(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】運土計画管理装置、運土計画管理方法および運土計画管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240404BHJP
【FI】
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2020047486
(22)【出願日】2020-03-18
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(73)【特許権者】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 岩往
(72)【発明者】
【氏名】山根 浩二
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 善一
(72)【発明者】
【氏名】宮辻 和宏
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/170968(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/082692(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工現場の現況地形を示す2次元現況地形データおよび3次元現況地形データ並びに前記施工現場の設計地形を示す3次元設計地形データを取得する取得部と、
前記3次元現況地形データおよび前記3次元設計地形データから、土砂の切土計画データと土砂の盛土計画データを含む施工計画データを生成する施工計画データ生成部と、
前記施工計画データにおける前記施工現場の所定切土領域から所定盛土領域まで土砂を運搬するための運土経路を、前記2次元現況地形データに2次元運土経路として設定する2次元運土経路設定部と、
設定した前記2次元運土経路を所定間隔、設定した前記2次元運土経路の分岐点および設定した前記2次元運土経路の勾配の変化点の少なくともいずれかに基づいて分割して、分割2次元運土経路を生成する分割運土経路生成部と、
前記3次元現況地形データを用いて、前記分割2次元運土経路から分割3次元運土経路を生成する3次元運土経路生成部と、
前記分割3次元運土経路のそれぞれの勾配を算出する勾配算出部と、
算出された前記勾配に応じて、前記分割3次元運土経路に所定重み付け値を付与する付与部と、
土砂の運土量、前記所定間隔および前記所定重み付け値
を掛け合わせることにより、前記分割3次元運土経路ごとに前記分割3次元運土経路の分割運土負荷を算出する分割運土負荷算出部と、
算出された分割運土負荷の総和により、前記2次元運土経路により前記土砂を運土する場合の運土負荷を算出する運土負荷算出部と、
を備えた運土計画管理装置。
【請求項2】
前記3次元運土経路生成部は、前記3次元現況地形データの点群データを用いて、前記2次元運土経路から前記分割3次元運土経路を生成する請求項1に記載の運土計画管理装置。
【請求項3】
前記3次元設計地形データを用いて、前記土砂の前記運土量を算出する運土量算出部をさらに備えた請求項1または2に記載の運土計画管理装置。
【請求項4】
前記2次元運土経路設定部は、前記2次元現況地形データに少なくとも2つの2次元運土経路を設定し、
設定された前記少なくとも2つの2次元運土経路を前記運土負荷に基づいて比較する比較部と、
前記比較部による比較結果を出力する出力部と、
をさらに備えた請求項1~3のいずれか1項に記載の運土計画管理装置。
【請求項5】
施工現場の現況地形を示す2次元現況地形データおよび3次元現況地形データ並びに前記施工現場の設計地形を示す3次元設計地形データを取得する取得ステップと、
前記3次元現況地形データおよび前記3次元設計地形データから、土砂の切土計画データと土砂の盛土計画データを含む施工計画データを生成する施工計画データ生成ステップと、
前記施工計画データにおける前記施工現場の所定切土領域から所定盛土領域まで土砂を運搬するための運土経路を、前記2次元現況地形データに2次元運土経路として設定する2次元運土経路設定ステップと、
設定した前記2次元運土経路を所定間隔、設定した前記2次元運土経路の分岐点および設定した前記2次元運土経路の勾配の変化点の少なくともいずれかに基づいて分割して、分割2次元運土経路を生成する分割運土経路生成ステップと、
前記3次元現況地形データを用いて、前記分割2次元運土経路から分割3次元運土経路を生成する3次元運土経路生成ステップと、
前記分割3次元運土経路のそれぞれの勾配を算出する勾配算出ステップと、
算出された前記勾配に応じて、前記分割3次元運土経路に所定重み付け値を付与する付与ステップと、
土砂の運土量、前記所定間隔および前記所定重み付け値
を掛け合わせることにより、前記分割3次元運土経路ごとに前記分割3次元運土経路の分割運土負荷を算出する分割運土負荷算出ステップと、
算出された分割運土負荷の総和により、前記2次元運土経路により前記土砂を運土する場合の運土負荷を算出する運土負荷算出ステップと、
を含む運土計画管理方法。
【請求項6】
施工現場の現況地形を示す2次元現況地形データおよび3次元現況地形データ並びに前記施工現場の設計地形を示す3次元設計地形データを取得する取得ステップと、
前記3次元現況地形データおよび前記3次元設計地形データから、土砂の切土計画データと土砂の盛土計画データを含む施工計画データを生成する施工計画データ生成ステップと、
前記施工計画データにおける前記施工現場の所定切土領域から所定盛土領域まで土砂を運搬するための運土経路を、前記2次元現況地形データに2次元運土経路として設定する2次元運土経路設定ステップと、
設定した前記2次元運土経路を所定間隔、設定した前記2次元運土経路の分岐点および設定した前記2次元運土経路の勾配の変化点の少なくともいずれかに基づいて分割して、分割2次元運土経路を生成する分割運土経路生成ステップと、
前記3次元現況地形データを用いて、前記分割2次元運土経路から分割3次元運土経路を生成する3次元運土経路生成ステップと、
前記分割3次元運土経路のそれぞれの勾配を算出する勾配算出ステップと、
算出された前記勾配に応じて、前記分割3次元運土経路に所定重み付け値を付与する付与ステップと、
土砂の運土量、前記所定間隔および前記所定重み付け値
を掛け合わせることにより、前記分割3次元運土経路ごとに前記分割3次元運土経路の分割運土負荷を算出する分割運土負荷算出ステップと、
算出された分割運土負荷の総和により、前記2次元運土経路により前記土砂を運土する場合の運土負荷を算出する運土負荷算出ステップと、
をコンピュータに実行させる運土計画管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運土計画管理装置、運土計画管理方法および運土計画管理プログラムに関し、特に、施工現場において切土領域から盛土領域へと土砂を運搬するための運土経路の運土負荷を算出する運土計画管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば橋梁、トンネル、ダム、土工、河川等の土木公共工事の分野では、各種の建設物を建設する際に、2次元図面から3次元モデルへの移行による業務変革や、或いは初期の工程(フロント)において負荷をかけて事前に集中的に検討し、後工程で生じそうな手戻りを未然に防いで、品質の向上や工期の短縮化を図ることを可能にするフロントローディングにより、合意形成の迅速化、業務の効率化、品質の向上、ひいては生産性の向上等を図ることを目的として、国土交通省では、CIM(Construction Information Modeling/Management)を円滑に導入できるように、ガイドラインを整備して、体系的な推進を試みている。このため、3次元のCIMモデルを作成するための種々の三次元モデル解析プログラムやソフトウェアが開発されている。
【0003】
また、2次元の図面を作成してから3次元の形状を組み立て、CGでシミュレーションするといった従来の3DCADとは異なり、当初から3次元で設計して3次元モデルを作成することが可能な、BIM(Building Information Modeling)によって作成されるBIMモデルが開発されている。BIMモデルでは、3次元オブジェクトの集合体であることから、これらのオブジェクトにコストや仕上げ、管理情報などの属性データを追加することが可能であり、建築物の設計、施工から維持管理に至るまでの、建築物のライフサイクルの全体で、モデルに蓄積された情報を活用することが可能になる。BIMモデルを作成可能なBIMツールとして、「ArchiCAD」や「Revit」等の、種々の3次元CADソフトが知られている。
【0004】
さらに、定められた工期内に工事が完了するように、例えば公共工事における工程の計画と実施を管理するための種々の工程管理ソフトが知られており、特に制約条件の理論であるTOC(Theory of Constraints)の考えに基づいて、全体最適の視点で開発されたクリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント(CCPM)を採用した工程管理ソフトも開発されている。ここで、クリティカルチェーンは、プロジェクトにおいて各タスクの実行順序を考えた時に、作業工程上の従属関係を考慮するクリティカルパス法による従来の手法に加えて、必要リソースが限られているために発生する従属関係をも考慮する手法であり、プロジェクトマネジメントは、要員の人間心理や行動特性、及び社会的・組織的問題も考慮して、工期の短縮、納期の順守を目的としてプロジエクト管理を行う実践的手法であり、各々のタスクから除去した安全余裕を、「バッファ」に集約して管理するようになっている。
【0005】
一方、特許文献1には、施工現場の現況地形を示す現況地形データに、施工現場の設計地形を示す設計地形データや施工実績データなどを重畳表示して、作業者が施工状況や施工範囲、進捗状況を視覚や感覚により把握できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献に記載の技術では、施工現場の現況地形に応じた運土計画を策定できなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る運土計画管理装置は、
施工現場の現況地形を示す2次元現況地形データおよび3次元現況地形データ並びに前記施工現場の設計地形を示す3次元設計地形データを取得する取得部と、
前記3次元現況地形データおよび前記3次元設計地形データから、土砂の切土計画データと土砂の盛土計画データを含む施工計画データを生成する施工計画データ生成部と、
前記施工計画データにおける前記施工現場の所定切土領域から所定盛土領域まで土砂を運搬するための運土経路を、前記2次元現況地形データに2次元運土経路として設定する2次元運土経路設定部と、
設定した前記2次元運土経路を所定間隔、設定した前記2次元運土経路の分岐点および設定した前記2次元運土経路の勾配の変化点の少なくともいずれかに基づいて分割して、分割2次元運土経路を生成する分割運土経路生成部と、
前記3次元現況地形データを用いて、前記分割2次元運土経路から分割3次元運土経路を生成する3次元運土経路生成部と、
前記分割3次元運土経路のそれぞれの勾配を算出する勾配算出部と、
算出された前記勾配に応じて、前記分割3次元運土経路に所定重み付け値を付与する付与部と、
土砂の運土量、前記所定間隔および前記所定重み付け値に基づいて、前記分割3次元運土経路ごとに前記分割3次元運土経路の分割運土負荷を算出する分割運土負荷算出部と、
算出された分割運土負荷の総和により、前記2次元運土経路により前記土砂を運土する場合の運土負荷を算出する運土負荷算出部と、
を備えた。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る運土計画管理方法は、
施工現場の現況地形を示す2次元現況地形データおよび3次元現況地形データ並びに前記施工現場の設計地形を示す3次元設計地形データを取得する取得ステップと、
前記3次元現況地形データおよび前記3次元設計地形データから、土砂の切土計画データと土砂の盛土計画データを含む施工計画データを生成する施工計画データ生成ステップと、
前記施工計画データにおける前記施工現場の所定切土領域から所定盛土領域まで土砂を運搬するための運土経路を、前記2次元現況地形データに2次元運土経路として設定する2次元運土経路設定ステップと、
設定した前記2次元運土経路を所定間隔、設定した前記2次元運土経路の分岐点および設定した前記2次元運土経路の勾配の変化点の少なくともいずれかに基づいて分割して、分割2次元運土経路を生成する分割運土経路生成ステップと、
前記3次元現況地形データを用いて、前記分割2次元運土経路から分割3次元運土経路を生成する3次元運土経路生成ステップと、
前記分割3次元運土経路のそれぞれの勾配を算出する勾配算出ステップと、
算出された前記勾配に応じて、前記分割3次元運土経路に所定重み付け値を付与する付与ステップと、
土砂の運土量、前記所定間隔および前記所定重み付け値に基づいて、前記分割3次元運土経路ごとに前記分割3次元運土経路の分割運土負荷を算出する分割運土負荷算出ステップと、
算出された分割運土負荷の総和により、前記2次元運土経路により前記土砂を運土する場合の運土負荷を算出する運土負荷算出ステップと、
を含む。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る運土計画管理プログラムは、
施工現場の現況地形を示す2次元現況地形データおよび3次元現況地形データ並びに前記施工現場の設計地形を示す3次元設計地形データを取得する取得ステップと、
前記3次元現況地形データおよび前記3次元設計地形データから、土砂の切土計画データと土砂の盛土計画データを含む施工計画データを生成する施工計画データ生成ステップと、
前記施工計画データにおける前記施工現場の所定切土領域から所定盛土領域まで土砂を運搬するための運土経路を、前記2次元現況地形データに2次元運土経路として設定する2次元運土経路設定ステップと、
設定した前記2次元運土経路を所定間隔、設定した前記2次元運土経路の分岐点および設定した前記2次元運土経路の勾配の変化点の少なくともいずれかに基づいて分割して、分割2次元運土経路を生成する分割運土経路生成ステップと、
前記3次元現況地形データを用いて、前記分割2次元運土経路から分割3次元運土経路を生成する3次元運土経路生成ステップと、
前記分割3次元運土経路のそれぞれの勾配を算出する勾配算出ステップと、
算出された前記勾配に応じて、前記分割3次元運土経路に所定重み付け値を付与する付与ステップと、
土砂の運土量、前記所定間隔および前記所定重み付け値に基づいて、前記分割3次元運土経路ごとに前記分割3次元運土経路の分割運土負荷を算出する分割運土負荷算出ステップと、
算出された分割運土負荷の総和により、前記2次元運土経路により前記土砂を運土する場合の運土負荷を算出する運土負荷算出ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の運土計画管理装置によれば、施工現場の現況地形に応じた運土計画を策定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る運土計画管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図2A】本発明の第1実施形態に係る運土計画管理装置が有する2次元運土経路テーブルの一例を説明するための図である。
【
図2B】本発明の第1実施形態に係る運土計画管理装置が有する重み付け値テーブルの一例を説明するための図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る運土計画管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る運土計画管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る運土計画管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る運土計画管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る運土計画管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0014】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての運土計画管理装置100について、
図1~
図3を用いて説明する。運土計画管理装置100は、土地の造成現場において、切土や盛土による土砂の運搬における負荷を算出するために用いられる。
図1は、本実施形態における運土計画管理装置100の構成を説明するためのブロック図である。
【0015】
運土計画管理装置100は、取得部101、施工計画データ生成部102、2次元運土経路設定部103、3次元運土経路生成部104、分割運土経路生成部105、勾配算出部106、付与部107、分割運土負荷算出部108および運土負荷算出部109を備える。
【0016】
ここで、運土計画管理装置100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ネットワークインターフェース、およびストレージを有する。ここで、CPUは、演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで
図1に示した運土計画管理装置100の各機能構成を実現する。CPUは、複数のプロセッサを有し、異なるプログラムやモジュール、タスク、スレッドなどを並行して実行してもよい。ROMは、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびその他のプログラムを記憶する。また、ネットワークインターフェースは、ネットワークを介して他の装置などと通信する。なお、CPUは、1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。また、ネットワークインターフェースは、CPUとは独立した他のCPUを有して、RAMの領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAMとストレージとの間でデータを転送するDMAC(Direct Memory Access Controller)を設けるのが望ましい。さらに、CPUは、RAMにデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPUは、処理結果をRAMに準備し、後の送信あるいは転送はネットワークインターフェースやDMACに任せる。
【0017】
RAMは、CPUが一時記憶のワークエリアとして使用するメモリである。RAMには、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する領域が確保されている。ストレージには、データベースや各種のパラメータ、モジュール、あるいは本実施形態の実現に必要なデータまたはプログラムが記憶されている。例えば、ストレージには、運土計画管理装置100の全体を制御するための制御プログラムが記憶されている。
【0018】
さらに、運土計画管理装置100は、入出力インターフェースをさらに備えてもよい。入出力インターフェースには、表示部、操作部、記憶媒体が接続される。入出力インターフェースには、さらに、音声出力部であるスピーカや、音声入力部であるマイク、あるいはGPS(Global Positioning System)位置判定部が接続されてもよい。なお、RAMやストレージには、運土計画管理装置100が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関するプログラムやデータが記憶されていてもよい。
【0019】
取得部101は、施工現場の現況地形を示す2次元現況地形データおよび3次元現況地形データ並びに前記施工現場の設計地形を示す3次元設計地形データを取得する。取得部101は、航空機や無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicleまたはドローン:Drone)に搭載された、カメラにより撮影された写真から生成された2次元現況地形データを取得してもよい。また、無人航空機に無人航空機に搭載された3次元レーザスキャナ装置を用いて計測されたデータを3次元現況地形データの点群データ(3次元点群データ)として取得してもよい。この他にも、例えば、車両に搭載されたステレオカメラや3次元レーザスキャナ装置を用いて、2次元現況地形データおよび3次元現況地形データを取得してもよい。ここで、3次元現況地形データの点群データは、X、Y、Zの直交座標の基本的位置情報などの情報を持つ3次元データである。
【0020】
3次元設計地形データは、施工現場における、施工後の地形を示す3次元地形データである。作業員は、3次元設計地形データに従って現場の施工を行う。3次元設計地形データは、例えば、3次元CAD(Computer Aided Design)などを用いて作成された地形データである。すなわち、3次元設計地形データは、施工後の施工現場の地形を示すデータである。取得部101は、3次元CADがインストールされたPC(Personal Computer)などから3次元設計地形データを取得する。
【0021】
施工計画データ生成部102は、3次元現況地形データおよび3次元設計地形データから、土砂の切土計画データと土砂の盛土計画データを含む施工計画データを生成する。つまり、施工計画データ生成部102は、現在の施工現場の地形を示す3次元現況地形データと施工後の施工現場の地形を示す3次元設計地形データとの差分を求める。そして、施工計画データ生成部102は、求めた差分から、切土が必要な施工領域と、盛土が必要な施工領域とを特定して、切土計画データおよび盛土計画データを生成する。施工計画データ生成部102は、生成された切土計画データおよび盛土計画データを統合して、全体の施工計画を表す施工計画データを生成する。施工計画データには、切土の順番、盛土の順番、切土の仕方、盛土の仕方、切土量、盛土量、土砂の運搬計画、土砂の排出計画などが含まれる。ここで、切土とは、土砂の掘削をいい、盛土とは、土砂の補填をいう。
【0022】
2次元運土経路設定部103は、施工計画データにおける施工現場の所定切土領域から所定盛土領域まで土砂を運搬するための運土経路を、2次元現況地形データに2次元運土経路として設定する。2次元運土経路の設定は、まず、既存道路を優先して設定される。すなわち、施工現場に既存道路があれば、これが、2次元運土経路に設定される。施工計画にマッチする既存道路がない場合には、仮設道路が2次元運土経路に設定される。仮設道路は、既存道路だけでは、施工計画の実現が困難な場合などに造成される道路であり、施工現場の施工中に使用され、施工完了後には撤去される道路である。なお、既存道路には、一般道路や私道などが含まれる。
【0023】
ユーザは、所定の入力装置を用いて、2次元現況地形データ上に所定切土領域から所定盛土領域までを接続する2次元運土経路を設定する。ユーザは、例えば、マウスやタッチペンなどの入力用デバイスを用いて、PCやタブレット端末の表示画面に表示された2次元現況地形データに所望の経路を描画することにより、2次元運土経路を設定することができる。また、この他にも、取得部101を通じて、既に生成されている2次元運土経路データを取得することで2次元経路データを設定してもよい。
【0024】
2次元運土経路は、例えば、所定切土領域から所定盛土領域までの最短経路であっても、あるいは、ユーザの経験から有利と考えられる経路であってもよい。また、2次元運土経路は、例えば、AI(Artificial Intelligence)などを用いて自動的に設定してもよい。
【0025】
分割運土経路生成部105は、生成された2次元運土経路を所定間隔で分割して、分割2次元運土経路を生成する。分割運土経路生成部105は、例えば、2次元運土経路を10m間隔で分割する。なお、ここでは、10m間隔で分割をしたが、分割の間隔は、10m以上であっても、10m未満であってもよい。分割間隔は、最終的に算出したい、運土負荷の精度に合わせて適宜選択される。
【0026】
2次元運土経路の分割は、具体的には、以下の手順に従って行われる。2次元運土経路の起点となる頂点座標から、その平面距離が10mとなる位置のラインデータ上に、頂点を追加して、2次元運土経路を分割する。次に、分割した頂点に対して平面座標を取得する。また、2次元運土経路が分岐している場合、その延長が10m未満であっても、その分岐点において、2次元運土経路を分割する。さらに、道路勾配が急激に変化する地点、特に上り勾配と下り勾配とが切り替わる地点等を任意に分割箇所としてもよい。例えば、経路上の3次元現況地形データを参照して、勾配の変化点を自動抽出したり、オペレータがマウス操作等により分割箇所を画面上で指定したりして分割点を追加してもよい。2次元運土経路を分割したら、その区間毎の距離を距離属性として保持する。
【0027】
3次元運土経路生成部104は、3次元現況地形データを用いて、2次元運土経路から3次元運土経路を生成する。すなわち、3次元運土経路生成部104は、2次元現況地形データに設定された2次元運土経路を、3次元現況地形データの点群データを用いて3次元化する。3次元運土経路生成部104は、分割2次元運土経路に、3次元現況地形データが持つ高さの情報を与えて、分割2次元運土経路を3次元化した分割3次元運土経路を生成する。
【0028】
3次元運土経路の生成は、具体的には、以下の手順に従って行われる。分割2次元運土経路データを構成する2次元の各頂点座標に対して、最も近傍の平面座標を持つ3次元現況地形データの点群データを抽出し、その高さデータを取得する。そして、取得した高さデータを各頂点座標に付与することにより分割2次元運土経路データを3次元化する。あるいは、分割2次元運土経路データを構成する2次元の各頂点座標から平面座標における所定の範囲内にある少なくとも1つの3次元現況地形データの点群データを抽出し、その平均の高さを高さデータとして取得して、分割2次元運土経路データを3次元化してもよい。
【0029】
勾配算出部106は、分割3次元運土経路の分割されたそれぞれの区間の勾配を算出する。分割3次元運土経路のそれぞれの始点および終点の高さの差分と、始点および終点の間の経路上の距離から、分割3次元運土経路のそれぞれの勾配を算出する。なお、勾配には、プラスの勾配、マイナスの勾配がある。また、勾配がない場合、すなわち、平たんな場合も勾配が0として扱う。
【0030】
例えば、始点であるA地点の3次元座標が(x1,y1,z1)、経由地点の3次元座標がそれぞれ(x2,y2,z2)、(x3,y3,z3)・・・(xn-1,yn-1,zn-1)、終点であるB地点の3次元座標が(xn,yn,zn)であるとすると。AB間の勾配Sは、
S=Δh/Δd=(zn-z1)/(((x1-x2)2+(y1-y2)2)1/2+((x2-x3)2+(y2-y3)2)1/2+・・・・+((xn-1-xn)2+(yn-1-yn)2)1/2)で求められる。ここで、Δhは、AB間の高さの差、Δdは、AB間の経路上の距離(2次元現況地図データにおける距離)を示す。
【0031】
付与部107は、算出された勾配に応じて、分割3次元運土経路の各区間に重み付け値を付与する。本実施形態においては、付与部107は、例えば、算出された勾配がプラスであれば、1.1を重み付け値とし、算出された勾配がマイナスであれば、0.9を重み付け値とする。なお、AB間の勾配Sの絶対値が0に近い場合、例えば、勾配Sが、-0.05<S<0.05の場合、すなわち、分割3次元運土経路が平坦に近い場合、付与部107は、1.0を重み付け値とする。勾配がプラスの場合、つまり、上り坂の場合、平坦な経路を運搬するよりもたくさんのエネルギーを必要とするため、大きな重み付け値を付与する。勾配がマイナスの場合、つまり、下り坂の場合、平坦な経路を運搬するよりも少ないエネルギーで足りるため、小さな重み付け値を付与する。
【0032】
分割運土負荷算出部108は、土砂の運土量、所定間隔および重み付け値に基づいて、分割3次元運土経路の区間ごとに分割3次元運土経路の分割運土負荷を算出する。ここで、所定間隔は、10mで、分岐箇所等により途中で分割されたものは、その実際の長さである。そして、土砂の運土量は、取得部101で取得した3次元現況地形データおよび3次元設計地形データから算出される。運土量は、典型的には、切土される土砂の体積(m3)または盛土される土砂の体積(m3)を用いて算出される。なお、掘削後の土砂の体積は、土砂間に隙間ができるため、掘削前と比べて体積が増加する。そのため、土砂の体積は、土砂の種類に応じて割り増しをしてもよい。
【0033】
分割運土負荷算出部108は、分割3次元運土経路のそれぞれの区間について、算出した運土量(m3)、分割3次元運土経路の始点と終点との間の距離(m)、および重み付け値を掛け合わせることにより、分割運土負荷(m4)を算出する。
【0034】
運土負荷算出部109は、算出された分割運土負荷の総和により、設定した運土経路により土砂を運土する場合の運土負荷を算出する。すなわち、分割運土負荷算出部108が算出した分割3次元運土経路のそれぞれの区間の分割運土負荷を合計して、設定した運土経路の全経路における運土負荷を算出する。
【0035】
また、運土量は、例えば、土砂の重量(t)であってもよい。なお、運土量として土砂の重量を用いる場合には、土砂の単位重量が必要となるが、単位重量は、含水率などにより大きく変化する。一般的に、土砂の単位重量は、締まっている土砂であれば、1.6~1.8t/m3、緩い土砂であれば、1.3~1.6t/m3である。なお、土砂の含水率を考慮して、土砂の単位重量を推定する場合には、土砂の種類や、気象条件(気温、湿度、気圧、降雨降雪の有無、日照時間、太陽高度など)を加味して推定してもよい。土砂の種類は、地質図や国土地理院が発行する基盤地図情報などから推定してもよい。
【0036】
図2Aは、本実施形態に係る運土計画管理装置100が有する2次元運土経路テーブル202の一例を説明するための図である。2次元運土経路テーブル202は、設定2次元運土経路ID221に関連付けて、始点座標222、終点座標223および経由座標224を格納する。設定2次元運土経路ID221は、2次元現況地形データ上に設定された、2次元運土経路を識別するための識別子である。始点座標222および終点座標223は、設定された2次元運土経路の始点および終点の2次元座標である。また、経由座標224は、始点から終点に至るまでの間に通過する座標を示しており、1つには限定されない。
【0037】
図2Bは、本実施形態に係る運土計画管理装置100が有する重み付け値テーブル204の一例を説明するための図である。重み付け値テーブル204は、勾配241に関連付けて重み付け値242を記憶する。勾配241は、分割運土経路の傾き(勾配S)を示す。重み付け値242は、付与される重みの値である。本実施形態においては、勾配Sがマイナス5%未満であれば、重み付け値として0.9が、勾配Sがプラス5%以上であれば、1.1が、勾配Sがマイナス5以上、プラス5%未満であれば、1.0がそれぞれ付与される。付与部107は、重み付け値テーブル204を参照して、分割運土経路に重みを付与する。なお、ここに示した重み付け値242は、一例に過ぎず、より細かい重み付け値242を付与してもよい。このように、運土計画管理装置100は、重み付け値テーブル204から重み付け値を取り込んで、算出された勾配に基づいて重み付け値を定めている。したがって、重み付け値テーブル204の重み付け値242を変更すれば、勾配に応じた重み付け値242を自由に設定することができる。なお、重み付け値の取り込みは、重み付け値テーブル204から取り込む方法には限定されず、例えば、キーボード等の入力機器を用いて入力された重み付け値を取り込んでもよい。
【0038】
図3は、本実施形態に係る運土計画管理装置100の処理手順を説明するためのフローチャートである。
図3に示したフローチャートは、運土計画管理装置100の不図示のCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を用いて実行し、
図1に示した運土計画管理装置100の各機能構成を実現する。
【0039】
ステップS301において、取得部101は、施工現場の現況地形を示す2次元現況地形データおよび3次元現況地形データを取得する。取得部101は、さらに、3次元CADなどを用いて作成された3次元設計地形データを取得する。ステップS303において、施工計画データ生成部102は、3次元現況地形データおよび3次元設計地形データから施工計画データを生成する。ステップS305において、2次元運土経路設定部103は、2次元現況地形データ上に所定の切土領域から所定の盛土領域まで土砂を運搬するための運土経路を設定する。
【0040】
ステップS307において、分割運土経路生成部105は、設定した2次元運土経路を所定間隔で分割した、分割2次元運土経路を生成する。分割の間隔は、例えば、10mピッチであるが、これには限定されない。また、2次元運土経路が分岐している箇所については、上記分割の間隔に満たない距離であっても、当該箇所で2次元運土経路を分割する。
【0041】
ステップS309において、3次元運土経路生成部104は、3次元現況地形データの点群データを用いて分割2次元運土経路を3次元化した、分割3次元運土経路を生成する。つまり、3次元運土経路生成部104は、3次元現況地形データの点群データに含まれる高さの情報を分割2次元運土経路の各対応点に与えて、分割2次元運土経路を3次元化する。ステップS311において、勾配算出部106は、分割された3次元運土経路のそれぞれの勾配を算出する。勾配の算出には、例えば、10mピッチ等で分割された、分割3次元運土経路のそれぞれの区間の始点および終点の高さの差分および始点および終点の間の経路上の距離の差分が用いられる。
【0042】
ステップS313において、付与部107は、算出した勾配に応じた重み付け値を分割3次元運土経路のそれぞれの区間に付与する。ステップS315において、分割運土負荷算出部108は、分割3次元運土経路のそれぞれの区間に対して、運搬すべき土砂の運土量(体積m3または重量t)と、各区間の距離および重み付け値を掛け合わせることにより、分割3次元運土経路の分割運土負荷(m4またはt・m)を算出する。ステップS317において、運土負荷算出部109は、全ての分割3次元運土経路の分割運土負荷の総和により、設定された運土経路の運土負荷を算出する。
【0043】
本実施形態によれば、切土領域から盛土領域まで土砂を運搬する際の負荷を運土経路の勾配に基づいて算出することができる。
【0044】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る運土計画管理装置について、
図4~
図5を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係る運土計画管理装置400の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態に係る運土計画管理装置400は、上記第1実施形態と比べると、比較部および出力部を有する点で異なる。その他の構成および動作は第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0045】
運土計画管理装置400は、例えば、2次元現況地形データ上に複数の2次元運土経路が設定された場合、それぞれの2次元運土経路のうち運土負荷の低いものを出力するための装置である。
【0046】
運土計画管理装置400は、比較部401および出力部402を有する。比較部401は、2次元運土経路設定部203により設定された少なくとも2つの2次元運土経路の運土負荷を比較する。また、例えば、選択部(不図示)により、比較の結果、運土負荷が最も小さい2次元運土経路を選択するようにしてもよい。運土負荷は、運土負荷算出部209により算出される。
【0047】
出力部402は、比較部401による比較結果を出力する。出力部402は、例えば、ユーザが所持するタブレットやスマートフォンなどの携帯端末のディスプレイなどに、比較結果を出力する。出力部402は、比較の結果、運土負荷の小さい2次元運土経路を青色で出力させ、運土負荷の大きいまたは中程度の2次元運土経路を赤色や黄色で出力させてもよい。また、出力部402は、選択部による選択結果を出力させるようにしてもよい。
【0048】
図5は、本実施形態に係る運土計画管理装置400の処理手順を説明するためのフローチャートである。
図5に示したフローチャートは、運土計画管理装置400の不図示のCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を用いて実行し、
図4に示した運土計画管理装置400の各機能構成を実現する。
【0049】
ステップS501において、運土計画管理装置400は、設定された少なくとも2つの2次元運土経路の全てについて運土負荷の算出が終了したか否かを判定する。算出が終了していなと判定した場合(ステップS501のNO)、運土計画管理装置400は、ステップS307へ戻る。算出が終了したと判定した場合(ステップS501のYES)、運土計画管理装置400は、次のステップへ進む。ステップS503において、比較部401は、算出された複数の2次元運土経路の運土負荷を比較し、最小の運土負荷を有する2次元運土経路を選択する。ステップS505において、出力部402は、選択された最小運土負荷を有する2次元運土経路を出力する。なお、ステップS505において、算出された全ての運土負荷を出力してもよい。
【0050】
本実施形態によれば、複数の2次元運土経路が設定された場合であっても、それぞれの2次元運土経路の運土負荷を算出して比較するので、最小の運土負荷を有する2次元運土経路を出力できる。また、最小の運土負荷の2次元運土経路を出力できるので、ユーザは、運土負荷の少ない運土経路を用いて施工を実施できる。さらに、各運土経路の運土負荷に応じて色分けして表示することもでき、例えば、運土負荷が最大の運土経路を赤、運土負荷が最小の運土経路を青とし、これらの中間の運土経路については、運土負荷に応じて中間色で表示することもできる。あるいは、運土負荷の最大値から最小値までを複数の領域に区切り、領域ごとに表示する色を決めておき、決められた色に応じて各運土経路を表示することもできる。また、運土経路の表示は、2次元表示、3次元表示のいずれでも表示できる。
【0051】
また、例えば、ある切土領域に対して、切土を運搬可能な複数の盛土領域がある場合、採取された土砂(切土)を運搬し易い最寄りの盛土領域を選択して、採取した切土を運搬することになる。この場合、切土領域から複数の盛土領域に対して設定された、それぞれの運土経路について、最も運土負荷が小さくなる運土経路を選択することで、最適な盛土領域を選択することができる。このように、本実施形態では、施工計画の作成の際に、複数の盛土領域が存在する場合、各盛土領域までの運土経路(ルート)の運土負荷を比較することにより、最も運土負荷の小さい盛土領域までの経路を選択できるので、最も有利な目的地を選択できるようになる。
【0052】
[第3実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る運土計画管理装置について、
図6~
図7を用いて説明する。
図6は、本実施形態に係る運土計画管理装置600の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態に係る運土計画管理装置600は、上記第1実施形態および第2実施形態と比べると、運土能力取得部を有する点で異なる。その他の構成および動作は第1実施形態および第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0053】
運土計画管理装置600は、運土能力取得部601を有する。運土能力取得部601は、土砂を運土するための運土手段の運土能力を取得する。ここで、運土手段は、ダンプ、トラックなどである。そして、運土能力は、積載量や排気量、馬力、最大速度などである。
【0054】
運土手段が、ダンプであれば、運土能力取得部601は、ダンプの最大積載量や馬力、台数などの運土能力を取得する。最大積載量および排気量、馬力は、土砂の積載量が大きくなればなるほど、土砂を運土するのに多くのエネルギーを必要とするため、これらのデータも加味して運土負荷を算出すれば、より精度の高い運土負荷を算出できる。例えば、馬力は、ダンプが登坂可能な勾配の最大斜度を決めるのに用いられる。例えば、設定された2次元運土経路が、急坂を含む経路であった場合に、馬力の小さいダンプであれば、走破できない。この場合、運土負荷算出部109は、運土負荷として、例えば、無限大(∞)を算出する。
【0055】
図7は、本実施形態に係る運土計画管理装置600の処理手順を説明するためのフローチャートである。
図7に示したフローチャートは、運土計画管理装置600の不図示のCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を用いて実行し、
図6に示した運土計画管理装置600の各機能構成を実現する。
【0056】
ステップS701において、運土能力取得部601は、土砂を運土するための運土手段の運土能力を取得する。運土手段は、例えば、ダンプやトラックなどを含み、運土能力は、積載量、馬力、排気量、台数などを含む。そして、分割運土負荷算出部108および運土負荷算出部109は、運土手段の運土能力を加味して、例えば、必要となるダンプの台数、往復の回数、作業時間等の計画を行うことができる。あるいは、使用するダンプの馬力等を勘案して、勾配による重み付け値を調整することができる。
【0057】
本実施形態によれば、運土手段の運土能力を加味して、運土負荷を算出するので、より正確な運土負荷を算出できる。また、ユーザは、最適な2次元運土経路を知ることができる。
【0058】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0059】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に直接あるいは遠隔から供給される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、本発明の範疇に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の範疇に含まれる。