(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】照明装置および貯水管理システム
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240404BHJP
E03B 11/00 20060101ALI20240404BHJP
F21V 21/14 20060101ALI20240404BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20240404BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240404BHJP
【FI】
F21S2/00 641
E03B11/00 Z
F21V21/14 100
F21V33/00
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020066715
(22)【出願日】2020-04-02
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000220675
【氏名又は名称】東京都下水道サービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【氏名又は名称】荒 則彦
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 伸二
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-106312(JP,A)
【文献】特開2007-280686(JP,A)
【文献】実開平05-015206(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
E03B 11/00
F21V 21/14
F21V 33/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水槽に用いられる
吊り下げ型の照明装置であって、
前記貯水槽に貯水された水の水面に浮かべて配置される浮き具と、
発光面を下方に向けた状態で前記浮き具に搭載され、水中に向けて光を放つ光源と、
吊り下げ部材と、を備え
、
前記浮き具は、4つの部材が矩形環状に繋げられた構成を有する浮き具本体を有し、
前記吊り下げ部材は、本体部と、複数の支持部とを有し、
前記本体部は、その上端部が前記貯水槽の上部に取り付けられるとともに、上下方向に沿って延びて配置され、
前記本体部の1つの下端部に、前記複数の支持部の上端部の各々が取り付けられ、
前記複数の支持部の下端部は、前記浮き具本体の前記4つの部材にそれぞれ分けて取り付けられている、照明装置。
【請求項2】
前記光源の外周部は、前記浮き具本体に囲まれて
おり、
前記光源の前記発光面は、前記浮き具本体の上面に比べて水面に近い位置に配置される、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記浮き具は、前記浮き具本体の内側に載置部を有し、
前記光源は、前記外周部を前記浮き具本体に囲まれた状態で、前記載置部上に載置されている請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記浮き具の少なくとも一部は、中空の部材である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の照明装置と、
前記照明装置が内部に配置される前記貯水槽と、を備える貯水管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置および貯水管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には、公共施設やマンション等の建物に付設される貯水槽が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば貯水槽が高層ビルや公共施設、マンション等の建物に付設される場合、貯水槽内の水の水質(水の透明度や濁度、色度等)や貯水槽内設備(配水ポンプ等)、ユスリカ等の不快虫の発生状況等を確認するために、定期的に貯水槽内を点検する必要がある。貯水槽内の点検は、一般的にハンドライトを用いて貯水槽上部の開口から貯水槽内を照らし、目視で行われる。しかしながら、貯水槽は大型であるため、ハンドライトと水面との距離が長くなる。このため、ハンドライトの光の一部は水面以外の箇所に拡散してしまうことがある。加えて、光は水面で乱反射するため、貯水槽内の水面付近や水中を十分に照らし、目視で点検することは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、貯水槽内の水面付近や水中を目視で容易に点検できる照明装置及び貯水管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る照明装置は、貯水槽に用いられる照明装置であって、貯水槽に貯水された水の水面に浮かべて配置される浮き具と、前記浮き具に搭載され、水中に向けて光を放つ光源と、を備える。
【0007】
本態様によれば、光源は、水面に浮かぶ浮き具に搭載されているため、光源は浮き具を介して水面に浮かぶ。これにより、光源は、水面上や水面に近い位置に光源を配置される。加えて、光源は、水位の変動に合わせて光源も上下に移動し、水面上や水面に近い位置に保持される。このため、水位が変動したとしても、光源からの光のほぼ全てを水面に到達させることができるので、従来と比較して、貯水槽内の水面付近や水中を明るく照らすことができる。また、光源が水面に密着する場合は、光源からの光が水面で乱反射することを抑制できるので、従来と比較して、貯水槽内の水面付近や水中を明るく照らすことができる。したがって、貯水槽内の水面付近や水中を目視で容易に点検できる。
【0008】
上記態様の照明装置において、前記浮き具は、環状の浮き具本体を有し、前記光源の外周部は、前記浮き具本体に囲まれていてもよい。
本態様によれば、光源の外周部は、環状の浮き具本体に囲まれているので、光源の光が上方に向かうことを抑制できる。これにより、光源の光を効率良く水中に向けて放つことができるので、従来と比較して、貯水槽内の水面付近や水中を明るく照らすことができる。したがって、貯水槽内の水面付近や水中を目視で容易に点検できる。
【0009】
上記態様の照明装置において、前記浮き具は、前記浮き具本体の内側に載置部を有し、前記光源は、前記外周部を前記浮き具本体に囲まれた状態で、前記載置部上に載置されている。
本態様によれば、光源は、載置部上に載置されているため、光源が経年劣化したとしても、古い光源を新しい光源に容易に交換できる。したがって、照明装置のメンテナンス性を向上できる。
また、本態様によれば、載置部上に光源を載置するだけで浮き具に取り付けることができるので、浮き具に対して光源を容易に取り付けることができる。したがって、照明装置の生技性を向上できる。
また、本態様によれば、光源は、外周部を浮き具本体に囲まれた状態で、載置部上に載置されている。これにより、光源が貯水槽内に落下することを抑制できる。
【0010】
上記態様の照明装置において、前記浮き具の少なくとも一部は、中空の部材であってもよい。
本態様によれば、浮き具を中空にするだけの簡単な方法で、浮き具に浮力を付与できる。したがって、照明装置の生技性を向上できる。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る貯水管理システムは、上記いずれかに記載の照明装置と、前記照明装置が内部に配置される前記貯水槽と、を備える。
本態様によれば、貯水管理システムは、上記いずれかの照明装置を備えているため、貯水槽内の水面付近や水中を目視で容易に点検できる。
【0012】
上記態様の貯水管理システムにおいて、前記照明装置が前記水面上で移動することを規制する移動規制部材を備えてもよい。
本態様によれば、移動規制部材は、照明装置が水面上で移動することを抑制するので、照明装置の水面上の位置を位置決めできる。これにより、貯水槽内のうち念入りに点検する必要がある部分の近傍に照明装置を保持できる。したがって、貯水槽内のうち念入りに点検する必要がある部分を、他の部分よりも明るく照らすことができるので、貯水槽内をより効率良く点検できる。
【0013】
上記態様の貯水管理システムにおいて、前記移動規制部材は、空の前記貯水槽の底部から前記照明装置を所定の高さで吊り下げるチェーンであってもよい。
本態様によれば、貯水槽内の水位が低下したとしても、照明装置が貯水槽の底部から所定の高さ以上の位置で保持できる。これにより、貯水槽の底部に設けられた配水ポンプ等の部材に照明装置が当たることを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
上記各態様によれば、本発明は、貯水槽内の水面付近や水中を目視で容易に点検できる照明装置及び貯水管理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る貯水管理システムの模式図である。
【
図4】第1実施形態に係る照明装置が水面上に浮かんだ状態を示す側面図である。
【
図5】第2実施形態に係る貯水管理システムの模式図である。
【
図6】第3実施形態に係る貯水管理システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
次に本発明の第1実施形態について
図1から
図3に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る貯水管理システム1の模式図である。
図1に示す貯水管理システム1は、例えば高層ビル等の建物に供給される水を貯水し、管理するためのものである。貯水管理システム1は、建物内に付設されている。貯水管理システム1内に貯水された水は、例えばトイレ水として利用される。貯水管理システム1は、貯水槽10と、照明装置20と、移動規制部材40と、を備えている。
【0017】
(貯水槽)
貯水槽10は、槽本体11と、開閉蓋12と、を備えている。槽本体11内には、建物外から供給される水が貯水される。
槽本体11は、上下方向に延びる直方体状に形成されている。槽本体11の高さ寸法は、約5.0mから6.0mである。槽本体11の横寸法は、約2.0mである。槽本体11の縦寸法は、約5.0mである。以下、上方をUP、下方をDOWNと図示する。槽本体11の上壁部13には、上下方向に貫通する開口部13aが設けられている。開口部13aは、上面視で矩形状に形成されている。槽本体11の底壁部14(請求項の底部に相当)には、配水ポンプ15が設けられている。配水ポンプ15は、貯水槽10に建物の外部から水を引いて配水するためのものである。配水ポンプ15の上端部は、底壁部14から2.5m未満の高さに位置している。
【0018】
開閉蓋12は、開口部13a内に配置され、開口部13aを閉塞している。開閉蓋12は、矩形板状の部材である。開閉蓋12の外形は、開口部13aの内形と同形状に形成されている。開閉蓋12の外形は、開口部13aの内形よりも僅かに小さい。開閉蓋12は、ヒンジ16を介して、開口部13aの開口縁に取り付けられている。開閉蓋12は、ヒンジ16を中心に回転して、開口部13aを開閉する。
【0019】
(照明装置)
照明装置20は、貯水槽10内に配置されている。照明装置20は、貯水槽10内の水面S付近および水中を照らすためのものである。照明装置20は、浮き具21と、光源22と、を備えている。
浮き具21は、貯水槽10に貯水された水の水面Sに浮かべて配置されている。浮き具21は、浮き具本体23と、載置部24と、を有している。
【0020】
図2は、第1実施形態に係る浮き具の斜視図である。
図2に示すように、浮き具本体23は、上面視で正方形環状に形成されている。浮き具本体23は、円筒状の塩化ビニル管を複数繋ぎ合わせて形成されている。これにより、浮き具本体23は、中空となっている。浮き具本体23は、周方向における全ての部分で同径である。すなわち、浮き具本体23は、同一径、同一長さの円筒部23aを4本正方形状に繋ぎ合わせた形状に形成されている。浮き具本体23は、その外径D1が、40A<D1<65Aを満たすように形成されている。本実施形態において、浮き具本体23の径D1は、50Aである。
【0021】
載置部24は、浮き具本体23の内部に複数(図示の例では4個)設けられている。4個の載置部24は、浮き具本体23を構成する4本の円筒部23aに1個ずつ設けられている。複数の載置部24は、全て同様の構造となっているため、以下、一の載置部24についてのみ説明し、他の載置部24については説明を省略する。載置部24は、対応する円筒部23aの軸方向中央部に設けられている。載置部24は、円筒状の塩化ビニル管により形成されている。これにより、載置部24は、中空となっている。載置部24の外径D2(より具体的には、後述の水平部本体25b及び鉛直部26の外径D2)は、20Aである。載置部24は、側面視でL字状に形成されている。載置部24は、浮き具本体23から内側に向かって水平に延びる水平部25と、水平部25の浮き具本体23とは反対側の端部から下方に延びる鉛直部26と、を有している。
【0022】
水平部25は、連結部25aと、水平部本体25bと、を備えている。連結部25aは、浮き具本体23と一体となっている。水平部本体25bは、連結部25aの浮き具本体23とは反対側の端部から浮き具本体23の内側に向かって延びている。水平部本体25bは、連結部25aよりも僅かに小径である。水平部本体25bは、連結部25aに挿入されている。
鉛直部26の下端部には、キャップ26aが取り付けられている。キャップ26aは、鉛直部26の下端部を閉塞している。キャップ26aは、浮き具21が水面S上に浮かべて配置された際、浮き具21内に水が侵入するのを防止するためのものである。
【0023】
図1に示すように、光源22は、水中に向けて光を放つものである。以下、光源からの光の進行方向を矢印Lで図示する。光源22は、例えば対応電圧100V、消費電力50W、投光角度120度の市販品である。光源22の重量は、2kg未満である。光源22は、浮き具21に搭載されている。具体的には、光源22は、外周部を浮き具本体23に囲まれた状態で、4本の載置部24上に配置されている。光源22は、光を放つ表面(発光面)22aを下方に向けている。
【0024】
図3は、第1実施形態に係る光源22の斜視図である。
図3は、光源22を、発光面22aを上方に向けた状態で示している。
図3に示すように、光源22は、ケース27と、光源本体28と、給電ケーブル29と、を有している。ケース27の外形は、45cm×45cmの正方形板状に形成されている。ケース27の外形は、上面視で、浮き具本体23の内形よりも小さく形成されている。ケース27は、一方の面に透明なアクリル樹脂で形成された透過部27aを有している。透過部27aは、発光面22aの中央部を構成している。光源本体28は、ケース27の内部に配置されている。光源本体28は、透過部27aに裏側に配置されている。光源本体28は、例えばLEDである。光源本体28は、透過部27aを介して外部に光を放つ。給電ケーブル29は、光源本体28に電気的に接続されている。給電ケーブル29は、ケース27から上方に向かって延びている(
図1参照)。給電ケーブル29は、外部に延出し、電源(不図示)に電気的に接続している。給電ケーブル29は、電源から光源本体28に電気を供給する。
【0025】
(移動規制部材)
図1および
図2に示すように、移動規制部材40は、照明装置20が水面S上で移動することを規制するためのものである。移動規制部材40は、空の貯水槽10の底壁部14から2.5mの高さで照明装置20を吊り下げる吊り下げチェーン40a(請求項のチェーンに相当)である。吊り下げチェーン40aは、例えば金属材料によって形成されている。吊り下げチェーン40aは、チェーン本体部41と、チェーン支持部42と、を有している。チェーン本体部41は、上下方向に沿って延びている。チェーン本体部41は、上面視で浮き具21の中心と重なっている。チェーン本体部41の上端部は、貯水槽10の上壁部13にフック43を介して取り付けられている。チェーン本体部41の下端部には、チェーン支持部42が複数(図示の例では4本)設けられている。複数のチェーン支持部42は、上下方向に延びている。複数のチェーン支持部42の上端部は、全てチェーン本体部41の下端部と連結している。複数のチェーン支持部42は、下方に向かうに従い、上面視で浮き具21の中心から離間する方向に延在している。複数のチェーン支持部42は、全て同様の構造となっているため、以下、一のチェーン支持部42についてのみ説明し、他のチェーン支持部42については説明を省略する。チェーン支持部42は、上下方向に延びている。チェーン支持部42の下端部は、対応する浮き具本体23の円筒部23aの軸方向中央部に取り付けられている。
【0026】
(照明装置の挙動)
図4は、第1実施形態に係る照明装置20が水面S上に浮かんだ状態を示す側面図である。
続いて
図1および
図4に基づいて照明装置20の挙動を説明する。建物に設けられた貯水槽10内の水位は、一日のうちに大幅に変動するが、
図1では、水位が2.0mの場合(以下、2.0mの水位をAで図示する。)と、水位が4.5mの場合(以下、4.5mの水位をBで図示する。)と、を図示している。
図1および
図4に示すように、照明装置20は、水面Sに浮かべて配置されている。図示の例では、光源22の発光面22aは、水面Sから離間している。ただし、浮き具本体23の外径D1や、浮き具21の材質等を適宜変更することで、発光面22aを水面Sに密着させることができる。あるいは、光源22の発光面22aが水面Sより下、すなわち水中に配置されてもよい。一例において、光源22の発光面22aと水面Sとの間の距離(間隔)が、浮き具21の外径(浮き具本体23における外径D1サイズ)の1/1、1/2、1/4、1/6、1/8、又は1/10以下になるように、照明装置20が設計される。また、別の一例において、発光面22aと水面との距離(間隔)は、150、140、130、120、110、100、90、80、70、60、50、40、30、20、又は10mm以下に設定できる。
【0027】
照明装置20は、貯水槽10内の水面Sに浮かべて配置されているため、照明装置20の高さは、水位の変動に合わせて変動する。例えば水位が2.5m以上の場合、照明装置20の高さは、水面Sと同じ高さとなる。また、照明装置20は、吊り下げチェーン40aによって吊り下げされているため、照明装置20の水平方向の位置は、殆ど変動しない。吊り下げチェーン40aのうち照明装置20の吊り下げに用いられなかった残余の部分は、照明装置20の上にかかるか、水中に垂れ下がる。図示の例では、水位が4.5mの場合において、吊り下げチェーン40aの残余の部分は、水中に垂れ下がっている。給電ケーブル29は、照明装置20の上にかかるか、水中に垂れ下がる。図示の例では、水位が4.5mの場合において、給電ケーブル29の一部は水中に垂れ下がっている。
ただし、例えば水位が2.5m未満の場合、照明装置20は、吊り下げチェーン40aによって吊り下げられる。このため、照明装置20は、底壁部14から2.5mの高さで保持される。これにより、水位が低下した際に、照明装置20が底壁部14に設けられた配水ポンプ15等の貯水槽内の設備に衝突することが防止されている。
【0028】
(貯水槽内の点検手順)
続いて
図1に基づいて貯水管理システム1における貯水槽10内の点検手順について説明する。
図1に示すように、貯水槽10の開閉蓋12を開く。光源22には、給電ケーブル29を介して電気が常時供給されている。このため、光源22は、水中に向けて常時光を放っている。これにより、貯水槽10内の水面S付近や水中が、底壁部14や槽本体11の隅部まで常時十分に照らされるので、開閉蓋12を開くだけで、開口部13aから深く覗き込むことなく目視で点検できる。点検後は、開閉蓋12を閉じる。
光源22が経年劣化した際に光源22を交換する場合は、開口部13aから吊り下げチェーン40aを上方に手繰り寄せることにより、照明装置20を引き上げる。その後、照明装置20の古い光源22を新しい光源22に交換する。
【0029】
(作用効果)
このように、本実施形態において、照明装置20は、貯水槽10に貯水された水の水面Sに浮かべて配置される浮き具21と、浮き具21に搭載され、水中に向けて光を放つ光源22と、を備えている。
【0030】
この構成によれば、光源22は、水面Sに浮かぶ浮き具21に搭載されている。これにより、光源22は浮き具21を介して水面Sに浮かぶ。これにより、光源22は、水面S上や水面Sに近い位置に光源22を配置される。加えて、光源22は、水位の変動に合わせて光源22も上下に移動し、水面S上や水面Sに近い位置に保持される。このため、水位が変動したとしても、光源22からの光のほぼ全てを水面Sに到達させることができるので、従来と比較して、貯水槽10内の水面S付近や水中を明るく照らすことができる。また、光源22の透過部27aが水面Sに密着する場合は、光源22からの光が水面Sで乱反射することを抑制できるので、従来と比較して、貯水槽10内の水面S付近や水中を明るく照らすことができる。したがって、貯水槽10内の水面S付近や水中を目視で容易に点検できる。
【0031】
また、この構成によれば、従来と比較して、貯水槽10内の水面S付近や水中を明るく照らすことができる。このため、ハンドライトを用いて開口部13aから貯水槽10内を深く除き込むことなく貯水槽10内を目視で点検できる。これにより、従来技術と比較して、貯水槽10内を容易に点検できる。また、貯水槽10内の点検の際に、点検者が貯水槽10内に落下することを抑制できる。したがって、従来技術と比較して、貯水槽10内を安全に点検できる。
【0032】
また、この構成によれば、従来と比較して、貯水槽10内の水面S付近や水中を明るく照らすことができる。このため、貯水槽10内の水の水質(水の透明度や濁度、色度等)や貯水槽内設備(配水ポンプ15等)を確認できる。これにより、貯水槽10内に異変が生じた際に、迅速に対応することができる。
また、この構成によれば、従来と比較して、貯水槽10内の水面S付近や水中を明るく照らすことができる。このため、貯水槽10内におけるユスリカ等の不快虫の発生状況等を確認できる。これにより、ユスリカ等の不快虫の発生状況に応じて、事前に例えば次亜塩素酸ソーダ等の不快虫の殺虫に有効な薬剤を散布できる。したがって、ユスリカ等の不快虫の大量発生を抑制できる。
また、この構成によれば、水面S上や水面Sに近い位置に光源22を配置できるので、光源22に常時電気を供給することにより、貯水槽10内の水面S付近や水中を常時照らすことができる。これにより、貯水槽10内を上方から覗き込むだけで、貯水槽10内を容易に点検できる。
【0033】
本実施形態では、浮き具21は、正方形環状の浮き具本体23を有し、光源22の外周部は、浮き具本体23に囲まれている。
この構成によれば、光源22の外周部は、正方形環状の浮き具本体23に囲まれているので、光源22の光が上方に向かうことを抑制できる。これにより、光源22の光を効率良く水中に向けて放つことができるので、従来と比較して、貯水槽10内の水面S付近や水中を明るく照らすことができる。したがって、貯水槽10内の水面S付近や水中を目視で容易に点検できる。
【0034】
本実施形態では、浮き具21は、浮き具本体23の内側に載置部24を有し、光源22は、外周部を浮き具本体23に囲まれた状態で、載置部24上に載置されている。
この構成によれば、光源22は、載置部24上に載置されているため、光源22が経年劣化したとしても、古い光源22を新しい光源22に容易に交換できる。したがって、照明装置20のメンテナンス性を向上できる。
また、この構成によれば、載置部24上に光源22を載置するだけで浮き具21に取り付けることができるので、浮き具21に対して光源22を容易に取り付けることができる。したがって、照明装置20の生技性を向上できる。
また、この構成によれば、光源22は、外周部を浮き具本体23に囲まれた状態で、載置部24上に載置されている。これにより、光源22が貯水槽10内に落下することを抑制できる。
【0035】
本実施形態では、浮き具21は、中空の部材である。
この構成によれば、浮き具21を中空にするだけの簡単な方法で、浮き具21に浮力を付与できる。したがって、照明装置20の生技性を向上できる。
【0036】
本実施形態において、貯水管理システム1は、照明装置20と、照明装置20が内部に配置される貯水槽10と、を備えている。
この構成によれば、貯水管理システム1は、照明装置20を備えているため、貯水槽10内の水面S付近や水中を目視で容易に点検できる。
【0037】
本実施形態では、照明装置20が水面S上で移動することを規制する移動規制部材40を備えている。
この構成によれば、移動規制部材40は、照明装置20が水面S上で移動することを抑制するので、照明装置20の水面S上の位置を位置決めできる。これにより、貯水槽10内のうち念入りに点検する必要がある部分の近傍に照明装置20を保持できる。したがって、貯水槽10内のうち念入りに点検する必要がある部分を、他の部分よりも明るく照らすことができるので、貯水槽10内をより効率良く点検できる。
【0038】
本実施形態では、移動規制部材40は、空の貯水槽10の底壁部14から2.5mの高さで照明装置20を吊り下げる、吊り下げチェーン40aである。
この構成によれば、貯水槽10内の水位が低下したとしても、照明装置20が貯水槽10の底壁部14から2.5mの高さ以上の位置で保持できる。これにより、貯水槽10の底壁部14に設けられた配水ポンプ15等の部材に照明装置20が当たることを抑制できる。
また、この構成によれば、吊り下げチェーン40aを手繰りよせるだけで照明装置20を引き上げることができる。これにより、照明装置20を容易に貯水槽10から取り出せるので、照明装置20のメンテナンス性を向上できる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、
図5に基づいて本発明の第2実施形態を説明する。以下の第2実施形態では、貯水槽10の上壁部13の下面に、給電ケーブル29および吊り下げチェーン40aを掛けられる滑車30が設けられている構成で第1実施形態と相異している。なお、第2実施形態の構成のうち、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0040】
図5は、第2実施形態に係る貯水管理システム1の模式図である。
図5に示すように、滑車30は、上壁部13に回転可能に複数(図示の例では、4個)取り付けられている。給電ケーブル29は、2個の滑車30に掛けられている。給電ケーブル29は、2個の滑車30を経由して、貯水槽10の外部に延出している。給電ケーブル29には、貯水槽10内であって、外部に延出する途中の箇所におもり44が取り付けられている。チェーン本体部41の一端部は、複数のチェーン支持部42の上端部と接続している。チェーン本体部41は、チェーン支持部42の上端部から上下方向に沿って上方に延び、残余の2個の滑車30に掛けられている。チェーン本体部41の他端部には、おもり45が取り付けられている。
これにより、水位の上昇にあわせて照明装置20が上昇すると、給電ケーブル29およびチェーン本体部41は、滑車30から下方に送り出される。このとき、おもり44,45も下降するため、給電ケーブル29およびチェーン本体部41は、引張された状態で滑車30から送り出される。よって、少なくともおもり44,45が水面Sに着水するまでの間は、給電ケーブル29および吊り下げチェーン40aが、照明装置20の上にかかる若しくは、水中に垂れ下がることが抑制される。
【0041】
第2実施形態の照明装置20および貯水管理システム1は、上述した第1実施形態の照明装置20および貯水管理システム1の効果に加え、以下の効果を有している。
このように、本実施形態では、貯水管理システム1は、給電ケーブル29および吊り下げチェーン40aが掛けられる滑車30を備えている。給電ケーブル29および吊り下げチェーン40aには、それぞれおもり44,45が取り付けられている。
この構成によれば、貯水槽10内の水位が上昇した場合、給電ケーブル29およびチェーン本体部41は、おもり44,45の自重によって引張された状態で滑車30から送り出される。このため、貯水槽10内の水位が上昇したとしても、少なくともおもり44,45が水面Sに着水するまでの間は、給電ケーブル29および吊り下げチェーン40aが、照明装置20の上にかかる若しくは、水中に垂れ下がることを抑制できる。これにより、滑車30が給電ケーブル29および吊り下げチェーン40aの重量を支持するため、水面Sが上昇したとしても、浮き具21および光源22に給電ケーブル29および吊り下げチェーン40aの重量がかかることを抑制できる。したがって、浮き具21および光源22を安定して支持できる。
【0042】
また、この構成によれば、貯水槽10内の水位が上昇した場合、給電ケーブル29およびチェーン本体部41は、おもり44,45の自重によって引張された状態で滑車30から送り出される。このため、貯水槽10内の水位が上昇したとしても、少なくともおもり44,45が水面Sに着水するまでの間は、チェーン支持部42が弛むことを抑制できるので、照明装置20が水面S上で移動することを抑制できる。よって、照明装置20の水面S上の位置を長時間位置決めできる。これにより、貯水槽10内のうち念入りに点検する必要がある部分の近傍に照明装置20を長時間保持できる。したがって、貯水槽10内のうち念入りに点検する必要がある部分を、他の部分よりも明るく照らした状態で長時間保持できるので、貯水槽10内をより効率良く点検できる。
【0043】
(第3実施形態)
次に、
図6に基づいて本発明の第3実施形態を説明する。以下の第3実施形態では、貯水管理システム1は、吊り下げチェーン40aが取り付けられ、吊り下げチェーン40aおよび照明装置20を移動可能に支持する支持体50を備えている構成について、第1実施形態と相異している。なお、第3実施形態の構成のうち、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0044】
図6は、第3実施形態に係る貯水管理システム1の模式図である。
図6に示すように、支持体50は、貯水槽10の上壁部13の上面に配置されている。支持体50は、支持板51と、支持脚52と、を有している。
本実施形態において、上壁部13の開口部13aは、開閉蓋12によって一部のみ覆われている。支持板51は、開口部13aのうち、開閉蓋12に覆われていない部分の上方に配置されている。支持板51は、上壁部13に沿う板状の部材である。支持板51は、上面視で、上壁部13の開口部13aと重なっている。支持板51には、フック53,54が設けられている。フック53には、チェーン本体部41の上端部が取り付けられている。フック54には、貯水槽10内から上方に延びる給電ケーブル29が掛けられている。
支持脚52は、上壁部13と支持板51との間に設けられている。支持脚52は、上下方向にのびている。支持脚52の上端部は、支持板51に接続されている。支持脚52の下端部は、上壁部13に対して着脱可能である。すなわち、支持体50は、吊り下げチェーン40aおよび照明装置20を移動可能に支持している。
【0045】
第3実施形態の照明装置20および貯水管理システム1は、上述した第1実施形態の照明装置20および貯水管理システム1の効果に加え、以下の効果を有している。
このように、本実施形態では、貯水管理システム1は、吊り下げチェーン40aおよび照明装置20を移動可能に支持する支持体50を備えている。
この構成によれば、本実施形態では、建物に貯水槽10が複数個設けられている場合において、支持体50を移動させることで、各貯水槽10間で照明装置20を容易に移動させることができる。これにより、点検効率を向上できる。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0047】
上述した実施形態では、槽本体11は、上下方向に延びる直方体状に形成されている。槽本体11の高さ寸法は、約5.0mから6.0mである。槽本体11の横寸法は、約2.0mである。槽本体11の縦寸法は、約5.0mである。しかしながら、槽本体11の大きさおよび形状は、これに限られず、適宜変更可能である。
【0048】
上述した実施形態では、浮き具21は、複数の塩化ビニル管を繋ぎ合わせて形成されているとしたが、これに限られない。浮き具21は、例えば発砲スチロール等の水よりも密度の小さい材料で構成されていてもよい。ただし、浮き具21が複数の塩化ビニル管を繋ぎ合わせて形成される場合は、浮き具21が発砲スチロールで形成される場合と比較して、強度が大きく、浮き具21が破損することを抑制できるという点で優位性がある。
【0049】
上述した実施形態では、浮き具本体23は、上面視で正方形環状に形成されているとしたが、これに限られない。浮き具本体23は、例えば上面視で、正方形以外の矩形環状や円環状に形成されていてもよい。
上述した実施形態では、載置部24は、塩化ビニル管によって形成されているとしたが、これに限られない。載置部24は、例えば浮き具本体23内に張り渡された網状の部材であってもよい。
上述した実施形態では、浮き具本体23および載置部24は、中空であるとしたが、これに限られない。照明装置20を水面Sに浮かべる浮力を確保できれば、例えば、浮き具本体23のみが中空であってもよい。
【0050】
上述した実施形態では、光源22は、対応電圧100V、消費電力50W、投光角度120度の光源としたが、これに限られない。光源22の対応電圧、消費電力、投光角度は、適宜変更可能である。
上述した実施形態では、光源22の重量は、2kg未満としたが、これに限られない。光源22の重量は適宜変更可能である。
【0051】
上述した実施形態では、光源22のケース27は、上面視で正方形板状に形成されているとしたが、これに限られない。浮き具本体23は、例えば上面視で、正方形以外の矩形板状や円板状に形成されていてもよい。
【0052】
上述した実施形態では、移動規制部材40は、吊り下げチェーン40aとしたが、これに限られない。移動規制部材40は、例えば、照明装置20を吊り下げるワイヤであってもよい。
上述した実施形態では、吊り下げチェーン40aは、4本のチェーン支持部42を有しているとしたが、これに限られない。チェーン支持部42の本数は適宜変更可能である。
上述した実施形態では、吊り下げチェーン40aは、空の貯水槽10の底壁部14から2.5mの高さで照明装置20を吊り下げるとしたが、これに限られない。吊り下げチェーン40aが照明装置20を吊り下げる高さは、適宜変更可能である。
【0053】
上述した実施形態では、光源22には、給電ケーブル29を介して電気が常時供給され、光源22は、水中に向けて常時光を放っているとしたが、これに限られない。光源22には、貯水槽10内の点検時にのみ電気を供給してもよい。
【0054】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…貯水管理システム
10…貯水槽
14…底壁部(底部)
20…照明装置
21…浮き具
22…光源
23…浮き具本体
24…載置部
40…移動規制部材
40a…吊り下げチェーン(チェーン)
S…水面