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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ヘアキャッチャー
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/264 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
E03C1/264
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020080238
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021173137
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】竹内 立行
(72)【発明者】
【氏名】森 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘明
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-043890(JP,A)
【文献】特開2015-214809(JP,A)
【文献】特開2009-203770(JP,A)
【文献】特開2010-255345(JP,A)
【文献】特開2017-179881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上縁部と、
底部に配置される貯水部と、
前記上縁部と前記貯水部との間に配置され、内部に流入した水の一部を外部へ排水する複数の開口を有する排水部と、
前記上縁部から前記貯水部に亘って周方向に傾斜しながら前記上縁部と前記貯水部との間を繋ぐように設けられ、前記上縁部から流入した水の一部を前記貯水部に向けて導く導水部と、
前記導水部の外面に配置され、排水口の内周面に設けられる係合突部に係合する係合凹部と、を有する、ヘアキャッチャー。
【請求項2】
前記係合凹部は、前記導水部の外面からヘアキャッチャーの径方向に突出する突出部に設けられ、
前記導水部の外面と前記突出部の下端面とは、連続して繋がる連続面を形成する、請求項1に記載のヘアキャッチャー。
【請求項3】
前記突出部は、前記導水部の外面に樹脂によって一体成形されており、
前記係合凹部は、前記突出部の径方向の外端面から径方向の内側に向けて凹設される、請求項2に記載のヘアキャッチャー。
【請求項4】
前記導水部は、周方向に離れて配置される2つの導水部からなり、
前記係合凹部は、前記2つの導水部の外面にそれぞれ配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載のヘアキャッチャー。
【請求項5】
前記上縁部の上面に周方向に延びるように設けられ、前記上縁部の中心に対して回転対称に配置される2つの立壁部をさらに有し、
前記2つの立壁部は、周方向の一方に配置される導入端部と、他方に配置される終端部と、をそれぞれ有し、前記終端部は、それぞれ前記上縁部の内側に湾曲して前記貯水部に向けて下降しており、
前記2つの導水部は、周方向に隣接する前記2つの立壁部の間から、前記2つの立壁部の前記終端部の湾曲に沿って、前記上縁部と前記貯水部との間を繋ぐように設けられる、請求項4に記載のヘアキャッチャー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘアキャッチャーに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室や洗面台の排水口には、排水管に髪の毛や小さなゴミ等が流れて排水管が詰まらないようにするために、ヘアキャッチャーが取り付けられている。ヘアキャッチャーは、髪の毛が絡まったり挟まったりし易いため、清掃及び髪の毛の捕集に手間がかかる。
【0003】
従来、特許文献1には、排水を利用してヘアキャッチャー内に旋回流を発生させることによって、髪の毛をヘアキャッチャー内に纏め、ヘアキャッチャーの清掃及び髪の毛の捕集を容易にする技術が開示されている。このヘアキャッチャーは、底部の中心から側面にかけて周方向に多数の孔を穿設してなる底メッシュ部と、底メッシュ部の上方に配置され、孔が形成されていない非メッシュ部と、非メッシュ部の上方に配置され、周方向に多数の孔を穿設してなる中間メッシュ部と、を有し、浴室の洗い場排水口に載置されてセットされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-231507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のヘアキャッチャーは、排水口に載置されてセットされるため、排水口に大量の水が流れ込んだ場合には、ヘアキャッチャーが排水口から浮き上がってしまう。ヘアキャッチャーが浮き上がると、旋回流を発生させることができず、髪の毛が散乱して清掃性が悪化する問題がある。
【0006】
ヘアキャッチャーの浮き上がりを防止するためには、ヘアキャッチャーの外側面に、排水口に係止するための係止手段を設けることが考えられる。しかし、ヘアキャッチャーの外側面には、水を排水するための多数の開口が設けられるため、ヘアキャッチャーの外側面に係止手段を設けると、係止手段が開口を塞いでしまい、排水性能に影響を与える問題がある。
【0007】
したがって、排水性能に影響を与えることなく、ヘアキャッチャーの排水口からの浮き上がりを防止できるようにすることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るヘアキャッチャーは、上縁部と、底部に配置される貯水部と、前記上縁部と前記貯水部との間に配置され、内部に流入した水の一部を外部へ排水する複数の開口を有する排水部と、前記上縁部と前記貯水部との間を繋ぐように配置され、前記上縁部から流入した水の一部を前記貯水部に向けて導く導水部と、前記導水部の外面に配置され、排水口の内周面に設けられる係合突部に係合する係合凹部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ヘアキャッチャーを有する浴室排水装置を備えた浴室の洗い場床を示す斜視図である。
図2】ヘアキャッチャーを有する浴室排水装置の構成を分解して示す斜視図である。
図3】ヘアキャッチャーを示す斜視図である。
図4】ヘアキャッチャーを図3に示すA方向から見た側面図である。
図5】ヘアキャッチャーの平面図である。
図6】ヘアキャッチャーを図4のB-B線に沿って切断した一部分を示す断面図である。
図7】ヘアキャッチャーの底面図である。
図8】ヘアキャッチャーの一方の係合凹部を拡大して示す図である。
図9】ヘアキャッチャーの他方の係合凹部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態について図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、ヘアキャッチャー1は、浴室の洗い場床100に設けられる浴室排水装置200に取り付けられる。
【0011】
浴室排水装置200は、排水トラップ部201と、浴槽の底部に開口するように配置される浴槽排水口202と、排水トラップ部201の上部に開口し、ヘアキャッチャー1が取り付けられる洗い場排水口203と、排水トラップ部201と浴槽排水口202とを接続する接続管204と、排水トラップ部201内の水を排水する排水管205と、を有する。浴槽排水口202からの排水FLは、図2に示すように接続管204を通って排水トラップ部201に流入する。洗い場排水口203は、洗い場床100に開口し、排水トラップ部201の上部に開口している。図1では、洗い場床100に隣接して設けられる浴槽の図示を省略している。
【0012】
図2に示すように、洗い場排水口203の内周面は複数の係合突部203aを有する。係合突部203aは、ヘアキャッチャー1の外周面に設けられる後述の係合凹部6と係合することによって、ヘアキャッチャー1を洗い場排水口203に固定する部位である。これによって、洗い場排水口203に大量の水が流れ込んでも、ヘアキャッチャー1が洗い場排水口203から浮き上がることはない。本実施形態の洗い場排水口203の内周面には、4つの係合突部203aが90°の角度で離れて配置されている。しかし、洗い場排水口203の内周面には、後述の2つの係合凹部6,6と係合する少なくとも2つの係合突部203aが設けられていればよい。
【0013】
ヘアキャッチャー1は、図3図4及び図5に示すように、ヘアキャッチャー1の上部に配置される上縁部2と、ヘアキャッチャー1の底部に配置される貯水部3と、上縁部2と貯水部3との間に配置される排水部4と、上縁部2と貯水部3の間を繋ぐように設けられる導水部5と、洗い場排水口203の係合突部203aと係合する係合凹部6と、を一体に備える樹脂成型品である。ヘアキャッチャー1は、上縁部2から貯水部3に向けて次第に縮径するすり鉢状に形成される。
【0014】
ヘアキャッチャー1において、図5中の矢印で示すように、ヘアキャッチャー1を平面視した場合のX方向をヘアキヤッチャー1の周方向と定義する。ヘアキャッチャー1を平面視した場合に、中央に配置される貯水部3の中心から放射方向に延びる方向をヘアキヤッチャー1の径方向と定義する。
【0015】
上縁部2は、所定の幅を有する円環状に形成される。上縁部2は、係合突部203aを除く洗い場排水口203の内径と略同一の外径を有し、円形の洗い場排水口203の内周面に嵌合する。
【0016】
上縁部2の上面2aには、上縁部2の中心に対して回転対称な2つの立壁部21,21が設けられている。立壁部21,21は、それぞれ上縁部2の周方向の略1/2の領域に亘って延びて上面2aの外周側から上方に突出している。
【0017】
図5に示すように、立壁部21,21は、ヘアキヤッチャー1の周方向に沿う一方に導入端部21a,21aを有し、他方に終端部21b,21bを有する。立壁部21,21は、導入端部21a,21aから終端部21b,21bに向けて時計方向に延びている。導入端部21a,21aは、上縁部2の上面2aに180°対向するように配置される。終端部21b,21bは、それぞれもう一方の立壁部21,21の導入端部21a,21aの近傍から、上縁部2の内側に湾曲し、貯水部3に向けて下降している。
【0018】
2つの立壁部21,21のうちの一方には、立壁部21の上端からヘアキヤッチャー1の径方向の外側に向けて張り出す板状の把手部22が設けられる。
【0019】
貯水部3は、ヘアキャッチャー1の底部に配置され、上縁部2の内側に流入する水の一部を一時的に貯水する。貯水部3は、底面部31と、側面部32と、水抜き孔33と、を有する。
【0020】
底面部31は、ヘアキャッチャー1の最底部であり、上縁部2の内周よりも小径な平坦な円形板によって構成される。底面部31は、上縁部2と略平行で、上縁部2と同芯状に配置される。
【0021】
側面部32は、底面部31の外周から斜め上方に拡開するように傾斜状に延びている。側面部32は、上縁部2と底面部31との間において、底面部31から一定の高さに亘って、貯水部3の周方向に帯状に延在する。側面部32は、貯水部3に水を一時的に貯水するための側壁面を構成する。
【0022】
水抜き孔33は、底面部31と側面部32との境界部に、ヘアキヤッチャー1の周方向に間隔をおいて複数設けられる。本実施形態では8個の水抜き孔33が貯水部3の周方向に均等間隔で設けられている。しかし、水抜き孔33の数は8個に限定されない。
【0023】
排水部4は、上縁部2の内周側と貯水部3との間を繋ぐように配置され、ヘアキャッチャー1の側面の大部分を占めている。排水部4は、ヘアキャッチャー1の周方向において、立壁部21,21の導入端部21a,21aの近傍から、立壁部21,21の終端部21b,21bに亘って形成される。ヘアキャッチャー1の周方向に隣り合う導入端部21aと終端部21bとの間には、後述する導水部5が配置され、排水部4は設けられていない。したがって、ヘアキャッチャー1の側面には、2つの導水部5,5を挟んで2つの排水部4,4が設けられている。
【0024】
排水部4は、ヘアキャッチャー1の内側と外側との間で水を通流可能な複数の開口41を有する。詳しくは、排水部4は、複数の縦リブ部42と複数の横リブ部43とによって格子状に形成される。複数の縦リブ部42は、ヘアキャッチャー1の周方向に間隔をおいて配置され、貯水部3から上縁部2に向かうに従って外側に拡開するように、上縁部2と貯水部3とを斜めに繋いでいる。複数の横リブ部43は、ヘアキャッチャー1の高さ方向に間隔をおいて平行に配置され、ヘアキャッチャー1の周方向に隣り合う縦リブ部42,42を繋ぐように、ヘアキャッチャー1の周方向に延びている。開口41は、2本の縦リブ部42と2本の横リブ部43とによって囲まれる矩形領域によって構成される。
【0025】
図6に示すように、縦リブ部42の断面形状は、それぞれ三角形状を有する。詳しくは、縦リブ部42は、図5及び図6中の矢印で示すように、立壁部21,21の導入端部21a,21aと終端部21b,21bとの間から上縁部2の内側に流入した水の流れに対して斜めに配置される傾斜面42aを有する。傾斜面42aは、排水部4の内側に向いて配置され、排水部4の内側から外側に向かうに従って、水の流れ方向の上流側へ延びるように形成されている。そのため、ヘアキャッチャー1の外側の排水トラップ部201内を流れる水の一部は、図6中の矢印で示すように、縦リブ部42の傾斜面42aに当たって排水部4の内側に向きを変え、排水部4の外側から開口41を通って内側へ流れる。
【0026】
導水部5は、上縁部2の内周側と貯水部3との間を繋ぐように配置される。上述したように、ヘアキャッチャー1の側面には、2つの導水部5,5を挟んで2つの排水部4,4が設けられる。導水部5,5の上端部5a,5aは、隣り合う立壁部21,21の導入端部21a,21aと終端部21b,21bとの間に配置される。導水部5,5の下端部5b,5bは、貯水部3の側面部32の上端部にそれぞれ一体に連結される。
【0027】
2つの導水部5,5は、ヘアキャッチャー1の周方向に180°離れて配置されている。導水部5,5は、ヘアキャッチャー1の平面視において、立壁部21,21の導入端部21a,21aと終端部21b,21bとの間から貯水部3に向けてわずかに時計方向に傾斜するように延び、貯水部3の側面部32の上端に連結している。導水部5,5には開口が設けられていない。そのため、導水部5,5は、導入端部21aと終端部21bとの間から流入した水の一部を、そのまま貯水部3に向けて導くように機能する。
【0028】
立壁部21,21の終端部21b,21bは、導水部5,5の高さ方向の中途部近傍まで延びている。これによって、導入端部21aと終端部21bとの間から流入する水の一部は、導水部5,5に案内されて貯水部3に向けて円滑に流下する。
【0029】
係合凹部6は、洗い場排水口203の内周面に設けられる係合突部203aと係合することによって、ヘアキャッチャー1が排水トラップ部201内の排水によって浮き上がらないように固定するための係止手段である。本実施形態のヘアキャッチャー1は、2つの導水部5,5の外面5c,5cにそれぞれ係合凹部6,6が設けられる。2つの係合凹部6,6は、ヘアキャッチャー1の周方向に180゜離れて配置されている。
【0030】
係合凹部6は、図8及び図9に示すように、上縁部2と接する導水部5の上端部5aの外面5cから径方向外側に突出する突出部61を有する。突出部61は、中実状のブロックからなる。突出部61は、導水部5の外面5cに、樹脂によって導水部5と一体成形された一体成形部である。突出部61におけるヘアキャッチャー1の径方向の外側に配置される突出部61の外端面61aは、上縁部2の外周面2bと面一状に配置される。
【0031】
係合凹部6は、導水部5の外面5cに設けられるため、排水部4の開口41を閉塞することはない。通常、排水部4の開口41の数及び開口面積は、ヘアキャッチャー1の内側に流入した所定量の水を、開口41を通してヘアキャッチャー1の外側に所定の時間で排水されるように設計される。係合凹部6が開口41の一部を閉塞していると、その部位ではヘアキャッチャー1の外側への排水が阻害されるため、所定量の水を所定の時間内に排水することが困難になる場合がある。しかし、この係合凹部6は、導水部5の外面5cに設けられるため、排水部4の開口41の通流を妨げない。排水部4には所望の数の開口41を設けることができる。そのため、ヘアキャッチャー1の外側面に係合凹部6を設けても、ヘアキャッチャー1の排水性能に影響を与えることはない。
【0032】
係合凹部6は、突出部61の外端面61aから径方向の内側に向けて凹設される。詳しくは、係合凹部6は、突出部61の外端面61aにおいて、周方向に開放する横向き略U字状に形成される。このような溝状の係合凹部6は、突出部61におけるいわゆる肉盗みを構成し、突出部61の成形時の収縮に伴うヒケの発生を抑制することができる。そのため、本実施形態のヘアキャッチャー1は、成形精度に優れる。
【0033】
突出部61の下端面61bは、図4に示すように、略水平面によって構成される。この下端面61bと導水部5の外面5cとは、鈍角で連続して繋がる連続面を形成している。「連続して繋がる」とは、突出部61の下端面61bと導水部5の外面5cとの間に溝が設けられておらず、下端面61bと外面5cとが単一の境界線61cによって繋がっていることを意味する。これによって、ヘアキャッチャー1の外側の旋回流は、突出部61の下端面61b、導水部5の外面5c及び両者の境界線61cに沿ってスムーズに流れる。そのため、その旋回流に含まれる髪の毛も旋回流に沿って流れ、突出部61に絡みつくことが防止される。
【0034】
突出部61におけるヘアキヤッチャー1の周方向の端面61dは、わずかに下向きに傾斜するように形成されている。この端面61dも、導水部5の外面5cと鈍角で連続して繋がる連続面を形成している。そのため、突出部61の端面61dに当たった水に含まれる髪の毛が端面61dに付着することが抑制される。
【0035】
次に、ヘアキャッチャー1の取り付け及び使用状態について説明する。まず、ヘアキャッチャー1は、2つの係合凹部6,6が洗い場排水口203の周方向に隣接する2つの係合突部203aの間に配置されるように洗い場排水口203に嵌合される。嵌合後、使用者が、把手部22を持って、ヘアキャッチャー1を時計方向に所定角度回転させると、2つの係合凹部6,6が2つの係合突部203aに対してそれぞれ係合する。これによって、ヘアキャッチャー1は、洗い場排水口203に固定される。その後、排水トラップ部201の内部に大量の水が流れても、ヘアキャッチャー1は、洗い場排水口203から浮き上がることはない。
【0036】
洗い場床100上の水は、洗い場床100の勾配によって洗い場排水口203に向けて流れ、ヘアキャッチャー1に到達する。ヘアキャッチャー1に到達した水は、ヘアキャッチャー1の立壁部21,21に当たり、立壁部21,21の外面に沿って流れた後、立壁部21,21の導入端部21aと終端部21bとの間から、ヘアキャッチャー1の内部に流入する。
【0037】
ヘアキャッチャー1の内部に流入した水の大部分は、立壁部21,21の導入端部21aと終端部21bとの間から終端部21bの湾曲形状に沿って案内され、図5中に矢印で示すように、ヘアキャッチャー1の内部を平面視で時計方向に旋回しながら流下する。流下した水の一部は、排水部4の開口41を内側から外側に向けて流れる。
【0038】
ヘアキャッチャー1の内部に流入した水の一部は、上縁部2から貯水部3に向けて延びる導水部5によってそのまま貯水部3に導かれる。水に含まれる髪の毛も、導水部5を通って貯水部3に流れる。貯水部3の水抜き孔33の数は、排水部4の開口41の数に比べて遥かに少ないため、貯水部3に導かれた髪の毛を含む水は、貯水部3に一時的に貯水される。
【0039】
排水トラップ部201内に流れ込む水量が多くなると、排水トラップ部201の内部に、排水トラップ部201の平面視において時計方向の旋回流が発生する。排水トラップ部201内の旋回流の一部は、図6に示すように、排水部4の縦リブ部42の傾斜面42aに当たって排水部4の内側に向きを変え、排水部4の外側から開口41を通って内側へ流入し、排水部4の内側の旋回流と合流する。このとき、排水トラップ部201内の旋回流に含まれる髪の毛も、開口41を通って流入する。
【0040】
排水部4の外側から開口41を通って内側へ水が流入することによって貯水部3にさらに貯水された水は、水抜き孔33から徐々に排出される。これによって、水に含まれる髪の毛が貯水部3内に纏められる。
【0041】
排水完了後、使用者が把手部22を持ってヘアキャッチャー1を反時計方向に回転させると、係合凹部6と係合突部203aとの係合が解除される。これによって、使用者は、ヘアキャッチャー1を洗い場排水口203から取り外し、貯水部3に捕集された髪の毛を清掃することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 ヘアキャッチャー、 2 上縁部、 3 貯水部、 4 排水部、 41 開口、 5 導水部、 5c 外面、 6 係合凹部、 61 突出部、 61a 外端面、 61b 下端面、 203 洗い場排水口、 203a 係合突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9