(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 29/00 20060101AFI20240404BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F25D29/00 Z
H05K7/00 L
(21)【出願番号】P 2020041855
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】阪上 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】尾渡 謙児
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0149421(US,A1)
【文献】特開2005-274084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 29/00
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体に設けられて前記貯蔵室を開閉する扉と、
前記扉に設けられ、外部機器を挿入して接続可能な接続部と、
前記接続部が実装された基板と、
前記扉に設けられた嵌合部と、を備え、
前記接続部は、前記扉に対して係止し前記外部機器の挿抜方向と異なる方向に延びる係止部を有
し、
前記基板は、当該基板の周囲の辺のうち前記外部機器の挿抜方向に延びる辺に設けられ、前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を有している、
冷蔵庫。
【請求項2】
貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体に設けられて前記貯蔵室を開閉する扉と、
前記扉に設けられ、外部機器を挿入して接続可能な接続部と、
前記接続部が実装された基板と、を備え、
前記接続部は、前記扉に対して係止し前記外部機器の挿抜方向と異なる方向に延びる係止部を有
し、
前記基板の前記扉への挿入方向は、前記外部機器の挿抜方向とは異なる、
冷蔵庫。
【請求項3】
貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体に設けられて前記貯蔵室を開閉する扉と、
前記扉に設けられ、外部機器を挿入して接続可能な接続部と、
前記接続部が実装された基板と、を備え、
前記接続部は、前記扉に対して係止し前記外部機器の挿抜方向と異なる方向に延びる係止部を有
し、
前記扉は、前記接続部と前記基板とを保持する保持部材と、外部に連通した開口を有し前記基板と前記接続部と前記保持部材とを収容する収容部と、前記収容部を少なくとも部分的に外部から遮断する内壁と、を有し、
前記係止部は、前記保持部材と前記内壁とに対して係止している、
冷蔵庫。
【請求項4】
貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体に設けられて前記貯蔵室を開閉する扉と、
前記扉に設けられ、外部機器を挿入して接続可能な接続部と、
前記接続部が実装された基板と、を備え、
前記接続部は、前記扉に対して係止し前記外部機器の挿抜方向と異なる方向に延びる係止部を有
し、
前記扉は、外部に連通した開口を有し前記基板及び前記接続部を収容する収容部と、
前記開口を塞ぐ蓋部材と、を有し、
前記蓋部材は、前記基板の一部を挟み込んで前記基板の厚み方向に対する移動を規制する挟み部を有する、
冷蔵庫。
【請求項5】
前記係止部は、前記接続部全体に関して前記外部機器の挿入方向に対する手前側に位置する、請求項1
から4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記係止部は、前記接続部の前記外部機器の挿入方向に対する手前側の端部を折り返して形成されている、請求項
5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記扉に設けられた嵌合部を更に備え、
前記基板は、当該基板の周囲の辺のうち前記外部機器の挿抜方向に延びる辺に設けられ、前記嵌合部と嵌合する被嵌合部を有している、
請求項
2から
4のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット等の携帯情報端末の普及に伴い、例えば携帯情報端末で動画や音楽を視聴しながらキッチンで家事を行うといった使い方がなされるようになってきている。しかしながら、動画や音楽の視聴に伴うバッテリー消費が比較的大きいため、ユーザは、携帯情報端末のバッテリーの残量を気にしながら視聴する必要がある。そこで、例えば携帯情報端末等の外部機器を接続可能な接続端子を冷蔵庫に設け、冷蔵庫と外部機器とを電気的に接続して冷蔵庫から外部機器に給電を行うことができる構成が提案されている。
【0003】
しかしながら、例えば冷蔵庫から外部機器に給電するたびに、外部機器と接続端子とを繋ぐケーブルなどを抜き差しするため、頻繁に使用する場合、接続端子に物理的な負荷がかかる虞れがある。そのため、例えば長期間頻繁に使用した結果、接続端子が壊れてしまい、外部機器を冷蔵庫に接続できなくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、外部機器の接続動作時に接続端子へかかる負荷を低減することができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体に設けられて前記貯蔵室を開閉する扉と、前記扉に設けられ、外部機器を挿入して接続可能な接続部と、前記接続部が実装された基板と、を備える。前記接続部は、前記扉に対して係止し前記外部機器の挿抜方向と異なる方向に延びる係止部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態による冷蔵庫の一例の外観を示す正面図
【
図2】一実施形態による冷蔵庫の一例について冷蔵室右扉の下方部を示す分解斜視図
【
図3】一実施形態による冷蔵庫の一例について接続ユニットと保持部と蓋部材とを冷蔵室右扉から外して示す下方から見た分解斜視図
【
図4】一実施形態による冷蔵庫の一例について接続ユニットと保持部と蓋部材とを冷蔵室右扉から外して示す上方から見た分解斜視図
【
図5】一実施形態による冷蔵庫の一例について収容部と窪み部との周辺を
図1のx5-x5線に沿って示す断面図
【
図6】一実施形態による冷蔵庫の一例について
図5の接続部周辺を拡大して示す断面図
【
図7】一実施形態による冷蔵庫の一例について接続ユニットを正面方向から見た断面図
【
図8】一実施形態による冷蔵庫の一例について
図7のx8-x8線に沿って示す断面図
【
図9】一実施形態による冷蔵庫の一例について
図7のx9-x9線に沿って示す断面図
【
図10】一実施形態による冷蔵庫の一例について
図7のx10-x10線に沿って示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態による冷蔵庫について、図面を参照して説明する。
まず、
図1を参照して、冷蔵庫1の概略構成について説明する。
図1に示すように、冷蔵庫1は、前面が開口した縦長矩形箱状の冷蔵庫本体10内に、複数の貯蔵室を有して構成されている。以下の説明では、冷蔵庫本体10の開口側を、冷蔵庫1の前側とし、開口とは反対側を、冷蔵庫1の後ろ側とする。また、冷蔵庫1を
図1の姿勢で床面に設置した場合における重力方向に対する上下方向を、冷蔵庫1の上下方向とする。また、
図1の冷蔵庫1を前側から見た場合における左右方向を、冷蔵庫1の左右方向とする。
【0009】
図1に示すように、冷蔵庫1は、冷蔵庫本体10を主体として構成されている。冷蔵庫本体10は、前面が開口した断熱性を有する矩形の箱体で構成されている。この場合、詳細は図示しないが、冷蔵庫本体10は、例えば樹脂製の内箱と金属製の外箱との間に断熱材を設けて構成されている。
【0010】
冷蔵庫本体10は、貯蔵物を貯蔵するための複数の貯蔵室として、例えば冷蔵室11、野菜室12、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15を備えている。冷蔵室11、野菜室12は、冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15は、冷凍温度帯の貯蔵室である。
【0011】
冷蔵室11は、冷蔵庫本体10の最上部に設けられている。野菜室12は、冷蔵室11の下方に設けられている。製氷室13及び小冷凍室14は、野菜室12の下方にあって、左右に並べて設けられている。冷凍室15は、製氷室13及び小冷凍室14の下方、つまり冷蔵庫本体10の最下部に設けられている。
【0012】
冷蔵庫1は、右側冷蔵室扉21、左側冷蔵室扉22、野菜室扉23、製氷室扉24、小冷凍室扉25、及び冷凍室扉26を備えている。右側冷蔵室扉21及び左側冷蔵室扉22は、例えば観音開きのヒンジ開閉式の扉であって、冷蔵室11の前側の開口を開閉する。右側冷蔵室扉21の幅と左側冷蔵室扉22の幅とは同一でも良いし、異なっていても良い。本実施形態の場合、右側冷蔵室扉21は、左側冷蔵室扉22よりも幅広に構成されている。
【0013】
また、右側冷蔵室扉21は右側ヒンジ211を有し、左側冷蔵室扉22は左側ヒンジ221を有している。各ヒンジ211、221は、それぞれ冷蔵室扉21、22の外側端部の上下部分に設けられており、各冷蔵室扉21、22を回転可能に支持する。野菜室扉23、製氷室扉24、小冷凍室扉25、及び冷凍室扉26は、いずれも引き出し式であって、それぞれ野菜室12、製氷室13、小冷凍室14、及び冷凍室15の前側の開口を開閉する。
【0014】
冷蔵庫1は、図示しない電源装置を備えている。本実施形態の場合、電源装置は、冷蔵庫本体10の天井の奥寄り部分に埋め込まれるようにして設けられている。
【0015】
冷蔵庫1は、操作装置222を備える。操作装置222は、ユーザからの操作を受け付けて、冷蔵庫1の運転内容等の各種の設定の変更や表示等を行う機能を有する。本実施形態の場合、操作装置222は、例えば静電タッチ式の操作装置で構成されている。そして、操作装置222は、例えば冷蔵室扉21、22のいずれか一方又は両方に内蔵されている。本実施形態の場合、操作装置222は、左側冷蔵室扉22に設置されている。この場合、ユーザは、左側冷蔵室扉22の表面のうち操作装置222が設けられている領域をタッチすることで、操作装置222に対して入力操作を行うことができる。なお、操作装置222は、静電タッチ式に限られず、ボタン式であっても良い。
【0016】
また、冷蔵庫1は、接続ユニット30を備えている。接続ユニット30は、
図1及び
図5に示す電気配線70を介して図示しない電源装置に接続されている。接続ユニット30は、
図1及び
図5に示すように、スマートフォンやタブレット等の外部機器80を直接又はケーブル81を介して着脱可能でかつ給電可能に接続する。そして、図示しない電源装置は、接続ユニット30を介して接続された外部機器80に給電する。
【0017】
接続ユニット30は、
図3~
図5に示すように、基板31と、電源側ソケット32と、接続部33と、を備える。基板31は、概ね矩形の板状に形成されたプリント基板であり、例えばガラス繊維にエポキシ樹脂を滲み込ませたガラスエポキシ基板である。基板31は、電源側ソケット32と接続部33とを実装している。電源側ソケット32は、メスコネクタであり、
図5に示すように、電気配線70の出力側の先端に設けられたオスコネクタである電源側コネクタ71を受け入れて電源装置からの電力を基板31に供給する。接続部33は、メスコネクタであり、外部機器80に設けられた又は外部機器80に接続されたケーブル81の先端に設けられたオスコネクタであるコネクタ82を受け入れて着脱可能でかつ給電可能に接続する。電源側ソケット32と接続部33とは、基板31にはんだ付け等の手法によって固定されている。なお、本明細書では、外部機器80に設けられたコネクタ82或いは外部機器80に接続されたケーブル81に設けられたコネクタ82を接続部33に挿入或いは抜き出しすることを、外部機器80を接続部33に挿抜するということがある。
【0018】
本実施形態の場合、接続部33は、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格に基づくコネクタであり、例えばUSBメスコネクタで構成されている。なお、接続部33は、外部機器80と給電可能に接続できる規格に基づくものであれば、USBコネクタに限られない。
【0019】
接続ユニット30は、各扉21、22、23、25、26、又は冷蔵庫本体10に設けられている。本実施形態の場合、接続ユニット30は、右側冷蔵室扉21に設けられている。接続ユニット30は、右側冷蔵室扉21の下端部付近に設けられている。この場合、右側冷蔵室扉21は、
図1及び
図2に示すように、窪み部212及び収容部40を有している。収容部40は、内部に接続ユニット30を収容する。
【0020】
窪み部212は、右側冷蔵室扉21の周縁部、この場合、下端部に設けられている。窪み部212は、右側冷蔵室扉21の表面部分を扉21の厚み方向に関して窪ませて形成されている。つまり、窪み部212は、右側冷蔵室扉21において、ユーザ側へ向かって開放されている。窪み部212は、外部機器80又はコネクタ82を、少なくとも一部が扉21から前方に突出しない態様で接続ユニット30に接続することを許す。
【0021】
図5に示すように、収容部40は、右側冷蔵室扉21の内部に形成された空間であり、窪み部212の周囲に隣接して設けられている。収容部40は、
図2等に示すように、開口41と、天面部42と、側面部43と、を有する。開口41は、収容部40の下部に設けられ、収容部40を下方に向けて開放する。天面部42は、収容部40の上部つまり開口41と対向する部分に設けられ、収容部40の内部空間の天井部分を構成する。側面部43は、開口41と天面部42とを接続し、収容部40の内部空間を取り巻く壁部を構成する。
【0022】
本実施形態の場合、収容部40は、開口41によって右側冷蔵室扉21に対して下方へ向かって開放されている。そのため、接続ユニット30を右側冷蔵室扉21に取り付ける際、接続ユニット30は、右側冷蔵室扉21の下方から上方へ向かって開口41に通されて収容部40内に挿入される。つまり、接続ユニット30の収容部40への挿入方向は、外部機器80の挿抜方向とは異なっている。本実施形態では、接続ユニット30の収容部40への挿入方向と、外部機器80の挿抜方向とは、互いに垂直である。この場合、接続ユニット30は、右側冷蔵室扉21に対して着脱可能つまり交換可能に設けられている。
【0023】
図5は、
図1のx5-x5に沿って示す収容部と窪み部との周辺を上から見た場合の断面図である。
図5に想像線を二点鎖線で示すように、天面部42には、電気配線70を引き出すための引出し口44が設けられている。本実施形態の場合、引出し口44は、天面部42の、接続ユニット30が下方に収容されていない部分に設けられている。本実施形態では、引出し口44は、天面部42の左右方向の中央よりも接続ユニット30とは反対側よりこの場合左よりに設けられている。図示しない電源装置に接続された電気配線70は、例えば右側冷蔵室扉21の上部に設けられたヒンジ211から右側冷蔵室扉21内に引き込まれて引出し口44に至り、引出し口44から収容部40に引き出される。
【0024】
収容部40に引き出された電気配線70は、やや弛ませた状態で収容部40の一部である電気配線収容部45に収容される。本実施形態では、電気配線収容部45は収容部40の左右方向の中央よりも左よりの部分を構成する。電気配線70は、例えば5cmから10cm程度の余裕をもって弛ませて接続ユニット30に接続されている。そのため、例えば製造時や修理時に作業者が接続ユニット30を収容部40に設置したり取り外したりするときなどに、電気配線70の移動が規制され作業が困難になることが抑制される。
【0025】
図2及び
図5に示すように、側面部43は、窪み部212の側に、言い換えると電気配線収容部45とは反対側に、つまり本実施形態の場合右側に、内壁431と窓部432とを有する。内壁431は、収容部40の内部と窪み部212との間を仕切る壁部を形成する。本実施形態の場合、内壁431の形成する面は、前後方向に対して傾斜している。窓部432は、内壁431の一部を開口して形成され、収容部40の内部と窪み部212とを連通する。外部機器80又はケーブル81のコネクタ82の先端は、窓部432を通して接続ユニット30に挿入される。外部機器80又はケーブル81に設けられたコネクタ82は、接続ユニット30に挿入された状態で、左右方向に対して傾斜している。つまり、外部機器80の挿抜方向は、左右方向に対して傾斜している。
【0026】
扉21は、
図3から
図5に示すように、保持部材50を備える。保持部材50は、接続ユニット30を保持する機能を有し、収容部40の内部に収容される。保持部材50は、上部51と、側部52とを備える。上部51は、保持部材50の上面部分を形成し、収容部40の内部に収容された状態において、収容部40の天面部42に当接する。側部52は、上部51に接続され、保持部材50の側面部分を連続的又は非連続的に形成する。側部52は、収容部40の内部に収容された状態において、少なくともその一部が収容部40の側面部43に当接する。本実施形態の場合、
図5に示すように、側部52は前側を向く面と後ろ側を向く面とを有し、それらの面が収容部40の側面部43の前側を向く面と後ろ側を向く面とにそれぞれ当接する。また、側部52の窪み部212に対向する面、つまりこの場合側部52の右側の面の一部は、内壁431に当接する。したがって、収容部40に収容された状態において、保持部材50は、上下方向以外の移動が規制されている。
【0027】
側部52は、側部52の窪み部212に対向する面、つまり右側の面の一部に切り口53を有する。本実施形態では、切り口53は、側部52を下方に向かって開放する逆U字型に切り欠いて構成されている。切り口53の面積は、窓部432の面積よりも大きい。側部52は、切り口53の周囲に凹部54を有する。凹部54は、切り口53の周囲において側部52を厚み方向に関して窪ませて形成されている。したがって、本実施形態では、凹部54も逆U字型に構成されている。
【0028】
接続ユニット30は、接続部33の先端が切り口53と窓部432とを介して窪み部212の側から目視及び接触可能な状態で、収容部40に収容されている。これにより、ユーザは、
図5に示すように、例えば外部機器80に接続されたケーブル81の一端に設けられたコネクタ82を窪み部212側から接続部33の差し込み口に差し込むことで、接続ユニット30を介して外部機器80を電源装置に接続することができる。なお、本実施形態では、接続部33の外部機器80の挿入方向に対する手前側の先端は、収容部40から突出していない。つまり、接続部33の先端部分は、内壁431よりも挿入方向に対する奥側、換言すれば収容部40に関して内側に位置する。他の実施形態では、接続部33の先端部分が窪み部212側に突出していても良い。なお、ここで挿入方向に対する手前側とは、窪み部212から収容部40に挿入されるコネクタ82の移動線に対して窪み部212側の方向のことを指す。また、挿入方向に対する奥側とは、窪み部212から収容部40に挿入されるコネクタ82の移動線に対して収容部40側の方向のことを指す。
【0029】
図7~
図9に示すように、保持部材50は、更に、爪部56と、嵌合部55と、を有する。
図7におけるA方向とは、外部機器80の挿入方向に対する奥側の方向を指す。
図7におけるB方向とは、外部機器80の挿入方向に対する手前側の方向を指す。
図8に示すように、爪部56は、上部51から下方に突出して設けられ、先端が湾曲して全体としてL字側に形成されている。爪部56は、先端の湾曲部561で基板31の厚み方向を形成する側部に係止する。そのため、爪部56は、基板31の上下方向への移動を規制する。
【0030】
嵌合部55は、上部51から下方に突出して逆U字型を形成する。また、
図7に示すように、基板31は被嵌合部311を有する。被嵌合部311は、基板31の長手方向の一片、この場合上側の一辺の一部を切り欠いて形成され、嵌合部55と嵌合して、基板31の移動を規制する。
【0031】
つまり、接続ユニット30を保持部材50に装着すると、基板31と爪部56との係止により基板31の上下方向への移動が規制されるとともに、被嵌合部311と嵌合部55との嵌合によってコネクタ82の挿抜方向に対する基板31の移動が規制される。この場合、収容部40に保持部材50と接続ユニット30とが収容された時、基板31の厚み方向は内壁431に対して平行である。つまり、基板31の長手方向の辺及び身近手方向の辺は内壁431に対して垂直である。また、本実施形態では、基板31の長手方向の辺は、外部機器80の挿抜方向に平行であって、左右方向に対して傾斜している。
【0032】
なお、上部51と、嵌合部55及び爪部56は、例えばプラスチックなどの合成樹脂を一体成型することにより形成されている。そのため、嵌合部55と爪部56とは、収容部40に保持部材50が収容された状態では、基板31の装着を許すために撓る以外には、基本的に外部機器80の挿抜方向にも、前後方向にも、移動不可能である。
【0033】
図3~
図5に示すように、冷蔵庫1は、更に蓋部材60を備える。蓋部材60は、蓋本体61と、挟み部62と、を有する。蓋本体61は、水平面に平行な平面を形成し、収容部40の開口41を着脱可能に開閉する機能を有する。また、挟み部62は、蓋本体61から上方に突出してU字状に形成されている。蓋本体61と、挟み部62とは、プラスチックなどの合成樹脂で一体成型されている。
【0034】
収容部40に保持部材50に保持された接続ユニット30が収容された状態において、蓋部材60によって開口41を閉じると、挟み部62のU字形状の溝に、基板31の下側の一辺が挟み込まれる。これにより、基板31の厚み方向に対する移動が規制される。
【0035】
図2、
図3、
図6に示すように、接続部33は、外形が概ね矩形の筒状に形成されている。接続部33は、係止部331を有する。本実施形態では、接続部33は、複数この場合4個の係止部331を有する。係止部331は、接続部33の筒状部分の挿入方向に対する手前側、つまり収容部40に対する窪み部212側、本実施形態の場合右側の端部を外側に折り返して形成されている。係止部331は、コネクタ82の挿抜方向に対して垂直な方向に延びる。接続ユニット30が保持部材50に装着されている状態において、複数の係止部331のうち、少なくとも1個の係止部331は、保持部材50の凹部54に係止している。本実施形態では、3個の係止部331が凹部54に係止している。つまり、上側、前側、後ろ側に位置する3個の係止部331は凹部54の上側、前側、後ろ側部分にそれぞれ係止している。4個の係止部331のうち下側に位置する係止部331は、凹部54が逆U字型に形成されているために凹部54と係止していない。
【0036】
更に、接続ユニット30と保持部材50とが収容部40に収容された状態において、複数の係止部331のうち、少なくとも1個の係止部331は、コネクタ82の挿入方向に対する手前側つまり収容部40に対する窪み部212側が内壁431に係止する。本実施形態では、4個の係止部331が内壁431に係止する。また、上述のように、係止部331は、コネクタ82の挿入方向に対して奥側つまり窪み部212に対する収容部40側が凹部54に係止している。そのため、コネクタ82を接続ユニット30に挿入する際、接続部33が受ける挿入方向に対する力は、係止部331を介して凹部54、ひいては保持部材50が受けることになる。また、コネクタ82を接続ユニット30から抜き出す際、接続部33が受ける引抜き方向、つまり半挿入方向に対する力は、係止部331を介して内壁431、ひいては扉21が受けることになる。
【0037】
ここで、接続部33が係止部331を有さない場合、接続部33と保持部材50と、及び接続部33と内壁431とは、係止していないことになる。その場合、コネクタ82を抜き差しする際に接続部33が受ける挿抜方向に対する力は、全て接続部33が受ける。そして、基板31は上述のように嵌合部55と被嵌合部311との嵌合によって挿抜方向へ移動しないように規制されているため、接続部33が受けた力は、接続部33と基板31との固定部分、例えばはんだ付けされた部分に集中する。その結果、長期間の使用や過度の使用によって基板31と接続部33と間のがたつきや、基板31からの接続部33の脱落、ひいては接続ユニット30の不具合に至ってしまう虞れがある。
【0038】
以上説明した実施形態によれば、冷蔵庫1は、冷蔵庫本体10と、扉21、22、23、24、25、26と、を備える。冷蔵庫本体10は、貯蔵室11、12、13、14、15を有している。各扉21、22、23、24、25、26は、冷蔵庫本体10に設けられており、それぞれ対応する貯蔵室11、12、13、14、15を開閉する。冷蔵庫1は、扉21に設けられた接続部33と、接続部33が実装された基板と、を備える。外部機器80を直接又はケーブル81を介して間接的に挿入して接続可能である。接続部33は、扉21に対して係止し、外部機器80の挿抜方向と異なる方向に延びる係止部331を有する。この場合、具体的には、接続部33は、扉21に対して係止し、外部機器80の挿抜方向に対して垂直方向に延びる係止部331を有する。
【0039】
これによれば、係止部331は扉に対して係止されているため、外部機器80の抜き差しの際に基板31のぐらつきが少なく、使用時の安定性に優れる。また、係止部331は、外部機器80の挿抜方向と異なる方向に延びているため、外部機器80の抜き差しの際に、係止部331が受ける挿抜方向への力を扉に逃すことができる。具体的には、係止部331は、外部機器80の挿抜方向に対して垂直な方向に延びているため、外部機器80の抜き差しの際に、係止部331が受ける挿抜方向への力をより効率よく扉に逃すことができる。その為、接続部33と基板31との固定部分に力がかかることを抑制し、長期間の使用後であっても、がたつきや脱落を抑制し、接続ユニット30の不具合の発生を低減することができる。このように、本実施形態によれば、冷蔵庫1が備える接続部33に外部機器80を抜き差しする際に、接続部33自体及び接続部33が実装された基板31にかかる負荷を低減することができる。
【0040】
また、係止部331は、接続部33全体に関して外部機器80の挿入方向に対する手前側に位置する。これによれば、外部機器80の挿抜の際に力がかかりやすい挿入方向の手前部分に係止部331が位置しているため、更に効率よく挿抜の際の力を扉21に逃すことができる。そのため、より一層、接続部33と基板31との固定部分に力がかかることを抑制し、長期間の使用後であっても、がたつきや脱落を抑制し、接続ユニット30の不具合の発生を減少させることができる。
【0041】
更に、係止部331は、接続部33の外部機器80の挿入方向に対する手前側の端部を折り返して形成されている。このため、係止部331は、接続部33と一体に形成されている。これによれば、接続部33と係止部331とを別部材とする場合に比較して、より強度を高めることができ、また、製造コストを削減することができる。
【0042】
更にまた、冷蔵庫1は、扉21に設けられた嵌合部55を更に備える。基板31は、基板31の周囲の辺のうち外部機器80の挿抜方向に延びる辺に設けられ、この場合上側の辺に設けられて嵌合部55と嵌合する被嵌合部311を有している。これによれば、嵌合部55と被嵌合部311との嵌合によって、外部機器80の挿抜方向への移動が規制される。そのため、外部機器80の抜き差しの際に、基板31のがたつきが生じることを抑制でき、その結果、接続ユニット30の経年劣化を抑制することができる。
【0043】
更にまた、基板31の扉21への挿入方向は、外部機器80の挿抜方向とは異なる。この場合、基板31の扉21への挿入方向は、外部機器80の挿抜方向に対して垂直方向である。これによれば、基板31は扉21への設置の際に外部機器80の挿抜方向に移動することを前提としていないため、外部機器80の抜き差しの際に、基板31が一緒に挿抜方向に移動してしまい、基板31にがたつきが生じることを抑制できる。
【0044】
更にまた、冷蔵庫1は、接続部33と基板31とを保持する保持部材50と、外部に連通した開口41を有し基板31と接続部33と保持部材50とを収容する収容部40と、収容部40を少なくとも部分的に外部から遮断する内壁431と、を有する。係止部331は、保持部材50と内壁431とに対して係止している。
【0045】
これによれば、係止部331は、外部機器80の挿入方向に対する手前側においては内壁431係止し、外部機器80の挿入方向に対する奥側においては保持部材50と係止している。この場合、外部機器80を接続部33に挿入する際に接続部33にかかる力は、係止部331から保持部材50に伝えられる。さらに、外部機器80を抜出する際に接続部33にかかる力は、係止部331から内壁431に伝えられる。したがって、外部機器80の挿抜方向いずれの移動に対しても、接続部33に掛かる力が接続部33と基板31との固定部分に加わることを抑制することができる。
【0046】
扉21は、外部に連通した開口41を有し基板31と接続部33とを収容する収容部40と、開口41を塞ぐ蓋部材60と、を有す
る。蓋部材60は、基板31の一部を挟み込んで基板31の厚み方向に対する移動を規制する挟み部62を有する。これによれば、基板31の厚み方向に対する移動、すなわち外部機器80の挿入方向に対し垂直な方向への移動が規制される。そのため、外部機器80の挿入の際の基板31のがたつきが軽減され、使用感を向上することができる。
【0047】
なお、係止部331は、外部機器80の挿抜方向のいずれか一方に対して少なくとも係止する構成でも良い。つまり、係止部331は、例えば少なくとも内壁431に係止する構成や、少なくとも保持部材50に係止する構成としても良い。
【0048】
更に、係止部331は、接続部33の、外部機器80の挿入方向に対する手前側の端部に限らず、接続部33の挿入方向に延びる辺のいずれかの部分に設ける構成としても良い。例えば、係止部331は、接続部33の挿入方向に対して奥側つまり窪み部212に対して収容部40側や、接続部33の挿入方向に対して手前側と奥側の中間に設けられていても良い。更に、係止部331は、接続部33を形成する筒状部分の四面のうち一部、例えば上下の面や、上下の面のうちのいずれか一方に設ける構成としても良い。
【0049】
なお、上記実施形態において、接続部33の一例としてUSB規格による端子を開示したが、接続部33は給電可能な規格のものであればUSB規格による端子に限られない。
また、接続ユニット30に接続される外部機器80は、スマートフォンやタブレット等の携帯情報端末の他、例えばパソコン等も考えられる。
【0050】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1…冷蔵庫、10…冷蔵庫本体、11…冷蔵室(貯蔵室)、12…野菜室(貯蔵室)、13…製氷室(貯蔵室)、14…小冷凍室(貯蔵室)、15…冷凍室(貯蔵室)、21…右側冷蔵室扉(扉)、30…接続ユニット、31…基板、311…被嵌合部、33…接続部、331…係止部、40…収容部、41…開口、431…内壁、50…保持部材、55…嵌合部、56…爪部、60…蓋部、62…挟み部、80…外部機器