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特許7465718什器、什器制御システム、及び什器制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】什器、什器制御システム、及び什器制御方法
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20240404BHJP
   A47B 13/08 20060101ALI20240404BHJP
   H03K 17/78 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
A47B13/00 Z
A47B13/08 A
H03K17/78 U
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020085532
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2021178068
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】須賀 政晴
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/088092(WO,A1)
【文献】特開2008-236532(JP,A)
【文献】特開2015-075453(JP,A)
【文献】国際公開第2011/024843(WO,A1)
【文献】特開2019-132586(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0368569(US,A1)
【文献】独国実用新案第202015102151(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 9/00-9/20
H03K 17/78
H01H 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
什器本体と、
前記什器本体に備えられ、操作信号を出力する操作部と、
前記操作部から出力される少なくとも1つの前記操作信号からなる操作パターンが所定のパターンである場合、前記什器本体に備えられた機能を動作させる制御部と、
を備え、
前記操作部は、
光を投光する発光部と、
前記発光部によって投光された前記光の反射光を受光する受光部と、
前記発光部が前記光を発光してから前記受光部が前記反射光を受光するまでの時間を逐次計測する計測部と、
を備え、
前記計測部によって計測された時間に基づいて前記操作信号を出力する
什器において、
前記操作部は、前記計測部によって計測された前記時間が第1しきい値を超えている場合に第1の操作信号を出力し、前記計測部によって計測された前記時間が第2しきい値を超えていない場合に第2の操作信号を出力する
什器。
【請求項2】
什器本体と、
前記什器本体に備えられ、操作信号を出力する操作部と、
前記操作部から出力される少なくとも1つの前記操作信号からなる操作パターンが所定のパターンである場合、前記什器本体に備えられた機能を動作させる制御部と、
を備え、
前記操作部は、
光を投光する発光部と、
前記発光部によって投光された前記光の反射光を受光する受光部と、
前記発光部が前記光を発光してから前記受光部が前記反射光を受光するまでの時間を逐次計測する計測部と、
を備え、
前記計測部によって計測された時間に基づいて前記操作信号を出力する
什器において、
前記操作部は、前記計測部によって計測される前記時間が直前の計測時よりも長くなることが連続して生じ、その回数が第3しきい値に達した場合に第1の操作信号を出力し、前記計測部によって計測される前記時間が直前の計測時よりも短くなることが連続して生じ、その回数が第4しきい値に達した場合に第2の操作信号を出力する
什器。
【請求項3】
什器本体と、
前記什器本体に備えられ、操作信号を出力する操作部と、
前記操作部から出力される少なくとも1つの前記操作信号からなる操作パターンが所定のパターンである場合、前記什器本体に備えられた機能を動作させる制御部と、
を備え、
前記操作部は、
光を投光する発光部と、
前記発光部によって投光された前記光の反射光を受光する受光部と、
前記発光部が前記光を発光してから前記受光部が前記反射光を受光するまでの時間を逐次計測する計測部と、
を備え、
前記計測部によって計測された時間に基づいて前記操作信号を出力する
什器において、
前記操作部は、前記計測部によって計測される前記時間が直前の計測時よりも長くなることが連続して生じ、その間において最初に計測された時間と最後に計測された時間との差が第5しきい値を超えた場合に第1の操作信号を出力し、前記計測部によって計測される前記時間が直前の計測時よりも短くなることが連続して生じ、その間において最初に計測された時間と最後に計測された時間との差が第6しきい値を超えた場合に第2の操作信号を出力する
什器。
【請求項4】
請求項から請求項のうちいずれか一項に記載の什器において、
前記制御部は、前記第1の操作信号と前記第2の操作信号との組み合わせを示す前記操作パターンに基づいて前記機能を動作させる
什器。
【請求項5】
請求項から請求項のうちいずれか一項に記載の什器において、
前記什器本体は、
天板を昇降可能となるように支持する支持体
を備え、
前記制御部は、前記操作パターンが所定のパターンである場合、前記支持体による前記天板の昇降を制御する
什器。
【請求項6】
操作信号を出力する操作部と、
前記操作部から出力される少なくとも1つの前記操作信号からなる操作パターンが所定のパターンである場合、什器に備えられた機能を動作させる制御部と、
を備え、
前記操作部は、
光を投光する発光部と、
前記発光部によって投光された前記光の反射光を受光する受光部と、
前記発光部が前記光を発光してから前記受光部が前記反射光を受光するまでの時間を逐次計測する計測部と、
を備え、
前記計測部によって計測された時間に基づいて前記操作信号を出力する
什器制御システムにおいて、
前記操作部は、前記計測部によって計測された前記時間が第1しきい値を超えている場合に第1の操作信号を出力し、前記計測部によって計測された前記時間が第2しきい値を超えていない場合に第2の操作信号を出力する
什器制御システム
【請求項7】
光を投光する発光ステップと、
前記発光ステップにおいて投光された前記光の反射光を受光する受光ステップと、
前記発光ステップにおいて前記光が発光されてから前記受光ステップにおいて前記反射光が受光されるまでの時間を逐次計測する計測ステップと、
前記計測ステップにおいて計測された時間が第1しきい値を超えている場合に第1の操作信号を出力し、前記計測ステップにおいて計測された前記時間が第2しきい値を超えていない場合に第2の操作信号を出力する出力ステップと、
前記出力ステップにおいて出力される少なくとも1つの前記第1の操作信号又は前記第2の操作信号からなる操作パターンが所定のパターンである場合、什器に備えられた機能を動作させる制御ステップと、
を有る什器制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器、什器制御システム、及び什器制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば天板又はモニタなどの物体(被支持体)を支持する支持体を備え、当該物体を制御する什器が知られている。このような什器の1つとして、例えば天板を昇降させる昇降機能を備えた天板付什器であるデスク装置が知られている。天板を昇降させる技術として、例えば、ガススプリングを用いる方法、及びギアを用いる方法(特許文献1,2)などが知られている。また、使用者が操作部により天板付什器が備えるワイヤーを操作することにより、ガススプリングのストッパなどをロック又は解除して、天板を昇降させる技術が知られている(特許文献3,4,5)。また、天板を昇降させる際の操作性を向上させるために、電動式の駆動ユニットを用いて天板を昇降させる技術が知られている(特許文献6)。特許文献3,4,5,6に開示された技術では、使用者が、天板近傍に配される操作部やスイッチなど(以下、単に「操作部」という。)を用いて、天板の昇降のための操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3371959号公報
【文献】特許第3391285号公報
【文献】実用新案登録第3164739号公報
【文献】特開2014-113505号公報
【文献】特許第5718503号公報
【文献】特開2016-86909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、使用者が操作部に直接触れて操作を行うことによって天板を昇降させる。しかしながら、例えば薬品又は病原体などが手などに付着した研究者や医療従事者が什器を操作した場合、操作部にも薬品又は病原体などが付着する。これにより、後に什器を利用するために操作部に触れた使用者にも薬品又は病原体などが付着する恐れがあるという課題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、操作部に触れることなく什器の動作を制御することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、什器本体と、前記什器本体に備えられ、操作信号を出力する操作部と、前記操作部から出力される少なくとも1つの前記操作信号からなる操作パターンが所定のパターンである場合、前記什器本体に備えられた機能を動作させる制御部と、を備え、前記操作部は、光を投光する発光部と、前記発光部によって投光された前記光の反射光を受光する受光部と、前記発光部が前記光を発光してから前記受光部が前記反射光を受光するまでの時間を逐次計測する計測部と、を備え、前記計測部によって計測された時間に基づいて前記操作信号を出力する什器である。
【0007】
このように構成することで、使用者は、操作部に直接触れることなく什器を制御することができる。そのため、例えば使用者が薬品又は病原体などが手などに付着した研究者や医療従事者であっても、操作部に薬品又は病原体などが付着することがない。これにより、後に什器を利用するために操作部に触れた使用者に薬品又は病原体などが付着する恐れがない。
【0008】
前記什器において、前記操作部は、前記計測部によって計測された前記時間が第1しきい値を超えている場合に第1の操作信号を出力し、前記計測部によって計測された前記時間が第2しきい値を超えていない場合に第2の操作信号を出力してもよい。
【0009】
この場合、計測部によって計測された時間が、第1しきい値と第2しきい値との間の値となる場合には操作信号が出力されないため、使用者の動作を誤認識する可能性を低くすることができる。
【0010】
前記什器において、前記操作部は、前記計測部によって計測される前記時間が直前の計測時よりも長くなることが連続して生じ、その回数が第3しきい値に達した場合に第1の操作信号を出力し、前記計測部によって計測される前記時間が直前の計測時よりも短くなることが連続して生じ、その回数が第4しきい値に達した場合に第2の操作信号を出力してもよい。
【0011】
この場合、計測部によって計測される時間が短くなっていく期間、又は計測部によって計測される時間が長くなっていく期間が短期間である場合には操作信号が出力されないため、例えば使用者が操作部の前に、手などの身体、又はノートや筆記具などの所有物を置くことによる、当該使用者の動作の誤認識を生じさせる可能性を低くすることができる。
【0012】
前記什器において、前記操作部は、前記計測部によって計測される前記時間が直前の計測時よりも長くなることが連続して生じ、その間において最初に計測された時間と最後に計測された時間との差が第5しきい値を超えた場合に第1の操作信号を出力し、前記計測部によって計測される前記時間が直前の計測時よりも短くなることが連続して生じ、その間において最初に計測された時間と最後に計測された時間との差が第6しきい値を超えた場合に第2の操作信号を出力してもよい。
【0013】
この場合、計測部によって逐次計測される時間が連続して長くなっていった場合や、計測部によって逐次計測される時間が連続して短くなっていった場合において、その時間差が小さい場合には操作信号が出力されないため、使用者の動作を誤認識する可能性を低くすることができる。
【0014】
前記什器において、前記制御部は、前記第1の操作信号と前記第2の操作信号との組み合わせを示す前記操作パターンに基づいて前記機能を動作させてもよい。
【0015】
この場合、使用者の動作を誤認識する可能性を低くすることができる。
【0016】
前記什器において、前記什器本体は、天板を昇降可能となるように支持する支持体を備え、前記制御部は、前記操作パターンが所定のパターンである場合、前記支持体による前記天板の昇降を制御してもよい。
【0017】
この場合、使用者は、操作部に直接触れることなく天板の昇降動作を制御することができる。これにより、例えば使用者が薬品又は病原体などが手などに付着した研究者や医療従事者であっても、操作部に薬品又は病原体などが付着することがない。これにより、後に什器を利用するために操作部に触れた使用者に薬品又は病原体などが付着する恐れがない。
【0018】
また、本発明の一態様は、操作信号を出力する操作部と、前記操作部から出力される少なくとも1つの前記操作信号からなる操作パターンが所定のパターンである場合、什器に備えられた機能を動作させる制御部と、を備え、前記操作部は、光を投光する発光部と、前記発光部によって投光された前記光の反射光を受光する受光部と、前記発光部が前記光を発光してから前記受光部が前記反射光を受光するまでの時間を逐次計測する計測部と、を備え、前記計測部によって計測された時間に基づいて前記操作信号を出力する什器制御システムである。
【0019】
このように構成することで、使用者は、操作部に直接触れることなく什器を制御することができる。そのため、例えば使用者が薬品又は病原体などが手などに付着した研究者や医療従事者であっても、操作部に薬品又は病原体などが付着することがない。これにより、後に什器を利用するために操作部に触れた使用者に薬品又は病原体などが付着する恐れがない。
【0020】
また、本発明の一態様は、光を投光する発光ステップと、前記発光ステップにおいて投光された前記光の反射光を受光する受光ステップと、前記発光ステップにおいて前記光が発光されてから前記受光ステップにおいて前記反射光が受光されるまでの時間を逐次計測する計測ステップと、前記計測ステップにおいて計測された時間に基づいて操作信号を出力する出力ステップと、前記出力ステップにおいて出力される少なくとも1つの前記操作信号からなる操作パターンが所定のパターンである場合、什器に備えられた機能を動作させる制御ステップと、を有する什器制御方法ある。
【0021】
このように構成することで、使用者は、操作部に直接触れることなく什器を制御することができる。そのため、例えば使用者が薬品又は病原体などが手などに付着した研究者や医療従事者であっても、操作部に薬品又は病原体などが付着することがない。これにより、後に什器を利用するために操作部に触れた使用者に薬品又は病原体などが付着する恐れがない。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、操作部に触れることなく当該什器の動作を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1を天板2の上面側から見た図である。
図3】本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1を天板2の下面側から見た図である。
図4】本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1のセンサ部11を上面側から見た図である。
図5】本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1のセンサ部11の内部構造図である。
図6】本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1の機能構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1の操作許可判定部152によって受け付けられる許可パターンの一例を示す図である。
図8】本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1の天板2を昇降させる場合の昇降操作を説明するための図である。
図9】本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1の制御部15の動作を示すフローチャートである。
図10】本発明の第2実施形態による天板昇降式什器1の操作許可判定部152によって受け付けられる許可パターンの一例を示す図である。
図11】本発明の第3実施形態による天板昇降式什器1の操作許可判定部152によって受け付けられる許可パターンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態について説明する。なお、本実施形態では、一例として、天板を支持し、天板を昇降させる什器について説明するが、これに限られるものではない。例えばモニタなどの他の物体を支持して昇降させる什器であっても構わない。
【0025】
[天板昇降式什器の全体構成]
以下、本実施形態による天板昇降式什器1の全体構成について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1の斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1を天板2の上面側から見た図である。図3は、本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1を天板2の下面側から見た図である。
【0026】
図1から図3までに示されるように、本実施形態による天板昇降式什器1は、天板2と、支持体5と、センサ部11と、制御部15とを備えている。
【0027】
天板2は、上面3と下面4とを有する。天板2は、下面4の使用者側から見て左手前角の近傍に、後述するセンサ部11を取り付けるための窪み(不図示)を有している。天板2の他の構成は特に限定されない。
【0028】
支持体5は、梁部6と、軸部7と、脚部8と、昇降駆動部10とを有している。
梁部6は、天板2の前後方向に延びている。梁部6は、天板2の左右端に1つずつ配されている。
【0029】
軸部7は、梁部6を介して天板2に接続されている。軸部7は、天板2の下面4から垂直に下方へ延びている。
【0030】
脚部8は、床面に接触して本実施形態による天板昇降式什器1を支持するとともに、昇降駆動部10を介して軸部7に連結されている。本実施形態では、脚部8は、床面と平行に延びる水平部8aと、軸部7と同軸をなして垂直に延びる第一筒部8b及び第二筒部8cとを有している。
【0031】
昇降駆動部10は、軸部7、第一筒部8b及び第二筒部8cの長手軸方向に軸部7、第一筒部8b、及び第二筒部8cを相対移動させるためのモーターとギア(不図示)を有している。昇降駆動部10は、制御部15に電気的に接続されている。昇降駆動部10が動作することによって、支持体5は、天板2の板厚方向に伸縮可能である。
【0032】
センサ部11は、使用者の(例えば手の)動作を検知可能な、複数の非接触センサ(後述される、センサ11s、センサ11t、及びセンサ11u)によって構成される。なお、非接触センサの個数は1つでもよい。センサ部11は、天板2の使用者側から見て左手前角の近傍に配されている。センサ部11の表面は、天板2の上面3と略同一面に位置している。
【0033】
なお、天板2におけるセンサ部11の位置は任意である。なお、センサ部11の位置は、天板昇降式什器1を使用する使用者が容易に手を翳すことができる範囲の位置であることが好ましい。なお、センサ部11の位置は、使用者による天板昇降式什器1の通常の使用時(使用者が天板2の昇降操作を行わない時)には、使用者の動作を誤って検知することが起こりにくいような位置であることが好ましい。
【0034】
なお、センサ部11が上面3側からの使用者の動作を検知可能であるならば、(センサ部11の一部又は全部も含め)天板2の上面3は化粧材などによって覆われていても構わない。
なお、センサ部11が設置される向きは、天板2の上方に向けて設置される構成に限られるものではない。センサ部11が設置される向きは、天板2の側方(使用者側の方向)、又は斜め上方などであってもよい。
【0035】
また、図1及び図2に示されるように、天板2の使用者側から見て左奥角の近傍には電気スタンド12が備えられ、天板2の使用者側から見て右奥角の近傍にはコンセント13が備えられている。
【0036】
[センサ部の構成]
以下、センサ部11の構成の一例について説明する。
図4は、本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1のセンサ部11を上面側から見た図である。図4に示されるように、センサ部11は、センサ11s、センサ11t、及びセンサ11uを有する。
【0037】
センサ11s、センサ11t、及びセンサ11uの表面には、それぞれ、「-(マイナス)」の文字の形状を成す透過部ts、「・(ドット)」の文字の形状を成す透過部tt、及び「+(プラス)」の文字の形状を成す透過部tuが設けられている。透過部ts、透過部tt、及び透過部tuには、光を透過させる部材がそれぞれ用いられる。また、センサ11s、センサ11t、及びセンサ11uの、透過部ts、透過部tt、及び透過部tu以外の部位には、光を透過させない部材がそれぞれ用いられる。これにより、センサ11s、センサ11t、及びセンサ11uの内部にそれぞれ備えられた、後述される発光部112が発光した場合、天板2上では透過部ts、透過部tt、及び透過部tuの部分のみが発光した状態となる。これにより、天板2上に「-(マイナス)」、「・(ドット)」、及び「+(プラス)」の文字が浮かび上がる。
【0038】
また、センサ11s、センサ11t、及びセンサ11uは、投光穴115と受光穴116とをそれぞれ備えている。
【0039】
以下、センサ11s、センサ11t、及びセンサ11uの内部構造について説明する。なお、センサ11s、センサ11t、及びセンサ11uの内部構造は同一である。以下、センサ11s、センサ11t、及びセンサ11uを区別して説明する必要がない場合には、単に「センサ」という。
【0040】
図5は、本実施形態によるセンサの内部構造図である。
図5に示されるように、センサは基板110を有する。また、基板110は、発光部112とToF(Time of Flight)センサ119とを有する。ToFセンサ119は、投光部117と受光部118とを有する。
【0041】
投光部117は、例えば赤外発光ダイオードを有する。投光部117は、パルス状に(断続的に)光を投光する。以下、パルス状に光を投光することを「パルス投光」という。投光部117から照射された光は、投光穴115を通過して対象物(例えば使用者の手)にまで到達する。
受光部118は、投光部117から照射された光が対象物に当たって反射した反射光を逐次受光する。反射光は、受光穴116を通過して受光部118に逐次到達する。
【0042】
ToFセンサ119の計測部(不図示)は、投光部117が光を照射してから、受光部118が反射光を受光するまでに要した時間(以下、「飛行時間」という。)を逐次計測する。
例えば、ToFセンサ119は、計測された飛行時間が所定の飛行時間(以下、「第1しきい値」という。)より短い場合に、OFF(オフ)の操作入力がなされたものと判定する。OFFの操作入力がなされている状態とは、例えば、使用者が、ToFセンサ119に対して手などを翳していない状態である。
また、例えば、ToFセンサ119は、計測された飛行時間が所定の飛行時間(以下、「第2しきい値」という。)より短い場合に、ON(オン)の操作入力がなされたものと判定する。ONの操作入力なされている状態とは、例えば、使用者が、ToFセンサ119に対して手などを翳している状態である。
【0043】
なお、光を照射させてから、当該光が対象物に当たって反射した反射光を受光するまでに要した時間を計測するセンサであるならば、センサの構成は上記の構成に限られるものではない。なお、センサ部11は、時間を計測するセンサではなく、自己のセンサ部11の位置から対象物(例えば、使用者の手など)の位置までの距離を計測することができるセンサであってもよい。この場合、第1しきい値及び第2しきい値には、飛行時間を示す値ではなく、距離を示す値が設定される。すなわち、センサ部11は、自己のセンサ部11の上方において、使用者の手などが翳されているか否かを検知することができるセンサであるならば、その他の構成については限定されない。
【0044】
なお、本実施形態においては、各センサの表面に透過部がそれぞれ設けられているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、天板2の表面に透過部を設けられており、各センサが備える発光部112が発光することによって天板2上に文字が表示されるような構成にしてもよい。
【0045】
センサ11tは、昇降操作の際にまず使用者が行う準備操作(すなわち、許可パターンの入力)のための操作入力を検知するセンサである。
センサ11tは、OFFの操作入力を検知した場合、当該操作入力に基づく操作信号(第1の操作信号)を生成する。センサ11tは、生成された操作信号(第1の操作信号)を制御部15の操作信号取得部151へ出力する。
また、センサ11tは、ONの操作入力を検知した場合、当該操作入力に基づく操作信号(第2の操作信号)を生成する。センサ11tは、生成された操作信号(第2の操作信号)を制御部15の操作信号取得部151へ出力する。
【0046】
センサ11sは、天板2を下降させる昇降操作の際に、使用者が上記準備操作を行った後に、下降指示をするための動作を検知するセンサである。センサ11sは、使用者の手などが翳されたことを検知した場合、操作信号(以下、「下降操作信号」という。)を生成し、生成された下降操作信号を制御部15の操作信号取得部151へ出力する。
【0047】
センサ11uは、天板2を上昇させる昇降操作の際に、使用者が上記準備操作を行った後で、上昇指示をするための動作を検知するセンサである。センサ11uは、使用者の手などが翳されたことを検知した場合、操作信号(以下、「上昇操作信号」という。)を生成し、生成された上昇操作信号を制御部15の操作信号取得部151へ出力する。
【0048】
[天板昇降式什器の機能構成]
図6は、本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1の機能構成を示すブロック図である。図1及び図6に示されるように、制御部15は、センサ部11による使用者の動作に関する検知結果に基づいて支持体5の伸縮動作を制御する。制御部15は、例えば支持体5の内部に配されている。
【0049】
図6に示されるように、制御部15は、操作信号取得部151と、操作許可判定部152と、昇降情報受付部153と、動作信号生成部154とを有している。
【0050】
操作信号取得部151は、センサ部11に接続されている。操作信号取得部151は、センサ部11が有するToFセンサ119によって検知された、例えば使用者の動作(例えばON又はOFFの操作入力)を示す操作信号を、センサ部11から取得する。操作信号取得部151は、記憶媒体(不図示)を備えており、操作信号を取得して当該記憶媒体に記憶させる。操作信号取得部151は、操作信号を操作許可判定部152によって参照可能となるように記憶媒体に記憶させる。
【0051】
また、本実施形態では、操作信号取得部151は、センサ部11が検知した使用者の複数の動作の順序(すなわち、取得した複数の操作信号の順序)についても認識可能な形式で、操作信号を記憶媒体に記憶させる。例えば、操作信号取得部151は、取得された操作信号を時系列に記憶媒体に記憶させる。
【0052】
なお、上記の記憶媒体とは、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、又はHDD(Hard Disk Drive)などである。
【0053】
操作許可判定部152は、操作信号取得部151に接続されている。操作許可判定部152は、操作信号取得部151によって取得された操作信号に基づいて、予め設定された複数の操作信号の順序を示す操作パターン(以下、「許可パターン」と称する)を受け付けたか否かを判定する。操作許可判定部152は、許可パターンを受け付けたと判定した場合、昇降情報受付部153へ、許可パターンを受け付けたことを示す許可情報を出力する。
【0054】
なお、ここでいう許可パターンとは、使用者が行う準備操作によって生成される、予め設定された操作パターンである。ここでいう準備操作とは、センサ部11が誤って使用者の動作を検知することによる天板2の誤操作(使用者の意図に反する昇降動作)が生じることがないように、昇降操作の際にまず行われる操作である。
【0055】
なお、許可パターンは、使用者の複数の動作が検知された順序だけでなく、これら複数の動作の間の時間間隔(例えば、使用者の動作のリズム)を示す情報も含んだ操作パターンであってもよい。
【0056】
図7は、本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1の操作許可判定部152によって受け付けられる許可パターンの一例を示す図である。図7において、黒のドット記号は、それぞれの計測における計測結果(飛行時間)示す。許可パターンは、例えば、ONの操作入力とOFFの操作入力との組み合わせからなる操作パターンである。図7に示されるように、許可パターンは、例えば、ON、OFF、ON、OFFの順で操作入力がなされる操作パターンである。この操作パターンは、例えば使用者が、センサ11tに対して、2回続けて手を翳す動作を行った場合に生成される操作パターンである。
【0057】
なお、第1しきい値と第2しきい値は、同一の値でも構わない。但し、図7に示されるように、第1しきい値以上の飛行時間と第2しきい値以下の飛行時間との中間になる飛行時間が設けられることが望ましい。なぜならば、このようにすることで、使用者が曖昧な動作を行った場合には、許可パターンが受け付けられなくなるためである。これにより、誤検知が防止される。
【0058】
昇降情報受付部153(操作情報受付部)は、操作許可判定部152から出力された許可情報を取得した場合に、天板2の昇降操作のためのセンサ部11からの操作信号(以下、「昇降操作信号」と称する)を受け付ける。
【0059】
動作信号生成部154(制御信号生成部)は、昇降情報受付部153によって受け付けられた昇降操作信号に基づいて、支持体5を伸縮動作させるための指令(以下、「動作信号」と称する)を昇降駆動部10に対して出力する。昇降駆動部10は、支持体5に設けられている。これにより、天板2が昇降する。
【0060】
なお、天板2を上昇させるための昇降操作信号(上昇操作信号)が昇降情報受付部153から動作信号生成部154へ出力された場合には、動作信号生成部154は、支持体5を伸長させるための動作信号(以下、「上昇動作信号」と称する)を生成して昇降駆動部10へと出力する。また、天板2を下降させるための昇降操作信号(下降操作信号)が昇降情報受付部153から動作信号生成部154へ出力された場合には、動作信号生成部154は、支持体5を収縮させるための動作信号(以下、「下降動作信号」と称する)を生成して昇降駆動部10へと出力する。
【0061】
[天板昇降式什器の作用]
以下、本実施形態による天板昇降式什器1の作用について説明する。
図8は、本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1の天板2を上昇させる場合の昇降操作を説明するための図である。
【0062】
本実施形態においては、一例として、許可パターンは、センサ11tの前方(センサ11tの投光穴115の正面の位置)で、使用者が手などをセンサ11tに翳す動作を2回続けて行った場合に検知される操作パターンであるものとする。すわなち、許可パターンは、前述の図7に示される操作パターンであるものとする。
【0063】
図8(A)に示されるように、使用者による天板昇降式什器1の通常の使用時(使用者が天板2の昇降操作を行わない時)には、センサ11tの発光部112は常時点灯した状態となっている。また、使用者による天板昇降式什器1の通常の使用時(使用者が天板2の昇降操作を行わない時)には、センサ11sの発光部112及びセンサ11uの発光部112は常時消灯した状態となっている。これにより、使用者は、昇降操作の際に最初に行う準備操作(すなわち、許可パターンの入力)の入力を行うために用いられるセンサ11tの位置を容易に把握することができる。
【0064】
使用者は、天板2の昇降操作を行う場合、まず準備操作として、手などをセンサ11tに翳す動作を2回続けて行う。なお、操作許可判定部152において1回目の上記動作が受け付けられた後、所定の期間(例えば、10秒間)内に2回目の上記動作が受け付けられなかった場合には、タイムアウトとなる。これにより、許可パターンの受け付けはキャンセルされ、天板2の昇降は行われない。
【0065】
図8(B)に示されるように、操作許可判定部152によって許可パターンが受け付けられると、それまで点灯状態であったセンサ11tの発光部112が消灯する。また、操作許可判定部152によって許可パターンが受け付けられると、それまで消灯状態であった、センサ11sの発光部112及びセンサ11uの発光部112がそれぞれ点灯する。これにより、使用者は、準備操作の後に行われる、天板2の昇降操作の入力のために用いられるセンサ11sの位置又はセンサ11uの位置を、容易に把握することができる。
【0066】
使用者は、天板2を上昇させる場合には、上記の準備操作を行った後、センサ11uの上方に手などを翳す動作を行う。センサ11uの上方に手などは翳されている間は、天板2が上昇を続ける。また、使用者が、センサ11uの上方に手などを翳す動作を中止することによって、天板2が上昇する動作が停止する。又は、天板2が可動可能範囲の上限の位置まで上昇した場合、天板2が上昇する動作が停止する。
【0067】
図8(C)に示されるように、昇降情報受付部153によって天板2を上昇させるための操作入力が受け付けられた場合、それまで点灯状態であったセンサ11sの発光部112が消灯する。すなわち、センサ11uの発光部112のみが点灯状態となる。これにより、使用者は、天板2を上昇させるための操作入力が受け付けられたことを認識することができる。
【0068】
このような構成にすることで、使用者は、上昇指示を行う場合には、準備操作を行なった後にセンサuの「+(プラス)」の文字の方へ手などを翳す動作をすることになる。この動作により、操作信号取得部151から昇降情報受付部153へ上昇操作信号が出力される。これにより、使用者は、直感的に天板2の上昇のための昇降操作を行うことができる。
【0069】
また、使用者は、天板2を下降させる場合には、上記の準備操作を行った後、センサ11sの上方に手などを翳す動作を行う。センサ11sの上方に手などは翳されている間は、天板2が下降を続ける。また、使用者が、センサ11sの上方に手などを翳す動作を中止することによって、天板2が下降する動作が停止する。又は、天板2が可動可能範囲の下限の位置まで下降した場合、天板2が下降する動作が停止する。
【0070】
図8(D)に示されるように、昇降情報受付部153によって天板2を下降させるための操作入力が受け付けられた場合、それまで点灯状態であったセンサ11uの発光部112が消灯する。すなわち、センサ11sの発光部112のみが点灯状態となる。これにより、使用者は、天板2を下降させるための操作入力が受け付けられたことを認識することができる。
【0071】
このような構成にすることで、使用者は、下降指示を行う場合には、準備操作を行なった後にセンサuの「-(マイナス)」の文字の方へ手などを翳す動作をすることになる。この動作により、操作信号取得部151から昇降情報受付部153へ下降操作信号が出力される。これにより、使用者は、直感的に天板2の下降のための昇降操作を行うことができる。
【0072】
なお、操作許可判定部152において許可パターンが受け付けられた後、所定の期間(例えば、10秒間)内に天板2の昇降操作のための操作入力が受け付けられなかった場合には、タイムアウトとなる。これにより、昇降操作の受け付けはキャンセルされ、天板2の昇降は行われない。
【0073】
このように、本実施形態による天板昇降式什器1によれば、天板2を昇降させる際には、使用者は予め定められた準備操作を行って許可パターンを示す操作入力を行った後、昇降指示を示す操作入力を行う必要がある。これにより、使用者が天板2を昇降させるためには2段階の操作入力が必要となるため、天板2の昇降における誤操作がより発生し難くなる。
また、センサ部11の表面が天板2の上面3と略同一面に位置しているので、天板2の意匠性に優れる。
【0074】
[制御部の動作]
本実施形態による天板昇降式什器1の制御部15の動作について説明する。
図9は、本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1の制御部15の動作を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、センサ部11から制御部15の操作信号取得部151へ操作信号が出力された際に開始する。
【0075】
(ステップS101)操作信号取得部151に操作信号の入力があった場合、ステップS102へ進む。そうでない場合(操作信号の入力がない場合)、ステップS101に留まる。
(ステップS102)操作許可判定部152が、操作信号取得部151に入力された操作信号に基づいて、予め設定された複数の操作信号の順序を示す操作パターンである許可パターンを受け付けたと判定した場合、ステップS103へ進む。そうでない場合(許可パターンを受け付けたと判定されなかった場合)、ステップS101へ戻る。
【0076】
(ステップS103)操作許可判定部152は、昇降情報受付部153へ許可情報を出力する。その後、ステップS104へ進む。
【0077】
(ステップS104)操作許可判定部152が許可パターンを受け付けたと判定してから所定の期間が経過している場合(タイムアウトした場合)、当該許可パターンの受け付けはキャンセルされ、ステップS101へ戻る。そうでない場合(タイムアウトしていない場合)、ステップS105へ進む。
(ステップS105)操作信号取得部151に操作信号の入力があった場合、ステップS106へ進む。そうでない場合(操作信号の入力がない場合)、ステップS104に戻る。
【0078】
(ステップS106)操作許可判定部152から昇降情報受付部153へ出力された指示情報が上昇指示情報である場合、ステップS107へ進む。そうでない場合(下降指示情報である場合)、ステップS110へ進む。
(ステップS107)動作信号生成部154は、昇降情報受付部153から操作信号を取得し、上昇動作信号を生成する。動作信号生成部154は、生成した上昇動作信号を昇降駆動部10へ出力する。その後、ステップS108へ進む。
【0079】
(ステップS108)操作信号取得部151への操作信号の入力が停止(終了)した場合、ステップS109へ進む。そうでない場合(操作信号の入力が停止していない場合)ステップS107へ戻る。なお、操作信号の入力が所定の時間を超えても停止しなかった場合には、タイムアウトさせる(すなわち、ステップS109へ進む)ような構成にしてもよい。
(ステップS109)動作信号生成部154は、昇降駆動部10への上昇動作信号の出力を停止する。以上で図9のフローチャートが示す制御部15の動作が終了する。
【0080】
(ステップS110)動作信号生成部154は、昇降情報受付部153から操作信号を取得し、下降動作信号を生成する。動作信号生成部154は、生成した下降動作信号を昇降駆動部10へ出力する。その後、ステップS111へ進む。
(ステップS111)操作信号取得部151への操作信号の入力が停止(終了)した場合、ステップS112へ進む。そうでない場合(操作信号の入力が停止していない場合)ステップS110へ戻る。なお、操作信号の入力が所定の時間を超えても停止しなかった場合には、タイムアウトさせる(すなわち、ステップS112へ進む)ような構成にしてもよい。
【0081】
(ステップS112)動作信号生成部154は、昇降駆動部10への下降動作信号の出力を停止する。以上で図9のフローチャートが示す制御部15の動作が終了する。
【0082】
以上説明したように、本発明の第1実施形態による天板昇降式什器1は、上記の構成を備えることによって、使用者がセンサ部11(操作部)に直接触れることなく当該天板昇降式什器1を昇降させることができる。これにより、例えば使用者が薬品又は病原体などが手などに付着した研究者や医療従事者であっても、センサ部11(操作部)に薬品又は病原体などが付着することがない。これにより、後に天板昇降式什器1を使用するためにセンサ部11(操作部)に触れた使用者に薬品又は病原体などが付着する恐れがない。
【0083】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について説明する。
前述の第1実施形態では、図7に示されるように、センサ部11は、計測された飛行時間としきい値(第1しきい値及び第2しきい値)とに基づいて、ON又はOFFの操作入力を判定する構成であった。すなわち、センサ部11は、使用者の手などがセンサ部11に翳されているか否かを判定する構成であった。
一方、以下に説明する第2実施形態では、センサ部11は、使用者の手などがセンサ部11のほうへ継続的に近づけられる動作、又は使用者の手などがセンサ部11から継続的に遠ざけられる動作が行われているか否かを判定する構成である。以下、第1実施形態とは異なる部分を中心に説明する。
【0084】
[センサ部の構成]
投光部117は、パルス投光を行う。これに伴い、受光部118は、投光部117から照射された光が対象物に当たって反射した反射光を受光する。ToFセンサ119は、飛行時間を計測する。
センサ部11は、上記のパルス投光に伴う飛行時間の計測結果において、直前に計測された飛行時間よりも飛行時間が長くなることが連続して所定の回数(第3しきい値)生じた場合に、OFF(オフ)の操作入力がなされたものと判定する。また、センサ部11は、上記のパルス投光に伴う飛行時間の計測結果において、直前に計測された飛行時間よりも飛行時間が短くなることが連続して所定の回数(第4しきい値)生じた場合に、ON(オン)の操作入力がなされたものと判定する。
【0085】
なお、光を照射させてから、当該光が対象物に当たって反射した反射光を受光するまでに要した時間を計測するセンサであるならば、センサの構成は上記の構成に限られるものではない。なお、センサ部11は、時間を計測するセンサではなく、自己のセンサ部11の位置から対象物(例えば、使用者の手など)の位置までの距離を計測することができるセンサであってもよい。すなわち、センサ部11は、自己のセンサ部11の上方において、翳された手などが近づけられたり遠ざけられたりしたことを検知することができるセンサであるならば、その他の構成については限定されない。
【0086】
図10は、本発明の第2実施形態による天板昇降式什器1の操作許可判定部152によって受け付けられる許可パターンの一例を示す図である。図10において、黒のドット記号は、それぞれの計測における計測結果(飛行時間)示す。一例として、図10は、前述の第3しきい値及び第4しきい値がいずれも5回である場合を示したものである。
前述の第1実施形態と同様に、許可パターンは、ONの操作入力とOFFの操作入力との組み合わせからなる操作パターンである。また、前述の第1実施形態と同様に、許可パターンは、例えば、ON、OFF、ON、OFFの順で操作入力がなされる操作パターンである。この操作パターンは、例えば使用者が、センサ11tに対して、2回続けて手を近づける動作を行った場合に生成される操作パターンである。
【0087】
以上説明したように、本発明の第2実施形態による天板昇降式什器1は、上記の構成を備えることによって、使用者がセンサ部11(操作部)に直接触れることなく当該天板昇降式什器1を昇降させることができる。これにより、例えば使用者が薬品又は病原体などが手などに付着した研究者や医療従事者であっても、センサ部11(操作部)に薬品又は病原体などが付着することがない。これにより、後に天板昇降式什器1を使用するためにセンサ部11(操作部)に触れた使用者に薬品又は病原体などが付着する恐れがない。
【0088】
また、第2実施形態による天板昇降式什器1では、使用者の動作により連続して飛行時間が長くなる回数又は連続して短くなる回数が、第3しきい値又は第4しきい値に達しない場合には、OFFの操作入力及びONの操作入力がなされたものとは判定されない。これにより、例えば、使用者が意図していない手の震えなどの小さな動作が、操作入力のための動作であると誤認識される可能性を低くすることができる。
【0089】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態について説明する。
前述の第2実施形態では、センサ部11は、使用者の手などがセンサ部11のほうへ継続的に近づけられる動作、又は使用者の手などがセンサ部11から継続的に遠ざけられる動作が行われているか否かを判定する構成であった。
一方、以下に説明する第3実施形態では、センサ部11は、使用者の手などが所定の距離以上センサ部11のほうへ近づけられる動作、又は使用者の手などが所定の距離以上センサ部11から遠ざけられる動作が行われたか否かを判定する構成である。以下、第1実施形態及び第2実施形態とは異なる部分を中心に説明する。
【0090】
[センサ部の構成]
投光部117は、パルス投光を行う。これに伴い、受光部118は、投光部117から照射された光が対象物に当たって反射した反射光を受光する。ToFセンサ119は、飛行時間を計測する。
センサ部11は、上記のパルス投光に伴う飛行時間の計測結果において、直前に計測された飛行時間よりも飛行時間が長くなることが連続した場合に、この間に最初に計測された飛行時間と最後に計測された飛行時間との差が所定の時間(第5しきい値)より長くなった場合に、OFF(オフ)の操作入力がなされたものと判定する。また、センサ部11は、上記のパルス投光に伴う飛行時間の計測結果において、直前に計測された飛行時間よりも飛行時間が短くなることが連続した場合に、この間に最初に計測された飛行時間と最後に計測された飛行時間との差が所定の時間(第6しきい値)より長くなった場合に、OFF(オフ)の操作入力がなされたものと判定する。
【0091】
なお、光を照射させてから、当該光が対象物に当たって反射した反射光を受光するまでに要した時間を計測するセンサであるならば、センサの構成は上記の構成に限られるものではない。なお、センサ部11は、時間を計測するセンサではなく、自己のセンサ部11の位置から対象物(例えば、使用者の手など)の位置までの距離を計測することができるセンサであってもよい。この場合、第5しきい値及び第6しきい値には、時間を示す値ではなく、距離を示す値が設定される。すなわち、センサ部11は、自己のセンサ部11の上方において、翳された手などが近づけられたり遠ざけられたりしたことを検知することができるセンサであるならば、その他の構成については限定されない。
【0092】
図11は、本発明の第3実施形態による天板昇降式什器1の操作許可判定部152によって受け付けられる許可パターンの一例を示す図である。図11において、黒のドット記号は、それぞれの計測における計測結果(飛行時間)示す。
前述の第1実施形態及び第2実施形態と同様に、許可パターンは、ONの操作入力とOFFの操作入力との組み合わせからなる操作パターンである。また、前述の第1実施形態及び第2実施形態と同様に、許可パターンは、例えば、ON、OFF、ON、OFFの順で操作入力がなされる操作パターンである。この操作パターンは、例えば使用者が、センサ11tに対して、2回続けて手を近づける動作を行った場合に生成される操作パターンである。
【0093】
図11に示される例においては、まず使用者は、センサ部11の方へ手を近づける動作を行っている。なお、図示されるように、この間、計測された飛行時間は5回連続で、直前に計測された飛行時間よりも短くなっている。この間に、最初に計測された飛行時間と、最後に計測された飛行時間との差は、第6しきい値が示す時間よりも長い。これにより、ONの操作入力がなされたものと判定される。
【0094】
次に使用者は、センサ部11から手を少し遠ざける動作をっている。しかしながら、この動作において、最初に計測された飛行時間と、最後に計測された飛行時間との差は、第5しきい値が示す時間よりも短い。したがって、この動作では、OFFの操作入力がなされたものとは判定されない。
【0095】
次に使用者は、センサ部11のほうへ手を少し近づける動作をっている。しかしながら、この動作において、最初に計測された飛行時間と、最後に計測された飛行時間との差は、第6しきい値が示す時間よりも短い。したがって、この動作では、ONの操作入力がなされたものとは判定されない。
【0096】
次に、使用者は、センサ部11から手を遠ざける動作をっている。この間に、最初に計測された飛行時間と、最後に計測された飛行時間との差は、第5しきい値が示す時間よりも長い。これにより、OFFの操作入力がなされたものと判定される。
図11に示されるように、以下同様に、ONの操作入力、及びOFFの操作入力がなされたものと判定されている。これにより、許可パターンが受け付けられる。
【0097】
以上説明したように、本発明の第3実施形態による天板昇降式什器1は、上記の構成を備えることによって、使用者がセンサ部11(操作部)に直接触れることなく当該天板昇降式什器1を昇降させることができる。これにより、例えば使用者が薬品又は病原体などが手などに付着した研究者や医療従事者であっても、センサ部11(操作部)に薬品又は病原体などが付着することがない。これにより、後に天板昇降式什器1を使用するためにセンサ部11(操作部)に触れた使用者に薬品又は病原体などが付着する恐れがない。
【0098】
また、第3実施形態による天板昇降式什器1では、使用者の動作による飛行時間の変化が第5しきい値又は第6しきい値を超えない場合には、OFFの操作入力及びONの操作入力がなされたものとは判定されない。これにより、例えば、使用者が意図していない手の震えなどの小さな動作が、操作入力のための動作であると誤認識される可能性を低くすることができる。
【0099】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この本発明の要旨を逸脱しない範囲において様々な設計変更などをすることが可能である。
【0100】
なお、許可パターンは、図7に示した第1実施形態における許可パターン、図10に示した第2実施形態における許可パターン、及び図11に示した第3実施形態における許可パターンのうち、2つ以上を組み合わせたものであってもよい。すなわち、例えば、図7に示した手の動作と図10に示した手の動作との双方の動作が認識された場合に、許可パターンが入力されたものと判定されるような構成であってもよい。
【0101】
上述した実施形態においては、一例として、天板昇降式什器の天板の昇降操作を行う場合について説明をしたが、これに限られるものではない。
【0102】
本発明は、例えば、使用者によるセンサ部11への操作入力に基づいて、図1及び図2に示した電気スタンド12の調光操作がなされるような天板付什器に対しても適用することができる。また、本発明は、例えば、使用者によるセンサ部11への操作入力に基づいて、図1及び図2に示したコンセント13の通電状態(オンまたはオフ)の切り替えがなされるような天板付什器に対しても適用することができる。
【0103】
その他、本発明は、例えば、使用者によるセンサ部11への操作入力に基づいて、天板付什器と通信接続された外部機器(例えば、空調機器など)の電源(オンまたはオフ)の切り替えや、モニタの表示の切り替えなどの外部機器の動作状態の調節がなされるようなシステムに対しても適用することができる。
【0104】
なお、上述した実施形態における天板昇降式什器1の制御部15をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、天板昇降式什器1に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROMなどの可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置のことをいう。
【0105】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信回線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0106】
また、上述した実施形態における天板昇降式什器1の制御部15を、LSI(Large Scale Integration)などの集積回路として実現してもよい。天板昇降式什器1の制御部15の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1…天板昇降式什器、2…天板、3…上面、4…下面、5…支持体、6…梁部、7…軸部、8…脚部、8a…水平部、8b…第一筒部、8c…第二筒部、10…昇降駆動部、11(11s,11t,11u)…センサ、11…センサ部、、12…電気スタンド、13…コンセント、15…制御部、110…基板、111…インジケータ、112…発光部、114…ジェスチャーセンサ、115…投光穴、116…受光穴、117…投光部、118…受光部、119…ToFセンサ、151…操作信号取得部、152…操作許可判定部、153…昇降情報受付部、154…動作信号生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11