(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】情報提供装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/005 20060101AFI20240404BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240404BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240404BHJP
G08G 1/07 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G08G1/005
G01C21/26 P
G08G1/09 F
G08G1/07 E
(21)【出願番号】P 2020078043
(22)【出願日】2020-04-27
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】内田 淳一
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-015394(JP,A)
【文献】特開2016-115086(JP,A)
【文献】特開2004-144558(JP,A)
【文献】特開2006-029934(JP,A)
【文献】特開2012-251948(JP,A)
【文献】特開2006-011587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者が所持する情報提供装置であって、
交差点情報を取得する交差点情報取得部と、
前記歩行者の交差点における進行方向を示す情報である進行方向情報を取得する進行方向取得部と、
前記進行方向取得部が取得した前記進行方向情報に基づいて前記交差点情報から選択した情報を前記歩行者に提供する情報提供部と、
を備え
、
前記交差点情報には、前記交差点の名称に関する情報を含み、
前記情報提供部は、前記進行方向取得部が取得した前記進行方向情報に含まれる前記交差点における進行方向が当該交差点を横断しない方向であると判定した場合は、前記交差点の名称に関する情報のみを提供する、
ことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記交差点情報には、歩行者用信号機の点灯状態を示す情報を含み、
前記情報提供部は、前記進行方向取得部が取得した前記進行方向情報に含まれる前記交差点における進行方向が当該交差点を横断する方向であると判定した場合は、前記交差点の名称に関する情報とともに前記進行方向情報が示す進行方向に対応する前記歩行者用信号機の点灯状態を示す情報を選択して提供する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記交差点情報には、
前記歩行者用信号機
を青信号へ変更要求または前記歩行者用信号機の青信号期間の延長要求の受付済または受付中を示す横断要求受付情報を含
み、
前記情報提供部は、
前記進行方向取得部が取得した前記進行方向情報に含まれる前記交差点における進行方向が当該交差点を横断する方向であると判定した場合は、前記交差点の名称に関する情報とともに前記進行方向情報が示す進行方向に対応する前記歩行者用信号機の点灯状態を示す情報を選択して提供し、
前記交差点情報に
前記横断要求受付情報が含まれており、かつ、前記情報提供部が前記進行方向情報に基づいて前記交差点を横断すると判定した場合は、前記横断要求を送信する横断要求送信部を備える、
ことを特徴とする請求項
2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記交差点情報取得部は、前記交差点から所定の距離以内まで接近したか判定し、
前記情報提供部は、前記交差点情報取得部が前記交差点から所定の距離以内まで接近したと判定した場合に、前記選択した情報を提供する、
ことを特徴とする請求項1
から3のうちいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記歩行者の目的地までの経路を取得する経路取得部を備え、
前記進行方向取得部は、前記経路取得部が取得した前記経路に基づいて前記進行方向情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1から
4のうちいずれか一項に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記情報提供部は、音声により情報を提供することを特徴とする請求項1から
5のうちいずれか一項に記載の情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば視覚障害者等の利用者に情報を提供する情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、視覚障害者等が安全に横断歩道を渡ることができるように、音声により誘導することが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1には、歩行者用交通信号灯器の支柱に取り付けられた白杖センサが、白杖の有無を検出し、制御機が、白杖検出信号が入力されるとスピーカからの音響出力を開始して、音によって視覚障害者を案内する。
【0004】
しかしながら、信号機側に設けられたスピーカ等による誘導の場合、自動車の走行音等の他の環境音により聞き取りが困難になる場合がある。また、当該音声が自身に対するものか否か判別できない場合がある。
【0005】
特許文献2には、交差点に設置された通信機から横断に係る横断情報が送信されており、歩行者が携帯する携帯型端末装置が横断情報を受信して、障害物情報及び横断可否情報等の各種の横断情報の送信を要求し取得することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-11600号公報
【文献】特開2002-150475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載されている発明では、携帯型端末装置に横断情報が送信されるが、横断方向によって複数の信号機がある場合、どの信号機の情報を提供すればよいか考慮する必要がある。特許文献2には、進行方向を特定して、特定した方向の信号機の情報を提供することが記載されているが、これは、現在の進行方向を直進することを前提としており、交差点で曲がる場合は対応できない。そのため、誤った情報を提供してしまうおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、必要な情報を選択して提供することができる情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載された発明は、歩行者が所持する情報提供装置であって、交差点情報を取得する交差点情報取得部と、前記歩行者の交差点における進行方向を示す情報である進行方向情報を取得する進行方向取得部と、前記進行方向取得部が取得した前記進行方向情報に基づいて前記交差点情報から選択した情報を前記歩行者に提供する情報提供部と、を備え、前記交差点情報には、前記交差点の名称に関する情報を含み、前記情報提供部は、前記進行方向取得部が取得した前記進行方向情報に含まれる前記交差点における進行方向が当該交差点を横断しない方向であると判定した場合は、前記交差点の名称に関する情報のみを提供する、ことを特徴とする情報提供装置である。
【0010】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記交差点情報には、歩行者用信号機の点灯状態を示す情報を含み、前記情報提供部は、前記進行方向取得部が取得した前記進行方向情報に含まれる前記交差点における進行方向が当該交差点を横断する方向であると判定した場合は、前記交差点の名称に関する情報とともに前記進行方向情報が示す進行方向に対応する前記歩行者用信号機の点灯状態を示す情報を選択して提供する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、前記交差点情報には、前記歩行者用信号機を青信号へ変更要求または前記歩行者用信号機の青信号期間の延長要求の受付済または受付中を示す横断要求受付情報を含み、前記情報提供部は、前記進行方向取得部が取得した前記進行方向情報に含まれる前記交差点における進行方向が当該交差点を横断する方向であると判定した場合は、前記交差点の名称に関する情報とともに前記進行方向情報が示す進行方向に対応する前記歩行者用信号機の点灯状態を示す情報を選択して提供し、前記交差点情報に前記横断要求受付情報が含まれており、かつ、前記情報提供部が前記進行方向情報に基づいて前記交差点を横断すると判定した場合は、前記横断要求を送信する横断要求送信部を備える、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載された発明は、請求項1から3のうちいずれか一項に記載された発明において、前記交差点情報取得部は、前記交差点から所定の距離以内まで接近したか判定し、前記情報提供部は、前記交差点情報取得部が前記交差点から所定の距離以内まで接近したと判定した場合に、前記選択した情報を提供する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載された発明は、請求項1から4のうちいずれか一項に記載された発明において、前記歩行者の目的地までの経路を取得する経路取得部を備え、前記進行方向取得部は、前記経路取得部が取得した前記経路に基づいて前記進行方向情報を取得する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載された発明は、請求項1から5のうちいずれか一項に記載された発明において、前記情報提供部は、音声により情報を提供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、進行方向情報に基づいて交差点情報に含まれる情報を選択して提供することができるので、歩行者に必要な情報を選択して提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる情報提供装置を有するシステムの概略構成図である。
【
図2】
図1に示されたシステムの機能構成図である。
【
図3】
図1に示された携帯端末のハードウェア構成例である。
【
図4】
図1に示された携帯端末が本実施形態にかかる情報提供装置として機能する際の機能構成図である。
【
図5】
図4に示された情報提供装置の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、
図1~
図6を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる情報提供装置を有するシステムの概略構成図である。
図1に示されたシステムは、歩行者Peが所持する携帯端末1と、BLE路側機2と、信号制御機3と、を備えている。
【0019】
ここで、本実施形態では、携帯端末1を所持する歩行者Peは、白杖Cを持った視覚障害者で説明するが、高齢者等の移動する際に健常者よりも歩行速度が遅い等の制約がある交通制約者であればよい。また、本実施形態における「歩行者」とは、道路の上を車両によらない方法で移動している人のことをいい、身体障害者用の車椅子、歩行補助車等又は小児用の車を通行させている者も含む。
【0020】
BLE路側機2及び信号制御機3は、例えば歩行者用信号機Sが取り付けられる支柱Pにそれぞれ設置されている。
【0021】
図2に、
図1に示したシステムの機能構成図を示す。信号制御機3は、交差点に設置されている歩行者用信号機Sを含む信号機の灯色の制御を行っている。また、信号制御機3は、歩行者用信号機Sを青信号へ変更要求する、あるいは歩行者用信号機Sの青信号期間の延長要求等をする押ボタンからの要求信号等に基づいて、灯色の変更や青信号期間の延長等の制御も行う。
【0022】
BLE路側機2は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)により外部と通信する機器である。BLE路側機2は、
図2に示したように、BLE送受信部21と、制御部22と、を備えている。
【0023】
BLE送受信部21は、BLEにより外部と通信する。本実施形態では、携帯端末1と通信する。BLEによる通信の詳細は既に公知であるので説明は省略する。
【0024】
制御部22は、信号制御機3から灯色信号や、取扱/確認表示灯信号を受信する。灯色信号は、歩行者用信号機Sの灯色(青色又は赤色)を示す信号である(灯色が変化するまでの時間の情報を含めてもよい)。即ち、灯色信号は、歩行者用信号機の点灯状態を示す情報である。取扱/確認表示灯信号は、上述した押ボタンに対して受付済又は受付中を表示させるため出力する信号であり、本実施形態では、押ボタンだけでなくBLE路側機2へも出力される。即ち、取扱/確認表示灯信号は、歩行者用信号機に対する横断要求の受付ができるかを示す横断要求受付情報である。
【0025】
携帯端末1は、例えばスマートフォン等の通話機能を有する携帯機器とすることができる。なお、通話機能が無くても、BLE路側機2と通信可能であって、後述する動作が可能な機器であればよい。また、携帯端末1は、歩行者Peが手に持つ必要はなく、歩行者Peが身に着ける等、歩行者Peとともに移動することができる機器であればよい。
【0026】
携帯端末1のハードウェア構成例を
図3に示す。携帯端末1は、マイク11と、スピーカ12と、制御部13と、位置情報取得部14と、第1通信部15と、第2通信部16と、入力部17と、表示部18と、記憶部19と、電源制御部1Aと、バッテリ1Bと、を備えている。
【0027】
マイク11は、通話時等に歩行者Peが発話した音声を電気信号に変換する。スピーカ12は、通話時には相手方の発話内容を音声として出力する。また、スピーカ12は、携帯端末1で動作する各種アプリ等が発生する音声等も出力する。なお、スピーカ12に加えてイヤホン等から音声等を出力できる機器を接続できるようにして、当該接続機器(イヤホン)から音声出力してもよい。
【0028】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有するマイクロプロセッサ等で構成されている。制御部13は、
図4に示すような経路取得部51、進行方向取得部52、交差点情報取得部53、情報提供部54、横断要求送信部55として機能し、BLE路側機2から送信される情報を選択して歩行者Peに提供させたり、必要に応じて横断要求を送信させたりする。
図4については後述する。
【0029】
位置情報取得部14は、周知のGPS(Global Positioning System)受信機等を備え、携帯端末1の現在位置を検出して取得する。なお、位置情報取得部14は、歩行者Peが所持する他の機器が検出した現在位置の情報を取得するようにしてもよい。
【0030】
第1通信部15は、通話時等に外部と通信するための回路やアンテナ等を含む。第1通信部は、例えば、携帯電話通信網やWi-Fi(登録商標)等のネットワークと通信する。第2通信部16は、BLEで通信するための回路やアンテナ等を含む。第2通信部は、上述したようにBLE路側機2と通信する。
【0031】
入力部17は、例えば周知のタッチパネル等で構成されている。入力部17は、アプリ等の操作が入力される。なお、入力部17は、マイク11から入力された音声を認識して操作信号等に変換するようにしてもよい。表示部18は、例えば周知の液晶ディスプレイ等で構成されている。表示部18は、アプリ等の画面が表示される。記憶部19は、例えば不揮発性の半導体メモリ等で構成されている。記憶部19は、携帯端末1のOS(Operating System)やアプリ等の各種データが記憶されている。
【0032】
電源制御部1Aは、携帯端末1にバッテリ1Bからの電力を供給する。バッテリ1Bは、例えばリチウムイオン電池等の二次電池で構成されている。バッテリ1Bは、USB(Universal Serial Bus)端子(不図示)等を通じて外部からの電力供給により充電することができる。
【0033】
図4に上述した携帯端末1が本実施形態にかかる情報提供装置として機能する際の機能構成図を示す。本実施形態にかかる情報提供装置は、
図4に示したように、経路取得部51と、進行方向取得部52と、交差点情報取得部53と、情報提供部54と、横断要求送信部55と、を備えている。なお、これらのブロックは、各ブロックの機能を備えたアプリ(コンピュータプログラム)として構成することができる。
【0034】
経路取得部51は、例えば携帯端末1にインストールされているナビゲーションアプリ(ナビアプリ)等により探索された出発点から目的地までの経路情報を取得する。このナビアプリは、経路探索において車両や歩行者の区別のないアプリでもよいが、歩行者用の経路が探索できるアプリの方が好ましい。
【0035】
進行方向取得部52は、位置情報取得部14が取得した現在位置情報が示す位置が、当該経路に含まれる交差点の近傍である場合は、経路取得部51が取得した経路情報に基づいて、その近傍の交差点における進行方向を示す情報(進行方向情報)を取得する。この進行方向情報は、直進、右折等の進行する方向の情報が含まれている。なお、直進、右折等に代えて〇〇駅方向、××市役所方向などの目安となる地名や施設名等で方向を示した情報でもよい。
【0036】
交差点情報取得部53は、BLE路側機2から送信される交差点情報を第2通信部16を介して取得する。交差点情報としては、上述した灯色信号や、取扱/確認表示灯信号に加え、当該歩行者用信号機Sが設置されている交差点名(交差点のID)及び交差点位置(緯度経度)や後述するサービスエリア(サービスの範囲)等の情報も含まれる。交差点位置とは、BLE路側機2が設置された交差点におけるサービス提供の中心位置を示す。
【0037】
情報提供部54は、進行方向取得部52が取得した交差点における進行方向に基づいて、交差点情報取得部53が取得した交差点情報を選択して例えばスピーカ12等から音声情報として出力させたり、表示部18から文字や画像情報として出力させる。なお、本実施形態では、主に視覚障害者を対象として説明しているので、音声による提供が好ましい。
【0038】
横断要求送信部55は、横断要求を第2通信部16を介してBLE路側機2に対して送信する。横断要求とは、上述した歩行者用信号機Sを青信号へ変更要求する、あるいは歩行者用信号機Sの青信号期間の延長要求を示す情報である。つまり上述した押ボタンを操作することに相当する動作を、後述する条件を満たした場合に自動で行えるようにしている。
【0039】
次に、上述した構成の携帯端末1(情報提供装置)の動作について
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0040】
まず、
図5のフローチャートを実行する前に、携帯端末1にインストールされているナビアプリに目的地を設定する。目的地の設定は、タッチパネルを用いてもよいが、マイク11から音声入力により行ってもよい。そして、当該ナビアプリで探索された経路情報を経路取得部51が取得する。
【0041】
そして、
図5のフローチャートにおいて、交差点情報取得部53が、BLE路側機2から交差点情報を受信したか判定する(ステップS13)。BLE路側機2から交差点情報を受信しない場合は、ステップS13を繰り返す(ステップS13;NO)。
【0042】
BLE路側機2から交差点情報を受信した場合は(ステップS13;YES)、交差点情報取得部53は、BLE路側機2のサービスエリアに進入したか判定する(ステップS14)。即ち、交差点情報取得部53は、交差点から所定の距離以内まで接近したか判定している。BLE路側機2は、そのサービスエリアが予め定められている(例えば交差点位置から70m等)。そのため、ステップS14では、そのサービスエリアの範囲に歩行者Peが進入したかを、交差点情報に含まれる交差点位置及び位置情報取得部14が取得した現在位置情報に基づいて判定する。なお、ステップS13の交差点情報を受信したことを以てサービスエリアに進入したと判定してもよい。
【0043】
ステップS14でBLE路側機2のサービスエリアに進入しない場合は(ステップS14;NO)、当該ステップを繰り返す。一方、ステップS14でBLE路側機2のサービスエリアに進入した場合は(ステップS14;YES)、情報提供部54は、歩行者Peに交差点情報を受信した交差点名称を提供する(ステップS15)。交差点名称は、交差点情報に含まれる交差点のIDに基づいて、例えばナビアプリ等で利用する地図情報から取得することができる。歩行者Peへは、例えばスピーカ12から音声により提供すればよい(上述したイヤホンでもよい)。
【0044】
次に、情報提供部54は、現在サービスエリアに進入している交差点が、ステップS12で取得した経路に基づいて横断する交差点に指定されているか判定する(ステップS16)。横断しない交差点である場合は(ステップS16;NO)フローチャートを終了する。即ち、情報提供部54は、前記交差点の名称に関する情報を提供している。
【0045】
一方、横断する交差点である場合は(ステップS16;YES)、情報提供部54は、進行方向の歩行者用信号機Sの情報を提供する(ステップS17)。進行方向は、経路取得部51が取得した経路に基づいて進行方向取得部52が取得する。本フローチャートでは経路に基づく横断方向が進行方向となる。そして、ステップS13で受信した交差点情報のうち、進行方向取得部52が取得した進行方向に対応する歩行者用信号機Sの情報を情報提供部54が選択して提供する。提供する情報(点灯状態を示す情報)としては、例えば灯色信号に基づいて、現在の灯色(青色か赤色か)や、灯色が変化するまでの時間等である。即ち、情報提供部54は、進行方向情報に基づいて交差点を横断するか判定し、交差点を横断する場合は、進行方向情報が示す進行方向に対応する歩行者用信号機Sの点灯状態を示す情報を選択して提供している。
【0046】
次に、交差点情報取得部53は、進行方向の歩行者用信号機Sが横断要求受付可能指定されているか判定する(ステップS18)。横断要求受付可能指定されている歩行者用信号機Sとは、取扱/確認表示灯信号を出力する歩行者用信号機Sを示している。つまり、ステップS18では、ステップS13で受信した交差点情報に、取扱/確認表示灯信号が含まれているか判定している。なお、上述したような押ボタンが無い歩行者用信号機Sは、交差点情報に取扱/確認表示灯信号が含まれない。
【0047】
ステップS18において、横断要求受付可能指定されていない場合は(ステップS18;NO)、フローチャートを終了する。一方、ステップS18において、横断要求受付可能指定されている場合は(ステップS18;YES)、横断要求送信部55は、第2通信部16を介してBLE路側機2へ横断要求を送信する(ステップS19)。そして、ステップS13に戻る。即ち、横断要求送信部55は、交差点情報に横断要求受付情報が含まれており、かつ、情報提供部54が進行方向情報に基づいて交差点を横断すると判定した場合は、横断要求を送信している。
【0048】
横断要求を送信すると、BLE路側機2では、横断要求信号に変換して、信号制御機3へ出力する。信号制御機3では、横断要求信号が入力されると、歩行者用信号機Sを青信号へ変更制御する、あるいは歩行者用信号機Sの青信号期間の延長等の制御をする。
【0049】
なお、ステップS19の実行後、BLE路側機2のサービスエリアを抜ける前にステップS13を再度実行すると、同じ交差点に対して同じ動作を繰り返してしまうため、例えば、受信した交差点情報が既に提供済みの場合はステップS13を繰り返すなどとしてもよい。
【0050】
以上をまとめると、(1)横断しない交差点では、交差点名称のみを提供する。(2)横断する交差点では、交差点名称に加えて進行方向の歩行者用信号機Sの点灯状態を示す情報を提供する。(3)横断する交差点、かつ、横断要求受付情報が含まれている場合は、交差点名称、点灯状態の提供に加えて横断要求を送信する。
【0051】
ここで、携帯端末1の動作の具体例を
図6を参照して説明する。
図6は、出発点(現在位置)から目的地までの経路Rを示した図である。
図6では、途中交差点I1、I2、I3が含まれており、経路Rに沿って移動すると、交差点I1、I2、I3の順に通過する。そして、各交差点I1、I2、I3は、BLE路側機2が設置されている。BLE路側機2のサービスエリアを符号arで示す。なお、交差点I2は三差路や四差路といった複数の道路が交差するものではないが、歩行者用信号機Sと横断歩道が設置されているので交差点として扱う。つまり、本実施形態では、このような歩行者用信号機Sと横断歩道が設置されている地点を交差点に含める。
【0052】
また、交差点I1は、交差点情報に取扱/確認表示灯信号が含まれていない、つまり、横断要求受付可能指定されていない交差点とする。交差点I2、I3は、交差点情報に取扱/確認表示灯信号が含まれている、つまり、横断要求受付可能指定されている交差点とする。
【0053】
図6において、各交差点における携帯端末1の動作を説明する。まず、交差点I1では、携帯端末1は、交差点情報を受信し(ステップS13)、サービスエリアに進入したと判定して(ステップS14)、交差点名称を提供する(ステップS15)。交差点I1は横断する交差点に指定されているので(ステップS16;YES)、進行方向の歩行者用信号機Sの情報を提供する(ステップS17)。交差点I1は横断要求受付可能指定されていないので(ステップS18;NO)、横断要求は送信せずに次の交差点の交差点情報を受信すべくステップS13で待機する。
【0054】
次に、交差点I2では、携帯端末1は、交差点情報を受信し(ステップS13)、サービスエリアに進入したと判定して(ステップS14)、交差点名称を提供する(ステップS15)。交差点I1は横断する交差点に指定されていないので(ステップS16;NO)、歩行者用信号機Sの情報の提供等は行わず、次の交差点の交差点情報を受信すべくステップS13で待機する。本実施形態では、この交差点I2のように、進行方向には交差点(道路)を横断しないケースも含まれる。
【0055】
次に、交差点I3では、携帯端末1は、交差点情報を受信し(ステップS13)、サービスエリアに進入したと判定して(ステップS14)、交差点名称を提供する(ステップS15)。交差点I3は横断する交差点に指定されているので(ステップS16;YES)、進行方向の歩行者用信号機Sの情報を提供する(ステップS17)。交差点I3は横断要求受付可能指定されているので(ステップS18;YES)、横断要求を送信し(ステップS19)、次の交差点の交差点情報を受信すべくステップS13で待機する。
【0056】
本実施形態によれば、携帯端末1は、交差点情報取得部53が交差点情報を取得し、進行方向取得部52が歩行者Peの交差点における進行方向を示す情報である進行方向情報を取得する。そして、情報提供部54が進行方向取得部52が取得した進行方向情報に基づいて交差点情報に含まれる情報から選択した情報を提供する。このようにすることにより、進行方向情報に基づいて交差点情報に含まれる情報を選択して提供することができるので、歩行者Peに必要な情報を選択して提供することができる。
【0057】
また、進行方向取得部52は、BLE路側機2のサービスエリアに歩行者Peが進入したか判定し、情報提供部54は、進行方向取得部52が交差点から所定の距離以内まで接近したと判定した場合に、選択した情報を提供している。このようにすることにより、交差点に接近した際に当該交差点の情報を提供することができ、歩行者Peが現在位置における状況を把握できるため利便性が向上する。
【0058】
また、交差点情報には、交差点の名称に関する情報を含み、情報提供部54は、交差点の名称に関する情報を提供している。このようにすることにより、歩行者Peが現在どの位置を通行しているのか把握することができる。
【0059】
また、交差点情報には、歩行者用信号機Sの灯色信号を含み、情報提供部54は、進行方向情報に基づいて交差点を横断するか判定し、交差点を横断する場合は、進行方向情報が示す進行方向に対応する歩行者用信号機Sの点灯状態を示す情報を選択して提供している。このようにすることにより、横断する方向の歩行者用信号機Sの灯色等の情報を歩行者Peが把握することができ、安全に横断することができる。
【0060】
また、交差点情報には、歩行者用信号機Sに対する横断要求の受付ができるかを示す取扱/確認表示灯信号を含む場合があり、情報提供部54は、進行方向情報に基づいて交差点を横断するか判定し、交差点情報に取扱/確認表示灯信号が含まれており、かつ、情報提供部54が、進行方向情報に基づいて交差点を横断すると判定した場合は、横断要求を送信する横断要求送信部55を備えている。このようにすることにより、横断が必要な場合に、歩行者用信号機Sを青信号へ変更要求する、あるいは歩行者用信号機Sの青信号期間の延長要求等をするといったことを、押ボタン操作無しに自動的に行うことができる。
【0061】
また、歩行者の目的地までの経路を取得する経路取得部51を備え、進行方向取得部52は、経路取得部51が取得した経路に基づいて進行方向情報を取得している。このようにすることにより、所謂ナビゲーション機能に基づいて探索された経路情報を利用することができるため、進行方向情報を容易に取得することができる。
【0062】
また、情報提供部は、音声により情報を提供している。このようにすることにより、視覚障害者に対して、より分かり易く交差点情報を提供することができる。
【0063】
また、交差点情報は、交差点に設置された信号機の近傍に設けられた路側機から取得している。このようにすることにより、現在の信号機の灯色等のリアルタイムな状態を取得して、歩行者Peに提供することができる。また、路側機は、そのサービスエリアが予め定められているので、路側機つまり交差点に接近したときにタイムリーに情報を提供することができる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の情報提供装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
1 情報提供装置
2 BLE路側機
3 信号制御機
51 経路取得部
52 進行方向取得部
53 交差点情報取得部
54 情報提供部
55 横断要求送信部