本構成では、溜まり部21Tを挟んで風路出口62Kの反対側に吸引口33を設けているので、風路出口62Kからの風WDの流速を稼ぎ易くなる。これによっても排泄物を吸引口33に吸引させ易くなる。なお、本構成では、送風口31及び吸引口33がそれぞれ1つずつ設けられ、送風口31から吸引口33に繋がる吸引経路が1つのワンパス構造となっており、上記吸引経路が、仕切り板61とカップ本体の底部41Lとの間の風路WSを通った後に仕切り板61の表面に沿って吸引口33に向かう経路となっている。これにより、ユーザ11から離れた位置に吸引経路を形成でき、風WDがユーザ11に直接当たる事態を抑制しながら、排泄物を効率良く吸い込むことが可能になる。
【0038】
<洗浄水WTの流れについて>
図10は、
図2のX-X断面を示す図である。
図10に示すように、洗浄水WTは、注水口32と水案内部材66との間に設けられたバッファーSBに供給され、このバッファーSBを経由して洗浄口65から排出される。このバッファーSBは、洗浄水WTを一時的に貯留することによって、供給直後の冷水(洗浄水ホース24の残留水等)が直ちに洗浄口65から排出されないようにし、かつ、温水と混合させて洗浄水WTを洗浄口65から排出させることができる。つまり、このバッファーSBにより、洗浄水WTの温度変化を抑制し、適正温度の洗浄水WTを供給させ易くなる。
【0039】
洗浄口65から排出された洗浄水WTは、水案内部材66によって排水方向が変更される。
図9及び
図10に示すように、本構成の水案内部材66は、尿道口11Bから肛門11Aへと洗浄水WTが流れ、かつ、洗浄後の洗浄水WTが、排泄物の溜まり部21Tに向かう方向に洗浄水WTを案内する。これによって、洗浄水WTは、肛門11A及び尿道口11Bを含む排泄箇所を洗浄した後に排泄物の溜まり部21Tを経由して吸引口33に吸引される。
水案内部材66によって洗浄水WTを案内するので、ユーザ11の洗浄すべき箇所だけを洗浄できる。しかも、水案内部材66によって、洗浄水WTが排泄物の溜まり部21Tを経由して吸引口33に吸引されるので、洗浄水WTによって排泄物を浮かし易くなり、排泄物を吸引させ易くなる。
【0040】
<外気ARの流れ等について>
図10に示すように、外気導入口34に導入された外気ARは、外気案内部材54によって流れる方向が変更される。本構成では、外気ARが、股間部111Cを避ける方向に案内する。これにより、外気導入によって、カップ21内が過度に負圧になる事態を避けながら、外気ARがユーザ11に直接当たる事態を避け、外気ARによりユーザ11が違和感や不快感を感じる事態を抑制できる。また、この外気案内部材54によって、カップ21内の水分が外気導入口34を経て外部に飛び出す事態を避けることもできる。
【0041】
本構成では、外気案内部材54を、柔軟性及び弾力性を有するクッション51に一体に設け、かつ、外気導入口34の出口側にて外気導入口34を閉じる位置に設けることで、カップ21内の負圧に応じて外気導入口34を開閉する開閉部材として機能させている。したがって、カップ21内が過度に負圧でない場合、カップ21内の水分が外気導入口34を通って外部に飛び出す事態を十分に防止できる。なお、外気案内部材54をクッション51から独立した部材としてもよく、適宜に設計変更してもよい。
【0042】
<センサーシート71について>
次いで、センサーシート71について説明する。
図11は、センサーシート71を示す図である。
センサーシート71は、可撓性を有するシートで形成され、水分検出可能な第1回路パターン72と、水分検出可能な第2回路パターン73と、各回路パターン72,73につながる配線をまとめて引き出した配線引き出し部74とを備えている。第1回路パターン72と第2回路パターン73とは、互いに離間する位置に配置され、各回路パターン72,73の間には、仕切り板61の吸引口33と同サイズの貫通孔75が形成されている。
【0043】
第1回路パターン72は、複数の導通検出端子72A~72Jを備え、これら導通検出端子72A~72Jの各端子間の抵抗値が、各端子間が水分を介して導通したときに低くなることを利用して、各端子間の抵抗値から水分の有無を検出する。つまり、第1回路パターン72は、水分を含んだ排泄物を検出する第1検出部として機能する。
第2回路パターン73は、複数の導通検出端子73A~73Fを備え、これら導通検出端子72A~72Jの各端子間の抵抗値が、各端子間が水分を介して導通したときに低くなることを利用して、各端子間の抵抗値から水分の有無を検出する。つまり、第2回路パターン73は、水分を含んだ排泄物を検出する第2検出部として機能する。以下、説明の便宜上、第1回路パターン72を「第1検出部」と表記し、第2回路パターン73を「第2検出部73」と表記する。
【0044】
このセンサーシート71は、貫通孔75と吸引口33とが重なるように仕切り板61の表面に固定されることによって、
図9に示すように、第2回路パターン73が排泄物の溜まり部21Tの領域に配置され、第1検出部72が溜まり部21Tよりも上方の領域に配置される。換言すると、第2検出部73は、肛門11Aからの排泄物を相対的に検出し易い領域に配置され、第1検出部72は、尿道口11B側からの排泄物を相対的に検出し易く、かつ、肛門11Aからの排泄物を相対的に検出し難い領域に配置されている。
配線引き出し部74は、仕切り板本体62及びカップ本体41の開口部62G,41Gを通ってカップ本体41の背面に引き出され、電気配線25を介して排泄物処理ユニット100と電気的に接続される。配線引き出し部74と電気配線25との接続は公知のコネクタ構造を広く適用可能である。センサーシート71と仕切り板61とを固定することによって、仕切り板61は、排泄物検出用のセンサーを配置したセンサープレートとして機能する。なお、仕切り板61に各導通検出端子73A~73F及び73A~73Fを直接設けることによって、仕切り板61単体でセンサープレートを構成してもよい。なお、第1検出部72及び第2検出部73の端子配置は、
図11に示す配置に限定されず、適宜に変更可能である。
【0045】
<自動運転モード時の動作について>
図12は、自動運転モード開始時の動作を示すフローチャートである。
排泄物処理ユニット100の制御部101は、第1検出部72及び第2検出部73のいずれかで水分が検出されたか否かを判定することにより、排泄されたか否かを監視する(ステップS1:排泄監視)。制御部101は、第1検出部72の導通検出端子72A~72Jの予め定めた組合せの端子間の抵抗値が予め定めた範囲となった場合に、第1検出部72で水分が検出されたと判定する。また、制御部101は、第2検出部73の導通検出端子73A~73Fの予め定めた組合せの端子間の抵抗値が予め定めた範囲となった場合に第2検出部73で水分が検出されたと判定する。
【0046】
水分が検出されない場合(ステップS1:NO)、制御部101は、ステップS9に移行し、排泄監視を継続する。一方、水分が検出された場合(ステップS1:YES)、制御部101は、第1検出部72及び第2検出部73のどちらで最初に水分を検出したか否かを特定する一次判定を行い、判定結果を不図示のメモリに記憶する(ステップS2)。制御部101は、水分が検出されると、直ちに吸引動作を開始する(ステップS3)。
吸引動作として、制御部101は、まず、送風部102のブロアを運転し、送風部102により風WDを供給すると共に、吸引部104によりカップ21内の排泄物等の吸引を開始する。
【0047】
吸引動作を開始後、制御部101は、予め定めた所定時間T1が経過したか否かを判定し、所定時間T1が経過したと判定すると、第2検出部73で水分を検出しているか否かを特定する二次判定を行い、判定結果を不図示のメモリに記憶する(ステップS4)。
ここで、所定時間T1は、送風口31から吸引口33への風WDの流れが定常となる時間に設定され、例えば5秒に設定される。風WDが定常になることで、尿道口11B等からの液体の排泄物が吸引口33に速やかに吸引される。
【0048】
二次判定の結果が得られると、制御部101は、一次判定と二次判定の組合せに基づいて、吸引モードを、尿等の液体に適した第1吸引モードにするか、便等の固体物の吸引に適した第2吸引モードにするか否かを判定する(ステップS5)。
第1吸引モードは、第2吸引モードよりも省エネルギーのモードである。一例を挙げると、第1吸引モードは、洗浄水を4秒供給し、10秒後にブロアを停止させるモードであり、第2吸引モードは、第1吸引モードと同じ動作を複数回繰り返す動作モードである。この第2吸引モードでは洗浄水が間欠的に供給されるので、カップ21内の圧力が変動し、固着した便を振動させて吸引し易くなる。
【0049】
図13は、ステップS3のモード判定に使用する第1テーブルデータTD1を示している。制御部101は、第1テーブルデータTD1を参照することによって、一次判定と二次判定の組合せが、
図13に示すパターンP1,P2,P3,P4のいずれに該当するかを判定し、該当したパターンに対応する吸引モードを実行する。
第1テーブルデータTD1によれば、一次判定では、第1検出部72が最初に水分を検出し(第1検出部:ON)、二次判定では、第2検出部73が水分を検出しない場合(第2検出部:OFF)、パターンP1に該当し、第1吸引モードと判定される。また、一次判定では、第1検出部72が最初に水分を検出し(第1検出部:ON)、二次判定では、第2検出部73が水分を検出した場合(第2検出部:ON)、パターンP2に該当し、第1吸引モードと判定される。
【0050】
また、一次判定では、第2検出部73が最初に水分を検出し(第2検出部:ON)、二次判定では、第2検出部73が水分を検出しない場合(第2検出部:OFF)、パターンP3に該当し、第1吸引モードと判定される。また、一次判定では、第2検出部72が最初に水分を検出し(第2検出部:ON)、二次判定では、第2検出部73が水分を検出した場合(第2検出部:ON)、パターンP4に該当し、第2吸引モードと判定される。
【0051】
排泄物が便等の固体物の場合、一次判定では第2検出部73が最初に水分を検出し、二次判定でも第2検出部73が水分を検出する可能性が高い。つまり、パターンP4か否かに応じて、肛門11Aからの固定の排泄物か、肛門11A以外の液体の排泄物か否かを正確に特定し易くなる。
仮に一次判定だけで排泄物の種類を特定しようとした場合、第1検出部72が最初に水分を検出した場合、第1吸引モードと判定し、第2検出部73が最初に水分を検出した場合、第2吸引モードと判定する方法が考えられる。
しかし、この方法の場合、ユーザ11の姿勢変化等の各種の要因によって、尿道口11Bからの尿が、第1検出部72で検出される位置ではなく、第2検出部73で検出される位置に流れた場合に第2吸引モードと判定されてしまう。このため、第1吸引モードで十分にも関わらず、エネルギー消費が多い第2吸引モードを実行してしまう。
【0052】
本構成では、第2検出部72が最初に水分を検出した場合であっても、二次判定で第2検出部73が水分を検出しない場合(パターンP3に相当)、第1吸引モードと判定するので、各種の要因によって、尿道口11Bからの尿が、第2検出部73で検出される位置に流れた場合でも、排泄物の種類に合わせた吸引モードを特定できる。また、肛門11Aからの排泄物であっても、直ちに吸引されるような少量又は液状の排泄物である場合も、パターンP3として第1吸引モードと判定される。これらにより、第1吸引モードで十分にも関わらず、エネルギー消費が高い第2吸引モードを実行する事態を回避できる。
【0053】
図12に戻り、制御部101は、第1吸引モードと判定した場合、ステップS6に移行し、第1吸引モードで吸引動作を行う一方、第2吸引モードと判定した場合、ステップS7に移行し、第2吸引モードで吸引動作を行う。これにより、排泄物の種類に応じた吸引動作を行うことができる。
吸引動作の完了後、制御部101は、予め定めた待機時間T2の間に、第1検出部72及び第2検出部73のいずれかで水分が検出されない場合(ステップS8:YES)、ステップS9に移行し、排泄監視を行う。これに対し、制御部101は、待機時間T2の間に、第1検出部72及び第2検出部73のいずれかで水分が検出された場合(ステップS8:NO)、ステップS10に移行し、連続処理を行う。待機時間T2は任意の時間に設定すればよく、例えば2分といった時間に設定される。
【0054】
図14は、連続処理の動作を示すフローチャートである。
制御部101は、前回の吸引動作後、第1検出部72及び第2検出部73のどちらで最初に水分を検出したか否かを特定する一次判定を行うと共に(ステップS1A)、吸引動作を開始する(ステップS2A)。次に、制御部101は、吸引動作の開始時から予め定めた所定時間T3が経過したと判定すると、第2検出部73で水分を検出しているか否かを特定する二次判定を行う(ステップS3A)。所定時間T3は、送風口31から吸引口33への風WDの流れが定常となる時間に設定され、例えば、上記所定時間T1と同じ時間に設定される。
【0055】
次いで、制御部101は、前回の吸引モードが第2吸引モードの場合(ステップS4A:第2吸引モード)、ステップS5と同様に、テーブルデータTD1に基づいて吸引モードを特定し、特定した吸引モードで吸引動作を行う。
一方、制御部101は、前回の吸引モードが第1吸引モードの場合(ステップS4A:第1吸引モード)、ステップS5Aの頻尿判定を行う。
【0056】
図15は、頻尿判定に使用する第2テーブルデータTD2を示している。制御部101は、第2テーブルデータTD2を参照することによって、一次判定と二次判定の組合せが、
図15に示すパターンP5,P6,P7,P8のいずれに該当するかを判定し、該当したパターンに対応する吸引モードを実行する。なお、この第2テーブルデータTD2では、頻尿の場合に適した第3吸引モードが適宜に特定される。この第3吸引モードは、例えば、10秒間のブロワーだけといった、少量の液体を吸引させる動作モードである。
【0057】
第2テーブルデータTD2によれば、一次判定では、第1検出部72が最初に水分を検出し(第1検出部:ON)、二次判定では、第2検出部73が水分を検出しない場合(第2検出部:OFF)、パターンP5に該当し、第3吸引モードと判定される。また、一次判定では、第1検出部72が最初に水分を検出し(第1検出部:ON)、二次判定では、第2検出部73が水分を検出した場合(第2検出部:ON)、パターンP6に該当し、第3吸引モードと判定される。また、一次判定では、第2検出部73が最初に水分を検出し(第2検出部:ON)、二次判定では、第2検出部73が水分を検出しない場合(第2検出部:OFF)、パターンP7に該当し、第3吸引モードと判定される。また、一次判定では、第2検出部72が最初に水分を検出し(第2検出部:ON)、二次判定では、第2検出部73が水分を検出した場合(第2検出部:ON)、パターンP8に該当し、第2吸引モードと判定される。
【0058】
このように、一次判定では第2検出部73が最初に水分を検出し、二次判定でも第2検出部73が水分を検出した場合にだけ、エネルギー消費が多い第2吸引モードと特定され、それ以外は、全てエネルギー消費が少ない第3吸引モードと特定される。これにより、頻尿の場合には第3吸引モードと判定できる。
図14に戻り、制御部101は、第3吸引モードと判定した場合、ステップS6Aに移行し、第3吸引モードで吸引動作を行う一方、第2吸引モードと判定した場合、ステップS7Aに移行し、第2吸引モードで吸引動作を行う。これにより、頻尿か否かに応じて適切な吸引モードで動作でき、より省エネルギー化を図り易くなる。
【0059】
吸引動作の完了後、制御部101は、予め定めた待機時間T4の間に、第1検出部72及び第2検出部73のいずれかで水分が検出されない場合(ステップS8A:YES)、ステップS9に移行し、排泄監視を行う。これに対し、制御部101は、待機時間T4の間に、第1検出部72及び第2検出部73のいずれかで水分が検出された場合(ステップS8A:NO)、ステップS10に移行し、連続処理を再び行う。待機時間T4は任意の時間に設定すればよく、例えば上記待機時間T2と同じ時間に設定される。
【0060】
<粉砕部について>
次に、吸引口33に設けられる粉砕部として機能する複数の刃体33A~33Cについて説明する。以下、複数の刃体33A~33Cを区別して表記する場合、第1刃体33A、第2刃体33B、及び第3刃体33Cと表記する。
図8に示すように、これら刃体33A~33Cは、吸引口33の周方向に等角度間隔で配置されており、吸引口33の内周面(パイプ部63の内周面を含む)から吸引口33の中心に向けて突出する刃形状に形成されている。
図16の符号Aは第1刃体33Aを周辺構成と共に示す図であり、符号Bは第2刃体33Bを周辺構成と共に示す図であり、符号Cは第3刃体33Cを周辺構成と共に示す図である。
【0061】
これら刃体33A~33Cは、いずれも吸引口33の軸線LAに対して斜めに延びている。より具体的には、第1刃体33A及び第2刃体33Bは、
図16の符号A及びBに示すように、吸引口33に流入した排泄物を、下流側に向けて右ねじ方向に回転させる方向に傾斜する刃形状に形成されている。
これに対し、第3刃体33Cは、
図16の符号Cに示すように、吸引口33に流入した排泄物を、下流側に向けて左ねじ方向に回転させる方向に傾斜する刃形状に形成されている。つまり、第3刃体33Cは、吸引口33の軸線LAに対し、第1刃体33A及び第2刃体33Bの逆向きに延びている。
【0062】
この構成によれば、吸引口33に流入した排泄物を、第1刃体33A及び第2刃体33Bによって右ねじの方向に回転させ、第3刃体33Cによって排泄物に切り込みを入れることができる。これによって、排泄物をねじ切り、排泄物を粉砕することができる。排泄物を粉砕できるので、大型の便を粉砕でき、吸引ホース23に流し易くなる。換言すると、吸引口33に連なる吸引経路を細くしても、排泄物が詰まり難くなり、排泄物の付着も抑制できる。また、吸引経路を細くすることで吸引速度を高速化し、洗浄水WTによる吸引ホース23内の洗浄効果も期待できる。これらによって、吸引経路の詰まりや排泄物の付着を抑制し、吸引ホース23の洗浄等を容易化することができる。
【0063】
また、これら刃体33A~33Cにより、洗浄水WTの水流に渦を発生させることができるので、吸引口33や吸引ホース23の内周面を洗浄する効果、つまり、汚れ落とし効果も期待できる。なお、刃体33A~33Cの数、形状、及び位置は適宜に変更してもよく、各部の構成は上記構成に限定されない。
【0064】
例えば、
図17に示すように、吸引口33の内周面(パイプ部63の内周面を含む)に、空気流や水を排出する副噴出口33Gを設けるようにしてもよい。この副噴出口33Gは、排出する空気流や水によって、吸引口33を通過する排泄物を粉砕する他の粉砕部として機能する。
図17に示す例では、刃体33A~33Cに対応する箇所に副噴出口33Gを設けたので、刃体33A~33Cのいずれかに排泄物が引っ掛かった場合に、副噴出口33Gからの排出によって引っ掛かりを解消でき、これによっても詰まりを抑制することができる。なお、副噴出口33Gの数、形状及び位置についても適宜に変更してもよい。
【0065】
<風の流れに関する作用効果>
以上説明したように、本実施形態の排泄物処理装置10は、
図9に示すように、肛門11A及び尿道口11Bを含む排泄箇所を覆うカップ21を備え、カップ21は、このカップ21の底部41Lに風路WSを形成する仕切り板61と、送風口31と、吸引口33とを有し、送風口31に供給される風WDは、風路WSを通って排泄物の溜まり部21Tを経由して吸引口33に向かう構成とした。この構成によれば、風WDを、肛門11A及び尿道口11Bを含む排泄箇所に当て難くすることができ、吸引時にユーザ11が違和感や不快感を感じ難くなる。したがって、使い心地を向上でき、介護度が相対的に低いユーザ11を含む様々なユーザが利用し易くなる。
【0066】
この場合、仕切り板61は、風路WSとして、送風口31に連通し、排泄物の溜まり部21Tにおけるユーザ11の股間部11Cの反対側を通る空間を区画し、風路WSの下流端に排泄物の溜まり部21Tに連通する風路出口62Kを設けている。これにより、簡易な構成で、風WDを、肛門11A及び尿道口11Bを含む排泄箇所に当て難い風路WSを形成できる。
【0067】
また、仕切り板61におけるユーザ11の股間部11C側に露出する面に、溜まり部21Tが設けられ、この仕切り板61とセンサーシート71とによってセンサープレートを構成するので、溜まり部21Tの排泄物を検出し易くなる。さらに、仕切り板61にセンサーシート71が有する導通検出端子73A~73F及び73A~73Fを直接設けることによって、仕切り板61そのものをセンサープレートにでき、部品点数の低減に有利となる。
【0068】
また、吸引口33は、溜まり部21Tに向けて風路WSを貫通するパイプ部63を有しているので、溜まり部21Tの排泄物を吸引し易い位置に吸引口33を設けることができる。また、風路WSに制約されることなく、吸引口33を含む下流側の吸引経路位置を設定できる。
また、風路WSの出口に、風WDを、ユーザ11の排泄箇所を含む所定領域(股間部11Cに相当)を避ける方向に案内する風案内部材55を設けたので、これによっても、風WDがユーザ11に直接当たり難くなり、使い心地の向上に寄与する。
【0069】
また、風案内部材55は、排泄物の溜まり部21Tに対して、吸引口33の反対側に設けられているので、風案内部材55によって、溜まり部21Tに向かう風WDの向きを調整でき、排泄物を吸引させ易くなる。
また、カップ21に設けられた外気導入口34の出口に、外気を、ユーザ11の排泄箇所を含む所定領域(股間部11Cに相当)を避ける方向に案内する外気案内部材54を設けたので、カップ21内が過度に負圧になる事態を避けることができ、かつ、外気がユーザ11に直接当たり難くなり、使い心地の向上に寄与する。
【0070】
しかも、本実施形態のカップ21は、ユーザ11の排泄箇所を覆う箇所への装着時に背側から腹側に延出し、背側端部(
図1中の符号P1で示す位置)が尾てい骨11Tの手前で終端し、腹側端部(
図1中の符号P2で示す位置)が尿道口11Bを覆って終端するので、カップ21をコンパクト化できると共に、仰向け以外の姿勢でも装着状態を保持し易くなる。
【0071】
<洗浄水WTの流れに関する作用効果>
本実施の形態では、
図9に示すように、カップ本体41に設けられた注水口32に供給される洗浄水WTは、肛門11A及び尿道口11Bを含む排泄箇所(股間部11Cに相当)を洗浄した後に排泄物の溜まり部21Tを経由して吸引口33に吸引されるので、排泄箇所を十分に洗浄し易くし、かつ、洗浄水WTにより排泄物を浮かし、排泄物を吸引させ易くなる。
【0072】
また、洗浄水WTを、ユーザ11の排泄箇所を洗浄し、かつ洗浄後の洗浄水WTが溜まり部21Tに向かう方向に案内する水案内部材66を有するので水案内部材66によって、洗浄効果と排泄物の吸引効果とを向上させ易くなる。
しかも、注水口32と水案内部材66との間に、洗浄水WTの温度変化を抑制するバッファーSBを設けているので、洗浄水WTの温度変化を抑制し、適正温度の洗浄水WTを供給させ易くなる。また、洗浄水を間欠的に供給するので、カップ21内の圧力を変動させ、固着した便を振動させて吸引し易くなる。
【0073】
<カップ21の形状に関する作用効果>
本実施形態のカップ21は、
図1に示すように、背側端部(
図1中の符号P1で示す位置)が厚く、腹側端部(
図1中の符号P2で示す位置)に向けて薄くなるので、排泄物が溜まる空間を確保してユーザ11へ排泄物が接触する事態を回避し易くなる。
しかも、排泄物が溜まる溜まり部21Tは、カップ21が装着されるユーザ11の上半身を所定角度まで立ち上げた場合にほぼ水平状態となるので、ユーザ11が仰向けの姿勢から上半身を立ち上げた所定範囲で排泄物がユーザ11の反対側に流れ難くなる。これにより、吸引ホース23を外しても、排泄物が外部に流出し難くなる。
【0074】
<粉砕部の作用効果>
本実施形態のカップ21の吸引口33には、吸引口33を通過する排泄物を粉砕する粉砕部として機能する刃体33A,33B及び33Cが設けられるので、吸引経路の詰まりや排泄物の付着を抑制し、吸引ホース23の洗浄等を容易化することができる。吸引経路の詰まり等を抑制できるので、吸引経路を細くして吸引速度の高速化を図ることができ、これによって、吸引される洗浄水WTによって吸引ホース23を自動洗浄する効果も期待できる。
【0075】
また、刃体33A,33B及び33Cは、排泄物を下流側に向けて所定方向に回転させる刃体33A,33Bと、排泄物を下流側に向けて前記所定方向と反対方向に回転させる他の刃体33Cとを有するので、刃体33A,33B及び33Cのいずれかで排泄物を回転させ、他の刃体で排泄物に切り込みを入れてねじ切ることが可能となり、排泄物を効率良く粉砕できる。
この場合、刃体33A,33Bを、吸引口33の軸線LAに対して斜めに交差する方向に延びる刃体とし、他の刃体33Cを、吸引口33の軸線LAに対して刃体33A,33Bの逆向きに交差する方向に延びる刃体とすることで、上記のように排泄物を回転させる刃体を実現できる。
【0076】
また、これら刃体33A,33B及び33Cは、吸引口33の周方向に間隔を空けて設けられているので、比較的大きい排泄物をこれら刃体33A,33B及び33Cのうちの複数の刃体に同時に接触させ、粉砕し易くなる。また、他の粉砕部として機能する副噴出口33Gを設けることによっても、吸引経路の詰まり等を抑制でき、吸引経路を細くして吸引速度の高速化を図り易くなる。
【0077】
<第1検出部72、第2検出部73の作用効果>
カップ21には、排泄物検出用のセンサーとして、肛門11A及び尿道口11B等からの排泄物を検出可能で、かつ、互いに離間する位置に配置された第1検出部72と第2検出部73とを設けている。そして、排泄物処理ユニット100の制御部101は、第1検出部72と第2検出部73の何れかが排泄物を検出すると、吸引動作を開始し、その後に、第1検出部72と第2検出部73のうち、肛門11Aの排泄物を相対的に検出し易い位置に配置された第2検出部73で排泄物が検出されたか否かを判定する吸引後の判定処理を行い、この判定処理で、第2検出部73で排泄物が検出されないと判定した場合、第1吸引モードで吸引動作を行い、第2検出部73で排泄物が検出されたと判定した場合、第1吸引モードよりもエネルギー消費が多い第2吸引モードで吸引動作を行う。これにより、排泄物の種類に合わせた吸引モードを特定できる。
【0078】
これに対し、従来、水分検出用のセンサーによって検出した排泄物に対し、臭気検出用のセンサーによって検出される臭気の有無を利用することで、排泄物の種類に合わせた吸引動作を行うものがある。本実施形態では、水分検出用のセンサーと、臭気検出用のセンサーとを用いることなく、排泄物の種類に合わせた吸引動作が可能となる。これにより、不必要にエネルギー消費が多い第2吸引モードで動作する事態を抑制し、省エネルギー化を図ることができる。
【0079】
また、制御部101は、最初に排泄物を検出した検出部が、第1検出部72及び第2検出部73のどちらかを判定する一次判定を行い、一次判定で第2検出部73が排泄物を検出し、かつ、吸引後の判定処理からなる二次判定で第2検出部73が排泄物を検出した場合に、第2吸引モードで吸引動作を行い、一次判定で第1検出部72又は第2検出部73が排泄物を検出し、かつ、二次判定で第2検出部73が排泄物を検出しない場合は、第1吸引モードで吸引動作を行う。これにより、一次判定で第2検出部73が排泄物を検出しても、二次判定で第2検出部73が排泄物を検出しない場合は、尿の可能性か、或いは、第1吸引モードで吸引可能な排泄物とみなし、省エネルギー化を図ることができる。
【0080】
第1検出部72及び第2検出部73は、水分を検出するので、臭気センサー等の排泄物を検出可能な他のセンサーを用いる場合と比べ、コスト低減に有利となるし、一種類のセンサーで、排泄物の種類に合わせた吸引動作が可能になる。なお、第1検出部72及び第2検出部73が、水分を検出する構成以外で、排泄物を検出するものであってもよい。
【0081】
また、
図9に示すように、第1検出部72は、尿道口11Bの排泄物を相対的に検出し易い位置に配置され、第2検出部73は、肛門11A及び尿道口11Bの排泄物を検出可能な位置に配置されている。これにより、尿道口11Bからの尿が第1検出部72で検出される位置ではなく、第2検出部73で検出される位置に流れた場合でも排泄物を検出でき、かつ、尿に合わせた吸引動作をし易くなる。
また、第2検出部73は、排泄物の溜まり部21Tにある排泄物を検出するので、排泄物を確実に検出し、吸引動作を行うことができる。
【0082】
<カップ21の装着に関わる作用効果>
図5に示すように、カップ21に設けられるクッション51が、カップ21への固定部52と、ユーザ11の股間部11Cに当たる弾性部53とを有し、カップ21をユーザ11に装着するサポータ111がカップ21を通す開口111Aを有している。そして、
図7に示すように、開口111Aの周縁部111Bを、クッション51の固定部52に当接させて、サポータ111によりカップ21をユーザ11に装着している。この構成によれば、クッション51の弾性部53が独立して変位するので、ユーザ11への圧迫感がなくなり、痛み等が発生しない。また、サポータ111の開口111Aの周縁部111Bをクッション51の固定部52に当接させるので、カップをユーザ11に適切に保持し易くなり、サポータ111の開口111Aとクッション51の固定部52との間からの漏れを防止できる。
【0083】
また、カップ21は、肛門11A及び尿道口11Bを含む排泄箇所側が開口する中空箱形状であり、開口の外周縁に沿って延在する鍔部41Tを有し、クッション51の固定部52は、鍔部41Tを把持すると共に開口の全周を覆う形状に形成されている。この構成によれば、鍔部41Tの剛性を利用してサポータ111によるカップ21の固定力を高めることができる。
また、クッション51の弾性部53は、カップ21の開口に沿って延在する環状の空洞を有しているので、弾性部53を弾性変形し易くすると共に、この空洞に別の弾性部材を挿入して弾性変形度合いを調整できる。
【0084】
<他の実施形態>
続いて、排泄物処理装置10の他の実施形態について説明する。
図18は、他の実施形態に係る排泄物処理装置10で使用されるカップ21の分解斜視図である。また、
図19は、カップ21の側断面を洗浄水WT、風WD、及び外気ARの流れと共に示す図である。なお、上記実施形態と同様の構成は同一の符号を付して示し、重複説明は省略する。
このカップ21は、凹形状のカップ本体41と、カップ本体41に装着される水案内部材66と、クッション51と、カップ本体41の底部41Lに積層されるセンサーシート71と、カップ本体41内に配置される整流板81とを備えている。カップ本体41の底部41Lには、腹側端部側から、外気導入口34、注水口32、送風口31及び吸引口33が順に設けられている。また、水案内部材66は、カップ本体41と別体で形成されている。
【0085】
クッション51は風案内部材55が無い点を除いて上記実施形態と同じである。なお、
図19ではクッション51を想像線(二点鎖線)で示している。また、センサーシート71は、カップ本体41の底部41Lに配置される形状に形成され、かつ、仕切り板61の送風口31に連通する貫通孔76を有する点を除いて上記実施形態と同じである。センサーシート71をカップ本体41の底部41Lに固定することによって、カップ本体41の底部41Lは、排泄物検出用のセンサーを配置したセンサープレートとして機能する。なお、カップ本体41の底部41Lに第1検出部72及び第2検出部73を直接設けることによって、底部41Lそのものをセンサープレートに構成してもよい。
【0086】
本実施形態は、仕切り板61を備えず、整流板81を備える点が上記実施形態と大きく異なる点であり、以下、整流板81及びその周辺構造について説明する。なお、カップ本体41の内面には、整流板81を着脱自在に支持する支持体として機能する複数の孔部41Xが間隔を空けて設けられている。
【0087】
<整流板81について>
図19に示すように、整流板81は、カップ本体41から吸引口33を覆うように延在する板状部材で形成されている。この整流板81は、送風口31と吸引口33の間から排泄物の溜まり部21T近傍まで延在し、溜まり部21Tを
開放する。この整流板81によって、カップ21の内部空間が、送風口31側の空間と吸引口33側の空間とに仕切られ、各空間が排泄物の溜まり部21Tにて互いにつながる。これにより、カップ21内に、送風口31に供給される風WDを、整流板81の延出端を回り込ませて溜まり部21T及び吸引口33に流す風路WXを簡易かつコンパクトに形成することができる。
【0088】
同
図19に示すように、整流板81は、尿道口11Bを肛門11Aよりも上方とした場合に、溜まり部21Tに向けて斜め下方に延出するので、尿道口11B等からの排泄物を整流板81によって溜まり部21Tに案内できる。より具体的には、整流板81の傾斜角度θ2は、溜まり部21Tの傾斜角度θ1よりも急傾斜に形成され(θ2>θ1)、ユーザ11の上半身を立ち上げて溜まり部21Tが水平になっても尿等を溜まり部21Tに案内できる。
この傾斜角度θ2は、整流板81によって仕切られる送風口31側の空間を、尿道口11B側が広く肛門11A側(溜まり部21T側にも相当)にいくほど狭くする角度でもあり、送風口31の風WDを溜まり部21T側に向けて徐々に高速化し、溜まり部21Tの排泄物を吸引口33に向けて押し出し易くなる。カップ本体41には、注水口32と水案内部材66との間に、所定容積の空間となるバッファーSBを区画する凹状の区画体64が設けられる。
【0089】
<風WDの流れについて>
送風口31に供給された風WDは、
図19に示す風路WXに沿って流れるので、整流板81と股間部11Cとの間を通って整流板81の先端からなる延出端を回り込み、排泄物の溜まり部21Tに供給される。整流板81は吸引口33を覆うように延出するので、溜まり部21Tで風WDの流速を高め、排泄物を吸引口33に向けて押し出し易くなる。これにより、硬い便等の様々な排泄物を吸引し易くなる。しかも、整流板81の傾斜角度θ2を、溜まり部21Tの傾斜角度θ1よりも大きくしているので、整流板81とカップ本体41の底部41Lとの隙間が溜まり部21Tに近づくほど狭くなり、溜まり部21Tの下流直下の流速も高めることができる。これらにより、溜まり部21Tでの流速を高め、硬い便等を吸引可能な吸引力を得やすくなる。このことは、高齢者に限らず、若年者等の様々なユーザ11の排泄物を吸引する吸引力を得る場合に有利である。
【0090】
なお、整流板81の傾斜角度θ2の調整によって、風WDがユーザ11に当たる量が変化する。ユーザ11に当たる風WDの量が過大であるとユーザ11に違和感や不快感を与え、使い心地の悪化を招くおそれがある。このため、吸引力とのバランスを考慮して整流板81の傾斜角度θ2を調整したり、送風口31に供給する風WDの風量を調整したりすることが好ましい。
【0091】
<洗浄水WTの流れについて>
図20は、
図19に示す洗浄水WTが流れる箇所を拡大した図である。
図20に示すように、洗浄水WTは、注水口32と水案内部材66との間に設けられたバッファーSBに供給され、このバッファーSBを経由して洗浄口65から排出される。このバッファーSBは、洗浄水WTを一時的に貯留することによって、供給直後の冷水(洗浄水ホース24の残留水等)が直ちに洗浄口65から排出されないようにし、かつ、温水と混合させて洗浄水WTを洗浄口65から排出させることができる。つまり、このバッファーSBにより、洗浄水WTの温度変化を抑制し、適正温度の洗浄水WTを供給させ易くなる。
【0092】
洗浄口65から排出された洗浄水WTは、水案内部材66によって排水方向が変更される。
図19及び
図20に示すように、本構成の水案内部材66は、尿道口11Bから肛門11Aへと洗浄水WTが流れ、かつ、洗浄後の洗浄水WTが、排泄物の溜まり部21Tに向かう方向に洗浄水WTを案内する。これによって、洗浄水WTは、肛門11A及び尿道口11Bを含む排泄箇所を洗浄した後に排泄物の溜まり部21Tを経由して吸引口33に吸引される。
水案内部材66によって洗浄水WTを案内するので、ユーザ11の洗浄すべき箇所だけを洗浄できる。しかも、水案内部材66によって、洗浄水WTが排泄物の溜まり部21Tを経由して吸引口33に吸引されるので、洗浄水WTによって排泄物を浮かし易くなり、排泄物を吸引させ易くなる。
【0093】
<風の流れに関する作用効果>
図20に示すように、本実施の形態では、送風口31に供給される風WDは、整流板81の延出端を回り込んで溜まり部21Tに向かう構成とした。整流板81が吸引口33を覆うように延出し、溜まり部21Tを開放するので、溜まり部21Tで風WDを高速化し、排泄物の吸引力を高め、硬い便等を吸引し易くなる。したがって、介護度が相対的に低いユーザ11を含む様々なユーザが利用し易くなる。
【0094】
また、整流板81は、送風口31と吸引口33の間から延出するので、カップ21内に、送風口31に供給される風WDを、整流板81の延出端を回り込ませて溜まり部21T及び吸引口33に流す風路WXを簡易かつコンパクトに形成することができる。また、尿道口11Bを肛門11Aよりも上方とした場合に、整流板81は、溜まり部21Tに向けて斜め下方に延出するので、尿道口11B等からの排泄物を整流板81によって溜まり部21Tに案内でき、排泄物を吸引し易くなる。また、整流板81は、カップ21から取り外し可能であるので、整流板81及びカップ21の洗浄等のメンテナンスや交換を容易に行うことができる。
【0095】
<他の構成に関する作用効果>
洗浄水WTの流れ、カップ21の形状、粉砕部、第1検出部72、第2検出部73、カップ21の装着等に関する構成及び作用効果は、上記実施形態と同一である。また、自動運転モード時の動作についても上記実施形態と同一である。
【0096】
なお、上記実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、
図1等に示す排泄物処理装置10及びカップ21に本発明を適用する場合を説明したが、各部の構造、及び形状等は適宜に変更してもよい。
図19及び
図20では、整流板81の延出端(溜まり部21T側の端部)をストレート形状にしたストレート型を採用する場合を例示したが、これに限定されず、溜まり部21Tに対して凹形状に湾曲するラウンド型にしてもよい。ラウンド型にすることで、溜まり部21Tがユーザ11側に開放する面積を拡げ、排泄物が詰まり難くなる。また、溜まり部21Tに対して凸形状に湾曲する他のラウンド型にしてもよい。このような異なる形状の整流板81を複数種類用意し、ユーザ11等に合わせて適宜に交換するようにしてもよい。
また、外気をカップ21内に送風するようにしてもよい。この場合、脱臭、粉塵除去、及び湿度調整等の少なくともいずれかを行う外気調整デバイスを設け、この外気調整デバイスを通過した外気をカップ21内に供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 排泄物処理装置
11 ユーザ(人体)
11A 肛門
11B 尿道口
11C 股間部
11T 尾てい骨
21 カップ(覆い部材)
22 送風ホース
23 吸引ホース
24 洗浄水ホース
25 電気配線
31 送風口
32 注水口
33 吸引口
33A 第1刃体
33B 第2刃体
33C 第3刃体(他の刃体)
34 外気導入口
41 カップ本体
41L 底部
41T 鍔部
41V 支持体
41X 孔部(支持体)
51 クッション
52 固定部
53 弾性部
54 外気案内部材
55 風案内部材
61 仕切り板
62K 風路出口
66 水案内部材
71 センサーシート
72 第1検出部
73 第2検出部
100 排泄物処理ユニット
101 制御部
102 送風部
103 洗浄水供給部
104 吸引部
105 タンク部
106 操作部
107 報知部
111 サポータ
111A 開口
111B 周縁部
111C 股間部
112 サポータ本体部
AR 外気
WD 風
WT 洗浄水
WS 風路
WX 風路
EX 排泄物